JP7200730B2 - 2成分現像剤 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明の実施態様としては、前記ケイ酸マグネシウム粒子の平均粒径が、前記アルミナ粒子の平均粒径よりも大きいことで、硬いアルミナに粒子よる感光体への傷を抑制できる。
また、前記アルミナ粒子の平均粒径が、10~50nmの範囲内であることで、外添剤としてトナーへの流動性を付与でき、研磨力が抑制されるため、感光体摩耗抑制による高耐久化が達成できる。
さらに、本発明に係る静電潜像現像用トナーと脂環式メタアクリレートモノマー重合体の樹脂被覆を有するキャリアとを含有することで、環状アルキル基ユニットにより、トナーとキャリアが衝突した際の衝撃が和らぎ、トナーからケイ酸マグネシウム粒子が脱離することを抑制する。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、トナー母体粒子表面に外添剤を有する静電潜像現像用トナーであって、前記外添剤がケイ酸マグネシウム粒子及びアルミナ粒子を含み、前記ケイ酸マグネシウム粒子の平均粒径が、前記アルミナ粒子の平均粒径よりも大きく、かつ前記ケイ酸マグネシウム粒子の平均粒径が20~100nmの範囲内であり、前記アルミナ粒子の平均粒径が、10~50nmの範囲内であることを特徴とする。
外添剤は、トナー粒子に、流動性、帯電性及びクリーニング性の向上などの目的で用いられる。本発明では、外添剤としてケイ酸マグネシウム粒子及びアルミナ粒子を含む。外添剤として。ケイ酸マグネシウムより硬いアルミナ粒子を静電潜像現像用トナーに同時に含有させておくことにより、特に小粒径化されたケイ酸マグネシウム粒子を外添剤として用いたときの問題であった、低印字時での飛散性を抑制することができる。
なお、その際の測定は、上記のトナー中におけるケイ酸マグネシウム粒子についての平均粒径の測定と同様にできる。
本発明に用いるケイ酸マグシウム粒子の平均粒径は、20~100nmの範囲内である。ケイ酸マグネシウム粒子の平均粒径は、100nmを超えると、静電潜像現像用トナーに付着しているときの現像剤の流動性を維持できない。また、20nm未満の場合、軟凝集されても解砕できなくなる。
ケイ酸マグネシウム粒子は上記の平均粒径を有してしていれば、特に制限なく使用することができる。また、ケイ酸マグネシウム粒子の平均粒径が、前記アルミナ粒子の平均粒径よりも大きい。このようにすることで、硬いアルミナ粒子は、より大きなケイ酸マグネシウム粒子の隙間に入り込むため、アルミナに粒子よる感光体への接触の機会が減少し傷を抑制できる。
ケイ酸マグネシウム粒子は、公知の製造方法で製造することができる。例えば、特開2003-327470号公報などに記載の方法が挙げられる。この製造方法は、ケイ酸マグネシウム粒子が、微粒子タイプで化学組成が均一である点で好ましい。
アルミナ粒子は、Al2O3で表される酸化アルミニウムを含有し、酸化アルミニウムには、α型、γ型、σ型またその混合体等の形態が知られており、形状としてもその結晶系の制御によって立方形状のものから球状のものまである。
本発明に用いるアルミナ粒子は、ケイ酸マグネシウム粒子より小さい。アルミナ粒子の平均粒径は、10~50nmの範囲内である。
アルミナは、公知の方法により作製することができる。アルミナを作製する方法としては、バイヤー法が一般的であるが、高純度かつナノサイズのアルミナを得るために、加水分解法(住友化学製)、気相合成法(シーアイ化成製)、火炎加水分解法(日本アエロジル製)、水中火花放電法(岩谷化学製)等を挙げることができる。
また、アルミナ表面は表面修飾されていることが好ましく、疎水化度は40~70体積%の範囲内であることが好ましい。そうすることで、環境差による変動の抑制とキャリアへ移行した際の帯電量変動を抑制することができる。また表面修飾された際の表面修飾剤の遊離率は0質量%であることが好ましい。遊離した表面修飾剤が存在すると、それがキャリアに移行し帯電量変動が大きくなってしまう。
遊離率は、以下の(1)~(3)の定量方法によって測定することができる。
(1)対象の抽出試料をクロロホルムに浸漬、撹拌し、放置する。遠心分離により上澄み液を除去した後の固形分に、新たにクロロホルムを加え、撹拌し、放置する。この操作を繰り返し、遊離物を取り除く。
(2)炭素量の定量炭素量の定量は、CHN元素分析装置(CHNコーダー MT-5型(ヤナコ製))により測定した。
(3)遊離率は、下記の式により求めた。
遊離率=(C0-C1)/C0×100(%)
C0:抽出操作前の試料中炭素量
C1:抽出操作後の試料中炭素量
