電子写真法等を利用したレーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、およびこれらの複合機などの画像形成装置においては、まず、潜像保持体の表面を帯電手段によって一様に帯電させ、次いで、半導体レーザ、発光ダイオード等の露光手段によって露光して静電潜像を形成後、この静電潜像を、現像手段によって現像または反転現像してトナー像に顕像化する。次に、このトナー像を、転写手段によって紙などの被印刷物の表面に直接に転写するか、もしくは、中間転写体の表面に転写し、次いで紙などの被印刷物の表面に再転写した後、定着手段によって定着させることで、一連の画像形成の工程が完了する。
このような静電潜像をトナー像に現像するための現像方法としては、大別して乾式、湿式の2つがあるが、現在は、乾式の現像方法が広く普及している。また、乾式の現像方法は、使用するトナーの種類を基準とすると、バインダ樹脂からなるトナー粒子中に磁性粉を添加(内添若しくは外添)した磁性トナーを用いる現像方法(磁性1成分現像方法、磁性2成分現像方法等)と、磁性粉を添加しない非磁性トナーを用いる現像方法(非磁性1成分現像方法、非磁性2成分現像方法等)とに分類される。
このうち2成分現像方法では、鉄粉、フェライトなどから成る比較的大きなキャリア粒子表面上に微小なトナー粒子が、両粒子の混合による摩擦で発生した電気力によって保持されており、この混合物を磁気ブラシの形で感光体に搬送して静電潜像に近接させると、静電潜像が形成する電界によるトナー粒子に対する潜像方向への吸引力がトナー粒子とキャリア粒子間の結合力に打ち勝ち、トナー粒子が静電潜像上に付着して静電潜像が可視化されるものである。
2成分現像方法では主に磁性粉を内包しない非磁性トナーが用いられるが、2成分現像剤用トナーとして磁性トナーを使用することも以前より知られており、例えば特許文献1および特許文献2にはトナー中に磁性粉を含有させたトナーを用いることが記述されている。すなわち、2成分現像剤用トナーに磁性粉を含有させることにより、トナーとキャリアの間に生じた磁気的吸引力で2成分現像方法においてしばしば問題とされるトナー飛散、あるいはトナー落ちといった問題の回避やカブリの発生を抑制することができる。またトナーが繰り返しキャリアと混合させられることにより発生するトナー過帯電、チャージアップに対しては、トナー表面に存在する磁性粉からの帯電リークによって未然に防ぐことができるなどの効果がある。
一方近年、画像形成装置においては、画像形成速度の高速化と装置の小型化、さらには装置全体の長寿命化が求められており、このうち、画像形成速度の高速化が要求される主にビジネス用途に適応した高速機においては、印刷速度の高速化に伴って形成画像の解像度や画質が低下するのを防止するため、トナーの帯電量を従来に比べて速やかに立ち上がりやすくすることと、その帯電量が従来に比べて安定していることとが求められている。
又、小型化が求められるスモールオフィスや一般家庭を対象とした中低速機においては、電源の投入と遮断とが頻繁に繰り返されることから、電源投入後のウォーミングアップ時間をできるだけ短くするために磁性トナーの初期帯電が良好であることが必要とされる。また、画像形成装置には用途による画像形成速度の違い等に関係なく、形成画像のさらなる高解像度化、高画質化や、磁性トナーの耐久性の向上、環境変動に対する安定性の向上等も継続的に求められる。
そして、これらのことから磁性トナーには、帯電量が速やかに立ち上がりやすく、かつ、高温高湿環境などの帯電しにくい環境下や、逆に低温低湿環境などの帯電しす過ぎる環境下においても帯電量不足やチャージアップ(過帯電)を生じることなく、常に適度な帯電量を維持できると共にその適度な帯電量を長期にわたって維持でき、結果として良好な画像特性(画像濃度が高くてカブリがなく、優れた画質を有する)を長期にわたって様々な温度湿度環境下においても安定して維持できることが求められる。
しかも、マシンの高速化、高寿命化に伴い、従来より2成分現像剤に存在するトナー飛散、キャリアへのスペント(キャリアの表面にトナー成分が付着析出する現象)、感光体ドラムへの磁気ブラシによる筋などの問題もより発生しやすくなっており、これらの問題も当然回避することが要求されている。しかし、現在、一般的に使用されているトナーでは、先に述べた、画像形成速度の高速化や、装置の小型化の流れの中で、これらの要求を十分に満足し切れなくなりつつあるのが現状である。
このうち、潜像保持体である感光体ドラムに対する磁気ブラシによる筋は、長期にわたって磁気ブラシを感光体に接触し続けることにより、感光体ドラムに筋をつけてしまうという問題である。すなわち2成分現像方式においては、感光体ドラムの現像部に対面した磁気ロール上に2成分現像剤による磁気ブラシを形成し、その磁気ブラシを感光体ドラムに接触させて現像を行っており、マシンの長寿命化に伴なって長期にわたって磁気ブラシを感光体に接触し続けるために生じる問題である。この問題に対しては従来から、キャリアの選定などによって回避することが行われているが、2成分トナー中に磁性粉を含有する場合にはその磁性粉の影響によって磁気ブラシ筋を発生させてしまう可能性がある。
また、キャリアへのトナーのスペントとは、キャリア表面にトナー成分が付着析出する現象であり、キャリアの表面がトナー成分で覆われてキャリア本来の性能が得られなくなる。そのためキャリアの劣化として考えられるが、スペントが発生した場合、画像濃度低下やカブリの発生があり、最悪の場合、現像剤自体を交換しなければならない事態となる。このスペントは、マシンの長寿命化に伴って従来から発生していた不具合であり、トナーの低温定着化が進んでいる近年では更に発生の可能性が高くなっている。また、磁性トナーを使用した際にはキャリアとの帯電的な力だけでなく、磁気的な拘束力も加わるため、更に発生する可能性が高くなる。
現在、トナーに含有する磁性粉としては、6個の四角形で囲まれた凸多面体である六面体(図1(b)参照、立方体、直方体)状のものや、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体状(図1(c)参照)のもの等の多面体状の磁性粉と、球状の磁性粉(図1(a)参照)とが一般的に用いられている。ところが、多面体状の磁性粉を用いた磁性トナーは、トナー粒子の表面に露出した磁性粉の尖った頂点や隣り合う面間の尖った稜線から電荷が放出されやすく、電荷のリークが必要以上に起こりやすい。また、多面体状の磁性粉は流動性が低く、バインダ樹脂に対する分散性が悪いことから当該バインダ樹脂中に均一に分散させるのが難しい。そのため、個々のトナー粒子における磁性粉の分散状態にばらつきを生じやすく、個々の磁性トナーの帯電のしやすさや帯電量などもばらつきを生じやすい。
従って、多面体状の磁性粉を用いた磁性トナーは帯電量が速やかに立ち上がりにくい上、帯電量自体も低くなってしまい、結果として、トナー飛散やトナー落ちといった問題や、カブリの発生といった画像欠陥を生じやすいという問題がある。また、画像形成時の温度、湿度環境によって帯電のしやすさや帯電量が変動しやすいことから、特に、高温、高湿環境などの帯電しにくい環境下において、上記の画像欠陥をさらに生じやすくなるという問題もある。
さらに、多面体状の磁性粉を用いた磁性トナーは、トナー粒子の表面に露出した磁性粉の尖った頂点や、隣り合う面間の尖った稜線のために磁気ブラシとして接触する感光体に対し、磁性粉を含有していないトナーでは発生しにくい磁気ブラシ筋をかえって発生させてしまうという問題もある。ただし、一方でキャリアのスペントに対しては、磁性粉の尖った稜線や頂点による研摩効果でこれを効果的に防止することができるという利点が存在する。
一方、球状の磁性粉を用いた磁性トナーは尖った頂点や稜線等を有さず、トナー粒子の表面に露出した磁性粉による感光体への磁気ブラシ傷が発生しにくいと共に、多面体状のものに比べて流動性に優れてバインダ樹脂に対する分散性にも優れることから、バインダ樹脂中に均一に分散させるのが容易であり、個々の磁性トナーにおける磁性粉の分散状態にばらつきが生じるのを防止して、その帯電のしやすさや帯電量などを均一化することもできる。
