JP6015383B2 - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
請求項1に係る発明は、
結着樹脂を含むトナー粒子と、
前記トナー粒子の表面に付着しているシリカ粒子であって、超臨界二酸化炭素中で疎水化処理され、体積平均粒径が60nm以上300nm以下、平均円形度が0.5以上0.85以下のシリカ粒子と、
前記トナー粒子の表面に付着しているシリカ粒子であって、体積平均粒径40nm以下のシリカ粒子と
を含む静電荷像現像用トナー。
前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂を含む請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
前記ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含む請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
超臨界二酸化炭素中で疎水化処理し、体積平均粒径が60nm以上300nm以下、平均円形度が0.5以上0.85以下のシリカ粒子を得る工程と、
結着樹脂を含むトナー粒子に、前記シリカ粒子と、体積平均粒径40nm以下のシリカ粒子とを外添する工程と、
を有する静電荷像現像用トナーの製造方法。
請求項1〜3に記載の静電荷像現像用トナーを少なくとも含む静電荷像現像剤。
請求項1〜3に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
請求項5に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体上に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項5に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体上に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体上に形成されたトナー画像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記記録媒体上に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置
像保持体を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項5に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体上に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体上に形成されたトナー画像を記録媒体上に転写する転写工程と、
前記記録媒体上に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
請求項2に係る発明によれば、超臨界二酸化炭素以外の雰囲気中で疎水化処理されたシリカ粒子を有する場合に比べ、高温高湿環境下におけるトナー粒子へのシリカ粒子の埋没が生じ易いポリエステル樹脂を含むトナー粒子を適用しても、当該シリカ粒子の埋没を抑制する静電荷現像用トナーが提供される。
請求項3に係る発明によれば、超臨界二酸化炭素以外の雰囲気中で疎水化処理されたシリカ粒子を有する場合に比べ、高温高湿環境下におけるトナー粒子へのシリカ粒子の埋没が生じ易い結晶性ポリエステル樹脂を含むトナー粒子を適用しても、当該シリカ粒子の埋没を抑制する静電荷現像用トナーが提供される。
請求項1に係る発明によれば、超臨界二酸化炭素中で疎水化処理されたシリカ粒子を単独でトナー粒子の表面に付着させた場合に比べ、高温高湿環境下におけるトナー粒子へのシリカ粒子の埋没を抑制する静電荷現像用トナーが提供される。
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称する場合がある。)は、結着樹脂を含むトナー粒子と、トナー粒子の表面に付着しているシリカ粒子と、を有している。つまり、シリカ粒子は、外添剤としてトナー粒子に外添されている。
そして、シリカ粒子は、超臨界二酸化炭素中で疎水化処理されたシリカ粒子である。
しかしながら、表面が疎水化処理されたシリカ粒子であっても、高温高湿環境下において、トナー粒子へのシリカ粒子の埋没が生じることがある。
その理由は、定かではないが、以下に示す理由によるものと考えられる。
このため、超臨界二酸化炭素中で疎水化処理されたシリカ粒子は、親水性のゾルゲルシリカ粒子のように、多くのシラノール残基を持つ場合でも、孔部のシラノール残基まで疎水化処理剤と反応し、シラノール残基が少ない、高い疎水化度を持ったシリカ粒子になると考えられる。
その結果、シラノール残基が少ない、高い疎水化度を持ったシリカ粒子は、トナー粒子の結着樹脂との親和性が低下するものと考えられる。
また、シリカ粒子としてゾルゲルシリカ粒子(ゾルゲル法により得られたシリカ粒子)を適用した場合、ゾルゲルシリカ粒子は、気相法により得られるフェームドシリカ粒子や、溶融シリカ粒子に比べ、その表面や孔内部にシラノール基を多く有することから、高温高湿環境下におけるトナー粒子への埋没が生じ易いものの、シリカ粒子としてゾルゲルシリカ粒子を適用しても、本実施形態に係るトナーでは、当該シリカ粒子の埋没が抑制される点で有利である。
トナー粒子は、例えば、結着樹脂と、必要に応じて、着色剤及び離型剤等の他の添加剤と、を含んで構成されている。
