JP7036066B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Description
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
当該結着樹脂が結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を含有し、
当該外添剤がAl-Si複合酸化物粒子を含み、
当該Al-Si複合酸化物粒子のSi元素の含有率が50~90質量%の範囲内であり、かつ当該Al-Si複合酸化物粒子の表面におけるSi元素比率が3~35at%の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
外添剤としてシリカを使用することは、トナー粒子の流動性の向上に効果的であるが、負帯電性が非常に高いため過剰に帯電しやすく、同じく負帯電性の高い非晶性ポリエステル樹脂を含むトナーとキャリアとの静電的な付着力が高まり、低温低湿環境下においてキャリアからのトナーの分離性が悪くなり、画像濃度の低下といった画像不良を引き起こしやすい。
本発明の実施態様としては、前記Al-Si複合酸化物粒子の表面におけるSi元素比率が、5~15at%の範囲内であることが、Si起因の過剰帯電を抑える観点から好ましい。
さらに、本発明においては、前記結着樹脂中の前記結晶性ポリエステル樹脂の含有率が、5~20質量%の範囲内であることが、低温定着性と低印字モードでの画像濃度の低下を抑制する観点から好ましい。
本発明の実施態様としては、折り曲げ強度と低温低湿下での、画像濃度の低下を抑制する観点から、前記結着樹脂中の前記非晶性ポリエステル樹脂の含有率が、30~80質量%の範囲内であることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、結着樹脂及び外添剤を含有するトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、当該結着樹脂が結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を含有し、当該外添剤がAl-Si複合酸化物粒子を含み、当該Al-Si複合酸化物粒子のSi元素の含有率が50~90質量%の範囲内であり、かつ当該Al-Si複合酸化物粒子の表面におけるSi元素比率が3~35at%の範囲内であることを特徴とする。
本発明に係るトナー母体粒子は、結着樹脂を含有し、その他必要に応じて、着色剤、離型剤(ワックス)、荷電制御剤などの他の構成成分を含有してもよい。
本発明に係るトナー粒子は結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を含有する。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、5~20質量%の範囲内であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の含有率が、結着樹脂に対して、5質量%以上であると、トナーの溶融粘度をより十分に低下させることができ、低温定着性がより良好になる。
結晶性ポリエステル樹脂は、多価アルコール及び多価カルボン酸からなるポリエステル樹脂であり、示差走査熱量DSC)測定を行った時に、明確な融点を有する樹脂である。
結晶性樹脂の融点Tmcは、十分な高温保存性を得る観点から60℃以上であることが好ましく、十分な低温定着性を得る観点から85℃以下であることが好ましい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールが好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂は、多価アルコール及び多価カルボン酸からなるポリエステル樹脂であり、示差走査熱量DSC)測定を行った時に、融点を持たず、ガラス転移温度(Tg)を有する樹脂である。
非晶性ポリエステル樹脂の調製に用いられる多価カルボン酸及び多価アルコールの例としては、特に制限されないが、以下が挙げられる。
テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられる。これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いることができる。これら多価カルボン酸の中、芳香族カルボン酸を使用することが好ましく、またより良好な定着性を確保するために架橋構造又は分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールの1種又は2種以上用いることができる。これら多価アルコールの中、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。またより良好な定着性を確保するため、架橋構造又は分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
