JP5077435B2 - 電子写真用現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に使用される電子写真用現像剤に関する。
電子写真用現像剤にチタン酸カルシウムやチタン酸ストロンチウムに代表されるチタン酸金属塩を添加することが知られている(特許文献1,2)。チタン酸金属塩は、画像形成時の感光体表面のフィルミング発生防止やクリーニング性向上に寄与するだけでなく、高い誘電性を有することから、帯電性の向上にも寄与するためである。
しかしながら、チタン酸金属塩を添加しても、帯電性の向上効果は十分には得られなかった。例えば、チタン酸金属塩は比較的高抵抗であるため、電子写真用現像剤にチタン酸金属塩を添加しても低温低湿環境下において、帯電立ち上がりが遅く、かつ、飽和帯電量が高い為、例えば印字率の低い画像を出し続けた後、印字率の高い画像を出すと、充分混合撹拌された帯電量の高いトナーと急速補給された帯電量の低いトナーが存在しやすくなるため帯電量の分布が広くなり、カブリや飛散が発生したり、ベタ画像の画像濃度が低下した。一方、低温低湿下での課題を改善する目的で、低抵抗の粒子を含有させると、逆に高温高湿環境下において、良好な帯電性を維持できず、長期間放置した際等にカブリが発生したり、転写性が悪化しベタ画像の画像濃度が低下した。
特開平8−248674号公報 特開2005−181490号公報
本発明は、現像剤の帯電性能を維持することが困難とされる高温高湿環境下や帯電立ち上がり性が低下しやすい低温低湿環境下においても、帯電安定性に優れ、カブリや濃度低下のない画像を長期にわたって得ることができる電子写真用現像剤を提供することを目的とする。
本発明は、第1金属原子としてのチタンと、第2金属原子とを含有するチタン酸金属塩粒子中に、長周期型元素周期表の5A族に属する金属原子からなる群から選択される第3金属原子が0.009〜0.350重量%含有された複合酸化物粒子を有することを特徴とする電子写真用現像剤に関する。
本明細書中、トナーはトナー粒子に外添剤が外添されたものであって、トナーとトナー粒子とは区別して用いるものとする。
本発明の電子写真用現像剤は、高温高湿環境下や低温低湿環境下においても、帯電立ち上がり性および帯電安定性に優れるので、過剰帯電を起こすことなく、優れた帯電性を初期から長期にわたって維持できる。その結果、カブリや濃度低下のない画像を長期にわたって得ることができる。
誘導結合プラズマ発光分光分析法の概要図である。
本発明の電子写真用現像剤は特定の複合酸化物粒子を有するものである。
<複合酸化物粒子>
本発明において複合酸化物粒子は、第1金属原子としてチタン原子を含むチタン酸の、第2金属原子との金属塩粒子中に、所定の第3金属原子が適正量で含有されてなるものである。チタン酸金属塩に対して所定の第3金属原子を適正量で含有することにより、複合酸化物粒子が現像時にトナーと接触すると、擬似的にキャリアやコンデンサのように作用するので、帯電立ち上がり性および帯電安定性が向上するものと考えられる。例えば、電荷のリークが起こり易い高温高湿環境下では、複合酸化物粒子に第3金属原子が存在していても、その含有量が適正な範囲であればリークをおこすことなく適正な帯電性を維持することができる。また擬似的にキャリアの様に作用し、所定レベルの画像形成が行える電荷をトナーに供給するため、初期のトナー帯電性を安定して維持できる。また例えば、トナーが過剰帯電し易い低温低湿環境下では、複合酸化物粒子は擬似的にコンデンサの様に作用して過剰帯電したトナー電荷を一旦蓄積した後、速やかに第3金属原子を介して放出させるため、トナー帯電性を安定して維持できる。低温低湿環境下ではトナーの帯電立ち上がり性が低くなる傾向があるが、複合酸化物粒子は第3金属原子の存在により擬似的にキャリアの様に作用するので、良好な帯電立ち上がり性が得られる。それらの結果、優れた帯電性を初期から長期にわたって維持できるので、高温高湿環境下や低温低湿環境下においても、カブリや濃度低下のない画像を長期にわたって得ることができるものと考えられる。
複合酸化物粒子は、チタン酸金属塩の結晶格子中に第3金属原子が格子点の一部として取り込まれた構造を有していてもよいし、チタン酸金属塩の結晶格子間に第3金属原子が酸化物の状態で含有された構造を有していてもよいし、またはそれらの複合的構造を有していてもよい。
第3金属原子が含有されるチタン酸金属塩は、第1金属原子としてチタン原子を含むチタン酸の第2金属原子との金属塩である。第2金属原子は長周期型元素周期表の1A族および2A族に属する金属原子からなる群から選択される1種類以上の金属原子である。1A族に属する金属原子の具体例として、例えば、Li、NaおよびK等が挙げられる。2A族に属する金属原子の具体例として、例えば、Mg、Ca、SrおよびBa等が挙げられる。帯電立ち上がり性および帯電安定性のさらなる向上の観点から好ましい第2金属原子は2A族に属する金属原子であり、Mg、Ca、SrおよびBaから選択されることがより好ましい。さらに好ましくは、MgまたはCaから選ばれる。
そのようなチタン酸金属塩は、酸化チタン(IV)と第2金属原子の酸化物または炭酸塩とから生成される塩のことをいい、いわゆるメタチタン酸塩と呼ばれ、一般式(I)で表すことができる。
一般式(I);M TiOまたはMIITiO
(式中、Mは1A族の金属原子、MIIは2A族の金属原子を表す。)
第3金属原子が含有されるチタン酸金属塩の具体例として、チタン酸カルシウムCaTiO、チタン酸マグネシウムMgTiO、チタン酸ストロンチウムSrTiO、チタン酸バリウムBaTiO等が挙げられる。この中でも、環境への影響等の視点から、チタン酸カルシウムCaTiO、チタン酸マグネシウムMgTiOが好ましく、さらに、チタン酸カルシウムCaTiOが、帯電量を長期にわたり一定レベルに維持することから特に好ましい。
チタン酸金属塩に含有される第3金属原子は、長周期型元素周期表の5A族に属する金属原子からなる群から選択される1種類以上の金属原子である。5A族に属する金属原子の具体例として、例えば、バナジウムV、ニオブNbおよびタンタルTa等、特に、Nbが挙げられる。
複合酸化物粒子中における第3金属原子の含有量は0.009〜0.350重量%であり、帯電立ち上がり性および帯電安定性のさらなる向上の観点から好ましくは0.03〜0.30重量%、特に0.08〜0.25重量%である。第3金属原子の含有量が少なすぎると、低温低湿環境下において帯電立ち上がりが遅く、耐久時に過剰帯電が起こって、カブリや飛散が発生し、ベタ画像の画像濃度が低下する。第3金属原子の含有量が多すぎると、高温高湿下での帯電保持性が低下して帯電量低下を引きおこし、カブリが増加してしまう。
本明細書中、複合酸化物粒子中の第3金属原子の含有量は、複合酸化物粒子に含まれる全金属原子に対する割合で表され、例えば、図1に概略的に示すような誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−OES)により測定出来る。ICP−OESは、アルゴンガスに高周波を照射し生成したプラズマ炎によって試料を励起し、基底状態に戻る際の発光スペクトルから元素の同定や定量を行うものである。
第3金属原子の測定方法において、詳しくは、まず、乾燥した200mlのコニカルビーカーに測定される複合酸化物粒子1gを分取する。分解試薬として硫酸20mlを加え、密封型マイクロウェーブ湿式分解装置(MLS−1200MEGA;MILESTONE社製)などによりマイクロ波分解を行った後、水冷する。このときマイクロ波による分解は、未溶解物がなくなるまで行うものとする。分解溶液を100mlメスフラスコに移し、標線まで蒸留水を加えて、100mlにサンプル溶液を調整する。その中から25mlを100mlメスフラスコに分取し、標線まで蒸留水を加え100mlとしサンプル溶液とする。サンプル溶液を前述したICP−OESに提供し、原子に特有の波長における強度を測定し、検量線を用いて定量を行う。第3金属原子に特有の波長は、例えば、269.706nm(Nb)、309.311nm(V)、226.230nm(Ta)である。
検量線は以下の方法によって作成できる。第3金属原子を含有させていない複合酸化物粒子(例えば、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム等のチタン酸金属塩)を前述のようにマイクロ波分解し、分解溶液を100mlメスフラスコに移し、標線まで蒸留水を加えて、100mlにサンプル溶液を調整する。その中から25mlを100mlメスフラスコに分取し、第3金属原子標準液を0ppm、1ppm、2ppm、3ppmになるようにそれぞれ添加して標線まで蒸留水を加え100mlとし検量線作製用試料とする。各複合酸化物粒子について上記4点により検量線を作成する。
複合酸化物粒子は、個数基準平均粒径が30nm以上3000nm以下、特に50nm以上2000nm以下のものが好ましく、50nm以上400nm以下のものが更に好ましい。本発明では、複合酸化物粒子の大きさを上記範囲とすることにより、トナーの優れた帯電立ち上がり性および帯電安定性をより安定化できる。これは、複合酸化物粒子の個数基準平均粒径の値が上記範囲の時、複合酸化物粒子はトナーとの間に電荷移動させ易い適度な接触面積が確保され、電荷のやりとりを行い易い場が形成されるためと考えられる。特に、複合酸化物粒子がトナー粒子に外添される場合においては、複合酸化物粒子の個数基準平均粒径を上記範囲とすると、複合酸化物粒子がトナー粒子表面に強く固着する状態が回避されると同時に、トナー粒子からの離脱も回避されるので、トナー流動性の向上にも寄与し、トナーの帯電立ち上がり性および帯電安定性がより一層有効に向上できる。
