JP7098890B2 - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
平均円形度が0.91以上0.98以下であるトナー粒子と、
前記トナー粒子に外添されたシリカ粒子と、
前記トナー粒子に外添された、平均一次粒径が10nm以上100nm以下であり、一次粒子の平均円形度が0.82以上0.94以下であり、一次粒子の累積84%となる円形度が0.92超であるチタン酸ストロンチウム粒子と、
を含む静電荷像現像用トナー。
前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径が20nm以上80nm以下である、<1>に記載の静電荷像現像用トナー。
前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径が30nm以上60nm以下である、<2>に記載の静電荷像現像用トナー。
前記チタン酸ストロンチウム粒子は、X線回折法により得られる(110)面のピークの半値幅が0.2°以上2.0°以下である、<1>~<3>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
前記チタン酸ストロンチウム粒子は、チタン及びストロンチウム以外の金属元素がドープされたチタン酸ストロンチウム粒子である、<1>~<4>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
前記チタン酸ストロンチウム粒子は、電気陰性度が2.0以下の金属元素がドープされたチタン酸ストロンチウム粒子である、<5>に記載の静電荷像現像用トナー。
前記チタン酸ストロンチウム粒子は、ランタンがドープされたチタン酸ストロンチウム粒子である、<6>に記載の静電荷像現像用トナー。
前記チタン酸ストロンチウム粒子の含水率が1.5質量%以上10質量%以下である、<1>~<7>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
前記チタン酸ストロンチウム粒子の含水率が2質量%以上5質量%以下である、<8>に記載の静電荷像現像用トナー。
前記チタン酸ストロンチウム粒子は、疎水化処理された表面を有するチタン酸ストロンチウム粒子である、<1>~<9>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
前記チタン酸ストロンチウム粒子は、ケイ素含有有機化合物で疎水化処理された表面を有するチタン酸ストロンチウム粒子である、<10>に記載の静電荷像現像用トナー。
<1>~<11>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
<1>~<11>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
<12>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
<12>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
<12>に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
<2>に係る発明によれば、前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径が20nm未満である場合に比べて、流動性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
<3>に係る発明によれば、前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径が30nm未満である場合に比べて、流動性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
<4>に係る発明によれば、X線回折法により得られる(110)面のピークの半値幅が0.2°未満であるチタン酸ストロンチウム粒子を用いた場合に比べて、転写維持性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
<5>、<6>又は<7>に係る発明によれば、チタン及びストロンチウム以外の金属元素がドープされていないチタン酸ストロンチウム粒子を用いた場合に比べて、転写維持性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
<8>に係る発明によれば、前記チタン酸ストロンチウム粒子の含水率が1.5質量%未満である場合に比べて、転写性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
<9>に係る発明によれば、前記チタン酸ストロンチウム粒子の含水率が2質量%未満である場合に比べて、転写性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
<10>又は<11>に係る発明によれば、前記チタン酸ストロンチウム粒子の表面が疎水化処理されていない場合に比べて、転写維持性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
<13>に係る発明によれば、外添剤としてシリカ粒子及びチタニア粒子のみを含む静電荷像現像用トナーに比べて、転写維持性に優れる静電荷像現像用トナーを収容したトナーカートリッジが提供される。
<14>、<15>又は<16>に係る発明によれば、外添剤としてシリカ粒子及びチタニア粒子のみを含む静電荷像現像用トナーに比べて、転写維持性に優れる静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤を適用したプロセスカートリッジ、画像形成装置又は画像形成方法が提供される。
