JPH11174730A - 電子写真用トナー及びそのトナーの製造方法 - Google Patents

電子写真用トナー及びそのトナーの製造方法

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JPH11174730A
JPH11174730A JP7531298A JP7531298A JPH11174730A JP H11174730 A JPH11174730 A JP H11174730A JP 7531298 A JP7531298 A JP 7531298A JP 7531298 A JP7531298 A JP 7531298A JP H11174730 A JPH11174730 A JP H11174730A
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Toshinao Ishida
稔尚 石田
Takahiro Bito
貴広 尾藤
Masa Nakamura
雅 中村
Yoshiaki Akazawa
良彰 赤澤
Yasuharu Morinishi
康晴 森西
Yoko Honda
陽康 本田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トナーに離型剤であるワックスを含有される
ことで、感光体へのフィルミング現象が生じるのを防止
し、かつ画質劣化が生じるのを防止するトナーを得る。 【解決手段】 離型剤である低分子量ポリプロピレンが
内添されたトナーの主成分の結着樹脂(バインダ樹脂)
において、ワックスの分散径が0.3μm以下であるト
ナーを得る。さらに、上記ワックスの含有量を、バイン
ダ樹脂100重量部に対して0.5重量部〜5重量部に
する。これにより、定着処理時のオフセット現象を防止
できると同時に、感光体へのフィルミング現象を防止で
き、さらに定着性を良好にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真方式を利
用した画像形成装置、例えば複写装置、プリンタ、ファ
クシミリ装置に備えられる像担持体上の潜像を可視像化
するための電子写真用トナー及び、そのトナーの製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】複写機、プリンタ、さらにファクシミリ
装置などの電子写真方式を採用してなる画像形成装置に
おいては、静電潜像担持体である感光体表面に静電潜像
を形成し、これを可視像化するために着色剤であるトナ
ー等の現像剤を感光体側へと供給し、トナーを付着させ
るようにしてなる現像装置が備えられている。
【0003】上記現像装置にて、上記感光体に形成され
た静電潜像を現像し、その現像されたトナー像は、転写
材であるシート等に転写されている。そして、転写後、
上記感光体表面には、転写しきれなかった一部のトナー
が残留する。この残留する不要トナーは、次の画像形成
を繰り返し行うためにも感光体表面から除去される。そ
のため、転写後には感光体表面に残留するトナーを除去
するクリーニング装置が設けられており、該クリーニン
グ装置において除去された不要トナーがクリーニング装
置内の収容部に収容される。
【0004】また、シートに転写されたトナー像は、未
定着状態でるため、シート上への定着処理が行われる。
この定着処理としては、通常熱加圧式による定着方法が
採用されている。例えば、トナー像と接触する側に、ト
ナーが溶融する温度に加熱されたヒートローラと、この
ヒートローラに対して、トナー像を担持してなるシート
をヒートローラ側に密着するために適度の圧力によに圧
着さてなる加圧ローラとを備えて定着装置が構成されて
いる。このような構成の加熱加圧方式の定着装置を利用
することで、熱効率の点、及び定着効率が上がる点で広
く利用されている。
【0005】しかし、上述した定着方式によれば、熱効
率が良くなる反面、ヒートローラ表面とトナーが溶融状
態で接触するため、トナーがヒートローラ表面に転移
し、次のシートに再転移されるといったオフセット現象
が生じる問題がある。このような問題を解消するため
に、定着処理後のヒートローラ表面をクリーニング装置
を用いてクリーニングしている。このようなクリーニン
グ装置を利用しても、完全に付着したトナーを除去でき
ない場合がある。そのためにも、トナーが、ヒートロー
ラに付着しないような手段が備えられている。
【0006】その一例としては、ヒートローラにオフセ
ット防止剤を塗布するようにしている。例えば、トナー
に対して離型性のよいシリコーンオイル等の離型剤を、
ヒートローラに塗布して、定着処理時にシート上に担持
されたトナーがヒートローラに付着しないようにしてい
る。
【0007】これとは別の方法として、トナー自身がヒ
ートローラに付着しないように配慮されて製造されたも
のがある。例えば、トナーを製造する過程において、ト
ナーの原材料の混合時に、離型剤である低分子量ポリプ
ロピレンワックス等を添加し、溶融混練時に分散させる
ようにしている。これにより、シート上に担持されたト
ナーが、ヒートローラに付着しなくなる。
【0008】上記トナーに離型剤であるワックスを含有
させるトナー及びその製造方法としては、例えば特許第
2583754号公報に記載されているように、オフセ
ット現象を防止するために、低分子量ワックスを含有さ
せ、離型性をもたせている。これにより、耐オフセット
性を向上するようにしている。ここで、ワックスとし
て、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン等
がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したようにトナー
に含有されるワックスを選ぶことにより、ヒートローラ
への付着を防止し、よって定着処理時にヒートローラ等
に付着するといったオフセット現象を無くす効果があ
る。
【0010】その反面、ワックスの分散性の問題、及び
離型性を良好にするためにワックスを多量に使用する
と、現像時に感光体にワックスが付着し、画像欠陥が発
生するといった新たな問題が発生する。つまり、ワック
スが感光体に付着するとクリーニング装置に除去される
ことなく、フィルム状に付着するといったフィルミング
現象が発生する。
【0011】これにより、感光体の特性が劣化し、画像
濃度の増減やカブリ等が上昇し、画質に大きな影響が生
じる。これは、トナー側の問題ではなく、画像形成装置
の高速化に伴う、現像装置内での高温化も原因している
と考えられている。
【0012】以上のことから、多量のワックス類を使用
しないで、感光体上のフィルミング現象を無くすと同時
に、定着処理時のオフセット現象を無くし、安定した画
質を得ることができるトナーが要求さるようになった。
【0013】さらに、高温化に伴い、現像装置内でのト
ナー、現像剤の劣化による画質低下および定着性の低下
が懸念されており、上述の問題とあわせて、これらを解
消するトナーが望まれるところである。
【0014】また、高分子、高弾性樹脂を主成分とした
トナーの場合、トナー製造時の溶融混練、冷却工程の最
適化等でワックス成分をトナー中に均一に分散すること
は、その生産上非常に困難となる。つまり、圧延冷却時
の混合物の厚みを1.2mm以上に設定した場合、当該
樹脂の弾性によって圧延後の混合物は3mm以上とな
り、その後の冷却、粗砕工程にて冷却不足により詰まり
を生じることとなる。従って、冷却時のクリアランスは
その樹脂の性質上1.2mm以下に設定しなければなら
ない。通常このような製造条件においてはワックスの均
一分散が困難となり、これによりフィルミング、及びオ
フセット等の不具合が生じていた。
【0015】本発明は、上述した各種の問題を解消する
ためのトナーを提供するものであって、特にトナーに含
有されるワックスの添加に配慮を行うことにより、オフ
セット現象を防止し、これに伴うフィルミング現象を生
じさせないトナーを提供することを目的とする。
【0016】また、本発明の目的は、ワックスの分散に
対して最適な製造条件以外でも、ワックス成分が均一に
分散されたトナーを提供するものでるる。すなわち、ト
ナーの主成分であるバインダ樹脂にワックス成分を最適
なドメイン径で内添分散させておくことによにより、所
定のワックス分散径をもつトナーを提供することで、上
述したフィルムング、オフセットを同時に防止でき、定
着性等を良好に行えるようにしている。
【0017】また、本発明の目的は、上述した目的を達
成すると同時に、定着性を良好にしてなるトナーを得る
ことで、そのためのトナー製造にも配慮することで、上
述した従来でのトナーの問題点を解消するようにした。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明による上述した目
的を達成するために、トナーの主成分でる結着樹脂(バ
インダ樹脂)に離型剤であるワックスとして低分子量ポ
リプロピレンを内添した樹脂を用いたトナーを得ること
で、フィルミング防止に非常に効果があることを見出し
た。
【0019】そこで、本発明によるトナーは、樹脂中に
内添された低分子量ポリプロピレンの分散径の適正領域
を見出し、これにより感光体へのフィルミング防止を向
上させ、よって画質劣化、例えば濃度変化を押さえ、か
つカブリ等を防止するようにしている。
【0020】また、本発明では、上述した低分子量ポリ
プロピレンの含有量の適正化を図ることで、トナー中の
ワックス分散を従来のものより向上させ、フィルミング
防止を助長するようにしている。
【0021】さらに、結着樹脂の分子量と高分子体と低
分子体の比率を最適化することで、高速化に対応でき、
定着性能向上と現像剤の汚染、特に劣化等の低減を両立
することができる。
【0022】また、本発明の電子写真用トナーは、結着
樹脂に内添されているワックスの分散径、及び作製後の
ワックスの分散径を規定することで、製造条件等を適正
化することのなく、ワックスの分散性を良好にし、よっ
てフィルムング防止、オフセット防止を可能にしてい
る。
【0023】一方、トナーを製造する過程において、混
練条件の適正化を図ることにより、上述した問題はもと
より、安定した画質を維持できる最良のトナーを得るよ
うにした。
【0024】いずれにおいても、トナーには離型剤であ
るワックスが適正量含有されていることから、同時にオ
フセット防止効果を有することは勿論である。
【0025】本発明においては、上述した目的を達成す
るためにの構成要件は、以下に説明する実施の形態の説
明及び実施例において、より明瞭になるであろう。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態について
詳細に説明する。本発明によるトナーを利用する画像形
成装置に設けられた現像装置について図1を参照して説
明しておく。
【0027】図1において、画像形成装置は、ほぼ中央
部に矢印方向に一定速度て回転駆動される像担持体であ
るドラム形状の感光体1の周囲に複数の画像形成を行う
ためのプロセス手段が配置されている。この画像形成プ
ロセス手段は、まず感光体1表面を均一に帯電する帯電
器2、図示しない画像に応じた光による像を照射する光
学系からの光像、上記光学系により光像を照射すること
で感光体1表面に形成された静電潜像を可視像化するた
めの本発明にかかる現像装置4、現像された像(トナー
像)を適宜搬送されてくるシート状の転写剤である用紙
に転写する転写器及び転写後の用紙を感光体1より剥離
する剥離用帯電器5、転写後に感光体1表面に転写され
なかった残留現像剤(トナー)を除去するクリーニング
装置6、及び感光体1表面に残る帯電電荷を除去する除
電器7が、この順序で感光体1の回転方向に配置されて
いる。
【0028】用紙Pは、例えば図示していないが、トレ
イ又はカセットに多量に収容されており、該収容された
用紙が給送手段にて1枚給紙され、上述した転写器5が
配置された、感光体1と対向する転写領域へと、感光体
1表面に形成されたトナー像の先端と一致するように送
り込まれる。この転写後の用紙は、剥離用帯電器にて、
感光体1より剥離され、定着装置8へと送り込まれる。
【0029】上記定着装置は、用紙上に転写された未定
着のトナー像を永久像として定着させるものであって、
トナー像10と対向する面が、トナーを溶融し、定着さ
せる温度に加熱されたヒートローラ8aからなり、該ヒ
ートローラ8aに対して加圧され用紙をヒートローラ側
へと密着させる加圧ローラ8b等を設けて構成してい
る。この定着装置8を通過した用紙Pは、画像形成装置
外へと排出ローラ(図示せず)を介して排出処理され
る。
【0030】上記光像3を感光体1表面に照射するため
の光学系は、複写装置であれば原稿台上に載置された原
稿を光照射し、該原稿からの反射光をミラー及び結像レ
ンズを介して結像するものである。また、画像形成装置
がプリンタやファクリミリ装置の場合には、上記光学系
は、入力されてくる画像データに応じてON−OFF駆
動制御される半導体レーザからの光ビームを、偏光器等
を介して感光体1上に照射するように構成されている。
この光学系により、原稿の反射光像3を直接、または画
像データに応じた光像3を感光体1上に照射するように
し、均一帯電された感光体1表面に静電潜像を形成する