疎水化度は粉体濡れ性試験機(WET-101P;株式会社レスカ製)を用いて、次のように測定を行い求めることができる。
アルミナ粒子の表面修飾剤としては、一般的なカップリング剤やシリコーンオイルや脂肪酸、脂肪酸金属塩などを用いることができるが、シラン化合物やシリコーンオイルが好ましい。
本発明に用いられる表面修飾剤は、特に好ましくは、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシランが挙げられる。
本発明のトナーは、本発明の効果を損なわない範囲内で、外添剤として、公知の他の外添剤をさらに含んでもよい。外添剤としては、例えば、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子などの無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、又は、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これら無機微粒子は、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上等のために、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等によって、光沢処理、表面修飾等が行われていてもよい。
トナー母体粒子は、決着樹脂を含有し、その他必要に応じて、着色剤、離型剤(ワックス)、荷電制御剤などの他の構成成分を含有してもよい。
トナー母体粒子に含まれる結着樹脂は、結晶性樹脂とともに非晶性樹脂を含んでいることが好ましい。
(非晶性樹脂)
非晶性樹脂は、当該樹脂について示差走査熱量測定(DSC)を行った時に、融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂である。非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に制限されないが、低温定着性などの定着性、並びに、耐熱保管性及び耐ブロッキング性などの耐熱性を確実に得る観点から、25~60℃であることが好ましい。なお、本明細書中、樹脂のガラス転移温度(Tg)は実施例に記載の方法により測定された値を採用する。
上記のビニル樹脂のなかでも、熱定着時の可塑性を考慮すると、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル樹脂が好ましい。したがって、以下では、非晶性樹脂としてのスチレン-(メタ)アクリル酸エステル樹脂(以下、「スチレン-(メタ)アクリル樹脂」とも称する)について説明する。
スチレン単量体の具体例としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-フェニルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン等が挙げられる。これらスチレン単量体は、単独でも又は2種以上組み合わせても用いることができる。
また、当該樹脂中の(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構成単位の含有率は、当該樹脂の全量に対し、10~60質量%であると好ましい。
さらに、スチレン-(メタ)アクリル樹脂は、上記スチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体に加え、以下の単量体化合物を含んでいてもよい。
スチレン-(メタ)アクリル樹脂中の上記単量体化合物に由来する構成単位の含有率は、当該樹脂の全量に対し、0.5~20質量%であることが好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)単量体と、2価以上のアルコール(多価アルコール)単量体との重合反応によって得られるポリエステル樹脂のうち、非晶性を示す樹脂である。公知のエステル化触媒を利用して、後述の多価カルボン酸単量体及び多価アルコール単量体を重合する(エステル化する)ことにより、非晶性ポリエステル樹脂を形成することができる。
非晶性ポリエステル樹脂の合成に使用できる多価カルボン酸単量体としては、特に限定されず、公知のものを使用でき、例えば、非晶性ポリエステル重合セグメントに使用できるものと同様のものが使用できる。
非晶性ポリエステル樹脂の合成に使用できる多価アルコール単量体としては、特に限定されず、公知のものを使用できる。
使用可能なエステル化触媒としては、特に限定されず、公知のものを使用できる。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000~100000の範囲内とすることができる。