結着樹脂としては、スチレン類(例えばスチレン、クロロスチレン等)、モノオレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等)、ビニルエステル類(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等)、α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等)、ビニルケトン類(例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)等の単独重合体及び共重合体、ジカルボン酸類とジオール類との共重合によるポリエステル樹脂等を用いることができる。
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、非晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸としては、定着性を確保するため、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用してもよい・
これら多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これら多価アルコールの中でも、芳香族ジオール、脂環式ジオールが望ましく、より望ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、定着性を確保するため、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用することがよい。
これら多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非晶性ポリエステル樹脂のTgは50℃以上65℃以下であることがより望ましい。
なお、上記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、前記の示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求める。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、加熱による粘度の急激な変化がより現れる点、さらに機械的強度と低温定着性との両立の観点から、非晶性ポリエステル樹脂と共に併用することがよい。
結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とを併用すると、結晶性ポリエステル樹脂との相溶性が向上するため、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度における低粘度化に伴い、非晶性ポリエステル樹脂も低粘度化し、トナーとしてのシャープメルト性(鋭敏な融解特性)が得られ易くために、低温定着性に有利である。また、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との濡れ性が良好なことから、結晶性ポリエステル樹脂のトナー粒子内部への分散性が向上し、結晶性ポリエステル樹脂のトナー表面への露出を抑制するため、帯電性への悪影響が抑制され易くなる。また、この理由により、トナー粒子の強度や定着画像の強度向上の観点でも望ましい。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂は、結晶構造を容易に形成するため、芳香族成分を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族成分を有する重合性単量体を使用した重縮合体が望ましい。さらに結晶性を損なわないために、重合性単量体由来成分は、重合体中で単一種で各々30mol%以上であることが望ましい。
多価カルボン酸としては、その他、3価のカルボン酸も挙げられ、具体的には、例えば、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等の芳香族カルボン酸、及びこれらの無水物やこれらの低級(炭素数1以上5以下)アルキルエステルなどが挙げられる。
これら多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これら多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、前記DSC曲線から、JIS K−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
着色剤としては、公知の着色剤であれば特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料が挙げられる。
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
トナー粒子の粒度分布が上記の範囲であることで、トナー粒子の表面積のバラツキが小さくなる。その結果、シリカ粒子の付着状態のバラツキを抑えることができ、帯電性能の変動を抑制しうる。
まず、コールターカウンターTAII(ベックマンーコールター社製)、マルチサイザーII(ベックマンーコールター社製)等の測定器を用いて測定されたトナー粒子の粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して、個々のトナー粒子の体積及び数について小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を体積平均粒子径D16vと定義し、累積50%となる粒径を体積平均粒子径D50vと定義し、また、累積84%となる粒径を体積平均粒子径D84vと定義する。そして、体積平均粒度分布指標(GSDv)は、これらをのうち、D16v及びD84vを用いて、(D84v/D16v)1/2で定義される。
シリカ粒子は、超臨界二酸化炭素中で、疎水化処理剤により表面処理されたシリカ粒子(本シリカ粒子は、粒径に制限はないが、便宜上、以下、「大径シリカ粒子」と称する)である。
