JP2020038308A - 静電荷像現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、十分な流動性を得たうえで、使用環境やカバレッジ依存の負荷に対しての安定性を向上することで、かぶり耐性、画像粒状度及び定着性に優れた画質を得ることができる静電荷像現像剤を提供することである。【解決手段】本発明の静電荷像現像剤は、少なくとも、トナー母体粒子表面に外添剤を有するトナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーと、キャリア粒子より構成され、前記トナー粒子を構成する外添剤が、主にアルミナ及びシリカからなる複合酸化物粒子を少なくとも含有し、前記複合酸化物粒子が、アルミナを5〜50質量%の範囲内で、シリカを50〜95質量%の範囲内で含有し、前記複合酸化物粒子の一次粒子の個数平均粒径が7〜80nmの範囲内であり、かつ、前記複合酸化物粒子の疎水化度が40以上であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像剤に関し、詳しくは、十分な流動性を有し、使用環境やトナーカバレッジ依存の負荷に対する安定性を向上させ、安定した高品位の画像を形成することができる静電荷像現像剤に関する。
近年、電子写真分野においては、省エネルギー化の観点から、低温定着性とともに電子写真画像形成装置の長寿命化及び高耐久化への要求が高まっている。電子写真画像形成装置の構成材料に関する劣化要因の一つとして、使用環境やカバレッジ依存(印字面積依存ともいう。)といった負荷による変動が挙げられる。特に、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)に添加される外添剤は、一般的に帯電量調整と流動性の付与を目的として適用されており、上記のような使用環境やカバレッジ依存といった負荷に対しての安定性が求められている。
外添剤として用いられる材料としては、シリカ、チタニア等の無機酸化物やチタン酸塩、ケイ酸塩などの無機化合物、有機微粒子等が挙げられる。
特許文献1には、トナー母体粒子表面への外添剤の埋没や表面からの脱離を抑制することにより、カバレッジ依存の負荷に対する安定性を担うことできる外添剤として、非晶質アルミノシリケートが開示されている。しかし、非晶質アルミノシリケートは、その製造方法に由来する粒径や円形度の観点から十分な流動性を得ることが難しく、高カバレッジ印刷時にトナーを現像機に補給した際の混合性が低下し、その結果、十分に摩擦帯電がなされていない低帯電量成分が存在することに起因する、かぶりやドット再現性が劣化し、カバレッジ依存に対する安定性に問題があった。
また、特許文献2には、アルミナ−シリカの混合酸化物を外添剤として使用する方法が開示されている。しかしながら、特許文献2で記載されている酸化物には、表面疎水化剤による疎水化処理が施されておらず、使用環境やカバレッジ依存の負荷に対しての安定性が十分得られていないのが現状である。
したがって、十分な流動性を備え、使用環境やカバレッジ依存の負荷に対する安定性を向上させた静電荷像現像用のトナーの開発が望まれている。
特開2017−187735号公報 特開2009−162957号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、十分な流動性を得たうえで、使用環境やカバレッジ依存の負荷に対しての安定性を向上することで、かぶり耐性、画像粒状度及び定着性に優れた画質を得ることができる静電荷像現像剤を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、疎水化処理されたシリカ及びアルミナから構成される複合酸化物粒子を外添剤として有するトナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーと、キャリア粒子より構成される静電荷像現像剤により、十分な流動性を得たうえで、使用環境やカバレッジ依存の負荷に対しての安定性を向上することで、かぶり耐性、画像粒状度及び定着性に優れた画質を得ることができることを見いだし、本発明に至った次第である。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも、トナー母体粒子表面に外添剤を有するトナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーと、キャリア粒子より構成される静電荷像現像剤であって、
前記トナー粒子を構成する外添剤が、主にアルミナ及びシリカからなる複合酸化物粒子を少なくとも含有し、
前記複合酸化物粒子が、アルミナを5〜50質量%の範囲内で、シリカを50〜95質量%の範囲内で含有し、
前記複合酸化物粒子の一次粒子の個数平均粒径が7〜80nmの範囲内であり、かつ、
前記複合酸化物粒子の疎水化度が40以上である
ことを特徴とする静電荷像現像剤。
2.前記複合酸化物粒子が、シリカ粒子の表面が前記アルミナで被覆されている構造を有することを特徴とする第1項に記載の静電荷像現像剤。
3.前記複合酸化物粒子における炭素含有量が、0.5〜6.0質量%の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の静電荷像現像剤。
4.前記複合酸化物粒子の一次粒子の個数平均粒径が、10〜50nmの範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像剤。
5.前記複合酸化物粒子の含有量が、前記トナー粒子を100質量部としたとき、0.1〜2.0質量部の範囲内であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像剤。
6.前記トナー母体粒子が結着樹脂を含有し、かつ、前記結合樹脂が少なくとも非晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像剤。
7.前記結着樹脂が、さらに結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする第6項に記載の静電荷像現像剤。
8.前記結晶性ポリエステル樹脂含有量が、前記トナー粒子全質量の0.1〜20質量%の範囲内であることを特徴とする第7項に記載の静電荷像現像剤。
本発明の上記手段により、十分な流動性を得たうえで、使用環境やカバレッジ依存の負荷に対しての安定性を向上し、かぶり耐性、画像粒状度及び定着性に優れた画質を得ることができる静電荷像現像剤を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明においては、疎水化処理されたシリカ及びアルミナから構成される複合酸化物粒子を外添剤として有するトナー粒子と、キャリア粒子より構成される静電荷像現像剤により、十分な流動性を得たうえで、使用環境やカバレッジ依存の負荷に対する安定性を向上させることができた。
トナー粒子とキャリア粒子より構成される静電荷像現像剤においては、十分な流動性を具備するとともに、使用環境の負荷に対する安定性を向上させる方法としては、一般的には、トナーに添加される外添剤粒子表面を疎水化して吸湿性を低減させる方法が挙げられる。外添剤粒子に疎水化処理を施すことにより、トナー粒子同士の付着性が低減し、流動性を向上させることができるため、高カバレッジ印刷時に電子写真画像形成装置に補給されたトナー粒子とキャリア粒子との混合性が向上し、かぶり耐性、画像粒状度及び定着性に優れた画質を得ることができる。このような外添剤粒子に対する疎水化処理は、粒子表面に均一に疎水化処理剤が付着されていることで上記の機能を発現することができる。中でも、粒子表面にOH基量が多いアルミナを用いることにより、より均一な疎水化処理を施すことができ、上記の吸湿性低減や流動性の付与への効果が大きいことが判明した。これはOH基が多いために表面処理時の一次粒子の分散性が向上することにより、表面処理の均一性が向上したものと考えられる。
一方、アルミナをトナーの外添剤として用いた場合、モース硬度が高くトナー表面の硬さとの差異が大きいことから、アルミナは次第にキャリアとの攪拌による衝突力によってトナー母体粒子表面への埋没が生じ、本来の機能を発揮できなくなってしまうという問題が生じていた。そこで、アルミナよりモース硬度が低く、かつ比重も小さなシリカと併用することにより、耐久時の埋没を抑制しつつ、吸湿性の低減と流動性の付与を長期にわたって維持することができた。
また、アルミナは熱伝導率が高いため、前述の特許文献2のように帯電性を阻害する結晶性ポリエステルを多量に入れなくても、同等の低温定着性が得られることができたと推測している。
なお、上記の各技術的な機構はあくまでも推測であり、本発明の技術的範囲を制限するものではない。
本発明のトナー母体粒子表面に外添剤を有するトナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーと、キャリア粒子より構成される静電荷像現像剤は、前記トナー粒子を構成する外添剤が主にアルミナ及びシリカからなる複合酸化物粒子を含有し、前記複合酸化物粒子が、アルミナ及びシリカを特定の範囲で含有し、一次粒子の個数平均粒径が7〜80nmの範囲内であり、かつ前記疎水化度が40以上であることを特徴とする。この特徴は、下記各実施形態に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記複合酸化物粒子が、シリカ粒子の表面が前記アルミナで被覆されている構造を有することが、本発明の効果をより発現させることができる点で好ましい。
また、前記複合酸化物粒子における炭素含有量を0.5〜6.0質量%の範囲内とすることが、疎水化処理剤の添加量が適正の範囲となり、吸湿性の低下や流動性を付与する効果を得ることができる点で好ましい。
また、前記複合酸化物粒子の一次粒子の個数平均粒径を、更に10〜50nmの範囲内とすることが、トナーに埋没することなく、流動性を向上することができ、カバレッジ依存に対する安定性を得ることができる点で好ましい。
また、前記複合酸化物粒子の含有量を、前記トナー粒子を100質量部としたとき、0.1〜2.0質量部の範囲内とすることが、例えば、複合酸化物粒子とキャリア粒子との衝突確率が低くなり、トナーへの埋没を防止することができる。
