JP2006309176A - 電子写真用トナー - Google Patents
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Abstract
【課題】酸化チタンの脱離および埋没を抑制し、かつ感光体表面の研磨効果が高く、長期間安定して良好な画像を得ることができる電子写真用トナーを提供することである。
【解決手段】少なくとも結着樹脂、ワックス、電荷制御剤および顔料を含有するトナー粒子に、外添剤として少なくとも酸化チタンが外添された電子写真用トナーであって、前記酸化チタンは、アスペクト比が2〜5であり、かつモース硬度が6以上である。前記酸化チタンは周期律表第V族の金属がドーピングされた複合酸化物であるのが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも結着樹脂、ワックス、電荷制御剤および顔料を含有するトナー粒子に、外添剤として少なくとも酸化チタンが外添された電子写真用トナーであって、前記酸化チタンは、アスペクト比が2〜5であり、かつモース硬度が6以上である。前記酸化チタンは周期律表第V族の金属がドーピングされた複合酸化物であるのが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、複写機、レーザープリンタ等に採用されている電子写真法、静電記録法等において、静電潜像を現像するために使用する電子写真用トナーに関する。
近時、プリンタなどの画像形成装置は、エコロジー&エコノミー(環境に優しく経済的)の観点から、装置を構成する材料の長寿命化が望まれている。このため、例えば感光体としては、摩擦耐久性に優れたアモルファスシリコン感光体が主流となってきている。ところが、アモルファスシリコン感光体は、摩擦耐久性に優れている反面、感光体表面に生成するイオン生成物が除去されにくいので、高温高湿下においてイオン生成物が水分を吸着し、これに伴い画像流れが生じる。
そこで、トナーの表面を酸化チタンなどの外添剤で表面処理し、この外添剤を研磨剤として作用させ、アモルファスシリコン感光体の表面に吸着した水分を研磨して除去する対策がとられている。
しかしながら、研磨剤としてトナーに外添された酸化チタンは、一般的な外添剤であるシリカに対して比重が大きい。このため、酸化チタンの粒子径が比較的大きい場合には、トナー表面から脱離しやすく、酸化チタンの粒子径が比較的小さい場合には、現像器内における混合・撹拌時のストレスにより酸化チタンがトナーに埋没し、本来の外添剤の機能が発揮されず、画像品質が低下するという問題がある。
このような問題の対策として、特許文献1には、アスペクト比が2〜12、好ましくは5〜10の酸化チタンを外添剤として用いた電子写真用トナーが提案されている。この文献によれば、上記のような酸化チタンを用いることで、酸化チタンのトナー粒子への付着性が良好になり、地汚れやフィルミング等の発生を少なくできるとされている。
しかしながら、酸化チタンのアスペクト比が特許文献1に記載の範囲にあっても、酸化チタンの脱離を抑制する効果が十分に得られない場合がある。また、酸化チタンには、トナー粒子からの脱離やトナー粒子への埋没という問題の他、感光体表面の研磨効果のさらなる向上が望まれている。特に、アナターゼ型の酸化チタンは、格子間隔が広く硬度が低いため、アモルファスシリコン感光体などの感光体を研磨する効果が低いという問題がある。
特開2001−117265号公報
本発明の課題は、酸化チタンの脱離および埋没を抑制し、かつ感光体表面の研磨効果が高く、長期間安定して良好な画像を得ることができる電子写真用トナーを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、トナー粒子に外添された酸化チタンのアスペクト比が2〜5である場合には、酸化チタンの脱離および埋没が抑制され、かつ前記酸化チタンのモース硬度が6以上である場合には、酸化チタンが高い研磨効果を示すことができるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明における電子写真用トナーは、以下の構成からなる。
(1)少なくとも結着樹脂、ワックス、電荷制御剤および顔料を含有するトナー粒子に、外添剤として少なくとも酸化チタンが外添された電子写真用トナーであって、前記酸化チタンは、アスペクト比が2〜5であり、かつモース硬度が6以上であることを特徴とする電子写真用トナー。
(2)前記酸化チタンは、周期律表第V族の金属がドーピングされた複合酸化物である前記(1)記載の電子写真用トナー。
(3)前記周期律表第V族の金属が、バナジウムおよび/または二オブである前記(2)記載の電子写真用トナー。
(4)前記酸化チタンは、周期律表第V族の金属が酸化チタンの総量に対して1モル%以上10モル%未満ドーピングされた複合酸化物である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の電子写真用トナー。
(5)前記酸化チタンがアナターゼ型である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の電子写真用トナー。
(6)前記アスペクト比は長径と短径の比であり、前記長径が0.010〜0.150μm、短径が0.002〜0.050μmである前記(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真用トナー。
(7)酸化チタンの遊離率およびトナー粒子の遊離率が、それぞれ10%以下である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の電子写真用トナー。
(8)酸化チタンのトナー表面への埋没度が50%以下である前記(1)〜(7)のいずれかに記載の電子写真用トナー。
(9)前記酸化チタンが、トナー粒子100質量部に対して0.2〜5.0質量部の割合で外添された前記(1)〜(8)のいずれかに記載の電子写真用トナー。
(10)少なくとも結着樹脂、ワックス、電荷制御剤および顔料を含有するトナー粒子に、外添剤として少なくとも酸化チタンが外添された電子写真用トナーであって、チタン粉末をペルオキソチタン酸水溶液に調製し、この水溶液にドープ金属として周期律表第V族の金属を添加した後、80〜100℃で7〜15時間水熱してペルオキソ改質アナターゼゾルを得、このゾルを乾燥して、酸化チタンをアスペクト比が2〜5、かつモース硬度が6以上のアナターゼ型にした電子写真用トナー。
(11)アモルファスシリコン感光体を備えた画像形成装置に使用する前記(1)〜(10)のいずれかに記載の電子写真用トナー。
(1)少なくとも結着樹脂、ワックス、電荷制御剤および顔料を含有するトナー粒子に、外添剤として少なくとも酸化チタンが外添された電子写真用トナーであって、前記酸化チタンは、アスペクト比が2〜5であり、かつモース硬度が6以上であることを特徴とする電子写真用トナー。
(2)前記酸化チタンは、周期律表第V族の金属がドーピングされた複合酸化物である前記(1)記載の電子写真用トナー。
(3)前記周期律表第V族の金属が、バナジウムおよび/または二オブである前記(2)記載の電子写真用トナー。
(4)前記酸化チタンは、周期律表第V族の金属が酸化チタンの総量に対して1モル%以上10モル%未満ドーピングされた複合酸化物である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の電子写真用トナー。
(5)前記酸化チタンがアナターゼ型である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の電子写真用トナー。
