JP2019164251A - 静電荷像現像用トナー及び2成分現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、ポリエステル樹脂を主成分とするトナーにおいて、低温定着性を維持しながら、高温高湿環境下におけるトナー凝集体起因の画像不良を解決することができる静電荷像現像用トナー及び2成分現像剤を提供することである。【解決手段】本発明の静電荷像現像用トナーは、結着樹脂を含むトナー母体粒子及び外添剤を含む静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂は非晶性ポリエステル樹脂が主成分であり、さらに結晶性ポリエステル樹脂を含み、前記結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数8〜14の脂肪族ジカルボン酸モノマーと、炭素数8〜14の脂肪族ジオールモノマーとの重縮合体であり、かつ、前記外添剤が、個数平均粒径20〜55nmの範囲内の球形シリカ粒子を含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナー及び2成分現像剤に関し、特に、ポリエステル樹脂を主成分とするトナーにおいて、低温定着性を維持しつつ、かつ、高温高湿環境下における画像不良を解決することができる静電荷像現像用トナー及び2成分現像剤に関する。
近年、電子写真複写機及びプリンターは、プリント速度の高速化により、従来のオフィス領域での使用に止まらず、プロダクションプリント市場で使用される機会が増加している。プロダクションプリント市場においては、オフセット印刷並みの高精細、高画質の画像品質が求められている。また、環境負荷低減の意識の高まりの中で省エネルギーの観点から、低温定着化への要求が高まっている。
低温定着性を確保するためにポリエステル樹脂を結着樹脂の主成分として含むトナーが知られている。ポリエステル樹脂は、軟化点が比較的低い樹脂であるので、トナーの低温定着性を確保する点で有利である。さらに、低温定着化のためには結晶性ポリエステル樹脂をトナーに含有させることが有効である。
しかしながら、結晶性ポリエステル樹脂は吸湿性が高いために、トナーが高温高湿環境下で放置されると充分な帯電量が得られず、良好な画像濃度が得られにくい。
特許文献1に開示されている技術では、粒径の異なるゾル・ゲル法によるシリカAと乾式法によるシリカBの両方を添加することで、低温定着性とトナー保存性の両立、帯電安定性を確保している。
しかしながら、前記特許文献1の技術では、不定形状かつ粒度分布が広い小径の乾式法シリカを添加しているため、トナー粒子表面への接着力にバラつきが生じやすく、接着力の弱い粒子の脱離なども想定される。さらに、結晶性ポリエステル樹脂を構成するモノマー炭素鎖が比較的短く吸湿性が高いため、脱離などでトナー粒子間での接触頻度が増えた場合には、周りの水分をより吸着しやすくなり、トナー凝集体起因の画像不良が発生しやすくなる懸念がある。マシンの中など定着時以外の環境やその他のストレスによっては、前記特許文献1の技術では、優れた画像品質を維持することが難しく、検討の余地があった。
また、特許文献2に開示されている技術では、粒径が異なる2種類の単分散の球形シリカ粒子を添加することで、結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナーにおいても帯電安定性を確保しつつ良好なクリーニング性が得られている。しかしながら、主成分であるスチレン・アクリル樹脂は結晶性ポリエステル樹脂との親和性が低いため、結晶性ポリエステルを均一に分散させることが難しく、トナー表面に結晶性ポリエステルが露出しやすい構造をとりやすくなると推測される。そのため、高温高湿環境下においては周りの水分を吸収しやすく、トナー同士の付着力が大きくなり、トナー凝集体起因の画像不良が生じやすくなることが想定される。
特開2012−189876号公報 特開2016−153817号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、ポリエステル樹脂を主成分とするトナーにおいて、低温定着性を維持しながら、高温高湿環境下におけるトナー凝集体起因の画像不良を解決することができる静電荷像現像用トナー及び2成分現像剤を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、結晶性ポリエステル樹脂を含むトナーに関して、結着樹脂の主成分を非晶性ポリエステル樹脂とし、かつ、小径の球形シリカ粒子を外添剤として用いることにより、低温定着性を維持しつつ、高温高湿環境下における画像不良を解決することができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも結着樹脂を含有するトナー母体粒子と、前記トナー母体粒子表面に付着される外添剤とを含む静電荷像現像用トナーであって、
前記結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂を主成分として含有し、さらに結晶性ポリエステル樹脂を含有し、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数8〜14の脂肪族ジカルボン酸モノマーと、炭素数8〜14の脂肪族ジオールモノマーとの重縮合体であり、かつ、
前記外添剤として、個数平均粒径が20〜55nmの範囲内である球形シリカ粒子(1)を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
2.前記球形シリカ粒子(1)の個数平均粒径の標準偏差が、個数平均粒径×0.22以下であることを特徴とする第1項に記載の静電荷像現像用トナー。
3.前記外添剤として、前記個数平均粒径が20〜55nmの範囲内である球形シリカ粒子(1)と、個数平均粒径が70〜160nmの範囲内である球形シリカ粒子(2)とを含有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の静電荷像現像用トナー。
4.第1項から第3項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーと、キャリアとを含有することを特徴とする2成分現像剤。
5.前記キャリアが、芯材粒子表面を被覆用樹脂で被覆してなるキャリア粒子を含んでおり、
当該被覆用樹脂が、脂環式メタアクリレートモノマーを含む共重合体を含有することを特徴とする第4項に記載の2成分現像剤。
6.前記脂環式メタアクリレートモノマーが、共重合比率で50%以上であることを特徴とする第5項に記載の2成分現像剤。
本発明の上記手段により、ポリエステル樹脂を主成分とするトナーにおいて、低温定着性を維持しながら、高温高湿環境下におけるトナー凝集体起因の画像不良を解決することができる静電荷像現像用トナー及び2成分現像剤を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
ポリエステル樹脂を結着樹脂の主成分として含むトナーが知られている。ポリエステル樹脂は、軟化点が比較的低い樹脂であるので、トナーの低温定着性を確保する点で有利である。さらに、低温定着化のためには結晶性ポリエステル樹脂をトナーに含有させることが有効であり、さらにはその構成モノマー炭素数によって低温定着性をある程度制御できると推察している。結晶性ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分及びジオール成分の炭素数が8未満であると、炭素鎖が比較的短いためにエステル基濃度が高く、低温定着性に優れているが、吸湿性が高いため、周りの水分を吸着しやすくなり、トナー凝集体起因の画像不良が発生しやすくなる。また、炭素数が15以上であるとエステル基濃度が低くなって低温定着性には不利になってしまうと考えられる。
一方で、結晶性ポリエステル樹脂は吸湿性があるため、高温高湿環境下においては周りの水分を吸着することで非静電付着力が大きくなる。それによってトナー同士の付着力が強くなり凝集体が発生、画像不良が生じやすくなる。
上記画像不良を抑制するためには、結晶性ポリエステル成分をできるだけトナー内部へ配置することが望ましく、メインバインダーに非晶性ポリエステル樹脂を用いることで改善することができる。これは、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂の構造が近しく、樹脂同士の親和性が適度に高いためである(例えば、メインバインダーがスチレン・アクリル樹脂である場合、結晶性ポリエステル樹脂との親和性が低いため、均一に分散させることが難しく、トナー表面に結晶性ポリエステル樹脂が露出しやすい構造をとりやすくなる。)。
しかしながら、トナー結着樹脂の主成分がポリエステル樹脂である場合、負帯電性が高いことから、静電付着力が大きくなる。そこで、小径の球形シリカ粒子を外添剤として用いることで、静電付着力を下げることができる(帯電性を下げる)。また、上記シリカ粒子は小径かつ球形で粒度分布がシャープであるため、トナー表面に均一に付着させることができ、非静電付着力も下げることができる。
以上のように、本発明によれば、小径の球形シリカ粒子を添加することによる静電付着力と非静電付着力の調整が可能であり、低温定着性を維持しながら高温高湿環境下におけるトナー凝集体起因の画像不良を解決することができる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂を含有するトナー母体粒子と、前記トナー母体粒子表面に付着される外添剤とを含む静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂を主成分として含有し、さらに結晶性ポリエステル樹脂を含有し、前記結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数8〜14の脂肪族ジカルボン酸モノマーと、炭素数8〜14の脂肪族ジオールモノマーとの重縮合体であり、かつ、前記外添剤として、個数平均粒径が20〜55nmの範囲内である球形シリカ粒子(1)を含有することを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記球形シリカ粒子(1)の個数平均粒径の標準偏差が、個数平均粒径×0.22以下であることが、単分散となり、トナー表面に均一に付着させることができ、非静電付着力を下げることができる点で好ましい。
前記外添剤として、前記個数平均粒径が20〜55nmの範囲内である球形シリカ粒子(1)と、個数平均粒径が70〜160nmの範囲内である球形シリカ粒子(2)とを含有することが好ましい。個数平均粒径70〜160nmの範囲内の球形シリカ粒子(2)を用いることで、スペーサー効果を有するため、現像器内でのストレスを受けても、小径である個数平均粒径20〜55nmの範囲内の球形シリカ粒子(1)のトナー粒子への埋没が生じにくく、流動性が上がり、トナー母体粒子からの離脱が減る。その結果、水分吸着によるトナー凝集体発生を抑制でき、高画質な画像を得ることができる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、2成分現像剤に好適に用いられ、当該2成分現像剤はキャリアを含有することを特徴とする。
