JP2006267280A - 静電荷現像用トナー、静電荷現像剤、画像形成方法 - Google Patents

静電荷現像用トナー、静電荷現像剤、画像形成方法 Download PDF

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進 吉野
Motoko Sakai
素子 坂井
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Yoshifumi Iida
能史 飯田
Shinya Nakajima
真也 中嶋
Shuichi Taniguchi
秀一 谷口
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Abstract

【課題】定着において優れた離型性を長期に渡り維持し、精細な品質の画像を得ることが可能な静電荷現像用トナー及びそれを含む静電荷現像用現像剤を提供すること。また、この静電荷現像用トナー及び静電荷現像用現像剤を利用した、画像形成方法と提供すること。
【解決手段】 本発明の静電荷現像用トナーは、少なくとも結着樹脂、色材、及び離型剤を含み、離型剤として、が2種類以上の離型剤を溶融混合した混合離型剤を適用する。建ておば、離型剤として、粘度が異なる2種類以上の離型剤を溶融混合した混合離型剤、酸価の異なる2種類以上の離型剤を溶融混合した混合離型剤を適用する。そして、このトナーを静電荷現像用現像剤に用いる。また、これを利用した画像形成方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法又は静電記録法等により形成される静電潜像を現像する際に用いられる静電荷現像用トナー及び静電荷現像用現像剤に関する。また、本発明は、これら静電荷現像用トナー及び静電荷現像用現像剤を利用した、画像形成方法に関する。
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法に於いては帯電、露光工程により感光体上に静電荷像を形成し、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像し、転写、定着工程工程を経て可視化される。
ここで用いられる現像剤には、トナーとキャリアからなる2成分現像剤と、磁性トナー又は非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とが知られているが、そのトナーの製法は通常、熱可塑性樹脂を顔料、帯電制御剤、ワックスなどの離型剤とともに溶融混練し、冷却後、微粉砕・分級する混練粉砕製法が利用されている。これらトナーには、必要であれば流動性やクリーニング性を改善するための無機、有機の微粒子をトナー粒子表面に添加することもある。これらの方法はかなり優れたトナーを製造しうるが、以下に記載する如きいくつかの問題点を有する。
通常の混練粉砕製法では、トナー形状及びトナーの表面構造が不定型であり、使用材料の粉砕性や粉砕工程の条件により微妙に変化するものの意図的なトナー形状及び表面構造の制御は困難である。また、混練粉砕法では材料選択の範囲に制限がある。具体的には、樹脂着色剤分散体が十分に脆く、経済的に可能な製造装置で微粉砕されうる物でなければならない。ところがこういった要求を満たすために樹脂着色剤分散体を脆くすると、現像機中に於いて与えられる機械的せん断力などによりさらに微粉の発生させたり、トナー形状に変化をきたすことがある。これらの影響により2成分現像剤においては、微粉のキャリア表面への固着による現像剤の帯電劣化が加速されたり、1成分現像剤に於いては粒度分布の拡大によりトナー飛散が生じたり、トナー形状の変化による現像性の低下により画質の劣化が生じやすくなる。
また、ワックスなどの離型剤を多量に内添してトナー化する場合、熱可塑性樹脂との組み合せにより表面への離型剤の露出が影響されることが多い。特に高分子量成分により弾性が増したやや粉砕されにくい樹脂とポリエチレンやポリプロピレンのような脆いワックスとの組み合せではトナー表面にはこれらのワックス成分の露出が多く見られる。これは定着時の剥離性や感光体上からの未転写トナーのクリーニングには有利であるものの、表層のポリエチレンが機械力により容易に移行するために現像ロールや感光体、キャリアの汚染を生じやすくなり、信頼性の低下につながる。
更にトナー形状が不定型であることにより流動性助剤の添加によっても流動性が充分でないことがあり、使用中の機械的せん断力によるトナー表面の微粒子のトナー凹部分への移動により経時的に流動性が低下したり、流動性助剤のトナー内部への埋没がおこることで、現像性、転写性、クリーニング性が悪化する。またクリーニングにより回収されたトナーを再び現像機に戻して使用するとさらに画質の低下を生じやすい。これら防ぐためにさらに流動性助剤を増加すると感光体上への黒点の発生や助剤粒子の飛散生じる。
近年、意図的にトナー形状及び表面構造の制御を可能とする手段として特開昭63−282752号公報や特開平6−250439号公報に乳化重合凝集法によるトナーの製造方法が提案されている。これらは、一般に乳化重合などにより樹脂分散液を作成し、一方溶媒に着色剤を分散した着色剤分散液を作成した後、これらを混合し、トナー粒径に相当する凝集体を形成し、加熱することによって融合・合一させトナーとする製造方法である。
この方法によってある程度は形状を制御でき、帯電性、耐久性の改善をはかることができるが、内部構造がほぼ均一になることから定着の際における被定着シートの剥離性、OHPを出力した際の透明性の安定化、更には、帯電の色間差の存在などに問題を残している。
上記のように電子写真プロセスにおいては、様々な機械的ストレス下でもトナーが安定して性能を維持するためには表面への離型剤の露出を抑制したり、定着性を損なわずに表面硬度硬度を高くするとともにトナー自体の機械的強度を向上させ且つ十分な帯電性・定着性とを両立させることが必要である。
また、高画質化への要求が高まり特にカラー画像形成では、高精細な画像を実現するためにトナーの小径化傾向が著しい。しかし、従来の粒度分布のままでの単純な小径化では、微粉側トナーの存在により、キャリアや感光体の汚染やトナー飛散の問題が著しくなり高画質と高信頼性を同時に実現することは困難である。このためには粒度分布をシャープ化でき、かつ小粒径化が可能ことも必要になる。
近年、デジタルフルカラー複写機やプリンターに於いては色画像原稿をB(ブルー)、R(レッド)、G(グリーン)の各フィルターで色分解した後にオリジナル原稿に対応した20〜70μmのドット径からなる潜像をY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(黒)の各現像剤を用い減色混合作用を利用して現像するが従来の白黒機に比し多量の現像剤を転写させる必要があることや、更に小径のドット径に対応する必要があることから均一帯電性、持続性、トナー強度、粒度分布のシャープネスがますます重要になりつつある。また、これらのマシンの高速化や省エネルギー性等に鑑みると一層の低温定着性も必要となる。これらの点からも粒度分布のシャープで小粒子径の製造に適する凝集・融合合一トナーは優れた特性を有している。
フルカラー機に搭載されるトナーは多量のトナーが十分に混色することが必要でこの際の色再現性の向上やOHP透明性が必須となる。
一般に離型剤成分には、定着時の低温オフセットを防止する目的でポリオレフィン系ワックスが内添されている。また、これとあわせて定着ロールに微量のシリコーンオイルを均一に塗布せしめ高温オフセット性の向上を図っている。このため、出力された出力転写材にはシリコーンオイルが付着しておりこれを取り扱う際にべたつきの不快感があり、好ましくない。
このため特開平5−061239号公報の如くトナー中に大量の離形剤成分を内包させたオイルレス定着用のトナーが提案されている。しかし、この場合多量の離型剤の添加によってある程度は剥離性の改善を行うことができるが、バインダー成分と離型剤との相溶が発生し、安定な離形剤のしみだしが均一でないことから剥離の安定性は得にくい。更にトナーのバインダー樹脂の凝集力を制御する手段がバインダーのMw、Tgに依存する為、トナーの定着時における曳糸性、凝集性を直接的に制御することは困難である。更に、離型剤の遊離成分が帯電阻害の原因となることもある。
これらの問題点を解決する方法として、特開平4−69666号公報、同9−258481号公報の如くバインダー樹脂の剛直性を高分子量成分の添加によって得る方法や特開昭59−218460号公報、同59−218459号公報のように化学架橋の導入によって補填し、結果的にトナーの定着温度における曳糸性を減少させるオイルレス定着における剥離性を改善する方法が提案されている。
一方、離型剤に関しても、前記オイルレス定着性、特に、オイルレス剥離性、フルカラー画像におけるOHP透明性、あるいは離形材に起因するトナー粉体流動性阻害の問題に対するアプローチが検討、提案されている。具体的には、オイル剥離性を改善する目的で、例えば特開平6−337541号公報ごとく、離型剤の融点を中温度域にし、且つエステルワックスといった非結晶、あるいは低結晶性の離型剤を適用することにより、溶融粘度を低く抑え、オイルレス剥離性を実現し、且つこの低結晶構造によって、フルカラー画像のOHP透明性阻害を抑制するというものである。
しかし、この場合、バインダー樹脂成分に該離型剤成分が可塑化を生じさせることが多く、結果的に定着時の樹脂のレオロジーが低下することから、トナーのオイルレス剥離性を低下させる。このため、バインダー樹脂自体表面に架橋構造を導入したり、分子量やTgを高くするなど、可塑化による剥離性の低下を抑制したり、多量の離型剤の導入が不可欠となることから、結果的には、画像光沢の低下が生じ、ひいてはOHPの透明性も損なうことと成る場合が多い。
特開昭63−282752号公報 特開平6−250439号公報 特開平5−061239号公報 特開平4−69666号公報 特開平9−258481号公報 特開昭59−218460号公報 特開昭59−218459号公報 特開平6−337541号公報
このように、従来、離型剤については種々の問題点があり、未だ、十分な機能を有するものが得られていないのが現状である。
従って、本発明は、定着において優れた離型性を長期に渡り維持し、精細な品質の画像を得ることが可能な静電荷現像用トナー及びそれを含む静電荷現像用現像剤を提供することである。また、この静電荷現像用トナー及び静電荷現像用現像剤を利用した、画像形成方法と提供することにある。
本発明者等は、従来技術の上記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の内容により上記目的を達成し得ることを見出した。すなわち
本発明の静電荷現像用トナーは、少なくとも結着樹脂、色材、及び離型剤を含み、
前記離型剤が2種類以上の離型剤を溶融混合した混合離型剤であることを特徴としている。
本発明の静電荷現像用トナーにおいて、前記離型剤は、粘度が異なる2種類以上の離型剤を溶融混合した混合離型剤である、ことが好適である。この場合、前記粘度が異なる2種類以上の離型剤のうち、少なくとも1種は140℃における粘度が100mPa・s以下であり、且つ他の少なくとも1種は140℃における粘度が500mPa・s以上である、ことが好適である。
本発明の静電荷現像用トナーにおいて、前記離型剤は、酸価の異なる2種類以上の離型剤を溶融混合した混合離型剤であることが好適である。この場合、前記酸価の異なる2種類以上の離型剤のうち、少なくとも1種は酸価が10未満であり、且つ他の少なくとも1種は酸価が10以上30以下である、ことが好適である。
本発明の静電荷現像用トナーは、湿式製法により得られたトナーであることが好適が好適である。
また、本発明の静電荷現像用現像剤は、少なくとも、上記本発明の静電荷現像用トナーと、キャリアと、を有することを特徴としている。
また、本発明の画像形成方法は、
少なくとも、像担持体の表面を帯電する帯電工程と、
前記像担持体の表面に静電潛像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潛像を静電荷現像用現像剤により現像し、前記像担持体表面にトナー画像を形成する現像工程と、
前記像担持体表面に形成された前記トナー画像を記録媒体表面に転写する転写工程と
記録媒体表面に転写された前記トナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法であって、