(6)前記アスペクト比は長径と短径の比であり、前記長径が0.010〜0.150μm、短径が0.002〜0.050μmである前記(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真用トナー。
(7)酸化チタンの遊離率およびトナー粒子の遊離率が、それぞれ10%以下である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の電子写真用トナー。
(8)酸化チタンのトナー表面への埋没度が50%以下である前記(1)〜(7)のいずれかに記載の電子写真用トナー。
(9)前記酸化チタンが、トナー粒子100質量部に対して0.2〜5.0質量部の割合で外添された前記(1)〜(8)のいずれかに記載の電子写真用トナー。
(10)少なくとも結着樹脂、ワックス、電荷制御剤および顔料を含有するトナー粒子に、外添剤として少なくとも酸化チタンが外添された電子写真用トナーであって、チタン粉末をペルオキソチタン酸水溶液に調製し、この水溶液にドープ金属として周期律表第V族の金属を添加した後、80〜100℃で7〜15時間水熱してペルオキソ改質アナターゼゾルを得、このゾルを乾燥して、酸化チタンをアスペクト比が2〜5、かつモース硬度が6以上のアナターゼ型にした電子写真用トナー。
(11)アモルファスシリコン感光体を備えた画像形成装置に使用する前記(1)〜(10)のいずれかに記載の電子写真用トナー。
本発明によれば、外添剤である酸化チタンのアスペクト比が所定の値であるので、酸化チタンの脱離および埋没が抑制され、かつ前記酸化チタンのモース硬度が所定の値であるので、酸化チタンが高い研磨効果を示すことができ、その結果、初期はもちろんのこと長期にわたって安定した画像品質を得られ、かつ耐久性に優れるという効果を有する。
本発明の電子写真用トナーは、少なくとも結着樹脂、ワックス、電荷制御剤および顔料を含有するトナー粒子に、外添剤として少なくとも酸化チタンを外添したものである。
(結着樹脂)
本発明のトナーに使用する結着樹脂の種類は、特に制限されるものではないが、例えばスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン-アクリル系共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N-ビニル系樹脂、スチレン-ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
(結着樹脂)
本発明のトナーに使用する結着樹脂の種類は、特に制限されるものではないが、例えばスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン-アクリル系共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N-ビニル系樹脂、スチレン-ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
具体的には、ポリスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体でも、スチレンと共重合可能な他の共重合モノマーとの共重合体でもよい。共重合モノマーとしては、p-クロルスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸2-クロルエチル、アクリル酸フェニル、α-クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドなどの他のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N-ビニルピロール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、N-ビニルピロリデンなどのN-ビニル化合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせてスチレン単量体と共重合させてもよい。
また、ポリエステル系樹脂としては、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合ないし共縮重合によって得られるものであれば使用することができる。ポリエステル系樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下のものが挙げられる。まず、2価または3価以上のアルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上のアルコール類が例示される。
また、2価または3価以上のカルボン酸成分としては、2価または3価カルボン酸、この酸無水物またはこの低級アルキルエステルが用いられ、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、あるいはn-ブチルコハク酸、n-ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n-オクチルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等のアルキルまたはアルケニルコハク酸等の2価カルボン酸;1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等の3価以上のカルボン酸等が例示される。また、ポリエステル系樹脂の軟化点は110〜150℃、より好ましくは120〜140℃である。
また、結着樹脂は、熱硬化性樹脂であっても良い。このように一部架橋構造を導入することにより、定着性を低下させることなく、トナーの保存安定性や形態保持性、あるいは耐久性をより向上させることができる。よって、トナーの結着樹脂として、熱可塑性樹脂を100質量部使用する必要はなく、架橋剤を添加したり、あるいは、熱硬化性樹脂を一部使用することも好ましい。
したがって、熱硬化性樹脂として、エポキシ系樹脂やシアネート系樹脂等が使用することができる。より具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、シアネート樹脂等の1種または2種以上の組み合わせが挙げられる。
また、本発明においては、結着樹脂のガラス転移点(Tg)は50〜65℃であることが好ましく、より好ましくは50〜60℃である。このガラス転移点が、上記範囲よりも低いと、得られたトナー同士が現像器内で融着し、保存安定性が低下してしまう。また、樹脂強度が低いため、感光体へのトナー付着が生じる傾向がある。さらに、ガラス転移点が上記範囲よりも高いと、トナーの低温定着性が低下してしまう。
なお、結着樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、比熱の変化点から求めることができる。具体的には、測定装置としてセイコーインスツルメンツ社製の示差走査熱量計DSC-6200を用い、吸熱曲線を測定する。この吸熱曲線は、測定試料10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用し、測定温度範囲25〜200℃、昇温速度10℃/分で常温常湿下にて測定を行うことで得られる。そして、得られた吸熱曲線よりガラス転移点を求める。
(ワックス)
定着性や耐オフセット性を向上させるために使用されるワックスとしては、特に制限されるものではないが、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、テフロン(登録商標)系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックス等を使用することが好ましい。また、これらワックスは2種以上を併用しても構わない。かかるワックスを添加することにより、オフセット性や像スミアリング(画像をこすった際の画像周囲の汚れ)をより効率的に防止することができる。
