JP2018095679A - シート状シール材、表示素子シール材、有機el素子用面封止材、有機elデバイス、および有機elデバイスの製造方法 - Google Patents

シート状シール材、表示素子シール材、有機el素子用面封止材、有機elデバイス、および有機elデバイスの製造方法 Download PDF

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裕介 富田
祐五 山本
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Abstract

【課題】酸素透過性や水分透過性が低く、保存安定性が高く、さらには貼り合わせの際に位置ズレが生じ難い、シート状シール材の提供。【解決手段】(A)23℃で固体のエポキシ樹脂と、(B)23℃で液状の脂環式エポキシ化合物と、(C)熱カチオン重合開始剤と、(D)光カチオン重合開始剤と、(E)アントラセンの9位または10位の少なくとも一方の炭素に酸素が結合した構造を有する増感剤と、を含む、シート状シール材。前記(B)の脂環式エポキシ化合物の含有量が前記(A)及び(B)のエポキシ樹脂の合計量に対して、10〜50質量%であるシート状シール材。【選択図】なし

Description

本発明は、シート状シール材や、これを含む表示素子シール材、有機EL素子用面封止材、ならびに有機ELデバイス、およびその製造方法に関する。
有機EL素子は、その消費電力が少ないことから、ディスプレイや各種照明装置などに用いられつつある。有機EL素子は、大気中の水分や酸素によって劣化しやすいことから、通常、シール材で封止されて使用されている。しかしながら、有機EL素子の実用性を高めるためには、シール材の酸素透過性や水分透過性をさらに低減することが望まれている。
ここで、有機ELデバイスは、基板と、当該基板上に配置された有機EL素子と、基板と対になる封止基板とを含む構造体等とされている。このような構造体において、封止基板と有機EL素子を配置した基板との間をシール材で面封止することがある。
有機EL素子を面封止するためのシール材として、液状のシール材が知られている(例えば、特許文献1)。液状のシール材を用いる場合、有機EL素子と封止基板との間にシール材を塗布し、これを硬化させることで、有機EL素子等と封止基板との間に面封止層を形成することができる。一方、有機EL素子を面封止するためのシール材として、シート状のシール材も知られている(例えば、特許文献2および特許文献3)。シート状のシール材を用いる場合、有機EL素子を配置した基板と、シール材と、封止基板とを積層し、シール材を硬化させること等により、有機EL素子等と封止基板との間に面封止層を形成することができる。
特開2007−59311号公報 国際公開第2006/104078号 国際公開第2015/129670号
しかしながら、特許文献1に記載のような液状のシール材は流動性が高い。そのため、面封止層、すなわち液状シール材の硬化物の厚みを均一に調整することが難しいとの課題があった。
一方、特許文献2に記載のシート状シール材は、熱硬化性のシール材である。当該シール材には、硬化性を高めることを目的として、比較的多量のイミダゾール系硬化剤が含まれているが、当該シール材は硬化性が高い反面、シール材の保存時にも硬化剤が反応しやすく、保存安定性が低い等の課題があった。
また、熱硬化性のシール材を硬化させる際、熱プレス等により加熱を行うが、シール材と有機EL素子との間、もしくはシール材と封止基板との間で位置ズレが生じやすく、所望の位置に面封止層を形成することが難しい、との課題もあった。
また、特許文献3には、光硬化性のシート状シール材も記載されているが、光硬化性のシート状シール材では、シート状に成形する際や、シール材の保管時に、シール材中の光重合開始剤が反応してしまうことがある。そのため、シール材の貼り合わせの際に、既に光に対する反応性が低下しており、シール材の接着性が不十分になることがあった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものである。すなわち、水分透過性や酸素透過性が低く、保存安定性が高く、貼り合わせの際に位置ズレが生じ難い、シート状シール材の提供が望まれている。
本発明の第一は、以下のシート状シール材にある。
[1](A)23℃で固体のエポキシ樹脂と、(B)23℃で液状の脂環式エポキシ化合物と、(C)熱カチオン重合開始剤と、(D)光カチオン重合開始剤と、(E)アントラセンの9位または10位の少なくとも一方の炭素に酸素が結合した構造を有する増感剤と、を含む、シート状シール材。
[2]前記(B)23℃で液状の脂環式エポキシ化合物の含有量が、前記(A)23℃で固体のエポキシ樹脂および前記(B)23℃で液状の脂環式エポキシ化合物の合計量に対して10〜50質量%である、[1]に記載のシート状シール材。
[3]前記(B)23℃で液状の脂環式エポキシ化合物が、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、および3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレートの少なくとも一方を含む、[1]または[2]に記載のシート状シール材。
本発明の第二は、以下の表示素子シール材等にある。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載のシート状シール材を含む、表示素子シール材。
