JP4644106B2 - 磁性トナーとそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁性トナーと、それを用いる画像形成方法に関するものである。
電子写真法、静電記録法、静電印刷法等を利用したレーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、およびこれらの複合機などの画像形成装置においては、感光体の表面を、帯電手段によって一様に帯電させ、次いで、半導体レーザー、発光ダイオード等の露光手段によって露光して、上記表面に、静電潜像を形成した後、この静電潜像を、現像手段によって現像してトナー像に顕像化する。次に、このトナー像を、転写手段によって、紙などの被印刷物の表面に直接に転写するか、もしくは、中間転写体の表面に転写し、次いで、紙などの被印刷物の表面に再転写した後、定着手段によって、上記表面に定着させることで、一連の画像形成の工程が完了する。
静電潜像をトナー像に現像するための現像方法としては、大別して、乾式、湿式の2つがあるが、現在は、乾式の現像方法が広く普及している。また、乾式の現像方法は、使用するトナーの種類を基準として分類すると、バインダ樹脂からなるトナー粒子中に磁性粉を内包した磁性トナーを用いる現像方法(磁性1成分現像方法、磁性2成分現像方法等)と、磁性粉を内包しない非磁性トナーを用いる現像方法(非磁性1成分現像方法、非磁性2成分現像方法等)とに別けられる。
このうち、磁性1成分現像方法においては、磁性トナーを、固定磁石を組み込んだ現像剤担持体上に薄層化しながら供給し、次いで、この薄層化した磁性トナーにより、感光体の表面の静電潜像を、トナー像に現像することが行われる。また、磁性1成分現像方法としては、導電性を有する磁性トナーを用いる現像方法と、絶縁性の磁性トナーを用いる、磁性1成分ジャンピング現像方法と呼ばれる現像方法とがあり、現在は、後者の磁性1成分ジャンピング現像方法が、広く普及している。
この磁性1成分ジャンピング現像方法においては、まず、磁性トナーを、固定磁石を内蔵して回転する現像剤担持体と、当該現像剤担持体に近接させて配設した磁性ブレードとの隙間を通過させることによって摩擦帯電させながら、現像剤担持体の表面に供給して、内蔵した固定磁石の磁力によって保持させることで、現像剤担持体の表面に、磁性トナーの薄層を形成する。
次いで、形成した薄層と接触しないように間隙を保持して対峙させた、静電潜像を保持する感光体と、現像剤担持体との間に、直流のバイアス電圧、または直流に交流を重畳したバイアス電圧を印加することによって、帯電した磁性トナーを、薄層から、感光体の表面に飛翔させて、静電潜像を、トナー像に顕像化する。
この磁性1成分ジャンピング現像方法では、絶縁性の磁性トナーを用いているため、導電性のトナーを用いた場合には不可能であった、形成したトナー像を、電界を利用して、紙等の被印刷物の表面に転写することが可能となる。また、感光体が、電気的リークによって破壊されるのを防止することもできる。
また、絶縁性の磁性トナーは、
帯電させやすいこと、
磁力によって磁性トナーを保持した状態で、現像剤担持体と十分に摩擦できること、
磁力によって磁性トナーを保持しつつ、静電潜像と非接触の状態で、静電潜像を現像できること
から、形成画像の非印字部分や余白部分にトナーが付着する地カブリの発生を防止して、画質の優れた画像を形成できるという利点もある。
上記磁性1成分ジャンピング現像方法に用いる感光体としては、他の現像方法の場合と同様に、有機および無機の種々の感光体が挙げられるが、特に、その耐久性等を考慮すると、導電性基体上にアモルファスシリコン(以下「a−Si」と記載することがある)によって形成された感光層(a−Si感光層)を備えるa−Si感光体が、好適に使用される。a−Si感光体は、例えば、バインダ樹脂中に、顔料や電荷輸送剤等を含有させた有機の感光層(以下「有機感光層」と記載することがある)を有する有機感光体と比べて、画像形成枚数で表して、およそ10倍以上という高い耐久性を有している。これは、被印刷物や、次に述べる弾性ブレード等と摺擦されることによって摩耗して、感光層の厚みが減少する速度が、a−Si感光層の場合、有機感光層の、およそ1/100以下であり、摩耗しにくいことが主な原因である。
また、トナー像を、紙等の被印刷物の表面に転写した後、感光層の表面に残留する磁性トナーを除去するためのクリーニング手段としては、可動部分を極力少なくして、画像形成装置のコンパクト化、機構の簡素化等を図ることを考慮すると、当該感光層の表面に圧接させた弾性ブレードが好適に使用される。
トナー像を、被印刷物の表面に転写させた後に、感光層の表面に残留する磁性トナーの大半は、弾性ブレードによって、感光層の表面から掻き取られて除去される。しかし、その一部、すなわち、トナー粒子や、その破片としての磁性粉、樹脂片、あるいは、流動性、帯電性等を改善するために、磁性トナーに外添されるシリカ等の外添剤の一部は、弾性ブレードの先端部分、つまり、感光層への圧接部分に滞留する。そして、これらの滞留物が、弾性ブレードおよび感光層と、長期間に亘って摩擦されると、所定の帯電量以上に過帯電する、いわゆるチャージアップを生じ、その帯電量が、限界値、すなわち、感光層の耐圧値を超えると、その極微小領域に向かって放電(一点放電)して感光層を絶縁破壊させて、修復不能な欠陥を生じさせる場合がある。放電は、主に、弾性ブレードの先端部分の稜線部で発生する。
a−Si感光層は、本来的に絶縁破壊に弱いため、上記の絶縁破壊を生じやすい。そのため、a−Si感光層を備えたa−Si感光体と、弾性ブレードと、磁性トナーとを用いて、磁性1成分ジャンピング現像法によって画像形成を繰り返すと、短期間で、上記のメカニズムによって異常放電(一点放電、火花放電)が発生し、a−Si感光層が絶縁破壊されて、欠陥を生じるおそれがある。そして、a−Si感光層に欠陥を生じたa−Si感光体を用いて画像形成を続けると、当該欠陥の部分は、後述するキャリア阻止層が破壊される等して、帯電工程で帯電させることができないため、形成した画像に微小な黒点を生じるという問題がある。
チャージアップの主な原因は、発明者の検討によると、磁性トナーに内包される磁性粉の形状にある。
磁性粉としては、現在、6個の四角形で囲まれた凸多面体である六面体(立方体、直方体)状のものや、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体状のもの等の、多面体状の磁性粉と、球状の磁性粉とが一般的に用いられる。
このうち、多面体状の磁性粉を用いた磁性トナーにおいては、トナー粒子の表面に露出した磁性粉の尖った頂点や、隣り合う面間の尖った稜線から電荷が放出されやすいことから、磁性トナーが、弾性ブレードの先端部分に滞留して、長期間に亘って摩擦されても、a−Si感光層が絶縁破壊を起こす前に、その帯電電荷を、上記頂点や稜線を通して放出させて、トナー粒子がチャージアップするのを防止することができる。そのため、a−Si感光層の絶縁破壊は起こりにくい。
しかし、球状の磁性粉を用いた磁性トナーは、その表面に尖った頂点や稜線が露出しておらず、電荷が放出されにくい。そのため、磁性トナーが弾性ブレードの先端部分に滞留して、長期間に亘って摩擦された際にはチャージアップを生じやすく、その帯電量が耐圧値を超えると、a−Si感光層を、前記のように絶縁破壊させて、それ以降の形成画像に微小な黒点を生じさせることになる。
そのため、チャージアップの防止のみを考慮すれば、多面体状の磁性粉を使用するのが好ましいことになる。
ところが、多面体状の磁性粉を用いた磁性トナーは、磁性粉の、尖った頂点や、隣り合う面間の尖った稜線が、トナー粒子の表面に露出して、そこから電荷が放出されやすいため、電荷のリークが起こりやすい。また、多面体状の磁性粉は、流動性が低く、バインダ樹脂に対する分散性が悪いため、当該バインダ樹脂中に、均一に分散させるのが難しい。そのため、個々のトナー粒子における、磁性粉の分散状態や含有量に、ばらつきを生じやすいことから、個々の磁性トナーの、帯電のしやすさや帯電量などにも、ばらつきを生じやすい。
したがって、多面体状の磁性粉を用いた磁性トナーは、帯電量が速やかに立ち上がりにくい上、帯電量自体も低くなってしまい、結果として、画像濃度の低下や地カブリの発生といった画像欠陥を生じやすいという問題がある。また、上記磁性トナーは、画像形成時の温度、湿度環境によって、帯電のしやすさや帯電量が変動しやすく、特に、高温、高湿環境などの、帯電しにくい環境下において、上記の画像欠陥を、さらに生じやすくなるという問題もある。
そこで、球状の磁性粉と、多面体状の磁性粉の、両方の長所を活かすために、様々な粒子形状を有する磁性粉が検討されている。
例えば、下記の各文献には、六面体や八面体などの多面体の頂点や稜線を、多面体を構成する各面よりも小さな平面によって、いわゆる面取りをした粒子形状を有する磁性粉が記載されている。
特開平11−153882号公報(請求項1、第0010欄、第0012欄、第0014欄、第0017欄〜第0018欄、図6、図7) 特開2000−162817号公報(請求項1、第0014欄、第0016欄、第0021欄〜第0022欄、図6、図7) 特開2000−242029号公報(請求項1、第0014欄、第0017欄、第0024欄〜第0025欄、図6、図7)
しかし、これらの文献に記載された磁性粉においても、依然として、多面体を構成する面と、面取りした小さな平面との間には、尖った稜線が存在し、この稜線から電荷が放出されやすいため、磁性トナーから電荷がリークしやすく、画像濃度の低下や、地カブリの発生といった画像欠陥を生じるおそれがある。
