JP2019028236A - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
離型剤を含有し、表面に前記離型剤が露出した露出部を有し、X線光電子分光分析により求められる表面に占める前記露出部の割合が1atom%以上20atom%以下であるトナー粒子と、
前記トナー粒子に外添された、チタン及びストロンチウム以外の金属元素がドープされ平均一次粒径が10nm以上100nm以下であるチタン酸ストロンチウム粒子と、
を含む静電荷像現像用トナー。
前記金属元素が、電気陰性度が2.0以下の金属元素である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
前記金属元素がランタンである、請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
前記チタン酸ストロンチウム粒子は、一次粒子の平均円形度が0.82以上0.94以下であり、一次粒子の累積84%となる円形度が0.92超である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
前記チタン酸ストロンチウム粒子は、X線回折法により得られる(110)面のピークの半値幅が0.2°以上2.0°以下である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径が20nm以上80nm以下である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径が30nm以上60nm以下である、請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
前記露出部の平均径が200nm以上600nm以下である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
前記露出部の平均径が240nm以上300nm以下である、請求項8に記載の静電荷像現像用トナー。
前記露出部の平均径Aと、前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径Bとが、3≦A/B≦20の関係を満たす、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
前記露出部の平均径Aと、前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径Bとが、5≦A/B≦10の関係を満たす、請求項10に記載の静電荷像現像用トナー。
前記チタン酸ストロンチウム粒子は、疎水化処理された表面を有するチタン酸ストロンチウム粒子である、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
前記チタン酸ストロンチウム粒子は、ケイ素含有有機化合物で疎水化処理された表面を有するチタン酸ストロンチウム粒子である、請求項12に記載の静電荷像現像用トナー。
請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
請求項14に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項14に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項14に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
請求項2又は3に係る発明によれば、前記チタン酸ストロンチウム粒子にドープされている金属元素の電気陰性度が2.0超である場合に比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項4に係る発明によれば、一次粒子の累積84%となる円形度が0.92以下であるチタン酸ストロンチウム粒子を用いた場合に比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項5に係る発明によれば、X線回折法により得られる(110)面のピークの半値幅が0.2°未満であるチタン酸ストロンチウム粒子を用いた場合に比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項6に係る発明によれば、前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径が20nm未満である場合に比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項7に係る発明によれば、前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径が30nm未満である場合に比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項8又は9に係る発明によれば、離型剤の露出部の平均径が200nm未満又は600nm超である場合に比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項10又は11に係る発明によれば、前記A/Bが4未満又は20超である場合に比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項12又は13に係る発明によれば、前記チタン酸ストロンチウム粒子の表面が疎水化処理されていない場合に比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項15に係る発明によれば、表面に離型剤が露出したトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーにおいて、外添剤としてチタニア粒子のみを含む場合に比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーを収容したトナーカートリッジが提供される。