大径シリカ粒子としては、シリカ、すなわちSiO2を主成分とする粒子であればよく、結晶性でも非晶性でもよい。また、大径シリカ粒子は、水ガラスやアルコキシシラン等のケイ素化合物を原料に製造された粒子であってもよいし、石英を粉砕して得られる粒子であってもよい。
具体的には、大径シリカ粒子は、ゾルゲルシリカ粒子、水性コロイダルシリカ粒子、アルコール性シリカ粒子、気相法により得られるフェームドシリカ粒子、溶融シリカ粒子が挙げられ、これらの中でも、ゾルゲルシリカ粒子がよい。
大径シリカ粒子表面は孔部が多く、また粒子の奥へ向かうほど超臨界二酸化炭素による疎水化処理は効果が得られにくくなる傾向があり、シラノール残基が残りやすい。体積平均粒径を300nm以下とすることで、シラノール残基の残留分を減らし、大径シリカ粒子のトナー粒子表面に対する脱離の抑制が容易となる。また、特に体積平均粒径を60nm以上とすることで埋没を抑制し、また疎水化の制御がより容易になり流動性低下の抑制が容易になる。
大径シリカ粒子の平均円形度を0.5以上とすると、外部応力による破壊が抑制され易くなり、流動性の制御が容易になる。。
特に、大径シリカ粒子は、球形状、異形状のいずれであってもよいが、平均円形度を0.5以上0.85以下の異形状とすることにより、トナー粒子への埋没が抑制され易くなる。また、大径シリカ粒子がトナー粒子の表面を転がり難くなり、トナー粒子の凹部へ移行が抑制され易くなる。その結果流動性の制御が容易になる。
・式;円形度(100/SF2)=4π×(A/I2)
〔式中、Iは画像上における大径シリカ粒子の一次粒子の周囲長を示し、Aは大径シリカ粒子の一次粒子の投影面積を表す。SF2は形状係数を表す。〕
そして、大径シリカ粒子の平均円形度は、上記画像解析によって得られた一次粒子100個の円相当径の累積頻度における50%円形度として得られる。
大径シリカ粒子の疎水化度が60%以上とすると、高温高湿環境下におけるトナー粒子へのシリカ粒子の埋没が抑制され易くなる。
大径シリカ粒子は、シリカ粒子を製造後、超臨界二酸化炭素中で疎水化処理を施すことで得られる。
この理由は定かではないが、1)大径シリカ粒子分散液の溶媒を除去する場合、超臨界二酸化炭素が「界面張力が働かない」という性質から、溶媒を除去する際の液架橋力による粒子同士の凝集もなく溶媒を除去できるものと考えられる点、2)超臨界二酸化炭素の「臨界点以上の温度・圧力下においた状態の二酸化炭素であり、気体の拡散性と液体の溶解性との双方を持つ」といった性質により、比較的低温(例えば250℃以下)で、超臨界二酸化炭素に効率良く接触し、溶媒を溶解することから、この溶媒を溶解した超臨界二酸化炭素を除去することで、シラノール基の縮合による2次凝集体等の粗粉を生じることなく大径シリカ粒子分散液中の溶媒を除去できるものと考えられる点、等が理由として考えられる。
なお、本実施形態に係る大径シリカ粒子の製造方法は、これに限られるわけではなく、例えば、1)疎水化処理工程のみ超臨界二酸化炭素を使用する態様、2)予め乾式大径シリカ粒子を準備し、これに疎水化処理工程を行う態様、3)各工程を個別に行う態様等であってもよい。
分散液準備工程では、例えば、大径シリカ粒子とアルコール及び水を含む溶媒とを含有する大径シリカ粒子分散液を準備する。
具体的には、分散液準備工程は、例えば、湿式(例えば、ゾルゲル法等)により大径シリカ粒子分散液を作製して、これを準備する。特に、大径シリカ粒子分散液は、湿式としてゾルゲル法、具体的には、テトラアルコキシランを、アルコール及び水の溶媒にアルカリ触媒存在下で、反応(加水分解反応、縮合反応)を生じさせて大径シリカ粒子を生成し、大径シリカ粒子分散液を作製することがよい。
大径シリカ粒子分散液において、そのアルコールに対する水の質量比を上記範囲とすると、疎水化処理後に大径シリカ粒子の粗粉の発生が少なく、高疎水化度で良好な電気抵抗を有する大径シリカ粒子が得られ易くなる。
アルコールに対する水の質量比が0.1を下回ると、溶媒除去工程において、溶媒を除去する際の大径シリカ粒子表面のシラノール基の縮合が少なくなることから、溶媒除去後の大径シリカ粒子表面への吸着水分が多くなることで、疎水化処理後の大径シリカ粒子の電気抵抗が低くなり過ぎることがある。また、水の質量比が1.0を超えると、溶媒除去工程において、大径シリカ粒子分散液中の溶媒除去の終点付近で水が多く残留し、液架橋力による大径シリカ粒子同士の凝集が生じ易く、疎水化処理後に粗粉として存在することがある。
大径シリカ粒子分散液において、その大径シリカ粒子に対する水の質量比を上記範囲とすると、大径シリカ粒子の粗粉の発生が少なく、高疎水化度の大径シリカ粒子が得られ易くなる。
大径シリカ粒子に対する水の質量比が0.02を下回ると、溶媒除去工程において、溶媒を除去する際の大径シリカ粒子表面のシラノール基の縮合が極端に少なくなることから、溶媒除去後の大径シリカ粒子表面への吸着水分が多くなることで、大径シリカ粒子の疎水化度が低くなり過ぎることがある。
また、水の質量比が3を超えると、溶媒除去工程において、大径シリカ粒子分散液中の溶媒除去の終点付近で水が多く残留し、液架橋力による大径シリカ粒子同士の凝集が生じ易くなることがある。
大径シリカ粒子分散液に対する大径シリカ粒子の質量比が0.05を下回ると、溶媒除去工程において、使用する超臨界二酸化炭素の量が多くなり、生産性が悪くなってしまうことがある。
また、大径シリカ粒子分散液に対する大径シリカ粒子の質量比が0.7を超えると、大径シリカ粒子分散液中において大径シリカ粒子間距離が近くなり、大径シリカ粒子の凝集やゲル化による粗粉が発生し易くなることがある。
溶媒除去工程は、例えば、超臨界二酸化炭素を流通させ、大径シリカ粒子分散液の溶媒を除去する工程である。
つまり、溶媒除去工程では、超臨界二酸化炭素を流通させることにより、超臨界二酸化炭素を大径シリカ粒子分散液に接触させて、溶媒を除去する工程である。