非晶性ポリエステル樹脂の酸価は、JIS K0070-1992に記載の方法(電位差滴定法)に準拠して測定することができる。測定において、溶剤はテトラヒドロフランとイソプロピルアルコールを体積比1:1で混合したものを使用する。
結晶性樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は結着樹脂の一つであり、結晶性を示すポリエステル樹脂であれば制限なく、公知の結晶性ポリエステル樹脂を使用できる。結晶性を示すとは、DSCにより得られる吸熱曲線において、融点すなわち昇温時に明確な吸熱ピークを有することをいう。明確な吸熱ピークとは、10℃/minの昇温速度で昇温したときの吸熱曲線において半値幅が15℃以内のピークをいう。
含有量が、1質量%以上であれば十分な低温定着性が得られ、30質量%以下であれば帯電性の低下によるトナーの飛散を抑えることができる。
結晶性ポリエステル樹脂は、上述した非晶性ポリエステル樹脂と同様にして公知のエステル化触媒を利用して、後述の結晶性ポリエステル樹脂の合成に使用できる多価カルボン酸単量体及び多価アルコール単量体を用い形成することができる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性樹脂とのハイブリッド樹脂であることが好ましい。
このようなハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂は、非晶性樹脂中に結晶性樹脂が均一に微分散するように、非晶性樹脂との親和性を調整することができる。
ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂は、非晶性樹脂セグメントがマトリクス相である非晶性樹脂との親和性が高いため、結晶性樹脂セグメントの分子鎖が配列しやすくなり、十分な結晶性を示すことができる。
着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、又はランプブラックなどが使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、又はコバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、又はマグネタイトなどの強磁性金属の化合物などを用いることができる。
離型剤としては、公知の種々のワックスを用いることができる。ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.1~30質量部であることが好ましく、より好ましくは1~10質量部である。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、離型剤の融点は、電子写真におけるトナーの低温定着性及び離型性の観点から、50~95℃であることが好ましい。
荷電制御剤粒子を構成する荷電制御剤としては種々の公知のもので、かつ水系媒体中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩、又はその金属錯体などが挙げられる。
本発明のトナーを製造する方法としては、特に限定されず混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法など公知の方法が挙げられる。
これらの中でも、粒径の均一性、形状の制御性観点から、乳化凝集法を採用することが好ましい。
乳化凝集法とは、界面活性剤や分散安定剤によって分散された結着樹脂の粒子(以下、「結着樹脂粒子」ともいう)の分散液を、必要に応じて、着色剤の粒子(以下、「着色剤粒子」ともいう)の分散液と混合し、所望のトナー粒子径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。ここで、結着樹脂の粒子は、任意に離型剤、荷電制御剤などを含有していてもよい。
(1)水系媒体中に着色剤粒子が分散されてなる着色剤粒子分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂粒子が分散されてなる樹脂粒子分散液(コア用/シェル用樹脂粒子分散液)を調製する工程
(3)着色剤粒子分散液とコア用樹脂粒子分散液とを混合して凝集用樹脂粒子分散液を得て、凝集剤の存在下で着色剤粒子及び結着樹脂粒子を凝集、融着させてコア粒子としての凝集粒子を形成する工程(凝集・融着工程)
