JP4644106B2 - 磁性トナーとそれを用いた画像形成方法 - Google Patents
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Description
この磁性1成分ジャンピング現像方法では、絶縁性の磁性トナーを用いているため、導電性のトナーを用いた場合には不可能であった、形成したトナー像を、電界を利用して、紙等の被印刷物の表面に転写することが可能となる。また、感光体が、電気的リークによって破壊されるのを防止することもできる。
帯電させやすいこと、
磁力によって磁性トナーを保持した状態で、現像剤担持体と十分に摩擦できること、
磁力によって磁性トナーを保持しつつ、静電潜像と非接触の状態で、静電潜像を現像できること
から、形成画像の非印字部分や余白部分にトナーが付着する地カブリの発生を防止して、画質の優れた画像を形成できるという利点もある。
トナー像を、被印刷物の表面に転写させた後に、感光層の表面に残留する磁性トナーの大半は、弾性ブレードによって、感光層の表面から掻き取られて除去される。しかし、その一部、すなわち、トナー粒子や、その破片としての磁性粉、樹脂片、あるいは、流動性、帯電性等を改善するために、磁性トナーに外添されるシリカ等の外添剤の一部は、弾性ブレードの先端部分、つまり、感光層への圧接部分に滞留する。そして、これらの滞留物が、弾性ブレードおよび感光層と、長期間に亘って摩擦されると、所定の帯電量以上に過帯電する、いわゆるチャージアップを生じ、その帯電量が、限界値、すなわち、感光層の耐圧値を超えると、その極微小領域に向かって放電(一点放電)して感光層を絶縁破壊させて、修復不能な欠陥を生じさせる場合がある。放電は、主に、弾性ブレードの先端部分の稜線部で発生する。
磁性粉としては、現在、6個の四角形で囲まれた凸多面体である六面体(立方体、直方体)状のものや、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体状のもの等の、多面体状の磁性粉と、球状の磁性粉とが一般的に用いられる。
ところが、多面体状の磁性粉を用いた磁性トナーは、磁性粉の、尖った頂点や、隣り合う面間の尖った稜線が、トナー粒子の表面に露出して、そこから電荷が放出されやすいため、電荷のリークが起こりやすい。また、多面体状の磁性粉は、流動性が低く、バインダ樹脂に対する分散性が悪いため、当該バインダ樹脂中に、均一に分散させるのが難しい。そのため、個々のトナー粒子における、磁性粉の分散状態や含有量に、ばらつきを生じやすいことから、個々の磁性トナーの、帯電のしやすさや帯電量などにも、ばらつきを生じやすい。
例えば、下記の各文献には、六面体や八面体などの多面体の頂点や稜線を、多面体を構成する各面よりも小さな平面によって、いわゆる面取りをした粒子形状を有する磁性粉が記載されている。
本発明の目的は、帯電量を速やかに立ち上がりやすくすると共に、帯電量を向上することと、チャージアップにより、a−Si感光層が、短期間で絶縁破壊するのを防止することの、相反する2つの特性に共に優れており、幅広い環境下で、より長期間に亘って、常に良好な画像を形成することができる磁性トナーと、それを用いた画像形成方法とを提供することにある。
上記の粒子形状を有する磁性粉は、頂点と稜線がいずれも曲面状とされ、電荷を放出しやすい尖った頂点や稜線を有しないため、特許文献1〜3に記載された、多面体の頂点や稜線を、小さな平面で面取りした磁性粉に比べて、磁性トナーに内包させた際に、電荷のリークを起こしにくくすることができる。
これに対し、八面体の各頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する磁性粉は、隣り合う面が交差する稜線や頂点が曲面で構成されているものの、その曲面の曲率半径が、同等の粒径を有する球状の磁性粉の曲率半径に比べて小さいため、電荷が集中しやすい頂点や稜線から、電荷を、適度な割合で放出させることができる。
また、発明者は、磁性粉の大きさについても検討した。その結果、
(1) 平均粒子径が0.01μm未満である磁性粉は、トナー粒子の表面に露出する割合が増加し、露出した磁性粉から電荷が放出されて、磁性トナーの帯電不足を招く結果、画像濃度が低下するという問題があり、
(2) 一方、平均粒子径が0.50μmを超える磁性粉は、逆に、トナー粒子の表面に露出する割合が減少し、露出した磁性粉から放出される電荷が少なくなって、磁性トナーのチャージアップを招く結果、特に画像形成を繰り返した際に、画像濃度が低下すると共に、a−Si感光層の絶縁破壊を防止することができないという問題があるため、
