JP7062920B2 - 静電潜像現像用二成分現像剤 - Google Patents
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Description
したがって、一般的に、キャリア粒子の抵抗による調整では、初期のリード部白抜けを抑えることと、感光体を長時間使用した際の現像リークの発生を抑えることを、両立することが困難である。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
前記外添剤が、無機微粒子を含有し、
前記無機微粒子の個数平均一次粒子径が、25~100nmの範囲内であり、
当該無機微粒子が、シリコーンオイルで表面修飾されており、当該表面修飾後の表面に残存する炭素含有量が3.0~10.0質量%の範囲内であり、かつ遊離炭素率が70.0%以上であり、
前記シリコーンオイルの25℃における動粘度が、50~500mm 2 /sの範囲内であり、
前記キャリア粒子の抵抗が、1.0×109~5.0×1010Ω・cmの範囲内であり、
前記樹脂が、脂環式メタクリル酸エステル単量体を含む単量体から形成される樹脂を含有することを特徴とする静電潜像現像用二成分現像剤。
また、本発明に係る外添剤は、シリコーンオイルでの表面修飾後に、外添剤表面の遊離炭素率が70.0%以上である。70.0%以上とすることで、効率的にキャリア粒子にシリコーンオイルを移行させることができ、本発明の効果を有効に発現することができると推察される。
本発明の静電潜像現像用二成分現像剤(以下、単に、「二成分現像剤」又は「現像剤」とも称する。)は、トナー母体粒子表面に外添剤を有するトナー粒子と、芯材粒子の表面に樹脂を含有する被覆層を有するキャリア粒子と、を含有する静電潜像現像用二成分現像剤であって、前記外添剤が、無機微粒子を含有し、前記無機微粒子の個数平均一次粒子径が、25~100nmの範囲内であり、当該無機微粒子が、シリコーンオイルで表面修飾されており、当該表面修飾後の表面に残存する炭素含有量が3.0~10.0質量%の範囲内であり、かつ遊離炭素率が70.0%以上であり、前記シリコーンオイルの25℃における動粘度が、50~500mm 2 /sの範囲内であり、前記キャリア粒子の抵抗が、1.0×109~5.0×1010Ω・cmの範囲内であり、前記樹脂が、脂環式メタクリル酸エステル単量体を含む単量体から形成される樹脂を含有するものである。
二成分現像剤中のトナーの含有量(トナー濃度)は、特に制限されないが、本発明の効果を有効に得る観点から、4.0~8.0質量%の範囲内であることが好ましい。
本発明に係るキャリア粒子は、芯材粒子と、芯材粒子の表面を被覆する樹脂層とを有する被覆型キャリア粒子である。
1.0×109Ω・cm未満の場合には初期のキャリア抵抗が低すぎることにより、長時間の使用によって現像リークが発生しやすくなる。また、5.0×1010より大きい場合には、キャリア抵抗が高すぎて初期のリード部白抜けが発生しやすくなる。
DVR(Ω・cm)=(V/I)×(N×L/Dsd)
上記式において、DVR:キャリア粒子の抵抗(Ω・cm)、V:現像スリーブとドラム間の電圧(V)、I:測定電流値(A)、N:現像ニップ幅(cm)、L:現像スリーブ長(cm)、Dsd:現像スリーブとドラム間距離(cm)を示す。
本発明においては、V=500V、N=1cm、L=6cm、Dsd=0.6mmにて測定を行っている。
本発明で用いられる芯材粒子(磁性体粒子)としては、鉄粉、マグネタイト、各種フェライト系粒子又はそれらを樹脂中に分散したものを挙げることができる。これらのなかでも、マグネタイトや各種フェライト系粒子を用いることが好ましい。フェライトとしては、銅、亜鉛、ニッケル、マンガン等の重金属を含有するフェライトや、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有する軽金属フェライトが好ましい。
また、芯材粒子として、ストロンチウム(Sr)を含有することが好ましい。ストロンチウムを含有することで、芯材粒子の表面の凹凸を大きくすることができ、樹脂をコートしても、表面が露出しやすくなり、キャリア粒子の抵抗を調整しやすくなる。
芯材粒子の抵抗は、後述する芯材粒子の作製方法で説明する酸化被膜処理により、調整することが可能である。
芯材粒子の形状係数(SF-1)としては、110~150の範囲内であることが好ましい。形状係数は、例えば、芯材粒子に含有する元素の種類や量、後述の製造過程の焼結温度を変えることでも調整することができる。
式1:形状係数(SF-1)=(芯材粒子の最大長)2/(芯材粒子の投影面積)×(π/4)×100
まず、芯材粒子の形状係数(SF-1)の測定法について説明する。芯材粒子の形状係数(SF-1)の測定にあたっては、キャリア粒子を準備するが、キャリア粒子単体でなく現像剤である場合には、前準備を行う。
続いて、樹脂被覆層を除去するために被覆樹脂層を溶媒に溶かして除去する。
芯材粒子を、走査型電子顕微鏡により、150倍にて任意に100個以上の粒子の写真を撮影し、スキャナーにより取り込んだ写真画像を、画像処理解析装置LUZEX AP(株式会社ニレコ製)を用いて測定する。個数平均粒子径は、水平方向フェレ径の平均値として算出し、形状係数は、上記式1によって算出される形状係数の平均値によって算出される値とする。
芯材粒子の粒子径としては、体積平均粒径で10~100μmの範囲内であることが好ましく、20~80μmの範囲内であることがより好ましい。
芯材粒子の体積平均粒径は、体積基準の平均粒径であり、例えば、湿式分散器を備えてなるレーザー回折式粒度分布測定装置「HELOS」(シンパテック社製)により測定することができる。
飽和磁化は、例えば、「直流磁化特性自動記録装置3257-35」(横河電機株式会社製)により測定することができる。
原材料を適量秤量した後、湿式メディアミル、ボールミル又は振動ミル等で好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1~20時間粉砕混合する。このようにして得られた粉砕物を、加圧成型機等を用いてペレット化した後、好ましくは700~1200℃の温度で、好ましくは0.5~5時間仮焼成する。