また、前記トナー母体粒子が結着樹脂を含有し、前記結合樹脂として少なくとも非晶性ポリエステル樹脂を含有することが、トナー粒子の機械的強度を和らげ、外添剤の埋没を抑制することができる点で好ましい。
また、前記結着樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含有すること、さらに、前記結晶性ポリエステル樹脂含有量が、前記トナー粒子全質量の0.1〜20質量%の範囲内とすることが、低帯電量成分の発生を抑制することにより、かぶりの発生や再現性の低下による画像劣化を防止することができる点で好ましい。
本発明においては、「静電荷像現像剤」とは、少なくともトナー粒子の集合体である静電荷像現像用トナーとキャリア粒子より構成されているものをいう。
また、「トナー粒子」とは、少なくともトナー母体粒子と外添剤より構成されているものをいい、トナー粒子の集合体をトナーという。「外添剤」とは、少なくとも、主にアルミナ及びシリカからなる複合酸化物粒子より構成されているものをいい、表面疎水化処理が施されていることが好ましい態様である。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
本発明の静電荷像現像剤は、少なくとも、トナー母体粒子表面に外添剤を有するトナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーと、キャリア粒子より構成されることを特徴とする。以下、本発明の静電荷像現像剤の詳細について説明する。
《静電荷像現像剤用トナー》
本発明に係る静電荷像現像用トナーは、少なくともトナー母体粒子表面に外添剤を有するトナー粒子を含有する。
[外添剤]
以下、本発明に係る外添剤を構成する複合酸化物粒子の詳細について説明する。
〔アルミナ及びシリカ〕
本発明においては、外添剤は、主にアルミナ及びシリカからなる複合酸化物粒子を少なくとも含有し、前記複合酸化物粒子が、アルミナを5〜50質量%の範囲内で、シリカを50〜95質量%の範囲内で含有することを特徴の一つとする。
(シリカ及びアルミナによる複合酸化物粒子の製造方法)
本発明に係る外添剤に適用可能なシリカ及びアルミナは、特に制限はなく、例えば、アルミナ−シリカ複合酸化物で用いられるシリカは、公知の方法で調製することができ、また市販品としても容易に入手することができるが、その中でも、湿式法シリカは一次粒子の凝集が抑制されており、表面処理が均一に施されるため好ましい。
本発明に係る複合酸化物粒子では、シリカ、具体的には、シリカ粒子の表面がアルミナで被覆されている構造を有することが好ましい。ここでいうアルミナで被覆されているとは、シリカ粒子表面の一部が、島状でアルミナ成分により被覆されている状態であっても、あるいは、シリカ粒子の全表面がアルミナ成分で被覆されている、いわゆる、コア・シェル構造を有する形態であってもよい。シリカ粒子表面に対するアルミナの含有量は、後述する波長分散型蛍光X線分析装置により求めることができる。
本発明において、シリカ粒子表面をアルミナにより被覆する方法は、特に制限されないが、より均一に被覆することが可能なため、湿式法が好ましい。例えば、ゾル−ゲル法によってアルミナ層を形成する場合、所定のシリカ粒子の水分散液に塩基性環境下で、水酸化アルミ原料を滴下し、系を所定時間、撹拌する。これによって、シリカ粒子表面にアルミナ微粒子が析出・形成されながらも、アルミナと化学的結合が形成されたシリカ粒子が得られる。場合によっては、得られた粒子をドライアップし焼成してもよいが、均一に一次粒子を分散させるために、焼成工程は行わないことが好ましい。
(アルミナ及びシリカの含有量)
本発明に係る複合酸化物粒子においては、アルミナを5〜50質量%の範囲内で含有することを特徴の一つとし、好ましくは、5〜30質量%の範囲内である。アルミナの含有量が5質量%以上であれば、表面処理を均一に行うことができ、吸湿性が上がることで高温高湿下での帯電量変動が大きくなり、流動性の劣化に伴う画質の悪化やかぶりの発生を抑制することができる。また、50質量%以下であれば、トナー粒子への埋没が起きにくくなり、それに伴って帯電量変動を抑制でき、流動性が安定化し、耐久時の画質安定性の低下を防止することができる点で好ましい。
一方、シリカの含有量は50〜95質量%の範囲内であることを一つの特徴とし、好ましくは70〜95質量%の範囲内である。シリカの含有量が50質量%以上であれば、複合酸化物粒子のトナー粒子への埋没を防止することができ、95質量%以下であれば、シリカ粒子表面をアルミナで安定して被覆することができる、表面処理の均一性を高めることができる。
また、本発明に係る複合酸化物粒子においては、アルミナ及びシリカの含有量が上記で規定する範囲内であれば、シリカ・アルミナ以外の成分を含んでもよい。
〈含有量の測定方法〉
本発明において、複合酸化物粒子におけるアルミナ及びシリカの含有量は、下記の方法により求めることができる。
複合酸化物中のアルミナ及びシリカの含有量の測定は、波長分散型蛍光X線分析装置「XRF−1700」((株)島津製作所製)を用いて測定できる。
具体的な測定方法としては、サンプルである複合酸化物粒子の3gを加圧してペレット化し、定性分析にて下記条件で測定を行った。なお測定には、2θテーブルより測定したい元素のKαピーク角度を決定して用いた。
・X線発生部条件/ターゲット Rh
・管電圧 40kV
・管電流 95mA
・フィルター なし
・分光系条件/スリット 標準
・アッテネータ なし
・分光結晶 Fe=LiF、Cl=Ge、Ca=LiF
・検出器 Fe=SC、Cl=FPC、Ca=FPC
複合酸化物粒子に対するアルミナ量の含有量は、アルミナ・シリカ単体でのAl・Si Kα分析線のNet強度の値を、複合酸化物でのAl・Si Kα分析線のNet強度の値で割った値として算出した。
(複合酸化物粒子の一次粒子の個数平均粒径)
本発明においては、複合酸化物粒子の一次粒子の個数平均粒径が7〜80nmの範囲内であることを特徴の一つとし、好ましくは、10〜50nmの範囲内である。複合酸化物粒子の一次粒子の個数平均粒径が7nm以上であれば、トナーに埋没することがなく、80nm以下であれば、流動性を確保することができ、カバレッジ依存に対する安定性が得られる。また、複合酸化物の形状としては、流動性確保のために角がない、球状または円盤状・針状であることが好ましい。
〈個数平均粒径の測定方法〉
本発明に係る複合酸化物粒子の一次粒子の個数平均粒径は、下記の方法により求めることができる。
走査型電子顕微鏡(SEM)「JEM−7401F」(日本電子社製)を用いて、3万倍に拡大した複合酸化物粒子のSEM写真を撮影し、該写真を観察し、複合酸化物粒子の粒径を測定し、平均粒径を求める。粒径の測定は、該当する粒子の総数が100〜200個程度となるような領域を選択する。なお、複合酸化物粒子の形状が円形でない場合には、当該粒子の投影面積を測定し、これを円相当面積に換算した際の直径を粒径として求める。
(疎水化度)
本発明に係る複合酸化物粒子においては、疎水化度が40以上であることを一つの特徴であり、好ましくは、50〜80の範囲内である。疎水化度が40以上であれば、表面疎水化効果が十分となり、吸湿性の低減や流動性の付与といった効果をえることができる。
〈疎水化度の測定方法〉
本発明で規定する複合酸化物粒子の疎水化度は、下記の方法に従って求めることができる。
実験室環境下で、100mLのトールビーカーに、長さ20mmのスターラーチップとイオン交換水60mlを入れ、超音波を5分間照射して脱気をし、粉体濡れ性試験機WET−100P(株式会社レスカ社製)にセットする。上記イオン交換水の上に、疎水化処理を施した複合酸化物粒子サンプル25mgを浮かべ、ついですぐに蓋とメタノール供給ノズルをセットし、スターラー攪拌開始と同時に測定をスタートする。メタノールの供給速度は1.6mL/min、測定時間は30minとする。スターラーの攪拌速度は350〜450rpmになるように調整する。複合酸化物粒子は、測定開始直後はイオン交換水表面に浮いているが、メタノール濃度が上昇するに従って、徐々にイオン交換水とメタノールの混合液に濡れて混合液中に分散し、混合液の光透過率が低下する。この低下の様子から濡れ性を評価する。具体的には、得られたデータから、横軸にFlow(mL)から計算されるメタノール濃度(体積%)、縦軸に光透過率(電圧比(%))をプロットし、光透過率が最大値と最小値の中間となるときのメタノール濃度を「疎水化度」と定義した。
〈表面疎水化剤〉
本発明において、複合酸化物粒子に所望の疎水化度を付与する方法としては、特に制限はないが、後述する炭素原子を含む表面疎水化剤(疎水化処理剤)を用いる方法が、特に好ましい。
本発明において、所望の疎水化度を得るために好適な表面疎水化剤としては、一般的なカップリング剤やシリコーンオイルや脂肪酸、脂肪酸金属塩などを用いることができるが、その中でも、シラン化合物やシリコーンオイルが好ましい。
シラン化合物としては、例えば、クロロシラン系化合物、アルコキシシラン系化合物、シラザン系化合物、特殊シリル化剤等が挙げられる。具体的な化合物としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等を代表的なものとして挙げることができる。
また、シリコーンオイルの具体例としては、例えば、オルガノシロキサンオリゴマー、オクタメチルシクロテトラシロキサン、又はデカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンなどの環状化合物や、直鎖状又は分岐状のオルガノシロキサンを挙げることができる。また、側鎖、又は片末端や両末端や側鎖片末端や側鎖両末端などに変性基を導入した反応性の高い、少なくとも末端を変性したシリコーンオイルを用いても良い。変性基の種類としては、アルコキシ、カルボキシ、カルビノール、高級脂肪酸変性、フェノール、エポキシ、メタクリル、アミノなどが挙げられるが特に限定されるものではない。また、例えば、アミノ/アルコキシ変性など数種の変性基を有するシリコーンオイルであっても良い。また、ジメチルシリコーンオイルとこれら変性シリコーンオイル、更には他の表面疎水化剤とを混合処理若しくは併用処理しても構わない。併用する処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、各種シリコーンオイル、脂肪酸、脂肪酸金属塩、そのエステル化物、ロジン酸等を例示することができる。
