JP2019138990A - 静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像用二成分現像剤 - Google Patents

静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像用二成分現像剤 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、外部環境やカバレッジの変化による帯電量変動が抑制され、形成される画像において画像濃度が安定し、かぶりの発生が抑制され、かつドット再現性にも優れる静電荷像現像用トナーを提供することである。【解決手段】本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー母体粒子と、外添剤と、を含む静電荷像現像用トナーであって、前記外添剤が、角を有するアルミナ粒子を含有し、前記アルミナ粒子の個数平均粒径が、5〜60nmの範囲内であることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像用二成分現像剤に関する。本発明は、特に、外部環境やカバレッジの変化による帯電量変動が抑制され、形成される画像において画像濃度が安定し、かぶりの発生が抑制され、かつドット再現性にも優れる静電荷像現像用トナー、及び静電荷像現像用二成分現像剤に関する。
従来、静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーともいう。)には、帯電性及び流動性の向上の観点から、トナー母体粒子表面上に外添剤が添加される。外添剤としては、一般に無機酸化物の微粉末が用いられ、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ等が挙げられる。しかしながら、シリカ粒子は、流動性の向上には効果的であるものの、負帯電性が高いために、特に低温低湿環境においてトナー帯電量を過度に増大させてしまう傾向にある。
したがって、低温低湿環境における帯電量の増大を抑制する観点からは、外添剤として抵抗の低いチタニア粒子を用いることが好ましい。しかしながら、高カバレッジ印刷時において、チタニア粒子がトナーからキャリアへ移行される際に、キャリアの電荷移動が促進されて、トナー帯電量が低下してしまうという問題がある。
そこで、チタニア粒子にキャリアと同程度の抵抗を持たせるため、チタニア粒子の表面処理量を増大させる方法が挙げられるが、チタニア粒子の抵抗値をキャリアと同程度に調整するためには表面処理量が過剰となる。表面処理量が過剰になると外添剤の凝集性が増し、トナーの流動性が低下するため、結果として帯電量が低下してしまう。
そこで、チタニア粒子よりも抵抗の高いアルミナ粒子を用いることで、適度な表面処理量でキャリアと同程度の抵抗を持たせることができ、キャリア移行した際の帯電量変動を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
しかしながら、アルミナ粒子はチタニア粒子と比べて比重が小さく、トナー母体粒子から遊離しやすい状態で付着しているため、高カバレッジ印刷時のキャリアへの移行量がチタニア粒子よりも多くなる。結果として、外添剤として単純にアルミナ粒子を用いるのみでは、帯電量変動の抑制効果が不十分であることが判明した。
特開2009−265471号公報 特開2009−192722号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、外部環境やカバレッジの変化による帯電量変動が抑制され、形成される画像において画像濃度が安定し、かぶりの発生が抑制され、かつドット再現性にも優れる静電荷像現像用トナー、及び静電荷像現像用二成分現像剤を提供することである。
本発明に係る上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、トナー母体粒子と、外添剤とを含む静電荷像現像用トナーであって、外添剤が角を有するアルミナ粒子を含有し、アルミナ粒子の個数平均粒径が特定の範囲内であることで、外部環境やカバレッジの変化による帯電量変動が抑制され、形成される画像において画像濃度が安定し、かぶりの発生が抑制され、かつ優れたドット再現性が得られることを見いだした。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
1.トナー母体粒子と、外添剤と、を含む静電荷像現像用トナーであって、
前記外添剤が、角を有するアルミナ粒子を含有し、
前記アルミナ粒子の個数平均粒径が、5〜60nmの範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
2.超音波振動処理後の前記トナー母体粒子に対する前記アルミナ粒子の付着量が、前記超音波振動処理前の前記トナー母体粒子に対する前記アルミナ粒子の付着量の60〜100%の範囲内であることを特徴とする第1項に記載の静電荷像現像用トナー。
3.超音波振動処理後の前記トナー母体粒子に対する前記アルミナ粒子の付着量が、前記超音波振動処理前の前記トナー母体粒子に対する前記アルミナ粒子の付着量の60〜80%の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の静電荷像現像用トナー。
4.前記トナー母体粒子が、結着樹脂として非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
5.前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする第4項に記載の静電荷像現像用トナー。
6.前記結晶性ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステルセグメントと、非晶性樹脂セグメントとが化学的に結合してなるハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする第5項に記載の静電荷像現像用トナー。
7.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーと、
キャリア粒子と、を含有することを特徴とする静電荷像現像用二成分現像剤。
本発明によれば、外部環境やカバレッジの変化による帯電量変動が抑制され、形成される画像において画像濃度が安定し、かぶりの発生が抑制され、かつドット再現性にも優れる静電荷像現像用トナー、及び静電荷像現像用二成分現像剤を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
トナー母体粒子からキャリアへのアルミナ粒子の移行を抑える手段として、アルミナ粒子の粒径及び形状に着目し、粒径としては5〜60nm、形状としては角(アルミナ粒子表面から尖って突き出た部分)を有するものを用いることで、トナー母体粒子とアルミナ粒子の接触面積が増大し、アルミナ粒子をより強く付着させることが可能となる。これにより、外添剤のキャリアへの移行量を低減することができ、外部環境やカバレッジの変化による帯電量変動を抑制することができる。よって、形成される画像においても、画像濃度の安定、かぶりの発生抑制、ドット再現性の向上等の効果が得られたものと考えている。
また、超音波振動処理後のトナー母体粒子に対するアルミナ粒子の付着量を、当該超音波振動処理前のトナー母体粒子に対するアルミナ粒子の付着量の60〜100%とすることで、アルミナ粒子のトナー母体粒子からキャリアへの移行量を、チタニア粒子使用時と同等以下に抑えることができる。これにより、トナーの帯電量がより安定化するため、外部環境やカバレッジが変動しても、高画質な画像を安定的に得られたものと考えている。
本発明に係るアルミナ粒子の当映像を示す説明図 本発明に係るアルミナ粒子の電子顕微鏡写真の一例
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー母体粒子と、外添剤と、を含む静電荷像現像用トナーであって、前記外添剤が、角を有するアルミナ粒子を含有し、前記アルミナ粒子の個数平均粒径が、5〜60nmの範囲内であることを特徴とする。この特徴は、下記各実施形態に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明においては、超音波振動処理後の前記トナー母体粒子に対する前記アルミナ粒子の付着量が、前記超音波振動処理前の前記トナー母体粒子に対する前記アルミナ粒子の付着量の60〜100%の範囲内であることが好ましく、60〜80%の範囲内であることがより好ましい。これにより、トナー母体粒子からキャリアへのアルミナ粒子の移行量を低減することができ、帯電量変動をより抑制することができる。
また、本発明においては、前記トナー母体粒子が、結着樹脂として非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含有することが好ましい。これにより、定着時にトナー粒子が溶融しやすくなり、省エネルギー化を図ることができる。
また、本発明においては、前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。これにより、トナーの低温定着性を向上させることができる。
また、本発明においては、前記結晶性ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステルセグメントと、非晶性樹脂セグメントとが化学的に結合してなるハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。これにより、トナーの低温定着性をさらに向上させることができる。
また、本発明の静電荷像現像用二成分現像剤は、第1項から第6項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーと、キャリア粒子と、を含有することを特徴とする。これにより、外部環境やカバレッジの変化による帯電量変動が抑制され、形成される画像において画像濃度が安定し、かぶりの発生が抑制され、かつドット再現性にも優れる静電荷像現像用二成分現像剤とすることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《静電荷像現像用トナーの概要》