本発明の目的は、帯電量を速やかに立ち上がりやすくすると共に、帯電量を向上することと、チャージアップにより、a−Si感光層が、短期間で絶縁破壊するのを防止することの、相反する2つの特性に共に優れており、幅広い環境下で、より長期間に亘って、常に良好な画像を形成することができる磁性トナーと、それを用いた画像形成方法とを提供することにある。
上記課題を解決するため、発明者は、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体を基本とし、かつ八面体の各頂点および稜線が曲面状である粒子形状を有する磁性粉を使用することを検討した。
上記の粒子形状を有する磁性粉は、頂点と稜線がいずれも曲面状とされ、電荷を放出しやすい尖った頂点や稜線を有しないため、特許文献1〜3に記載された、多面体の頂点や稜線を、小さな平面で面取りした磁性粉に比べて、磁性トナーに内包させた際に、電荷のリークを起こしにくくすることができる。
また、この磁性粉は、上記のように、多面体の頂点や稜線をいずれも曲面状としているため、流動性、およびバインダ樹脂に対する分散性に優れており、バインダ樹脂中に均一に分散させるのが容易であって、個々のトナー粒子における、磁性粉の分散状態にばらつきが生じるのを防止して、個々の磁性トナーの、帯電のしやすさや帯電量などを、均一化することができる。
しかも、この磁性粉は、基本形状が八面体であるため、当該八面体を構成する、頂点または稜線を挟んで隣り合う面のいずれか、もしくは頂点を挟んで隣り合う稜線のいずれかは、必ず、90°未満の鋭角で交わっており、この、面または稜線が鋭角で交わった頂点や、面が鋭角で交わった稜線は、いずれも曲面状とされているものの、電荷が集中しやすい傾向がある。そのため、上記頂点や稜線から、電荷を、適度な割合で放出させることができ、磁性トナーに内包させた際に、チャージアップを起こりにくくして、a−Si感光層の絶縁破壊を防止することができる。
ただし、上記の粒子形状であっても、曲面状とした頂点および稜線の曲率半径が大きすぎる場合には、上記頂点や稜線から、電荷を、適度な割合で放出させて、磁性トナーのチャージアップを起こりにくくして、a−Si感光層の絶縁破壊を防止する効果が得られない。そこで、発明者は、透過型電子顕微鏡等を用いて撮影した磁性粉の投影像から、曲面状とした頂点および稜線の曲率半径の範囲を規定することを検討した。
その結果、八面体の各頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する磁性粉を用いれば、電荷が集中しやすい頂点や稜線から、電荷を、適度な割合で放出させることができ、頂点や稜線を曲面状としない磁性粉を用いる場合に比べて、電荷のリークを起こりにくくしながら、なおかつ、磁性トナーのチャージアップを起こりにくくして、a−Si感光層の絶縁破壊を防止できることを見出した。
すなわち、曲面状とした頂点や稜線の曲率半径が大きすぎて、隣り合う曲面が繋がってしまい、投影像の外周部に直線とみなせる部分を有しない、球状に近い磁性粉は、球状のものと同様に、磁性トナーのチャージアップを起こりにくくして、a−Si感光層の絶縁破壊を防止する効果が得られない。
これに対し、八面体の各頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する磁性粉は、隣り合う面が交差する稜線や頂点が曲面で構成されているものの、その曲面の曲率半径が、同等の粒径を有する球状の磁性粉の曲率半径に比べて小さいため、電荷が集中しやすい頂点や稜線から、電荷を、適度な割合で放出させることができる。
そのため、当該磁性粉を磁性トナーに内包させた際に、頂点や稜線を曲面状としない磁性粉を用いる場合に比べて電荷のリークを起こりにくくしながら、なおかつ、磁性トナーのチャージアップを起こりにくくして、a−Si感光層の絶縁破壊を防止することが可能となる。
また、発明者は、磁性粉の大きさについても検討した。その結果、
(1) 平均粒子径が0.01μm未満である磁性粉は、トナー粒子の表面に露出する割合が増加し、露出した磁性粉から電荷が放出されて、磁性トナーの帯電不足を招く結果、画像濃度が低下するという問題があり、
(2) 一方、平均粒子径が0.50μmを超える磁性粉は、逆に、トナー粒子の表面に露出する割合が減少し、露出した磁性粉から放出される電荷が少なくなって、磁性トナーのチャージアップを招く結果、特に画像形成を繰り返した際に、画像濃度が低下すると共に、a−Si感光層の絶縁破壊を防止することができないという問題があるため、
磁性粉の平均粒子径は、0.01〜0.50μmである必要があることを見出した。
したがって、本発明は、a−Siによって形成された、表面に静電潜像を保持するための感光層を備え、当該感光層の表面に保持した静電潜像を、トナー像に顕像化した後、被印刷物の表面に転写して画像形成するためのa−Si感光体と、画像形成後の感光層の表面に残留するトナーを除去するために、当該表面に圧接される弾性ブレードとを用いる画像形成方法に使用される磁性トナーであって、バインダ樹脂で形成されたトナー粒子中に、平均粒径が0.01〜0.5μmで、かつ、その粒子形状が、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体を基本とし、上記八面体の各頂点および稜線が曲面状であって電荷の放出点となる尖った頂点や稜線を有さず、かつその投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する磁性粉が内包されたことを特徴とする磁性トナーである。
また、上記(1)(2)の問題が生じるのを防止する効果を、さらに向上することを考慮すると、磁性粉の平均粒子径は、上記の範囲内でも、特に、0.05〜0.35μmであるのが好ましい。また、磁性粉としては、磁性トナーに良好な磁気特性を付与することを考慮すると、Feに対して0.1〜10原子%の、Mn、Zn、Ni、Cu、Al、Ti、およびSiから選ばれる少なくとも1種の元素を含む、マグネタイト(四三酸化鉄)からなるものを用いることが好ましい。また、同様の理由で、磁性粉の、トナー粒子中に占める割合は、35〜60質量%であるのが好ましい。
また、本発明の磁性トナーは、感光層の膜厚が30μm以下であるa−Si感光体を用いる画像形成方法に使用するのが好ましい。a−Si感光体の最大のデメリットは、その生産性の低さにある。すなわち、a−Si感光体は、導電性基体の表面に、例えば、CVD法等の気相成長法によって、a−Si感光層を成膜することで製造されるが、かかる気相成長法では、バインダ樹脂等を含む塗布液を、導電性基体上に塗布して、乾燥させるだけで形成できる有機感光層に比べて、所定の厚みを有する感光層を形成するために要する時間が、著しく長くかかる上、気相成長法は、バッチ式であって連続的な生産ができないため、どうしても生産性が低くなってしまう。
そこで、a−Si感光層が、有機感光層に比べて摩耗しにくいことを利用して、その厚みを、これまでよりも小さくして、a−Si感光体の生産性を向上することが一般化しつつある。すなわち、これまでは30〜60μm程度あったa−Si感光層の厚みを30μm以下にした、薄膜型のa−Si感光層を備えたa−Si感光体が、普及し始めている。薄膜型のa−Si感光層の主なメリットは、言うまでもなく、従来のものに比べて生産性に優れることであるが、さらには、薄膜化した方が、形成画像の解像度が向上するというメリットもある。
しかし、a−Si感光層は、本来的に、絶縁破壊に弱く、特に薄膜型とした場合には、通常よりも耐圧値が低くなるため、さらに、絶縁破壊を生じやすくなる。つまり、絶縁破壊によるa−Si感光層の欠陥の発生は、感光体の針耐圧(V)に依存するところが大きく、当該a−Si感光層の膜厚が小さければ小さいほど、絶縁破壊による欠陥が発生しやすくなる。そのため、かかる薄膜型のa−Si感光層を備えたa−Si感光体と、弾性ブレードと、従来の、球状の磁性粉を含む磁性トナーとを組み合わせた場合には、チャージアップにより、極めて短期間で、a−Si感光層が絶縁破壊するおそれがある。
しかし、薄膜型のa−Si感光層を備えたa−Si感光体を、チャージアップを防止する効果に優れた前記本発明の磁性トナーと組み合わせた場合には、上に述べた生産性の良さや形成画像の解像度の向上といった、薄膜型のa−Si感光層の利点を生かしつつ、チャージアップによって、短期間でa−Si感光層が絶縁破壊するのを防止して、より長期に亘って良好な画像を形成し続けることが可能となる。
本発明は、固定磁石を内蔵して回転する現像剤担持体の表面に、クレーム1の磁性トナーの薄層を形成する工程と、上記現像剤担持体と、a−Siによって形成された、表面に静電潜像を保持するための感光層を備えるa−Si感光体とを、上記薄層と、感光層の表面とが接触しないように間隔を保持して対峙させた状態で、薄層から、磁性トナーを感光体の表面に飛翔させて、静電潜像をトナー像に顕像化する工程と、形成したトナー像を、被印刷物の表面に転写する工程と、トナー像を被印刷物の表面に転写後の感光層の表面に残留する磁性トナーを、当該表面に圧接された弾性ブレードを用いて除去する工程とを含むことを特徴とする画像形成方法である。
本発明の画像形成方法においては、a−Si感光体として、感光層の膜厚が30μm以下であるものを用いるのが好ましい。
《磁性トナー》
〈磁性粉〉