また、前記キャリアが、芯材粒子表面を被覆用樹脂で被覆してなるキャリア粒子を含んでおり、当該被覆用樹脂が、脂環式メタアクリレートモノマーを含む共重合体を含有することが、吸湿性が低減し、高温高湿での帯電量の低下を抑制できる点で好ましい。また、適度な機械的強度を有し、被覆材として膜摩耗されることでキャリア粒子表面がリフレッシュされる。
さらに、前記脂環式メタアクリレートモノマーが、共重合比率で50%以上であることが、機械的強度を保持しつつ、吸湿性を下げられる点で好ましい。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[静電荷像現像用トナー]
本発明の静電荷像現像用トナーは少なくとも結着樹脂を含有するトナー母体粒子と、前記トナー母体粒子表面に付着される外添剤とを含む静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂を主成分として含有し、さらに結晶性ポリエステル樹脂を含有し、前記結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数8〜14の脂肪族ジカルボン酸モノマーと、炭素数8〜14の脂肪族ジオールモノマーとの重縮合体であり、かつ、前記外添剤として、個数平均粒径が20〜55nmの範囲内である球形シリカ粒子(1)を含有することを特徴とする。
<トナー母体粒子>
本発明に係るトナー母体粒子は、少なくとも結着樹脂を含有する。
また、本発明に係るトナー母体粒子は、その他必要に応じて、離型剤(ワックス)、着色剤及び荷電制御剤などの他の構成成分を含有してもよい。
なお、本発明において、トナー母体粒子に外添剤を添加したものをトナー粒子といい、トナー粒子の集合体をトナーという。トナー母体粒子は、一般的には、そのままでもトナー粒子として用いることもできるが、本発明においては、トナー母体粒子に外添剤を添加したものをトナー粒子として用いる。
<結着樹脂>
本発明に係る結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂を主成分として含有し、さらに結晶性ポリエステル樹脂を含有する。
(結晶性ポリエステル樹脂)
本発明において、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
結晶性樹脂の融点Tmcは、十分な高温保存性を得る観点から60℃以上であることが好ましく、十分な低温定着性を得る観点から85℃以下であることが好ましい。
融点Tmcは、DSCにより測定することができる。具体的には、結晶性樹脂の試料0.5mgをアルミニウム製パン「KITNO.B0143013」に封入し、熱分析装置「Diamond DSC」(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットして、加熱、冷却、加熱の順に温度を変動させる。1回目と2回目の加熱時には、10℃/分の昇温速度で室温(25℃)から150℃まで昇温して150℃を5分間保持し、冷却時には、10℃/分の降温速度で150℃から0℃まで降温して0℃の温度を5分間保持する。2回目の加熱時に得られる吸熱曲線における吸熱ピークのピークトップの温度を融点(Tmc)として測定する。
トナー母体粒子に対する結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、十分な低温定着性を得る観点から、5〜20質量%の範囲内であることが好ましく、7〜15質量%の範囲内であることがより好ましい。
当該含有量が5質量%以上である場合、十分な可塑効果を得られ、低温定着性に優れる。当該含有量が20質量%以下である場合では、トナーとしての熱的安定性や物理的なストレスに対する安定性が十分となる。
また、結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、1500〜30000の範囲内であることが好ましく、2000〜20000の範囲内であることがより好ましい。これらの範囲内とすることで、定着画像の強度が不足することがなく、現像剤撹拌中に結晶性樹脂が粉砕されたり、過度な可塑効果によりトナーのガラス転移温度Tgが低下して、トナーの熱的安定性が低下することもない。また、シャープメルト性が発現し、低温定着が可能となる。
上記Mnは、以下のようにゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)によって測定した分子量分布から求めることができる。
試料を濃度0.1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン(THF)中に添加し、40℃まで加温して溶解させた後、ポアサイズ0.2μmのメンブレンフィルターで処理して、試料液を調製する。GPC装置HLC−8220GPC(東ソー社製)及びカラム「TSKgelSuperHZ3000」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてTHFを流速0.6mL/分で流す。キャリア溶媒とともに、調製した試料液100μLをGPC装置内に注入し、示差屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出する。そして、単分散のポリスチレン標準粒子の10点を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出する。このとき、データ解析において、上記フィルター起因のピークが確認された場合には、当該ピーク前の領域をベースラインとして設定した。
本発明に係る結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数8〜14の脂肪族ジカルボン酸モノマーと、炭素数8〜14の脂肪族ジオールモノマーとの重縮合体であることを特徴とする。
脂肪族ジカルボン酸は、直鎖型であることが、結晶性ポリエステルの結晶性を高める観点から好ましい。
《脂肪族ジカルボン酸》
本発明に係る炭素数8〜14の脂肪族ジカルボン酸の例としては、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。中でも、低温定着性及び転写性の両立との効果が得られやすい観点から、炭素数9〜12の脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
炭素数が8以上であると、定着性に優れ、樹脂の吸湿性が高くなりすぎず、トナー凝集体が発生しにくい。また、炭素数が14以下であると、定着性を悪化させずに、高温高湿環境下でも良好な画像を形成することができる。
結晶性ポリエステル樹脂における上記ジカルボン酸由来の構成単位に対する脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位の含有量は、結晶性ポリエステルの結晶性を十分に確保する観点から、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
脂肪族ジオールは、結晶性ポリエステルの結晶性を高める観点から、直鎖型であることが好ましい。
《脂肪族ジオール》
本発明に係る炭素数8〜14の脂肪族ジオールの例としては、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。低温定着性及び転写性の両立との効果が得られやすい観点から、炭素数が9〜12の脂肪族ジオールが好ましい。また、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
本発明において、上記脂肪族カルボン酸及び脂肪族ジオールの好ましい組み合わせとしては、1,10−デカンジカルボン酸と1,9−ノナンジオール、1,12−ドデカンジカルボン酸と1,12−ドデカンジオール等の組み合わせが挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂におけるジオール由来の構成単位に対する脂肪族ジオール由来の構成単位の含有量は、トナーの低温定着性及び最終的に形成される画像の光沢性を高める観点から、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂のモノマーにおける上記ジオールと上記ジカルボン酸との割合は、ジオールのヒドロキシ基[OH]とジカルボン酸のカルボキシ基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]で2.0/1.0〜1.0/2.0の範囲内であることが好ましく、1.5/1.0〜1.0/1.5の範囲内であることがより好ましく、1.3/1.0〜1.0/1.3の範囲内であることが特に好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂を構成するモノマーは、直鎖脂肪族モノマーを50質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することがより好ましい。芳香族モノマーを用いた場合には、結晶性ポリエステル樹脂の融点が高くなる傾向が高く、分岐型の脂肪族モノマーを用いた場合には、結晶性が低くなる傾向が高い。したがって、上記モノマーに直鎖脂肪族モノマーを用いることが好ましい。
トナー中において結晶性ポリステル樹脂の結晶性を維持する観点から、直鎖脂肪族モノマーを50質量%以上使用することが好ましく、80質量%以上使用することがより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、公知のエステル化触媒を利用して、上記脂肪族カルボン酸及び脂肪族ジオールを重縮合する(エステル化する)ことにより合成することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の合成に使用可能な触媒は、1種でもそれ以上でもよく、その例には、ナトリウム、リチウムなどのアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウムなどの第2族元素を含む化合物;アルミニウム、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウムなどの金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;及び、アミン化合物;が含まれる。
具体的には、スズ化合物の例には、酸化ジブチルスズ、オクチル酸スズ、ジオクチル酸スズ、及びこれらの塩が含まれる。チタン化合物の例には、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラメチルチタネート、テトラステアリルチタネートなどのチタンアルコキシド;ポリヒドロキシチタンステアレートなどのチタンアシレート;及び、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネートなどのチタンキレートが含まれる。ゲルマニウム化合物の例には、二酸化ゲルマニウムが含まれ、アルミニウム化合物の例には、ポリ水酸化アルミニウムなどの酸化物、アルミニウムアルコキシド、及び、トリブチルアルミネート、が含まれる。
