JP2008263981A - 低塩条件下での、固相への核酸の吸着 - Google Patents

低塩条件下での、固相への核酸の吸着 Download PDF

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Abstract

【課題】低塩濃度の存在下で固相に対する核酸の吸着を許容する組成物を提供する。
【解決手段】水溶液からの核酸の固相、たとえばシリカへの吸着を促進するビスカチオン性有機化合物であるビス−ベンズイミダゾリウムカチオン、ビス−イミダゾリウムカチオン及びビス−グアニジウムカチオンを使用することからなり、吸着は低塩濃度下で生じる。さらに、水溶液からの核酸単離のため吸着核酸を含む固相から核酸を溶出する好適な方法およびキットからなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、核酸の精製に関する。
サンプル材料からの核酸の単離を開示する多数の方法が、本技術分野で公知である。この目的を達成するためには、サンプル調製の方法が非常に重要である。
特に有用な方法では、サンプル材料を溶解し、カオトロピック物質の存在下で、固相(たとえばシリカマトリックス)に核酸を吸着させることによって本目的を達成する。残存溶解物から選択相を分離し、続く固相からの核酸の脱着によって、核酸を効果的に単離することができる。
吸着工程の間、カオトロピック物質は、溶解した核酸分子の水和物シェルからの水分子、ならびに固相、たとえばシリカマトリックスの表面からの水分子の除去に影響を与える。結果として、シリカマトリックスの−Si−OH基と、核酸骨格のリン酸−ジエステル基との間の直接イオン性相互作用が可能になる(Melzak, K., A.,ら、J. Coll. Interf. Sci. 181 (1996) 635-644)。
最先端技術においては、カオトロピック物質が、1M〜6Mの間、またはそれ以上の範囲の非常に高い濃度で適用される。シリカマトリックス中に存在する、添加物、たとえばホウ素、鉄、リン、アルミニウムなどのような他の要素が、核酸に結合するための固相の能力に影響を与え得る。
記述されたカオトロピック効果は、エントロピーの増大を伴う。したがって、平衡は、固相表面への核酸の結合にシフトする。しかし、必須条件として、固相の表面が、中性状態でなければならない。特に、シリカ材料の表面に対して、核酸を吸着させるための好ましいpH範囲は、pH4〜pH6の間である。
カオトロピック効果は、他の脱水物質の添加によって増強することができる。たとえば、有機溶媒、たとえばアルコールの添加が、結果として、ガラス表面への核酸の吸着の改善となる。アルコール濃度は通常、30%〜60%[v/v]の範囲にある。さらに、アルコールは、他の有機化合物を犠牲にして、その選択性を結合している核酸の方へシフトするようである。
さらに、界面活性剤が、サンプル材料の溶解を増強するために、高濃度(たとえばTriton X−100、20%[v/v])で加えられる。同時に、界面活性剤は、固相への核酸の吸着の工程に確実に影響を与え得る。
高濃度でのカオトロピック物質のさらなる利点は、溶解物中に存在し得るヌクレアーゼの阻害である。この特定の効果は、DTTのような還元化合物の添加によって増強され得る。
最新技術は、ある不利点を有する。固相上への核酸の所望の吸着を達成するために、組成物は、充分な結合と選択性を達成するために、非常に複雑で、かつ非常に高い濃度の試薬−とりわけ1つ以上の塩−を含んで形成されなければならない。処理の前に、サンプル材料の複雑性に依存して、望ましくない構成成分および特定のタンパク質は、特別に前処理されなければならない。この目的を達成するために、サンプル材料を頻繁にプロテイナーゼ、たとえばプロテイナーゼKで消化する。しかし、高濃度のカオトロピック物質は、プロテイナーゼ活性を阻害する。この短所は、多量のタンパク質分解酵素を適用することで克服することができるが、このアプローチでは、プロテアーゼが高品質である必要があるので、すなわち、ヌクレアーゼを含むべきでないので、サンプル調製のコストが増加する。さらなる不利点は、可燃性で安全予防を必要とするアルコールの頻繁な使用である。アルコールに関する研究室での安全の懸念に加え、有機化合物はピペット操作する場合に、さらなる問題を引き起こす。エタノールまたはイソプロパノールのようなアルコールの蒸気圧が、液体の自動操作に関して、特に技術的な問題である。
したがって、本発明の目的は、液相から固相への核酸の吸着のために、代替的な組成物を提供することであった。本発明の詳細な目的は、組成物に、アルコールの少なくともいくつかの不利点を克服する有機添加物を提供することであった。本発明のさらなる特定の目的は、最新技術においてよりも、低塩濃度の存在下で固相に対する核酸の吸着を許容する組成物を提供することであった。