前記静電荷現像用現像剤が上記本発明の静電荷現像剤用トナーを含むことを特徴としている。
本発明の画像形成方法において、前記定着工程は、前記トナーを加熱した定着ロールに接触させ定着させる工程であり、且つ前記定着ロールは、表面粗さRaが0.01〜5.0μmである金属ロールである、ことが好適である。
本発明によれば、定着において優れた離型性を長期に渡り維持し、精細な品質の画像を得ることが可能な静電荷現像用トナー及びそれを含む静電荷現像用現像剤を提供することができる。また、この静電荷現像用トナー及び静電荷現像用現像剤を利用した、画像形成方法と提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
(静電荷像現像用トナー)
本発明の静電荷現像用トナーは、少なくとも結着樹脂、色材、及び離型剤を含有している。そして、当該離型剤として、2種類以上の離型剤を溶融混合した混合離型剤を用いる。この混合離型剤は、2種類以上の離型剤を溶融混合しているので、トナー中では互いに均一分散している状態となり、定着時には各離型剤は共に溶出することとなる。このため、当該混合離型剤は、溶融混合させる離型剤に応じて幅広い特性を十分発揮させることができ、これを含むトナーは、定着において優れた離型性を長期に渡り維持し、精細な品質の画像を得ることが可能となる。
まず、混合離型剤について説明する。混合離型剤は、2種類以上の離型剤が溶融混合しているが、この離型剤種としては、例えば、粘度が異なる離型剤、酸価が異なる離型剤、融点が異なる離型剤などが挙げられる。
例えば、粘度が異なる離型剤を溶融混合する場合、2種類以上の離型剤のうち、少なくとも1種は140℃における粘度が100mPa・s以下の低粘度離型剤であり、他の少なくとも1種は140℃における粘度が500mPa・s以上の高粘度離型剤であることがよい。一方、例えば、酸価が異なる離型剤を溶融混合する場合、2種類以上の離型剤のうち、少なくとも1種は酸価が10未満の低酸価離型剤であり、且つ他の少なくとも1種は酸価が10以上30以下である高酸価離型剤である、ことが好適である。
通常、低粘度や低酸価の離型剤は低温定着及びある程度の定着温度域で問題のない安定性(定着ラティチュ−ド)を得るには好ましいが、更に安定した定着性をもたせるには不十分である。具体的には複写/プリントで繰り返し利用されて、定着ロールのフッ素成分からなる表面離型層が磨耗、或いは破損して初期に発揮した定着剥離性を失い、定着ラティチュ−ドが徐々に狭くなるように長期的な定着安定性を達成できていない。また、定着ロールが表面にフッ素成分からなる表面離型層をもたないような高表面エネルギー表面である金属ロールでの定着では不十分であり、具体的には初期においても定着剥離性が得られない。これは、離型剤が低粘度や低酸価である方がトナー中からの溶出に有利に働く一方、溶出してから定着ロールとトナーの界面を広く覆うことが必要だが、粘度や酸価が低い為に全界面に溶出してもロール圧力によって低圧部に集まり、結果的に覆うことができず不利に働くためと思われる。
これに対して、低粘度や低酸価の離型剤と高粘度や高酸価の離型剤とを溶融混合した混合離型剤では、表面にフッ素成分からなる表面層をもつ通常の定着ロールを用いて良好な定着ラティチュ−ドを示し、かつ長期的な定着安定性を得ることができる。また、表面にフッ素成分がない金属ロールでの定着ラティチュ−ドも得ることができる。
この理由は以下のように考えられる。高粘度や高酸価の離型剤は高粘度や高酸価である為にトナー中からの溶出に不利に働くが、粘度や酸価が高い為に全界面に溶出してもロール圧力によって低圧部に集まりにくく、結果的に覆うことができ有利に働くと思われる。高粘度や高粘度の離型剤の欠点は高粘度や高酸価である為にトナーからの溶出がし難いことだが、低粘度や低酸価離型剤と溶融混合し、互いが均一に分散することで、トナー中からの溶出において溶出しやすい低粘度や低酸価離型剤が溶出すると同時に高粘度や低酸価の離型剤が共に溶出して欠点を補い、溶出後はロール圧力があっても高粘度や高酸価離型剤が長い分子鎖をトリガーとしてその場にとどまるので前述の低粘度や低酸価の離型剤のような現象が起こらず、定着ロールとトナーの界面を広く覆うことができる。
このような低粘度離型剤の140℃における粘度としては、100mPa・s以下であることが好ましいが、より好ましくは80mPa・s以下であり、さらに好ましくは50mPa・s以下である。低粘度離型剤の粘度が100mPa・sより大きいと、トナーからの溶出が悪く定着が不安定になることがある。
一方、高粘度離型剤の140℃における粘度としては、500mPa・s以上であることが好ましいが、より好ましくは700〜3000mPa・sであり、さらに好ましくは、1000〜2000mPa・sである。高粘度離型剤の粘度が500mPa・s未満であると、定着ロールとトナーの界面を広く覆うことが不十分となり定着が不安定になることがある。
ここで、離型剤の粘度は140℃におけるコーン角1.34°のコーンプレートを備えたE型粘度計より求められる。
また、低酸価離型剤の酸価としては、10未満であることが好ましいが、より好ましくは8未満であり、さらに好ましくは6未満である。低酸価離型剤の酸価が10より大きいとトナー樹脂との相互作用が大きすぎてトナー内部から溶出し難くなることがある。
一方、高酸価離型剤の酸価としては、10以上30以下であることが好ましいが、より好ましくは12〜20であり、さらに好ましくは12〜15である。高酸価離型剤の酸価が、10未満では高酸価離型剤としての効果が不十分であり、30より大きいとトナー樹脂との相互作用が大きすぎてトナー樹脂と相溶してトナー内部から溶出し難くなることがある。
ここで酸価とは離型剤1g中和するのに必要なKOHのmgで表す(単位:KOHmg/g)。
低粘度離型剤及び低酸価離型剤は、ASTM D3418−8に準拠して測定された主体極大ピークが70〜95℃(好ましくは75〜90℃)にある物質が好ましい。70℃未満であると定着時にオフセットを生じやすくなる。また、95℃を超えると定着温度が高くなり、低温定着性を損なうことがある。
一方、高粘度離型剤及び高酸価離型剤は主体極大ピークが70〜150℃(好ましくは80〜120℃)にある物質が好ましい。70℃未満であると定着時にオフセットを生じやすくなる。150℃を超えると低粘度離型剤或いは低酸価離型剤と共存しているものの、トナー中からの溶出がし難くなり定着安定性を損なうことがある。
この主体極大ピークの測定には、例えばパーキンエルマー社製のDSC−7を用いる。装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行う。
低粘度離型剤と高粘度離型剤との溶融混合重量比率、及び低酸価離型剤と高酸価離型剤との溶融混合重量比率は50:50〜99.9:0.1、更に好ましくは90:10〜99.9:0.1である。高粘度や高酸価の離型剤が低粘度や低酸価の離型剤よりも多くなると混合後の粘度或いは酸価が高くなってトナー中からの溶出が困難になり定着性を損ない、0.1重量%未満になると高粘度や高酸価の離型剤の特性がでなくなることがある。
混合離型剤における2種類以上の離型剤の例としては、要件を満たすものであれば特に限定されるものではなく、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、天然ガス系ワックス及びそれらの変性物や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を示すシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類や、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、などを挙げることができ、また、改質助剤成分として、炭素数10から18である高級アルコールやその混合物、及び炭素数16から22の高級脂肪酸モノグリセライドやその混合物を挙げることができ、これらのものから組み合わせて用いることができる。
ここで、低粘度離型剤として特に好ましくはモンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、天然ガス系ワックス及びそれらの変性物や、分子量が1000未満のポリオレフィン類、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックスを用いることができる。高粘度離型剤として特に好ましくは分子量が1500以上のポリオレフィン類を用いることができる。低酸価離型剤としてはモンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、ポリオレフィン類を用いることができる。高酸価離型剤として特に好ましくは酸化ポリオレフィンを用いることができる。酸化ポリオレフィンはポリオレフィンを酸化処理したものであって、各種のものが市販されてもいる。たとえばこのような酸化ポリオレフィンとしては、ポリオレフィンワックスの酸化物としての、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス等が例示される。オレフィン系共重合体としては、たとえばエチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、αオレフィン−無水マレイン酸共重合体等が例示される。
混合離型剤の含有量は、示差熱分析における吸熱極大値のピークの高さから求められるトナー中の量は、4から30重量%が好ましく、より好ましくは、8から20重量%である。該離型剤の量が4重量%未満では、オイルレス定着の際の剥離に充分な溶出量が得られず、剥離性を損ない、安定定着性を得られない。25重量%を越えると、剥離性は良好となるものの、トナー表面や定着画像上の離型剤が多くなることから、トナーの粉体流動性を低下させるばかりでなく、定着画像排出の際に排出ロール等の当接痕が生じ、画像品質を損なう場合がある。
次に、結着樹脂について説明する。結着樹脂としては特に限定されず、公知の樹脂材料を用いることができるが、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類などの単量体などの重合体又はこれらを2種以上組み合せて得られる共重合体又はこれらの混合物を挙げることができ、さらにはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、あるいはこれらと前記ビニル系樹脂との混合物やこれらの共存下でビニル系単量体を重合する際に得られるグラフト重合体等を挙げることができる。
次に、着色剤について説明する。着色剤としては公知の着色剤が使用できる。黒顔料としてはカーボンブラック、磁性粉等が使用できる。黄色顔料としては、例えば、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントイエローNCG等があげられる。赤色顔料としては、ベンガラ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等があげられる。青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロールイド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどがあげられる。また、これらを混合し、更には固溶体の状態で使用できる。
着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。本発明のトナーへの着色剤の添加量は、トナーに含まれる樹脂100重量部に対して4〜20重量部の範囲内が好適である。
次に、その他の添加剤について説明する。本発明のトナーには、帯電性をより向上安定化させるために帯電制御剤を添加することができる。帯電制御剤としては4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料やトリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することが出来るが、第1、第2の凝集工程や融合・合一工程において、凝集粒子の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点から水に溶解しにくい材料が好適である。