結晶性ポリエステル樹脂の重合温度は、150〜250℃の範囲内であることが好ましい。また、重合時間は、0.5〜10時間であることが好ましい。重合中には、必要に応じて反応系内を減圧にしてもよい。
(非晶性ポリエステル樹脂)
本発明において、主成分とは、結着樹脂の中で最も含有割合が高い樹脂であることを意味し、結着樹脂中に50質量%以上含有することをいう。
本発明に係る非晶性ポリエステル樹脂は、優れた定着性を得る観点から、結着樹脂中に65〜95質量%の範囲内で含有することが好ましい。なお、結着樹脂はトナー樹脂全量である。
本発明に係る非晶性ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂であって、示差走査熱量測定(DSC)を行った時に、融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂である。また、非晶性ポリエステル樹脂を構成する単量体は、結晶性ポリエステル樹脂を構成する単量体とは異なるため、例えば、NMR等の分析によって結晶性ポリエステル樹脂と区別することができる。
なお、上記非晶性ポリエステル樹脂のTgは、35〜80℃の範囲内であることが好ましく、特に45〜65℃の範囲内であることが好ましい。
ガラス転移温度は、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82に規定された方法(DSC法)にしたがって測定することができる。測定には、DSC−7示差走査カロリメーター(パーキンエルマー社製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラ(パーキンエルマー社製)などを用いることができる。
非晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる。具体的な非晶性ポリエステル樹脂については特に制限はなく、本技術分野における従来公知の非晶性ポリエステル樹脂が用いられ得る。
非晶性ポリエステル樹脂の具体的な製造方法は、特に限られるものではなく、公知のエステル化触媒を利用して、多価カルボン酸及び多価アルコールを重縮合する(エステル化する)ことにより当該樹脂を製造することができる。
製造の際に使用可能な触媒、重縮合(エステル化)の温度、重縮合(エステル化)の時間は特に限定されるものではなく、上記結晶性ポリエステル樹脂と同様である。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に制限されないが、例えば、5000〜100000の範囲内であることが好ましく、5000〜50000の範囲内であることがより好ましい。上記重量平均分子量(Mw)が5000以上であると、トナーの耐熱保管性を向上させることができ、100000以下であると、低温定着性をより向上させることができる。上記重量平均分子量(Mw)は、上記した方法により測定することができる。
非晶性ポリエステル樹脂の調製に用いられる多価カルボン酸及び多価アルコールの例としては、特に制限されないが、以下が挙げられる。
《多価カルボン酸》
テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられる。これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いることができる。これら多価カルボン酸の中、芳香族カルボン酸を使用することが好ましく、またより良好な定着性を確保するために架橋構造又は分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
《多価アルコール》
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールの1種又は2種以上用いることができる。これら多価アルコールの中、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。またより良好な定着性を確保するため、架橋構造又は分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、及び/又はモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシ基、及び/又はカルボキシ基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整しても良い。
モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
<離型剤>
本発明に係る離型剤としては、公知の種々のワックスを用いることができる。ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘニルベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。また、これらの離型剤は、1種単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して1〜30質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量部の範囲内である。
<着色剤>
本発明に係るトナー母体粒子には着色剤を添加することができる。
本発明に係る着色剤としては公知の着色剤が使用できる。具体的には、イエロートナーに含有される着色剤としては、例えばC.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185などが挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
マゼンタトナーに含有される着色剤としては、例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222などが挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
シアントナーに含有される着色剤としては、例えばC.I.ピグメントブルー15:3などが挙げられる。
ブラックトナーに含有される着色剤としては、例えばカーボンブラック、磁性体、チタンブラックなどが挙げられる。カーボンブラックとしては、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。
磁性体としては、例えば鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これら強磁性金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理することにより強磁性を示す合金などが挙げられる。熱処理することにより強磁性を示す合金としては、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズなどのホイスラー合金、二酸化クロムなどが挙げられる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは2〜9質量部の範囲内である。
<荷電制御剤>
荷電制御剤としては、摩擦帯電により正又は負の帯電を与えることのできる物質であれば特に限定されず、公知の種々の正帯電制御剤及び負帯電制御剤を用いることができる。その例には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、及び、サリチル酸金属塩、が含まれる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.01〜30質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部の範囲内である。
<外添剤>
本発明に係る外添剤は、個数平均粒径20〜55nmの範囲内の球形シリカ粒子(1)を含有することを特徴とする。
球形シリカ粒子(1)の個数平均粒径が25〜50nmの範囲内であると、トナー母体粒子表面に球形シリカ粒子(1)を均一に付着させることができるため、水分吸着による非静電付着力増加によるトナー凝集体発生を抑制でき、粒状性に優れた高画質な画像が得られる。なお、球形シリカ粒子の個数平均粒径は30〜45nmの範囲内であることがより好ましい。
また、本発明では、外添剤として、個数平均粒径が20〜55nmの範囲内の球形シリカ粒子(1)と、個数平均粒径が70〜160nmの範囲内の球形シリカ粒子(2)とを含有することが好ましい。
個数平均粒径が70〜160nmの球形シリカ粒子(2)はスペーサー効果を有するため、現像器内でのストレスを受けても球形シリカ粒子(1)のトナー粒子への埋没が生じにくく、流動性が上がり、トナーからの離脱も減る。そのため水分吸着によるトナー凝集体発生を抑制できるため、高画質な画像が得られる。
(球形シリカ粒子)
本発明に係る球形シリカ粒子(1)及び(2)の「球形」とは、球形化度が0.6以上であることをいう。より好ましくは球形化度が0.8以上である。
本発明において、球形化度とは、Wadellの真の球形化度である。すなわち、球形化度は、下記式(A)で表されるものである。
式(A)球形化度=(実際の粒子と同じ体積を有する球の表面積)/(実際の粒子の表面積)
ここで、「実際の粒子と同じ体積を有する球の表面積」は、下記方法から求めた個数平均粒径から算術計算により求めることができる。また、「実際の粒子の表面積」は、「粉体比表面積測定装置SS−100」(島津製作所製)を用いて求めたBET比表面積で代用することができる。
(シリカ粒子の個数平均粒径)
走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM−7401F」(日本電子社製)を用いて、3万倍に拡大したトナーのSEM写真を撮影し、当該SEM写真を観察してシリカ粒子の一次粒子の粒径(フェレー径)を測定し、その合計値を個数で割って平均粒径を求める。粒径の測定は、SEM画像において粒子の総数が100〜200個程度となるような領域を選択して行う。
球形シリカ粒子(1)及び球形シリカ粒子(2)は、ゾル・ゲル法によって製造された球形シリカ粒子であることが好ましい。ゾル・ゲル法で製造された球形シリカ粒子は、一般的な製造方法であるヒュームドシリカに比べて、粒度が揃う(粒度分布が狭い、すなわち単分散である)ため好ましい。
球形シリカ粒子(1)及び球形シリカ粒子(2)は、粒度分布が揃っているのが好ましい。粒度分布が揃っているとトナー母体粒子表面に均一に付着するため、トナーの水分吸着による非静電付着力を小さくできるため、トナー凝集体発生を抑制でき、高画質な画像が得られる。
(球形シリカ粒子の個数平均粒径の標準偏差>
球形シリカ粒子の粒度分布における分散度は、凝集体を含めた個数平均粒径に対する標準偏差で議論できる。ここで、球形シリカ粒子(1)の個数平均粒径の標準偏差が「個数平均粒径×0.22以下」であるものが好ましく、「個数平均粒径×0.15以下」であるものがさらに好ましい。同様に、球形シリカ粒子(2)の個数平均粒径の標準偏差が「個数平均粒径×0.22以下」であるものが好ましく、「個数平均粒径×0.15以下」であるものがさらに好ましい。