ようにしている。
【0031】このようにして、感光体1表面に形成され
た静電潜像は、図1において感光体1と対向するように
配置された現像装置4にて現像される。つまり、現像剤
であるトナーが静電潜像にて選択的に付着し、トナーに
て顕像化される。
【0032】この現像装置4は、図2にその一例を示す
ように、現像剤9を収容する現像槽11内に回転可能に
現像ローラ12、現像剤を搬送又は(及び)撹拌する撹
拌搬送手段13を備え、現像槽11の上部に必要に応じ
てトナーを補給するトナー補給装置を設けている。
【0033】現像ローラ12は、例えば2成分現像剤、
あるいは磁性を有する1成分系トナーを用いるものであ
れば、円筒形状の非磁性スリーブ12a内に多数の磁極
からなるマグネットロール12bを備えて構成されてお
り、スリーブ12aが矢印方向に回転駆動されること
で、マグネットロール12bの磁力により現像剤を吸着
し、感光体1と対向する現像領域へと搬送する。そのた
め、現像剤9は、マグネットロール12bの磁力によ
り、スリーブ12a上に吸着され、該スリーブ12aの
回転により搬送され、感光体1と対向する現像領域へと
搬送される。そして、現像領域に対向するマグネットロ
ール12bの一つの磁極の位置で、現像剤はブラシ状に
穂立ち、これが感光体1表面に摺擦され、感光体1表面
に形成された静電潜像にトナーが付着し、現像すること
になる。
【0034】上記現像剤9は、例えばトナー及び磁性キ
ヤリアからなる2成分系のもの、トナー自身が磁性を有
する1成分系のもの以外に、非磁性の1成分系のトナー
からなる現像剤が一般的に知られている。
【0035】また、現像ローラ12に吸着された現像剤
は、現像剤位置へと搬送される前に、その吸着量が一定
になるように規制部材(ドクタ)14にて一部が除去さ
れる。つまり、規制部材は、一端側が現像槽11に固定
され、他端が現像ローラ12と一定の隙間(間隔)を隔
てて配置されており、この規制部材を摺り抜ける現像剤
が一定量に規制され、現像ローラ12表面には現像剤9
による薄層が形成され、現像領域へと搬送されることに
なる。
【0036】また、トナー補給装置は、トナーを収容す
るホッパ内に、トナーを補給する補給ローラ等が設けら
れている。この補給ローラは、例えば多孔質部材(例え
ばスポンジ)等から構成されており、トナーを多孔部分
に保持し、現像槽11に形成されている補給口を介して
補給するようにしている。
【0037】上記補給口に対向して上述した現像槽11
側には、撹拌搬送手段15が配置されており、補給され
てくるトナーを、現像槽11内の現像剤9と撹拌し、現
像ローラ12へと供給される。
【0038】なお、上述したように現像剤9は、キャリ
ア及びトナーからなる2成分系、トナーのみからなる1
成分系のもの以外に、1成分系において非磁性のものが
存在する。非磁性の1成分系トナーの場合には、磁力に
より現像ローラ12表面に吸着できないため、摩擦帯電
等を利用して現像ローラ12表面に吸着させて搬送する
ようにしている。この場合の現像ローラ12としては、
ゴム等の弾性部材が利用されることが多い。そして、規
制部材14等にて現像ローラ12表面に吸着されるトナ
ー層が一定の薄層になるようにしている。
【0039】なお、1成分系トナーによる現像剤9にお
いては、その現像剤中のトナー濃度を制御する必要がな
いため、トナー補給装置を設けることなく、現像槽11
にトナーカートリッジ等を介して一度の補充されるよう
に構成されている。また、現像槽11内に一定量の1成
分トナーを補充しておく必要がある場合には、トナー補
給装置に上記トナーカートリッジ内のトナーを一度に補
充し、このトナー補給装置より必要に応じてトナー補給
することになる。
【0040】(本発明の第1の実施形態)本発明による
上述した現像装置4の特に現像槽11に収容されてなる
現像剤9を構成するトナーの組成物及びトナーの製造方
法について以下に説明する。
【0041】トナーは、通常結着樹脂に離型性をもたす
ためにもワックスを添加し、さらに着色剤であるカーボ
ンブラック、さらに帯電制御を行うために帯電制御剤等
の原材料を混合し、これを混練し、粉砕、分級して所望
の粒子径、例えば10μm程度のトナーを得ており、こ
のトナーに必要に応じて外添剤を添加処理して現像剤と
なる外添処理されたトナーを得るようにしている。
【0042】上記結着樹脂としては、通常一般的に用い
られる公知の樹脂を利用できる。例えば、スチレンアク
リル系樹脂等である。このスチレンアクリル系樹脂と
は、例えばスチレンを主体に、他のビニル単量体を共重
合されたものである。
【0043】また、ワックスとしては、比較的低い融点
を有するもので、さらに重量平均分子量が約1000か
ら45000、好ましくは2000〜10000程度の
ポリオレフィンである。具体的には、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリブチレン等が挙げられる。本発明に
よれば、特に低分子量のポリプロピレンが最も好まし
く、必要に応じて上述したようなワックス材を利用でき
る。
【0044】さらに着色剤としてカーボンブラックを使
用する場合には、トナーによる画像がブラックとなり、
イエロー、シアン、マゼンタ等のトナーを得ようとする
場合には、それに応じた周知の着色剤を選択し使用すれ
ばよい。
【0045】また、トナーにおいて適正な帯電量、及び
帯電極性を決めるために、帯電制御剤が添加されるが、
この帯電制御剤についても周知のものを必要となる極性
に合わせて適宜選択される。例えば、以下に示す実施例
においては、4級アンモニウム塩を使用しており、これ
に限るものではく、周知の材料を任意に選択すればよい
ことである。
【0046】以上のように、結着樹脂、ワックス、着色
剤、帯電制御剤が添加されたトナー原材料を、混合し、
混練し、粉砕し、所望の粒子径のものを分級し、トナー
を得ている。このトナーを現像剤として使用する場合に
おいては、さらに帯電性や流動性を向上させるために、
流動化剤、例えばシリカ等を外添処理し、使用可能なト
ナーを得ている。
【0047】一方、上述したトナーは、1成分系の現像
剤として利用する時には、そのまま使用され、2成分系
の現像剤として利用するときには、外添処理したトナー
と磁性キャリアとを混合して現像剤を得るようにしてい
る。
【0048】また、1成分系の現像剤において、磁性特
性を有するようにするためには、上述したトナーの原材
料にさらに、磁性粉、例えば磁性酸化鉄、還元酸化鉄等
を添加し、上述したようにして混合、混練、粉砕、分級
して所望の粒子径の磁性トナーを得ることができる。こ
の磁性トナーにおいて、流動性を良好にするために、シ
リカ等を外添処理される。
【0049】ここで、本発明においては、定着装置8、
特にヒートローラ8a等へのトナーが付着するオフセッ
ト現象を防止するために、ヒートローラ8aに対して離
型性のよいワックスをトナーに含有させ、またこのワッ
クスが感光体に付着するフィルミングを阻止するための
ワックスの含有量を規定している。
【0050】そこで、本発明によるトナーの原材料とな
る主成分の結着樹脂であるバインダ樹脂には、予め低分
子量のポリプロピレンワックスが複合化(内添)されて
いる。ここで、内添とは、樹脂の重合段階に行われ、こ
の重合とは溶液重合、乳化重合等の一般的なバインダ樹
脂製造に用いられる重合である。この点は、特に限定さ
れるものではないが、溶液重合が好ましく、本発明によ
るバインダ樹脂、例えばスチレンアクリル系樹脂に上述
したポリプロピレンが内添されている。
【0051】このようにして作成されたワックスを予め
内添されたバインダ樹脂を、トナーの原材料として使用
することで、画像形成装置において1分間に70枚以上
の高速で画像形成(画像形成装置より画像形成後の用紙
が排出される状態)可能な装置で問題となる、感光体1
表面へのワックスのフィルミング現象や、定着のために
ヒートローラ8aへのオフセット現象の防止できる。
【0052】つまり、上述した効果を向上させるため
に、内添してある低分子量ポリプロピレン等のワックス
の樹脂中への分散径を0.3μm以下にした。さらに、
これを加工、つま上述した着色剤、帯電制御剤等の適正
量を混合し、混練、粉砕して所望の粒径のトナーを得る
ようにすることで、そのトナー粒子中でのワックス分散
径を0.15μm以下にすることで、先に上げた課題、
つまり目的を達成でき、より良好なる画質を維持できる
ようになる。
【0053】さらに、ワックスが内添されたバインダ樹
脂に対する添加量を、バインダ樹脂の100重量部に対
して0.5重量部以上5重量部以下にすることで、トナ
ー粒子中のワックスの分散状態をより均一にすることが
できる。特に、ワックスの添加量を1重量部〜2重量部
の範囲にすることで、より一層の効果が得られる。
【0054】一方、高速の画像形成装置での課題は、用
紙Pへの定着強度が低くなる事がある。これは、高速処
理するため、定着装置8をトナーを担持した用紙Pが通
過する時間が非常に短くなり、よって十分にトナーが溶
融されないまま定着処理される。これより、用紙上のト
ナーの定着が強固に行われず、剥がれることがある。ま
た、この時に、ヒートローラにトナーが付着するオフセ
ット現象が生じることがある。しかも、現像装置4にお
いて高速処理するために、撹拌手段13等による撹拌時
に、トナーが破壊され微細化されることで、フィルミン
グ現象が発生すると同時に定着性においても悪化する。
【0055】このような不具合を解消すると同時に、上
述したオフセット現象やフィルミング現象を防止するた
めのトナーを得るために、バインダ樹脂の特性として破
壊靭性を高め、粘性を向上させるようにしている。つま
り、トナーの帯電量を安定させ、画像濃度低下やカブリ
を防止するためにも、トナーが現像槽11内での撹拌等
によって破壊されないように、かつ定着性を良好にする
ために、上記トナーが破壊されないようにし、定着性を
向上するためにも粘性を向上させるようにする。
【0056】そのためにも、トナーの主成分となるバイ
ンダ樹脂の破壊強度を支配する高分子側の数平均分子量
Mnを、1.0×105≦Mn≦2.5×105、粘性を
支配する低分子側の数平均分子量Mnを2.0×103
≦Mn≦3.2×103の範囲に適正化することで、上
述した問題点を解消し、画質劣化を防止し、定着性を良
好に保った状態で、かつフィルミング及びオフセット現
象を防止できる。
【0057】以下に実施例を示し、本発明の電子写真用
トナーの作用効果を確認した。また、実施例において
は、本発明によるトナーと比較するためのトナーを製造
して、画像形成を行った例を含めて示している。
【0058】ここで、本発明において使用したトナーの
効果を確認するために、シャープ株式会社製の機種SD
−4085(1分間に85枚のA4サイズのコピーを行
う高速機)を用いて、画像濃度、カブリに基づいた評価
を行った。画像濃度は、マクベス濃度計(マクベス社
製)、カブリはZ−II OPTICAL SENSO
R(日本電色社製)を用いて計測した。このカブリは、
用紙の白紙部分(バックグランド)の濃度計測である。
【0059】また、評価の基準は、複写初期、5000
0枚(以後50Kと記す)及び100000(以後10
0Kと記す)での画像判定で行った。
【0060】さらに、以下に示す実施例に用いたスチレ
ンアクリル系のバインダ樹脂については、以下の表1に
列挙する。また、バインダ樹脂については、表1に示す
ように記号で示している。なお、バインダ樹脂は、三洋
化成社製である。
【0061】
【表1】
【0062】また、バインダ樹脂に予め内添されている
ワックスは、低分子量ポリプロピレンであり、その径
は、試料であるバインダ樹脂を、テトラヒドラフラン
(THF)に溶解し、THF不溶分を細孔径0.1μm
のメンブレンフィルタを用いて回収する。その、フィル
タを株式会社日立製作所製のSEM(S2500)によ
り計測した。また、分子量分布である高分子側の数平均
分子量(HpMn)及び低分子側の数平均分子量(Lp
Mn)については、株式会社島津製作所製LC6Aによ
り測定した。さらに、4mm軟化温度は、株式会社島津
製作所製CFT−500により測定した。
【0063】(実施例1)上記表1に示したバインダ樹
脂A−1を100重量部、さらにポリエチレン(クラリ
アント社製:PE−130)1重量部、と共に、着色剤
としてカーボン(三菱化学株式会社製:MA100S)
7重量部、帯電制御剤として4級アンモニウム塩(オリ
エント化学社製:P−51)1.5重量部を、混合機で
あるスーパミキサー(株式会社カワタ社製)に仕込んで
混合することにより、トナーの原料混合物を調整した。
【0064】次に、混練装置として2軸混練機(株式会
社池貝社製:PCM65)に上記調整した原料混合物を
仕込み、混練シリンダ温度(混練温度)を150℃に設
定し、溶融混練を行った。この場合、バインダ樹脂A−
1の4mm軟化温度151℃に対して、−1℃とした混
練温度に設定している。
【0065】その後、混練を終了した混練物を、粉砕
し、分級することで平均粒子径として約10.0μmの
トナーを得た。
【0066】そして、上記混合機に、上述した製造工程
を経て得られたトナー100重量部と、外添剤としてシ
リカ粉末(日本アエロジル株式会社製:R972)0.