結着樹脂として、上記した結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂に加えて、本発明の効果を妨げない範囲で他の樹脂を用いることができる。具体的には、帯電特性に優れ、トナーの転写に優れることから非晶性ビニル樹脂を含むことができる。
本発明に用いることのできるビニル樹脂としては、ビニル化合物を重合したものであれば特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル樹脂、エチレン-酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以下では、非晶性樹脂としてのスチレン・(メタ)アクリル酸エステル樹脂(以下、「スチレン・(メタ)アクリル樹脂」とも称する)について説明する。
スチレン単量体の具体例としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-フェニルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン等が挙げられる。これらスチレン単量体は、単独でも又は2種以上組み合わせても用いることができる。
スチレン・(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000~100000の範囲内であることが好ましい。
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)によって測定した分子量分布から求めることができる。
具体的には、測定試料を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン(THF)中に添加し、室温において超音波分散機を用いて5分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して、試料液を調製した。GPC装置HLC-8120GPC(東ソー社製)及びカラムTSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ-m3連(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを流速0.2mL/minで流した。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出し、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出する。検量線は、分子量がそれぞれ6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106である10点のポリスチレン標準粒子(Pressure Chemical社製)を測定することにより作製する。
本発明に係る着色剤としては公知の着色剤が使用できる。
具体的には、イエロートナーに含有される着色剤としては、例えばC.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185などが挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
離型剤としては、公知の種々のワックスを用いることができる。ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
本発明のトナーは、荷電制御剤を含有してもよい。使用される荷電制御剤は、摩擦帯電により正又は負の帯電を与えることのできる物質であり、かつ無色のものであれば特に限定されず、公知の正帯電性の荷電制御剤及び負帯電性の荷電制御剤を用いることができる。
荷電制御剤の含有割合は、トナー中0.01~30質量%の範囲内であることが好ましく、0.1~10質量%の範囲内であることがより好ましい。
本発明に用いられる外添剤は、Al-Si複合酸化物粒子を含み、当該Al-Si複合酸化物粒子のSi元素の含有率が50~90質量%の範囲内であり、かつ当該Al-Si複合酸化物粒子の表面におけるSi元素比率が3~35at%の範囲内である。
Al-Si複合酸化物粒子は、Al元素とSi元素の、全て又は一部が酸素原子を介して結合している金属酸化物の粒子である。AlとSiの酸化物で構成されることが好ましい。
複合酸化物粒子のSi元素の含有率とは、Al-Si複合酸化物粒子中のSi元素の比率(質量%)を現したもので、蛍光X線分析装置を用いて求める。
・ X線発生部条件/ターゲット Rh、管電圧 40kV、管電流 95mA、フィルター なし
・ 分光系条件/スリット 標準、アッテネータ なし、分光結晶(Fe=LiF、Cl=Ge、Ca=LiF)
検出器(Fe=SC、Cl=FPC、Ca=FPC)