請求項16、17又は18に係る発明によれば、表面に離型剤が露出したトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーにおいて、外添剤としてチタニア粒子のみを含む場合に比べて、定着オフセットの発生を抑制する静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤を適用したプロセスカートリッジ、画像形成装置又は画像形成方法が提供される。
本実施形態に係るトナーは、離型剤を含有し、表面に離型剤が露出した露出部を有し、X線光電子分光分析により求められる表面に占める離型剤露出部の割合が1atom%以上20atom%以下であるトナー粒子と、トナー粒子に外添された、チタン及びストロンチウム以外の金属元素がドープされ平均一次粒径が10nm以上100nm以下であるチタン酸ストロンチウム粒子と、を含む。
以下、チタン及びストロンチウム以外の金属元素がドープされ平均一次粒径が10nm以上100nm以下であるチタン酸ストロンチウム粒子を、特定チタン酸ストロンチウム粒子という。
結着樹脂とチタニア粒子は双方とも負帯電性であるので静電的に反発し合い、チタニア粒子は、結着樹脂よりも負帯電性の弱い又は帯電していない離型剤露出部に移行する傾向がある。その結果、チタニア粒子が離型剤露出部を覆い、離型剤のしみ出しが抑制されて期待する離型性が得られなくなると推定される。特に、低温低湿環境下(外添剤がトナー粒子上を移動しやすい環境下)や、画像面積率の低い画像を連続して形成した後(現像装置においてトナーに機械的負荷が繰り返しかかった後)に、チタニア粒子による離型剤露出部の被覆が顕著となり、定着オフセットが発生しやすい。
(b)特定チタン酸ストロンチウム粒子は、金属元素がドープされている故に形状が丸みを帯びており、金属元素がドープされておらず形状が立方体又は直方体であるチタン酸ストロンチウム粒子(つまり、角を有するチタン酸ストロンチウム粒子)に比べて、離型剤露出部にとどまりにくく、離型剤露出部に局在しにくいと推測される。
(c)平均一次粒径が10nm未満のチタン酸ストロンチウム粒子は、外添時に、負帯電性結着樹脂よりも負帯電性の弱い又は帯電していない離型剤露出部に静電的に引き付けられやすく、平均一次粒径が100nm超のチタン酸ストロンチウム粒子は、現像装置内での撹拌により離型剤露出部に移行しやすく、いずれの場合も離型剤露出部に局在しやすい。特定チタン酸ストロンチウム粒子は、平均一次粒径が10nm以上100nm以下であるので、離型剤露出部に局在しにくい。
上記(a)、(b)及び(c)によって、本実施形態に係るトナーは、定着オフセットの発生を抑制すると推定される。
トナー粒子は、例えば、結着樹脂と、必要に応じて、着色剤と、離型剤と、その他添加剤とを含む。
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価カルボン酸としては、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と重縮合させるとよい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレート等の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系等の染料;が挙げられる。
着色剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の公知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等を含む芯部と、結着樹脂を含む被覆層と、で構成されている。
上記の観点から、トナー粒子表面に占める離型剤露出部の割合は、1atom%以上20atom%以下であり、1atom%以上15atom%以下がより好ましく、1atom%以上10atom%以下が更に好ましく、5atom%以上10atom%以下が更に好ましい。
トナー粒子表面のXPSスペクトルを測定し、炭素1s軌道の各ピークを、参照スペクトルの波形と比較して、離型剤に帰属するピークであるか、結着樹脂に帰属するピークであるか特定する。参照スペクトルは、トナー粒子を構成している離型剤、結着樹脂それぞれについて予め測定したXPSスペクトルである。炭素1s軌道のピークのうち離型剤に帰属するピークの合計atom%を、離型剤露出部の割合とする。
上記の観点から、離型剤露出部の平均径は、200nm以上600nm以下であることが好ましく、200nm以上400nm以下がより好ましく、200nm以上300nm以下が更に好ましく、240nm以上300nm以下が更に好ましい。
離型剤露出部の長径は、トナー粒子を四酸化ルテニウムで染色した後に走査型電子顕微鏡(SEM)画像を撮影し、SEM画像において染色度合いに起因する濃淡により離型剤と結着樹脂とを識別し、少なくとも200個の離型剤露出部の画像解析によって求める。
特定チタン酸ストロンチウム粒子は、チタン及びストロンチウム以外の金属元素がドープされ、平均一次粒径が10nm以上100nm以下である。
