JP4616137B2 - 磁性トナーとそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

磁性トナーとそれを用いた画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁性トナーと、それを用いる画像形成方法に関するものである。
電子写真法、静電記録法、静電印刷法等を利用したレーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、およびこれらの複合機などの画像形成装置においては、潜像保持体の表面を、帯電手段によって一様に帯電させ、次いで、半導体レーザー、発光ダイオード等の露光手段によって露光して、上記表面に、静電潜像を形成した後、この静電潜像を、現像手段によって現像してトナー像に顕像化する。次に、このトナー像を、転写手段によって、紙などの被印刷物の表面に直接に転写するか、もしくは、中間転写体の表面に転写し、次いで、紙などの被印刷物の表面に再転写した後、定着手段によって、上記表面に定着させることで、一連の画像形成の工程が完了する。
静電潜像をトナー像に現像するための現像方法としては、大別して、乾式、湿式の2つがあるが、現在は、乾式の現像方法が広く普及している。また、乾式の現像方法は、使用するトナーの種類を基準として分類すると、バインダ樹脂からなるトナー粒子中に磁性粉を内包した磁性トナーを用いる現像方法(磁性1成分現像方法、磁性2成分現像方法等)と、磁性粉を内包しない非磁性トナーを用いる現像方法(非磁性1成分現像方法、非磁性2成分現像方法等)とに別けられる。
このうち、磁性1成分現像方法においては、磁性トナーを、固定磁石を組み込んだ現像剤担持体上に薄層化しながら供給し、次いで、この薄層化した磁性トナーにより、潜像保持体上の静電潜像を、トナー像に現像することが行われる。また、磁性1成分現像方法としては、導電性を有する磁性トナーを用いる現像方法と、絶縁性の磁性トナーを用いる、磁性1成分ジャンピング現像方法と呼ばれる現像方法とがあり、現在は、後者の磁性1成分ジャンピング現像方法が、広く普及している。
この磁性1成分ジャンピング現像方法においては、まず、磁性トナーを、固定磁石を内蔵して回転する現像剤担持体と、当該現像剤担持体に近接させて配設した磁性ブレードとの隙間を通過させることによって摩擦帯電させながら、現像剤担持体の表面に供給して、内蔵した固定磁石の磁力によって保持させることで、現像剤担持体の表面に、磁性トナーの薄層を形成する。
次いで、形成した薄層と接触しないように間隙を保持して対峙させた、静電潜像を保持する潜像保持体と、現像剤担持体との間に、直流のバイアス電圧、または直流に交流を重畳したバイアス電圧を印加することによって、帯電した磁性トナーを、薄層から、潜像保持体の表面に飛翔させて、静電潜像を、トナー像に顕像化する。
この磁性1成分ジャンピング現像方法では、絶縁性の磁性トナーを用いているため、導電性のトナーを用いた場合には不可能であった、形成したトナー像を、電界を利用して、紙等の被印刷物の表面に転写することが可能となる。また、潜像保持体が、電気的リークによって破壊されるのを防止することもできる。
また、絶縁性の磁性トナーは、
帯電させやすいこと、
磁力によって磁性トナーを保持した状態で、現像剤担持体と十分に摩擦できること、
磁力によって磁性トナーを保持しつつ、静電潜像と非接触の状態で、静電潜像を現像できること
から、形成画像の非印字部分や余白部分にトナーが付着する地カブリの発生を防止して、画質の優れた画像を形成できるという利点もある。
近年、画像形成装置においては、画像形成速度の高速化と、装置の小型化という2つの流れが急速に進行しつつある。このうち、画像形成速度の高速化が要求される、主にビジネス用途に適合した高速機においては、印刷速度の高速化に伴って、形成画像の解像度や画質が低下する傾向があり、それを防止するために、磁性トナーの帯電量が、従来に比べて速やかに立ち上がりやすいことと、その帯電量が、従来に比べて安定していることとが求められる。
一方、小型化が求められる、スモールオフィスや一般家庭を対象とした中低速機においては、電源の投入と遮断とが頻繁に繰り返されることから、電源投入後のウォーミングアップ時間をできるだけ短くするために、磁性トナーの初期帯電が良好であることが必要とされる。また、画像形成装置には、用途による画像形成速度の違い等に関係なく、形成画像のさらなる高解像度化、高画質化や、磁性トナーの耐久性の向上、環境変動に対する安定性の向上等も、継続的に求められる。
そして、これらの要求を満足して、良好な画像特性(画像濃度が高く、地カブリがなく、優れた画質を有する)を、長期に亘って、様々な温度、湿度環境下において、安定して維持するため、磁性トナーには、
帯電量が速やかに立ち上がりやすいこと、
高温、高湿環境などの、帯電しにくい環境下や、逆に低温、低湿環境などの、帯電し過ぎる環境下においても、帯電量不足やチャージアップ(過帯電)を生じることなしに、常に適度な帯電量を維持できると共に、その適度な帯電量を、長期に亘って維持できること、
が求められる。
しかし、現在、一般的に使用されている磁性トナーでは、先に述べた、画像形成速度の高速化や、装置の小型化の流れの中で、これらの要求を十分に満足し切れなくなりつつあるのが現状である。その主な原因は、発明者の検討によると、磁性トナーに内包される磁性粉にある。
磁性粉としては、現在、6個の四角形で囲まれた凸多面体である六面体(立方体、直方体)状のものや、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体状のもの等の、多面体状の磁性粉と、球状の磁性粉とが一般的に用いられる。
ところが、多面体状の磁性粉を用いた磁性トナーは、磁性粉の、尖った頂点や、隣り合う面間の尖った稜線が、トナー粒子の表面に露出して、そこから電荷が放出されやすいため、電荷のリークが起こりやすい。また、多面体状の磁性粉は、流動性が低く、バインダ樹脂に対する分散性が悪いため、当該バインダ樹脂中に、均一に分散させるのが難しい。そのため、個々のトナー粒子における、磁性粉の分散状態や含有量に、ばらつきを生じやすいことから、個々の磁性トナーの、帯電のしやすさや帯電量などにも、ばらつきを生じやすい。
したがって、多面体状の磁性粉を用いた磁性トナーは、帯電量が速やかに立ち上がりにくい上、帯電量自体も低くなってしまい、結果として、画像濃度の低下や地カブリの発生といった画像欠陥を生じやすいという問題がある。また、上記磁性トナーは、画像形成時の温度、湿度環境によって、帯電のしやすさや帯電量が変動しやすく、特に、高温、高湿環境などの、帯電しにくい環境下において、上記の画像欠陥を、さらに生じやすくなるという問題もある。
一方、球状の磁性粉は、尖った頂点や稜線等を有さないため、球状の磁性粉を用いた磁性トナーは、トナー粒子の表面に露出した磁性粉から、電荷が放出されにくく、電荷のリークは起こりにいくい。また、球状の磁性粉は、多面体状のものに比べて、流動性に優れると共に、バインダ樹脂に対する分散性にも優れるため、バインダ樹脂中に均一に分散させるのが容易であり、個々の磁性トナーにおける、磁性粉の分散状態にばらつきが生じるのを防止して、その帯電のしやすさや帯電量などを、均一化することもできる。