Al-Si複合酸化物粒子の表面おけるSi元素比率とは、下記のX線光電子分光装置を用いて後述する条件で測定したときの粒子の表面におけるSi元素比率をいう。最表面及び最表面から深さ3nm以内の範囲内のSi組成にほぼ対応する。Al-Si複合酸化物粒子のSi元素比率は、X線光電子分光装置を用いて粒子表面におけるAl元素及びSi元素の定量分析を行い、各々の元素のピーク面積から相対感度因子を用いて粒子表面における各原子濃度(at%)を算出し求める。
X線 :Alモノクロ線源
加速 :12kV、6mA
分解能 :50eV
ビーム系 :400μm
パスエネルギー:50eV
ステップサイズ:0.1eV
Al-Si複合酸化物粒子の製造方法としては、水系媒体中で、アルミナ粒子又はシリカ粒子の表面に、それぞれシリカ又はアルミナを付着させ被覆する方法、ドープ法、気相法などがあげられる。中でも、気相法で粒子を製造した後に、後工程として加熱処理を行う製造方法が好ましい。
また、コアシェル型のAl-Si複合酸化物粒子が作製できているかを確認するためには飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いることができる。
本発明に係るトナーの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できるが、乳化重合凝集法や乳化凝集法を好適に採用できる。
本発明に係るトナーの製造方法に好ましく用いられる乳化重合凝集法は、乳化重合法によって製造された結着樹脂の微粒子(以下、「結着樹脂微粒子」ともいう。)の分散液を、着色剤の微粒子(以下、「着色剤微粒子」ともいう。)分散液及びワックスなどの離型剤の分散液と混合し、トナー母体粒子が所望の粒径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂微粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー母体粒子を製造する方法である。
トナー母体粒子に対する外添剤の外添混合処理は、機械式混合装置を用いることができる。機械式混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、タービュラーミキサー等が使用できる。これらの中で、ヘンシェルミキサーのように処理される粒子に剪断力を付与できる混合装置を用いて、混合時間を長くする又は撹拌羽根の回転周速を上げる等の混合処理を行えばよい。また、複数種類の外添剤を使用する場合、トナー粒子に対して全ての外添剤を一括で混合処理するか、又は外添剤に応じて複数回に分けて分割して混合処理してもよい。
本発明のトナーと、下記キャリア粒子とを混合することにより、二成分現像剤を得ることができる。混合の際に用いられる混合装置としては特に制限されないが、例えば、ナウターミキサー、Wコーン及びV型混合機等が挙げられる。
二成分現像剤中のトナーの含有量(トナー濃度)は、特に制限されないが、4.0~8.0質量%の範囲内であることが好ましい。
キャリア粒子は、磁性体により構成され、公知のものを用いることができる。例えば、キャリア粒子としては、磁性体からなる芯材粒子と、当該芯材粒子の表面を被覆する被覆材の層とを有する被覆型キャリア粒子や、樹脂中に磁性体の微粉末が分散されてなる樹脂分散型のキャリア粒子等が挙げられる。キャリア粒子は、感光体に対するキャリア粒子の付着を抑制する観点から、上記被覆型キャリア粒子であることが好ましい。以下、被覆型キャリア粒子について説明する。
被覆層の具体的作製法としては、湿式コート法、乾式コート法が挙げられる。以下に各方法について述べるが、乾式コート法は本発明に適用するのに特に望ましい方法であり、以下に詳細に記載する。湿式コート法としては、下記のものがある。
被覆用樹脂を溶剤に溶解した塗布液を、流動層を用いて芯材粒子の表面にスプレー塗布し、次いで乾燥して被覆層を作製する方法。
(2)浸漬式コート法
被覆用樹脂を溶剤に溶解した塗布液中に、芯材粒子を浸漬して塗布処理し、次いで乾燥して被覆層を作製する方法。
(3)重合法
反応性化合物を溶剤に溶解した塗布液中に、芯材粒子を浸漬して塗布処理し、次いで熱等を加えて重合反応を行い被覆層を作製する方法等を挙げることができる。
被覆しようとする粒子の表面に樹脂粒子を被着させ、その後機械的衝撃力を加えて、被覆しようとする粒子表面に被着した樹脂粒子を溶融或いは軟化させて固着し被覆層を作製する方法である。キャリア芯材、樹脂及び低抵抗微粒子等を非加熱下、又は加熱下で機械的衝撃力が付与できる高速撹拌混合機を用い、高速撹拌して当該混合物に衝撃力を繰り返して付与し、磁性体粒子の表面に溶解又は軟化させて固着したキャリアを作製するのである。コート条件として、加熱する場合には、80~130℃の範囲内であることが好ましく、衝撃力を起こす風速としては、加熱中は10m/s以上が好ましく、冷却時にはキャリア粒子同士の凝集を抑制するため5m/s以下が好ましい。衝撃力を付与する時間としては、20~60分の範囲内であることが好ましい。