前記球形シリカ粒子(1)の添加量は、トナー母体粒子100質量部に対して、0.3〜2.0質量部の範囲内であることが好ましく、0.5〜1.5質量部の範囲内がより好ましい。添加量が0.3質量部以上であれば、水分吸着による非静電付着力を小さくできる。添加量が2.0質量部以下であれば、トナー粒子から球形シリカ粒子が脱離することを抑制でき、高画質な画像が得られる。
また、前記球形シリカ粒子(2)の添加量はトナー母体粒子100質量部に対して、0.5〜2.0質量部の範囲内であることが好ましく、0.7〜1.5質量部の範囲内がより好ましい。
(その他の外添剤)
本発明に係る外添剤は、上記球形シリカ粒子(1)及び球形シリカ粒子(2)の他に、流動性や帯電性を制御する目的で、従来公知の金属酸化物粒子を使用することができる。例えば、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子、及び酸化ホウ素粒子等が挙げられる。これらは、単独でも又は2種以上を併用してもよい。
また、スチレン、メタクリル酸メチルなどの単独重合体やこれらの共重合体等の有機微粒子を外添剤として使用してもよい。
本発明に係る外添剤として用いられる金属酸化物粒子は、カップリング剤等の公知の表面処理剤により表面の疎水化処理が施されているものが好ましい。
上記表面処理剤としては、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が好ましい。
また、表面処理剤として、シリコーンオイルを用いることもできる。シリコーンオイルの具体例としては、例えば、オルガノシロキサンオリゴマー、オクタメチルシクロテトラシロキサン、又はデカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンなどの環状化合物や、直鎖状又は分岐状のオルガノシロキサンを挙げることができる。また、側鎖、片末端、両末端、側鎖片末端、側鎖両末端などに変性基を導入した反応性の高い、少なくとも末端を変性したシリコーンオイルを用いてもよい。該変性基の例としては、アルコキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、高級脂肪酸変性、フェノール基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基などが挙げられるが、特に制限されるものではない。また、例えば、アミノ/アルコキシ変性など数種の変性基を有するシリコーンオイルであっても良い。
また、ジメチルシリコーンオイルと上記の変性シリコーンオイル、さらには他の表面処理剤とを用いて混合処理又は併用処理しても構わない。併用する処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、各種シリコーンオイル、脂肪酸、脂肪酸金属塩、そのエステル化物、ロジン酸等を例示することができる。
クリーニング性や転写性をさらに向上させるために外添剤として滑剤を使用することも可能である。例えば、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
これらその他の外添剤の添加量は、本発明に係る球形シリカ粒子(1)及び球形シリカ粒子(2)よりも少なくする必要があり、トナー母体粒子全体に対して0.5質量%の範囲内が好ましく、0.3質量%の範囲内がより好ましい。
<トナー母体粒子の形態>
トナー母体粒子は、いわゆる単層構造を有するものであってもよいし、コア・シェル構造(コア粒子の表面にシェル層を形成する樹脂を凝集、融着させた形態)を有するものであってもよく、低温定着性がより良好となる点で、コア・シェル構造を有するものであることが好ましい。
なお、コア・シェル構造は、シェル層がコア粒子を完全に被覆した構造のものに限定されるものではなく、例えば、シェル層がコア粒子を完全に被覆せず、所々コア粒子が露出しているものも含む。
また、高温高湿環境下における帯電性を向上させるという観点から、本発明のトナーは、結晶性ポリエステル樹脂がトナー母体粒子表面に露出せず、トナー母体粒子の内部に含有されるとともに、非晶性樹脂がトナー母体粒子表面に露出した形態であると好ましい。このようなトナーのトナー母体粒子の形態は、結晶性ポリエステル樹脂を形成する多価カルボン酸成分及び多価アルコール成分の炭素数によって制御することができる。また、後述するように、乳化凝集法によりトナー母体粒子を製造する際、各樹脂の添加のタイミング等によってもまたトナー母体粒子の形態を制御することができる。
上述のトナー母体粒子の形態(コア・シェル構造の断面構造や結晶性ポリエステル樹脂の存在位置)は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型プローブ顕微鏡(SPM)等の公知の手段を用いて確認することが可能である。
<トナー母体粒子の平均円形度>
トナー母体粒子の平均円形度は、0.935〜0.995の範囲内であることが好ましく、0.945〜0.990の範囲内であることがより好ましく、0.955〜0.980の範囲内であることがさらに好ましい。このような範囲の平均円形度であれば、個々のトナー母体粒子が破砕しにくく帯電量が安定し画質が高いものとなる。
なお、平均円形度は、例えば、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(Sysmex社製)を用いて測定することができる。
<トナー母体粒子の粒径>
トナー母体粒子の粒径について、体積基準のメジアン径(D50)が3〜10μmであると好ましい。体積基準のメジアン径を上記範囲とすることにより、細線の再現性や、写真画像の高画質化が達成できるとともに、トナーの消費量を、大粒径トナーを用いた場合に比して削減することができる。また、トナー流動性も確保できる。ここで、トナー母体粒子の体積基準のメジアン径(D50)は、例えば、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピュータシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。
トナー母体粒子の体積基準のメジアン径は、後述のトナーの製造時の凝集・融着工程における凝集剤の濃度や溶剤の添加量、又は融着時間、さらには樹脂成分の組成等によって制御することができる。
[トナーの製造方法]
本発明に係るトナーの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できるが、乳化重合凝集法や乳化凝集法を好適に採用できる。
本発明に係るトナーの製造方法に好ましく用いられる乳化重合凝集法は、乳化重合法によって製造された結着樹脂の微粒子(以下、「結着樹脂微粒子」ともいう。)の分散液を、着色剤の微粒子(以下、「着色剤微粒子」ともいう。)分散液及びワックスなどの離型剤の分散液と混合し、トナー母体粒子が所望の粒径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂微粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー母体粒子を製造する方法である。
また、本発明に係るトナーの製造方法として好ましく用いられる乳化凝集法は、溶媒に溶解した結着樹脂溶液を貧溶媒に滴下して樹脂粒子分散液とし、この樹脂粒子分散液と着色剤分散液及びワックスなどの離型剤分散液とを混合し、所望のトナー母体粒子の径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂微粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー母体粒子を製造する方法である。
また、乳化重合凝集法によってはコア・シェル構造を有するトナー母体粒子を得ることもでき、具体的にコア・シェル構造を有するトナー母体粒子は、まず、コア粒子用の結着樹脂微粒子と着色剤の微粒子を凝集、会合、融着させてコア粒子を作製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル層用の結着樹脂微粒子を添加してコア粒子表面にシェル層用の結着樹脂微粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成することにより得ることができる。
<外添剤の添加方法>
トナー母体粒子に外添剤を添加する方法としては特に限定されないが、乾燥済みのトナー母体粒子に外添剤を粉体で添加して混合する乾式法などが挙げられる。
外添剤の混合装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの公知の種々の混合装置を使用することができる。例えば、ヘンシェルミキサーを用いる場合は、撹拌羽根の先端の周速を好ましくは30〜80m/sの範囲内とし、20〜50℃で10〜30分程度撹拌混合する。
[2成分現像剤]
本発明のトナーは、磁性又は非磁性の1成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して2成分現像剤として使用することが好ましい。
トナーを2成分現像剤として使用する場合において、キャリアは、芯材粒子表面を被覆用樹脂で被覆してなるキャリア粒子を含んでいることが好ましい。
(芯材粒子)
芯材粒子としては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。
また、キャリアは、磁性粒子などの芯材粒子表面を被覆用樹脂で被覆したコートキャリアの他、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる分散型キャリアなど用いてもよい。
芯材粒子の体積平均粒径としては、一般的には10〜500μmの範囲内であり、好ましくは30〜100μmの範囲内である。
芯材粒子の体積平均粒径(D50)は、レーザー回折式粒度分布測定装置「HEROS KA」(株式会社日本レーザー製)を用いて、湿式法にて測定した。具体的には、まず、焦点位置200mmの光学系を選択し、測定時間を5秒に設定する。そして、測定用の磁性体粒子を0.2質量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液に加え、超音波洗浄機「US−1」(アズワン株式会社製)を用いて3分間分散させて測定用試料分散液を作製し、これを「HEROS KA」に数滴供給し、試料濃度ゲージが測定可能領域に達した時点で測定を開始する。得られた粒度分布を粒度範囲(チャンネル)に対して、小径側から累積分布を作成し、累積50%となる粒径を体積平均粒径(D50)とした。
(被覆用樹脂)
本発明に係る被覆用樹脂は脂環式メタアクリレートモノマーを含む共重合体から形成されることが好ましい。
脂環式メタアクリレートモノマーを用いることで、吸湿性が低減し、高温高湿での帯電量の低下を抑制することができる。また、適度な機械的強度を有し、被覆材として膜摩耗されることでキャリア粒子表面がリフレッシュされる。