磁性粉1としては、図1に二点鎖線および破線で示す、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体2を基本とし、かつ、同図中に実線で示すように、八面体2の各頂点および稜線が曲面状であると共に、例えば、図2に示す、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて撮影した写真(投影像)の外周部に、この投影像を簡略化した図3にも見るように、直線とみなせる部分3を有する粒子形状の磁性粉が用いられる。
上記磁性粉1は、電荷の放出点となる尖った頂点や稜線を有しないため、先に説明したように、磁性トナーに内包させた際に、電荷のリークを起こしにくい上、流動性、およびバインダ樹脂に対する分散性に優れており、バインダ樹脂中に均一に分散させるのが容易であって、個々のトナー粒子における磁性粉の分散状態にばらつきが生じるのを防止して、個々の磁性トナーの、帯電のしやすさや帯電量などを、均一化することができる。
また、上記磁性粉1は、基本形状が八面体であるため、当該八面体を構成する、頂点又は稜線を挟んで隣り合う面のいずれか、もしくは頂点を挟んで隣り合う稜線のいずれかが、必ず90°未満の鋭角で交わっており、この、隣り合う面または稜線が鋭角で交わった頂点や、隣り合う面が鋭角で交わった稜線に、電荷が集中しやすい。その上、上記磁性粉1は、投影像の外周部に直線とみなせる部分3を有し、八面体の隣り合う面が交差する稜線や頂点が曲面で構成されているものの、その曲面の極率半径が、同等の粒径を有する球状の磁性粉の極率半径に比べて小さい。そのため、上記磁性粉1によれば、電荷が集中しやすい頂点や稜線から、電荷を、適度な割合で放出させることができる。
上記磁性粉1は、平均粒子径が0.01〜0.50μmである必要がある。平均粒子径が0.01μm未満である磁性粉は、トナー粒子の表面に露出する割合が増加し、露出した磁性粉から電荷が放出されて、磁性トナーの帯電不足を招く結果、画像濃度が低下するという問題がある。
一方、平均粒子径が0.50μmを超える磁性粉は、逆に、トナー粒子の表面に露出する割合が減少し、露出した磁性粉から放出される電荷が少なくなって、磁性トナーのチャージアップを招く結果、特に画像形成を繰り返した際に、画像濃度が低下するという問題がある。
なお、これらの問題が生じるのを防止する効果を、さらに向上することを考慮すると、磁性粉の平均粒子径は、上記の範囲内でも、特に、0.05〜0.35μmであるのが好ましく、0.15〜0.30μmであるのがさらに好ましい。
磁性粉の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡によって撮影した写真(倍率1万倍)を4倍に拡大して、写真に写された300個の磁性粉について測定したマーチン径(円相当径)の平均値である。
磁性粉としては、
鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性を示す金属やその合金、または、これらの元素を含む化合物、
強磁性元素を含まないが、適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、および
二酸化クロム
等からなるものを挙げることができ、中でもフェライト、マグネタイトからなる磁性粉が好ましい。特に、磁性トナーに、良好な磁気特性を付与することを考慮すると、磁性粉としては、Feに対して0.1〜10原子%の、Mn、Zn、Ni、Cu、Al、Ti、およびSiから選ばれる少なくとも1種の元素を含むマグネタイトによって形成した磁性粉を用いるのが好ましい。
上記マグネタイトからなり、八面体の各頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有し、かつ、平均粒子径が、先に説明した範囲内に規定される磁性粉は、例えば、下記の方法によって製造することができる。
すなわち、1.5mol/リットルのFe2+を含む硫酸第一鉄塩水溶液26.7リットルを、あらかじめ反応容器中に入れておいた、3.4Nの水酸化ナトリウム水溶液25.9リットル(Fe2+に対し1.10当量に相当する)に加え、90℃に加熱して、pHを10.5に維持しながら、水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩懸濁液を生成する。
次に、上記懸濁液の液温を90℃に維持しながら、毎分100リットルの空気を80分間に亘って吹き込んで、第一鉄塩の酸化反応率が60%になるまで酸化反応させる。
次に、上懸濁液に、そのpHが6.5になるように、硫酸水溶液を添加した後、液温を90℃に維持しながら、毎分100リットルの空気を50分間に亘って吹き込んで、懸濁液中にマグネタイト粒子を生成させる。
そして、上記マグネタイト粒子を含む懸濁液に、そのpHが10.5になるように、水酸化ナトリウム水溶液を添加した後、液温を90℃に維持しながら、毎分100リットルの空気を20分間に亘って吹き込んだ後、生成したマグネタイト粒子を水洗し、濾別し、乾燥して、マグネタイト粒子の凝集物を粉砕する。そうすると、粒子形状が、八面体を基本とし、その頂点および稜線が曲面状であるマグネタイト粒子からなる磁性粉が合成される。
また、上記の合成反応を行う際に、水酸化アルカリ水溶液、もしくは水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩反応水溶液に、水可溶性ケイ酸塩等の、水溶性の各種金属化合物を、各々の金属に換算して、Feに対して0.1〜10原子%の割合で加えると共に、第1段階の反応において、酸素含有ガスの通気を開始する際の、液のpHを8.0〜9.5に調整すると、合成される磁性粉は、Feに対して、上記所定の割合で、Mn、Zn、Ni、Cu、Al、Ti、およびSiから選ばれる少なくとも1種の元素を含むマグネタイトからなるものとなる。
磁性粉の、トナー粒子中に占める割合は、35〜60質量%であるのが好ましく、35〜55質量%であるのがさらに好ましい。磁性粉の割合が、この範囲未満では、現像剤担持体に内蔵した固定磁石の磁力によって、当該現像剤担持体の表面に、磁性トナーの薄層を保持させる効果が低下するため、特に画像形成を繰り返した際に、地カブリが発生するおそれがある。また、磁性粉の割合が、この範囲を超える場合には、逆に、現像剤担持体の表面に、磁性トナーの薄層を保持させる効果が強くなり過ぎるため、画像濃度が低下するおそれがある。また、相対的にバインダ樹脂の割合が低下するため、磁性トナーの、紙等の被印刷物の表面への定着性が低下したり、耐久性が低下したりするおそれもある。
磁性粉は、バインダ樹脂中に良好に分散させることを考慮すると、チタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、各種脂肪酸などの表面処理剤で、表面処理を施してもよい。このうち、シラン系カップリング剤が好ましく、その具体的化合物としては、例えばヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン等が挙げられる。また、1分子中に2〜12個のシロキサン単位を有し、かつ末端に位置するシロキサン単位に各々1個ずつ、ケイ素原子に結合した水酸基を含むジメチルポリシロキサン等を用いることもできる。
〈バインダ樹脂〉
バインダ樹脂としては、例えばポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等が挙げられ、特にポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。
ポリスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体の他、スチレンと他の単量体との2元もしくは3元以上の共重合体が挙げられる。スチレンと共重合させることができる他の単量体としては、例えばp−クロルスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフイン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドテシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどの他のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類などの1種または2種以上が挙げられる。
また、ポリエステル系樹脂としては、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合または共縮重合させて得られる種々のポリエステル系樹脂が挙げられる。このうち、アルコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5ーペンタンジオール、1,4−シクロへキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6−へキサンジオール、1,8−オクタンジオール等のジオール類;
ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;
ソルビトール、1,2,3,6−へキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエルスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、ジグリセリン、2−メチルプロバントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上のアルコール類などが挙げられる。
