JP2016148786A - 静電荷像現像剤、画像形成方法、及び、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、磁性キャリアコア粒子と該磁性キャリアコア粒子の表面を被覆している被覆層とを有する磁性コートキャリアであって、前記被覆層が少なくともゾルゲル法によって形成された金属酸化物であり、且つ、該金属酸化物はカップリング剤又はオルガノアルコキシシランを含有して成ることを特徴とする磁性コートキャリアが記載されている。
特許文献2には、芯材の表面が粒子状の金属酸化物を含む樹脂層により被覆されているキャリアと、粒子状の金属酸化物が表面に添加されているトナーとを含み、前記樹脂層に含まれている金属酸化物の組成は、前記トナーに添加されている金属酸化物の組成と同一であることを特徴とする現像剤が記載されている。
特許文献3には、磁性を有する芯材粒子と該芯材粒子の表面を被覆する樹脂被覆層とからなるキャリア粒子をトナー粒子と混合してなる現像剤であって、前記樹脂被覆層が、白色の導電性微粒子を含み、該導電性微粒子が、基材となる粒子の表面上に二酸化スズを含む下層と二酸化スズ及び酸化インジウムを含む上層とを少なくとも積層してなる、アスペクト比3〜200の針状あるいは棒状の微粒子である現像剤が記載されている。
<1>キャリア、及び、トナーを少なくとも含み、前記キャリアの表面に、結晶子径が12.0〜16.0nmであるチタン酸化物粒子が、前記キャリアの全重量に対して、0.03〜0.15重量%存在することを特徴とする静電荷像現像剤、
<2>前記キャリアが、フェライト粒子を含み、前記フェライト粒子の表面における凹凸の平均間隔Sm及び算術平均粗さRaが、下記式をいずれも満たし、前記フェライト粒子のBET比表面積が、0.08〜0.14cm2/gである、<1>に記載の静電荷像現像剤、
1.0≦Sm(μm)≦3.5
0.2≦Ra(μm)≦0.7
<3>前記キャリアが、磁性粒子、及び、前記磁性粒子を被覆する樹脂被覆層を有し、前記樹脂被覆層が、下記式(1)で表される構成単位を有する樹脂を含む、<1>又は<2>に記載の静電荷像現像剤、
<5>像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体に転写する転写手段と、前記トナー像を定着する定着手段と、を有し、前記現像剤が、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
上記<2>に記載の発明によれば、キャリアにおけるフェライト粒子の表面が、1.0≦Sm≦3.5μm、かつ、0.2≦Ra≦0.7μmを満たさないか、又は、フェライト粒子のBET比表面積が、0.08cm2/g未満若しくは0.14cm2/gを超える場合に比べて、形成する画像に白抜けの発生を抑制することができる静電荷像現像剤を提供することができる。
上記<3>に記載の発明によれば、キャリアが、前記式(1)で表される構成単位を有する樹脂を含む被覆樹脂層を有しない場合に比べて、形成する画像の濃度安定性に優れる静電荷像現像剤を提供することができる。
上記<4>に記載の発明によれば、キャリア表面に存在する、結晶子径が12.0〜16.0nmであるチタン酸化物粒子の量が、キャリアの全重量に対して、0.03重量%未満又は0.15重量%を超える場合に比べて、形成する画像の濃度ムラが少ない画像形成方法を提供することができる。
上記<5>に記載の発明によれば、キャリア表面に存在する、結晶子径が12.0〜16.0nmであるチタン酸化物粒子の量が、キャリアの全重量に対して、0.03重量%未満又は0.15重量%を超える場合に比べて、形成する画像の濃度ムラが少ない画像形成装置を提供することができる。
本実施形態の静電荷像現像剤(以下、単に「現像剤」ともいう。)は、キャリア、及び、トナーを少なくとも含み、前記キャリアの表面に、結晶子径が12.0〜16.0nmであるチタン酸化物粒子を、前記キャリアの全重量に対して、0.03〜0.15重量%存在することを特徴とする。
上記場合において、マグロール上では、トナーとキャリアを起因とする電荷リークが生じやすく、電荷リークが大きいと、トナー帯電量は減少し、感光体へ移行しやすくなることで現像性が上がる。更に、マグロールの回転速度や、現像剤中のトナー濃度が変化すると、電荷リークの大きさが変わりやすく現像性が変化する。その結果、画像濃度が安定しなくなる。
従来、外添剤によるトナーの表面抵抗や、キャリアの抵抗、帯電速度などを調整することで、画像濃度の安定性を改善しているが、従来の方法では、トナー濃度が変化する状況下で、印刷速度が変化した時に、画像濃度を十分に安定させることは困難であった。
本発明者等が詳細に検討した結果、キャリアの表面に、結晶子径が12.0〜16.0nmであるチタン酸化物粒子を、キャリアの全重量に対して、0.03〜0.15重量%存在することにより、形成する画像の濃度ムラが少ない静電荷像現像剤が得られることを見いだした。
本実施形態の静電荷像現像剤の構成であると、マグロールの速度やトナー濃度が変化しても、電荷リークが変化し難く、現像性が安定化する。
酸化チタン等のチタン酸化物は、チタン原子のd軌道にある空軌道への電子の移動から抵抗を下げやすい。このとき、磁場の存在下では、磁気モーメントをもつ電子が固定化されやすく抵抗が下がりにくい。よって、キャリア表面にチタン酸化物粒子が適量存在すると、マグロール上での電荷リークが抑えられ、現像性が安定すると推定している。
しかし、現像器内の撹拌による帯電においては、帯電速度が遅くなり、経時で帯電が上がるチャージアップ現象が起こりやすい。一方で、チタン酸化物粒子の結晶子径が12.0〜16.0nmであると、帯電速度を上げつつチャージアップを抑えることができる。これは、結晶中のイオンの偏りにより帯電速度が上がるのと同時に、結晶子径が適度であり、粒界間のイオンの動きが阻害されることで帯電が過剰に上がることがなくなるためであると推定される。
したがって、結晶子径が12.0〜16.0nmのチタン酸化物粒子がキャリア表面に適量存在することで、これらの問題が解決すると考えられる。
本実施形態の静電荷像現像剤は、キャリア、及び、トナーを少なくとも含み、前記キャリアの表面に、結晶子径が12.0〜16.0nmであるチタン酸化物粒子が、前記キャリアの全重量に対して、0.03〜0.15重量%存在する。
前記磁性粒子としては、公知の材料を用いることができる。例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、これらの磁性金属とマンガン、クロム、希土類等との合金、酸化鉄、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、マトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型磁性粒子が挙げられる。
前記樹脂分散型磁性粒子に用いられる樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
中でも、磁性粒子としては、磁性酸化物粒子であることが好ましく、フェライト粒子であることがより好ましい。
磁性粒子の磁力は、1,000エルステッドにおける飽和磁化が50emu/g以上100emu/g以下であることが好ましく、60emu/g以上100emu/g以下であることがより好ましい。飽和磁化が50emu/g以上100emu/g以下であると、磁気ブラシの硬度が適度に保たれるため細線再現性が向上し、また、キャリアがトナーとともに、感光体上に現像されてしまうことを抑制することができる。
例えば、測定試料を内径7mm、高さ5mmのセルに詰めて前記装置にセットする。測定は印加磁場を加え、最大1,000エルステッドまで掃引する。次いで、印加磁場を減少させ、記録紙上にヒステリシスカーブを作製する。カーブのデータより、飽和磁化、残留磁化、保持力を求めることができる。なお、本実施形態においては、飽和磁化は1,000エルステッドの磁場において測定された磁化を示す。
R2及びR3は、同じ基であっても、異なっていてもよいが、同じ基であることが好ましい。
R2及びR3のアルキル基の炭素数は、1〜8であることが好ましく、1〜6であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1又は2であることが特に好ましい。
また、R2及びR3のアルキル基は、直鎖であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。中でも、メチル基又はエチル基であることが特に好ましい。
式(1)で表される構成単位を有する樹脂としては、ジメチルアミノエチルアクリレートの単独重合体であっても、共重合体であってもよいし、高分子反応により式(1)で表される構成単位を形成した樹脂であってもよい。