しかし、球状の磁性粉を用いた磁性トナーは、逆に、電荷がたまりやす過ぎるため、例えば、現像剤担持体と磁性ブレードとの隙間で繰り返し摩擦された際などに、磁性トナーが、所定の帯電量以上に過帯電する、いわゆるチャージアップを生じやすく、チャージアップを生じると、却って、画像濃度の低下に代表される画像欠陥を生じやすいという問題がある。
そこで、球状の磁性粉と、多面体状の磁性粉の、両方の長所を活かすために、様々な粒子形状を有する磁性粉が検討されている。
例えば、特許文献1〜3には、六面体や八面体などの多面体の頂点や稜線を、多面体を構成する各面よりも小さな平面によって、いわゆる面取りをした粒子形状を有する磁性粉が記載されている。しかし、これらの特許文献に記載された磁性粉においても、依然として、多面体を構成する面と、面取りした小さな平面との間には、尖った稜線が存在し、この稜線から電荷が放出されやすいため、磁性トナーから電荷がリークしやすく、画像濃度の低下や、地カブリの発生といった画像欠陥を生じるおそれがある。
特開平11−153882号公報(請求項1、第0010欄、第0012欄、第0014欄、第0017欄〜第0018欄、図6、図7) 特開平2000−162817号公報(請求項1、第0014欄、第0016欄、第0021欄〜第0022欄、図6、図7) 特開平2000−242029号公報(請求項1、第0014欄、第0017欄、第0024欄〜第0025欄、図6、図7)
本発明の目的は、帯電量を速やかに立ち上がりやすくすると共に、帯電量を向上することと、チャージアップを生じにくくすることの、相反する2つの特性に共に優れており、幅広い環境下で、常に良好な画像を形成することができる磁性トナーと、それを用いた画像形成方法とを提供することにある。
上記課題を解決するため、発明者は、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体を基本とし、かつ八面体の各頂点および稜線が曲面状である粒子形状を有する磁性粉を使用することを検討した。
上記の粒子形状を有する磁性粉は、頂点と稜線がいずれも曲面状とされ、電荷を放出しやすい尖った頂点や稜線を有しないため、特許文献1〜3に記載された、多面体の頂点や稜線を、小さな平面で面取りした磁性粉に比べて、磁性トナーに内包させた際に、電荷のリークを起こしにくくすることができる。
また、この磁性粉は、上記のように、多面体の頂点や稜線をいずれも曲面状としているため、流動性、およびバインダ樹脂に対する分散性に優れており、バインダ樹脂中に均一に分散させるのが容易であって、個々のトナー粒子における、磁性粉の分散状態にばらつきが生じるのを防止して、個々の磁性トナーの、帯電のしやすさや帯電量などを、均一化することができる。
しかも、この磁性粉は、基本形状が八面体であるため、当該八面体を構成する、頂点または稜線を挟んで隣り合う面のいずれか、もしくは頂点を挟んで隣り合う稜線のいずれかは、必ず、90°未満の鋭角で交わっており、この、面または稜線が鋭角で交わった頂点や、面が鋭角で交わった稜線は、いずれも曲面状とされているものの、電荷が集中しやすい傾向がある。そのため、上記頂点や稜線から、電荷を、適度な割合で放出させることができ、磁性トナーに内包させた際に、チャージアップを起こりにくくすることができる。
ただし、上記の粒子形状であっても、曲面状とした頂点および稜線の曲率半径が大きすぎる場合には、上記頂点や稜線から、電荷を、適度な割合で放出させて、磁性トナーのチャージアップを防止する効果が得られない。そこで、発明者は、透過型電子顕微鏡等を用いて撮影した磁性粉の投影像から、曲面状とした頂点および稜線の曲率半径の範囲を規定することを検討した。
その結果、八面体の各頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する磁性粉を用いれば、電荷が集中しやすい頂点や稜線から、電荷を、適度な割合で放出させることができ、頂点や稜線を曲面状としない磁性粉を用いる場合に比べて、電荷のリークを起こりにくくしながら、なおかつ、磁性トナーのチャージアップを防止できることを見出した。
すなわち、曲面状とした頂点や稜線の曲率半径が大きすぎて、隣り合う曲面が繋がってしまい、投影像の外周部に直線とみなせる部分を有しない、球状に近い磁性粉は、球状のものと同様に、磁性トナーのチャージアップを防止する効果が得られない。
これに対し、八面体の各頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する磁性粉は、隣り合う面が交差する稜線や頂点が曲面で構成されているものの、その曲面の曲率半径が、同等の粒径を有する球状の磁性粉の曲率半径に比べて小さいため、電荷が集中しやすい頂点や稜線から、電荷を、適度な割合で放出させることができる。
そのため、当該磁性粉を磁性トナーに内包させた際に、頂点や稜線を曲面状としない磁性粉を用いる場合に比べて電荷のリークを起こりにくくしながら、なおかつ、磁性トナーのチャージアップを防止することが可能となる。
また、発明者は、磁性粉の大きさについても検討した。その結果、
(1) 平均粒子径が0.01μm未満である磁性粉は、トナー粒子の表面に露出する割合が増加し、露出した磁性粉から電荷が放出されて、磁性トナーの帯電不足を招く結果、画像濃度が低下するという問題があり、
(2) 一方、平均粒子径が0.50μmを超える磁性粉は、逆に、トナー粒子の表面に露出する割合が減少し、露出した磁性粉から放出される電荷が少なくなって、磁性トナーのチャージアップを招く結果、特に画像形成を繰り返した際に、画像濃度が低下するという問題があるため、
磁性粉の平均粒子径は、0.01〜0.50μmである必要があることを見出した。
したがって、請求項1記載の発明は、バインダ樹脂で形成されたトナー粒子中に、平均粒径が0.01〜0.5μmで、かつ、その粒子形状が、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体を基本とし、上記八面体の各頂点および稜線が曲面状であって電荷の放出点となる尖った頂点や稜線を有さず、かつその投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する磁性粉が内包されたことを特徴とする磁性トナーである。
また、上記(1)(2)の問題が生じるのを防止する効果を、さらに向上することを考慮すると、磁性粉の平均粒子径は、上記の範囲内でも、特に、0.05〜0.35μmであるのが好ましい。したがって、請求項2記載の発明は、磁性粉の平均粒径が0.05〜0.35μmである請求項1記載の磁性トナーである。
また、磁性粉としては、磁性トナーに良好な磁気特性を付与することを考慮すると、Feに対して0.1〜10原子%の、Mn、Zn、Ni、Cu、Al、Ti、およびSiから選ばれる少なくとも1種の元素を含む、マグネタイト(四三酸化鉄)からなるものを用いることが好ましい。また、同様の理由で、磁性粉の、トナー粒子中に占める割合は、35〜60質量%であるのが好ましい。
