JP3805852B2 - 釣り用リールのハンドル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハンドル、特に、スピニングリールや両軸受リール等の釣り用リールのハンドル軸の先端に設けられたハンドルに関する。
【0002】
【従来の技術】
スピニングリールや両軸受リールや片受けリール等の釣り用リールのハンドル軸の先端にはハンドルが固定されている。この種の釣り用リール、特に大型リールのハンドルは、いわゆるT字型のハンドルであり、ハンドル軸の先端に固定されたアーム部材と、アーム部材の先端に固定された固定軸と、固定軸に支持された筒状の把手軸と、把手軸にT字型に固定された棒状の把手部材とを有している。固定軸はハンドル軸と平行に配置されており、把手軸は固定軸の外周側に同芯で配置され固定軸に回転自在に支持されている。把手部材は、把手軸の先端部に中心部が固定され、把手軸と垂直に交差して配置されている。
【0003】
このようなハンドルを持ってハンドル軸を回転させる際には、把手部材を指で握って手先を円運動させる。このとき、たとえば中指と薬指との間に把手軸を挟んで把手部材を握り、把手軸と手の中心(力の中心)とのずれを少なくし、把手軸の回転軌跡と手の中心の回転軌跡とがあまりずれないようにして、ハンドル軸を効率よく回転させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のT字型のハンドルでは、把手部材を握ってハンドルを回転させるとき、指と指の間に把手軸が挟まれている。この把手軸を回転自在に支持するために、把手軸の内部には1対の軸受が間隔を隔てて配置されている。この軸受が配置されているため、把手軸の外径が太くなる。このため、特に、大きな魚がかかって強い力でハンドルを回す必要があるとき、把手軸に指が食い込み痛くなることがある。これは、把手部材を力を入れて握ると、把手軸を挟む指と指とが接近するように力が入るからである。これを防止するために、把手軸をスポンジ等の弾性部材で被覆することが行われている。しかし、弾性部材で把手軸を被覆すると、把手軸が一層太くなってしまい、握り心地が悪くなる。
【0005】
本発明の課題は、釣り用リールのハンドルにおいて、力を入れて指でハンドルを握ったときに指が痛くならないようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る釣り用リールのハンドルは、釣り用リールの回転するハンドル軸の先端に設けられたハンドルであって、アーム部材と、軸支部と、回動部材と、把手部材とを備えている。アーム部材は、ハンドル軸の先端に固定され、ハンドル軸の径方向外方に延びている。軸支部は、アーム部材の先端に設けられている。回動部材は、軸支部に一端が回転自在に支持されている。把手部材は、回動部材の他端に固定されている。軸支部は、アーム部材の先端に設けられたボス部と、ボス部の内部にアーム部材の延びる方向と交差する方向に沿って配置された軸受とを有し、回動部材は、軸受により軸支部に回転自在に支持されている。
【0007】
ここでは、把手部材を握ってハンドルを回転させる。この際に、把手部材が固定される回動部材は、一端が軸支部により回転自在に支持されているので、把手部材が固定される他端側の形状及び寸法等を自由に設定できる。このため、回動部材を指で挟む場合には、挟まれる部分の回動部材の厚みを薄くすることで力を入れて指でハンドルを握ったときに指が痛くならないようにすることができる。また、回動部材を挟まなくてもよいように形状を工夫すれば、指に挟まれる部材がなくなるので、力を入れて指でハンドルを握ったときに指が痛くならないようにすることができる。また、アーム部材の先端に設けられたボス部の内部で回動部材が軸受により支持されているので、回動部材の回転が滑らかになる。
【0008】
発明2に係る釣り用リールのハンドルは、発明1に記載のハンドルにおいて、ボス部は、アーム部材の先端に一体で形成され内部に前記軸受が配置されている。この場合には、ボス部がアーム部材と一体で形成されているので、ボス部の構成が簡素になる。
【0009】
発明3に係る釣り用リールのハンドルは、発明1に記載のハンドルにおいて、ボス部は、アーム部材の先端に着脱自在に嵌め込まれ、内部に前記軸受が配置された筒状のボス本体と、ボス本体をアーム部材に固定するためのネジ部材とを有する。この場合には、ボス部がアーム部材に対して着脱自在であるので、ボス部のメンテナンスが容易である。
【0010】