ここで、加圧成型機を使用せずに、粉砕した後、水を加えてスラリー化し、スプレードライヤーを用いて粒状化してもよい。仮焼成後、さらにボールミル又は振動ミル等で粉砕した後、水、及び必要に応じ分散剤、ポリビニルアルコール(PVA)等のバインダー等を添加して粘度調整をして造粒して、本焼成を行う。本焼成の温度は、好ましくは1000~1500℃の温度であり、本焼成の時間は、好ましくは1~24時間である。仮焼成後に粉砕する際は、水を加えて湿式ボールミルや湿式振動ミル等で粉砕してもよい。
このようにして得られた焼成物を、粉砕し、分級する。分級方法としては、既存の風力分級法、メッシュ濾過法、沈降法等を用いて所望の粒径に粒度調整する。
その後、必要に応じて、表面を低温加熱することで酸化皮膜処理を施し、抵抗調整を行うことができる。酸化被膜処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、例えば300~700℃で熱処理を行うことができる。この処理によって形成された酸化被膜の厚さは、0.1nm~5μmであることが好ましい。酸化被膜の厚さを前記範囲とすることで、酸化被膜層の効果が得られ、高抵抗になりすぎず所望の特性を得やすく好ましい。必要に応じて、酸化被膜処理の前に還元を行ってもよい。また、分級の後、さらに磁力選鉱により低磁力品を分別してもよい。
また、本発明に係るキャリア粒子を被覆する樹脂には、比較的疎水性の高い脂環式メタクリル酸エステル単量体を含む単量体から形成される樹脂を含有している。これにより、シリコーンオイルが移行しすぎることがなく、適度な量のシリコーンオイルを、外添剤である無機微粒子からキャリア粒子に移行させることができたものと推察される。
脂環式(メタ)アクリル酸エステル化合物は、機械的強度、帯電量の環境安定性(帯電量の環境差が小さい)、重合容易性及び入手容易性の観点から、炭素数5~8のシクロアルキル基を有することが好ましい。脂環式(メタ)アクリル酸エステル化合物は、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチル及び(メタ)アクリル酸シクロオクチルからなる群より選択される少なくとも一つであることが好ましい。中でも、機械的強度及び帯電量の環境安定性の観点から、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルを含むことが好ましい。
また、脂環式(メタ)アクリル酸エステル化合物とメタクリル酸メチルの共重合体がさらに好ましい。メタクリル酸メチルを用いることで、膜強度がより一層高くなるためである。
また、被覆層を形成する脂環式メタクリル酸エステル単量体の含有量が、被覆層全量に対して、25~75質量%の範囲内であることが好ましい。25質量%以上とすることで、上記シリコーンオイルを含有した効果を十分に発揮することができる。また、75%以下とすることで、シリコーンオイルを含有させても膜強度の低下しにくくし、長時間使用してもキャリア粒子の抵抗の変動幅を少なくすることができる。
被覆層の具体的作製法としては、湿式コート法、乾式コート法が挙げられる。以下に各方法について述べるが、乾式コート法は本発明に適用するのに特に望ましい方法であり、等に詳細に記載する。
流動層式スプレーコート法は、被覆用樹脂を溶剤に溶解した塗布液を、流動層を用いて芯材粒子の表面にスプレー塗布し、次いで乾燥して被覆層を作製する方法である。
浸漬式コート法は、被覆用樹脂を溶剤に溶解した塗布液中に、芯材粒子を浸漬して塗布処理し、次いで乾燥して被覆層を作製する方法である。
重合法は、反応性化合物を溶剤に溶解した塗布液中に、芯材粒子を浸漬して塗布処理し、次いで熱等を加えて重合反応を行い被覆層を作製する方法である。
乾式コート法での樹脂コート工程においては、加熱温度を60℃以下に低温化しつつ、冷却時の風速を高速せん断にすることで樹脂剥がれを生じさせることができる。また、コート後の工程としては、強制撹拌できる装置であれば可能であり、例えば、タービュラー、ボールミル、振動ミルなどで撹拌混合することが挙げられる。
本発明において「トナー」とは、「トナー粒子」の集合体のことをいう。また、トナー粒子は、少なくともトナー母体粒子を含有し、トナー粒子とは、トナー母体粒子自体又は当該トナー母体粒子に、少なくとも外添剤を添加したものをいう。
本発明に係るトナー母体粒子に含まれる結着樹脂は、非晶性樹脂と結晶性樹脂と含有することが好ましい。また、トナー母体粒子は、その他必要に応じて、着色剤、離型剤(ワックス)、荷電制御剤などの他の構成成分を含有してもよい。
トナー母体粒子は、結晶性樹脂と以下で詳説する非晶性樹脂と混合して用いることにより、加熱定着時、結晶性樹脂と非晶性樹脂とが相溶化する。その結果、トナーの低温定着化を図ることができ、省エネルギー化を図ることができる。
また、本発明のトナーを製造する方法としては、特に限定されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法など公知の方法が挙げられる。
これらの中でも、粒径の均一性、形状の制御性観点からは、乳化凝集法を採用することが好ましい。
本技術分野における従来公知の非晶性樹脂が用いられうるが、なかでも非晶性樹脂は非晶性のビニル系樹脂を含むことが好ましい。特に好ましいのは、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体やアクリル酸を用いて形成されるスチレンアクリル共重合体樹脂が好ましい。スチレンアクリル樹脂を乳化凝集して、トナー化することにより、トナー水分量が適度に高くなり、感光体へのトナーの付着力が向上し、トナーが感光体から脱離しづらくなり、スキャベンジングを抑制することができる。
非晶性のビニル系樹脂を形成するビニル系単量体としては、下記のものから選択される1種又は2種以上が用いられうる。
スチレン系単量体としては、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-フェニルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン及びこれらの誘導体などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及びこれらの誘導体などが挙げられる。
ビニルエステル類としては、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどが挙げられる。
(4)ビニルエーテル類