脂環式メタアクリレートモノマーの共重合体比率は、50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。
脂環式メタクリレートモノマーとしては、炭素数5〜8のシクロアルキル基を有するものが好ましく、具体的には、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロオクチルなどが挙げられる。これらの中では、機械的強度及び帯電量の環境安定性の観点から、メタクリル酸シクロヘキシルが特に好ましい。
キャリア及びトナーの合計に対するトナーの比率(トナー濃度)は、4.0〜8.0質量%の範囲内であることが好ましい。トナー粒子の比率が4.0〜8.0質量%の範囲内にあることで、トナーの帯電量が適切となり、初期及び連続印字後の画質がより良好となる。
本発明に係る2成分現像剤は、キャリアとトナーとを、混合装置を用いて混合することで製造することができる。混合装置としては、例えばヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機を挙げることができる。
[画像形成方法]
本発明に係る画像形成方法は、記録媒体上に、本発明のトナーを用いて画像形成層を形成することを含む。
本発明に係る画像形成方法は、本発明のトナーを用いる方法であり、フルカラーの画像形成方法に好適に用いることができる。フルカラーの画像形成方法では、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各々に係る4種類のカラー現像装置と、一つの静電潜像担持体(「電子写真感光体」又は単に「感光体」とも称する)と、により構成される4サイクル方式の画像形成装置を用いる方法や、各色に係るカラー現像装置及び静電潜像担持体を有する画像形成ユニットを、それぞれ色別に搭載するタンデム方式の画像形成装置を用いる方法など、いずれの画像形成方法も用いることができる。
また、クリアトナーをさらに用いる場合には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック及びクリアの各々に係る5種類の現像装置と、一つの静電潜像担持体(「電子写真感光体」又は単に「感光体」とも称する)と、により構成される5サイクル方式の画像形成装置を用いる方法や、クリアトナーを含む各色に係る現像装置及び静電潜像担持体を有する画像形成ユニットを、それぞれ色別に搭載するタンデム方式の画像形成装置を用いる方法などの画像形成方法を用いることができる。
画像形成方法としては、圧力を付与するとともに加熱することができる熱圧力定着方式による定着工程を含む画像形成方法が好ましく挙げられる。
この画像形成方法においては、具体的には、上記トナーを使用して、例えば、感光体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を得て、このトナー像を画像支持体に転写し、その後、画像支持体上に転写されたトナー像を熱圧力定着方式の定着処理によって画像支持体に定着させることにより、可視画像が形成された印画物を得ることができる。
定着工程における圧力の付与及び加熱は、同時であることが好ましく、また、まず圧力を付与し、その後、加熱してもよい。
また、本発明に係る画像形成方法は、熱圧力定着方式の画像形成方法において好適に用いられる。本発明に係る画像形成方法に用いられる熱圧力定着方式の定着装置としては、公知の種々のものを採用することができる。以下に、熱圧力定着装置として、熱ローラー方式の定着装置及びベルト加熱方式の定着装置を説明する。
(i)熱ローラー方式の定着装置
熱ローラー方式の定着装置は、一般に、加熱ローラーと、これに当接する加圧ローラーとによるローラー対を有する。当該定着装置において、加熱ローラーと加圧ローラーとの間に付与された圧力によって加圧ローラーが変形することにより、この変形部にいわゆる定着ニップ部が形成される。
加熱ローラーは、一般に、アルミニウムなどよりなる中空の金属ローラーからなる芯金の内部に、ハロゲンランプなどの熱源が配設されてなる。当該加熱ローラーは、当該熱源によって芯金が加熱される。このとき、加熱ローラーの外周面が所定の定着温度に維持されるように当該熱源ヘの通電が制御されて温度調節される。
定着装置が、4層のトナー層(イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック)又は5層のトナー層(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック及びクリア)からなるトナー像を十分に加熱溶融させて混色させる能力を要求されるフルカラー画像の形成を行う画像形成装置において用いられる場合は、以下の構成を有していると好ましい。
すなわち、定着装置は、加熱ローラーとして、高い熱容量を有する芯金を有し、当該芯金の外周面上に、トナー像を均質に溶融させるための弾性層が形成されたものを含んでいると好ましい。
また、加圧ローラーは、例えばウレタンゴム、シリコーンゴムなどの軟質ゴムからなる弾性層を有するものである。
加圧ローラーとしては、アルミニウムなどよりなる中空の金属ローラーからなる芯金を有し、当該芯金の外周面上に弾性層が形成されたものを用いてもよい。
さらに、加圧ローラーが芯金を有する場合に、当該芯金の内部に、加熱ローラーと同様、ハロゲンランプなどの熱源を配設してもよい。そして、当該熱源によって芯金を加熱し、加圧ローラーの外周面が所定の定着温度に維持されるように当該熱源ヘの通電が制御されて温度調節される構成であってもよい。
これらの加熱ローラーや加圧ローラーとしては、その最外層として、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂などよりなる離型層が形成されてなるものを用いることが好ましい。
このような熱ローラー方式の定着装置においては、ローラー対を回転させて定着ニップ部に可視画像を形成すべき画像支持体を挟持搬送させることによって、加熱ローラーによる加熱と、定着ニップ部における圧力の付与とを行い、これにより、未定着のトナー像が画像支持体に定着される。
本発明に係る画像形成方法は、低温定着性もまた良好となる。よって、上記熱ローラー方式の定着装置において、加熱ローラーの温度を比較的低くすることができ、具体的には、150℃以下とすることができる。さらに、加熱ローラーの温度は、140℃以下であると好ましく、135℃以下であるとより好ましい。低温定着性に優れるという観点からは、加熱ローラーの温度は低いほど好ましく、その下限値は特に制限されないが、実質的には90℃程度である。
(ii)ベルト加熱方式の定着装置
ベルト加熱方式の定着装置は、一般に、例えばセラミックヒータよりなる加熱体と、加圧ローラーと、これらの加熱体と加圧ローラーとの間に耐熱性ベルトよりなる定着ベルトが挟まれてなるものであり、加熱体と加圧ローラーとの間に付与された圧力によって加圧ローラーが変形されることにより、この変形部にいわゆる定着ニップ部が形成されてなるものである。
定着ベルトとしては、ポリイミドなどよりなる耐熱性のベルト及びシートなどが用いられる。また、定着ベルトは、ポリイミドなどよりなる耐熱性のベルト及びシートなどを基体とし、当該基体上にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂などよりなる離型層が形成された構成を有していてもよく、さらに、基体と離型層との間に、ゴムなどよりなる弾性層が設けられた構成を有していてもよい。
このようなベルト加熱方式の定着装置においては、定着ニップ部を形成する定着ベルトと加圧ローラーとの間に、未定着のトナー像が担持された画像支持体を前記定着ベルトとともに挟持搬送させる。これにより、定着ベルトを介した加熱体による加熱と、定着ニップ部における圧力の付与とを行い、未定着のトナー像が画像支持体に定着される。
このようなベルト加熱方式の定着装置によれば、加熱体を、画像形成時のみ当該加熱体に通電して所定の定着温度に発熱させた状態にすればよい。したがって、画像形成装置の電源の投入から画像形成が実行可能な状態に至るまでの待ち時間を短くすることができる。また、画像形成装置のスタンバイ時の消費電力も極めて小さく、省電力化が図られるなどの利点がある。
上記のように、定着工程で定着部材として用いられる、加熱体、加圧ローラー及び定着ベルトは、複数の層構成を有するものが好ましい。
上記ベルト加熱方式の定着装置において、加熱体の温度を比較的低くすることができ、具体的には、150℃以下とすることができる。さらに、加熱体の温度は、140℃以下であると好ましく、135℃以下であるとより好ましい。低温定着性に優れるという観点からは、加熱体の温度は低いほど好ましく、その下限値は特に制限されないが、実質的には90℃程度である。
<記録媒体>
記録媒体(記録材、記録紙、記録用紙等ともいう)は、一般に用いられているものでよく、例えば、画像形成装置等による公知の画像形成方法により形成したトナー像を保持するものであれば特に限定されるものではない。使用可能な画像支持体として用いられるものには、例えば、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙、又は、コート紙等の塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布、いわゆる軟包装に用いられる各種樹脂材料、又はそれをフィルム状に成形した樹脂フィルム、ラベル等が挙げられる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製>
≪非晶性ポリエステル樹脂(A1)の作製≫
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド:3500質量部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド:1400質量部
・1,3,5−ベンゼントリカルボン酸:55質量部
・1,2,4−ベンゼントリカルボン酸:620質量部
・テレフタル酸:950質量部
・フマル酸:410質量部
・ジブチルスズオキサイド:25質量部
加熱乾燥した三口フラスコに上記モノマーと触媒を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械撹拌にて180℃で5時間還流を行った。その後、反応系内に生成した水を減圧蒸留にて留去しながら、240℃まで徐々に昇温を行った。さらに、240℃で3時間脱水縮合反応を継続し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認した後、反応を停止させ、重量平均分子量42000になったところで、減圧蒸留を停止し非晶性ポリエステル樹脂(A1)を得た。ガラス転移温度(Tg)が56℃であった。
≪非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1)の調製≫