帯電制御剤として、湿式で無機微粒子をトナーに添加する場合、このような無機微粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど通常トナー表面の外添剤として使うすべての無機微粒子を挙げることができる。この場合、これら無機微粒子はイオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基等を用いて溶媒中に分散させて利用することができる。
また、流動性付与やクリーニング性向上の目的で通常のトナーと同様に乾燥後、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機粒子やビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂微粒子を流動性助剤やクリーニング助剤として、乾燥状態でせん断をかけて本発明のトナー表面へ添加することができる。
トナーに添加される無機酸化物微粒子としては、SiO2,TiO2,Al23,CuO,ZnO,SnO2,CeO2,Fe23,MgO,BaO,CaO,K2O,Na2O,ZrO2,CaO・SiO2,K2O・(TiO2)n,Al23・2SiO2,CaCO3,MgCO3,BaSO4,MgSO4等を例示することができる。これらのうち、特にシリカ微粒子、チタニア微粒子が好ましい。該無機酸化物微粒子は、表面が予め疎水化処理されていることが望ましい。この疎水化処理によりトナーの粉体流動性改善のほか、帯電の環境依存性、耐キャリア汚染性に対してより効果的である。
疎水化処理は、疎水化処理剤に前記無機酸化物微粒子を浸漬等することにより行うことができる。前記疎水化処理剤としては特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シランカップリング剤が好適に挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれかのタイプを使用することも可能である。具体的には、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。前記疎水化処理剤の量としては、前記無機酸化物微粒子の種類等により異なり一概に規定することはできないが、通常無機酸化物微粒子100重量部に対して、1〜50重量部程度である。
次に、本発明のトナーの製造方法について説明する。本発明のトナーは、例えば、1)結着樹脂、着色剤、及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる乾式製法。2)結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等の湿式製法などにより製造することができる。これらの中でも、湿式製法は、機械的シェアが低いため混合離型剤の構成を崩しにくいこと、乾式製法よりも多量な離型剤を含有することができること等から好適である。また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。
本具体的には、発明のトナー製造方法としては、少なくとも粒子径が1μm以下の、第1の樹脂微粒子を分散した樹脂微粒子分散液と、着色剤粒子を分散した着色剤粒子分散液と、離型剤粒子を分散した離型剤粒子分散液と、を混合し前記第1の樹脂微粒子と前記着色剤粒子と前記離型剤粒子とを含むコア凝集粒子を形成する第1の凝集工程と、前記コア凝集粒子の表面に第2の樹脂微粒子を含むシェル層を形成しコア/シェル凝集粒子を得る第2の凝集工程と、前記コア/シェル凝集粒子を前記第1の樹脂微粒子又は前記第2の樹脂微粒子のガラス転移温度以上に加熱し融合・合一する融合・合一工程と、を少なくとも含む方法が好適に挙げられる。
本発明のトナー製造方法により、例えば、離型剤の含有量10%以上と高い範囲にある本発明のトナーを容易に得ることができる。
第1の凝集工程では、まず、樹脂微粒子分散液と、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液とを準備する。樹脂微粒子分散液は、乳化重合などによって作製した第1の樹脂微粒子をイオン性界面活性剤を用いて溶媒中に分散させることにより調整する。着色剤粒子分散液は、樹脂微粒子分散液の作製に用いたイオン性界面活性剤と反対極性イオン性界面活性剤を用いて、黒色、青色、赤色、黄色等の所望の色の着色剤粒子を溶媒中に分散させることにより調整する。また、離型剤粒子分散液は、離型剤を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに強い剪断をかけられるホモジナイザーや圧力吐出型分散機により微粒子化することにより調整する。
次に、樹脂微粒子分散液と着色剤粒子分散液と離型剤粒子分散液とを混合し、第1の樹脂微粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ所望のトナー径にほぼ近い径を持つ、第1の樹脂微粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子(コア凝集粒子)を形成する。
第2の凝集工程は、第1の凝集工程で得られたコア凝集粒子の表面に、第2の樹脂微粒子を含む樹脂微粒子分散液を用いて、第2の樹脂微粒子を付着させ、所望の厚みの被覆層(シェル層)を形成することによりコア凝集粒子表面にシェル層が形成されたコア/シェル構造も持つ凝集粒子(コア/シェル凝集粒子)を得る。なお、この際用いる第2の樹脂微粒子は、第1の樹脂微粒子と同じであってもよく、異なったものであってもよい。
また、第1及び第2の凝集工程において用いられる、第1の樹脂微粒子、第2の樹脂微粒子、着色剤粒子、離型剤粒子の粒子径は、トナー径及び粒度分布を所望の値に調整するのを容易とするために、1μm以下であることが好ましく、100〜300nmの範囲内であることがより好ましい。
また、第1の凝集工程においては、樹脂微粒子分散液や着色剤粒子分散液に含まれる2つの極性のイオン性界面活性剤(分散剤)の量のバランスを予めずらしておくことができる。例えば、硝酸カルシウム等の無機金属塩、もしくはポリ塩化アルミニウム等の無機金属塩の重合体を用いてこれをイオン的に中和し、第1の樹脂微粒子のガラス転移温度以下で加熱してコア凝集粒子を作製することができる。
このような場合、第2の凝集工程においては、上記したような2つの極性の分散剤のバランスのずれを補填するような極性及び量の分散剤で処理された樹脂微粒子分散液を、コア凝集粒子を含む溶液中に添加し、さらに必要に応じてコア凝集粒子又は第2の凝集工程において用いられる第2の樹脂微粒子のガラス転移温度以下でわずかに加熱してコア/シェル凝集粒子を作製することができる。なお、第1及び第2の凝集工程は、段階的に複数回に分けて繰り返し実施したものであってもよい。
次に、融合・合一工程において、第2の凝集工程を経て得られたコア/シェル凝集粒子を、溶液中にて、このコア/シェル凝集粒子中に含まれる第1又は第2の樹脂微粒子のガラス転移温度(樹脂の種類が2種類以上の場合は最も高いガラス点移温度を有する樹脂のガラス転移温度)以上に加熱し、融合・合一することによりトナーを得る。
融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナーを、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナーを得る。
なお、洗浄工程は、帯電性の点から十分にイオン交換水による置換洗浄を施すことが好ましい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好ましく用いられる。更に乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
ここで、結着樹脂がビニル系単量体を用いて作製される場合は、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合を実施して樹脂微粒子分散液を作製することができ、その他の樹脂の場合は油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば樹脂をそれらの溶剤に解かして水中にイオン性の界面活性剤や高分子電解質と共にホモジナイザーなどの分散機により水中に微粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂微粒子分散液を作製することができる。
得られた樹脂微粒子分散液の粒子径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700堀場製作所製)で測定することができる
また、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに強い剪断をかけられるホモジナイザーや圧力吐出型分散機(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)により微粒子化し、1μm以下の粒子の離型剤粒子分散液を作成することができる。
得られた離形剤粒子分散液の粒子径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700堀場製作所製)で測定される。
また、極性を有するイオン性界面活性剤を用い、既述したようなホモジナイザーを用いて水系溶媒中に着色剤を分散し、着色剤粒子分散液を作製することができる。
この着色剤の分散方法は、公知の方法で分散されるが、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。
本発明のトナーの製造方法においては、乳化重合、顔料分散、樹脂微粒子、離型剤分散、凝集、又はその安定化などに用いる界面活性剤の例としては、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤、またポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的であり、分散のため手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものが使用可能である。
次に、本発明のトナーの特性について説明する。本発明のトナーの体積平均粒子径は、3〜9μmが好ましく、3〜8μmがより好ましい。体積平均粒子径が2μm未満だと帯電性が不十分になり、現像性が低下することがあり、9μmを超えると画像の解像性が低下する。
また、本発明のトナーは、体積平均粒度分布指標GSDvが1.30以下であり、且つ、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)が、0.95以上であることが好ましい。体積分布指標GSDvが1.30を超えた場合には、画像の解像性が低下する場合があり、また、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpの比(GSDv/GSDp)が0.95未満の場合、トナーの帯電性低下やトナーの飛散、カブリ等のが発生し画像欠陥を招く場合がある。
なお、トナーの体積平均粒子径や、上記した体積平均粒度分布指標GSDv、数平均粒度分布指標GSDpの値は、次のようにして測定し算出した。まず、コールターカウンターTAII(日科機社製)、マルチサイザーII(日科機社製)等の測定器を用いて測定されたトナーの粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個々のトナー粒子の体積及び数について小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を、体積平均粒子径D16v、及び、数平均粒子径D16pと定義し、累積50%となる粒径を、体積平均粒子径D50v、及び、数平均粒子径D50pと定義する。同様に、累積84%となる粒径を、体積平均粒子径D84v、及び、数平均粒子径D84pと定義する。この際、体積平均粒度分布指標(GSDv)は、D84v/D16vとして定義され、数平均粒度指標(GSDp)は、D84p/D16pとして定義されるこれらの関係式を用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)及び数平均粒度指標(GSDp)を算出できる。
また、本発明のトナーは、下式で表される形状係数SF1が、120〜140の範囲内であることが好ましい。
式:SF1=ML2/(4A/π)
〔但し、式において、MLはトナーの最大長(μm)を表し、Aはトナーの投影面積(μm2)を表す。〕
