JP2019128524A - 電子写真トナー用外添剤粒子及びその製造方法 - Google Patents
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特に疎水性機能と併せて負の帯電性も付与したいときは、アルキルアルコキシシランやフルオロアルキルアルコキシシランが好適であり、アルキル基もしくはフルオロアルキル基の炭素数が3以上10以下のアルキルアルコキシシラン又はフルオロアルキルアルコキシシランが好適であり、アルキル基の炭素数が4以上10以下のアルキルアルコキシシラン又はフルオロアルキルアルコキシシランがより好適である。アルキル基あるいはフルオロアルキル基の炭素数が3よりも少ないと充分な疎水性機能を付与できない。アルキル基あるいはフルオロアルキル基の炭素数が10を超えると表面処理剤の費用が大きくなり経済的ではない。
[1]酸化ランタン(III)(化学式La2O3)として0.3wt%以上12.0wt%以下の範囲であるランタンを含有するペロブスカイト型構造のチタン酸ストロンチウム粒子と、シランカップリング剤の加水分解物を含むことを特徴とする電子写真トナー用外添剤粒子。
[2]アルキル基あるいはフルオロアルキル基の炭素数が3以上10以下のアルキルアルコキシシランあるいはフルオロアルキルアルコキシシランから選ばれる1種以上のシランカップリング剤の加水分解物を炭素(C)として0.5wt%以上17.0wt%以下の範囲で含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真トナー用外添剤粒子。
[3]比表面積が5m2g−1以上150m2g−1以下であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の電子写真トナー用外添剤粒子。
[4]前記[1]〜[3]のいずれか1に記載の電子写真トナー用外添剤粒子を含む電子写真トナー用外添剤。
[5]常圧加熱反応法により、チタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品、ストロンチウムを含む水溶性化合物及びランタンの水溶性化合物を混合して、ストロンチウムに対してランタンが0.5mol%以上10mol%以下相当となる混合液を調製し、当該混合液を70℃以上100℃以下に加熱した後、アルカリ水溶液を添加して、ランタンを含有するチタン酸ストロンチウムを主成分とする粒子を合成し、次いで、合成した粒子を酸で処理した後、シランカップリング剤で表面処理することを特徴とする、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の電子写真トナー用外添剤粒子の製造方法。
前記チタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品として、好ましくは、硫酸法で得られた、三酸化硫黄含有量が1.0wt%以下、好ましくは0.5wt%以下のメタチタン酸を、塩酸でpHを0.8以上1.5以下に調整して解膠したものを用いることで、粒度分布が良好なチタン酸ストロンチウム系粒子を得ることができる。メタチタン酸中三酸化硫黄含有量が質量分率で1.0wt%を超えると解膠が進まない。
本発明の製造方法においては、常圧加熱反応によって得られるランタン含有チタン酸ストロンチウム粒子をさらに酸処理する。常圧加熱反応を行って、チタン酸ストロンチウムを合成する際に、チタン、ストロンチウム及びランタンの混合割合が(Sr+La)/Tiのモル比で1.0を超える場合、反応終了後に残存した未反応のストロンチウムあるいはランタンが空気中の炭酸ガスと反応して、炭酸ストロンチウムや炭酸ランタン水和物などの不純物を生成する。チタン酸ストロンチウム表面に炭酸ストロンチウムや炭酸ランタン水和物などの不純物が残存すると、疎水性を付与するための表面処理において、これらの不純物の影響で表面処理剤を均一に被覆することができない。したがって、アルカリ水溶液を添加した後、未反応のストロンチウムあるいはランタンを取り除くため酸処理を行う。