《結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(CP分散液)の調製》
・1,10-デカンジカルボン酸 :50モル部
・1,6-ヘキサンジオール :50モル部
撹拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に上記モノマーを入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した。次いで、チタンテトラブトキサイド(Ti(O-n-Bu)4)を上記モノマーの合計100質量部に対して0.4質量部投入した。窒素ガス気流下、180℃で4時間撹拌し反応させた後、温度をさらに210℃まで3時間かけて昇温し、反応容器内を3kPaまで減圧し、減圧下で2時間撹拌し反応させて、結晶性ポリエステル樹脂(CP樹脂)を得た。
次に、この結晶性ポリエステル樹脂200質量部と、メチルエチルケトン200質量部をセパラブルフラスコに入れ、これを70℃で充分混合、溶解した後、10質量%アンモニア水溶液を8質量部滴下した。加熱温度を67℃に下げ、撹拌しながらイオン交換水を送液速度10質量部/分で滴下し、送液量が800質量部になったところで、イオン交換水の滴下を止めた。その後、減圧下で溶媒除去を行った。さらに樹脂固形分濃度が20質量%となるように純水を加え、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(CP分散液)を得た。この分散液の体積基準のメジアン径(D50)を、マイクロトラックUPA-150(日機装株式会社製)にて測定したところ、160nmであった。
[非晶性ポリエステル樹脂(AP樹脂)の調製]
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物 40モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物 60モル部
・テレフタル酸 60モル部
・フマル酸 15モル部
・ドデセニルコハク酸 20モル部
・トリメリット酸 5モル部
次いで、非晶性ポリエステル樹脂(AP樹脂)200質量部と、メチルエチルケトン200質量部、10質量%アンモニア水溶液7.0質量部とをセパラブルフラスコに入れ、十分に混合、溶解した後、40℃で加熱撹拌しながら、イオン交換水を8質量部/分で滴下し、送液量が580質量部になったところで滴下を止めた。その後減圧下で溶剤除去を行った。さらに樹脂固形分濃度が20質量%となるように純水を加え、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(AP分散液)を得た。この分散液の体積基準のメジアン径(D50)を、マイクロトラックUPA-150(日機装株式会社製)にて測定したところ、156nmであった。
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、アニオン性界面活性剤(ダウ・ケミカル社製ダウファックス)1.0質量部と、イオン交換水1500質量部とを仕込み、窒素気流下で撹拌しながら、内温を75℃に昇温させた。
非晶性ビニル樹脂粒子分散液(AV分散液)中の非晶性ビニル樹脂(AV樹脂)は、ガラス転移温度(Tg)が52℃、重量平均分子量(Mw)が45000であった。
・パラフィン系ワックス(日本精蝋製HNP51、融点77℃) 200質量部
・ドデシル硫酸ナトリウム 20質量部
・イオン交換水 1780質量部
以上の成分を混合した溶液を95℃に加熱して、ウルトラタラックスT50(IKA製)にて十分に分散した後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離型剤粒子分散液を得た。
マイクロトラックUPA-150(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、離型剤粒子分散液中の粒子の体積平均粒径は225nmであった。
[ブラック着色剤粒子分散液の調製]
・カーボンブラック(キャボット社製、リーガル(登録商標)330) 100質量部
・ドデシル硫酸ナトリウム 15質量部
・イオン交換水 885質量部
上記成分を混合し、ウルトラタラックスT50(IKA社製)にて十分に分散した後、超音波分散機で20分間処理することによりブラック着色剤粒子分散液を得た。この分散液中の着色剤粒子の体積基準のメジアン径(D50)を、マイクロトラックUPA-150(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、150nmであった。
[トナー母体粒子の作製]
<凝集・融着工程及び熟成工程>