本実施形態に係るトナーは、平均円形度が0.91以上0.98以下であるトナー粒子と、トナー粒子に外添されたシリカ粒子と、トナー粒子に外添された、平均一次粒径が10nm以上100nm以下であり、一次粒子の平均円形度が0.82以上0.94以下であり、一次粒子の累積84%となる円形度が0.92超であるチタン酸ストロンチウム粒子と、を含む。
以下、平均一次粒径が10nm以上100nm以下であり、一次粒子の平均円形度が0.82以上0.94以下であり、一次粒子の累積84%となる円形度が0.92超であるチタン酸ストロンチウム粒子を、特定チタン酸ストロンチウム粒子という。
シリカ粒子とチタニア粒子は双方とも負帯電性であるのでトナー粒子上で静電的に反発し合うところ、シリカ粒子は、トナー粒子に対する付着力がチタニア粒子よりも弱いので、トナー粒子表面を転がり、異形状トナー粒子の凹部に偏在する傾向がある。シリカ粒子が異形状トナー粒子の凹部に偏在する結果、期待する転写性が得られなくなる。特に、低温低湿環境下(外添剤がトナー粒子上を移動しやすい環境下)や、画像面積率の低い画像を連続して形成した後(現像装置においてトナーに機械的負荷が繰り返しかかった後)に、転写性が低下する。
一方、特定チタン酸ストロンチウム粒子は、従来用いられているチタニア粒子と同様に負帯電性であり粒径も同程度であるので、トナーの流動性と帯電特性を良化する目的でチタニア粒子に代えて用いることができる。その上、特定チタン酸ストロンチウム粒子は、材質及び形状が下記(a)、(b)及び(c)であるので、トナーに期待する転写性が維持されるものと推定される。
(b)特定チタン酸ストロンチウム粒子は、丸みを帯びた形状(詳細は後述する。)であるので、立方体又は直方体のチタン酸ストロンチウム粒子に比べて、粒子表面における局所的な電荷の集中が起こりにくく、シリカ粒子との間の静電反発力が比較的小さく、シリカ粒子の偏在を生じさせにくいと考えられる。
(c)平均一次粒径が10nm未満であるチタン酸ストロンチウム粒子は、トナー粒子に埋没しやすく、トナーの流動性を良化する作用が発揮されにくい。平均一次粒径が100nm超であるチタン酸ストロンチウム粒子は、トナー粒子表面に固定化されにくいため遊離しやすく、トナーの流動性を良化する作用が発揮されにくい。特定チタン酸ストロンチウム粒子は、平均一次粒径が10nm以上100nm以下であるので、トナーの流動性を良化する作用が発揮される。
上記(a)、(b)及び(c)によって、本実施形態に係るトナーは、トナーの流動性を確保しつつ、転写維持性に優れると推定される。
トナー粒子は、例えば、結着樹脂と、必要に応じて、着色剤と、離型剤と、その他添加剤とを含む。
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価カルボン酸としては、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と重縮合させるとよい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレート等の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系等の染料;が挙げられる。
着色剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の公知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等を含む芯部と、結着樹脂を含む被覆層と、で構成されている。
本実施形態においてトナーの外添剤としてのシリカ粒子は、粒度分布が単分散であってもよく、多分散であってもよく、単分散のシリカ粒子を混合して多分散としたシリカ粒子であってもよい。
大径シリカ粒子は、上記の観点から、一次粒径が80nm以上180nm以下であることがより好ましく、一次粒径が90nm以上160nm以下であることが更に好ましい。
上記の観点から、シリカ粒子が単分散である場合、シリカ粒子の平均一次粒径と特定チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径との差は、30nm以上150nm以下がより好ましく、40nm以上100nm以下が更に好ましい。
シリカ粒子が多分散である場合、シリカ粒子の平均一次粒径は、例えば、50nm以180nm以下であり、60nm以上160nm以下が好ましい。
大径シリカ粒子の一次粒子の円形度は、SEM画像におけるトナー粒子上のシリカ粒子のうち粒径70nm以上200nm以下の粒子を少なくとも300個画像解析して求める。
特定チタン酸ストロンチウム粒子は、平均一次粒径が10nm以上100nm以下であり、一次粒子の平均円形度が0.82以上0.94以下であり、一次粒子の累積84%となる円形度が0.92超である。
上記の観点から、特定チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径は、10nm以上100nm以下であり、20nm以上80nm以下がより好ましく、20nm以上60nm以下が更に好ましく、30nm以上60nm以下が更に好ましい。
チタン酸ストロンチウム粒子は、結晶構造がペロブスカイト構造であり、通常は、粒子形状が立方体又は直方体である。しかし、立方体又は直方体のチタン酸ストロンチウム粒子、つまり、角を有するチタン酸ストロンチウム粒子においては、角に電荷が集中し、角とシリカ粒子との間で局所的に大きな静電反発力がはたらき、シリカ粒子の偏在を生じさせやすくなると考えられる。低温低湿環境下における転写効率をより長期的に維持するためには、チタン酸ストロンチウム粒子の形状は、角の少ない形状、つまり、丸みを帯びた形状であることが好ましい。