磁性粉の平均粒子径は、0.01〜0.50μmである必要があることを見出した。
〈磁性粉〉
磁性粉1としては、図1に二点鎖線および破線で示す、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体2を基本とし、かつ、同図中に実線で示すように、八面体2の各頂点および稜線が曲面状であると共に、例えば、図2に示す、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて撮影した写真(投影像)の外周部に、この投影像を簡略化した図3にも見るように、直線とみなせる部分3を有する粒子形状の磁性粉が用いられる。
一方、平均粒子径が0.50μmを超える磁性粉は、逆に、トナー粒子の表面に露出する割合が減少し、露出した磁性粉から放出される電荷が少なくなって、磁性トナーのチャージアップを招く結果、特に画像形成を繰り返した際に、画像濃度が低下するという問題がある。
磁性粉の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡によって撮影した写真(倍率1万倍)を4倍に拡大して、写真に写された300個の磁性粉について測定したマーチン径(円相当径)の平均値である。
鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性を示す金属やその合金、または、これらの元素を含む化合物、
強磁性元素を含まないが、適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、および
二酸化クロム
等からなるものを挙げることができ、中でもフェライト、マグネタイトからなる磁性粉が好ましい。特に、磁性トナーに、良好な磁気特性を付与することを考慮すると、磁性粉としては、Feに対して0.1〜10原子%の、Mn、Zn、Ni、Cu、Al、Ti、およびSiから選ばれる少なくとも1種の元素を含むマグネタイトによって形成した磁性粉を用いるのが好ましい。
すなわち、1.5mol/リットルのFe2+を含む硫酸第一鉄塩水溶液26.7リットルを、あらかじめ反応容器中に入れておいた、3.4Nの水酸化ナトリウム水溶液25.9リットル(Fe2+に対し1.10当量に相当する)に加え、90℃に加熱して、pHを10.5に維持しながら、水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩懸濁液を生成する。
次に、上懸濁液に、そのpHが6.5になるように、硫酸水溶液を添加した後、液温を90℃に維持しながら、毎分100リットルの空気を50分間に亘って吹き込んで、懸濁液中にマグネタイト粒子を生成させる。
バインダ樹脂としては、例えばポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等が挙げられ、特にポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。
ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;
ソルビトール、1,2,3,6−へキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエルスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、ジグリセリン、2−メチルプロバントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上のアルコール類などが挙げられる。
1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−へキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロへキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール3量体酸などの3価以上のカルボン酸類などが挙げられる。
バインダ樹脂は、その一部が架橋構造を有しているのが好ましい。一部に架橋構造を導入することによって、定着性を低下させることなく、磁性トナーの保存安定性や形態保持性、耐久性等を向上させることができる。バインダ樹脂の一部を架橋構造とするためには、架橋剤を添加して樹脂を架橋させたり、熱硬化性樹脂を配合したりすればよい。