本発明の第一の態様は、核酸の固相への結合のためのビスカチオン性有機化合物の使用である。本発明による使用において、ビスカチオン性化合物は、ビス−ベンズイミダゾリウムカチオン、ビス−イミダゾリウムカチオンおよびビス−グアニジニウムカチオンからなる群から選択される。本発明の他の態様は、核酸を固相に吸着させるための水性組成物であって、該組成物が(a)緩衝塩、(b)ビスカチオン性有機化合物、(c)核酸を含む化合物の溶液であり、それによりビスカチオン性化合物とその1つ以上のカウンターイオンを除いた組成物中の塩濃度が、5mM〜300mMの間であることを特徴とする水性組成物である。核酸の精製方法であって、(a)以下の成分、(i)核酸に可逆的に結合可能な固相、(ii)核酸およびビスカチオン性有機化合物、を含む水性緩衝溶液を提供する工程、(b)核酸を固相に吸着させるための好適な条件下で、提供された成分を接触させる工程、(c)吸着核酸を含む固相を、溶液から分離する工程、(d)固相から核酸を溶出する工程を含み、それによって核酸を精製することを特徴とする方法。核酸に可逆的に結合可能な固相と、ビスカチオン性化合物の緩衝溶液を含むバイアルとを含む、核酸を単離するための構成部分のキット。固相がシリカフリースか、またはシリカでコーティングされた磁気粒子であることを特徴とする本発明によるキット。
本発明は、核酸の精製のための新規組成物および方法を提供する。特定の用語が特定の意味で使用されるか、または本発明の記述において、初めて定義される。本発明において、使用する用語は、その本技術分野で許容される定義が存在する場合、それらの定義が以下に列記した定義と矛盾するか、または部分的に矛盾する場合を除いて、それらの定義によって定義される。定義において矛盾が生じた場合、用語の意味は、以下に列記した任意の定義によって初めて定義される。
用語「含む」は、「含むが、必ずしも限定されない」を意味するために、本発明の説明、および特許請求の範囲において使用される。
冠詞「a」および「an」は、1つまたは2つ以上(すなわち少なくとも1つ)の冠詞の文法上の対象を意味するために本明細書で使用される。たとえば、「化合物(a compound)」は、1つの化合物または2つ以上の化合物を意味する。
濃度範囲などの数値の範囲を指定する場合、範囲は、第1の値n1および第2の値n2が続く、単語「〜の間」によって示される。指定範囲の下限は、第1の値と等しいか、またはそれより大きな値であると理解される。指定範囲の上限は、第2の値と等しいか、またはそれより小さな値であると理解される。したがって、値xの指定範囲は、n1≦x≦n2によって与えられる。
さらに、数値nとの組合せでの用語「約」は、数値±5%によって与えられる値、すなわちn−0.05×n≦x≦n+0.05×nによって与えられる区間における値xを示すことが理解される。数値nとの組合せでの用語「約」が本発明の好ましい実施形態を記載する場合、別の記載がない限り、nの値がもっとも好ましい。
核酸が吸着される対象である用語「固相」は、本発明による組成物中において不溶性である基体であると理解される。好ましい固相は、核酸の骨格のリン酸基と相互作用可能な表面を有する基体である。固相は、多孔性または非多孔性粒子、粉末化粒子または繊維の形態であり得る。複数の不織繊維を含むフリース材料からなる固相も含まれる。好ましい固相はガラスからなる。好ましい固相は、シリカ、石英、セライトまたは酸化性表面を有する他の材料(たとえば酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムおよび他の金属酸化物を含む)、またはそれらの混合物のような、多孔性または非多孔性鉱物基体である。また、用語「固相」は、シリカ、ガラス、石英またはセライトでコーティングされた、磁気的に引き付け可能な粒子を含む。さらに、「粉末」または「粉末化」材料の形態である基体は、本発明による液体組成物中に分散された場合に懸濁液を生成する微細に分割された材料を意味することが理解される。用語「粉末」または「粉末化」材料は、粉末化材料が凝集しているが、液相と組み合わされた場合に懸濁液を依然として生成する、錠剤を含むことが意図される。
本出願において使用する場合、用語「シリカ」は、ケイ素および酸素から主に構成される材料を意味する。これらの材料には、これらの材料の全ての種々の形状を含む、シリカ、二酸化ケイ素、シリカゲル、ヒュームドシリカゲル、珪藻土、セライト、タルク、石英、ガラス、ガラス粒子が含まれる。たとえばガラス粒子には、結晶シリカ、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、および繊維状の不織ガラスの粒子が含まれ得る。
用語「磁気粒子」は、常磁性または超常磁性特性を有する粒子を意味する。すなわち、粒子は、磁気的に置換可能であるが、外部から適用される磁場がない場合、磁化を維持しない。
本明細書で使用する場合、用語「サンプル」(または「サンプル材料」)は、複合サンプル、より好ましくは生物学的サンプルを意味する。複合サンプルは、核酸から分離することが望ましい複数の有機および無機化合物を含有し得る。用語「サンプル」はまた、他の起源から、たとえば化学または酵素反応混合物から、または生物学的サンプル材料の先の精製から誘導された核酸を含有する水溶液を含む。そこから核酸が精製される、用語「生物学的サンプル」は、ウイルスまたは細菌細胞、ならびにヒトおよび動物細胞のような多細胞生物から単離された細胞、ならびに組織および細胞培養液を含むサンプルを含む。とりわけ、サンプルには、白血球、および他の免疫学的に活性な細胞、低および/または高分子量の化学化合物、たとえば、ハプテン、抗原、抗体および核酸が含まれ得る。サンプルは、全血、血清、血漿、脳脊椎液、唾液、排泄物、生検切片、骨髄、含嗽液、組織、尿またはそれらの混合物であり得る。本発明はまた、ヒトまたは動物体からの流体のような生物学的サンプルを含み、好ましくは、生物学的サンプルは、血液、血漿、血清または尿である。血漿は好ましくはEDTA、ヘパリンまたはクエン酸血漿である。本発明の実施形態において、生物学的サンプルには、細菌細胞、真核細胞、ウイルスまたはそれらの混合物が含まれる。上記に例示された生物学的サンプルは、好ましくは溶解物のような処理された形態で、そこから(標的)核酸が 基体に吸着される組成物の一部であり得る。植物および菌、ならびに単細胞生物由来の細胞もまた、用語「生物学的サンプル」に含まれる。