本実施形態において特定チタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子の円形度とは、4π×(一次粒子像の面積)÷(一次粒子像の周囲長)2であり、一次粒子の平均円形度とは、円形度の分布において小さい側から累積50%となる円形度であり、一次粒子の累積84%となる円形度とは、円形度の分布において小さい側から累積84%となる円形度である。特定チタン酸ストロンチウム粒子の円形度は、チタン酸ストロンチウム粒子が外添されたトナーの電子顕微鏡画像を撮影し、トナー粒子上のチタン酸ストロンチウム粒子を少なくとも300個画像解析して求める。後述の[実施例]に具体的な測定方法を記載する。
SW-360の実際の円形度分布が上記のとおりであること及び立体の投影像の理論的な円形度からして、立方体又は直方体のチタン酸ストロンチウム粒子は、一次粒子の累積84%円形度が0.92を下回るものと推定できる。
一方、図1Bは、別のチタン酸ストロンチウム粒子を外添したトナーのSEM画像と、該SEM画像を解析して求めたチタン酸ストロンチウム粒子の円形度分布のグラフである。SEM画像が示すとおり、本例のチタン酸ストロンチウム粒子は、丸みを帯びた形状であった。本例のチタン酸ストロンチウム粒子は、平均円形度が0.883、累積84%円形度が0.935であった。
以上のことから、特定チタン酸ストロンチウム粒子について、一次粒子の累積84%円形度は、丸みを帯びた形状の指標の一つとなり、0.92超であると丸みを帯びた形状であると言える。
特定チタン酸ストロンチウム粒子のX線回折法により得られる(110)面のピークは、回折角度2θ=32°付近に現れるピークである。このピークは、ペロブスカイト結晶の(110)面のピークに相当する。
粒子形状が立方体又は直方体であるチタン酸ストロンチウム粒子は、ペロブスカイト結晶の結晶性が高く、(110)面のピークの半値幅は通常0.2°未満である。例えば、チタン工業社製のSW-350(主たる粒子形状が立方体であるチタン酸ストロンチウム粒子)を解析したところ、(110)面のピークの半値幅は0.15°であった。
一方、丸みを帯びた形状のチタン酸ストロンチウム粒子は、ペロブスカイト結晶の結晶性が相対的に低く、(110)面のピークの半値幅が拡がる。
特定チタン酸ストロンチウム粒子は丸みを帯びた形状であることが好ましく、丸みを帯びた形状の指標の一つとして、(110)面のピークの半値幅は、0.2°以上2.0°以下が好ましく、0.2°以上1.0°以下がより好ましく、0.2°以上0.5°以下が更に好ましい。
測定試料20mgを温度22℃/相対湿度55%のチャンバーにて17時間静置し調湿した後、温度22℃/相対湿度55%の室内にて、熱天秤(島津製作所製TGA-50型)によりチッ素ガス雰囲気中にて30℃/分の温度上昇速度にて30℃から250℃まで加熱し、加熱減量(加熱によって失われた質量)を測定する。
そして、測定した加熱減量を元に以下の式にて含水率を算出する。
含水率(質量%)=(30℃から250℃における加熱減量)÷(調湿後加熱前の質量)×100
特定チタン酸ストロンチウム粒子は、チタン酸ストロンチウム粒子そのものであってもよく、チタン酸ストロンチウム粒子の表面を疎水化処理した粒子でもよい。チタン酸ストロンチウム粒子の製造方法は、特に制限されないが、粒径及び形状を制御する観点から、湿式製法であることが好ましい。
チタン酸ストロンチウム粒子の湿式製法は、例えば、酸化チタン源とストロンチウム源との混合液にアルカリ水溶液を添加しながら反応させ、次いで酸処理を行う製造方法である。本製造方法においては、酸化チタン源とストロンチウム源の混合割合、反応初期の酸化チタン源濃度、アルカリ水溶液を添加するときの温度及び添加速度などによって、チタン酸ストロンチウム粒子の粒径が制御される。
チタン酸ストロンチウム粒子の表面処理は、例えば、疎水化処理剤であるケイ素含有有機化合物と溶媒とを混合してなる処理液を調製し、撹拌下、チタン酸ストロンチウム粒子と処理液とを混合し、さらに撹拌を続けることで行われる。表面処理後は、処理液の溶媒を除去する目的で乾燥処理を行う。
本実施形態に係るトナーは、本実施形態の効果を得られる範囲で、シリカ粒子及びチタン酸ストロンチウム粒子以外のその他の外添剤を含んでいてもよい。その他の外添剤としては、例えば、下記の無機粒子および樹脂粒子が挙げられる。
疎水化処理剤の量は、通常、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と、樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA-700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
次に、樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで撹拌下、室温(例えば25℃)で凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpH2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、加熱を行ってもよい。
凝集剤と共に、該凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸;イミノ二酢酸(IDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のアミノカルボン酸;などが挙げられる。