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー母体粒子と、外添剤と、を含む静電荷像現像用トナーであって、外添剤が、角を有するアルミナ粒子を含有し、当該アルミナ粒子の個数平均粒径が、5〜60nmの範囲内であることを特徴とする。
また、本発明におけるトナーとは、トナー粒子の集合体をいう。また、トナー粒子とは、トナー母体粒子に外添剤を添加したものをいう。なお、本発明においては、トナー母体粒子とトナー粒子とを区別する必要がない場合には、単にトナー粒子と称することがある。
《トナー母体粒子》
本発明に係るトナー母体粒子は、少なくとも結着樹脂を含有し、さらに離型剤等を含有することが好ましい。
(トナー母体粒子の粒径)
本発明に係るトナー母体粒子の体積基準のメジアン径は、例えば、4.5〜8.0μmの範囲内であることが好ましい。トナー母体粒子の体積基準のメジアン径が上記範囲内であれば、出力画像の画質とトナー補給性の両方を向上させ、かつ帯電、現像、転写、クリーニング等の機能をも向上させることができる。また、トナー母体粒子の体積基準のメジアン径は、5.0〜6.2μmの範囲内であることがより好ましく、これによりドット再現性が向上するため、より高画質な画像が得られる。
トナー母体粒子の体積基準のメジアン径は、例えば、「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマン・コールター製)を接続した装置を用いて、測定、算出することができる。測定手順としては、試料0.02gを、界面活性剤溶液20mLに分散させ、馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、試料分散液を調製する。当該界面活性剤溶液としては、例えば、界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈したものを用いることができる。調製した試料分散液を、ISOTONII(ベックマン・コールター社製)のビーカーに測定濃度5〜10%になるまで滴下していき、測定機カウントを25000個に設定して測定する。ここで、マルチサイザー3のアパチャー径は100μmのものを使用する。測定は、2〜60μmの範囲を256分割しての頻度数を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準のメジアン径(D50)として得る。
(トナー母体粒子の平均円形度)
本発明に用いるトナー母体粒子の平均円形度は、例えば、トナーの補給性の観点から、0.920〜1.000の範囲内であることが好ましい。当該平均円形度は、下記式(1)にて算出される。トナー母体粒子の平均円形度が上記範囲内であると、トナー母体粒子同士の接触点が小さくなる。これにより、外力応答性が向上し、流動化度が高まるため、トナー補給性に優れたトナーを得ることができる。なお、平均円形度が上記範囲内であると、転写効率も十分確保可能である。
式(1):平均円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
上記平均円形度を求める測定例としては、例えば、平均円形度の測定装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いた測定が挙げられる。具体的な操作としては、試料を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行って分散した後、「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で測定を行う。
[結着樹脂]
トナー母体粒子は、結着樹脂として、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含有することが好ましい。結着樹脂として結晶性樹脂を含有することにより、低温定着性を向上させることができる。
ここで、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC(Differential scanning calorimetry))により得られる吸熱曲線において、融点、すなわち昇温時に明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、10℃/minの昇温速度で昇温したときの吸熱曲線において半値幅が15℃以内のピークをいう。
一方、非晶性樹脂とは、上記と同様の示差走査熱量測定を行った際に得られる吸熱曲線において、ガラス転移が生じたことを示すベースラインのカーブは見られるが、上述した明確な吸熱ピークが見られない樹脂のことをいう。
(1)非晶性樹脂
結着樹脂としては、公知の非晶性樹脂を用いることができる。その具体例としては、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。中でも、環境差による変動が小さいという理由から、ビニル樹脂が好ましい。
ビニル樹脂としては、ビニル化合物を重合したものであれば特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン・(メタ)アクリル酸エステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記ビニル樹脂の中でも、熱定着時の可塑性の観点から、スチレン・(メタ)アクリル酸エステル樹脂が好ましい。したがって、以下では、非晶性樹脂としてのスチレン・(メタ)アクリル酸エステル樹脂(以下、スチレン・(メタ)アクリル樹脂ともいう。)について説明する。
スチレン・(メタ)アクリル樹脂は、少なくとも芳香族系ビニル単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを付加重合させて形成されるものである。芳香族系ビニル単量体には、CH=CH−Cの構造式で表されるスチレンの他に、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有するものも含まれる。また、ここでいう(メタ)アクリル酸エステル単量体は、CH=CHCOOR(Rは、アルキル基を表す。)で表されるアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの他に、アクリル酸エステル誘導体やメタクリル酸エステル誘導体等の構造中に公知の側鎖や官能基を有するものを含む。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸エステル単量体とは、アクリル酸エステル単量体とメタクリル酸エステル単量体とを総称するものである。
スチレン・(メタ)アクリル樹脂の形成が可能な芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体の一例を以下に示す。
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等が挙げられる。これら芳香族系ビニル単量体は、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、フェニルアクリレート等のアクリル酸エステル単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。これら(メタ)アクリル酸エステル単量体は、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
スチレン・(メタ)アクリル樹脂中の芳香族系ビニル単量体に由来する構成単位の含有率は、例えば、当該樹脂の全量に対し、40〜90質量%の範囲内であることが好ましい。また、当該樹脂中の(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構成単位の含有率は、例えば、当該樹脂の全量に対し、10〜60質量%の範囲内であることが好ましい。
さらに、スチレン・(メタ)アクリル樹脂は、上記芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体に加え、次の単量体化合物を含んでいても良い。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等のカルボキシ基を有する化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有する化合物が挙げられる。これら単量体化合物は、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
スチレン・(メタ)アクリル樹脂中の上記単量体化合物に由来する構成単位の含有率は、例えば、当該樹脂の全量に対し、0.5〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
スチレン・(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、例えば、10000〜100000の範囲内であることが好ましい。
本発明において、樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)によって測定した分子量分布から求めることができる。
具体的には、まず、測定試料を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン中に添加し、室温において超音波分散機を用いて5分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブレンフィルターで処理して、試料液を調製する。例えば、GPC装置HLC−8120GPC(東ソー社製)及びカラム(「TSKgel guardcolumn SuperHZ−L」及び「TSKgel SuperHZM−M」(東ソー社製))を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを流速0.2mL/minで流す。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出し、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出する。検量線は、分子量がそれぞれ6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10である10点のポリスチレン標準粒子(Pressure Chemical社製)を測定することにより、作成する。
