JP2018113982A - 試料固定及び安定化 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、生物学的試料(例えば組織塊、癌生検、及び全血)の細胞形態を固定及び保存する技術を提供することを課題とする。【解決手段】生体分子の分解を阻害する深共晶溶媒(deep eutectic solvent)の使用であって、生体分子が試料又は組織中に存在するDNAまたはタンパク質であり、深共晶溶媒がN+基、モノフルオロアルキル基、ジフルオロアルキル基又はトリフルオロアルキル基、トリフルオロアセトアミド基、トリフルオロチオアセトアミド基、又はN−メチルトリフルオロアセトアミド基、臭化コリン基、等を含む化合物。本発明はまた、細胞、組織、血液、エキソソーム、及び他の生物学的試料の固定及び安定化にも関する。【選択図】なし

Description

本発明は、生体分子(特にRNA)の安定化、例えばRNA安定化方法、RNA安定化用組成物及びキット、及び安定化RNA含有組成物に関する。本発明はまた、細胞、組織、血液、エキソソーム、及び他の生物学的試料の固定及び安定化に関する。
生物学的試料からの生体分子の抽出は、多くの実験及び臨床診断手順の本質的な部分である。核酸、タンパク質、炭水化物及び脂質等の生体分子の不安定性は、周知であり、完全性は、元の環境から取り出す前の試料の生理学的条件、試料の供給源からの迅速な取り出し、試料の冷却速度、試料の保存温度及び生体分子精製方法等の多数のパラメータに依存する。生体分子精製以前の生物学的試料の処理は、試料分析物の完全性における非常に重要な変化をもたらす場合があることは周知である。例えば、RNAは、特に正しく取り扱われない場合、数分以内に完全かつ不可逆的にダメージを受け、極端に不安定な分子であることは周知である。RNAはおそらく不安定な生体分子の一つであるが、翻訳後修飾を含むタンパク質、脂質、代謝分析に不可欠な2000ダルトン未満の低分子、及びDNAは実質的に分解過程に供され得る。
内在性の細胞酵素は、大半の分解過程に重要であるが、分析物は常に保存又は処理中に自発的に加水分解する傾向がある。この過程は、温度、水分量、pH、光、安定性、分析物分子の分子量などの保存条件に主に依存するが、使用される試薬の質にも依存する場合がある。
最も一般的で単純な保存アプローチの一つは、生物学的試料の温度を下げることである。一般的に、試料は、室温(20〜24℃)以下の温度で保存され、タンパク質溶液は、4℃又は−20℃で保存され、核酸は、−20℃又は−80℃の冷凍庫、ドライアイス又は液体窒素で保存される。アジ化ナトリウム等の抗菌剤が、細菌の成長を制御する為に添加されてもよい。
RNAは、酵素、自発性加水分解、二価金属カチオン触媒加水分解、FFPE(ホルマリン固定パラフィン包埋)試料のアルカリ感受性及び架橋による分解に特に感受性が高いことが周知である。鉛、マグネシウム、マンガン等の多くの金属溶液は、RNAを分解するが、リボザイムだけではなくDNアーゼI、緑豆ヌクレアーゼ及びS1ヌクレアーゼ等のヌクレアーゼ活性に不可欠である。鉄(2+)は、Fenton反応の一部として核酸塩基の酸化、例えばグアニンの8−オキソ−グアニンへの転換に関与し、翻訳で壊れたrRNA及びmRNAをもたらす(非特許文献1)。ホスホジエステル結合の酵素切断及び非酵素切断における金属イオンの他の触媒役割が概説されている(非特許文献2)。EDTA及びEGTA等のキレート剤は、金属イオン除去によるRNA分解低減を目的としてRNA又はRNA溶解溶液にしばしば添加される。リボヌクレアーゼ(「RNアーゼ」)は、微生物、ヒト皮膚、塵、細胞及び組織の内容物を含む多くの供給源と関連する偏在酵素の大きな群である。これらはまた、解凍中に細胞内小胞から容易に放出される。膵臓等の特定組織では、RNアーゼAが特に豊富に存在することが公知である。RNアーゼAは、最も安定な酵素の一つであり、例えばカオトロピック塩変性後に酵素活性を容易に得て、破壊することが非常に困難となる。高濃度のカオトロープ(例えばグアニジン)(4〜6M)は、RNアーゼ活性を破壊する為に必要である(非特許文献3)。
RNアーゼ活性を阻害するいくつかの方法は、(i)リボヌクレアーゼペプチドインヒビター(「RNasin」)(少量でしか入手できずRNアーゼA、B及びCに特異的な高価な試薬)、(ii)ジチオスレイトール及びβ−メルカプトエタノール等の還元剤(RNアーゼ酵素のジスルフィド結合を破壊するが、効果は制限され、一時的であり、毒性があり、揮発性である)、(iii)プロテアーゼ(例えばRNアーゼを消化するプロテナーゼK)(キットにおけるプロテナーゼの輸送及び一般的に緩やかな作用により生体分子を分解する)、(iv)酵素活性温度以下への温度低減(通常組織及び細胞試料は、−80℃又は液体窒素で保存される)、(v)抗RNアーゼ抗体、(vi)溶媒(例えばアセトン)又はコスモトロピック塩(例えば硫酸アンモニウム)を用いたRNアーゼ等のタンパク質、DNA及びRNAの沈殿(硫酸アンモニウムの市販調製物はRNAlaterTM(Sigma-Aldrich, USA; LifeTechnologies, USA; Qiagen, Germany)として公知である)、(vii)PAXgeneTMDNA及びRNA抽出キット(PreAnalytix, Germany)に見られるもの等の全血の核酸を安定化する試薬、(viii)カオトロピック塩、(ix)PAXgeneTM 組織安定化試薬(PreAnalytix, Germany)に見られるもの等のアルコール等である。カオトロピック混合物の範囲は、非特許文献4に記載されている。
試料保存の主要な目標は、分析前の手順及び試料精製の結果として導入され得る分析物の生体分子に対する変化を最小限にすることであり、分析結果は、生体分子の元々のin vivo複雑性及び多様性に出来るだけ近づけ、アッセイ精度、感度、及び特異性を改善する。分析前の変化の低減に利用できる様々な方法及び物質が存在するが、全てにおいて、様々な欠点があり、その使用は問題となるか最適下限となる。一種の生体分子の安定化に有効な手順は、他の物の安定化には有効ではなく、技術者は、各生体分子分析物に特化された試薬及び手順を選択せざるを得ない。例えばPAXgeneTMシステム(PreAnalytix) (特許文献1及び特許文献2)は、タンパク質を除く核酸に使用することができ、多数の洗
浄バッファを用いた長期の精製工程を必要とし、一方でプロテアーゼインヒビターカクテルは、核酸を除くタンパク質を分解から保護するのに役立つ。PAXgeneTM組織安定化キットは、組織の別々の2つの処理を必要とし、毒性及び可燃性物質を含む。組織のRNAlaterTM処理は、免疫組織学、組織学の有用性を低減し、RNAを十分保護せずに組織の硬さを高めるものの、RNA保存の至適基準として採用されている。
試料(例えば病院の手術室からの生検又は診察室からの血液試料)を抽出する時間又は場所によりRNA精製は常に可能とは限らない。これらの場合において、試料は、RNAの抽出前に非常に注意深く保存する必要があり、RNA抽出は30分以内に行われ得るが、病院の病理室で処理した後、数時間又は数日後に行われてもよい。分析工程前の時間及び温度は殆ど記録されず、試料の品質の知見は不明である。結果として、各種の組織及びRNAの使用のための個別の試料保存条件を開発する必要がある。既に述べた様に、これには、通常RNAlater又はPAXgene等の専用の安定化溶液又は液体窒素中の試料の即時凍結の使用を伴う。少なくとも、PAXgene安定化試薬の場合において、安定剤の不完全な除去により、精製中にRNA収率に悪影響を与える(非特許文献5)。
組織保存は、固定剤を用いた組織固定により影響を受ける場合がある。「固定」は、機械的強度の増大、硬化、処理した生物学的試料(例えば新しい細胞、生検又は組織)の保存及び安定性の増大のことをいい、in situでの試料の状態を、できるだけ天然に近い試料の状態に維持することをいう。固定は、病理学、組織学、組織化学、細胞化学、解剖学研究及び細胞研究で一般的に使用され、保存、包埋、染色、免疫組織化学及び/又は免疫細胞化学等の更なる工程を経る。理想的に、固定処理は、ヌクレアーゼ及びプロテアーゼなどの酵素を阻害し、試料の微生物増殖を停止し、ゴルジ体、核、細胞内小胞、ミトコンドリア、リソソーム及び細胞膜等の組織形態及び細胞微細構造の両方を維持する。一例として、正確な細胞形態の保存は、病理学者が患者の癌の存在、種類及び等級を診断する為に重要であるが、これを正しく行う為に、試料は、正しく染色できるか免疫組織化学の抗体で標識できる必要がある。一般的に、試料は、タンパク質及び他の細胞成分を架橋し、組織切片化、ヘマトキシリン及びエオシン染色(H&E)を行う為、ホルマリン(ホルムアルデヒド)、パラホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドの1〜5%緩衝水溶液を用いて室温で1〜24時間処理される。グルタルアルデヒドも使用できるが、組織への浸透率は、ホルムアルデヒドよりも緩やかである(18〜20容量が組織体積に対して添加される場合1時間当たり約1mmで浸透する)。RNAがこの方法で保存される場合、一般には、RNAはホルマリン固定の以後で非常に分解され、遺伝子発現分析が問題となり、人為的結果となる。一つの特異的な問題は、RNA分析物がタンパク質等の他の生体分子と架橋し、分析前に架橋をほどく必要がある点にあり、当該方法は著しいRNA分解をもたらす長期の高い温度を要する為、非常に厳しい。
固定の別の問題は、細胞のRNA及びタンパク質等の可溶性分析物を維持する事であり、例えばin situハイブリダイゼーション又は免疫組織学により一本化することができる。ホルマリン固定を用いた別の問題は、タンパク質の共有結合修飾により抗原性免疫認識が損なわれ、免疫組織化学技術が抗体に応じて困難又は不可能となる。更なる一例として、ホルマリン固定組織は、通常、パラフィンワックスに包埋され、組織塊を薄片に切断し、顕微鏡で観察する(FFPE)。他の組織固定法は、メタノール、エタノール又はアセトンの使用を含み、架橋よりもタンパク質沈殿となる。組織を固定し、良好なRNA品質を維持しつつ、免疫組織化学染色を可能とする方法が特に必要とされる。通常使用される固定剤(例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド及びメタノール)は、非常に毒性のある発がん物質であり、一方でエタノール及びアセトンは非常に可燃性であることが周知である。理想的な固定剤は、神経、リンパ及び脂肪等の広範な組織に機能し、大きな組織片を保存し、免疫組織化学、組織化学及びin situハイブリダイゼーション及び他の専門的技術と両立するべきである。当該方法は、自動化組織固定手順と両立すべきである。詳細なプロトコールを含む概説が、非特許文献6及び非特許文献7に公開されており、固定及び染色組織の代表例が非特許文献8に見出すことができる。
米国特許第6,602,718号 米国特許第6,617,170号
Honda et al., (2005) J. Biol. Chem. 280, 20978-20986 Yarus, M. (1993) FASEB J. 7, 31-39 Thompson. J. and Gillespie. D. Anal Biochem. (1987) 163:281-91 RNA Isolation and Analysis, Jones編(1994) Chapter 2 PAXgene Blood RNA Kit Handbook, June 2005 Bancroft (2008) ‘Theory and Practice of Histological Techniques Stanta (2011) ‘Guidelines for Molecular Analysis in ArchiveTissues Ross and Pawlina (2011)‘Histology A Text and Atlas
本発明は、生物学的試料(例えば組織塊、癌生検、及び全血)の細胞形態を固定及び保存する技術を提供することを課題とする。
本発明の要旨は以下の通りである:
[1] 生体分子の分解を阻害する深共晶溶媒(deep eutectic solvent)の使用であって、
生体分子が、DNAまたはタンパク質であり、
深共晶溶媒が第一成分及び第二成分を含み、第一成分が式Iの化合物であり、
6がH又はOHであり、
7がH、CH3、Cl、Br、カルボニル酸素及び
から選択され;
Zが−CH2−、O及びSから選択され、
8がR11又はOHであり、
第二成分が式IIの化合物またはその塩を含み、
AはO、S及びNHから選択され、
1はR9、及び−C(R3)(R4)(R5)から選択され、
2はH及び1〜3の炭素原子を有する直鎖アルキル基から選択され、
3は置換されていない5員又は6員の脂肪族環又は芳香族環であるか、或いは置換されている5員又は6員の脂肪族環又は芳香族環であり、置換基はR10であり、
4及びR5はFであり、
9がモノ−、ジ−又はトリフルオロメチル基であるか、モノ−、ジ−又はトリフルオロエチル基であり、
10及びR11は、それぞれ独立して、1〜3の炭素原子を有するアルキル基、1〜3の炭素原子を有するモノクロロアルキル基、及び1〜3の炭素原子を有するモノフルオロアルキル基、ジフルオロアルキル基又はトリフルオロアルキル基から選択される、使用。
[2] 生体分子がタンパク質であり、タンパク質がリンタンパク質である[1]に記載の使用。
[3] 生体分子が試料又は組織中に存在する[1]又は[2]に記載の使用。
[4] 試料又は組織が固体組織、血漿、血清又は全血を含む[3]に記載の使用。
[5] AがO又はSである[1]〜[4]のいずれかに記載の使用。
[6] R2がHである[1]〜[5]のいずれかに記載の使用。
[7] R9がモノ−、ジ−又はトリフルオロメチル基である[1]〜[6]のいずれかに記載の使用。
[8] 第二成分がトリフルオロアセトアミド、トリフルオロチオアセトアミド、又はN−メチルトリフルオロアセトアミドである[7]に記載の使用。
[9] R9がモノ−、ジ−又はトリフルオロエチル基である[1]〜[6]のいずれかに記載の使用。
[10] 第二成分が2,2−ジフルオロプロパンアミド、又は3,3,3−トリフルオロプロパンアミドである[9]に記載の使用。
[11] R1がC(R3)(R4)(R5)である[1]〜[6]のいずれかに記載の使用。
[12] R3が置換されていない6員の芳香族環であるか、置換されている6員の芳香族環であり、置換基がR10である[11]に記載の使用。
[13] R3が置換されていないフェニル基であるか、又は置換されているフェニル基であり、置換基がR10である[12]に記載の使用。
[14] 第二成分が2,2−ジフルオロ−2−フェニルアセトアミドである[13]に記載の使用。
[15] R3が置換されているフェニル基であり、置換基がモノ−、ジ−又はトリフルオロメチル基である[13]に記載の使用。
[16] 置換基がフェニル基の2位にある[15]に記載の使用。
[17] 第二成分が2−(トリフルオロメチル)フェニルアセトアミドである[16]に記載の使用。
[18] 第一成分がコリン、臭化コリン、又はN,N,N−トリメチルグリシンを含む[1]〜[17]のいずれかに記載の使用。
[19] R7
である[1]〜[17]のいずれかに記載の使用。
[20] 第一成分がアセチルコリン、アセチルチオコリン、ブチリルコリン、又はカルニチンを含む[19]に記載の使用。
[21] 第一成分が、N,N,N−トリメチルグリシンであり、第二成分が、トリフルオロアセトアミドである[1]〜[4]のいずれかに記載の使用。
[22] 第二成分に対する第一成分のモル比が1:1.5〜1:2.5の範囲である[1]〜[21]のいずれかに記載の使用。
[23] 深共晶溶媒が、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、亜鉛EDTA、硫酸アンモニウム、トシレートアンモニウム、ソルビトール、1−ベンジルイミダゾール及びテトラメチル尿素から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む[1]〜[22]のいずれかに記載の使用。
[24] 深共晶溶媒が、40体積%〜60体積%のシリカゲルをさらに含む[1]〜[23]のいずれかに記載の使用。
[25] 深共晶溶媒が、N−アルキルピロリドンをさらに含み、N−アルキル基が1〜5の炭素原子を有する[1]〜[24]のいずれかに記載の使用。
本発明によれば、生物学的試料(例えば細胞、組織、生検及び血液)中の生体分子(例えばRNA、DNA、タンパク質)を固定及び安定化できる。
図1A−Cは、DES混合物がキャップされたバイアルに入っている本発明の装置を示す。 図2は、本発明と先行技術の抽出されたRNA試料のアガロースゲル電気泳動の結果を示す。 図3は、特定の温度範囲での本発明のDESで安定化したRNAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す。 図4は、本発明又は先行技術の組織に保存されたRNAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す。 図5Aは、本発明及び先行技術のDESを用いてマウス組織試料中で安定化されたRNAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す。 図5Bは、本発明及び先行技術のDESを用いてマウス組織試料中で安定化されたRNAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す。 図6は、本発明及び先行技術の異なる組織量で保存されたRNAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す。 図7は、HeLa細胞を添加したDES安定化全血から精製したRNAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す。 図8は、抽出前に18時間HeLa細胞を添加した全血中で安定化されたRNAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す。 図9は、グアニジン又は塩化コリン:トリフルオロアセトアミドを用いて全血中で安定化されたRNAを示す。 図10は、本発明の塩化コリン:トリフルオロアセトアミドで固定されたHeLa細胞の光学顕微鏡画像を示す。 図11は、安定化剤なしの組織試料で分解したRNAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す。 図12は、本発明又は先行技術のHeLa細胞中で安定化されたゲノムDNAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す。 図13は、本発明又は先行技術による安定化されたマウス肝臓からのタンパク質のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す。 図14は、安定化され、任意に精製前の処理工程に供されたHeLa細胞からのDNA及びRNAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す。 図15は、本発明又は先行技術による完全性が固定後に測定されたRNA及びDNAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す。 図16は、本発明又は先行技術により処理されたショウジョウバエ胚からのRNAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す。 図17は、本発明又は先行技術により安定化されたタマネギ芽からのRNAのアガロースゲル電気泳動の結果を示す。
一態様において、本発明は、生体分子の分解を阻害する深共晶溶媒の使用を提供する。
生物学的試料中の生体分子(例えばRNA、DNA及びタンパク質)を深共晶溶媒(DES)で安定化することができることを驚くべき事に発見した。DES混合物は、組織塊、癌検体及び全血等の生物学的試料中の細胞形態を固定及び保存する為に使用できることも発見した。本発明は、DES混合物を用いて生体分子、全ての細胞、組織及び生物学的試料を安定化及び保存する方法を記載する。試料又は組織は、固形組織又は非固形組織を含んでいてもよい。
驚くべき事に、多くのDES混合物は、RNA、タンパク質、DNA等の他の生体分子、細胞及び組織構造を安定化及び保存できることを見出した。塩化コリン(6M)又は尿素(5M)等の水溶液中で個々のDES成分を単独で使用すると、RNA安定化又は細胞固定はできず、塩化コリン:尿素などのDES中で成分を組み合わせた場合にのみ、保存及び安定化できる(表1)。例えば、塩化コリンとトリフルオロアセトアミドの混合物は細胞形態を維持しつつ細胞のRNAを安定化する点で特に有効である事を見出した。また、塩化コリンとソルビトールの混合物は、組織全体のRNAを安定化する点で特に有効である事を見出した。しかしながら、非常に多数の他の組み合わせ及びDES成分の比率は本発明を行うために有用である。
通常のイオン液体及び通常のDESの混合物の成分が別々に報告されているが(WO2011/155829)、生体分子又は細胞の安定化に対するDESの効果は、報告されていない。実際、US2009/0117628A1では、酵素反応がDES中で行われてもよく、<様々な酵素反応は種々のDESと作用し>、ヌクレアーゼ、プロテアーゼ及び他の代謝酵素がそれぞれ活性である事が示されている。驚くべき事に、RNA及び他の生体分子はDES混合物中で安定化され、細胞形態が固定され細胞骨格も安定化される事を見出した。
DESは、2つ以上の成分の混合物であり、組み合わせると凝固点又は氷点(Fp)の共融点を有する。組み合わせた成分の共融点は、一般的に個々の成分又は如何なる混合比率よりも低く、凝固に関して個々の成分に分かれることなく単一の温度で生じる。DESの特性は、A.P. Abbott, G. Capper, D.L. Davies, R.K. Rasheed, V. Tambyrajah, Chem. Commun. 7 (2003) 70-71., A.P. Abbott, D. Boothby, G. Capper, D.L. Davies, R.K.Rasheed, J. Am. Chem. Soc.126 (2004) 9142-9147., [7] G. Imperato, E. Eibler, J.Niedermaier, B. Konig, Chem. Commun. 9 (2005) 1170-1172., S. Gore, S. Baskaran,B. Koenig, Green Chem. 13 (2011) 1009-1013., J.T. Gorke, F. Srienc, R.J. Kazlauskas, Chem. Commun. 10 (2008) 1235-1237., A.P. Abbott, J. Collins, I. Dalrymple,R.C. Harris, R. Mistry, F. Qiu, J. Scheirer, W.R. Wise, Aust. J. Chem. 62 (2009) 341-347., Y.H. Choi, J. van Spronsen, Y. Dai, M. Verberne, F. Hollmann, I.W.C.E. Arends, G.J. Witkamp, R. Verpoorte, Plant Physiol. 156 (2011) 1701-1705に記載されており、Zhang Q, De Oliveira Vigier K, Royer S, Jerome F. Chem Soc Rev. 2012 Nov 7;41(21):7108-46に概説されている。
DESは、工業的に電気化学めっき、鉱業用途及びドリル潤滑油(US2009/0247432)、工業用酵素用途(US2009/0117628A1)、無機化合物の製造(D. Freudenmann, S. Wolf, M. Wolff and C. Feldmann, Angew. Chem., Int. Ed., (2011), 50, 11050-11060)又は有機化合物 (S. Gore, S. Baskaran and B. Koenig, Green Chem., (2011), 13, 1009-1013)、生物学的抽出 (WO 2011/155829)、色素増感太陽電池用電解質としての電気化学及び金属電解研磨(H.-R. Jhong, D. Shan-Hill, C.-C. Wan, Y.-Y. Wang and T.-C. Wei, Electrochem. Commun., (2009)、電着塗装(E. Gomez, P. Cojocaru, L. Magagnin and E. Valles, J. Electroanalytical Chem., (2011), 658, 18-24)、バイオディーゼル精製(K. Shahbaz, F. S. Mjalli, M. A. Hashim and I. M. AlNashef, Energy Fuels, (2011), 25, 2671-2678)、薬物可溶化(H. G. Morrison, C. C. Sun and S. Neervannan, Int. J. Pharm., (2009), 378, 136-139)、金属酸化物可溶化(A. P. Abbott, D. Boothby, G. Capper, D. L. Davies and R. K. Rasheed, J. Am. Chem. Soc., (2004), 126, 9142-9147)及びCO2可溶化(X. Li, M. Hou, B. Han, X. Wang and L. Zou, J. Chem. Eng. Data, (2008), 53, 548-550)に使用されている。Van Spronsenらは、WO2011/155829において抽出のためのアミノ酸、糖及びカルボン酸の様々な組み合わせ等の天然DESの使用を説明しているが、細胞及び組織の固定又は安定化についての使用は言及されていない。DESは、安定化及び固定よりも抽出目的の為に記載されている。
DESは、(i)全体的にイオン性物質から構成されておらず、(ii)非イオン性物質から得ることができ、(iii)混合物であり、化合物ではない為、イオン性液体であるとはみなされない。従来のイオン性液体と比較して、例えば塩化コリンに由来するDESは、(1)低コスト、(2)水に対して化学的に不活性、(3)2つ以上の成分を単純に混合することが容易、(4)ほとんど生物分解性及び非毒性、(5)加熱時でも低揮発性、(6)非可燃性等の幾つかの利点を有する。全てのDESは150℃以下で液体であり、多くは室温〜70℃で液体であり、いくつかは0℃以下で液体である注目すべき例もある。
DESは、しばしばハロゲン化第四級アンモニウム塩と、第四級アンモニウム塩のハロゲン化アニオンと複合体を形成する能力を有する金属塩(例えばZnCl2)又は水素結合供与体(例えば尿素)と混合して得られる。しかしながら、ベタイン:トリフルオロアセトアミドの様にDESにハロゲン化アニオンが存在しない場合等の例外も存在することを見出した。本明細書で使用される場合、用語「ベタイン」は、特定されていない限り、N,N,N−トリメチルグリシンを意味する。
本明細書に記載される深共晶溶媒は、第四級アンモニウム基を有する成分を含んでいてもよい。
第四級アンモニウム基を有する成分は、カルボキシレート基をさらに含む両性イオン成分であってもよい。好ましい両性イオン成分は、ベタイン(N,N,N−トリメチルグリシン)である。
また、第四級アンモニウム基を含む成分は、適切な対イオンと共に塩の形態で存在してもよい。
対イオンは、適切にはハロゲン化物であり、好ましくは塩素、臭素、又はヨウ素であり、最も好ましくは塩素である。他の適切な対イオンは、硝酸塩、テトラフルオロホウ酸塩等を含む。当該成分が塩の形態で存在する場合、対イオンは、好ましくはカルボン酸エステル基を含まない。
更なる態様において、本発明は、試料をDES含有混合物と接触させて安定化RNA含有組成物を形成する工程を含む、RNA含有試料におけるRNAの安定化方法を提供する。
更なる態様において、本発明は、試料をDES含有混合物と接触させて安定化DNA含有組成物を形成する工程を含む、DNA含有試料におけるDNAの安定化方法を提供する。
更なる態様において、本発明は、試料をDES含有混合物と接触させて安定化タンパク質含有組成物を形成する工程を含む、ペプチド含有試料におけるリンタンパク質を含むタンパク質の安定化方法を提供する。
更なる態様において、本発明は、細菌、真菌、動物又は植物試料、例えば大腸菌、酵母、線虫、ショウジョウバエ、ゼブラフィッシュ、マウス、ラット、シロイヌナズナ、米、小麦、トウモロコシ、タバコ及び/又はジャガイモにおいて、細胞の形態を固定し、RNA、DNA、及び/又はタンパク質を安定化する方法を提供する。
更なる態様において、本発明は、細胞含有試料(例えば臓器、組織、生検、循環性腫瘍細胞(CTC)、血液、血漿、血清、組織培養細胞、唾液、尿、脳脊髄液、医療用試料、卵、胚、若しくは成体組織、又はFFPE試料)の細胞形態の固定及び安定化方法であって、細胞含有試料をDES含有混合物と接触させ、細胞構造及び形態の固定物及び安定化物を形成する工程を含み、細胞数計測、CTC検出、免疫組織化学、組織化学、染色及び発色、フローサイトメトリー、質量分析、in situハイブリダイゼーション、レーザー捕捉マイクロダイセクション、及びRNA、DNA及び/又はタンパク質の分子分析に対応できる方法を提供する。
更なる態様において、本発明は、細胞含有試料中の細胞の形態を固定及び安定化する方法であって、細胞含有試料をDES含有混合物と接触させ、細胞構造及び形態の固定物または安定化物を形成し、同時に又は続いて試料を着色剤、抗体又はアプタマーと接触させる工程を含む方法を提供する。当該方法により、タンパク質含有量及びタンパク質の細胞局在が着色剤、抗体又はアプタマーを使用して決定することができる。
更なる態様において、本発明は、細胞含有試料中の細胞の形態を固定及び安定化する方法であって、細胞含有試料をDES含有混合物と接触させ、細胞構造及び形態の固定物及び安定化物を形成し、同時に又は続いて当該試料を分子分析の天然又は合成ハイブリダイゼーション配列を接触させる工程を含む方法を提供する。当該方法により、標識又は未標識プローブ(例えばオリゴヌクレオチド、プライマー、PNA、LNA、DNA、bDNA、又はRNA配列、天然又は合成相補性核酸配列)を使用してRNA含有量及びその細胞局在を決定することができる。
更なる態様において、本発明は、DES混合物を含む少なくとも1つの容器を含む、生物学的試料中のRNA、DNA、及び/又はタンパク質を安定化するキットを提供する。当該キットは、試料をDES混合物と接触させる指示書をさらに含み、生物学的試料中のRNA、DNA、及び/又はタンパク質を分解に対して安定化させる。
更なる態様において、本発明は、DES混合物を含む少なくとも1つの容器を含む、生物学的試料中の細胞構造を安定化するキットを提供する。当該キットは、試料をDES混合物と接触させる指示書をさらに含み、DES混合物は、顕微鏡及び/又は組織学(例えば染色及び呈色、ISH及び/又はIHC)のための、細胞構造の固定剤及び/又は安定化剤として機能する。
更なる態様において、本発明は、生物学的試料中の細胞、組織構造及び形態を固定するためのキットであって、DES固定及び/又は安定化混合物を含む少なくとも一つの容器を含み、任意に容器は透過性であり、試料を浸漬、固定及び/又は安定化する最大10mmの高さを有するキットを提供する。透過性容器の壁は、ふるい又は格子であってもよく、細胞又は組織試料に対するDES混合物の通過及び接触、及び/又は液体パラフィンとの接触を可能にするスリットが付与されていてもよい。
更なる態様において、本発明は、DES混合物と添加剤の組み合わせの使用であって、RNA、DNA、及び/又はタンパク質を含む生体分子の固定剤及び安定化剤として機能する使用を提供する。
更なる態様において、本発明は、RNA及びDES混合物を含む安定化RNA含有組成物を提供する。
更なる態様において、本発明は、DNA及びDES混合物を含む安定化DNA含有組成物を提供する。
更なる態様において、本発明は、タンパク質及びDES混合物を含む安定化タンパク質含有組成物を提供する。
更なる態様において、本発明は、細胞及び/又は組織及び/又は形態の安定化剤、並びにRNA、DNA及び/又はタンパク質の安定化剤としてのDES混合物の使用を提供する。
更なる態様において、本発明は、パラフィン包埋、ミクロトーム切片、任意に染色、insituハイブリダイゼーション及び/又は免疫組織化学のための、細胞構造及び/又は組織及び/又は形態の安定化剤としてのDES混合物の使用を提供する。
更なる態様において、本発明は、凍結クライオスタット切片、任意に染色、in situハイブリダイゼーション及び/又は免疫組織化学のための、細胞構造及び/又は組織及び/又は形態の安定化剤としてのDES混合物の使用を提供する。
更なる態様において、本発明は、レーザー捕捉マイクロダイセクション(LCM)、任意にタンパク質、DNA及びRNA回収のための、細胞構造及び/又は組織及び/又は形態の安定化剤としてのDES混合物の使用を提供する。
更なる態様において、本発明は、循環性腫瘍細胞及び/又は白血球及び/又は全血等の細胞捕捉、計測及び/又はタイピング、染色及び/又は呈色、質量分析、in situハイブリダイゼーション及び/又は免疫組織化学を含む診断分析のための、血漿、血清及び血液中の生体分子及び/又は細胞の安定化剤としてのDES混合物の使用を提供する。任意に、タンパク質、DNA、及びRNAの回収を行うことができる。
更なる態様において、本発明は、エキソソーム、他の種類の小胞、微小小胞、ミセル、リポソーム、エンドソーム、細胞残屑、細胞膜、細胞核等の細胞内の物質及び粒子、細胞内区画、ゴルジ、小胞体及び/又はミトコンドリア等の細胞質成分の固定剤としてのDES混合物の使用を提供する。
本発明は更に、診断試験(例えばエキソソーム又は他の細胞外微小胞内に含まれるmiRNA又はmRNAの抽出、分析及び/又は同定)について保存、輸送及び取り扱いのための、血液、血清、血漿、尿、脳脊髄液及び他の体液に由来するエキソソームに含まれるRNA、DNA及び/又はタンパク質の安定化に関する。
更なる態様において、本発明は、ウイルス粒子、バクテリオファージ、RNA、DNA、酵素、タンパク質(例えば抗体、脂質、脂肪及び/又は炭水化物)等の精製前の粒子及び分子の安定化剤としてのDES混合物の使用を提供する。精製前は、本明細書において、80%以上の目的の粒子又は分子からなる試料として定義される。