しかし、球状の磁性粉を用いた磁性トナーは尖った頂点や稜線等を有しないため、キャリアへのスペントを防止するような効果は得らず、また、トナー粒子の表面に露出した磁性粉から電荷が放出されにくく、電荷がたまりやす過ぎるためにキャリアとトナーが繰り返し混合された際など、トナーが所定の帯電量以上に過帯電するいわゆるチャージアップを生じやすく、一旦チャージアップを生じると、画像濃度の低下に代表される画像欠陥を生じやすいという問題がある。
そこで、球状の磁性粉と多面体状磁性粉の両方の長所を活かすため、様々な粒子形状を有する磁性粉が検討されている。例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5には、前記六面体や八面体などの多面体の頂点や稜線を、多面体を構成する各面よりも小さな平面によって、いわゆる面取りをしたような粒子形状を有する磁性粉が記載されている。しかしこの面取りした磁性粉においても、依然として多面体を構成する面と面取りした小さな平面との間には尖った稜線が存在し、この稜線から電荷が放出されやすいことから、磁性トナーから電荷がリークして画像濃度の低下や地カブリの発生、いった画像欠陥を生じるおそれがあり、2成分現像剤とした際には、感光体に対して磁気ブラシ筋を発生させてしまう可能性がある。
また、特許文献6には立方体の各稜線を曲面状とした粒子形状を有する磁性粉が記載されている。しかし、この磁性粉も、稜線を曲面状とすることによって頂点も曲面状とされ、電荷の放出点となる尖った頂点や稜線が存在しないため、球状のものと同様に電荷が放出されにくい傾向があり、特に低温、低湿環境下などにおいて、磁性トナーがチャージアップして、画像濃度の低下等の画像欠陥を生じるおそれがあると共に、2成分現像剤に使用したとしても、その曲面状という形状のためにキャリアへのスペントを防止する効果が得られない。
また、先にも述べた特許文献1および特許文献2には、2成分磁性トナーの利点としてトナー飛散やカブリの抑制などが上げられているが、耐刷時における挙動などについては述べられておらず、ましてや磁性粉形状の影響については未確認であり、耐刷後には安定した帯電量を得ることができなかつたり、磁気ブラシ筋やスペントの発生の可能性がある。
特開昭56−106249号公報
特開昭59−162563号公報
特開平11−153882号公報
特開平2000−162817号公報
特開平2000−242029号公報
特許3584954(特開平9−59024号)号公報
近年、2成分現像剤を用いた電子写真法によるコピー機やプリンタ等の市場は、印刷の高速化、マシンの小型化、マシン寿命の高耐久化が著しく進み、また、求められる性能も、高解像度・高画質・高耐久が当然となってきている。従って、高速化した印刷速度に合わせた画像特性、耐久性向上を得るためには、帯電特性が安定し、高度な性能を有するトナーが必要不可欠である。
従って本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、2成分現像剤として、適度な帯電量を維持して良好な画像特性(画像濃度、かぶり)を長期にわたって得ることができ、かつ、それらの良好な画像特性を高温高湿環境や低温低湿環境などにおいても得ることを可能とすると共に、トナー飛散やキャリアへのスペント、さらには磁気ブラシによる感光体ドラムへの傷を、長期に渡って防止することが可能な高耐久の2成分磁性トナーとこれを用いた画像形成方法を提供することが課題である。
前記の課題を解決するために鋭意検討した結果、2成分現像方式を採用した電子写真システムに対する2成分現像剤用トナーに添加される磁性粉に着目し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明者は、2成分現像剤用トナーに含有する磁性粉として、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体形状をした多面体を基本とし、かつ該多面体の各頂点および稜線が曲面状である粒子形状を有する磁性粉を使用することを検討した(図1(d)参照)。
上記磁性粉は、例えば図2に一例として、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて撮影した八面体の写真(投影像)で示されているように、八面体を基本とし、その頂点と稜線が曲面状であり、電荷の放出点となる尖った頂点や稜線が存在しないことが特徴である。また、頂点と稜線が曲面状であるといっても、その曲率半径が大きすぎて隣り合う頂点や稜線の曲面が繋がってしまい、投影像の外周部に直線とみなせる部分を有しない球形に近いものではなく、図2に見るように、投影像の外周には直線とみなせる部分が残った八面体としての特徴を残した多面体であることも特徴である。
上記の粒子形状を有する磁性粉は、頂点と稜線がいずれも曲面状とされ、トナーより磁性粉が露出する部分が尖った頂点や稜線ではないため、2成分現像剤の磁気ブラシ中にこの磁性粉を有するトナーが存在しても、感光体ドラムに対して磁気ブラシによる筋をつけることがなく、電荷を放出しやすい尖った頂点や稜線を有しないことから、特許文献1〜3に記載された多面体の頂点や稜線を小さな平面で面取りした磁性粉に比べ、磁性トナーに内包させた際に電荷のリークを起こしにくくすることができると考えられる。
また、この磁性粉は、上記のように多面体の頂点や稜線をいずれも曲面状としていることから、流動性、およびバインダ樹脂に対する分散性に優れており、特に磁性粉を内包する場合にバインダ樹脂中に均一に分散させるのが容易であって、個々のトナー粒子における磁性粉の分散状態にばらつきが生じるのを防止し、個々の磁性トナーの帯電のしやすさや帯電量などを、均一化することができると考えられる。
しかも、図1(d)に示すようにこの磁性粉1は、基本形状が八面体2であるため当該八面体2を構成する頂点1bまたは稜線1aを挟んで隣り合う面のいずれか、もしくは頂点1bを挟んで隣り合う稜線1aのいずれかが必ず90°未満の鋭角で交わっており、さらに、立方形状の磁性紛では頂点または稜線を挟んで隣り合う面のいずれか、もしくは頂点を挟んで隣り合う稜線のいずれかが必ず90°で交わっているから、この面または稜線が交わった頂点や面が交わった稜線が適度な量存在することで、トナーから露出した磁性粉部分による研磨効果が得られ、キャリアへのトナー付着、すなわちスペントを効果的に防止することができる。また、この面または稜線が交わった頂点や面が交わった稜線に電荷が集中しやすいことから、電荷を適度な割合で放出させることができ、そのため、磁性トナーに内包させた際にチャージアップを起こりにくくすることができるものと考えられる。
ただし、上記の粒子形状であっても、曲面状とした頂点1bおよび稜線1aの曲率半径が大きすぎる場合には、トナーから露出した部分の研磨効果が得られずにキャリアへのスペントを効果的に防止することができない。そこで、発明者は、例えば、透過型電子顕微鏡を用いて撮影した磁性粉の投影像から、図3に示すように曲面状とした頂点1bおよび稜線1aの曲率半径の範囲を規定することを検討した。
その結果、曲面状とした頂点1bや稜線1aの曲率半径が大きすぎて、隣り合う頂点1bや稜線1aの曲面が繋がってしまい、投影像の外周部に直線とみなせる部分を有しない、球状に近い磁性粉は、球状のものと同様に、キャリアへのスペントを防止する効果や磁性トナーのチャージアップを防止する効果が得られないのに対し、八面体2の各頂点1bおよび稜線1aが曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する磁性粉は、隣り合う面が交差する稜線1aや頂点1bが曲面で構成されているものの、その曲面の曲率半径が、同等の粒径を有する球状の磁性粉の曲率半径に比べて小さいため、その存在する頂点や稜線によりキャリアのスペントを防止する効果が得られ、一方で感光体への磁気ブラシによる筋を防ぐことができると共に、電荷が集中しやすい頂点1bや稜線1aから電荷を適度な割合で放出させることができ、当該磁性粉を磁性トナーに内包させた際に、頂点1bや稜線1aを曲面状としない磁性粉を用いる場合に比べて電荷のリークを起こりにくくしながら、なおかつ、磁性トナーのチャージアップを防止できることを見出した。