この形状係数SF1が120未満の場合には、一般に画像形成の際に転写工程で残存トナーが生じるため、この残存トナーの除去が必要となるが、残存トナーをブレード等によりクリーニングする際のクリーニング性を損ないやすく、結果として画像欠陥を生じる場合がある。一方、形状係数SF1が140を超える場合には、トナーを現像剤として使用する場合に、現像器内でのキャリアとの衝突によりトナーが破壊される場合がある。この際、結果として微粉が増加したり、これによってトナー表面に露出した離型剤成分により感光体表面等が汚染され帯電特性を損なうことがあるばかりでなく、微粉に起因するかぶりの発生等の問題を起こすことがある。
ここで、形状係数SF1はルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いて以下のように測定した。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個以上のトナーについて最大長(ML)と投影面積(A)を測定し、個々のトナーについて、最大長の2乗/(4×投影面積/π)、即ち、ML2/(4A/π)を算出し、これを平均した値を形状係数SF1として求めた。
(静電現像現像剤)
本発明の静電荷現像用現像剤は、少なくとも、上記本発明のトナーを有することを特徴としてうる。本発明の静電荷現像用現像剤は、トナー単独で構成する1成分現像剤であってもよいし、キャリアと併用する2成分現像剤であってもよいが、2成分現像方式が好ましい。
キャリアといしては特に規定されないが、キャリアの芯材としては例えば、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、これらとマンガン、クロム、希土類等との合金、及びフェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられるが、芯材表面性、芯材抵抗の観点から、好ましくはフェライト、特にマンガン、リチウム、ストロンチウム、マグネシウム等との合金が挙げられる。
キャリアは、芯材表面に樹脂を被覆してなることが好ましく、該樹脂としては、マトリックス樹脂として使用できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン等のポリビニル系樹脂及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂、等のそれ自体公知の樹脂が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でも、フッ素系樹脂及び/又はシリコーン樹脂を少なくとも使用することが好ましい。前記樹脂として、フッ素系樹脂及び/又はシリコーン樹脂を少なくとも使用すると、トナーや外添剤によるキャリア汚染(インパクション)を防止できる効果が高い点で有利である。
キャリアにおいて、芯材への樹脂による被膜は、樹脂中に樹脂粒子及び/又は導電性粒子が少なくとも分散されてなる。前記樹脂粒子としては、例えば、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子等が挙げられる。これらの中でも、比較的硬度を上げることが容易な観点から熱硬化性樹脂が好ましく、トナーに負帯電性を付与する観点からは、N原子を含有する含窒素樹脂による樹脂粒子が好ましい。尚、これらの樹脂粒子は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
この樹脂粒子の平均粒径としては、0.1〜2μm程度が好ましく、より好ましくは0.2〜1μmである。前記樹脂粒子の平均粒径が0.1μm未満であると、被膜における樹脂粒子の分散性が悪く、一方、2μmを超えると前記被膜から樹脂粒子の脱落が生じ易く、本来の効果を発揮しなくなることがある。
また、導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属粒子、カーボンブラック粒子、酸化チタン、酸化亜鉛等の半導電性酸化物粒子、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム粉末等の表面を酸化スズ、カーボンブラック、金属等で覆った粒子等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、製造安定性、コスト、導電性等の良好な点で、カーボンブラック粒子が好ましい。前記カーボンブラックの種類としては、特に制限はないが、DBP吸油量が50〜250ml/100g程度であるカーボンブラックが製造安定性に優れて好ましい。
キャリアにおいて、芯材に被膜を形成する方法としては、特に制限はないが、例えば、架橋性樹脂粒子等の前記樹脂粒子及び/又は前記導電性粒子と、マトリックス樹脂としてのスチレンアクリル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等の前記樹脂とを溶剤中に含む被膜形成用液を用いる方法等が挙げられる。
具体的には、キャリア芯材を、前記被膜形成用液に浸漬する浸漬法、被膜形成用液を前記キャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、前記キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で前記被膜形成用液を混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。これらの中でも、本発明において、ニーダーコーター法が好ましい。
被膜形成用液に用いる溶剤としては、マトリックス樹脂としての前記樹脂のみを溶解することが可能なものであれば、特に制限はなく、それ自体公知の溶剤の中から選択することができ、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。前記被膜に前記樹脂粒子が分散されている場合において、その厚み方向及びキャリア表面の接線方向に、前記樹脂粒子及びマトリックス樹脂としての前記粒子が均一に分散しているため、該キャリアを長期間使用して該被膜が摩耗したとしても、常に未使用時と同様な表面形成を保持でき、トナーに対し、良好な帯電付与能力を長期間にわたって維持することができる。
また、被膜に導電性粒子が分散されている場合においては、その厚み方向及びキャリア表面の接線方向に、前記導電性粒子及びマトリックス樹脂としての前記樹脂が均一に分散しているため、該キャリアを長期間使用して該被膜が摩耗したとしても、常に未使用時と同様な表面形成を保持でき、キャリア劣化を長期間防止することができる。尚、前記被膜に前記樹脂粒子と前記導電性粒子とが分散されている場合において、上述の効果を同時に奏することができる。
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、少なくとも、像担持体の表面を帯電する帯電工程と、前記像担持体の表面に静電潛像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潛像を静電荷像現像剤により現像し、前記像担持体表面にトナー画像を形成する現像工程と、前記像担持体表面に形成された前記トナー画像を記録媒体表面に転写する転写工程と、記録媒体表面に転写された前記トナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法であり、前記静電荷像現像剤が、上記本発明の静電荷現像剤用トナーを含むことを特徴としている。
帯電工程とは、静電潜像担持体の表面を、帯電手段により一様に帯電する工程である。帯電手段としては、コロトロン、スコロトロンなどの非接触方式の帯電器、及び、静電潜像担持体表面に接触させた導電性部材に電圧を印加することにより、静電潜像担持体表面を帯電する接触方式の帯電器が挙げられ、いかなる方式の帯電器でもよい。しかし、オゾンの発生量が少なく、環境に優しく、かつ耐刷性に優れるという効果を発揮するという観点から、接触帯電方式の帯電器を用いることが好ましい。前記接触帯電方式の帯電器においては、導電性部材の形状はブラシ状、ブレード状、ピン電極状、ロール状等の何れでもよいが、ロール状部材が好ましい。本発明の画像形成方法は、帯電工程においてなんら特別の制限を受けるものではない。
静電潜像形成工程とは、レーザー光学系やLEDアレイなど露光手段で、表面が一様に帯電された静電潜像担持体に露光し、静電潜像を形成する工程である。本発明の画像形成方法は、露光方式においてなんら特別の制限を受けるものではない。
現像工程とは、静電潜像担持体表面に、少なくともトナーを含む現像剤層を表面に形成させた現像剤担持体を接触若しくは近接させて、前記静電潜像担持体表面の静電潜像にトナーの粒子を付着させ、静電潜像担持体表面にトナー画像を形成する工程である。現像方式は、既知の方式を用いて行うことができるが、2成分現像剤による現像方式としては、カスケード方式、磁気ブラシ方式などがある。
磁気ブラシ法の場合には、現像剤担持体として磁気スリーブが用いられる。磁気スリーブは、材質、磁力等公知のものを用いることができるが、スリーブ表面の凹凸は、十点平均粗さRzが15〜25μmの範囲、中心線平均粗さRaが1〜5μmの範囲の微細な凹凸とすることにより、現像剤の搬送安定性を確保し、キャリアの飛散を抑制し、ディフェクトのない良好な画像を形成することができる。なお、通常用いられるスリーブは、Rzが10μm以下のものが主流であるが、小径のキャリア、形状係数SF1の小さいキャリア(前記形状係数SF1が125より小さいもの)、小径のトナー、形状係数SF1の小さいトナー(形状係数SF1が140より小さいもの)のうちのいずれかを用いるとき、あるいは、それぞれを組み合わせて使用するときには、現像剤の搬送が不安定となりやすいので、これらの現像剤を使用するときには、上記の磁気スリーブを使用することが、現像剤の特性を最大限に引き出すのに有効である。本発明の画像形成方法は、現像方式に関し、特に制限を受けるものではない。
転写工程とは、静電潜像担持体表面に形成されたトナー画像を、記録媒体に転写して転写画像を形成する工程である。フルカラー画像形成の場合は、中間転写体(記録媒体)としての中間転写ドラム又はベルトに各色トナーを1次転写したのち、紙等の記録媒体に2次転写するのが好ましい。また、用紙汎用性、高画質の観点から、各色のカラートナー画像を中間転写体上に一旦転写した後、該各色のカラートナー画像を一度に記録媒体に転写することが好ましい。
感光体からのトナー画像を紙あるいは中間転写体に転写する転写装置としては、コロトロンが利用できる。コロトロンは用紙を均一に帯電する手段としては有効であるが、記録媒体である用紙に所定の電荷を与えるために、数kVという高圧を印加しなければならず、高圧電源を必要とする。また、コロナ放電によってオゾンが発生するため、ゴム部品や感光体の劣化を引き起こすので、弾性材料からなる導電性の転写ロールを静電潜像担持体に圧接して、用紙にトナー画像を転写する接触転写方式を用いることが好ましい。本発明の画像形成方法においては、転写装置に関し、特に制限を受けるものではない。
クリーニング工程とは、上記転写工程を経た後の静電潜像担持体表面に、転写残として残った残留トナーを除去する工程である。クリーニング手段としては、これまで、ブレードクリーニング方式の性能安定性が高いことから一般的に使用されているが、本発明の画像形成方法においては、前記本発明の静電潜像現像剤を用いることにより、静電ブラシを用いて静電潜像担持体表面の残留トナーを回収することが可能となり、潜像担持体の摩耗寿命を大きく伸ばすことができる。
静電ブラシとしては、カーボンブラック、金属酸化物等の導電フィラーを含有させた樹脂あるいは表面に被覆した繊維状の物質(導電性ブラシ)が使用できるが、それに限定されるものではない。また、静電ブラシを用いたクリーニング方法としては、静電ブラシに電圧を印加して行うことができる。
定着工程とは、記録媒体表面に転写されたトナー画像を定着装置にて定着する工程である。定着装置としては、ヒートロールを用いる加熱定着装置が好ましく用いられる。加熱定着装置としては、例えば、円筒状芯金の内部に加熱用のヒータランプを備え、その外周面に耐熱性樹脂被膜層あるいは耐熱性ゴム被膜層により、いわゆる離型層を形成した定着ロールと、この定着ロールに対し圧接して配置され、円筒状芯金の外周面あるいはベルト状基材表面に耐熱弾性体層を形成した加圧ロールあるいは加圧ベルトと、で構成される。未定着トナー画像の定着プロセスは、定着ロールと加圧ロールあるいは加圧ベルトとの間に未定着トナー画像が形成された記録媒体を挿通させて、トナー中の結着樹脂、添加剤等の熱溶融による定着を行う。