1重量部と、マグネタイト粉末(関東電化株式会社製:
KBC100)0.1重量部を仕込んで混合(外添)す
ることにより、外添処理されたトナーを得た。
【0067】さらに、混合機であるナウターミキサー
(ホソカワミクロン株式会社製)に、上述した外添処理
後のトナー4重量部と、フェライト系コア材をシリコン
系樹脂で被覆処理(コーティング)してなるフェライト
系キャリア100重量部とを仕込んで、撹拌、混合し、
2成分系の現像剤を得た。
【0068】そこで、上述したように、得られたトナー
粒子中のワックスの分散径について、先に説明したバイ
ンダ樹脂中の分散粒子径を計測するのと同様にして、ワ
ックスの分散径を確認したところ0.14μmであっ
た。
【0069】以上のようにして得られた2成分系の現像
剤を適正量、現像槽に充填し、補給トナーとして外添処
理後のトナーを必要に応じて補給しながら、SD−40
85複写機にて100K枚の実写を行った。実写条件と
しては、温度25℃、相対湿度60%の雰囲気中で行っ
た。
【0070】結果は、複写初期から100Kまで安定し
た画像濃度が得られ、カブリも上昇することもなく、感
光体へのフィルミングもなく、良好なる画質状態を維持
できた。
【0071】(実施例2)上記実施例1記載のものにお
いて、バインダ樹脂をA−1の代わりにA−2を用い、
混練設定温度を150℃、すなわち4mm軟化温度15
3℃−3℃に設定し、実施例1と同様にして、トナーを
得、このトナーに外添処理を行い、キャリアと混合し、
外添処理後のトナーと、現像剤を得た。この時のトナー
粒子中のワックスの分散径は、0.15μmであった。
【0072】実写の結果は、実施例1とほぼ同様に良好
なる結果を得た。
【0073】(実施例3)上記実施例1記載のものにお
いて、バインダ樹脂をA−1の代わりにA−3を用い、
混練設定温度を150℃、すなわち4mm軟化温度15
0℃−0℃に設定し、実施例1と同様にして、トナーを
得、このトナーに外添処理を行い、キャリアと混合し、
外添処理後のトナーと、現像剤を得た。この時の、トナ
ー粒子中のワックスの分散径は、0.18μmであっ
た。
【0074】実写の結果は、実施例1とほぼ同様に良好
なる結果を得た。
【0075】(実施例4)上記実施例1記載のものにお
いて、バインダ樹脂をA−1の代わりにA−4を用い、
混練設定温度を150℃、すなわち4mm軟化温度14
8℃+2℃に設定し、実施例1と同様にして、トナーを
得、このトナーに外添処理を行い、キャリアと混合し、
外添処理後のトナーと、現像剤を得た。この時のトナー
粒子中のワックスの分散径は、0.22μmであった。
【0076】実写の結果は、画像濃度が100Kでノー
マルモード(normal mode/N mode)と、写真モ
ード(photo mode/P mode)に差がなくなって
くる傾向があり、またガブリについても若干の上昇が認
められたが、実使用上においては、特に問題のないレベ
ルであった。また、感光体上へのフィルミングについて
は、発生していなかった。
【0077】なお、上述したノーマルモード及び写真モ
ードは、感光体を帯電する時の電位を変えて行ったもの
である。すなわち、感光体を一様に帯電するためにスコ
ロトロン方式の帯電器を用いて帯電する時に、N mo
deにおいては、帯電器のグリッドに−650V、P
modeにおいてはグリッドに−440Vの電圧を供給
し、感光体をそれぞれの電位に帯電させた。この時の画
像状態、つまりトナー画像の状態を濃度、カブリといっ
た点を測定した結果での評価である。
【0078】(実施例5)上記実施例1記載のものにお
いて、バインダ樹脂をA−1の代わりにA−5を用い、
混練設定温度を150℃、すなわち4mm軟化温度14
5℃+5℃に設定し、実施例1と同様にして、トナーを
得、このトナーに外添処理を行い、キャリアと混合し、
外添処理後のトナーと、現像剤を得た。この時のトナー
粒子中のワックスの分散径は、0.23μmであった。
【0079】また実写評価においては、実施例4のもの
とほぼ同等の結果となった。
【0080】(実施例6/比較例1)上記実施例1記載
のものにおいて、バインダ樹脂をA−1の代わりにA−
6を用い、混練設定温度を150℃、すなわち4mm軟
化温度143℃+7℃に設定し、実施例1と同様にし
て、トナーを得、このトナーに外添処理を行い、キャリ
アと混合し、外添処理後のトナーと、現像剤を得た。こ
の時のトナー粒子中のワックスの分散径は、0.25μ
mであった。
【0081】実写評価の結果は、初期時には、特に問題
ないレベルであったが、50Kでは、画像濃度がN m
odeとP modeの間で差が少なくなり、100K
では、画像濃度が極端に低下した。また、カブリついて
も、50Kでかなり高くなり、100Kでは、実使用上
に問題となるレベルにまで悪化した。さらに、感光体表
面にはワックスと思われる物質が、膜状に形成(フィル
ミング)され、感光体の機能、特に特性が劣化し、濃度
やカブリに大きな影響を生じさせたものと思われる。
【0082】(実施例7/比較例2)上記実施例1記載
のものにおいて、バインダ樹脂をA−1の代わりにB−
1を用い、混練設定温度を140℃、すなわち4mm軟
化温度153℃−13℃に設定し、実施例1と同様にし
て、トナーを得、このトナーに外添処理を行い、キャリ
アと混合し、外添処理後のトナーと、現像剤を得た。こ
の時のトナー粒子中のワックスの分散径は、0.75μ
mであった。
【0083】実写評価の結果は、50Kにおいて、感光
体表面にフィルミングが発生し、画像濃度が大きく低下
傾向にあった。また100Kでは、感光体表面のフィル
ミングの度合がひどくなり、さらに濃度低下が生じた。
カブリについては、初期段階以外は、高い数値を示し、
実使用上において問題となるレベルとなった。
【0084】(実施例8/比較例3)上記実施例1記載
のものにおいて、バインダ樹脂をA−1の代わりにB−
2を用い、混練設定温度を140℃、すなわち4mm軟
化温度150℃−10℃に設定し、実施例1と同様にし
て、トナーを得、このトナーに外添処理を行い、キャリ
アと混合し、外添処理後のトナーと、現像剤を得た。こ
の時のトナー粒子中のワックスの分散径は、0.45μ
mであった。
【0085】実写評価の結果は、実施例7(比較例2)
における結果とほぼ同様であったが、若干であはある
が、改善が認められた。
【0086】(実施例9)上記実施例1記載のものにお
いて、バインダ樹脂をA−1の代わりにC−1を用い、
混練設定温度を150℃、すなわち4mm軟化温度14
9℃+1℃に設定し、実施例1と同様にして、トナーを
得、このトナーに外添処理を行い、キャリアと混合し、
外添処理後のトナーと、現像剤を得た。この時のトナー
粒子中のワックスの分散径は、0.20μmであった。
【0087】実写結果は、実施例1と同様に安定した画
像が得られた。
【0088】(実施例10/比較例4)上記実施例1記
載のものにおいて、バインダ樹脂をA−1の代わりにC
−2を用い、混練設定温度を150℃、すなわち4mm
軟化温度144℃+6℃に設定し、実施例1と同様にし
て、トナーを得、このトナーに外添処理を行い、キャリ
アと混合し、外添処理後のトナーと、現像剤を得た。こ
の時のトナー粒子中のワックスの分散径は、0.20μ
mであった。
【0089】実写評価の結果は、初期時には、特に問題
ないレベルであったが、50Kでは、写真モードでの画
像濃度が上昇し、N modeとP modeの間で差
が少なくなり、カブリも上昇し、かなりレベルの悪い画
質となった。
【0090】また、画像の黒べた部分に転写不良による
黒芯が少量であるが確認された。その原因を確認するた
めに、現像槽内の現像剤を観察したところ、少量である
が、トナーの固まりが確認できた。これは、磁石による
確認で、この固まりの中にキャリアがあることが判明し
た。この原因として考えられることは、高分子側でのH
pMnが表1から分かるように低いことで、トナーの機
械的強度が不足し、現像槽内での撹拌時に、微細化が進
み、微細化したトナーの凝集力が増し、固まりとなった
と考えられる。
【0091】(実施例11/比較例5)上記実施例1記
載のものにおいて、バインダ樹脂をA−1の代わりにC
−3を用い、混練設定温度を150℃、すなわち4mm
軟化温度156℃−6℃に設定し、実施例1と同様にし
て、トナーを得、このトナーに外添処理を行い、キャリ
アと混合し、外添処理後のトナーと、現像剤を得た。こ
の時のトナー粒子中のワックスの分散径は、0.29μ
mであった。
【0092】実写評価の結果は、初期段階から画像濃度
が低く、回復の兆しが認められなかった。また、カブリ
については、それほどの悪化はなく、問題のない良好な
レベルであった。
【0093】このような結果となったのは、バインダ樹
脂の高分子側のMnが非常に高く、トナー加工、特に混
練時に十分な混練(均一化)が実現できなかったことが
上げられる。
【0094】(実施例12)上記実施例1記載のものに
おいて、バインダ樹脂をA−1の代わりにC−4を用
い、混練設定温度を150℃、すなわち4mm軟化温度
153℃−3℃に設定し、実施例1と同様にして、トナ
ーを得、このトナーに外添処理を行い、キャリアと混合
し、外添処理後のトナーと、現像剤を得た。この時のト
ナー粒子中のワックスの分散径は、0.13μmであっ
た。
【0095】実写評価の結果は、画像濃度が常時安定
し、カブリにおいても悪化することはなく、感光体表面
へのフィルミング発生も認められず、安定な画質を維持
できた。
【0096】(実施例13/比較例6)上記実施例1記
載のものにおいて、バインダ樹脂をA−1の代わりにC
−5を用い、混練設定温度を150℃、すなわち4mm
軟化温度143℃+7℃に設定し、実施例1と同様にし
て、トナーを得、このトナーに外添処理を行い、キャリ
アと混合し、外添処理後のトナーと、現像剤を得た。こ
の時のトナー粒子中のワックスの分散径は、0.21μ
mであった。
【0097】実写評価の結果は、初期以外は、画像濃度
及びカブリが高く、画質のレベルがよいものではなかっ
た。また、100K時点でのトナーの帯電量を東芝ケミ
カル社製のブローオフ帯電量測定器で測定したところ、