また、これらの磁性粉を含有したトナーの磁気特性について検討した結果、上記磁性粉を含有したトナーの測定磁場79.6kA/m(1kQe)における飽和磁化が4.0Am2/kg未満である場合、2成分トナーに磁性粉を含有させた本来の効果が得られず、トナー飛散の発生を効果的に防ぐことができない問題があることがわかった。また、トナー飽和磁化が15.0Am2/kgを超えた場合、キャリアとの磁気拘束力が強くなって2成分現像剤の磁気ブラシとした際に、現像部分における感光体ドラムとの接触によって感光体ドラムに磁気ブラシ筋をつけてしまい、合わせてキャリアとの結びつきが強くなるため、キャリアへのスペントが起こりやすくなるという問題も生じた。
また、発明者は、磁性粉の大きさについても検討した。その結果、平均粒子径が0.01μm未満である磁性粉はトナー粒子の表面に露出する割合が増加し、露出した磁性粉から電荷が放出されて磁性トナーの帯電不足を招く結果、画像濃度が低下するという問題があり、一方、平均粒子径が0.50μmを超える磁性粉は、逆に、トナー粒子の表面に露出する割合が減少し、露出した磁性粉から放出される電荷が少なくなって磁性トナーのチャージアップを招く結果、特に画像形成を繰り返した際に画像濃度が低下するという問題があることを知見し、そのため、磁性粉の平均粒子径は、0.01〜0.50μmである必要があることを見出した。
したがって、本発明はかかる知見に基づき、
バインダ樹脂中に磁性粉を含有する磁性トナーとキャリアとからなる2成分現像剤用磁性トナーにおいて、
前記磁性粉の粒子形状が8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体を基本とし、該八面体の各頂点及び稜線が曲面状であって電荷の放出点となる尖った頂点や稜線を有さず、且つ、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有し、該トナーの測定磁場79.6kA/mにおける飽和磁化が、4.0〜15.0Am2/kgであることを特徴とする2成分現像剤用磁性トナーを提案するものである。
尚、好ましくは、前記多面体が、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体形状であり、さらに前記磁性粉の平均粒子径が0.01〜0.50μmであるとよい。この磁性粉の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡によって撮影した写真(倍率1万倍)を4倍に拡大し、写真に写された300個の磁性粉について測定したマーチン径(円相当径)の平均値である。
なお、本発明における2成分現像剤用磁性トナーに使用される材料としては、バインダ樹脂以外にもそれ自体公知の染料、顔料、帯電調整剤、流動化剤、外添剤などを用いることができ、これらの材料は特に制約されるものではなく、2成分トナーに対して用いることができる公知の材料が使用でき、また2成分現像剤とするために必要なキャリアについても特に制約されるものではないが、特に効果のバランスを考慮すると、磁性粉の平均粒子径は、上記の範囲内でも特に、0.05〜0.35μmであるのが好ましい。また、磁性粉としては、磁性トナーに良好な磁気特性を付与することを考慮すると、Feに対して0.1〜10原子%の、Mn、Zn、Ni、Cu、Al、Ti、およびSiから選ばれる少なくとも1種の元素を含むマグネタイト(四三酸化鉄)からなるものを用いることが好ましい。また、同様の理由で、磁性粉の、トナー粒子中に占める割合は、2.0〜20質量%であるのが好ましい。
さらに本発明の磁性トナーは、例えば磁性粉を内包する場合にはバインダ樹脂、磁性体、ワックス、荷電制御剤、その他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に構成成分を分散又は溶解せしめ、冷却固化後粉砕及び分級を行い、さらに必要に応じ所望の外添剤をヘンシェルミキサー等の混合機により充分混合することによっても得ることができる。
このように構成することにより、本発明に係る磁性体は粒度分布が揃い、バインダ樹脂中への分散性にも優れているため、トナーの帯電性を安定化することが出来る。また、キャリアにフェライトキャリアを用いた場合にトナーの平均粒径が10μm以下のような場合でも、帯電均一性が促進されてトナーの凝集性も軽減され、画像濃度の向上、カブリの改善等現像性が向上する。特に重量平均粒径8.0μm以下のトナーにおいてはその効果は顕著であり、極めて高精細な画像が得られる。重量平均粒径は3.0μm以上である方が十分な画像濃度が得られて好ましい。一方でトナーの小粒径化が進むと磁性体の遊離も生じやすくなるが、個数平均粒子径が、0.05〜0.35μmの磁性粉をバインダ樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部用いて体積平均粒径が3.0〜10.0μmの磁性トナーを形成することにより、バインダ樹脂との密着性に優れているので磁性体の遊離も生じにくくスリーブ汚染等のトラブルが抑制される。
そして、前記の2成分現像剤を用いた画像形成方法形成方法は、
少なくともバインダ樹脂中に含有させた磁性粉の粒子形状が8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体を基本とし、該八面体の各頂点及び稜線が曲面状であって電荷の放出点となる尖った頂点や稜線を有さず、且つ、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有し、該トナーの測定磁場79.6kA/mにおける飽和磁化が、4.0〜15.0Am2/kgである磁性トナーとキャリアとからなる2成分現像剤を有し、
電荷注入された前記磁性トナーが少なくとも担持されたトナー担持体を潜像担持体と対面させて、該潜像担持体上の静電荷像を前記磁性トナーで現像することを特徴とする画像形成方法である。
かかる発明は、現像担持体(現像ローラ)上でトナーとキャリアを摩擦帯電させて潜像担持体(感光体ドラム)と対面する現像域上に磁気ブラシを形成しながら現像を行う画像形成方法のみならず、キャリアとトナーからなる現像剤を磁気保持しながら帯電させる2成分現像剤搬送用磁気ロールと、該磁気ロールの磁気ブラシと搬送バイアスを利用して前記搬送体よりトナーを移送し、その表面にトナーのみの薄層を形成する現像ロールと、該現像ロールと潜像担時体の最近接位置(現像位置)に現像バイアスを印加して潜像担時体の潜像の現像を行うハイブリッド型現像装置を有した画像形成装置にも適用可能である。
そしてこの画像形成方法は、
前記トナー担持体と潜像担持体とが対面する現像領域に、磁界を利用してキャリアと前記磁性トナーとからなる2成分現像剤をブラシ状に穂立ち(以下磁気ブラシという)させ、該磁気ブラシを前記潜像担持体表面に摺擦させながら潜像担持体上の潜像をトナー像に顕像化する画像形成方法において、
前記磁性トナーは、少なくともバインダ樹脂及び磁性粉を含有する磁性トナー粒子を有しており、前記磁性粉はその平均粒子径が0.01〜0.50μmで、かつ、その粒子形状が多面体を基本とし、さらに、多面体の各頂点及び稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有することを特徴とする。