ビニルエーテル類としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどが挙げられる。
(5)ビニルケトン類
ビニルケトン類としては、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどが挙げられる。
(6)N-ビニル化合物類
N-ビニル化合物類としては、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、N-ビニルピロリドンなどが挙げられる。
ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸又はメタクリル酸誘導体なども用いることができる。
カルボキシ基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどが挙げられる。また、スルホン酸基を有する単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。さらに、リン酸基を有する単量体としてはアシドホスホオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
以上、非晶性樹脂の好ましい形態として、ビニル系樹脂について詳細に説明したが、これに限られず、非晶性樹脂として非晶性ポリエステル樹脂などが用いられてもよい。
結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸(ドデカン二酸)、1,11-ウンデカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸(テトラデカン二酸)、1,13-トリデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,16-ヘキサデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸などが挙げられる。
ジカルボン酸成分としては、上記脂肪族ジカルボン酸の中でも、炭素数6~14の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましく、炭素数8~14の脂肪族ジカルボン酸であるとより好ましい。
また、上記ジカルボン酸の他、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸、及び上記のカルボン酸化合物の無水物、又は炭素数1~3のアルキルエステルなどを用いてもよい。
脂肪族ジオールとともに用いることのできるジオールとしては、二重結合を有するジオール、スルホン酸基を有するジオールなどが挙げられ、具体的には、二重結合を有するジオールとしては、例えば、1,4-ブテンジオール、2-ブテン-1,4-ジオール、3-ヘキセン-1,6-ジオール、4-オクテン-1,8-ジオールなどが挙げられる。また、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどの3価以上の多価アルコールなどが挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂の製造の際に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等の第2族元素を含む化合物;アルミニウム、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属の化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;及びアミン化合物等が挙げられる。具体的には、スズ化合物としては、酸化ジブチルスズ、オクチル酸スズ、ジオクチル酸スズ、これらの塩等などを挙げることができる。チタン化合物としては、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラメチルチタネート、テトラステアリルチタネートなどのチタンアルコキシド;ポリヒドロキシチタンステアレートなどのチタンアシレート;チタンテトラアセチルアセトナート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネートなどのチタンキレートなどを挙げることができる。ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウムなどを挙げることができる。さらにアルミニウム化合物としては、ポリ水酸化アルミニウムなどの酸化物、アルミニウムアルコキシドなどが挙げられ、トリブチルアルミネートなどを挙げることができる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結着樹脂が結晶性樹脂(好ましくは、結晶性ポリエステル樹脂)を含む場合、結着樹脂における結晶性樹脂の含有量は特に制限されないが、結着樹脂の総量に対して、50質量%未満であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。結晶性樹脂として結晶性ポリエステル樹脂である場合、含有量を50質量%未満とすることにより、結晶性ポリエステル樹脂の吸湿性に起因する帯電量の環境依存性を低減することができる。一方、含有量の下限値は特に制限されないが、結着樹脂が結晶性樹脂(好ましくは、結晶性ポリエステル樹脂)を含む場合、5質量%以上であると好ましい。結晶性樹脂の含有量が結着樹脂の総量に対して5質量%以上であれば、低温定着性に優れたトナーが得られる。
着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、又はランプブラックなどが使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、又はコバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、又はマグネタイトなどの強磁性金属の化合物などを用いることができる。
顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4、又は同60などを用いることができ、これらの混合物も用いることができる。