定着性や耐オフセット性を向上させるために使用されるワックスとしては、特に制限されるものではないが、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、テフロン(登録商標)系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックス等を使用することが好ましい。また、これらワックスは2種以上を併用しても構わない。かかるワックスを添加することにより、オフセット性や像スミアリング(画像をこすった際の画像周囲の汚れ)をより効率的に防止することができる。
上述したワックスは、特に制限されるものではないが、結着樹脂総量に対して1〜10質量部の量で配合されていることが好ましい。ワックスの添加量が1質量部未満では、オフセット性や像スミアリング等を効率的に防止することができない傾向があり、一方、10質量部を超えると、トナー同士が融着してしまい、保存安定性が低下する傾向がある。
(電荷制御剤)
電荷制御剤は、帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)を著しく向上させ、耐久性や安定性に優れた特性等を得るために配合されるものである。すなわち、トナーを正帯電させて現像に供する場合には、正帯電性の電荷制御剤を添加し、負帯電させて現像に供する場合には、負帯電性の電荷制御剤を添加することができる。
電荷制御剤は、帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)を著しく向上させ、耐久性や安定性に優れた特性等を得るために配合されるものである。すなわち、トナーを正帯電させて現像に供する場合には、正帯電性の電荷制御剤を添加し、負帯電させて現像に供する場合には、負帯電性の電荷制御剤を添加することができる。
このような電荷制御剤としては、特に制限されるものではないが、例えば正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-オキサジアジン、1,3,4-オキサジアジン、1,2,6-オキサジアジン、1,3,4-チアジアジン、1,3,5-チアジアジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、1,2,4,6-オキサトリアジン、1,3,4,5-オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリンなどのアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEWおよびアジンディーブラック3RLなどのアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体などのニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZなどのニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を例示することができ、これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用することもできる。特に、ニグロシン化合物は、より迅速な立ち上がり性が得られる観点から、正帯電性トナーとしての使用には最適である。
また、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩あるいはカルボキシル基を官能基として有する樹脂またはオリゴマーなども正帯電性電荷制御剤として使用することができる。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン-アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン-アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するポリスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン-アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
特に、4級アンモニウム塩を官能基として有するスチレン-アクリル系共重合樹脂は、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる観点から、最適である。この場合において、上記スチレン単位と共重合させる好ましいアクリル系コモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸iso-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸iso-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n-ブチル、メタアクリル酸iso-ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。また、4級アンモニウム塩としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートから第4級化の工程を経て誘導される単位が用いられる。誘導されるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジ(低級アルキル)アミノエチル(メタ)アクリレート;ジメチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが好適である。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有重合性モノマーを重合時に併用することもできる。
負帯電性を示す電荷制御剤としては、例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効で、その例としてはアルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸クロム等があり、特にアセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体または塩が好ましく、特にサリチル酸系金属錯体またはサリチル酸系金属塩が好ましい。
上述した正帯電性あるいは負帯電性の電荷制御剤は、結着樹脂総量に対して1.5〜15質量部、好ましくは1.5〜8.0質量部、より好ましくは1.5〜7.0質量部の割合で、トナー中に含まれているのがよい。電荷制御剤の添加量が上記範囲よりも少量であると、所定極性にトナーを安定して帯電することが困難となる傾向があり、このトナーを用いて静電潜像の現像を行って画像形成を行ったとき、画像濃度が低下したり、画像濃度の耐久性が低下する傾向がある。また、電荷制御剤の分散不良が起こりやすく、いわゆるカブリの原因となったり、感光体汚染が激しくなる等の傾向がある。一方、電荷制御剤が上記範囲よりも多量に使用されると、耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良となり、感光体汚染等の欠点が生じやすくなる傾向がある。
(顔料)