本発明によれば、2成分現像剤用磁性トナーに含有する磁性粉として多面体を基本とし、かつ該多面体の各頂点及び稜線が曲面状である粒子形状を有する磁性粉を使用することにより、2成分トナーとして適度な帯電量を維持しながら帯電量のすばやい立ち上がりやチャージアップ(過帯電)しない帯電特性を有し、その結果、良好な画像特性(画像濃度、かぶり)を長期にわたって得ることができると共に、2成分現像剤特有の問題である、トナー飛散、キャリアへのスペント、感光体ドラム上の磁気ブラシ筋などの発生しないトナーを得ることができ、良好な画像特性を維持しつつ、高寿命化するシステムにおいても2成分現像方式特有の様々な問題を回避して高耐久な2成分現像剤用磁性トナーと画像形成方法を得ることができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図4は、本発明の磁気ブラシ現像器を備えた画像形成装置の構造の概略と共に示す図である。図中、矢線方向に回転可能に設けられている感光体ドラム10の周囲には、帯電装置25、露光機構3、磁気ブラシ現像器4、図示していない転写装置、クリーニング装置6、除電装置7が感光体ドラム1の回転方向に沿って配置されており、感光体ドラム10と転写装置との間に紙やOHPフィルムなどの転写材11が通され、転写材11の排出経路上には、図示していない定着装置が設けられている。
感光体ドラム10はアルミ等の導電性基体ローラ上に、セレン、非晶質シリコンなどの感光層を設けた無機感光体ドラムや、バインダ樹脂中に電荷発生剤や電荷輸送剤を分散させた有機感光層を設けた有機感光体ドラムなどが使用される。帯電装置25としては、ローラ型の接触帯電装置若しくはコロナ帯電器が使用され、この帯電装置25により、感光体ドラム10の表面(感光層)が、感光層の種類に応じて所定極性に一様に帯電される。この時の感光体表面の帯電電位は、通常、200〜1000V(絶対値)である。次いで画像露光機構3により、原稿の反射光或いはコンピュータなどからの電気信号により、原稿に対応するレーザビームなどのドット光が感光体ドラム表面に照射され、光照射部分の電位が光減衰して静電潜像が形成される。
この静電潜像は、本発明を用いた磁気ブラシ現像器4に形成される磁気ブラシによって現像され、感光体ドラム10の表面にトナー像15が形成される。現像剤35としては磁性キャリアと磁性トナーとから成る二成分系現像剤が使用され、この現像器4によって、所定極性に摩擦帯電したトナーが磁気ブラシの形で搬送されて、感光体ドラム10の表面に形成された静電潜像が現像され、感光体ドラム10の表面にトナー像15が形成されるものである。
そしてこのトナー像15は、転写材11に図示していない転写装置によって転写トナー像16として転写され、図示されていない定着装置に搬送されて熱と圧力により、転写材11の表面に定着される。一方、トナー像15が転写材11上に転写トナー像16として転写された後、クリーニングブレード等を備えたクリーニング装置6により、感光体ドラム10の表面に残存するトナーが掻き取られて回収され、除電装置7による光照射によって感光体ドラム10の表面電荷が除去され、次の画像形成プロセスが行われる。尚、本発明の磁気ブラシ現像器4は、現像剤35が充填された現像ハウジング30から構成されており、この現像ハウジング30内には、感光体ドラム10に対面するように現像剤搬送スリーブ(現像スリーブ)31が配置されていると共に、現像スリーブ31と同軸方向に攪拌パドル32a、32b、32cが並列に配置されている。
現像スリーブ31の内部には複数の磁極を有するマグネットが固定されていて、スリーブの回転により現像剤を磁気ブラシの形で搬送するものであり、通常、現像スリーブ31と感光体ドラム10の間隔は、一般に0.3〜1.0mm程度に設定されている。勿論この現像スリーブ31は、スリーブを固定して内部のマグネットを回転することにより現像剤を搬送するものであってもよい。また、現像スリーブ31と一定間隔(通常、0.3〜1.0mm程度)を置き、穂切りブレード33が取り付けられている。即ち、現像スリーブ31により汲み上げられた現像剤は、穂切りブレード33で塞き止められて、一定の穂長に調整された磁気ブラシの形で現像域(感光体ドラム10と現像スリーブ31との間の領域)に搬送され、この部分で静電潜像の現像が行われる。
攪拌パドル32a、32b、32cは現像剤35を混合攪拌することにより、現像剤35中のトナーを十分に摩擦帯電させるものであり、各パドルの羽根は、現像剤を軸方向に攪拌しながら送るように設定されていて、隣り合うパドルは中央部或いは両端部を除いて仕切り37によって区画されている。即ち、複数の攪拌パドル32a、32b、32cにより現像剤35を軸方向に攪拌送りしながら、各パドルの中央部或いは両端部間で現像剤35が出し入れされ、効率よく摩擦帯電が行われるようになっている。このようにして所定極性に摩擦帯電された現像剤(磁性トナー)35を現像スリーブ31によって汲み上げ、穂切りブレード33によって穂長が調整された磁気ブラシの形で現像剤が現像域に搬送され、静電潜像の現像が行われる。
また、前述した穂切りブレード33の近傍、即ち、該ブレード33によって現像剤35が塞き止められる側には整流板40が配置されている。即ち、穂切りブレード33によって塞き止められた現像剤35は整流板40上に落下し、ガイド板40aの上をスムーズに流れて攪拌パドル32b上に落とされ、再度、混合攪拌されて、現像スリーブ31に供給される。
現像スリーブ31としては従来公知の種々の材料からなるものを用いることができ、特に、ブラスト処理されたステンレス鋼製の現像剤担持体を用いるのが好ましい。
本発明のトナーはバインダ樹脂中に磁性粉を配合し、磁性トナーとする。本発明のトナーに含まれる磁性粉は、例えば八面体の場合を示した図3(a)〜(c)に一点鎖線で示すような、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体2を基本とし、かつ、図中に実線で示すように、上記八面体2または立方体状の各頂点1bおよび稜線1aが曲面状とされた粒子形状を有するものを用いることを特徴とする。また、上記磁性粉は、図2に示す投影像から求められる実際の周長R1(図3(b)中に実線で示す磁性粉1の外周の周長)と、当該投影像に外接する、頂点1bおよび稜線1aを曲面状としない場合の想定される四角形(図中に一点鎖線で示す八面体2の外周の周長)の周長R0との比R1/R0で表される粒子形状の丸さ値(以下磁性粉のR値と称する)が、下記式(1)
0.9≦R1/R0<1 ………… (1)
であることが望ましい。
この磁性粉のR値が0.9未満では、曲面状とした頂点1bおよび稜線1aの曲率が大きすぎるため、特に、面または稜線1aが鋭角で交わった頂点1bや、面が鋭角で交わった稜線1aから電荷を適度な割合で放出させることができない場合もあり、トナーのチャージアップを防止する効果が不十分な場合も出てくるため、こうしたR値の磁性粉を使用する場合には磁性トナーは、チャージアップをして画像濃度の低下等の画像欠陥を生じる傾向がある。
また、この磁性粉のR値が1、すなわち頂点1bおよび稜線1aを曲面状としていない磁性粉を用いた磁性トナー(図1(c)参照)では、尖った各頂点と隣り合う面間の尖った稜線とから前記のように電荷のリークが起こりやすい。そのため磁性トナーは、帯電量が速やかに立ち上がりにくい上に帯電量自体も低くなって、トナー飛散が発生してしまう。また、各頂点と稜線が尖った磁性分は流動性が低くてバインダ樹脂に対する分散性が悪いことから、個々の磁性トナーの帯電のしやすさや帯電量などにばらつきを生じる。なお、電荷のリークを起こりにくくしながら磁性トナーのチャージアップを防止する効果をさらに向上することを考慮すると、磁性粉のR値は、上記の範囲内でも特に、0.92〜0.98であるのが好ましく、0.94〜0.96であるのがより好ましい。
なお本発明では基本形状が八面体2形状で、かつ、その頂点1bおよび稜線1aが曲面状とされた磁性粉1について、下記の手順により比R1/R0で表される丸さ値を求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製JSM−880)を使用して撮影した磁性粉の、倍率20万倍の投影像から図3(a)の方向を向いている磁性粉の投影像を選び、その画像をコンピュータに取り込んで、白黒2値化した後、画像解析システム(王子計測機器(株)製DA−6000)を用いて画像解析して周長R1を測定し、かつ、その投影像に外接する四角形を想定してその周長R0を求めると共に、両周長の比R1/R0を算出した。そして、この操作を20個の磁性粉について行い、その平均値を求めて、磁性粉のR値とした。