具合的には、溶媒除去工程では、例えば、密閉反応器内に、大径シリカ粒子分散液を投入する。その後、密閉反応器内に、液化二酸化炭素を加えて加熱し、高圧ポンプにより反応器内を昇圧させ、二酸化炭素を超臨界状態とする。そして、密閉反応器内に超臨界二酸化炭素を導入すると共に、排出し、密閉反応器内、つまり大径シリカ粒子分散液に流通させる。
これにより、超臨界二酸化炭素が溶媒(アルコール及び水)を溶解しつつ、これを同伴して大径シリカ粒子分散液の外部(密閉反応器内の外部)へと排出され、溶媒が除去される。
この温度が上記範囲未満であると、溶媒が超臨界二酸化炭素に溶解し難くなるため、溶媒の除去がし難くなることがある。また溶媒や超臨界二酸化炭素の液架橋力により粗粉が生じ易くなることがあると考える。一方、この温度が上記範囲を超えると、大径シリカ粒子表面のシラノール基の縮合により2次凝集体等の粗粉が生じやすくなることがあると考えられる。
この圧力が上記範囲未満であると、超臨界二酸化炭素に溶媒が溶解し難くなる傾向にあり、一方、圧力が上記範囲を超えると、設備が高額となる傾向となる。
導入・排出量が15.4L/分/m3未満であると、溶媒除去に時間がかかるため生産性が悪くなり易くなる傾向となる。
一方、導入・排出量が1540L/分/m3以上であると、超臨界二酸化炭素がショートパスし、大径シリカ粒子分散液の接触時間が短くなってしまい、効率的に溶媒除去でき難くなる傾向となる。
疎水化処理工程は、溶媒除去工程と連続して、超臨界二酸化炭素中で、疎水化処理剤により大径シリカ粒子の表面を疎水化処理する工程である。
つまり、疎水化処理工程では、例えば、溶媒除去工程から移行する前に、大気開放を行わず、超臨界二酸化炭素中で、疎水化処理剤により大径シリカ粒子の表面を疎水化処理する。
具体的には、疎水化処理工程では、例えば、溶媒除去工程における密閉反応器内への超臨界二酸化炭素を導入・排出を停止した後、密閉反応器内の温度、圧力を調整し、密閉反応器内に、超臨界二酸化炭素が存在する状態で、大径シリカ粒子に対して一定の割合の疎水化処理剤を投入する。そして、この状態を維持した状態、つまり超臨界二酸化炭素中で、疎水化処理剤を反応させて、大径シリカ粒子の疎水化処理を行う。反応終了後は、密閉反応器内を減圧、冷却させる。
なお、溶媒除去工程において、水とアルコールを除去する前に疎水化処理剤を添加すると疎水化処理剤の加水分解及び縮合反応が適性に行われなくなり、凝集粒子が発生したり、疎水化処理剤が遊離、凝集し易くなることがある。
ここで、疎水化処理工程は、超臨界二酸化炭素中で(つまり超臨界二酸化炭素の雰囲気下で)、疎水化処理を行えばよく、超臨界二酸化炭素を流通(つまり密閉反応器内への超臨界二酸化炭素を導入・排出)させながら疎水化処理を行ってよいし、非流通で疎水化処理を行ってもよい。
この量が上記範囲より少ないと疎水処理剤の超臨界二酸化炭素に対する濃度が低くなりシリカ表面との接触確率が低下し、疎水化反応が進み難くなることがある。一方で、この量が上記範囲よりも多いと、疎水処理剤の超臨界二酸化炭素に対する濃度が高くなり、疎水処理剤が超臨界二酸化炭素へ溶解しきれず分散不良となり、粗大凝集物を発生させやすくなる。
この密度が上記範囲より低いと、超臨界二酸化炭素に対する疎水処理剤の溶解度が低下し、凝集物を発生させる傾向がある。一方で、密度が上記範囲よりも高いと、シリカ細孔への拡散性が低下するため、疎水化処理が不十分となる場合がある。特に、シラノール基を多く含有しているゾルゲルシリカ粒子に対しては上記密度範囲での疎水化処理を行うことがよい。
なお、超臨界二酸化炭素の密度は、温度及び圧力等により調整される。
これら疎水化処理剤の中も、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのトリメチル基を有する珪素化合物が好適である。
この温度が上記範囲未満であると、疎水化処理剤と大径シリカ粒子表面との反応性が低下することがある。一方で、温度が上記範囲を超えると、大径シリカ粒子のシラノール基間による縮合反応が進み、凝集粒子が発生することがある。特に、シラノール基を多く含有しているゾルゲルシリカに対しては上記温度範囲での疎水化処理を行うことがよい。
本実施形態に係るトナーにおいて、トナー粒子は、大径シリカ粒子以外の他の外添剤が付着されていてもよい。
他の外添剤としては、例えば、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化硅素、窒化硅素などの無機粒子が挙げられる。また、他の外添剤としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂粒子、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩の粒子も挙げられる。
小径シリカ粒子の外添量(添加量)は、例えば、トナー粒子の全質量に対し、0.3質量%以上3.0質量%以下がよく、より望ましくは0.5質量%以上2.0質量%以下である。
なお、小径シリカ粒子は、超臨界二酸化炭素中で疎水化処理されていても、されていなくともよい。また、小径シリカ粒子は、球形状、異型状のいずれであってもよく、上記の粒径の範囲を満たしていれば、その製造方法も問わない。
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、大径シリカ粒子を外添することで得られる。
トナー粒子の製造方法としては、混練粉砕法や湿式造粒法が挙げられるが、表面の材料がより均一に近くなり、そのため大径シリカ粒子やその他の外添剤の埋め込みに対してトナー粒子間の差が少ない懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化凝集・合一法等の湿式造粒法により行われることが望ましい。湿式造粒法としては、特により形状の制御とトナー粒子間の形状差が小さい乳化凝集・合一法、が特に好ましい。