複合酸化物粒子の個数基準平均粒径は、たとえば、電子顕微鏡写真より算出することが可能である。具体的には、以下の手順で算出することが可能である。
(1)現像剤より単離した複合酸化物粒子に対して走査電子顕微鏡にて倍率3万倍の写真撮影を行い、この写真画像をスキャナにて取り込む。
(2)画像処理解析装置「LUZEX AP(ニレコ社製)」にて、写真画像上のトナー表面に存在する複合酸化物粒子を2値化処理し、100個について水平フェレ径を算出し、水平フェレ径の平均値を平均粒径とする。ここで、水平フェレ径とは、写真画像上の複合酸化物粒子を2本の垂直線ではさみ、はさんだ2本の垂直線間の距離のことをいう。
複合酸化物粒子は、その粒径標準偏差の値が1000nm以下、特に500nm以下、さらに好ましくは250nm以下となるものが好ましい。複合酸化物粒子の粒径標準偏差を上記範囲とすることにより、使用中の複合酸化物粒子はその帯電寄与性能にバラツキがなく、トナーに対しどの複合酸化物粒子も同レベルの帯電性能を発現するので、トナーの均一帯電を実現する上で効果的に寄与しているものと考えられる。
粒径標準偏差(SD値)は、複合酸化物粒子の個数基準の粒径分布を表すもので、前述の個数基準平均粒径測定と同様の方法で、複合酸化物粒子の個数基準84%粒径と個数基準16%粒径を測定し、その差を2で割って得られるものである。すなわち、複合酸化物粒子の粒径標準偏差(SD値)は、
粒径標準偏差(SD値)
=〔個数基準84%粒径(D84)−個数基準16%粒径(D16)〕/2
で表されるものである。
複合酸化物粒子は、BET比表面積が、3m/g以上30m/g以下、特に5m/g以上25m/g以下の範囲にあるものが好ましい。
BET比表面積とは、ガス吸着法により算出される粒子の比表面積のことで、ガス吸着法による粒子の比表面積算出は、窒素ガスの様に吸着占有面積が分かっているガス分子を粒子に吸着させ、その吸着量から粒子の比表面積を算出するものである。BET比表面積は、固体表面に直接吸着したガス分子の量(単分子層吸着量)を正確に算出することができる。BET比表面積は、下記に示すBETの式と呼ばれる数式を用いて算出することができる。下記式に示す様に、BETの式は一定温度で吸着平衡状態にある時の吸着平衡圧Pとその圧力における吸着量Vの関係を示すもので以下の様に表される。
式1:
P/V(Po−P)=(1/VmC)+((C−1)/VmC)(P/Po)
ただし、Po:飽和蒸気圧
Vm:単分子層吸着量、気体分子が固体表面で単分子層を形成した時の吸着量
C :吸着熱などに関するパラメータ(>0)
上式より単分子吸着量Vmを算出し、これにガス分子1個の占める断面積を掛けることにより、粒子の表面積を求めることができる。
BET比表面積は、自動比表面積測定装置「GEMINI 2360(島津・マイクロメリティックス社製)」を用い、下記の測定法により算出した値である。
先ず、複合酸化物粒子2gをストレートサンプルセルに充填し、前処理として窒素ガス(純度99.999%)にて2時間セル内を置換する。置換後、測定装置本体にて前処理した複合酸化物粒子に窒素ガス(純度99.999%)を吸脱着させて、多点法(7点法)により算出する。
複合酸化物粒子中における第2金属原子/第1金属原子(チタン原子)、特にCa/Tiはモル比で0.9〜1.3が好ましく、1.0〜1.2がより好ましく、1.1〜1.15が更に好ましい。
第2金属原子/第1金属原子、特にCa/Tiのモル比は、蛍光X線を用いた元素分析にて測定可能である。
複合酸化物粒子の現像剤中の含有量は本発明の目的が達成される限り特に制限されず、例えば、現像剤全体に対して通常は0.1〜10.0重量%である。そのような含有量の好ましい範囲は、複合酸化物粒子の含有形態によって異なり、後述するものとする。複合酸化物粒子が後述する2以上の形態で含有される場合においては、総含有量が上記範囲内であればよい。
複合酸化物粒子は、チタン酸金属塩(第2金属原子のチタン酸塩)の公知の製造方法において、それらの原料に第3金属原子供給源を所定量で添加することによって製造できる。例えば、いわゆる硫酸法により加水分解を経てメタチタン酸と呼ばれる水和物の形態を採る酸化チタン(IV)水和物(TiO・HO)を得る。そのような酸化チタン(IV)水和物、第2金属原子供給源、および第3金属原子供給源を混合し、その混合液に50℃以上でアルカリ水溶液を添加しながら反応させた後、焼成処理により複合酸化物粒子を製造できる。
酸化チタン(IV)は、硫酸法で作製されたものに限定されるものではなく、他の公知の方法で作製されたものでもよい。硫酸法における加水分解処理により得られるメタチタン酸に代表される酸化チタンの加水分解物は、鉱酸解膠品とも呼ばれ、酸化チタン粒子が分散した液の形態を有するものである。鉱酸解膠品の代表例の1つである硫酸法で得られるメタチタン酸は、亜硫酸SOの含有量が1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下で、塩酸によりpH0.8乃至1.5に調整して解膠処理したものである。酸化チタン加水分解物の濃度は、TiO換算で0.05乃至1.0モル/リットルで、0.1〜0.8モル/リットルが好ましい範囲である。
第2金属原子供給源は1A族および2A族に属する金属の炭酸塩、酸化物、硝酸塩、および塩化物が使用可能であり、特に水溶性のものが好適に使用される。具体例として、例えば、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酸化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、炭酸バリウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、塩化バリウム、炭酸リチウム、酸化リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、炭酸ナトリウム、酸化ナトリウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、炭酸カリウム、酸化カリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム等が使用可能である。第2金属原子供給源の添加比率(モル比)は、第2金属原子が2A族に属する金属原子である場合において、酸化チタンに対して、0.9乃至1.4であり、0.95乃至1.15が好ましい範囲である。第2金属原子が1A族に属する金属原子である場合において、酸化チタン加水分解物に対して、1.8乃至2.8であり、1.9乃至2.3が好ましい範囲である。
第3金属原子供給源は第3金属原子を含有する化合物であれば特に制限されず、例えば、酸化ニオブ、水酸化ニオブ、酸化バナジウム、水酸化バナジウム、酸化タンタル、水酸化タンタル等が挙げられる。第3金属原子供給源は粉体形態で使用されてもよいし、または水に予め分散させてなるスラリー形態で使用されてもよい。第3金属原子供給源の添加比率(モル比)は前記した第3金属原子含有量の複合酸化物粒子が得られる限り特に制限されない。例えば、第3金属原子供給源が酸化物の場合、その添加比率は通常、酸化チタン加水分解物1モルに対して0.0009〜0.035モルである。第3金属原子供給源が水酸化物等の他の化合物である場合、その添加比率は、酸化物である場合の上記添加比率に基づいて、当該他の化合物1モル中の第3金属原子の数に応じて適宜、調整されればよい。そのような添加比率を調整することにより、複合酸化物粒子中の第3金属原子の含有量を制御することができる。
複合酸化物粒子の製造方法において使用されるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液に代表される苛性アルカリ水溶液が好ましく使用される。アルカリ水溶液を添加する時の反応系の温度は、高いほど結晶性のものが得られるが、実用的には50℃〜101℃の範囲が適切である。アルカリ水溶液の添加速度は得られる複合酸化物粒子の粒子径に影響を与える傾向があり、添加速度が遅いほど粒子径の大きな複合酸化物粒子が得られ、添加速度が速いほど粒子径の小さなものが形成される傾向がある。アルカリ水溶液の添加速度は、仕込原料に対し0.001〜1.0当量/h、好ましくは0.005〜0.5当量/hで、所望の粒子径に応じて適宜調整することが可能である。アルカリ水溶液の添加速度は目的に応じて途中で変更することも可能である。
複合酸化物粒子の製造方法において、酸化チタン加水分解物に対する第2金属原子供給源の添加比率、反応時の酸化チタン加水分解物の濃度、アルカリ水溶液添加時の温度等を調整することによっても、複合酸化物粒子の粒径を制御することが可能である。
反応工程では炭酸化合物の生成を防ぐために窒素ガス雰囲気下で反応を行うことが好ましい。
得られた複合酸化物粒子は、そのまま用いてもよいが、得られるトナーの帯電性の調整や帯電環境安定性の向上のため、この複合酸化物粒子に疎水化処理を施すことが好ましい。