〈表面疎水化方法〉
複合酸化物粒子に対する表面疎水化剤による処理方法としては、例えば、気相中で浮遊させられた複合酸化物粒子に対して表面疎水化剤、又は表面疎水化剤を含む溶液を噴霧するスプレードライ法等による乾式法や、表面疎水化剤を含有する溶液中に複合酸化物粒子を浸漬し、乾燥する湿式法や、表面疎水化剤と複合酸化物粒子を混合機により混合する混合法などが挙げられる。
〈表面疎水化剤の含有量〉
本発明においては、複合酸化物粒子に、有機化合物である表面疎水化剤を付与するが、その添加量としては、複合酸化物粒子における表面疎水化剤に起因する炭素含有量が、0.5〜6.0質量%の範囲内とすることが好ましい。炭素含有量が0.5質量%以上であれば、表面疎水化剤による表面疎水化効果が十分となり、吸湿性の低減や流動性の付与といった効果を得ることができる。また、6.0質量%以下であれば、表面疎水化剤が過剰となることがなく、表面疎水化剤同士の凝集による表面処理の不均一化を防止でき、表面疎水化剤がアルミナ表面に均一に付着させることができ、吸湿性の低減や流動性の付与といった効果を得ることができる。
複合酸化物粒子における炭素含有量は、下記の方法により求めることができる。
BUCHI社製ソックスレー抽出装置を用い、表面疎水化剤(疎水化処理剤)で表面修飾した後の複合酸化物粒子粉末0.7gを、円筒濾紙(外形寸形28mm×100mm)に入れ、例えば、抽出溶媒としてn−ヘキサンを使用し、抽出時間60分、リンス時間30分の条件で、当該複合酸化物粒子粉から遊離した表面疎水化剤を取り除く。その後、CHN元素分析装置(住化分析センター製SUMIGRAPH NC−TR22)により、遊離した表面疎水化剤における炭素量の定量を行う
[複合酸化物粒子の含有量]
本発明に係るトナー粒子においては、外添剤である複合酸化物粒子の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1〜2.0質量部の範囲内であることが好ましい。トナー粒子に対する複合酸化物粒子の含有量が、0.1質量%以上であれば、吸湿性の低減や流動性の付与といった効果を得ることができる。また、2.0質量部以下であれば、複合酸化物粒子であるアルミナ被覆シリカ粒子がキャリア粒子との衝突力を受ける確率を低くでき、トナー粒子への埋没を防止することができる。
〔トナー母体粒子〕
本発明に係る静電荷像現像用トナーを構成するトナー粒子は、上記外添剤を表面に有するトナー母体粒子からなる。
本発明に係るトナー母体粒子は、少なくとも結着樹脂を含有することが好ましく、具体的には、結合樹脂として非晶性ポリエステル樹脂を含有すること、結着樹脂として、さらに結晶性ポリエステル樹脂を含有すること、当該結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、本発明に係るトナー粒子全質量の0.1〜20質量%の範囲内であることが好ましい態様である。
また、本発明に係るトナー母体粒子は、結着樹脂の他に、必要に応じて、離型剤(ワックス)、着色剤、荷電制御剤及び他の外添剤などの構成成分を含有してもよい。
(結着樹脂)
〈非晶性樹脂〉
トナー母体粒子を構成する結着樹脂としては、公知の非晶性樹脂を用いることができる。その具体例としては、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。なかでも、トナーの機械的強度を和らげ外添剤の埋没を抑制することができる点で、ポリエステル樹脂を適用することが好ましい。
本発明に係る非晶性ポリエステル樹脂は、優れた定着性を得る観点から、結着樹脂中に60〜90質量%の範囲内で含有することが好ましい。
本発明に係る非晶性ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂であって、示差走査熱量測定(DSC)を行った時に、融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂である。また、非晶性ポリエステル樹脂を構成する単量体は、結晶性ポリエステル樹脂を構成する単量体とは異なるため、例えば、NMR等の分析によって結晶性ポリエステル樹脂と区別することができる。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に制限されないが、低温定着性などの定着性、並びに、耐熱保管性及び耐ブロッキング性などの耐熱性を確実に得る観点から、30〜70℃の範囲内であることが好ましい。
ガラス転移温度は、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82に規定された方法(DSC法)に従って測定することができる。測定には、DSC−7示差走査カロリメーター(パーキンエルマー社製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラ(パーキンエルマー社製)などを用いることができる。
本発明に係る非晶性ポリエステル樹脂の具体的な製造方法は、特に限られるものではなく、公知のエステル化触媒を利用して、多価カルボン酸モノマー(誘導体)及び多価アルコールモノマー(誘導体)を原料として適宜の触媒の存在下で重縮合反応によって製造されたものである。
多価カルボン酸モノマー誘導体としては、多価カルボン酸モノマーのアルキルエステル、酸無水物及び酸塩化物を用いることができ、多価アルコールモノマー誘導体としては、多価アルコールモノマーのエステル化合物及びヒドロキシカルボン酸を用いることができる。多価カルボン酸モノマーとしては、例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p′−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸などの2価のカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、及びピレンテトラカルボン酸などの3価以上のカルボン酸などを挙げることができる。
上記多価カルボン酸モノマーの中でも、フマル酸、マレイン酸、メサコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましく、特に、下記一般式(A)で表される不飽和脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましい。また、本発明においては無水マレイン酸などのジカルボン酸の無水物を用いることもできる。
一般式(A):HOOC−(CR=CR−COOH
上記一般式(a)において、R及びRは、各々水素原子、メチル基又はエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1又は2の整数である。
多価アルコールモノマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの2価のアルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、及びテトラエチロールベンゾグアナミンなどの3価以上のポリオールなどを挙げることができる。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000〜100000であることが好ましい。非晶性ポリエステル樹脂の製造方法は、特に制限されず、上記単量体の重合に通常用いられる過酸化物、過硫化物、過硫酸塩、アゾ化合物などの任意の重合開始剤を用い、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルション法、分散重合法など公知の重合手法により重合を行う方法が挙げられる。また、分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばn−オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
また、本発明に係る結着樹脂においては、非晶性ビニル樹脂を0.1〜20質量%の範囲内で含有することが好ましく、0.2〜10質量%の範囲内で含有することがより好ましく、0.3〜5質量%の範囲内で含有することがさらに好ましい。非晶性ビニル樹脂を0.1質量%〜20質量%の範囲内で含有していると、トナー粒子表面が適度な硬さとなるため、トナー粒子への埋没が生じにくい。また、非晶性ビニル樹脂が20質量%未満であると、良好な低温定着性が得られる。
なお、非晶性ビニル樹脂は、非晶性ビニル樹脂そのものが結着樹脂に含まれていてもよく、また、非晶性ビニル樹脂成分がハイブリッド化した複合樹脂として含まれていても良い。
ビニル樹脂としては、ビニル化合物を重合したものであれば特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のビニル樹脂の中でも、熱定着時の可塑性を考慮すると、スチレン・(メタ)アクリル酸エステル樹脂が好ましい。
スチレン・(メタ)アクリル樹脂は、少なくとも、スチレン単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを付加重合させて形成されるものである。ここでいうスチレン単量体は、CH=CH−Cの構造式で表されるスチレンの他に、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有する構造のものを含むものである。
また、ここでいう(メタ)アクリル酸エステル単量体は、CH=CHCOOR(Rはアルキル基)で表されるアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの他に、アクリル酸エステル誘導体やメタクリル酸エステル誘導体等の構造中に公知の側鎖や官能基を有するエステルを含むものである。なお、本明細書中、「(メタ)アクリル酸エステル単量体」とは、「アクリル酸エステル単量体」と「メタクリル酸エステル単量体」とを総称したものである。
〈結晶性ポリエステル樹脂〉