スチレン・(メタ)アクリル樹脂の製造方法は、特に制限されず、上記単量体の重合に通常用いられる過酸化物、過硫化物、過硫酸塩、アゾ化合物等の任意の重合開始剤を用い、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルション法、分散重合法等の公知の重合手法により重合を行う方法が挙げられる。また、分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、n−オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステル等を挙げることができる。
非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に制限されないが、低温定着性等の定着性、並びに耐熱保管性及び耐ブロッキング性等の耐熱性を確実に得る観点から、例えば、25〜60℃の範囲内であることが好ましい。
さらに、トナーの機械的強度を和らげ、外添剤の過剰な埋没を抑制するため、非晶性樹脂として、ビニル樹脂とともにポリエステル樹脂を併用することが好ましい。
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸モノマー(誘導体)及び多価アルコールモノマー(誘導体)を原料として適宜の触媒の存在下で重縮合反応によって製造されるものである。
多価カルボン酸モノマー誘導体としては、例えば、多価カルボン酸モノマーのアルキルエステル、酸無水物及び酸塩化物を用いることができ、多価アルコールモノマー誘導体としては、多価アルコールモノマーのエステル及びヒドロキシカルボン酸を用いることができる。
多価カルボン酸モノマーとしては、例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p′−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸等の2価のカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等の3価以上のカルボン酸等を挙げることができる。多価カルボン酸モノマーとしては、例えば、フマル酸、マレイン酸、メサコン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましい。また、本発明においては無水マレイン酸等のジカルボン酸の無水物を用いることもできる。
多価アルコールモノマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等の2価のアルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等の3価以上のポリオール等を挙げることができる。
(2)結晶性樹脂
結晶性樹脂としては、例えば、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル系樹脂等が挙げられる。結晶性樹脂としては、低温定着性を得る観点から、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
(2−1)結晶性ポリエステル樹脂
結晶性ポリエステル樹脂としては、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂を用いることができる。
多価カルボン酸とは、1分子中にカルボキシ基を2個以上有する化合物である。具体的には、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラダカンジオール等の飽和脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸;これらカルボン酸化合物の無水物、炭素数1〜3のアルキルエステル等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
多価アルコールとは、1分子中にヒドロキシ基を2個以上有する化合物である。具体的には、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等の脂肪族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の3価以上の多価アルコール等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明では、トナー母体粒子中に結晶性ポリエステル樹脂のドメインを形成する観点から、結晶性ポリエステル樹脂を形成するための多価アルコールに由来する構造単位の主鎖の炭素数をCalcohol、結晶性ポリエステル樹脂を形成するための多価カルボン酸に由来する構造単位の主鎖の炭素数をCacidとしたとき、下記式(2)及び(3)を満たすことが好ましい。
式(2):5≦|Cacid−Calcohol|≦12
式(3):Cacid>Calcohol
アルコールと酸との間でアルキル鎖長の差が大きくなるほど、結晶性ポリエステル樹脂が凝集しづらくなり、結晶の微分散化が可能となる。このため、当該差が5より小さい場合には、大きめのドメインが形成され、当該差が12より大きい場合には、小さめのドメインが形成される。
結晶性ポリエステル樹脂の含有割合は、例えば、トナー粒子を構成する樹脂全量に対して、5〜20質量%の範囲内であることが好ましい。5質量%以上であると、十分な低温定着性が得られやすくなる。20質量%以下であると、トナーを作製しやすくなる。
(2−2)ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂
結晶性ポリエステル樹脂は、非晶性樹脂セグメントとしてのビニル系重合セグメントと、結晶性ポリエステルセグメントとしてのポリエステル重合セグメントと、が化学結合して形成されるハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂(以下、単にハイブリッド樹脂ともいう。)を含有することが好ましい。ハイブリッド樹脂は、ビニル系重合セグメントとポリエステル重合セグメントとが、両反応性単量体を介して結合された結晶性樹脂であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂にビニル系樹脂を結合させることで、トナー母体粒子中におけるドメインとしての結晶性樹脂とマトリクスとしての非晶性樹脂との界面が滑らかになり、結晶性樹脂の分散性が良好となる。
ハイブリッド樹脂を構成するビニル系重合セグメントは、ビニル系単量体を重合して得られる樹脂から構成される。当該ビニル系単量体としては、ビニル系樹脂を構成する単量体として上記したものが同様に用いられ得る。
ハイブリッド樹脂中におけるビニル系重合セグメントの含有量は、例えば、0.5〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
ハイブリッド樹脂を構成するポリエステル重合セグメントは、多価カルボン酸と多価アルコールとを触媒の存在下で、重縮合反応を行うことにより製造される結晶性ポリエステル樹脂から構成される。当該多価カルボン酸及び多価アルコールとしては、上記したものが同様に用いられ得る。
両反応性単量体とは、ポリエステル重合セグメントとビニル系重合セグメントとを結合させる単量体で、分子内に、ポリエステル重合セグメントを形成するヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選択される基と、ビニル系重合セグメントを形成するエチレン性不飽和基との双方を有する単量体である。両反応性単量体は、ヒドロキシ基又はカルボキシ基とエチレン性不飽和基とを有する単量体であることが好ましく、カルボキシ基とエチレン性不飽和基とを有する単量体であることが好ましい。したがって、両反応性単量体としては、ビニル系カルボン酸であることが好ましい。
両反応性単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられ、さらにこれらのヒドロキシアルキル(炭素原子数1〜3個)のエステルであっても良いが、反応性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸又はフマル酸が好ましい。
両反応性単量体の使用量は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット性及び耐久性向上の観点から、例えば、ビニル系重合セグメントを構成するビニル系単量体の総量100質量部に対して1〜10質量部の範囲内であることが好ましく、4〜8質量部の範囲内であることがより好ましい。
ハイブリッド樹脂を製造する方法としては、既存の一般的なスキームを使用することができる。代表的な方法としては、次の三つが挙げられる。
(1)ポリエステル重合セグメントをあらかじめ重合しておき、当該ポリエステル重合セグメントに両反応性単量体を反応させ、さらに、ビニル系重合セグメントを形成するための芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体を反応させることにより、ハイブリッド樹脂を形成する方法。
(2)ビニル系重合セグメントをあらかじめ重合しておき、当該ビニル系重合セグメントに両反応性単量体を反応させ、さらに、ポリエステル重合セグメントを形成するための多価カルボン酸及び多価アルコールを反応させることにより、ポリエステル重合セグメントを形成する方法。