適正な帯電量(適正値16〜18μc/g)を有してお
らず、12μC/gであった。
【0098】これは、実施例10(比較例4)において
発生した原因とよくにており、キャリア表面にトナーが
付着し、キャリアの帯電性能を阻害していることが考え
られる。
【0099】実際に、現像槽内の現像剤を確認したとこ
ろ、キャリアの表面にトナーが固着しており、局所的に
固まりを形成していた。このような現象が発生すること
により、キャリアとトナーの接触帯電の機構(機能)が
阻害され、帯電性が低下し、画像欠陥に結びついたと想
像される。発生の原因は、バインダ樹脂の低分子側のL
pMnが低いため、高粘性であり、複写動作時の現像槽
内や機内温度上昇に伴い、軟化が進み、上述したような
現象が発生したものと予測できる。
【0100】(実施例14/比較例7)上記実施例1記
載のものにおいて、バインダ樹脂をA−1の代わりにC
−6を用い、混練設定温度を150℃、すなわち4mm
軟化温度157℃−7℃に設定し、実施例1と同様にし
て、トナーを得、このトナーに外添処理を行い、キャリ
アと混合し、外添処理後のトナーと、現像剤を得た。こ
の時のトナー粒子中のワックスの分散径は、0.23μ
mであった。
【0101】実写評価の結果は、初期から用紙への定着
性がよくなく、手でトナー画像部を触れることで、画像
部分のトナーが剥離し、実使用上に不都合が発生した。
【0102】これは、低分子側のLpMnが高いため、
十分に用紙への定着強度が得られなかったためと考えら
える。
【0103】(実施例15)実施例1において、混練設
定温度を155℃、すなわち4mm軟化温度151℃+
4℃に設定し、実施例1と同様にして、トナーを得、こ
のトナーに外添処理を行い、キャリアと混合し、外添処
理後のトナーと、現像剤を得た。この時のトナー粒子中
のワックスの分散径は、0.19μmであった。
【0104】実写結果については、実施例1とほぼ同等
の良好なる結果を得ることができた。
【0105】(実施例16/比較例8)実施例1におい
て、混練設定温度を160℃、すなわち4mm軟化温度
151℃+9℃に設定し、実施例1と同様にして、トナ
ーを得、このトナーに外添処理を行い、キャリアと混合
し、外添処理後のトナーと、現像剤を得た。この時のト
ナー粒子中のワックスの分散径は、0.20μmであっ
た。
【0106】実写結果については、初期段階において
は、画像濃度やカブリが安定しており、特に問題とはな
らなかった。しかし、50K以降の評価では、画像濃度
が低下する傾向になった。
【0107】これは、バインダ樹脂の4mm軟化温度よ
りも9℃高い温度で混練を行ったことで、混練機内での
粘性が低下し、着色剤や帯電制御剤の分散状態が変化
し、画像濃度に影響を及ぼす帯電量を低下させたものと
考えられる。
【0108】(実施例17/比較例9)実施例1におい
て、混練設定温度を142℃、すなわち4mm軟化温度
151℃−9℃に設定し、実施例1と同様にして、トナ
ーを得、このトナーに外添処理を行い、キャリアと混合
し、外添処理後のトナーと、現像剤を得た。この時のト
ナー粒子中のワックスの分散径は、0.17μmであっ
た。
【0109】実写結果については、初期段階において
は、画像濃度やカブリが安定しており、特に問題とはな
らなかった。しかし、50K以降の評価では、画像濃度
た低下する傾向になった。
【0110】これは、バインダ樹脂の4mm軟化温度よ
りも9℃低い温度で混練を行ったことで、混練機内での
トルクが上昇し、混練シェアが過剰にかかり、着色剤や
帯電制御剤の分散状態が変化し、画像濃度に影響を来す
帯電量を低下させたものと考えられる。
【0111】(実施例18/比較例10)実施例7(比
較例2)において、混練設定温度を150℃、すなわち
4mm軟化温度153℃−3℃に設定し、実施例1と同
様にして、トナーを得、このトナーに外添処理を行い、
キャリアと混合し、外添処理後のトナーと、現像剤を得
た。この時のトナー粒子中のワックスの分散径は、0.
54μmであった。
【0112】実写結果については、実施例7(比較例
2)で発生したフィルミングよりも程度は低いものの、
フィルミングが発生した。他の画像に関する評価項目
は、実施例7(比較例2)よりも若干レベルは向上され
た。
【0113】これは、実施例7(比較例2)とバインダ
樹脂を同一材料にしたが、トナーを製造する過程での混
練条件の最適化により、各材料の分散状態が良好にな
り、安定な帯電性能が得られたためと考えられる。
【0114】(実施例19/比較例11)実施例8(比
較例3)において、混練設定温度を150℃、すなわち
4mm軟化温度150℃±0℃に設定し、実施例1と同
様にして、トナーを得、このトナーに外添処理を行い、
キャリアと混合し、外添処理後のトナーと、現像剤を得
た。この時のトナー粒子中のワックスの分散径は、0.
30μmであった。
【0115】実写結果については、実施例8(比較例
3)で発生したフィルミングよりも程度は低いものの、
フィルミングが発生した。他の画像に関する評価項目
は、実施例8(比較例3)よりも、かなり改善された。
【0116】これは、実施例8(比較例3)とバインダ
樹脂を同一材料にしたが、トナーを製造する過程での混
練条件の最適化により、各材料の分散状態が良好にな
り、安定な帯電性能が得られたためと考えられる。
【0117】以上の各実施例1〜19の評価結果につい
て、参考のために下記表2にまとめた。また、表2にお
ける“判定”については、“○”は、画像濃度、カブリ
及び感光体表面へのフィルミングが発生せず、良好なる
画質を得られた場合であり、“×”は、画像濃度、カブ
リ、フィルミングの3項目のなかで、1項目でも満足さ
れない場合である。
【0118】
【表2】
【0119】上記表2に示すように、感光体へのフィル
ミング現象を防止するには、ワックスの添加量、特にバ
インダ樹脂に内添されているワックス(ポリプロピレ
ン)の分散径が0.3μm以下であればよい。
【0120】より良好にするためには、実施例6(比較
例1)からも理解できる通り、バインダ樹脂に内添され
るワックスの量を多くすることで、フィルミングが発生
しやすくなり、少なくとも5重量部以下にすることがよ
い。また、少なすぎると、定着ローラ、とまりトナー画
像と接する定着装置のヒートローラへのオフセットが問
題になるために、少なくとも0.5重量部以上が必要と
なる。
【0121】また、カブリの問題を解消するためには、
上述したように感光体に対するフィルミングの問題を解
消すれば、解消でき、よって安定した画質を得るために
も、ワックスの添加量及びそのときの分散径を最適化す
ることが好適となる。
【0122】さらに、感光体のフィルミングの問題を解
消しても、トナー自身の機械的強度の問題により、トナ
ーが微細化されることでもカブリが上昇する。そのた
め、バインダ樹脂の分子量を最適化することが好適であ
る。例えば、実施例9,10,11を比較すれば、バイ
ンダ樹脂の高分子側のHpMn(数平均分子量)が、
1.0×105を下回れば(実施例10の場合)、トナ
ーの機械強度が低く、微細化によるカブリ等が生じ、ま
た2.5×105を越える(実施例11の場合)には、
混練不十分となり、機械的強度の点が解消されるもの
の、画像濃度を上がらなくなり、画質劣化が生じる。従
って、バインダ樹脂の分子量としては、高分子側におい
ては、1.0×105から2.5×105に範囲のものを
設定するとよい。
【0123】また、定着性の問題においては、バインダ
樹脂の分子量の最適化は、実施例12,13,14を比
較することで、低分子側のLpMnが、2.0×103
を下回る場合(実施例13の場合)、トナー自身の軟化
が問題となり帯電量不足によるカブリの上昇を招き、逆
にLpMnが、3.2×103を越えるとカブリの問題
を解消できるとしても、粘性の問題から定着不良が生じ
る。よって、低分子側のLpMnが、2.0×103
3.2×103の範囲のバインダ樹脂を選択することで
良好な結果が得られることになる。
【0124】さらに、トナーの特性を安定させるために
は、トナーの製造工程、特に混練工程が重要な要素とな
る。つまり、トナーに含有されるワックスを含めた着色
剤や帯電制御剤の分散状態を大きく作用する。そのた
め、混練工程における温度が重要となり、例えば実施例
1及び15〜17を比較することで理解できる。
【0125】つまり、バインダ樹脂における4mm軟化
温度M℃とした時に、その温度より±5℃を越えるよう
な混練温度に設定した時(実施例16及び17)では、
製造されたトナーの特性の違い等により、画像濃度の低
下が見られる。
【0126】また、トナーの製造過程における混練工程
時の混練温度を、上述したようなバインダ樹脂の4mm
軟化温度M℃に対して±5℃以内に設定すれば、バイン
ダ樹脂に予め内添されるワックスの粒子径が0.3μm
以上であっても、そのワックスの分散径が小さくなる傾
向にあり、よってフィルミング等の改善及びカブリ等の
改善が見られる。
【0127】例えば、実施例7及び18、実施例8及び
19を、それぞれ比較すれば、カブリや画像濃度におい
て、大幅な改善がみられる。よって、混練温度をバイン
ダ樹脂の4mm軟化温度M℃に対して±5℃の範囲に設
定しておくことで、安定した特定のトナーを得ることが
できると同時に、感光体に対するフィルミング等を防止
する効果が助長されることになる。
【0128】(本発明の第2の実施形態)この第2の実
施形態においては、トナーを作製する上での主成分であ
るバインダ樹脂に内添されるワックスの分散される径及
び、作製した後のトナーに分散されるワックスの径を最
適化することで、オフセット防止と同時に、フィルミン
グを防止してなる電子写真用トナーを得るものである。
【0129】これによりトナーの製造条件等を最適化し
ない場合においても、ワックスの分散状態を良好にし、
よって上述したフィルムング及びオフセットを合わせて
防止できるようにしている。
【0130】また、この実施形態においては、トナーの
原材料を構成する着色剤や、バインダ樹脂の分子量等を
規定することで、定着性及び保存性等をも良好にしてな
る電子写真用トナーを得るものである。