本発明による好ましいサンプルは溶解物である。「溶解物」または「溶解サンプル」は、組織、細胞、細菌またはウイルスを含む複合サンプルおよび/または生物学的サンプルから得ることができ、ここで、材料の構造的完全性が破壊される。細胞、組織、またはより一般的には、生物学的サンプルを構成する粒子由来の成分を放出するために、材料を酵素または化学物質で処理して、そのような生物の細胞壁および細胞膜を溶解、分解または変性させ得る。このプロセスは、用語「溶解」に含まれる。核酸を溶解プロセスにおいて遊離させる場合、グアニジニウム塩および/またはアニオン性、カチオン性、両性イオン性または非イオン性界面活性剤のようなカオトロピック剤を使用することが一般的である。核酸分解活性を有する酵素や他の望ましくないタンパク質を迅速に分解するプロテアーゼを使用することも有利である。溶解プロセス後に、微粒子、すなわちサンプル材料の溶解していない物質が残る場合、粒状物質は、通常、溶解物から分離され、透明化された溶解物が得られる。これは、たとえば、ろ過または遠心分離によって実施することができる。このような場合、透明化された溶解物をさらに、たとえば本発明による方法によって処理する。したがって、用語「溶解サンプル」は透明化された溶解物を含む。
本発明による「カオトロピック剤」は、液体の水の規則的な構造を乱す化学物質である。カオトロピック剤はまた、タンパク質の展開(unfolding)、伸長および解離を促進する(Dandliker, W.、B., and de Saussure, V., A., In: The Chemistry of Biosurfaces, Hair, M., L., ed., Marcel Dekker, Inc. New York (1971)p.18)。好ましいカオトロピック塩は、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸グアニジニウム、イソチオシアン酸グアニジニウムまたはグアニジニウム塩酸塩である。別の好ましいカオトロピック剤は尿素である。
用語「水性」、「水性」相および「水性」溶液は、その溶媒部分が水を含む液相を表す。しかし、水混和性有機溶媒のような他の溶媒も、溶媒部分に存在し得る。他の溶媒の存在を考慮すると、体積/体積[v/v]として測定して、溶媒部分の30%〜100%の間が水である場合に、溶液は「水性」と考えられる。
本出願において使用する場合、用語「核酸」は、天然および合成起源のDNAおよびRNAポリヌクレオチドを意味する。これには、修飾されたヌクレオチド、たとえば、ジデオキシリボヌクレオチド、修飾された糖残基を有する核酸塩基、および修飾された塩基部分を有する核酸塩基が含まれる(たとえば、Scheit, K., H., Nucleotide Analogs, John Wiley and Sons, N.Y.(1980); Uhlmann, E., and Peyman, A., Chem. Rev. 90 (1990) 543-584を参照)。とりわけ、ゲノムDNA、相補DNA(cDNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)およびミクロRNA(miRNA)が含まれる。
用語「吸着」/「吸着させること」は一般的に、溶液中に浸漬された固体と溶質との間の引力相互作用により、溶液のバルク中の濃度を超えて、固体表面近くの溶質の濃度を増加させるように、分子またはイオン(「溶質」)を外部表面または界面へ接着または結合させることを意味する。表面への結合は通常、弱くかつ可逆的である。それは、集積する分子が、その上にそれらが形成される物質に実際に浸透しないような表面プロセスである。本用語は、固体中の孔の充填を意味する吸収とは混同されるべきでない。
核酸の単離および精製は、シリカマトリックスのような固相へ核酸を吸着させるための、高濃度のグアニジウム塩のようなカオトロピック剤の使用としばしば結びつけられる(Vogelstein, B., and Gillespie, D., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76 (1979) 615-619、Marko, M., A., ら、Anal. Biochem. 121 (1982)382-387)。
カオトロピック塩の例は、グアニジニウム塩、たとえば、チオシアン酸グアニジニウム、イソチオシアン酸グアニジニウム、またはグアニジニウム塩酸塩、およびヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウムである。当業者に公知の他の化合物も可能である。カオトロピック物質は、溶解した核酸分子の水和物シェル、ならびに固相、たとえばシリカマトリックスの表面からの水分子の除去を行う。結果として、シリカマトリックスの−Si−OH基と、核酸骨格のリン酸−ジエステル基との間の直接的なイオン性相互作用が、この特定の場合において可能となる(Melzak,K.,A.,ら、J.Coll.Interf.Sci.181(1996)635-644)。