本発明に係る結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂を含有していることが、トナー母体粒子の柔軟性が向上し、シリカ粒子を好適に固着しやすくなるため好ましく、また、低温定着性の観点からも好ましい。特に、上記非晶性樹脂との相溶性と製造性の点から結晶性ポリエステル樹脂を使用することが好ましい。
本発明において、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
結晶性樹脂の融点Tmcは、十分な高温保存性を得る観点から60℃以上であることが好ましく、十分な低温定着性を得る観点から85℃以下であることが好ましい。
結晶性樹脂の融点Tmcは、DSCにより測定することができる。具体的には、結晶性樹脂の試料0.5mgをアルミニウム製パン「KITNO.B0143013」に封入し、熱分析装置「Diamond DSC」(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットして、加熱、冷却、加熱の順に温度を変動させる。1回目と2回目の加熱時には、10℃/分の昇温速度で0℃から150℃まで昇温して150℃を5分間保持し、冷却時には、10℃/分の降温速度で150℃から0℃まで降温して0℃の温度を5分間保持する。2回目の加熱時に得られる吸熱曲線における吸熱ピークのピークトップの温度を結晶性樹脂の融点(Tmc)として測定する。
結晶性ポリエステル樹脂含有量は、トナー粒子全質量の0.1〜20質量%の範囲内であることが好ましい。含有量が20質量%以下であれば、帯電量が維持でき、低帯電量成分によるかぶりやドット再現性の低下を防止することができる。
結晶性ポリエステル樹脂のトナー粒子中での含有量は、原料の仕込み量によって決めることができる。
なお、トナー粒子として作製された後の結晶性ポリエステルの含有量については、構成モノマー組成、構成比の分析と組み合わせて、種々の分析方法(染色したトナー切片のTEM観察、DSC測定による吸熱ピーク、固体NMR、液体クロマトグラフィー等)を組み合わせて推定することにより求めることができる。
また、結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000〜10000の範囲内であることが好ましく、3000〜7000の範囲内であることがより好ましい。これらの範囲内とすることで、定着画像の強度が不足することがなく、現像剤撹拌中に結晶性樹脂が粉砕され、過度な可塑効果によりトナーのガラス転移温度Tgが低下して、トナーの熱的安定性が低下することもない。また、シャープメルト性が発現し、低温定着が可能となる。
本発明に係る結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる。結晶性ポリエステル樹脂については本技術分野における従来公知の結晶性ポリエステル樹脂が用いられうる。
結晶性ポリエステル樹脂は、公知のエステル化触媒を利用して、上記多価カルボン酸及び多価アルコールを重縮合する(エステル化する)ことにより合成することができる。
(トナー母体粒子への外添剤の付与方法)
トナー母体粒子に対する本発明に係る外添剤の外添混合処理は、機械式混合装置を用いることができる。機械式混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、タービュラーミキサー等が使用できる。これらの中で、ヘンシェルミキサーのように処理される粒子に剪断力を付与できる混合装置を用いて、混合時間を長くする又は撹拌羽根の回転周速を上げる等の混合処理を行えばよい。また、本発明に係る外添剤の他に、後述する複数種の外添剤を使用する場合、トナー母体粒子に対して全ての外添剤を一括で混合処理するか、あるいは外添剤に応じて複数回に分けて分割して混合処理してもよい。
外添剤の混合方法は、上記機械式混合装置を用いて、混合強度、すなわち撹拌羽根の周速、混合時間、あるいは、混合温度等を制御することによって外添剤の解砕度合いや付着強度を制御することができる。
(トナー母体粒子のその他の添加剤)
〈離型剤〉
本発明に係るトナー母体粒子には、離型剤としては、公知の種々のワックスを用いることができる。ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。定着性の観点から、炭化水素系ワックスが好ましい。離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量部である。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、離型剤の融点は、電子写真におけるトナーの低温定着性および離型性の観点から、50〜95℃であることが好ましい。
〈着色剤〉
本発明に係るトナー母体粒子には着色剤を添加することができる。
本発明に係る着色剤としては公知の着色剤が使用できる。具体的には、イエロートナーに含有される着色剤としては、例えばC.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185などが挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
マゼンタトナーに含有される着色剤としては、例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222などが挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
シアントナーに含有される着色剤としては、例えばC.I.ピグメントブルー15:3などが挙げられる。
ブラックトナーに含有される着色剤としては、例えばカーボンブラック、磁性体、チタンブラックなどが挙げられる。カーボンブラックとしては、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。
磁性体としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これら強磁性金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理することにより強磁性を示す合金などが挙げられる。熱処理することにより強磁性を示す合金としては、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズなどのホイスラー合金、二酸化クロムなどが挙げられる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは2〜9質量部の範囲内である。
〈荷電制御剤〉
荷電制御剤としては、摩擦帯電により正又は負の帯電を与えることのできる物質であれば特に限定されず、公知の種々の正帯電制御剤及び負帯電制御剤を用いることができる。その例には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、及び、サリチル酸金属塩、が含まれる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.01〜30質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部の範囲内である。
〈他の外添剤〉
本発明に係るトナー粒子では、本発明に係るアルミナ及びシリカより構成される複合酸化物粒子の他に、本発明の目的効果を損なわない範囲で、外添剤として公知の外添剤をさらに含んでもよい。外添剤としては、例えば、シリカ単体微粒子、酸化チタン微粒子などの無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これら無機微粒子は、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上等のために、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等によって、光沢処理、疎水化処理等が行われていてもよい。
特に、帯電性付与の観点からシリカ単体微粒子が好ましく、個数平均一次粒子径10〜60nmのシリカ単体微粒子をさらに含むと、トナーの流動性を向上させて、現像機にトナーが補給された際にトナーとキャリアとの混合が十分に行われ、安定した帯電量推移が得られるため好ましい。さらに、個数平均一次粒子径80〜150nmのシリカ微粒子を含むと低カバレッジ印刷時に現像機内でデベロッパーが撹拌された際のトナーとキャリアの衝撃を和らげる効果があるため好ましい。
[トナー母体粒子の粒径]
本発明において、トナー母体粒子の体積平均粒径としては、3.5〜7.0μmの範囲内であることが好ましい。体積平均粒径が3.5μm以上であれば製造適性を有し、複写機内での制御も容易である。また、7.0μm以下であれば、所望の帯電量を維持することができ、低帯電量成分による画像低下を防止することができる。
《キャリア粒子》
次いで、トナー粒子とともに、静電荷像現像剤を構成するキャリア粒子について説明する。キャリア粒子は、キャリア芯材(キャリアコア)の表面を、被覆樹脂で被覆された構成を有している。
(キャリア芯材)
本発明で用いられるキャリア芯材(磁性体粒子)としては、鉄粉、マグネタイト、各種フェライト系粒子またはそれらを樹脂中に分散したものを挙げることができる。好ましくは、マグネタイトや各種フェライト系粒子である。フェライトとしては、銅、亜鉛、ニッケル、マンガン等の重金属を含有するフェライトやアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有する軽金属フェライトが好ましい。
また、キャリア芯材として、Srを含有することが好ましい。Srを含有することで、キャリア芯材表面の凹凸を大きくすることができ、被覆樹脂をコートしても、表面が露出しやすくなり、キャリアの抵抗を調整しやすくなる。
(キャリア粒子の平均粒径)
キャリア粒子の体積平均粒径としては、10〜100μmの範囲内であることが好ましく、更に好ましくは20〜80μmの範囲内である。キャリア粒子の体積平均粒径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
(キャリア被覆樹脂)