発明4に係る釣り用リールのハンドルは、発明1から3のいずれかに記載のハンドルにおいて、回動部材は、軸受に支持される軸部と、軸部の先端からアーム部材に沿う方向に延びた後湾曲してハンドル軸の軸方向外方に延びる連結部とを有し、把手部材は、連結部の先端部にその基端部が固定され、連結部の先端が延びる方向と交差する方向に配置されている。この場合には、ハンドル軸を回転させる際には、把手部を指で握って手先を回転運動させる。この把手部材は、基端部が回動部材に固定されているので、間に指に挟まれる部材はない。このため、指に力を入れても指が痛くなることがない。
【0011】
発明5に係る釣り用リールのハンドルは、発明1から3のいずれかに記載のハンドルにおいて、回動部材は、軸受に支持される軸部と、軸部の先端からアーム部材が延びる方向と交差する方向に延びる連結部とを有し、把手部材は、連結部の先端に固定され、連結部が延びる方向と交差する方向に配置されている。この場合には、T字型のハンドルにおいて、指に挟まれる連結部ではなく軸部が回転自在に支持されているので、連結部の指に挟まれる部分の寸法を小さくすることで力を入れて指でハンドルを握ったときに指が痛くならないようにすることができる。
【0012】
発明6に係る釣り用リールのハンドルは、発明4又は5に記載のハンドルにおいて、連結部は偏平な部材である。この場合には、偏平な連結部の肉厚を薄くすることにより、指で連結部を挟む場合にはその薄肉側を指で挟むようにすることで、力を入れても指が痛くなりにくい。また、指で連結部を挟まない場合には、薄肉側で湾曲させることで種々の形状に加工しやすくなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
実施形態1
図1〜図3において、本発明の一実施形態を採用した両軸受リールは、レバードラグ型のものであり、内部にスプール4が配置されたリール本体1と、リール本体1の側方に揺動自在に配置されたドラグ操作レバー2と、ドラグ操作レバー2の下方でリール本体1に回転自在に支持されたハンドル3とを備えている。
【0014】
リール本体1は、左右1対の側板10,11及び側板10,11を連結する複数の連結部12からなるフレーム9と、フレーム9を両側で覆う側カバー13,14とを有している。リール本体1の上部にはカウンターケース15が固定されている。カウンターケース15には、液晶表示部16や操作キー部17が設けられている。液晶表示部16は、スプール4(後述)から繰り出された釣り糸先端部の水深を表示する。操作キー部17は、棚位置や表示モードの選択操作等を行うときに使用される。
リール本体1の内部には、スプール4が回転自在かつ軸方向に移動自在に支持されている。スプール4の図1右側には、ドラグ機構(図示せず)が設けられており、スプール軸に連結されたドラグ操作レバー2を揺動させることでスプール4が軸方向右側に移動してドラグ機構に接触する。また、リール本体1の内部にはハンドル3の回転をスプールに伝達する伝達機構20が設けられている。
【0015】
側カバー14のドラグ操作レバー2の下方には突出筒14aが形成されている。この突出筒14aの内部にはスプール4に平行にハンドル軸21が配置されている。ハンドル軸21は、突出筒14aの両端に配置された2つの軸受22,23により突出筒14aに回転自在に支持されている。
【0016】
ハンドル3は、ハンドル軸21の先端に固定されている。ハンドル3は、ハンドル軸21の先端に固定されたアーム部材30と、アーム部材30の先端に回動自在に支持された回動部材31と、回動部材31の先端に固定された把手部材32とを備えている。
アーム部材30は、アーム本体33と、アーム本体33の基端側に嵌装着されたカバー部34とを有している。アーム本体33は、ハンドル軸21の径方向に延びる棒状の部材であり、ハンドル軸21の先端にねじ込まれたボルト35によりその基端が固定されている。
【0017】
アーム本体33の先端には、図4に示すように、軸支部36が設けられている。軸支部36は、アーム本体33の先端に一体で形成されたボス部40と、ボス部40の内部にアーム部材30の延びる方向と直交する方向に間隔を隔てて配置された1対の転がり軸受41,42とを有している。ボス部40の内部には、ハンドル軸21と平行に段付の丸孔43が形成されており、この丸孔43の両端に転がり軸受41,42が配置されている。また、丸孔43の図4左端にはキャップ45がねじ込まれている。
回動部材31は、軸受41,42によりボス部40に回動自在に支持された軸部46と、軸部46に回動不能に連結された連結部47とを有している。軸部46は、一端に鍔部46aが形成された軸部材であり、取付ネジ48によりボス部40に取り付けられている。軸部46の鍔部46aに隣接して外周部にはセレーション46bが形成されており、このセレーション46bに連結部47の基端部が装着されている。連結部47は、アーム部材30に沿う方向から直角に湾曲して先端がハンドル軸21の軸方向外方に延びるL字状の板部材である。このため、回動部材31は、ハンドル軸21とほぼ平行な軸回りに回動自在にアーム部材30の先端に支持される。