記載したカオトロピック効果は、エントロピーの増加を伴う。したがって、平衡は、固相の表面への核酸の結合にシフトする。必須条件として、固相の表面は中性状態でなければならない。特に、シリカ材料の表面について、核酸を吸着させるための好ましいpH範囲は、pH4〜pH6の間である。添加物、たとえば、シリカマトリックス中に存在するホウ素、鉄、リン、アルミニウムなどのような他の要素が、適切な条件をシフトさせ得る。カオトロピック効果は、他の脱水物質の添加によって増強することができる。たとえば、有機溶媒、たとえばアルコールの添加は、核酸のガラス表面への改善された吸着をもたらす。
本発明者らは、驚くべきことに、特定のイオン性液体が、カオトロピック剤の効果と同様の効果を有することを発見した。本発明者らは、ビスカチオン性有機化合物が、水溶液からの核酸の、固相への吸着を効果的に促進することを示すことができた。
本発明の第一の態様は、したがって、核酸の固相への結合のためのビスカチオン性有機化合物の使用である。好ましくは、ビスカチオン性化合物は、ビス−ベンズイミダゾリンカチオン、ビス−イミダゾリウムカチオン、およびビス−グアニジニウムカチオンからなる群から選択される。より好ましくは、ビスカチオン性化合物は、MBITS、BGDS、MITSおよびBITSからなる群から選択される。
好ましくは、本発明によるビスカチオン性化合物は、ジトシルスルホネートとして使用される。しかし、他のカウンターイオンも可能である。
本発明によるビスカチオン性有機化合物は、固相、好ましくはシリカ表面を有する固相へ、好ましくは酸性条件下で、さらなるカオトロピック物質の必要なしに核酸の吸着を促進することができる。
さらに驚くべきことに、ビスカチオン性有機化合物の存在下での吸着は、500mMより低い塩濃度でさえも生じる。
本発明による吸着溶液中の塩濃度、たとえば低塩濃度に言及する場合、その1つ以上のカウンターイオンを含むビスカチオン性有機化合物の濃度は無視されることを理解されたい。したがって、塩濃度は、無機塩(たとえば生物学的サンプルのようなサンプル中に含まれる塩)のようなすべての他の塩と、緩衝塩とを含む。
好ましくは、吸着溶液中の塩濃度は、約10mM〜約250mMの間の範囲にある。より好ましくは、塩濃度は、約20mM〜150mMの間の範囲にある。より好ましくは、塩濃度は約25mM〜100mMの間の範囲にある。
本発明のさらなる態様は、したがって、核酸を固相に吸着させるための水性組成物であって、該組成物が(a)緩衝塩、(b)ビスカチオン性有機化合物、(c)核酸を含む化合物の溶液であり、それによりビスカチオン性化合物とその1つ以上のカウンターイオンを除いた組成物中の塩濃度が、約5mM〜約300mMであることを特徴とする水性組成物である。より好ましくは、塩濃度は、10mM〜250mMであり、より一層好ましくは20mM〜200mMである。
本発明による水性組成物を、「吸着溶液」ともいう。
好ましくは、本発明による組成物のpHを、pH約4.0〜約7.5の間の値に調整する。より好ましくは、pHは約4.0〜6.5であり、非常に好ましくは、5.5〜6.5である。好適な水性緩衝溶液を調製することは、当業者には自明なことである。分子生物学的目的のために好適な緩衝系は、たとえばSambrook, J.ら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 3rd edition, CSHL Press (2001) Cold Spring Harbor, New Yorkに見られ得る。好ましい緩衝物質は、Tris−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン(TRIS)、2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)ホスフェート、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPES)、酢酸、それらの塩、および他の好適な物質である。
本発明のさらなる態様は、核酸の精製方法であって、(a)以下の成分、(i)核酸に可逆的に結合可能な固相、(ii)核酸およびビスカチオン性有機化合物、を含む水性緩衝溶液を提供する工程、(b)核酸を固相に吸着させるための好適な条件下で、提供された成分を接触させる工程、(c)吸着核酸を含む固相を、溶液から分離する工程、(d)固相から核酸を溶出する工程を含み、それによって核酸を精製することを特徴とする方法である。工程(c)において、核酸をビスカチオン性化合物から分離する。好ましくは工程(c)の後、工程(d)を実施する前に、核酸が結合した固相を洗浄工程に供し、それによって洗浄溶液はアルコールを含有する。
一般的に、本発明による組成物および方法を用いてそこに核酸が吸着させられる好ましい固相には、多孔性または非多孔性固体基体が含まれる。非常に好ましいのはシリカ基体である。より好ましくは、シリカ基体は、シリカゲル、ガラス繊維、石英繊維およびセライトからなる群から選択される。また好ましくは、固相は、金属酸化物および/または金属混合酸化物、アルミナ、チタニア、ジルコニア、およびおもにガラスからなる材料からなる群から選択される多孔性または非多孔性鉱物基体を含む。
