JP2019184793A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、結着樹脂を含むトナー母体粒子と、チタン酸ストロンチウム微粒子を含む外添剤とを含有し、結着樹脂は非晶性樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを含み、結晶性ポリエステル樹脂は炭素数6〜14の脂肪族ジカルボン酸と、炭素数6〜14の脂肪族ジオールとの重縮合体であり、チタン酸ストロンチウム微粒子はチタン酸ストロンチウム微粒子(A)およびチタン酸ストロンチウム微粒子(B)を含み、チタン酸ストロンチウム微粒子(A)の粒子径RAは、チタン酸ストロンチウム微粒子(B)の粒子径RBよりも小さい、静電荷像現像用トナーである。
【選択図】なし
Description
結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性樹脂とを含む。本明細書において「結着樹脂が結晶性樹脂を含む」とは、結着樹脂が結晶性樹脂そのものを含む態様であってもよいし、他の樹脂中に含まれるセグメントを含む態様であってもよい。また本明細書において、「結着樹脂が非結晶性樹脂を含む」とは、結着樹脂が、非結晶性樹脂そのものを含む態様であってもよいし、他の樹脂中に含まれるセグメントを含む態様であってもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、トナーの示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するポリエステル樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、DSCにおいて、昇温速度10℃/minで測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。このような結晶性樹脂の含有量としては、トナーに対して3〜30質量%の範囲内であることが好ましい。これにより、結着樹脂のシャープメルト性を向上させて、トナーの低温定着性を向上させるという効果を得つつ、結晶性樹脂を含有させることによる耐熱性の低下を抑制することができる。
重縮合(エステル化)反応の反応条件に特に限定はないが、例えば、150〜250℃で、0.5〜15時間行うことができる。また、反応系内を減圧にしてもよい。
本発明のトナーに含まれる非晶性樹脂は、結晶性樹脂と共に結着樹脂を構成する。非晶性樹脂とは、当該樹脂について示差走査熱量測定(DSC)を行った時に、融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂である。
本発明で用いられるトナー母体粒子は、結晶性樹脂および非晶性樹脂を含む結着樹脂の他に、着色剤、離型剤(ワックス)、荷電制御剤等の内添剤を含んでいてもよい。
本発明のトナーが含有する着色剤としては、公知の無機又は有機着色剤を使用することができる。着色剤としてはカーボンブラック、磁性粉のほか、各種有機または無機の顔料や染料等が使用できる。
本発明に係るトナーには、離型剤を添加することができる。離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘニルベヘネート、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスルトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明に係るトナーには、必要に応じて荷電制御剤を添加(内添)することができる。荷電制御剤としては、種々の公知のものを使用することができる。
本実施形態に係るトナー母体粒子の構造は、上述したトナー母体粒子のみの単層構造であってもよいし、上述したトナー母体粒子をコア粒子として、当該コア粒子とその表面を被覆するシェル層とを備えるコア・シェル構造のような多層構造であってもよい。シェル層は、コア粒子の全表面を被覆していなくてもよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)などの公知の観察手段によって、確認することができる。
本発明に係るトナーは、チタン酸ストロンチウム微粒子を含む外添剤を含有し、当該チタン酸ストロンチウム微粒子は、チタン酸ストロンチウム微粒子(A)およびチタン酸ストロンチウム微粒子(B)を含み、チタン酸ストロンチウム微粒子(A)の個数粒度分布におけるピークトップの粒子径RAは、チタン酸ストロンチウム微粒子(B)の個数粒度分布におけるピークトップの粒子径RBよりも小さい。本発明においては、小粒子径のチタン酸ストロンチウム微粒子(A)と、大粒子径のチタン酸ストロンチウム微粒子(B)とを併用することが必須である。チタン酸ストロンチウム微粒子は、その粒子径が大きいほど、トナー母体粒子から脱離しやすい傾向にある。よって、外添剤に小粒子径と大粒子径の少なくとも2種類のチタン酸ストロンチウム微粒子が含まれると、小粒子径のチタン酸ストロンチウム微粒子単独の場合よりも、大粒子径の微粒子の脱離によって被覆率が低下する傾向にある。そして、チタン酸ストロンチウム微粒子による被覆率を適度な範囲とすることで、チタン酸ストロンチウム微粒子によって過剰帯電を抑制しながらも、低温定着性の低下を防止することが可能となる。