【0131】本発明の電子写真用トナーは、第1の実施
形態において説明した通りであり、通常主成分である結
着(バインダ)樹脂に離型性をもたすためにもワックス
を添加し、さらに着色剤であるカーボンブラック、さら
に帯電制御を行うために帯電制御剤等の原材料を混合
し、これを混練し、粉砕、分級して所望の粒子径、例え
ば10μ程度のトナーを得ており、このトナーに必要に
応じて外添剤を添加処理して現像剤となる外添処理され
たトナーを得るようにしている。
【0132】上記結着樹脂としては、通常一般的に用い
られる公知の樹脂を利用できる。例えば、スチレンアク
リル系樹脂等である。このスチレンアクリル系樹脂と
は、例えばスチレンを主体に、他のビニル単量体を共重
合されたものである。
【0133】また、この実施形態において用いられるワ
ックスとしては、比較的低い融点を有するもので、さら
に重量平均分子量が約1000から45000、好まし
くは6000〜8000程度のポリオレフィンである。
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチ
レン等が挙げられる。本発明によれば、特に低分子量の
ポリプロピレンが最も好ましく、必要に応じて上述した
ようなワックス材を利用できる。
【0134】さらに着色剤としてカーボンブラックを使
用する場合には、トナーによる画像がブラックとなり、
イエロー、シアン、マゼンタ等のトナーを得ようとする
場合には、それに応じた周知の着色剤を選択し使用すれ
ばよい。
【0135】また、トナーにおいて適正な帯電量、及び
帯電極性を決めるために、帯電制御剤が添加されるが、
この帯電制御剤についても周知のものを必要となる極性
に合わせて適宜選択される。例えば、以下に示す実施例
においては、4級アンモニウム塩を使用しており、これ
に限るものではく、周知の材料を任意に選択すればよい
ことである。
【0136】以上のように、結着樹脂、ワックス、着色
剤、帯電制御剤が添加されたトナー原材料を、混合し、
混練し、粉砕し、所望の粒子径のものを分級し、トナー
を得ている。このトナーを現像剤として使用する場合に
おいては、さらに帯電性や流動性を向上させるために、
流動化剤、例えばシリカ等を外添処理し、使用可能なト
ナーを得ている。
【0137】一方、上述したトナーは、1成分系の現像
剤として利用する時には、そのまま使用され、2成分系
の現像剤として利用するときには、外添処理したトナー
と磁性キャリアとを混合して現像剤を得るようにしてい
る。
【0138】また、1成分系の現像剤において、磁性特
性を有するようにするためには、上述したトナーの原材
料にさらに、磁性粉、例えば磁性酸化鉄、還元酸化鉄等
を添加し、上述したようにして混合、混練、粉砕、分級
して所望の粒子径の磁性トナーを得ることができる。こ
の磁性トナーにおいて、流動性を良好にするために、シ
リカ等を外添処理される。
【0139】ここで、本発明の第2の実施形態において
は、定着装置8、特にヒートローラ8a等へのトナーが
付着するオフセット現象を防止するために、ヒートロー
ラ8aに対して離型性のよいワックスをトナーに含有さ
せ、またこのワックスが感光体に付着するフィルミング
を阻止するためのワックスの径を適正に規定している。
特に、結着樹脂に内添されるワックスの径を適正化する
ことで、製造工程における最適条件でなくとも、ワック
スの分散性を良好にし、よってフィルムング及びオフセ
ットを防止するようにしている。
【0140】そこで、本発明によるトナーの原材料とな
る主成分の結着樹脂であるバインダ樹脂には、予め低分
子量のポリプロピレンワックスが複合化(内添)されて
いる。ここで、内添とは、樹脂の重合段階に行われ、こ
の重合とは溶液重合、乳化重合等の一般的なバインダ樹
脂製造に用いられる重合である。この点は、特に限定さ
れるものではないが、溶液重合が好ましく、本発明によ
るバインダ樹脂、例えばスチレンアクリル系樹脂に上述
したポリプロピレンが内添されている。
【0141】このようにして作成されたワックスを予め
内添されたバインダ樹脂を、トナーの原材料として使用
することで、画像形成装置において1分間に70枚以上
の高速で画像形成(画像形成装置より画像形成後の用紙
が排出される状態)可能な装置で問題となる、感光体1
表面へのワックスのフィルミング現象や、定着のために
ヒートローラ8aへのオフセット現象の防止できる。
【0142】つまり、上述した効果を向上させるため
に、内添してある低分子量ポリプロピレン等のワックス
のバインダ樹脂中に分散した径、特にドメイン径を3.
0μm以下に、そしてこれを加工、つま上述した着色
剤、帯電制御剤等の適正量を混合し、混練、粉砕して所
望の粒径のトナーを得るようにすることで、そのトナー
粒子中での分散したワックスのドメイン径を1.0μm
以下、特に0.1μm以上する。これにより、先に上げ
た課題、つまり目的を達成でき、より良好なる画質を維
持できるようになる。
【0143】さらに、ワックスが内添されたバインダ樹
脂に対する添加量を、バインダ樹脂の100重量部に対
して0.1重量部以上5重量部未満にすることで、トナ
ー粒子中のワックスの分散状態をより均一にすることが
できる。特に、ワックスの添加量を1重量部〜2重量部
の範囲にすることで、より一層の効果が得られる。
【0144】一方、高速の画像形成装置での課題は、用
紙Pへの定着強度が低くなる事がある。これは、高速処
理するため、定着装置8をトナーを担持した用紙Pが通
過する時間が非常に短くなり、よって十分にトナーが溶
融されないまま定着処理される。これより、用紙上のト
ナーの定着が強固に行われず、剥がれることがある。ま
た、この時に、ヒートローラにトナーが付着するオフセ
ット現象が生じることがある。しかも、現像装置4にお
いて高速処理するために、撹拌手段13等による撹拌時
に、トナーが破壊され微細化されることで、フィルミン
グ現象が発生すると同時に定着性においても悪化する。
【0145】このような不具合を解消すると同時に、上
述したオフセット現象やフィルミング現象を防止するた
めのトナーを得るために、バインダ樹脂の特性として破
壊靭性を高め、粘性を向上させるようにしている。つま
り、トナーの帯電量を安定させ、画像濃度低下やカブリ
を防止するためにも、トナーが現像槽11内での撹拌等
によって破壊されないように、かつ定着性を良好にする
ために、上記トナーが破壊されないようにし、定着性を
向上するためにも粘性を向上させるようにする。
【0146】そのためにも、トナーの主成分となるバイ
ンダ樹脂の破壊強度を支配する高分子側の数平均分子量
Mnを、1.0×105≦Mn≦2.5×105、粘性を
支配する低分子側の数平均分子量Mnを2.0×103
≦Mn≦3.2×103の範囲に適正化することで、上
述した問題点を解消し、画質劣化を防止し、定着性を良
好に保った状態で、かつフィルミング及びオフセット現
象を防止できる。
【0147】以下に実施例を示し、本発明の第2の実施
形態における電子写真用トナーの作用効果を確認した。
【0148】ここで、本発明において使用したトナーの
効果を確認するために、シャープ株式会社製の機種SD
−4085(1分間に85枚のコピーを行う高速機)を
用いて、画像濃度、カブリに基づいた評価を行った。画
像濃度は、マクベス濃度計(マクベス社製)、カブリは
Z−II OPTICAL SENSOR(日本電色社
製)を用いて計測した。このカブリは、用紙の白紙部分
(バックグランド)の濃度計測である。
【0149】また、評価の基準は、複写初期、及び10
0000(以後100Kと記す)での画像判定で行っ
た。また、耐フィルミング性、定着性、耐スペント性、
耐オフセット性等は目視判定により3段階評価を行っ
た。
【0150】さらに、以下に示す実施例に用いたスチレ
ンアクリル系のバインダ樹脂、及びバインダ樹脂に内添
されるポリプロピレンの内添ドメイン径、及びトナー作
製後のドメイン径については、表3に示す通りである。
なお、バインダ樹脂は、三洋化成社製である。
【0151】
【表3】
【0152】また、バインダ樹脂に予め内添されている
ワックスは、低分子量ポリプロピレンである。ここで、
ドメイン径とは、バインダ樹脂中に分散してワックスの
長径をさす。相溶性のない2つの高分子体を混合した場
合、互いの界面張力の違いにより分離がおこり混合比の
少ない高分子体は、混合比の多い高分子中に島構造をも
って分散する。この島構造のことをドメインといい、液
体状ではほぼ球形となる。本発明の場合、混合比の多い
高分子体が樹脂であり、少ないものがワックスとなり、
樹脂中にワックスが島構造(ドメイン)をもち分散する
こととなる。
【0153】その径は、試料であるバインダ樹脂を、テ
トラヒドラフラン(THF)に溶解し、THF不溶分を
細孔径0.1μmのメンブレンフィルタを用いて回収す
る。そのフィルタを株式会社日立製作所製のSEM(S
2500)により計測した。また、粘弾性特性は、レオ
メトリックス社製のレオメーター RDS−7700に
より測定し、分子量分布である高分子側の数平均分子量
(HpMn)及び低分子側の数平均分子量(LpMn)
については、株式会社島津製作所製LC6Aにより測定
した。
【0154】(実施例21)上記表3に示した“実施例
21”のワックス内添量が1.0重量部のバインダ樹脂
を100重量部と共に、着色剤としてカーボンブラック
(デグサ社製:Printex70)10重量部、帯電
制御剤として4級アンモニウム塩(オリエント化学社
製:P−51)1.5重量部を、混合機であるスーパミ
キサー(株式会社カワタ社製)に仕込んで混合すること
により、トナーの原料混合物を調整した。
【0155】次に、混練装置として2軸混練機(株式会
社池貝社製:PCM65)に上記調整した原料混合物を
仕込み、混練シリンダ温度(混練温度)を150℃に設
定し、溶融混練を行った。その後、混練を終了した混練
物を、粉砕し、分級することで平均粒子径として約1
0.0μmのトナーを得た。
【0156】そして、上記混合機に、上述した製造工程
を経て得られたトナー100重量部と、外添剤としてシ
リカ粉末(日本アエロジル株式会社製:R972)0.