ここで、定着ロールとしては、例えば、表面にフッ素樹脂成分、シリコン系樹脂に代表される低表面エネルギー材料をもち、かつベルト形状をていする定着ベルト、同様に表面にフッ素樹脂成分、シリコン系樹脂に代表される低表面エネルギー材料をもち、かつ円筒状のロール形状をもつものがあげられる。更に定着ロールとして金属ロールを使用することもできる。金属ロールを使用することにより耐摩耗性が一般的な定着ロールのようにトナー像と接触する部材表面にフッ素系樹脂やシリコン系樹脂に代表される低表面エネルギー材料を被覆したものに比較して格段に向上する。
また、一般的な定着ロールは剥離爪に代表されるような定着ロール接触型の離型補助機構に対して強度を保つためにフィラーを導入し離型層を硬化する必要がある。さらに定着ロール抵抗に起因した静電的なオフセットを抑制するために離型層中に導電性材料を分散させたりしなければならない。
これに対して金属ロールはロール自体に硬度及び導電性であるため、わざわざ強度補強や導電性付与の必要が無い。このことは製造工程に関しても一般的な定着ロールのように何層にわたり塗布、乾燥、研磨等の煩雑な繰り返し工程の必要が無いことを表しいる。環境負荷の観点からも前述したように工程簡略化により製造エネルギーを減らすことにより環境負荷を低減できること及び廃棄に関してもフッ素系樹脂やシリコン系樹脂に代表される低表面エネルギー材料を使用しないため燃焼廃棄によるフッ化物等は発生しない。また定着ロールと離型層を分離する必要がなく廃棄工程も簡略化できる。またリサイクル・リユースの観点でも金属であるので少なくとも材料リサイクルは可能である。また、多少の表面洗浄・研磨を付与すれば再度定着ロールとしてリユースできる。
定着ロールは、未定着トナー画像面と直接触れる定着ロールの表面粗さRaが0.01〜5.0μmであることを特徴とする。本発明の定着ロールは表面粗さRaが0.01〜5.0μmの範囲であることが必要であり、より好ましくは0.10〜4.0μmの範囲内である。定着ロール表面粗さRaが0.01μm未満の場合、定着画像面の溶融ムラ、グロスに関しては優位ではあるが高温オフセットが発生してしまう不具合がある。
一般にオフセット現象は、高温オフセットと呼ばれるものと低温オフセットと呼ばれるものに大別されるが、高温オフセットは溶融したトナーが熱定着ロールに付着することにより、また低温オフセットは溶融していないトナー粒子が熱定着ロールに付着することによるもので、熱定着ロールの表面温度の分布状態、トナー画像面との接触面積、トナー特性等により決定される。
定着ロール表面粗さRaが0.01μm未満の場合、高温オフセットが発生する原因として次のことが考えられる。1つは定着時に定着ロール表面とトナー画像面の間に離型剤が介在している状態において定着ロール面が鏡面な為離型剤が十分にトナー画像面に存在できず高温オフセットを発生していると推定できる。これは定着ロール表面の粗さが無いため定着ロール上に離型剤を保持できず離型剤が十分機能していない為と推定できる。またもう一方でトナー画像の離型性に関して定着ロール面とトナー画像面の接触面積及び接触状態が大きくなることにより高温オフセットが発生していると推定できる。これは粗さが異なる定着ロールを考えた場合、定着ロール表面とトナー画像面の接触面積において粗さが平滑なほど単位面積あたりの接触面積が大きいか又は接触面積が同じでも接触している個々の接触面が大きいため剥離力が大きくなり剥離に不利となり高温オフセットを発生させていると推定できる。
定着ロール表面粗さRaが5.0μmより大きい場合、上述の理由から高温オフセットに関しては離型剤保持性及び接触面積・接触状態は有利に働く。しかしながら定着画像表面の荒れ、グロスの観点で不具合が発生すること及びカラートナーを2色以上積層して定着する場合グロス、発色に関して均一な画像面が得られないなどの不具合も発生する。
この表面粗さに関して、フッ素系樹脂やシリコン系樹脂に代表される低表面エネルギー材料を被覆した一般的な定着ロールでも表面粗さを規定すれば同様の効果が期待できるが、前述したように定着維持性、及び製造工程の観点から金属ロールの方がより優れているといえる。
ここで、金属ロールの作製作成に関して、金属ロールの材質としては、機械的強度に優れ、熱伝導性の良好な材質のものであれば、特に制限はないが、例えば、アルミニウム、SUS、鉄、銅、真鍮等の金属や合金等が挙げられる。また定着ロール表面粗さRaの加工方法は特に限定されるものではないが切削、ブラスト研磨などの一般的な表面加工方法が使用できる。
定着工程における定着速度(以下プロセススピード)は150〜400mm/sの範囲がよく、より好ましくは200〜350mm/sの範囲である。プロセススピードが100mm/sより遅い場合は金属ロールを用いた場合、高熱伝導なため高温オフセットが発生しやすくなってしまう。またプロセススピードが400mm/sを超える場合は逆に熱伝達が小さくなり定着画像表面荒れ、剥離爪傷などの不具合を発生してしまう。
なお、本発明の画像形成方法においては、定着方式については特に制限を受けるものではない。
以下実施例を交えて詳細に本発明を説明するが、何ら本発明を限定するものではない。
なお、本実施例では、トナーは、以下の如き方法にて得られる。即ち、下記の樹脂微粒子、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液、無機微粒子分散液をそれぞれ調製する。
次いでこれらを所定量混合攪拌しながら、これに無機金属塩の重合体を添加、イオン的に中和させ上記各粒子の凝集体を形成せしめる。所望のトナー粒子径到達前に樹脂微粒子を追添加し、トナー粒子径を得る。ついで、無機水酸化物で系内のpHを弱酸性から中性の範囲に調製後、当該樹脂微粒子のガラス転移温度以上に加熱し、合一融合せしめる。反応終了後、十分な洗浄・固液分離・乾燥の工程を経て所望のトナーを得る。
[実施例A]
<溶融混合離型剤の製造>
(溶融混合離型剤A1の製造)
・ポリエチレンワックス(融点71℃、140℃での粘度5mPa・s、酸価0.1):99重量部
・ポリエチレンワックス(融点135℃、140℃での粘度2000mPa・s、酸価0.2)1重量部
これらを1Lビーカーに入れ、150度に加熱溶融させ攪拌して冷却して混合離型剤A1固形物を得た。
(溶融混合離型剤A2の製造)
・ポリエチレンワックス(融点88℃、140℃での粘度10mPa・s、酸価0.2)99.5重量部
・変性ポリエチレンワックス(融点120℃、140℃での粘度800mPa・s、酸価5.5)0.5重量部
これらを1Lビーカーに入れ、150度に加熱溶融させ攪拌して冷却して混合離型剤A2固形物を得た。
(溶融混合離型剤A3の製造)
・ポリエチレンワックス(融点93℃、140℃での粘度12mPa・s、酸価0.3)60重量部
・ポリエチレンワックス(融点110℃、140℃での粘度600mPa・s、酸価0.3)40重量部
これらを1Lビーカーに入れ、150度に加熱溶融させ攪拌して冷却して混合離型剤A3固形物を得た。
(溶融混合離型剤A4の製造)
・ポリエチレンワックス(融点88℃、140℃での粘度10mPa・s、酸価0.1)99.9重量部
・ポリエチレンワックス(融点135℃、140℃での粘度2000mPa・s、酸価0.1)0.1重量部
これらを1Lビーカーに入れ、150度に加熱溶融させ攪拌して冷却して混合離型剤A4固形物を得た。
(溶融混合離型剤A5の製造)
・ポリエチレンワックス(融点88℃、140℃での粘度10mPa・s、酸価0.1)45重量部
・ポリエチレンワックス(融点110℃、140℃での粘度600mPa・s、酸価0.2)55重量部
これらを1Lビーカーに入れ、150度に加熱溶融させ攪拌して冷却して混合離型剤A5固形物を得た。
<トナー作製>
(樹脂微粒子分散液A1の調製)
・スチレン(和光純薬製):325重量部
・nブチルアクリレート(和光純薬製):75重量部
・βカルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製):9重量部
・1’10デカンジオールジアクリレート(新中村化学製):1.5重量部
・ドデカンチオール(和光純薬製):2.7重量部
上記成分を混合溶解したものに、アニオン性界面活性剤ダウファックス(ダウケミカル社製)4重量部をイオン交換水550重量部に溶解した溶液を加えてフラスコ中で分散、乳化し10分間ゆっくりと攪拌・混合しながら、さらに、過硫酸アンモニウム6重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入した。次いで充分にフラスコ内の窒素置換を十分に行った後、フラスコ内の溶液を攪拌しながらオイルバスで70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、固形分量42%のアニオン性の樹脂微粒子分散液A1を得た。
樹脂微粒子分散液A1中の樹脂微粒子は、中心粒径が196nm、ガラス転移温度が51.5℃、重量平均分子量Mwが32400であった。
(樹脂微粒子分散液A2の調製)
・スチレン(和光純薬製):280重量部
・nブチルアクリレート(和光純薬製):120重量部
・βカルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製):9重量部
上記成分を混合溶解したものに、アニオン性界面活性剤ダウファックス(ダウケミカル社製)1.5重量部をイオン交換水550重量部に溶解した溶液をフラスコ中で分散、乳化し10分間ゆっくりと攪拌・混合しながら、さらに、過硫酸アンモニウム0.4重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入した。次いで充分にフラスコ内の窒素置換を十分に行った後、フラスコ内の溶液を攪拌しながらオイルバスで70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、固形分量42%のアニオン性の樹脂微粒子分散液A2を得た。
樹脂微粒子分散液A2中の樹脂微粒子は中心粒径が150nm、ガラス転移温度が53.2℃、重量平均分子量Mwが691200、数平均分子量Mnが244900であった。
(着色剤粒子分散液A1の調製)
・カーボンブラック(キャボット社製:リーガル330):30重量部
・アニオン界面活性剤(日本油脂(株)製:ニュ−レックスR):2重量部
・イオン交換水:220重量部
上記成分を混合し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)により10分予備分散した後に、アルティマイザー(対抗衝突型湿式粉砕機:杉野マシン製)を用い圧力245Mpaで15分間分散処理を行い、着色剤粒子の中心粒径が354nmで固形分が20.0%の着色剤粒子分散液A1を得た。
(着色剤粒子分散液A2の調製)
・青色顔料(銅フタロシアニンB15:3:大日精化製):45重量部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
上記成分を混合し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後に、アルティマイザー(対抗衝突型湿式粉砕機:杉野マシン製)を用い圧力245Mpaで15分間分散処理を行い、着色剤粒子の中心粒径が462nmで固形分量が20.0%の着色剤粒子分散液A2を得た。
(離形剤粒子分散液A1の調整)
・混合離型剤A1:45重量部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
上記成分を混合し120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離形剤粒子の中心粒径が210nm、固形分量が22.0%の離型剤粒子分散液A1を得た。
(離形剤粒子分散液A2の調整)
・混合離型剤A2:45重量部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
上記成分を混合し120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離形剤粒子の中心粒径が180nm、固形分量が23.0%の離型剤粒子分散液A2を得た。
(離形剤粒子分散液A3の調整)
・混合離型剤A3:45重量部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