また、カルボン酸成分としては、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、アルキルコハク酸(n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸等)、アルケニルコハク酸(n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等)など2価のカルボン酸類;
1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−へキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロへキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール3量体酸などの3価以上のカルボン酸類などが挙げられる。
本発明の磁性トナーを、通常の画像形成装置において用いる熱定着手段によって、紙等の被印刷物の表面に良好に定着させることを考慮すると、ポリエステル系樹脂の軟化点は、80〜150℃であるのが好ましく、90〜140℃であるのがさらに好ましい。
バインダ樹脂は、その一部が架橋構造を有しているのが好ましい。一部に架橋構造を導入することによって、定着性を低下させることなく、磁性トナーの保存安定性や形態保持性、耐久性等を向上させることができる。バインダ樹脂の一部を架橋構造とするためには、架橋剤を添加して樹脂を架橋させたり、熱硬化性樹脂を配合したりすればよい。
熱硬化性樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂や、シアネート樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
バインダ樹脂のガラス転移温度Tgは、50〜65℃であるのが好ましく、50〜60℃であるのが、さらに好ましい。ガラス転移温度がこの範囲未満では、トナー粒子同士が融着しやすくなって、保存安定性が低下するおそれがある。また、樹脂の強度が低いため、感光体の表面に付着して離れなくなる、いわゆるトナー付着を生じるおそれもある。また、逆にガラス転移温度がこの範囲を超える場合には、紙等の被印刷物の表面への定着性が低下するおそれがある。
なお、バインダ樹脂のガラス転移温度は、例えば示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した吸熱曲線における、比熱の変化点から求めることができる。具体的には、例えば、セイコーインスツルメンツ社製の示差走査熱量計DSC−6200を用い、測定試料10mgをアルミパン中に入れると共に、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲25〜200℃、昇温速度10℃/分で、常温、常圧下で測定を行って、得られた吸熱曲線における比熱の変化点から、バインダ樹脂のガラス転移温度を求めることができる。
本発明の磁性トナーには、例えば着色剤、電荷制御剤、ワックス等の、従来公知の種々の添加剤を含有させることもできる。このうち着色剤としては、カーボンブラック等の顔料や、アシッドバイオレット等の染料が挙げられる。着色剤の、トナー粒子中に占める割合は、0.5〜5質量%程度であるのが好ましい。
〈電荷制御剤〉
電荷制御剤は、磁性トナーの帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)を向上させると共に、耐久性や安定性を向上させるために配合される。電荷制御剤には、正帯電性のものと負帯電性のものとがあり、磁性トナーの帯電極性に合わせて、そのいずれか一方が配合される。
正帯電性の電荷制御剤としては、例えばピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物類;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEW、アジンディープブラック3RL等の亜ジン化合物からなる直接染料類;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体等のニグロシン化合物類;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等のニグロシン化合物からなる酸性染料類;ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルへキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類などの1種または2種以上が挙げられる。特にニグロシン化合物は、より迅速な帯電の立ち上がり特性が得られることから、正帯電性トナーとして好適である。
また、正帯電性の電荷制御剤としては、4級アンモニウム塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボン酸塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボキシル基を有する樹脂またはオリゴマー等を使用することもできる。具体的には、4級アンモニウム塩を有するポリスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するポリスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
特に、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩あるいはカルボキシル基を官能基として有するスチレン−アクリル系樹脂(スチレン−アクリル系共重合体)は、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる点で好適である。また、スチレンと共にスチレン−アクリル系樹脂を構成するアクリル系単量体としてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類が挙げられる。
さらに、4級アンモニウム塩化合物としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートから第4級化の工程を経て誘導される単位が用いられる。誘導されるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジ(低級アルキル)アミノエチル(メタ)アクリレート類;ジメチルメタクリルアミド;ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが好適である。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有重合性モノマーを重合時に併用することもできる。
負帯電性の電荷制御剤としては、例えば、有機金属錯体やキレート化合物が有効であり、中でもアセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体または塩が好ましく、特にサリチル酸系金属錯体または塩が好ましい。このうち、アセチルアセトン金属錯体としては、例えばアルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート等が挙げられる。またサリチル酸系金属錯体または塩としては、例えば3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム等が挙げられる。
電荷制御剤の、トナー粒子中に占める割合は、0.5〜15質量%であるのが好ましく、0.5〜8.0質量%であるのがさらに好ましく、0.5〜7.0質量%であるのが特に好ましい。電荷制御剤の割合がこの範囲未満では、磁性トナーに、安定した帯電特性を付与することが困難となり、画像濃度が低くなったり、耐久性が低下したりするおそれがある。逆に、上記の範囲を超える場合には、磁性トナーの耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良を生じやすい。また、バインダ樹脂に対する分散不良が起こりやすいことから、地カブリの原因となったり、分散されずに凝集した電荷制御剤が感光体を汚染したりするおそれもある。
〈ワックス〉
ワックスは、磁性トナーの、紙等の被印刷物の表面への定着性を向上させたり、定着時の磁性トナーが、画像形成装置の定着ローラ等に付着するオフセットを防止して、耐オフセット性を向上させたり、定着ローラ等に付着した磁性トナーが、被印刷物の表面に再付着して画像を汚す、像スミアリングを防止したりするために配合される。
ワックスとしては、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のオレフイン系ワックス類;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の植物系ワックス類;モンタンワックス等の鉱物系ワックス類;石炭及び天然ガス等からフィッシャー・トロプシュ法により作製されるフィッシャー・トロプシュワックス類;パラフインワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス類;エステル系ワックス類;テフロン(登録商標)系ワックス類等の中から1種または2種以上を選択して使用することができる。