更なる態様において、本発明は、細菌及び/又はウイルス診断を含む病原体診断分析のための、血漿、血清、バフィーコート及び/又は血液中の生体分子、細菌、真菌、及び/又は他の病原体(例えばリーシュマニア、トリパノソーマ、及び/又はマラリア原虫)の安定化剤としてのDES混合物の使用を提供する。
更なる態様において、本発明は、ウイルス診断分析のための、生物学的試料(例えば唾液、スワッブ、血漿、血清、バフィコート及び/又は血液)中の、インフルエンザ、HPV、HIV、HBV、HCV、手足口病、SARS及び/又はウエストナイル病等のウイルス、ウイルス粒子、ウイルス核酸及び/又はタンパク質の安定化剤としてのDES混合物の使用を提供する。
更なる態様において、本発明は、細胞又は組織固定用及び/又は生体分子分解阻害用装置であって、第一深共晶溶媒から形成される第一深共晶溶媒層及び生体分子を含む試料を受ける第一深共晶溶媒中の凹部を含み、第一深共晶溶媒が固体又はゲルである装置を提供する。当該装置は、第二深共晶溶媒から形成される第二深共晶溶媒層をさらに含んでいてもよく、第二深共晶溶媒層が凹部を取り囲み、第二深共晶溶媒層は固体又はゲルである。
第一深共晶溶媒及び/又は第二深共晶溶媒は、本明細書に定義される深共晶溶媒であってもよく、好ましくは3,3,3−トリフルオロプロパンアミド、2,2−ジフルオロ−2−フェニルアセトアミド、尿素及びチオ尿素から選択される成分を含む。
第一深共晶溶媒及び/又は第二深共晶溶媒は、塩化コリン、ブチリルコリンヨージド、及びN,N,N−トリメチルグリシンから選択される成分を含んでいてもよい。
本発明の細胞又は組織固定用及び/又は生体分子分解阻害用装置は、第一深共晶溶媒から形成される第一深共晶溶媒を含む。第一深共晶溶媒は、固体又はゲルである。適切には、深共晶溶媒の成分は、望ましい使用条件下、例えば約25℃の温度及び約1atmの圧力で固体である様に選択される。或いは、深共晶溶媒は、望ましい使用条件下で固体又はゲルであるマトリックス材料と混合されてもよい。
特に好ましくは、第一深共晶溶媒として使用される深共晶溶媒としては、任意に約1:2のモル比の塩化コリン:3,3,3−トリフルオロプロパンアミド;任意に約1:1のモル比の塩化コリン:2,2−ジフルオロ−2−フェニルアセトアミド;任意に約1:1のモル比の塩化コリン:トレハロース;任意に約1:2のモル比のブチリルコリンヨージド:尿素が挙げられる。
装置が第二深共晶溶媒を含む場合、第一深共晶溶媒及び第二深共晶溶媒は、同じでもよく、異なっていてもよい。好ましくは、第二深共晶溶媒は、任意に約1:2のモル比の塩化コリン:3,3,3−トルフルオロプロパンアミド;任意の約1:1のモル比の塩化コリン:2,2−ジフルオロ−2−フェニルアセトアミド;任意に約1:1のモル比の塩化コリン:トレハロース;任意に約1:2のモル比のブチリルコリンヨージド:尿素から選択される。
更なる態様において、本発明は、深共晶溶媒が本明細書に定義される深共晶溶媒であるキットを提供する。
本発明は、1種類の生体分子の安定化に特に限定されず、RNAの質及び完全性の改善は、RNAの長さ及び環境侵襲に対する薬剤感受性の為、細胞で最も壊れやすい分子の一つであることから、注目に値する。大体一般的に、rRNA分子が完全の状態である場合、mRNA、DNA、タンパク質、脂質、炭水化物、及び低分子代謝物も完全な状態であると考えることができる。しかし、rRNAが分解している場合、他の生体分子は各生体分子の特定の薬剤感受性に依存して分解されたり、分解されない場合がある。組織又は細胞で、特定の種類の生体分子の分解又は修飾をもたらす特定の酵素(例えばRNアーゼ、DNアーゼ、エステラーゼ、プロテアーゼ又はホスファターゼ)を多く含む場合の幾つかの例外がある。
RNAは、試料(例えばウイルス、細胞、循環性腫瘍細胞、脳脊髄液、気管支肺胞洗浄物、血清、血漿、血液、エキソソーム、他の微小小胞)、保存試料(例えばFFPE塊又は切片、生検、固体又は液体組織)又は他の生物学的試料に見出されてもよく、これらに由来してもよく、これらに関連してもよい。生体分子は、cAMP、ATP、GTP等のヌクレオシド又はヌクレオチド含有分子、デオキシヌクレオチド及びリボヌクレオチドのモノマー、ダイマー、オリゴマー、プラスミドDNA、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、マイクロRNA(miRNA)、piRNA、siRNA、tRNA、ウイロイド、環状RNA、環状ss又はds、非コーディングRNA、hnRNA、mRNA、5S、5.8S、16S、18S,23S、及び28S rRNA等のrRNA、例えばHCV、ウエストナイル病ウイルス、足口病ウイルス、インフルエンザ、SARS、又はHIV RNA、及び/又は細胞外RNA(exRNA)等のRNAであってもよい。
生体分子はまた、合成有機手順(例えばオリゴ合成器)に由来する分子、RNA及びDNAの混合物、RNA及びDNAのキメラ、酵素反応生成物(例えばin vitroRNA転写物)、増幅RNA(aRNA)、リボザイム、アプタマー、PCR増幅物、ローリングサークル増幅(RCA)又はリガーゼ鎖反応(LCR)、内部対照標準又は対照RNAであってもよい。
本発明で有用なRNA分析方法としては、in vitro又はin vivoでのmRNA鋳型のタンパク質翻訳、RNA依存性RNA重合、DNA依存性RNA重合、RNAスプライス分析、RNAフォールディング分析、アプタマー及びリボザイム生成、光学密度(OD)測定、RNA:タンパク質相互反応研究、分子量標準を含むRNA電気泳動及び沈降、RNAバイオコンジュゲート、RNAライゲーション、RNAフォールディング研究、RNAフットプリンティング、RNA NMR構造研究、RNAオリゴヌクレオチド合成、RNA in situ、in situハイブリダイゼーション(ISH)、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、RNA配列決定、逆転写(RT)、RT−PCR、RT−qPCR、ヌクレアーゼ保護アッセイ、ハイブリダイゼーション技術、例えばノーザンブロット、bDNA、マイクロアレイ(プローブ、蛍光核酸標識の調製を含む)、NASBA、RNAi、miRNA技術(例えば抽出及び定量)、RNA品質制御及び/又は定性若しくは定量測定を要する方法が挙げられる。
不安定性とは、分子量の変化又はRNA分子の化学構造の変化のことをいい、係る不安定性は、分析物分子の取り扱い、保存、輸送及び/又は実際の分析と関連する。生体分子の不安定性はしばしば、天然の代謝酵素、特にRNAの分子量を実質的に変更するか元々の分析物分子の分子量を小さくするRNアーゼの活性に依存する。当該RNアーゼは、生物学的試料自体に由来し、RNアーゼは、例えば解凍される場合に組織の不十分な取り扱いの結果として次第に放出されるか大規模に放出され、非常に高い割合で分析物分解をもたらすプロテアーゼ及びヌクレアーゼを含む細胞内小胞が破壊され、細胞質に流出する。或いは、分解酵素は、試料の微生物汚染又は腐敗などの試料環境の外部汚染に起因することがある。分析物の不安定性は、分析物がタンパク質、核酸、炭水化物、脂質、又は代謝物であろうと、一般的に分析手順の感度又は性能の低下と関連している。
「分解」とは、生体分子及び/又は分析物の不安定性の結果として生じる物理的又は化学的変化のことをいう。核酸に関連する分解の例として、分解は、核酸塩基の脱アミノ化(例えばシトシンからウラシルへの転換)、核酸塩基の酸化(例えばグアニン)、メチル−シトシンからのメチル基の損失、一つ以上の核酸塩基の損失(例えば脱プリン化で生じる等)、鎖切断をもたらすリン酸ジエステル結合の切断、及び核酸分子から一つ以上のヌクレオチド損失のことをいう。分解は、分子の二次的又は三次的構造の変化のことを意味しない。
「完全性」は、分子の完全性を意味し、分解の反対である。
「実質的な分解」は、少なくとも半分の分析物分子で分子量が5%以上低減された試料を意味する。分解を決定する方法は、周知であり、分析物分子に依存する (Sambrook et al., (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Ed.) Cold Spring Harbor University Press, NY参照)。分子量の決定及び核酸の分解は変性又は未変性ゲル電気泳動を用いて一般的に行われ、標識ハイブリダイゼーションプローブを用いたサザン又はノザンブロットが含まれてもよい。RNA定量は、RNAチップ及びAgilent Bioanalyser 2100TM systemを用いて「RNA完全性値」(RIN)を算出する分析が含まれてもよい。核酸分解は、例えばLightcyclerTM(Roche)及び適切な増幅プローブを用いたDNA用Q−PCR及びRNA用RT−qPCRにより定量することができる。
オリゴdTプライマーを用いた逆転写後のmRNA、しばしばβ−アクチンの3’/5’末端のRT−qPCR増幅比の算出は、RNA分解を評価する為に一般的に使用される。他の方法には、細胞又は組織の全mRNA含有量のRNA配列分析、又はAffymetrix(登録商標)GeneChips(登録商標)を用いた分析後のmRNAの3’〜5’部位を示すオリゴヌクレオチドの相対ハイブリダイゼーションシグナルの比較が含まれる。100ヌクレオチド長未満の一本鎖又は二本鎖核酸(例えばオリゴヌクレオチド及びmiRNA)は、MALDI-TOF MS等の質量分析により殆ど正確に定量され、当該技術は、核酸塩基の脱プリン化又は脱アミノ化などの分析物の分子量を有意に変更しない分解を決定できる更なる利点を有する。殆どのmiRNA分析は専用のRT−qPCRにより行われる。RNA分解の程度を決定する方法の複雑性にも関わらず、特定のmRNA配列は分解に対して非常に感受性が高くなく、18S及び28S rRNAは比較的分解に安定である為、mRNA分解のための代用マーカーである。mRNA分解の正確な分析は、上記で説明した通り、RT−qPCTを用いて現在最も行われている。RNA精製の結果としてRNA分解を評価する方法の詳細な記載についてはMuyal et al., (2009) Diag. Path. 4:9が参照される。
RNA又はDNAの「純粋試料」は、OD260/280比が1.7以上である、水中の核酸溶液を意味する。
一般的に不安定性及び分解は、検討中の分子(分析物)の分子量の減少と相関している。逆に、例えば保存中に漸進的に凝集する複合体の分子量の増大に関連することもある。後者の一つの例は、組織全体の保存中の核酸へのタンパク質の複合体化或いは凝集、又は試料(ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)等)の処理中の分子の化学架橋である。
「安定化」は、対照に比べて分析物分子の分解量の低下となる条件を意味する。当該対照は、本発明を使用しない使用条件、例えば安定剤なしでの保存(図11)であり、RNA分解の割合は、一般的に有用な比較となるほど非常に高く、良好な対照は製造業者の指示によって使用される市販のRNAlaterである(Cat. No. 76106, Qiagen, Germany)。対照は、生検、血液又は血清試料等の組織切片又は組織片でもよく、RNAlaterで例えば4、20又は37℃で1〜16時間又は1〜45日間保存される。
組織破壊は、カオトロープ溶液の添加で溶解する程小さい粒子まで大きな組織試料を破壊するプロセスを意味する。RNA抽出及び精製の為、分析物の十分な放出を可能にする程小さい断片にまで試料が破壊される。
「RNアーゼ不活性化」工程は、RNアーゼを十分不活性化するために行われてもよく、RNAが著しく分解せずにDES混合物を用いて安定化される。RNアーゼを不活性化する多くの方法が、当該技術分野で公知であり、プロテアーゼ(トリプシン、キモトリプシン、パパイン、又はプロテアーゼK等)を用いた酵素分解、β−メルカプトエタノールを用いたジスルフィド結合の減少(Chirgwin, et al., "Isolation of Biologically Active Ribonucleic Acid from Sources Enriched in Ribonuclease," Biochemistry, 18:5294-5299, 1979.)、ジチオトレイトール、ジチオエリスリトール、グルタチオン又はTCEP、RNasinタンパク質の添加(Life Technologies, USA)、RNAsecureTM(Life Technologies, USA)、カオトロープ(例えばグアニジン、HCl、グアニジンチオシアネート)を用いた処理(Chomczynski and Sacchi, "Single Step Method of RNA Isolation by Acid Guanidine Isothiocyanate-Phenol-Chloroform Extraction," Anal. Biochem., 162:156-159, 1987; Sambrook, et al., "Molecular Cloning, A Laboratory Manual," pp. 7.16-7.52, 1989.)、尿素、ホルムアミド、ホルムアルデヒド、又はヨードアセテートナトリウム、界面活性剤(Tween-20、Triton X-100、NP-40、SLS、SDS等)を用いた処理、又はEDTA、EGTA、クエン酸ナトリウム、熱又は酸変性、バナジルリボヌクレオシド複合体を用いた阻害(Berger and Birkenmeier, 1979)又はグルタルアルデヒドを用いた架橋がある。組織試料は、一実施例で記載する通り、DES混合物処理前に、RNアーゼ活性が未処理活性の少なくとも50%、75%、好ましくは100%減少するように処理される。処理前のRNアーゼ活性は、RNaseAlertTM kit (Life Technologies, USA)を用いてモニターすることができる。組織のRNアーゼを不活性化する方法は、米国特許第6,777,210号及び米国特許出願第2009/0286304号に記載されている。
限定されないが、一例として、DESは、一つ以上の成分を混合、又は混合及び加熱して作製される。当該成分は、硝酸コリン、テトラフルオロボレートコリン、水酸化コリン、酒石酸水素コリン、クエン酸二水素コリン、p−トルエンスルホン酸コリン、重炭酸コリン、塩化コリン、臭化コリン、ヨウ化コリン、フッ化コリン、塩化クロロコリン、臭化ブロモコリン、ヨウ化ヨードコリン、水酸化アセチルコリン、酒石酸水素アセチルコリン、クエン酸二水素アセチルコリン、p−トルエンスルホン酸アセチルコリン、重炭酸アセチルコリン、塩化アセチルコリン、臭化アセチルコリン、ヨウ化アセチルコリン、フッ化アセチルコリン、塩化クロロアセチルコリン、臭化ブロモアセチルコリン、ヨウ化ヨードアセチルコリン、水酸化ブチリルコリン、酒石酸水素ブチリルコリン、クエン酸二水素ブチリルコリン、p−トルエンスルホン酸ブチリルコリン、重炭酸ブチリルコリン、塩化ブチリルコリン、臭化ブチリルコリン、ヨウ化ブチリルコリン、フッ化ブチリルコリン、塩化クロロブチリルコリン、臭化ブロモブチリルコリン、ヨウ化ヨードブチリルコリン、塩化アセチルチオコリン、L−カルニチン、D−カルニチン、ベタイン、サルコシン、トリメチルアミンNオキシド、ベタインHCl、セチルベタイン、フッ化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ラウリルベタイン、塩化N,N−ジメチレンエタノールアンモニウム、塩化N,N−ジエチルエタノールアンモニウム、塩化βメチルコリン、塩化ホスホコリン、クエン酸コリン、塩化ベンゾイルコリン、ラウリルスルホベタイン、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化メチルトリフェニルホスホニウム、臭化メチルトリフェニルホスホニウム、ヨウ化メチルトリフェニルホスホニウム、フッ化メチルトリフェニルホスホニウム、塩化N,N−ジエチレンエタノールアンモニウム、塩化エチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、塩化(2−クロロエチル)トリメチルアンモニウム、塩化テルビウム(III)、塩化亜鉛(II)、臭化亜鉛(II)、塩化ジルコニウム(III)、塩化鉄(III)、塩化スズ(II)、塩化銅(II)、塩化マグネシウム(II)の群から選択されてもよい。
DESを形成できる一つ以上の他の成分としては、限定されないが、尿素、ホルムアミド、チオ尿素、1−メチル尿素、1,1−ジメチル尿素、1,3−ジメチル尿素、カルボヒドラジド、テトラメチル尿素、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ベンズアミド、ジラール試薬T、ラクトアミド、アセトアミド、フルオロアセトアミド、ジフルオロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、クロロフルオロアセトアミド、クロロジフルオロアセトアミド、クロロアセトアミド、ジクロロアセトアミド、ジクロロフルオロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、ブロモアセトアミド、ジブロモアセトアミド、トリブロモアセトアミド、ブロモフルオロアセトアミド、ブロモジフルオロアセトアミド、ブロモクロロフルオロアセトアミド、ヨードアセトアミド、ジヨードアセトアミド、トリヨードアセトアミド、2−メチル−2,2−ジフルオロアセトアミド、2−メチル−2−フルオロアセトアミド、2,2−ジメチル−2−フルオロアセトアミド、2−エチル−2,2−ジフルオロアセトアミド、2−エチル−2−フルオロアセトアミド、2,2−ジエチル−2−フルオロアセトアミド、2−プロピル−2,2−ジフルオロアセトアミド、2−プロピル−2−フルオロアセトアミド、2,2−プロピル−2−フルオロアセトアミド、2−フルオロプロピオンアミド、3−フルオロプロピオンアミド、2,2−ジフルオロプロピオンアミド、2,3−ジフルオロプロピオンアミド、3,3−ジフルオロプロピオンアミド、3,3,3−トリフルオロプロピオンアミド、2−フルオロ−3,3,3−トリフルオロプロピオンアミド、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロピオンアミド、2,2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロピオンアミド、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロピオンアミド、2,2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロピオンアミド、ペンタフルオロプロピオンアミド、ヘプタフルオロブチルアミド、トリメチルアセトアミド、1−(トリフルオロアセチル)イミダゾール、N,O−ビス(トリフルオロアセチル)ヒドロキシアミン、ビストリフルオロアセトアミド、N−メチル−フルオロアセトアミド、N−メチル−ジフルオロアセトアミド、N−メチル−トリフルオロアセトアミド、N−メチル−クロロフルオロアセトアミド、N−メチル−クロロジフルオロアセトアミド、N−メチル−クロロアセトアミド、N−メチル−ジクロロアセトアミド、N−メチル−ジクロロフルオロアセトアミド、N−メチル−トリクロロアセトアミド、N−メチル−ブロモアセトアミド、N−メチル−ジブロモアセトアミド、N−メチル−トリブロモアセトアミド、N−メチル−ブロモフルオロアセトアミド、N−メチル−ブロモジフルオロアセトアミド、N−メチル−ブロモクロロフルオロアセトアミド、N−メチル−ヨードアセトアミド、N−メチル−ジヨードアセトアミド、N−メチル−トリヨードアセトアミド、N−メチル−2−メチル−2,2−ジフルオロアセトアミド、N−メチル−2−メチル−2−フルオロアセトアミド、N−メチル−2,2−ジメチル−2−フルオロアセトアミド、N−メチル−2−エチル−2,2−ジフルオロアセトアミド、N−メチル−2−エチル−2−フルオロアセトアミド、N−メチル−2,2−ジエチル−2−フルオロアセトアミド、N−メチル−2−プロピル−2,2−ジフルオロアセトアミド、N−メチル−2−プロピル−2−フルオロアセトアミド、N−メチル−2,2−プロピル−2−フルオロアセトアミド、N−メチル−2−フルオロプロピオンアミド、N−メチル−3−フルオロプロピオンアミド、N−メチル−2,2−ジフルオロプロピオンアミド、N−メチル−2,3−ジフルオロプロピオンアミド、N−メチル−3,3−ジフルオロプロピオンアミド、N−メチル−3,3,3−トリフルオロプロピオンアミド、N−メチル−2−フルオロ−3,3,3−トリフルオロプロピオンアミド、N−メチル−2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロピオンアミド、N−メチル−2,2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロピオンアミド、N−メチル−2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロピオンアミド、N−メチル−2,2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロピオンアミド、N−メチル−ペンタフルオロプロピオンアミド、N−メチルヘプタフルオロブチルアミド、N,N−ジメチル−2,2,2−トリフルオロアセトアミド、N−エチル−2,2,2−トリフルオロアセトアミド、N,N−ジエチル−2,2,2−トリフルオロアセトアミド、N−(ヒドロキシメチル)トリフルオロアセトアミド、エチルトリフルオロアセテート、ジチオトレイトール、ジチオエリスリトール、β−メルカプトエタノール、ペニシラミン、チオプロニン、アクリルアミド、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、タウリン、アコニット酸、アジピン酸、安息香酸、クエン酸、マロン酸、リンゴ酸、DL−マレイン酸、シュウ酸、フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸、コハク酸、レブリン酸、酒石酸、没食子酸、p−トルエンスルホン酸、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、レゾルシノール、フェノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,12−ドデカンジオール、m−クレゾール、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ベンジルピロリドン、2−イミダゾリンドン、テトラヒドロ−2−ピリミジオン、グアニジン、グアニジンHCl、グアニジンイソチオシアネート、グアニジンスルフェート、アンモニウムアセテート、酒石酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム、クエン酸二水素アンモニウム、アンモニウムホルメート、アンモニウムヨーダイド、アンモニウムニトレート、アンモニウムホスフェート、アンモニウムホスフェート二塩基性、アンモニウムスルファメート、アンモニウムスルフェート、アンモニウム酒石酸二塩基性、アンモニウムイソチオシアネート、アンモニウムベンゾエート、アンモニウムブロミド、アンモニウムフルオリド、アンモニウムハイドロジェンスルフェート、アンモニウムトリフルオロアセテート、アンモニウムチオスルフェート、アドニトール、リビトール、ラムノース、トレハロース、D−ソルビトール、L−ソルビトール、ソルボース、キシリトール、グルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、マンノース、マンニトール、アラビノース、ガラクトース、ラフィノース、イノシトール、エリスリトール又はキシロースの群から選択される一つ以上の化合物が挙げられる。
本明細書に開示されるいくつかの化合物は、イオン化可能であってもよく、すなわち、いくつかの化合物は、弱酸、弱塩基、又は両性電解質であってもよい。イオン化可能な化合物の遊離形態の代表例は、対応するイオン化形態を包含することが意図される。例えば、カルボン酸基の代表例は、対応するカルボン酸エステル基を包含する。
塩化亜鉛等の特定の成分は、塩化コリンだけではなく尿素と共にDESを形成することができ(塩化コリンと塩化亜鉛は上記の同一成分基であると思われる)、特定のDES混合物が同一基の化合物から調製することができる。
上記リストは、完全に網羅されておらず、DES成分は、DES成分間の水素結合が多く絶対に必要ではない事以外は、如何なる種類の分子又は特性に限定されない。
本発明で使用される深共晶溶媒は、好ましくは実質的に有機酸を含まない。特に、本発明で使用される深共晶溶媒は、好ましくはリンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、ピルビン酸、フマル酸、コハク酸、酢酸、アコニット酸、酒石酸、アスコルビン酸、マロン酸、シュウ酸、グルクロン酸、ノイラミン酸、シアル酸から選択される有機酸を実質的に含まない。或いは、式II及びIIIに示されるR6、R7、R8は、得られる化合物がカルボン酸基を含まないように選択される。好ましい取り決めにおいて、R6がOHである場合、R7はカルボニルではない。別の好ましい取決めにおいて、R7が−Z−C(O)R8である場合、R8はOHではない。
本発明で使用される深共晶溶媒は、好ましくは実質的に金属塩を含まない。一つの取り決めにおいて、深共晶溶媒は、亜鉛又はジルコニウムの塩以外の金属塩を実質的に含まない。深共晶溶媒は、好ましくはNaH2PO4、Na2HPO4、NaHSO3、Na2SO4、MgCl2、CaCl2、KCl、NaCl及びKIを実質的に含まない。深共晶溶媒が糖又は糖アルコールを含む場合、深共晶溶媒は、特に好ましくは金属塩を含まない。
本発明で使用される深共晶溶媒は、好ましくはスクロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース、セロビオース、アラビノース、リボース、リブロース、ガラクトース、ラムノース、ラフィノース、キシロース、マンノース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、キシリトール、リビトール、ガラクチトール、エリスリトール、及びアドニトールから選択される糖又は糖アルコールを実質的に含まない。深共晶溶媒が金属塩を含む場合、深共晶溶媒は、特に好ましくは糖又は糖アルコールを含まない。
DES混合物においてDES成分の最大数は特段なく、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10以上の成分を混合してDES混合物を作製できる。必要に応じて例えば2成分DES混合物の整数モル比において、成分1及び成分2は、以下の比:10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10(モル:モル)で混合することができる。例えば3成分DES混合物において、成分1、成分2及び成分3は、10:1:1、9:1:1、8:1:2、7:1:3、6:1:4、5:1:5、4:1:6、3:1:7、2:1:8、1:1:9、1:2:8、1:3:7、1:4:6、1:5:5、1:6:4、1:7:3、1:8:2、1:9:1、1:10:1(モル:モル:モル)で混合することができる。
当業者は、成分の混合比率、例えば20:1又は1:30(モル:モル)が可能である事、共融点をもたらす特定のモル比が、RNAの安定化及び/又は細胞形態の固定に最適又は所望のモル比ではない事を理解する。DESの安定化活性は、DES混合物の水素結合特性と関連する場合がある。特定の用途に有用なDES混合物を作製する成分の数又は混合比率には特段制限はない。DESの物性、例えば粘度又は密度は、更なる成分の添加、又は以下に示す「添加剤」の添加によって変更することができる。いくつかのDES混合物は、端数のモル比を用いて調製でき、例えばZnCl2:尿素は1:3.5(モル:モル)で調製できる。成分1及び成分2又は成分1、成分2及び成分3等のモル比に特段制限はなく、細胞固定等の用途に使用されるDES混合物を含む成分の最適比は経験上殆ど正確に決定できる。例示のみとして、塩化コリン/トリフルオロアセトアミドは2:1、1.75:1、1.5:1、1.25:1、1:1、1:1.25、1:1.5、1:1.75、又は1:2のモル:モル比で混合でき、個別に試験して最適なRNA安定化及び/又は細胞固定特性を有するモル比を決定できる。
当業者は、費用又は毒性等の他の要因により特定の成分の比率を削減し、安い代替物に部分的に置き換える場合がある。例えば、塩化アセチルコリン:尿素(1:2 モル:モル)DES混合物は、特定の用途で、塩化アセチルコリン:塩化コリン:尿素(1:1:4 モル:モル:モル)の様に安い塩化コリンに部分的に置き換えることができる。
例えば、DESの作製に使用される成分中の夾雑物(例えば水)、酸化、CO2の吸収が存在する為、合成中の副生成物又は一成分の分解生成物が生じる事は当業者に明らかである。例えば1:1(モル:モル)混合物の所望の正確な比率は、成分1又は成分2の正確な量において、実際に±10%、好ましくは5%、より好ましくは1%の差異であってもよい。例示として、5%誤差は、最終モル比率:0.95:1、1:0.95、1.05:0.95又は0.95:1.05(モル:モル)となることがあり、当該誤差の影響、例えば実施例1に示す通り、RNAの質に対する影響が経験的に決定できる。一般的に、水等の夾雑物を除去する為に、エタノール中の再結晶の周知手順が行われ、真空乾燥及び/又は化学乾燥が行われる。当該方法は、‘Purification of Laboratory Chemicals’
Butterworth-Heinemann (2012)に説明されている。
典型的に、DESは、以下の種類の化合物:(i)第一級、第二級、第三級、又は第四級窒素等の正電荷カチオンを有する窒素塩(窒素塩の一例は、塩化コリン等のハロゲン化物を有するものである)、(ii)金属塩、例えば一つの遷移金属塩ハロゲン化物からの水素結合供与体と、(iii)アミン、(iv)ヒドロキシ、(v)アルデヒド、(vi)アミド又は(vii)カルボン酸を含んでいてもよい水素結合受容体とを混合することにより調製される。糖、カルボン酸、トリフルオロアセトアミド等の尿素、及びアルコール等の水素結合供与体が含まれる。
一つの取り決めにおいて、深共晶溶媒は、III型深共晶溶媒又はIV型深共晶溶媒であり、10mgのラット肝臓試料から抽出され、400mgの深共晶溶媒を用いて24℃で20日間インキュベートされたRNAは、Agilent Bioanalyser 2100を用いて測定される、少なくとも4.0のRNA完全性値(RIN)を有する。
RNA完全性値は、RNA 6000 Nano total RNA Kit (Cat. No. 5067-1511, Agilent Technologies, USA)及びBioanalyser 2100 instrument (Cat. No. G2939AA, Agilent Technologies, USA)を用いて測定されてもよい。
本明細書で使用される場合、用語「III型深共晶溶媒」は、少なくとも第一成分及び第二成分を有する深共晶溶媒であって、第一成分は塩化コリン又はN,N,N−トリメチルグリシン(ベタイン)等の第四級アンモニウム又はホスホニウム化合物であり、第二成分は尿素又はトリフルオロアセトアミドなどの水素結合供与体である事を意味する。IV型深共晶溶媒は、少なくとも第一成分及び第二成分を有する深共晶溶媒であって、第一成分は塩化亜鉛等の金属塩であり、第二成分は尿素等の水素結合供与体である。
当業者は、組織試料からRNAを抽出する方法に精通している。適切には、RNAは製造業者の指示に従ってRNeasy Mini kit(Cat. No. 74106, Qiagen, Germany)を用いて抽出されてもよく、他の方法を使用してもよい。
本発明は、固定したウイルス、細胞又は組織を作製するための、ウイルス、細胞又は組織の固定剤としての深共晶溶媒の使用を提供する。好ましくは基質上で培養され、深共晶溶媒を用いて24℃で1時間インキュベートされたHeLa細胞の少なくとも75%は、深共晶溶媒を水で置換し、24℃で1時間インキュベーションされた後に結合したままである。
当業者は、基質に結合した状態の細胞数を決定する方法に精通している。例えば、約2000個のHeLa細胞がカバーガラス等の最適な基質上で成長できる。最適なカバーガラスの一例は、25mmの直径を有するCellatticeTM: Micro-Ruled Cell Culture SurfaceMicro-ruled cell culture coverslip surface, Cat. No. CLS5-25D-050 Nexcelom Bioscience, USAである。基質は、組織培養プレートに置かれ、適切なバッファ、例えば2mlのDMEM/10%FBSで一晩培養する。所定面積の基質に結合する細胞数は、10倍の対物顕微鏡レンズを用いて手作業で数えることができる。組織培養培地は、例えば吸引ピペットを用いて除去でき、400mgの深共晶溶媒で置き換える。組織培養は、室温で1時間インキュベートし、細胞を固定し、深共晶溶媒を除去し、2mlの蒸留水で置換し、室温で1時間インキュベートし、グリッドの所定面積の細胞数を手作業で数える。元の数と比較して所定の面積に結合したままの細胞の割合を算出してもよい。
特に好ましい取り決めにおいて、10mgのラット肝臓試料から抽出され、400mgの深共晶溶媒を用いて24℃で20日間インキュベートされたRNAは、Agilent Bioanalyser 2100を用いて測定される、少なくとも4.0のRNA完全性値(RIN)を有し、基質上で培養され、深共晶溶媒を用いて24℃で1時間インキュベートされたHeLa細胞の少なくとも75%は、深共晶溶媒を水と置換し、24℃で1時間インキュベーションした後に基質に結合したままである。
任意に、本発明で使用される深共晶溶媒は、III型深共晶溶媒であり、当該深共晶溶媒は、トリフルオロメチル基を含む化合物を含む。トリフルオロメチル基を含む化合物は、深共晶溶媒の少なくとも5重量%の量で深共晶溶媒に存在してもよい。
一つの取り決めにおいて、深共晶溶媒は、第一成分及び第二成分を含み、第一成分は、式Iの化合物であり、
6がH又はOHであり、
7がH、CH3、Cl、Br、カルボニル酸素及び