式(1): 200nm ≦(RB−RA)≦ 3000nm
走査型電子顕微鏡(SEM)(例えば、日本電子(株)製の「JSM−7401F」)を用いて、倍率40000倍でトナー粒子表面の外添剤を観察する。外添剤の一次粒子の画像解析によって、粒子ごとの最長径及び最短径を測定し、その中間値を球相当径とする。そして、測定した100個の一次粒子の粒子径と個数を元に個数粒度分布を求める。当該分布に存在するピークの内、最も大きいもの2つを選び、ピーク値が小さい方をチタン酸ストロンチウム微粒子(A)のピーク、大きい方をチタン酸ストロンチウム微粒子(B)のピークとし、当該ピークのピークトップの粒子径を、チタン酸ストロンチウム粒子の粒子径とする。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、倍率5000倍でトナーの画像撮影を行う。次いで、その視野でのエネルギー分散型X線分析(EDS分析)を行う。その際、ストロンチウムとチタンの元素分析を行い、チタン酸ストロンチウム粒子を確定する。チタン酸ストロンチウムを確定したSEM画像を、画像処理解析装置(例えば、「LUZEX AP」(ニレコ社製))にて2値化処理する。複数の写真の中で、チタン酸ストロンチウム100個についての水平方向フェレ径を算出し、当該水平方向フェレ径と個数を元に粒度分布を求める。当該分布に存在するピークの内、最も大きいもの2つを選び、ピーク値が小さい方をチタン酸ストロンチウム微粒子(A)のピーク、大きい方をチタン酸ストロンチウム微粒子(B)のピークとし、当該ピークのピークトップの水平方向フェレ径をチタン酸ストロンチウム粒子の粒子径とする。ここで水平方向フェレ径とは、外添剤の画像を2値化処理したときの外接長方形の、x軸に平行な辺の長さとする。
なお、チタン酸ストロンチウムの数平均一次粒子径が小径であり、凝集体としてトナー表面に存在する場合は、当該凝集体を形成する一次粒子の粒子径を測定するものとする。
式(2): 0.5 ≦(A)/(B)≦ 2.5
上記含有質量比(A)/(B)はさらに下記式(3)の関係を満たすことがより好ましい。
式(3): 0.7 ≦(A)/(B)≦ 2.0
チタン酸ストロンチウム微粒子(A)およびチタン酸ストロンチウム微粒子(B)の含有質量比(A)/(B)が0.5以上であると、トナー母体粒子表面における外添剤の被覆率を、過剰帯電を抑制するのに十分な程度にすることが容易となる。また、含有質量比が2.5以下であると、トナー母体粒子表面の外添剤の被覆率が大きくなりすぎることなく、低温定着性を維持することが可能となる。
[トナー粒子の融点]
本実施形態に係るトナー粒子は、融点(Tm)が60〜90℃の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは65〜80℃の範囲内である。融点が上記範囲内にあれば、十分な低温定着性および耐熱保管性を両立させることができる。また、トナー粒子の良好な耐熱性(熱的強度)も維持することができ、十分な耐熱保管性を得ることができる。融点(Tm)は、上記結晶性ポリエステル樹脂と同様にして測定することができる。
本実施形態に係るトナー粒子の体積基準のメジアン径は3〜8μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは5〜8μmの範囲内である。体積基準のメジアン径が上記範囲内にあれば、1200dpiレベルの高解像度のドットを正確に再現することができる。なお、体積基準のメジアン径は、製造時において使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、結着樹脂の組成などによって制御することができる。
トナー粒子を製造する方法は、トナー母体粒子を製造する工程(以下、「トナー母体粒子製造工程」ともいう)と、当該トナー母体粒子の表面に外添剤を添加する工程(以下、「外添剤添加工程」ともいう)とを含む。トナー母体粒子を製造する方法は限定されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法など公知の方法が挙げられる。
以上のように製造されたトナー粒子は、例えば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤としてのトナーとして使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合などが考えられるが、二成分現像剤として使用されることが好ましい。
以下の原料を加熱乾燥した三口フラスコに入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間還流を行った。
ビスフェノールAプロピレンオキサイド: 3500質量部
ビスフェノールAエチレンオキサイド: 1400質量部
1,3,5−ベンゼントリカルボン酸: 55質量部
1,2,4−ベンゼントリカルボン酸: 620質量部
テレフタル酸: 950質量部
フマル酸: 410質量部
ジブチル錫オキサイド: 25質量部