離型剤としては、公知の種々のワックスを用いることができる。ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘニル、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.1~30質量部であることが好ましく、より好ましくは1~10質量部である。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、離型剤の融点は、電子写真におけるトナーの低温定着性及び離型性の観点から、50~95℃であることが好ましい。
荷電制御剤としては、水系媒体中に分散することができる公知の荷電制御剤粒子を使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩、又はその金属錯体などが挙げられる。
本発明に係るトナー粒子は、トナー母体粒子表面に外添剤を有している。
本発明に係る外添剤は、無機微粒子を含有する。また、当該無機微粒子が、シリコーンオイルで表面修飾されており、当該表面修飾後の表面に残存する炭素含有量が3.0~10.0質量%の範囲内であり、かつ遊離炭素率が70.0%以上である。
無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、酸化アルミニウム微粒子(アルミナ粒子)、酸化チタン微粒子などの無機酸化物微粒子、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、又は、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。本発明の効果をより有効に得る観点からは、無機微粒子として、シリカ微粒子又は酸化アルミニウム微粒子を用いることが好ましい。
また、無機微粒子の個数平均一次粒子径は、25~100nmの範囲内である。無機微粒子の個数平均一次粒子径が25nm以上である場合には、トナー母体粒子表面に多少の凹凸があった場合でもキャリア粒子との接触しやすくなるので、シリコーンオイルがキャリア粒子に移行しやすく、十分な機能を発現しやすくなる。また、無機微粒子の個数平均一次粒子径が100nm以下である場合には、トナー母体粒子表面に存在する無機微粒子の量を確保しやすくなるので、シリコーンオイルをキャリア粒子に移行しやすくなり、十分な機能を発現しやすくなる。
本発明に係る外添剤に用いられる無機微粒子は、シリコーンオイルで表面修飾されている。
シリコーンオイルとしては、公知のものを用いることができ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、メタクリル酸変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル等を使用できる。
また、これらの中でも、シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイルを用いることが、コスト及び取り扱いの容易性の観点から好ましい。
また、表面修飾に用いるシリコーンオイルは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に係る外添剤は、シリコーンオイルでの表面修飾後に、外添剤表面の炭素含有量が3.0~10.0質量%の範囲内である。3.0質量%以上とすることで、シリコーンオイルを含有させた効果を発現しやすくでき、10質量%以下とすることで、無機微粒子からキャリア粒子へのシリコーンオイルの移行量が多くなりすぎることがなく、リード部白抜けの発生を抑えることができると推察される。
本発明に係る外添剤は、シリコーンオイルでの表面修飾後に、外添剤表面の遊離炭素率が70.0%以上である。70.0%以上とすることで、効率的にキャリア粒子にシリコーンオイルを移行することができ、本発明の効果を有効に発現することができる。
炭素含有量は、シリコーンオイルでの表面修飾後の外添剤を、CHN元素分析装置(CHNコーダー MT-5型(ヤナコ製))によって、定量炭素量を測定して算出した。
遊離炭素率の測定方法は、まず、BUCHI社製ソックスレー抽出装置を用い、外添剤の粉末0.7gを直径28mmの円筒濾紙に入れ、抽出溶媒にはヘキサンを使用し、抽出時間60分、リンス時間30分の条件で外添剤の粉末上の遊離シリコーンオイルを取り除く。シリコーンオイルを取り除いた後の外添剤を、CHN元素分析装置(CHNコーダー MT-5型(ヤナコ製))によって、定量炭素量を測定して算出した。そして、遊離炭素率は、下記の式により算出した。
C0:シリコーンオイルの抽出操作前における外添剤表面の炭素含有量
C1:シリコーンオイルの抽出操作後における外添剤表面の炭素含有量
本発明に係るシリコーンオイルは、25℃における動粘度が、50~500mm2/sの範囲内である。25℃における動粘度が、50mm2/s以上である場合には、シリコーンオイルがキャリア粒子に移行しやすくなり、十分な機能を発現しやすくなる。また、25℃における動粘度が、500mm2/s以下である場合には、キャリア粒子に移行したシリコーンオイルがキャリア粒子にとどまりやすくなることで、十分な機能を発現しやすくなる。
25℃における動粘度は、JIS K2283に準じた計測方法にて測定することができる。
本発明に係るトナー粒子は、外添剤として公知の他の外添剤をさらに含んでもよい。公知の他の外添剤としては、例えば、シリカ微粒子、酸化アルミニウム微粒子、酸化チタン微粒子などの無機酸化物微粒子、又は、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これら無機微粒子は、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上等のために、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等によって、光沢処理、疎水化処理等が行われていてもよい。
トナー粒子、すなわち、外添剤を添加した後の段階の粒子の体積平均粒径は、4.0μm以上10.0μm以下であることが好ましい。体積平均粒径が当該数値範囲であることにより、トナー粒子の流動性が向上し、トナー粒子の帯電量の立ち上がりの低下や画質の低下を抑制することができる。トナー粒子の体積平均粒径は、より好ましくは4.5μm以上8.0μm以下であり、さらに好ましくは、5.0μm以上7.5μm以下である。
トナー粒子の体積平均粒径は、具体的には、下記の方法により測定した体積基準のメディアン径(D50)を採用するものとする。