したがって、請求項3記載の発明は、磁性粉が、Feに対して0.1〜10原子%の、Mn、Zn、Ni、Cu、Al、Ti、およびSiから選ばれた少なくとも1種の元素を含むマグネタイトによって形成されている請求項1記載の磁性トナーである。
また、請求項4記載の発明は、磁性粉の含有率が35〜65質量%である請求項1記載の磁性トナーである。
本発明の磁性トナーは、前述した磁性1成分ジャンピング現像方法を利用した画像形成方法に使用するのが好ましい。したがって、請求項5記載の発明は、固定磁石を内蔵して回転する現像剤担持体の表面に、磁性トナーの薄層を形成する工程と、上記現像剤担持体と、静電潜像を保持する潜像保持体とを、上記薄層と、潜像保持体の表面とが接触しないように間隔を保持して対峙させた状態で、薄層から、磁性トナーを潜像保持体の表面に飛翔させて、静電潜像をトナー像に顕像化する工程とを含む画像形成方法に使用される請求項1記載の磁性トナーである。
また、請求項6記載の発明は、固定磁石を内蔵して回転する現像剤担持体の表面に、請求項1記載の磁性トナーの薄層を形成する工程と、上記現像剤担持体と、静電潜像を保持する潜像保持体とを、上記薄層と、潜像保持体の表面とが接触しないように間隔を保持して対峙させた状態で、薄層から、磁性トナーを潜像保持体の表面に飛翔させて、静電潜像をトナー像に顕像化する工程とを含むことを特徴とする画像形成方法である。
《磁性トナー》
〈磁性粉〉
磁性粉1としては、図1に二点鎖線および破線で示す、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体2を基本とし、かつ、同図中に実線で示すように、八面体2の各頂点および稜線が曲面状であると共に、例えば、図2に示す、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて撮影した写真(投影像)の外周部に、この投影像を簡略化した図3にも見るように、直線とみなせる部分3を有する粒子形状の磁性粉が用いられる。
上記磁性粉1は、電荷の放出点となる尖った頂点や稜線を有しないため、先に説明したように、磁性トナーに内包させた際に、電荷のリークを起こしにくい上、流動性、およびバインダ樹脂に対する分散性に優れており、バインダ樹脂中に均一に分散させるのが容易であって、個々のトナー粒子における磁性粉の分散状態にばらつきが生じるのを防止して、個々の磁性トナーの、帯電のしやすさや帯電量などを、均一化することができる。
また、上記磁性粉1は、基本形状が八面体であるため、当該八面体を構成する、頂点又は稜線を挟んで隣り合う面のいずれか、もしくは頂点を挟んで隣り合う稜線のいずれかが、必ず90°未満の鋭角で交わっており、この、隣り合う面または稜線が鋭角で交わった頂点や、隣り合う面が鋭角で交わった稜線に、電荷が集中しやすい。その上、上記磁性粉1は、投影像の外周部に直線とみなせる部分3を有し、八面体の隣り合う面が交差する稜線や頂点が曲面で構成されているものの、その曲面の極率半径が、同等の粒径を有する球状の磁性粉の極率半径に比べて小さい。そのため、上記磁性粉1によれば、電荷が集中しやすい頂点や稜線から、電荷を、適度な割合で放出させることができる。
上記磁性粉1は、平均粒子径が0.01〜0.50μmである必要がある。平均粒子径が0.01μm未満である磁性粉は、トナー粒子の表面に露出する割合が増加し、露出した磁性粉から電荷が放出されて、磁性トナーの帯電不足を招く結果、画像濃度が低下するという問題がある。
一方、平均粒子径が0.50μmを超える磁性粉は、逆に、トナー粒子の表面に露出する割合が減少し、露出した磁性粉から放出される電荷が少なくなって、磁性トナーのチャージアップを招く結果、特に画像形成を繰り返した際に、画像濃度が低下するという問題がある。
なお、これらの問題が生じるのを防止する効果を、さらに向上することを考慮すると、磁性粉の平均粒子径は、上記の範囲内でも、特に、0.05〜0.35μmであるのが好ましく、0.15〜0.30μmであるのがさらに好ましい。
磁性粉の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡によって撮影した写真(倍率1万倍)を4倍に拡大して、写真に写された300個の磁性粉について測定したマーチン径(円相当径)の平均値である。
磁性粉としては、
鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性を示す金属やその合金、または、これらの元素を含む化合物、
強磁性元素を含まないが、適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、および
二酸化クロム
等からなるものを挙げることができ、中でもフェライト、マグネタイトからなる磁性粉が好ましい。特に、磁性トナーに、良好な磁気特性を付与することを考慮すると、磁性粉としては、Feに対して0.1〜10原子%の、Mn、Zn、Ni、Cu、Al、Ti、およびSiから選ばれる少なくとも1種の元素を含むマグネタイトによって形成した磁性粉を用いるのが好ましい。
上記マグネタイトからなり、八面体の各頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有し、かつ、平均粒子径が、先に説明した範囲内に規定される磁性粉は、例えば、下記の方法によって製造することができる。
すなわち、1.5mol/リットルのFe2+を含む硫酸第一鉄塩水溶液26.7リットルを、あらかじめ反応容器中に入れておいた、3.4Nの水酸化ナトリウム水溶液25.9リットル(Fe2+に対し1.10当量に相当する)に加え、90℃に加熱して、pHを10.5に維持しながら、水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩懸濁液を生成する。
次に、上記懸濁液の液温を90℃に維持しながら、毎分100リットルの空気を80分間に亘って吹き込んで、第一鉄塩の酸化反応率が60%になるまで酸化反応させる。
次に、上懸濁液に、そのpHが6.5になるように、硫酸水溶液を添加した後、液温を90℃に維持しながら、毎分100リットルの空気を50分間に亘って吹き込んで、懸濁液中にマグネタイト粒子を生成させる。
そして、上記マグネタイト粒子を含む懸濁液に、そのpHが10.5になるように、水酸化ナトリウム水溶液を添加した後、液温を90℃に維持しながら、毎分100リットルの空気を20分間に亘って吹き込んだ後、生成したマグネタイト粒子を水洗し、濾別し、乾燥して、マグネタイト粒子の凝集物を粉砕する。そうすると、粒子形状が、八面体を基本とし、その頂点および稜線が曲面状であるマグネタイト粒子からなる磁性粉が合成される。
また、上記の合成反応を行う際に、水酸化アルカリ水溶液、もしくは水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩反応水溶液に、水可溶性ケイ酸塩等の、水溶性の各種金属化合物を、各々の金属に換算して、Feに対して0.1〜10原子%の割合で加えると共に、第1段階の反応において、酸素含有ガスの通気を開始する際の、液のpHを8.0〜9.5に調整すると、合成される磁性粉は、Feに対して、上記所定の割合で、Mn、Zn、Ni、Cu、Al、Ti、およびSiから選ばれる少なくとも1種の元素を含むマグネタイトからなるものとなる。