上記成分を混合し120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離形剤粒子の中心粒径が180nm、固形分量が21.0%の離型剤粒子分散液A3を得た。
(離形剤粒子分散液A4の調整)
・混合離型剤A4:45重量部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
上記成分を混合し120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離形剤粒子の中心粒径が215nm、固形分量が22.0%の離型剤粒子分散液A4を得た。
(離形剤粒子分散液A5の調整)
・混合離型剤A5:45重量部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
上記成分を混合し120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離形剤粒子の中心粒径が240nm、固形分量が23.0%の離型剤粒子分散液A5を得た。
(離形剤粒子分散液A6の調整)
・ポリエチレンワックス(融点71℃、140℃での粘度5mPa・s、酸価0.2):45重量部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
上記成分を混合し120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離形剤粒子の中心粒径が190nm、固形分量が23.0%の離型剤粒子分散液A6を得た。
(離形剤粒子分散液A7の調整)
・ポリエチレンワックス(融点110℃、140℃での粘度600mPa・s、酸価0.2):45重量部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
上記成分を混合し120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離形剤粒子の中心粒径が240nm、固形分量が22.0%の離型剤粒子分散液A7を得た。
(離形剤粒子分散液A8の調整)
・ポリエチレンワックス(融点88℃、140℃での粘度10mPa・s、酸価0.1):90重量部
・ポリエチレンワックス(融点110℃、140℃での粘度600mPa・s、酸価0.2):10重量部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
上記成分を混合し120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離形剤粒子の中心粒径が240nm、固形分量が22.0%の離型剤粒子分散液A8を得た。
(トナーA1の作製)
・樹脂微粒子分散液A1:106重量部
・樹脂微粒子分散液A2:36重量部
・着色剤粒子分散液A1:25重量部
・離型剤粒子分散液A1:33重量部
上記成分を丸型ステンレス製フラスコ中においてウルトラタラックスT50で十分に混合・分散した溶液を得た。
次いで、この溶液にポリ塩化アルミニウム0.4重量部を加えてコア凝集粒子を作製し、ウルトラタラックスを用いて分散操作を継続した。さらに加熱用オイルバスでフラスコ内の溶液を攪拌しながら49℃まで加熱し、49℃で60分保持した後、ここに樹脂微粒子分散液1を緩やかに36重量部を追加し、コア/シェル凝集粒子を作製した。その後、0.5Mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えて溶液のpHを5.6にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら96℃まで加熱し、5時間保持した後、冷却し、黒色トナーを得た。
次に溶液中に分散した状態の黒色トナーを、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水3Lに再分散し、15分300rpmで攪拌・洗浄した。
これを更に5回繰り返し、濾液のpHが6.8、電気伝導度9.1μS/cm、表面張力が65.1Nmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5Aろ紙を用いて固液分離を行い、得られた黒色トナーからなる固形物を、12時間かけて真空乾燥させたトナーA1を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は5.7μm、粒度分布係数GSDは1.20、(GSDv/GSDp)は0.96であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は133.5でポテト状であることが観察された。
(トナーA2の作製)
離型剤粒子分散液A1を離型剤粒子分散液A2に変えた以外はトナーA1の作製と同様にトナーを作製し、トナーA2を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は6.1μm、粒度分布係数GSDは1.25、(GSDv/GSDp)は0.97であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は128.5でポテト状であることが観察された。
(トナーA3の作製)
離型剤粒子分散液A1を離型剤粒子分散液A3に変えた以外はトナーA1の作製と同様にトナーを作製し、トナーA3を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は5.8μm、粒度分布係数GSDは1.26、(GSDv/GSDp)は0.96であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は130.5でポテト状であることが観察された。
(トナーA4の作製)
離型剤粒子分散液A1を離型剤粒子分散液A4に変えた以外はトナーA1の作製と同様にトナーを作製し、トナーA4を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は6.5μm、粒度分布係数GSDは126、(GSDv/GSDp)は0.96であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は136.5でポテト状であることが観察された。
(トナーA5の作製)
離型剤粒子分散液A1を離型剤粒子分散液A5に変えた以外はトナーA1の作製と同様にトナーを作製し、トナーA5を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は6.2μm、粒度分布係数GSDは1.28、(GSDv/GSDp)は0.95であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は126.1でポテト状であることが観察された。
―トナーA6の作製―
離型剤粒子分散液A1を離型剤粒子分散液A6に変えた以外はトナーA1の作製と同様にトナーを作製し、トナーA6を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は6.0μm、粒度分布係数GSDは1.22、(GSDv/GSDp)は0.98であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は130.5でポテト状であることが観察された。
(トナーA7の作製)
離型剤粒子分散液A1を離型剤粒子分散液A7に変えた以外はトナーA1の作製と同様にトナーを作製し、トナーA7を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は6.5μm、粒度分布係数GSDは1.30、(GSDv/GSDp)は0.96であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は128.5でポテト状であることが観察された。
(トナーA8の作製)
着色剤粒子分散液A1を着色剤粒子分散液A2に変えた以外はトナーA1の作製と同様にトナーを作製し、トナーA8を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は6.3μm、粒度分布係数GSDは1.20、(GSDv/GSDp)は0.96であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は133.6でポテト状であることが観察された。
(トナーA9の作製)
離型剤粒子分散液A1の添加量33重量部を45重量部に変えた以外はトナーA1の作製と同様にトナーを作製し、トナーA9を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は6.6μm、粒度分布係数GSDは1.20、(GSDv/GSDp)は0.97であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は134.8でポテト状であることが観察された。
(トナーA10の作製)
離型剤粒子分散液A1を離型剤粒子分散液A8に変えた以外はトナーA1の作製と同様にトナーを作製し、トナーA10を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は6.5μm、粒度分布係数GSDは1.22、(GSDv/GSDp)は0.95であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は136.8でポテト状であることが観察された。
<外添トナーの作製>
トナーA1のトナー100重量部と、平均粒子径15nmのデシルシラン処理の疎水性チタニア0.8部、平均粒子径30nmの疎水性シリカ(NY50、日本アエロジル社製)1.3部をヘンシェルミキサーを用い周速32m/s*10分間ブレンドをおこなった後、45μm網目のシーブを用いて粗大粒子を除去し、外添トナーA1を得た。トナーA2〜A10についても同様に作製して外添トナーA2〜A10を得た。
<キャリアAの作製>
・フェライト粒子(平均粒径50μm、体積電気抵抗108Ω・cm)・・・100重量部
・トルエン・・・14重量部
・パーフルオロオクチルエチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体
(共重合比40:60、Mw=5万)・・・1.6重量部
・カーボンブラック(VXC−72;キャボット社製)・・・0.12重量部
・架橋メラミン樹脂粒子(数平均粒子径;0.3μm)・・・0.3重量部
上記成分のうち、フェライト粒子を除く成分を10分間スターラーで分散し、被膜形成用液を調製し、この被膜形成用液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れ、60℃で30分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去して、フェライト粒子表面に樹脂被膜を形成して、キャリアAを製造した。
<現像剤の作製>
キャリアAを94重量部と外添トナーA1を6重量部とをV−ブレンダーを用い40rpmで20分間攪拌し、177μmの網目を有するシーブで篩うことにより現像剤A1を作製した。外添トナーA2〜A10も同様にして現像剤A2〜A10を作製した。
<金属ロールの作製>
−金属ロールAAの作製−
材質:SUS304
寸法:外形φ35mm/内径φ25mm/長さ385mm(円筒体)
表面粗さ:Ra1.0μm(切削・研磨による表面加工)
ここで、表面粗さ測定は粗さ測定機(サーフコム1400A:(株)東京精密製表面)を使用した。測定条件はJIS'82規格、測定長さ4.0mm、カットオフ波長0.80mm、測定速度0.30mm/s、傾斜補正を最小二乗直線補正で行った。以下、同様である。
―金属ロールABの作製―
表面粗さRaを0.05μmにした以外は金属ロールAAと同様の加工をして金属ロールABを作製した。
―金属ロールACの作製―
表面粗さRaを5.0μmにした以外は金属ロールAと同様の加工をして金属ロールACを作製した。
―低表面エネルギー被覆定着ロールADの作製―
Al製の円筒体に高熱伝導性のシリコーンゴムよりなる耐熱性弾性層(ゴム硬度33°)を3mmの厚さに形成した下地ロールの上に、PFA組成物(MP102:三井・デュポン社製)を30μmの厚みにコーティングし、230℃で3時間焼き付けを行い、表面層を形成することにより、低表面エネルギー被覆定着ロールADを作製した。得られた定着ロールの表面粗さはRa1.5μmであった。