キレート剤の添加量は、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10℃から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア・シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアとを混合した二成分現像剤であってもよい。
本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置が中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
図2に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して着脱するプロセスカートリッジであってもよい。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が-600V乃至-800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率1×10-6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線が照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3からレーザ光線3Yを照射する。それにより、イエローの画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転する。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として現像され可視化される。
こうして、第1のユニット10Yにてイエローのトナー画像が転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
図3に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
図3中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
[トナー粒子(1)]
-樹脂粒子分散液(1)の調製-
・テレフタル酸 :30モル部
・フマル酸 :70モル部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物 : 5モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物:95モル部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えたフラスコに、上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を220℃まで上げ、上記材料100部に対してチタンテトラエトキシド1部を投入した。生成する水を留去しながら30分間かけて230℃まで温度を上げ、該温度で1時間脱水縮合反応を継続した後、反応物を冷却した。こうして、重量平均分子量18,000、ガラス転移温度60℃のポリエステル樹脂を得た。
・C.I.Pigment Blue 15:3(大日精化工業): 70部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬、ネオゲンRK) : 5部
・イオン交換水 :200部
上記の材料を混合し、ホモジナイザー(IKA社、商品名ウルトラタラックスT50)を用いて10分間分散した。分散液中の固形分量が20質量%となるようイオン交換水を加え、体積平均粒径170nmの着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液(1)を得た。
・パラフィンワックス(日本精蝋、HNP-9) :100部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬、ネオゲンRK): 1部
・イオン交換水 :350部
上記の材料を混合して100℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社、商品名ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社)で分散処理し、体積平均粒径200nmの離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液(1)(固形分量20質量%)を得た。
・樹脂粒子分散液(1) :403部
・着色剤粒子分散液(1) : 12部
・離型剤粒子分散液(1) : 50部
・アニオン性界面活性剤(TaycaPower): 2部
上記の材料を丸型ステンレス製フラスコに入れ、0.1Nの硝酸を添加してpHを3.5に調整した後、ポリ塩化アルミニウム濃度が10質量%の硝酸水溶液30部を添加した。次いで、ホモジナイザー(IKA社、商品名ウルトラタラックスT50)を用いて液温30℃において分散した後、加熱用オイルバス中で45℃まで加熱し30分間保持した。その後、樹脂粒子分散液(1)100部を追加し1時間保持し、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8.5に調整した後、84℃まで加熱し2.5時間保持した。次いで、20℃/分の速度で20℃まで冷却し、濾過し、イオン交換水で充分に洗浄し、乾燥させることによりトナー粒子(1)を得た。トナー粒子(1)の体積平均粒径は5.7μmであった。
融合・合一工程における温度/保持時間を80℃/1.5時間に変更した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にして、トナー粒子(2)を作製した。トナー粒子(2)の体積平均粒径は5.7μmであった。