その後、反応系内に生成した水を減圧蒸留にて留去しながら、240℃まで徐々に昇温した。さらに240℃で3時間脱水縮合反応を継続し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認した。質量平均分子量42000になったところで、減圧蒸留を停止し、反応を停止させて、非晶性ポリエステル樹脂a1を得た。
(1)結晶性ポリエステル樹脂c1の合成
以下の原料を加熱乾燥した三口フラスコに入れた後、触媒としてジブチル錫オキサイド0.5質量部を加えた。
ドデカン二酸: 250質量部
1,9−ノナンジオール: 150質量部
その後、減圧操作により、三口フラスコ内の空気を窒素に置換して不活性雰囲気下とし、180℃で、機械攪拌により5時間攪拌し、且つ還流して反応を進行させた。反応の間、反応系内において生成した水を留去した。その後、減圧下において、230℃まで徐々に昇温し、2時間攪拌して粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認した。質量平均分子量が24000になったところで、減圧蒸留を停止し、結晶性ポリエステル樹脂c1を得た。
上記結晶性ポリエステル樹脂c1を1000質量部、メチルエチルケトン600質量部、およびイソプロピルアルコール150質量部をセパラブルフラスコに入れ、これを40℃で充分混合して溶解した後、10質量%アンモニア水溶液を42質量部滴下した。加熱温度を67℃に上げ、攪拌しながらイオン交換水を送液ポンプを用いて送液速度8g/分で滴下し、液が均一に白濁したのち、送液速度15g/分に上げ、総液量が4000質量部になったところで、イオン交換水の滴下を止めた。その後、減圧下で溶媒の除去を行い、結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液C1を得た。上記分散液の体積平均粒子径をマイクロトラックUPA−150(日機装株式会社製)にて測定したところ169nm、樹脂粒子の固形分濃度は25%であった。
(1)結晶性ポリエステル樹脂c2〜c5の合成
上記結晶性ポリエステル樹脂c1の合成に使用した原料モノマーの種類を下記表1に記載したように変更したこと以外は同様にして、結晶性ポリエステル樹脂c2〜c5を得た。
結晶性ポリエステル樹脂c1を、下記表2に記載したように結晶性ポリエステル樹脂c2〜c5に変更したこと以外は、結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液C1の調製と同様にして、結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液C2〜C5を得た。
脱イオン水195質量部にアニオン界面活性剤(第一工業製薬社製の「ネオゲンRK」)5質量部を混合溶解させた。そこにC.I.Pigment Red 122(クラリアントジャパン社製)50質量部を加えて、ホモジナイザー(IKA社製の「ウルトラタラックス」)により10分間分散させることにより、固形分(マゼンタ着色剤微粒子)が20質量%であるマゼンタ着色剤微粒子分散液を得た。得られたマゼンタ着色剤微粒子分散液におけるマゼンタ着色剤微粒子の体積平均粒子径を、マイクロトラックUPA−150(日機装株式会社製)にて測定したところ、185nmであった。
下記原料を110℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた。
エステルワックスWE5(日本油脂(株)製): 50質量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製の「ネオゲンRK」): 5質量部
イオン交換水: 200質量部
次に、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で分散処理し、平均粒子径が0.21μmである離型剤を分散させてなる離型剤微粒子分散液W1(離型剤濃度:26質量%)を調製した。離型剤微粒子分散液W1中の粒子の体積平均粒子径を、マイクロトラックUPA−150(日機装株式会社製)にて測定したところ、215nmであった。
〔トナー母体粒子1の製造〕
(凝集・融着工程および熟成工程)
下記原料を使用した。
結晶性樹脂粒子分散液C1: 12.8質量部
非晶性樹脂粒子分散液A1: 100質量部
マゼンタ着色剤微粒子分散液: 15.0質量部
アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 20%水溶液): 4.1質量部
離型剤微粒子分散液W1: 12質量部
pHメーター、攪拌羽、温度計を具備した重合釜に、上記原料のうち、非晶性樹脂粒子分散液A1、結晶性樹脂粒子分散液C1、アニオン性界面活性剤及びイオン交換水250質量部を入れ、140rpmで15分間攪拌しながら、界面活性剤を非晶性樹脂粒子分散液A1と結晶性樹脂粒子分散液C1になじませた。これにマゼンタ着色剤微粒子分散液および離型剤微粒子分散液を加え混合した後、この原料混合物に0.3Mの硝酸水溶液を加えて、pHを4.8に調製した。ついで、Ultraturraxにより4000rpmでせん断力を加えながら、凝集剤として硫酸アルミニウムの10%硝酸水溶液22質量部滴下した。この凝集剤滴下の途中で原料混合物の粘度が急激に増大するので、粘度が上昇した時点で、滴下速度を緩め、凝集剤が一箇所に偏らないようした。凝集剤の滴下が終了したら、さらに回転数を5000rpmに上げて5分間攪拌し、凝集剤と原料混合物を充分混合した。