次いで、不溶分を除去した後の非晶性ポリエステル樹脂(A1)200質量部、メチルエチルケトン100質量部、イソプロピルアルコール35質量部、10質量%アンモニア水溶液7.0質量部をセパラブルフラスコに入れ、十分に混合、溶解した後、40℃で加熱撹拌しながら、イオン交換水を送液ポンプを用いて送液速度8g/分で滴下した。液が均一に白濁した後、送液速度15g/分に上げて転相させ、送液量が580質量部になったところで滴下を止めた。その後、減圧下で溶剤除去を行い、非晶性樹脂粒子分散液(a1)を得た。得られたポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は164nm、樹脂粒子の固形分濃度は35%であった。
<結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製>
≪結晶性ポリエステル樹脂(C1)の作製≫
・1,10−デカンジカルボン酸:50mol部
・1,9−ノナンジオール:50mol部
・ジブチルスズオキサイド:0.05mol部
加熱乾燥した三口フラスコに上記モノマーと触媒を入れ、その後減圧操作により、三口フラスコ内の空気を窒素に置換して不活性雰囲気下として、機械撹拌により180℃、5時間撹拌し、かつ還流して反応を進行させた。反応の間、反応系内において生成した水を留去した。その後、減圧下において、230℃まで徐々に昇温し、2時間撹拌して粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量24000になったところで、減圧蒸留を停止し結晶性ポリエステル樹脂(C1)を得た。融点は68℃であった。
≪結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)の調製≫
次いで、前記結晶性ポリエステル樹脂(C1)1000質量部と、メチルエチルケトン600質量部、イソプロピルアルコール150質量部をセパラブルフラスコに入れ、これを40℃で充分混合、溶解した後、10質量%アンモニア水溶液を42質量部滴下した。加熱温度を67℃に下げ、撹拌しながらイオン交換水を送液ポンプを用いて送液速度8g/分で滴下し、液が均一に白濁したのち、送液速度15g/分に上げ、総液量が4000質量部になったところで、イオン交換水の滴下を止めた。その後、減圧下で溶媒除去を行い、結晶性樹脂粒子分散液(c1)を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は169nm、樹脂粒子の固形分濃度は25%であった。
≪結晶性ポリエステル樹脂(C2)の作製≫
前記結晶性ポリエステル樹脂(C1)の作製において、
・1,12−ドデカンジカルボン酸:50mol部
・1,12−ドデカンジオール:50mol部
・ジブチルスズオキサイド:0.05mol部
に変更する以外は同様にして結晶性ポリエステル樹脂(C2)を得た。重量平均分子量は25000、融点は69℃であった。
≪結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c2)の調製≫
前記結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)の調製において、結晶性ポリエステル樹脂(C1)の代わりに結晶性ポリエステル樹脂(C2)を用いた以外は同様にして結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c2)を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は160nm、樹脂粒子の固形分濃度は25%であった。
≪結晶性ポリエステル樹脂(C3)の作製≫
前記結晶性ポリエステル樹脂(C1)の作製において、
・フマル酸:50mol部
・1,6−アルカンジオール:50mol部
・ジブチルスズオキサイド:0.05mol部
に変更する以外は同様にして結晶性ポリエステル樹脂(C3)を得た。重量平均分子量は15000、融点は69℃であった。
≪結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c3)の調製≫
前記結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)の調製において、結晶性ポリエステル樹脂(C1)の代わりに結晶性ポリエステル樹脂(C3)を用いた以外は同様にして結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c3)を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は165nm、樹脂粒子の固形分濃度は25%であった。
≪結晶性ポリエステル樹脂(C4)の作製≫
前記結晶性ポリエステル樹脂(C1)の作製において、
・1,16−ヘキサデカンジカルボン酸:50mol部
・1,18−オクタデカンジオール:50mol部
・ジブチルスズオキサイド:0.05mol部
に変更する以外は同様にして結晶性ポリエステル樹脂(C4)を得た。重量平均分子量は22500、融点は67℃であった。
≪結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c4)の調製≫
前記結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)の調製において、結晶性ポリエステル樹脂(C1)の代わりに結晶性ポリエステル樹脂(C4)を用いた以外は同様にして結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c4)を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は180nm、樹脂粒子の固形分濃度は25%であった。
<スチレン・アクリル(StAc)樹脂粒子分散液(b1)の調製>
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム(C1021(OCHCHSONa)よりなるアニオン系界面活性剤4質量部をイオン交換水3040質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を仕込んだ。
さらに、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、液温を75℃に昇温させた。
次に、スチレン532質量部、n−ブチルアクリル酸200質量部、メタクリル酸68質量部及びn−オクチルメルカプタン16.4質量部よりなる重合性単量体溶液を1時間かけて滴下した。滴下後、75℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い、スチレン・アクリル樹脂粒子の分散液を調製した。
分散液中のスチレン・アクリル樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)は、16500であった。
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した分子量分布から求めた。
具体的には、測定試料を濃度0.1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン(THF)中に添加し、室温において超音波分散機を用いて5分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブレンフィルターで処理して、試料液を調製した。GPC装置HLC−8220GPC(東ソー社製)及びカラム「TSKgelSuperHZ3000」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを流速0.6mL/minで流した。キャリア溶媒とともに、調製した試料液100μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出し、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出した。
検量線は、分子量がそれぞれ6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10である10点のポリスチレン標準粒子(Pressure Chemical社製)を測定することにより作成した。
(第2段重合)
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、スチレン101.1質量部、n−ブチルアクリル酸62.2質量部、メタクリル酸12.3質量部及びn−オクチルメルカプタン1.75質量部からなる重合性単量体溶液を仕込んだ。さらに、離型剤としてパラフィンワックスHNP−0190(日本精蝋社製)93.8質量部を添加し、内温を90℃に加温して溶解させることによって、単量体溶液を調製した。
別の容器に、第1段重合において用いたアニオン系界面活性剤3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を仕込み、内温が98℃となるよう加熱した。この界面活性剤水溶液に、第1段重合により得られたスチレン・アクリル樹脂粒子の分散液32.8質量部(固形分換算)を添加し、さらにパラフィンワックスを含有する単量体溶液を添加した。循環経路を有する機械式分散機クレアミックス(エムテクニック社製)を用い、8時間かけて混合分散することにより、粒径340nmの乳化粒子(油滴)の分散液を調製した。
この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加した。この系を98℃にて12時間にわたって加熱撹拌することにより重合(第2段重合)を行い、スチレン・アクリル樹脂粒子の分散液を調製した。
分散液中のスチレン・アクリル樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)は、23000であった。
(第3段重合)
第2段重合において得られたスチレン・アクリル樹脂粒子の分散液に、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加した。この分散液に、80℃の温度条件下で、スチレン293.8質量部、n−ブチルアクリル酸154.1質量部及びn−オクチルメルカプタン7.08質量部からなる重合性単量体溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、スチレン・アクリル樹脂粒子の分散液(b1)を得た。
分散液中のスチレン・アクリル樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)は、26800であった。
<離型剤粒子分散液(W1)の調製>
・パラフィン系ワックス(日本精蝋製HNP0190、融解温度85℃):270質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製ネオゲンRK):13.5質量部(有効成分60%、離型剤に対して3%)
・イオン交換水:21.6質量部
上記の材料を混合し、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製ゴーリンホモジナイザ)で、内液温度120℃にて離型剤を溶解した後、分散圧力5MPaで120分間、続いて40MPaで360分間分散処理し、冷却して、分散液を得た。イオン交換水を加えて固形分量が20%になるように調整し、これを離型剤分散液(W1)とした。離型剤分散液(W1)中の粒子の体積平均粒径は215nmであった。