(4)コア粒子を含む分散液中に、シェル層用の結着樹脂粒子を含むシェル用樹脂粒子分散液を添加して、コア粒子表面にシェル層用の粒子を凝集、融着させてコア-シェル構造のトナー母体粒子を形成する工程(凝集・融着工程)
(5)トナー母体粒子の分散液(トナー母体粒子分散液)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程(洗浄工程)
(6)トナー母体粒子を乾燥する工程(乾燥工程)
(7)トナー母体粒子に外添剤を添加する工程(外添剤処理工程)
本発明に係るトナーは、磁性又は非磁性の1成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して2成分現像剤として使用する。
キャリアは、芯材粒子表面を被覆用樹脂で被覆してなるキャリアを含む。具体的には、本発明の2成分現像剤に用いられるキャリアは、脂環式メタアクリレートモノマー重合体の樹脂被覆を有するキャリアである。
キャリア粒子を構成する芯材粒子は、例えば、鉄粉などの金属粉の他、各種フェライトなどから構成される。これらの中では、フェライトが好ましい。
フェライトとしては、銅、亜鉛、ニッケル、マンガンなどの重金属を含有するフェライトやアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有する軽金属フェライトが好ましい。
フェライトは、式:(MO)x(Fe2O3)yで表される化合物で、フェライトを構成するFe2O3のモル比yを30~95モル%とすることが好ましい。組成比yが前記範囲の値となるフェライトは、所望の磁化を得やすいので、キャリア付着を起こしにくいキャリアを作製できるなどのメリットを有する。式中のMは、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、コバルト(Co)、リチウム(Li)などの金属原子で、これらを単独又は複数種類組み合わせて使用することが可能である。
芯材粒子の体積平均粒径(D50)は、レーザー回折式粒度分布測定装置「HEROS KA」(株式会社日本レーザー製)を用いて、湿式法にて測定することができる。具体的には、まず、焦点位置200mmの光学系を選択し、測定時間を5秒に設定する。そして、測定用の磁性体粒子を0.2質量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液に加え、超音波洗浄機「US-1」(アズワン株式会社製)を用いて3分間分散させて測定用試料分散液を作製し、これを「HEROS KA」に数滴供給し、試料濃度ゲージが測定可能領域に達した時点で測定を開始する。得られた粒度分布を粒度範囲(チャンネル)に対して、小径側から累積分布を作成し、累積50%となる粒径を体積平均粒径(D50)とする。
本発明に係る被覆用樹脂は、メタクリル酸シクロヘキシル及びメタクリル酸メチルの共重合体の樹脂被膜を有する。環状アルキル基ユニットが存在すること、つまり分子の一部に嵩高い部分が存在することにより、トナーとキャリアがぶつかった際の衝撃が和らぐため、トナーからケイ酸マグネシウム粒子が脱離することを抑制できる。
キャリア粒子表面における芯材粒子の露出部の測定は、XPS測定(X線光電子分光測定)により芯材粒子に対する被覆用樹脂の被覆率を下記の方法で測定し求められる。
XPS測定装置としては、サーモフィッシャーサイエンティフィック製、K-Alphaを使用し、測定は、X線源としてAlモノクロマチックX線を用い、加速電圧を7kV、エミッション電流を6mVに設定して実施し、被覆用樹脂を構成する主たる元素(通常は炭素)と、芯材粒子を構成する主たる元素(通常は鉄)とについて測定する。
[外添剤の作製]
(ケイ酸マグネシウム粒子の作製)
(ケイ酸マグネシウム粒子1の作製)
Mg(OH)2粉末のスラリーとSiO2粉末(平均一次粒子径0.02μm)をMgO:SiO2(モル比)で2:1となる様に秤量し、MgO濃度71.5g/L、SiO2濃度53.3g/Lで150Lのスラリーとし、サンドグラインダーミルにて、メディアに0.6mmφのジルコニア系ビーズを用い、メディア充填率80%、送液速度4.0L/min、スラリーパス回数3パスの条件で湿式粉砕を行った。スラリーをスプレードライヤーで噴霧乾燥し、電気炉にて大気中で1100℃で30分焼成を行った。その後、焼成品を300g/Lとなるようにスラリー化して、50Lをサンドグラインダーミルにて、メディアに0.6mmφのジルコニア系ビーズを用い、メディア充填率80%、送液速度5.6L/min、スラリーパス回数3パスの条件で湿式粉砕を行った。スラリーをスプレードライヤーで噴霧乾燥し、サンドミルにて粉砕し、ケイ酸マグネシウム粒子1を作製した。