疎水化処理方法としては、例えば、疎水化剤を単独で、またはテトラヒドロフラン(THF)、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンまたはアセトンなどの有機溶剤に溶解させた希釈液として用い、粉末状の複合酸化物粒子をブレンダーなどによって強制的に撹拌しながら、疎水化剤またはその希釈液を滴下または噴霧して添加し、十分に混合する乾式法や、複合酸化物粒子を、疎水化剤を有機溶剤に溶解させた溶液に浸漬し、十分に混合する方法や、水系媒体中に所望の疎水化剤を分散させ、この疎水化剤が分散された水系媒体に複合酸化物粒子を浸漬し、十分に混合した後、乾燥させて解砕する湿式法などが挙げられる。また、これらの乾式法および湿式法を併用してもよい。これらの中で、処理方法としては、複合酸化物粒子に対する疎水化処理の均一性の向上や、安全性、コストの観点から、水系媒体中に疎水化剤を分散させて複合酸化物粒子を浸漬する湿式法が好ましく、さらに好ましくは疎水化剤として水系エマルションの状態のものを用い、水系媒体中において疎水化処理する湿式法である。
疎水化処理に使用される疎水化剤としては、SiO、Alなどの無機酸化物に対して従来から使用されている疎水化剤が使用され、例えば;クロロシラン、アルキルシラン、アルコキシシラン、シラザンなどのシラン系カップリング剤や、チタネート系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系などの各種のカップリング剤;シリコーンオイル、ステアリン酸などが挙げられる。疎水化剤としては特にシリコーンオイルが好ましい。
また、シリコーンオイルの水系エマルションとして好適に使用できるものとしては、具体的には、「SM7036EX」,「SM7060EX」,「SM8706EX」(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン社製)などのジメチルポリシロキサン系エマルション;「SM8704」,「SM8709」,「BY22−819」(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン社製)などのアミノ変性シリコーンエマルション;「BY22−840」(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)などのカルボキシ変性シリコーンエマルション;「SM8627EX」(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)などのフェニルメチルシリコーンエマルションなどが挙げられる。
疎水化剤の添加割合は、複合酸化物の種類によって異なるが、複合酸化物粒子に対して0.1〜5.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜3.0質量%である。
疎水化剤の添加割合が0.1質量%未満である場合は、十分な疎水化の効果が得られないおそれがあり、一方、疎水化剤の添加割合が5.0質量%を超える場合は、処理すべき複合酸化物粒子に対して過剰に存在する状態となり、複合酸化物粒子表面の疎水化処理に寄与しない疎水化剤が、分散媒体と共に排出されたり、当該疎水化剤同士が凝集したりすることにより、製造装置内や画像形成装置を汚染してしまうおそれがある。
<現像剤>
本発明に係る現像剤は複合酸化物粒子を有する限り、トナー粒子に外添剤が外添されたトナーおよびキャリアを含む二成分現像剤であってもよいし、またはトナー粒子に外添剤が外添されたトナーからなる一成分現像剤であってもよい。
本発明の現像剤における複合酸化物粒子の含有形態は、複合酸化物粒子とトナーとの接触が確保される限り特に制限されず、例えば、現像剤が二成分現像剤である場合、複合酸化物粒子は以下に示す少なくとも1つの形態で含まれる。
(A1)複合酸化物粒子がトナー粒子に外添されている;
(A2)複合酸化物粒子がトナー粒子に内添されている;
(A3)複合酸化物粒子がキャリアに内添されている;
(A4)複合酸化物粒子がキャリアに外添されている;
(A5)複合酸化物粒子が現像剤に第3成分として添加されている。
また例えば、現像剤が一成分現像剤である場合、複合酸化物粒子は以下に示す少なくとも1つの形態で含まれる。
(B1)複合酸化物粒子がトナー粒子に外添されている;
(B2)複合酸化物粒子がトナー粒子に内添されている。
本発明においては、効果を効率良く安定して発現させる観点から、複合酸化物微粒子は(A1)または(B1)の含有形態で現像剤に含まれることが好ましい。
以下、本発明に係る現像剤の実施形態について説明する。
(実施形態1)
実施形態1に係る現像剤は複合酸化物粒子が前記(A1)の形態で含有されるものであり、すなわち複合酸化物粒子がトナー粒子に外添されている二成分現像剤である。本実施形態においては、トナー粒子と当該トナー粒子に外添された複合酸化物粒子との接触が確保され、トナーの優れた帯電立ち上がり性および帯電安定性がより確実に発現される。
本明細書中、「トナー粒子に外添される」とは一旦得られたトナー粒子に対して添加・混合されることを意味するものとする。
実施形態1において複合酸化物粒子の含有量は現像剤全体に対する含有量が前記範囲内であれば特に制限されず、通常はトナー粒子に対して0.1〜10.0重量%、特に0.3〜5.0重量%が好ましい。さらに好ましくは、0.4〜2.0重量%である。
トナー粒子の製造方法は特に制限されず、いわゆる乳化重合凝集法、乳化重合法、懸濁重合法等の湿式法、粉砕法等の乾式法が使用可能であるが、高画質化のために小粒径化や粒度分布をシャープにしたり、球形化する際の自由度に優れた湿式法、特に乳化重合凝集法が好ましい。
以下、乳化重合凝集法を採用してトナーを製造する場合について詳しく説明する。そのようなトナーの製造方法は以下に示す工程を有する。
(1)樹脂微粒子分散液の作製工程
(2)着色剤微粒子分散液の作製工程
(3)樹脂微粒子等の凝集・融着工程
(4)熟成工程
(5)冷却工程
(6)洗浄工程
(7)乾燥工程
(8)外添剤処理工程
以下、各工程について説明する。
(1)樹脂微粒子分散液の作製工程
この工程は樹脂微粒子を形成する重合性単量体を水系媒体中に投入して乳化重合を行うことにより100nm程度の大きさの樹脂微粒子を形成する工程である。なお、樹脂微粒子中にワックスを含有させたものを形成することも可能である。この場合、ワックスを重合性単量体に溶解あるいは分散させておき、これを水系媒体中で重合させると、ワックスを含有してなる樹脂微粒子が形成される。
(2)着色剤微粒子分散液の作製工程
水系媒体中に着色剤を分散させ、110nm程度の大きさの着色剤微粒子分散液を作製する工程である。
(3)樹脂微粒子の凝集・融着工程
この工程は、水系媒体中で樹脂微粒子と着色剤粒子を凝集させ、凝集させたこれらの粒子を融着させ、着色粒子を作製する工程である。この工程では、樹脂微粒子と着色剤粒子とが存在している水系媒体中に、塩化マグネシウム等に代表されるアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等の凝集剤を添加し、次いで、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、かつ前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することで凝集を進行させると同時に樹脂微粒子同士の融着を行う。凝集を進行させて粒子の大きさが目標になった時に、食塩等の塩を添加して凝集を停止させる。
本明細書中、「凝集」は、少なくとも複数の樹脂微粒子が単に付着することを意図する概念で用いるものとする。「凝集」によって、構成粒子は接触しているものの、樹脂微粒子等の溶融による結合は形成されていない、いわゆるヘテロ凝集粒子(群)が形成される。そのような「凝集」によって形成される粒子群を「凝集粒子」と呼ぶものとする。「融着」は、凝集粒子における個々の構成粒子の界面の少なくとも一部において樹脂微粒子等の溶融による結合が形成され、使用、取り扱い単位としての一つの粒子となることを意図する概念で用いるものとする。そのような「融着」がなされた粒子群を「融着粒子」と呼ぶものとする。
(4)熟成工程
この工程は、上記凝集・融着工程に引き続き、反応系を加熱処理することにより着色粒子の形状を所望の平均円形度になるまで熟成する工程である。
(5)冷却工程
この工程は、前記着色粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
(6)洗浄工程
この工程は、上記工程で所定温度まで冷却された着色粒子分散液から着色粒子を固液分離する工程と、固液分離されてウェットのトナーケーキと呼ばれるケーキ状集合体となった着色粒子より界面活性剤や凝集剤等の付着物を除去するための洗浄工程からなる。
洗浄処理は、濾液の電気伝導度がたとえば10μS/cm程度になるまで水洗浄する。濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタプレス等を使用して行う濾過法などがあり、特に限定されるものではない。
(7)乾燥工程
この工程は、洗浄処理された着色粒子を乾燥処理し、乾燥されたトナー粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤ、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