バインダ樹脂のガラス転移温度Tgは、50〜65℃であるのが好ましく、50〜60℃であるのが、さらに好ましい。ガラス転移温度がこの範囲未満では、トナー粒子同士が融着しやすくなって、保存安定性が低下するおそれがある。また、樹脂の強度が低いため、感光体の表面に付着して離れなくなる、いわゆるトナー付着を生じるおそれもある。また、逆にガラス転移温度がこの範囲を超える場合には、紙等の被印刷物の表面への定着性が低下するおそれがある。
〈電荷制御剤〉
電荷制御剤は、磁性トナーの帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)を向上させると共に、耐久性や安定性を向上させるために配合される。電荷制御剤には、正帯電性のものと負帯電性のものとがあり、磁性トナーの帯電極性に合わせて、そのいずれか一方が配合される。
ワックスは、磁性トナーの、紙等の被印刷物の表面への定着性を向上させたり、定着時の磁性トナーが、画像形成装置の定着ローラ等に付着するオフセットを防止して、耐オフセット性を向上させたり、定着ローラ等に付着した磁性トナーが、被印刷物の表面に再付着して画像を汚す、像スミアリングを防止したりするために配合される。
〈磁性トナーの製造〉
本発明の磁性トナーは、上記の各成分を、ヘンシェルミキサー等のかく拌混合機を使用して混合し、次いで押出機等の混練機を用いて混練したのち、冷却し、さらに粉砕すると共に、必要に応じて分級することで製造される。また上記の各成分を湿式混合してもよい。かくして製造される本発明の磁性トナーは、体積基準の中心粒径が、5〜10μmであるのが好ましい。
a−Si感光体としては、例えば、ドラム状などの所定の形状に形成した導電性基体の表面に、a−Si感光層を形成したものが用いられ、特に、a−Si感光層の膜厚が30μm以下である、薄膜型のa−Si感光層を有するものが好適に用いられる。
a−Si感光層は、実際に感光層として機能する、単層もしくは2層以上の層の他に、キャリア阻止層や表面保護層等を有していてもよく、かかる積層構造を有するa−Si感光層の場合には、そのトータルの膜厚が、30μm以下であるのが好ましい。かかる薄膜型のa−Si感光層を有するa−Si感光体は、先に説明したように生産性に優れる上、解像度の高い画像を形成できるという利点がある。
a−Si感光層は、例えば、グロー放電分解法、スパッタリング法、ECR法、蒸着法などの気相成長法によって形成することができ、その形成にあたっては、a−Si感光層に、Hやハロゲン元素を含有させることもできる。またa−Si感光層の特性を調整するために、C、N、O等の元素を含有させたり、周期表(長周期型)の13族元素や15族元素を含有させたりしてもよい。
a−Si感光層の厚みは、前記のように30μm以下であるのが好ましいが、その中でも、特に、露光波長の光に対する、a−Si感光層の吸収係数から求まる光吸収の深さに対して、さらに0.1〜2.0μmを加えた厚みとするのが好ましい。また、a−Si感光層を、上記のように光励起層領域とキャリア輸送層領域とを積層した積層構造とする場合には、光励起層領域の厚みを、上記光吸収の深さにほぼ等しく設定するのが好ましい。
a−Si感光体の、a−Si感光層の表面に残留した磁性トナーを除去するためのクリーニング手段としては、a−Si感光層の表面に圧接させた弾性ブレードを用いる。また、弾性ブレードとしては、ゴムや軟質の樹脂等からなる、従来公知の種々の弾性ブレードを採用することができる。具体的には、例えばシリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ウレタン樹脂等からなる弾性ブレードが挙げられる。弾性ブレードは、磁性トナーを良好に除去すると共に、a−Si感光層の表面に圧接痕等を生じないことを考慮すると、10〜50g/cmの線圧で、a−Si感光層の表面に圧接させるのが好ましい。
本発明の画像形成方法は、固定磁石を内蔵して回転する現像剤担持体の表面に、クレーム1の磁性トナーの薄層を形成する工程と、上記現像剤担持体と、a−Siによって形成された、表面に静電潜像を保持するための感光層を備えるa−Si感光体とを、上記薄層と、感光層の表面とが接触しないように間隔を保持して対峙させた状態で、薄層から、磁性トナーを感光体の表面に飛翔させて、静電潜像をトナー像に顕像化する工程と、形成したトナー像を、被印刷物の表面に転写する工程と、トナー像を被印刷物の表面に転写後の感光層の表面に残留する磁性トナーを、当該表面に圧接された弾性ブレードを用いて除去する工程とを含むことを特徴としている。