トナー粒子の体積基準のメディアン径(D50)は、「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」に、データ処理用のコンピューターシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。
測定手順としては、トナー粒子0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー粒子分散液を作製する。
このトナー粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTON II(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5~10%の範囲内になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを25000個に設定して測定する。
トナー粒子の体積平均粒径は、上述の製造方法における凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、又は融着時間等を制御することにより制御することができる。
トナー粒子の平均円形度は、0.98以下であることが好ましく、0.97以下であることがより好ましく、0.93~0.97の範囲内であることがさらに好ましい。このような範囲の平均円形度であれば、より帯電しやすいトナー粒子となる。
なお、平均円形度は、例えば、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(Sysmex社製)を用いて測定することができ、具体的には、以下の方法で測定することができる。
トナー粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA-3000」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000~10000個の範囲内の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある測定値が得られる。円形度は下記式で算出される。
円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
トナー粒子の平均円形度は、上述の製造方法における熟成処理時の温度、時間等を制御することにより制御することができる。
本発明のトナーを製造する方法としては、特に限定されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法など公知の方法が挙げられる。これらの中でも、粒径の均一性、形状の制御性観点からは、乳化凝集法を採用することが好ましい。以下、乳化重合法について説明する。
乳化凝集法とは、界面活性剤や分散安定剤によって分散された結着樹脂の粒子(以下、「結着樹脂粒子」ともいう)の分散液を、必要に応じて、着色剤の粒子(以下、「着色剤粒子」ともいう)の分散液と混合し、所望のトナー粒子径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。ここで、結着樹脂の粒子は、任意に離型剤、荷電制御剤などを含有していてもよい。
本発明に係るトナーの好ましい製造方法として、乳化凝集法を用いてコア-シェル構造を有するトナー粒子を得る場合の一例を以下に示す。
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂粒子が分散されてなる樹脂粒子分散液(コア用/シェル用樹脂粒子分散液)を調製する工程
(3)着色剤粒子分散液とコア用樹脂粒子分散液とを混合して凝集用樹脂粒子分散液を得て、凝集剤の存在下で着色剤粒子及び結着樹脂粒子を凝集、融着させてコア粒子としての凝集粒子を形成する工程(凝集・融着工程)
(4)コア粒子を含む分散液中に、シェル層用の結着樹脂粒子を含むシェル用樹脂粒子分散液を添加して、コア粒子表面にシェル層用の粒子を凝集、融着させてコア-シェル構造のトナー母体粒子を形成する工程(凝集・融着工程)
(5)トナー母体粒子の分散液(トナー母体粒子分散液)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程(洗浄工程)
(6)トナー母体粒子を乾燥する工程(乾燥工程)
(7)トナー母体粒子に外添剤を添加する工程(外添剤処理工程)。
上記(7)の外添剤処理工程について説明する。トナー母体粒子への外添剤の添加は、機械式混合装置を用いて行うことができる。機械式混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、タービュラーミキサー等が使用できる。これらの中で、ヘンシェルミキサーのように処理される粒子に剪断力を付与できる混合装置を用いて、混合時間を長くする又は撹拌羽根の回転周速を上げる等の混合処理を行えばよい。また、複数種類の外添剤を使用する場合、トナー粒子に対して全ての外添剤を一括で混合処理するか、又は外添剤に応じて複数回に分けて分割して混合処理してもよい。
外添剤の混合方法は、上記機械式混合装置を用いて、混合強度、すなわち撹拌羽根の周速、混合時間、又は、混合温度等を制御することによって外添剤の解砕度合いや付着強度を制御することができる。
n-ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「モーガルL」(キャボット社製、pH2、室温25℃)420質量部を徐々に添加した。
次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、カーボンブラック粒子が分散されてなる着色剤微粒子〔Bk〕の分散液を調製した。この分散液における着色剤微粒子〔Bk〕の粒径を、マイクロトラック粒度分布測定装置「UPA-150」(日機装社製)を用いて測定したところ、体積基準のメディアン径で85nmであった。
三ツ口フラスコに、1,9-ノナンジオール300gと、ドデカン二酸250gと、触媒Ti(OBu)4(カルボン酸モノマーに対し、0.014質量%)とを入れた混合液を調製し、その後、減圧操作により容器内の空気を減圧した。