1重量部と、マグネタイト粉末(関東電化株式会社製:
KBC100)0.1重量部を仕込んで混合(外添)す
ることにより、外添処理された電子写真用トナーを得
た。
【0157】さらに、混合機であるナウターミキサー
(ホソカワミクロン株式会社製)に、上述した外添処理
後のトナー4重量部と、フェライト系コア材をシリコン
系樹脂で被覆処理(コーティング)してなるフェライト
系キャリア100重量部とを仕込んで、撹拌、混合し、
2成分系の現像剤を得た。
【0158】そこで、上述したように、得られたトナー
粒子中のワックスの分散径、特にドメイン径について、
先に説明したバインダ樹脂中の分散粒子径を計測するの
と同様にして、確認したところ1.0μmであった。
【0159】以上のようにして得られた2成分系の現像
剤を適正量、現像槽に充填し、補給トナーとして外添処
理後のトナーを必要に応じて補給しながら、SD−40
85複写機にて100K枚の実写を行った。実写条件と
しては、温度25℃、相対湿度60%の雰囲気中で行っ
た。
【0160】結果は、複写初期から100Kまで安定し
た画像濃度が得られ、カブリも上昇することもなく、感
光体へのフィルミングもなく、良好なる画質状態を維持
できた。なお、その結果は表4に示した通りである。
【0161】
【表4】
【0162】上記表4は、実施例1によるトナーと対比
を行うために、以下に示す実施例22乃至44によるト
ナーの評価結果を含めて示している。ここで、画像濃度
及びカブリのN mode及びP modeは、表2の
評価結果において説明した通りである。
【0163】この実施例21に示すトナーの製造時の条
件としは特に細かくは規定しておらず、バインダ樹脂中
でのワックスのドメイン径を規定値内の設定しておくこ
とで、製造後のトナーに分散されたワックスのドメイン
径を適正化できる。これにより、分散性が良好になる結
果、上記表4に示すような結果を得られたものといえ
る。
【0164】以下の示す実施例については、実施例21
にて得たトナーと区別すべく、比較のために示したもの
である。
【0165】(実施例22)表3に示す“実施例22”
の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実
施例21と同一条件にてトナーの原材料混合物を調整し
た。この実施例22においては、実施例21とは、バイ
ンダ樹脂に内添されるワックスのドメイン径が6.0μ
mとなっている以外は、全て同一にし、また同一条件に
て電子写真用トナーを作製した。そして、その製造され
たトナー中に分散するワックスのドメイン径を計測すれ
ば、2.0μmであった。
【0166】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は、上記表4に示した通りである。この実施例22
にて得たトナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関
しては問題ないレベルであったが、耐フィルミング性、
耐オフセット性、さらに保存性に欠ける。これは、内添
される分散されたワックスのドメイン径が大きいため、
製造後の分散径も必然的に大きくなり、分散性等に問題
があるものと思われる。
【0167】(実施例23)表3に示したように“実施
例23”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原材料混合物
を調整した。この実施例23においては、実施例21と
は、バインダ樹脂に内添されるワックスのドメイン径が
0.8μmとなっている以外は、全て同一とした。そし
て製造時の条件は全て同一にして電子写真用トナーを作
製した。そして、その製造されたトナー中に分散するワ
ックスのドメイン径を計測すれば、0.05μmであっ
た。
【0168】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った結果
は表4に示す通りである。この実施例23にて得たトナ
ーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問題な
いレベルであったが、実施例21のものと比べて耐オフ
セット性に欠け、耐フィルムング性においてもやや劣
る。これは、バインダ樹脂に内添されているワックスの
ドメイン径が小さすぎるため、トナー中のワックスの分
散性が確保できなくなるものと思われ、耐オフセット性
が悪くなるものと思われる。
【0169】(実施例24)表3に示したように“実施
例24”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例24においては、実施例21と
は、バインダ樹脂が高分子量側の数平均分子量HpMn
を0.8×105、低分子側の数平均分子量LpMnを
1.5×103とした点で異なる他は、全て同一にし、
また同一条件にて電子写真用トナーを作製した。
【0170】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例24にて得た
トナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問
題ないレベルであったが、耐フィルミング性、耐スペン
ト性、さらに耐オフセット性に欠ける。
【0171】(実施例25)表3に示したように“実施
例25”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例25においては、実施例21と
は、バインダ樹脂が高分子量側の数平均分子量HpMn
を3.0×105、低分子側の数平均分子量LpMnを
3.5×103とした点で異なる他は、全て同一にし、
また同一条件にて電子写真用トナーを作製した。
【0172】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例25にて得た
トナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問
題ないレベルであったが、実施例24による耐フィルミ
ング性、耐スペント性、耐オフセット性等の不具合を改
善できる反面、定着性が劣る。
【0173】(実施例26)表3に示したように“実施
例26”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例26において、実施例21とは、
バインダ樹脂として樹脂の保存弾性率G(1[N/cm
2]で示す温度)が、150(℃)である点で相違する
他は、全て同一にし、また同一条件で電子写真用トナー
を作製した。
【0174】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例26にて得た
トナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問
題ないレベルであったが、耐フィルミング性、耐スペン
ト性、耐オフセット性に欠ける。
【0175】(実施例27)表3に示したように“実施
例27”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例27において、実施例21とは、
バインダ樹脂として樹脂の保存弾性率G(1[N/cm
2]で示す温度)が、220(℃)である点で相違する
他は、全て同一にし、また同一条件で電子写真用トナー
を作製した。
【0176】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
の結果は表4に示す通りである。この実施例27にて得
たトナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては
問題ないレベルであったが、実施例26における耐フィ
ルミング性、耐スペント性、及び耐オフセット性等の不
具合を解消できたものの、定着性が劣る。
【0177】(実施例28)表3に示したように“実施
例28”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例28において、実施例21とは、
バインダ樹脂として樹脂の溶融粘度Tη(複素粘度率|
η*|が1000Pa・sになる温度)が、110
(℃)である点で相違する他は、全て同一にし、また同
一条件にて電子写真用トナーを作製した。
【0178】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例28にて得た
トナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問
題ないレベルであったが、耐オフセット性に欠ける。
【0179】(実施例29)表3に示したように“実施
例29”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例29において、実施例21とは、
バインダ樹脂として樹脂の溶融粘度Tη(複素粘度率|
η*|が1000Pa・sになる温度)が、140
(℃)である点で相違する他は、全て同一にし、また同
一条件にて電子写真用トナーを作製した。
【0180】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例29にて得た
トナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問
題ないレベルであったが、上述した実施例28による耐
オフセット性を解消できるものの、定着性で問題が生じ
た。
【0181】(実施例30)表3に示したように“実施
例30”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21同一条件にてトナーの原料混合物を調
整した。この実施例30において、実施例21とは、バ
インダ樹脂として樹脂の損失弾性率G′が、140℃に
おいて3.4[N/cm2]である点に相違している他
は、全て同一にし、また同一条件て電子写真用トナーを
作製した。
【0182】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例30にて得た
トナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問
題ないレベルであったが、耐オフセット性に欠ける。
【0183】(実施例31)表3に示したように“実施
例31”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例31において、実施例21とは、
バインダ樹脂として樹脂の損失弾性率G′が、140℃
において5.0[N/cm2]である点で相違している
以外は、全て同一にし、また同一条件にて電子写真用ト
ナーを作製した。
【0184】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例31にて得た
トナーの評価結果は、画像濃度はあるものの帯電量分布
が広く逆極性トナーが多数存在しカブリの多い画像とな
った。また実施例30にて不具合となる耐オフセット性
を解消できた。しかし、定着性が大きく劣る結果となっ
た。
【0185】(実施例32)表3に示したように“実施
例32”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例32において、実施例21とは、
バインダ樹脂のガラス転移温度(℃)を55℃で異なる
以外は、全て同一にし、また同一条件にて電子写真用ト
ナーを作製した。
【0186】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例32にて得た
トナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問
題ないレベルであったが、保存性に欠ける。
【0187】(実施例33)表3に示したように“実施
例33”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例33において、実施例21とは、
バインダ樹脂のガラス転移温度(℃)を75℃で異なる
以外は、全て同一にし、また同一条件にて電子写真用ト
ナーを作製した。
【0188】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例33にて得た
トナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問
題ないレベルであったが、実施例32による保存性の問
題を解消できた。しかし、定着性が実施例32に比べ劣
る結果となった。
【0189】(実施例34)表3に示したように“実施
例34”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例34において、実施例21とは、
着色剤であるカーボンブラックをデグサ社製のPrin
tex95を用いた以外、全て同一にした。このカーボ
ンブラックは、DBP吸油量が52(ml/100g)
である。そして、実施例21と同一条件にて電子写真用
トナーを作製した。
【0190】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例34にて得た
トナーの評価結果は、初期状態から画像濃度が低く、回
復の兆しが認められなかった。またカブリに関してはそ
れほど悪化はしないものの、100Kにおいて、感光体
上にフィルミングが発生し、耐スペント性、耐オフセッ
ト性に欠ける。
【0191】(実施例35)表3に示したように“実施