から選択され;
Zは−CH2−、O、及びSから選択され、
8はR11又はOHであり、
第二成分は、式IIの化合物またはその塩を含み、

AはO、S及びNHから選択され、
1はH、1〜6の炭素原子を有するアルケン基、R9、−NH2、−NH−(CH2aCH3、及び−C(R3)(R4)(R5)から選択され、
aは0又は1〜5の整数であり、
2はH及び1〜3の炭素原子を有する直鎖アルキル基から選択され、
3は任意に置換される5員又は6員の脂肪族環又は芳香族環であり、置換基はR10であり、
4及びR5はそれぞれ独立してH又はFであり、
9、R10、及びR11は、それぞれ独立して1〜3の炭素原子を有するアルキル基、1〜3の炭素原子を有するモノクロロアルキル基、及び1〜3の炭素原子を有するモノフルオロアルキル基、ジフルオロアルキル基又はトリフルオロアルキル基から選択される。
好ましくは、当該取り決めにおいて、Aは、O、S及びNHから選択され、R1は、H、−CH=CH2、R9、−NH2、−NHCH3、及び−C(R3)(R4)(R5)から選択され、R2はH及び−CH3から選択され、R3は任意に置換される5員又は6員の脂肪族環又は芳香族環であり、置換基はR10であり、R4及びR5はそれぞれ独立してH又はFであり、R9、R10、及びR11は、それぞれ独立して1〜3の炭素原子を有するアルキル基、1〜3の炭素原子を有するモノクロロアルキル基、及び1〜3炭素原子を有するモノフルオロアルキル基、ジフルオロアルキル基又はトリフルオロアルキル基から選択される。任意にR7は、H、Br、カルボニル酸素及び

から選択される。
Aは、O又はSであってもよい。
2はHであってもよい。
1は、H、R9、−CH=CH2、及び−C(R3)(R4)(R5)から選択されてもよい。当該取り決めにおいて、R1は、R9であり、R9は好ましくは1つの炭素原子を有することが好ましい。
好ましくは第二成分がアセトアミド、又は2−クロロアセトアミドである。
別の取り決めにおいて、R9は、モノ−、ジ−又はトリ−フルオロメチル基である。
第二成分は、好ましくはトリフルオロアセトアミド、トリフルオロチオアセトアミド又はN−メチルトリフルオロアセトアミドである。
別の取り決めにおいて、R9は、2つの炭素原子を有し、R9は、好ましくはモノ−、ジ−、又はトリ−フルオロエチル基である。
第二成分は、2,2−ジフルオロプロパンアミド又は3,3,3−トリフルオロプロパンアミドであることが好ましい。別の取り決めにおいて、第二成分は、ホルムアミド又はアクリルアミドである。
更なる取り決めにおいて、R1は、C(R3)(R4)(R5)であり、R4及びR5は、好ましくはFである。
3は、任意に置換されるフェニル基等の任意に置換される6員芳香族環であってもよい。好ましくは、第一成分は、2,2−ジフルオロ−2−フェニルアセトアミドである。あるいは、R3は、置換基を含み、好ましくはフェニル基の2位に置換基を含む。
置換基は、好ましくはモノ−、ジ−又はトリ−フルオロメチル基である。よって、一つの取り決めにおいて、第二成分は、2−(トリフルオロメチル)フェニルアセトアミドである。
更なる取り決めにおいて、R1は、−NH2及び−NHCH3から選択される。好ましくは、第二成分は尿素、チオ尿素又は1,3−ジメチル尿素である。
更なる取り決めにおいて、AはNHである。この取り決めにおいて、第二成分は、グアニジンであってもよく、任意にグアニジンはヒドロイソチオシアネート塩の形態で存在してもよい。
更なる取り決めにおいて、R7はHである。この取り決めにおいて、第一成分は、好ましくはコリンを含む。
別の取り決めにおいて、第一成分は、臭化コリンを含む。
別の取り決めにおいて、第一成分は、N,N,N−トリメチルグリシンであり、任意に第二成分は、トリフルオロアセトアミド及び尿素から選択される。
別の取り決めにおいて、R7は、

である。
当該取り決めにおいて、ZはOまたはSであってもよく、R8は、R11であってもよく、R11は、好ましくは一つの炭素原子を有する。
当該取り決めにおいて、第一成分は好ましくはアセチルコリン又はアセチルチオコリンを含む。
或いは、R11は、3つの炭素原子を有していてもよく、第一成分は好ましくはブチリルコリンを含む。
更なる取り決めにおいて、ZはCH2であってもよい。当該取り決めにおいて、R8は、OHであってもよい。当該取り決めにおいて、第二成分は好ましくはカルニチンである。
第一成分は、対イオンを含んでいてもよく、典型的にはハロゲン化物アニオンであるが硝酸(NO3 -)又はテトラフルオロボレート(BF4 -)等の別のアニオンであってもよい。ハロゲン化物アニオンは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択されてもよく、好ましくは塩素である。この取り決めにおいて、第一成分は塩化コリンであり、任意に第二成分はトリフルオロアセトアミド、トリフルオロチオアセトアミド、3,3,3−トリフルオロプロパンアミド、2,2−ジフルオロ−2−フェニルアセトアミド、チオ尿素及び尿素から選択され、好ましくはトリフルオロアセトアミドである。
第二成分に対する第一成分のモル比は、1:3〜2:1の範囲であり、好ましくは1:1.5〜1:2.5の範囲であり、より好ましくは1:2である。
更なる取り決めにおいて、深共晶溶媒は、第一成分及び第二成分を含み、第一成分はコリンのハロゲン化塩であり、第二成分は任意に置換されるイミダゾールであり、置換基は、1〜3の炭素原子を有するアルキル基である。当該取り決めにおいて、第二成分に対する第一成分のモル比は、好ましくは2.8:1〜2:1の範囲である。
コリンのハロゲン化塩は、好ましくは塩化コリンであり、置換イミダゾールは、好ましくはメチルイミダゾールであり、例えばN−メチルイミダゾール又は4−メチルイミダゾールである。1−ベンジルイミダゾール等のベンジル置換イミダゾールの使用も含まれる。或いは、イミダゾールは、置換されていない。
更なる取り決めにおいて、深共晶溶媒は、第一成分及び第二成分を含み、第一成分は、式IIIの化合物を含み、

6はH又はOHであり、R7はH、CH3、Cl、Br、カルボニル酸素及び

から選択され、
Zは−CH2−、O及びSから選択され、
8はOH、1〜3の炭素原子を有するアルキル基、1〜3の炭素原子を有するモノクロロアルキル基、及び1〜3の炭素原子を有するモノフルオロアルキル基、ジフルオロアルキル基又はトリフルオロアルキル基から選択され、
第二成分は糖又は少なくとも3つの炭素原子を有する糖アルコールである。
7は任意にH、Br、カルボニル酸素及び

から選択される。
糖アルコールは、グリセロール、トレイトール、キシリトール、ソルビトール及びボレミトールから選択されてもよく、好ましくはグリセロール、キシリトール及びソルビトールから選択され、最も好ましくはソルビトールである。或いは、糖は、トレハロースであってもよい。
当該取り決めにおいて、第二成分は、コリン、例えば塩化コリンを含んでいてもよい。第二成分に対する第一成分のモル比は、1:2〜2:1の範囲であってもよく、好ましくは1:0.8〜1:1.2の範囲である。
更なる取り決めにおいて、深共晶溶媒は、第一成分及び第二成分を含み、第一成分はハロゲン化亜鉛(II)又はハロゲン化ジルコニウム(IV)であり、第二成分は式IVの化合物である。

AはO、S及びNHから選択され、
1はH、1〜6の炭素原子を有するアルケン基、R9、−NH2、−NH(CH2CH3、及び−C(R3)(R4)(R5)から選択され、
nは0又は1〜5の整数であり、
2はH及び1〜3の炭素原子を有する直鎖アルキル基から選択され、
3は任意に置換される5員又は6員の脂肪族環又は芳香族環であり、置換基はR10であり、
4及びR5はそれぞれ独立してH又はFであり、
9は、それぞれ独立して1〜3の炭素原子を有するアルキル基、1〜3の炭素原子を有するモノクロロアルキル基、及び1〜3の炭素原子を有するモノフルオロアルキル基、ジフルオロアルキル基又はトリフルオロアルキル基から選択される。
好ましいハロゲン化亜鉛(II)はZnCl2である。好ましいハロゲン化ジルコニウム(IV)はZrCl4である。第二成分は、好ましくは尿素である。第二成分に対する第一成分のモル比は、1:3〜1:4の範囲であってもよい。
第二成分は、好ましくは尿素である。
更なる取り決めにおいて、深共晶溶媒は、第一成分及び第二成分を含み、第一成分は、式Vの化合物であり、

-はCl-またはBr-であり、
XはN又はPであり、
12、R13、R14及びR15はそれぞれ独立して1〜16の炭素原子を有する直鎖アルキル基、1〜16の炭素原子を有する直鎖アルコール基、ベンジル基、またはフェニル基であり、
第二成分は、式Iの化合物またはその塩であり、

AはO、S及びNHから選択され、
1はH、−CH=CH2、R9、−NH2、−NHCH3、及び−C(R3)(R4)(R5)から選択され、
2はH及び−CH3から選択され、
3は任意に置換される5員又は6員の脂肪族環又は芳香族環であり、置換基はR10であり、
4及びR5はそれぞれ独立してH又はFであり、
9及びR10は、それぞれ独立して1〜3の炭素原子を有するアルキル基、1〜3の炭素原子を有するモノクロロアルキル基、及び1〜3の炭素原子を有するモノフルオロアルキル基、ジフルオロアルキル基又はトリフルオロアルキル基から選択される。
-はCl-であってもよい。別の取り決めにおいて、Y-は任意の適切な対イオン、例えばハロゲン、硝酸、又はテトラフルオロボレートであってもよい。
XはNであってもよく、この取り決めにおいて、式Vの化合物は、第四級アンモニウム塩である。
任意にR12、R13、R14及びR15はそれぞれ独立して1〜16の炭素原子を有する直鎖アルキル基、ベンジル基、又はフェニル基である。
12、R13、R14及びR15はそれぞれ独立して1〜4の炭素原子を有する直鎖アルキル基から選択されてもよく、好ましくはそれぞれメチル基である。この取り決めにおいて、第一成分は、好ましくは塩化テトラメチルアンモニウムである。
或いは、R12、R13、R14及びR15はそれぞれエチル基である。この取り決めにおいて、第一成分は、好ましくは塩化テトラエチルアンモニウムである。
或いは、R12、R13、R14及びR15はそれぞれブチル基である。この取り決めにおいて、第二成分は、塩化テトラブチルアンモニウム又は臭化テトラブチルアンモニウムである。
或いは、第一成分は、