磁性粉の、トナー粒子中に占める割合は、35〜60質量%であるのが好ましく、35〜55質量%であるのがさらに好ましい。磁性粉の割合が、この範囲未満では、現像剤担持体に内蔵した固定磁石の磁力によって、当該現像剤担持体の表面に、磁性トナーの薄層を保持させる効果が低下するため、特に画像形成を繰り返した際に、地カブリが発生するおそれがある。また、磁性粉の割合が、この範囲を超える場合には、逆に、現像剤担持体の表面に、磁性トナーの薄層を保持させる効果が強くなり過ぎるため、画像濃度が低下するおそれがある。また、相対的にバインダ樹脂の割合が低下するため、磁性トナーの、紙等の被印刷物の表面への定着性が低下したり、耐久性が低下したりするおそれもある。
磁性粉は、バインダ樹脂中に良好に分散させることを考慮すると、チタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、各種脂肪酸などの表面処理剤で、表面処理を施してもよい。このうち、シラン系カップリング剤が好ましく、その具体的化合物としては、例えばヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン等が挙げられる。また、1分子中に2〜12個のシロキサン単位を有し、かつ末端に位置するシロキサン単位に各々1個ずつ、ケイ素原子に結合した水酸基を含むジメチルポリシロキサン等を用いることもできる。
〈バインダ樹脂〉
バインダ樹脂としては、例えばポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等が挙げられ、特にポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。
ポリスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体の他、スチレンと他の単量体との2元もしくは3元以上の共重合体が挙げられる。スチレンと共重合させることができる他の単量体としては、例えばp−クロルスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフイン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドテシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどの他のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類などの1種または2種以上が挙げられる。
また、ポリエステル系樹脂としては、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合または共縮重合させて得られる種々のポリエステル系樹脂が挙げられる。このうち、アルコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5ーペンタンジオール、1,4−シクロへキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6−へキサンジオール、1,8−オクタンジオール等のジオール類;
ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;
ソルビトール、1,2,3,6−へキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエルスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、ジグリセリン、2−メチルプロバントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上のアルコール類などが挙げられる。
また、カルボン酸成分としては、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、アルキルコハク酸(n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸等)、アルケニルコハク酸(n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等)など2価のカルボン酸類;
1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−へキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロへキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール3量体酸などの3価以上のカルボン酸類などが挙げられる。
本発明の磁性トナーを、通常の画像形成装置において用いる熱定着手段によって、紙等の被印刷物の表面に良好に定着させることを考慮すると、ポリエステル系樹脂の軟化点は、80〜150℃であるのが好ましく、90〜140℃であるのがさらに好ましい。
バインダ樹脂は、その一部が架橋構造を有しているのが好ましい。一部に架橋構造を導入することによって、定着性を低下させることなく、磁性トナーの保存安定性や形態保持性、耐久性等を向上させることができる。バインダ樹脂の一部を架橋構造とするためには、架橋剤を添加して樹脂を架橋させたり、熱硬化性樹脂を配合したりすればよい。
熱硬化性樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂や、シアネート樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
バインダ樹脂のガラス転移温度Tgは、50〜65℃であるのが好ましく、50〜60℃であるのが、さらに好ましい。ガラス転移温度がこの範囲未満では、トナー粒子同士が融着しやすくなって、保存安定性が低下するおそれがある。また、樹脂の強度が低いため、潜像保持体の表面に付着して離れなくなる、いわゆるトナー付着を生じるおそれもある。また、逆にガラス転移温度がこの範囲を超える場合には、紙等の被印刷物の表面への定着性が低下するおそれがある。
なお、バインダ樹脂のガラス転移温度は、例えば示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した吸熱曲線における、比熱の変化点から求めることができる。具体的には、例えば、セイコーインスツルメンツ社製の示差走査熱量計DSC−6200を用い、測定試料10mgをアルミパン中に入れると共に、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲25〜200℃、昇温速度10℃/分で、常温、常圧下で測定を行って、得られた吸熱曲線における比熱の変化点から、バインダ樹脂のガラス転移温度を求めることができる。
本発明の磁性トナーには、例えば着色剤、電荷制御剤、ワックス等の、従来公知の種々の添加剤を含有させることもできる。このうち着色剤としては、カーボンブラック等の顔料や、アシッドバイオレット等の染料が挙げられる。着色剤の、トナー粒子中に占める割合は、0.5〜5質量%程度であるのが好ましい。