顔料である着色剤としては、特に限定されるものではなく、例えばブラック系着色剤として、アセチレンブラック、ランブラック、アニリンブラック等のカーボンブラック;マゼンダ系着色剤として、カラーインデックスに記されているC.I.ピグメントレッド81、C.Iピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド57、C.Iピグメントレッド49、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベシック(Basic)レッド10、C.I.ディスパーズ(Disperse)レッド15;シアン系着色剤として、カラーインデックスに記されているC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15−1、C.Iピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー25;イエロー系着色剤として、ナフトールイエローS等のニトロ系顔料、ハンザイエロー5G、ハンザイエロー3G、ハンザイエローG、ベンジジンイエローG、バルカンファストイエロー5Gなどのアゾ系顔料または黄色酸化鉄、黄土等の無機顔料、カラーインデックスに記されているC.I.ピグメントイエロー180、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー16、C.I.ソルベントイエロー19、C.I.ソルベントイエロー21等が挙げられる。これら着色剤の1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの着色剤は、結着樹脂総量に対して2〜20質量部、好ましくは3〜10質量部の割合で配合される。
顔料である着色剤としては、特に限定されるものではなく、例えばブラック系着色剤として、アセチレンブラック、ランブラック、アニリンブラック等のカーボンブラック;マゼンダ系着色剤として、カラーインデックスに記されているC.I.ピグメントレッド81、C.Iピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド57、C.Iピグメントレッド49、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベシック(Basic)レッド10、C.I.ディスパーズ(Disperse)レッド15;シアン系着色剤として、カラーインデックスに記されているC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15−1、C.Iピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー25;イエロー系着色剤として、ナフトールイエローS等のニトロ系顔料、ハンザイエロー5G、ハンザイエロー3G、ハンザイエローG、ベンジジンイエローG、バルカンファストイエロー5Gなどのアゾ系顔料または黄色酸化鉄、黄土等の無機顔料、カラーインデックスに記されているC.I.ピグメントイエロー180、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー16、C.I.ソルベントイエロー19、C.I.ソルベントイエロー21等が挙げられる。これら着色剤の1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの着色剤は、結着樹脂総量に対して2〜20質量部、好ましくは3〜10質量部の割合で配合される。
(酸化チタン)
本発明の電子写真用トナーは外添剤として酸化チタンが外添され、かつこの酸化チタンのアスペクト比が2〜5である。これにより、酸化チタンの脱離および埋没が抑制される。これに対し、前記アスペクト比が2未満であると、酸化チタンが脱離や埋没しやすくなる。また、前記アスペクト比が5を超えると、酸化チタンの埋没は抑制されるが、トナー粒子に対する付着力が低下するので脱離しやすくなる。
本発明の電子写真用トナーは外添剤として酸化チタンが外添され、かつこの酸化チタンのアスペクト比が2〜5である。これにより、酸化チタンの脱離および埋没が抑制される。これに対し、前記アスペクト比が2未満であると、酸化チタンが脱離や埋没しやすくなる。また、前記アスペクト比が5を超えると、酸化チタンの埋没は抑制されるが、トナー粒子に対する付着力が低下するので脱離しやすくなる。
前記長径および短径は、酸化チタンが外添剤として機能する値であればよい。特に、本発明では、前記長径は0.010〜0.150μm、好ましくは0.020〜0.120μmであり、短径は0.002〜0.050μm、好ましくは0.005〜0.040μmであるのがよく、これらの範囲内でアスペクト比が所定の関係になればよい。上記式(I)中の長径および短径は、酸化チタンを透過型電子顕微鏡により測定して得られる値であり、アスペクト比は、酸化チタン100個について長径および短径をそれぞれ測定し、その結果を上記式(I)に当てはめて算出した値の平均値である。
また、本発明における酸化チタンは、モース硬度(モース硬さ数)が6以上である。これにより、酸化チタンが高い研磨効果を得ることができる。これに対し、モース硬度が6未満であると所定の研磨効果が得られない。前記モース硬度とは、固体の表面をひっかき、傷の有無で固体の硬さを半定量的に表す数を意味し、1(軟)〜10(硬)の数値で表される(大木 道則、外3名、「化学辞典」、(株)東京化学同人、1996年10月1日、p1447)。本発明におけるモース硬度は、乳鉢に使用される乳棒に両面テープで酸化チタンを貼着し、その乳棒で後述するモース硬度既知の材質をこすり、ついで、実体顕微鏡で既知の材料の表面に傷が生じたか否かを判断して得られた値である。
前記酸化チタンは、アスペクト比およびモース硬度を所定の値にする上で、周期律表第V族の金属がドーピングされた複合酸化物であるのがよく、アナターゼ型であるのがよい。酸化チタンにドーピングする金属(ドープ金属)として、前記周期律表第V族の金属を用いると、酸化チタンの結晶が線状のアナターゼ型になる。アナターゼ型の酸化チタンは、前述の通り格子間隔が広く硬度が低いので研磨効果は低いが、前記金属がドーピングされて得られるアナターゼ型の酸化チタンは硬度が高くなりやすいので、その結果、高い研磨効果を示すことができる。さらに、アスペクト比が所定の値であれば、酸化チタンの脱離および埋没が抑制されるので感光体の高い研磨効果が得られる。
前記周期律表第V族の金属としては、バナジウム、ニオブおよびタンタルであり、特に、本発明では、バナジウムおよび/または二オブが好適に使用される。前記ドープ金属の添加量は、酸化チタンの総量に対して1モル%以上10モル%未満、好ましくは1〜5モル%であるのがよい。これに対し、前記ドープ金属の添加量が前記範囲外であると、酸化チタンのアスペクト比が所定値の範囲外となるおそれがあるので好ましくない。
以上説明したように、上述した酸化チタンのアスペクト比やモース硬度を選択することで、トナー表面に適切な状態で酸化チタンを保持することが可能となる。ここで、適切な状態の酸化チタンの保持は、トナー表面から脱離した酸化チタンの遊離率や、酸化チタンの脱離やトナー表面への埋没により適切な量を保持していないトナー粒子の遊離率を分析することでも判別できる。酸化チタンの遊離率およびトナー粒子の遊離率は、それぞれ10%以下であるのが好ましい。
これらの遊離率は、例えばパーティクルアナライザー[堀場製作所(株)製の「DP−1000」]を用いて測定することができる。パーティクルアナライザーは、トナー等の微粒子を1個ずつ高温の非熱平衡型プラズマへ導入し、この励起に伴う微粒子の発光スペクトルから元素、粒子数、粒子の粒径を知ることができる。
具体的には、「酸化チタンの遊離率」は、酸化チタン由来のTi原子の発光回数と、結着樹脂の構成元素である炭素原子と同時に発光したTi原子の発光回数とをパーティクルアナライザーで測定し、得られた各値を下記式(II)に当てはめ、算出して得られる値である。
「トナー粒子の遊離率」とは、表面に酸化チタンが付着していないトナー粒子の全トナー粒子に対する割合を意味する。このトナー粒子の遊離率(%)は、例えば以下のようにして求めることができる。