<着色剤粒子分散液(1)の調製>
・カーボンブラック(モーガルL:キャボット製):50質量部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5質量部
・イオン交換水:200質量部
上記成分を混合し、ホモジナイザー(ULTRA−TURRAX T50、IKA社製)により10分間予備分散した後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(スギノマシン製)を用い、圧力245MPaで30分間分散処理を行いブラック着色剤粒子の水系分散液を得た。得られた分散液にさらに、イオン交換水を添加して、固形分が15質量%となるように調整することによりブラック着色剤粒子分散液(1)を調製した。この分散液中の着色剤粒子の体積基準のメジアン径(D50)を、マイクロトラックUPA−150(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
<トナー母体粒子1の作製>
≪凝集・融着工程及び熟成工程≫
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1):100質量部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1):12.8質量部
・着色剤粒子分散液(1):15.0質量部
・アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 20%水溶液):4.1質量部
・離型剤分散液(W1):12質量部
pHメーター、撹拌羽及び温度計を具備した重合釜に、上記原料のうち、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1)、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)、アニオン性界面活性剤及びイオン交換水250質量部を入れ、140rpmで15分間撹拌しながら、界面活性剤を、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1)と結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)になじませた。これに着色剤粒子分散液(1)及び離型剤分散液(W1)を加え混合した後、この原料混合物に0.3Mの硝酸水溶液を加えて、pHを4.8(25℃)に調製した。
次いで、ULTRA−TURRAX T50により4000rpmでせん断力を加えながら、凝集剤として硫酸アルミニウムの10%硝酸水溶液22質量部滴下する。この凝集剤滴下の途中で、原料混合物の粘度が急激に増大するので、粘度上昇した時点で、滴下速度を緩め、凝集剤が1か所に偏らないようする。凝集剤の滴下が終了したら、さらに回転数5000rpmに上げて5分間撹拌し、凝集剤と原料混合物を充分混合する。
次いで、上記原料混合物をマントルヒーターにて30℃に加温しながら400〜600rpmで撹拌する。10分撹拌後、コールターマルチサイザー3(アパーチャー径100μm、ベックマン・コールター社製)を用いて一次粒径が安定に形成するのを確認した後、凝集粒子を成長させるために0.1℃/分で46℃まで昇温した。凝集粒子の成長はコールターカウンターを用いて随時確認するが、その凝集速度によって、適宜凝集温度や撹拌の回転数を変えた。
一方、凝集粒子被覆用として、以下の混合液を、あらかじめpH3.8(25℃)に調製した。
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1):55質量部
・イオン交換水:22質量部
・アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 20%水溶液):0.8質量部
上記凝集工程で凝集粒子が5.2μmに成長したところで、あらかじめ調製した被覆用樹脂粒子分散液を加え、撹拌しながら10分間保持した。その後、被覆した凝集粒子の成長を停止させるために、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)20%液を0.8質量部添加した後、1Mの水酸化ナトリウム水溶液を加え、原料混合物のpHを7.5(45℃)に制御した。
次いで、凝集粒子を融合させるために、pHを7.5に調整しながら昇温速度1℃/分で85℃まで昇温した。85℃に達してからも、融合を進めるためにpHを7.5に調整した。
≪冷却工程≫
その後、「FPIA−3000」を用い、形状係数が0.965になった時点で降温速度10℃/分で急冷し、トナー母体粒子分散液(1)を得た。
≪濾過・洗浄工程及び乾燥工程≫
その後、濾過し、イオン交換水で充分洗浄した。次いで、40℃にて乾燥して、トナー母体粒子(1)を得た。得られたトナー母体粒子1は、体積基準のメジアン径は5.8μm、平均円形度は0.966であった。
<トナー母体粒子2の作製>
前記トナー母体粒子1の作製において、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液について、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c2)に変更する以外は同様にして、トナー母体粒子2を得た。得られたトナー母体粒子2は、体積基準のメジアン径は5.9μm、平均円形度は0.966であった。
<トナー母体粒子3の作製>
≪凝集・融着工程及び熟成工程≫
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、スチレン・アクリル樹脂微粒子分散液(b1)を固形分換算で155質量部、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)を固形分換算で12.8質量部、イオン交換水2000質量部を投入後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10(25℃)に調整した。その後、着色剤粒子分散液(1)を固形分換算で15質量部投入した。
次いで、塩化マグネシウム30質量部をイオン交換水30質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。その後、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメジアン径(D50)が5.8μmになった時点で、塩化ナトリウム100質量部をイオン交換水400質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、昇温を行い、90℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させた。
≪冷却工程≫
その後、「FPIA−3000」を用い形状係数が0.965になった時点で降温速度10℃/分で急冷し、トナー母体粒子分散液3を得た。
≪濾過・洗浄工程及び乾燥工程≫
その後、濾過し、イオン交換水で充分洗浄した。次いで、40℃にて乾燥して、トナー母体粒子3を得た。得られたトナー母体粒子3は、体積基準のメジアン径は5.8μm、平均円形度は0.965であった。
<トナー母体粒子4の作製>
前記トナー母体粒子1の作製において、
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1):113質量部
・着色剤粒子分散液(1):15.0質量部
・アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 20%水溶液):4.1質量部
・離型剤分散液(W1):12質量部
に変更する以外は同様にして、トナー母体粒子4を得た。得られたトナー母体粒子4は、体積基準のメジアン径は5.8μm、平均円形度は0.966であった。
<トナー母体粒子5の作製>
前記トナー母体粒子1の作製において、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液について結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c3)に変更する以外は同様にして、トナー母体粒子5を得た。得られたトナー母体粒子5は、体積基準のメジアン径は5.9μm、平均円形度は0.965であった。
<トナー母体粒子6の作製>
前記トナー母体粒子1の作製において、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液について結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c4)に変更する以外は同様にして、トナー母体粒子6を得た。得られたトナー母体粒子6は、体積基準のメジアン径は5.8μm、平均円形度は0.965であった。
Figure 2019164251
<球形シリカ粒子(1)−1の調製>
(1)撹拌機、滴下ロート及び温度計を備えた3リットルの反応器にメタノール945質量部、28%アンモニア水45質量部、水135質量部を添加して混合した。この溶液の温度を35℃に調整して撹拌しながらテトラメトキシシラン405質量部を6時間かけて滴下し、さらに滴下後1時間撹拌を継続し加水分解を行いシリカ粒子の懸濁液を得た。
(2)この水性懸濁液に室温でメチルトリメトキシシラン4.8質量部を滴下してシリカ粒子表面の疎水化処理を行った。
(3)こうして得られた分散液を、80℃に加熱しメタノール水を留去した。得られた分散液に室温でヘキサメチルジシラザン130質量部を添加し60℃に加熱し9時間反応させ、シリカ粒子をトリメチルシリル化した。その後溶媒を減圧下で留去してシリカ粒子(1)−1を調製した。
上記の方法により得られたシリカ粒子(1)−1について、個数平均粒径及び標準偏差を測定したところ、個数平均粒径が40nm、標準偏差が5.2nmであった。
<球形シリカ粒子(1)−2〜(1)−7及び(2)−1〜(2)−(5)の調製>
前記球形シリカ粒子(1)−1の調製において、加水分解、重縮合工程のアルコキシシラン、アンモニア、アルコール、水の質量比、反応温度、撹拌速度、供給速度を適宜制御することにより個数平均粒径を調整して、表IIに記載のシリカ粒子(1)−2〜(1)−7及び(2)−1〜(2)−(5)を調製した。
なお、表IIに、得られた各球形シリカ粒子の「個数平均粒径×0.22」の値と、球形化度を示した。球形化度は、前記した方法により算出した。
Figure 2019164251
<トナー粒子1の作製>
(外添剤処理工程)
トナー母体粒子1(体積基準のメジアン径5.8μm)100質量部に、球形シリカ粒子(1)−1(個数平均粒径=40nm)0.68質量部及び球形シリカ粒子(2)−1(個数平均粒径=110nm)0.90質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにて20分混合することにより、トナー粒子1を作製した。
<トナー粒子2の作製>