固相は、0.1μm〜100μmの粒径を有することがまた好ましい。多孔性固相材料は、使用される場合、2〜1,000nmの孔径を有することがまた好ましい。より好ましくは、多孔性または非多孔性固相材料、とりわけセライトは、ルーズなパッキングの形態である。なおより好ましくは、固相は、ガラス、石英もしくはセラミックフィルターシートの形態のフィルターシート、および/またはシリカゲルを含有する膜、および/または鉱物基体の粒子もしくは繊維、および石英またはガラスウールの布地、すなわち繊維状の不織ガラスからなる。
固相が磁気的に引き付け可能な粒子を含むこともまた好ましい。より好ましくは、磁気的に引き付け可能な粒子は、シリカ、ガラス、石英およびセライトからなる群から選択される鉱物基体でコーティングされている。さらに好ましくは、基体は、ガラスでコーティングされた磁気的に引き付け可能な粒子を含む。本発明において使用される磁気ガラス粒子は、種々の剤形で提供され得る。それらを、錠剤の形態で、粉末として、または懸濁液として提供することができる。非常に好ましくは、磁気ガラス粒子を、本発明による液体組成物中に懸濁させる。好ましくは、これらの懸濁液には、5〜100mg/mlの磁気ガラス粒子(MGPs)が含まれる。また好ましくは、シリカ含有材料を、本発明によるイオン性液体を必要に応じて含み得る水性緩衝溶液中に懸濁させる。
核酸は、サンプル材料中に含まれ得る。したがって、サンプル材料は、工程(a)(ii)の組成物の一部分であり得る。サンプル材料は、好ましくは、工程(b)を実施する前に組成物中で均質化される。サンプル材料は、生物学的材料を含み得る。またこの場合、均質化工程は、好ましくは工程(b)の前に実施する。必要に応じて、均質化の後に、細胞残骸のような残存する粒状物質を、遠心分離によって残りの均質化サンプル材料から分離し、上清をさらに工程(b)を実施することによって処理する。遠心分離以外に、ろ過を含む代替的な分離技術が公知である。
本発明による方法の精製効果は、これらの条件下、すなわち本発明による組成物の存在下で、固相材料へ結合するDNAまたはRNAの挙動に起因する。サンプルを基体、すなわち核酸に対して親和性を有する材料に接触させるために、サンプルを材料と混合し、結合が生じるのに十分な時間の間インキュベートする。専門家は通常、たとえば先端技術において記載したアルコールおよびカオトロピック塩の存在下において固相の匹敵する処理を実施するための手順から、インキュベーション工程の期間をよく知っている。この工程は、種々の時点で固相の表面上の固定化された核酸の量を測定することによって最適化され得る。10秒間〜30分間のインキュベーション時間が核酸について好適であり得る。インキュベーションの後、吸着された標的成分が液相から分離される。これは、一般的に重力によって達成され得る。
磁気ガラス粒子に結合した核酸の都合の良い場合、分離工程は、吸着された核酸材料を含む磁気粒子に磁場を適用することによって実施される。たとえば、磁気粒子は、インキュベーションが実施された容器の壁に引き寄せられ得る。次いで、磁気粒子に結合されないサンプル成分を含む液体を、除去することができる。使用する除去手順は、インキュベーションが実施された容器の種類に依存する。好適な工程には、ピペット操作または吸引によって液体を除去することが含まれる。
別の好ましい方法は、ドイツ、マンハイム(Mannheim, Germany)のロッシュ ディアグノスティクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング(Roche Diagnostics GmbH)からのHIGH PURE(登録商標)カラムのような市販されているいわゆる「スピンカラム」または「スピンフィルターカラム」の使用である。スピンフィルターカラム管は通常、カラムの下部に配置されかつ下部の開口部を覆っている不織ガラス繊維のフリースを含む。核酸を含む吸着溶液が、カラムに移され、力を付加することによってフリースを通過させられる。用語「力」には、重力、および好ましくは遠心分離力が含まれる。吸着溶液が、遠心分離によって付加された力によってフィルターを通過させられる「スピンカラム」手順が非常に好ましい。吸着溶液をフリースに通過させる他の方法としては、加圧および吸引が挙げられる。
次いで、吸着された核酸を含む固相は、少なくとも1回、洗浄溶液で洗浄され得る。洗浄工程は任意である。標的成分を材料表面から放出させないが、望ましくない汚染物質を可能な限り完全に除去する洗浄溶液を使用する。この洗浄工程は好ましくは、結合された標的核酸を含む材料を洗浄溶液と共にインキュベートすることによって実施される。好ましくは、この工程の間に材料を再懸濁する。また好ましくは、材料がガラスフリースであるか、カラム中のパッキングである場合、洗浄工程は、洗浄溶液でカラムをすすぐことによって実施される。好ましくは、洗浄溶液を、圧力、吸引、遠心分離力または重力を付加することによってカラムに通す。好適な洗浄溶液が当業者に公知であり、塩、カオトロピック物質および/またはアルコールのような有機溶媒を含有し得る。汚染された洗浄溶液は、好ましくは、固相へ核酸を吸着させるために上述した工程と同様に除去される。最後の洗浄工程後、吸着された核酸を含む固相の分離された材料は、真空中において短時間乾燥され得、または流体を蒸発させることができる。アセトンを用いた前処理工程もまた実施され得る。