[5]上記[1]〜[3]のいずれかに記載のシート状シール材を含む、有機EL素子用面封止材。
[6]上記[1]〜[3]のいずれかに記載のシート状シール材の硬化物。
本発明の第三は、以下の有機ELデバイスの製造方法や、有機ELデバイス、またこれを含む有機ELディスプレイパネル等にある。
[7]有機EL素子が形成された基板を準備する工程と、前記有機EL素子を、[5]に記載の有機EL素子用面封止材で覆う工程と、前記有機EL素子用面封止材を硬化させて、前記有機EL素子を面封止する工程と、を含む、有機ELデバイスの製造方法。
[8]前記有機EL素子を面封止する工程において、前記有機EL素子用面封止剤に光を照射した後、前記有機EL素子用面封止剤を加熱する、[7]に記載の有機ELデバイスの製造方法。
[9]有機EL素子と、前記有機EL素子と接するように、前記有機EL素子を面封止する面封止層と、を含み、前記面封止層は、上記[5]に記載の有機EL素子用面封止材の硬化物である、有機ELデバイス。
[10]上記[9]に記載の有機ELデバイスを有する、有機ELディスプレイパネル。
[11]上記[10]に記載の有機ELデバイスを有する、有機EL照明。
本発明によれば、酸素透過性や水分透過性が低く、保存安定性が高く、貼り合わせの際に位置ズレが生じ難い、シート状シール材とすることができる。
図1Aは、本発明の有機ELデバイスの一態様を示す概略断面図であり、図1Bは、本発明の有機ELデバイスの他の態様を示す概略断面図である。 Ca法による硬化物の透湿度の測定用サンプルの作製手順を示す模式図である。 UV照射後の接着試験の試験方法を示す図である。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
1.シート状シール材
本発明のシート状シール材(以下、単に「シール材」とも称する)は、各種表示デバイスの表示素子を面封止するためのシール材であり、23℃においてシート状のシール材である。
前述のように、従来の熱硬化性のシート状シール材では、熱プレス等の際に、シール材と表示素子等との間で位置ズレが生じることがあり、所望の位置に面封止層を形成することが難しかった。また、イミダゾール等の硬化剤を含むシール材では、保存安定性が低くなりやすく、貼り合わせ時に十分な接着強度が得られないこともあった。
一方、従来の光硬化性のシート状シール材では、シート状に成形する際や、シール材の保管中に、シール材中の光重合開始剤が可視光等に反応してしまい、貼り合わせ時に、十分な接着強度が得られないことがあった。また、光照射のみによってシール材を硬化させると、光照射量によっては、表示素子等に影響を及ぼすことがあり、さらには、硬化後の膜が黄味を帯びることもあった。
これに対し、本発明のシート状シール材は、(A)23℃で固体のエポキシ樹脂と、(B)23℃で液状の脂環式エポキシ化合物と、(C)熱カチオン重合開始剤と、(D)光カチオン重合開始剤と、(E)アントラセンの9位または10位の少なくとも一方の炭素に酸素が結合した構造を有する増感剤と、を含む。つまり、シート状シール材が、(C)熱カチオン重合開始剤および(D)光カチオン重合開始剤を含むため、光照射による仮硬化を行ってから、加熱によってシール材を硬化させることが可能である。したがって、熱硬化の際に上述のような位置ズレが生じ難く、所望の位置に正確に面封止層(シール材の硬化物)を形成することが可能となる。また、光硬化および熱硬化を組み合わせるため、シール材に光照射を過度に行う必要がなく、透明性の高い硬化物(面封止層)が得られやすい。
また、本発明のシール材は、(E)アントラセンの9位または10位の少なくとも一方の炭素に酸素が結合した構造を有する増感剤を含むため、組成物をシート状に成形する際や、シール材の保管時に(D)光カチオン重合開始剤が、可視光の影響を受けにくい。したがって、仮硬化の際に、(D)光カチオン重合開始剤を十分に反応させることが可能であり、十分に接着させることが可能である。さらに、本発明のシール材は、熱重合開始剤として、(B)熱カチオン重合開始剤を含むため、シール材の保存時に熱重合開始剤が反応し難く、保存安定性が高くなりやすい。以下、本発明のシート状シール材が含む各成分について説明する。
・(A)23℃で固体のエポキシ樹脂
本発明のシート状シール材が含む「(A)23℃で固体のエポキシ樹脂(以下、単に「(A)エポキシ樹脂」とも称する)」は、23℃において固体であり、かつ分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する樹脂であれば、その種類は特に制限されない。ただし、シール材の硬化性や、シール材の硬化物の酸素透過性や水分透過性の低減との観点から、分子中に2以上のエポキシ基を有することが好ましい。
また、(A)エポキシ樹脂の軟化点は40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。(A)エポキシ樹脂の軟化点が40℃以上であると、シール材が、23℃においてシート状となりやすい。また、(A)エポキシ樹脂の軟化点が40℃以上であると、シール材内で各成分が移動し難くなる。その結果、シール材の保管時に各成分が反応し難くなり、保存安定性がより高くなる。当該軟化点は環球法で測定して得られる。