さらに、窒素ガスを上記三ツ口フラスコに導入して当該フラスコ内を不活性雰囲気とし、上記混合液を機械撹拌しながら180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて未反応のモノマー成分を除去し、220℃まで徐々に昇温を行って12時間撹拌を行った。粘稠な状態となったところで冷却することにより、結晶性ポリエステル樹脂〔1〕を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂〔1〕の重量平均分子量(Mw)は19500であった。また、結晶性ポリエステル樹脂〔1〕の融点は75℃であった。なお、重量平均分子量(Mw)の測定と、融点測定は以下のように行った。
GPC装置「HLC-8220」(東ソー社製)及びカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM-M3連」(東ソー社製)を用いて、カラム温度を40℃に保持しながらキャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/分で流し、試料溶液10μLを上記装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出することにより求めた。
結晶性樹脂の融点は、示差走査熱量測定装置「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて、試料3.0mgをアルミニウム製パンに封入してホルダーにセットし、リファレンスとして空のアルミニウム製パンをセットし、昇降速度10℃/minで0℃から200℃まで昇温する第1昇温過程、冷却速度10℃/minで200℃から0℃まで冷却する冷却過程、及び昇降速度10℃/minで0℃から200℃まで昇温する第2昇温過程をこの順に経る測定条件(昇温・冷却条件)によってDSC曲線を得た。そして、このDSC曲線に基づいて、第1昇温過程における結晶性ポリエステル由来の吸熱ピークトップ温度を、融点とした。
以下の第1段重合~第3段重合によって、内添剤を含有した結着樹脂微粒子が分散されてなる樹脂微粒子(コア用樹脂微粒子〔L3〕)の分散液を調製した。
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4g及びイオン交換水3000gを仕込み、得られた混合液の窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、当該混合液の温度を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させた溶液を上記混合液に添加し、当該混合液の液温75℃とし、下記組成の単量体混合液を1時間かけて上記混合液に滴下し、その後、当該混合液を75℃にて2時間加熱、撹拌することにより上記単量体の重合を行い、樹脂粒子〔L1〕の分散液を調製した。
スチレン 568g
アクリル酸n-ブチル 164g
メタクリル酸 68g
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2gをイオン交換水3000gに溶解させた溶液を仕込み、得られた混合液を80℃に加熱した。
一方で、下記組成の単量体を80℃にて溶解させた溶液を調製した。
樹脂粒子〔L1〕 42g(固形分換算)
ベヘン酸ベヘニル 70g
結晶性ポリエステル樹脂〔1〕 70g
スチレン 195g
アクリル酸n-ブチル 91g
メタクリル酸 20g
n-オクチルメルカプタン 3g
次いで、過硫酸カリウム5gをイオン交換水100gに溶解させた開始剤溶液を調製し、上記分散液に添加し、得られた分散液を80℃にて1時間にわたって加熱撹拌して上記単量体の重合を行い、樹脂粒子〔L2〕の分散液を調製した。
上記の樹脂粒子〔L2〕の分散液に、さらに、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させた溶液を添加し、得られた分散液を80℃に維持し、下記組成の単量体混合液を1時間かけて上記分散液に滴下した。滴下終了後、得られた分散液を2時間にわたって加熱撹拌することにより上記単量体の重合を行い、その後、上記分散液を28℃まで冷却し、コア用樹脂微粒子〔L3〕の分散液を調製した。
スチレン 298g
アクリル酸n-ブチル 137g
アクリル酸n-ステアリル 50g
メタクリル酸 64g
n-オクチルメルカプタン 6g
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を付けた反応容器に、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム2.0gをイオン交換水3000gに溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、当該溶液の温度を80℃に昇温させた。この溶液に、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加して混合した。この混合液に、下記組成の単量体混合液を3時間かけて滴下した。滴下後、得られた混合液を80℃で1時間にわたって加熱、撹拌して上記単量体の重合を行い、シェル用樹脂微粒子〔S1〕の分散液を調製した。
スチレン 564g
アクリル酸n-ブチル 140g
メタクリル酸 96g
n-オクチルメルカプタン 12g
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、コア用樹脂微粒子〔L3〕の分散液360g(固形分換算)と、イオン交換水1100gと、着色剤微粒子〔Bk〕の分散液40gとを仕込み、得られた分散液の温度を30℃に調整した後、当該分散液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えて当該分散液を室温25℃でpH10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム60gをイオン交換水60gに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて上記分散液に添加した。添加後、分散液を30℃に3分間保持した後に昇温を開始し、上記分散液を60分間かけて85℃まで昇温し、当該分散液の温度を85℃に保持したまま粒子成長反応を継続し、コア粒子〔1〕の分散液を調製した。そこにシェル用樹脂微粒子〔S1〕の80g(固形分換算)を添加し、80℃にて1時間にわたって撹拌を継続し、コア粒子〔1〕の表面にシェル用樹脂微粒子〔S1〕を融着させてシェル層を形成させて樹脂粒子〔1〕を得た。