(3)ポリエステル重合セグメント及びビニル系重合セグメントをそれぞれあらかじめ重合しておき、これらに両反応性単量体を反応させることにより、両者を結合させる方法。
本発明においては、上記製造方法のいずれも用いることができるが、上記(2)の方法が好ましい。具体的には、ポリエステル重合セグメントを形成する多価カルボン酸及び多価アルコール、並びにビニル系重合セグメントを形成するビニル系単量体及び両反応性単量体を混合し、重合開始剤を加えてビニル系単量体と両反応性単量体を付加重合させてビニル系重合セグメントを形成した後、エステル化触媒を加えて、重縮合反応を行うことが好ましい。当該エステル化触媒としては、従来公知の種々の触媒を使用することができるが、例えば、酸化ジブチルスズ、2−エチルヘキサン酸スズ(II)等のスズ化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられ、エステル化助触媒としては、例えば、没食子酸等が挙げられる。
[その他の材料]
本発明に係るトナー母体粒子は、必要に応じて、離型剤、着色剤、荷電制御剤等を含有していても良い。
(離型剤)
離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジステアリルケトン等のジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘニルベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスルトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等のエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等のアミド系ワックス等が挙げられる。
トナー母体粒子中における離型剤の含有割合としては、例えば、トナー母体粒子の全質量に対して2〜30質量%の範囲内が好ましく、5〜20質量%の範囲内がより好ましい。
(着色剤)
イエロートナー用のイエロー着色剤としては、例えば、染料、顔料等の公知のものを任意に使用することができる。染料としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162等が挙げられる。また、顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
マゼンタトナー用のマゼンタ着色剤としては、例えば、染料、顔料等の公知のものを任意に使用することができる。染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122等が挙げられる。顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
シアントナー用のシアン着色剤としては、例えば、染料、顔料等の公知のものを任意に使用することができる。染料としては、例えば、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等が挙げられる。顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、同7、同15:3、同18:3、同60、同62、同66、同76等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
グリーン用のグリーン着色剤としては、例えば、染料、顔料等の公知のものを任意に使用することができる。染料としては、C.I.ソルベントグリーン3、同5、同28等が挙げられる。顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
オレンジトナー用のオレンジ着色剤としては、例えば、染料、顔料等の公知のものを任意に使用することができる。染料としては、例えば、C.I.ソルベントオレンジ63、同68、同71、同72、同78等が挙げられる。顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ16、同36、同43、同51、同55、同59、同61、同71等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
ブラックトナー用の着色剤としては、例えば、カーボンブラック、磁性体、鉄・チタン複合酸化物ブラック等が使用可能である。カーボンブラックとしては、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用可能である。また、磁性体としては、例えば、フェライト、マグネタイト等が使用可能である。これらは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
着色剤の含有割合は、例えば、トナー全体に対して0.5〜20質量%の範囲内であることが好ましく、2〜10質量%の範囲内であることがより好ましい。
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては、水系媒体中に分散可能な公知の種々の化合物を用いることができる。具体的には、例えば、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩、その金属錯体等が挙げられる。
荷電制御剤の含有割合は、例えば、結着樹脂全量に対して0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲内であることがより好ましい。
《外添剤》
本発明に係る外添剤は、角を有するアルミナ粒子を含有し、当該アルミナ粒子の個数平均粒径が、5〜60nmの範囲内である。また、外添剤は、当該アルミナ粒子以外にも、従来公知の外添剤を含有していても良い。
本発明に係る外添剤のトナー母体粒子への添加量は、特に制限されるものではないが、例えば、トナー100質量%に対して、0.1〜10.0質量%の範囲内であることが好ましく、1.0〜3.0質量%の範囲内であることがより好ましい。
(アルミナ粒子)
アルミナとは、Alで表される酸化アルミニウムを指し、α型、γ型、σ型、それらの混合体等の形態が知られており、形状としてもその結晶系の制御によって立方形状のものから球状のものまである。
アルミナは、公知の方法により作製することができる。アルミナを作製する方法としては、バイヤー法が一般的であるが、高純度かつナノサイズのアルミナを得るために、加水分解法、気相合成法、火炎加水分解法、水中火花放電法等が挙げられる。
本発明に係るアルミナ粒子は、角を有する。これについて、図1を参照して説明する。図1は、アルミナ粒子の投影像を示す説明図であり、図1(a)が角を有しない場合を示し、図1(b)が角を有する場合を示している。
図1に示すように、アルミナ粒子の電子顕微鏡写真において、長径(アルミナ粒子の投影像を2本の平行線で挟んだとき、その平行線の間隔が最大となる幅)をLとするときに、半径がL/10の円Cを、アルミナ粒子の周囲線Tに対し1点で接しつつその内側をころがした場合に、当該円Cがアルミナ粒子の周囲線Tの外側に実質的にはみださない場合を「角を有しない」という(図1(a)参照。)。一方、当該円Cがアルミナ粒子の周囲線Tをはみ出す場合を「角を有する」という(図1(b)参照。)。
ここで、本発明に係るアルミナ粒子の電子顕微鏡写真の一例を図2に示す。図2は、透過型電子顕微鏡(TEM)「HF−2200」(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、加速電圧200kVで、20万倍に拡大して撮影したときのアルミナ粒子のTEM写真である。
一の電子顕微鏡写真から上記方法により特定される、アルミナ粒子が有する角の数は、例えば、アルミナ粒子1個につき4個以上であることが好ましい。これにより、本発明の効果をより確実に得ることができる。
アルミナ粒子の形状は、既存の溶射技術を基本とし、例えば、水素、天然ガス、アセチレンガス、プロパンガス、ブタン等の燃料ガスとで形成された高温火炎中に原料粉末を投入し、溶融球状化させることによって制御することができる。
また、アルミナ粒子の原料粉末を火炎中に投入するときの供給方法は、酸素、空気、窒素、アルゴン等のキャリアガスを用いる乾式、又は水、メタノール、エタノール等を分散媒としたスラリーを用いる湿式のいずれであっても良い。
アルミナ粒子の製造装置の一例としては、例えば、球状化炉と、当該球状化炉に接続される捕集装置と、を基本構成としているものが挙げられる。球状化炉で製造された球状アルミナ粉末は、ブロワー等にて空気輸送され、捕集装置で回収される。球状化炉から捕集装置へとアルミナ粉末が輸送される輸送配管は、水冷ジャケット方式で水冷されていることが好ましい。捕集装置としては、例えば、サイクロン、重力沈降、ルーバー、バグフィルター等が用いられる。捕集温度は、可燃ガスの量による発熱量とブロワーの吸引量によって決定され、その調整は冷却水量や、ライン内に設けられた外気の取り入れ量等で行われる。
アルミナ粒子の形状及び粒径は、例えば、火炎温度、水素又は酸素の含有率、アルミナ原料粉末の品質、火炎中での滞留時間又は凝集ゾーンの長さによって変更することができる。
また、本発明に係るアルミナ粒子において、角があるアルミナ粒子の含有割合は、例えば、トナーに外添剤として含まれるアルミナ粒子全体に対して50個数%以上であることが好ましい。
(アルミナ粒子の粒径)
アルミナ粒子の個数平均粒径は、5〜60nmの範囲内であり、5〜40nmの範囲内であることが好ましい。5nm以上であると、アルミナ粒子をより容易に作製することができる。60nm以下であると、トナーの流動性が向上し、現像機にトナーが補給された際にトナーとキャリアとの混合が十分に行われ、より安定した帯電量推移が得られる。
アルミナ粒子の個数平均粒径は、次のようにして測定することができる。
走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM−7401F」(日本電子社製)を用いて、5万倍に拡大したSEM写真をスキャナーにより取り込む。画像処理解析装置「LUZEX AP」(ニレコ社製)にて、当該SEM写真画像のアルミナ粒子について2値化処理し、アルミナ粒子100個についての水平方向のフェレ径を算出し、その平均値を個数平均粒径とする。