また、(A)エポキシ樹脂の重量平均分子量は、800〜100000であることが好ましく、900〜90000であることがより好ましい。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値(ポリスチレン換算)である。また、(A)エポキシ樹脂のエポキシ当量は100〜10000g/eqであることが好ましく、150〜9500g/eqであることがより好ましい。エポキシ当量が当該範囲であると、シール材の硬化性が良好になりやすく、さらには硬化物の酸素透過性や水分透過性が低減されやすい。
ここで、(A)エポキシ樹脂の具体例には、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等で代表される芳香族ジオール類、もしくはこれらをエチレングリコールやプロピレングリコール等のアルキレングリコールで変性したジオール類と、エピクロルヒドリンとの反応で得られた芳香族多価グリシジルエーテル化合物(例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、またはこれらの混合構造を有するエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールエタン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂);フェノールまたはクレゾールとホルムアルデヒドとから誘導されるノボラック樹脂や、ポリアルケニルフェノールやそのコポリマー等で代表されるポリフェノール類と、エピクロルヒドリンとの反応で得られるノボラック型多価グリシジルエーテル化合物(例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂);キシリレンフェノール樹脂のグリシジルエーテル化合物類;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;環状脂肪族炭化水素に直接エポキシ基が結合した化合物;環状脂肪族炭化水素に連結基を介してエポキシ基が結合した化合物;等が含まれる。シール材は、これらを一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。これらの中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂が、入手の容易さの観点から好ましい。
環状脂肪族炭化水素に直接エポキシ基が結合した化合物の例には、下記一般式(II)で表される化合物が含まれる。
Figure 2018095679
上記一般式(II)において、Rは、一価の有機基を示す。なお、シクロヘキサン環を構成する炭素原子には、アルキル基等の置換基が結合していてもよい。
上記一般式(II)で表される化合物の具体例には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等が含まれる。一般式(II)で表される化合物の市販品の例には、EHPE3150(商品名、ダイセル社製)等が含まれる。
また、環状脂肪族炭化水素に連結基を介してエポキシ基が結合した化合物の例には、芳香族エポキシ化合物の水素添加物が含まれる。その具体例には、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールS型エポキシ化合物、水添ビスフェノールF型エポキシ化合物等が含まれる。
シール材中の(A)エポキシ樹脂の量は、25〜89質量%であることが好ましく、30〜85質量%であることがより好ましい。シール材中の(A)エポキシ樹脂の量が当該範囲であると、シール材の硬化物の強度が十分に高まりやすく、さらには硬化物の酸素透過性や水分透過性が低減されやすい。
・(B)23℃で液状の脂環式エポキシ化合物
本発明のシート状シール材が含む「(B)23℃で液状の脂環式エポキシ化合物(以下、「(B)脂環式エポキシ化合物」とも称する)」は、23℃において液状であり、分子中に環状脂肪族炭化水素構造を含み、さらに少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物であれば、特に制限されない。ただし、シール材の硬化速度をより高めることができるとの観点から、分子中に2つ以上のエポキシ基を有することが好ましい。
(B)脂環式エポキシ化合物は、E型粘度計(例えば、BROOKFIEL社製のデジタルレオメータ型式DII−III ULTRA)で23℃、1.0rpmにて測定される粘度が2〜10000mPa・sであることが好ましく、40〜10000mPa・sであることがより好ましい。(B)脂環式エポキシ化合物の粘度が当該範囲であると、シール材の柔軟性を高めることができる。その結果、シール材を表示素子等と貼り合わせる際に、シール材が表示素子や基板等の形状に追従して変形することが可能となる。つまり、表示素子等の埋め込み性が良好となり、表示素子等を大気中の水分や酸素等から十分に保護することが可能となる。
また、(B)脂環式エポキシ化合物の分子量、もしくは重量平均分子量は、180〜790であることが好ましく、180〜500であることがより好ましい。重量平均分子量は、GPCにより測定される値(ポリスチレン換算)である。また、(B)脂環式エポキシ化合物のエポキシ当量は90〜500g/eqであることが好ましく、90〜250g/eqであることがより好ましい。(B)脂環式エポキシ化合物のエポキシ当量が当該範囲であると、シール材の硬化性が良好になりやすく、さらには硬化物の酸素透過性や水分透過性が低減されやすい。