融合・合一工程における温度/保持時間を82℃/2.5時間に変更した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にして、トナー粒子(3)を作製した。トナー粒子(3)の体積平均粒径は5.6μmであった。
融合・合一工程における温度/保持時間を88℃/3時間に変更した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にして、トナー粒子(4)を作製した。トナー粒子(4)の体積平均粒径は5.8μmであった。
融合・合一工程における温度/保持時間を75℃/1時間に変更した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にして、トナー粒子(5)を作製した。トナー粒子(5)の体積平均粒径は5.6μmであった。
融合・合一工程における温度/保持時間を95℃/5時間に変更した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にして、トナー粒子(6)を作製した。トナー粒子(6)の体積平均粒径は5.8μmであった。
[シリカ粒子(1)]
テトラメトキシシラン150部と、イオン交換水100部と、25質量%のアルコール100部とを混合した。この混合液の液温を30℃に保ち、撹拌翼で撹拌速度200rpmで撹拌しながら、25質量%アンモニア水150部を5時間かけて滴下し、シリカゾル懸濁液を調製した。シリカゾル懸濁液を湿潤シリカゲルと溶媒とに遠心分離し、湿潤シリカゲルを120℃で2時間乾燥し、シリカを得た。シリカ100部とエタノール500部とをエバポレーターに入れ、温度を40℃に維持したまま15分間撹拌した。次いで、シリカ100部に対して10部のジメチルジメトキシシランを入れ、さらに15分間撹拌した。次いで、系内の温度を90℃に上げてエタノールを除去し、表面処理されたシリカを取り出して120℃で30分間真空乾燥した。乾燥したシリカを粉砕し、シリカ粒子(1)を得た。
25質量%アンモニア水150部を滴下する際の撹拌速度を240rpmに変更した以外は、シリカ粒子(1)の作製と同様にして、シリカ粒子(2)を作製した。
25質量%アンモニア水150部を滴下する際の撹拌速度を150rpmに変更した以外は、シリカ粒子(1)の作製と同様にして、シリカ粒子(3)を作製した。
25質量%アンモニア水150部を滴下する際の撹拌速度を280rpmに変更した以外は、シリカ粒子(1)の作製と同様にして、シリカ粒子(4)を作製した。
25質量%アンモニア水150部を滴下する際の撹拌速度を95rpmに変更した以外は、シリカ粒子(1)の作製と同様にして、シリカ粒子(5)を作製した。
[チタン酸ストロンチウム粒子(1)]
脱硫及び解膠したチタン源であるメタチタン酸をTiO2として0.7モル採取し、反応容器に入れた。次いで、反応容器に、塩化ストロンチウム水溶液を、SrO/TiO2モル比が1.1になるように0.77モル添加した。次いで、反応容器に、酸化ランタンを硝酸に溶解した溶液を、ストロンチウム100モルに対してランタンが2.5モルになる量添加した。3つの材料の混合液における初期TiO2濃度が0.75モル/Lになるようにした。次いで、混合液を撹拌し、混合液を90℃に加温し、液温を90℃に維持し撹拌しながら、10N水酸化ナトリウム水溶液153mLを3.8時間かけて添加し、さらに、液温を90℃に維持しながら1時間撹拌を続けた。次いで、反応液を40℃まで冷却し、pH5.5になるまで塩酸を添加し1時間撹拌を行った。次いで、デカンテーションと水への再分散とを繰り返すことによって沈殿物を洗浄した。洗浄した沈殿物を含むスラリーに塩酸を加えpH6.5に調整し、濾過により固液分離を行い、固形分を乾燥させた。乾燥した固形分にi-ブチルトリメトキシシランのエタノール溶液を、固形分100部に対してi-ブチルトリメトキシシランが20部になる量添加して1時間撹拌を行った。濾過により固液分離を行い、固形分を130℃の大気中で7時間乾燥し、チタン酸ストロンチウム粒子(1)を得た。
10N水酸化ナトリウム水溶液の滴下にかける時間を、0.7時間に変更した以外は、チタン酸ストロンチウム粒子(1)の作製と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子(2)を作製した。
10N水酸化ナトリウム水溶液の滴下にかける時間を、1時間に変更した以外は、チタン酸ストロンチウム粒子(1)の作製と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子(3)を作製した。
10N水酸化ナトリウム水溶液の滴下にかける時間を、3時間に変更した以外は、チタン酸ストロンチウム粒子(1)の作製と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子(4)を作製した。
10N水酸化ナトリウム水溶液の滴下にかける時間を、9.5時間に変更した以外は、チタン酸ストロンチウム粒子(1)の作製と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子(5)を作製した。
10N水酸化ナトリウム水溶液の滴下にかける時間を、12時間に変更した以外は、チタン酸ストロンチウム粒子(1)の作製と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子(6)を作製した。
10N水酸化ナトリウム水溶液の滴下にかける時間を、15時間に変更した以外は、チタン酸ストロンチウム粒子(1)の作製と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子(7)を作製した。
チタン酸ストロンチウム粒子(8)として、チタン工業社製SW-360を準備した。SW-360は、金属元素がドープされておらず、表面が未処理のチタン酸ストロンチウム粒子である。