乾燥されたトナー粒子の水分は、5重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2重量%以下とされる。尚、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサ等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(8)外添剤処理工程
この工程は、乾燥されたトナー粒子に前述した複合酸化物粒子をはじめとする外添剤を添加し、トナーを作製する工程である。外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置が挙げられる。
以上の工程を経て、トナーを作製することが可能である。
トナーは、体積基準メディアン径(D50)が3μm以上8μm以下であるものが好ましく、この様な小径の部類に属するトナーは、後述するデジタル技術に対応した高精細なドット画像の再現に最適なものである。
体積基準メディアン径(D50)は、たとえば、「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピュータシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。
測定手順としては、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内のISOTON II(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを25000個に設定して測定する。なお、マルチサイザー3のアパチャー径は50μmのものを使用する。
トナー粒子の酸価は特に制限されないが、5KOHmg/g以上30KOHmg/gが好ましく7〜25KOHmg/gがさらに好ましい。という比較的高酸価のトナー粒子でも、プリント作製環境の影響を受けずに帯電性能をより安定して維持することができる。すなわち、酸価が上記範囲のトナー粒子は、高温高湿環境の様に、空気中の水分がトナー粒子表面に吸着してリークがより起こり易くなる環境下でも安定した帯電立ち上がり性と帯電安定性を発現する。また、低温低湿環境の様に、トナーが過剰に帯電し易い環境下でも、空気中の水分が少なくてリークしにくい状態にもかかわらず、複合酸化物粒子の存在により電荷のリークが起こりトナーの過剰帯電を防止する。
トナー粒子の酸価とは、樹脂、トナー粒子の1g中に含まれるカルボキシル基などの極性基を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数のことをいう。トナー粒子の酸価は、試料をベンゼン−エタノール混合溶媒等に溶かし、正確に力価のわかった水酸化カリウム溶液で滴定してその中和量から算出する。トナーの酸価の具体的な測定方法は、たとえば、JIS−0070−1992に示される方法を挙げることができる。
トナー粒子の酸価は、付加重合反応により形成される樹脂では、たとえば、アクリル酸系モノマー等のカルボキシル基を有する酸性分の組成比や、トナー製造時の重合反応における構成を調整することで制御することができる。また、重縮合反応により形成される樹脂では、たとえば、トリメリット酸等の多官能の酸を導入して架橋反応の進行を抑える等、重合段階での酸成分とアルコール成分の比率を制御したり、重合条件を変化させることで制御することが可能である。
次に、トナーを構成するバインダー樹脂、着色剤、ワックス等について、具体例を挙げて説明する。
バインダー樹脂は、下記に記載されるビニル系単量体と呼ばれる重合性単量体を重合して形成される重合体を用いることができる。また、本発明で使用可能な樹脂を構成する重合体は、少なくとも1種の重合性単量体を重合して得られる重合体を構成成分とするものであり、これらビニル系単量体を単独あるいは複数種類組み合わせて作製した重合体である。
以下に、重合性単量体の具体例を示す。
(1)スチレンあるいはスチレン誘導体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等。
(2)メタクリル酸エステル誘導体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等。
(3)アクリル酸エステル誘導体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等。
(4)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレン等。
(5)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等。
(6)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等。
(7)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等。
(8)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等。
(9)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体等。
また、トナーは、上記に加えて、前述した極性基を有する重合性単量体、親水性の高い重合性単量体を適宜用いて形成されてもよい。
また、以下に示す多官能性ビニル類を使用することにより、架橋構造のバインダー樹脂を作製することも可能である。以下に、多官能性ビニル類の具体例を示す。
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等。
着色剤としては公知のものが挙げられる。具体的な着色剤を以下に示す。
黒色の着色剤としては、たとえば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180等が挙げられる。
グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択併用することも可能である。着色剤の添加量はトナー全体に対して1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%の範囲に設定するのが良い。
ワックスとしては、以下に示す様な公知のものが挙げられる。
(1)ポリオレフィン系ワックス
ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等
(2)長鎖炭化水素系ワックス
パラフィンワックス、サゾールワックス等
(3)ジアルキルケトン系ワックス
ジステアリルケトン等
(4)エステル系ワックス
カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等
(5)アミド系ワックス
エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等。
ワックスの融点は、通常40〜125℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保存性が確保されるとともに、低温で定着を行う場合でもコールドオフセットなどを起こさずに安定したトナー画像形成が行える。トナー中のワックス含有量は、1重量%〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは5重量%〜20重量%である。
トナーには、外添剤として、前記した複合酸化物粒子以外の無機微粒子や有機微粒子等を併用することが可能である。
複合酸化物粒子と併用することが可能な外添剤の種類は、特に限定されるものではなく、たとえば、以下に挙げる様な無機微粒子や有機微粒子、さらには、滑剤が挙げられる。
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することができ、平均一次粒径が4〜800nmのものが好ましく使用される。具体的には、シリカ、アルミナ等が好ましく用いることができる。これら無機微粒子は必要に応じて疎水化処理したものを用いても良い。
シリカ微粒子としては、例えば日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
有機微粒子としては平均一次粒径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
クリーニング性や転写性を向上させるために、いわゆる滑剤と呼ばれる高級脂肪酸の金属塩を外添剤として使用することも可能である。高級脂肪酸の金属塩の具体例としては、たとえば、以下のものが挙げられる。すなわち、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩がある。
外添剤のトナーへの添加量は、前述の複合酸化物粒子を含めてトナー粒子に対して0.1〜10.0重量%が好ましい。また、外添剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用して添加する方法が挙げられる。