式(1)で表される構成単位を有する樹脂の形成に用いられる、前記式(2)で表される化合物以外のモノマーとしては、特に制限はなく、公知のエチレン性不飽和化合物を用いることができるが、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、シクロアルキル(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましく、アルキル(メタ)アクリレート化合物及び/又はシクロアルキル(メタ)アクリレート化合物であることが更に好ましく、シクロヘキシルメタアクリレートであることが特に好ましい。
すなわち、式(1)で表される構成単位を有する樹脂は、ジメチルアミノエチルアクリレートの単独重合体であることがより好ましい。
中でも、アクリル樹脂であることが好ましく、シクロヘキシルアクリレートの単独重合体又は共重合体であることがより好ましく、シクロヘキシルアクリレートの単独重合体であることが特に好ましい。
帯電制御剤は、例えば、ニグロシン染料、ベンゾイミダゾール系化合物、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料、トリフェニルメタン系化合物、サリチル酸金属塩錯体、アゾ系クロム錯体、銅フタロシアニンなど、公知のいかなるものでも構わない。
帯電制御剤の添加量としては、磁性粒子を100重量部としたとき、0.001重量部以上5重量部以下であることが好ましく、0.01重量部以上0.5重量部以下であることがより好ましい。上記範囲であると、樹脂被覆層の強度が十分であり、使用時のストレスにより変質が生じにくいキャリアが得られ、また、導電材料の分散性に優れる。
中でも、熱溶融により磁性粒子の表面に樹脂被覆層を形成する方法が好ましい。
溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆層を形成する方法としては、ヘンシェルミキサー中、180℃〜250℃において、樹脂及び磁性粒子を撹拌し、その後、撹拌を継続したまま冷却し、キャリアを作製する方法等が挙げられる。
樹脂被覆層の平均膜厚(μm)は、磁性粒子の真比重をρ(無次元)、磁性粒子の体積平均粒径をd(μm)、樹脂被覆層の平均比重をρC、磁性粒子100重量部に対する樹脂被覆層の全含有量をWC(重量部)とすると、下記式(A)以下のようにして求めることができる。
式(A):平均膜厚(μm)={[キャリア1個当たりの被覆樹脂量(導電粉等の添加物もすべて含む)/キャリア1個当たりの表面積]}/樹脂被覆層の平均比重
={[4/3π・(d/2)3・ρ・WC]/[4π・(d/2)2]}/ρC
=(1/6)・(d・ρ・WC/ρC)
なお、樹脂被覆層の被覆率は、XPS測定により求めることができる。XPS測定装置としては、例えば、日本電子(株)製、JPS80を使用し、測定は、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を20mVに設定して実施し、樹脂被覆層を構成する主たる元素(通常は炭素)と、磁性粒子を構成する主たる元素(例えば磁性粒子がマグネタイトなどの酸化鉄系材料の場合は鉄及び酸素)とについて測定する(以下、磁性粒子が、酸化鉄系である場合を前提に説明する。)。ここで、炭素についてはC1sスペクトルを、鉄についてはFe2p3/2スペクトルを、酸素についてはO1sスペクトルを測定する。
これらの各々の元素のスペクトルに基づいて、炭素、酸素、鉄の元素個数(AC+AO+AFe)を求めて、得られた炭素、酸素、鉄の元素個数比率より下記式(B)に基づいて、磁性粒子単体、及び、磁性粒子を樹脂被覆層で被覆した後(キャリア)の鉄量率を求め、続いて、下記式(C)により被覆率を求めた。
式(B):鉄量率(atomic%)=AFe/(AC+AO+AFe)×100
式(C):被覆率(%)={1−(キャリアの鉄量率)/(磁性粒子単体の鉄量率)}×100
なお、磁性粒子として、酸化鉄系以外の材料を用いる場合には、酸素の他に磁性粒子を構成する金属元素のスペクトルを測定し、上述の式(B)や式(C)に準じて同様の計算を行えば被覆率を求めることができる。
キャリアの体積平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LS Particle Size Analyzer:LS13 320、ベックマン−コールター社製)を用いて測定する。
磁気特性の測定としての装置は振動試料型磁気測定装置VSMP10−15(東英工業(株)製)を用いる。測定試料は内径7mm、高さ5mmのセルに詰めて前記装置にセットする。測定は印加磁場を加え、最大1,000エルステッドまで掃引する。次いで、印加磁場を減少させ、記録紙上にヒステリシスカーブを作製する。カーブのデータより、飽和磁化、残留磁化、保持力を求める。本実施形態においては、飽和磁化は1,000エルステッドの磁場において測定された磁化を示す。
キャリアの体積電気抵抗が1×1015Ω・cm以下であると、高抵抗にならず、現像時の現像電極としての働きに優れ、特にベタ画像部でエッジ効果が生じず、ソリッド再現性に優れる。一方、1×107Ω・cm以上であると、抵抗が適度であり、現像剤中のトナー濃度が低下した時に現像ロールからキャリアへ電荷の注入が生じにくく、キャリア自体を現像する現象が生じにくい。
また、キャリアの体積電気抵抗は、磁性粒子の体積電気抵抗と同様にして測定を行うことが好ましい。
また、前記キャリアにおけるフェライト粒子は、その表面における算術平均粗さRaが、0.2〜0.7μmであることが好ましく、0.4〜0.6μmであることがより好ましい。上記範囲であると、形成される画像において、白抜けの発生がより抑制される。
更に、前記キャリアにおけるフェライト粒子のBET比表面積が、0.08〜0.14cm2/gであることが好ましい。上記範囲であると、形成される画像において、白抜けの発生がより抑制される。
また、前記キャリアにおけるフェライト粒子は、Sm、Ra及びBET比表面積がいずれも上記範囲であることが好ましい。
磁性粒子表面の凹凸平均間隔Sm、算術平均粗さRaの具体的な測定方法は、磁性粒子50個について、超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500、(株)キーエンス製)を用い、倍率3,000倍で表面を換算して求める方法である。
凹凸平均間隔Smは、観察した磁性粒子表面の3次元形状から粗さ曲線を求め、該粗さ曲線が平均線と交差する交点から求めた山谷一周期の間隔の平均値を求める。Sm値を求める際の基準長さは10μmであり、カットオフ値は0.08mmである。
算術平均粗さRaは、粗さ曲線を求め、該粗さ曲線の測定値と平均値までの偏差の絶対値を合計し平均することで、Ra値を求める。Ra値を求める際の基準長さは10μmであり、カットオフ値は0.08mmである。
これらSm値、Ra値の測定はJIS B0601(1994年度版)に準じて行う。
また、本実施形態におけるフェライト粒子のBET比表面積の測定方法は、以下に示す方法により測定される。
SA3100比表面積測定装置(ベックマン−コールター社製)を窒素置換、3点法にて行う。具体的には、キャリア5gをセルに入れ、60℃、120分の脱気処理を行い、窒素とヘリウムとの混合ガス(30:70)を用いて行う。
本実施形態の静電荷像現像剤におけるキャリアは、その表面に、結晶子径が12.0〜16.0nmであるチタン酸化物粒子が、前記キャリアの全重量に対して、0.03〜0.15重量%存在する。
前記チタン酸化物粒子は、キャリア表面において、遊離状態でないことが好ましく、キャリア表面にチタン酸化物粒子が固定化されていることがより好ましい。
キャリア表面におけるチタン酸化物粒子の存在量は、前記キャリアの全重量に対して、0.03〜0.15重量%であり、0.035〜0.10重量%であることが好ましく、0.04〜0.10重量%であることがより好ましく、0.05〜0.10重量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、形成する画像における濃度ムラをより少なくさせられる。
なお、本実施態様における「結晶子」とは、多結晶体を構成する個々の単結晶、又は、非晶質中に観測される単結晶を意味する。
また、本実施態様における「結晶子径」は、結晶体を構成する最小単位の結晶子の平均径を表す。
本実施形態におけるチタン酸化物粒子の結晶子径の測定方法は、以下の通りである。
本実施形態における結晶子径は、次のようにして求める。
X線回折装置を用いて、目的の結晶体を測定し、以下のScherrerの式から求める。
D=K×λ/(β×cosθ)
D:結晶子径(nm)、
K:Scherrer定数、
λ:X線波長、
β:回折線の拡がり、