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(CP分散液) 75質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(AP分散液) 625質量部
・非晶性ビニル樹脂粒子分散液(AV分散液) 1800質量部
・離型剤粒子分散液 500質量部
・ブラック着色剤粒子分散液 400質量部
・アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 20%水溶液) 40質量部
・イオン交換水 3000質量部
温度計、pH計及び撹拌器を備えた反応容器に上記の材料を入れ、温度25℃下に1.0%硝酸を添加してpHを3.0に調整した。その後、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)にて3,000rpmで分散しながら、濃度2%の硫酸アルミニウム(凝集剤)水溶液100質量部を30分かけて添加した。滴下終了後、10分間撹拌し、原料と凝集剤を十分に混合した。
次いで、50℃に30分間保持した後、反応容器に、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)20%液を8部添加した後、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、原料分散液のpHを9.0に制御した。その後、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で85℃まで昇温し、85℃で保持した。
その後、「FPIA-3000」を用い平均円形度が0.971になった時点で降温速度10℃/分で冷却し、トナー母体粒子分散液(1)を得た。
その後、濾過し、イオン交換水で充分洗浄した。次いで、40℃にて乾燥して、トナー母体粒子(1)を得た。得られたトナー母体粒子(1)は、体積基準のメジアン径は4.0μm、平均円形度は0.971であった。
[Al-Si複合酸化物粒子(1)の調製]
四塩化ケイ素(SiCl4)175kg/hr及び三塩化アルミニウム(AlCl3)125kg/hr及びを約200℃で蒸発装置中で蒸発させ、塩化物の蒸気を、窒素により、バーナーの混合チャンバー中に通過させた。ここで、気体流を水素100Nm3/hr及び空気450Nm3/hrと混合し、中央チューブ(直径7mm)を介して火炎へ供給した。その結果、バーナー温度は230℃であり、チューブの排出速度は約35.8m/sであった。水素0.05Nm3/hrをジャケットタイプの気体として外側チューブを介して供給した。気体を反応チャンバー中で燃焼し、下流の凝集ゾーンで約110℃まで冷却した。Al-Si複合酸化物コア粒子の一次粒子の凝集が行われ、同時に生成される塩酸含有ガスから、得られたAl-Si複合酸化物コア粒子をサイクロン中で分離・回収し、湿空気を有する粉末を約500から700℃で処理することにより、Al-Si複合酸化物の粒子を得た。
前述した方法により測定した結果、得られたAl-Si複合酸化物粒子(1)の表面組成におけるSi元素比率は3at%、Si元素含有率は50質量%であった。
上記Al-Si複合酸化物粒子(1)の調製において、四塩化ケイ素、三塩化アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド及びオルトケイ酸テトラエチルを下記表Iのように変更することでAl-Si複合酸化物粒子(2)~(16)を得た。
前述した方法により測定した結果、得られたAl-Si複合酸化物粒子(2)~(16)の表面組成におけるSi元素比率及びSi元素の含有率は表Iの通りであった。
[トナー(1)の作製(外添剤処理工程)]
トナー母体粒子に100質量部に対し、Al-Si複合酸化物粒子(1)を2質量部添加し、ヘンシェルミキサー型式「FM20C/I」(日本コークス工業株式会社製)に添加し、羽根先端周速が40m/sとなるようにして撹拌翼の回転数を設定して15分間撹拌し、トナー(1)を作製した。
なお、トナー母体粒子へのAl-Si複合酸化物粒子(1)の混合時の温度は40℃±2℃となるように制御した。
(芯材被覆用樹脂の作製)
0.3質量%のベンゼンスルホン酸ナトリウムの水溶液中に、メタクリル酸シクロヘキシル及びメタクリル酸メチルを1:1のモル比で添加し、単量体総量の0.5質量%にあたる量の過硫酸カリウムを添加して乳化重合を行った。得られた分散液中の樹脂粒子を当該分散液のスプレードライによって乾燥することで、芯材被覆用樹脂である被覆材を作製した。得られた被覆材の重量平均分子量(Mw)は500000であった。被覆材の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた。