上記の観点から、特定チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径は、10nm以上100nm以下であり、20nm以上80nm以下がより好ましく、20nm以上60nm以下が更に好ましく、30nm以上60nm以下が更に好ましい。
A/Bが3以上であると、離型剤露出部の大きさに対して特定チタン酸ストロンチウム粒子の粒径が大き過ぎないので、現像装置内での撹拌によって特定チタン酸ストロンチウム粒子が離型剤露出部に移行することが抑制される。
A/Bが20以下であると、離型剤露出部の大きさに対して特定チタン酸ストロンチウム粒子の粒径が小さ過ぎないので、外添時に、負帯電性結着樹脂よりも負帯電性の弱い又は帯電していない離型剤露出部に特定チタン酸ストロンチウム粒子が静電的に引き付けられて局在することが抑制される。
上記の観点から、A/Bは、3以上20以下が好ましく、3以上15以下がより好ましく、4以上10以下が更に好ましく、5以上10以下が更に好ましい。
チタン酸ストロンチウム粒子は、結晶構造がペロブスカイト構造であり、通常は、粒子形状が立方体又は直方体である。しかし、立方体又は直方体のチタン酸ストロンチウム粒子、つまり、角を有するチタン酸ストロンチウム粒子は、離型剤露出部にとどまり局在しやすいと推定される。
特定チタン酸ストロンチウム粒子の形状が丸みを帯びた形状であると、離型剤露出部にとどまりにくく、離型剤露出部に局在しにくいと推定される。
本実施形態において特定チタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子の円形度とは、4π×(一次粒子像の面積)÷(一次粒子像の周囲長)2であり、一次粒子の平均円形度とは、円形度の分布において小さい側から累積50%となる円形度であり、一次粒子の累積84%となる円形度とは、円形度の分布において小さい側から累積84%となる円形度である。特定チタン酸ストロンチウム粒子の円形度は、チタン酸ストロンチウム粒子が外添されたトナーの電子顕微鏡画像を撮影し、トナー粒子上のチタン酸ストロンチウム粒子を少なくとも300個画像解析して求める。後述の[実施例]に具体的な測定方法を記載する。
SW−360の実際の円形度分布が上記のとおりであること及び立体の投影像の理論的な円形度からして、立方体又は直方体のチタン酸ストロンチウム粒子は、一次粒子の累積84%円形度が0.92を下回るものと推定できる。
一方、図1Bは、別のチタン酸ストロンチウム粒子を外添したトナーのSEM画像と、該SEM画像を解析して求めたチタン酸ストロンチウム粒子の円形度分布のグラフである。SEM画像が示すとおり、本例のチタン酸ストロンチウム粒子は、丸みを帯びた形状であった。本例のチタン酸ストロンチウム粒子は、平均円形度が0.883、累積84%円形度が0.935であった。
以上のことから、特定チタン酸ストロンチウム粒子について、一次粒子の累積84%円形度は、丸みを帯びた形状の指標の一つとなり、0.92超であると丸みを帯びた形状であると言える。
特定チタン酸ストロンチウム粒子のX線回折法により得られる(110)面のピークは、回折角度2θ=32°付近に現れるピークである。このピークは、ペロブスカイト結晶の(110)面のピークに相当する。
粒子形状が立方体又は直方体であるチタン酸ストロンチウム粒子は、ペロブスカイト結晶の結晶性が高く、(110)面のピークの半値幅は通常0.2°未満である。例えば、チタン工業社製のSW−350(主たる粒子形状が立方体であるチタン酸ストロンチウム粒子)を解析したところ、(110)面のピークの半値幅は0.15°であった。
一方、丸みを帯びた形状のチタン酸ストロンチウム粒子は、ペロブスカイト結晶の結晶性が相対的に低く、(110)面のピークの半値幅が拡がる。
特定チタン酸ストロンチウム粒子は丸みを帯びた形状であることが好ましく、丸みを帯びた形状の指標の一つとして、(110)面のピークの半値幅は、0.2°以上2.0°以下が好ましく、0.2°以上1.0°以下がより好ましく、0.2°以上0.5°以下が更に好ましい。
特定チタン酸ストロンチウム粒子は、チタン酸ストロンチウム粒子そのものであってもよく、チタン酸ストロンチウム粒子の表面を疎水化処理した粒子でもよい。チタン酸ストロンチウム粒子の製造方法は、特に制限されないが、粒径及び形状を制御する観点から、湿式製法であることが好ましい。
チタン酸ストロンチウム粒子の湿式製法は、例えば、酸化チタン源とストロンチウム源との混合液にアルカリ水溶液を添加しながら反応させ、次いで酸処理を行う製造方法である。本製造方法においては、酸化チタン源とストロンチウム源の混合割合、反応初期の酸化チタン源濃度、アルカリ水溶液を添加するときの温度及び添加速度などによって、チタン酸ストロンチウム粒子の粒径が制御される。
チタン酸ストロンチウム粒子の表面処理は、例えば、疎水化処理剤であるケイ素含有有機化合物と溶媒とを混合してなる処理液を調製し、撹拌下、チタン酸ストロンチウム粒子と処理液とを混合し、さらに撹拌を続けることで行われる。表面処理後は、処理液の溶媒を除去する目的で乾燥処理を行う。
本実施形態に係るトナーは、本実施形態の効果を得られる範囲で、チタン酸ストロンチウム粒子以外のその他の外添剤を含んでいてもよい。その他の外添剤としては、例えば、下記の無機粒子および樹脂粒子が挙げられる。
疎水化処理剤の量は、通常、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
結着樹脂となる樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と、
離型剤粒子が分散した離型剤粒子分散液を準備する工程(離型剤粒子分散液準備工程)と、
樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、第一凝集粒子を形成する工程(第一凝集粒子形成工程)と、
第一凝集粒子が分散した第一凝集粒子分散液と、樹脂粒子分散液及び離型剤粒子分散液とを混合して、第一凝集粒子の表面に樹脂粒子及び離型剤粒子を付着するように凝集させ、第二凝集粒子を形成する工程(第二凝集粒子形成工程)と、
第二凝集粒子が分散した第二凝集粒子分散液を加熱し、第二凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、
を経て、トナー粒子を製造する。
以下の説明では、着色剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA−700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
次に、樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液とを混合する。そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで撹拌下、室温(例えば25℃)で凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpH2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、加熱を行ってもよい。
凝集剤と共に、該凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸;イミノ二酢酸(IDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のアミノカルボン酸;などが挙げられる。
キレート剤の添加量は、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
第一凝集粒子が分散した第一凝集粒子分散液を得た後、第一凝集粒子分散液と、樹脂粒子分散液及び離型剤粒子分散液とを混合する。樹脂粒子分散液と離型剤粒子分散液とは予め混合しておき、この混合液を第一凝集粒子分散液に混合してもよい。
これにより、第一凝集粒子の表面に樹脂粒子及び離型剤粒子が付着するように凝集した第二凝集粒子が得られる。第二凝集粒子形成工程に用いる樹脂粒子分散液と離型剤粒子分散液の混合比によって、トナー粒子表面における離型剤露出部の割合および離型剤露出部の平均径を制御し得る。
これにより、第一凝集粒子の表面に樹脂粒子及び離型剤粒子が付着するように凝集し、さらに最表面に樹脂粒子が付着するように凝集した第二凝集粒子が得られる。この場合、コア・シェル構造のシェルは、樹脂及び離型剤を含む内層と、樹脂を含み離型剤を殆ど含まない外層とを有することになる。外層形成に用いる樹脂粒子分散液を比較的少なくすることによって、表面に離型剤が露出したトナー粒子を製造することができる。
次に、第二凝集粒子が分散した第二凝集粒子分散液を、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10℃から30℃高い温度以上)に加熱して、第二凝集粒子を融合・合一し、コア・シェル構造を有するトナー粒子を形成する。
凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア・シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアとを混合した二成分現像剤であってもよい。
本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置が中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
図2に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して着脱するプロセスカートリッジであってもよい。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線が照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3からレーザ光線3Yを照射する。それにより、イエローの画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転する。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として現像され可視化される。
こうして、第1のユニット10Yにてイエローのトナー画像が転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
図3に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
図3中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
[トナー粒子(1)]
−樹脂粒子分散液(1)の調製−
・エチレングリコール :37部
・ネオペンチルグリコール:65部
・1,9−ノナンジオール:32部
・テレフタル酸 :96部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えたフラスコに、上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を200℃まで上げ、ジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて240℃まで温度を上げ、240℃で4時間脱水縮合反応を継続した後、反応物を冷却した。こうして、重量平均分子量13,000、酸価9.4mgKOH/g、ガラス転移温度62℃のポリエステル樹脂を得た。