パーティクルアナライザーの発光スペクトルの高さは、その発光の強さを表している。この発光の強さは、粒子の大きさや形ではなく、粒子内に含まれている元素(炭素原子,Ti)の原子数に比例している。そこで、元素の発光強度を粒子の大きさとして表すため、トナー粒子(炭素原子:C)および酸化チタン(Ti)の各発光強度が得られたとき、トナー粒子(C)の発光強度をトナー粒子(C)のみで構成された真球の粒子、酸化チタン(Ti)の発光強度を酸化チタン(Ti)のみで構成された真球の粒子とそれぞれ仮定し、各真球の粒子を、トナー粒子(C)の粒径および酸化チタン(Ti)の粒径として表す。そして、このときの真球の粒子を等価粒子、その粒径を等価粒径と呼ぶ。
ここで、酸化チタンは非常に小さいことから、その粒子を1個ずつ検出することが困難である。このため、検出された酸化チタン以外の外添剤の発光信号を足し合わせて1つの等価粒子に換算して分析する。このように、トナー粒子および外添剤の各発光スペクトルによって得られた等価粒子の等価粒径を、トナーの各粒子毎にプロットすると、図1に示すようなトナー粒子の等価粒径分布図が得られる。
図1において、横軸はトナー粒子の等価粒径を表し、縦軸は酸化チタンの等価粒径を表している。そして、横軸上の等価粒子は、酸化チタンが付着していないトナー粒子を表している。この場合、所定の酸化チタン濃度に満たない外添剤が付着しているトナー粒子もこの横軸上もしくはその近傍に表されるが、このトナー粒子も含めて酸化チタンが付着していないトナー粒子とされる。そして、酸化チタンが付着していないトナー粒子の全トナー粒子に対する割合を算出し、得られた値を「トナー粒子の遊離率」とする。
また、遊離トナーとは異なる分析として、酸化チタンのトナー表面への埋没度を求めることで、酸化チタンをトナー表面に適正な量で保持しているか否かを把握することができる。前記埋没度は、下記のようにして求められる値である。すなわち、調整した補給用のトナーを走査型電子顕微鏡(SEM:JEOL社製の「JSM−7401F」)で3万倍にてトナー表面を観察し、元素分析としてエネルギー分散型X線分析装置(EDAX社製の「EK-23000BU」)を用いて面分析を行い、トナー単位でチタンの組成比を測定し、トナー50個分の平均値を求める(X1)。次に、10万枚の耐刷テスト終了後の現像器中のトナーを採集し、上記エネルギー分散型X線分析装置を使用して再度面分析を行い、トナー50個分のチタンの平均組成比を求める(X2)。そして、前記X1およびX2を下記式(III)に当てはめ算出して得た値を埋没度とした。
この埋没度は、トナー表面から酸化チタンが脱離して存在しないものも含む値であり、該埋没度が50%以下であるのがよい。
なお、走査型電子顕微鏡(SEM)、ならびにエネルギー分散型X線分析装置の測定条件としては、下記の条件を例示することができる。
・SEM:印加電圧=15kV、倍率=3万倍
・エネルギー分散型X線分析装置:SEMのエミッション電流を20μAにし、照射電流を調整して検出感度を1000〜5000cps(mPa・s)にして分析
なお、走査型電子顕微鏡(SEM)、ならびにエネルギー分散型X線分析装置の測定条件としては、下記の条件を例示することができる。
・SEM:印加電圧=15kV、倍率=3万倍
・エネルギー分散型X線分析装置:SEMのエミッション電流を20μAにし、照射電流を調整して検出感度を1000〜5000cps(mPa・s)にして分析
次に、好適な酸化チタンの表面保持状態を確保するためには、前記酸化チタンの添加量は、トナー粒子100質量部に対して0.2〜5.0質量部、より好ましくは0.5〜3.0質量部の割合であるのが好ましい。これに対し、添加量が上記範囲より少ない場合には、研磨効果が小さくなり、感光体汚染を引き起こすと共に、感光体表面の絶縁破壊や薄層形成不良が生じるおそれがある。また、添加量が上記範囲より多い場合には、酸化チタンがトナー表面に強固に付着せず、酸化チタンの遊離率が高くなるため、カブリなどの画像特性への悪影響や薄層形成不良などを生じるおそれがある。
前記酸化チタンには、疎水性を付与するうえで、疎水化剤で表面処理を施すことが好ましい。これにより、環境変動、特に湿度変化に対し、トナーの種々の性能を安定して発揮させることができる。このような表面処理のための疎水化剤としては、特に限定されるものではなく、例えばチタネート系カップリング剤などの各種の公知のものが使用できる。これに対し、疎水化処理を行わずに外添剤として使用すると、例えば高湿環境において、画像濃度の大きな低下を引き起こしてしまうなどの不具合が発生する可能性がある。
本発明では、外添剤として酸化チタンを用いるが、上記酸化チタンに加えて、流動性、保存安定性、クリーニング性等を向上させるうえで、コロイダルシリカや疎水性シリカ等の微粒子(通常、平均粒径が1.0μm以下)を添加してもよい。前記シリカは通常、トナー粒子100質量部に対して0.2〜10.0質量部の割合で使用される。
(製造方法)
所定のアスペクト比およびモース硬度を有するアナターゼ型の酸化チタンは、例えば以下のようにして製造することができる。すなわち、まず、チタン粉末をペルオキソチタン酸水溶液に調製し、ついで、この水溶液にドープ金属として周期律表第V族の金属を添加した後、80〜100℃で7〜15時間程度水熱し、ペルオキソ改質アナターゼゾルを得る。ここで、水熱時間が7時間より短いと、酸化チタンのモース硬度が所定値より低くなるおそれがあり、15時間より長いと、必要以上に水熱することになるので好ましくない。
所定のアスペクト比およびモース硬度を有するアナターゼ型の酸化チタンは、例えば以下のようにして製造することができる。すなわち、まず、チタン粉末をペルオキソチタン酸水溶液に調製し、ついで、この水溶液にドープ金属として周期律表第V族の金属を添加した後、80〜100℃で7〜15時間程度水熱し、ペルオキソ改質アナターゼゾルを得る。ここで、水熱時間が7時間より短いと、酸化チタンのモース硬度が所定値より低くなるおそれがあり、15時間より長いと、必要以上に水熱することになるので好ましくない。
ついで、得られた前記ゾルをオーブンで50〜100℃程度で1〜10時間程度で乾燥する。これにより、前記金属がドーピングされた、所定のアスペクト比およびモース硬度を有するアナターゼ型の酸化チタンを得ることができる。
次に、本発明の電子写真用トナーの製造方法について説明する。まず、結着樹脂、ワックス、電荷制御剤、顔料等の添加剤を所定の配合比で混合し、溶融混練、粉砕、分級などの各工程を経てトナー粒子を作製する。ついで、該トナー粒子に所定のアスペクト比およびモース硬度を有する酸化チタンを外添することにより、本発明の電子写真用トナーを得ることができる。得られるトナー粒子の平均粒子径は、5〜10μm程度であるのがよい。トナー粒子の平均粒子径は、例えばマルチサイザー3(ベックマンコールター社製)を用いて測定することができる。
酸化チタンの外添処理は、例えばヘンシェルミキサー、V型混合機、ターブラミキサー、ハイブリタイザー、ロッキングミキサー等を用いて、酸化チタン粒子とトナー粒子とを混合し撹拌することにより行うことができる。
上記のようにして得られる電子写真用トナーは、該トナー単独で現像剤として用いる一成分現像方式に使用してもよく、トナーとキャリアを混合して現像剤として用いる二成分現像方式に使用してもよい。
前記一成分現像方式としては、磁力を利用してトナーを搬送する磁性一成分現像方式と、静電力を利用してトナーを搬送する非磁性一成分現像方式とが挙げられる。磁性一成分現像方式に使用する場合には、トナー粒子中に上記した成分に加えて磁性粉を配合すればよい。