ストロンチウム100モルに対してランタンが9.5モルになる量添加した以外は、チタン酸ストロンチウム粒子(1)の作製と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子(9)を作製した。
ストロンチウム100モルに対してランタンが0.5モルになる量添加した以外は、チタン酸ストロンチウム粒子(1)の作製と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子(9)を作製した。
ドープする元素をランタンからニオブへ変更するため、酸化ランタンを硝酸に溶解した溶液を、酸化ニオブを硝酸に溶解した溶液に変更し、酸化ニオブを硝酸に溶解した溶液をストロンチウム100モルに対してニオブが2.5モルになる量添加した以外は、チタン酸ストロンチウム粒子(1)の作製と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子(11)を作製した。
酸化チタン粒子(1)として、テイカ社製JMT-150IBを準備した。JMT-150IBは、表面がイソブチルシランで疎水化処理された酸化チタン粒子である。
・フェライト粒子(平均粒径35μm) :100部
・トルエン : 14部
・スチレン/メチルメタクリレート共重合体(共重合比15/85): 2部
・カーボンブラック :0.2部
フェライト粒子を除く上記材料をサンドミルにて分散して分散液を調製し、この分散液をフェライト粒子とともに真空脱気型ニーダに入れ、撹拌しながら減圧し乾燥させることによりキャリアを得た。
トナー粒子(1)~(6)のいずれか100部に、シリカ粒子(1)~(5)のいずれか2部と、チタン酸ストロンチウム粒子(1)~(11)のいずれか又は酸化チタン粒子(1)の1部とを表1~表3に示す組み合わせのとおり添加し、ヘンシェルミキサーを用いて撹拌周速30m/秒で15分間混合した。次いで、目開き45μmの振動篩いを用いて篩分し外添トナーを得た。
[トナー粒子の形状特性]
外添剤を外添する前のトナー粒子を、フロー式粒子像解析装置(シスメックス社製、FPIA-3000)で解析し、円形度=(粒子投影像と同じ面積をもつ円の周囲長)÷(粒子投影像の周囲長)を求め、トナー粒子3000個の円形度分布において小さい側から累積50%となる円形度を、トナー粒子の平均円形度とした。
シリカ粒子を含む外添剤が外添されたトナーを、エネルギー分散型X線分析装置(EDX装置)(堀場製作所製、EMAX Evolution X-Max80mm2)を取り付けた走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジーズ製、S-4800)を用いて、倍率4万倍で画像を撮影した。EDX分析によって、Siの存在に基づき一視野内からシリカの一次粒子を300個以上特定した。SEMは、加速電圧15kV、エミッション電流20μA、WD15mmで観察し、EDX分析は、同条件で検出時間60分間とした。
特定したシリカ粒子を画像処理解析ソフトWinRoof(三谷商事株式会社)で解析し、一次粒子像それぞれの円相当径と面積と周囲長とを求め、さらに、円形度=4π×(面積)÷(周囲長)2を求めた。そして、円相当径の分布において小径側から累積50%となる円相当径を平均一次粒径とし、円形度の分布において小さい側から累積50%となる円形度を平均円形度とした。
いずれの実施例も、シリカ粒子の粒度分布は単分散であった。
別途用意したトナー粒子とチタン酸ストロンチウム粒子とを、ヘンシェルミキサーを用いて撹拌周速30m/秒で15分間混合した。次いで、目開き45μmの振動篩いを用いて篩分し、チタン酸ストロンチウム粒子を付着させた外添トナーを得た。
上記の外添トナーについて、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジーズ製、S-4700)を用いて、倍率4万倍で画像を撮影した。無作為に選んだ300個のチタン酸ストロンチウム粒子の画像情報をインターフェイスを介して、画像処理解析ソフトWinRoof(三谷商事株式会社)で解析し、一次粒子像それぞれの円相当径と面積と周囲長とを求め、さらに、円形度=4π×(面積)÷(周囲長)2を求めた。そして、円相当径の分布において小径側から累積50%となる円相当径を平均一次粒径とし、円形度の分布において小さい側から累積50%となる円形度を平均円形度とし、円形度の分布において小さい側から累積84%となる円形度を累積84%円形度とした。
200mLのガラス瓶に、0.2質量%トリトンX-100水溶液(Acros Organics製)40mLと、トナー2gとを入れ、500回撹拌して分散させる。次いで、分散液の液温を20℃±0.5℃に保ちながら、超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製、US-300AT)を用いて超音波を印加する。超音波印加は、印加時間:300秒間連続、出力:75W、振幅:180μm、超音波振動子と容器底面との距離:10mmとする。次いで、分散液を、小型高速冷却遠心機(佐久間製作所製、M201-IVD)を用いて冷却温度0℃にて3000rpmで2分間遠心し、上澄み液を除去し、残りのスラリーを濾紙(アドバンテック製、定性濾紙No.5C、110nm)にて濾過する。濾紙上の残留物をイオン交換水で2回洗浄し、乾燥させ、比較的大きい粒径で比重の小さいシリカ粒子を除いたトナーを得る。