・C.I.Pigment Blue 15:3(大日精化工業):10部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬、ネオゲンSC) : 2部
・イオン交換水 :80部
上記の材料を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(スギノマシン社製、HJP30006)を用いて1時間分散し、体積平均粒径180nmの着色剤粒子が分散された、固形分量20質量%の着色剤粒子分散液(1)を得た。
・ポリエチレン系ワックス(ベーカーペトロライト製ポリワックス725、融解温度104℃) :270部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬、ネオゲンRK):13.5部
・イオン交換水 :21.6部
上記の材料を混合し120℃に加熱してワックスを溶解した後、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製ゴーリンホモジナイザ)を用いて、分散圧力5MPaで2時間、続いて分散圧力40MPaで6時間分散処理し、冷却して分散液を得た。イオン交換水を加えて固形分量25質量%に調整し、離型剤粒子分散液(1)とした。離型剤粒子分散液(1)中の粒子の体積平均粒径は250nmであった。
・樹脂粒子分散液(1) :223部
・着色剤粒子分散液(1) : 20部
・イオン交換水 :215部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬、ネオゲンRK):2.8部
上記材料を、温度計、pH計及び撹拌機を備えた反応容器に入れ、マントルヒーターで外部から温度30℃に加温し、撹拌回転数150rpmで撹拌しながら30分間保持した。次いで、0.3N硝酸水溶液を添加しpHを3.0に調整した。次いで、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)で分散しながら、ポリ塩化アルミニウム(王子製紙製、30%粉末品)0.7部をイオン交換水7部に溶解させた溶液を添加した。次いで、撹拌しながら50℃まで昇温し、コールターマルチサイザーII(アパーチャー径50μm、ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子(第一凝集粒子)の粒径を測定し、体積平均粒径が5.0μmであることを確認した。
第二凝集粒子を形成する工程において、離型剤粒子分散液(1)3部を10分間かけて添加し、次いで、樹脂粒子分散液(1)57部と離型剤粒子分散液(1)6部を混合した液を15分間かけて添加し、30分後さらに樹脂粒子分散液(1)20部を15分間かけて添加した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にして、トナー粒子(2)を作製した。トナー粒子(2)の体積平均粒径は6.6μmであった。
第二凝集粒子を形成する工程において、離型剤粒子分散液(1)3部を10分間かけて添加し、次いで、樹脂粒子分散液(1)57部と離型剤粒子分散液(1)18部を混合した液を15分間かけて添加し、30分後さらに樹脂粒子分散液(1)20部を15分間かけて添加した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にして、トナー粒子(3)を作製した。トナー粒子(3)の体積平均粒径は6.4μmであった。
第二凝集粒子を形成する工程において、離型剤粒子分散液(1)3部を10分間かけて添加し、次いで、樹脂粒子分散液(1)57部と離型剤粒子分散液(1)3部を混合した液を15分間かけて添加し、30分後さらに樹脂粒子分散液(1)20部を15分間かけて添加した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にして、トナー粒子(4)を作製した。トナー粒子(4)の体積平均粒径は6.7μmであった。
第二凝集粒子を形成する工程において、離型剤粒子分散液(1)3部を10分間かけて添加し、次いで、樹脂粒子分散液(1)57部と離型剤粒子分散液(1)24部を混合した液を15分間かけて添加し、30分後さらに樹脂粒子分散液(1)20部を15分間かけて添加した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にして、トナー粒子(5)を作製した。トナー粒子(5)の体積平均粒径は6.3μmであった。
[チタン酸ストロンチウム粒子(1)]
脱硫及び解膠したチタン源であるメタチタン酸をTiO2として0.7モル採取し、反応容器に入れた。次いで、反応容器に、塩化ストロンチウム水溶液を、SrO/TiO2モル比が1.11になるように0.78モル添加した。次いで、反応容器に、硝酸ランタン六水和物水溶液を、ストロンチウム100モルに対してランタンが2.5モルになる量添加した。3つの材料の混合液における初期TiO2濃度が0.7モル/Lになるようにした。次いで、混合液を撹拌し、混合液を90℃に加温し、液温を90℃に維持し撹拌しながら、10N水酸化ナトリウム水溶液153mLを3.8時間かけて添加し、さらに、液温を90℃に維持しながら1時間撹拌を続けた。次いで、反応液を40℃まで冷却し、pH5.5になるまで塩酸を添加し1時間撹拌を行った。次いで、デカンテーションと水への再分散とを繰り返すことによって沈殿物を洗浄した。洗浄した沈殿物を含むスラリーに塩酸を加えpH6.5に調整し、濾過により固液分離を行い、固形分を乾燥させた。乾燥した固形分にi−ブチルトリメトキシシランのエタノール溶液を、固形分100部に対してi−ブチルトリメトキシシランが10部になる量添加して1時間撹拌を行った。濾過により固液分離を行い、固形分を130℃の大気中で7時間乾燥し、チタン酸ストロンチウム粒子(1)を得た。