磁性粉材料としては、従来から公知のものを使用することができる。具体的には、例えばフェライト、マグネタイトを初めとする鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性を示す金属もしくは合金またはこれらの元素を含む化合物、または強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、または二酸化クロム等を挙げることができる。磁性粉には、チタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤などの表面処理剤で表面処理を施して使用することもできる。磁性粉の配合量は、結着樹脂総量に対して10〜100質量部、好ましくは20〜80質量部であるのがよい。
前記二成分現像方式に用いる場合には、本発明の電子写真用トナーとキャリアとを混合し撹拌して現像剤化する。トナーの添加量は、キャリア100質量部に対して1〜20質量部、好ましくは3〜15質量部であるのがよい。キャリアの平均粒子径は20〜100μm程度であるのがよい。キャリアの平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒子径測定装置を用いて測定することができ、前記測定装置としては、例えば堀場製作所(株)製のLA−700等が挙げられる。トナーとキャリアとの混合・撹拌には、例えばボールミル、ナウターミキサー、ロッキングミキサー、などの混合機を用いることができる。
前記キャリアとしては、鉄、酸化鉄、還元鉄、フェライト、マグネタイト、ニッケル、コバルト等の金属、これらの合金や酸化物等からなる粒子、前記各材料の微粒子を結着樹脂中に分散させた粒子などを使用することができる。これらの粒子は、十分な帯電性を付与するために、粒子表面が樹脂で被覆されているのが好ましい。粒子表面を被覆する樹脂としては、例えばスチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコン樹脂、アクリル変性シリコン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。粒子表面への樹脂の被覆法としては、流動層式スプレードライ法、浸せき法などが挙げられる。
上記のような本発明の電子写真用トナーは、アモルファスシリコン感光体を備えた画像形成装置に使用する場合に、特に好適である。感光体を構成するアモルファスシリコン(a−Si)としては、a−Siの他、例えばa−SiC、a−SiO、a−SiON等であってもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
<酸化チタンの製造>
[酸化チタンの製造例A]
アンモニア水を15ml、過酸化水素水を65mlの割合で混合し、この混合溶液に0.01モルのチタン粉末を投入し、30℃で4時間攪拌溶解した。次に、陽イオン交換樹脂を用いてアンモニウムイオンを除去し、0.01ml/Lのペルオキソチタン酸水溶液を得た。さらに、このペルオキソチタン酸水溶液にドープ金属として2モル%のニオブを添加した後、100℃で8時間水熱し、ペルオキソ改質アナターゼゾルを調製した。得られた前記ゾルを、オーブンを用いて80℃で6時間乾燥し、酸化チタンAを得た。得られた酸化チタンAは、短径が0.020μmであり、長径が0.092μmであった。
[酸化チタンの製造例A]
アンモニア水を15ml、過酸化水素水を65mlの割合で混合し、この混合溶液に0.01モルのチタン粉末を投入し、30℃で4時間攪拌溶解した。次に、陽イオン交換樹脂を用いてアンモニウムイオンを除去し、0.01ml/Lのペルオキソチタン酸水溶液を得た。さらに、このペルオキソチタン酸水溶液にドープ金属として2モル%のニオブを添加した後、100℃で8時間水熱し、ペルオキソ改質アナターゼゾルを調製した。得られた前記ゾルを、オーブンを用いて80℃で6時間乾燥し、酸化チタンAを得た。得られた酸化チタンAは、短径が0.020μmであり、長径が0.092μmであった。
[酸化チタンの製造例B]
製造例Aと同様にして0.01ml/Lのペルオキソチタン酸水溶液を得た。ついで、この水溶液にドープ金属として2モル%のニオブに代えて、2モル%のバナジウムを添加した以外は、製造例Aと同様にして酸化チタンBを得た。得られた酸化チタンBは、短径が0.010μmであり、長径が0.031μmであった。
製造例Aと同様にして0.01ml/Lのペルオキソチタン酸水溶液を得た。ついで、この水溶液にドープ金属として2モル%のニオブに代えて、2モル%のバナジウムを添加した以外は、製造例Aと同様にして酸化チタンBを得た。得られた酸化チタンBは、短径が0.010μmであり、長径が0.031μmであった。
[酸化チタンの製造例C]
製造例Aと同様にして0.01ml/Lのペルオキソチタン酸水溶液を得た。ついで、この水溶液にドープ金属として2モル%のニオブに代えて、4モル%の二オブを添加した以外は、製造例Aと同様にして酸化チタンCを得た。得られた酸化チタンCは、短径が0.020μmであり、長径が0.042μmであった。
製造例Aと同様にして0.01ml/Lのペルオキソチタン酸水溶液を得た。ついで、この水溶液にドープ金属として2モル%のニオブに代えて、4モル%の二オブを添加した以外は、製造例Aと同様にして酸化チタンCを得た。得られた酸化チタンCは、短径が0.020μmであり、長径が0.042μmであった。
[酸化チタンの製造例D]
製造例Aと同様にして0.01ml/Lのペルオキソチタン酸水溶液を得た。ついで、この水溶液にドープ金属として2モル%のニオブに代えて、1モル%のバナジウムを添加した以外は、製造例Aと同様にして酸化チタンDを得た。得られた酸化チタンDは、短径が0.010μmであり、長径が0.050μmであった。
製造例Aと同様にして0.01ml/Lのペルオキソチタン酸水溶液を得た。ついで、この水溶液にドープ金属として2モル%のニオブに代えて、1モル%のバナジウムを添加した以外は、製造例Aと同様にして酸化チタンDを得た。得られた酸化チタンDは、短径が0.010μmであり、長径が0.050μmであった。
[酸化チタンの製造例E]
製造例Aと同様にして0.01ml/Lのペルオキソチタン酸水溶液を得た。ついで、この水溶液にドープ金属として2モル%のニオブに代えて、10モル%の二オブを添加した以外は、製造例Aと同様にして酸化チタンEを得た。得られた酸化チタンEは、短径が0.020μmであり、長径が0.022μmであった。
製造例Aと同様にして0.01ml/Lのペルオキソチタン酸水溶液を得た。ついで、この水溶液にドープ金属として2モル%のニオブに代えて、10モル%の二オブを添加した以外は、製造例Aと同様にして酸化チタンEを得た。得られた酸化チタンEは、短径が0.020μmであり、長径が0.022μmであった。
[酸化チタンの製造例F]
製造例Aと同様にして0.01ml/Lのペルオキソチタン酸水溶液を得た。ついで、この水溶液にドープ金属として2モル%のニオブに代えて、0.8モル%のバナジウムを添加した以外は、製造例Aと同様にして酸化チタンFを得た。得られた酸化チタンFは、短径が0.011μmであり、長径が0.064μmであった。
製造例Aと同様にして0.01ml/Lのペルオキソチタン酸水溶液を得た。ついで、この水溶液にドープ金属として2モル%のニオブに代えて、0.8モル%のバナジウムを添加した以外は、製造例Aと同様にして酸化チタンFを得た。得られた酸化チタンFは、短径が0.011μmであり、長径が0.064μmであった。
[酸化チタンの製造例G]
製造例Aと同様にして0.01ml/Lのペルオキソチタン酸水溶液を得た。ついで、この水溶液にドープ金属として2モル%のニオブを添加した後、水熱の条件を100℃で8時間に代えて、100℃で6時間水熱した以外は、製造例Aと同様にして酸化チタンGを得た。得られた酸化チタンGは、短径が0.020μmであり、長径が0.094μmであった。