例35”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例35において、実施例21とは、
着色剤であるカーボンブラックをデグサ社製のPrin
texAを用いた以外、全て同一にした。このカーボン
ブラックは、1次粒子径が41nm、揮発分(%)が
0.7%と低い。そして、実施例21と同一条件にて電
子写真用トナーを作製した。
【0192】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例35にて得た
トナーの評価結果は、初期状態から画像濃度が低く、回
復の兆しが認められなかった。またカブリに関してはそ
れほど悪化はしないものの、100Kにおいて、感光体
上にフィルミングが発生し、耐スペント性、耐オフセッ
ト性に欠ける。
【0193】(実施例36)表3に示したように“実施
例36”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例36において、実施例21とは、
着色剤であるカーボンブラックを三菱化学社製のOIL
31Bとした以外は同一材料を用いた。このカーボンブ
ラックは、揮発分(%)が、5.5%と非常に大きい。
またDBP吸油量が107(ml/100g)、1次粒
子径も30nmと割合と大きい。そして、実施例21と
同一条件で電子写真用トナーを作製した。
【0194】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例34にて得た
トナーの評価結果は、画像濃度は確保できるものの、帯
電量が低く、カブリの多い画像となった。また、耐オフ
セット性、及び定着性に欠ける。
【0195】(実施例37)表3に示したように“実施
例37”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例37において、実施例21とは、
着色剤であるカーボンブラックの添加量を3重量部に変
えた以外は、全て同一とした。そして、実施例21と同
一条件で電子写真用トナーを作製した。
【0196】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例37にて得た
トナーの評価結果は、トナー自体の隠蔽力が低く、かつ
帯電量が高くなり、画像濃度が薄い。そして、耐フィル
ミング性、耐スペント性に欠け、また耐オフセット性に
やや欠ける。
【0197】(実施例38)表3に示したように“実施
例38”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例38において、実施例21とは、
着色剤であるカーボンブラックの添加量を13重量部に
変えた以外は、全て同一とした。そして、実施例21と
同一条件で電子写真用トナーを作製した。
【0198】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例38にて得た
トナーの評価結果は、画像濃度は得られるものの、帯電
量が十分に得られず低くなる結果、カブリの多い画像と
なった。しかし、耐フィルミング性、耐スペント性、耐
オフセット、定着性、さらに保存性にも優れる結果とな
った。
【0199】(実施例39)表3に示したように“実施
例39”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例39において、実施例21とは、
バインダ樹脂に内添されるワックスの内添量を“0”、
つまりワックスを含まない他は、全て同一にし、また同
一条件にて電子写真用トナーを作製した。
【0200】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例39にて得た
トナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問
題ないレベルであったが、耐オフセット性に欠ける。
【0201】(実施例40)表3に示したように“実施
例40”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例40において、実施例21とは、
バインダ樹脂に内添されるワックスの内添量を6.0重
量部とした以外は、全て同一とし、また同一条件にて電
子写真用トナーを作製した。
【0202】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例40にて得た
トナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問
題ないレベルであった。また実施例40においては、実
施例39による耐オフセット性を改善できるものの、耐
フィルミング性、及び耐スペント性に劣る結果となっ
た。
【0203】(実施例41)表3に示したように“実施
例41”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例41において、実施例21とは、
バインダ樹脂に内添されるワックスの数平均分子量Mn
を、5.0×103とした以外は、全て同一にし、また
同一条件にて電子写真用トナーを作製した。
【0204】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例41にて得た
トナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問
題ないレベルであったが、耐フィルミング性、耐スペン
ト性、及び保存性に欠ける。
【0205】(実施例42)表3に示したように“実施
例42”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例42において、実施例21とは、
バインダ樹脂に内添されるワックスの数平均分子量Mn
を、10.0×103とした以外は、全て同一にし、ま
た同一条件にて電子写真用トナーを作製した。
【0206】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例42にて得た
トナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問
題ないレベルであり、実施例41における耐フィルムン
グ性、及び耐スペント性を改善できた、しかしながら、
実施例41のものと比べて、耐オフセット性、及び定着
性に劣る結果となった。
【0207】(実施例43)表3に示したように“実施
例43”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例43において、実施例21とは、
バインダ樹脂に内添されるワックスの軟化点が135℃
である点を除き、全て同一にした。また実施例21と同
一条件にて電子写真用トナーを作製した。
【0208】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例43にて得た
トナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問
題ないレベルであったが、耐フィルミング性、耐スペン
ト性、及び保存性に欠ける。
【0209】(実施例44)表3に示したように“実施
例44”の処方によるバインダ樹脂及び着色剤、帯電制
御剤を実施例21と同一条件にてトナーの原料混合物を
調整した。この実施例44において、実施例21とは、
バインダ樹脂に内添されるワックスの軟化点が170℃
である点を除き、全て同一にした。また実施例21と同
一条件にて電子写真用トナーを作製した。
【0210】この電子写真用トナーを用いて、実施例2
1と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価
結果は表4に示す通りである。この実施例44にて得た
トナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問
題ないレベルであり、実施例43に対して耐フィルムン
グ性、及び耐スペント性を改善できた。しかしながら、
実施例44によるトナーは、実施例43と比べ、耐オフ
セット性、及び定着性に劣る結果となった。
【0211】以上の各種実施例21乃至44に示したよ
うに、表3及び表4の評価の結果、画像濃度及びカブリ
を含めて耐フィルミング性、耐スペント性、耐オフセッ
ト性、定着性、及び保存性に優れたトナーとしては、実
施例21によるものとなる。そこで、実施例21に示す
トナーと、実施例22及び23のトナーとを対比すれ
ば、ワックスのドメイン径が大きく左右していることが
判る。
【0212】そのため、バインダ樹脂に内添されている
ワックスのドメイン径としては、6.0μm以上では耐
フィルミング性、保存性に問題が生じ、0.8μmでれ
ば、作製後のトナーに分散されるワックスのドメイン径
が0.05μmとなるため、耐オフセット性に問題が残
る。その結果としては、バインダ樹脂に内添されている
状態でのワックスのドメイン径は、少なくとも6.0μ
m未満で、かつ0.8μmを越える大きさのものを選定
することが重要となる。特に、バインダ樹脂に内添され
るワックスの好ましいドメイン径の範囲としては、3.
0μm以下で、1.0μm以上とすると好適であった。
【0213】しかも、上述したようにバインダ樹脂に内
添されるワックスのドメイン径の範囲内において、ま
た、製造後のトナーに分散されるワックスのドメイン径
は、実施例22及び23から0.05μmを越え2.0
μm未満のものを選定するとよい。特に、好ましくは、
0.1μm以上であり1.0μm以下の範囲が最適であ
る。
【0214】よって、上述したようにバインダ樹脂に内
添されるワックスのドメイン径を規定範囲のものを選ぶ
ことで、製造後のトナー中に分散されるワックスのドメ
イン径を適正範囲にできる。そのため、ワックスの分散
性が良好になる結果として、表4に示す実施例21によ
る結果を得ることができる。これは、特に製造条件を厳
しく限定する必要がなくなり、製造が簡単になる。
【0215】また、バインダ樹脂に内添されるワックス
のドメイン径を上述したような適正範囲に設定した状態
において、さらに良好な結果を得ようとすれば、実施例
24及び25から理解できるように、バインダ樹脂の数
平均分子量Mnを規定すればよい。
【0216】このバインダ樹脂の数平均分子量Mnとし
ては、実施例21との対比において、高分子量側での数
平均分子量Mnは、1.75×105の場合には、良好
であって、実施例24における数平均分子量Mnが0.
8×105、実施例25における数平均分子量Mnが
3.0×105において問題が生じる。そこで、実施例
21における数値の前後で良好であり、実施例24と2
5の範囲内に設定すればよい。これは、第1の実施形態
においても同様であり、バインダ樹脂の高分子量側の数
平均分子量Mnは、1.0×105以上、2.5×105
以下の範囲において良好な結果が得られる。
【0217】そして、バインダ樹脂の数平均分子量Mn
については、第1の実施形態同様であり、2.0×10
3以上、3.2×103以下の範囲において良好な結果が
得られる。
【0218】また、実施例21と、実施例26及び27
を対比すれば、バインダ樹脂の保存弾性率、つまり1
[N/cm2]で示す温度が、186℃前後において良
好であることが実施例21から理解できる。また、実施
例26及び27からは、バインダ樹脂の保存弾性率が1
50℃以下であれば耐フィルミング性、オフセット性が
悪くなる一方、220℃以上となれば、耐フィルミング
性、オフセット性が改善されるものの、定着性に劣る結
果となる。そのためにも、バインダ樹脂の保存弾性率と
しては、少なくとも180℃以上、200℃以下に範囲
に設定することで良好な結果が得られる。
【0219】つまり、バインダ樹脂の粘弾性はトナーの
定着性、耐オフセット性、及び材料分散性に大きく関連
しており、高速対応した高分子樹脂の場合、定着特性、
耐オフセット性および材料分散性が低下する傾向にあ
る。この点、高速対応した樹脂においても、粘弾性特性
を最適化することにより、優れた定着特性、耐オフセッ
ト性、優れた材料分散性を持たせることができる。即
ち、上述したように保存弾性率が1[N/cm2]にな
る温度は、耐オフセット特性に大きな相関があり、この
温度が高くなると、高温オフセット発生温度が高くはる
反面、定着性が悪化する。従って、保存弾性率を上述し
た範囲に設定することで、耐オフセット性及び定着性を
良好にすることができる。
【0220】そして、実施例21と、実施例28及び2
9を対比すれば、バインダ樹脂の溶融粘度Tη(複素粘
度率|η*|が1000Pa・sになる温度)が、12
2℃前後で良好であり、110℃以下では耐オフセット
性が悪くなり、140℃以上では定着性が悪くなる。そ
のため、バインダ樹脂の溶融粘度Tηは、120℃以
上、130℃以下とすることで良好な結果が得られる。
【0221】これは、溶融粘度Tη(複素粘性率|η*
|が1000Pa・sになる温度)は、定着性と大きな
関連性があり、溶融粘度Tηが低いと定着性はよくな
る。その反面、耐オフセット性が低下する。これとは逆
に高いと定着性は悪くなるが、耐圧オフセット性が良好
になる傾向にある。この点、本発明においては、上述し
たような溶融粘度Tηの範囲にすることで、耐オフセッ
ト性、及び定着性を満足させることができる。
【0222】次に、実施例21と、実施例30及び31
を対比すれば、バインダ樹脂の140℃における損失弾
性率については、3.8[N/cm2]前後では、良好
であり、3.0[N/cm2]以下では耐オフセット性
が悪くなり、5.0[N/cm2]では定着性が悪くな