ワックスの、トナー粒子中に占める割合は、1〜5質量%であるのが好ましい。ワックスの割合がこの範囲未満では、磁性トナーの対オフセット性を向上させたり、像スミアリングを防止したりする効果が不十分になるおそれがあり、逆にこの範囲を超える場合には、トナー同士が融着しやすくなって、保存安定性が低下するおそれがある。
〈磁性トナーの製造〉
本発明の磁性トナーは、上記の各成分を、ヘンシェルミキサー等のかく拌混合機を使用して混合し、次いで押出機等の混練機を用いて混練したのち、冷却し、さらに粉砕すると共に、必要に応じて分級することで製造される。また上記の各成分を湿式混合してもよい。かくして製造される本発明の磁性トナーは、体積基準の中心粒径が、5〜10μmであるのが好ましい。
また、製造された磁性トナーは、流動性や保存安定性、感光体の表面からのクリーニング除去しやすさを示すクリーニング性等を向上させるため、その表面を、必要に応じて、例えばコロイダルシリカ、疎水性シリカ、アルミナ、酸化チタン等の微粒子(外添剤、通常は、平均粒径が1.0μm以下)によって表面処理してもよい。表面処理は、磁性トナーと外添剤とを乾式混合するのが好ましく、特に外添剤がトナー粒子の表面に埋め込まれるのを防止するために、ヘンシェルミキサーやナウターミキサー等を使用して混合するのが好ましい。外添剤の添加量は、トナー粒子に対して0.2〜10.0質量%であるのが好ましい。また外添剤は、必要に応じて、アミノシラン、シリコーンオイル、シラン系カップリング剤(ヘキサメチルジシラザン等)、チタン系カップリング剤等によって表面処理しても良い。
本発明の磁性トナーは、前記のように、a−Si感光体と組み合わせて画像形成に用いられるものであって、その際に、前述した粒子形状の特徴によって、帯電量を速やかに立ち上がりやすくすると共に、帯電量を向上することと、チャージアップにより短期間でa−Si感光層が絶縁破壊するのを防止することの、相反する2つの特性に共に優れていることから、幅広い環境下で、より長期に亘って良好な画像を形成し続けることができるという特有の効果を奏することができる。
〈a−Si感光体〉
a−Si感光体としては、例えば、ドラム状などの所定の形状に形成した導電性基体の表面に、a−Si感光層を形成したものが用いられ、特に、a−Si感光層の膜厚が30μm以下である、薄膜型のa−Si感光層を有するものが好適に用いられる。
a−Si感光層は、実際に感光層として機能する、単層もしくは2層以上の層の他に、キャリア阻止層や表面保護層等を有していてもよく、かかる積層構造を有するa−Si感光層の場合には、そのトータルの膜厚が、30μm以下であるのが好ましい。かかる薄膜型のa−Si感光層を有するa−Si感光体は、先に説明したように生産性に優れる上、解像度の高い画像を形成できるという利点がある。
詳しく説明すると、a−Si感光層の膜厚が30μmを超える場合には、熱キャリアの移動速度が速くなるため、暗減衰特性が低下し、a−Si感光層の、厚み方向と直交する面方向への潜像流れが発生しやすくなるため、画像の解像度が低下する。また、気相成長法による成膜時間が長くなることと、それによって異物等が付着する確率が高くなって歩留まりが悪くなることから、a−Si感光体の生産性が低下する。これに対し、a−Si感光層の膜厚が30μm以下であれば、潜像流れの発生が抑制されるため、解像度の高い画像を形成することができる。また、成膜時間が短くなり、かつ歩留まりがよくなることから、a−Si感光体の生産性が向上する。
なお、a−Si感光層の膜厚は、10μm以上であるのが好ましい。膜厚が10μm未満では、感光層としての帯電能が十分に得られないおそれがある上、導電性基体の表面において、露光のためのレーザー光が乱反射して、ハーフパターンにおいて干渉縞が発生するおそれもある。
a−Si感光層は、例えば、グロー放電分解法、スパッタリング法、ECR法、蒸着法などの気相成長法によって形成することができ、その形成にあたっては、a−Si感光層に、Hやハロゲン元素を含有させることもできる。またa−Si感光層の特性を調整するために、C、N、O等の元素を含有させたり、周期表(長周期型)の13族元素や15族元素を含有させたりしてもよい。
具体的には、a−Si感光層は、例えば、a−Siの他、a−SiC、a−SiO、a−SiONなどの、a−Si系の、光導電性を有する種々の材料によって形成することができる。特に、a−SiCを用いるのが好ましく、その場合は、Si1-xxのxの値を0<x≦0.5、好ましくは0.05≦x≦0.45に設定するのがよい。この範囲であれば、a−SiC層を、良好なキャリアの輸送を維持しつつa−Si層よりも高抵抗にして、a−Si感光体の光感度特性を向上することができる。13族元素や15族元素としては、それぞれBやPが、共有結合性に優れ、半導体特性を、より敏感にできる点で、また優れた光感度が得られるという点で望ましい。
さらに、a−Si感光層を、光キャリア発生の機能を高めた層領域(光励起層領域)と、キャリア輸送の機能を持たせた層領域(キャリア輸送層領域)とを積層したものとすると、a−Si感光体の光感度と耐電圧特性とを共に高めることができる。この際、光励起層領域は光キャリアの生成効率を高めるため、成膜に際して、(1) 成膜速度を低めに設定する、(2) 成膜成分の、H2やHeでの希釈率を高める、(3) ドープする元素の量を、キャリア輸送層領域よりも多くする、等の対策を施しつつ成膜するのが好ましい。
また、キャリア輸送層領域は、主にa−Si感光層の耐圧を高めると共に、光励起層領域から注入されたキャリアを導電性基体にスムースに輸送する役割を持つが、この層領域においても、光励起層領域を透過してきた光によりキャリア生成が行われるため、a−Si感光体の光感度の向上に寄与する。
a−Si感光層の厚みは、前記のように30μm以下であるのが好ましいが、その中でも、特に、露光波長の光に対する、a−Si感光層の吸収係数から求まる光吸収の深さに対して、さらに0.1〜2.0μmを加えた厚みとするのが好ましい。また、a−Si感光層を、上記のように光励起層領域とキャリア輸送層領域とを積層した積層構造とする場合には、光励起層領域の厚みを、上記光吸収の深さにほぼ等しく設定するのが好ましい。
a−Si感光層と、導電性基体との間には、キャリア阻止層を介在させるのが好ましい。キャリア阻止層は、現像時に、a−Si感光層の表面が、バイアス電圧を印加されつつ、磁性トナーと接触した際に、導電性基体からa−Si感光層への、キャリアの注入を阻止することにより、露光部と非露光部との静電コントラストを高めて、画像の濃度を向上させると共に、地肌カブリを低減する機能を有する。キャリア阻止層としては、それぞれ絶縁性であるa−SiC、a−SiO、a−SiN、a−SiON、a−SiCONなどによって形成した無機絶縁層や、あるいはポリエチレンテレフタレート、パリレン(登録商標)、ポリ四フッ化エチレン、ポリイミド、ポリフッ化エチレンプロピレン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、酢酸セルローズ樹脂その他によって形成した有機絶縁層等を用いるのが好ましい。
また、キャリア阻止層には、絶縁性と共に、導電性基体やa−Si感光層との密着性が良く、かつ、a−Si感光層を形成する際の加熱等にも大きな変質を起こさないといった特性が求められる。かかる特性を考慮すると、キャリア阻止層も、a−SiCにて形成するのが好ましい。キャリア阻止層を形成するa−SiCを絶縁性とするためには、キャリア阻止層に含まれるCの量を、a−Si感光層の場合に比べて多くすればよい。キャリア阻止層の厚みは0.01〜5μmであるのが好ましく、0.1〜3μmであるのがさらに好ましい。
またa−Si感光層の表面は、有機もしくは無機の絶縁材料からなる表面保護層によって被覆して保護するのが好ましい。これにより、帯電手段などによる放電時に、a−Si感光層の表面が酸化されて、放電生成物や水分子などを吸着しやすい酸化物被膜が形成されるのを防止することができる。また絶縁耐圧を向上したり、繰り返し使用した際の耐磨耗性を向上したりすることもできる。中でも、a−SiC、a−SiN、a−SiO、a−SiCO、a−SiNOなどのa−Si系の絶縁材料からなる層を用いるのがよく、これらはa−Si感光層と同様の薄膜形成方法によって形成することができ、特に、a−SiCによって形成するのが好ましい。
表面保護層にa−SiCを用いる場合は、絶縁性を付与するため、キャリア阻止層の場合と同様に、含まれるCの量を、a−Si感光層に比べて、多くすればよい。具体的には、Si1-xxのx値を0.3≦x<1.0、特に0.5≦x≦0.95とするのが好ましい。かかるa−SiCからなる表面保護層は、1012〜1013Ω・cmという高い体積固有抵抗を有している。そのため、a−Si感光層の表面が表面保護層で被覆されたa−Si感光体は、当該表面保護層の面方向における電位の流れが少ないため、静電潜像の維持能力が高い上、耐湿性にも優れており、吸水による画像流れの発生を抑制する効果に優れたものとなる。
また、かかる高抵抗の表面保護層は、磁性トナーを通してのバイアスによる電荷の注入を阻止し、露光部と非露光部との電位コントラストを高めて、その表面に、より多くの磁性トナーを引き付けてトナー像の濃度を増し、画像濃度を十分に高める機能も有する。また、地肌カブリを抑制することもできる。さらにa−Si感光体の絶縁耐圧を高めることもできる。