(B)脂環式エポキシ化合物の具体例には、エポキシシクロヘキサン構造等のシクロアルケンオキサイド構造を含む化合物や、環状脂肪族炭化水素に直接または炭化水素基を介してエポキシ基が結合した化合物が含まれる。シール材は、(B)脂環式エポキシ化合物を一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
シクロアルケンオキサイド構造を有する(B)脂環式エポキシ化合物の例には、下記一般式(I)で表される、エポキシシクロヘキサン構造を有する化合物や、その変性物が含まれる。
Figure 2018095679
上記一般式(I)において、Xは単結合または連結基(1以上の原子を有する2価の基)を示す。なお、シクロヘキサン環を構成する炭素原子には、アルキル基等の置換基が結合していてもよい。
上記一般式(I)においてXで表される連結基の例には、2価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、カーボネート基、アミド基、またはこれらが連結した基が含まれる。
2価の炭化水素基の例には、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等の炭素数が1〜18の直鎖または分岐鎖状のアルキレン基;1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等の2価のシクロアルキレン基もしくは2価のシクロアルキリデン基;が含まれる。
Xで表される連結基は、特に酸素原子を含むことが、シール材の接着性の観点から好ましく、カルボニル基、エーテル基、エステル基、カーボネート基を含むことが特に好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物の具体例には、(3,3’,4,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキリレート等が含まれる。
上記一般式(I)で表される化合物もしくはその変性物の市販品の例には、セロキサイド8000、セロキサイド2021P、セロキサイド2081(いずれも商品名、ダイセル社製)が含まれる。
また、環状脂肪族炭化水素に直接または炭化水素基を介してエポキシ基が結合した(B)脂環式エポキシ化合物の具体例には、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物等、芳香族エポキシ化合物の水素添加物が含まれる。
ここで、(B)脂環式エポキシ化合物は、上記の中でもシクロアルケンオキサイド型脂環式エポキシ化合物(シクロアルケンオキサイド構造を有する脂環式エポキシ化合物)、または芳香族エポキシ化合物の水素添加物であることが好ましく、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、または3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレートであることが、硬化性やシール材の接着性等の観点から特に好ましい。
シール材中の(B)脂環式エポキシ化合物の量は、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。また特に、上述の(A)エポキシ樹脂および(B)脂環式エポキシ化合物の合計(100質量%)に対して、(B)脂環式エポキシ化合物の量が10〜50質量%であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましい。シール材中の(B)脂環式エポキシ化合物の量が当該範囲であると、シール材の硬化物の強度が十分に高まりやすい。またさらに、シール材中の(B)脂環式エポキシ化合物の量が過度に少ないと、シール材の成形時や、シール材の保管時に可視光によって光カチオン重合開始剤が反応してしまうこと等があるが、(B)脂環式エポキシ化合物の量が上記範囲であると、シール材の保存安定性が高まりやすい。
・(C)熱カチオン重合開始剤
(C)熱カチオン重合開始剤は、加熱によりカチオンを生成し、上述の(A)エポキシ樹脂および(B)脂環式エポキシ化合物の重合を開始させることが可能な化合物であれば特に制限されないが、表示素子(例えば有機EL素子)等の耐熱温度である120℃以下で重合を開始させることが可能な化合物であることが特に好ましい。
(C)熱カチオン重合開始剤としては、公知のカチオン重合開始剤を用いることができる。(C)熱カチオン重合開始剤の例には、AsF 、SbF 、PF 、B(C4−等を対アニオンとする、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、4級アンモニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩等が含まれ、これらの中でもスルホニウム塩が好ましい。シール材は、(C)熱カチオン重合開始剤を一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
上記スルホニウム塩の具体例には、トリフェニルスルホニウム四フッ化ホウ素、トリフェニルスルホニウム六フッ化アンチモン、トリフェニルスルホニウム六フッ化ヒ素、トリ(4−メトキシフェニル)スルホニウム六フッ化ヒ素、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム六フッ化ヒ素等が含まれる。