その後、条件を、固相から核酸を放出するように変化させる。この工程はまた、核酸を「溶出する」ともいう。固定化された生物学的材料を含む固相を、カオトロピック剤および/または有機溶媒および/または液体イオンを含まないか、もしくはほんの少量含む水溶液と接触させる。あるいは、懸濁液を、カオトロピック剤および/または有機溶媒および/または液体イオンを含まないか、もしくはほんの少量含む溶液で希釈し得る。この性質の緩衝液は、たとえば独国特許出願公開第3724442号明細書およびJakobi, R.,ら、Anal. Biochem. 175 (1988) 196-201から、当業者に公知である。塩含量の低い溶出緩衝液は、とりわけ、0.2mol/l未満の含量を有する緩衝液である。好ましくは、溶出緩衝液は、緩衝目的のために、物質Trisを含む。また好ましくは、溶出緩衝液は、脱塩水である。精製された核酸を含む溶液は、ここで他の反応のために使用され得る。必要に応じて、核酸を、たとえばエタノールまたはイソプロパノールを用いて、溶液から析出し得る。析出物をまた、さらなる洗浄工程に供し得る。この種類の方法は、当業者に公知であり、Sambrook, J.,ら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 3rd edition、CSHL Press (2001) Cold Spring Harbor, New Yorkにおいて詳細に記載されている。
本発明はまた、キットを意図する。当該技術分野で公知であるようなキットには、サンプル調製手順において有用なプラスチックウェアが含まれる。これについての例は、96または384ウェルフォーマットでのマイクロウェルプレート、またはたとえば、ドイツ、ハンブルク(Hamburg, Germany)のエッペンドルフ(Eppendorf)社によって製造される通常の反応管である。本発明のキットはまた、本発明による方法を実施するためのいくつかの、またはすべての他の試薬も含む。したがって、キットはさらに、固相、すなわち核酸に親和性を有する材料を含み得る。好ましくは、固相は、シリカ表面を有する材料を含む。非常に好ましくは、固相は、ガラスまたは石英繊維を含む。また非常に好ましくは、固相は、磁気ガラス粒子、すなわちガラスによってコーティングされた磁気的に引き付け可能な粒子を含む組成物である。キットは、さらにまたは追加的に、本発明によるビスカチオン性有機化合物を含む溶解緩衝液、界面活性剤、またはそれらの混合物を含む。本発明によるキットのこれらの成分は、チューブまたは保存容器内に別々に提供され得る。成分の性質に依存して、これらは単一のチューブまたは保存容器に提供され得る。キットは、さらにまたは追加的に、DNAまたはRNAまたは両方がそこに結合した際の固相の洗浄工程のために好適である洗浄溶液を含み得る。この洗浄溶液には、緩衝溶液または酸性pHを有する溶液中のカオトロピック剤が含まれ得る。さらに、洗浄溶液は、C1〜C5アルコールを含み得る。好ましくは、アルコールはエタノールまたはイソプロパノールである。
しばしば、洗浄溶液または他の溶液は、使用前に希釈されるべき保存溶液として提供される。キットは、さらにまたは追加的に、脱着溶液、すなわち溶出緩衝液、すなわち固相から核酸を脱着させるための溶液を含む。好ましい脱着溶液は、緩衝液(たとえば10mM Tris、1mM EDTA、pH8.0)または純水であり得る。さらに、核酸、すなわちDNAまたはRNAの精製プロセスに使用され得る追加的な試薬または緩衝溶液が存在し得る。したがって、本発明の別の態様は、核酸に可逆的に結合可能な固相と、ビスカチオン性化合物の緩衝溶液を含むバイアルとを含むことを特徴とする核酸含有材料から核酸を単離するためのキットである。好ましくは、固相は、シリカフリースまたはシリカでコーティングされた磁気粒子である。非常に好ましくは、ビスカチオン性化合物は、MBITS、BGDS、MITSおよびBITSからなる群から選択される。
さらに詳細には、本発明は以下のポイントを含む。
1.核酸の固相への結合のためのビスカチオン性有機化合物の使用。
2.グアニジニウム塩の非存在下におけるポイント1に記載の使用。
3.ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸グアニジニウム、イソチオシアン酸グアニジニウム、グアニジニウム塩酸塩および尿素からなる群から選択される1つ以上の化合物の非存在下におけるポイント1記載の使用。
4.エタノールおよびイソプロパノールの非存在下におけるポイント1〜3のいずれか1つに記載の使用。
5.C1〜C5脂肪族アルコールの非存在下におけるポイント1〜3のいずれか1つに記載の使用。
6.核酸がDNAまたはRNAであることを特徴とするポイント1〜5のいずれか1つに記載の使用。
7.1つ以上の塩の存在下におけるポイント1〜6のいずれか1つに記載の使用であって、それにより該1つ以上の塩が500mM未満の濃度で存在する使用。
8.1つ以上の塩の存在下におけるポイント1〜6のいずれか1つに記載の使用であって、それにより該1つ以上の塩が1mM〜400mMの間の濃度で存在する使用。
9.1つ以上の塩の存在下におけるポイント8に記載の使用であって、それにより該1つ以上の塩が5mM〜300mMの間の濃度で存在する使用。
10.1つ以上の塩の存在下におけるポイント9に記載の使用であって、それにより該1つ以上の塩が10mM〜250mMの間の濃度で存在する使用。
11.1つ以上の塩の存在下におけるポイント10に記載の使用であって、それにより該1つ以上の塩が20mM〜150mMの間の濃度で存在する使用。