ここで、得られた分散液に、塩化ナトリウム150gをイオン交換水600gに溶解した水溶液を添加し、液温80℃にて熟成処理を行い、コア・シェル粒子〔1〕の平均円形度が0.960になった時点で30℃に冷却し、コア・シェル粒子〔1〕を得た。冷却後のコア・シェル粒子〔1〕の体積基準のメディアン径は、5.5μmであった。
コア・シェル粒子の個数基準のメディアン径は、個数粒度分布におけるメディアン径であり、「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」に、データ処理用のコンピューターシステムを接続した装置を用いて測定・算出することができる。
測定手順としては、コア・シェル粒子0.02gを、界面活性剤溶液20mL(コア・シェル粒子の分散を目的として、例えば、界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、コア・シェル粒子分散液を調製する。このコア・シェル粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5~10%になるまでピペットにて注入した。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定粒子カウント数を25000個に設定し、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)のアパーチャー径を100μmとし、測定範囲1~30μmの範囲を256分割しての頻度数を算出し、個数積算分率が大きい方から50%の粒径を個数基準のメディアン径とした。
コア・シェル粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(Sysmex社製)を用いて測定した値である。具体的には、コア・シェル粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA-3000」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000~10000個の適正濃度で測定を行った。この範囲であれば、再現性のある測定値が得られる。円形度は下記式で計算した。
式:コア・シェル粒子の円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
ここで、平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
凝集・融着工程にて生成したコア・シェル粒子〔1〕の分散液を遠心分離機で固液分離し、コア・シェル粒子〔1〕のウェットケーキを形成した。当該ウェットケーキを、前記遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(株式会社セイシン企業製)に移し、水分量が0.8質量%となるまで乾燥して、トナー母体粒子〔1〕を作製した。
個数平均一次粒径が30nmの気相法により作製されたシリカ微粒子100質量部に、窒素雰囲気下で撹拌しながら、25℃における動粘度が100mm2/sのシリコーンオイル(信越化学工業社製 KF 96 100cs、化合物A1)8質量部をヘキサン50質量部で希釈した溶液をスプレーした。この反応混合物を240℃で60分間、窒素気流化で撹拌して乾燥し、その後冷却して無機微粒子〔1〕を作製した。
表面修飾後の炭素含有量は2.5質量%、遊離炭素率は76%であった。
炭素含有量は、シリコーンオイルでの表面修飾後の無機微粒子〔1〕を、CHN元素分析装置(CHNコーダー MT-5型(ヤナコ製))によって、定量炭素量の測定して算出した。
遊離炭素率の測定方法は、まず、BUCHI社製ソックスレー抽出装置を用い、無機微粒子〔1〕の粉末0.7gを直径28mmの円筒濾紙に入れ、抽出溶媒にはヘキサンを使用し、抽出時間60分、リンス時間30分の条件で外添剤の粉末上の遊離シリコーンオイルを取り除いた。次に、シリコーンオイルを取り除いた後の無機微粒子を、CHN元素分析装置(CHNコーダー MT-5型(ヤナコ製))によって、定量炭素量の測定して算出した。そして、遊離炭素率は、下記の式により算出した。
C0:シリコーンオイルの抽出操作前における外添剤表面の炭素含有量
C1:シリコーンオイルの抽出操作後における外添剤表面の炭素含有量
無機微粒子〔1〕の作製において、用いた無機微粒子の種類、無機微粒子の個数平均一次粒子径、シリコーンオイル種類・動粘度・添加量、窒素気流化で撹拌する際の乾燥温度を表Iに示すように変更するほかは無機微粒子〔1〕の作製方法と同様にして無機微粒子〔2〕~〔20〕を得た。
また、表I中、シリコーンオイルの種類である、化合物A1~A6は下記のものを用いている。
A1:信越化学工業社製 KF-96-100cs
A2:信越化学工業社製 KF-96-10cs
A3:信越化学工業社製 KF-96-50cs
A4:信越化学工業社製 KF-96-300cs
A5:信越化学工業社製 KF-96-500cs
A6:信越化学工業社製 KF-96-500cs、信越化学工業社製 KF-96-1000cs
また、A6では、上記2種類のシリコーンオイルを混ぜて、動粘度を650mm2/sとしたものを用いた。
トナー母体粒子〔1〕に下記の外添剤粒子を添加し、ヘンシェルミキサー型式「FM20C/I」(日本コークス工業株式会社製)に添加し、羽根先端周速が40m/sとなるようにして撹拌翼の回転数を設定して15分間撹拌し、トナー〔1〕を作製した。
無機微粒子〔1〕 1.0質量部
疎水性チタニア 0.4質量部
なお、上記外添剤粒子のトナー母体粒子〔1〕への混合時の温度は40±1℃となるように設定した。当該温度が41℃になった場合は、ヘンシェルミキサーの外浴に冷却水を5L/分の流量で冷却水を流し、39℃になった場合は、当該冷却水の流量が1L/分となるように冷却水を流すことで、ヘンシェルミキサー内部の温度を制御した。
トナー〔1〕の作製において無機微粒子〔1〕を、無機微粒子〔2〕~〔20〕にそれぞれ変更すること以外は同様にして、トナー〔2〕~〔20〕を得た。