キャリアとしては、たとえば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の磁性材料をそのまま使用してもよいし、当該磁性材料をキャリア用バインダー樹脂中に分散させてなるバインダー型キャリアを使用してもよいし、または当該磁性材料を芯材粒子として用い、芯材粒子の表面を樹脂層で被覆してなるコート型キャリアを使用してもよい。高電気抵抗化の観点から、コート型キャリアが好ましい。
コート型キャリアは、例えば、芯材粒子とコート樹脂を高速混合機で混合して機械的衝撃力の作用で芯材粒子の表面に樹脂層を形成することによって製造できる。
キャリアの被覆層形成に好適なコート樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロルスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体やスチレン−アクリル酸共重合体等の共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂またはその変成樹脂(例えば、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成樹脂);ポリテトラクロルエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロルトリフルロルエチレン等のフッ素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂等である。
樹脂層の平均厚さhは、キャリアの耐久性と低抵抗化の両立の観点より50〜4000nmが好ましく、更には200〜3000nmが好ましい。
バインダー型キャリアは、キャリア用バインダー樹脂と磁性材料を溶融・混練し、冷却後、粉砕および分級することによって製造できる。また、重合法によるバインダ型キャリアも好適に使用できる。
キャリア用バインダー樹脂としては、上記コート樹脂に加えてフェノール樹脂なども使用可能である。
キャリアの体積平均粒径は15〜100μmが好ましく、20〜60μmがより好ましい。
実施形態1の現像剤において、トナーとキャリアとの混合比率は特に制限されず、キャリアとトナーの粒径にもよるが通常は重量比(トナー/キャリア)で3/97〜10/90が好ましい。現像剤はそのような比率で添加されたトナーとキャリアを十分に混合することにより製造できる。
(実施形態2)
実施形態2に係る現像剤は複合酸化物粒子が前記(A2)の形態で含有されるものであり、すなわち複合酸化物粒子がトナー粒子に内添されている二成分現像剤である。本実施形態においては、複合酸化物粒子が内添されたトナー粒子とキャリアとの接触が確保され、トナーの優れた帯電立ち上がり性および帯電安定性が発現される。
本明細書中、「トナー粒子に内添される」とはトナー粒子の製造過程で複合酸化物粒子が添加されてトナー粒子内部に含有されることである。
内添状態としては、トナー粒子表面近傍に複合酸化物粒子を存在させることが好ましい。
実施形態2の現像剤は、複合酸化物粒子がトナー粒子に外添されている代わりに、複合酸化物粒子がトナー粒子に内添されていること以外、上記した実施形態1の現像剤と同様である。
実施形態2の現像剤において、特にトナー粒子は、樹脂微粒子の凝集・融着工程において、複合酸化物粒子が添加されて、樹脂微粒子や着色剤粒子とともに凝集・融着されること以外、実施形態1の現像剤におけるトナー粒子と同様である。実施形態2においてトナー粒子は、いわゆる粉砕法において、溶融・混練前に、バインダー樹脂および着色剤とともに、複合酸化物粒子を混合することによっても製造できる。
実施形態2の現像剤において複合酸化物粒子の含有量は現像剤全体に対する含有量が前記範囲内であれば特に制限されず、通常はトナー全体に対して0.1〜10重量%、特に0.5〜5重量%が好ましい。
(実施形態3)
実施形態3に係る現像剤は複合酸化物粒子が前記(A3)の形態で含有されるものであり、すなわち複合酸化物粒子がキャリアに内添されている二成分現像剤である。本実施形態においては、キャリアに内添されてキャリア表面近傍に存在する複合酸化物粒子と、トナーとの接触が確保され、トナーの優れた帯電立ち上がり性および帯電安定性が発現される。
本明細書中、「キャリアに内添される」とはキャリアの製造過程で複合酸化物粒子が添加されてキャリア内部に含有されることである。
内添状態としては、キャリア表面近傍に複合酸化物粒子を存在させることが好ましい。
実施形態3の現像剤は、複合酸化物粒子がトナー粒子に外添されている代わりに、複合酸化物粒子がキャリアに内添されていること以外、上記した実施形態1の現像剤と同様である。
実施形態3においてキャリアの製造方法は、キャリアの内部に複合酸化物粒子が含有される限り特に制限されない。
例えば、実施形態3の現像剤に使用されるコート型キャリアは、芯材粒子とコート樹脂と複合酸化物粒子を高速混合機で混合して、機械的衝撃力と発熱の作用で芯材粒子の表面に樹脂層を形成しつつ当該樹脂層内に複合酸化物粒子を含有させること以外、実施形態1の現像剤のコート型キャリアと同様の方法によって製造できる。
また例えば、実施形態3の現像剤に使用されるバインダー型キャリアは、キャリア用バインダー樹脂と磁性材料と複合酸化物粒子を溶融・混練すること以外、実施形態1の現像剤のバインダー型キャリアと同様の方法によって製造できる。
実施形態3の現像剤において複合酸化物粒子の含有量は現像剤全体に対する含有量が前記範囲内であれば特に制限されず、通常はキャリア全体に対して0.1〜10重量%、特に0.5〜5重量%が好ましい。
(実施形態4)
実施形態4に係る現像剤は複合酸化物粒子が前記(A4)の形態で含有されるものであり、すなわち複合酸化物粒子がキャリアに外添されている二成分現像剤である。本実施形態においては、トナー粒子とキャリアに外添された複合酸化物粒子との接触が確保され、キャリアの表面抵抗を調整することにより、トナーの優れた帯電立ち上がり性および帯電レベルの調整と帯電安定性がより確実に発現される。
本明細書中、「キャリアに外添される」とは一旦得られたキャリアに対して添加・混合されることを意味するものとする。
実施形態4の現像剤は、複合酸化物粒子がトナー粒子に外添されている代わりに、複合酸化物粒子がキャリアに外添されていること以外、上記した実施形態1の現像剤と同様である。
実施形態4の現像剤において、特にキャリアは、複合酸化物粒子が主としてキャリア表面に付着していること以外、実施形態1の現像剤におけるキャリアと同様である。これによって、トナー粒子とキャリアに外添された複合酸化物粒子との接触が確保され、キャリアの表面抵抗を調整することにより、トナーの優れた帯電立ち上がり性および帯電レベルの調整と帯電安定性がより確実に発現される。
実施形態4の現像剤において複合酸化物粒子の含有量は現像剤全体に対する含有量が前記範囲内であれば特に制限されず、通常はキャリアに対して0.0001〜1重量%、特に0.0005〜0.1重量%が好ましい。
(実施形態5)
実施形態5に係る現像剤は複合酸化物粒子が前記(A5)の形態で含有されるものであり、すなわち複合酸化物粒子が現像剤に第3成分として添加されている二成分現像剤である。本実施形態においては、現像剤に第3成分として複合酸化物粒子を添加し、トナーとキャリアの間に第3成分が介在することにより、トナーの優れた帯電立ち上がり性および帯電安定性が発現される。
本明細書中、「現像剤に第3成分として添加される」とは一旦得られたトナーおよびキャリアを混合し、現像剤を調整する工程で第3成分として添加するものである。よって、実施形態5の現像剤において複合酸化物粒子は、キャリアとトナー間に介在することにより、トナーの帯電立ち上がり性や帯電安定性の向上が発現される。
実施形態5の現像剤は、複合酸化物粒子がトナー粒子に外添されている代わりに、複合酸化物粒子がトナーおよびキャリアに外添されていること以外、上記した実施形態1の現像剤と同様である。
実施形態5の現像剤は、トナーとキャリアの混合工程において、トナーとキャリアとともに、複合酸化物粒子を添加混合すること以外、実施形態1の現像剤と同様の方法により製造できる。
実施形態5の現像剤において複合酸化物粒子の含有量は現像剤全体に対する含有量が前記範囲内であれば特に制限されず、通常は現像剤全体に対して0.001〜5重量%、特に0.01〜3重量%が好ましい。
(実施形態6)
実施形態6に係る現像剤は複合酸化物粒子が前記(B1)の形態で含有されるものであり、すなわち複合酸化物粒子がトナー粒子に外添されている一成分現像剤である。本実施形態においては、実施形態1においてと同様に、トナー粒子と当該トナー粒子に外添された複合酸化物粒子との接触が確保され、トナーの優れた帯電立ち上がり性および帯電安定性がより確実に発現される。
実施形態6の現像剤は、キャリアが含有されないこと以外、上記した実施形態1の現像剤と同様である。
実施形態6において複合酸化物粒子の含有量は現像剤全体に対する含有量が前記範囲内であれば特に制限されず、通常はトナー粒子に対して0.1〜10重量%、特に0.3〜5重量%が好ましい。さらに好ましくは、0.5〜2重量%である。
(実施形態7)
実施形態7に係る現像剤は複合酸化物粒子が前記(B2)の形態で含有されるものであり、すなわち複合酸化物粒子がトナー粒子に内添されている一成分現像剤である。本実施形態においては、実施形態2においてと同様に、トナー粒子に内添されてトナー粒子表面から露出した複合酸化物粒子と、隣接するトナーとの接触が確保され、トナーの優れた帯電立ち上がり性および帯電安定性が発現される。