また、この磁性粉は、平均粒子径が0.01〜0.50μmである必要がある。平均粒子径が0.01μm未満ではトナーの表面に露出している磁性粉の割合が増加し、その個所から電荷の放出が発生して帯電不足を招き、トナー飛散が発生する。一方、平均粒子径が0.50μmを超える磁性粉は、トナーの表面に露出している磁性粉の割合が減少してその個所からの電荷の適度の放出が少なくなり、チャージアップを招く。結果として、多数枚の画像形成後に画像濃度低下が生じる。
なお、効果のバランスを考慮すると、磁性粉1の平均粒子径は上記の範囲内でも特に、0.05〜0.35μmであるのが好ましく、0.15〜0.30μmであるのがさらに好ましい。この磁性粉の平均粒子径は、図2に示すような透過型電子顕微鏡により撮影した写真(倍率1万倍)を4倍に拡大し、写真に写された300個の磁性粉についてマーチン径(円相当径)の平均値により求めることができる。
磁性粉としては、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性を示す金属やその合金、またはこれらの元素を含む化合物、あるいは、強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、もしくは二酸化クロム等からなるものを挙げることができ、中でもフェライト、マグネタイトからなる磁性粉が好ましい。特に、磁性トナーに良好な磁気特性を付与することを考慮すると、磁性粉としては、Feに対して0.1〜10原子%の、Mn、Zn、Ni、Cu、Al、Ti、およびSiから選ばれる少なくとも1種の元素を含むマグネタイトによって形成した磁性粉を用いるのが好ましい。
上記マグネタイトからなる立方体状の磁性紛については前記特許文献6に示されているが、八面体2の各頂点1bおよび稜線1aが曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有し、かつ平均粒子径が前記の範囲内に規定される磁性粉は、例えば、以下に述べる方法によって製造することができる。
すなわち、1.5mol/リットルのFe2+を含む硫酸第一鉄塩水溶液26.7リットルを、あらかじめ反応容器中に準備した3.4Nの水酸化ナトリウム水溶液25.9リットル(Fe2+に対し1.10当量に相当する)に加え、90℃に加熱して、pHを10.5に維持しながら水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩懸濁液を生成する。
次に、上記懸濁液の液温を90℃に維持しながら、毎分100リットルの空気を80分間に亘って吹き込んで、第一鉄塩の酸化反応率が60%になるまで酸化反応させる。そして、上記懸濁液に、そのpHが6.5になるように硫酸水溶液を添加した後、液温を90℃に維持しながら毎分100リットルの空気を50分間に亘って吹き込んで、懸濁液中にマグネタイト粒子を生成させる。
そして、上記マグネタイト粒子を含む懸濁液にそのpHが10.5になるように水酸化ナトリウム水溶液を添加した後、液温を90℃に維持しながら毎分100リットルの空気を20分間に亘って吹き込んだ後、生成したマグネタイト粒子を常法により水洗、濾別し、乾燥した後、マグネタイト粒子の凝集物を粉砕する。そうすると、粒子形状が、八面体2を基本とし、その頂点1bおよび稜線1aが曲面状であるマグネタイト粒子からなる磁性粉が合成される。
また、上記の合成反応を行う際に、水酸化アルカリ水溶液、もしくは水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩反応水溶液に、水可溶性ケイ酸塩等の水溶性の各種金属化合物を各々の金属に換算して、Feに対して0.1〜10原子%の割合で加えると共に、第1段階の反応において、酸素含有ガスの通気を開始する際の液のpHを8.0〜9.5に調整すると、合成される磁性粉は上述したFeに対し、上記所定の割合でMn、Zn、Ni、Cu、Al、Ti、およびSiから選ばれる少なくとも1種の元素を含むマグネタイトからなるものとなる。
この合成反応において、比R1/R0で表される磁性粉のR値を前記の範囲内に調整するためには、第一段の酸化の酸化反応時の反応率を変えることで行う。
磁性粉の、樹脂100質量部に対する割合は、1.0〜35質量部であるのが好ましく、2.0〜25質量部であるのがさらに好ましい。磁性粉の割合がこの範囲未満では、現像剤保持体に内蔵した固定磁石の磁力によりトナーを保持する効果が低下するため、画像においてはカブリが発生するおそれがあり、またトナー飛散を抑制することもできない。また、配合割合がこの範囲を超える場合には、逆にトナーを保持する効果が強くなり過ぎるため、画像濃度が低下するおそれがある。また、相対的にバインダ樹脂の含有割合が低下するため、紙等の被印刷物の表面への定着性が低下したり、耐久性が低下したりするおそれもある。
磁性粉は、バインダ樹脂中に良好に分散させることを考慮すると、チタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、各種脂肪酸などの表面処理剤で表面処理を施してもよい。このうち、シラン系カップリング剤が好ましく、その具体的化合物としては、例えばヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1、3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1、3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン等が挙げられる。また、1分子中に2〜12個のシロキサン単位を有し、かつ末端に位置するシロキサン単位に各々1個ずつ、ケイ素原子に結合した水酸基を含むジメチルポリシロキサン等を用いることもできる。
また、上記の磁性粉を含有したトナーは、測定磁場79.6kA/mにおける飽和磁化が4.0〜15Am2/kgであるように磁性粉を含有する必要がある。この範囲未満の場合には2成分トナーに磁性粉を含有する本来の効果が得られず、トナー飛散の発生を効果的に防ぐことができない問題が生じる。また、トナー飽和磁化がこの範囲を超える場合はキャリアとの磁気拘束力が強くなりすぎ、2成分現像剤の磁気ブラシとした際、現像部分で感光体ドラムと接触したときに感光体ドラムに磁気ブラシ筋をつけてしまうことになる。またキャリアと結びつきが強いため、キャリアへのスペントが起こりやすくなるという問題もある。なお効果や弊害などを考慮すると、飽和磁化は4.5〜14.0Am2/kgとするのがより好ましい。
本発明のトナーは、バインダ樹脂中に、着色剤などの種々のトナー配合剤を分散させることにより得られる。本発明におけるトナーに使用するバインダ樹脂の種類は特に制限されるものではないが、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
ポリスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体の他、スチレンと他の単量体との2元もしくは3元以上の共重合体が挙げられる。これらは、1種を単独で使用することもできるし、あるいは2種以上を組み合わせてスチレンと共重合させることもできる。共重合モノマーとしては、p−クロルスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドテシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドなどの他のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデンなどのN−ビニル化合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用することもできるし、あるいは2種以上を組み合わせてスチレン単量体と共重合させることができる。