キャリア粒子の被覆層形成に好適な樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロルスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体やスチレン−アクリル酸共重合体等の共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂又はその変成樹脂(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成樹脂);ポリテトラクロルエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロルトリフルロルエチレン等のフッ素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂等である。
特に好ましいのは、ポリアクリレート樹脂で、吸湿性の低い脂環式メタアクリレートモノマーから形成される樹脂を含むことにより、環境差による帯電量変動の抑制およびトナーとキャリアの衝突による複合酸化物粒子の埋没が抑制されるため、好ましい。脂環式メタアクリレートモノマーは、機械的強度、帯電量の環境安定性(帯電量の環境差が小さい)、重合容易性および入手容易性の観点から、炭素数5〜8のシクロアルキル基を有することが好ましい。脂環式メタアクリレートモノマーは、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチルおよび(メタ)アクリル酸シクロオクチルからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。中でも、機械的強度および帯電量の環境安定性の観点から、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルを含むことが好ましい。
脂環式メタアクリレートモノマーの共重合体比率は50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。
(樹脂被覆層の形成方法)
キャリア芯材表面に樹脂被覆層を形成する具体的な方法としては、湿式コート法や乾式コート法が挙げられる。以下に各形成方法について述べるが、乾式コート法は本発明に適用するのに特に望ましい方法である。
〈湿式コート法〉
湿式コート法としては、下記のものがある。
(1)流動層式スプレーコート法
被覆用樹脂を溶剤に溶解した塗布液を、流動層を用いてキャリア芯材である磁性体粒子の表面にスプレー塗布し、次いで乾燥して、樹脂被覆層を形成する方法。
(2)浸漬式コート法
被覆用樹脂を溶剤に溶解した塗布液中に、キャリア芯材である磁性体粒子を浸漬して塗布処理し、次いで乾燥して樹脂被覆層を形成する方法
(3)重合法
反応性化合物を溶剤に溶解した塗布液中に、キャリア芯材である磁性体粒子を浸漬して塗布処理し、次いで熱等を加えて重合反応を行い、粒子表面に樹脂被覆層を形成する方法、等を挙げることができる。
〈乾式コート法〉
乾式コート法は、被覆しようとするキャリア芯材の表面に樹脂粒子を被着させ、その後機械的衝撃力を加えて、被覆しようとするキャリア芯材表面に被着した樹脂粒子を溶融又は軟化させて固着し、樹脂被覆層を形成する方法である。
キャリア芯材、被覆用樹脂及び低抵抗微粒子等を、非加熱下又は加熱下で機械的衝撃力が付与できる高速撹拌混合機を用い、高速撹拌して当該混合物に衝撃力を繰り返して付与し、キャリア芯材(磁性体粒子)の表面に被覆用樹脂を溶解又は軟化させて固着したキャリアを作製する方法である。
コート条件として、加熱する場合には、80〜130℃の温度範囲内が好ましく、衝撃力を起こす風速としては、加熱中は10m/s以上が好ましく、冷却時にはキャリア粒子同士の凝集を抑制するため5m/s以下が好ましい。衝撃力を付与する時間としては、20〜60分の範囲内とすることが好ましい。
被覆用樹脂のコート工程又はコート後の工程において、キャリアにストレスを加えることで、芯材の凸部の樹脂を剥がし、芯材を露出させる方法について説明する。乾式コート法での樹脂コート工程においては、加熱温度を60℃以下に低温化しつつ、冷却時の風速を高速せん断にすることで樹脂はがれを生じさせることができる。また、コート後の工程としては、強制攪拌できる装置であれば可能であり、例えば、タービュラー、ボールミル、振動ミルなどで攪拌混合することが挙げられる。
次に、前述した、コート樹脂に熱及び衝撃を加えることで凸部表面にある樹脂を凹部側に移動させることで芯材を露出させる手法としては、衝撃力を付与する時間を長くとることが有効となる。具体的には、1時間半以上にすることが好ましい。
《静電荷像現像用トナーの製造方法》
本発明の静電荷像現像用トナーを製造する方法としては、特に限定されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法など公知の方法が挙げられる。これらの中でも、粒径の均一性、形状の制御性観点からは、乳化凝集法を採用することが好ましい。
(乳化凝集法)
乳化凝集法とは、界面活性剤や分散安定剤によって分散された結着樹脂の粒子(以下、「結着樹脂粒子」ともいう)の分散液を、必要に応じて、着色剤の粒子(以下、「着色剤粒子」ともいう)の分散液と混合し、所望のトナー粒子径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー母体粒子を製造する方法である。ここで、結着樹脂の粒子は、任意に離型剤、荷電制御剤などを含有していてもよい。
本発明に係る静電荷像現像用トナーの好ましい製造方法として、乳化凝集法を用いてコア−シェル構造を有するトナー粒子を得る場合の一例を以下に示す。
(1)水系媒体中に着色剤粒子が分散されている着色剤粒子分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂粒子が分散されてなる樹脂粒子分散液(コア用/シェル用樹脂粒子分散液)を調製する工程
(3)着色剤粒子分散液とコア用樹脂粒子分散液とを混合して凝集用樹脂粒子分散液を得て、凝集剤の存在下で着色剤粒子および結着樹脂粒子を凝集、融着させてコア粒子としての凝集粒子を形成する工程(凝集・融着工程)
(4)コア粒子を含む分散液中に、シェル層形成用の結着樹脂粒子を含むシェル用樹脂粒子分散液を添加して、コア粒子表面にシェル層形成用の粒子を凝集、融着させてコア−シェル構造のトナー母体粒子を形成する工程(凝集・融着工程)
(5)トナー母体粒子の分散液(トナー母体粒子分散液)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程(洗浄工程)
(6)トナー母体粒子を乾燥する工程(乾燥工程)
(7)トナー母体粒子に外添剤を添加する工程(外添剤処理工程)。
コア−シェル構造を有するトナー粒子は、先ず、コア粒子用の結着樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集、融着させてコア粒子を作製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル層形成用の結着樹脂粒子を添加してコア粒子表面にシェル層形成用の結着樹脂粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成することにより得ることができる。しかしながら、例えば、上記(4)の工程において、シェル用樹脂粒子分散液を添加せずに、単層の粒子から形成されるトナー粒子も同様に製造することができる。
《静電荷像現像剤の調製》
本発明に係る静電荷像現像用トナーと、上記説明したキャリア粒子とを混合することにより、静電荷像現像剤、例えば、二成分現像剤を得ることができる。二成分を混合する際に用いられる混合装置としては、特に制限されないが、例えば、ナウターミキサー、WコーンおよびV型混合機等が挙げられる。
静電荷像現像剤中のトナー成分の含有量(トナー濃度)は、特に制限されないが、4.0〜8.0質量%の範囲内であると好ましい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
《画像形成方法》
本発明の静電荷像現像剤は、電子写真方式の画像形成方法に適用することができる。
本発明に適用可能な画像形成方法は、記録媒体上に、本発明の静電荷像現像剤(トナー)を用いて画像形成層を形成する方法を挙げることができる。
本発明において、画像形成方法は、本発明のトナーを用いる方法であり、フルカラーの画像形成方法に好適に用いることができる。フルカラーの画像形成方法では、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各々に係る4種類のカラー現像装置と、一つの静電荷像担持体(「電子写真感光体」又は単に「感光体」とも称する)と、により構成される4サイクル方式の画像形成装置を用いる方法や、各色に係るカラー現像装置及び静電荷像担持体を有する画像形成ユニットを、それぞれ色別に搭載するタンデム方式の画像形成装置を用いる方法など、いずれの画像形成方法も用いることができる。
また、クリアトナーをさらに用いる場合には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック及びクリアの各々に係る5種類の現像装置と、一つの静電荷像担持体と、により構成される5サイクル方式の画像形成装置を用いる方法や、クリアトナーを含む各色に係る現像装置及び静電荷像担持体を有する画像形成ユニットを、それぞれ色別に搭載するタンデム方式の画像形成装置を用いる方法などの画像形成方法を用いることができる。
画像形成方法としては、圧力を付与するとともに加熱することができる熱圧力定着方式による定着工程を含む画像形成方法が好ましく挙げられる。
この画像形成方法においては、具体的には、上記トナーを使用して、例えば、感光体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を得て、このトナー像を画像支持体に転写し、その後、画像支持体上に転写されたトナー像を熱圧力定着方式の定着処理によって画像支持体に定着させることにより、可視画像が形成された印画物を得ることができる。