得られたトナー粒子に大径シリカ粒子やその他の外添剤を外添する方法としては、例えば、V型ブレンダーやヘンシェルミキサーやレディゲミキサー等の公知の混合機によって混合する方法が挙げられる。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
次に、本実施形態に係るトナー(静電荷像現像剤)を用いた本実施形態に係る画像形成装置及び画像形成方法について説明する。
なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して脱着されるプロセスカートリッジであってもよい。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給される。
なお、1次転写装置5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写装置5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写装置に印加する転写バイアスを可変する。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
一方、記録紙P(記録媒体の一例)が供給機構を介して2次転写装置26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に予め定められたタイミングで給紙され、2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
なお、一次転写装置、中間転写ベルト、及び2次転写装置が、転写手段の一例に該当する。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
図2は、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例の実施形態を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体107とともに、帯電装置108、現像装置111、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。なお、図2において符号300は記録紙(記録媒体)を示す。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置に対して着脱自在としたものである。
本実施形態に係るプロセスカートリッジでは、現像手段(図2中では現像装置111)を備えていればよく、この他、感光体107、帯電装置108、クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備えることが望ましい。
(大径シリカ粒子(S1)の作製)
−大径シリカ粒子分散液(S1)の調製−
攪拌機、滴下ノズル、温度計を具備したガラス製反応容器にメタノール300部、10%アンモニア水52部を添加して混合し、アルカリ触媒溶液を得た。
このアルカリ触媒溶液を30℃に調整した後、攪拌しながら、テトラメトキシシラン440部と3.8%アンモニア水290部とを同時に滴下時間60分で滴下を行い、体積平均粒径(D50vと表記)120nm、平均円形度0.82の異形状で親水性の大径シリカ粒子分散液(固形分濃度9.5質量%)を得た。
なお、テトラアルコキシシランの供給量は、アルカリ触媒溶液におけるアルコールのモル数に対して、0.0053mol/(mol・min)とした。テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量の1mol当たりに対してNH3量は0.27molとした。
その後、得られた大径シリカ粒子分散液をロータリーフィルターR−ファイン(寿工業社製)で固形分濃度40質量%まで濃縮した。この濃縮したものを大径シリカ粒子分散液(S1)とした。
以下に示すようにして、大径シリカ粒子分散液(S1)の溶媒除去工程と共に、大径シリカ粒子に対して、疎水化処理剤による疎水化処理を行った。なお、疎水化処理には、二酸化炭素ボンベ、二酸化炭素ポンプ、エントレーナポンプ、撹拌機付きオートクレーブ(容量500ml)、圧力弁を具備した装置を用いた。
その後、ヒーターにより温度150℃、二酸化炭素ポンプにより圧力15MPaを維持し、オートクレーブ内で二酸化炭素の超臨界状態を維持させた状態で、疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザン(HMDS)をエントレーナポンプにてオートクレーブ内に添加し、撹拌しながら、30分間保持した。その後、撹拌を停止し、圧力弁を開けてオートクレーブ内の圧力を大気圧まで開放し温度を室温(25℃)まで下げた。
このように、溶媒除去工程、疎水化処理剤による疎水化処理を順次行い、大径シリカ粒子(S1)を得た。
得られた大径シリカ粒子(S1)の疎水化度は、67であった。
大径シリカ粒子分散液(S1)の調製において、表1に従って、アルカリ触媒溶液(メタノール量、及び10%アンモニア水量)、粒子生成条件(アルカリ触媒溶液へのテトラメトキシシラン(TMOSと表記)及び3.8%アンモニア水の総滴下量、並びに、滴下時間)、疎水化処理条件(雰囲気、及び処理時間)を表1のように変更した以外は、大径シリカ粒子(S1)と同様にして、大径シリカ粒子(S2)〜(S9)、大径シリカ粒子(CS1)〜(CS2)、及び小径シリカ粒子(S20)を作製した
(非晶性ポリエステル樹脂1の合成)
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物: 40モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物: 60モル部