本発明の製造方法においては、ランタン含有チタン酸ストロンチウム粒子をシランカップリング剤で表面被覆して疎水化する。特に本発明の目的である広範囲な疎水化度と帯電特性の関係を付与するには、シランカップリング剤として、アルキル基あるいはフルオロアルキル基の炭素数が3以上10以下のアルキルアルコキシシランあるいはフルオロアルキルアルコキシシランが望ましい。表面処理に用いることができるアルキルアルコキシシランとしては、イソブチルトリメトキシシラン、ノルマルプロピルトリメトキシシラン、ノルマルブチルトリメトキシシラン、ノルマルヘキシルトリメトキシシラン、ノルマルオクチルトリメトキシシラン、ノルマルデシルトリメトキシシラン、ノルマルプロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ノルマルヘキシルトリエトキシシラン、ノルマルオクチルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどを好適に使用することができる。アルキルアルコキシシランあるいはフルオロアルキルアルコキシシランの添加量範囲は、ランタンを含有するチタン酸ストロンチウムに対して3.0wt%以上50.0wt%以下が好ましく、3.0wt%以上25.0wt%以下がより好ましい。
ランタン含有量、平均一次粒子径、比表面積、炭素含有量及びシランカップリング剤加水分解物含有量、疎水化度、粉体帯電量等は、種々の方法で測定できるが、本発明においては以下の方法で測定した。
島津製作所製蛍光X線分析装置XRF−1700を用いて各元素のカウント値を測定し、La2O3としてのランタン含有量をFundamental Parameter法により算出した(JIS K 0119:2008)。
平均一次粒子径は、日本電子製透過型電子顕微鏡JEM−1400plusで撮影した写真から、写真視野中の100個以上の粒子についてCarl Zeiss社製Particle Size Analyzerを用いて一次粒子像の面積と等価な面積の円の直径を計測し、体積基準の50%粒子径である。
比表面積は、MICROMETORICS INSTRUMENT CO.製ジェミニ2375を用いて、BET法にて測定した。
試料の炭素含有量をLECO製CS−230炭素・硫黄分析装置を用いて分析し、当該測定値を用いたシランカップリング剤の加水分解生成物の炭素含有率で除して、重量分率で表した数値である。
本願明細書における「疎水化度」は、簡易で再現性のよい試験方法で求めたものであり、2.5wt%毎のメタノールを含む水溶液を試験管に用意しておき、約10mgの粒子を投入し、沈降の有無を確認した。疎水化度としては、沈降が無い時の最大メタノール濃度(wt%)を疎水化度の下限値とし、粒子が沈降する最小メタノール濃度(wt%)を疎水化度の上限値として表示した。なお、疎水性とは疎水化度が少なくとも10%以上のことをいう。
東芝ケミカル(株)製粉体帯電量測定装置TB−200を用いて以下の手順で測定した。鉄粉キャリア9.9gと試料粉末0.1gを混合し、振とう機で1分間以上混合して測定試料を調製する。目開き400μmのステンレスメッシュを敷いた測定ケージに、キャリアと測定試料の混合物100mg以上500mg以下を投入し、上方からの圧縮空気の吹きつけによりキャリアと測定試料を分離し、ケージに残ったキャリアの電荷量を測定した。このキャリアの電荷量を測定試料の粉末重量で除して、更に−1を乗じた値を測定試料の粉体帯電量とした。さらに粉体帯電量を試料の比表面積値で除して、単位表面積当たりの帯電量を算出する。
硫酸法で得られたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9.0とし、脱硫処理を行い、その後、塩酸を添加してpH5.8まで中和し、ろ過水洗を行って、洗浄済みケーキを得た。この洗浄済みケーキに水を加えてTiO2として2.13mol/Lのスラリーとした後、塩酸を加えてスラリーのpHを1.4とし、メタチタン酸の解膠処理を行った。このメタチタン酸をTiO2として1.877mol採取し、3Lの反応容器に投入した。チタンに対するストロンチウムのモル比が1.15となるように塩化ストロンチウムを2.159mol添加し、更に、ストロンチウムに対するランタンのモル比で0.1となるように塩化ランタン水溶液を0.2159mol添加した後、TiO2濃度が0.939mol/Lになるように適量の水を加えて調整した。次に、撹拌しながら90℃に加温した後、10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液553mLを1時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。