<実施例A1〜A10、比較例A1〜A3>
表1に従った組合せで、金属ロール及び現像剤を画像形成装置(DocuCentre450CP改造機:富士ゼロックス(株)社製)を用いて画質評価を行った。トナー載り量4.5g/m2に調整して画出しした後、プロセススピード280mm/secにて定着した。なお、画像形成に際して用いた用紙としてはPAL4(富士ゼロックス(株)社製)を用いた。評価結果を表2に示す。
Figure 2006267280
Figure 2006267280
なお、表2において、「剥離性」の欄の「○」印は、定着時の剥離がスムースで、実用上問題の無いレベルを意味し、「×」印は、定着時の剥離が不充分で、実用上問題となるレベルを意味する。また、「定着性」の欄の「○」印は、画像を軽く爪で擦った際に、画像に欠損が発生せず、実用上問題の無いレベルを意味し、「×」印は、画像を軽く爪で擦った際に、画像に欠損が発生し、実用上問題となるレベルを意味する。また、「−」は評価不能を意味する。
以上の結果から、低粘度離型剤と高粘度離型剤とを溶融混合した混合離型剤を用いた本実施例では、長期にわたり離型性、定着性に優れ、精細な画像品質を示すことがわかる。また、オイルレス定着において優れた剥離性を維持し、精細な画像品質を満足し、フッ素系樹脂に代表されるような離型層を設けなくとも離型性を長期にわたり維持でき、製造工程を簡略化でき環境負荷の少ない定着ロールを用いた画像形成方法にも適していることがわかる。
これに対して、1種の離型剤を単独で用いたり、低粘度離型剤と高粘度離型剤とを単に併用した比較例では、実施例に比べ、離型性、定着性が共に劣るものとなることがわかる。
[実施例B]
<溶融混合離型剤の製造>
(溶融混合離型剤B1の製造)
・ポリエチレンワックス(融点71℃、140℃での粘度5mPa・s、酸価0)90重量部
・酸価ポリオレフィンワックス(融点110℃、140℃での粘度5mPa・s、酸価10.5)10重量部
これらを1Lビーカーに入れ、150度に加熱溶融させ攪拌して冷却して混合離型剤B1固形物を得た。
(溶融混合離型剤B2の製造)
・ポリエチレンワックス(融点90℃、140℃での粘度50mPa・s、酸価0)99.5重量部
・酸価ポリオレフィンワックス(融点125℃、140℃での粘度1000mPa・s、酸価15)0.5重量部
これらを1Lビーカーに入れ、150度に加熱溶融させ攪拌して冷却して混合離型剤B2固形物を得た。
(溶融混合離型剤B3の製造)
・酸価ポリオレフィンワックス(融点95℃、140℃での粘度25mPa・s、酸価4.5)99重量部
・酸価ポリオレフィンワックス(融点110℃、140℃での粘度500mPa・s、酸価12.5)1重量部
これらを1Lビーカーに入れ、150度に加熱溶融させ攪拌して冷却して混合離型剤B3固形物を得た。
(溶融混合離型剤B4の製造)
・ポリエチレンワックス(融点90℃、140℃での粘度50mPa・s、酸価0)99.9重量部
・酸価ポリオレフィンワックス(融点95℃、140℃での粘度100mPa・s、酸価23)0.1重量部
これらを1Lビーカーに入れ、150度に加熱溶融させ攪拌して冷却して混合離型剤B4固形物を得た。
(溶融混合離型剤B5の製造)
・ポリエチレンワックス(融点90℃、140℃での粘度50mPa・s、酸価0)45重量部
・酸価ポリオレフィンワックス(融点125℃、140℃での粘度1200mPa・s、酸価15)55重量部
これらを1Lビーカーに入れ、150度に加熱溶融させ攪拌して冷却して混合離型剤B5固形物を得た
<トナー作製>
(樹脂微粒子分散液B1の調製)
・スチレン(和光純薬製):325重量部
・nブチルアクリレート(和光純薬製):75重量部
・βカルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製):9重量部
・1’10デカンジオールジアクリレート(新中村化学製):1.5重量部
・ドデカンチオール(和光純薬製):2.7重量部
上記成分を混合溶解したものに、アニオン性界面活性剤ダウファックス(ダウケミカル社製)4重量部をイオン交換水550重量部に溶解した溶液を加えてフラスコ中で分散、乳化し10分間ゆっくりと攪拌・混合しながら、さらに、過硫酸アンモニウム6重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入した。次いで充分にフラスコ内の窒素置換を十分に行った後、フラスコ内の溶液を攪拌しながらオイルバスで70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、固形分量42%のアニオン性の樹脂微粒子分散液B1を得た。
樹脂微粒子分散液B1中の樹脂微粒子は、中心粒径が196nm、ガラス転移温度が51.5℃、重量平均分子量Mwが32400であった。
(樹脂微粒子分散液B2の調製)
・スチレン(和光純薬製):280重量部
・nブチルアクリレート(和光純薬製):120重量部
・βカルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製):9重量部
上記成分を混合溶解したものに、アニオン性界面活性剤ダウファックス(ダウケミカル社製)1.5重量部をイオン交換水550重量部に溶解した溶液をフラスコ中で分散、乳化し10分間ゆっくりと攪拌・混合しながら、さらに、過硫酸アンモニウム0.4重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入した。次いで充分にフラスコ内の窒素置換を十分に行った後、フラスコ内の溶液を攪拌しながらオイルバスで70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、固形分量42%のアニオン性の樹脂微粒子分散液B2を得た。
樹脂微粒子分散液B2中の樹脂微粒子は中心粒径が150nm、ガラス転移温度が53.2℃、重量平均分子量Mwが691200、数平均分子量Mnが244900であった。
(着色剤粒子分散液B1の調製)
・カーボンブラック(キャボット社製:リーガル330):30重量部
・アニオン界面活性剤(日本油脂(株)製:ニューレックスR):2重量部
・イオン交換水:220重量部
上記成分を混合し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)により10分予備分散した後に、アルティマイザー(対抗衝突型湿式粉砕機:杉野マシン製)を用い圧力245Mpaで15分間分散処理を行い、着色剤粒子の中心粒径が354nmで固形分が20.0%の着色剤粒子分散液B1を得た。
(着色剤粒子分散液B2の調製)
・青色顔料(銅フタロシアニンB15:3:大日精化製):45重量部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
上記成分を混合し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後に、アルティマイザー(対抗衝突型湿式粉砕機:杉野マシン製)を用い圧力245Mpaで15分間分散処理を行い、着色剤粒子の中心粒径が462nmで固形分量が20.0%の着色剤粒子分散液B2を得た。
(離形剤粒子分散液B1の調整)
・混合離型剤B1:45重量部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
上記成分を混合し120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離形剤粒子の中心粒径が220nm、固形分量が23.5%の離型剤粒子分散液B1を得た。
(離形剤粒子分散液B2の調整)
・混合離型剤B2:45重量部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
上記成分を混合し120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離形剤粒子の中心粒径が190nm、固形分量が22.5%の離型剤粒子分散液B2を得た。
(離形剤粒子分散液B3の調整)
・混合離型剤B3:45重量部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
上記成分を混合し120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離形剤粒子の中心粒径が200nm、固形分量が21.5%の離型剤粒子分散液B3を得た。
(離形剤粒子分散液B4の調整)
・混合離型剤B4:45重量部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
上記成分を混合し120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離形剤粒子の中心粒径が215nm、固形分量が22.0%の離型剤粒子分散液B4を得た。
(離形剤粒子分散液B5の調整)
・混合離型剤B5:45重量部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
上記成分を混合し120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離形剤粒子の中心粒径が230nm、固形分量が23.0%の離型剤粒子分散液B5を得た。
(離形剤粒子分散液B6の調整)
・ポリエチレンワックス(融点71℃、140℃での粘度5mPa・s、酸価0):45重量部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
上記成分を混合し120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離形剤粒子の中心粒径が190nm、固形分量が23.0%の離型剤粒子分散液B6を得た。
(離形剤粒子分散液B7の調整)
・酸価ポリオレフィンワックス(融点86℃、140℃での粘度5mPa・s、酸価12.5):45重量部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
上記成分を混合し120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離形剤粒子の中心粒径が240nm、固形分量が22.0%の離型剤粒子分散液B7を得た。
(離形剤粒子分散液B8の調整)
・ポリエチレンワックス(融点71℃、140℃での粘度5mPa・s、酸価0):60重量部
・酸価ポリオレフィンワックス(融点95℃、140℃での粘度100mPa・s、酸価23):40重量部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
上記成分を混合し120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離形剤粒子の中心粒径が240nm、固形分量が22.0%の離型剤粒子分散液B8を得た。
(トナーB1の作製)
・樹脂微粒子分散液B1:106重量部
・樹脂微粒子分散液B2:36重量部
・着色剤粒子分散液B1:25重量部
・離型剤粒子分散液B1:33重量部
上記成分を丸型ステンレス製フラスコ中においてウルトラタラックスT50で十分に混合・分散した溶液を得た。
次いで、この溶液にポリ塩化アルミニウム0.4重量部を加えてコア凝集粒子を作製し、ウルトラタラックスを用いて分散操作を継続した。さらに加熱用オイルバスでフラスコ内の溶液を攪拌しながら49℃まで加熱し、49℃で60分保持した後、ここに樹脂微粒子分散液1を緩やかに36重量部を追加し、コア/シェル凝集粒子を作製した。その後、0.5Mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えて溶液のpHを5.6にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら96℃まで加熱し、5時間保持した後、冷却し、黒色トナーを得た。
次に溶液中に分散した状態の黒色トナーを、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水3Lに再分散し、15分300rpmで攪拌・洗浄した。