〈電荷制御剤〉
電荷制御剤は、磁性トナーの帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)を向上させると共に、耐久性や安定性を向上させるために配合される。電荷制御剤には、正帯電性のものと負帯電性のものとがあり、磁性トナーの帯電極性に合わせて、そのいずれか一方が配合される。
正帯電性の電荷制御剤としては、例えばピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物類;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEW、アジンディープブラック3RL等の亜ジン化合物からなる直接染料類;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体等のニグロシン化合物類;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等のニグロシン化合物からなる酸性染料類;ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルへキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類などの1種または2種以上が挙げられる。特にニグロシン化合物は、より迅速な帯電の立ち上がり特性が得られることから、正帯電性トナーとして好適である。
また、正帯電性の電荷制御剤としては、4級アンモニウム塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボン酸塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボキシル基を有する樹脂またはオリゴマー等を使用することもできる。具体的には、4級アンモニウム塩を有するポリスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するポリスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
特に、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩あるいはカルボキシル基を官能基として有するスチレン−アクリル系樹脂(スチレン−アクリル系共重合体)は、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる点で好適である。また、スチレンと共にスチレン−アクリル系樹脂を構成するアクリル系単量体としてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類が挙げられる。
さらに、4級アンモニウム塩化合物としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートから第4級化の工程を経て誘導される単位が用いられる。誘導されるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジ(低級アルキル)アミノエチル(メタ)アクリレート類;ジメチルメタクリルアミド;ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが好適である。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有重合性モノマーを重合時に併用することもできる。
負帯電性の電荷制御剤としては、例えば、有機金属錯体やキレート化合物が有効であり、中でもアセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体または塩が好ましく、特にサリチル酸系金属錯体または塩が好ましい。このうち、アセチルアセトン金属錯体としては、例えばアルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート等が挙げられる。またサリチル酸系金属錯体または塩としては、例えば3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム等が挙げられる。
電荷制御剤の、トナー粒子中に占める割合は、0.5〜15質量%であるのが好ましく、0.5〜8.0質量%であるのがさらに好ましく、0.5〜7.0質量%であるのが特に好ましい。電荷制御剤の割合がこの範囲未満では、磁性トナーに、安定した帯電特性を付与することが困難となり、画像濃度が低くなったり、耐久性が低下したりするおそれがある。逆に、上記の範囲を超える場合には、磁性トナーの耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良を生じやすい。また、バインダ樹脂に対する分散不良が起こりやすいことから、地カブリの原因となったり、分散されずに凝集した電荷制御剤が感光体を汚染したりするおそれもある。
〈ワックス〉
ワックスは、磁性トナーの、紙等の被印刷物の表面への定着性を向上させたり、定着時の磁性トナーが、画像形成装置の定着ローラ等に付着するオフセットを防止して、耐オフセット性を向上させたり、定着ローラ等に付着した磁性トナーが、被印刷物の表面に再付着して画像を汚す、像スミアリングを防止したりするために配合される。
ワックスとしては、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のオレフイン系ワックス類;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の植物系ワックス類;モンタンワックス等の鉱物系ワックス類;石炭及び天然ガス等からフィッシャー・トロプシュ法により作製されるフィッシャー・トロプシュワックス類;パラフインワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス類;エステル系ワックス類;テフロン(登録商標)系ワックス類等の中から1種または2種以上を選択して使用することができる。
ワックスの、トナー粒子中に占める割合は、1〜5質量%であるのが好ましい。ワックスの割合がこの範囲未満では、磁性トナーの対オフセット性を向上させたり、像スミアリングを防止したりする効果が不十分になるおそれがあり、逆にこの範囲を超える場合には、トナー同士が融着しやすくなって、保存安定性が低下するおそれがある。
〈磁性トナーの製造〉
本発明の磁性トナーは、上記の各成分を、ヘンシェルミキサー等のかく拌混合機を使用して混合し、次いで押出機等の混練機を用いて混練したのち、冷却し、さらに粉砕すると共に、必要に応じて分級することで製造される。また上記の各成分を湿式混合してもよい。かくして製造される本発明の磁性トナーは、体積基準の中心粒径が、5〜10μmであるのが好ましい。