12.1つ以上の塩の存在下におけるポイント10に記載の使用であって、それにより該1つ以上の塩が25mM〜100mMの間の濃度で存在する使用。
13.ビスカチオン性化合物が、ビス−ベンズイミダゾリウムカチオン、ビス−イミダゾリウムカチオン、およびビス−グアニジニウムカチオンからなる群から選択されることを特徴とするポイント1〜12のいずれか1つに記載の使用。
14.核酸を固相に吸着させるための水性組成物であって、該組成物が、
(a)緩衝塩、
(b)ビスカチオン性有機化合物、
(c)核酸
を含む化合物の溶液であり、それによりビスカチオン性化合物とその1つ以上のカウンターイオンを除いた組成物中の塩濃度が、500mM未満であることを特徴とする水性組成物。
15.組成物が、グアニジニウム塩を除く化合物の溶液であることを特徴とするポイント14の水性組成物。
16.前記組成物が、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸グアニジニウム、イソチオシアン酸グアニジニウム、グアニジニウム塩酸塩および尿素からなる群から選択される1つ以上の化合物を除く化合物の溶液であることを特徴とするポイント14の水性組成物。
17.前記組成物が、1つ以上のカオトロピック剤を除く化合物の溶液であることを特徴とするポイント14の水性組成物。
18.前記組成物が、エタノールおよびイソプロパノールを除く化合物の溶液であることを特徴とするポイント14〜17のいずれか1つに記載の水性組成物。
19.前記組成物が、C1〜C5脂肪族アルコールを除く化合物の溶液であることを特徴とするポイント14〜17のいずれか1つに記載の水性組成物。
20.前記核酸が、DNAまたはRNAであることを特徴とするポイント14〜19のいずれか1つに記載の水性組成物。
21.前記ビスカチオン性化合物とその1つ以上のカウンターイオンを除いた組成物中の塩濃度が、1mM〜400mMであることを特徴とするポイント14〜20のいずれか1つに記載の水性組成物。
22.前記ビスカチオン性化合物とその1つ以上のカウンターイオンを除いた組成物中の塩濃度が、5mM〜300mMであることを特徴とするポイント21に記載の水性組成物。
23.前記ビスカチオン性化合物とその1つ以上のカウンターイオンを除いた組成物中の塩濃度が、10mM〜250mMであることを特徴とするポイント22に記載の水性組成物。
24.前記ビスカチオン性化合物とその1つ以上のカウンターイオンを除いた組成物中の塩濃度が、20mM〜150mMであることを特徴とするポイント23に記載の水性組成物。
25.前記ビスカチオン性化合物とその1つ以上のカウンターイオンを除いた組成物中の塩濃度が、25mM〜100mMであることを特徴とするポイント24に記載の水性組成物。
26.前記ビスカチオン性化合物が、ビス−ベンズイミダゾリウムカチオン、ビス−イミダゾリウムカチオン、およびビス−グアニジニウムカチオンからなる群から選択されることを特徴とするポイント14〜25のいずれか1つに記載の水性組成物。
27.核酸の精製方法であって、
(a)以下の成分
(i)核酸に可逆的に結合可能な固相
(ii)核酸およびビスカチオン性有機化合物を含む水性緩衝溶液
を提供する工程、
(b)固相に核酸を吸着させるために好適な条件下で、提供された成分を接触させる工程、
(c)吸着核酸を含む固相を、溶液から分離する工程、
(d)固相から核酸溶出する工程、
を含み、それによって核酸を精製することを特徴とする方法。
28.工程(a)において、(ii)の水性緩衝溶液が、500mM未満の濃度の1つ以上の塩を含むことを特徴とするポイント27に記載の方法。
29.水性緩衝溶液中の塩濃度が、1mM〜400mMの間にあるポイント28に記載の方法。
30.水性緩衝溶液中の塩濃度が、5mM〜300mMの間にあるポイント29に記載の方法。
31.水性緩衝溶液中の塩濃度が、10mM〜250mMの間にあるポイント30に記載の方法。
32.水性緩衝溶液中の塩濃度が、20mM〜150mMの間にあるポイント31に記載の方法。
33.水性緩衝溶液中の塩濃度が、25mM〜100mMの間にあるポイント32に記載の方法。
34.工程(a)において、(ii)の水性緩衝溶液が、グアニジニウム塩を除く化合物の溶液であることを特徴とするポイント27〜33のいずれか1つに記載の方法。
35.工程(a)において、(ii)の水性緩衝溶液が、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸グアニジニウム、イソチオシアン酸グアニジニウム、グアニジニウム塩酸塩および尿素からなる群から選択される1つ以上の化合物を除く化合物の溶液であることを特徴とするポイント27〜33のいずれか1つに記載の方法。
36.工程(a)において、(ii)の水性緩衝溶液が、1つ以上のカオトロピック剤を除く化合物の溶液であることを特徴とするポイント27〜33のいずれか1つに記載の方法。
37.前記組成物が、エタノールおよびイソプロパノールを除く化合物の溶液であることを特徴とするポイント27〜36のいずれか1つに記載の方法。
38.前記組成物が、C1〜C5脂肪族アルコールを除く化合物の溶液であることを特徴とするポイント27〜36のいずれか1つに記載の方法。
39.前記核酸が、DNAまたはRNAであることを特徴とするポイント27〜38のいずれか1つに記載の方法。