ケイ酸マグネシウム粒子1の作製において、メディアを0.6mmφから0.8mmφのジルコニア系ビーズに変えて使用する以外は、ケイ酸マグネシウム粒子1の作製と同様にしてケイ酸マグネシウム粒子2を作製した。
ケイ酸マグネシウム粒子1の作製において、スラリーパス回数を3パスから8パスに変える以外は、ケイ酸マグネシウム粒子1の作製と同様にしてケイ酸マグネシウム粒子3を作製した。
ケイ酸マグネシウム粒子1の作製において、メディアを0.6mmφから0.4mmφのジルコニア系ビーズに変えて使用し、さらにスラリーパス回数を3パスから10パスに変える以外は、ケイ酸マグネシウム粒子1の作製と同様にしてケイ酸マグネシウム粒子4を作製した。
ケイ酸マグネシウム粒子1の作製において、メディアを0.6mmφから0.8mmφのアルミナシリカ系ビーズに変えて使用する以外は、ケイ酸マグネシウム粒子1の作製と同様にしてケイ酸マグネシウム粒子5を作製した。
(アルミナ粒子1の作製)
本発明に係るアルミナの製造方法の一例として、特開2012-224542号公報の記載内容を参考にしてヨーロッパ特許第0585544号明細書の実施例1中に記載された公知のバーナー装置に適合させて作製を行った。
上記で得られたアルミナ粒子1を反応容器に入れて、窒素雰囲気下、粉末を回転羽根で撹拌しながら、アルミナ粉体100gに対して表面修飾剤イソブチルトリメトキシシラン20gをヘキサン60gで希釈させたものを添加し、200℃120分加熱撹拌後冷却水で冷却し、アルミナ粒子1を得た。
アルミナの粒径は、火炎温度、水素又は酸素の含有率、三塩化アルミニウムの品質、火炎中での滞留時間又は凝集ゾーンの長さを変更によって制御することができる。これらの条件を適宜調整して、表IIに記載の平均粒径の異なるアルミナ粒子2~4を得た。
上記作製したケイ酸マグネシウム粒子とアルミナ粒子の平均粒径の一覧を表I及び表IIに示す。
なお、平均粒径は前記した方法で、走査型電子顕微鏡「JSM-7401F」(日本電子(株)製)を用いて測定した。
〔スチレン-アクリル(StAc)樹脂粒子分散液〕
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム(C10H21(OCH2CH2)2SO3Na)よりなるアニオン系界面活性剤4質量部をイオン交換水3040質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を仕込んだ。さらに、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、液温を75℃に昇温させた。
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、スチレン101.1質量部、n-ブチルアクリル酸62.2質量部、メタクリル酸12.3質量部及びn-オクチルメルカプタン1.75質量部からなる重合性単量体溶液を仕込んだ。さらに、離型剤としてパラフィンワックスHNP-57(日本製蝋社製)93.8質量部を添加し、内温を90℃に加温して溶解させることによって、単量体溶液を調製した。
分散液中のスチレン-アクリル樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)は、23000であった。
第2段重合において得られたスチレン-アクリル樹脂粒子の分散液に、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加した。この分散液に、80℃の温度条件下で、スチレン293.8質量部、n-ブチルアクリル酸154.1質量部及びn-オクチルメルカプタン7.08質量部からなる重合性単量体溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、スチレン-アクリル樹脂粒子の分散液を得た。分散液中のスチレン-アクリル樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)は、26800であった。
加熱乾燥した3口フラスコに、多価カルボン酸単量体としてドデカン二酸355.8質量部、多価アルコール単量体として1,9-ノナンジオール254.3質量部及び触媒としてオクチル酸スズ3.21質量部を添加した。減圧操作により容器内の空気を抜いた後、窒素ガスにより置換して不活性雰囲気とし、機械撹拌にて180℃で5時間還流処理を行った。不活性雰囲気のまま徐々に昇温し、200℃で3時間撹拌を行って粘稠な液体状の生成物を得た。さらに空冷しながら、この生成物の分子量をGPCで測定し、重量平均分子量(Mw)が15000に至ったところで減圧を解除して重縮合反応を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂は、融点が69℃であった。