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液A1: 55質量部
イオン交換水: 22質量部
アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 20%水溶液): 0.8質量部
50℃に30分間保持した後、反応容器に、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)20%液を0.8部添加し、次に1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、原料分散液のpHを7.5に制御した。その後、5℃ごとにpHを7.5に調整しながら、昇温速度1℃/分で85℃まで昇温し、85℃で保持した。
上記反応器内の反応混合物の形状係数をFPIA−3000(シメックス株式会社製)を用いて測定し、0.962になった時点で降温速度10℃/分で冷却し、トナー母体粒子分散液1を得た。
トナー母体粒子分散液1を濾過して、トナー母体粒子を回収し、イオン交換水で充分洗浄した。次いで、40℃にて乾燥して、トナー母体粒子1を得た。得られたトナー母体粒子1は、体積平均粒子径は5.8μm、平均円形度は0.963であった。
結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液C1の代わりに、下記表4に記載したように結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液C2〜C5をそれぞれ使用したこと以外は実施例1と同様にして、トナー母体粒子2、3、5、6を得た。
原料を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、トナー母体粒子4を得た。
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A1): 1160質量部
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1): 0質量部
マゼンタ着色剤微粒子分散液: 209質量部
アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 20%水溶液): 40質量部
イオン交換水: 1500質量部
〔チタン酸ストロンチウム微粒子A1の調製〕
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加し、pHを1.0に調整してチタニアゾル分散液を得た。得られたチタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHをに調整し、上澄み液の電気伝導度が70μS/cmになるまで洗浄をくり返し、含水酸化チタンを得た。
走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子(株)製の「JSM−7401F」)を用いて、倍率40000倍でチタン酸ストロンチウム微粒子を観察し、一次粒子の画像解析によって、粒子ごとの最長径及び最短径を測定し、その中間値を球相当径とした。そして、測定した100個の一次粒子の粒子径と個数を元に個数粒度分布を求めた。当該分布に存在するピークのピークトップの粒子径を、チタン酸ストロンチウム粒子の粒子径とした。
チタン酸ストロンチウム微粒子A1の調製において、チタン酸ストロンチウムの反応温度、当該温度までの昇温速度、塩酸添加後の分散液のpH、NaOH添加後の分散液のpHを以下の表3の記載のように調整して、表4に示す粒子径RAまたはRBを有する、形状が立方体状または直方体状の、ペロブスカイト型チタン酸ストロンチウム微粒子A2〜A7およびB9を作製した。
炭酸ストロンチウム600gと酸化チタン350gをボールミルにて、8時間湿式混合した後、ろ過乾燥し、この混合物を10kg/cm2の圧力で成形して、1200℃で7時間焼結した。これを、機械粉砕して、焼結工程を経由した粒子径RAが47nmのチタン酸ストロンチウム微粒子A8を得た。チタン酸ストロンチウム微粒子A8の形状をSEMにより形状を観察した結果、不定形な形状を有していた。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、倍率5000倍でチタン酸ストロンチウム微粒子の画像撮影を行った。得られたSEM画像を、画像処理解析装置(「LUZEX AP」(ニレコ社製))にて2値化処理した。複数の写真の中で、チタン酸ストロンチウム100個についての水平方向フェレ径を算出し、当該水平方向フェレ径と個数を元に粒度分布を求めた。当該分布に存在するピークのピークトップの水平方向フェレ径をチタン酸ストロンチウム粒子の粒子径とした。ここで水平方向フェレ径とは、外添剤の画像を2値化処理したときの外接長方形の、x軸に平行な辺の長さとした。
チタン酸ストロンチウム微粒子A8の調製において、粉砕条件および分級条件を調整して、表4に示す粒子径RBを有する、形状が不定形のチタン酸ストロンチウム微粒子B1〜B7を作製した。