上記ホスホニウム塩の具体例には、エチルトリフェニルホスホニウム六フッ化アンチモン、テトラブチルホスホニウム六フッ化アンチモン等が含まれる。
上記4級アンモニウム塩の具体例には、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−ベンジルアニリニウム四フッ化ホウ素、N,N−ジメチル−N−ベンジルピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−ベンジルピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸、N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウム六フッ化アンチモン等が含まれる。
ここで、上述の(A)エポキシ樹脂および(B)脂環式エポキシ化合物の合計100質量部に対して、(C)熱カチオン重合開始剤の量が0.5〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。シール材中の(C)熱カチオン重合開始剤の量が当該範囲であると、シール材を十分に熱硬化させることが可能である。
・(D)光カチオン重合開始剤
(D)光カチオン重合開始剤は、光の照射によりカチオンを生成し、上述の(A)エポキシ樹脂および(B)脂環式エポキシ化合物の重合を開始させることが可能な化合物であれば特に制限されない。シール材が、(D)光カチオン重合開始剤を含むと、光照射(例えばUV照射)によって、シール材を仮硬化させることが可能となる。
(D)光カチオン重合開始剤の具体例には、下記一般式(III)で表される構造を有するオニウム塩(オニウムイオンの塩)が含まれる。当該オニウム塩は、光反応によってルイス酸を放出する。
[R12 13 14 15 W]n+[MXn+mm− (III)
上記一般式(III)において、WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、またはN≡Nを示す。R12、R13、R14、及びR15は、それぞれ独立に有機基を示し、a、b、c、及びdは、それぞれ独立に0〜3の整数を示す。なお、「a+b+c+d」はWの価数に等しい。
一方、Mは、ハロゲン化錯体[MXn+m]の中心原子を構成する金属、またはメタロイドを示す。Mの具体例には、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等が含まれる。XはF、Cl、Br等のハロゲン原子を示し、mはハロゲン化錯体イオンの正味の電荷を示し、nはMの原子価を示す。
上記一般式(III)で表される光カチオン重合開始剤のオニウムイオンの具体例には、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム、4−メチルフェニル−4’−イソプロピルフェニルヨードニウム、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム、トリルクミルヨードニウム、トリフェニルスルホニウム、トリフェニルスルホニウム、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウム、ビス〔4−(ジフェニルスルフォニオ)−フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ)−フェニル〕スルフィド、η−2,4−(シクロペンタジェニル)〔1,2,3,4,5,6−η−(メチルエチル)ベンゼン〕−鉄(1+)等が含まれる。
一方、上記一般式(III)で表される(D)光カチオン重合開始剤の陰イオンの例には、テトラフルオロボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサクロロアンチモネート等が含まれる。なお、生体に対する安全性の面から、テトラフルオロボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、およびヘキサフルオロホスフェートが特に好ましい。シール材は、(D)光カチオン重合開始剤を一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
上記オニウム塩の市販品の例には、CPI−210S(商品名、サンアプロ社製)、PI−2074(商品名、ローディア社製)等が含まれる。
上述の(A)エポキシ樹脂および(B)脂環式エポキシ化合物の合計100質量部に対して、(D)光カチオン重合開始剤の量が0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。シール材中の(D)光カチオン重合開始剤の量が当該範囲であると、シール材を十分に光硬化させることが可能である。
・(E)アントラセンの9位または10位の少なくとも一方の炭素に酸素が結合した構造を有する増感剤