・テレフタル酸: 47モル部
・フマル酸: 40モル部
・ドデセニルコハク酸無水物: 15モル部
・トリメリット酸無水物: 3モル部
攪拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、上記モノマー成分のうちフマル酸とトリメリット酸無水物以外と、ジオクタン酸スズを上記モノマー成分の合計100部に対して0.25部投入した。窒素ガス気流下、235℃で6時間反応させた後、200℃に降温して、上記フマル酸とトリメリット酸無水物を投入し1時間反応させた。温度を更に220℃まで4時間かけて昇温し、10kPaの圧力下で所望の分子量になるまで重合させ、淡黄色透明な非晶性ポリエステル樹脂1を得た。
得られた非晶性ポリエステル樹脂1は、DSCによるガラス転移温度Tgが59℃、GPCによる質量平均分子量Mwが25,000、数平均分子量Mnが7,000、フローテスターによる軟化温度が107℃、酸価AVが13mgKOH/gであった。
(非晶性ポリエステル樹脂分散液1の調製)
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械(株)製:BJ−30N)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽に酢酸エチル160部とイソプロピルアルコール100部との混合溶剤を投入し、これに上記非晶性ポリエステル樹脂1を300部投入して、スリーワンモーターを用い150rpmで攪拌を施し、溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に10%アンモニア水溶液を、滴下時間5分間で14部滴下し、10分間混合した後、更にイオン交換水900部を毎分7部の速度で滴下して転相させて、乳化液を得た。
すぐに、得られた乳化液800部とイオン交換水700部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械(株))にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1,100部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50は130nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が20%になるように調製し、これを非晶性ポリエステル樹脂分散液1とした。
(結晶性ポリエステル樹脂1の合成)
・1,10−ドデカン二酸: 50モル部
・1,9−ノナンジオール: 50モル部
攪拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に上記モノマー成分を入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、チタンテトラブトキサイド(試薬)を前記モノマー成分100部に対して0.25部投入した。窒素ガス気流下、170℃で3時間攪拌反応させた後、温度を更に210℃まで1時間かけて昇温し、反応容器内を3kPaまで減圧し、減圧下で13時間攪拌反応させて、結晶性ポリエステル樹脂1を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂1は、DSCによる融解温度が73.6℃、GPCによる質量平均分子量Mwが25,000、数平均分子量Mnが10,500、酸価AVが10.1mgKOH/gであった。
(結晶性ポリエステル樹脂分散液1の調製)
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械(株)製:BJ−30N)に、前記結晶性ポリエステル樹脂300部と、メチルエチルケトン(溶剤)160部と、イソプロピルアルコール(溶剤)100部とを入れ、水循環式恒温槽にて70℃に維持しながら、100rpmで攪拌混合しつつ樹脂を溶解させた(溶解液調製工程)。
その後攪拌回転数を150rpmにし、水循環式恒温槽を66℃に設定し、10%アンモニア水(試薬)17部を10分間かけて投入した後、66℃に保温されたイオン交換水を7部/分の速度で、合計900部滴下し転相させて、乳化液を得た。
すぐに、得られた乳化液800部とイオン交換水700部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械(株))にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1,100部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは130nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が20%になるように調製し、これを結晶性ポリエステル樹脂分散液とした。
(黒顔料分散液1の調製)
・カーボンブラック(キャボット製、Regal330):250部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンSC):33部(有効成分60%。着色剤に対して8%)
・イオン交換水:750部
上記成分をすべて投入した際に液面の高さが容器の高さの1/3程度になる大きさのステンレス容器に、イオン交換水を280部とアニオン系界面活性剤33部とを入れ、充分に界面活性剤を溶解させた後、前記固溶体顔料すべてを投入し、攪拌機を用いて濡れていない顔料がなくなるまで攪拌するとともに、充分に脱泡させた。脱泡後に残りのイオン交換水を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、5000回転で10分間分散した後、攪拌器で1昼夜攪拌させて脱泡した。脱泡後、再度ホモジナイザーを用いて、6000回転で10分間分散した後、攪拌器で1昼夜攪拌させて脱泡した。続けて、分散液を高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン社製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで分散した。分散は、トータル仕込み量と装置の処理能力とから換算して25パス相当行った。得られた分散液を72時間放置して沈殿物を除去し、イオン交換水を加えて、固形分濃度を15%に調製した。この黒顔料分散液1中の粒子の体積平均粒径D50は135nmであった。