θ:回折角(2θ/θ)
また、前記チタン酸化物粒子におけるチタン酸化物としては、酸化チタン(TiO2)、メタチタン酸(TiO(OH)2)、又は、これらの混合物であることが好ましく、メタチタン酸、又は、これらの混合物であることがより好ましい。
更に、前記チタン酸化物粒子は、メタチタン酸粒子、又は、酸化チタン/メタチタン酸混合粒子であることが特に好ましい。
前記チタン酸化物粒子における他の成分としては、後述する表面処理剤由来の化合物が挙げられる。
前記メタチタン酸としては、硫酸法により合成されたものを用いてもよい。
硫酸法としては、チタン鉱石、イルメナイト鉱(FeTiO3)、酸化チタン(TiO2)等を濃硫酸中で加熱し溶解して、硫酸チタン(Ti(SO4)2)の溶液を作製し、これを加熱加水分解することにより、粒子状のメタチタン酸を得る方法が好ましく挙げられる。
チタン酸化物粒子の疎水化処理方法としては特に限定はなく、公知の疎水化処理剤を用いて処理することができる。
疎水化処理剤としては特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤若しくはアルミニウム系カップリング剤等のカップリング剤、又は、シリコーンオイル等が挙げられる。疎水化処理剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、その他のカップリング剤としては、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤等が挙げられる。
カップリング剤を用いて疎水化処理をするには、チタン酸化物粒子のスラリーにカップリング剤を添加すればよい。
疎水化処理に用いられるシリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル等が挙げられる。
シリコーンオイルを用いて疎水化処理をする方法としては、例えば、一般的なスプレードライ方式が挙げられるが、表面処理できれば特に限定されるものではない。
本実施形態においては、アルコキシシランにより疎水化処理されたチタン酸化物粒子が均一処理(疎水化度が高い)の点から好ましい。
これらの中でも、疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン、イソブチルトリアルコキシシラン、オクチルトリアルコキシシラン、及び、シリコーンオイルが好ましい。
疎水化処理剤の使用量としては、チタン酸化物粒子100重量部に対して、5〜80重量部であることが好ましく、10〜50重量部であることがより好ましい。
本実施形態において、チタン酸化物粒子の数平均粒子径とは、下記方法により測定された粒子径をいう。
電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用い、静電荷像現像剤の10,000倍の画像から100個のチタン酸化物粒子を抜き出し、その径の平均を取り、数平均粒径を算出する。
本実施形態において、チタン酸化物粒子の抵抗とは、下記方法により測定された体積電気抵抗値をいう。
常温常湿下(温度20℃、湿度50%RH)で、チタン酸化物粒子を2×10−4m2の断面積を有する容器に厚み約1mm程度になるように充填し、その後、充填した酸化チタンに、金属製部材により、1×104kg/m2の荷重をかける。該金属製部材と、容器の底面電極との間に10,000V/mの電界が生じる電圧を印加し、その際の電流値から算出した値をチタン酸化物粒子の抵抗(体積電気抵抗値)とする。
本実施形態におけるチタン酸化物粒子の100℃〜500℃でのTGA減量分は、次のようにして測定するものする。
TGA減量分の測定は、JIS K 7120−1987(プラスチックの熱重量測定方法)によって測定する。具体的な条件は気体としては乾燥空気を用い、これを50ml/分で、測定前1時間から流入する。試験片の量は102mgで行い、加熱は30℃から800℃まで行う。TGA減量分(熱減量)は100℃における重量をa、500℃における重量をbとして、以下の式によって求める。
TGA減量分(重量%)=100(a−b)/a
本実施形態の静電荷像現像剤は、キャリア、及び、トナーを少なくとも含む。
前記トナーとしては、トナー母粒子、及び、外添剤を含むものであることが好ましい。
前記トナーは、トナー母粒子を含むことが好ましい。
本実施形態に用いられるトナー母粒子は、結着樹脂を少なくとも含有し、必要に応じて、着色剤及び離型剤等を含有する。
トナー母粒子が含有する結着樹脂としては、特に制限はないが、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類などの単量体からなる単独重合体、又はこれらを2種以上組み合わせて得られる共重合体、更にはこれらの混合物が挙げられる。また、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合樹脂、又は、これらと前記ビニル樹脂との混合物や、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等が挙げられる。
スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂及びこれらの共重合樹脂を結着樹脂として使用する場合、重量平均分子量Mwが20,000以上100,000以下、数平均分子量Mnが2,000以上30,000以下の範囲のものを使用することが好ましい。
結着樹脂としては、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂、及び、ポリエステル樹脂が好ましく挙げられ、スチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂、及び、ポリエステル樹脂がより好ましく挙げられる。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。更に、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
三価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
更に、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、エチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸成分を含有することがより好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸は、エチレン性不飽和二重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐために好適に用いられる。このようなジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
三価以上の多価アルコールとしては、例えば、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂(「非結晶性ポリエステル樹脂」ともいう。)では、前記した原料モノマーの中でも、二価以上の第二級アルコール及び/又は二価以上の芳香族カルボン酸化合物が好ましい。二価以上の第二級アルコールとしては、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセロール等が挙げられる。これらの中では、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が好ましい。
二価以上の芳香族カルボン酸化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸及びトリメリット酸が好ましく、テレフタル酸及びトリメリット酸がより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂では、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとからなることが好ましく、主鎖部分の炭素数が4〜20である直鎖型ジカルボン酸、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。直鎖型であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、結晶融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。また、炭素数が4以上であると、エステル結合濃度が低く、電気抵抗が適度であり、トナー帯電性に優れる。また、20以下であると、実用上の材料の入手が容易である。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。
脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
三価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオール成分の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。前記脂肪族ジオール成分の含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度の測定には、示差走査熱量計を用い、室温(20℃)から180℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121:87に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、結晶性ポリエステル樹脂は、複数の融解ピークを示す場合があるが、本実施形態においては、最大のピークをもって融解温度とする。
ここで、非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値のことをいう。
また、本実施形態におけるガラス転移温度の測定は、例えば、示差走査熱量測定法に従い、例えば、「DSC−20」(セイコー電子工業(株)製)によって測定でき、具体的には、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱し、ベースラインと吸熱ピークの傾線との交点よりガラス転移温度が得られる。
また、非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、5,000〜100,000であることが好ましく、10,000〜90,000であることがより好ましく、20,000〜80,000であることが更に好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が、それぞれ上記の数値の範囲内であると、画像強度と定着性が両立されるので好ましい。上記の重量平均分子量は、いずれもテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による分子量測定で得られる。樹脂の分子量はTHF可溶物をTSK−GEL(GMH(東ソー(株)製))等を使用して、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出される。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調整等の目的で、酢酸、安息香酸等の一価の酸や、シクロヘキサノールベンジルアルコール等の一価のアルコールも用いられる。
ポリエステル樹脂は、上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造してもよい。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150℃〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価や分子量に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造される。
トナー母粒子における結着樹脂の含有量としては、特に制限はないが、トナーの全重量に対して、10〜95重量%であることが好ましく、25〜90重量%であることがより好ましく、45〜85重量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、定着性、帯電特性等に優れる。
本実施形態において、得られる画像の着色を目的として、トナー母粒子は、着色剤を含有することが好ましい。
着色剤としては、公知のものを用いることができ、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性等の観点から任意に選択すればよい。
着色剤は、染料であっても顔料であってもよいが、耐光性や耐水性の観点から、顔料であることが好ましい。また、着色剤は有色着色剤に限定されるものではなく、白色着色剤、金属色を呈する着色剤であってもよい。
また、着色剤としては、金属顔料が好ましく挙げられる。
マゼンタトナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントレッド1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同8、同9、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同16、同17、同18、同19、同21、同22、同23、同30、同31、同32、同37、同38、同39、同40、同41、同48、同49、同70、同51、同52、同53、同54、同55、同57、同58、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同163、同184、同185、同202、同206、同207、同209、同238等、ピグメントバイオレット19のマゼンタ顔料や、C.I.ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同81、同82、同83、同84、同100、同109、同121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同12、同13、同14、同15、同17、同18、同22、同23、同24、同27、同29、同32、同34、同35、同36、同37、同38、同39、同40等のマゼンタ染料等、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ロータミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどが用いられる。
イエロートナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントイエロー2、同3、同15、同16、同17、同74、同93、同97、同128、同155、同180、同185、同139等のイエロー顔料などが用いられる。
また、ブラックトナーにおいては、その着色剤として、例えば、カーボンブラック、活性炭、チタンブラック、磁性粉、Mn含有の非磁性粉などが用いられる。また、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー顔料を混合して、ブラックトナーとしてもよい。
着色剤としては、表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用してもよい。上記着色剤の種類を選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等のカラートナーが調製される。
本実施形態において、トナー母粒子は離型剤を含有することが好ましい。
離型剤の具体例としては、例えば、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンとポリプロピレンの共重合物が好ましいが、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナウバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベフェニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、或いは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
離型剤の含有量は、トナー母粒子100重量部に対して、1〜20重量部であることが好ましく、3〜15重量%であることがより好ましい。上記範囲であると、良好な定着性及び画質特性の両立が可能である。
前記トナーは、外添剤を含有することが好ましい。
前記トナーは、帯電調整、流動性付与、電荷交換性付与等を目的として、例えば、シリカ、酸化チタン、メタチタン酸、酸化アルミニウムに代表される外添剤を有することができる。これらは、例えば、V型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等によって行うことができ、段階を分けて付着させることができる。
本実施形態に用いられる外添剤としては、公知の外添剤が挙げられるが、無機粒子を用いることが好ましい。
前記無機粒子の材質としては、シリカ、酸化チタン、及び/又は、メタチタン酸が好ましい。