製造例Aと同様にして0.01ml/Lのペルオキソチタン酸水溶液を得た。ついで、この水溶液にドープ金属として2モル%のニオブを添加した後、水熱の条件を100℃で8時間に代えて、100℃で6時間水熱した以外は、製造例Aと同様にして酸化チタンGを得た。得られた酸化チタンGは、短径が0.020μmであり、長径が0.094μmであった。
製造例A〜Gの酸化チタンについて、アスペクト比およびモース硬度を測定した。測定方法を以下に示すと共に、その結果を表1に示す。
(アスペクト比)
上記で得られた各酸化チタン100個について、長径および短径を透過型電子顕微鏡で測定し、その結果を上記式(I)に当てはめ、算出して得られた値を平均値で表した。
(モース硬度)
上記で得られた酸化チタンを乳鉢に使用される乳棒に両面テープで貼着し、その乳棒でモース硬度既知の材質をこすり、ついで、実体顕微鏡で前記酸化チタンの表面に傷が生じたか否かを判断して測定した。前記モース硬度既知の材質を、以下に示す。
モース硬度1:滑石
モース硬度2:セッコウ
モース硬度3:方解石
モース硬度4:ホタル石
モース硬度5:リン灰石
モース硬度6:正長石
モース硬度7:水晶
モース硬度8:黄石
モース硬度9:鋼玉
モース硬度10:ダイヤモンド
(アスペクト比)
上記で得られた各酸化チタン100個について、長径および短径を透過型電子顕微鏡で測定し、その結果を上記式(I)に当てはめ、算出して得られた値を平均値で表した。
(モース硬度)
上記で得られた酸化チタンを乳鉢に使用される乳棒に両面テープで貼着し、その乳棒でモース硬度既知の材質をこすり、ついで、実体顕微鏡で前記酸化チタンの表面に傷が生じたか否かを判断して測定した。前記モース硬度既知の材質を、以下に示す。
モース硬度1:滑石
モース硬度2:セッコウ
モース硬度3:方解石
モース硬度4:ホタル石
モース硬度5:リン灰石
モース硬度6:正長石
モース硬度7:水晶
モース硬度8:黄石
モース硬度9:鋼玉
モース硬度10:ダイヤモンド
<電子写真用トナーの製造>
ポリエステル樹脂(ビスフェノールAとフマル酸を縮合反応させたもの)100質量部
カーボンブラック(キャボット社製の商品名「Pr−90」)5質量部
フィッシャートロプシュワックス(日本精鑞社製の商品名「FT−100」)4質量部
4級アンモニウム塩化合物(オリエント化学社製の商品名「P−51」)2質量部
各成分を上記配合比でヘンシェルミキサーにて混合し攪拌した後、2軸押出機にて溶融混錬してトナー用樹脂組成物を調製した。ついで、得られたトナー用樹脂組成物を気流式粉砕機で微粉砕し、風力分級機で分級処理し、体積平均粒子径8μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100質量部に対して、シリカ粒子(キャボット社製の商品名「TG−820」)を1.0質量部、上記で得られた酸化チタンAを1.0質量部添加し、ヘンシェルミキサーを用いて3000rpmで10分間混合して電子写真用トナーを得た。
ポリエステル樹脂(ビスフェノールAとフマル酸を縮合反応させたもの)100質量部
カーボンブラック(キャボット社製の商品名「Pr−90」)5質量部
フィッシャートロプシュワックス(日本精鑞社製の商品名「FT−100」)4質量部
4級アンモニウム塩化合物(オリエント化学社製の商品名「P−51」)2質量部
各成分を上記配合比でヘンシェルミキサーにて混合し攪拌した後、2軸押出機にて溶融混錬してトナー用樹脂組成物を調製した。ついで、得られたトナー用樹脂組成物を気流式粉砕機で微粉砕し、風力分級機で分級処理し、体積平均粒子径8μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100質量部に対して、シリカ粒子(キャボット社製の商品名「TG−820」)を1.0質量部、上記で得られた酸化チタンAを1.0質量部添加し、ヘンシェルミキサーを用いて3000rpmで10分間混合して電子写真用トナーを得た。
次に、シリコーン樹脂(東レシリコン社製の商品名「SR2115」)で表面をコーティングした平均粒子径80μmのフェライトキャリア(パウダーテック社製の商品名「EF−60B」)に、上記で得られた電子写真用トナーを該トナー濃度が5質量%となるように混合し、均一に混合撹拌して二成分現像剤を得た。
酸化チタンAに代えて酸化チタンBを用いた他は、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作製し、二成分現像剤を得た。
酸化チタンAに代えて酸化チタンCを用いた他は、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作製し、二成分現像剤を得た。
酸化チタンAに代えて酸化チタンDを用いた他は、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作製し、二成分現像剤を得た。
[比較例1]
酸化チタンAに代えて表1に示す酸化チタンα(石原産業社製の商品名「TTO−55A」)を用いた他は、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作製し、二成分現像剤を得た。
酸化チタンAに代えて表1に示す酸化チタンα(石原産業社製の商品名「TTO−55A」)を用いた他は、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作製し、二成分現像剤を得た。
[比較例2]
酸化チタンAに代えて酸化チタンEを用いた他は、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作製し、二成分現像剤を得た。
酸化チタンAに代えて酸化チタンEを用いた他は、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作製し、二成分現像剤を得た。
[比較例3]
酸化チタンAに代えて酸化チタンFを用いた他は、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作製し、二成分現像剤を得た。
酸化チタンAに代えて酸化チタンFを用いた他は、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作製し、二成分現像剤を得た。
[比較例4]
酸化チタンAに代えて酸化チタンGを用いた他は、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作製し、二成分現像剤を得た。
酸化チタンAに代えて酸化チタンGを用いた他は、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作製し、二成分現像剤を得た。
<評価>
次に、上記実施例1〜4および比較例1〜4で得られた二成分現像剤を用いて、10万枚連続印字したときの画像濃度、像流れおよび画像品質について評価した。評価には、アモルファスシリコン(a−Si)感光体を備えた京セラミタ(株)製カラープリンタ「LS−5016N」を用いた。各評価方法を以下に示すと共に、その結果を表2に示す。
次に、上記実施例1〜4および比較例1〜4で得られた二成分現像剤を用いて、10万枚連続印字したときの画像濃度、像流れおよび画像品質について評価した。評価には、アモルファスシリコン(a−Si)感光体を備えた京セラミタ(株)製カラープリンタ「LS−5016N」を用いた。各評価方法を以下に示すと共に、その結果を表2に示す。
(画像濃度)
印刷初期時に上記ページプリンタにより画像評価パターン(黒べた画像)を印字して画像濃度初期とし、初期および10万枚後の画像サンプルを濃度計(グレタグマクベス社製の「RD-19I」)を用いて測定した。なお、評価基準は以下のように設定した。なお、初期以降は1000枚ごとに画像評価パターンを印刷して評価し、急激な変化をチェックした。
○:画像濃度1.3以上
×:画像濃度1.3未満