また、製造された磁性トナーは、流動性や保存安定性、潜像保持体の表面からのクリーニング除去しやすさを示すクリーニング性等を向上させるため、その表面を、必要に応じて、例えばコロイダルシリカ、疎水性シリカ、アルミナ、酸化チタン等の微粒子(外添剤、通常は、平均粒径が1.0μm以下)によって表面処理してもよい。表面処理は、磁性トナーと外添剤とを乾式混合するのが好ましく、特に外添剤がトナー粒子の表面に埋め込まれるのを防止するために、ヘンシェルミキサーやナウターミキサー等を使用して混合するのが好ましい。外添剤の添加量は、トナー粒子に対して0.2〜10.0質量%であるのが好ましい。また外添剤は、必要に応じて、アミノシラン、シリコーンオイル、シラン系カップリング剤(ヘキサメチルジシラザン等)、チタン系カップリング剤等によって表面処理しても良い。
本発明の磁性トナーは、特に、固定磁石を内蔵して回転する現像剤担持体の表面に、磁性トナーの薄層を形成する工程と、上記現像剤担持体と、静電潜像を保持する潜像保持体とを、上記薄層と、潜像保持体の表面とが接触しないように間隔を保持して対峙させた状態で、薄層から、磁性トナーを潜像保持体の表面に飛翔させて、静電潜像をトナー像に顕像化する工程とを含む画像形成方法、いわゆる磁性1成分ジャンピング現像方法に使用するのが好ましい。
《画像形成方法》
本発明の画像形成方法は、固定磁石を内蔵して回転する現像剤担持体の表面に、上記本発明の磁性トナーの薄層を形成する工程と、上記現像剤担持体と、静電潜像を保持する潜像保持体とを、上記薄層と、潜像保持体の表面とが接触しないように間隔を保持して対峙させた状態で、薄層から、磁性トナーを潜像保持体の表面に飛翔させて、静電潜像をトナー像に顕像化する工程とを含むことを特徴としている。
本発明の画像形成方法は、従来同様に実施することができる。例えば、潜像保持体としては、有機または無機の、従来公知の種々の感光体が使用できる。
無機の感光体としては、例えば、導電性基体上に、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム等の無機光導電材料の薄膜からなる感光層を形成したもの等が挙げられる。
また、有機の感光体としては、導電性基体上に、単層型または積層型の、有機の感光層を形成したものが挙げられ、単層型の感光層としては、電荷発生剤、電荷輸送剤等をバインダ樹脂中に分散させたものが挙げられる。また、積層型の感光層としては、電荷発生剤からなる電荷発生層と、電荷輸送剤をバインダ樹脂中に分散させた電荷輸送層とをこの順に、または逆の順に積層したもの等が挙げられる。
現像剤担持体としては、従来公知の種々の材料からなるものを用いることができ、特に、アルミニウム製またはステンレス鋼製の現像剤担持体を用いるのが好ましい。
潜像保持体としての感光体の表面に、静電潜像を保持させるためには、従来同様に、スコロトロン帯電器等を用いて感光体の表面を一様に帯電させた後、半導体レーザー、発光ダイオード等の露光手段によって露光して、露光部分の電荷を除去すればよい。
また、感光体の表面に形成されたトナー像を、被印刷物の表面に転写させるためには、例えばコロナ帯電器、鋸歯状電極、転写ローラ等が用いられ、特に転写ローラが好ましい。
転写ローラとしては、例えば発泡EPDM等の軟質の発泡体からなるローラが好ましい。転写ローラとして発泡体のローラを使用した場合には、紙詰まり等が発生した際に、転写ローラに付着したトナーが、発泡体の気泡中に入り込むことによって、運転再開時における、被印刷物の裏汚れ等を防止することができる。したがって、転写ローラのクリーニングが不要になって、イニシャルコストおよびランニングコストを低減することができる。
また、軟質の発泡体からなる転写ローラの硬さは、アスカーC硬さで表して30〜40°であるのが好ましい。転写ローラが、この範囲より軟らかい場合には、転写不良が発生するおそれがあり、逆に、この範囲より硬い場合には、感光体との間のニップが小さくなって、被印刷物の搬送力が低下するおそれがある。
転写ローラは、感光体の表面に接触させた状態で、感光体の表面に対して、3〜5%の線速差をつけて回転させるのが好ましい。線速差が3%未満では、トナー像の転写性が低下して、文字の中抜け等を生じるおそれがあり、5%を超える場合には、感光体表面に対するスリップ量が大きくなって、転写像のずれ、いわゆるジッタが大きくなるおそれがある。
感光体の表面に残留した磁性トナーをクリーニング除去するためのクリーニング手段としては、感光体の表面に圧接させた弾性ブレードを用いるのが好ましい。また、弾性ブレードとしては、ゴムや軟質の樹脂等からなる、従来公知の種々の弾性ブレードを採用することができる。具体的には、例えばシリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ウレタン樹脂等からなる弾性ブレードが挙げられる。弾性ブレードは、トナーを良好にクリーニング除去すると共に、感光体の表面に圧接痕等を生じないことを考慮すると、10〜50g/cmの線圧で圧接させるのが好ましい。
《磁性粉の形状検討I》
(平均粒子径の測定)
透過型電子顕微鏡によって撮影した写真(倍率1万倍)を4倍に拡大して、写真に写された300個の磁性粉についてマーチン径(円相当径)を測定し、その平均値を求めて、磁性粉の平均粒子径とした。
〈実施例1〉
(バインダ樹脂の合成)
窒素雰囲気中で、スチレン845質量部、アクリル酸n−ブチル155質量部、およびジ−tert−ブチルペルオキシド8.5質量部を、キシレン125質量部に溶解して溶液を調製した。
温度計、かく拌機、窒素導入管、および還流管を接続した反応容器中にキシレン300質量部を入れ、窒素導入管から継続的に窒素を導入しながら、反応容器を加熱して液温を170℃に維持しつつ、上記反応容器中に、先に調製した溶液を、3時間かけて滴下し、滴下終了後、170℃でさらに1時間かく拌を続けたのち、溶剤を除去して、バインダ樹脂としてのスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体を製造した。
(磁性トナーの製造)
磁性粉としては、Feに対して1.1原子%のZnを含むマグネタイトからなり、粒子形状が、図1〜図3に示すように、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体を基本とし、八面体の各頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する、平均粒子径が0.22μmである磁性粉を用いた。
先に合成したバインダ樹脂49質量部と、上記の磁性粉45質量部と、離型剤としてのフィッシャー・トロプシュワックス〔サゾール社製のサゾールワックスH1〕3質量部と、正電荷制御剤としての4級アンモニウム塩〔オリエント化学(株)製のボントロンP−51〕3質量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、2軸押出機を用いて混練し、冷却した後、ハンマーミルを用いて粗粉砕した。次いで、機械式粉砕機を用いて微粉砕した後、気流式分級機を用いて分級して、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
〈比較例1〉
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体状で、かつその頂点および稜線が曲面状とされていない、平均粒子径が0.22μmである磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