硫酸法で得られたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9.0とし、脱硫処理を行った。その後、塩酸によりpH5.8まで中和し、ろ過水洗を行った。得られた洗浄済みケーキに水を加え、TiO2として1.85モル/Lのスラリーとした後、塩酸を加えpH1.0とし解膠処理を行い、メタチタン酸を得た。このメタチタン酸からTiO2として1.877mol採取し、3Lの反応容器に投入した。塩化ストロンチウム溶液をTiモル比で1.15となるように2.159mol添加し、更に塩化ランタン溶液をSrモル比で10mol%となる0.216mol添加した後、TiO2 濃度0.939mol/Lに調整した。次に、撹拌しながら90℃に加温した後、10N水酸化ナトリウム水溶液553mLを1時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。
チタン酸ストロンチウム微粒子A9の調製において、メタチタン酸から採取したTiO2量を0.357mol、塩化ストロンチウム溶液量を0.410mol、塩化ランタン溶液を0.041mol、TiO2 濃度を0.179mol/Lに変更した以外は同様にして、表4に示す粒子径RBを有する、ランタン含有チタン酸ストロンチウム微粒子B8を作製した。
〔トナー粒子1の製造〕
250gのトナー母体粒子1(体積平均粒子径:5.8μm)に、疎水性シリカ粒子(HМDS処理済、疎水化度:72%、個数平均一次粒子径:20nm)0.6質量部、チタン酸ストロンチウム微粒子A1(RA:40nm)0.50質量部、及びチタン酸ストロンチウム微粒子B1(RB:1000nm)0.33質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにて20分混合することにより、トナー粒子(1)を作製した。
〔トナー粒子2〜30の製造〕
トナー粒子1の製造において、トナー母体粒子の種類、チタン酸ストロンチウム微粒子(A)および(B)の種類および添加比率(A)/(B)を表4に示す通りに変更した以外はトナー粒子1と同様にして、トナー粒子2〜30を作成した。
(芯材粒子の作製)
MnO:35mol%、MgO:14.5mol%、Fe2O3:50mol%およびSrO:0.5mol%になるように原料を秤量し、水と混合した後、湿式メディアミルで5時間粉砕してスラリーを得た。得られたスラリーをスプレードライヤーにて乾燥し、真球状の粒子を得た。この粒子を粒度調整した後、950℃で2時間加熱し、ロータリーキルンで仮焼成を行った。直径0.3cmのステンレスビーズを用いて乾式ボールミルで1時間粉砕したのち、バインダーとしてPVAを固形分に対して0.8質量%添加し、更に水および分散剤を添加し、直径0.5cmのジルコニアビーズを用いて25時間粉砕した。次いでスプレードライヤーにより造粒、乾燥し、電気炉にて、温度1050℃で20時間保持し、本焼成を行った。
その後、解砕し、さらに分級して粒度調整し、その後磁力選鉱により低磁力品を分別し、芯材粒子を得た。芯材粒子の体積平均粒子径は28.0μmであった。
シクロヘキシルメタクリレートモノマー100質量部、ドデカンチオール1質量部を混合して溶解したものを、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製の「ネオゲンSC」)0.5質量部をイオン交換水400質量部に溶解したフラスコ中で乳化重合させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに開始剤として過硫酸アンモニウム0.5質量部を溶解したイオン交換水50質量部を投入した。窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続して樹脂分散液を得た。その後、樹脂分散液をスプレードライで乾燥することで、被覆用樹脂を得た。被覆用樹脂の重量平均分子量は35万であった。
水平撹拌羽根付き高速撹拌混合機に、上記で準備した芯材粒子を100質量部、および被覆用樹脂を4.5質量部投入し、水平回転翼の周速が8m/secとなる条件で、22℃で15分間混合撹拌した。その後、120℃で50分混合して機械的衝撃力(メカノケミカル法)の作用で芯材粒子の表面に被覆材を被覆させ、室温まで冷却して、キャリア粒子を得た。
上記キャリア粒子100質量部に対して、トナー粒子6質量部を、常温常湿(温度10℃、相対湿度20%RH、温度30℃、相対湿度80%RH)環境下で、Vブレンダを用いて混合した。Vブレンダの回転数を20rpm、撹拌時間を20分にして処理を行い、さらに、混合物を目開き125μmのメッシュで篩い分けて、現像剤を得た。
画像形成装置として、市販のフルカラー複合機である「bizhub PRESS C1070」(コニカミノルタ社製)を用い、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下で、A4サイズの上質紙「CFペーパー」(コニカミノルタ株式会社製)の上に、未定着ベタ画像(トナー付着量8.0g/m2)を形成した。次に、定着装置の加圧ローラの表面温度を100℃に設定し、加熱ローラの表面温度を2℃刻みで130〜170℃の範囲で変更して、定着を行った。定着オフセットによる画像汚れが目視で確認されない最低の定着温度を、最低定着温度とした。
◎: 135℃未満