現像剤担持体としては、従来公知の種々の材料からなるものを用いることができ、特に、アルミニウム製またはステンレス鋼製の現像剤担持体を用いるのが好ましい。
〈その他〉
a−Si感光層の表面に、静電潜像を保持させるためには、従来同様に、スコロトロン帯電器等を用いてa−Si感光層の表面を一様に帯電させた後、半導体レーザー、発光ダイオード等の露光手段によって露光して、露光部分の電荷を除去すればよい。
転写ローラとしては、例えば、発泡EPDM等の軟質の発泡体からなるローラが好ましい。転写ローラとして発泡体のローラを使用した場合には、紙詰まり等が発生した際に、転写ローラに付着したトナーが、発泡体の気泡中に入り込むことによって、運転再開時における、被印刷物の裏汚れ等を防止することができる。したがって、転写ローラのクリーニングが不要になって、イニシャルコストおよびランニングコストを低減することができる。
転写ローラは、a−Si感光層の表面に接触させた状態で、a−Si感光層の表面に対して、3〜5%の線速差をつけて回転させるのが好ましい。線速差が3%未満では、トナー像の転写性が低下して、文字の中抜け等を生じるおそれがあり、5%を超える場合には、a−Si感光層表面に対するスリップ量が大きくなって、転写像のずれ、いわゆるジッタが大きくなるおそれがある。
(平均粒子径の測定)
透過型電子顕微鏡によって撮影した写真(倍率1万倍)を4倍に拡大して、写真に写された300個の磁性粉についてマーチン径(円相当径)を測定し、その平均値を求めて、磁性粉の平均粒子径とした。
バインダ樹脂としては、ゲルパーミェーションクロマトグラフィーによって測定した分子量分布のうち、分子量8000と分子量130500に分子量分布のピークがあり、なおかつ、ガラス転移温度Tgが55℃であるスチレン−アクリル系樹脂を用いた。
バインダ樹脂の、ゲルパーミェーションクロマトグラフィーによる分子量分布の測定は、下記の手順で実施した。測定装置としては、高速GPG装置〔東ソー(株)製のHLC−8220GPC〕を用いた。測定用のカラムとしては、ポリスチレンゲルカラム〔東ソー(株)製のTSKgel GMHXL〕を2本、直列に接続して用いた。検出器としては、RI検出器を用いた。検量線作成のための標準試料としては、分子量分布が単分散で、かつ、分子量が、3.84×106、1.09×106、3.55×105、1.02×105、4.39×104、9.10×103、および2.98×103の、7種の、東ソー(株)製のTSK標準ポリスチレンを使用した。
カラムを、40℃のヒートチャンバ中で、静置して安定化させた後、前記温度を維持しながら、前記カラム中に、まず、テトラヒドロフランを、1ml/minの流速で流し、次いで、測定試料を、約1μl注入して測定を行った。
磁性粉としては、Feに対して1.1原子%のZnを含むマグネタイトからなり、粒子形状が、図1〜図3に示すように、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体を基本とし、八面体の各頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する、平均粒子径が0.22μmである磁性粉を用いた。
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体状で、かつその頂点および稜線が曲面状とされていない、平均粒子径が0.22μmである磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体を基本とし、八面体の各頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有しない、平均粒子径が0.24μmである磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体状で、かつその頂点および稜線が、特許文献1の図6(b)に見るように、八面体を構成する各面よりも小さな平面によって面取りされた、平均粒子径が0.20μmである磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が立方体状で、かつその頂点および稜線が曲面状とされていない、平均粒子径が0.20μmである磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が立方体状で、かつその頂点および稜線が、特許文献1の図6(f)に見るように、立方体を構成する各面よりも小さな平面によって面取りされた、平均粒子径が0.20μmである磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が球状で、かつその平均粒子径が0.22μmである磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