また、ポリエステル系樹脂としては、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合または共縮重合させて得られる種々のポリエステル系樹脂が挙げられる。ポリエステル系樹脂を合成する際に用いられる成分としては、まず、2価または3価以上のアルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1、2−プロピレングリコール、1、3−プロピレングリコール、1、4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1、4−ブテンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;ソルビトール、1、2、3、6−ヘキサンテトロール、1、4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1、2、4−ブタントリオール、1、2、5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1、2、4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1、3、5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上のアルコール類が例示される。
また、2価または3価以上のカルボン酸成分としては、2価または3価カルボン酸、この酸無水物またはこの低級アルキルエステルが用いられ、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、あるいはn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等のアルキルまたはアルケニルコハク酸等の2価カルボン酸;1、2、4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1、2、5−ベンゼントリカルボン酸、2、5、7−ナフタレントリカルボン酸、1、2、4−ナフタレントリカルボン酸、1、2、4−ブタントリカルボン酸、1、2、5−ヘキサントリカルボン酸、1、3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1、2、4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1、2、7、8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等の3価以上のカルボン酸等が例示される。また、ポリエステル系樹脂の軟化点は、110〜150℃であることが好ましく、より好ましくは120〜140℃である。
また、バインダ樹脂は、熱硬化性樹脂であっても良い。このように一部架橋構造を導入することにより、定着性を低下させることなく、トナーの保存安定性や形態保持性、あるいは耐久性をより向上させることができる。よって、トナーの樹脂として、熱可塑性樹脂を100質量部使用する必要はなく、架橋剤を添加したり、あるいは、熱硬化性樹脂を一部使用することも好ましい。したがって、熱硬化性樹脂として、エポキシ系樹脂やシアネート系樹脂等が使用することができる。より具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、シアネート樹脂等の1種または2種以上の組み合わせが挙げられる。
バインダ樹脂のガラス転移温度Tgは、50〜65℃であるのが好ましく、50〜60℃であるのがより好ましい。ガラス転移温度がこの範囲未満では、トナー粒子同士が融着しやすくなって保存安定性が低下するおそれがある。また、樹脂の強度が低いため、潜像保持体の表面に付着して離れなくなり、トナー付着を生じるおそれもある。また、逆にガラス転移温度がこの範囲を超える場合には、紙等の被印刷物の表面への定着性が低下するおそれがある。
なお、バインダ樹脂のガラス転移温度は、例えば示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した吸熱曲線における、比熱の変化点から求めることができる。具体的には、例えば、セイコーインスツルメンツ社製の示差走査熱量計DSC−6200を用い、測定試料10mgをアルミパン中に入れると共に、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲25〜200℃、昇温速度10℃/分で、常温、常圧下で測定を行って、得られた吸熱曲線における比熱の変化点から、バインダ樹脂のガラス転移温度を求めることができる。
電荷制御剤は、帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)を著しく向上させ、耐久性や安定性に優れた特性等を得るために配合されるものである。即ち、トナーを正帯電させて現像に供する場合には、正帯電性の電荷制御剤を添加し、負帯電させて現像に供する場合には、負帯電性の電荷制御剤を添加することができる。
このような電荷制御剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1、2、3−トリアジン、1、2、4−トリアジン、1、3、5−トリアジン、1、2、4−オキサジアジン、1、3、4−オキサジアジン、1、2、6−オキサジアジン、1、3、4−チアジアジン、1、3、5−チアジアジン、1、2、3、4−テトラジン、1、2、4、5−テトラジン、1、2、3、5−テトラジン、1、2、4、6−オキサトリアジン、1、3、4、5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリンなどのアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダ−クグリ−ンBH/C、アジンディ−プブラックEWおよびアジンディーブラック3RLなどのアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体などのニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZなどのニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を例示することができ、これらは、1種単独でも2種以上を併用して使用することもできる。特に、ニグロシン化合物は、より迅速な立ち上がり性が得られる観点から、正帯電性トナーとしての使用には最適である。
また、正帯電性の電荷制御剤として、特に、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩あるいはカルボキシル基を官能基として有するスチレン−アクリル系樹脂(スチレン−アクリル系共重合体)は、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる点で好適である。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するポリスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
特に、4級アンモニウム塩を官能基として有するスチレン−アクリル系共重合樹脂は、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる観点から、最適である。この場合において、上記スチレン単位と共重合させる好ましいアクリル系コモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ISO−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ISO−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸ISO−ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。また、4級アンモニウム塩としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートから第4級化の工程を経て誘導される単位が用いられる。誘導されるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジ(低級アルキル)アミノエチル(メタ)アクリレート;ジメチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが好適である。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有重合性モノマーを重合時に併用することもできる。