MnO換算で19.0モル%、MgO換算で2.8モル%、SrO換算で1.5モル%、Fe2O3換算で75.0モル%になるように各原材料を適量配合した。次に、これらの材料に、水を加え、湿式ボールミルで10時間粉砕、混合し、乾燥させ、950℃で4時間保持した。次に、湿式ボールミルで24時間粉砕を行ったスラリーを造粒乾燥し、撹拌装置を内蔵した焼成炉内に容積の5割量を添加して、周速10m/s、1300℃にて4時間保持した後、解砕し、粒子径35mmに粒度調整を行い芯材粒子〔1〕を得た。抵抗は、5.5×106Ω・cmであった。
芯材粒子〔1〕の作製において、1300℃にて4時間保持した後、解砕後に、ロータリーキルンで15rpm、700℃の条件で0.3時間加熱し、粒子径35mmに粒度調整を行い芯材粒子〔2〕を得た。抵抗は、8.5×106Ω・cmであった。
芯材粒子〔2〕の作製において、ロータリーキルンで15rpm、700℃の条件でそれぞれ表IIに示す処理時間に変更するほかは芯材粒子〔2〕の作製方法と同様にして芯材粒子〔3〕~〔5〕を得た。
上記で作製した芯材粒子〔1〕を100質量部と、被覆層用の樹脂粒子(メタクリル酸シクロヘキシル/メタクリル酸メチル(共重合比50/50)の共重合体樹脂微粒子、脂環式メタクリル酸エステル単量体であるメタクリル酸シクロヘキシルの含有量が被覆層に対して50質量%)を2.9質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、125℃で45分間、風速10m/sで撹拌混合して機械的衝撃力の作用で芯材粒子の表面に樹脂被覆層を形成した後、風速2m/sに下げて冷却を行い、樹脂で被覆されたキャリア粒子〔1〕を作製した。抵抗は、8.5×109Ω・cmであった。
キャリア粒子〔1〕の作製において、芯材粒子、樹脂量、樹脂種をそれぞれ表IIに示すように変更するほかはキャリア粒子〔1〕の作製方法と同様にしてキャリア粒子〔2〕~〔16〕を得た。
キャリア粒子〔1〕の作製において、共重合体樹脂微粒子とともに、カーボンブラック(数平均一次粒子径:30nm)0.29質量部を加えること以外は、キャリア粒子〔1〕の作製方法と同様にしてキャリア粒子〔17〕を得た。抵抗は、4.7×109Ω・cmであった。
トナー〔2〕及びキャリア粒子〔3〕を、二成分現像剤におけるトナーの含有量(トナー濃度)が6質量%となるようにして、V型混合機にて30分混合して二成分現像剤〔1〕を作製した。
現像剤〔1〕の作製において、トナーとキャリア粒子の組み合わせをそれぞれ表IIIに示すように変更した以外は、現像剤〔1〕の作製方法と同様にして現像剤〔2〕~〔37〕を得た。
市販の複合機「bizhub PRO C6501(コニカミノルタ社製)」を正転現像可能なように改造して、上記各現像剤を使用して印刷し、リード部白抜けの発生及び耐久後の現像リークについて評価した。各評価結果は、上記表IIIに示した。
温度10℃、相対湿度10%の環境下で上記複合機と評価用の紙を2日間放置し、印字率2.5%の画像をA4用紙に100枚出力した後、ハーフトーン画像のあとにベタ画像が印字されるような評価チャートを10枚出力し、ベタ画像後端部(ベタ画像部とハーフトーン画像との境界部分)の白抜け度合いを目視にて確認した。
評価基準は以下のとおりであり、◎、○及び△を実用上は問題ないとして合格とした。
◎:白抜けはほぼ見られない。
○:軽微な白抜けが見られる(後端部が白く靄がかって見える。)。
△:白抜けが確認できる(白抜け幅≦1.0mm)。
×:顕著な白抜けが確認できる(白抜け幅>1.0mm)。
温度20℃、湿度50%の環境下で、印字率5%の文字画像を25万枚プリント終了後、付着量が4.0g/m2となるように、現像バイアスの設定を行った。その後、ベタ画像を出力し、明らかな現像リークが発生しているか確認を行った。現像バイアスを50Vずつマイナス側に上げていき、ベタ画像により、同様に現像リークの発生有無を確認し、現像リークの発生した一番低い現像バイアスと初期の現像バイアスのΔVについて比較を行った。このΔVが200V以上のものについて、実用上は問題ないとして合格とした。
S 現像スリーブ
W1 感光体回転方向
W2 現像スリーブ回転方向
Claims (7)
- トナー母体粒子表面に外添剤を有するトナー粒子と、芯材粒子の表面に樹脂を含有する被覆層を有するキャリア粒子と、を含有する静電潜像現像用二成分現像剤であって、
前記外添剤が、無機微粒子を含有し、
前記無機微粒子の個数平均一次粒子径が、25~100nmの範囲内であり、
当該無機微粒子が、シリコーンオイルで表面修飾されており、当該表面修飾後の表面に残存する炭素含有量が3.0~10.0質量%の範囲内であり、かつ遊離炭素率が70.0%以上であり、
前記シリコーンオイルの25℃における動粘度が、50~500mm 2 /sの範囲内であり、
前記キャリア粒子の抵抗が、1.0×109~5.0×1010Ω・cmの範囲内であり、
前記樹脂が、脂環式メタクリル酸エステル単量体を含む単量体から形成される樹脂を含有することを特徴とする静電潜像現像用二成分現像剤。 - 前記シリコーンオイルが、ジメチルシリコーンオイルであることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用二成分現像剤。
- 前記無機微粒子が、シリカ微粒子又は酸化アルミニウム微粒子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電潜像現像用二成分現像剤。
- 前記芯材粒子の抵抗が、8.0×106~3.0×108Ω・cmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用二成分現像剤。
- 前記キャリア粒子の抵抗が、5.0×109~2.0×1010Ω・cmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用二成分現像剤。
- 前記被覆層が、前記脂環式メタクリル酸エステル単量体を含む単量体から形成される樹脂のみからなることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用二成分現像剤。
- 前記被覆層を形成する前記脂環式メタクリル酸エステル単量体の含有量が、25~75質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用二成分現像剤。
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