上記各実施例、比較例の磁性トナー100質量部に、シリカ〔日本アエロジル(株)製のRA−200H〕1.0質量部と、酸化チタン〔チタン工業(株)製のEC−100〕2.0質量部とを加え、ヘンシェルミキサーを用いて混合した後、感光体としてa−Si感光体を搭載した、磁性1成分ジャンピング現像方式のページプリンタ〔京セラミタ(株)製のFS−3830N〕に使用して実際に画像形成を行った際の、下記の各特性を評価した。
(A) 常温、常湿試験:
上記ページプリンタを、温度20℃、相対湿度65%RHの常温、常湿環境中に8時間、静置して状態を安定させた後、同じ常温、常湿環境中で下記の各特性を評価した。
(1) 画像濃度:
上記ページプリンタを用いて、印字率5%の標準パターンを画像形成した1枚目の画像(初期画像)の画像濃度と、ISO4%原稿を30万枚、連続画像形成した後、印字率5%の標準パターンを画像形成した画像(耐久後画像)の画像濃度とを、それぞれマクベス反射濃度計〔グレタグ・マクベス社製のRD914〕を用いて測定した。そして、画像濃度が1.30以上のものを合格、1.30未満のものを不合格として評価した。
(2) 地カブリ:
上記(1)で形成した初期画像および耐久後画像の余白部分を観察して、地カブリの有無を、下記の基準で評価した。
△:地カブリが僅かに見られた。
×:強い地カブリが見られた。
(3) 薄層の状態:
上記初期画像および耐久後画像の形成時に、現像剤保持体の表面に形成されたトナーの薄層を観察して、その状態を下記の基準で評価した。
△:不規則に厚みの薄い部分、厚い部分が見られたが、形成画像には影響がなかった。
×:不規則に厚みの薄い部分、厚い部分が見られ、形成画像にも影響が見られた。
(4) クリーニング性:
初期画像形成時、および耐久後画像形成時のa−Si感光体の周辺、および形成画像を観察した。そして、a−Si感光体の周辺の観察では、クリーニング不良が原因で発生する、下記不良の有無を調べた。
(a) a−Si感光層と、弾性ブレードとの圧接部分に、トナーが噛み込んでいるか否か。
(b) a−Si感光層の表面に、トナー成分や紙粉等が付着しているか否か。
(c) a−Si感光層の表面に、傷があるか否か。
○:感光体周辺、および形成画像のいずれにも不良は見られなかった。
△:感光体周辺に不良が見られたが、形成画像には不良は見られなかった。
×:感光体周辺に不良が見られ、形成画像にも不良が見られた。
(5) 画質:
上記ページプリンタを用いて、写真原稿を画像形成した1枚目の写真画像(初期画像)と、ISO4%原稿を30万枚、連続画像形成した後、同じ写真原稿を画像形成した写真画像(耐久後画像)とを観察して、それぞれの画質を、下記の基準で評価した。
△:画像の一部に、ザラツキ感があり、均一さに欠ける部分があったが、実用上、問題ない範囲であった。
×:全体にザラツキ感があり、不均一で粗い画像であった。
(6) 微小黒点:
a−Si感光層の表面に形成したトナー像が、紙に転写されずに、弾性ブレードまで搬送されるテストモードと、通常の、トナー像が紙に転写されるノーマルモードとを選択できるように、上記ページプリンタを改造した改造機を用意した。
○:微小な黒点の数は、0個であった。
×:微小な黒点の数は、20〜1000個であった。画像の外観を見ると、微小な黒点が大量に発生して、黒い帯のように見えたことから、形成画像に影響があると判断した。
(B) 高温、高湿試験:
常温、常湿試験で使用したのと同じページプリンタを、温度33℃、相対湿度85%RHの高温、高湿環境中に8時間、静置して状態を安定させた後、同じ高温、高湿環境中で、先に示した(1)〜(6)の各試験と、下記の像流れ試験とを行って、その特性を評価した。
(7) 像流れ:
高温、高湿環境中で、上記ページプリンタを用いて、ISO4%原稿を5000枚、連続画像形成し、次いで、12時間、静置して状態を安定させた後、ハーフトーンと文字の原稿を画像形成し、形成した画像を観察して、像流れの有無を、下記の基準で評価した。