実施形態7の現像剤は、キャリアが含有されないこと以外、上記した実施形態2の現像剤と同様である。
実施形態7の現像剤において複合酸化物粒子の含有量は現像剤全体に対する含有量が前記範囲内であれば特に制限されず、通常はトナー全体に対して0.1〜10重量%、特に0.5〜5重量%が好ましい。
本発明に係る現像剤が二成分現像剤である場合、当該二成分現像剤はいわゆる二成分現像方式を採用した公知の画像形成装置に搭載されて使用される。
本発明に係る現像剤が一成分現像剤である場合、当該一成分現像剤はいわゆる一成分現像方式を採用した公知の画像形成装置に搭載されて使用される。
それらの画像形成装置は、モノクロ画像形成用であってもよいし、またはフルカラー画像形成用であってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<無機粒子1の製造>
硫酸法により作製したメタチタン酸分散液に、4.0モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液によりpHを9.0に調整して脱硫処理を行った後、6.0モル/リットルの塩酸水溶液を添加してpHを5.5に調整して中和処理した。その後、メタチタン酸分散液をろ過、水洗処理して作製したメタチタン酸のケーキ物に水を加え、酸化チタンTiO換算で1.25モル/リットルに相当する分散液に調製した後、6.0モル/リットルの塩酸水溶液でpH1.2に調整した。そして、分散液の温度を35℃に調整して、この温度下で1時間撹拌を行ってメタチタン酸分散液を解膠処理した。
上記解膠処理を行ったメタチタン酸分散液より、酸化チタンTiO換算で0.156モルに相当するメタチタン酸を採取して反応容器に投入し、続いて、炭酸カルシウムCaCO水溶液と酸化ニオブ水溶液を反応容器に投入した。その後、酸化チタン濃度が0.156モル/リットルとなる様に反応系を調製した。ここで、炭酸カルシウムCaCOは、酸化チタンに対しモル比で1.15となる様(CaCO/TiO=1.15/1.00)添加し、酸化ニオブは、酸化チタンに対してモル比で0.001になる様に添加した(Nb/TiO=0.001/1.00)。
上記反応容器内に窒素ガスを供給して、20分間放置することにより反応容器内を窒素ガス雰囲気下にした後、メタチタン酸、炭酸カルシウム、及び、酸化ニオブからなる混合溶液を90℃に加温した。続いて、水酸化ナトリウム水溶液を24時間かけてpHが8.0になるまで添加し、その後、90℃で1時間撹拌を続けて反応を終了させた。
反応終了後、反応容器内を40℃まで冷却し、窒素雰囲気下で上澄み液を除去した後、純水2500重量部を反応容器内に投入してデカンテーションを繰り返し2回行った。デカンテーション実施後、反応系をヌッチェでろ過処理してケーキ物を形成し、得られたケーキ物を110℃に加熱して大気中で8時間の乾燥処理を行った。
得られたチタン酸カルシウムの乾燥物をアルミナ性るつぼに投入し、930℃で脱水するとともに焼成処理した。焼成処理後、チタン酸カルシウムを水中に投入し、サンドグラインダで湿式粉砕処理を行い分散液とした後、6.0モル/リットルの塩酸水溶液を添加してpHを2.0に調整して、過剰分の炭酸カルシウムを除去した。前記除去処理後、シリコーンオイルエマルジョン(ジメチルポリシロキサン系エマルジョン)「SM7036EX(東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)」を用いてチタン酸カルシウムに対して湿式の疎水化処理を行った。前記疎水化処理は、チタン酸カルシウム固形分100重量部に対して前記シリコーンオイルエマルジョンを0.7重量部添加して、30分間撹拌処理を行ったものである。
前記湿式の疎水化処理後、4.0モル/リットル水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを6.5に調整して中和処理を行い、その後、ろ過、洗浄を行い、150℃で乾燥処理した。さらに、機械式粉砕装置を用いて60分間解砕処理を行い、ニオブ原子を含有するチタン酸カルシウムである「無機粒子1」を作製した。
作製した「無機粒子1」について、ICP分析法によりニオブ原子の含有量を測定したところ0.010重量%であった。また、作製した「無機粒子1」の体積基準粒径、粒径標準偏差(SD値)、BET比表面積を前述の方法で測定したところ、体積基準粒径が198)nm、粒径標準偏差(SD値)が108nm、BET比表面積が15.4m/gであった。
<無機粒子2〜20の製造>
表1に記載の第2金属原子を用いたこと、表1に記載の第3金属原子を用いるために所定の添加材料を所定の添加量で用いたこと以外、無機粒子1の製造方法と同様の方法により、無機粒子を製造した。
第2金属原子としてSrを用いる場合は炭酸ストロンチウムを、Mgを用いる場合は炭酸マグネシウムを、Baを用いる場合は炭酸バリウムを用いた。
Figure 0005077435
<トナー粒子Aの製造>
(1)「樹脂粒子1H」の作製
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、アニオン系界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウム7.08重量部をイオン交換水3010重量部に溶解させて界面活性剤溶液(水系媒体)を作製した。そして、前記界面活性剤溶液を窒素気流下で230rpmの速度で撹拌しながら、反応容器内の温度を80℃に昇温させた。
前記界面活性剤溶液に、重合開始剤である過硫酸カリウム(KPS)9.2重量部をイオン交換水200重量部に溶解させた重合開始剤溶液を投入し、反応容器内の温度を75℃にした。その後、下記化合物よりなる「混合液1A」を1時間かけて滴下し、
スチレン 69.4重量部
n−ブチルアクリレート 28.3重量部
メタクリル酸 2.3重量部
さらに、75℃の温度下で撹拌を2時間行うことにより重合を行い、「樹脂粒子分散液1H」を作製した。
(2)「樹脂粒子1HM」の作製
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、下記化合物を投入し、
スチレン 97.1重量部
n−ブチルアクリレート 39.7重量部
メタクリル酸 3.22重量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル 5.6重量部
さらに、
ペンタエリスリトールテトラベヘネート 98.0重量部
を添加し、90℃に加温して化合物Aを溶解させて、上記化合物よりなる「混合液1B」を調製した。
一方、撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ラウリル硫酸ナトリウム1.6重量部をイオン交換水2700重量部に溶解させた界面活性剤溶液を作製し、これを98℃に加熱した。前記界面活性剤溶液に前述した「樹脂粒子分散液1H」を固形分換算で28重量部添加した後、前記混合液1Bを投入した。さらに、循環経路を有する機械式分散装置「クレアミックス(CLEARMIX)(エム・テクニック(株)製)」により8時間の混合分散を行って分散液(乳化液)を調製した。
次いで、前記分散液(乳化液)に、過硫酸カリウム(KPS)5.1重量部をイオン交換水240重量部に溶解させた開始剤溶液とイオン交換水750重量部を添加し、この系を98℃の下で12時間撹拌することにより重合を行った。この様にして、「樹脂粒子1H」表面に樹脂を被覆した複合構造を有する「樹脂粒子1HM」の分散液を作製した。
(3)「樹脂粒子1HML」の作製
前記「樹脂粒子1HML」の分散液に、過硫酸カリウム(KPS)7.4重量部をイオン交換水200重量部に溶解させた開始剤溶液を添加して、温度を80℃に調整した。その後、下記化合物よりなる「混合液1C」を1時間かけて滴下した。すなわち、
スチレン 277重量部
n−ブチルアクリレート 113重量部
メタクリル酸 9.21重量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル 10.4重量部
滴下終了後、前記温度下で2時間にわたり加熱、撹拌して重合を行い、その後、反応系を28℃に冷却して、「樹脂粒子1HM」表面に樹脂を被覆した複合構造を有する「樹脂粒子1HML」の分散液を作製した。得られた樹脂粒子の粒径は約150nmであった。
(4)「着色剤分散液1Bk」の調製
アニオン性界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウム90重量部をイオン交換水1600重量部中に投入し、撹拌を行って界面活性剤溶液を作製した。前記界面活性剤溶液を撹拌しながら、着色剤である下記カーボンブラックを徐々に添加した。すなわち、
「リーガル330R(キャボット社製)」 400重量部
上記カーボンブラックを添加後、機械式分散装置「クレアミックス(CLEARMIX)(エム・テクニック(株)製)」を用い、カーボンブラックの粒子径が200nmになるまで分散処理を行うことにより、「着色剤分散液1」を調製した。
(5)「トナー粒子A」の作製(凝集・融着)
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に、下記のものを投入した後、反応容器内を30℃に調整し、さらに、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10.6に調整した。すなわち、