る。そのため、バインダ樹脂の損失弾性率は、3.4
[N/cm2]以上、4.5[N/cm2]以下の範囲に
設定することで耐オフセット性、定着性を含むめて良好
な結果を得ることができる。
【0223】この140℃における損失弾性率について
は、定着性、耐オフセット性、材料分散性と大きな関連
性がある。この損失弾性率が低いと、定着性と材料分散
性はよくなるが、耐オフセット性が低下する。そして、
損失弾性率が高いと定着性は悪くなるが、耐オフセット
性と材料分散性が良くなる傾向をもつ。この点、上述し
ような、損失弾性率の範囲にすることで、耐オフセット
性と、定着性を良好にでき、しかも材料分散性をよくで
きる。そのため、バインダ樹脂に内添されているワック
スの分散性も良好になる。
【0224】また、実施例21と、実施例32及び33
を対比すれば、バインダ樹脂のガラス転移温度Tgが、
実施例21から65℃前後において良好であるが、実施
例32及び33から55℃以下の場合には保存性におい
て問題があり、75℃以上となれば溶融等の問題から定
着性が問題になる。そのため、バインダ樹脂のガラス転
移温度としては、60℃以上70℃以下の範囲に設定す
ることで、保存性及び定着性の問題を解消できる。
【0225】つまり、ガラス転移温度Tgは、トナーの
保存性に大きく関連している。そのため、この値が低い
と保存性が悪くなり、高いと保存性は改善されるもの
の、定着性の問題が生じてくる。そのため、ガラス転移
温度Tgとしては、上述した範囲に設定することで、保
存性及び定着性を十分に確保できる。
【0226】一方、上述したようにバインダ樹脂とは別
に、トナーを構成する他の材料、例えば着色剤であるカ
ーボンブラックについても、種々の問題があり、その範
囲を適宜設定することで良好な結果を得ることができ
る。
【0227】そこで実施例21と、実施例34乃至36
を対比すれば、カーボンブラックのDBP吸油量、1次
粒子径、揮発分が適正な範囲に設定しなければ、耐フィ
ルミング性、耐スペント性、耐オフセット性等に問題が
生じる。
【0228】例えば、実施例34によればDBP吸油量
が52(ml/100g)と小さい場合、定着性および
耐オフセット性に問題が生じる。これは、カーボンブラ
ックは、1次粒子が集合した糸状のストラクチャーを形
成し、トナー中に分散している。このストラクチャーの
大きさは、トナー自体の黒色度、定着性、及び耐オフセ
ット性に大きく関連している。一般的にストラクチャー
の短いものほど、上記特性に良好な傾向があることが知
られている。このストラクチャーの大きさを表す指数の
1つとして、DBP吸油量があり、この吸油量が大きい
ほどストラクチャーは小さくなることが知られている。
そのため、このDBP吸油量を規定することにより、優
れたトナー黒色度、定着性、及び耐オフセット性を得る
ことができる。そのため、DBP吸油量としては、実施
例34等から52(ml/100g)よりさらに大きい
値に設定することが重要であり、少なくとも90(ml
/100g)以上にするとよい。
【0229】また実施例35のように1次粒子径が41
(nm)と大きい時には、特に耐オフセット性、さらに
定着性等が悪くなる。これは、カーボンブラックの1次
粒子径として、トナーの粘弾性、黒色度に大きく関連し
てくる。そのため、カーボンブラックの1次粒子径が小
さいほど、粘度性、及び黒色度が良好になる傾向にな
る。よって、着色剤であるカーボンブラックの1次粒子
径を実施例35のように41(nm)よりさらに小さい
ものを選ぶことで、トナーの黒色度、粘弾性特性に代表
される定着性、および耐オフセット性を向上できる。こ
の着色剤の1次粒子径としては、実施例21からも勘案
し、30(nm)未満に設定することで、良好な結果を
得ることができる。
【0230】さらに、実施例36のカーボンブラックに
おいては、揮発分が5.5(%)と非常に多い。その結
果、帯電性の問題、また定着性、および耐オフセット性
が問題となる。そこで、実施例21と比較すれば、その
揮発分が1.2(%)と非常に小さい。そのため、着色
剤であるカーボンブラックの揮発分は、2.0(%)未
満にすれば、定着性が改善できる。
【0231】これは、着色剤であるカーボンブラック
は、その中に種々の不純物が存在しており、一般的には
それらは強い負帯電特性を有するとともに、樹脂の弾性
率向上の障害ともなることが知られている。また、これ
ら不純物の多いものほどカーボンブラックの揮発分が多
くなる。そのため、着色剤の揮発分を上述したように規
定することで、トナーとして優れた帯電特性、そしてバ
インダ樹脂による弾性向上による定着性、耐オフセット
性等を向上できる。
【0232】また、カーボンブラックは、優れた隠蔽力
をもつ。その反面、高い導電性を示す。そのため、少量
のカーボンブラックの添加では、黒色度は不足し、かつ
高抵抗、高帯電となり隠蔽力低下をもたらす。逆に多量
の添加では隠蔽力が増すものの、抵抗値が低下しトナー
飛散やカブリの原因にもなる。
【0233】そのため、実施例37及び38に示すカー
ボンブラックの含有量では適正とはいえない。このカー
ボンブラックの添加量は、黒色度を良好に、定着性及び
耐オフセットを良好にするために、4重量部以上15重
量部以下にする。これにより、良好な結果を得ることが
できる。
【0234】さらに、バインダ樹脂に内添されるワック
スの量については、実施例39及び40と、実施例21
とを対比すると理解できる通りである。つまり、ワック
スが内添されていない場合には、耐オフセット性が悪く
なる。その反面、そのワックス量が多くなれば、耐フィ
ルミング性が問題になる。そのため、ワックスの内添さ
れている量としては、実施例21から1.0重量部が最
小限度であり、また上限としては6.0重量部未満であ
り、好ましくは5.0重量部以下にすることで、耐フィ
ルミング性及び耐オフセット性を改善できる。
【0235】つまり、ワックスはトナー中に分散径とと
もに、その添加量が耐オフセット性、及び耐フィルミン
グ性に大きく関連する。そのため、ワックスの添加量を
上述したように規定することで、耐オフセット性、及び
耐フィルミング性を向上できる。
【0236】また、バインダ樹脂に内添されるワックス
の数平均分子量Mnについては、実施例41及び42
と、実施例21を対比すれば理解できる通りである。つ
まり、内添されるワックスの数平均分子量Mnが小さい
と、耐スペント性、保存性に問題があり、大きいと耐ス
ペント性及び保存性が改善されるものの、耐オフセット
性及び定着性が悪くなる。そのため、バインダ樹脂に内
添されるワックスの数平均分子量としては、好ましくは
6000以上8000の低分子量のワックス、例えばポ
リプロピレンワックスが好適である。
【0237】この場合、バインダ樹脂の低分子量側の数
平均分子量(3.2×103)を越え、高分子量側の数
平均分子量(1.0×105)未満である。
【0238】次に、バインダ樹脂に内添されるワックス
の軟化点については、実施例43によれば135℃と低
く、実施例44では170℃と高い。そのため、ワック
スの軟化点が低い場合には、耐スペント性及び保存性が
悪くなり、軟化点が高くなれば耐スペント性及び保存性
が改善されるが耐オフセット性及び定着性に問題があ
る。そのため、これらを勘案すれば、実施例21におけ
るバインダ樹脂に内添されるワックスの軟化点152℃
前後において、上述した問題を改善でき、その結果、ワ
ックスの軟化点においては、145℃以上、165℃以
下の低分子量ワックスが好適であるといえる。
【0239】特に、ワックスは、上述した軟化点により
樹脂中での分散径が大きく左右される。そのため、バイ
ンダ樹脂は、ワックスを内添するものであるが、溶液重
合法にて樹脂を製造する工程において、ワックスを内添
し、最適な分散径を得るには、当該ワックスの軟化点が
重要となる。この軟化点の範囲としては、上述した範囲
が最適であり、分散性を良好にし、よってトナーとして
の耐オフセット性、耐フィルミング性が向上する結果と
なる。
【0240】以上説明した各種実施例においては、トナ
ーとキャリアとを混合した2成分系の現像剤を用いたも
のである。しかし、1成分系トナー単体(外添処理され
たもの)を現像剤として使用し、現像する場合において
も当然本発明のトナーをそのまま利用できることは勿論
である。そして、1成分系トナーとして磁性トナーとす
る場合には、バインダ樹脂に着色剤、帯電制御剤等、そ
れに加えて磁性材を添加することで簡単に得ることがで
き、上述の実施例にて明記した効果を十分に発揮し、画
像濃度の増減、カブリの増加を防止し、かつフィルミン
グ等を防止できるトナーを得ることができる。同時に定
着性にも優れ、オフセット現象が生じない良好なるトナ
ーを得ることができる。
【0241】
【発明の効果】本発明の電子写真用トナーによれば、定
着処理時にオフセット現象を阻止できると同時に、この
オフセット現象を防止を高めるためのトナーが感光体に
付着するといったフィルミング現象を良好に阻止でき
る。
【0242】また、画像濃度の大きな変化や、ガブリの
上昇がない良好なる特性を有し、定着性においても良好
なるトナーを得ることができる。
【0243】さらに、トナー製造過程における混練工程
の混練温度を規制することで、さらに上述した効果を助
長できるトナーを簡単に得ることができる。
【0244】また、バインダ樹脂に内添され分散したワ
ックスのドメイン径を適正化し、ワックスの添加量、分
子量、さらに軟化点を規定することで、製造後のトナー
に分散されるワックスのドメイン径を適正化できる。こ
れにより、オフセット現象を阻止できると同時にフィル
ミング現象を阻止できる。
【0245】この場合、トナーの製造条件を最適化する
ことなく、ワックスの分散性及びトナー中に分散したワ
ックスのドメイン径を適正状態に維持でき、良好なるト
ナーを得るためのトナー製造が容易になり、また安価な
トナーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるトナーも利用してなる画像形成
装置の構造の一例を示す構成図である。
【図2】図1の画像形成装置における現像装置の詳細を
示す構成図である。
【符号の説明】
1 感光体(像担持体) 4 現像装置 9 現像剤 10 トナー 11 現像槽 12 現像ローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾藤 貴広 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 中村 雅 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 赤澤 良彰 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 森西 康晴 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 本田 陽康 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バインダ樹脂を主成分として、該バイン
    ダ樹脂中に分散径が0.3μm以下である低分子量ポリ
    プロピレンワックスが含有されていることを特徴とする
    電子写真用トナー。
  2. 【請求項2】 上記低分子量ポリプロピレンワックスの
    含有量が、バインダ樹脂100重量部に対して0.5重
    量部以上5重量部以下であることを特徴とする請求項1
    記載の電子写真用トナー。
  3. 【請求項3】 ワックスを内添したバインダ樹脂を主成
    分として作製された電子写真用トナーであり、上記バイ
    ンダ樹脂に内添されるワックスのドメイン径が1.0μ
    m以上3.0μm以下であり、作製された電子写真用ト
    ナー中に分散された上記ワックスのドメイン径が0.1
    μm以上1.0μ以下としたことを特徴とする電子写真
    用トナー。
  4. 【請求項4】 上記ワックスの含有量が、バインダ樹脂
    100重量部に対して、0.1重量部以上5.0重量部
    未満にしたことを特徴とする請求項3記載の電子写真用
    トナー。
  5. 【請求項5】 上記バインダ樹脂の分子量分布における
    数平均分子量Mnが、高分子量側で1.0×105≦M
    n≦2.5×105、かつ低分子量側で2.0×103
    Mn≦3.2×103であることを特徴とする請求項1
    又は3記載の電子写真用トナー。
  6. 【請求項6】 上記バインダ樹脂に内添されるワックス
    は、その数平均分子量Mnが、6000〜8000の低
    分子量ポリプロピレンワックスであることを特徴とする
    請求項3記載の電子写真用トナー。
  7. 【請求項7】 上記バインダ樹脂の製造方法が溶液重合
    法により製造され、かつ内添されるワックスの軟化点が
    145℃〜165℃の低分子量ポリプロピレンワックス
    であることを特徴とする請求項3記載の電子写真用トナ
    ー。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の電子写真用トナーにおい
    て、該電子写真用トナーを製造する工程である混練工程
    における混練温度を、バインダ樹脂の4mm軟化温度を
    M℃とした時に、M±5℃の範囲内に温度設定し、トナ
    ーの原材混合物を溶融混練することでトナーを製造する
    ことを特徴とするトナーの製造方法。
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