を含む。
或いは、第一成分は、

を含む。
別の取り決めにおいて、XはPであってもよい。
12、R13、R14及びR15の少なくとも1つはフェニル基であってもよい。当該取り決めにおいて、第一成分は、好ましくはメチルトリフェニルホスホニウムを含み、臭化メチルトリフェニルホスホニウムであってもよい。
別の取り決めにおいて、AはO又はSであってもよい。
1は、−NH2及び−NHCH3から選択されてもよく、第二成分は、好ましくは尿素である。或いは、第二成分は、トリフルオロチオアセトアミドであってもよい。或いは、第二成分は、トリフルオロアセトアミドであってもよい。
第二成分に対する第一成分のモル比は、1:1.5〜1:2.5であってもよく、好ましくは1:1.8〜1:2.2である。
更なる取り決めにおいて、深共晶溶媒は、第一成分及び第二成分を含み、第一成分は、コリンを含み、第二成分は、5〜7の炭素原子を有するアルカンジオールである。アルカンジオールは、好ましくはヘキサンジオールである。
更なる取り決めにおいて、深共晶溶媒は、第一成分及び第二成分を含み、第一成分はコリンを含み、第二成分はN−アルキルピロリドンを含み、N−アルキル基が1〜5の炭素原子を有する。好ましくは、N−アルキルピロリドンは、N−メチルピロリドンである。好ましくは、コリンは、塩化コリンである。当該取り決めにおいて、第二成分に対する第一成分のモル比は、1:2であってもよい。
別の取り決めにおいて、深共晶溶媒は、第一成分及び第二成分を含み、第一成分はコリンを含み、第二成分は、βメルカプトエタノールを含む。当該取り決めにおいて、コリンは塩化コリンであってもよく、第二成分に対する第一成分のモル比は、約1:2であってもよい。
別の取り決めにおいて、深共晶溶媒は、第一成分及び第二成分を含み、第一成分はコリンを含み、第二成分は、ジチオトレイトールを含む。コリンは塩化コリンであってもよい。第二成分に対する第一成分のモル比は、約1:2であってもよい。
DES混合物は、Acros Organics(フランス)、TCl(ベルギー)、Fluka(フランス)等の化学試薬会社から入手できる市販の化学物質から殆ど単純に調製される。各成分の正しい量は、ポリプロピレンチューブ内に共に添加され、手短にボルテックスし、標準手段で100℃に加熱し、必要ならば成分又は添加物を溶解することが困難である場合、最も有効な混合方法として超音波処理される。吸湿性の塩化コリン等の成分は注意すべきであり、真空下又は再結晶によりストックの乾燥が必要となる場合がある。DES混合物のストックは、真空下又はシリカゲル等の乾燥剤により乾燥することができる。保存は、一般的に密封チューブで室温である。
また、DES混合物(例えば塩化コリン:トルフルオロアセトアミド(1:2モル:モル))を用いた植物及び動物組織の処理は、未処理試料又はRNAlater、Formol又は凍結処理されたものと比較して酸化が低減されることにより、葉、花、血液及び組織の色を保存する事が見出された。色保存は、種及び/又は種の成分の正しい同定に有用であってもよい。
塩化コリンと揮発性/臭気性化合物(例えばジチオスレイトール、ジチオエリスリトール、β−メルカプトエタノール又はフェノール)との間でのDES混合物の調製は、揮発性を低減し、係る化合物を呼気する不快又は危険性を低減する事を見出した。この作用は、恐らく揮発性化合物及び塩化コリンとの間での水素結合の結果である。成分間の水素結合を必要とする以外に、DES混合物の揮発性化合物の組み合わせに特段制限はない。このことは、低分子量アルコール等の他の揮発性成分、DMSO及びホルムアミド等の溶媒等の他の有機化合物の損失を低減することを意味する。従って、本発明には、開放環境での保存または使用のための成分の蒸発及び/又は揮発を低減する手段が含まれる。利点として良好な衛生及び安全性、高価な試薬の蒸発による損失低減、燃焼性低減及び単純な廃棄が挙げられる。
2つ以上の成分のDES混合物の共融点は、他の成分に対する成分1の割合が最も低い融点をもたらす。例えば塩化コリン:尿素(1:2モル:モル)DES混合物の共融点は、12℃の氷点(Fp)であると報告されている。実際の観点から、この事は、DESが室温で液体として取り扱われるが、冷蔵庫で緩やかに固体化することを意味する。他のDES混合物、特に塩化コリンとグリセロール、エチレングリコール、トリフルオロアセトアミド又はフェニル酢酸を混合したものは、低いFpを有し、0℃又は−20℃以下で液体である。液体での取り扱いによって、正確な体積の測定及び混合の容易性等の特定の利点があるが、本発明は、特定の温度のうち室温で液体であるDES混合物に限定されるものではない。DES成分の加熱及び混合は、個々の原子及び分子が他の原子と分子との水素結合又は相互作用を確立する手段をもたらす。これらが生じると、DES混合物は、液体、ゲル又は固体であろうと、組織試料のRNAを安定化する性能は必ずしも変化しない。組織試料とDES混合物の接触は、DESが室温で固体である場合でも生じ、急速な安定化が生じる。RNA安定化試薬はRNAlater, AllProtect, PAXgene Tissue又はホルマリン等の液体であるが、本発明は、RNA安定化及び/又は細胞固定のために、液体、ゲル又は固体のDESを利用することができる。実際、固体のDESを使用すると、組織試料を取り扱う場合に利点があり、DESの固体は、共融点以上でDES固体を加熱し、溶融し、適切な容器に注入し、冷却及び固体化して形成でき、特定の容器に合わせて成形又は切断して形成でき、DES固体表面に組織試料を置いて安定化させる。ウェル、凹部又溝を固体DES表面に作製して、各試料の特定の保存場所として機能させ、一つのウェルが一つの試料を受けることができる。ウェルを使用すると、固体DESと試料の接触する表面積が増大し(図1A)、一方でウェルに位置する試料上のDES固体又は液体の別層が、利用できるDES全量及び試料と接触する表面積を増やす(図1B)。DES液体を含み、シリンジ針又は血液回収キット(PreAnalytix)により血液侵入用突き刺しキャップを
備える血液回収チューブを図1Cに示す。例示のみとして、室温で固体又は液体であるDES混合物を表1に示す。
本発明は、DES混合物と組み合わせる添加剤の使用を含む。添加剤の目的は、DES混合物の特性、例えばRNA、DNA及び/又はタンパク質の安定化及び/又は細胞及び組織固定等を改善することである。細胞形態に対する様々な添加剤の効果を表6に示す。添加剤の目的は、特定の用途の為DES混合物の特性、RNAの安定化、保存、輸送、及び/又は細胞又は組織固定を促進することである。例示のみとして、添加剤は、(i)組織の取り扱い、染色又は処理を補助する着色剤又は色素(H&E染色、クーマシーブルー、メチレンブルー、キシレンシアノール、クリスタルバイオレット、フクシン、アクリジンオレンジ、DAPI、カルミン、エオシン、エチジウムブロミド、ビスマルクブラウン、ヘキスト、マラカイトグリーン、メチルグリーン、ニュートラルブルー、ナイルブルー、四酸化オスミウム、ローダミン又はサフラニン)、(ii)DES混合物を用いて細胞膜の浸透を改善する界面活性剤、第四級アンモニウム塩、又はサポニン(例えばSDS、ソジウムラウリルスルフェート(SLS)、セチルテトラブチルアンモニウムブロミド(CTAB)、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、デオキシコレートナトリウム、Brij-35、Brij-58、NP-40、Triton X-100、Triton X-114、Tween-20、Tween-80、オクチルベータグルコシド、CHAPS、ソラニン、(iii)抗菌剤(例えば抗生物質又は防腐剤、例えばカノマイシン、ストレプトマイシン又はペニシリン、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム又は安息香酸ナトリウム)、(iv)タンパク質沈殿剤、例えばトリクロロ酢酸、硫酸アンモニウム、スルホサリチル酸、亜鉛塩(ZnCl2又はZnSO4)、(v)DES混合物から過剰の水を除く乾燥剤、例えばモレキュラーシーブス4A、シリカゲル、CaCl2又はLiCl、(vi)プローブ、ハイブリダイズ相補核酸、ペプチド、核酸又は標識分子、内部対照、ブロッキング配列又は担体核酸、例えば(a)ss又はdsRNA又はDNA配列、(b)ペプチド、酵素又は他のタンパク質、例えば抗体、(c)分析物検出用分子、例えばビオチン、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アビジン、ストレプトアビジン、蛍光標識分子、例えばフルオレセイン、テキサスレッド、Alexa FluorTM標識LNA、(d)Molecular BeaconTM、Scorpion probeTM、(vii)試料から酸素を除去し、RNA又はDNA核酸塩基の保存中の酸化を低減する抗酸化剤、例えばビタミンC又はグルタチオニン、(viii)リボヌクレアーゼインヒビター、例えばRNasin、SUPERaseINTM, RNaseOUTTM、プロテアーゼインヒビター、例えばフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)、ジイソプロピルフルオロホスフェート(DFP)、アプロチニン又はPefabloc SCTM、(ix)0.5〜20mMで使用されるpH5〜8、好ましくはpH6〜7を安定化するバッファー、例えばTris-HCl、PIPES、MES、HEPES、MOPS、MOPSO、CAPS、CAPSO、BIPES、リン酸、イミダゾール、(x)二価金属カチオンを除去し0.5〜20mMで使用されるキレート剤、例えばBAPTA、EDTA、EGTA、クエン酸、D-ペニシルアミン、(xi)溶解酸素(最終濃度2〜20%)、及び/又はCO2(最終濃度0.01〜5%)、非反応性ガス((例えばアルゴン)(最終濃度1〜20%))、バッファ、細胞、組織、生体生存性を高める栄養物(例えばグルコース及びアミノ酸)、及び/又は(xii)DES粘度を低減する1〜20%(wt:wt)のアルコール、例えばtert−ブタノールであってもよい。
「添加剤」は本明細書で、特定のDES混合物に溶解され得る任意の物質として定義され、DES混合物の全量よりも多い、これと等しい又はこれよりも少ない量(重量:重量)で存在することができる。例示のみとして、塩化コリン:尿素:塩化亜鉛(1:2:0.5モル:モル:モル)ではZnCl2が添加剤であり、或いは塩化コリン:トリフルオロアセトアミド:尿素(1:2.0:0.1モル:モル:モル)では尿素が添加剤である。添加剤は、必ずしもDES混合物の氷点に如何なる影響を与えず、DES成分のいずれとも水素結合を形成しないが、DES混合物に特有の性質を与える。
DES混合物に対する添加物の網羅的ではないリストは、以下の通りである:p−トルエンスルホン酸アンモニウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、水酸化ドデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウム、ジメチルベンゼンスルホン酸、コンゴレッド、ギムザ、DAPI、エチジウムブロミド、マロリー染色、オルセイン、アルデヒドフクシン、四酸化オスミウム、三酸化クロミウム、クロム酸、フォイルゲン、重クロム酸、塩化水銀、ヘマトキシリン及びエオシン染色(H&E)、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、アセトン、エタノール、メタノール、臭化メチルトリフェニルホスホニウム、臭化セチルテトラブチルアンモニウム(CTAB)、臭化テトラブチルアンモニウム(TBAB)、デオキシコレートナトリウム、Brij-35、Brij-58、NP-40、Triton X-100、Triton X-114、Tween-20、Tween-80、オクチルベータグルコシド、CHAPS、ソラニン、カノマイシン、ストレプトマイシン又はペニシリン、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、又は安息香酸ナトリウム、ss又はdsRNA又はDNA配列、ss又はdsRNA又はDNA標識配列、アプタマー、ペプチド、酵素、抗体、ビオチン、ビオチン標識分子、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アビジン、ストレプトアビジン、GFP又はその変異体、ルシフェラーゼ、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、Alexa FluorTM、LNA、標識LNA、Molecular BeaconTM、 Scorpion probeTM、FISHプローブ、bDNA、PCRプライマー、オリゴ(dT)、PNA、抗酸化剤、RNasin、SUPERaseINTM、RNaseOUTTM、フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)、ジイソプロピルフルオロホスフェート(DFP)、アプロチニン又はPefabloc SCTM、Tris-HCl、PIPES、MES、HEPES、MOPS、MOPSO、CAPS、CAPSO、BIPES、リン酸、イミダゾール、BAPTA、EDTA、EGTA、クエン酸、D−ペニシルアミン、O2、CO2、N2、アルゴン、プロパノール、tert−ブタノール、トリクロロ酢酸、スルホサリチル酸、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラメチル尿素、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ベンジルピロリドン、グアニジン、グアニジンHCl、グアニジンイソチアシアネート、リビトール、ラムノース、トレハロース、D−ソルビトール、L−ソルビトール、ソルボース、キシリトール、グルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、マンノース、マンニトール、アラビノース、ガラクトース、ラフィノース、イノシトール、エリスリトール、キシロース、酢酸亜鉛、EDTA亜鉛、リン酸亜鉛、トリフルオロ酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、PTSA亜鉛、グルコン酸亜鉛、塩化亜鉛及び/又は硫酸亜鉛。DES混合物に溶解できない添加剤としては限定されないが、パラフィン、シリカゲル、硫酸ナトリウム、又はMolecular SievesTM、ポリアクリルアミド、エアロゲル、ポリアクリル酸及び/又はQuantum Dotが挙げられる。
エタノール又は他のアルコール(例えばメタノール及びイソプロパノール)の塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)への添加は、RNA安定性に対して強い負の影響がある事を見出した(表2参照)。エタノールが特にRNA安定性に対してこの様な負の影響があるのか分からないが、トリフルオロアセトアミドと塩化コリンとの水素結合の変化が部分的な説明となるかもしれない。いずれにせよ、成分1(塩化コリン)と比べて0.1超のモル比でエタノールを使用することを回避することが好ましい。しかしながら、エタノール又は別のアルコールでのDES混合物で処理された組織試料を処理又は保存することが望ましい場合、過剰DES混合物は、吸収性紙を用いて組織試料から除去でき、長期組織を静置する前に100%エタノールで2回洗浄して、RNA安定化の負の影響を止める。或いは、同じ方法を使用して第一DES混合物を第二DES混合物と置換できる。例えば、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)混合物は、塩化コリン:尿素(1:2 モル:モル)又はRNA安定化を伴う特定の用途に好ましい別のDES混合物と置換できる。或いは、DES混合物から除去されると、生物学的試料は、モレキュラーシーブ、ドライエライト、乾燥糖(例えばトレハロース、キシリトール、またはソルビトール)、RNAstable(登録商標)(Biomatrica, USA)、又は保存用塩化カルシウムを含む密封容器中等の乾燥環境に置くことができる。別の代替法は、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノール)、RNALater (Life Technologies, USA)、AllProtect (Qiagen, Germany)、PAXgene tissue、PAXgene Blood(PreAnalytix, Germany)、GenTegra RNA (Integenx, USA)、Cell-Free RNA BCT(登録商標) (Streck, USA)又はCellSave Preservative (Veridex, USA)等の液体保存媒体中に処理した生物学的試料を置くことである。別の代替法として、DES混合物で処理した試料は、10倍体積の4%ホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒド溶液等の架橋固定剤溶液に移し、15分〜24時間等の適切な時間インキュベートすることができる。架橋剤での試料の処理は、RNA、DNA及びタンパク質の品質に負の影響を与えるが、処理は、スライド調製の試料の硬さ及びホルマリン処理タンパク質エピトープに特異的な抗体を使用する免疫組織化学等の特定のアッセイの性能を改善してもよい。別の代替法は、10倍体積の4%ホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒド溶液で試料を前処理し、15分〜24時間等の適切な時間インキュベートし、試料を除去する前に、10倍体積のDES混合物(例えば塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル))に添加して15分〜24時間保持する事である。
好ましくは、水の使用又は存在は、分析物の加水分解、特にRNA、DNA及びタンパク質の加水分解のリスクを低減する為に回避される。DES混合物は、RNA、DNA又はタンパク質の安定化の為、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、さらにより好ましくは30%以下、さらにより好ましくは20%以下、さらにより好ましくは10%以下、さらにより好ましくは5%以下、最も好ましくは2%以下の水(重量%)を含む。細胞構造及び形態及び組織固定の為、DES混合物は、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下、さらにより好ましくは20%以下、さらにより好ましくは10%以下、最も好ましくは10%〜5%(重量%)の水を含んでいてもよい。
最適なRNA安定化として、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)混合物に対する乾燥剤の添加が好ましいことを見出した。適切な乾燥剤としては、シリカゲル、ポリアクリルアミド、硫酸ナトリウム、DrieriteTM及びモレキュラーシーブスが挙げられる。RNA安定化の好ましい乾燥剤は、DES混合物、好ましくは塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)混合物を用いて5〜50%重量で使用されるモレキュラーシーブス4A型(粉末又はペレット形態、例えば4〜12メッシュ)である。更なる利点は、モレキュラーシーブスが塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2モル:モル)混合物で生じる結晶化を低減するところにある。
作製できるDES混合物には多くの種類があり、試料のRNAを保存する目的で特定のDESの選択は、以下のDESの好ましい特徴の一つ以上により決定される:(1)RNAとの混合、試料と混合する場合好ましくはpH4.5〜8.5、より好ましくはpH5〜8、さらに好ましくはpH5.5〜7.5、最も好ましくはpH6〜7である。(2)RNA精製試薬及びプロトコールとの適合性、例えばRNAとシリカスピンカラム(例えばRNeasy (RNeasy Mini Kit, Cat. No. 74106, Qiagen, Germany))との結合を阻害しない又はフェノール含有試薬(例えばTRIzol (Cat. No. 15596018 Life Technologies, USA))中でRNAの分配を変更しない。(3)リボヌクレアーゼの活性及び/又はRNAの加水分解に対する可能性を実質的に改変するほど十分迅速に組織試料のRNAを安定化する。或いは保存せずに同じ種類の組織試料から抽出されたRNAと比較して室温でDES混合物を用いて18〜24時間保存中に、RNA完全性(RIN)が好ましくは2RIN単位より小さく、より好ましくは1RIN単位以下、さらに好ましくは0.5RIN単位以下、最も好ましくは0.1RIN単位以下低減しないほど十分迅速に組織でRNAを安定化する。(4)組織がDES混合物の重量の少なくとも10%、好ましくは20%、より好ましくは少なくとも50%を示す場合にRNAを安定化する能力を有する。(5)新しい組織と比べて20%以上RNA収率を低減しない。(6)DNA、タンパク質、及びホスホタンパク質のリン酸基の安定化を提供する。(7)化学的に安定であり、非燃焼性、使用者及び環境に毒性がなく、生物分解性であり、RNA精製中に使用される漂白剤又は試薬と反応し毒性化合物を形成しない。(8)室温で少なくとも6ヶ月の保存期間を有する。(9)RNA及び他の生体分子を安定化しつつ、抗体エピトープ及び細胞より小さい構成物、小器官等の細胞形態及び組織学を固定及び安定化する。(10)抗体及び染色(例えばヘキスト又はH&E染色)を用いた組織学及び免疫組織化学を可能にする方法で細胞を固定及び安定化する。(11)50℃以上の温度でホルマリン架橋を保護及び促進するためにFFPE試料でRNAを安定化し、溶融し、固定試料からパラフィンが容易に除去される。(12)全血の循環性腫瘍細胞を固定及び安定化し、精製、検出及び分子分析を可能にする。
試料中のRNAの安定化は、DES処理、DES処理と別の物理的処理の組み合わせの結果であり、例えば、水分子の置換、又は溶解したDESの組織の細胞構造への浸透及びRNA安定化の結果としてリボヌクレアーゼの不活性化、タンパク質及び核酸の沈殿又はこれらの組み合わせの結果である。DESによる細胞及びRNA周辺の水素結合の変化は本発明で述べる生体分子及び細胞安定化の重要な要因であるが、DES混合物が安定化する正確なメカニズムは、未だに知られていない。