〈比較例2〉
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体を基本とし、八面体の各頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有しない、平均粒子径が0.24μmである磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
〈比較例3〉
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体状で、かつその頂点および稜線が、特許文献1の図6(b)に見るように、八面体を構成する各面よりも小さな平面によって面取りされた、平均粒子径が0.20μmである磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
〈比較例4〉
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が立方体状で、かつその頂点および稜線が曲面状とされていない、平均粒子径が0.20μmである磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
〈比較例5〉
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が立方体状で、かつその頂点および稜線が、特許文献1の図6(f)に見るように、立方体を構成する各面よりも小さな平面によって面取りされた、平均粒子径が0.20μmである磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
〈比較例6〉
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が球状で、かつその平均粒子径が0.22μmである磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
上記各実施例、比較例の磁性トナー100質量部に、シリカ〔日本アエロジル工業(株)製のRA−200H〕1.0質量部と、酸化チタン〔チタン工業(株)製のEC−100〕2.0質量部とを加え、ヘンシェルミキサーを用いて混合した後、潜像保持体として有機感光体を搭載した、磁性1成分ジャンピング現像方式の複合機〔レーザープリンタ、静電式複写機、および普通紙ファクシミリ装置の機能を兼ね備えた、京セラミタ(株)製のKM−1650、感光体の線速:100mm/s、現像剤担持体の線速:160mm/s〕に使用して実際に画像形成を行った際の、下記の各特性を評価した。なお、現像剤担持体としては、径が20φ、表面の十点平均粗さRzが4.0μmである、SUS305製のものを用いた。
(A) 常温、常湿試験:
上記複合機を、温度20℃、相対湿度65%RHの常温、常湿環境中に8時間、静置して状態を安定させた後、同じ常温、常湿環境中で下記の各特性を評価した。
(1) 画像濃度:
上記複合機を用いて、印字率5%の標準パターンを画像形成した1枚目の画像(初期画像)の画像濃度と、ISO4%原稿を10万枚、連続画像形成した後、印字率5%の標準パターンを画像形成した画像(耐久後画像)の画像濃度とを、それぞれマクベス反射濃度計〔グレタグ・マクベス社製のRD914〕を用いて測定した。そして、画像濃度が1.30以上のものを合格、1.30未満のものを不合格として評価した。
(2) 地カブリ:
上記(1)で形成した初期画像および耐久後画像の余白部分を観察して、地カブリの有無を、下記の基準で評価した。
○:地カブリは全く見られなかった。
△:地カブリが僅かに見られた。
×:強い地カブリが見られた。
(3) トナー帯電量:
初期画像形成時と、連続画像形成後に、それぞれ現像剤担持体の表面に形成されたトナーの薄層におけるトナーの帯電量μC/gを、帯電量測定装置〔トレック(TREK)社製のQ/M meter 210HS〕を用いて測定した。
(4) 層むら(トナーの薄層の状態)
初期画像形成時と、連続画像形成後に、それぞれ現像剤担持体の表面に形成されたトナーの薄層の状態を観察して、下記の基準で評価した。
○:薄層は均一で、乱れは観察されなかった。
△:薄層にわずかな乱れが見られたが、形成画像に影響のない程度であった。
×:薄層に乱れが見られ、形成画像にも影響が見られた。特に、ベタ画像部に濃度むらが観察された。
(B) 高温、高湿試験:
複合機を、温度33℃、相対湿度85%RHの高温、高湿環境中に8時間、静置して状態を安定させた後、同じ高温、高湿環境中で、先に示した(1)〜(3)と同条件で、画像濃度とトナー帯電量を測定すると共に、地カブリと層むらを評価した。
(C) 低温、低湿試験:
複合機を、温度10℃、相対湿度20%RHの低温、低湿環境中に8時間、静置して状態を安定させた後、同じ低温、低湿環境中で、先に示した(1)〜(3)と同条件で、画像濃度とトナー帯電量を測定すると共に、地カブリと層むらを評価した。
以上の結果を表1〜3に示す。なお、表中の、磁性粉の粒子形状の欄の符号は下記の通り。
八−丸:八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状とされていると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有するもの。
八−角:八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状とされていないもの。通常の八面体。
八−丸大:八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状とされていると共に、曲面の曲率半径が大きすぎて、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有しないもの。
八−面:八面体状で、かつ頂点および稜線が小さな平面で面取りされたもの。
立−角:立方体状で、かつ頂点および稜線が曲面状とされていないもの。通常の立方体。
立−面:立方体状で、かつ頂点および稜線が小さな平面で面取りされたもの。
球:球状のもの。
表より、八面体状で、かつ頂点および稜線を曲面状としていない磁性粉を用いた比較例1、および八面体状で、かつ頂点および稜線を小さな平面で面取りした磁性粉を用いた比較例3の磁性トナーは、いずれも、常温、常湿試験および高温、高湿試験において、初期の帯電量が著しく小さい上、画像濃度が低く、かつ地カブリが発生していると共に、耐久後の地カブリが著しく悪化したことから、トナーの帯電電荷のリークが発生していることが確認された。
また、立方体状で、かつ頂点および稜線を曲面状としていない磁性粉を用いた比較例4、および立方体状で、かつ頂点および稜線を小さな平面で面取りした磁性粉を用いた比較例5の磁性トナーも、同様に、常温、常湿試験および高温、高湿試験において、初期の帯電量が著しく小さい上、画像濃度が低く、かつ地カブリが発生していると共に、耐久後の地カブリが著しく悪化したことから、トナーの帯電電荷のリークが発生していることが確認された。