粒子Aを含むスラリーをろ過して、粒子Aを分離した後、120℃の大気中で10時間乾燥し、粒子Aを透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、球状および立方体乃至直方体状粒子を含む、一次粒子径が20nm以上40nm以下の粒子であった。電子顕微鏡写真を用いて重量基準で算出した平均一次粒子径は34nmであった。比表面積は90m2/gであった。粒子Aの蛍光X線分析による(Sr+La)/Tiモル比は0.88であった。粉末X線回折法で測定すると、チタン酸ストロンチウムの回折ピークが確認できた。La含有量はLa2O3として8.5wt%であった。
合成例1と同様に調製したメタチタン酸と塩化ストロンチウムの混合スラリーに、ストロンチウムに対するランタンのモル比で0.05となるように塩化ランタン水溶液を0.1079mol添加した後、合成例1と同条件で常圧加熱反応、酸処理、洗浄を行い、ランタン含有チタン酸ストロンチウム粒子B(以下「粒子B」という。)を含むスラリーを得た。粒子Bの測定結果を表1に示す。
合成例1と同様に調製したメタチタン酸と塩化ストロンチウムの混合スラリーに、ストロンチウムに対するランタンのモル比で0.025となるように塩化ランタン水溶液を0.0540mol添加した後、合成例1と同条件で常圧加熱反応、酸処理、洗浄及び乾燥を行い、ランタン含有チタン酸ストロンチウム粒子C(以下「粒子C」という。)を含むスラリーを得た。粒子Cの測定結果を表1に示す。
合成例1と同様に調製したメタチタン酸と塩化ストロンチウムの混合スラリーに、ストロンチウムに対するランタンのモル比で0.010となるように塩化ランタン水溶液を0.0216mol添加した後、合成例1と同条件で常圧加熱反応、酸処理、洗浄及び乾燥を行い、ランタン含有チタン酸ストロンチウム粒子D(以下「粒子D」という。)を含むスラリーを得た。粒子Dの測定結果を表1に示す。
合成例1と同様に調製したメタチタン酸と塩化ストロンチウムの混合スラリーに、ストロンチウムに対するランタンのモル比で0.005となるように塩化ランタン水溶液を0.0108mol添加した後、合成例1と同条件で常圧加熱反応、酸処理、洗浄及び乾燥を行い、ランタン含有チタン酸ストロンチウム粒子E(以下「粒子E」という。)を含むスラリーを得た。粒子Eの測定結果を表1に示す。
合成例1と同様に調製したメタチタン酸と塩化ストロンチウムの混合スラリーを、塩化ランタン水溶液を添加することなしに、合成例1と同条件で常圧加熱反応、酸処理、洗浄及び乾燥を行い、チタン酸ストロンチウム粒子F(以下「粒子F」という。)を含むスラリーを得た。粒子Fの測定結果を表1に示す。
合成例1で得たランタン含有チタン酸ストロンチウム粒子Aを含むスラリーを50℃に調整し、塩酸を加えてpHを2.5に調整した後、固形分に対して5.0wt%のシランカップリング剤としてイソブチルトリメトキシシランを添加して20時間撹拌保持を続けた。次いで、水酸化ナトリウム溶液を加えpH6.5に調整し、1時間撹拌保持を続けた後、ろ過洗浄を行い得られたケーキを大気中、120℃で10時間乾燥し、粒子A−1を得た。粒子A−1の酸化ランタン(III)の含有量は10.1wt%、比表面積は109m2g−1、単位表面積当たりの帯電量は−0.220μCm−2であった。粒子A−1は、疎水化度試験においてメタノール添加前の水に浮遊しなかったため、疎水化度は測定できなかった。
実施例1において、固形分に対するイソブチルトリメトキシシランの添加量を10wt%、15wt%、20wt%及び50wt%に変更した以外は実施例1と同様の条件で処理を行い、それぞれ粒子A−2〜粒子A−5を得た。粒子A−2〜粒子A−5の測定結果を表2に示す。
合成例2で得たランタン含有チタン酸ストロンチウム粒子Bを含むスラリーに、固形分に対するイソブチルトリメトキシシランの添加量を10wt%、15wt%、20wt%及び30wt%に変更した以外は実施例1と同様の条件で処理を行い、それぞれ粒子B−1〜粒子B−4を得た。粒子B−1〜粒子B−4の測定結果を表2に示す。