分散液中の結晶性ポリエステル樹脂粒子の体積基準のメジアン径を粒度分布測定器「Nanotrack Wave(マイクロトラックベル社製)を用いて測定したところ、173nmであった。
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー及び精留塔を備えた反応容器に、多価カルボン酸単量体として、テレフタル酸139.5質量部、イソフタル酸15.5質量部を、多価アルコール単量体として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンプロピレンオキサイド2モル付加物(分子量=460)290.4質量部、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンエチレンオキサイド2モル付加物(分子量404)60.2質量部を仕込んだ。反応系の温度を1時間かけて190℃に上昇させ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、触媒としてオクチル酸スズを3.21質量部を投入した。生成される水を留去しながら、反応系の温度を同温度から6時間かけて240℃に上昇させ、240℃に維持した状態で脱水縮合反応を6時間継続して行い、非晶性ポリエステル樹脂を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂は、ピーク分子量(Mp)が12000、重量平均分子量(Mw)が15000であった。
分散液中の非晶性ポリエステル樹脂粒子の体積基準のメジアン径を粒度分布測定器「Nanotrack Wave(マイクロトラックベル社製)を用いて測定したところ、216nmであった。
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラックリーガル330R(キャボット社製)420質量部を徐々に添加した。次いで、撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液を調製した。
撹拌装置、冷却管及び温度センサーを備えた5リットルのステンレス製反応器に、一段目投入分散液として、スチレン-アクリル樹脂粒子分散液を270質量部(固形分換算)、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を270質量部(固形分換算)、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を60質量部(固形分換算)、着色剤粒子分散液を48質量部(固形分換算)投入した。さらに、イオン交換水380質量部を投入して、撹拌しながら5(モル/リットル)の水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを10に調整した。
上記のようにして作製した「トナー母体粒子1」に対し、
・ケイ酸マグネシウム1 0.5質量%
・アルミナ粒子1 0.5質量%
の外添剤を添加し、ヘンシェルミキサー型式「FM20C/I」(日本コークス工業(株)製)に添加し、羽根先端周速が40m/sとなるようにして回転数を設定して20分間撹拌し、トナー粒子1からなる「トナー1」を作製した。
トナー1の作製において、キャリアと外添剤の種類を表IIIのように変えてトナー2からトナー12を作製した。
なお、トナー11の作製においては、アルミナ粒子の代わりに、シリカ粒子(日本アエロジル社製 NAX50 平均粒径28nm)を使用した。
また、トナー12の作製においては、アルミナ粒子の代わりに、チタニア粒子(チタン工業社製 STT100H 平均粒径20nm)を使用した。
(キャリア芯材粒子1の作製)
MnO:35mol%、MgO:14.5mol%、Fe2O3:50mol%及びSrO:0.5mol%になるように原料を秤量し、水と混合した後、湿式のメディアミルで5時間粉砕してスラリーを得た。
その後、解砕し、さらに分級して粒度調整し、その後磁力選鉱により低磁力品を分別し、キャリア芯材粒子1を得た。キャリア芯材粒子1の粒径は35μmであった。
0.3質量%のベンゼンスルホン酸ナトリウムの水溶液中に、メタクリル酸シクロヘキシル及びメタクリル酸メチルを「質量比=50:50」(共重合比)で添加し、単量体総量の0.5質量%にあたる量の過硫酸カリウムを添加して乳化重合を行い、スプレードライで乾燥することで、「被覆材1」を作製した。得られた被覆材1における重量平均分子量は50万であった。