外添剤としては、メタチタン酸粒子を含むことが好ましく、メタチタン酸粒子、及び、シリカ粒子を含むことがより好ましい。
また、外添剤として用いるシリカ粒子は、疎水化処理されたシリカ粒子であることが好ましい。疎水化処理としては、特に制限はなく、公知の疎水化処理が挙げられ、例えば、ヘキサメチルジシラザン処理が好適に挙げられる。
本実施形態において、トナー母粒子は上記の成分に加え、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、特に制限はなく、公知の成分が挙げられ、例えば、帯電制御剤、滑剤、研磨剤等が挙げられる。
前記トナーの体積平均粒径は、2〜9μmであることが好ましく、3.0〜7.0μmであることがより好ましい。上記範囲であると、本実施形態の効果がより発揮される。
なお、トナーの体積平均粒径の測定は、コールターマルチサイザー−II型(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用することが好ましい。
測定法として具体的には、以下の方法が挙げられる。
分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を1.0mg加える。これを前記電解液100ml中に添加して試料を懸濁した電解液を作製する。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザー−II型により、アパーチャー径として50μmアパーチャーを用いて1〜30μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布、個数平均分布を求める。なお、測定する粒子数は、50,000とする。
GSDv={(D84v)/(D16v)}0.5 (1)
(式(1)中、D84v及びD16vは、それぞれ分割された粒度範囲に対して小粒径側から体積累積分布曲線を描いたときに累積84%、16%となる粒径である。)
GSDvが上記範囲であると、トナー帯電量が過剰に大きくなる粒子の発生が抑制されるため、多次色の細線再現性の悪化が更に抑制される。
ここで上記形状係数SF1は、下記式(E)により求められる。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(E)
上記式(E)中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
前記SF1は、主に顕微鏡画像又は走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出することができる。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式(E)によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
本実施形態に用いられるトナーの製造方法は、特に限定されず、公知である混練・粉砕製法等の乾式法や、乳化凝集法や懸濁重合法等の湿式法等によって作製される。これらの方法の中でも、乳化凝集法が好ましい。
以下、乳化凝集法による本実施形態のトナーの製造方法について詳しく説明する。
例えば、樹脂粒子分散液の作製は、水系媒体と樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより行うことが好ましい。その際、加熱して樹脂成分の粘性を下げて粒子を形成することがより好ましい。また、分散した樹脂粒子の安定化のため、分散剤を使用してもよい。更に、樹脂が油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、該樹脂をそれらの溶剤に溶かして水系媒体中に分散剤や高分子電解質とともに粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液を作製してもよい。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類;などが挙げられるが、水のみであることが好ましい。
また、乳化工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
樹脂粒子の大きさとしては、その平均粒径(体積平均粒径)は、60nm以上300nm以下の範囲であることが好ましく、150nm以上250nm以下の範囲であることがより好ましい。上記範囲であると、樹脂粒子の凝集性が十分であり、かつ、トナーの粒径分布を狭くすることができる。
分散処理により、好ましくは体積平均粒径が1μm以下の離型剤粒子を含む離型剤分散液を得ることができる。なお、より好ましい離型剤粒子の体積平均粒径は、100nm以上500nm以下である。
前記凝集工程においては、樹脂粒子分散液、離型剤分散液、着色剤粒子分散液等を混合して混合液とし、非結晶性樹脂粒子のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成することが好ましい。凝集粒子の形成は、撹拌下、混合液のpHを酸性にすることによってなされる。
pHとしては、2以上7以下の範囲が好ましく、2.2以上6以下の範囲がより好ましく、2.4以上5以下の範囲がトナーの粒度分布を狭くするという点から更に好ましい。この際、凝集剤を使用することも有効である。
なお、凝集工程において、離型剤分散液は、樹脂粒子分散液等の各種分散液とともに一度に添加・混合してもよいし、複数回に分割して添加してもよい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。前記無機金属塩の添加回数を増加させることにより、よりGSDvが小さなトナーが得られる。
融合工程においては、前記凝集工程に準じた撹拌条件下で、凝集粒子の懸濁液のpHを3以上9以下の範囲に上昇させることにより凝集の進行を止め、前記結晶性樹脂の溶融温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させることが好ましい。また、前記非結晶性樹脂で前記凝集粒子を被覆した場合には、該非結晶性樹脂も融合しコア凝集粒子を被覆することが好ましい。前記加熱の時間としては、融合がされる程度行えばよく、好ましくは0.5時間以上10時間以下行えばよい。
融合後に冷却し、融合粒子が得られる。また、冷却の工程で、結晶性樹脂の溶融温度近傍(溶融温度±10℃の範囲)で冷却速度を落とす、いわゆる徐冷をすることで結晶化を促進してもよい。
外添工程におけるトナー母粒子の表面に外添剤を外添する方法としては、特に制限はなく、公知の方法が用いられ、例えば、機械的方法、又は、化学的方法で付着させる方法が挙げられる。
更に必要に応じ、超音波篩分機、振動篩分機、風力篩分機などを使って、トナーの粗大粒子を外添後取り除いてもよい。
本実施形態のトナーを用いた画像形成方法について説明する。本実施形態の静電荷像現像剤は、公知の電子写真方式を利用した画像形成方法に利用される。具体的には以下の工程を有する画像形成方法において利用される。
すなわち、好ましい画像形成方法は、少なくとも像保持体を帯電させる帯電工程と、前記像保持体表面に静電潜像を形成する露光工程と、前記像保持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記トナー像を定着する定着工程と、を含み、前記現像剤が、本実施形態の静電荷像現像剤である。また、転写工程は、静電荷潜像保持体から被転写体へのトナー像の転写を媒介する中間転写体を用いたものであってもよい。
また、転写後の前記像保持体表面の残留トナーを除去するクリーニング工程を有することも好ましい。
前記静電潜像形成工程は、像保持体(感光体)上に静電潜像を形成する工程である。
前記現像工程は、現像剤保持体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。前記現像剤層としては、本実施形態の静電荷像現像用トナーを含んでいれば特に制限はない。
前記転写工程は、前記トナー画像を被転写体上に転写する工程である。また、転写工程における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
前記定着工程では、例えば、加熱ローラの温度を一定温度に設定した加熱ローラ定着器により、転写紙上に転写したトナー像を定着して複写画像を形成する方式が挙げられる。
前記クリーニング工程は、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去する工程である。
被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体を使用することができる。