さらに、八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状とされているものの、曲面の曲率半径が大きすぎて、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有しない磁性粉を用いた比較例2の磁性トナー、および球状の磁性粉を用いた比較例6の磁性トナーは、いずれも、常温、常湿試験および高温、高湿試験において、耐久後の帯電量が著しく上昇すると共に、画像濃度が低下し、かつ地カブリが発生したことから、チャージアップが発生していることが確認された。なお、球状の磁性粉を用いた比較例6の磁性トナーを用いると、低温、低湿試験において、初期において既に、画像が不均一であった。その原因を調査したところ、現像剤担持体の表面に、トナーの薄層が均一に形成されていないことが判った。そのため、耐久評価は実施しなかった。
これに対し、八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状とされていると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する磁性粉を用いた実施例1の磁性トナーは、常温、常湿試験、低温、低湿試験、および高温、高湿試験のいずれにおいても、初期および耐久後の帯電量および画像濃度をほぼ一定に維持できると共に、地カブリの発生を防止して、良好な画像を形成できることが確認された。
《磁性粉の形状検討II》
実施例2〜5、比較例7、8:
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体状で、かつその頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する、平均粒子径が0.006μm(比較例7)、0.016μm(実施例2)、0.083μm(実施例3)、0.33μm(実施例4)、0.39μm(実施例5)、および0.64μm(比較例8)である磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
上記各実施例、比較例の磁性トナー100質量部に、シリカ〔日本アエロジル工業(株)製のRA−200H〕1.0質量部と、酸化チタン〔チタン工業(株)製のEC−100〕2.0質量部とを加え、ヘンシェルミキサーを用いて混合した後、潜像保持体として有機感光体を搭載した、磁性1成分ジャンピング現像方式の複合機〔前出の京セラミタ(株)製のKM−1650〕に使用して実際に画像形成を行った際の、先に説明した各特性を評価した。なお、現像剤担持体としては、径が20φ、表面の十点平均粗さRzが4.0μmである、SUS305製のものを用いた。
結果を、実施例1の結果と併せて表4〜6に示す。
表より、八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有するものの、その平均粒径が0.01μm未満である磁性粉を用いた比較例7の磁性トナーは、各環境下での試験において、いずれも、初期の画像濃度が1.30を下回り、また、常温、常湿試験および高温、高湿試験において、耐久後の画像濃度が1.30を下回った。また、高温、高湿試験においては地カブリも発生した。この原因を調査したところ、磁性粉の、トナー粒子の表面に露出する割合が増加し、露出した磁性粉から電荷が放出されて、磁性トナーの帯電不足を招いていることが判った。
また、八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有するものの、その平均粒径が0.50μmを超える磁性粉を用いた比較例8の磁性トナーは、各環境下での試験において、耐久後の帯電量が上昇すると共に、画像濃度が低下し、かつ地カブリが発生したことから、チャージアップが発生していることが確認された。この原因を調査したところ、磁性粉の、トナー粒子の表面に露出する割合が減少して、露出した磁性粉から放出される電荷が少なくなっていることが判った。
これに対し、八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する上、その平均粒子径が0.01〜0.50μmである磁性粉を用いた実施例1〜5の磁性トナーは、いずれも、常温、常湿試験、低温、低湿試験、および高温、高湿試験のいずれにおいても、初期および耐久後の帯電量および画像濃度をほぼ一定に維持できると共に、地カブリの発生を防止して、良好な画像を形成できることが確認された。
また、各実施例を比較すると、磁性粉の平均粒子径が小さいほど、初期の帯電量が小さくなる傾向があること、逆に平均粒子径が大きいほど、特に低温、低湿試験において、耐久後の帯電量が上昇する傾向があることがわかった。そしてこの結果から、磁性粉の平均粒子径は、0.05〜0.35μmであるのが好ましく、0.15〜0.30μmであるのがさらに好ましいことが確認された。
本発明の磁性トナーに含まれる磁性粉の形状を模式的に示す斜視図である。 上記磁性粉の一例を示す電子顕微鏡写真である。 図2の磁性粉の投影像を簡略化して示す図である。
符号の説明
1 磁性粉
2 八面体
3 直線とみなせる部分

Claims (6)

  1. バインダ樹脂で形成されたトナー粒子中に、平均粒径が0.01〜0.5μmで、かつ、その粒子形状が、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体を基本とし、上記八面体の各頂点および稜線が曲面状であって電荷の放出点となる尖った頂点や稜線を有さず、かつその投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する磁性粉が内包されたことを特徴とする磁性トナー。
  2. 磁性粉の平均粒径が0.05〜0.35μmである請求項1記載の磁性トナー。
  3. 磁性粉が、Feに対して0.1〜10原子%の、Mn、Zn、Ni、Cu、Al、Ti、およびSiから選ばれた少なくとも1種の元素を含むマグネタイトによって形成されている請求項1記載の磁性トナー。
  4. 磁性粉の含有率が35〜65質量%である請求項1記載の磁性トナー。
  5. 固定磁石を内蔵して回転する現像剤担持体の表面に、磁性トナーの薄層を形成する工程と、上記現像剤担持体と、静電潜像を保持する潜像保持体とを、上記薄層と、潜像保持体の表面とが接触しないように間隔を保持して対峙させた状態で、薄層から、磁性トナーを潜像保持体の表面に飛翔させて、静電潜像をトナー像に顕像化する工程とを含む画像形成方法に使用される請求項1記載の磁性トナー。
  6. 固定磁石を内蔵して回転する現像剤担持体の表面に、請求項1記載の磁性トナーの薄層を形成する工程と、上記現像剤担持体と、静電潜像を保持する潜像保持体とを、上記薄層と、潜像保持体の表面とが接触しないように間隔を保持して対峙させた状態で、薄層から、磁性トナーを潜像保持体の表面に飛翔させて、静電潜像をトナー像に顕像化する工程とを含むことを特徴とする画像形成方法。

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