(トナー母体粒子に対するアルミナ粒子の付着量)
本発明のトナーに対して超音波振動処理を施した後のトナー母体粒子に対するアルミナ粒子の付着量は、当該超音波振動処理を施す前のトナー母体粒子に対するアルミナ粒子の付着量の60〜100%の範囲内であることが好ましく、60〜80%の範囲内であることがより好ましい。これにより、トナー母体粒子からキャリアへの外添剤の移行量を低減し、帯電量変動をより効果的に抑制することができる。
超音波振動処理前のトナー母体粒子に対するアルミナ粒子の付着量は、トナーに対して蛍光X線分析を行い、アルミナの量を測定することにより求めることができる。
また、超音波振動処理後のトナー母体粒子に対するアルミナ粒子の付着量は、次のようにして求めることができる。まず、トナー3gを0.2質量%ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル水溶液35mL中に充分に分散させる。その後、循環式超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製Ultrasonic Homogenizer US−1200T)を用いて、その分散液にφ36のチップで、20kHz、40〜60μAの条件で2分間超音波を照射する。これによってトナー母体粒子表面から外添剤を離脱させ、その後、当該分散液を遠心分離して沈殿物と上澄みとに分離する。沈殿物の洗浄及び乾燥後、その乾燥物に対して蛍光X線分析を行い、残存するアルミナの量を測定する。
このようにして求めた超音波振動処理前後の値から、処理前の付着量に対する処理後の付着量の比率(%)を求めることができる。
(アルミナ粒子の含有量)
アルミナ粒子の含有量は、例えば、トナー100質量部に対して0.1〜2.0質量部の範囲内であることが好ましい。0.1質量部以上であると、本発明の効果をより確実に得ることができる。2.0質量部以下であると、低カバレッジ印刷時に現像機内で現像剤が撹拌された際のトナー粒子とキャリア粒子の衝撃をアルミナ粒子が受ける確率を低く抑えることができるので、アルミナ粒子のトナー母体粒子への埋没を起こりにくくすることができる。
(アルミナ粒子の疎水化処理)
アルミナ粒子の表面は、表面処理剤により疎水化処理されていることが好ましく、その疎水化度は、例えば、40〜70の範囲内であることが好ましい。これにより、環境差による帯電量変動とキャリアへ移行した際の帯電量変動をより効果的に抑制することができる。また、疎水化処理された際の表面処理剤の遊離率は、0であることが好ましい。遊離した表面処理剤が存在すると、それがキャリアに移行し、帯電量変動が大きくなってしまう。
アルミナ粒子の疎水化度は、次のようにして測定を行い、求めることができる。
実験室環境下、200mLのトールビーカーに、長さ20mmのスターラーチップと25℃のイオン交換水60mLとを入れ、粉体濡れ性試験機(WET−101P;株式会社レスカ)にセットする。イオン交換水の上にアルミナ粒子50mgを浮かべ、すぐに蓋とメタノール供給ノズルをセットし、スターラー撹拌開始と同時に測定を開始する。メタノール(特級、関東化学株式会社製)の供給速度は2.0mL/分、測定時間は70分間スターラーの撹拌速度は380〜420rpmとする。アルミナ粒子は、最初はイオン交換水の界面に浮いているが、メタノール濃度が上昇するにつれて、徐々にイオン交換水とメタノールとの混合液に濡れて液体中に分散する。これにより、液体の光透過率が徐々に低下する。得られたデータから、横軸にメタノールの供給量(mL)から計算されるメタノール濃度(vol%)、縦軸に光透過率(電圧比)(%)をプロットし、光透過率が最大値と最小値の中間となるときのメタノール濃度を、疎水化度として求めることができる。
表面処理剤としては、例えば、一般的なカップリング剤、シリコーンオイル、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いることができるが、シラン化合物、シリコーンオイル等を用いることが好ましい。
シラン化合物としては、例えば、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤等が挙げられる。具体的には、例えば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。特に好ましくは、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシランである。
シリコーンオイルとしては、例えば、オルガノシロキサンオリゴマー、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン等の環状化合物や、直鎖状又は分岐状のオルガノシロキサンを挙げることができる。また、側鎖、片末端や両末端や側鎖片末端や側鎖両末端等に変性基を導入した反応性の高い、少なくとも末端を変性したシリコーンオイルを用いても良い。変性基の種類としては、例えば、アルコキシ、カルボキシ、カルビノール、高級脂肪酸変性、フェノール、エポキシ、メタクリル、アミノ等が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、例えば、アミノ基及びアルコキシ基等、数種の変性基を有するシリコーンオイルであっても良い。また、他の表面処理剤と混合して疎水化処理を行っても良いし、シリコーンオイルによる疎水化処理と他の表面処理剤による疎水化処理とを両方行っても良い。この場合の他の表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、各種シリコーンオイル、脂肪酸、脂肪酸金属塩、そのエステル化物、ロジン酸等を例示することができる。
表面処理剤によるアルミナ粒子の疎水化方法としては、例えば、気相中で浮遊させられたアルミナ粒子に対して表面処理剤、又は表面処理剤を含む溶液を噴霧するスプレードライ法等による乾式法、表面処理剤を含有する溶液中にアルミナ粒子を浸漬し、乾燥する湿式法、表面処理剤とアルミナ粒子を混合機により混合する混合法等が挙げられる。
(その他の外添剤)
本発明に係る外添剤は、トナー粒子の流動性や帯電性等を制御する観点から、上記アルミナ粒子以外に、その他の外添剤を含有することが好ましい。このような外添剤としては、例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子、酸化ホウ素粒子等が挙げられる。
その他の外添剤の個数平均粒径は、例えば、分級や分級品の混合等によって調整することが可能である。その他の外添剤の個数平均粒径は、上記したアルミナ粒子の個数平均粒径の測定方法と同様の方法で測定することができる。
その他の外添剤は、耐熱保管性や環境安定性の向上等の観点から、その表面が疎水化処理されていることが好ましい。当該疎水化処理には、公知の表面修飾剤が用いられる。当該表面修飾剤は、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属塩、そのエステル化物、ロジン酸、シリコーンオイル等が挙げられる。
その他の外添剤としては、帯電性付与の観点からシリカ粒子を用いることが好ましく、一次粒子の個数平均粒径が10〜60nmの範囲内のシリカ粒子を用いることがより好ましい。これにより、トナーの流動性を向上させて、現像機にトナーが補給された際に、トナー粒子とキャリア粒子との混合を十分に行うことができるので、安定した帯電量推移が得られる。さらに、一次粒子の個数平均粒径が10〜60nmの範囲内のシリカ粒子とともに、一次粒子の個数平均粒径が80〜150nmの範囲内のシリカ粒子を併用することが好ましい。これにより、低カバレッジ印刷時に現像機内で現像剤が撹拌された際のトナー粒子とキャリア粒子の衝撃を和らげることができる。
また、その他の外添剤として、有機粒子を用いることもできる。有機粒子としては、個数平均粒径が10〜2000nm程度の球形の有機粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレート等の単独重合体やこれらの共重合体による有機粒子を使用することができる。また、その他の外添剤として滑材を用いることもできる。滑材は、クリーニング性や転写性をさらに向上させる目的で使用されるものであって、具体的には、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
《静電荷像現像用トナーの製造方法》
本発明に係るトナー母体粒子は、結着樹脂等を含有し、必要に応じて離型剤、着色剤、荷電制御剤等のその他の内添剤を含む。その製造方法は、特に限定されるものではないが、乳化凝集法が好ましい。乳化凝集法によれば、粒度分布がシャープであり、粒径が高度に制御されたトナー粒子を得ることができる。
本発明の乳化凝集法によるトナーの製造方法を構成する各工程の一例を以下に示す。
(1)水系媒体中に着色剤粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)着色剤粒子の分散液と結着樹脂粒子の分散液とを混合して、着色剤粒子及び結着樹脂粒子を凝集、会合、融着させてトナー母体粒子を形成する工程
(4)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤等を除去する工程
(5)トナー母体粒子を乾燥する工程
(6)トナー母体粒子に外添剤を添加する工程
また、上記(3)の工程においては、結着樹脂粒子等を凝集させるために凝集剤を添加することが好ましい。
本発明に用いられる凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属の塩から選択されるものが好適に使用される。例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩等の一価の金属の塩、カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅等の二価の金属の塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属の塩等が挙げられる。具体的な塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等を挙げることができ、これらの中で特に好ましくは二価の金属の塩である。二価の金属の塩を使用すると、より少量で凝集を進めることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用しても良い。