合成例3で得たランタン含有チタン酸ストロンチウム粒子Cを含むスラリーに、固形分に対するイソブチルトリメトキシシランの添加量を15wt%及び20wt%に変更した以外は実施例1と同様の条件で処理を行い、それぞれ粒子C−1及び粒子C−2を得た。粒子C−1及び粒子C−2の測定結果を表2に示す。
合成例4で得たランタン含有チタン酸ストロンチウム粒子Dを含むスラリーに、固形分に対するイソブチルトリメトキシシランの添加量を10wt%、15wt%及び20wt%に変更した以外は実施例1と同様の条件で処理を行い、それぞれ粒子D−1〜粒子D−3を得た。粒子D−1〜粒子D−3の測定結果を表2に示す。
合成例5で得たランタン含有チタン酸ストロンチウム粒子Eを含むスラリーに、固形分に対するイソブチルトリメトキシシランの添加量を10wt%、15wt%及び20wt%に変更した以外は実施例1と同様の条件で処理を行い、それぞれ粒子E−1〜粒子E−3を得た。粒子E−1〜粒子E−3の測定結果を表2に示す。
合成例2で得たランタン含有チタン酸ストロンチウム粒子Bを含むスラリーに、シランカップリング剤としてノルマルオクチルトリエトキシシランを用い、固形分に対するノルマルオクチルトリエトキシシランの添加量を7.6wt%、11.3wt%及び14.9wt%に変更した以外は実施例1と同様の条件で処理を行い、それぞれ粒子B−5〜粒子B−7を得た。粒子B−5〜粒子B−7の測定結果を表3に示す。
合成例6で得たチタン酸ストロンチウム粒子Fを含むスラリーに、固形分に対するイソブチルトリメトキシシランの添加量を5wt%、10wt%及び15wt%に変更した以外は実施例1と同様の条件で処理を行い、それぞれ粒子F−1〜粒子F−3を得た。粒子F−1〜粒子F−3の測定結果を表2に示す。
合成例6で得たランタン含有チタン酸ストロンチウム粒子Fを含むスラリーに、シランカップリング剤としてノルマルオクチルトリエトキシシランを用い、固形分に対するノルマルオクチルトリエトキシシランの添加量を5wt%及び10wt%に変更した以外は実施例1と同様の条件で処理を行い、それぞれ粒子F−4及び粒子F−5を得た。粒子F−4及び粒子F−5の測定結果を表3に示す。
Claims (5)
- 酸化ランタン(III)(化学式La2O3)として0.3wt%以上12.0wt%以下の範囲であるランタン(La)を含有するペロブスカイト型構造のチタン酸ストロンチウム粒子と、シランカップリング剤の加水分解物を含むことを特徴とする電子写真トナー用外添剤粒子。
- アルキル基あるいはフルオロアルキル基の炭素数が3以上10以下のアルキルアルコキシシランあるいはフルオロアルキルアルコキシシランから選ばれる1種以上のシランカップリング剤の加水分解物を、炭素(C)として0.5wt%以上17.0wt%以下の範囲で含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真トナー用外添剤粒子。
- 比表面積が5m2g−1以上150m2g−1以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真トナー用外添剤粒子。
- 請求項1〜3のいずれか1に記載の電子写真トナー用外添剤粒子を含む電子写真トナー用外添剤。
- 常圧加熱反応法により、チタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品、ストロンチウムを含む水溶性化合物及びランタンの水溶性化合物を混合して、ストロンチウムに対してランタンが0.5mol%以上10mol%以下となる混合液を調製し、当該混合液を70℃以上100℃以下に加熱した後、アルカリ水溶液を添加して、ランタンを含有するチタン酸ストロンチウムを主成分とする粒子を合成し、次いで、合成した粒子を酸で処理した後、シランカップリング剤で表面処理することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真トナー用外添剤粒子の製造方法。
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