被記録媒体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される紙、OHPシート等が挙げられ、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
本実施形態の静電荷像現像剤を備えた画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体に転写する転写手段と、前記トナー像を定着する定着手段と、を有し、前記現像剤が、本実施形態の静電荷像現像剤であることが好ましい。
なお、本実施形態の画像形成装置は、上記のような像保持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段と、を少なくとも含むものであれば特に限定はされないが、その他必要に応じて、クリーニング手段、除電手段等を含んでいてもよい。
前記転写手段では、中間転写体を用いて2回以上の転写を行ってもよい。また、転写手段における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
また、本実施形態の画像形成装置においては、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去するクリーニング手段を備えることが好ましい。
クリーニング手段としては、例えば、クリーニングブレード、クリーニングブラシなどが挙げられるが、クリーニングブレードが好ましい。
本実施形態の現像剤カートリッジは、本実施形態の静電荷像現像剤を少なくとも収容している現像剤カートリッジである。
また、本実施形態のプロセスカートリッジは、本実施形態の静電荷像現像剤を収容し、かつ前記静電荷像現像剤を保持して搬送する現像剤保持体を備えるプロセスカートリッジであり、像保持体表面上に形成された静電潜像を前記静電荷像現像用トナー又は前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、像保持体、前記像保持体表面を帯電させるための帯電手段、及び、前記像保持体表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段よりなる群から選ばれる少なくとも1種と、を備え、本実施形態の静電荷像現像剤を少なくとも収容しているプロセスカートリッジであることが好ましい。
また、現像剤カートリッジは、トナー及びキャリアを収納するカートリッジであってもよく、トナーを単独で収納するカートリッジとキャリアを単独で収納するカートリッジとを別体としたものでもよい。
本実施形態のプロセスカートリッジは、画像形成装置に脱着されることが好ましい。
また、本実施形態のプロセスカートリッジは、その他必要に応じて、除電手段等、その他の部材を含んでもよい。
プロセスカートリッジとしては、公知の構成を採用してもよく、例えば、特開2008−209489号公報、及び、特開2008−203736号公報等が参照される。
結晶子径は、結晶体を構成する最小単位の結晶子の平均径を表す。
本実施例における結晶子径は、次のようにして求めた。
X線回折装置を用いて、目的の結晶体を測定し、以下のScherrerの式から求める。
D=K×λ/(β×cosθ)
D:結晶子径(nm)、
K:Scherrer定数、
λ:X線波長、
β:回折線の拡がり、
θ:回折角(2θ/θ)
常温常湿下(温度20℃、湿度50%RH)で、チタン酸化物粒子を2×10−4m2の断面積を有する容器に厚み約1mm程度になるように充填し、その後、充填した酸化チタンに、金属製部材により、1×104kg/m2の荷重をかけた。該金属製部材と、容器の底面電極との間に10,000V/mの電界が生じる電圧を印加し、その際の電流値から算出した値を体積電気抵抗値とした。
現像剤を、16μmメッシュで4kg/cm2のブロー圧で、エアブローし、X線電子分光(XPS)でTi量を測定した。Ti量の振れたサンプルによる検量線を作成し、定量した。
X線電子分光分析装置として、日本電子(株)製ESCA−9000MXを用い、キャリアを試料ホルダーに固定し、ESCAのチャンバー内に挿入した。チャンバーの真空度を1×10−6Pa以下とし、励起源としてはMg−Kαを用い、出力を200Wとした。以上の条件下で、磁性体粒子及びキャリアのXPSスペクトルを測定し、検出された元素のTiピークの面積強度の比からTi量を算出した。
電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用い、10,000倍の画像から100個のチタン酸化物粒子を抜き出し、その径の平均を取り、数平均粒径を算出した。
フェライト粒子50個について、超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500、(株)キーエンス製)を用い、倍率3,000倍で表面を換算して求めたである。
凹凸平均間隔Smは、観察したフェライト粒子表面の3次元形状から粗さ曲線を求め、該粗さ曲線が平均線と交差する交点から求めた山谷一周期の間隔の平均値を求めた。Sm値を求める際の基準長さは10μmであり、カットオフ値は0.08mmとした。
算術平均粗さRaは、粗さ曲線を求め、該粗さ曲線の測定値と平均値までの偏差の絶対値を合計し平均することでRa値を求めた。Ra値を求める際の基準長さは10μmであり、カットオフ値は0.08mmとした。
これらSm値、Ra値の測定はJIS B0601(1994年度版)に準じて行った。
SA3100比表面積測定装置(ベックマン−コールター社製)を窒素置換、3点法にて行った。具体的には、フェライト粒子5gをセルに入れ、60℃、120分の脱気処理を行い、窒素とヘリウムとの混合ガス(30:70)を用いて行った。
<<着色剤分散液1>>
シアン顔料:銅フタロシアニンB15:3(大日精化工業(株)製):50重量部
アニオン性界面活性剤:ネオゲンSC(第一工業製薬(株)製):5重量部
イオン交換水:200重量部
上記を混合し、IKA社製ウルトラタラックスにより5分間、更に超音波バスにより10分間分散し、固形分21%の着色剤分散液1を得た。(株)堀場製作所製粒度測定器LA−700にて体積平均粒径を測定したところ160nmであった。
パラフィンワックス:HNP−9(日本精鑞(株)製):19重量部
アニオン性界面活性剤:ネオゲンSC(第一工業製薬(株)製):1重量部
イオン交換水:80重量部
上記を耐熱容器中で混合し、90℃に昇温して30分、撹拌を行った。次いで、容器底部より溶融液をゴーリンホモジナイザーへと流通し、5MPaの圧力条件のもと、3パス相当の循環運転を行った後、圧力を35MPaに昇圧し、更に3パス相当の循環運転を行った。こうして出来た乳化液を前記耐熱溶液中で40℃以下になるまで冷却し、離型剤分散液1を得た。(株)堀場製作所製粒度測定器LA−700にて体積平均粒径を測定したところ240nmであった。
−油層−
スチレン(和光純薬工業(株)製):30重量部
アクリル酸n−ブチル(和光純薬工業(株)製):10重量部
β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華(株)製):1.3重量部
ドデカンチオール(和光純薬工業(株)製):0.4重量部
−水層1−
イオン交換水:17重量部
アニオン性界面活性剤(ダウファックス、ダウケミカル社製):0.4重量部
−水層2−
イオン交換水:40重量部
アニオン性界面活性剤(ダウファックス、ダウケミカル社製):0.05重量部
ペルオキソ二硫酸アンモニウム(和光純薬工業(株)製):0.4重量部
上記の油層成分と水層1の成分とをフラスコに入れて撹拌混合し単量体乳化分散液とした。反応容器に上記水層2の成分を投入し、容器内を窒素で十分に置換し、撹拌をしながらオイルバスで反応系内が75℃になるまで加熱した。反応容器内に上記の単量体乳化分散液を3時間かけて徐々に滴下し、乳化重合を行った。滴下終了後更に75℃で重合を継続し、3時間後に重合を終了させた。
得られた樹脂粒子は、レーザー回析式粒度分布測定装置LA−700((株)堀場製作所製)で樹脂粒子の体積平均粒径D50vを測定したところ250nmであり、示差走査熱量計(DSC−50、(株)島津製作所製)を用いて昇温速度10℃/分で樹脂のガラス転移点を測定したところ53℃であり、分子量測定器(HLC−8020、東ソー(株)製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として数平均分子量(ポリスチレン換算)を測定したところ13,000であった。これにより体積平均粒径250nm、固形分42%、ガラス転移点52℃、数平均分子量Mnが13,000の樹脂粒子分散液1を得た。
樹脂粒子分散液1:150重量部
着色剤分散液1:30重量部
離型剤分散液1:40重量部
ポリ塩化アルミニウム:0.4重量部