なお、a−SiC以外の他の絶縁材料にて形成した表面保護層は、画像形成後にも光キャリアがトラップされ続けてしまい、通常の除電工程では残留電位を確実に消去できないおそれがある。しかしa−SiCにて形成した表面保護層は、表面からの正電荷は有効に阻止するが、導電性基体からの負電荷は比較的通し易いという性質を持つため、画像形成後の残留電位を、通常の除電工程によって効果的に消去でき、連続して画像形成を行えるという利点もある。
しかも、a−SiCによって形成した表面保護層は、a−SiC等からなるa−Si感光層との密着性が良好であると共に、耐磨耗性、耐環境性等にも優れるため、長期に亘って、安定した画像形成を行えるという利点もある。a−SiCによって形成した表面保護層は、その層内で、Cの量に厚み方向の勾配を形成してもよいし、Cと共にN、O、Geなどの元素を含有させて、耐湿性をさらに高めることもできる。
表面保護層の厚みは、5000〜20000Å以下であるのが好ましく、5000〜15000Åであるのがさらに好ましい。厚みが5000Å未満では、特にトナー像の転写時に、転写手段からの負電流の流れ込みに対する耐圧性能が低下して、早期に、表面保護層が劣化するおそれがある。また、20000Åを超える場合には成膜時間が長くなって感光体の生産性が低下するおそれがある。
画像形成する際の、a−Si感光体の帯電電位は特に限定されないが、表面電位が+200〜+500Vとなるように帯電させるのが好ましい。表面電位が+200V未満では、現像電界が不十分となるため、十分に高い画像濃度を有する画像を形成できないおそれがある。また、表面電位が+500Vを超える場合には、感光層の膜厚によっては帯電能力が不足する上、絶縁破壊による黒点が発生しやすくなるため、やはり、十分2高い画像濃度を有する画像を形成できないおそれがある。また、オゾンの発生量が増加するという問題も生じる。なお、現像性と帯電能力とのバランスを考慮すると、表面電位は、上記の範囲内でも特に+200〜+300Vであるのが好ましい。
〈クリーニング手段〉
a−Si感光体の、a−Si感光層の表面に残留した磁性トナーを除去するためのクリーニング手段としては、a−Si感光層の表面に圧接させた弾性ブレードを用いる。また、弾性ブレードとしては、ゴムや軟質の樹脂等からなる、従来公知の種々の弾性ブレードを採用することができる。具体的には、例えばシリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ウレタン樹脂等からなる弾性ブレードが挙げられる。弾性ブレードは、磁性トナーを良好に除去すると共に、a−Si感光層の表面に圧接痕等を生じないことを考慮すると、10〜50g/cmの線圧で、a−Si感光層の表面に圧接させるのが好ましい。
《画像形成方法》
本発明の画像形成方法は、固定磁石を内蔵して回転する現像剤担持体の表面に、クレーム1の磁性トナーの薄層を形成する工程と、上記現像剤担持体と、a−Siによって形成された、表面に静電潜像を保持するための感光層を備えるa−Si感光体とを、上記薄層と、感光層の表面とが接触しないように間隔を保持して対峙させた状態で、薄層から、磁性トナーを感光体の表面に飛翔させて、静電潜像をトナー像に顕像化する工程と、形成したトナー像を、被印刷物の表面に転写する工程と、トナー像を被印刷物の表面に転写後の感光層の表面に残留する磁性トナーを、当該表面に圧接された弾性ブレードを用いて除去する工程とを含むことを特徴としている。
〈現像剤保持体〉
現像剤担持体としては、従来公知の種々の材料からなるものを用いることができ、特に、アルミニウム製またはステンレス鋼製の現像剤担持体を用いるのが好ましい。
〈その他〉
a−Si感光層の表面に、静電潜像を保持させるためには、従来同様に、スコロトロン帯電器等を用いてa−Si感光層の表面を一様に帯電させた後、半導体レーザー、発光ダイオード等の露光手段によって露光して、露光部分の電荷を除去すればよい。
また、a−Si感光層の表面に形成されたトナー像を、被印刷物の表面に転写させるためには、例えば、コロナ帯電器、鋸歯状電極、転写ローラ等が用いられ、特に転写ローラが好ましい。
転写ローラとしては、例えば、発泡EPDM等の軟質の発泡体からなるローラが好ましい。転写ローラとして発泡体のローラを使用した場合には、紙詰まり等が発生した際に、転写ローラに付着したトナーが、発泡体の気泡中に入り込むことによって、運転再開時における、被印刷物の裏汚れ等を防止することができる。したがって、転写ローラのクリーニングが不要になって、イニシャルコストおよびランニングコストを低減することができる。
また、軟質の発泡体からなる転写ローラの硬さは、アスカーC硬さで表して30〜40°であるのが好ましい。転写ローラが、この範囲より軟らかい場合には、転写不良が発生するおそれがあり、逆に、この範囲より硬い場合には、a−Si感光層との間のニップが小さくなって、被印刷物の搬送力が低下するおそれがある。
転写ローラは、a−Si感光層の表面に接触させた状態で、a−Si感光層の表面に対して、3〜5%の線速差をつけて回転させるのが好ましい。線速差が3%未満では、トナー像の転写性が低下して、文字の中抜け等を生じるおそれがあり、5%を超える場合には、a−Si感光層表面に対するスリップ量が大きくなって、転写像のずれ、いわゆるジッタが大きくなるおそれがある。
《磁性粉の形状検討I》
(平均粒子径の測定)
透過型電子顕微鏡によって撮影した写真(倍率1万倍)を4倍に拡大して、写真に写された300個の磁性粉についてマーチン径(円相当径)を測定し、その平均値を求めて、磁性粉の平均粒子径とした。
〈実施例1〉
バインダ樹脂としては、ゲルパーミェーションクロマトグラフィーによって測定した分子量分布のうち、分子量8000と分子量130500に分子量分布のピークがあり、なおかつ、ガラス転移温度Tgが55℃であるスチレン−アクリル系樹脂を用いた。
バインダ樹脂の、ゲルパーミェーションクロマトグラフィーによる分子量分布の測定は、下記の手順で実施した。測定装置としては、高速GPG装置〔東ソー(株)製のHLC−8220GPC〕を用いた。測定用のカラムとしては、ポリスチレンゲルカラム〔東ソー(株)製のTSKgel GMHXL〕を2本、直列に接続して用いた。検出器としては、RI検出器を用いた。検量線作成のための標準試料としては、分子量分布が単分散で、かつ、分子量が、3.84×106、1.09×106、3.55×105、1.02×105、4.39×104、9.10×103、および2.98×103の、7種の、東ソー(株)製のTSK標準ポリスチレンを使用した。
分子量分布を測定するバインダ樹脂を、テトラヒドロフランに加え、混合し、1時間、静置した後の混合液を、フィルタ〔倉敷紡績(株)製のクロマトディスク25N、非水系、ポアサイズ0.45μm〕を用いてろ過して、固形分を除去することで、測定試料を得た。測定試料は、バインダ樹脂の濃度が3mg/mlとなるように調整した。
カラムを、40℃のヒートチャンバ中で、静置して安定化させた後、前記温度を維持しながら、前記カラム中に、まず、テトラヒドロフランを、1ml/minの流速で流し、次いで、測定試料を、約1μl注入して測定を行った。
そして、測定結果を、前記7種のTSK標準ポリスチレンを用いて、同様にして測定した結果から作成した検量線の、対数値とカウント数(リテンションタイム)との関係をもとに計算して、分子量分布曲線を求めたところ、先に説明したように、分子量8000と分子量130500に分子量分布のピークを有していることが確認された。
磁性粉としては、Feに対して1.1原子%のZnを含むマグネタイトからなり、粒子形状が、図1〜図3に示すように、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体を基本とし、八面体の各頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する、平均粒子径が0.22μmである磁性粉を用いた。
バインダ樹脂49質量部と、上記の磁性粉45質量部と、離型剤としてのフィッシャー・トロプシュワックス〔サゾール社製のサゾールワックスH1〕3質量部と、正電荷制御剤としての4級アンモニウム塩〔オリエント化学(株)製のボントロンP−51〕3質量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、2軸押出機を用いて混練し、冷却した後、ハンマーミルを用いて粗粉砕した。次いで、機械式粉砕機を用いて微粉砕した後、気流式分級機を用いて分級して、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
〈比較例1〉
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体状で、かつその頂点および稜線が曲面状とされていない、平均粒子径が0.22μmである磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
〈比較例2〉
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体を基本とし、八面体の各頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有しない、平均粒子径が0.24μmである磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
〈比較例3〉