体積平均径が25μmであるMn-Mg系のフェライト粒子を芯材粒子として準備した。水平撹拌羽根付き高速撹拌混合機に、上記フェライト粒子の100質量部と、被覆材の4.5質量部とを投入し、水平回転翼の周速が8m/secとなる条件で、22℃で15分間混合撹拌した。その後、120℃で50分間混合して、機械的衝撃力(メカノケミカル法)の作用で上記芯材粒子の表面に被覆材を被覆させて、キャリア粒子を作製した。キャリア粒子の体積分布基準のメジアン径は28μmであった。
磁性体粒子の体積基準のメジアン径は、レーザー回折式粒度分布測定装置「HELOS KA」(株式会社日本レーザー製)を用いて湿式にて測定されるものである。
トナー(1)及びキャリア粒子を、二成分現像剤におけるトナーの含有量(トナー濃度)が7質量%となるようにして、V型混合機にて30分混合して二成分現像剤である現像剤(1)を作製した。
上記のトナー(1)作製において、トナー母体粒子中の結着樹脂及びAl-Si複合酸化物粒子を下記表IIのように変更し、トナー(2)~(24)を作製した。さらに、現像剤(1)の作製において、トナー(1)を表IIに示したように変更することで現像剤(2)~(24)を作製した。
[最低定着温度の評価]
複写機「bizhub PRESS C1070」(コニカミノルタ社製)を用い、定着装置を、加熱ローラの表面温度(定着温度)を130~200℃の範囲で変更することができるように改造したものに上記作製した現像剤をそれぞれ装填して評価を行った。
複写機「bizhub PRESS C1070」(コニカミノルタ社製)を用い、定着装置を、加熱ローラの表面温度(定着温度)を130~200℃の範囲で変更することができるように改造したものに上記作製した現像剤をそれぞれ装填して用いた。
複写機「bizhub PRESS C1070」(コニカミノルタ社製)に上記作製した現像剤をそれぞれ装填して評価を行った。
複写機「bizhub PRESS C1070」(コニカミノルタ社製)を改造して温湿度補正の制御を無効にしたものを用い、上記作製した現像剤をそれぞれ装填して評価を行った。
その後、低温低湿(温度10℃、湿度20%RH)の環境下において、A4サイズの上質紙「CFペーパー」上に100mm×100mmサイズの画像を出力した。
複写機「bizhub PRESS C1070」(コニカミノルタ社製)に上記作製した現像剤をそれぞれ装填して評価を行った。
ランク3:部分的に僅かな濃度ムラが観察される
ランク2:部分的に濃度ムラが観察される
ランク1:画像の全面に濃度ムラが観察される
複写機「bizhub PRESS C1070」(コニカミノルタ社製)に上記作製した現像剤をそれぞれ装填して評価を行った。
以上の結果を表IIIに示す。
外添剤の表面におけるSi元素比率が3%未満であると、粒子表面の負帯電性が低いことに起因すると推定され、高温高湿環境下で非印字部にトナーカブリが発生し、表面組成におけるSi元素比率が35%より高いと、粒子表面の負電荷が高すぎると推定され、低温低湿環境下での画像濃度が低下する。
また、外添剤のSi元素含有比率が90質量%より高いと、Al-Si複合酸化物粒子の体積抵抗が高く、低温低湿下で転写電界が高くなることで生じる放電によると推定される画像ムラが発生し、Si元素含有比率が50質量%より低いと、モース硬度が高すぎ、Al-Si複合酸化物粒子のトナーへの埋没が進行すると推定され、低印字モードでの画像濃度が低下する。
Claims (5)
- 結着樹脂及び外添剤を含有するトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、
当該結着樹脂が結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を含有し、
当該外添剤がAl-Si複合酸化物粒子を含み、
当該Al-Si複合酸化物粒子のSi元素の含有率が50~90質量%の範囲内であり、かつ当該Al-Si複合酸化物粒子の表面におけるSi元素比率が3~35at%の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。 - 前記Al-Si複合酸化物粒子の表面におけるSi元素比率が、5~15at%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記Al-Si複合酸化物粒子のSi元素の含有率が、60~80質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記結着樹脂中の前記結晶性ポリエステル樹脂の含有率が、5~20質量%の範囲内であること特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記結着樹脂中の前記非晶性ポリエステル樹脂の含有率が、30~80質量%の範囲内であること特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに一項記載の静電荷像現像用トナー。
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