次いで、200mLのガラス瓶に、0.2質量%トリトンX-100水溶液(Acros Organics製)40mLと、上記の処理後のトナー2gとを入れ、500回撹拌して分散させる。次いで、分散液の液温を20℃±0.5℃に保ちながら、超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製、US-300AT)を用いて超音波を印加する。超音波印加は、印加時間:30分間連続、出力:75W、振幅:180μm、超音波振動子と容器底面との距離:10mmとする。次いで、分散液を、小型高速冷却遠心機(佐久間製作所製、M201-IVD)を用いて冷却温度0℃にて3000rpmで2分間遠心し、上澄み液を得る。澄み液をメンブレンフィルター(メルク製、MF-Millipore メンブレンフィルターVSWP、孔径0.025μm)にて吸引濾過した後、メンブレンフィルター上の残留物を乾燥させてチタン酸ストロンチウム粒子を得る。
メンブレンフィルター上に集めたチタン酸ストロンチウム粒子を、カーボン支持膜(イーエムジャパン株式会社製、U1015)上に付着させエアーブローした後、EDX装置(堀場製作所製、EMAX Evolution X-Max80mm2)を取り付けた透過型電子顕微鏡(TEM)(FEI社製、TalosF200S)を用いて、倍率32万倍で画像を撮影する。EDX分析によって、Ti及びSrの存在に基づき一視野内からチタン酸ストロンチウムの一次粒子を300個以上特定する。TEMは、加速電圧200kV、エミッション電流0.5nAで観察し、EDX分析は、同条件で検出時間60分間とする。
特定したチタン酸ストロンチウム粒子の画像情報をインターフェイスを介して、画像処理解析ソフトWinRoof(三谷商事株式会社)で解析し、一次粒子像それぞれの円相当径と面積と周囲長とを求め、さらに、円形度=4π×(面積)÷(周囲長)2を求める。そして、円相当径の分布において小径側から累積50%となる円相当径を平均一次粒径とし、円形度の分布において小さい側から累積50%となる円形度を平均円形度とし、円形度の分布において小さい側から累積84%となる円形度を累積84%円形度とする。
トナー粒子に外添する前のチタン酸ストロンチウム粒子(1)~(11)それぞれを試料として、既述の測定条件でX線回折法により結晶構造解析を行った。チタン酸ストロンチウム粒子(1)~(11)は、回折角度2θ=32°付近に、ペロブスカイト結晶の(110)面のピークに相当するピークを有していた。(110)面のピークの半値幅はそれぞれ下記の値であった。
・チタン酸ストロンチウム粒子(1):ピーク半値幅0.35°
・チタン酸ストロンチウム粒子(2):ピーク半値幅0.95°
・チタン酸ストロンチウム粒子(3):ピーク半値幅0.70°
・チタン酸ストロンチウム粒子(4):ピーク半値幅0.45°
・チタン酸ストロンチウム粒子(5):ピーク半値幅0.30°
・チタン酸ストロンチウム粒子(6):ピーク半値幅0.26°
・チタン酸ストロンチウム粒子(7):ピーク半値幅0.23°
・チタン酸ストロンチウム粒子(8):ピーク半値幅0.15°
・チタン酸ストロンチウム粒子(9):ピーク半値幅0.55°
・チタン酸ストロンチウム粒子(10):ピーク半値幅0.22°
・チタン酸ストロンチウム粒子(11):ピーク半値幅0.37°
トナー粒子に外添する前のチタン酸ストロンチウム粒子を試料として、既述の測定方法で含水率を測定した。チタン酸ストロンチウム粒子(1)~(7)及び(9)~(11)は、含水率2質量%以上5質量%以下の範囲であった。
[トナーの流動性]
パウダーレオメータ(freeman technology社製のFT4)を用いて、トナーの流動性を評価した。回転翼は、freeman technology社製の2枚翼プロペラ型の直径48mmブレードを用いた。
B:20mJ以上、25mJ未満
C:25mJ以上、30mJ未満
D:30mJ以上
富士ゼロックス社製700Digital Color Press改造機に現像剤を装填し、低温低湿(温度10℃/相対湿度20%)下に24時間放置後、A4サイズの普通紙に画像面積割合1%の画像を10万枚連続で出力した。99901枚~10万枚の100枚を目視で観察し、色筋発生を下記のとおり分類した。A及びBが許容範囲である。結果を表1~表3に示す。
B:1枚以上5枚以下に色筋発生
C:6枚以上10枚以下に色筋発生
D:11枚以上に色筋発生
富士ゼロックス社製700Digital Color Press改造機に現像剤を装填した。感光体上にトナー載り量が5g/m2になるように現像電位を調整し、低温低湿(温度10℃/相対湿度20%)下、画像面積割合5%の画像をA4サイズの普通紙に1000枚連続で出力した。次いで1枚出力する際に、感光体上のトナー像が中間転写体(中間転写ベルト)へ移行した直後に(つまり、感光体のクリーニング前に)評価機を止めた。転写されずに感光体上に残留しているトナーをメンディングテープで取り、その重量を測定した。現像時のトナー載り量と、トナー残留量とから、下記式(1)により、初期の転写効率を求め、下記のとおり分類した。A及びBが許容範囲である。結果を表1~表3に示す。
B:転写効率が95%以上、98%未満
C:転写効率が90%以上、95%未満
D:転写効率が90%未満
低温低湿(温度10℃/相対湿度20%)下で5万枚連続して出力した後に上記の試験を行い、上記式(1)により、5万枚出力後の転写効率を求めた。さらに、下記式(2)により転写維持性を求め、下記のとおり分類した。A及びBが許容範囲である。結果を表1~表3に示す。
B:転写維持性が95%以上、98%未満
C:転写維持性が90%以上、95%未満
D:転写維持性が90%未満
富士ゼロックス社製700Digital Color Press改造機に現像剤を装填し、低温低湿(温度10℃/相対湿度20%)下に24時間放置後、画像面積割合1%の画像を10000枚連続で出力した。現像機内に残るトナーを採取し、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製、S-4100)でトナー粒子100個を観察し、トナー粒子の凸部及び凹部に在るシリカ粒子の個数を数えた。凸部における単位面積当たりのシリカ粒子の平均個数aと、凹部における単位面積当たりのシリカ粒子の平均個数bとを算出し、下記のとおり分類した。A及びBが許容範囲である。結果を表1~表3に示す。