印刷初期時に上記ページプリンタにより画像評価パターン(黒べた画像)を印字して画像濃度初期とし、初期および10万枚後の画像サンプルを濃度計(グレタグマクベス社製の「RD-19I」)を用いて測定した。なお、評価基準は以下のように設定した。なお、初期以降は1000枚ごとに画像評価パターンを印刷して評価し、急激な変化をチェックした。
○:画像濃度1.3以上
×:画像濃度1.3未満
(像流れ)
画像濃度の評価で印字した10万枚後の画像サンプルについて、画像の均一性を目視観察することにより評価した。なお、評価基準は以下のように設定した。
○:像流れがない
×:像流れがある
画像濃度の評価で印字した10万枚後の画像サンプルについて、画像の均一性を目視観察することにより評価した。なお、評価基準は以下のように設定した。
○:像流れがない
×:像流れがある
(画像品質)
画像濃度の評価で印字した画像評価パターンを1000枚ごとにサンプルし、その画像の均一性を目視観察することにより評価した。
画像濃度の評価で印字した画像評価パターンを1000枚ごとにサンプルし、その画像の均一性を目視観察することにより評価した。
表2から明らかなように、実施例1〜4では、長期にわたる耐刷試験後においても良好な画像が得られた。なお、実施例4では、画像評価パターンに僅かに白点が生じたが、実用上は問題のない範囲であった。これに対し、酸化チタンのアスペクト比が所定の値より小さく、かつルチル型である比較例1は、酸化チタンを添加した効果が十分に得られず、3000枚印刷後に画像濃度が1.0に低下したため、実験を中止した。
また、酸化チタンのアスペクト比が所定の値より小さい比較例2は、3000枚印刷後に像流れが発生したため実験を中止した。これは、酸化チタンがトナーに埋没し、その結果、感光体表面の研磨を行うことができなかったことによると推測される。酸化チタンのアスペクト比が所定の値より大きい比較例3は、像流れが発生した。これは、トナーの表面から酸化チタンが離脱し、その結果、感光体表面の研磨効果が充分得られなかったことによると推測される。また、画像上には、トナーから離脱した酸化チタンによる白点が発生した。酸化チタンのモース硬度が所定の値より小さい比較例4は、感光体表面の研磨効果が充分得られず、像流れが発生した。
(遊離率)
次に、上記実施例1〜4および比較例1〜4で得られた二成分現像剤を用いて、酸化チタンがトナー表面から離脱しているか否か、またはトナー粒子中に埋没しているか否かの評価ついて、酸化チタンの遊離率およびトナー粒子の遊離率を測定した。これらの遊離率はパーティクルアナライザー[堀場製作所(株)製の「DP−1000」]により測定した。
次に、上記実施例1〜4および比較例1〜4で得られた二成分現像剤を用いて、酸化チタンがトナー表面から離脱しているか否か、またはトナー粒子中に埋没しているか否かの評価ついて、酸化チタンの遊離率およびトナー粒子の遊離率を測定した。これらの遊離率はパーティクルアナライザー[堀場製作所(株)製の「DP−1000」]により測定した。
具体的には、「酸化チタンの遊離率」は、酸化チタン由来のTi原子の発光回数と、結着樹脂の構成元素である炭素原子と同時に発光したTi原子の発光回数とをパーティクルアナライザーで測定し、得られた各値を上記式(II)に当てはめ、算出して得た。また、「トナー粒子の遊離率」は、上記で説明した通り、トナー粒子の等価粒径分布図を作成し、酸化チタンが付着していないトナー粒子の全トナー粒子に対する割合を算出して得た。
なお、遊離率の測定は、印刷が10万枚に達した時点で行った。また、評価基準は酸化チタンの遊離率とトナー粒子の遊離率が、ともに10%以下を問題なしとした。この結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例1〜4および比較例4では、酸化チタンの遊離率およびトナー粒子の遊離率がともに10%以下であった。これに対し、比較例1、2では、酸化チタンの遊離率は10%以下であったものの、トナー粒子の遊離率は10%を超え、それぞれ12,3%と14.7%であった。また、比較例3では、トナー粒子の遊離率は10%以下であったものの、酸化チタンの遊離率は13.6%であった。
(埋没度)
次に、上記実施例1〜4および比較例1〜4で得られた二成分現像剤を用いて、酸化チタンがトナー粒子中に埋没しているか否かについて、埋没度を測定した。具体的には、SEMおよびエネルギー分散型X線分析装置を上記で説明した条件で用いて、X1およびX2を測定し、該測定値を上記式(III)に当てはめて算出した。この結果を表2に示す。
表2から明らかなように、比較例1、2に対して、実施例1〜4および比較例3,4は、問題ない値であった。
次に、上記実施例1〜4および比較例1〜4で得られた二成分現像剤を用いて、酸化チタンがトナー粒子中に埋没しているか否かについて、埋没度を測定した。具体的には、SEMおよびエネルギー分散型X線分析装置を上記で説明した条件で用いて、X1およびX2を測定し、該測定値を上記式(III)に当てはめて算出した。この結果を表2に示す。
表2から明らかなように、比較例1、2に対して、実施例1〜4および比較例3,4は、問題ない値であった。
Claims (11)
- 少なくとも結着樹脂、ワックス、電荷制御剤および顔料を含有するトナー粒子に、外添剤として少なくとも酸化チタンが外添された電子写真用トナーであって、
前記酸化チタンは、アスペクト比が2〜5であり、かつモース硬度が6以上であることを特徴とする電子写真用トナー。 - 前記酸化チタンは、周期律表第V族の金属がドーピングされた複合酸化物である請求項1記載の電子写真用トナー。
- 前記周期律表第V族の金属が、バナジウムおよび/または二オブである請求項2記載の電子写真用トナー。
- 前記酸化チタンは、周期律表第V族の金属が酸化チタンの総量に対して1モル%以上10モル%未満ドーピングされた複合酸化物である請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 前記酸化チタンがアナターゼ型である請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 前記アスペクト比は長径と短径の比であり、前記長径が0.010〜0.150μm、短径が0.002〜0.050μmである請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 酸化チタンの遊離率およびトナー粒子の遊離率が、それぞれ10%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 酸化チタンのトナー表面への埋没度が50%以下である請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 前記酸化チタンが、トナー粒子100質量部に対して0.2〜5.0質量部の割合で外添された請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 少なくとも結着樹脂、ワックス、電荷制御剤および顔料を含有するトナー粒子に、外添剤として少なくとも酸化チタンが外添された電子写真用トナーであって、
チタン粉末をペルオキソチタン酸水溶液に調製し、この水溶液にドープ金属として周期律表第V族の金属を添加した後、80〜100℃で7〜15時間水熱してペルオキソ改質アナターゼゾルを得、このゾルを乾燥して、酸化チタンをアスペクト比が2〜5、かつモース硬度が6以上のアナターゼ型にした電子写真用トナー。 - アモルファスシリコン感光体を備えた画像形成装置に使用する請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真用トナー。
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