【0018】
把手部材32は、図1〜図3に示すように、回動部材31の連結部47の先端部に基端部が固定され、回動部材31が延びる方向と直交する方向に配置された棒状の部材である。把手部材32は、回動部材31の先端部に2本のビス54により固定されたほぼ筒状の把手本体50と、把手本体50の固定端部に嵌め込まれ固定された親指載置部51と、把手本体50の先端にねじ込まれた尻栓52とを有している。把手本体50は、通常の人が手の人差し指から薬指までで握れる長さ(たとえば、70mm前後)を有している。親指載置部51は、把手本体50と逆側に配置されており、中心部が回動部材31を貫通して把手本体50側に延び把手本体50にビス53により固定されている。親指載置部51は、回動部材31を挟んで固定用のビス54を隠すように配置されており、把手部材32の固定側端部から回動部材31の一部を覆うような形状になっている。親指載置部51の表面は家や窪んだ滑らかな載置面51aとなっている。
【0019】
次に、両軸受リールの操作方法について説明する。
【0020】
船縁から釣り糸を繰り出すときには、ドラグ操作レバー2をたとえば、手前側(図3左側)に揺動させ、スプール4への制動を解除する。これにより、釣り糸は重りの自重により繰り出される。このときの繰り出し量(仕掛けの水深)は、液晶表示部16に表示される。そして、釣り糸が所定量繰り出されると、ドラグ操作レバー2を図3右側の適当な位置に揺動させ、スプール4に制動をかけて釣り糸の繰り出しを停止する。この状態で仕掛けに魚がかかると、ハンドル3を回して、釣り糸をスプール4に巻き付ける。このとき、把手本体50を、たとえば右手の人差し指から小指までで握り、親指を親指載置部51の載置面51aに載置する。そして、手先を回転運動させることでハンドル3を回転させる。この回転は、ハンドル軸21から伝達機構を介してスプール4に伝達されスプール4が巻取方向に回転する。
【0021】
このとき、ハンドル3の把手本体50には指に挟まれる部材はないので、力を入れて指が接近しても指が痛くなりにくい。また、親指が親指載置部51に載置されているので、力を入れると、人差し指から小指までが親指側に近づき、把手部材32をより強く握ることができる。さらに、一旦ハンドル軸21の径方向に延びた回動部材31が湾曲し、把手部材32につながっていわゆる「半環状」をなすので、把手部材32を握った手の中心と回動部材31の回動中心とのずれが少なくなり、回動中心の回転軌跡と手の中心の回転軌跡とがあまりずれないようになり、ハンドル軸21を効率よく回転させることができる。
【0022】
実施形態2
図1に示す実施形態1では、軸支部36のボス部40をアーム本体33と一体で設けたが、アーム本体33と別に設けてもよい。また、実施形態1では1対の転がり軸受により回動部材31を支持したが、1つの軸受で支持してもよい。
図5において、本発明の実施形態2を採用した両軸受リールのハンドル3は、アーム部材30aと、回動部材31と、把手部材32とを有している。アーム部材30aは、ハンドル軸21の径方向に延びる板状の部材であり、ハンドル軸21の先端にねじ込まれたボルト35によりその基端が固定されている。
【0023】
アーム部材30aの先端には、図6に示すように、丸孔60が形成されており、この丸孔60に筒状の軸支部36aが装着されている。軸支部36aは、丸孔60に着脱自在に装着されたボス部40aと、ボス部40aの内部にアーム部材30aの延びる方向と交差する方向に沿って配置された針状ころ軸受(ニードルベアリング)からなる転がり軸受41aとを有している。ボス部40aは、鍔付筒状のボス本体40bと、ボス本体40bをアーム部材30aの先端に固定するためのキャップ40cとを有している。ボス本体40bの内部には、ハンドル軸21と平行に段付の丸孔43が形成されており、この丸孔43に転がり軸受41aが配置されている。この転がり軸受41aにより回動部材31の軸部46が回転自在に支持されている。
回動部材31及び把手部材32の構成を含む他の構成や動作は実施形態1と実質的に同じであるので説明を省略する。
【0024】
このような実施形態2では、前記実施形態1の効果に加え軸支部36が着脱自在であるので、メンテナンスが容易である。
【0025】
実施形態3
前記2つの実施形態では、回動部材を湾曲させて指で回動部材を挟まない構成にしたが、図7及び図8に示すように、指で回動部材を挟むT字型のハンドル3aにも本発明を適用できる。ハンドル3aにおいて、アーム部材30の構成やその他構成及び動作は、実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0026】