10N水酸化ナトリウム水溶液の滴下にかける時間を、1時間に変更した以外は、チタン酸ストロンチウム粒子(1)の作製と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子(2)を作製した。
10N水酸化ナトリウム水溶液の滴下にかける時間を、3時間に変更した以外は、チタン酸ストロンチウム粒子(1)の作製と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子(3)を作製した。
10N水酸化ナトリウム水溶液の滴下にかける時間を、9.5時間に変更した以外は、チタン酸ストロンチウム粒子(1)の作製と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子(4)を作製した。
10N水酸化ナトリウム水溶液の滴下にかける時間を、13.5時間に変更した以外は、チタン酸ストロンチウム粒子(1)の作製と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子(5)を作製した。
10N水酸化ナトリウム水溶液の滴下にかける時間を、18時間に変更した以外は、チタン酸ストロンチウム粒子(1)の作製と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子(6)を作製した。
チタン酸ストロンチウム粒子(7)として、チタン工業社製SW−360を準備した。SW−360は、金属元素がドープされておらず、表面が未処理のチタン酸ストロンチウム粒子である。
酸化チタン粒子(1)として、テイカ社製JMT−150IBを準備した。JMT−150IBは、表面がイソブチルシランで疎水化処理された酸化チタン粒子である。
・フェライト粒子(体積平均粒径50μm) :100部
・トルエン : 14部
・スチレン/メチルメタクリレート共重合体(重合比90/10、Mw8万): 2部
・カーボンブラック(キャボット社製、R330) :0.2部
フェライト粒子を除く上記材料をスターラーにて分散して分散液を調製し、この分散液をフェライト粒子とともに真空脱気型ニーダに入れ、撹拌しながら減圧し乾燥させることによりキャリアを得た。
トナー粒子(1)〜(5)のいずれか100部に、チタン酸ストロンチウム粒子(1)〜(7)のいずれか又は酸化チタン粒子(1)の0.82部を表1に示す組み合わせのとおり添加し、ヘンシェルミキサーを用いて撹拌周速30m/秒で15分間混合した。次いで、目開き45μmの振動篩いを用いて篩分し外添トナーを得た。
[トナー粒子表面における離型剤露出部の割合]
外添剤を外添する前のトナー粒子を試料とした。XPS装置として日本電子社製JPS−9000MXを使用し、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧10kV、エミッション電流30mAに設定して、トナー粒子表面のXPSスペクトルを測定した。別途、トナー粒子の材料である離型剤、ポリエステル樹脂それぞれについてXPSスペクトルを測定し、炭素1s軌道の参照スペクトルを得た。
トナー粒子表面の炭素1s軌道の各ピークを、最小二乗法によるカーブフィッティングによって参照スペクトルと比較し、離型剤に帰属するピークを特定した。離型剤に帰属するピークの合計atom%を、離型剤露出部の割合とした。
200mLのガラス瓶に、0.2質量%トリトンX−100水溶液(Acros Organics製)40mLと、トナー2gとを入れ、500回撹拌して分散させる。次いで、分散液の液温を20℃±0.5℃に保ちながら、超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製、US−300AT)を用いて超音波を印加する。超音波印加は、印加時間:30分間連続、出力:75W、振幅:180μm、超音波振動子と容器底面との距離:10mmとする。次いで、分散液を、小型高速冷却遠心機(佐久間製作所製、M201−IVD)を用いて冷却温度0℃にて3000rpmで2分間遠心し、上澄み液を除去する。残りのスラリーに対して乾燥を施し、外添剤が外添されていない状態のトナー粒子を得て、トナー粒子表面のXPSスペクトルを測定する。トナーから外添剤を分離する処理は、外添剤を分離できるまで繰り返し行うことができる。トナーから外添剤を分離する処理は、外添剤を分離することができれば、上記以外の処理方法であってよい。
外添剤を外添する前のトナー粒子を試料とした。トナー粒子を30℃のデシケータ内で四酸化ルテニウムにより3時間染色した。SEM(日立ハイテクノロジーズ製、S−4800)にて、染色されたトナーのSEM画像を撮影した。離型剤の方がポリエステル樹脂よりも四酸化ルテニウムに染色されやすいので、染色度合いに起因する濃淡で、離型剤とポリエステル樹脂とを識別し、中央部に離型剤露出部が位置するトナー粒子200個を画像解析し、離型剤露出部の長径(最も長い方向の長さ)を測定した。200個の長径の個数基準の分布において小径側から累積50%となる長径を平均径とした。