分析物を含む試料又は組織は、(i)血液、血漿、血清、脳脊髄液(CSF)、唾液、精液、気管支肺胞洗浄(BAL)、羊水、乳及び尿等の液体、(ii)体組織(例えば肝臓、脾臓、脳、筋肉、心臓、食道、精巣、卵巣、胸腺、腎臓、皮膚、腸、膵臓、副腎、肺、骨及び骨髄)等の固形物、(iii)医学的検査(例えば前立腺、乳房又は癌試料、腫瘍又は生検、例えばFFPE試料、循環性腫瘍細胞、血液検査、臨床スワッブ、乾燥血液、エキソソーム、微小小胞)の臨床、(iv)生体医療研究又は基礎生物学に由来する動物組織(サル、ラット、マウス、ゼブラフィッシュ、アフリカツメガエル、ショウジョウバエ、線虫、酵母)及び様々な発生段階(卵、胚、幼生、成体)に由来する動物組織、(v)薬物開発目的に使用される組織及び組織培養細胞、(vi)病原性及び非病原性微生物(例えば菌類、古細菌、グラム陽性細菌及びグラム陰性細菌、例えば大腸菌、スタフィロコッカス、ストレプトコッカス、マイコバクテリウム、シュードモナス及び赤痢、ジフテリア、破傷風、梅毒、クラミジア、レジオネラ、リステリア及びハンセン病を引き起こす細菌)、(vii)病原性及び非病原性ビロイド、バクテリオファージ又はウイルス(細菌、植物、血液、ヒト組織、動物血液、血清、血漿及び組織並びに臨床試料等の様々な生物学的試料に見られる)、(viii)植物(例えば米、トウモロコシ、モロコシ、ヤシ、ブドウ、トマト、小麦、大麦、タバコ、サトウキビ、シロイヌナズナの葉、花、花粉、種、茎及び根)、(ix)固定組織(例えば、高品質核酸を抽出するために特別なプロトコールをしばしば必要とするFFPE組織及び生検)、(x)バイオテロと関連する病原性物質(例えば発見場所から試験設備に輸送される必要があるかもしれないし、必要がないかもしれない炭疽菌)、(xi)極端に小さな試料(例えばレーザー捕捉微小切除試料(LCM)に由来するもの)、(xii)食物媒介病を含んでいてもよい食物、(xiii)土壌試料であってもよい。試料は、生物学的試料だけではなく、化学的又は酵素的合成物(例えば核酸ベース複製分子又は増幅産物、例えばin vitro転写RNA及びPCR産物、オリゴデオキシリボヌクレオチド及びオリゴリボヌクレオチド、PNA及びLNA)にも由来してもよい。本発明で使用できる試料の種類に制限はない。
本発明はまた、RNA、DNA、及びタンパク質の内部対照(IC)及びAmplicorTM(Roche Molecular Diagnostics)等のHIV又はHCV診断キットに含まれるもの等の標準物の安定化、又はかかる診断キットに含まれ得る担体RNAに有用である。当該使用のために、RNA ICは、室温または4℃で、他のキット成分と共に輸送及び保存されるが、分解する場合がある。RNA IC又は担体RNA成分の安定化は、キット性能を改善し、輸送及び保存中の物質の完全性を維持する。
本発明は、一本鎖及び/又は二本鎖RNAウイルス、例えば動物RNAウイルス、例えばノルウォーク、ロタウイルス、ポリオウイルス、エボラウイルス、マルブルグウイルス、ラッサウイルス、ハンタウイルス、狂犬病、インフルエンザ、黄熱ウイルス、コロナウイルス、SARS、ウエストナイルウイルス、A型肝炎、C型肝炎(HCV)、E型肝炎、デング熱ウイルス、トーガ(例えば風疹)、ラブド(例えば狂犬病及びVSV)、ピコルナ(ポリオ及びリノウイルス)、ミクソ(例えばインフルエンザ)、レトロ(例えばHIV、HTLV)、ブンヤ、コロナ及びヒトの健康に影響を及ぼすレオウイルス(例えばビロイド様ウイルス、例えばD型肝炎ウイルス、植物RNAウイルス、ビロイド、例えばトンブス−、ルテオ−、トバモ−、ポテックス−、トブラ−、コモ−、ネポ−、アルモ−、ククモ−、ブロモ−、アイラ−ウイルス、ココナッツカダン−カダンビロイド及び農業生産に影響があるジャガイモやせいもビロイドを保存するために使用することができるが、診断検出目的の抽出前後で、分解されやすい。本発明は、一本鎖RNAバクテリオファージ、例えばレニウイルス属(例えばエンテロバクテリアファージMS2)及びアロレビウイルス属(例えばエンテロバクテリアファージQβ)、又は二本鎖RNAバクテリオファージ(例えばシストウイルス(例えばシュードモナスファージΦ6)又は他の種類のファージ(例えば診断用途の内部RNA対照として使用されるもの(例えばArmored RNA(登録商標)(Ambion)に使用されるもの)の安定化に使用することができる。本発明は、DESと純粋な核酸を混合することにより、診断キットで使用される内部対照(IC)RNA又はDNA配列の安定化に使用することができる。
本発明は、miRNA、siRNA、及び他の天然の低分子RNA、例えばsnRNA、snoRNA、ncRNA、piRNA、及びrasiRNAの分析用試料を安定化することもできる。本発明はまた、RNAi型の合成RNAを含む研究、診断及び治療のために使用することができる。
本発明は、グアニジン及び血液、血漿、血清、細胞及び/又は他の医学的に重要な試料(例えば細胞及び組織)の混合物において、ウイルスRNA(例えばレトロウイルス、例えばHIV、ロタウイルス、HCV、及びウエストナイルウイルス)を保存するために有効に使用することができる。
特定のDES混合物である塩化コリン;トリフルオロアセトアミド(1:2モル:モル)は、強い抗菌作用を有し(実施例34)、試料の作業や輸送を安定なものとする。他の用途には、RNA、DNA、及び/又はタンパク質の輸送及び実験室分析のための毒素、ウイルス、バクテリア、及び/又は菌類で故意に汚染されてもよい土壌及び/又は他の環境試料の安定化及び固定が含まれる。
従って、本発明は、分解からRNAを保護するため、RNA安定性を高めるため、結果として分析感度及びアッセイ品質を改善するため、貯蔵、保存、アーカイブ及び輸送の改善方法に関する。
様々なDESが、実施例1に示す通り、少なくとも10:1(wt:wt)の比率で試料に添加されて本発明での最適性について試験することができる。相対RNA安定化は、製造業者の指示(Cat. No. 76106, Qiagen, Germany)により使用されるRNAlater (10:1 (vol:wt))の対照溶液を使用して比較できる。37℃で一日以上インキュベートして、RNAは標準プロトコール(例えばRNeasy (RNeasy Mini Kit, Cat. No. 74106, Qiagen, Germany))により抽出され、ゲル電気泳動又はRNA 6000 Nano total RNA Kit (Cat. No. 5067-1511, Agilent Technologies, USA)及びBioanalyser 2100又は他の適切な方法(例えばRT−qPCT)により完全性を分析する。RNA収率は、OD260nm uv分光測定により決定でき、純度は、OD260/230及びOD260/280比により決定できる。Nanodrop ND2000 (ThermoScientific Inc., USA)は、かかる測定に適切な分光測定器の一例である。最適なDES混合物が特定されると、最適量、純度、汚染水の量及び使用をさらなる試験により決定できる。
一般的に、最適化に最も重要な単一要因は、DES混合物の個々の成分の相対モル比である。第一に、DES混合物のうち2成分の混合は、おおよそ最も単純な同定手段であり、上記の経験的な手段により、RT−PCR又はハイブリダイゼーションなどの下流適用のために、RNA安定化、収率、純度及び最適性等の所望の効果となる成分を混合する。しかし、2成分よりも多い混合が所望されてもよく、DES混合物に対する新規な特性を更に促進してもよく、付与されてもよい。DES混合物をもたらす多数の成分の混合物が明らかに存在し、一例において、DES混合物の単純な化学量論的モル比(例えば例示のみとして塩化コリン及び尿素2:1、1:1、1:2モル比(モル:モル))の調製で開始することが最も容易である。2成分DES混合物の氷点の低下は、少なくとも一部では利用可能な水素結合ドナー(例えば塩化コリン)とアクセプター(例えば尿素)との間の水素結合により示される。しかし、DES混合物の好ましい成分及びRNA保存又は細胞固定などの特定の用途のための最適混合比は観察される氷点低下に必ずしも関連しない。ある用途に最適なDES混合物の同定は、経験的に決定する必要があり、試行錯誤を伴うかもしれない。2成分よりも多いDES混合物の特定の目的のための最良の混合の同定には、かなりの努力を伴うかもしれない。従って、第一の例で、成分の適切なモル比を迅速に特定する目的で、化学量論的比率が上記の通りに使用されてもよい。およそのモル比が同定されると、一成分のモル量を固定して他の2つ以上を変化させつつ、さらに改善することができる。様々なDES成分のモル濃度は変化し、個々の成分の密度、モル比、分子量に依存する。例示のみとして、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2)混合物における3.6Mの塩化コリンと7.2Mのトリフルオロアセトアミドと比較して、塩化コリン:尿素(1:2)混合物の塩化コリン濃度は、およそ5Mであり、尿素濃度はおよそ10Mである。
タンパク質及びリンタンパク質の完全性は、Proteome Characterization and Proteomics (2003) Timothy D. Veenstra, Richard D. Smith編に記載される様に、準備又は分析2−D PAGE、質量分析、適切な抗リン酸抗体及びELISAにより決定することができる。
粘度の高いDES液体混合物から試料を回収する方法は、ワイヤ、ピン、ブラシ、棒、メッシュ、挿入物等の後つかみ部に試料を固定又は結合させる方法、効率のよいDES安定化及び/又は固定を可能にする十分なDESを含む2つの透過膜又はポリマーパッド間に試料を挟む方法、又は処理中に試料を掴むことができる成形プラスチックホルダーを使用する方法を含む。好ましくは、DES混合物と組織試料の持ち越しがRNA溶解溶液(例えばRLT(RNeasy Mini Kit, Cat. No. 74106, Qiagen, Germany))に容易に溶解する。
好ましくは持ち越しがRNA収率に影響を及ぼさないか又はRNA収率を高めて、溶液から試料は沈殿しない。RNA試料の持ち込みがある場合、下流アプリケーションに影響を及ぼさず、そうでない場合にはRT−qPCR等の感度の高い下流アプリケーションを促進する。RNA収率及び品質の変化を測定する方法は、周知であり、分光光度方法、Agilent Bioanalyser 2100 quantification及び/又はRT-qPCRと共にRNA 6000 Nano total RNA Kit (Cat. No. 5067-1511, Agilent Technologies, USA) が挙げられる。
ヌクレアーゼが非常に広範な要件で活性を有することは周知であり、例えばリボヌクレアーゼAはpH4〜10、+4〜60℃などの種々の温度、0〜3Mのナトリウム濃度、400mMまでのグアニジンカオトロピック濃度で活性である強力なヌクレアーゼであり、数分間の煮沸で生存する為(Raines (1998) Chem. Rev. 98:1045-1065)、DES混合物を用いて本発明で示される結果は、特に驚くべきものである。かかる酵素を不活性化することが非常に困難であるにも関わらず、多くの異なるDES混合物を用いた処理は、ヌクレアーゼ活性と共にRNA品質の改善に大きな影響を与える。一例として、DES成分がヌクレアーゼ、特にリボヌクレアーゼなどの酵素と水素結合を形成し、酵素周辺の水分子が置換され、変性及び不活性化され、RNAがリボソームなどの変性DES処理リボヌクレオタンパク質複合体内で保護されることが挙げられる。
生体分子保存用DESの有効性試験は、多数の方法で行うことができることは当業者に明らかである。第一に、公知量のDESは、予め秤量した所定量の組織、例えば20mgの凍結解凍ラット肝臓に添加し、様々な時間、例えば5時間、10時間、20時間、40時間及び60時間37℃でインキュベートし、インキュベーション後に組織を回収し、RNA又は他の生体分子を精製により回収し、完全性を分析することができる。RNAの質は、例えばRT-qPCR又はBioanalyser 2100 (Agilent, USA) RIN analysisにより決定することができる。
好ましくは、DES混合物は、安定性が雰囲気温度で少なくとも6ヶ月以上の保存で有意に変化しないという調製後の適切な保存期間を有する。
DES混合物と組織試料の撹拌、混合及び温度は、最適なRNA安定化にとって重要な要因である。組織試料とDES混合物の穏やかな撹拌は、試料の安定性の割合を高めるのに役立つ。混合又は撹拌の手段としては、Thermomixer (Eppendorf, Germany)の混合機能、LabRoller (LabNet, USA)等の回転ホイール又はプラットフォームの使用が挙げられる。DES混合物を使用して観察されるRNA分解量は制限されるが、不可避の分解は、試料を動物の正常な環境から除去する時からDES混合物がリボヌクレアーゼ活性の低減又は完全な阻害を開始できる時までの時間差で生じる。本発明に関し、重要な工程は、試料へのDES混合物の添加とリボヌクレアーゼ不活性化との間での時間差であり、リボヌクレアーゼは4〜16℃より25〜37℃の温度で活性である。DES及び溶液の予備冷却及びDES処理工程中の低い温度の維持が好ましいが、ラット膵臓などの高いレベルのリボヌクレアーゼを含む組織と比較して、ラット肝臓などのリボヌクレアーゼの平均的レベルを有する組織には必須ではない。RNAの質は、低い温度、例えば4℃のDES混合物、容器及び環境を使用して高いリボヌクレアーゼ活性を有する組織で改善されてもよい。
生物学的試料のRNAの保存のためのDES混合物の適切な選択は、多数の物理学的及び化学的特性に依存する。理想的には、DES混合物は、(1)生体分子(例えば生物学的試料中のRNA、DNA、タンパク質、翻訳後修飾タンパク質(例えばホスホタンパク質)、炭水化物、脂質、代謝物)の迅速及び効率的な安定化、(2)好ましくは20:1(重量:重量)比、より好ましくは15:1、さらに好ましくは10:1、さらにより好ましくは8:1、さらにより好ましくは6:1、さらにより好ましくは4:1、さらにより好ましくは3:1、さらにより好ましくは2:1、最も好ましくは1:1で生物学的試料に添加する場合、RNA等の生体分子を最適に安定化する機能、(3)好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下、さらにより好ましくは60℃以下、最も好ましくは室温で液体、(4)作業及び固体試料からの除去が特段困難である程粘度が高くなく、25℃で好ましくは100000cP未満、より好ましくは75000cP以下、さらに好ましくは50000cP以下、さらにより好ましくは25000cP以下、さらにより好ましくは10000cP以下、さらにより好ましくは5000cP以下、さらにより好ましくは2500cP以下、さらにより好ましくは1000cP以下、さらにより好ましくは750cP以下、さらにより好ましくは500cP以下、さらにより好ましくは250cP以下、さらにより好ましくは100cP以下、さらにより好ましくは75cP以下、さらにより好ましくは50cP以下、さらにより好ましくは25cP以下、さらにより好ましくは10cP以下、最も好ましくは5cP以下の粘度、(5)RNA及びRNA精製試薬との混合、例えばグアニジンHCl、グアニジンチオシアネート、Lysis buffer RLT (RNeasy Mini Kit, Cat. No. 74106, Qiagen, Germany)、シリカスピンカラム、磁性シリカビーズ(例えばMagNA Pure(登録商標)(Roche Applied Science, UK))、TRIzol(登録商標)(Life Technologies, USA)、(6)シリカカラム(例えばRNeasy (Qiagen, Germany))に結合するRNAが20%以上低減しない事及び標準精製と比較してOD260/280nm分光測定比が0.2以上減少しない事、(7)RNA精製試薬と組み合わせてもユーザーに毒性がなく非可燃性である事、(8)生物分解性、及び(9)非揮発性を可能にするべきである。
FFPE試料からのRNA抽出のためのDESの使用の一例として、ホルマリン固定が、RNAとタンパク質の多数の架橋をもたらすが、RNA抽出が問題となりRNAの質が下がることは周知である。FFPE試料のRNAから架橋を除去する標準プロトコールは、80℃で15〜60分加熱する事であるが、これはRNA分解を生じる(RNeasy FFPE Kit, Cat. No. 73504, Qiagen, Germany)。RNAは、架橋の除去に必要な試薬とDESを組み合わせて、必須の加熱工程で保護することができ、良好な質のRNA試料がもたらされる。適切なDESの一例として、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2)を用いて、FFPE試料を80℃で処理し、パラフィンを除去し、RNAから架橋を除去してもよい。
医療分野でDESを使用する別の例は、循環性腫瘍細胞(CTC)を安定化するため、全血の処理である。腫瘍に由来し、血流に入るこれらの細胞は、診断、予後及び治療目的のため、化学治療薬物の多くの臨床の終了点として徐々に使用されている。しかしながら、全血のこれら細胞の安定化は問題があり、患者血液の輸送はCTCの正しい同定及び/又は分子診断分析の実施における損失又は困難性をもたらす場合がある。in vitroで全血のCTCを安定化するDESを用い、現在のCTC保存技術に対して多くの欠点が克服される。例示のみとして、全血のCTCは、細胞を固定し、RNAを保存するため、少なくとも6倍容量の塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2モル:モル)で処理されてもよい。CTCは、多数の異なる方法のいずれか(例えばCellSieveTM (MD, USA))を用いて次に回収及び精製することができる。
例示としてのみ、以下の実施例及び図面を参照して本発明を更に詳細に説明する。
1.動物組織試料におけるRNAの安定化
標準1.5mlポリプロピレン微小遠心管中の400μlの塩化コリン:尿素(1:2モル:モル)に、2〜25mgのラット肝臓試料を加え、室温で20分間プレインキュベートして、安定化および/または固定化させ、次いで、鉗子での組織試料の回収と、その後の以下に記載するRNA精製の前に、試料をDES混合物中で−80℃、−20℃、4℃、20℃または37℃、42℃または55℃で1時間から数週間にわたってインキュベートすることができる。
いくつかの高濃度組織、空気で満たされた組織および/または問題がある組織についての固定化速度を、固定化中に、Nalgene手持ち式真空ポンプ(カタログ番号6132−0020、ThermoScientific、UK)などの真空系を用いて、改善することができる。
次いで、試料を、350μLの溶解緩衝液RLT、製造業者の説明書に従ってホモジナイズされた組織(RNeasy Mini Kit、カタログ番号74106、Qiagen、ドイツ)を含有する新しい管に加える。次いで、製造業者の説明書に従い、300μlの溶解物を直ちに精製し、20〜50μlの水に溶出させた。次いで、OD 260/280nmによってRNAの収率および純度を比較し、オリゴdT cDNAプライミングおよびβ−アクチンPCRプライマー(QuantiTect SYBR Green PCR Kit、カタログ番号204141、Qiagen、ドイツ)およびLightCycler(Roche Applied Science、フランス)を用いたRT−qPCRによって、またはRNA 6000 Nano全RNAキット(カタログ番号5067−1511、Agilent Technologies、USA)およびBioanalyser 2100機器(カタログ番号G2939AA、Agilent Technologies、USA)を用いてRNA完全性値(RIN)を得ることによって、RNAの完全性を決定した。
他の種類の市販のRNA精製キットは、該RNeasyキットに取って代わることができ、用いられるキットの種類に特に制限はない。
肝臓試料を、肝臓、脾臓、脳、筋肉、心臓、食道、精巣、卵巣、胸腺、腎臓、皮膚、腸、膵臓、副腎、肺、骨髄などの他の種類の組織および細胞、またはCOS−7、NIH/3T3、HeLa、293、およびCHO細胞などの細胞、または血清、血漿または血液などの液体試料と置き換えることができる。
図2:RNeasyキットを用いて15mgのラット肝臓から抽出した300ngのRNA試料:レーン1〜5 塩化コリン:尿素(1:2 モル:モル)またはレーン6〜10 RNAlater(カタログ番号76106、Qiagen、ドイツ)、5分間(レーン1+6)、1日間(レーン2+7)、3日間(レーン3+8)、7日間(レーン4+9)または21日間(レーン5+10)保存後の1%アガロース−EtBrゲル電気泳動画像。37℃での保存の後、7日後の比較によって、RNAlaterと比較して塩化コリン:尿素安定化試料でのRNA安定性が改善されており、塩化コリン:尿素試料のRNA完全性値はRIN=8であるが、他方、RNAlater安定化試料のRNA完全性値はRIN=5.10であった。
2.他の塩化コリンベースのDES混合物を用いた動物組織試料中でのRNA安定化
標準1.5mlポリプロピレン微小遠心管中の400μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)または塩化コリン:ソルビトール(1:1 モル:モル)に、2〜25mgのラット肝臓試料を加え、室温で20分間プレインキュベートして、安定化および/または固定化させ、次いで、鉗子での組織試料の回収と、その後の以下の実施例に記載するRNA精製の前に、試料を−80℃、−20℃、4℃、20℃または37℃、42℃または55℃で1時間から数週間にわたってインキュベートすることができる。
次いで、試料を、350μlの溶解緩衝液RLT、製造業者の説明書に従ってホモジナイズされた組織(RNeasy Mini Kit、カタログ番号74106、Qiagen、ドイツ)を含有する新しい管に加える。次いで、溶解物の300μlの部分を製造業者の説明書に従って直ちに精製し、20〜50μlの水に溶出させた。RNAの収率および品質を実施例1および表1に記載したように決定したところ、両方のDES混合物について、RNA完全性はRNAlaterと比べて優れていた。
塩化コリンの適切な供給源は、カタログ番号110295000、Acros Organics、フランスであり、ソルビトールはカタログ番号S0065、TCI、ベルギーであり、トリフルオロアセトアミドはカタログ番号T0598、TCI、ベルギーである。
3.他のDES混合物を用いた動物組織試料におけるRNA安定化
2mlのポリプロピレン管中の400μlの以下のDES混合物に、5〜15mgのラット組織(凍結させた組織ストック)を加え、20分間の固定化工程後に、RNeasy Microキット(カタログ番号74004、Qiagen、ドイツ)を用いたRNA抽出/精製前に、試料を37℃で18時間インキュベートした。DES混合物が室温において固体であるか液体であるかに拘わらず、抽出後のRNA収率および1〜10の尺度でのRNAの品質(ラット肝臓組織試料から直ちに抽出したRNAのRNA品質=10と比較して、0は安定化なしを示し、10は分解なしを示す)。結果を以下の表1に示す(nd=決定せず、「飽和」溶液はDESでない)。
表1 二成分DES混合物を用いた動物組織におけるRNA安定化