回動部材31aは、軸部46と連結部47aとを有している。軸部46は、軸支部36に回転自在に支持される。連結部47aは、軸部46と一体で形成され、軸部46からハンドル軸21に平行に外方に延びている。連結部47aは断面が偏平な板状部材であり、その厚みが薄い部材である。連結部47aの幅広面47bは、把手部材32の軸と直交するように配置されている。つまり、図7では、連結部47aの厚みが図示され、図8では幅が図示される。把手部材32は、ほぼ筒状の把手本体70を有している。この把手本体70の軸方向の中心部よりややずれた位置に連結部47aの先端部が挿入されている。なお、軸方向の中心部に先端部を挿入してもよい。この連結部47aの先端部に、ビス71により把手本体70が固定されている。
【0027】
このような実施形態3では、把手部材32aを握ると指で連結部47aが挟まれるが、連結部47aの厚みが薄いので、力を入れても指が痛くなりにくい。
【0028】
(a) 本発明は、ドラグレバー型の両軸受リールに限定されるものではなく、ハンドル軸にドラグ機構を装着した両軸受リール、片軸受リール、スピニングリール等の全ての釣り用リールのハンドルに適用できる。
【0029】
(b) 本発明は、アーム部材の一端に把手部材が配置されたシングルハンドル型に限定されるものではなく、アーム部材の両端に把手部材が配置されたダブルハンドル型にも適用できる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、回動部材の一端が軸支部により回転自在に支持されているので、把手部材が固定される他端側の形状及び寸法等を自由に設定できる。このため、回動部材を指で挟む場合には、挟まれる部分の回動部材の厚みを薄くすることで力を入れて指でハンドルを握ったときに指が痛くならないようにすることができる。また、回動部材を挟まなくてもよいように形状を工夫すれば、指に挟まれる部材がなくなるので、力を入れて指でハンドルを握ったときに指が痛くならないようにすることができる。また、アーム部材の先端に設けられたボス部の内部で回動部材が軸受により支持されているので、回動部材の回転が滑らかになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を採用した両軸受リールの一部破断背面図。
【図2】 その平面図。
【図3】 その側面図。
【図4】 アーム部材の先端部の断面図。
【図5】 実施形態2の図1に相当する図。
【図6】 実施形態2の図4に相当する図。
【図7】 実施形態3の図1に相当する図。
【図8】 実施形態3の図2に相当する図。
【符号の説明】
3,3a ハンドル
21 ハンドル軸
30,30a アーム部材
31,31a 回動部材
32,32a 把手部材
33 アーム本体
36 軸支部
40,40a ボス部
40b ボス本体
40c キャップ
41,42 転がり軸受
46 軸部
47,47a 連結部
Claims (6)
- 釣り用リールの回転するハンドル軸の先端に設けられたハンドルであって、
前記ハンドル軸の先端に固定され、前記ハンドル軸の径方向外方に延びるアーム部材と、
前記アーム部材の先端に設けられた軸支部と、
前記軸支部に一端が回転自在に支持された回動部材と、
前記回動部材の他端に固定された把手部材と、を備え、
前記軸支部は、前記アーム部材の先端に設けられたボス部と、前記ボス部の内部に前記アーム部材の延びる方向と交差する方向に沿って配置された軸受とを有し、
前記回動部材は、前記軸受により前記軸支部に回転自在に支持されている、釣り用リールのハンドル。 - 前記ボス部は、前記アーム部材の先端に一体で形成され内部に前記軸受が配置されている、請求項1に記載の釣り用リールのハンドル。
- 前記ボス部は、前記アーム部材の先端に着脱自在に嵌め込まれ、内部に前記軸受が配置された筒状のボス本体と、前記ボス本体を前記アーム部材に固定するためのネジ部材とを有する、請求項1に記載の釣り用リールのハンドル。
- 前記回動部材は、
前記軸受に支持される軸部と、
前記軸部の先端から前記アーム部材に沿う方向に延びた後湾曲して前記ハンドル軸の軸方向外方に延びる連結部とを有し、
前記把手部材は、前記連結部の先端部にその基端部が固定され、前記連結部の先端が延びる方向と交差する方向に配置されている、請求項1から3のいずれかに記載の釣り用リールのハンドル。 - 前記回動部材は、
前記軸受に支持される軸部と、
前記軸部の先端から前記アーム部材が延びる方向と交差する方向に延びる連結部とを有し、
前記把手部材は、前記連結部の先端に固定され、前記連結部が延びる方向と交差する方向に配置されている、請求項1から3のいずれかに記載の釣り用リールのハンドル。 - 前記連結部は偏平な部材である、請求項4又は5に記載の釣り用リールのハンドル。
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