前記トナー粒子1の作製において、トナー母体粒子2(100質量部)に、球形シリカ粒子(1)−1(個数平均粒径=40nm)0.68質量部及び球形シリカ粒子(2)−1(個数平均粒径=110nm)0.90質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにて20分混合することにより、トナー粒子2を作製した。
<トナー粒子3〜6の作製>
前記トナー粒子1の作製において、表IIIに記載のように球形シリカ粒子(1)−1を球形シリカ(1)−2〜(1)−5にそれぞれ変更することにより、トナー粒子3〜6を作製した。
<トナー粒子7〜10の作製>
前記トナー粒子1の作製において、表IIIに記載のように球形シリカ粒子(2)−1を球形シリカ(2)−2〜(2)−5にそれぞれ変更することにより、トナー粒子7〜10を作製した。
<トナー粒子11の作製>
トナー母体粒子1に、球形シリカ粒子(1)−1を1.5質量部添加し、ヘンシェルミキサーにて20分混合することにより、トナー粒子(11)を作製した。
<トナー粒子12の作製>
前記トナー粒子1の作製において、トナー母体粒子3に、球形シリカ粒子(1)−1(個数平均粒径=40nm)0.68質量部及び球形シリカ粒子(2)−1(個数平均粒径=110nm)0.90質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにて20分混合することにより、トナー粒子12を作製した。
<トナー粒子13の作製>
前記トナー粒子1の作製において、トナー母体粒子4に、球形シリカ粒子(1)−1(個数平均粒径=40nm)0.68質量部及び球形シリカ粒子(2)−1(個数平均粒径=110nm)0.90質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにて20分混合することにより、トナー粒子13を作製した。
<トナー粒子14の作製>
前記トナー粒子1の作製において、トナー母体粒子5に、球形シリカ粒子(1)−1(個数平均粒径=40nm)0.68質量部及び球形シリカ粒子(2)−1(個数平均粒径=110nm)0.90質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにて20分混合することにより、トナー粒子14を作製した。
<トナー粒子15の作製>
前記トナー粒子1の作製において、トナー母体粒子6に、球形シリカ粒子(1)−1(個数平均粒径=40nm)0.68質量部及び球形シリカ粒子(2)−1(個数平均粒径=110nm)0.90質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにて20分混合することにより、トナー粒子15を作製した。
<トナー粒子16及び17の作製>
前記トナー粒子1の作製において、表IIIに記載のように球形シリカ粒子(1)−1を球形シリカ(1)−6及び(1)−7にそれぞれ変更することにより、トナー粒子16及び17を作製した。
<トナー粒子18の作製>
前記トナー粒子1の作製において、球形シリカ粒子(1)−1を非球形シリカ粒子(個数平均粒径40nm、球形化度0.55、ヒュームドシリカ)に変更することにより、トナー粒子18を作製した。
<トナー粒子19の作製>
前記トナー母体粒子1に、球形シリカ粒子(2)−1(個数平均粒径=110nm)1.50質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにて20分混合することにより、トナー粒子19を作製した。
Figure 2019164251
<キャリアの作製>
(キャリア芯材粒子(1)の作製)
MnO:35mol%、MgO:14.5mol%、Fe:50mol%及びSrO:0.5mol%になるように原料を秤量し、水と混合した後、湿式のメディアミルで5時間粉砕してスラリーを得た。
得られたスラリーをスプレードライヤーにて乾燥し、真球状の粒子を得た。この粒子を粒度調整した後、950℃で2時間加熱し、仮焼成を行った。直径0.3cmのステンレスビーズを用いて湿式ボールミルで1時間粉砕したのち、さらに直径0.5cmのジルコニアビーズを用いて4時間粉砕した。バインダーとしてPVAを固形分に対して0.8質量%添加した。次いで、スプレードライヤーにより造粒、乾燥し、電気炉にて、温度1350℃、5時間保持し、本焼成を行った。
その後、解砕し、さらに分級して粒度調整し、その後磁力選鉱により低磁力品を分別し、キャリア芯材粒子(1)を得た。キャリア芯材粒子(1)の粒径は35μmであった。
(芯材被覆用樹脂(1)の作製)
0.3質量%のベンゼンスルホン酸ナトリウムの水溶液中に、メタクリル酸シクロヘキシル及びメタクリル酸メチルを「質量比=8:2」(共重合比)で添加し、単量体総量の0.5質量%にあたる量の過硫酸カリウムを添加して乳化重合を行い、スプレードライで乾燥することで、芯材被覆用樹脂(被覆材)(1)を作製した。得られた芯材被覆用樹脂(1)における重量平均分子量は40万であった。
(芯材被覆用樹脂(2)の作製)
0.3質量%のベンゼンスルホン酸ナトリウムの水溶液中に、メタクリル酸シクロヘキシル及びメタクリル酸メチルを「質量比=5:5」(共重合比)で添加し、単量体総量の0.5質量%にあたる量の過硫酸カリウムを添加して乳化重合を行い、スプレードライで乾燥することで、芯材被覆用樹脂2を作製した。得られた芯材被覆用樹脂(2)における重量平均分子量は50万であった。
(芯材被覆用樹脂(3)の作製)
0.3質量%のベンゼンスルホン酸ナトリウムの水溶液中に、メタクリル酸シクロヘキシル及びメタクリル酸メチルを「質量比=3:7」(共重合比)で添加し、単量体総量の0.5質量%にあたる量の過硫酸カリウムを添加して乳化重合を行い、スプレードライで乾燥することで、芯材被覆用樹脂(3)を作製した。得られた芯材被覆用樹脂(3)における重量平均分子量は55万であった。
<キャリア粒子1の作製>
水平撹拌羽根付き高速撹拌混合機に、芯材粒子として上記で準備したキャリア芯材粒子(1)を100質量部と、芯材被覆用樹脂(1)を4.5質量部投入し、水平回転翼の周速が8m/secとなる条件で、22℃で15分間混合撹拌した後、120℃で50分混合して機械的衝撃力(メカノケミカル法)の作用で芯材粒子の表面に芯材被覆用樹脂(被覆材)を被覆させて、キャリア粒子1を製造した。
<キャリア粒子2〜4の作製>
前記キャリア粒子1の作製において、芯材被覆用樹脂(2)〜(4)に変更することでキャリア粒子2〜4を作製した。
なお、芯材被覆用樹脂(4)としては、シリコーン樹脂を用いた。
Figure 2019164251
<現像剤1の作製>
上記のようにして作製したトナー粒子1及びキャリア粒子1を、トナー濃度が6質量%となるようにして混合し現像剤1を作製した。混合機は、V型混合機(株式会社徳寿工作所製)を用いて25℃で30分間混合した。
<現像剤2〜22の作製>
現像剤1の製法において、トナー粒子とキャリア粒子の組み合わせを下記表Vのようにして現像剤2〜22を得た。
Figure 2019164251
<評価>
(評価1:低温定着性(最低定着温度))
デジタル印刷機「bizhub PRESS C1070」(コニカミノルタ株式会社製)において、定着装置を、ニップ領域での圧力及びプロセス速度(ニップ時間)を変更できるように改造し、さらに、定着用ヒートローラの表面温度を100〜210℃の範囲内で変更することができるように改造した。当該複写機に上記各トナーから製造した現像剤をそれぞれ装填した。
常温常湿(20℃、55%RH)の環境下において、A4サイズの上質紙「CFペーパー」(コニカミノルタ株式会社製)上での付着量を5.0g/mとなるように設定した。その後、100mm×100mmサイズの画像を定着させる定着実験を、設定される定着温度を110℃から5℃刻みで変更しながら、180℃まで繰り返し行った。
得られた各定着温度におけるプリント物を目視確認し、全てのトナーが定着器に付着することなく用紙上に定着した最も低い温度を最低定着温度(℃)とした。
◎:最低定着温度 130℃以下
○:最低定着温度 130℃より高く140℃以下
×:最低定着温度 140℃より高い
<評価2:粒状性GI値>
デジタル印刷機「bizhub PRESS C1070」(コニカミノルタ株式会社製)を用いて、高温高湿(温度30℃、湿度80%RH)環境下において、階調率32段階の階調パターンを出力し、この階調パターンの粒状性について、下記評価基準にしたがって評価した。粒状性の評価は、階調パターンのCCDによる読み取り値にMTF(Modulation Transfer Function)補正を考慮したフーリエ変換処理を施し、人間の比視感度にあわせたGI値(Graininess Index)を測定し、最大GI値を求めた。GI値は小さいほどよい。なお、このGI値は、日本画像学会誌39(2)、84・93(2000)に掲載されている値である。本評価においては、0.195未満であれば合格とした。
◎:最大GI値 0.170未満
○:最大GI値 0.170以上0.195未満
×:最大GI値 0.195以上
Figure 2019164251
表VIに示す結果より、本発明のトナーは、比較例のトナーに比べて、低温定着性及び高温高湿環境下における粒状性に優れていることから、トナー凝集体起因の画像不良を抑制できることが分かる。

Claims (6)

  1. 少なくとも結着樹脂を含有するトナー母体粒子と、前記トナー母体粒子表面に付着される外添剤とを含む静電荷像現像用トナーであって、
    前記結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂を主成分として含有し、さらに結晶性ポリエステル樹脂を含有し、
    前記結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数8〜14の脂肪族ジカルボン酸モノマーと、炭素数8〜14の脂肪族ジオールモノマーとの重縮合体であり、かつ、
    前記外添剤として、個数平均粒径が20〜55nmの範囲内である球形シリカ粒子(1)を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記球形シリカ粒子(1)の個数平均粒径の標準偏差が、個数平均粒径×0.22以下であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記外添剤として、前記個数平均粒径が20〜55nmの範囲内である球形シリカ粒子(1)と、個数平均粒径が70〜160nmの範囲内である球形シリカ粒子(2)とを含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーと、キャリアとを含有することを特徴とする2成分現像剤。
  5. 前記キャリアが、芯材粒子表面を被覆用樹脂で被覆してなるキャリア粒子を含んでおり、
    当該被覆用樹脂が、脂環式メタアクリレートモノマーを含む共重合体を含有することを特徴とする請求項4に記載の2成分現像剤。
  6. 前記脂環式メタアクリレートモノマーが、共重合比率で50%以上であることを特徴とする請求項5に記載の2成分現像剤。
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