「樹脂粒子分散液1HML」 200重量部(固形分換算)
イオン交換水 3000重量部
「着色剤分散液1」 71重量部(固形分換算)
上記調整の後、塩化マグネシウム・6水和物52.6重量部をイオン交換水72重量部に溶解させた水溶液を温度30℃の下で反応系を撹拌させた状態で10分間かけて添加し、添加後、反応系を3分間放置した。
その後、反応系の昇温を開始し、この系を60分間かけて75℃まで昇温させ、上記粒子の凝集を開始した。ここでは、「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」を用いて凝集粒子の粒径を測定しながら凝集を継続させた。
凝集粒子の体積基準メディアン径が6.5μmになった時に、塩化ナトリウム115重量部をイオン交換水700重量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、熟成処理として液温度90℃にし、加熱撹拌処理を6時間にわたり行って、粒子の融着を継続させた。その後、反応系を30℃に冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整した後、撹拌を停止した。
上記の様に、凝集と融着を経て作製された着色粒子を固液分離し、45℃のイオン交換水による洗浄を繰り返し行った後、40℃の温風で乾燥処理することにより、「トナー粒子A」を作製した。「トナー粒子A」の酸価をJIS−0070−1992で規定される方法で測定したところ15であった。
<トナー粒子Bの製造>
(1)「樹脂粒子2H」の作製
前述の「樹脂粒子1H」の製造工程で「混合液1A」に代えて、下記化合物よりなる「混合液2A」を用いた他は同様の手順により、「樹脂粒子分散液2H」を作製した。
スチレン 70.3質量部
n−ブチルアクリレート 28.7質量部
メタクリル酸 1.0質量部
(2)「樹脂粒子2HM」の作製(第二段重合)
前述の「樹脂粒子1HM」の製造工程で「混合液1B」に代えて、下記化合物よりなる「混合液2B」を用いた他は同様の手順により、「樹脂粒子分散液2HM」を作製した。
スチレン 98.3質量部
n−ブチルアクリレート 40.2質量部
メタクリル酸 1.51質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル 5.6質量部
ペンタエリスリトールテトラベヘネート 98質量部
(3)「樹脂粒子2HML」の作製
前述の「樹脂粒子1HML」の製造工程で「混合液1C」に代えて、下記化合物よりなる「混合液2C」を用いた他は同様の手順で、「樹脂粒子分散液2HML」を作製した。
スチレン 283質量部
n−ブチルアクリレート 115質量部
メタクリル酸 4.3質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル 10.4質量部
(4)「トナー粒子B」の作製
前記「トナー粒子A」の作製において、「樹脂粒子分散液1HML」を「樹脂粒子分散液2HML」に変更した他は同様の手順により、酸価が7の「トナー粒子B」を作製した。
<トナー粒子Cの製造>
(1)「樹脂粒子3H」の作製
前述の「樹脂粒子1H」の製造工程で「混合液1A」に代えて、下記化合物よりなる「混合液3A」を用いた他は同様の手順により、「樹脂粒子分散液3H」を作製した。
スチレン 74.5質量部
n−ブチルアクリレート 21.6質量部
アクリル酸 1.93質量部
(2)「樹脂粒子3HM」の作製
前記「樹脂粒子1HM」の製造工程で「混合液1B」に代えて、下記化合物よりなる「混合液3B」を用いた他は同様の手順により、「樹脂粒子分散液3HM」を作製した。
スチレン 104質量部
n−ブチルアクリレート 30.2質量部
アクリル酸 2.7質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル 5.6質量部
ペンタエリスリトールテトラベヘネート 98質量部
(3)「樹脂粒子3HML」の作製
前記「樹脂粒子1HML」の製造工程で「混合液1C」に代えて、下記化合物よりなる「混合液3C」を用いた他は同様の手順で、「樹脂粒子分散液3HML」を作製した。
スチレン 306質量部
n−ブチルアクリレート 88.5質量部
アクリル酸 17.4質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル 10.4質量部
(4)「トナー粒子C」の作製
前記「トナー粒子A」の作製において、「樹脂粒子分散液1HML」を「樹脂粒子分散液3HML」に変更した他は同様の手順により、酸価が25の「トナー粒子C」を作製した。
<トナー粒子Dの製造>
(1)「樹脂粒子4H」の作製
前記「樹脂粒子1H」の製造工程で「混合液1A」に代えて、下記化合物よりなる「混合液4A」を用いた他は同様の手順により、「樹脂粒子分散液4H」を作製した。
スチレン 70.7質量部
n−ブチルアクリレート 28.9質量部
アクリル酸 0.386質量部
(2)「樹脂粒子4HM」の作製
前記「樹脂粒子1HM」の製造工程で「混合液1B」に代えて、下記化合物よりなる「混合液4B」を用いた他は同様の手順により、「樹脂粒子分散液4HM」を作製した。
スチレン 99質量部
n−ブチルアクリレート 40.4質量部
アクリル酸 0.54質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル 5.6質量部
ペンタエリスリトールテトラベヘネート 98質量部
(3)「樹脂粒子4HML」の作製
前記「樹脂粒子1HML」の製造工程で「混合液1C」に代えて、下記化合物よりなる「混合液4C」を用いた他は同様の手順で、「樹脂粒子分散液4HML」を作製した。
スチレン 281質量部
n−ブチルアクリレート 114.8質量部
アクリル酸 1.54質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル 10.4質量部
(4)「トナー粒子D」の作製
前記「トナー粒子A」の作製において、「樹脂粒子分散液1HML」を「樹脂粒子分散液4HML」に変更した他は同様の手順により、酸価が3の「トナー粒子D」を作製した。
<トナー粒子Eの製造>
(1)「樹脂粒子5H」の作製
前記「樹脂粒子1H」の製造工程で「混合液1A」に代えて、下記化合物よりなる「混合液5A」を用いた他は同様の手順により、「樹脂粒子分散液5H」を作製した。
スチレン 67.8質量部
n−ブチルアクリレート 27.7質量部
メタクリル酸 4.5質量部
(2)「樹脂粒子5HM」の作製
前記「樹脂粒子1HM」の製造工程で「混合液1B」に代えて、下記化合物よりなる「混合液5B」を用いた他は同様の手順により、「樹脂粒子分散液5HM」を作製した。
スチレン 94.1質量部
n−ブチルアクリレート 38.4質量部
メタククリル酸 7.53質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル 5.6質量部
ペンタエリスリトールテトラベヘネート 98質量部
(3)「樹脂粒子5HML」の作製
前記「樹脂粒子1HML」の製造工程で「混合液1C」に代えて、下記化合物よりなる「混合液5C」を用いた他は同様の手順で、「樹脂粒子分散液5HML」を作製した。
スチレン 269質量部
n−ブチルアクリレート 110質量部
メタクリル酸 21.5質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル 10.4質量部
(4)「トナー粒子E」の作製
前記「トナー粒子A」の作製において、「樹脂粒子分散液1HML」を「樹脂粒子分散液5HML」に変更した他は同様の手順により、酸価が35の「トナー粒子E」を作製した。
<トナー粒子Fの製造>
トナー粒子Aの製造において、反応容器に、樹脂粒子分散液1HML、イオン交換水および着色剤分散液1を投入する際、以下に示す無機粒子分散液も6重量部投入したこと以外、トナー粒子Aの製造方法と同様の方法により、トナー粒子Fを製造した。「トナー粒子F」の酸価は15KOHmg/gであった。
無機粒子分散液を以下の方法により調製した。
アニオン性界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウム90重量部をイオン交換水1600重量部中に投入し、撹拌を行って界面活性剤溶液を作製した。前記界面活性剤溶液を撹拌しながら、無機粒子2を1600重量部徐々に添加した。その後、機械式分散装置「クレアミックス(CLEARMIX)(エム・テクニック(株)製)」を用いて分散処理を行い、「無機粒子分散液」を調製した。
<トナー1の製造>
トナー粒子Aに対して、以下のものを外添剤として添加した。
「無機粒子1」 2.0重量%
疎水性シリカ(粒径17nm、ヘキサメチルジシラザン処理品) 1.0重量%
疎水性シリカ(粒径21nm、ヘキサメチルジシラザン処理品) 1.0重量%
外添処理は、ヘンシェルミキサー「FM10B(三井三池化工社製)」を用い、30℃の温度下で、撹拌羽根の周速を35m/秒、処理時間20分に設定して行い、90μmの目開きのふるいを用いて粗大粒子を除去して「トナー1」を製造した。
<トナー2〜24の製造>
表2に記載のトナー粒子および無機粒子を用いたこと以外、トナー1の製造方法と同様の方法により、トナーを製造した。