定性的なRNAの品質基準は以下の通りである;0(高度に分解)から10(最高の品質)。表1および2のRNA分析を以下のように行った;臭化エチジウム染色、1%アガロース0.5×TAEゲル電気泳動、18Sおよび28S rRNAバンドの完全性の、紫外光下で撮影された写真の視覚分析。8以上のRNA品質スコアを持つRNA試料は、18S対28S rRNA臭化エチジウム染色比が1:2であり、他方、RNA品質スコアが5であるRNA試料は、18S対28S rRNA染色比がほぼ1:1である。
表2 二成分DES混合物+添加物
定性的なRNAの品質基準は以下の通りである;0(高度に分解)から10(最高の品質)。表1および2中のRNA分析を以下のように行った;臭化エチジウム染色、1%アガロース0.5×TAEゲル電気泳動、18Sおよび28S rRNAバンドの完全性の、紫外光下で撮影された写真の視覚分析。8以上のRNA品質スコアを持つRNA試料は、18S対28S rRNA臭化エチジウム染色比が1:2であり、他方、RNA品質スコアが5であるRNA試料は、18S対28S rRNA染色比がほぼ1:1である。
4.DESと支持マトリックスとの混合組成物
組織またはバイオプシーなどの保存試料のDES液体混合物の物理的分離を改善するために、DESを種々の支持マトリックスと混合した。マトリックス材料は特に限定されるものではないが、DESと混合した場合であっても構造的強度を保持すべきであり、従って、溶解または反応すべきでない。好ましくは、支持マトリックスを、プリンターまたはインクペンによって、例えば、バーコードまたは保存寿命の期日について直接標識することができる。
3.2gのPEG(MW8000)、アガロース、ポリアクリレートまたは3MMセルロース繊維(Whatmann、UK)に10mlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:1モル:モル)を加え、撹拌しながら100℃で30分間加熱して、混合物をホモジナイズし、次いで、これを適切な容器中に注いで、冷却させた。
当該複合混合物は、液状DES混合物よりも取扱いが容易であり、DESの持越しを抽出工程、例えばRNA精製まで低減させる利点を有する。該複合物を96、24または6ウェルプレート、1.5mlの微小遠心管、5、15または50mlの管などの任意の数の容器中に注ぎ、成形、形状化、切断、層化、または形成を行ってもよい。
5.様々な温度における全組織のRNAの安定化
標準2mlポリプロピレン微小遠心管中の400μlの塩化コリン:尿素(1:2 モル:モル)またはRNAlaterのいずれかに、10mgのラット肝臓試料を加え、室温で20分間プレインキュベートして、安定化および/または固定化させ、次いで、組織試料の回収および以下の実施例に記載するRNA精製前に、試料をDES混合物中で−20℃、4℃、37℃、50℃または65℃で18時間インキュベートした。
次いで、試料を、350μlの溶解緩衝液RLT、および製造業者の説明書に従ってグアニジンでホモジナイズされた組織(RNeasy Mini Kit、カタログ番号74106、Qiagen、ドイツ)から抽出したRNAを含有する新たな管に加えた。次いで、300μlのグアニジン溶解物を用いて、製造業者の説明書に従ってRNAを直ちに精製し、20〜50μlの水中に溶出させた。RNAの収率および品質を実施例1に記載したように決定したところ、DES安定化混合物について、RNA完全性は、RNAlaterと比べて、37℃よりも高い全ての温度において優れており、−20℃および4℃で等しかった。結果を図3に示す。レーン1、3、5、7、9塩化コリン:尿素(1:2)、レーン2、4、6、8、10RNAlater。
塩化コリン:尿素は、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)などの他のDES混合物と置き換えることができることが、当業者には明らかである。
6.24℃における全組織のRNAの長期間安定化
標準2mlポリプロピレン微小遠心管中の400μlの塩化コリン:尿素(1:2 モル:モル)またはRNAlaterのいずれかに10mgのラット肝臓試料を加え、室温で20分間プレインキュベートして、安定化および/または固定化させ、次いで、組織試料の回収および以下の実施例に記載するRNA精製前に、24℃で0〜19日の間、塩化コリン:尿素(1:2モル:モル)中で試料をインキュベートした。
試料を、350μlの溶解緩衝液RLT、および製造業者の説明書に従ってグアニジンでホモジナイズされた組織(RNeasy Mini Kit、カタログ番号74106、Qiagen、ドイツ)から抽出したRNAを含有する新たな管に加えた。次いで、300μlのグアニジン溶解物を用いて、製造業者の説明書に従ってRNAを直ちに精製し、20μlの水中に溶出させた。RNAの収率および品質を、実施例1に記載したように決定したところ、DES安定化混合物について、RNA完全性は全ての時点においてRNAlaterと同等であるか、またはそれよりも優れていた。結果を図4に示す。レーン1、3、5塩化コリン:尿素(1:2)、レーン2、4、6RNAlater処理試料。
7.異なる組織の精製
標準2mlポリプロピレン微小遠心管中の400μlの塩化コリン:尿素(1:2 モル:モル)またはRNAlaterのいずれかに、凍結させた10mgのマウス脳(レーン3および4)または腎臓試料(レーン1、2、5、6)を加え、室温で20分間プレインキュベートして、安定化および/または固定化させ、次いで、組織試料の回収および以下に記載するRNA精製前に、塩化コリン:尿素(1:2 モル:モル)中で37℃で1〜7日間、試料をインキュベートした(図5A レーン1、3、5;塩化コリン:尿素(1:2)での安定化、レーン2、4、6;24時間(レーン1〜4)または7日間(レーン5および6)のいずれかにわたるRNAlater(Qiagen、フランス)での安定化)。
別法として、先に凍結させた10mgのマウス組織を400μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミドに加え、RNA精製前に37℃で18時間インキュベートした(図5B レーン1、3、5、7、9、11、13、15;塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2)での安定化、レーン2、4、6、8、9、10、12、14、16;RNAlater(Qiagen、ドイツ)での安定化)。
試料を、350μlの溶解緩衝液RLT、および製造業者の説明書に従ってグアニジンでホモジナイズされた組織(RNeasy Mini Kit、カタログ番号74106、Qiagen、ドイツ)から抽出したRNAを含有する新たな管に加えた。次いで、300μlのグアニジン溶解物を用いて、製造業者の説明書に従ってRNAを直ちに精製し、20μlの水中に溶出させた。RNAの収率および品質を実施例1に記載したように決定したところ、DES安定化混合物について、RNA完全性はRNAlaterと同等であるか、またはそれよりも優れていた。
8.異なる量の組織の精製
標準2mlポリプロピレン微小遠心管中の400μlの塩化コリン:尿素(1:2 モル:モル)またはRNAlaterのいずれかに、15mg(レーン1および2)または25mgのラット肝臓(レーン3および4)のいずれかを加え、室温で20分間プレインキュベートして安定化および/または固定化させ、次いで、組織試料の回収および以下に記載するRNA精製前に、塩化コリン:尿素中で37℃で18時間、試料をインキュベートした。
試料を、350μlの溶解緩衝液RLTおよび製造業者の説明書に従ってグアニジンでホモジナイズされた組織(RNeasy Mini Kit、カタログ番号74106、Qiagen、ドイツ)から抽出したRNAを含有する新たな管に加えた。次いで、300μlのグアニジン溶解物を用いて、製造業者の説明書に従ってRNAを直ちに精製し、20μlの水中に溶出させた。
RNAの収率および品質を実施例1に記載したように決定したところ、DES安定化混合物について、RNA完全性は全ての時点においてRNAlaterと同等であるか、またはそれよりも優れていた。結果を図6に示す。レーン1および3、塩化コリン:尿素(1:2)、レーン2および4、RNAlater処理試料。
塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)を含有するDES混合物は、塩化コリン:尿素(1:2 モル:モル)よりも、新鮮な組織中のRNAを安定化させる際に有意により効果的であることが判明した。しかしながら、組織を−20℃または−80℃でまず凍結した場合、塩化コリン:尿素は塩化コリン:トリフルオロアセトアミドと同等の効果を有する。塩化コリン:尿素が新鮮な組織においてRNAを安定化させる際にあまり効果的でない理由はわかっていないが、33mMのZnClまたはZnSOの塩化コリン:尿素(2:1 モル:モル)への添加は、新鮮な組織を用いた場合に起こるRNA分解の量を有意に低下させることが判明した。
通常、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)などのDESで少なくとも1時間処理し、次いで−80℃で凍結させた肝臓、腎臓および筋肉などの組織は、非処理組織よりも有意に柔軟であり、バイオプシーの針の侵入を可能にする。これは、試料を完全に解凍すべきではなく、一部のみをさらなる分析のために取り出すべき場合に特に有用である。塩化コリン:トリフルオロアセトアミドで処理された組織の色、注目すべきことには血液の色は、有意に変化または退色しないが、処理していないまたはホルマリン処理した試料は、凍結をするしないに関係なくその色強度を迅速に失う。かかる色の保持は、バイオプシー検体およびバイオプシー検体における細胞型を正しく分析するための重要な利点であり得る。
9.HeLa細胞を添加したDES安定化全血のRNAの精製
400μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)に、50μlの150,000個のHeLa細胞を添加した50μlのヒト全血を加え、丁寧なピペッティングによって混合し、RNA抽出前に、試料を放置して室温で20分間安定化させた。50μl(レーン1)または100μl(レーン2)のいずれかの安定化DES−血液/細胞混合物を300μlの溶解緩衝液RLT(RNeasy Mini Kit、カタログ番号74106、Qiagen、ドイツ)と混合して細胞を溶解し、RNAを抽出し、精製を以下のように行った。
グアニジン血液溶解物を14,000gで60秒間遠心し、上清を300μlの70%エタノールを含有する新たな管に移し、ピペッティングによって混合し、次いで、MinEluteスピンカラム(RNeasy Micro Kit、カタログ番号74004、Qiagen、ドイツ)に移した。製造業者の説明書に従って、MinEluteカラムを700μlの緩衝液RW1で1回、次いで、500μlの緩衝液RPEで2回洗浄し、60秒間遠心して、20μlの水での溶出前にカラムを乾燥させた。Nanodrop(ThermoScientific、USA)を用いてOD260nm吸光度によってRNA収率を決定し、1%アガロース、0.5×TAEゲルに負荷し、分析した。
表3 HeLa細胞を添加した血液試料に由来するRNAの収率
結果を図7に示す。グアニジン血液溶解物の通過後のシリカMinEluteスピンカラムは、ヘムで視覚的に汚染されていなかった。従って、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド−グアニジン混合物は、非特異的な汚染からシリカ膜を保護する。
10.塩化コリン:トリフルオロアセトアミドを用いたHeLa細胞を添加した全血におけるRNAの安定化
1000μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)に、50μlの1,000,000個のHeLa細胞を添加した200μlのヒト全血を加え、丁寧なピペッティングによって混合し、RNA抽出前に、試料を室温で18時間インキュベートした。100μl(図8;レーン1)、150μl(レーン2)、200μl(レーン3)または250μl(レーン4)のいずれかの安定化DES−血液/細胞混合物を250μlの溶解緩衝液RLT(RNeasy Mini Kit、カタログ番号74106、Qiagen、ドイツ)と混合して、細胞を溶解し、RNAを抽出し、精製を以下のように行った。
グアニジン血液溶解物を14,000gで60秒間遠心し、上清を300μlの70%エタノールを含有する新たな管に移し、ピペッティングによって混合し、次いで、MinEluteスピンカラム(RNeasy MinElute、カタログ番号74204、Qiagen、ドイツ)に移した。製造業者の説明書に従って、MinEluteカラムを700μlの緩衝液RW1で1回、次いで、500μlの緩衝液RPEで2回洗浄し、60秒間遠心して、20μlの水での溶出前にカラムを乾燥させた。Nanodrop(Agilent、USA)を用いてRNA収率を決定し、1%アガロース、0.5×TAEゲルに負荷し、分析した。OD260/280nmデータは、RNAが汚染タンパク質を実質的に含まないことを実証し、他方、RNA収率は、MinEluteカラムがRNAで飽和しており、MinEluteカラム(RNeasy Mini Kit、カタログ番号74106、Qiagen、ドイツ)がさらに良好な収率を提供することを示唆する。
表4 18時間の血液試料の保存後のRNAの収率および品質
全血の一晩のRNAの安定化もまた以下のように実証された。50,000個のHeLa細胞を50μlの新鮮なヒト全血と混合し、次いで、細胞および血液を、400μlの緩衝液RLT(Qiagen、ドイツ)または400μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)のいずれかに加え、24℃で一晩インキュベートし、次いで、製造業者の説明書(RNeasy Mini、Qiagen、ドイツ)に従って、RNAを精製した。RNAは、全血において塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)による分解から有意に保護されたが、緩衝液RLT中で一晩保存した場合には分解した。白血球細胞または循環性腫瘍細胞などの細胞形態、エキソソームまたは他の微小小胞などの細胞レベル下の形態、またはウイルス粒子のいずれかでの全血中のRNAの保存を、好ましくは1:8、より好ましくは1:10で全血を塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)に加えることによって行うことができる。別法として、20%wt:wtモレキュラーシーブ4Aを含む、または含まない10mM ZnClまたはZnSOを塩化コリン:トリフルオロアセトアミドに加えて、RNAの安定性をさらに改善することができる。
図9は、グアニジンまたは塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)のいずれかでの全血中のRNAの安定化を示す。緩衝液RLT(Qiagen、ドイツ)(レーン1)または400μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)(レーン2)のいずれかにおける24℃での一晩の試料の保存において、全RNAはグアニジン中で有意に分解するが、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド中では有意に分解しない。
11.真空血液吸引管を用いた全血の安定化
10mlのポリエチレンテレフタレート(PET)採血管に、7mlの滅菌塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)を加え、該管をHemogardTM(Becton Dickinson、USA)または他の適切な閉塞具で閉じ、空気を部分的に除去して、真空を作り出した。別法として、採血管は、7mlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)に加えて、ZnSOを含有して、1mM、5mM、10mM、33mM、100mMまたは200mMのいずれかの希釈された血液試料中の最終濃度とした。血液吸引管デバイスの例としては、図1C参照。採血セット(PreAnalytix、ドイツ)を用いて、または標準的なルアーロックシリンジおよび針を充填することによって、ほぼ2mlの全静脈血を管に吸引し、内容物の2mlを採血管に移した。血液の添加後に、管を10回倒立させて成分を混合し、次いで、室温で20分間インキュベートして、Tリンパ球およびBリンパ球、単球、マクロファージ(例えば、PBMC)、好中球、好塩基球および好酸球(多形核球)、血小板、HPV、HIV、HCV、HBV、インフルエンザおよびSARSに関与するコロナウイルスを含む本明細書に記載したようなあらゆる細菌またはウイルスなどの白血球細胞中のRNAを安定化させた。一般に、赤血球は、この混合物中で完全なままではない。CTCのより良好な捕捉、分析および保存を可能にするこの方法を用いて、循環性腫瘍細胞などの他の細胞を安定化させ、固定化することもできる。
例えば、37℃で24時間、室温で3日間、4℃で1週間、または−20℃で3カ月までの採血管での保存後に、RNAを、以下のように、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド安定化血液から抽出することができる:キット製造業者の説明書に従って、採血管を開け、1mlの安定化試料を取り出し、3mlの溶解緩衝液RLTと混合し、14,000gで60秒間遠心し、上清を除去し、RNeasy MinElute(RNeasy Mini Kit、カタログ番号74106、Qiagen、ドイツ)またはRNeasy Midiスピンカラム(RNeasy Midi Kit、カタログ番号75142、Qiagen、ドイツ)のいずれかへの負荷前に、同量の70%エタノールに加え、次いで、スピンカラムを緩衝液RWIおよびRPEで洗浄し、RNAを溶出させた。
12.DES混合物の細胞固定化特性の測定
12ウェル組織培養プレートの各ウェルに、1mlのDMEM/5%FBS中の20,000個のトリプシン処理したHeLa細胞を加え、次いで、適切な組織培養インキュベーター中で37℃で少なくとも6時間インキュベートすることによって、細胞をプレート表面に付着させた。次いで、真空ピペットを用いて、組織培養培地を除去し、400μlのDES混合物を各ウェルに加え、他方、20×光学顕微鏡下でリアルタイムに細胞のあらゆる形態学的変化を調べた。次いで、さらなる顕微鏡検査前に、組織培養プレートを90分間にわたって37℃のインキュベーターに戻した。ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)を非毒性対照として用い、結果を以下の表に示す。細胞の生存率を、標準トリパンブルー染色によって確認した。
表5 細胞形態に対する種々の固定剤および添加剤の効果
表6 細胞形態に対する添加剤を含むまたは含まない種々のDES混合物の効果
HeLa細胞形態に対する効果、尺度+(最低)から+++++(最良)。
13.DES混合物を含有するトリフルオロアセトアミドを用いた細胞の固定化
24ウェル組織培養プレートの標準組織培養条件下で、HeLa組織培養細胞をコンフルエンスまで成長させ、1mlのDMEM/FBS培地を除去し、0.2〜1.0mlの(A)ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)または(B)塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)と置き換え、細胞を50×標準光学顕微鏡下で画像化した。細胞の代表的な視野を図10に示し、細胞形態に対する実質的な変化は、DPBSまたは塩化コリン:トリフルオロアセトアミド処理細胞の間で見られなかった。DES処理細胞が固定化されたことを実証する1つの試験として、DPBSまたは塩化コリン:トリフルオロアセトアミドを除去し、細胞を2mlの水道水で洗浄したところ、室温で1時間後に、DPBS処理細胞のみが膨潤し、次いで、水の浸透圧効果から破壊された。塩化コリン:トリフルオロアセトアミド処理細胞は、室温で1カ月水に沈めた後でさえ、この処理によってほとんど変化がなかったことが判明し、この事は、当該細胞が実際に固定化されたことを示す。さらに、細胞の固定化の証拠として、細胞を1mLの0.05%トリプシンを用いて室温で1時間処理したところ、DPBS処理細胞とは異なり、効果または細胞の目に見えるプロテアーゼ分解はなく、細胞は完全な状態のままであったことが判明した。
塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)は、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド1:1、1:1.5、1:1.75、1:2.25、1:2.5、1:2.75または1.3(モル:モル)と置き換えることができる。別法として、塩化コリン:トリフルオロアセトアミドは、ベタイン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)または塩化アセチルコリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)と置き換えることができる。細胞固定化のためのDES混合物に特に制限はないが、トリフルオロアセトアミド含有混合物は、細胞の固定化およびRNAの安定化に特に有用である(表1参照)。
組織培養細胞および組織は、細胞が溶解したり変形したりすることなく、様々な温度で塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)で固定化することができる。400μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミドを37℃、100℃または120℃で予熱し、予熱されたピペットの先端で24ウェルプレート中のHeLa細胞に加えた。高温の塩化コリン:トリフルオロアセトアミドの添加の直後に細胞を顕微鏡観察したところ、注目すべきことに、細胞が室温で固定化された細胞と非常に似ている形態を有することが示された。高温の塩化コリン:トリフルオロアセトアミドの粘度は、室温における粘度よりもかなり低い。
具体的には、深共晶溶媒の細胞固定化特性を以下のように決定し、定量した:ほぼ2,000個のHeLa細胞を、24ウェル組織培養プレートに入れた25mmのCellatticeTM:Micro−Ruled Cell Culture Surface(微細罫線付き細胞培養カバーガラス表面、カタログ番号CLS5−25D−050 Nexcelom Bioscience、USA)上で成長させ、2mlのDMEM/10%FBS中で一晩成長させ、格子の規定された面積内の付着した細胞の数を、10×顕微鏡対物レンズを用いて手動で数え、次いで、吸引ピペットを用いて組織培養培地を取り出し、400mgの深共晶溶媒と置き換え、室温で1時間インキュベートして、細胞を固定化させ、次いで、吸引ピペットで深共晶溶媒を除去し、2mlの蒸留水と置き換え、室温で1時間インキュベートし、格子の同じ規定された面積内の細胞の数を、処理前と同様に手動で数えた。元の数と比較した格子に残存する付着した細胞のパーセンテージを計算したところ、細胞の少なくとも75%が、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)での処理の後に付着していたことが判明した。多数の緩く付着した死滅しつつある細胞が、容易に剥離し、従って、細胞の計数の誤りを引き起こすので、細胞をコンフルエンスまで成長させるべきでない。他の深共晶溶媒の細胞固定化特性も、この方法を用いて決定することができることが当業者には明らかである。
14.塩混合物の塩化コリン:尿素への溶解性
注目すべきことには、塩化亜鉛(ZnCl)は塩化コリン:尿素(1:2)に溶解して、1:2:2(モル:モル:モル)の塩化コリン:尿素:ZnCl2のDES混合物を調製でき、イソチオシアン酸グアニジンは塩化コリン:尿素に溶解して、1:2:5(モル:モル:モル)の塩化コリン:尿素:イソチオシアン酸グアニジンのDES混合物を調製でき、酢酸アンモニウムは塩化コリン:尿素(1:2)に溶解して、1:2:3(モル:モル:モル)の塩化コリン:尿素:酢酸アンモニウムのDES混合物を調製できることが判明した。
15.安定化剤の非存在下におけるRNA分解
DES混合物または他の安定化剤の非存在下におけるRNA分解の速度を決定するために、50mgのラット肝臓片を、実施例1のRNA精製前に、20℃で(レーン1)0分間、(レーン2)1分間、(レーン3)2分間、(レーン4)5分間、または(レーン5)20分間インキュベートした。結果を図10に示す。
RNAは、室温で5分後に著しく分解し、20分後にかなり分解したことが判明した。これは、組織RNAが分解を開始する前に完全な状態である最大時間、およびDES固定剤を比較できる迅速性および有効性を見積もるための方法を提供する。例えば、筋肉などのRNA分解が比較的遅い組織の試料重量は、より速度の速い膵臓などの組織の重量よりも大きい場合がある。
16.動物組織試料におけるDNA安定化
標準1.5mlポリプロピレン微小遠心管中の400μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)に2〜25mgのラット肝臓試料を加え、室温で20分間プレインキュベートして、安定化および/または固定化させ、鉗子での組織試料の回収と、以下に記載するような、RNAおよびDNA精製の前に、−80℃、−20℃、4℃、20℃または37℃、42℃または55℃で1時間から数週間インキュベートすることができる。
簡単に述べれば、試料を400μlの溶解緩衝液RLTに機械的に溶解し、製造業者の説明書(RNeasy Mini Kit、カタログ番号74106、Qiagen、ドイツ)に従って、少なくとも40μlの水中にRNAを溶出させ、次いで、シリカ膜を100μlの水で洗浄し、10,000×gで60秒間遠心し、フロースルーを捨て、次いで、100μlの10mMのNaOHを加え、70℃で15分間インキュベートして、残存するRNAを破壊し、次いで、10,000×gで60秒間遠心し、DNAを含有するフロースルーを回収し、1%アガロースゲルを用いて分析した。
PureLink(登録商標)(カタログ番号12183018A、Life Technologies、USA)およびDNeasy Mini Kit(DNeasy Mini Kit、カタログ番号69504、Qiagen、ドイツ)などの市販のDNA精製キットを用いることもでき、DNA精製に用いることができるキットの種類または組織の種類に特に制限はない。
肝臓試料を、肝臓、脾臓、脳、筋肉、心臓、食道、精巣、卵巣、胸腺、腎臓、皮膚、腸、膵臓、副腎、肺、骨髄などの他の組織および細胞型、またはCOS−7、NIH/3T3、HeLa、293、およびCHO細胞などの細胞、または血清、血漿または血液などの液体試料とも置き換えることができる。
室温で400μlのRNAlaterと比較して、400μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2)で固定化され、安定化されたラット肝臓試料から抽出したDNAは、有意に多くの完全なDNAを有していたことが判明し、DNAならびにRNAを保存するために奨励されてきた製品であるRNAlaterと比較して、DES混合物の優れた安定化が実証される。1〜33mMのZnSOもまたDNA安定化を改善するために加えることができる。
結果を図12に示す。HeLa細胞ペレットを、24℃で、9日間(レーン1および2)または15日間(レーン3および4)のいずれかにわたって、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)(レーン1および3)、RNAlater(レーン2および3)で安定化させた。RNAlater安定化細胞のDNAは、塩化コリン:トリフルオロアセトアミドの場合よりも有意に大きく分解する。
17.動物組織試料におけるタンパク質の安定化
標準1.5mlポリプロピレン微小遠心管中の400μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)、10mMのZnSO4・7H2Oおよび40mgのモレキュラーシーブ4Aに、10mgの凍結解凍したマウス肝臓を加え、24℃で4、7または18日間のいずれかにわたってインキュベートした。タンパク質抽出前に、対照マウス肝臓試料を、400μlのPBS中で24℃で0分間、36時間、6日間、または13日間のいずれかにわたってインキュベートした。
10容量の1×試料緩衝液(125mMのトリス−HCl pH6.8、2%SDS、10%グリセロール、5%β−メルカプトエタノール、0.001%ブロモフェノールブルー)を肝臓試料に加え、ペレット乳棒で30秒間粉砕し、次いで、試料を70℃で10分間直ちに加熱し、管を5分間氷の上に置き、次いで、Bradford法(Bio−Rad、フランス)によって、タンパク質計量前に、10,000×gで5分間遠心することによって、タンパク質を抽出した。30μgの各タンパク質をLaemlli緩衝液と混合し、標準SDS−7.5%アクリルアミドゲルに負荷し、110Vで3時間電気泳動した。次いで、タンパク質をウェスタンブロッティングPVDF/ECL+膜に移し、一次抗体抗α−アクチンの1:500希釈物と共に、4℃でTBS(0.1%Tween−20)、5%粉ミルク中で一晩インキュベートし、膜をTBS(0.1%Tween−20、5%粉ミルク)で3回洗浄し、HRP標識マウス抗IgG二次抗体の1:100希釈物と共に24℃で60分間インキュベートし、洗浄し、Supersignal West pico化学発光キット(Pierce、フランス)で発色させた。
結果を図13に示す。PBS(レーン2〜4)または塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)(レーン5〜7)中で、24℃で、マウス肝臓を0分間(レーン1)、36時間(レーン2)、6日間(レーン3)、13日間(レーン4)、4日間(レーン5)、7日間(レーン6)または18日間(レーン7)のいずれかにわたって安定化させた。PBS保存試料中のIgGおよびアクチンタンパク質は、塩化コリン:トリフルオロアセトアミドの場合よりも有意に大きく分解する。
18.免疫組織化学(IHC)のための塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2モル:モル)を用いた細胞固定化
HeLa細胞を、24ウェル組織培養プレート中で、13mmカバーガラス上で20%の細胞密度まで成長させ、DMEM成長培地を真空ピペットで除去し、ティッシュで端を軽く押さえてカバーガラスを12ウェルプレートに移し、600μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)をカバーガラス上に直接加え、室温で、揺動プラットフォーム上で60分間放置して固定化させた。次いで、カバーガラスおよび細胞を固定剤から取り出し、過剰の固定剤を真空ピペットおよびティッシュで押さえることによって除去し、2mlのPBSで4×5分間洗浄した。細胞を揺動プラットフォーム上で2mlのPBS/1%BSAでブロックし、次いで、1:100の一次抗体などの適切な希釈物を加え、4℃で一晩放置した。次いで、細胞を3×2mlのPBS/1%BSA中で、各々5分間洗浄し、標識された二次抗体の1:1000のAlexafluor488ヤギ抗マウスIgG1(Life Technologies、UK)などの適切な希釈物を加え、暗所にて、室温で30分間インキュベートした。細胞を3×2mlのPBS/1%BSA、次いで、3×2mlのPBSで洗浄し、次いで、Vectashield/DAPI(Vector Labs、UK)のマウントおよび適切な顕微鏡での観察前に、水中で軽くすすいだ。
別法として、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)中への10mMのZnSO4、ZnCl2、5%(vol:vol)のN−エチルピロリドン、5〜10%の水、PBSまたはDMEMなどの水溶液、2.5%(vol:vol)の1−ベンジルイミダゾールまたは1%(vol:vol)のテトラメチル尿素の添加を、細胞固定化前に行って、免疫組織化学の結果を改善することができる。
19.染色または免疫組織化学(IHC)のための塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)を用いた哺乳動物組織の固定化
肝臓、腎臓、肺、脳、平滑筋、骨格筋または心筋、脾臓、胸腺、唾液腺、子宮、精巣、皮膚、目、舌、食道、胃、腸、膵臓、副腎、胆嚢などの新たに解剖したマウスの組織片を10容量の塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)に加え、4℃または室温の間で少なくとも1時間インキュベートして、浸透および組織固定化を行った。1時間よりも長いインキュベーション時間、例えば、4、8、15、24または72時間可能である。組織試料を凍結し、必要になるまで塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)混合物中で保存することもできる。組織固定化に必要な時間は、組織の種類、サイズ、密度、脂肪含有量、形状、表面積および固定剤の種類を含む多数の因子によって決まる。特定の組織のための固定化に必要な最短時間の決定は、最も簡単には、組織を異なる時間でインキュベートし、次いで、ミクロトーム切断の間に組織が振る舞う様子を観察することによって行うことができ、不十分な固定化時間は、ミクロトームブレードを通過する間に組織が引き裂かれることによって検知される。十分な固定化時間は、ミクロトーム切断だけでなくRNA安定化に対して頑強な試料をもたらす。
塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)を用いた固定化後に、65℃および100℃における、各々1時間のパラフィン(融点56〜58℃)中への包埋前に、70%エタノール45分間、80%エタノール45分間、100%エタノール30分間2回、トルエン30分間2回の脱水前に、組織を10容量のPBSで軽く1回すすぐ。ホルムアルデヒド固定化組織に用いられるものと同一の標準的なプロトコルに従い、ミクロトーム処理前に、固定化された組織を含有するパラフィンブロックを室温まで放冷する。詳細な方法は、Al−MullaおよびGohlmann(2011)Formalin−Fixed Paraffin−Embedded Tissues:Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology)に記載されている。必要であれば、トルエンをキシレンまたはヒストゾルと置き換えることができる。
塩化コリン:トリフルオロアセトアミドへの1〜33mM、好ましくは10〜33mMの塩化亜鉛、硫酸亜鉛またはクエン酸亜鉛などの亜鉛塩の添加は、固定剤による組織の浸透および固定化速度を改善するが、さらにモレキュラーシーブタイプ4Aが存在することによって、試料中のRNAの安定化が改善される。
ヘマトキシリンおよびエオシンでの組織片染色は、標準的で周知の方法に従った。
20.パラフィン包埋後の塩化コリン:トリフルオロアセトアミドでのHeLa細胞のRNAおよびDNAの安定化
HeLa細胞ペレット(100万個細胞)を、10mMのZnClを含有する400mgの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)に加え、室温で60分間固定化した。固定化された細胞を直ちに処理するか、または標準パラフィン包埋プロトコルを続けた;(i)1ml100%エタノール30分間浸漬、(ii)1mlトルエン15分間、次いで、55℃における1mlパラフィン(iii)15分間または(iv)60分間の浸透。引き続いて、RNAおよびDNAを精製し(RNeasy、Qiagen、ドイツ)、RINを決定した(Agilent Bioanalyser 2100)。HeLa細胞RNAのRINは、固定化なしで9.6(レーン1、陽性対照)から、固定化、脱水およびパラフィン包埋後の8.6(レーン6)まで減少し、このことは、確かにRNA分解が処理中に起こったが、総量は非常に満足できるものであったことを示す。塩化コリン:トリフルオロアセトアミド固定化の結果、ホルムアルデヒド処理試料(データは示さず)を用いた場合よりもRNA分解はかなり少なくなったことも判明した。DNA試料の完全性は、視覚的に変化せず、固定化中にDNAが安定化されることを示す。結果を図14に示す。
21.パラフィン包埋後の塩化コリン:トリフルオロアセトアミドを用いたマウス肝臓および腎臓組織のRNAおよびDNA安定化
10mgのマウス肝臓または腎臓片を、10mMのZnSO4およびモレキュラーシーブ4A(3%(wt:wt))の両方を含有する400μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)、または400μlのPBSのいずれかに加え、4℃または24℃のいずれかで64時間インキュベートした。次いで、組織試料を以下のように処理した;70%エタノール60分間、80%エタノール60分間、95%エタノール60分間、100%エタノール30分間2回、100%エタノール60分間、トルエン30分間2回、100%トルエン60分間、55℃パラフィン2時間、55℃パラフィン5時間。次いで、パラフィンに包埋した試料を、−80℃でほぼ2週間凍結した。引き続いて、まず解剖用メスを用いてパラフィンブロックから包埋された組織を除去し、次いでRNeasy Mini kit(Qiagen、ドイツ)を用いた400μlの緩衝液RLTへの直接的溶解によって、RNAおよびDNAを精製し、RNA 6000 Nano全RNAキット(Agilent Bioanalyser 2100、USA)を用いてRINを決定した。
結果を図15に示す。肝臓(レーン1〜4)および腎臓(レーン5〜8)試料の両方について、RNAの完全性は、PBS(レーン3、4、7、8)と比較して、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド、ZnSO4およびモレキュラーシーブ処理(レーン1、2、5、6)後に有意により良好であったことが判明した。例として、RIN値を図14に示し、24℃で、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド、ZnSO4およびモレキュラーシーブ(レーン1)をPBS(レーン3)と比較して、7.5から2.4に減少することが判明し、DNAの品質も、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド、ZnSO4およびモレキュラーシーブ処理後に有意により良好であることも判明した。
22.塩化コリン:トリフルオロアセトアミド、硫酸亜鉛およびモレキュラーシーブを用いたHeLa細胞のRNA安定化
水添加又は水非添加の保存された生物学的試料中の塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)に、種々の亜鉛塩およびモレキュラーシーブを加えてRNA安定化効果の比較を行った。100万個のHeLa細胞を遠心したペレットをRNAの供給源として用い、400μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)を各ペレットに加え、次いで、10%または15%(vol:vol)のいずれかの最終濃度の水を、表に記載した33mMの硫酸亜鉛および33%(wt:wt)のモレキュラーシーブタイプ4Aの存在下または非存在下で加えた。製造業者の説明書に従って、シリカスピンカラム(Invitek、ドイツ)を用いたRNA精製、およびAgilent Bioanalyser2100を用いたRNA完全性値(RIN)決定前に、試料を37℃で18時間保存した。水をHeLa細胞ペレット/塩化コリン:トリフルオロアセトアミドに添加することによって、RNAの完全性は顕著に低下するが、硫酸亜鉛、より好ましくは硫酸亜鉛およびモレキュラーシーブタイプ4Aの添加は、RIN値の増加によって示されるように、水が存在する場合、RNA分解の量を実質的に低下させることができる。これは、より大きな組織試料、血液、血清、血漿または植物材料について、かなりの量の水(例えば、安定化溶液中の10%よりも大きな最終濃度)が存在する場合、試料である分析物の品質を改善するために特に有用な手段である。長期間の試料の保存が必要な場合、10%未満の水を含有する試料でも、幾分の改善が得られ得る。
1〜33mM、好ましくは10mM(最終濃度)の硫酸亜鉛は、塩化亜鉛またはEDTA亜鉛よりもRNA分解の低減にわずかに効果的であるが、グルコン酸亜鉛、酢酸亜鉛またはp−トルエンスルホン酸亜鉛よりも格段に効果的であることが判明した(表2)。
表7.HeLa細胞ペレットから抽出したRNAについてのRINスコア
23.有機添加剤を含む塩化コリン:トリフルオロアセトアミドを用いたHeLa細胞のRNA安定化
水添加または水非添加の保存された生物学的試料において、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)に、N−エチルピロリドンまたはテトラメチル尿素を加えて、RNA安定化効果の比較を行った。100万個のHeLa細胞を遠心したペレットをRNAの供給源として用い、表に記載したように、2.5%、5%、10%または20%(vol:vol)のN−エチルピロリドン、5%または20%(vol:vol)のテトラメチル尿素の存在下または非存在下で、400μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)を各ペレットに加えた。製造業者の説明書に従い、シリカスピンカラム(InviTrap Spin Universal RNA Mini Kit カタログ番号1060100200 Stratec Molecular、ドイツ)を用いたRNA精製、およびAgilent Bioanalyser2100を用いたRNA完全性値(RIN)決定前に、試料を24℃で20日間保存した。N−エチルピロリドンおよびテトラメチル尿素の両方が、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド単独と比較して、長期間の保存後にHeLa細胞ペレットにおけるRNAの品質を改善したことが判明した。
表8:N−エチルピロリドンおよびテトラメチル尿素を用いたRNAの収率および品質
定性的なRNAの品質基準は以下の通りである;0(高度に分解)から10(最高の品質)。表1および2におけるRNA分析を以下のように行った;臭化エチジウム染色、1%アガロース0.5×TAEゲル電気泳動、18Sおよび28S rRNAバンドの完全性の、紫外光下で撮影された写真の視覚分析。8以上のRNA品質スコアを持つRNA試料は、18S対28S rRNA臭化エチジウム染色比が1:2であり、他方、RNA品質スコアが5であるRNA試料は、18S対28S rRNA染色比がほぼ1:1である。
24.種々の第四級アンモニウム塩および水素結合供与体の使用
室温(24℃)のDES液体は、1:2 モル:モルの割合で、塩化コリンをプロリン、オキサミド、ピバルアミド、1−エチル−2−ピロール、4−ホルミルモルホリン、アセトニルアセトン、炭酸エチレン、テトラメチル尿素、N−エチルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾールおよび/または1,3−ジメチル−2−イミダゾリドンのいずれかと混合しても調製できなかった。以下のアンモニウム塩もまた室温のDES液体を形成することができなかった;硫酸アンモニウムおよび酢酸アンモニウム。硫酸アンモニウムおよび塩化アンモニウムの両方は、イソチオシアン酸グアニジン、ソルビトールおよび/またはキシリトールとの1:2 モル:モル比の液体を、部分的には100℃で形成できたが、24℃では形成できなかった。
表9:異なる第四級アンモニウム塩を用いた二成分混合物
25.キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)胚RNAの安定化
10mgのD.melanogaster胚(0〜24時間)を、400μLの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)(レーン1〜3)またはRNAlater(レーン4〜6)のいずれかと混合し、RNA精製(RNeasy Mini Kit、カタログ番号74106、Qiagen、ドイツ)前に、37℃で12時間(レーン1、4)、2日間(レーン2、5)または45日間(レーン3、6)のいずれかにわたってインキュベートした。RNAの品質を図16に示し、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド安定化RNAは、RNAlaterの品質よりも有意に良好であった。
26.タマネギ(Allium cepa)葉シュートにおけるRNAの安定化
10mgのA.cepa葉シュートを400μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2モル:モル)(レーン1〜3)またはRNAlater(Qiagen、ドイツ)(レーン4〜6)のいずれかと混合し、RNA精製(RNeasy Mini Kit、カタログ番号74106、ドイツ)前に、22℃で、18時間(レーン1、4)、3日間(レーン2、5)または9日間(レーン3、6)のいずれかにわたってインキュベートした。RNAの品質を図17に示し、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド安定化RNAは、RNAlaterの品質よりも有意に良好であった。
27.DES安定化後のin situハイブリダイゼーション適用
組織試料を調製し、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)および10mM ZnSO4を用いて、4℃で、1〜24時間の固定化時間で、実施例21に記載するようにパラフィン包埋した。次いで、組織試料を以下のように処理した;70%エタノール60分間、80%エタノール60分間、95%エタノール60分間、100%エタノール30分間2回、100%エタノール60分間、トルエン30分間2回、100%トルエン60分間、55℃パラフィン2時間、次いで、55℃パラフィン5時間。パラフィン組織スライス(3〜12μmの厚み)のミクロトーム調製に続き、キシレンを用いてパラフィンを室温で10分間除去し、組織スライスを、100%エタノール、70%エタノール、50%エタノール、25%エタノール、次いで、水中で各々5分間インキュベートすることによって水和させた。次いで、PBS洗浄、および500μlの超純粋50%ホルムアミド、250μlの20×SSC、50μlの10μg/μlの酵母t−RNAおよび20μlの50×デンハルト溶液を含有する1mlの緩衝液中でのプレハイブリダイゼーションと、それに続く適切な色原体または蛍光標識プローブでのハイブリダイゼーション前に、組織片を室温で5分間プロテイナーゼK(10μg/ml)処理することができる。in situハイブリダイゼーションについてのプロトコルは周知であり、J.M.BridgerおよびK Morris(2010)によってFluorescence in situ Hybridization(FISH):Protocols and Applicatiоns(Methods in Molecular Biology)およびSummersgillら、(2007)Nature Protoc.3:220−234に記載されている。
28.フローサイトメトリーのための細胞の調製
HeLa、MCF−7、NCI60、PC3、Vero、GH3、MC3T3、ZF4またはIMR−90などのほぼ500,000個の組織培養細胞を、固体表面で成長する場合、まず、軽くトリプシン処理して剥離させ、10mlのEMEM/10%FBSと混合し、900×g(24℃)で、15mlの管中で10分間遠心した。次いで、細胞ペレットを100μlのDPBS緩衝液に再懸濁し、1mlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)と直ちに混合し、10mlピペットで丁寧にピペット処理して、完全に混合した。細胞を4℃または24℃のいずれかで1〜24時間放置して固定化させ、次いで、14mlのDPBSを加え、丁寧な倒立によって管内容物を混合し、900×gで10分間遠心し、細胞ペレットを100μlのDPBS中に丁寧に再懸濁し、染色緩衝液(100mMのトリス、pH7.4、150mMのNaCl、1mMのCaCl2、0.5mMのMgCl2、0.1%ノニデットP−40)中に1mlのDAPI(3μM)を加えることによって、核を15分間染色した(24℃)。次いで、染色し固定化した細胞をフローサイトメトリーに用いることができる。塩化コリン:トリフルオロアセトアミド固定化細胞は単分散しており、それらの蛍光に従って、細胞周期の種々の段階に分類することができた。
29.生物学的試料の2工程処理
10mgのマウス組織片を、10mMのZnSO4およびモレキュラーシーブ4A(3%(wt:wt))の両方を含有する400μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)に加え、24℃で1時間インキュベートし、次いで、組織を取り出し、例えば、400μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)、塩化コリン:尿素(1:2 モル:モル)、塩化コリン:ソルビトール(1:2 モル:モル)、塩化ベタイン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)または4%パラホルムアルデヒドのいずれかへの浸漬前に、ペーパータオルを軽く押し付けて過剰の安定化剤を除去し、次いでインキュベートして、少なくとも1時間、好ましくは一晩保存した。別法として、本出願において記載した多数のDES混合物のいずれか1つは、最初の安定化または固定化溶液として作用することができ、続いて、第二の安定化または固定化溶液として作用することができる。また別の例として、組織固定化を、まず、例えば、4%パラホルムアルデヒドで室温で1時間行うことができ、次いで、組織を10mMのZnSO4およびモレキュラーシーブ4A(3%(wt:wt))の両方を含有する400μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)に移すことができる。この2工程手法は、例えば、細胞形態のための最適な安定化剤を、RNA、DNAおよびタンパク質のための最適な安定化剤と組み合わせることができる手段を提供する。この手法は、生物学的試料に由来する含水量を、元の安定化混合物を変更することによって低下させることができる手段も提供する。多くの第一混合物と第二混合物との組合せがあり、最も適切な選択は、少なくとも部分的には、H&E染色組織片の品質およびRNAの品質などの経験的手段によって決定しなければならない。用いる安定化および固定化混合物は、液体であっても固体であってもよい。
30.DES混合物のグアニジンおよびフェノール精製試薬との適合性
有利なことには、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)は完全に可溶性であって、以下のRNA精製キット;RNeasy Mini(Qiagen、ドイツ)、PureLinkTM(Life Technologies、USA)、MagNA Pure LC RNA Isolation Kit III、High Pure RNA Tissue KitおよびRNA Micro Kit Amplicor HCV(Roche Applied Science、USA)、NucleoSpin(登録商標)Multi−8 Virus RAV(Macherey Nagel、ドイツ)、TEMPUSTM Blood RNA Tube(Applied Biosystems、USA)、SV RNA KitおよびPureYieldTM Kit(Promega、USA)、ToTALLY RNATM Kit(Ambion、USA)、GenEluteTM Mammalian Total RNA Purification(Sigma−Aldrich、USA)、PAXgeneTM Blood RNA Kit(PreAnalytix、ドイツ)に見出されるものなどのチオシアン酸グアニジンまたはHClベースのウイルス、細胞および組織溶解緩衝液と、塩化コリン:トリフルオロアセトアミドから試料を分離することなくグアニジンまたはフェノール精製試薬との直接的な塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)安定化試料との混合を可能にするTRIzol(Life Technologies、USA)などのフェノールベースの精製試薬と混合できる。これは、例えば、固定剤が浸透した組織試料を分離することが現実的でない場合、または組織培養細胞、血液またはCTCなどの個々の細胞が、それよりもずっと多量の固定剤と混合され、遠心によって分離することが困難または不可能であり得る場合に有利であり得る。参考として、RNAlater(Qiagen、ドイツ)中の哺乳動物細胞は遠心によってペレット化することができず、またはRNAの収率が劇的に低下するため、細胞+RNAlaterをグアニジン溶解緩衝液と混合することによってRNAを精製することができない。
一例として、6%(試料5、表10)、またはそれ未満の少量の緩衝液RLTを塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)中に含有するRNA含有試料を、1容量の70%エタノールと混合する際に、表10に記載したように優れた収率および純度でRNAをシリカスピンカラム膜(RNeasy mini、Qiagen、ドイツ)に効果的に結合させるために用いることができることが判明した。マウス肝臓溶解物を、100mgの肝臓を1mlの緩衝液RLTに溶解することによって調製し、次いで、表10に示すように70%エタノールとの混合、およびRNeasy miniスピンカラムへの結合前に、20μlの溶解物を緩衝液RLT、次いで、塩化コリン:トリフルオロアセトアミドに加えた。次いで、50μlの水の溶出容量で、製造業者の説明書(RNeasy mini、Qiagen、ドイツ)に従ってRNAを精製した。RNAの収率および純度を、Nanodrop ND−1000を用いて決定した。塩化コリン:トリフルオロアセトアミドがグアニジンのカオトロピック活性を機能させて試料を溶解させただけでなく、収率に影響が及ぼされないかまたはわずかに増加するように、シリカスピンカラム膜へのRNA結合に影響を及ぼさなかったことも驚くべきことに見出した。
さらに、塩化コリン:トリフルオロアセトアミドは、グアニジン溶解物(20μl)に加えられる場合に、標準的な製造業者のプロトコル(RNeasy Mini、Qiagen、ドイツ)により必須のRNA結合機能となる70%エタノールに置き換えることができ、表11に示すように、RNAをシリカ膜に結合させるために1容量の70%エタノールの溶解物への添加を必要とする。70%エタノールを溶解物に加えない場合、RNAはシリカ膜に結合することができないが、試料が塩化コリン:トリフルオロアセトアミドを含有する場合、RNAは、エタノールの非存在下においても結合することができ、このことは、工程の数を減少させ、可燃性液体を用いる必要がなく、例えば、RNeasyキットのRNA精製手法を改善する手段を提供する。緩衝液RLT(1:1wt:wt)に溶解した塩化コリンも塩化コリン:尿素もこの特性を有しないが、緩衝液RLT(1:1wt:wt)に溶解したトリフルオロアセトアミド単独は、緩衝液RLT(1:1wt:wt)に溶解した塩化コリン:トリフルオロアセトアミドと比較して、たった15%のRNA収率をもたらすことに注目すべきである。緩衝液RLT:塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)の1:1混合物は、非常に良好なHeLa細胞溶解性活性を有し、70%エタノールの非存在下で、独立した溶解およびシリカ膜結合緩衝液として用いることができ、この新規な混合物でのRNA収率は、緩衝液RLT単独よりも有意に良好であったことも判明した。
驚くべきことに、緩衝液RLT:塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)の1:1混合物200μl中で調製されたHeLa細胞溶解物は、製造業者の説明書に従って、65℃で10分間加熱し、続いて、1容量の70%エタノールを加え、シリカスピンカラム(RNeasy Mini、Qiagen、ドイツ)に結合させると、結果として、小さなRNA(miRNA、tRNAおよび5SのrRNA)の排他的な精製をもたらすことが判明した。加熱工程を省略した場合、18Sおよび28S rRNAを含む全RNAが精製され、従って、加熱は、小さなRNAを細胞溶解物から選択的に精製する方法を提供する。溶解混合物中のトリフルオロアセトアミドと尿素での置換えと加熱の結果、極端なRNA分解がもたらされた。塩化コリン:トリフルオロアセトアミドの非存在下で溶解物を加熱した場合も同様であった。
表10 グアニジン/塩化コリン:トリフルオロアセトアミド混合物のRNA収率
表11.結合用エタノールの非存在下におけるグアニジン/塩化コリン:トリフルオロアセトアミド混合物のRNA収率
31.細菌における全RNAの安定化
300μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)を、Escherischia coli DH5αの10mgペレットに加え、22℃で18時間インキュベートし、次いで、DES液体を除去して、400μlの緩衝液RLTを該ペレットに加えるか、または400μlの緩衝液RLTを直接的に該ペレットおよびDES液体に加え、管を20秒間ボルテックスし、次いで軽く超音波処理して細胞を破壊し、製造業者の説明書(Qiagen、ドイツ)に従って、RNeasy Mini Kitを用いてRNA精製を続けた。16Sおよび23S rRNAの完全性は、新鮮な細菌ペレットから抽出したRNAと比較して不変であった。別法として、ZnSO4を塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)に加えて、1〜33mM、好ましくは33mMの最終濃度とし、10%(wt:wt)のモレキュラーシーブを所望により加えて、安定化を改善することもできる。
32.多成分DES混合物
RNA安定化DES混合物は、ベタイン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)または塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)のいずれかの代わりに、ベタイン:塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(0.5:0.5:2 モル:モル:モル)などの2つを超える成分を混合することによって簡単に調製することができることが判明した。別法として、新規なDES混合物は、例えば、塩化コリン:尿素:トリフルオロアセトアミド(1:1:1 モル:モル:モル)またはベタイン:尿素:トリフルオロアセトアミド(1:1:1 モル:モル:モル)またはベタイン:塩化コリン:尿素:トリフルオロアセトアミド(0.5:0.5:1:1 モル:モル:モル:モル)からも作製することができる。3成分以上のDES混合物は、単一のDES混合物中の全ての成分を合わせたものの相互作用および特性に基づいて、低下した粘度、改善された保存寿命、改善された核酸安定性または細胞固定化特性などの興味深い新規な特性を有し得る。
一例として、HeLaペレット(500,000個の細胞)に、各々が10mMのZnSO4を含有する、400mgの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)、ベタイン:塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(0.5:0.5:2 モル:モル:モル)またはベタイン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)のいずれかを加え、37℃で一晩インキュベートし、続いて、RNeasy Mini Kit(Qiagen、ドイツ)を用いたDNA精製、およびRIN(Agilent Bioanalyser 2100、USA)の決定を行った。
多くのDES混合物は、成分やモル濃度が変更されても調製可能であり、この適用に最も適した混合物を経験的に決定する必要があることは、当業者に明らかである。
表12 37℃で一晩インキュベートされたHeLa細胞に関する3つの異なるDES混合物のRNA、DNA収率およびRNA完全性値(RIN)の比較
33.細胞固定化のためのDESの水性混合物
塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)の水性希釈物は、組織培養細胞および組織を固定化できることが判明した。DMEM組織培養培地(Life Technologies、フランス)を塩化コリン:トリフルオロアセトアミドの溶液に加えて、0%、6%、12%、21%または50%のDMEMの最終濃度とし、次いで、400μlの混合物を24ウェルプレート中のHeLa組織培養細胞に加えて、顕微鏡で観察した。全ての混合物は、細胞に対する低張または高張効果なしに細胞を固定化できた一方で、6%DMEMを含有する塩化コリン:トリフルオロアセトアミドは、純粋な塩化コリン:トリフルオロアセトアミドよりもさらに優れた、最良の品質の細胞形態をもたらしたことが見出された。15%を超える水を含む塩化コリン:トリフルオロアセトアミドの希釈物により、細胞膜が微小な液滴を形成し、次いで、完全な状態のままである細胞質が細胞から消失され得る。DESの水性希釈物は、粘度およびコストを低下させ、細胞固定化特性を潜在的に改善する簡単な手段を提供するが、水の存在はRNA安定性に対して有害となる。水、PBS、DPBS、糖溶液、または様々なDESを含むDMEMなどの多数の異なる水溶液を混合できること、細胞固定化および生体分子安定性に対する影響を経験的に試験しなければならないことは当業者に明らかである。
34.DES混合物の抗細菌活性
1×109のE.coli DH5a細胞のペレットを塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)の90μlの水性希釈物で室温25分間処理して、90%、9%または0.9%のいずれかの最終濃度とし、次いで、寒天プレート上で平板培養し、37℃で一晩インキュベートしてコロニーを成長させた。90%の塩化コリン:トリフルオロアセトアミドは、全ての細菌の成長およびコロニーの形成を停止させたが、9%または0.9%希釈物は停止させなかったことが判明した。従って、塩化コリン:トリフルオロアセトアミドは、強力な抗菌活性を有するように思われ、より長い処理期間または様々なDES混合物は、一層強い抗菌作用をもたらし得ることは当業者に明らかである。有利なことには、細菌の成長は、変質を止める塩化コリン:トリフルオロアセトアミドに保存された組織試料において阻害されることが予測される。
35.DES液体のその場での調製
固定化および安定化のための使用前にDES混合物を調製することが通常は好都合であるが、代替法は、DESの2つ以上の成分を一緒に固形物として、かつ試料と同時に加えることである。例えば、単一管において、1.28gの塩化コリン固体を2gのトリフルオロアセトアミド固体に加え、次いで、50〜100μlの全血または25mgの組織試料を加え、固形物を混合し、生物学的試料の存在下で(1:2 モル:モル)の共晶混合物を形成した。別法として、2つの固形物を、採血管などの適切な容器中に2つの予め負荷された層として加えることができるが、試料との接触後に破壊されるか溶解する膜によって分離され、成分を混合し、試料の存在下においてのみDES液体を形成することができる。別の可能性は、頂部が適切に閉じられた容器中に2つの開放区画を有することであり、各区画は適切な量の、例えば塩化コリンおよびトリフルオロアセトアミドで予め負荷されている。振盪または倒立させると、2つの成分が混合され、必要であれば、試料の存在下でDES液体を形成することができる。
36.接着性組織培養細胞でのRNAの安定化
24ウェル組織培養プレート中で、ヒト胚線維芽細胞(HEF)を80%コンフルエンス(ほぼ200,000個の細胞)まで成長させ、成長培地を取り除き、400μlの塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)またはRNAlaterのいずれかと置き換え、RNA精製およびRIN分析(Agilent Bioanalyser)前に、37℃で、0時間、32時間または9日間インキュベートした。表13は、塩化コリン:トリフルオロアセトアミド(1:2 モル:モル)のいずれかを用いて、接着性組織培養細胞のRNAを非常によく保存できることを示す。
表13 37℃で保存されたヒト胚線維芽細胞(HEF)接着性細胞から抽出したRNAについてのRINスコア
[1] 生体分子の分解を阻害する深共晶溶媒(deep eutectic solvent)の使用。
[2] 生体分子が、RNA、DNA及びタンパク質から選択される[1]に記載の使用。
[3] 生体分子がRNAである[2]に記載の使用。
[4] 生体分子が試料又は組織中に存在する[1]〜[3]のいずれかに記載の使用。
[5] 試料又は組織が固体組織を含む[4]に記載の使用。
[6] 試料又は組織が血漿、血清又は全血を含む[4]に記載の使用。
[7] 全血が循環性腫瘍細胞を含む[6]に記載の使用。
[8] 固定したウイルス、細胞又は組織を作製するための、ウイルス、細胞又は組織の固定剤としての深共晶溶媒の使用。
[9] 組織が全血である[8]に記載の使用。
[10] 組織が固体組織である[8]に記載の使用。
[11] 全血が循環性腫瘍細胞を含む[9]に記載の使用。
[12] 固定した細胞又は組織を処理する工程をさらに含み、処理工程は包埋、切片、染色、顕微鏡、in situハイブリダイゼーション、フローサイトメトリー、免疫組織化学法
、及び免疫細胞化学法から選択される1つ以上の方法を含む[8]〜[11]のいずれかに記載の使用。
[13] 深共晶溶媒がIII型又はIV型深共晶溶媒であり、10mgラット肝臓試料から抽出され、400mgの深共晶溶媒を用いて24℃で20日間インキュベートされたRNAが、Agilent Bioanalyser 2100を用いて測定される、少なくとも4.0のRNA完全性値を有する[1]〜[12]のいずれかに記載の使用。
[14] 基質上で培養され、深共晶溶媒を用い24℃で1時間インキュベートされたHeLa細胞の少なくとも75%が、深共晶溶媒と水で置換され、24℃で1時間インキュベートされた後に基質に結合したままでである[1]〜[13]のいずれかに記載の使用。
[15] 深共晶溶媒が、III型深共晶溶媒であり、トリフルオロメチル基を含む化合物を含む[1]〜[14]のいずれかに記載の使用。
[16] 深共晶溶媒が第一成分及び第二成分を含み、第一成分が式Iの化合物であり、