別途用意したトナー粒子とチタン酸ストロンチウム粒子とを、ヘンシェルミキサーを用いて撹拌周速30m/秒で15分間混合した。次いで、目開き45μmの振動篩いを用いて篩分し、チタン酸ストロンチウム粒子を付着させた外添トナーを得た。
上記の外添トナーについて、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジーズ製、S−4700)を用いて、倍率4万倍で画像を撮影した。無作為に選んだ300個のチタン酸ストロンチウム粒子の画像情報をインターフェイスを介して、画像処理解析ソフトWinRoof(三谷商事株式会社)で解析し、一次粒子像それぞれの円相当径と面積と周囲長とを求め、さらに、円形度=4π×(面積)÷(周囲長)2を求めた。そして、円相当径の分布において小径側から累積50%となる円相当径を平均一次粒径とし、円形度の分布において小さい側から累積50%となる円形度を平均円形度とし、円形度の分布において小さい側から累積84%となる円形度を累積84%円形度とした。
200mLのガラス瓶に、0.2質量%トリトンX−100水溶液(Acros Organics製)40mLと、トナー2gとを入れ、500回撹拌して分散させる。次いで、分散液の液温を20℃±0.5℃に保ちながら、超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製、US−300AT)を用いて超音波を印加する。超音波印加は、印加時間:300秒間連続、出力:75W、振幅:180μm、超音波振動子と容器底面との距離:10mmとする。次いで、分散液を、小型高速冷却遠心機(佐久間製作所製、M201−IVD)を用いて冷却温度0℃にて3000rpmで2分間遠心し、上澄み液を除去し、残りのスラリーを濾紙(アドバンテック製、定性濾紙No.5C、110nm)にて濾過する。濾紙上の残留物をイオン交換水で2回洗浄し、乾燥させ、シリカ粒子や潤滑剤粒子を除いたトナーを得る。
次いで、200mLのガラス瓶に、0.2質量%トリトンX−100水溶液(Acros Organics製)40mLと、上記の処理後のトナー2gとを入れ、500回撹拌して分散させる。次いで、分散液の液温を20℃±0.5℃に保ちながら、超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製、US−300AT)を用いて超音波を印加する。超音波印加は、印加時間:30分間連続、出力:75W、振幅:180μm、超音波振動子と容器底面との距離:10mmとする。次いで、分散液を、小型高速冷却遠心機(佐久間製作所製、M201−IVD)を用いて冷却温度0℃にて3000rpmで2分間遠心し、上澄み液を得る。澄み液をメンブレンフィルター(メルク製、MF−Millipore メンブレンフィルターVSWP、孔径0.025μm)にて吸引濾過した後、メンブレンフィルター上の残留物を乾燥させてチタン酸ストロンチウム粒子を得る。
メンブレンフィルター上に集めたチタン酸ストロンチウム粒子を、カーボン支持膜(イーエムジャパン株式会社製、U1015)上に付着させエアーブローした後、EDX装置(堀場製作所製、EMAX Evolution X-Max80mm2)を取り付けた透過型電子顕微鏡(TEM)(FEI社製、TalosF200S)を用いて、倍率32万倍で画像を撮影する。EDX分析によって、Ti及びSrの存在に基づき一視野内からチタン酸ストロンチウムの一次粒子を300個以上特定する。TEMは、加速電圧200kV、エミッション電流0.5nAで観察し、EDX分析は、同条件で検出時間60分間とする。
特定したチタン酸ストロンチウム粒子の画像情報をインターフェイスを介して、画像処理解析ソフトWinRoof(三谷商事株式会社)で解析し、一次粒子像それぞれの円相当径と面積と周囲長とを求め、さらに、円形度=4π×(面積)÷(周囲長)2を求める。そして、円相当径の分布において小径側から累積50%となる円相当径を平均一次粒径とし、円形度の分布において小さい側から累積50%となる円形度を平均円形度とし、円形度の分布において小さい側から累積84%となる円形度を累積84%円形度とする。
トナー粒子に外添する前のチタン酸ストロンチウム粒子(1)〜(7)それぞれを試料として、既述の測定条件でX線回折法により結晶構造解析を行った。チタン酸ストロンチウム粒子(1)〜(7)は、回折角度2θ=32°付近に、ペロブスカイト結晶の(110)面のピークに相当するピークを有していた。(110)面のピークの半値幅はそれぞれ下記の値であった。
・チタン酸ストロンチウム粒子(1):ピーク半値幅0.35°
・チタン酸ストロンチウム粒子(2):ピーク半値幅0.70°
・チタン酸ストロンチウム粒子(3):ピーク半値幅0.45°
・チタン酸ストロンチウム粒子(4):ピーク半値幅0.30°
・チタン酸ストロンチウム粒子(5):ピーク半値幅0.24°
・チタン酸ストロンチウム粒子(6):ピーク半値幅0.21°
・チタン酸ストロンチウム粒子(7):ピーク半値幅0.15°
[定着オフセット]
各例で得られた現像剤を、定着装置を取り外した富士ゼロックス社製ApeosPortIV C3370の現像装置に充填し、トナー載り量が0.45mg/cm2となるように調整して、OHPシートに50mm×50mmの未定着画像を形成した。ニップ幅6mm、ニップ圧1.6kgf/cm2、プロセス速度175mm/secの定着装置を用いて、定着温度100℃から5℃間隔で、未定着画像の定着を行った。定着部材を目視で観察しオフセットの有無を確認し、オフセットが消えた温度を定着性の指標とし、下記のとおり分類した。
B:オフセット消失温度が140℃超、150℃以下
C:オフセット消失温度が150℃超、160℃以下
D:オフセット消失温度が160℃超