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体状で、かつその頂点および稜線が、特許文献1の図6(b)に見るように、八面体を構成する各面よりも小さな平面によって面取りされた、平均粒子径が0.20μmである磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
〈比較例4〉
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が立方体状で、かつその頂点および稜線が曲面状とされていない、平均粒子径が0.20μmである磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
〈比較例5〉
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が立方体状で、かつその頂点および稜線が、特許文献1の図6(f)に見るように、立方体を構成する各面よりも小さな平面によって面取りされた、平均粒子径が0.20μmである磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
〈比較例6〉
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が球状で、かつその平均粒子径が0.22μmである磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
上記各実施例、比較例の磁性トナー100質量部に、シリカ〔日本アエロジル(株)製のRA−200H〕1.0質量部と、酸化チタン〔チタン工業(株)製のEC−100〕2.0質量部とを加え、ヘンシェルミキサーを用いて混合した後、感光体としてa−Si感光体を搭載した、磁性1成分ジャンピング現像方式のページプリンタ〔京セラミタ(株)製のFS−3830N〕に使用して実際に画像形成を行った際の、下記の各特性を評価した。
なお、a−Si感光体としては、a−Si感光層の総膜厚が14μmであるものを使用した。また、クリーニング手段としては、ウレタンゴム製の弾性ブレードを用いた。さらに、現像剤保持体としては、表面の十点平均粗さRzが5.0μmである、SUS305製のものを用いた。
(A) 常温、常湿試験:
上記ページプリンタを、温度20℃、相対湿度65%RHの常温、常湿環境中に8時間、静置して状態を安定させた後、同じ常温、常湿環境中で下記の各特性を評価した。
(1) 画像濃度:
上記ページプリンタを用いて、印字率5%の標準パターンを画像形成した1枚目の画像(初期画像)の画像濃度と、ISO4%原稿を30万枚、連続画像形成した後、印字率5%の標準パターンを画像形成した画像(耐久後画像)の画像濃度とを、それぞれマクベス反射濃度計〔グレタグ・マクベス社製のRD914〕を用いて測定した。そして、画像濃度が1.30以上のものを合格、1.30未満のものを不合格として評価した。
(2) 地カブリ:
上記(1)で形成した初期画像および耐久後画像の余白部分を観察して、地カブリの有無を、下記の基準で評価した。
○:地カブリは全く見られなかった。
△:地カブリが僅かに見られた。
×:強い地カブリが見られた。
(3) 薄層の状態:
上記初期画像および耐久後画像の形成時に、現像剤保持体の表面に形成されたトナーの薄層を観察して、その状態を下記の基準で評価した。
○:厚みが均一で、欠陥やムラのないきれいな薄層が形成されていた。
△:不規則に厚みの薄い部分、厚い部分が見られたが、形成画像には影響がなかった。
×:不規則に厚みの薄い部分、厚い部分が見られ、形成画像にも影響が見られた。
(4) クリーニング性:
初期画像形成時、および耐久後画像形成時のa−Si感光体の周辺、および形成画像を観察した。そして、a−Si感光体の周辺の観察では、クリーニング不良が原因で発生する、下記不良の有無を調べた。
(a) a−Si感光層と、弾性ブレードとの圧接部分に、トナーが噛み込んでいるか否か。
(b) a−Si感光層の表面に、トナー成分や紙粉等が付着しているか否か。
(c) a−Si感光層の表面に、傷があるか否か。
また、形成画像の観察では、黒筋等の、クリーニング不良に伴う画像不良の有無を調べた。そして、クリーニング性を、下記の基準で評価した。
○:感光体周辺、および形成画像のいずれにも不良は見られなかった。
△:感光体周辺に不良が見られたが、形成画像には不良は見られなかった。
×:感光体周辺に不良が見られ、形成画像にも不良が見られた。
(5) 画質:
上記ページプリンタを用いて、写真原稿を画像形成した1枚目の写真画像(初期画像)と、ISO4%原稿を30万枚、連続画像形成した後、同じ写真原稿を画像形成した写真画像(耐久後画像)とを観察して、それぞれの画質を、下記の基準で評価した。
○:ザラツキ感のない、均一できめ細かい画像であった。
△:画像の一部に、ザラツキ感があり、均一さに欠ける部分があったが、実用上、問題ない範囲であった。
×:全体にザラツキ感があり、不均一で粗い画像であった。
(6) 微小黒点:
a−Si感光層の表面に形成したトナー像が、紙に転写されずに、弾性ブレードまで搬送されるテストモードと、通常の、トナー像が紙に転写されるノーマルモードとを選択できるように、上記ページプリンタを改造した改造機を用意した。
この改造機を用いて、テストモードを選択して、a−Si感光層の表面に、ベタ黒のパターンに相当する静電潜像を形成し、それをトナー像に現像した後、紙に転写させずに、弾性ブレードまで搬送して、弾性ブレードによって、a−Si感光層の表面から除去する操作を、5万回、連続して行った後、ノーマルモードを選択して、白紙原稿(a−Si感光層に異常がなければ、現像工程でa−Si感光層の表面にトナーが付着しない)を、紙の表面に画像形成した。
そして、a−Si感光層が絶縁破壊されて生じた欠陥の部分に、現像工程でトナーが付着して発生する微小な黒点が、形成した画像に、いくつ発生したかを、ドットアナライザー〔王子計測器(株)製のDA−5000S〕を用いて計数した。計数した範囲は、A4横方向の、5mm×210mmの範囲とした。
○:微小な黒点の数は、0個であった。
△:微小な黒点の数は、1〜20個であった。微小な黒点の数がこの範囲内である画像の外観は、先の地カブリの評価では、○〜△の範囲内に相当することから、通常の形成画像には、殆ど影響ないと判断した。
×:微小な黒点の数は、20〜1000個であった。画像の外観を見ると、微小な黒点が大量に発生して、黒い帯のように見えたことから、形成画像に影響があると判断した。
××:微小な黒点の数は、1001個以上であった。微小な黒点が、先の場合よりも、さらに大量に発生したことから、次に述べる高温、高湿試験、および低温、低湿試験は行わなかった。
(B) 高温、高湿試験:
常温、常湿試験で使用したのと同じページプリンタを、温度33℃、相対湿度85%RHの高温、高湿環境中に8時間、静置して状態を安定させた後、同じ高温、高湿環境中で、先に示した(1)〜(6)の各試験と、下記の像流れ試験とを行って、その特性を評価した。
(7) 像流れ:
高温、高湿環境中で、上記ページプリンタを用いて、ISO4%原稿を5000枚、連続画像形成し、次いで、12時間、静置して状態を安定させた後、ハーフトーンと文字の原稿を画像形成し、形成した画像を観察して、像流れの有無を、下記の基準で評価した。
○:像流れは見られず、ハーフトーン、文字共に良好に再現されていた。
△:像流れは許容範囲内であり、文字に、かすかなにじみが見られた程度であった。
×:像流れが顕著で、ハーフトーンが抜けると共に、文字が流れていた。
(C) 低温、低湿試験:
常温、常湿試験で使用したのと同じページプリンタを、温度10℃、相対湿度20%RHの低温、低湿環境中に8時間、静置して状態を安定させた後、同じ低温、低湿環境中で、先に示した(1)〜(6)の各試験を行って、その特性を評価した。
以上の結果を表1〜6に示す。なお、表中の、磁性粉の粒子形状の欄の符号は下記の通り。
八−丸:八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状とされていると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有するもの。
八−角:八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状とされていないもの。通常の八面体。
八−丸大:八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状とされていると共に、曲面の曲率半径が大きすぎて、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有しないもの。
八−面:八面体状で、かつ頂点および稜線が小さな平面で面取りされたもの。
立−角:立方体状で、かつ頂点および稜線が曲面状とされていないもの。通常の立方体。
立−面:立方体状で、かつ頂点および稜線が小さな平面で面取りされたもの。
球:球状のもの。
表より、八面体状で、かつ頂点および稜線を曲面状としていない磁性粉を用いた比較例1、および八面体状で、かつ頂点および稜線を小さな平面で面取りした磁性粉を用いた比較例3の磁性トナーは、いずれも、全ての環境下での試験において、画像濃度が低く、かつ地カブリが発生していると共に、耐久後の地カブリが著しく悪化したことから、トナーの帯電電荷のリークが発生していることが確認された。
また、立方体状で、かつ頂点および稜線を曲面状としていない磁性粉を用いた比較例4、および立方体状で、かつ頂点および稜線を小さな平面で面取りした磁性粉を用いた比較例5の磁性トナーも、同様に、全ての環境下での試験において、画像濃度が低く、かつ地カブリが発生していると共に、耐久後の地カブリが著しく悪化したことから、トナーの帯電電荷のリークが発生していることが確認された。