<トナー25の製造>
トナー粒子Fを用いたこと、および無機粒子1以外の外添剤を外添処理したこと以外、トナー1の製造方法と同様の方法により、トナーを製造した。
<トナー26の製造>
無機粒子1以外の外添剤を外添処理したこと以外、トナー1の製造方法と同様の方法により、トナーを製造した。
<トナー27の製造>
トナー粒子Aに対して、以下のものを外添剤として添加した。
「無機粒子17」 2.0重量%
「酸化ニオブ粒子」(粒径200nm、比表面積8m/g) 1.0重量%
疎水性シリカ(粒径17nm、ヘキサメチルジシラザン処理品) 1.0重量%
疎水性シリカ(粒径21nm、ヘキサメチルジシラザン処理品) 1.0重量%
外添処理は、ヘンシェルミキサー「FM10B(三井三池化工社製)」を用い、30℃の温度下で、撹拌羽根の周速を35m/秒、処理時間20分に設定して行い、90μmの目開きのふるいを用いて粗大粒子を除去してトナーを製造した。
Figure 0005077435
<キャリア1の製造>
体積平均径が60μm、飽和磁化が10.7×10−5Wb・m/kgのMn−Mgフェライト粒子を準備した。Mn−Mgフェライト粒子100重量部とスチレン/メチルメタクリレート(共重合比2/8)の共重合体樹脂微粒子を3.8重量部を、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で60分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライト粒子の表面に樹脂層を形成し、樹脂層が被覆されたキャリア1を得た。このキャリア1の樹脂層の厚みは2500nmであった。キャリア1の体積平均粒径は65μmであった。
<キャリア2の製造>
体積平均径が60μm、飽和磁化が10.7×10−5Wb・m/kgのMn−Mgフェライト粒子を準備した。Mn−Mgフェライト粒子100重量部とスチレン/メチルメタクリレート(共重合比2/8)の共重合体樹脂微粒子を3.8重量部、無機粒子2を5重量部を、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で60分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライト粒子の表面に樹脂層を形成し、樹脂層に無機粒子2が含有されたキャリア2を得た。このキャリア2の樹脂層の厚みは2540nmであった。キャリア2の体積平均粒径は65μmであった。
<現像剤1の製造>
キャリア1を100重量部、トナー1を6重量部とをV型混合機で混合し、現像剤1を製造した。
<現像剤2〜26および現像剤28の製造>
表3に記載のトナーとキャリアとを組み合わせて用いたこと以外、現像剤1の製造方法と同様の方法により現像剤を製造した。
<現像剤27の製造>
キャリア1を100重量部、トナー26を6重量部および無機粒子2を1重量部をV型混合機で混合し、現像剤を製造した。
Figure 0005077435
<<実験例1;二成分現像剤>>
<実施例/比較例>
表4に記載の現像剤を二成分方式の画像形成装置(bizhub Pro C450;コニカミノルタ社製)に搭載し、当該画像形成装置を高温高湿環境下(30℃、80%RH)に24時間放置後、前記環境下で3000枚の連続プリントを実施し、連続プリント開始時および実施後の画質評価を行った。
同様に、画像形成装置を低温低湿環境下(10℃、15%RH)に24時間放置後、前記環境下で3000枚の連続プリントを実施し、連続プリント開始時および実施後の画質評価を行った。
連続プリントでは、画素率が6%の細線画像(4本/mm、5本/mm、6本/mmの3種類よりなる)、ハーフトーン画像(画像濃度0.40)、白地画像、およびベタ画像(画像濃度1.30)がそれぞれ1/4等分となるA4サイズのオリジナル画像)を出力した。
評価は、感光体上及び画像上でのカブリ、画像濃度の変動について行った。
(感光体上のカブリ)
感光体上のカブリは、3000枚の連続プリント実施後の感光体表面を目視観察するとともに、目視観察の後、感光体表面を30mm幅のブックテープ「アメニティBコートT(キハラ社製)」で剥離し、剥離したテープを白紙上に貼り付けて目視観察した。
評価は、以下の様に4段階で行い、◎〜△を合格とした。
◎:感光体上及び剥離したテープのいずれもでカブリの発生は認められなかった;
○:感光体上でカブリの発生がわずかに認められたが、剥離したテープからはカブリの発生は認められなかった;
△:感光体上でカブリの発生が局所的に認められたが、剥離したテープの状態から実用上問題ないレベルと判断した;
×:感光体全面にわたりカブリの発生が認められ、剥離したテープからも実用上問題のあるカブリの発生状態と判断した。
(画像上のカブリ)
画像像のカブリは以下の方法により評価した。連続プリント開始時に作製したプリント物上の白地画像について、マクベス社製反射濃度計「RD−918」を用いて、20カ所の濃度を測定し、この平均値を白地濃度とした。次いで、連続プリント3000枚目の白地部分についても、同様に20カ所の濃度を測定して平均値を求めて3000枚目の白地濃度とした。3000枚目の白地濃度から開始時の白地濃度を差し引いた値をカブリ濃度とした。カブリ濃度が0.010以下のものを合格とした。
◎;0.003未満;
○;0.003以上0.006未満;
△;0.006以上0.010以下;
×;0.010を超える値。
(画像濃度)
連続プリント開始時と3000枚目のプリント物上のベタ画像部の濃度を測定して評価した。具体的には、プリント作製開始時と3000枚目のプリント物上のベタ画像部上の任意の12点を反射濃度計「RD−918(マクベス社製)」を用いて測定し、その平均値をとって、これを画像濃度とした。そして、連続プリント開始時と3000枚目の画像濃度の差を算出して評価を行った。両者の画像濃度差が0.04以下のものを合格とした。
◎;0.01未満;
○;0.01以上0.02未満;
△;0.02以上0.04以下;
×;0.04を超える値。
結果を表4に示す。
Figure 0005077435
<<実験例2;一成分現像剤>>
<実施例/比較例>
表4に記載のトナーを、そのまま一成分現像剤として、非磁性1成分方式のフルカラープリンタ「magicolor2300DL」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)に搭載し、実験例1における二成分現像剤の評価方法と同様の方法により評価を行った。
Figure 0005077435

Claims (11)

  1. 第1金属原子としてのチタンと、第2金属原子とを含有するチタン酸金属塩粒子中に、長周期型元素周期表の5A族に属する金属原子からなる群から選択される第3金属原子が0.009〜0.350重量%含有された複合酸化物粒子を有することを特徴とする電子写真用現像剤。
  2. 第3金属原子がV、NbおよびTaからなる群から選択される請求項1に記載の電子写真用現像剤。
  3. チタン酸金属塩を構成する第2金属原子が、長周期型元素周期表の1A族および2A族に属する金属原子からなる群から選択される金属原子である請求項1または2に記載の電子写真用現像剤。
  4. 第2金属原子がMg、Ca、SrおよびBaからなる群から選択される請求項3に記載の電子写真用現像剤。
  5. 複合酸化物粒子の個数基準平均粒径が30nm以上3000nm以下であり、かつ、粒径標準偏差の値が1000nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用現像剤。
  6. 第3金属原子が、Nbである、請求項1〜5いずれかに記載の電子写真用現像剤。
  7. 第2金属原子がMgまたはCaである、請求項1〜6いずれかに記載の電子写真用現像剤。
  8. 複合酸化物粒子の個数基準平均粒径が、50nm以上2000nm以下である、請求項1〜7いずれかに記載の電子写真用現像剤。
  9. 電子写真用現像剤がトナー粒子に外添剤が外添されたトナーおよびキャリアを含む二成分現像剤であり、複合酸化物粒子が以下に示す少なくとも1つの形態で含まれる請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真用現像剤;
    (A1)複合酸化物粒子がトナー粒子に外添されている;
    (A2)複合酸化物粒子がトナー粒子に内添されている;
    (A3)複合酸化物粒子がキャリアに内添されている;
    (A4)複合酸化物粒子がキャリアに外添されている;
    (A5)複合酸化物粒子が現像剤に第3成分として添加されている。
  10. 電子写真用現像剤がトナー粒子に外添剤が外添されたトナーからなる一成分現像剤であり、複合酸化物粒子が以下に示す少なくとも1つの形態で含まれる請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真用現像剤;
    (B1)複合酸化物粒子がトナー粒子に外添されている;
    (B2)複合酸化物粒子がトナー粒子に内添されている。
  11. トナー粒子の酸価が5KOHmg/g以上30KOHmg/g以下であることを特徴とする請求項9または10に記載の電子写真用現像剤。
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