負帯電性を示す電荷制御剤としては、例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効で、その例としてはアルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3、5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム等があり、特にアセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体または塩が好ましく、特にサリチル酸系金属錯体またはサリチル酸系金属塩が好ましい。
電荷制御剤のトナー粒子中に占める割合は、0.5〜15質量%であるのが好ましく、0.5〜8.0質量%であるのがさらに好ましく、0.5〜7.0質量%であるのが特に好ましい。電荷制御剤の割合がこの範囲未満では、磁性トナーに安定した帯電特性を付与することが困難となり、画像濃度が低くなったり、耐久性が低下したりするおそれがある。また、バインダ樹脂に対する分散不良が起こりやすいことから、地カブリの原因となったり、分散されずに凝集した電荷制御剤が感光体を汚染したりするおそれもある。逆に、上記の範囲を超える場合には、磁性トナーの耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良を生じやすい。また、バインダ樹脂に対する分散不良が起こりやすいことから、地カブリの原因となったり、分散されずに凝集した電荷制御剤が感光体を汚染したりするおそれもある。
定着性やオフセット性を向上させるために使用されるワックス類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、テフロン系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックス等を使用することが好ましい。(テフロンは登録商標である。)また、これらワックスは2種以上を併用しても構わない。かかるワックスを添加することにより、オフセット性や像スミアリングをより効率的に防止することができる。
上述したワックス類は、特に制限されるものではないが、一般に、トナー中に(トナー全体量を100質量部とする)、1〜5質量部の量で配合されていることが好ましい。ワックス類の添加量が1質量部未満では、オフセット性や像スミアリング等を効率的に防止することができない傾向があり、一方、5質量部を超えると、トナー同士が融着してしまい、保存安定性が低下する傾向がある。
本発明のトナーは、前述したバインダ樹脂と電荷制御剤など各種のトナー配合剤とを混合し、押出機等の混練機を用いて溶融混練した後、これを冷却し、粉砕及び分級することにより得られる。また得られるトナー粒子は体積平均粒径5.0〜10.0μm、好ましくは5.0〜10.0μmであることが好ましい。これより小さいと流動性の低下やカブリの原因となってしまう。またこれより大きい場合には画質が低下してしまう。
また、製造された磁性トナーは、流動性や保存安定性、潜像保持体の表面からのクリーニング除去しやすさを示すクリーニング性等を向上させるため、その表面を、必要に応じて、例えばコロイダルシリカ、疎水性シリカ、アルミナ、酸化チタン等の微粒子(外添剤、通常は、平均粒径が1.0μm以下)によって表面処理してもよい。表面処理は、磁性トナーと外添剤とを乾式混合するのが好ましく、特に外添剤がトナー粒子の表面に埋め込まれるのを防止するために、ヘンシェルミキサーやナウターミキサー等を使用して混合するのが好ましい。外添剤の添加量は、トナー粒子に対して0.2〜10.0質量%であるのが好ましい。また外添剤は、必要に応じて、アミノシラン、シリコーンオイル、シラン系カップリング剤(ヘキサメチルジシラザン等)、チタン系カップリング剤等によって表面処理しても良い。
本発明において現像剤を構成するために用いるキャリアは、重量平均粒子径が20〜150μm、好ましくは20〜100μmとすることにより、現像領域における現像剤層のトナー濃度を高くすることができるため、高速機での現像条件においても画像濃度の高い良好な画像が得られる。本発明において現像剤を構成するキャリアの核体粒子としては、公知のものでよく例えば鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合物;前記強磁性体微粒子と樹脂との複合体等が挙げられる。
さらに本発明で用いられるキャリアは、より耐久性を長くする目的で、表面を樹脂で被覆することが好ましい。被覆層を形成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコン樹脂又はその変成品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成品);ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂等が挙げられる。
また本発明で用いられるキャリアは、その体積固有抵抗を制御するために被覆層中に導電性付与材料を分散しても良い。分散される導電性材付与は従来より公知の物でよく、例えば鉄、金、銅等の金属;フェライト、マグネタイト等の酸化鉄;カーボンブラック等の顔料が挙げられる。この中でも特にカーボンブラックの一つであるファーネスブラックとアセチレンブラックの混合物を用いることにより、少量の導電性微粉末の添加で効果的に導電性の調整が可能で、更に被覆層の耐摩耗性に優れたキャリアを得ることが可能となった。これらの導電性微粉末は、粒径0.01〜10μm程度のものが好ましく、被覆樹脂100重量部に対して2〜30重量部添加されることが好ましく、さらには5〜20重量部が好ましい。
また、キャリア被覆層中には核体粒子との接着性を向上させたり導電性付与剤の分散性を向上させる目的でシランカップリング剤、チタンカップリング剤等を添加しても良い。被覆層の形成法としては、従来と同様、キャリア核体粒子の表面に被覆層形成液を噴霧法、浸漬法等の手段で塗布すればよい。被覆層の厚さは0.1〜20μm、好ましくは0.2〜5.0μmである。
また本発明において、2成分現像剤とする際のトナーとキャリアの混合比は、キャリア100質量部に対してトナーを2.0〜20質量部とするのが好ましく、より好ましくは3.0〜15質量部である。トナー量を上記範囲以下にした場合はチャージアップが発生し、画像濃度の低下が発生する。一方、上記範囲以上にした場合はカブリやトナー飛散が発生する。
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。なお、言うまでもないが、以下の説明は本発明を例示するものであり、特に理由なく、以下の説明に本発明の範囲は限定されるものではない。
バインダ樹脂としてスチレン−アクリル共重合体(低分子量ピーク分子量8000、高分子量ピーク分子量130、500、ガラス転移点Tg55.0℃)70質量部に、磁性粉15質量部、離型剤としてのワックス(サゾールワックスH1、サゾール社製)5質量部、正電荷制御剤として4級アンモニウム塩(ボントロンP−51、オリエント化学社製)5質量部を、着色剤としてカーボンブラック5質量部をヘンシェルミキサーにて混合した後、2軸押出機にて溶融混練したのち冷却し、ハンマーミルにて粗粉砕した。機械式粉砕機にてさらに微粉砕したものを気流式分級機により分級し、体積平均粒径7.0μmのトナーを得た。なお用いた磁性粉は、粒子形状が8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体2形状で、かつ、その頂点1bおよび稜線1aが曲面状であって前記の方法で求められる比R1/R0であらわされるR値が0.95であると共に平均粒子径が0.20μmである磁性粉である。