芯材被覆用樹脂1の作製において、メタクリル酸メチルのみで被覆材2を作製した。
(キャリア1の作製)
水平撹拌羽根付き高速撹拌混合機に、芯材粒子として上記で準備した「キャリア芯材粒子1」100質量部と、「被覆材1」を4.5質量部投入し、水平回転翼の周速が8m/secとなる条件で、22℃で15分間混合撹拌した後、120℃で50分混合して機械的衝撃力(メカノケミカル法)の作用で芯材粒子の表面に被覆材を被覆させて、「キャリア1」を製造した。
キャリア1の作製において、被覆材1の代わりに被覆材2を用いてキャリア2を作製した。
上記のようにして作製したトナー1~12とキャリア1~2について、配合比をキャリア100質量部に対してトナー6質量部とし、常温常湿(温度10℃、相対湿度20%RH、温度30℃、相対湿度80%RH)環境下で、Vブレンダを用いてトナーとキャリアを混合することにより行った。Vブレンダの回転数を20rpm、撹拌時間を20分にして処理を行い、さらに、混合物を目開き125μmのメッシュで篩い分けて表IIIに示したトナーとキャリアの組み合わせで現像剤1~13を作製した。
[トナー流動性の評価]
トナー流動性の指標として、川北式かさ密度測定機(IH2000型)により嵩密度を求めた。具体的な嵩密度の測定方法は以下のとおりである。
△:すり切り嵩密度が35g/100ml以上40g/100ml未満である(トナー流動性が実用可能)
×:すり切り嵩密度が35g/100ml未満である(トナー流動性が不良)
画像形成装置「bizhub PRESS C1070」(コニカミノルタ社製)を用い、シアンの現像装置に、現像剤1~13を順次装填し、常温常湿(温度20℃、相対湿度50%RH)の環境で評価を行った。
トナー飛散の評価は、以下の評価基準により評価し、本発明では◎、○又は△を合格とした。
○:現像ローラ付近の上蓋に飛散したトナーの付着が見られる
△:現像ユニットの上蓋の一部に飛散したトナー付着が見られる
×:ユーザーが現像ユニットを交換した後、手洗いが必要なほどトナー飛散が認められる
前記画像形成装置を用い、シアンの印字率5%の文字画像をA4の上質紙(64g/m2)に20万枚プリントした後の現像剤を抜き取り、現像剤20gを8mLのスクリューバイアルに入れて、15cmの高さから現像剤をスクリューバイアルから自由落下させ、以下に示す評価基準で現像剤流動性のランク評価を行った。
◎:容器からさらさらと一定量で流れ落ちる
○:容器から不定量で流れ落ちる
△:容器を軽く叩くと流れ落ちる
×:容器を強く叩くと流れ落ちる
前記画像形成装置を用い、シアンの印字率5%の文字画像をA4の上質紙(64g/m2)に20万枚プリント、その後印字率45%の文字画像をA4の上質紙(64g/m2)に20万枚プリントを印刷後において、ハーフトーン画像を出力し、感光体の表面傷による画像上のスジの有無を評価した。評価した感光体はシアン位置に設置された感光体である。
◎:10万枚印字後にハーフトーン画像に問題なし(良好)
○:10万枚印字後にハーフトーン画像にスジは見えないが、画像にざらつき感がある(実用上問題なし)
×:10万枚印字後にハーフトーン画像に表面傷によるスジが確認できる(実用上問題あり)
前記画像形成装置を用い、シアンの印字率5%の文字画像をA4の上質紙(64g/m2)に20万枚プリント、その後印字率45%の文字画像をA4の上質紙(64g/m2)に20万枚プリントを印刷後に、感光体の表面層の厚さを測定し、表面層の減耗量を算出し、下記の評価基準に従って評価した。厚さの測定は渦電流式膜厚測定機「フィッシャースコープMMS PC」(フィッシャーインストルメンツ社製)を用いた。
◎:減耗量が0.3μm以内である場合(合格)
○:減耗量が0.3μmより大きく0.6μm以内である場合(合格)
△:減耗量が0.6μmより大きく1.0μm以内である場合(合格)
×:減耗量が1.0μmより大きい場合(不合格)
Claims (1)
- トナー母体粒子表面に外添剤を有する静電潜像現像用トナーとキャリアとを含有する2成分現像剤であって、前記外添剤がケイ酸マグネシウム粒子及びアルミナ粒子を含み、前記ケイ酸マグネシウム粒子の平均粒径が、前記アルミナ粒子の平均粒径よりも大きく、かつ前記ケイ酸マグネシウム粒子の平均粒径が20~100nmの範囲内であり、前記アルミナ粒子の平均粒径が、10~50nmの範囲内であり、前記キャリアがメタクリル酸シクロヘキシル及びメタクリル酸メチルの共重合体の樹脂被覆を有することを特徴とする2成分現像剤。
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