定着工程における圧力の付与及び加熱は、同時であることが好ましく、また、まず圧力を付与し、その後、加熱してもよい。
また、本発明に係る画像形成方法は、熱圧力定着方式の画像形成方法において好適に用いられる。本発明に係る画像形成方法に用いられる熱圧力定着方式の定着装置としては、公知の種々のものを採用することができる。
《記録媒体》
本発明の静電荷像現像剤(トナー)を用いた画像形成に用いる記録媒体(記録材、記録紙、記録用紙等ともいう)としては、一般に用いられているものでよく、例えば、画像形成装置等による公知の画像形成方法により形成したトナー像を保持するものであれば特に限定されるものではない。使用可能な画像支持体として用いられるものには、例えば、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙、又は、コート紙等の塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布、いわゆる軟包装に用いられる各種樹脂材料、又はそれをフィルム状に成形した樹脂フィルム、ラベル等が挙げられる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行った。
《トナー母体粒子の調製》
[トナー母体粒子の調製に用いる各材料の準備]
〔1:非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製〕
(非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1)の調製)
はじめに、下記の方法に従って、非晶性ポリエステル樹脂(A1)を調製した。
ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物 40モル部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物 60モル部
テレフタル酸ジメチル 60モル部
フマル酸ジメチル 15モル部
ドデセニルコハク酸無水物 20モル部
トリメリット酸無水物 5モル部
撹拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、上記モノマーのうち、フマル酸ジメチル及びトリメリット酸無水物以外の単量体と、ジオクチル酸スズを上記モノマーの合計100質量部に対して0.25質量部投入した。
次いで、窒素ガス気流下、235℃で6時間反応させた後、200℃に降温して、フマル酸ジメチル及びトリメリット酸無水物を加え、1時間反応させた。温度を220℃まで5時間かけて昇温し、10kPaの圧力下で下記の分子量になるまで重合させ、淡黄色透明な非晶性ポリエステル樹脂(A1)を得た。
非晶性ポリエステル樹脂(A1)は、重量平均分子量が35000、数平均分子量が8000、ガラス転移温度(Tg)が56℃であった。
次いで、上記調製した非晶性ポリエステル樹脂(A1)の200質量部と、メチルエチルケトン100質量部と、イソプロピルアルコール35質量部、10質量%アンモニア水溶液7.0質量部とをセパラブルフラスコに入れ、十分に混合、溶解した後、40℃で加熱攪拌しながら、イオン交換水を、送液ポンプを用いて送液速度8g/分で滴下し、送液量が580質量部になったところで滴下を止めた。その後、減圧下で溶剤の除去を行い、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を得た。上記分散液にイオン交換水を加えて固形分量が25質量%となるように調整し、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1)を調製した。この分散液の体積基準のメジアン径(d50)を、マイクロトラックUPA−150(日機装株式会社製)にて測定したところ、156nmであった。
(非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b1)の調製)
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、アニオン性界面活性剤(ダウ・ケミカル社製 ダウファックス)5.0質量部と、イオン交換水2500質量部とを仕込み、窒素気流下において230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を75℃に昇温させた。
次いで、過硫酸カリウム(KPS)18.0質量部をイオン交換水342質量部に溶解させた溶液を添加し、液温を75℃とした。さらに、上記溶液に、スチレン(St)903.0質量部、n−ブチルアクリレート(BA)282.0質量部及びアクリル酸(AA)12.0質量部、1,10−デカンジオールジアクリレート3.0質量部およびドデカンチオール8.1質量部からなる単量体混合液を2時間かけて滴下した。
滴下終了後、75℃において2時間にわたって加熱、撹拌することによって重合させ、非晶性ビニル樹脂粒子分散液を得た。上記分散液にイオン交換水を加えて固形分量が25質量%となるように調整し、非晶性ビニル樹脂(B1)粒子分散液(b1)を調製した。この分散液の体積基準のメジアン径(d50)をマイクロトラックUPA−150(日機装株式会社製)にて測定したところ、160nmであった。
非晶性ビニル樹脂(B1)は、ガラス転移温度(Tg)が52℃、重量平均分子量(Mw)が38000、数平均分子量(Mn)が15000であった。
〔2:結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製〕
[結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)の調製]
はじめに、下記の方法に従って、結晶性ポリエステル樹脂(C1)を調製した。
ドデカン二酸 50モル部
1,6−ヘキサンジオール 50モル部
撹拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に上記モノマーを入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した。次いで、チタンテトラブトキサイド(Ti(O−n−Bu))を上記モノマーの合計100質量部に対し、0.25質量部投入した。窒素ガス気流下、170℃で3時間撹拌し反応させた後、温度をさらに210℃まで1時間かけて昇温し、反応容器内を3kPaまで減圧し、減圧下で13時間撹拌し反応させて、結晶性ポリエステル樹脂(C1)を得た。
結晶性ポリエステル樹脂(C1)は、重量平均分子量が25000、数平均分子量が8500、融点が71.8℃であった。
次いで、上記調製した結晶性ポリエステル樹脂(C1)の200質量部と、メチルエチルケトン120質量部、イソプロピルアルコール30質量部をセパラブルフラスコに入れ、これを60℃で充分混合、溶解した後、10質量%アンモニア水溶液を8質量部滴下した。樹脂溶液の加熱温度を67℃に下げ、攪拌しながらイオン交換水を、送液ポンプを用いて送液速度8g/分で滴下し、送液量が580質量部になったところで、イオン交換水の滴下を止めた。その後、減圧下で溶媒除去を行い、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を得た。上記分散液にイオン交換水を加えて固形分量が25質量%となるように調整し、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)を調製した。この分散液の体積基準のメジアン径(D50)を、マイクロトラックUPA−150(日機装株式会社製)にて測定したところ、198nmであった。
〔3:離型剤粒子分散液(W1)の調製〕
離型剤:パラフィン系ワックス(日本精蝋製 HNP0190、融解温度85℃)
270質量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製 ネオゲンRK)
13.5質量部(有効成分60%、離型剤に対して3%)
イオン交換水 21.6質量部
上記の各構成材料を混合し、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製ゴーリンホモジナイザ)で、内液温度120℃にて離型剤を溶解した後、分散圧力5MPaで120分間、続いて40MPaで360分間の連続分散処理し、冷却して、分散液を得た。イオン交換水を加えて固形分量が20質量%になるように調整し、これを離型剤粒子分散液(W1)とした。離型剤粒子分散液(W1)中の離型剤粒子の体積平均粒径は、215nmであった。
〔4:着色剤粒子分散液の調製〕
(ブラック着色剤粒子分散液(1)の調製)
カーボンブラック(キャボット社製 リーガル(登録商標)330) 100質量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製 ネオゲンSC) 15質量部
イオン交換水 400質量部
上記各成分を混合し、ホモジナイザー(ウルトラタラックス、IKA社製)を用いて10分間の予備分散を施した後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(スギノマシン社製)を用い、圧力245MPaで30分間の分散処理を行い、ブラック着色剤粒子の水系分散液を得た。得られた分散液にさらに、イオン交換水を添加して、固形分が15質量%となるように調整することによりブラック着色剤粒子分散液(1)を調製した。この分散液中の着色剤粒子の体積基準のメジアン径(D50)を、マイクロトラックUPA−150(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
[トナー母体粒子(1)〜(4)の調製]
〔トナー母体粒子(1)の調製〕
(凝集・融着工程及び熟成工程)
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1) 1040質量部
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1) 160質量部
離型剤粒子分散液(W1) 200質量部
ブラック着色剤粒子分散液(1) 187質量部
アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 ダウ・ケミカル社製 20質量%水溶液) 40質量部