さらに、八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状とされているものの、曲面の曲率半径が大きすぎて、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有しない磁性粉を用いた比較例2の磁性トナー、および球状の磁性粉を用いた比較例6の磁性トナーは、いずれも、常温、常湿試験および高温、高湿試験において、耐久後の画像濃度が低下し、かつ地カブリが発生したことから、チャージアップが発生していることが確認された。なお、球状の磁性粉を用いた比較例6の磁性トナーを用いると、低温、低湿試験において、初期において既に、画像が不均一であった。その原因を調査したところ、現像剤担持体の表面に、トナーの薄層が均一に形成されていないことが判った。そのため、耐久評価は実施しなかった。
また、常温、常湿度試験において、比較例6の磁性トナーを用いると、形成画像に微小な黒点が極めて大量に発生した。比較例2の磁性トナーを用いた場合も、比較例6ほどではないが、やはり、実用に耐えないほど大量の微小な黒点が発生した。そして、このことから、比較例2、6の磁性トナーを用いた場合には、チャージアップが発生して、a−Si感光層が絶縁破壊されることが確認された。
これに対し、八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状とされていると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する磁性粉を用いた実施例1の磁性トナーは、常温、常湿試験、低温、低湿試験、および高温、高湿試験のいずれにおいても、初期および耐久後の帯電量および画像濃度がほぼ一定で、かつ、地カブリが発生しない上、微小な黒点も発生していないことから、電荷のリークを生じたり、逆に、チャージアップによるa−Si感光層の絶縁破壊を生じたりすることなく、幅広い環境下で、長期に亘って、良好な画像を形成できることが確認された。
《磁性粉の形状検討II》
実施例2〜5、比較例7、8:
磁性粉として、実施例1で使用したのと同じ組成のマグネタイトからなり、粒子形状が、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体状で、かつその頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する、平均粒子径が0.006μm(比較例7)、0.016μm(実施例2)、0.083μm(実施例3)、0.33μm(実施例4)、0.39μm(実施例5)、および0.64μm(比較例8)である磁性粉を同量、用いたこと以外は実施例1と同様にして、体積基準の中心粒径が8.0μmである磁性トナーを製造した。
上記各実施例、比較例の磁性トナー100質量部に、シリカ〔日本アエロジル(株)製のRA−200H〕1.0質量部と、酸化チタン〔チタン工業(株)製のEC−100〕2.0質量部とを加え、ヘンシェルミキサーを用いて混合した後、感光体としてa−Si感光体を搭載した、磁性1成分ジャンピング現像方式のページプリンタ〔京セラミタ(株)製のFS−3830N〕に使用して実際に画像形成を行った際の、下記の各特性を評価した。
なお、a−Si感光体としては、a−Si感光層の総膜厚が14μmであるものを使用した。また、クリーニング手段としては、ウレタンゴム製の弾性ブレードを用いた。さらに、現像剤保持体としては、表面の十点平均粗さRzが5.0μmである、SUS305製のものを用いた。
結果を、実施例1の結果と併せて表7〜12に示す。
表より、八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有するものの、その平均粒径が0.01μm未満である磁性粉を用いた比較例7の磁性トナーは、各環境下での試験において、いずれも、初期の画像濃度が1.30を下回り、また、常温、常湿試験および高温、高湿試験において、耐久後の画像濃度が1.30を下回った。また、高温、高湿試験においては地カブリも発生した。この原因を調査したところ、磁性粉の、トナー粒子の表面に露出する割合が増加し、露出した磁性粉から電荷が放出されて、磁性トナーの帯電不足を招いていることが判った。
また、微小な黒点が発生したことから、チャージアップの発生により、a−Si感光層が絶縁破壊されていることも確認された。この原因は、磁性粉の分散性の悪さに起因して、トナー粒子中での磁性粉の分布に偏りがある磁性トナーや、磁性粉の含有率が著しく低い磁性トナーが発生したことによると考えられた。すなわち、これらの磁性トナーが、弾性ブレードやa−Si感光層と摩擦されることで、チャージアップして、a−Si感光層の絶縁破壊を引き起こすような放電を発生させたことが推測された。
また、八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有するものの、その平均粒径が0.50μmを超える磁性粉を用いた比較例8の磁性トナーは、各環境下での試験において、耐久後の画像濃度が低下し、かつ地カブリが発生したことから、チャージアップが発生していることが確認された。さらには、微小な黒点が大量に発生したことから、チャージアップにより、a−Si感光層が絶縁破壊されていることが確認された。この原因を調査したところ、磁性粉の、トナー粒子の表面に露出する割合が減少して、露出した磁性粉から放出される電荷が少なくなっていることが判った。
これに対し、八面体状で、かつ頂点および稜線が曲面状であると共に、その投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する上、その平均粒子径が0.01〜0.50μmである磁性粉を用いた実施例1〜5の磁性トナーは、いずれも、常温、常湿試験、低温、低湿試験、および高温、高湿試験のいずれにおいても、初期および耐久後の画像濃度がほぼ一定で、かつ、地カブリが発生しない上、微小な黒点も発生していないことから、電荷のリークを生じたり、逆に、チャージアップによる、a−Si感光層の絶縁破壊を生じたりすることなく、幅広い環境下で、長期に亘って、良好な画像を形成できることが確認された。
また、各実施例を比較すると、画像濃度の推移などから、磁性粉の平均粒子径は、0.05〜0.35μmであるのが好ましく、0.15〜0.30μmであるのがさらに好ましいことが確認された。
図1は、本発明の磁性トナーに含まれる磁性粉の形状を模式的に示す斜視図である。 図2は、上記磁性粉の一例を示す電子顕微鏡写真である。 図3は、図2の磁性粉の投影像を簡略化して示す図である。
符号の説明
1 磁性粉
2 八面体
3 直線とみなせる部分

Claims (7)

  1. アモルファスシリコンによって形成された、表面に静電潜像を保持するための感光層を備え、当該感光層の表面に保持した静電潜像を、トナー像に顕像化した後、被印刷物の表面に転写して画像形成するためのアモルファスシリコン感光体と、画像形成後の感光層の表面に残留するトナーを除去するために、当該表面に圧接される弾性ブレードとを用いる画像形成方法に使用される磁性トナーであって、バインダ樹脂で形成されたトナー粒子中に、平均粒径が0.01〜0.5μmで、かつ、その粒子形状が、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体を基本とし、上記八面体の各頂点および稜線が曲面状であって電荷の放出点となる尖った頂点や稜線を有さず、かつその投影像の外周部に直線とみなせる部分を有する磁性粉が内包されたことを特徴とする磁性トナー。
  2. 磁性粉の平均粒径が0.05〜0.35μmである請求項1記載の磁性トナー。
  3. 磁性粉が、Feに対して0.1〜10原子%の、Mn、Zn、Ni、Cu、Al、Ti、およびSiから選ばれた少なくとも1種の元素を含むマグネタイトによって形成されている請求項1記載の磁性トナー。
  4. 磁性粉の含有率が35〜60質量%である請求項1記載の磁性トナー。
  5. 感光層の膜厚が30μm以下であるアモルファスシリコン感光体を用いる画像形成方法に使用される請求項1記載の磁性トナー。
  6. 固定磁石を内蔵して回転する現像剤担持体の表面に、請求項1記載の磁性トナーの薄層を形成する工程と、上記現像剤担持体と、アモルファスシリコンによって形成された、表面に静電潜像を保持するための感光層を備えるアモルファスシリコン感光体とを、上記薄層と、感光層の表面とが接触しないように間隔を保持して対峙させた状態で、薄層から、磁性トナーを感光体の表面に飛翔させて、静電潜像をトナー像に顕像化する工程と、形成したトナー像を、被印刷物の表面に転写する工程と、トナー像を被印刷物の表面に転写後の感光層の表面に残留する磁性トナーを、当該表面に圧接された弾性ブレードを用いて除去する工程とを含むことを特徴とする画像形成方法。
  7. アモルファスシリコン感光体として、感光層の膜厚が30μm以下であるものを用いる請求項6記載の画像形成方法。
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JPH11153882A (ja) * 1997-09-16 1999-06-08 Canon Inc 磁性トナー及び画像形成方法

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