(離型剤分散液1の調製)
・炭化水素系ワックス(日本精鑞(株)製、商品名:FNP0080、融解温度=80℃): 270部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK、有効成分量:60%): 13.5部(有効成分として、離型剤に対して3.0%)
・イオン交換水: 21.6部
上記成分を混合し、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製、ゴーリンホモジナイザ)で、内液温度120℃にて離型剤を溶解した後、分散圧力5MPaで120分間、続いて40MPaで360分間分散処理し、冷却して、離型剤分散液1を得た。この離型剤分散液中の粒子の体積平均粒径D50は225nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が20.0%になるように調整した。
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業(株)製:17%硫酸アルミニウム): 35部
・イオン交換水: 1,965部
上記成分を2リットル容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで攪拌混合して硫酸アルミニウム水溶液を調製した。
(トナーの調製)
・非晶性ポリエステル樹脂分散液1: 700部
・結晶性ポリエステル樹脂分散液1: 50部
・黒顔料分散液1: 133部
・離型剤分散液1: 100部
・イオン交換水: 350部
・アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、Dowfax2A1): 2.9部
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、温度25℃にて、1.0%硝酸を加えてpHを3.0にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン(株)製:ウルトラタラクスT50)にて5,000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液を130部添加して6分間分散した。
その後、反応容器に攪拌器、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/分の昇温速度で昇温し、10分ごとにマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、コールター社製)にて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで温度を保持し、非晶性ポリエステル樹脂分散液1:50部を5分間かけて投入した。
30分間保持した後、1%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、5℃ごとにpHが9.0になるように同様にして調整しながら、昇温速度1℃/分で90℃まで昇温し、98℃で保持した。光学顕微鏡と走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて粒子形状及び表面性を観察したところ、10.0時間目で粒子の合一が確認されたので、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
冷却後のスラリーを、目開き15μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した。引き続き、アスピレータで減圧ろ過し、ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで減圧ろ過し、ろ液の電気伝導度を測定した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。
洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子は、体積平均粒径D50が6.0μm、形状係数が0.960(シスメックス(株)製、FPIA−3000)であった。なお、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれ等の不具合は見られなかった。
得られたトナー粒子60部に対して、外添剤として大径シリカ粒子(S1)2部及び小径シリカ粒子(S20)1部を加え、サンプルミルを用いて13,000rpmで30秒間混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナーを得た。
表2に従って、外添剤としてのシリカ粒子種を変更した以外は、実施例1と同様にして、各トナーを作製した。
但し、実施例10では、外添剤としての小径シリカ粒子(S20)に代えて、市販のRY−50(体積平均粒径50nm、日本アエロジル社製)を加えて、トナーを作製した。
各例で得られたトナーについて、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
各例で得られたトナーを、1)温度50℃湿度50%環境下、2)温度53℃湿度50%環境下でそれぞれ1日間保管後、大径シリカ粒子の付着状態について、次のようにして評価した。