イオン交換水 1500質量部
温度計、pH計及び撹拌器を備えた4リットルの反応容器に、上記の各構成材料を入れ、温度25℃下で1.0%硝酸を添加してpHを3.0に調整した。その後、ホモジナイザー(IKA社製 ウルトラタラックスT50)にて3000rpmで分散しながら、濃度2質量%の硫酸アルミニウム(凝集剤)水溶液100質量部を30分かけて添加した。滴下終了後、10分間撹拌し、原料と凝集剤を十分に混合して、スラリー1を調製した。
次いで、反応容器に撹拌器及びマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に撹拌されるように撹拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/分の昇温速度で昇温し、10分ごとにコールターマルチサイザー3(アパーチャー径100μm、ベックマン・コールター社製)にて粒径を測定した。体積基準のメジアン径が3.9μmになったところで温度を保持し、予め混合しておいた下記混合液1を20分かけて投入した。
〈混合液1〉
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1) 400質量部
アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 ダウ・ケミカル社製 20質量%水溶液) 15質量部
次いで、50℃に30分間保持した後、反応容器に、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)20質量%液を8部添加した後、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、原料分散液のpHを9.0に制御した。その後、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で85℃まで昇温し、85℃で保持した。
(冷却工程)
その後、フロー式粒子像分析装置 FPIA−3000(シスメックス社製)を用いて粒子像分析を行い、形状係数が0.970になった時点で降温速度10℃/分で冷却し、トナー母体粒子分散液(1)を得た。
(濾過・洗浄工程および乾燥工程)
その後、トナー母体粒子分散液(1)を濾過し、イオン交換水で充分洗浄した。次いで、40℃にて乾燥して、トナー母体粒子(1)を得た。得られたトナー母体粒子(1)は、体積基準のメジアン径は6.0μm、平均円形度は0.972であった。また、トナー母体粒子(1)における結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、10質量%である。
〔トナー母体粒子(2)の調製〕
上記トナー母体粒子(1)の調製において、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1)の添加量を880質量部、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)の添加量を320質量部に変更した以外は同様にして、トナー母体粒子(2)を調製した。得られたトナー母体粒子(2)は、体積基準のメジアン径は5.5μm、平均円形度は0.973であった。また、トナー母体粒子(2)における結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、20質量%である。
〔トナー母体粒子(3)の調製〕
上記トナー母体粒子(1)の調製において、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1)の添加量を1200質量部とし、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)を添加しない以外は同様にして、トナー母体粒子(3)を調製した。得られたトナー母体粒子(3)は、体積基準のメジアン径は5.8μm、平均円形度は0.968であった。
〔トナー母体粒子(4)の調製〕
トナー母体粒子(1)の作製において、凝集・融着工程及び熟成工程で用いたスラリー1の構成を、下記のように変更した以外は同様にして、トナー母体粒子(4)を調製した。
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1) 1008質量部
非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b1) 32質量部
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1) 160質量部
離型剤粒子分散液(W1) 200質量部
ブラック着色剤分散液(1) 187質量部
アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 ダウ・ケミカル社製 20質量%水溶液) 40質量部
イオン交換水 1500質量部
得られたトナー母体粒子(4)は、体積基準のメジアン径は5.5μm、平均円形度は0.970であった。
《外添剤の調製》
下記の方法に従って、アルミナ被覆シリカ粒子から構成され、表面に疎水化処理が施された外添剤1〜14を調製した。
〔外添剤1の調製〕
(アルミナ被覆シリカ粒子の調製)
撹拌機、滴下ロート及び温度計を備えた3リットルの反応器に、メタノールを945質量部、28%アンモニア水を45質量部、水を135質量部添加して混合した。この溶液の温度を35℃に調整し、撹拌しながらテトラメトキシシランの405質量部を6時間かけて滴下し、さらに滴下後、1時間の撹拌を継続して加水分解を行い、シリカ粒子の分散液を調製した。
この分散液を70℃に加温保持した状態で、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液をpHが8.0となるように滴下し、アルミン酸ナトリウムをシリカ質量に対してアルミナとして30質量%相当添加して、アルミナ被覆シリカ粒子を含むスラリーを調製した後、当該スラリーのpHを5.0に中和し、温度80℃で攪拌しながら30分間保持して、熟成した。このスラリーを減圧蒸留、乾燥した後、微粒子を解砕して外添剤粒子1を調製した。上記の方法により得られた外添剤粒子1について、個数平均一次粒径(D50)を測定したところ、20nmであった。
(表面疎水化処理)
上記で得られた外添剤粒子1を反応容器に入れて、窒素雰囲気下、粉末を回転羽根で撹拌しながら、外添剤粒子1の粉体100gに対して疎水化処理剤としてオクチルトリエトキシシラン20gをヘキサン60gで希釈させた溶液を添加し、200℃で120分間の加熱及び撹拌した後、冷却水で冷却し、減圧下で乾燥して、外添剤1を得た。
外添剤1における表面疎水化処理後の炭素含有量は、4.0質量%であった。また、下記の方法で測定した外添剤1(アルミナ被覆シリカ粒子)の疎水化度は65であった。
〈外添剤1の疎水化度の測定〉
100mLのトールビーカーに長さ20mmのスターラーチップとイオン交換水60mLを入れ、超音波を5分間照射して脱気をした後、粉体濡れ性試験機WET−100P(株式会社レスカ社製)にセットした。
次いで、上記イオン交換水の上に外添剤1サンプル25mgを浮かべ、次いで、すぐに蓋とメタノール供給ノズルをセットし、スターラー攪拌開始と同時に測定を開始した。メタノールの供給速度は1.6mL/min、測定時間は30minとした。スターラーの攪拌速度は350〜450rpmになるように調整した。外添剤は、最初はイオン交換水界面に浮いているが、メタノール濃度が上昇するにつれ徐々にイオン交換水とメタノールの混合液に濡れて液体中に分散し、液体の光透過率が低下する。この低下の様子から濡れ性を評価する。具体的には、得られたデータから、横軸にFlow(mL)から計算されるメタノール濃度(vol%)、縦軸に光透過率(電圧比(%))をプロットし、光透過率が最大値と最小値の中間となるときのメタノール濃度を「疎水化度」として求めた。
〔外添剤2〜14の調製〕
上記アルミナ被覆シリカ粒子の表面に疎水化処理を施した外添剤1の調製において、加水分解、重縮合工程のテトラメトキシシラン、アンモニア、アルコール及び水の質量比、反応温度、撹拌速度、供給速度を適宜制御することにより、表Iに記載の個数平均粒径とし、更に、アルミナ含有比率、表面疎水化剤の種類と処理量、炭素含有量、及び疎水化度を表Iに記載の条件となるように適宜変更して、外添剤2〜14を調製した。
Figure 2020038308
《静電荷像現像剤の調製》
[静電荷像現像剤1の調製]
[トナー粒子の調製]
〔トナー粒子1の調製〕
(外添剤添加工程)
前記調製したトナー母体粒子1(体積基準のメジアン径6.0μm)に、外添剤1を0.8質量部及び疎水性シリカ1(RY50 日本アエロジル(株)製)を0.5質量部添加し、ヘンシェルミキサーにて20分混合することにより、トナー粒子1を作製した。
(トナー粒子2〜23の調製)
上記トナー粒子1の調製において、表2に記載のように、外添剤の種類及び添加量、疎水性シリカ1の添加量、疎水性シリカ2の添加の有無、アルミナの添加の有無を変更した以外は同様にして、トナー粒子2〜23を作製した。
疎水性シリカ1:AEROSIL RY50(1次粒子径:40nm 日本アエロジル(株)製)、
疎水性シリカ2:X−24−9163A(ゾルゲルシリカ球状微粒子 信越化学(株)製)
アルミナ:AEROXIDE AluC(日本アエロジル(株)製)
[キャリア粒子の調製]
(芯材粒子の調製)
MnO:35mol%、MgO:14.5mol%、Fe:50mol%及びSrO:0.5mol%になるように原料をそれぞれ秤量し、水と混合した後、湿式メディアミルで5時間粉砕して、スラリーを得た。
得られたスラリーをスプレードライヤーにて乾燥し、真球状の粒子を得た。この粒子を粒度調整した後、950℃で2時間加熱し、ロータリーキルンで仮焼成を行った。直径0.3cmのステンレスビーズを用いて乾式ボールミルで1時間粉砕したのち、バインダーとしてポリビニルアルコールを固形分に対して0.8質量%添加し、更に水、分散剤を添加し、直径0.5cmのジルコニアビーズを用いて25時間粉砕した。次いで、スプレードライヤーにより造粒、乾燥し、電気炉にて、温度1050℃、20時間保持し、本焼成を行った。