また、本発明に係るトナー母体粒子は、コア・シェル構造を有することが好ましく、上記乳化凝集法によるトナーの製造方法は、当該コア・シェル構造を有するトナー母体粒子の作製に適している。すなわち、まず、コア粒子用の結着樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集、会合、融着させ、コア粒子を調製する。続いて、コア粒子の分散液中にシェル層用の結着樹脂粒子を添加し、コア粒子表面にシェル層用の結着樹脂粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成する。これにより、コア・シェル構造のトナー母体粒子を得ることができる。
《静電荷像現像用二成分現像剤》
静電荷像現像用二成分現像剤(以下、二成分現像剤ともいう。)は、例えば、トナーの含有量(トナー濃度)が4.0〜8.0質量%となるように、トナーとキャリア粒子とを適宜に混合することによって調製することができる。当該混合に用いられる混合装置としては、例えば、ナウターミキサー、Wコーン、V型混合機等が挙げられる。
(キャリア粒子)
本発明に係るキャリア粒子は、磁性体により構成される。キャリア粒子としては、磁性体からなる芯材粒子とその表面を被覆する被覆材の層とを有する被覆型キャリア粒子や、樹脂中に磁性体の微粉末が分散されてなる樹脂分散型キャリア粒子等が挙げられる。キャリア粒子としては、感光体へのキャリア粒子の付着を抑制する観点から、被覆型キャリア粒子であることが好ましい。
(キャリアコア(芯材粒子))
被覆型キャリア粒子を構成する芯材粒子は、磁性体、例えば、磁場によってその方向に強く磁化する物質によって構成される。当該磁性体としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性を示す金属、これらの金属を含む合金又は化合物、熱処理することにより強磁性を示す合金等が挙げられる。これらの磁性体は、1種単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記強磁性を示す金属又はそれを含む化合物としては、例えば、鉄、下記式(a)で表されるフェライト、下記式(b)で表されるマグネタイト等が挙げられる。
式(a):MO・Fe
式(b):MFe
(式(a)及び(b)中、Mは、それぞれ、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Mg、Zn、Cd及びLiの群から選ばれる一以上の1価又は2価の金属を表す。)
また、上記熱処理することにより強磁性を示す合金としては、例えば、マンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズ等のホイスラー合金、二酸化クロム等が挙げられる。
上記芯材粒子に含有される磁性体は、例えば、各種のフェライトであることが好ましい。これは、被覆型キャリア粒子の比重は、芯材粒子を構成する金属の比重よりも小さくなることから、現像器内における撹拌の衝撃力をより小さくすることができるためである。
(キャリアコート樹脂(被覆材))
被覆型キャリア粒子を構成する被覆材としては、キャリア粒子の芯材粒子の被覆に利用される公知の樹脂を用いることができる。当該被覆材としては、キャリア粒子の水分吸着性を低減させる観点、及び芯材粒子との密着性を高める観点から、シクロアルキル基を有する樹脂を含有することが好ましい。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等が挙げられる。中でも、シクロヘキシル基又はシクロペンチル基が好ましく、フェライトを含有するキャリア粒子との密着性の観点からシクロヘキシル基がより好ましい。
被覆材を構成する樹脂の重量平均分子量Mwは、例えば、10000〜800000の範囲内であることが好ましく、100000〜750000の範囲内であることがより好ましい。当該樹脂における上記シクロアルキル基の含有量は、例えば、10〜90質量%の範囲内であることが好ましい。上記樹脂中の当該シクロアルキル基の含有量は、例えば、熱分解−ガスクロマトグラフ/質量分析(pyrolysis−gas chromatograph/mass spectrometer:Py−GC/MS)やH−NMR等によって求めることが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
《アルミナ粒子A1の調製》
蒸発装置内で、三塩化アルミニウム(AlCl)を約200℃で320kg/hの速度で蒸発させ、三塩化アルミニウムの蒸気を窒素により、公知のバーナー装置(欧州特許第0585544号明細書参照。)の燃焼室中に供給した。ここで、三塩化アルミニウム蒸気を水素100Nm/h及び空気450Nm/hと混合し、燃焼室内から突き出る二重ジャケット管の内側管(直径7mm)を介して燃焼室内の火炎へ供給した。燃焼室内の温度(以下、バーナー温度ともいう。)を230℃とし、内側管から燃焼室への三塩化アルミニウム蒸気の排出速度は38m/sとした。また、二重ジャケット管の外側管を介して水素0.05Nm/hを燃焼室内に供給した。三塩化アルミニウム蒸気を燃焼室内で燃焼させ、燃焼室の下流側の凝集ゾーンで約110℃まで冷却し、酸化アルミニウムの一次粒子を得た。同時に生成される塩酸含有ガスから、得られた酸化アルミニウムの一次粒子をフィルター又はサイクロン中で分離し、湿空気を有する粉末を約500〜700℃で処理することにより、接着性の塩化物を除去した。これにより、アルミナ粒子を得た。
得られたアルミナ粒子を反応容器に入れて、窒素雰囲気下、回転羽根で撹拌しながら、アルミナ粒子100gに対して、疎水化処理剤としてのイソブチルトリメトキシシラン20gをヘキサン60gで希釈させた溶液を添加した。これを200℃で120分間加熱撹拌した後、冷却水で冷却し、アルミナ粒子A1を得た。
得られたアルミナ粒子A1の個数平均粒径は、20nmであった。また、アルミナ粒子A1は、角を有するアルミナ粒子を93個数%含み、アルミナ粒子1個当たりの角の数の平均値は4.1であった。
《アルミナ粒子A2〜A5の調製》
上記アルミナ粒子A1の調製において、バーナー温度と、三塩化アルミニウム蒸気の排出速度を表Iに記載のとおりに変更した以外は同様にして、アルミナ粒子A2〜A5を調製した。
《スチレン・アクリル樹脂粒子分散液(SA)の作製》
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウムよりなるアニオン系界面活性剤4質量部をイオン交換水3040質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を仕込んだ。さらに、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、液温を75℃に昇温させた。
次に、スチレン532質量部、n−ブチルアクリル酸200質量部、メタクリル酸68質量部及びn−オクチルメルカプタン16.4質量部よりなる溶液を1時間かけて滴下した。滴下後、75℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い、スチレン・アクリル樹脂粒子分散液(s1)を調製した。
調製したスチレン・アクリル樹脂粒子分散液(s1)中のスチレン・アクリル樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)は、16500であった。
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、スチレン101.1質量部、n−ブチルアクリル酸62.2質量部、メタクリル酸12.3質量部及びn−オクチルメルカプタン1.75質量部からなる溶液を仕込んだ。さらに、離型剤としてパラフィンワックスHNP−57(日本精蝋社製)93.8質量部を添加し、内温を90℃に加温して溶解させることによって、単量体溶液を調製した。
別の容器に、ドデシル硫酸ナトリウムよりなるアニオン系界面活性剤3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を仕込み、内温が98℃となるよう加熱した。この界面活性剤水溶液に、上記第1段重合により得られたスチレン・アクリル樹脂粒子分散液(s1)32.8質量部(固形分換算)を添加し、さらに上記調製した単量体溶液を添加した。循環経路を有する機械式分散機クレアミックス(エムテクニック社製)を用い、8時間かけて混合分散することにより、粒子径340nmの乳化粒子(油滴)の分散液を調製した。
この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加した。この系を98℃にて12時間にわたって加熱撹拌することにより重合(第2段重合)を行い、スチレン・アクリル樹脂粒子分散液(s2)を調製した。
調製したスチレン・アクリル樹脂粒子分散液(s2)中のスチレン・アクリル樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)は、23000であった。
第2段重合において得られたスチレン・アクリル樹脂粒子分散液(s2)に、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加した。この分散液に、80℃の温度条件下で、スチレン293.8質量部、n−ブチルアクリル酸154.1質量部及びn−オクチルメルカプタン7.08質量部からなる溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、スチレン・アクリル樹脂粒子分散液(SA)を得た。