B:a/bが0.8超、1以下
C:a/bが0.6超、0.8以下
D:a/bが0.6以下
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール(帯電手段の一例)
3 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段の一例)
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール(一次転写手段の一例)
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置(像保持体クリーニング手段の一例)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト(中間転写体の一例)
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 二次転写ロール(二次転写手段の一例)
28 定着装置(定着手段の一例)
30 中間転写ベルトクリーニング装置(中間転写体クリーニング手段の一例)
P 記録紙(記録媒体の一例)
108 帯電ロール(帯電手段の一例)
109 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
111 現像装置(現像手段の一例)
112 転写装置(転写手段の一例)
113 感光体クリーニング装置(像保持体クリーニング手段の一例)
115 定着装置(定着手段の一例)
116 取り付けレール
117 筐体
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(記録媒体の一例)
Claims (17)
- 平均円形度が0.91以上0.98以下であるトナー粒子と、
前記トナー粒子に外添された、平均一次粒径が90nm以上180nm以下であり、一次粒子の平均円形度が0.93以上1.00以下であるシリカ粒子と、
前記トナー粒子に外添された、平均一次粒径が10nm以上100nm以下であり、一次粒子の平均円形度が0.82以上0.94以下であり、一次粒子の累積84%となる円形度が0.92超であるチタン酸ストロンチウム粒子と、
を含む静電荷像現像用トナー。 - 前記シリカ粒子は、シラン系カップリング剤で疎水化処理された表面を有するシリカ粒子である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径が20nm以上80nm以下である、請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム粒子の平均一次粒径が30nm以上60nm以下である、請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム粒子は、X線回折法により得られる(110)面のピークの半値幅が0.2°以上2.0°以下である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム粒子は、チタン及びストロンチウム以外の金属元素がドープされたチタン酸ストロンチウム粒子である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム粒子は、電気陰性度が2.0以下の金属元素がドープされたチタン酸ストロンチウム粒子である、請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム粒子は、ランタンがドープされたチタン酸ストロンチウム粒子である、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム粒子の含水率が1.5質量%以上10質量%以下である、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム粒子の含水率が2質量%以上5質量%以下である、請求項9に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム粒子は、疎水化処理された表面を有するチタン酸ストロンチウム粒子である、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム粒子は、ケイ素含有有機化合物で疎水化処理された表面を有するチタン酸ストロンチウム粒子である、請求項11に記載の静電荷像現像用トナー。
- 請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
- 請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。 - 請求項13に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。 - 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項13に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。 - 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項13に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
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