第一鉄塩水溶液と該第一鉄塩水溶液の第一鉄塩に対し、0.08〜0.99当量の水酸化アルカリ水溶液とを反応させて得られた水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩反応水溶液に、70〜100℃の温度範囲に加熱しながら酸素含有ガスを通気してマグネタイトを生成させ、核晶粒子を生成させる第一段階の反応と、鉄の酸化反応率が50%を超えたところで水酸化アルカリ溶液を加えてpHを10以上とし、70〜100℃の温度範囲に加熱しながら酸素含有ガスを通気して第二段反応を行い、粒子形状が六面体及び八面体2を基本として該六面体及び八面体2の各稜線1aが曲面状であるマグネタイト粒子からなるトナー用磁性酸化鉄粒子を得た。
上記で得られたトナー粉体(磁性トナー)100質量部に対し、酸化チタン(EC−100、チタン工業社製)を1.0質量部、シリカ(RA−200H、日本アエロジル社製)を1.0質量部をヘンシェルミキサーにより、磁性トナー粉末の表面に付着させた(これを実施例1の現像剤に使用したトナーとする)。その他、磁性粉のみ変更した以外は上記実施例1のトナーと同様にしてトナー粉体を製造し、実施例2〜5および比較例1〜9の現像剤に使用したトナーを得た。表1にその詳細を示す。このようにして得られた磁性トナー10質量部を磁性キャリア(50μm、パウダーテック社製)100質量部とナウターミキサーにて混合することにより2成分現像剤を得た。
この2成分現像剤を用い、あらかじめ2成分現像方式へと改造した京セラミタ製デジタル複合機であるKM−1650改造機を用い、キャリアスペント、感光体の磁気ブラシ筋、トナー飛散状態、画像特性、現像剤帯電特性を評価した。なお各特性の評価方法は以下に、評価結果は表2に示す。なお、表1中の磁性粉の粒子形状の欄の符号は下記の通りである。
八−丸:八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状とされたもの。
八−角:八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状とされていないもの。通常の八面体(図1(c))。
八−面:八面体状で、かつ頂点および稜線が小さな平面で面取りされたもの(特許文献3の図6参照)。
立−角:立方体状で、かつ頂点および稜線が曲面状とされていないもの。通常の立方体(図1(b))。
立−面:立方体状で、かつ頂点および稜線が小さな平面で面取りされたもの。
球 :球状のもの(図1(a))。
初期時に上記ページプリンタにより画像評価パターンを印字して初期画像とし、その後、ISO4%原稿を15万枚連続通紙し、再度画像評価パターンを印字して耐久後画像とすると共に、それぞれソリッド画像をマクベス反射濃度計(RD914)を用いて測定し、同時にカブリを目視観察することにより画像特性評価を行った。画像濃度は1.30以上をOKとした。またカブリの評価は以下の判断基準を用いた。
○:カブリは見られない
△:ややカブリを生じている
×:カブリがひどい
現像器からのトナー飛散の状態については目視にて確認を行い、評価については以下の判断基準を用いた。
○:トナー飛散は生じていない
△:若干のトナー飛散が発生し、プリンタ内部が汚れているが、画像への影響はない
×:トナー飛散が発生してページプリンタ排気ファンより飛散したトナーが機外に排出され、さらに紙搬送経路にトナーが付着し、画像を汚している
キャリアへのトナーによるスペント状態の確認については、15万枚連続通紙を行った後の現像剤について確認を行なった。具体的には現像剤を635メッシュのフルイ上に置き、下方より吸引することでトナーのみを取り除き、フルイ上に残留したキャリアをTHF溶液に浸し、その上澄み液をGPCにて測定し、検出されたピーク面積よりキャリアに付着したトナー量の評価を行なった。キャリア1.0gに対するスペントしたトナー重量[mg]が0.50mg/g以上に達すると、画像濃度やカブリに影響が見られることから0.50mg/g未満をOKとした。
感光体ドラム上の磁気ブラシによる筋の状態については目視にて確認を行い、評価については以下の判断基準を用いた。
○:筋および傷は生じていない
△:微小な筋が感光体上に確認できるが、画像への影響はない
×:感光体上に明らかに筋が確認でき、さらに画像においてもムラとして確認できる
この表2からわかるとおり、磁性粉が八面体状で頂点および稜線が曲面状とされた八−丸の実施例1〜3では、飽和磁化が、5.0〜13.8Am2/kgの範囲にあり、磁性粉の効果によって良好な画像特性を示すと共に、キャリアへのスペントや感光体上の磁気ブラシ筋、トナー飛散なども問題なかった。この良好な特性は15万枚耐刷評価した後も維持された結果となり、高寿命のトナーとなっていることが分かる。
一方、磁性粉の飽和磁化が8.4Am2/kgではあるが八面体状で頂点および稜線が曲面状とされていない通常の八面体(図1(c)八−角)である比較例1、飽和磁化が8.1Am2/kgではあるが八面体状で頂点および稜線が小さな平面で面取りされた八−面(特許文献3の図6参照)の比較例2、飽和磁化が8.2Am2/kgではあるが立方体状で頂点および稜線が曲面状とされていない通常の立方体(図1(b)立−角)である比較例3、飽和磁化が7.7Am2/kgではあるが立方体状で頂点および稜線が小さな平面で面取りされた立−面の比較例4では、尖った頂点または稜線があるような形状の磁性粉を使用しているため、耐久後に感光体上で磁気ブラシ筋が発生した。
また、磁性粉の飽和磁化が7.9Am2/kgではあるが球状(図1(a))の比較例5ではスペントが発生し、耐久後にそれによるカブリの発生が見られた。さらに、実施例1〜3と同様磁性粉が八面体状で頂点および稜線が曲面状とされた八−丸ではあるが、飽和磁化が3.2Am2/kgと小さい比較例6では、トナーとキャリアの間に生じる磁気的吸引力により、トナー飛散あるいはトナー落ちといった問題の回避やカブリの発生を抑制するという、磁性粉を含有させることで本来得られる効果が得られず、トナー飛散やカブリの発生が見られた。
そして、実施例1〜3と同様磁性粉が八面体状で頂点および稜線が曲面状とされた八−丸で、飽和磁化が16.8Am2/kgと大きい比較例7では、逆に飽和磁化が高すぎるためにキャリアとのトナーの磁気拘束力が強すぎ、磁気ブラシにより感光体上に筋が発生し、また、同様の理由でキャリアへのスペントも発生した。
これらの結果から、磁性粉の形状が八面体状形状で頂点および稜線が曲面状とされた八−丸であり、かつ、トナーの測定磁場79.6kA/mにおける飽和磁化の最小値が3.2Am2/kg超、最大値が16.8Am2/kgより小の範囲である4.0〜15.0Am2/kgとすることが好ましいことがわかる。
なお、トナーの飽和磁化は、振動試料型磁力計(VSM−P7−15型:東英工業製)により、常温常湿(20℃、65%RH)で保管しておいたトナーを50mg程度採取し円筒形のセルに挿入して、測定磁場79.6kA/m(1kOe)において1分間でヒステリシスカーブを描かせて測定することができる。
このように本発明によれば、2成分現像剤用トナーに含有する磁性粉として多面体を基本とし、かつ該多面体の各頂点及び稜線が曲面状である粒子形状を有する磁性粉を使用することにより、2成分トナーとして適度な帯電量を維持しながら帯電量のすばやい立ち上がりやチャージアップ(過帯電)しない帯電特性を有し、その結果、良好な画像特性(画像濃度、かぶり)を長期にわたって得ることができると共に、2成分現像剤特有の問題である、トナー飛散、キャリアへのスペント、感光体ドラム上の磁気ブラシ筋などの発生しないトナーを得ることができ、良好な画像特性を維持しつつ、高寿命化するシステムにおいても2成分現像方式特有の様々な問題を回避して高耐久な2成分現像剤用磁性トナーと画像形成方法を得ることができる。