上記の成分をステンレス製フラスコ中でIKA社製のウルトラタラックスを用い十分に混合、分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら48℃まで加熱した。48℃で80分保持した後、ここに上記と同じ樹脂粒子分散液1を緩やかに70重量部追加した。
その後、濃度0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて系内のpHを6.0に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、撹拌軸のシールを磁力シールして撹拌を継続しながら97℃まで加熱して3時間保持した。反応終了後、降温速度を1℃/分で冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を行った。これを更に40℃のイオン交換水3,000重量部を用いて再分散し、15分間300rpmで撹拌・洗浄した。この洗浄操作を更に5回繰り返し、濾液のpHが6.54、電気伝導度6.5μS/cmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo.5A濾紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続してトナー母粒子を得た。
トナー母粒子の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ6.2μmであり、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20であった。ルーゼックス社製のルーゼックス画像解析装置で形状観察を行ったところ、粒子の形状係数SF1は135でポテト形状であることが観察された。また、トナーのガラス転移点は52℃であった。更に、このトナーに、ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」と略す場合がある。)で表面疎水化処理した一次粒子平均粒径40nmのシリカ(SiO2)粒子と、メタチタン酸とイソブチルトリメトキシシランとの反応生成物である一次粒子平均粒径20nmのメタチタン酸化合物粒子とを、トナー粒子の表面に対する被覆率が40%となるように添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、トナーを作製した。
<<コート液1の調製>>
シクロヘキシルアクリレート樹脂(重量平均分子量5万):36重量部
カーボンブラック VXC72(キャボット社製):4重量部
トルエン:250重量部
イソプロピルアルコール:50重量部
上記成分とガラスビーズ(粒径:1mm、トルエンと同量)とを関西ペイント(株)製サンドミルに投入し、回転速度1,200rpmで30分間撹拌し、固形分11%のコート液1を調製した。
Fe2O3を1,597重量部、Mn(OH)2を890重量部、SrCO3を37重量部混合し、更にポリビニルアルコールを6.6重量部加え、分散剤としてポリカルボン酸を10ppmと、水とメディア径1mmのジルコニアビーズと共に、サンドミルで解砕混合した。次に、スプレードライヤーで乾燥粒径が38μmになるように造粒、乾燥させた。更に、酸素濃度1%の酸素窒素混合雰囲気のもと、電気炉で1,300℃、4時間の条件で焼成を行った。得られた粒子を解砕工程、分級工程を経た後、フェライト粒子1を得た。
真空脱気型ニーダーにフェライト粒子1を2,000重量部入れ、更にコート液1を560重量部入れ、撹拌しながら、60℃にて常圧−200mmHgまで減圧し15分混合した後、昇温/減圧させ94℃/常圧−720mmHgで30分間撹拌乾燥させ、コート粒子を得た。次に75μmメッシュの篩分網で篩分を行い、キャリア1を得た。
イルメナイト鉱石(FeTiO3)を濃硫酸中で加熱、溶解させ鉄粉を分離し、TiOSO4を得た。更に加熱加水分解によりTiO(OH)2の沈殿物を生成させ、これを濾過し、水洗浄を繰り返した後、TiO(OH)2に対し10ppm(質量)のポリカルボン酸と100倍量(質量)の水を加え、十分に撹拌した後、150℃で乾燥させた。次に、500℃、100分の条件で加熱、焼成を行い、チタン酸化物を得た。次いで、水中に得られたチタン酸化物を分散し、イソブチルメトキシシランを固形分の5重量%を、25℃の温度の下、撹拌しながら滴下した。次に、これを濾過し、水洗浄を繰り返した。得られたイソブチルメトキシシランで表面処理されたチタン酸化物を150℃で乾燥した。更に、チタン酸化物に対し100倍量のメタノールで洗浄を行い、100℃で乾燥し、結晶子径14.0nm、抵抗が1010Ωcmであるチタン酸化物粒子1が得られた。このチタン酸化物粒子1は体積平均粒径が100nmであった。
チタン酸化物粒子1の作製で、焼成前に添加するポリカルボン酸を11ppmに、焼成時間を80分に、洗浄メタノール量を80倍量にする以外は同様にして、結晶子径12.0nm、抵抗1010Ωcm、体積平均粒径100nmのチタン酸化物粒子2を得た。
表1に記載した条件以外は、チタン酸化物粒子1の作製と同様にして、チタン酸化物粒子3〜13をそれぞれ得た。
<静電荷像現像剤1の作製>
キャリア1を500重量部、チタン酸化物粒子1を0.25重量部、ターブラシェイカーに仕込み、10分、振とう撹拌した。
この混合物をVブレンダーに仕込み、トナー1を30重量部入れ、20分の混合を行った。得られた混合物を静電荷像現像剤1とした。
富士ゼロックス(株)製DocuCentreColor400を、電位を固定できるよう改造し、静電荷像現像剤1を仕込んだ。このときの現像剤のトナー濃度は10%であった。次に、25℃、50%RHの雰囲気下で、8時間以上静置した後、60ppmの印刷速度で、20cm四方のベタ印刷を100枚行った。次に、このときの現像周りの電位パラメータを固定し、トナー濃度を6%に調整し、印刷速度を120ppmにした後、同様に20cm四方のベタ印刷を5枚行った。このときの5枚目の印刷物を印刷物Aとした。
次に新たに富士ゼロックス(株)製DocuCentreColor400を用意し、30℃、85%RHの雰囲気下で、同様の印刷を行い、このときの5枚目の印刷物を印刷物Bとした。
印刷物Aと印刷物Bの画像濃度ムラを確認した。画像濃度ムラの評価基準を以下に示す。
◎:画像に問題なし
○:うっすら濃度ムラが認められる(ほとんどわからない程度)
△:僅かに濃度ムラが認められる(実用上問題なし)
×:濃度ムラがはっきりとわかる
<静電荷像現像剤2の作製>
静電荷像現像剤1の作製で、チタン酸化物粒子1をチタン酸化物粒子2に代えた以外は同様にして、静電荷像現像剤2を作製し、実施例1と同様に評価した。評価結果を表2に示す。
表2に記載したように、チタン酸化物粒子若しくはその量、又は、トナー濃度を変更した以外は、実施例1と同様にして、静電荷像現像剤3〜20をそれぞれ作製し、実施例1と同様に評価した。評価結果を表2に示す。
−樹脂粒子分散液2の調製−
・スチレン:370部
・n−ブチルアクリレート:30部
・アクリル酸:8部
・ドデカンチオール:24部
・四臭化炭素:4部
以上の成分を混合して溶解したものを、ノニオン界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)6部及びアニオン界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)10部をイオン交換水550部に溶解したフラスコ中で乳化重合させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水50部を投入した。窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、体積平均粒径150nmであり、Tg=52℃、重量平均分子量Mw=10,500の樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液2が得られた。この分散液の固形分濃度は40重量%であった。
・カーボンブラック(モーガルL:キャボット社製):60部
・ノニオン界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):6部
・イオン交換水:240部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間撹拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して体積平均粒径が250nmである着色剤(カーボンブラック)粒子が分散された着色剤分散液2を調製した。
・パラフィンワックス(HNP0190:日本精蝋(株)製、融点85℃):100部
・カチオン界面活性剤(サニゾールB50:花王(株)製):5部