その後、解砕し、さらに分級して粒度調整し、その後磁力選鉱により低磁力品を分別し、芯材粒子を得た。芯材粒子の体積平均粒径は28.0μmであった。
(被覆用樹脂の調製)
シクロヘキシルメタクリレートモノマー100質量部、ドデカンチオール1質量部を混合して溶解したものを、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製 ネオゲンSC)0.5質量部をイオン交換水400質量部に溶解した溶液を入れたフラスコ中に添加して乳化重合させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに開始剤として過硫酸アンモニウム0.5質量部を溶解したイオン交換水50質量部を投入した。窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、樹脂分散液を得た。その後、樹脂分散液をスプレードライで乾燥することで、被覆用樹脂を得た。被覆層形成用の樹脂粒子の重量平均分子量は35万であった。
(キャリア粒子の調製)
水平撹拌羽根付き高速撹拌混合機に、上記で準備した芯材粒子を100質量部、及び上記調製した被覆用樹脂の4.5質量部を投入し、水平回転翼の周速が8m/secとなる条件で、22℃で15分間混合撹拌した後、120℃で50分混合して機械的衝撃力(メカノケミカル法)の作用で芯材粒子の表面に被覆用樹脂を被覆させた後、室温まで冷却して、キャリア粒子を製造した。
[静電荷像現像剤の調製]
上記のようにして調製したトナー粒子1及びキャリア粒子を、トナー粒子濃度が9質量%となるようにして混合し、静電荷像現像剤1を調製した。混合に使用した混合機は、V型混合機(株式会社徳寿工作所製)を用い、25℃で30分間混合した。
[静電荷像現像剤2〜23の調製]
上記静電荷像現像剤1の調製において、トナー粒子1に代えて、トナー粒子2〜23を用いた以外は同様にして、静電荷像現像剤2〜23を調製した。
Figure 2020038308
《静電荷像現像剤の評価》
上記調製した各静電荷像現像剤について、下記の各評価を行った。
〔画像濃度の評価〕
(評価画像の印字)
市販のカラー複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ株式会社製)に上記調製した各静電荷像現像剤を充填した。
はじめに、常温常湿環境下(温度20℃、湿度50%RH、「NN」と表示。)で、A4版の上質紙(65g/m)上にテスト画像として印字率が5%の帯状ベタ画像を形成する印刷を1千枚行った。表IIIには、「初期(NN)」と表示し、これを評価ステップ1とする。
次いで、高温高湿環境下(温度30℃、湿度80%RH、「HH」と表示。)に移り、テスト画像として印字率が5%の帯状ベタ画像を形成する印刷を7万枚、次いで、印字率が40%の帯状ベタ画像を形成する印刷を3万枚の計10万枚の印刷を行った。表IIIには「100kp(HH)」と表示し、これを評価ステップ2とする。
最後に、低温低湿環境下(温度10℃、湿度20%RH、「LL」と表示。)に移り、同様に、テスト画像として印字率が5%の帯状ベタ画像を形成する印刷を7万枚、次いで、印字率が40%の帯状ベタ画像を形成する印刷を3万枚の計10万枚の印刷を行い、累計20万枚の印刷を行った。表IIIには「200kp(LL)」と表示し、これを評価ステップ3とする。
(画像濃度の測定)
上記連続印刷を行った1千枚印刷後(NN、評価ステップ1)、10万枚印刷後(HH、評価ステップ2)及び20万枚印刷後(LL、評価ステップ3)に、それぞれA4版の上質紙(65g/m)上にベタのパッチ画像を印字し、マクベス社製反射濃度計「RD−918」にて濃度測定した。画像濃度は絶対濃度である。
〔かぶり耐性の評価〕
印字されていない未使用の白紙について、マクベス反射濃度計「RD−918」を用いて20ヶ所の絶対画像濃度を測定して平均し、これを白紙濃度とした。
次に、評価ステップ1(NN)における1千枚目の画像印刷試料、評価ステップ2(HH)における10万枚目の画像印刷試料及び評価ステップ3(LL)における20万枚目の画像印刷試料について、画像印刷部以外の白地部分のそれぞれ20ヶ所の絶対画像濃度を測定して平均し、この平均濃度から白紙濃度を引いた値をかぶり濃度とし、上記各評価ステップの中で最もかぶり濃度が高い水準について、下記の評価基準によりかぶり耐性を評価した。
○:かぶり濃度が0.007未満
△:かぶり濃度が0.007以上、0.010未満
×:かぶり濃度が0.010以上
〔画像粒状度の評価〕
上記連続印刷を行った1千枚印刷後(NN、評価ステップ1)、10万枚印刷後(HH、評価ステップ2)及び20万枚印刷後(LL、評価ステップ3)に、A4版の上質紙(65g/m)上に、階調率32段階の階調パターンを出力し、この階調パターンにCCDによる読み取り値にMTF(Modulation Transfer Function)補正を考慮したフーリエ変換処理を施し、人間の比視感度に合わせたGI値(Graininess Index)を測定し、最大のGI値(GIi)を求めた。GIi値は、小さいほど良く、小さいほど画像の粒状感が少ないことを表している。なお、このGI値は、日本画像学会誌39(2)、84・93(2000)に掲載されている値である。上記各評価ステップの中で最大GI値(GIi)が最も水準について、下記評価基準にしたがって、上記画像における階調パターンの画像粒状性を評価した。
○:当該画像における最大GI値(GIi)が、0.170未満
△:当該画像における最大GI値(GIi)が、0.170以上、0.180未満
×:当該画像における最大GI値(GIi)が、0.180以上
〔定着性の評価〕
市販の複合プリンタのフルカラー複写機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ社製)で、定着装置を定着用ヒートローラーの表面温度を100〜210℃の範囲で変更することができるように改造したものに、上記調製した各静電荷像現像剤を充填し、A4(坪量80g/m)普通紙の上に、付着量5mg/10cmのベタ画像を定着させる定着実験を、設定される定着温度を100℃、105℃・・・と5℃刻みで増加させるよう変更しながら繰り返し行った。
各定着温度に係る定着実験において得られたプリント物を、折り機で前記ベタ画像に荷重をかけるように折り、ここに0.35MPaの圧縮空気を吹き付け、折り目を下記の評価基準に示す5段階にランク付けした。
ランク5:全く折れ目に従った剥離なし
ランク4:一部折れ目に従った微細な剥離あり
ランク3:折れ目に従った細かい線状の剥離あり
ランク2:折れ目に従った太い線状の剥離あり
ランク1:実用に耐えない大きな剥離あり
次いで、上記ランク評価でランク3となる定着実験における定着温度を求め、これを下限定着温度とし、下記の基準に従って定着性の評価を行った。
◎:下限定着温度が、165℃未満
○:下限定着温度が、165℃以上、170℃未満
△:下限定着温度が、170℃以上、175℃未満
×:下限定着温度が、175℃以上
以上により得られた結果を、表IIIに示す。
Figure 2020038308
表IIIに記載の結果より明らかなように、本発明の静電荷像現像剤は、比較例に対し、各環境下で印字した際の画像濃度、連続印字後のかぶり耐性、画像粒状度及び定着性に優れていることが分かる。
また、本発明のトナー粒子1及びトナー粒子15と、比較例のトナー粒子23について、上記評価後のトナー形状を、走査型電子顕微鏡(SEM)「JEM−7401F」(日本電子社製)を用いて、3万倍に拡大したSEM写真を撮影し、トナー粒子における外添剤の埋没状態を観察した結果、比較例のトナー粒子23における外添剤の埋没が著しく発生し、本発明のトナー粒子1及びトナー粒子15では外添剤の埋没が少なく、埋没程度の序列は、(大)トナー粒子23>>トナー粒子1>トナー粒子15であった。

Claims (8)

  1. 少なくとも、トナー母体粒子表面に外添剤を有するトナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーと、キャリア粒子より構成される静電荷像現像剤であって、
    前記トナー粒子を構成する外添剤が、主にアルミナ及びシリカからなる複合酸化物粒子を少なくとも含有し、
    前記複合酸化物粒子が、アルミナを5〜50質量%の範囲内で、シリカを50〜95質量%の範囲内で含有し、
    前記複合酸化物粒子の一次粒子の個数平均粒径が7〜80nmの範囲内であり、かつ、
    前記複合酸化物粒子の疎水化度が40以上である
    ことを特徴とする静電荷像現像剤。
  2. 前記複合酸化物粒子が、シリカ粒子の表面が前記アルミナで被覆されている構造を有することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像剤。
  3. 前記複合酸化物粒子における炭素含有量が、0.5〜6.0質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像剤。
  4. 前記複合酸化物粒子の一次粒子の個数平均粒径が、10〜50nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像剤。
  5. 前記複合酸化物粒子の含有量が、前記トナー粒子を100質量部としたとき、0.1〜2.0質量部の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電荷像現像剤。
  6. 前記トナー母体粒子が結着樹脂を含有し、かつ、前記結合樹脂が少なくとも非晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の静電荷像現像剤。
  7. 前記結着樹脂が、さらに結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項6に記載の静電荷像現像剤。
  8. 前記結晶性ポリエステル樹脂含有量が、前記トナー粒子全質量の0.1〜20質量%の範囲内であることを特徴とする請求項7に記載の静電荷像現像剤。
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