○: 135℃以上140℃未満
×: 140℃以上未満
尚、◎および○を実用可能なレベルとする。トナーの最低定着温度が140℃以上であると、目標とする通紙速度では十分定着させることが難しく、実用上問題がある。
トナー粒子0.5gを内径21mmの10mLガラス瓶に取り、蓋を閉めて、振とう機「タップデンサーKYT−2000」(セイシン企業社製)を用い、室温で600回振とうさせた。その後、蓋を開けた状態で温度55℃、湿度35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナー粒子を48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナー粒子の凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、「パウダーテスター」(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定した。送り幅1mmとなる振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上に残存したトナー量の比率(質量%)を測定し、下記式(A)によりトナー凝集率を算出した。
式(A): トナー凝集率(%)=(篩上の残存トナー質量(g))/0.5(g)×100)
◎: 59℃以上
○: 58℃以上59℃未満
×: 58℃未満
尚、◎および○を実用可能なレベルとする。
現像剤の帯電量を図1に示す装置を用いて測定した。まず、精密天秤で計量した現像剤1gを導電性スリーブ61の表面全体に均一になる様に乗せた。バイアス電源63から導電性スリーブ61に2kVの電圧を供給すると共に、導電性スリーブ61内に設けられたマグネットロール62の回転数を1000rpmにした。この状態で30秒間放置して、トナー粒子を円筒電極64に収集した。30秒後に円筒電極64の電位Vmを読み取ると共に、トナー粒子の電荷量を求めた。さらに収集したトナー粒子の質量を精密天秤で測定し、平均帯電量(μC/g)を求めた。
◎: 40μC/g以上48μC/g未満
○: 48μC/g以上55μC/g未満
×: 55μC/g以上
尚、◎および○を実用可能なレベルとする。
62 マグネットロール
63 バイアス電源
64 円筒電極
Claims (9)
- 結着樹脂を含むトナー母体粒子と、
チタン酸ストロンチウム微粒子を含む外添剤とを含有し、
前記結着樹脂は、非晶性樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを含み、前記結晶性ポリエステル樹脂は炭素数6〜14の脂肪族ジカルボン酸と、炭素数6〜14の脂肪族ジオールとの重縮合体であり、
前記チタン酸ストロンチウム微粒子は、チタン酸ストロンチウム微粒子(A)およびチタン酸ストロンチウム微粒子(B)を含み、前記チタン酸ストロンチウム微粒子(A)の個数粒度分布におけるピークトップの粒子径RAは、前記チタン酸ストロンチウム微粒子(B)の個数粒度分布におけるピークトップの粒子径RBよりも小さい、静電荷像現像用トナー。 - 前記チタン酸ストロンチウム微粒子(A)の粒子径RAと、前記チタン酸ストロンチウム微粒子(B)の粒子径RBは、下記式(1)の関係を満たす、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
式(1): 200nm ≦(RB−RA)≦ 3000nm - 前記チタン酸ストロンチウム微粒子(A)の粒子径RAは、10nm以上100nm以下である、請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム微粒子(A)の粒子径RAは、20nm以上60nm以下である、請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム微粒子(B)の粒子径RBは、300nmを超え2000nm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム微粒子(B)の粒子径RBは、310nm以上1500nm以下である、請求項5に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム微粒子(A)および前記チタン酸ストロンチウム微粒子(B)の含有量は、含有質量比(A)/(B)が下記式(2)の関係を満たす、請求項1〜6のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
式(2): 0.5 ≦(A)/(B)≦ 2.5 - 前記チタン酸ストロンチウム微粒子(A)および前記チタン酸ストロンチウム微粒子(B)の一方は、立方体状及び/又は直方体状の微粒子を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記チタン酸ストロンチウム微粒子(A)および前記チタン酸ストロンチウム微粒子(B)の少なくとも一方は、ランタン含有チタン酸ストロンチウム微粒子である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
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