・イオン交換水:240部
以上の成分を、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径が550nmである離型剤粒子が分散された離型剤分散液2を調製した。
・樹脂粒子分散液2:234部
・着色剤分散液2:30部
・離型剤分散液2:50部
・ポリ塩化アルミニウム(Paho2S、浅田化学工業(株)製):0.5部
・イオン交換水:600部
以上の成分を、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を撹拌しながら40℃まで加熱した。40℃で30分保持した後、D50が4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。更に加用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持し、D50は5.3μmとなった。その後、この凝集体粒子を含む分散液に26重量部の樹脂粒子分散液を追加した後、加熱用オイルバスの温度を50℃まで上げて30分間保持した。この凝集体粒子を含む分散液、1N水酸化ナトリウムを追加して、系のpHを7.0に調整した後ステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて撹拌を継続しながら80℃まで加熱し、4時間保持した。冷却後、このトナー母粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー母粒子を得た。トナー母粒子の粒径が5.9μm、体積平均粒径は5.9μm、形状係数SF1は132であった。
表3に記載した条件以外は、チタン酸化物粒子1の作製と同様にして、チタン酸化物粒子14〜19をそれぞれ得た。
100℃〜500℃でのTGA減量分は次のようにして測定した。
TGA減量分の測定は、JIS K 7120−1987(プラスチックの熱重量測定方法)によって測定した。具体的な条件は気体としては乾燥空気を用い、これを50ml/分で、測定前1時間から流入する。試験片の量は102mgで行い、加熱は30℃から800℃まで行った。TGA減量分(熱減量)は100℃における重量をa、500℃における重量をbとして、以下の式によって求めた。
TGA減量分(重量%)=100(a−b)/a
ポリシクロヘキシルアクリレート樹脂(重量平均分子量5万):39重量部
ポリジメチルアミノエチルアクリレート樹脂(DMAEMA、重量平均分子量5万):1重量部
カーボンブラック VXC72(キャボット社製):4重量部
トルエン:250重量部
イソプロピルアルコール:50重量部
上記成分とガラスビーズ(粒径:1mm、トルエンと同量)とを関西ペイント(株)製サンドミルに投入し、回転速度1,200rpmで30分間撹拌し、固形分13%のコート液2を調製した。
メチルメタクリレート樹脂(重量平均分子量5万):34重量部
スチレン樹脂(重量平均分子量5万):6重量部
カーボンブラック VXC72(キャボット社製):4重量部
トルエン:250重量部
イソプロピルアルコール:50重量部
上記成分を用い、コート液2の調製と同様にして、コート液3を調製した。
真空脱気型ニーダーにフェライト粒子1を2,000重量部入れ、更にコート液2又は3を500重量部入れ、撹拌しながら、60℃にて常圧−200mmHgまで減圧し15分混合した後、昇温/減圧させ94℃/常圧−720mmHgで30分間撹拌乾燥させ、コート粒子を得た。次に75μmメッシュの篩分網で篩分を行い、キャリア2及び3をそれぞれ得た。
表4に記載したように、キャリア、チタン酸化物粒子及び/又はその量を変更した以外は、実施例1と同様にして、静電荷像現像剤21〜30をそれぞれ作製し、下記画像濃度安定性評価により評価した。評価結果を表4に示す。
Cyan単独で印刷可能なように改造された富士ゼロックス(株)製DocuCentreColor400にトナー濃度を6%にした目的の現像剤を仕込んだ。27℃、88%の雰囲気下で8時間静置した後、20cm四方のベタ印刷を100枚行った。このときの100枚目の印刷物を印刷物A’とする。次に、富士ゼロックス(株)製DocuCentreColor400の現像器周りの温度を37℃まで上げ、同様に20cm四方のベタ印刷を100枚行った。このときの100枚目の印刷物を印刷物B’とする。印刷物A’及び印刷物B’の画像濃度を測定した(印刷物A’の画像濃度をDA、印刷物B’の画像濃度をDBとする。)。
次に、印刷物A’の画像濃度DAと印刷物B’の画像濃度DBの差Δを求めた(Δ=DA−DB)。Δの値が小さいほうが、画像濃度安定性に優れる。
なお、画像濃度測定は、X−Rite社製X−Rite938を使用した。
Fe2O3 1,318重量部、Mn(OH)2 586重量部、Mg(OH)2 96重量部を混合し、水とメディア径1mmのジルコニアビーズとを加え、粉砕、濾過後、乾燥し、更に温度を900℃まで上げ、酸化物とした。次いで、分散剤としてのポリカルボン酸、水、更にポリビニルアルコールを6.6重量部加え、湿式ボールミルで10時間混合/粉砕した。更に30nmのシリカ粒子を材料の0.2体積%量加え、引き続き2時間混合した。次に、スプレードライヤーにより造粒、乾燥した後、酸素濃度1.0%の酸素窒素混合雰囲気のもと、電気炉で温度1,100℃とし、4.5時間の焼成を行った。得られたフェライト粒子を大気中で900℃、2時間の加熱を行った後、解砕工程、分級工程を経て粒径35μmのフェライト粒子2を得た。フェライト粒子2のSmは2.5μm、Raは0.5μm、BET比表面積は0.12cm2/gであった。
表5に記載の作製条件に変更した以外は、フェライト粒子2の作製と同様にして、フェライト粒子3〜14を作製した。
ポリシクロヘキシルアクリレート樹脂(重量平均分子量5万):36重量部
カーボンブラック VXC72(キャボット社製):4重量部
トルエン:250重量部
イソプロピルアルコール:50重量部
上記成分とガラスビーズ(粒径:1mm、トルエンと同量)とを関西ペイント(株)製サンドミルに投入し、回転速度1,200rpmで30分間撹拌し固形分11%のコート液4を調製した。
真空脱気型ニーダーにフェライト粒子2を2,000重量部入れ、更に前記コート液4を560重量部を入れ、撹拌しながら、60℃にて常圧−200mmHgまで減圧し15分混合した後、昇温/減圧させ94℃/常圧−720mHgで30分間撹拌乾燥させ、コート粒子を得た。次に75μmメッシュの篩分網で篩分を行い、キャリア4を得た。
表5に記載のフェライト粒子に変更した以外は、キャリア4の作製と同様にして、キャリア5〜16をそれぞれ得た。
表6に記載したように、キャリアの母体をキャリア1からキャリア4〜16に変更した以外は、実施例1と同様にして、静電荷像現像剤31〜43をそれぞれ作製し、前記画像濃度ムラ評価により評価した。評価結果を表6に示す。
Claims (5)
- キャリア、及び、トナーを少なくとも含み、
前記キャリアの表面に、結晶子径が12.0〜16.0nmであるチタン酸化物粒子が、前記キャリアの全重量に対して、0.03〜0.15重量%存在することを特徴とする
静電荷像現像剤。 - 前記キャリアが、フェライト粒子を含み、
前記フェライト粒子の表面における凹凸の平均間隔Sm及び算術平均粗さRaが、下記式をいずれも満たし、前記フェライト粒子のBET比表面積が、0.08〜0.14cm2/gである、請求項1に記載の静電荷像現像剤。
1.0≦Sm(μm)≦3.5
0.2≦Ra(μm)≦0.7 - 少なくとも像保持体を帯電させる帯電工程と、
前記像保持体表面に静電潜像を形成する露光工程と、
前記像保持体表面に形成された静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、
前記トナー像を定着する定着工程と、を含み、
前記現像剤が、請求項1〜3のいずれか1つに記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする
画像形成方法。 - 像保持体と、
前記像保持体を帯電させる帯電手段と、
帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、
現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、
前記トナー像を前記像保持体から被転写体に転写する転写手段と、
前記トナー像を定着する定着手段と、を有し、
前記現像剤が、請求項1〜3のいずれか1つに記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする
画像形成装置。
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