MOUNTECH社製比表面積測定装置(Macsorb HM model−1201)を使用し、保管前後のトナーの比表面積を測定した。外添トナーの比表面積をA、保管後の比表面積をBとしたとき、抑制状態を式:抑制率X=B/A×100として求め、大径シリカ粒子の埋没及び脱離の評価した。
評価基準は以下の通りであり、許容できるのはG3までである。
G1:抑制率Xが70%以上100%以下
G2:抑制率Xが65以上70%未満
G3:抑制率Xが60以上65%未満
G4:抑制率Xが60%未満
各例で得られたトナーを、1)温度50℃湿度50%環境下、2)温度53℃湿度50%環境下でそれぞれ1日間保管後、トナーの凝集度(流動性)について、次のようにして評価した。
パウダーテスター(ホソカワミクロン製)を使用し、次の方法により測定した。
パウダーテスターは、3段の篩を上下に装着し、最上段の篩の目開きを75μmとし、中段の篩の目開きを45μmとし、最下段の篩の目開きを22μmとしたものである。トナーサンプル2gを最上段の篩に載せ、3段の篩を振幅1mmで30秒間、振動させ、各篩に残ったトナーの量からトナーの凝集度を算出する。
算出式は次のとおりである。
式:(最上段の篩に残ったトナー重量)/(トナーサンプル量)×100=a
式:(中段の篩に残ったトナー重量)/(トナーサンプル量)×100×0.6=b
式:(最下段の篩に残ったトナー重量)/(トナーサンプル量)×100×0.2=c
式:凝集度=a+b+c
ここに示したトナーの凝集度は、トナーの流動性を示す特性値であり、その値が小さい程、流動性が高く、その値が大きい程、凝集度が高いことを示す。
評価基準は以下の通りであり、許容できるのはCまでである。
A:凝集度が10%未満
B:凝集度が10%以上20%未満
C:凝集度が20%以上40%未満
D:凝集度が40%以上
また、小径シリカ粒子をさらに外添した実施例1〜10は、小径シリカ粒子をさらに外添していない実施例11に比べ、トナーの凝集度(流動性)の評価について、良好な結果が得られたことがわかる。
2Y、2M、2C、2K、108 帯電装置
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置
4Y、4M、4C、4K、111 現像装置
5Y、5M、5C、5K 1次転写装置
6Y、6M、6C、6K、113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写装置
28、115 定着装置
30 中間転写体クリーニング装置
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ、
P、300 記録紙
Claims (9)
- 結着樹脂を含むトナー粒子と、
前記トナー粒子の表面に付着しているシリカ粒子であって、超臨界二酸化炭素中で疎水化処理され、体積平均粒径が60nm以上300nm以下、平均円形度が0.5以上0.85以下のシリカ粒子と、
前記トナー粒子の表面に付着しているシリカ粒子であって、体積平均粒径40nm以下のシリカ粒子と
を含む静電荷像現像用トナー。 - 前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂を含む請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含む請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 超臨界二酸化炭素中で疎水化処理し、体積平均粒径が60nm以上300nm以下、平均円形度が0.5以上0.85以下のシリカ粒子を得る工程と、
結着樹脂を含むトナー粒子に、前記シリカ粒子と、体積平均粒径40nm以下のシリカ粒子とを外添する工程と、
を有する静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 請求項1〜3に記載の静電荷像現像用トナーを少なくとも含む静電荷像現像剤。
- 請求項1〜3に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。 - 請求項5に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体上に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。 - 像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項5に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体上に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体上に形成されたトナー画像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記記録媒体上に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置 - 像保持体を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項5に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体上に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体上に形成されたトナー画像を記録媒体上に転写する転写工程と、
前記記録媒体上に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
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