△:像流れは許容範囲内であり、文字に、かすかなにじみが見られた程度であった。
×:像流れが顕著で、ハーフトーンが抜けると共に、文字が流れていた。
(C) 低温、低湿試験:
常温、常湿試験で使用したのと同じページプリンタを、温度10℃、相対湿度20%RHの低温、低湿環境中に8時間、静置して状態を安定させた後、同じ低温、低湿環境中で、先に示した(1)〜(6)の各試験を行って、その特性を評価した。
八−丸:八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状とされていると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有するもの。
八−角:八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状とされていないもの。通常の八面体。
八−面:八面体状で、かつ頂点および稜線が小さな平面で面取りされたもの。
立−角:立方体状で、かつ頂点および稜線が曲面状とされていないもの。通常の立方体。
球:球状のもの。
《磁性粉の形状検討II》
実施例2〜5、比較例7、8:
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体状で、かつその頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する、平均粒子径が0.006μm(比較例7)、0.016μm(実施例2)、0.083μm(実施例3)、0.33μm(実施例4)、0.39μm(実施例5)、および0.64μm(比較例8)である磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
結果を、実施例1の結果と併せて表7〜12に示す。
2 八面体
3 直線とみなせる部分
Claims (7)
- アモルファスシリコンによって形成された、表面に静電潜像を保持するための感光層を備え、当該感光層の表面に保持した静電潜像を、トナー像に顕像化した後、被印刷物の表面に転写して画像形成するためのアモルファスシリコン感光体と、画像形成後の感光層の表面に残留するトナーを除去するために、当該表面に圧接される弾性ブレードとを用いる画像形成方法に使用される磁性トナーであって、バインダ樹脂で形成されたトナー粒子中に、平均粒径が0.01〜0.5μmで、かつ、その粒子形状が、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体を基本とし、上記八面体の各頂点および稜線が曲面状であって電荷の放出点となる尖った頂点や稜線を有さず、かつその投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する磁性粉が内包されたことを特徴とする磁性トナー。
- 磁性粉の平均粒径が0.05〜0.35μmである請求項1記載の磁性トナー。
- 磁性粉が、Feに対して0.1〜10原子%の、Mn、Zn、Ni、Cu、Al、Ti、およびSiから選ばれた少なくとも1種の元素を含むマグネタイトによって形成されている請求項1記載の磁性トナー。
- 磁性粉の含有率が35〜60質量%である請求項1記載の磁性トナー。
- 感光層の膜厚が30μm以下であるアモルファスシリコン感光体を用いる画像形成方法に使用される請求項1記載の磁性トナー。
- 固定磁石を内蔵して回転する現像剤担持体の表面に、請求項1記載の磁性トナーの薄層を形成する工程と、上記現像剤担持体と、アモルファスシリコンによって形成された、表面に静電潜像を保持するための感光層を備えるアモルファスシリコン感光体とを、上記薄層と、感光層の表面とが接触しないように間隔を保持して対峙させた状態で、薄層から、磁性トナーを感光体の表面に飛翔させて、静電潜像をトナー像に顕像化する工程と、形成したトナー像を、被印刷物の表面に転写する工程と、トナー像を被印刷物の表面に転写後の感光層の表面に残留する磁性トナーを、当該表面に圧接された弾性ブレードを用いて除去する工程とを含むことを特徴とする画像形成方法。
- アモルファスシリコン感光体として、感光層の膜厚が30μm以下であるものを用いる請求項6記載の画像形成方法。
Priority Applications (1)
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