40.前記ビスカチオン性化合物が、ビス−ベンズイミダゾリウムカチオン、ビス−イミダゾリウムカチオン、およびビス−グアニジニウムカチオンからなる群から選択されることを特徴とするポイント27〜39のいずれか1つに記載の方法。
41.核酸に可逆的に結合可能な固相と、ビスカチオン性化合物の緩衝溶液を含むバイアルとを含む、核酸を単離するための構成部分のキット。
42.前記固相が、シリカフリースまたはシリカでコーティングされた磁気粒子であることを特徴とするポイント41に記載のキット。
43.前記ビスカチオン性化合物が、ビス−ベンズイミダゾリウムカチオン、ビス−イミダゾリウムカチオン、およびビス−グアニジニウムカチオンからなる群から選択されることを特徴とするポイント41および42のいずれか1つに記載のキット。
以下の実施例および図面は、本発明、添付の特許請求の範囲に記載されるその真の目的の理解を助けるために提供される。本発明の精神から逸脱することなく、記載された手順において改変が行われ得ることを理解されたい。
実施例1
ガラスフリースへの核酸の吸着
ガラスフリースが、市販のHIGH PURE(登録商標)スピンカラム(ロッシュ ディアグノスティクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング、アプライド サイエンス(Appliced Science)、カタログ番号11796828001、マンハイムのロッシュ ディアグノスティクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングのキットから)中、固相として提供された。ガラスフリースへ吸着した核酸は、仔ウシ胸腺(Calf Thymus)DNA(ドイツのロッシュ ディアグノスティクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングによって流通される、異なるキットの一部でもあるロッシュ ディアグノスティクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング、アプライド サイエンス、識別番号10041785)であった。吸着溶液は別として、核酸精製のためのすべての工程を、製造業者によって推奨された通りに実施した。
試験された吸着溶液の組成は、表1に示す通りであった。50μgの量を各吸着溶液中に溶解し、容積500μlのアリコートを得た。各アリコートをスピンカラムに供し、液体を、遠心分離によってスピンカラムの底のガラスフリースを通過させた。
溶出緩衝液および条件は、キットと共に提供される利用者マニュアルに記載の通りであった(すなわち、溶出を500μl溶出緩衝液、10mM Tris−HCl緩衝液、pH8のアリコートを用いて実施した)。
吸着溶液中のDNAの濃度を、PICO GREENアッセイ(インビトロゲン(Invitrogen)、カタログ番号P7589)を用いて、吸着工程の前に測定した。さらに、PICO GREENアッセイを用いて、ガラスフリースを通過させた後(すなわち吸着工程の後)の各吸着緩衝液中の残留DNA濃度を測定した。これらの測定を用いて、固相に結合したDNAの相対量を、各吸着溶液について決定した。
さらに、溶出液中のDNA濃度を、260nmでの光度定量を用いて測定した。
Figure 2008263981
結果は、ビスカチオン性化合物が、従来の吸着溶液と同程度に良好に機能したことを示唆している。
MBITS(1H−ベンズイミダゾリウム、1,1’−(1,4−ブタンジイル)ビス[3−メチル])カチオン。 BGDS(グアニジニウム、N,N’’’−1,4−ブタンジイル)カチオン。 MITS(1H−イミダゾリウム、1,1’−(1,4−ブタンジイル)ビス[3−メチル−])カチオン。 BITS(1H−イミダゾリウム、1,1’−(1,4−ブタンジイル)ビス[3−ブチル−])カチオン。

Claims (6)

  1. 核酸の固相への結合のためのビスカチオン性有機化合物の使用。
  2. 前記ビスカチオン性化合物が、ビス−ベンズイミダゾリウムカチオン、ビス−イミダゾリウムカチオンおよびビス−グアニジニウムカチオンからなる群から選択される請求項1記載の使用。
  3. 核酸を固相に吸着させるための水性組成物であって、該組成物が、
    (a)緩衝塩、
    (b)ビスカチオン性有機化合物、
    (c)核酸
    を含む化合物の溶液であり、それによりビスカチオン性化合物とその1つ以上のカウンターイオンを除いた組成物中の塩濃度が、5mM〜300mMの間であることを特徴とする水性組成物。
  4. 核酸の精製方法であって、
    (a)以下の成分
    (i)核酸に可逆的に結合可能な固相
    (ii)核酸およびビスカチオン性有機化合物を含む水性緩衝溶液
    を提供する工程、
    (b)核酸を固相に吸着させるための好適な条件下で、提供された成分を接触させる工程、
    (c)吸着核酸を含む固相を、溶液から分離する工程、
    (d)固相から核酸を溶出する工程、
    を含み、それによって核酸を精製することを特徴とする方法。
  5. 核酸に可逆的に結合可能な固相と、ビスカチオン性化合物の緩衝溶液を含むバイアルとを含む、核酸を単離するための構成部分のキット。
  6. 前記固相が、シリカフリースまたはシリカでコーティングされた磁気粒子であることを特徴とする請求項5記載のキット。
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