これを更に5回繰り返し、濾液のpHが6.8、電気伝導度8.1μS/cm、表面張力が65.1Nmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5Aろ紙を用いて固液分離を行い、得られた黒色トナーからなる固形物を、12時間かけて真空乾燥させたトナーB1を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は6.5ミクロン、粒度分布係数GSDは1.23、(GSDv/GSDp)は0.96であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は133.5でポテト状であることが観察された。
(トナーB2の作製)
離型剤粒子分散液B1を離型剤粒子分散液B2に変えた以外はトナーB1の作製と同様にトナーを作製し、トナーB2を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は6.3ミクロン、粒度分布係数GSDは1.21、(GSDv/GSDp)は0.96であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は126.5でポテト状であることが観察された。
(トナーB3の作製)
離型剤粒子分散液B1を離型剤粒子分散液B3に変えた以外はトナーB1の作製と同様にトナーを作製し、トナーB3を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は6.8ミクロン、粒度分布係数GSDは1.26、(GSDv/GSDp)は0.95であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は127.5でポテト状であることが観察された。
(トナーB4の作製)
離型剤粒子分散液B1を離型剤粒子分散液B4に変えた以外はトナーB1の作製と同様にトナーを作製し、トナーB4を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は5.5ミクロン、粒度分布係数GSDは126、(GSDv/GSDp)は0.97であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は124.5でポテト状であることが観察された。
(トナーB5の作製)
離型剤粒子分散液B1を離型剤粒子分散液B5に変えた以外はトナーB1の作製と同様にトナーを作製し、トナーB5を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は6.8ミクロン、粒度分布係数GSDは1.20、(GSDv/GSDp)は0.98であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は135.8でポテト状であることが観察された。
(トナーB6の作製)
離型剤粒子分散液B1を離型剤粒子分散液B6に変えた以外はトナーB1の作製と同様にトナーを作製し、トナーB6を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は6.0ミクロン、粒度分布係数GSDは1.25、(GSDv/GSDp)は0.96であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は130.5でポテト状であることが観察された。
(トナーB7の作製)
離型剤粒子分散液B1を離型剤粒子分散液B7に変えた以外はトナーB1の作製と同様にトナーを作製し、トナーB7を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は6.5ミクロン、粒度分布係数GSDは1.30、(GSDv/GSDp)は0.96であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は136.0でポテト状であることが観察された。
(トナーB8の作製)
着色剤粒子分散液B1を着色剤粒子分散液B2に変えた以外はトナーB1の作製と同様にトナーを作製し、トナーB8を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は6.3ミクロン、粒度分布係数GSDは1.24、(GSDv/GSDp)は0.96であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は133.3でポテト状であることが観察された。
(トナーB9の作製)
離型剤粒子分散液B1の添加量33部を45部に変えた以外はトナーB1の作製と同様にトナーを作製し、トナーB9を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は6.6ミクロン、粒度分布係数GSDは1.28、(GSDv/GSDp)は0.95であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は134.8でポテト状であることが観察された。
(トナーB10の作製)
離型剤粒子分散液B1を離型剤粒子分散液B8に変えた以外はトナーB1の作製と同様にトナーを作製し、トナーB10を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は6.5μm、粒度分布係数GSDは1.23、(GSDv/GSDp)は0.96であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は134.5でポテト状であることが観察された。
<外添トナーの作製>
トナーB1のトナー100重量部と、平均粒子径15nmのデシルシラン処理の疎水性チタニア0.8部、平均粒子径30nmの疎水性シリカ(NY50、日本アエロジル社製)1.3部をヘンシェルミキサーを用い周速32m/s*10分間ブレンドをおこなった後、45μm網目のシーブを用いて粗大粒子を除去し、外添トナーB1を得た。トナーB2〜B10についても同様に作製して外添トナーB2〜B10を得た。
<キャリアBの作製>
・フェライト粒子(平均粒径50μm、体積電気抵抗108Ω・cm)・・・100重量部
・トルエン・・・14重量部
・パーフルオロオクチルエチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体
(共重合比40:60、Mw=5万)・・・1.6重量部
・カーボンブラック(VXC−72;キャボット社製)・・・0.12重量部
・架橋メラミン樹脂粒子(数平均粒子径;0.3μm)・・・0.3重量部
上記成分のうち、フェライト粒子を除く成分を10分間スターラーで分散し、被膜形成用液を調製し、この被膜形成用液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れ、60℃で30分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去して、フェライト粒子表面に樹脂被膜を形成して、キャリアBを製造した。
<現像剤の作製>
キャリアBを94重量部と外添トナーB1を6重量部とをV−ブレンダーを用い40rpmで20分間攪拌し、177μmの網目を有するシーブで篩うことにより現像剤B1を作製した。外添トナーB2〜B9も同様にして現像剤B2〜B9を作製した。
<金属ロールの作製>
−金属ロールBAの作製−
材質:SUS304
寸法:外形φ35mm/内径φ25mm/長さ385mm(円筒体)
表面粗さ:Ra1.0μm(切削・研磨による表面加工)
ここで、表面粗さ測定は粗さ測定機(サーフコム1400A:(株)東京精密製表面)を使用した。測定条件はJIS'82規格、測定長さ4.0mm、カットオフ波長0.80mm、測定速度0.30mm/s、傾斜補正を最小二乗直線補正で行った。以下、同様である。
―金属ロールBBの作製―
表面粗さRaを0.05μmにした以外は金属ロールBAと同様の加工をして金属ロールBBを作製した。
―金属ロールBCの作製―
表面粗さRaを5.0μmにした以外は金属ロールAと同様の加工をして金属ロールBCを作製した。
―低表面エネルギー被覆定着ロールBDの作製―
Al製の円筒体に高熱伝導性のシリコーンゴムよりなる耐熱性弾性層(ゴム硬度33°)を3mmの厚さに形成した下地ロールの上に、PFA組成物(MP102:三井・デュポン社製)を30μmの厚みにコーティングし、230℃で3時間焼き付けを行い、表面層を形成することにより、低表面エネルギー被覆定着ロールBDを作製した。得られた定着ロールの表面粗さはRa1.5μmであった。
<実施例B1〜B10、比較例B1〜B3>
表3に従った組合せで、金属ロール及び現像剤を画像形成装置(DocuCentre450CP改造機:富士ゼロックス(株)社製)を用いて画質評価を行った。トナー載り量4.5g/m2に調整して画出しした後、プロセススピード280mm/secにて定着した。なお、画像形成に際して用いた用紙としてはPAL4(富士ゼロックス(株)社製)を用いた。評価結果を表4に示す。
Figure 2006267280
Figure 2006267280
なお、表3において、「剥離性」の欄の「○」印は、定着時の剥離がスムースで、実用上問題の無いレベルを意味し、「×」印は、定着時の剥離が不充分で、実用上問題となるレベルを意味する。また、「定着性」の欄の「○」印は、画像を軽く爪で擦った際に、画像に欠損が発生せず、実用上問題の無いレベルを意味し、「×」印は、画像を軽く爪で擦った際に、画像に欠損が発生し、実用上問題となるレベルを意味する。また、「−」は評価不能を意味する。
以上の結果から、低酸価離型剤と高酸価離型剤とを溶融混合した混合離型剤を用いた本実施例では、長期にわたり離型性、定着性に優れ、精細な画像品質を示すことがわかる。また、オイルレス定着において優れた剥離性を維持し、精細な画像品質を満足し、フッ素系樹脂に代表されるような離型層を設けなくとも離型性を長期にわたり維持でき、製造工程を簡略化でき環境負荷の少ない定着ロールを用いた画像形成方法にも適していることがわかる。
これに対して、1種の離型剤を単独で用いたり、低粘度離型剤と高粘度離型剤とを単に併用した比較例では、実施例に比べ、離型性、定着性が共に劣るものとなることがわかる。

Claims (9)

  1. 少なくとも結着樹脂、色材、及び離型剤を含む静電荷現像用トナーにおいて、
    前記離型剤は、2種類以上の離型剤を溶融混合した混合離型剤である、ことを特徴とする静電荷現像用トナー。
  2. 前記離型剤は、粘度が異なる2種類以上の離型剤を溶融混合した混合離型剤である、ことを特徴とする請求項1に記載の静電荷現像用トナー。
  3. 前記粘度が異なる2種類以上の離型剤のうち、少なくとも1種は140℃における粘度が100mPa・s以下であり、且つ他の少なくとも1種は140℃における粘度が500mPa・s以上である、ことを特徴とする請求項2に記載の静電荷現像用トナー。
  4. 前記離型剤は、酸価の異なる2種類以上の離型剤を溶融混合した混合離型剤である、ことを特徴とする請求項1に記載の静電荷現像用トナー。
  5. 前記酸価の異なる2種類以上の離型剤のうち、少なくとも1種は酸価が10未満であり、且つ他の少なくとも1種は酸価が10以上30以下である、ことを特徴とする請求項4に記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 前記静電荷像現像用トナーは、湿式製法により得られたトナーである、ことを特徴とする請求項1に記載の静電荷現像用トナー。
  7. 少なくとも、請求項1〜6のいずれか1項に記載の静電荷現像用トナーと、キャリアと、を有することを特徴とする静電荷現像用現像剤。
  8. 少なくとも、像担持体の表面を帯電する帯電工程と、
    前記像担持体の表面に静電潛像を形成する静電潜像形成工程と、
    前記静電潛像を静電荷現像用現像剤により現像し、前記像担持体表面にトナー画像を形成する現像工程と、
    前記像担持体表面に形成された前記トナー画像を記録媒体表面に転写する転写工程と
    前記記録媒体表面に転写された前記トナー画像を定着する定着工程と、
    を有する画像形成方法であって、
    前記静電荷現像用現像剤は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の静電荷現像剤用トナーを含むことを特徴とする画像形成方法。
  9. 前記定着工程は、前記トナーを加熱した定着ロールに接触させ定着させる工程であり、
    且つ前記定着ロールは、表面粗さRaが0.01〜5.0μmである金属ロールである、
    ことを特徴とする画像形成方法。
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