スチレン・アクリル樹脂粒子分散液(SA)中のスチレン・アクリル樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)は、26800であった。
《結晶性樹脂粒子分散液(C1)の調製》
セバシン酸(分子量202.25)(多価カルボン酸化合物)220質量部と、1,12−ドデカンジオール(分子量202.33)(多価アルコール化合物)298質量部を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応容器に入れ、160℃に加熱し、溶解させた。その後、2−エチルヘキサン酸スズ(II)2.5質量部、没食子酸0.2質量部を加えて210℃に昇温し、8時間反応を行った。さらに8.3kPaにて1時間反応を行い、結晶性樹脂を得た。
得られた結晶性樹脂について、示差走査熱量計「ダイヤモンドDSC」((株)パーキンエルマー社製)を用い、昇温速度10℃/minの条件でDSC曲線を取得した。吸熱ピークトップ温度を測定する手法による融点(Tm)の測定結果は82.8℃であり、また、GPC「HLC−8120GPC」(東ソー社製)により分子量を測定した結果、標準スチレン換算の重量平均分子量Mwは28000であった。
上記調製した結晶性樹脂100質量部を酢酸エチル400質量部に溶解させた。次いで、5.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液25質量部を添加して、樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液を、撹拌装置を有する容器へ投入し、撹拌しながら、0.26質量%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液638質量部を30分間かけて滴下混合した。ラウリル硫酸ナトリウム水溶液の滴下途中、反応容器内の液が白濁し、さらに、ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を全量滴下後、樹脂粒子が均一に分散された乳化液が調製された。調製された乳化液を40℃に加熱し、ダイヤフラム式真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を使用して、150hPaの減圧下で酢酸エチルを蒸留除去することにより、結晶性ポリエステル樹脂よりなる結晶性樹脂粒子分散液(C1)を得た。
《結晶性樹脂(ハイブリッド樹脂)粒子分散液(C2)の調製》
ポリエステル重合セグメントの材料として、セバシン酸(分子量202.25)(多価カルボン酸化合物)220質量部、及び1,12−ドデカンジオール(分子量202.33)(多価アルコール化合物)298質量部を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を取り付けた反応容器に入れて160℃に加熱し、溶解させた。一方、あらかじめ混合したビニル系重合セグメントの材料として、スチレン46質量部、アクリル酸n−ブチル12質量部、ジクミルパーオキサイド4質量部及びアクリル酸3質量部(両反応性単量体)の溶液を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。170℃に保持したまま1時間撹拌を続け、スチレン、アクリル酸n−ブチル及びアクリル酸を重合させた後、2−エチルヘキサン酸スズ(II)2.5質量部、及び没食子酸0.2質量部を加えて210℃に昇温し、8時間反応を行った。さらに、8.3kPaにて1時間反応を行い、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂からなる結晶性樹脂を得た。
上記調製した結晶性樹脂100質量部を酢酸エチル400質量部に溶解させた。次いで、5.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液25質量部を添加して、樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液を、撹拌装置を有する容器へ投入し、撹拌しながら、0.26質量%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液638質量部を30分間かけて滴下混合した。ラウリル硫酸ナトリウム水溶液の滴下途中、反応容器内の液が白濁し、さらに、ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を全量滴下後、樹脂粒子が均一に分散された乳化液が調製された。調製された乳化液を40℃に加熱し、ダイヤフラム式真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を使用して、150hPaの減圧下で酢酸エチルを蒸留除去することにより、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂よりなる結晶性樹脂粒子分散液(C2)を得た。
《着色剤粒子分散液の調製》
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解した。この水溶液を撹拌しながら、カーボンブラックリーガル330R(キャボット社製)420質量部を徐々に添加した。次いで、撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子分散液を調製した。
調製した着色剤粒子分散液中の着色剤粒子の粒子径を、粒度分布測定器「Nanotrac Wave(マイクロトラック・ベル社製)を用いて測定したところ、117nmであった。
《トナー母体粒子1の調製》
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、上記調製したスチレン・アクリル樹脂粒子分散液(SA)を固形分換算で250質量部、イオン交換水を2000質量部投入した。その後、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH(25℃換算)を10に調整した。次に、上記調製した着色剤粒子分散液を固形分換算で40質量部投入した。次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。その後、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径(D50)が6.0μmになった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、昇温を行い、90℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、測定装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて(HPF検出数を4000個)測定した平均円形度が0.960になった時点で30℃に冷却し、トナー母体粒子分散液を調製した。
調製したトナー母体粒子分散液を遠心分離機で固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成し、このウェットケーキを、遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄した。その後、「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥することにより、結晶性樹脂を含有しないトナー母体粒子1を調製した。
得られたトナー母体粒子1の粒径は6.2μm、平均円形度は0.961であった。
《トナー母体粒子2の調製》
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、上記調製したスチレン・アクリル樹脂粒子分散液(SA)300質量部(固形分換算)と、上記調製した結晶性樹脂粒子分散液(C1)60質量部(固形分換算)と、イオン交換水1100質量部と、着色剤粒子分散液40質量部(固形分換算)とを仕込んだ。液温を30℃に調整した後、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH(25℃換算)を10に調整した。次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて85℃まで昇温し、85℃を保持したまま凝集させ、粒子成長反応を継続した。この状態で、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40質量部をイオン交換水160質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、熟成工程として液温80℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより粒子間の融着を進行させ、これにより、トナー母体粒子分散液を調製した。
調製したトナー母体粒子分散液を遠心分離機で固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成し、このウェットケーキを、遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄した。その後、「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥することにより、結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー母体粒子2を調製した。
得られたトナー母体粒子2の粒径は5.9μm、平均円形度は0.955であった。
《トナー母体粒子3の調製》
上記トナー母体粒子2の調製において、結晶性樹脂粒子分散液(C1)の代わりに結晶性樹脂粒子分散液(C2)を用いた以外は同様にして、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー母体粒子3を調製した。
得られたトナー母体粒子3の粒径は6.4μm、平均円形度は0.958であった。
《トナー1の調製》