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール(帯電手段の一例)
3 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段の一例)
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール(一次転写手段の一例)
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置(像保持体クリーニング手段の一例)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト(中間転写体の一例)
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 二次転写ロール(二次転写手段の一例)
28 定着装置(定着手段の一例)
30 中間転写ベルトクリーニング装置(中間転写体クリーニング手段の一例)
P 記録紙(記録媒体の一例)
108 帯電ロール(帯電手段の一例)
109 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
111 現像装置(現像手段の一例)
112 転写装置(転写手段の一例)
113 感光体クリーニング装置(像保持体クリーニング手段の一例)
115 定着装置(定着手段の一例)
116 取り付けレール
117 筐体
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(記録媒体の一例)
Claims (18)
- 離型剤を含有し、表面に前記離型剤が露出した露出部を有し、X線光電子分光分析により求められる表面に占める前記露出部の割合が1atom%以上20atom%以下であるトナー粒子と、
前記トナー粒子に外添された、チタン及びストロンチウム以外の金属元素がドープされ平均一次粒径が10nm以上100nm以下であるチタン酸ストロンチウム粒子と、
を含む静電荷像現像用トナー。 - 前記金属元素が、電気陰性度が2.0以下の金属元素である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記金属元素がランタンである、請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム粒子は、一次粒子の平均円形度が0.82以上0.94以下であり、一次粒子の累積84%となる円形度が0.92超である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム粒子は、X線回折法により得られる(110)面のピークの半値幅が0.2°以上2.0°以下である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径が20nm以上80nm以下である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径が30nm以上60nm以下である、請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記露出部の平均径が200nm以上600nm以下である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記露出部の平均径が240nm以上300nm以下である、請求項8に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記露出部の平均径Aと、前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径Bとが、3≦A/B≦20の関係を満たす、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記露出部の平均径Aと、前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径Bとが、5≦A/B≦10の関係を満たす、請求項10に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム粒子は、疎水化処理された表面を有するチタン酸ストロンチウム粒子である、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム粒子は、ケイ素含有有機化合物で疎水化処理された表面を有するチタン酸ストロンチウム粒子である、請求項12に記載の静電荷像現像用トナー。
- 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
- 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。 - 請求項14に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。 - 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項14に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。 - 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項14に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
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