6がH又はOHであり、
7がH、CH3、Cl、Br、カルボニル酸素及び

から選択され;
Zが−CH2−、O及びSから選択され、
8がR11又はOHであり、
第二成分が式IIの化合物またはその塩を含み、

AはO、S及びNHから選択され、
1はH、1〜6の炭素原子を有するアルケン基、R9、−NH2、−NH−(CH2CH3、及び−C(R3)(R4)(R5)から選択され、
nは0又は1〜5の整数であり、
2はH及び1〜3の炭素原子を有する直鎖アルキル基から選択され、
3は任意に置換される5員又は6員の脂肪族環又は芳香族環であり、置換基はR10であり、
4及びR5はそれぞれ独立してH又はFであり、
9、R10、及びR11は、それぞれ独立して1〜3の炭素原子を有するアルキル基、1〜3の炭素原子を有するモノクロロアルキル基、及び1〜3の炭素原子を有するモノフルオロアルキル基、ジフルオロアルキル基又はトリフルオロアルキル基から選択される[1]〜[15]のいずれかに記載の使用。
[17] AはO、S及びNHから選択され、
1はH、−CH=CH2、R9、−NH2、−NHCH3、及び−C(R3)(R4)(R5)から選択され、
2はH及び−CH3から選択され、
3は任意に置換される5員又は6員の脂肪族環又は芳香族環であり、置換基はR10であり、
4及びR5はそれぞれ独立してH又はFであり、
9、R10、及びR11は、それぞれ独立して1〜3の炭素原子を有するアルキル基、1〜3の炭素原子を有するモノクロロアルキル基、及び1〜3炭素原子を有するモノフルオロアルキル基、ジフルオロアルキル基又はトリフルオロアルキル基から選択される[16]に記載の使用。
[18] AがO又はSである[16]又は[17]に記載の使用。
[19] R2がHである[16]〜[18]のいずれかに記載の使用。
[20] R1がH、R9、−CH=CH2、及びC(R3)(R4)(R5)から選択される[16]〜[19]のいずれかに記載の使用。
[21] R1がR9である[20]に記載の使用。
[22] R9が一つの炭素原子を有する[21]に記載の使用。
[23] 第二成分がアセトアミドである[22]に記載の使用。
[24] 第二成分が2−クロロアセトアミドである[22]に記載の使用。
[25] R9がモノ−、ジ−又はトリフルオロメチル基である[22]に記載の使用。
[26] 第二成分がトリフルオロアセトアミドである[25]に記載の使用。
[27] 第二成分がトリフルオロチオアセトアミドである[25]に記載の使用。
[28] 第二成分がN−メチルトリフルオロアセトアミドである[25]に記載の使用。
[29] R9が2つの炭素原子を有する[21]に記載の使用。
[30] R9がモノ−、ジ−又はトリフルオロエチル基である[29]に記載の使用。
[31] 第二成分が2,2−ジフルオロプロパンアミドである[30]に記載の使用。
[32] 第二成分が3,3,3−トリフルオロプロパンアミドである[30]に記載の使用。
[33] 第二成分がホルムアミドである[20]に記載の使用。
[34] 第二成分がアクリルアミドである[20]に記載の使用。
[35] R1がC(R3)(R4)(R5)である[20]に記載の使用。
[36] R4及びR5がFである[35]に記載の使用。
[37] R3が任意に置換された6員芳香族環である[35]又は[36]に記載の使用。
[38] R3が任意に置換されたフェニル基である[37]に記載の使用。
[39] 第二成分が2,2−ジフルオロ−2−フェニルアセトアミドである[38]に記載の使用。
[40] R3が置換基を含む[38]に記載の使用。
[41] 置換基がフェニル基の2位にある[40]に記載の使用。
[42] 置換基がモノ−、ジ−又はトリフルオロメチル基である[40]又は[41]に記載の使用。
[43] 第二成分が2−(トリフルオロメチル)フェニルアセトアミドである[42]に記載の使用。
[44] R1が−NH2及び−NHCH3から選択される[16]〜[19]のいずれかに記載の使用。
[45] 第二成分が尿素である[44]に記載の使用。
[46] 第二成分がチオ尿素である[44]に記載の使用。
[47] 第二成分が1,3−ジメチル尿素である[44]に記載の使用。
[48] AがNHである[16]又は[17]に記載の使用。
[49] 第二成分がグアニジンである[48]に記載の使用。
[50] グアニジンがハイドロイソチオシアネート塩の形態で存在する[49]に記載の使用。
[51] R7がHである[16]〜[50]のいずれかに記載の使用。
[52] 第一成分がコリンを含む[51]に記載の使用。
[53] 第一成分が臭化コリンを含む[16]〜[50]のいずれかに記載の使用。
[54] 第一成分がN,N,N−トリメチルグリシンである[16]〜[50]のいずれかに記載の使用。
[55] R7

である[16]〜[50]のいずれかに記載の使用。
[56] ZがO又はSである[55]に記載の使用。
[57] R8がR11である[55]又は[56]に記載の使用。
[58] R11が一つの炭素原子を有する[57]に記載の使用。
[59] 第一成分がアセチルコリンを含む[58]に記載の使用。
[60] 第一成分がアセチルチオコリンを含む[58]に記載の使用。
[61] R11が3つの炭素原子を有する[57]に記載の使用。
[62] 第一成分がブチリルコリンを含む[61]に記載の使用。
[63] ZがCH2である[55]に記載の使用。
[64] R8がOHである[63]に記載の使用。
[65] 第一成分がカルニチンである[64]に記載の使用。
[66] 第一成分がハロゲン化物アニオンである対イオンを含む[16]〜[65]のいずれかに記載の使用。
[67] ハロゲン化物アニオンが塩素、臭素、及びヨウ素から選択される[66]に記載の使用。
[68] ハロゲン化物アニオンが塩素である[67]に記載の使用。
[69] 第一成分が塩化コリンである[68]に記載の使用。
[70] 第二成分が、トリフルオロチオアセトアミド、3,3,3−トリフルオロプロパンアミド、2,2−ジフルオロ−2−フェニルアセトアミド、チオ尿素、及び尿素から選択される[69]に記載の使用。
[71] 第二成分がトルフルオロチオアセトアミドである[70]に記載の使用。
[72] 第二成分がトリフルオロアセトアミド及び尿素から選択される[54]に記載の使用。
[73] 第二成分に対する第一成分のモル比が1:3〜2:1の範囲である[16]〜[72の]いずれかに記載の使用。
[74] 第二成分に対する第一成分のモル比が1:1.5〜1:2.5の範囲である[73]に記載の使用。
[75] 第二成分に対する第一成分のモル比が1:2である[74]に記載の使用。
[76] 深共晶溶媒が第一成分及び第二成分を含み、第一成分がコリンのハロゲン化塩であり、第二成分が任意に置換されたイミダゾールであり、各置換基が1〜3の炭素原子を有するアルキル基である[1]〜[15]のいずれかに記載の使用。
[77] コリンのハロゲン化塩が塩化コリンである[76]に記載の使用。
[78] 置換イミダゾールがメチルイミダゾールである[76]又は[77]に記載の使用。[79] メチルイミダゾールがN−メチルイミダゾールである[78]に記載の使用。
[80] メチルイミダゾールが4−メチルイミダゾールである[78]に記載の使用。
[81] イミダゾールが置換されていない[76]又は[77]に記載の使用。
[82] 第二成分に対する第一成分のモル比が2.8:1〜2:1の範囲である[76]〜[81]のいずれかに記載の使用。
[83] 深共晶溶媒が第一成分及び第二成分を含み、第一成分が式IIIの化合物を含み、

6がH又はOHであり、
7がH、CH3、Cl、Br、カルボニル酸素及び

から選択され;
Zが−CH2−、O及びSから選択され、
8がOH、1〜3の炭素原子を有するアルキル基、1〜3の炭素原子を有するモノクロロアルキル基、及び1〜3の炭素原子を有するモノフルオロアルキル基、ジフルオロアルキル基又はトリフルオロアルキル基から選択され、
第二成分が糖又は少なくとも3つの炭素原子を有する糖アルコールである[1]〜[14]のいずれかに記載の使用。
[84] 糖アルコールがグリセロール、キシリトール及びソルビトールから選択される[83]に記載の使用。
[85] 糖アルコールがソルビトールである[84]に記載の使用。
[86] 糖がトレハロースである[83]に記載の使用。
[87] 第一成分がコリンを含む[83]〜[86]のいずれかに記載の使用。
[88] 第一成分が塩化コリンである[83]に記載の使用。
[89] 第二成分に対する第一成分のモル比が1:2〜2:1の範囲である[83]〜[88]のいずれかに記載の使用。
[90] 第二成分に対する第一成分のモル比が1:0.8〜1:1.2の範囲である[89]に記載の使用。
[91] 深共晶溶媒が第一成分及び第二成分を含み、第一成分がハロゲン化亜鉛(II)又はハロゲン化ジルコニウム(IV)であり、第二成分が式IVの化合物であり、

AはO、S及びNHから選択され、
1はH、1〜6の炭素原子を有するアルケン基、R9、−NH2、−NH(CH2CH3、及び−C(R3)(R4)(R5)から選択され、
nは0又は1〜5の整数であり、
2はH及び1〜3の炭素原子を有する直鎖アルキル基から選択され、
3は任意に置換される5員又は6員の脂肪族環又は芳香族環であり、置換基はR10であり、
4及びR5はそれぞれ独立してH又はFであり、
9は、1〜3の炭素原子を有するアルキル基、1〜3の炭素原子を有するモノクロロアルキル基、及び1〜3の炭素原子を有するモノフルオロアルキル基、ジフルオロアルキル基又はトリフルオロアルキル基から選択される[1]〜[14]のいずれかに記載の使用。[92] 第一成分が尿素である[91]に記載の使用。
[93] 第二成分に対する第一成分のモル比が1:3〜1:4である[91]又は[92]に記載の使用。
[94] 第一成分がハロゲン化亜鉛(II)であり、ハロゲン化亜鉛(II)がZnCl2である[91]〜[93]のいずれかに記載の使用。
[95] 第一成分がハロゲン化ジルコニウム(IV)であり、ハロゲン化ジルコニウム(IV)がZrCl4である[91]〜[93]のいずれかに記載の使用。
[96] 深共晶溶媒が第一成分及び第二成分を含み、第一成分が式Vの化合物であり、

-はCl-またはBr-であり、
XはN又はPであり、
12、R13、R14及びR15はそれぞれ独立して1〜16の炭素原子を有する直鎖アルキル基、1〜16の炭素原子を有する直鎖アルコール基、ベンジル基、またはフェニル基であり、
第二成分は、式Iの化合物またはその塩であり、

AはO、S及びNHから選択され、
1はH、−CH=CH2、R9、−NH2、−NHCH3、及び−C(R3)(R4)(R5)から選択され、
2はH及び−CH3から選択され、
3は任意に置換される5員又は6員の脂肪族環又は芳香族環であり、置換基はR10であり、
4及びR5はそれぞれ独立してH又はFであり、
9、R10は、それぞれ独立して1〜3の炭素原子を有するアルキル基、1〜3の炭素原子を有するモノクロロアルキル基、及び1〜3の炭素原子を有するモノフルオロアルキル基、ジフルオロアルキル基又はトリフルオロアルキル基から選択される[1]〜[14]のいずれかに記載の使用。
[97] Y-がCl-である[96]に記載の使用。
[98] 式Vの化合物が第四級アンモニウム塩である[96]又は[97]に記載の使用。
[99] R12、R13、R14、及びR15はそれぞれ独立して1〜4の炭素原子を有する直鎖アルキル基から選択される[96]〜[98]のいずれかに記載の使用。
[100] R12、R13、R14、及びR15はそれぞれメチル基である[99]に記載の使用。
[101] 第一成分が塩化テトラメチルアンモニウムである[100]に記載の使用。
[102] R12、R13、R14及びR15がそれぞれエチル基である[99]に記載の使用。
[103] 第一成分が塩化テトラエチルアンモニウムである[102]に記載の使用。
[104] R12、R13、R14及びR15がそれぞれブチル基である[99]に記載の使用。
[105] 第一成分が塩化テトラブチルアンモニウムである[104]に記載の使用。
[106] 第一成分が臭化テトラブチルアンモニウムである[104]に記載の使用。
[107] 第一成分が
を含む[96]に記載の使用。
[108] 第一成分が
を含む[96]に記載の使用。
[109] XがPである[96]又は[97]に記載の使用。
[110] R12、R13、R14及びR15の少なくとも1つがフェニル基である[109]に記載の使用。
[111] 第一成分がメチルトリフェニルホスホニウムを含む[110]に記載の使用。
[112] 第一成分が臭化メチルトリフェニルホスホニウムである[111]に記載の使用。
[113] AがO又はSである[96]〜[112]のいずれかに記載の使用。
[114] R1が−NH2及び−NHCH3から選択される[96]〜[113]のいずれかに記載の使用。
[115] 第一成分が尿素である[114]に記載の使用。
[116] 第一成分がトリフルオロチオアセトアミドである[113]に記載の使用。
[117] 第一成分がトリフルオロアセトアミドである[113]に記載の使用。
[118] 第二成分に対する第一成分のモル比が1:1.5〜1:2.5である[96]〜[117]のいずれかに記載の使用。
[119] 第二成分に対する第一成分のモル比が1:1.8〜1:2.2である[118]に記載の使用。
[120] 深共晶溶媒が第一成分及び第二成分を含み、第一成分がコリンを含み、第二成分が5〜7の炭素原子を有するアルカンジオールである[1]〜[14]のいずれかに記載の使用。
[121] アルカンジオールがヘキサンジオールである[120]に記載の使用。
[122] 深共晶溶媒が第一成分及び第二成分を含み、第一成分がコリンを含み、第二成分がN−アルキルピロリドンを含み、N−アルキル基が1〜5の炭素原子を有する[1]〜[14]のいずれかに記載の使用。
[123] N−アルキルピロリドンがN−メチルピロリドンである[122]に記載の使用。
[124] 深共晶溶媒が第一成分及び第二成分を含み、第一成分がコリンを含み、第二成分がβ−メルカプトエタノールを含む[1]〜[14]のいずれかに記載の使用。
[125] 深共晶溶媒が第一成分及び第二成分を含み、第一成分がコリンを含み、第二成分がジチオスレイトールを含む[1]〜[14]のいずれかに記載の使用。
[126] 深共晶溶媒がpH5〜7.5を有する[1]〜[125]のいずれかに記載の使用。
[127] 深共晶溶媒がpH6〜7を有する[126]に記載の使用。
[128] 深共晶溶媒が、着色剤、色素、界面活性剤、第四級アンモニウム塩、サポニン、抗菌剤、防湿剤、プローブ、内部対照、抗酸化剤、リボヌクレアーゼインヒビター、緩衝液、キレート剤、溶解ガス、アルコール、及びタンパク質沈殿剤から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む[13]〜[127]のいずれかに記載の使用。
[129] 少なくとも1つの添加剤が、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、亜鉛EDTA、硫酸アンモニウム、トシレートアンモニウム、及びソルビトールから選択される[128]の記載の使用。[130] 少なくとも1つの添加剤が硫酸亜鉛である[129]に記載の使用。
[131] 少なくとも1つの添加剤が、深共晶溶媒の0.01重量%〜1重量%で深共晶溶媒に存在する[128]〜[130]のいずれかに記載の使用。
[132] 少なくとも1つの添加剤が、深共晶溶媒の0.01重量%〜0.2重量%で深共晶溶媒に存在する[131]に記載の使用。
[133] 少なくとも1つの添加剤が、深共晶溶媒の0.5重量%〜1.5重量%で深共晶溶媒に存在する[128]〜[132]のいずれかに記載の使用。
[134] 少なくとも1つの添加剤が、深共晶溶媒の0.8重量%〜1.2重量%で深共晶溶媒に存在する[133]に記載の使用。
[135] 少なくとも1つの添加剤が塩化亜鉛である[133]又は[134]に記載の使用。
[136] 深共晶溶媒が、40体積%〜60体積%のシリカゲルをさらに含む[13]〜[135]のいずれかに記載の使用。
[137] 深共晶溶媒が、深共晶溶媒の2.5重量%〜12.5重量%でソルビトールをさらに含む[129]〜[136]のいずれかに記載の使用。
[138] 深共晶溶媒が、N−アルキルピロリドンをさらに含み、N−アルキル基が1〜5の炭素原子を有する[13]〜[137]のいずれかに記載の使用。
[139] N−アルキルピロリドンがN−メチルピロリドンである[138]に記載の使用。
[140] N−アルキルピロリドンがN−エチルピロリドンである[139]に記載の使用。
[141] N−アルキルピロリドンが、深共晶溶媒の2重量%〜20重量%で深共晶溶媒に存在する[138]〜[140]のいずれかに記載の使用。
[142] 深共晶溶媒が1−ベンジルイミダゾールをさらに含む[13]〜[141]のいずれかに記載の使用。
[143] 深共晶溶媒がテトラメチル尿素をさらに含む[13]〜[142]のいずれかに記載の使用。
[144] 深共晶溶媒が、深共晶溶媒の50重量%までの水を含む[13]〜[143]のいずれかに記載の使用。
[145] 深共晶溶媒が、深共晶溶媒の5重量%〜10重量%で水を含む[144]に記載の使用。
[146] 第一成分が塩化コリンである[128]〜[145]のいずれかに記載の使用。
[147] 第二成分が尿素である[146]の記載の使用。
[148] 第二成分がトリフルオロアセトアミドである[140]に記載の使用。
[149] 第二成分に対する第一成分のモル比が0.8:2〜1.2:2の範囲である[146]〜[148]のいずれかに記載の使用。
[150] 細胞又は組織固定用及び/又は生体分子の分解阻害用装置であって、第一深共晶溶媒から形成される第一深共晶溶媒層、及び生体分子を含む試料を受ける第一深共晶溶媒層における凹部を含み、第一深共晶溶媒が固体又はゲルであることを特徴とする装置。[151] 第二深共晶溶媒から形成される第二深共晶溶媒層をさらに含み、第二深共晶溶媒層が凹部を取り囲み、第二深共晶溶媒が固体又はゲルである[150]に記載の装置。
[152] 第一深共晶溶媒及び/又は第二深共晶溶媒が、[13]〜[149]のいずれかに記載の深共晶溶媒である[150]又は[151]に記載の装置。
[153] 第一深共晶溶媒及び/又は第二深共晶溶媒が、3,3,3−トリフルオロプロパンアミド、2,2−ジフルオロ−2−フェニルアセトアミド、尿素及びチオ尿素から選択される成分を含む[152]に記載の装置。
[154] 第一深共晶溶媒及び/又は第二深共晶溶媒が塩化コリン、ブチリルコリンヨージド、及びN,N,N−トリメチルグリシンから選択される成分を含む[152]又は[153]に記載の装置。
[155] ワイヤ、ピン、ブラシ、棒、メッシュ、透過性膜、ポリマーパッド、及びプラスチックホルダーから選択される後つかみ部をさらに含み、該後つかみ部は取り外しできるように試料と結合できる[151]〜[154]のいずれかに記載の装置。
[156] 第一深共晶溶媒及び/又は第二深共晶溶媒が、ポリエチレングリコール、アガロース、ポリアクリレート、及びセルロースから選択される支持性マトリックスを含む[151]〜[155]のいずれかに記載の装置。
[157] 深共晶溶媒を含む容器、及びキャップを含み、キャップが深共晶溶媒を含む容器を密封するように変更可能であり、かつ突き刺し可能である事を特徴とする生物学的試料固定装置。
[158] 深共晶溶媒が[13]〜[149]のいずれかに記載の深共晶溶媒である[157]に記載の使用。
[159] キャップが自己シール性である[157]又は[158]に記載の装置。

Claims (25)

  1. 生体分子の分解を阻害する深共晶溶媒(deep eutectic solvent)の使用であって、
    生体分子が、DNAまたはタンパク質であり、
    深共晶溶媒が第一成分及び第二成分を含み、第一成分が式Iの化合物であり、

    6がH又はOHであり、
    7がH、CH3、Cl、Br、カルボニル酸素及び

    から選択され;
    Zが−CH2−、O及びSから選択され、
    8がR11又はOHであり、
    第二成分が式IIの化合物またはその塩を含み、

    AはO、S及びNHから選択され、
    1はR9、及び−C(R3)(R4)(R5)から選択され、
    2はH及び1〜3の炭素原子を有する直鎖アルキル基から選択され、
    3は置換されていない5員又は6員の脂肪族環又は芳香族環であるか、或いは置換されている5員又は6員の脂肪族環又は芳香族環であり、置換基はR10であり、
    4及びR5はFであり、
    9がモノ−、ジ−又はトリフルオロメチル基であるか、モノ−、ジ−又はトリフルオロエチル基であり、
    10及びR11は、それぞれ独立して、1〜3の炭素原子を有するアルキル基、1〜3の炭素原子を有するモノクロロアルキル基、及び1〜3の炭素原子を有するモノフルオロアルキル基、ジフルオロアルキル基又はトリフルオロアルキル基から選択される、使用。
  2. 生体分子がタンパク質であり、タンパク質がリンタンパク質である請求項1に記載の使用。
  3. 生体分子が試料又は組織中に存在する請求項1又は2に記載の使用。
  4. 試料又は組織が固体組織、血漿、血清又は全血を含む請求項3に記載の使用。
  5. AがO又はSである請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
  6. 2がHである請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
  7. 9がモノ−、ジ−又はトリフルオロメチル基である請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
  8. 第二成分がトリフルオロアセトアミド、トリフルオロチオアセトアミド、又はN−メチルトリフルオロアセトアミドである請求項7に記載の使用。
  9. 9がモノ−、ジ−又はトリフルオロエチル基である請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
  10. 第二成分が2,2−ジフルオロプロパンアミド、又は3,3,3−トリフルオロプロパンアミドである請求項9に記載の使用。
  11. 1がC(R3)(R4)(R5)である請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
  12. 3が置換されていない6員の芳香族環であるか、置換されている6員の芳香族環であり、置換基がR10である請求項11に記載の使用。
  13. 3が置換されていないフェニル基であるか、又は置換されているフェニル基であり、置換基がR10である請求項12に記載の使用。
  14. 第二成分が2,2−ジフルオロ−2−フェニルアセトアミドである請求項13に記載の使用。
  15. 3が置換されているフェニル基であり、置換基がモノ−、ジ−又はトリフルオロメチル基である請求項13に記載の使用。
  16. 置換基がフェニル基の2位にある請求項15に記載の使用。
  17. 第二成分が2−(トリフルオロメチル)フェニルアセトアミドである請求項16に記載の使用。
  18. 第一成分がコリン、臭化コリン、又はN,N,N−トリメチルグリシンを含む請求項1〜17のいずれかに記載の使用。
  19. 7

    である請求項1〜17のいずれかに記載の使用。
  20. 第一成分がアセチルコリン、アセチルチオコリン、ブチリルコリン、又はカルニチンを含む請求項19に記載の使用。
  21. 第一成分が、N,N,N−トリメチルグリシンであり、第二成分が、トリフルオロアセトアミドである請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
  22. 第二成分に対する第一成分のモル比が1:1.5〜1:2.5の範囲である請求項1〜21のいずれかに記載の使用。
  23. 深共晶溶媒が、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、亜鉛EDTA、硫酸アンモニウム、トシレートアンモニウム、ソルビトール、1−ベンジルイミダゾール及びテトラメチル尿素から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む請求項1〜22のいずれかに記載の使用。
  24. 深共晶溶媒が、40体積%〜60体積%のシリカゲルをさらに含む請求項1〜23のいずれかに記載の使用。
  25. 深共晶溶媒が、N−アルキルピロリドンをさらに含み、N−アルキル基が1〜5の炭素原子を有する請求項1〜24のいずれかに記載の使用。
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