100質量部の上記調製したトナー母体粒子1に、外添剤として、シリカ粒子1(HMDS処理、疎水化度72、個数平均粒径=110nm)を0.3質量部、シリカ粒子2(HMDS処理、疎水化度67、個数平均粒径=12nm)を0.8質量部、上記調製したアルミナ粒子A1を0.5質量部添加した。これをヘンシェルミキサー型式「FM20C/I」(日本コークス工業(株)製)に添加し、羽根先端周速が40m/sとなるようにして回転数を設定して20分間撹拌し、トナー1を調製した。なお、混合時の品温が40±1℃となるように設定し、41℃になった場合は、ヘンシェルミキサーの外浴に5L/分の流量で冷却水を流し、39℃になった場合は、1L/分の流量で冷却水を流すことでヘンシェルミキサー内部の温度を制御した。
超音波振動処理前のトナー母体粒子に対するアルミナ粒子の付着量は、トナーに対して蛍光X線分析を行い、アルミナの量を測定することにより求めた。
また、超音波振動処理後のトナー母体粒子に対するアルミナ粒子の付着量は、次のようにして求めた。まず、トナー3gを0.2質量%ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル水溶液35mL中に充分に分散させた。その後、循環式超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製Ultrasonic Homogenizer US−1200T)を用いて、その分散液にφ36のチップで、20kHz、40〜60μAの条件で2分間超音波を照射した。これによってトナー母体粒子表面から外添剤を離脱させ、その後、当該分散液を遠心分離して沈殿物と上澄みとに分離した。沈殿物の洗浄及び乾燥後、その乾燥物に対して蛍光X線分析を行い、残存するアルミナの量を測定した。
このようにして求めた超音波振動処理前後の値から、処理前の付着量に対する処理後の付着量の比率(%)を求めた。
《トナー2〜11の調製》
上記トナー1の調製において、トナー母体粒子及び外添剤の種類を表IIに記載のとおりに変更した以外は同様にして、トナー2〜11を調製した。なお、トナー9の調製においては、外添剤としてアルミナ粒子の代わりにチタニア粒子(オクチルトリメトキシシラン処理、疎水化度75、個数平均粒径=25nm)を使用した。
なお、超音波振動処理前後のトナー母体粒子に対するアルミナ粒子の付着量の測定は、トナー1と同様の方法で行った。
《トナー1〜11の評価》
トナー1〜11の評価にあたり、各トナー1〜11を用いた二成分現像剤を次のようにして調製した。
まず、MnO換算で19.0モル%、MgO換算で2.8モル%、SrO換算で1.5モル%、Fe換算で75.0モル%になるように各原材料を適量配合し、水を加え、湿式ボールミルで10時間粉砕、混合し、乾燥させ、950℃で4時間保持した。その後、湿式ボールミルで24時間粉砕を行ったスラリーを造粒乾燥し、撹拌装置を内蔵した焼成炉内に容積の5割量を添加して、周速10m/s、1300℃にて4時間保持した後、解砕し、粒子径33μmに粒度調整を行い、コア粒子を得た。
上記作製したコア粒子100質量部と、メタクリル酸シクロヘキシル/メタクリル酸メチル(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子3.5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入した。これを125℃で45分間、風速10m/sで撹拌混合して機械的衝撃力の作用でコア粒子の表面に樹脂被覆層を形成した後、風速2m/sに下げて冷却を行い、樹脂で被覆されたキャリア粒子を作製した。
作製したキャリア粒子の抵抗は、2.2×1010Ω・cmであった。
上記作製したキャリア粒子1.0kgと、シリカ粒子2(HMDS処理、疎水化度67、個数平均粒径=12nm)0.30gとを計量し、ミクロ型V型混合機(筒井理化学器械株式会社)にそれぞれ投入し、回転速度45rpmで30分間混合した。その後、上記調製したトナー1〜11をそれぞれトナー濃度が6.5質量%になるように添加し、さらに30分間混合し、二成分現像剤1〜11を調製した。
次いで、上記調製した二成分現像剤1〜11を、市販のカラー複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ社製)(以下、評価機ともいう。)に搭載した。これを用いて、常温常湿環境(温度20℃、湿度50%RH)にて、A4版の上質紙(65g/m)上にテスト画像として印字率が5%の帯状ベタ画像を形成する印刷を1000枚行った。
次に、高温高湿環境(温度30℃、湿度80%RH)にて、A4版の上質紙(65g/m)上にテスト画像として印字率が5%の帯状ベタ画像を形成する印刷を70000枚行った後、印字率が40%の帯状ベタ画像を形成する印刷を30000枚行った。次に、低温低湿環境(温度10℃、湿度20%RH)にて、同じようにして計100000枚の印刷を行った。
上記各二成分現像剤1〜11について、1000枚印刷後(表III中、初期(NN)と示す。)、100000枚印刷後(表III中、100kp(HH)と示す。)、200000枚印刷後(表III中、200kp(LL)と示す。)のそれぞれのタイミングにおいて、下記の評価を行った。評価結果を表IIIに示す。
(1)帯電量の評価
帯電量測定装置「ブローオフ式TB−200」(東芝社製)に400メッシュのステンレス製スクリーンを装着し、ブロー圧0.5kgf/cm(0.049MPa)の条件で、上記各印刷実行後の現像器内のトナーに対し、10秒間窒素ガスにてブローした。当該ブロー後に測定された電荷を、ブローにより飛翔したトナーの質量で除することにより、帯電量(μC/g)を算出した。算出した帯電量を下記基準に従って評価した。評価結果が「◎」又は「○」である場合を合格とした。
◎:100000枚印刷後と200000枚印刷後の帯電量差が12μC/g以下
○:100000枚印刷後と200000枚印刷後の帯電量差が12超17μC/g未満
×:100000枚印刷後と200000枚印刷後の帯電量差が17μC/g超
(2)画像濃度の評価
上記各タイミングにおいて、A4版の上質紙(65g/m)上にベタのパッチを出力し、その絶対画像濃度をマクベス社製反射濃度計RD−918により測定した。絶対画像濃度は、初期(上記1000枚印刷後)からの変化量が小さいものほど良い。
(3)かぶりの評価
画像が形成されていない白紙のA4版の上質紙(65g/m)の20か所において、マクベス反射濃度計「RD−918」により絶対画像濃度を測定し、その平均値を白紙濃度とした。次に、200000枚印刷後の評価画像の白地部分の20か所において、同様にして絶対画像濃度を測定し、その平均値から上記白紙濃度を引いた値をかぶり濃度とした。算出したかぶり濃度を下記基準に従って評価した。評価結果が「◎」又は「○」である場合を合格とした。
◎:かぶり濃度が0.007以下
○:かぶり濃度が0.007超0.011未満
×:かぶり濃度が0.011以上
(4)ドット再現性の評価
200000枚印刷後の画像評価として、A4版の上質紙(65g/m)に階調率32段階の階調パターンを出力し、この階調パターンのCCD(Coupled Charged Device)カメラによる読み取り値にMTF(Modulation Transfer Function)補正を考慮したフーリエ変換処理を施し、人間の比視感度に合わせたGI(Graininess Index)値を測定し、最大GI値を求めた。GI値は、小さいほど良く、小さいほど画像の粒状感が少ないことを表している。なお、このGI値は、日本画像学会誌39(2)、84・93(2000)に掲載されている値である。求めた最大GI値を下記基準に従って評価した。評価結果が「◎」又は「○」である場合を合格とした。
◎:最大GI値が、0.170以下
○:最大GI値が、0.170超0.180未満
×:最大GI値が、0.180以上
表IIIに示すように、トナー1〜8は、トナー9〜11と比較して各評価で優れた結果を示している。したがって、トナー1〜8は、外部環境やカバレッジの変化による帯電量変動が抑制され、形成される画像において画像濃度が安定し、かぶりの発生が抑制され、かつドット再現性にも優れているといえる。
C 円(半径がL/10の円)
L 長径(アルミナ粒子の投影像を2本の平行線で挟んだとき、その平行線の間隔が最 大となる幅)
T アルミナ粒子の周囲線

Claims (7)

  1. トナー母体粒子と、外添剤と、を含む静電荷像現像用トナーであって、
    前記外添剤が、角を有するアルミナ粒子を含有し、
    前記アルミナ粒子の個数平均粒径が、5〜60nmの範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 超音波振動処理後の前記トナー母体粒子に対する前記アルミナ粒子の付着量が、前記超音波振動処理前の前記トナー母体粒子に対する前記アルミナ粒子の付着量の60〜100%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 超音波振動処理後の前記トナー母体粒子に対する前記アルミナ粒子の付着量が、前記超音波振動処理前の前記トナー母体粒子に対する前記アルミナ粒子の付着量の60〜80%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記トナー母体粒子が、結着樹脂として非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項4に記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 前記結晶性ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステルセグメントと、非晶性樹脂セグメントとが化学的に結合してなるハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項5に記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーと、
    キャリア粒子と、を含有することを特徴とする静電荷像現像用二成分現像剤。
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