(E)アントラセンの9位または10位の少なくとも一方の炭素に酸素が結合した構造を有する増感剤(以下、「(E)増感剤」とも称する)は、アントラセンの9位または10位の少なくとも一方の炭素に酸素が結合した構造を有し、かつ上述の(D)光カチオン重合開始剤による重合開始効率を高めることが可能な化合物であれば特に制限されないが、アントラセンの9位と10位の両方の炭素に酸素が結合した化合物であることがより好ましい。なお、本明細書において、アントラセンの9位または10位の少なくとも一方の炭素に酸素が結合した構造を有する化合物の具体例には、アントラセンの9位または10位の少なくとも一方の炭素にアルコキシ基が結合した化合物が含まれる。(E)増感剤が、アントラセンにアルコキシ基が結合した化合物である場合、アントラセンに結合するアルコキシ基の炭素数は1〜18であることが好ましく、1〜8であることがより好ましい。
(E)増感剤には下記一般式(IV)で表される構造の化合物が含まれる。
Figure 2018095679
上記一般式(IV)において、R16〜R23、はそれぞれ独立に水素、または炭素数1〜18の炭化水素基であり、炭化水素基の具体例には、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル等が含まれる。また、R24、及びR25は、それぞれ独立にメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ベンジル、α−メチルベンジル、2−カルボキシエチル、2−ヒドロキシエチル、オクタイル、グリシジル、2−ビニルオキシエチル、3−メチル−3−オキセタニルメチル、p−エポキシフェニルメチル、およびp−ビニルフェニルメチルからなる群から選ばれる基を示す。
(E)増感剤の具体例には、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9−メトキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9−エトキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、9−イソプロポキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、9−ベンジルオキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、9−(α−メチルベンジルオキシ)−10−メチルアントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジ(2−カルボキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(オクタノイルオキシ)アントラセン等が含まれる。
また、(E)増感剤は、アントラセンに結合するアルコキシ基の一部または全部に、グリシジル基または水酸基が結合した化合物であってもよい。このような化合物の例には、9,10−ジ(グリシジルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジ(グリシジルオキシ)アントラセン、2−tブチル−9,10−ジ(グリシジルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジ(グリシジルオキシ)アントラセン、9−(グリシジルオキシ)−10−メチルアントラセン、9,10−ジ(2−ビニルオキシエトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジ(2−ビニルオキシエトキシ)アントラセン、2−tブチル−9,10−ジ(2−ビニルオキシエトキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジ(2−ビニルオキシエトキシ)アントラセン、9−(2−ビニルオキシエトキシ)−10−メチルアントラセン、9,10−ジ(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジ(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)アントラセン、2−tブチル−9,10−ジ(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジ(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)アントラセン、9−(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)−10−メチルアントラセン、9,10−ジ(p−エポキシフェニルメトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジ(p−エポキシフェニルメトキシ)アントラセン、2−tブチル−9,10−ジ(p−エポキシフェニルメトキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジ(p−エポキシフェニルメトキシ)アントラセン、9−(p−エポキシフェニルメトキシ)−10−メチルアント ラセン、9,10−ジ(p−ビニルフェニルメトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジ(p−ビニルフェニルメトキシ)アントラセン、2−tブチル−9,1−ジ(p−ビニルフェニルメトキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジ(p−ビニルフェニルメトキシ)アントラセン、9−(p−ビニルフェニルメトキシ)−10−メチルアントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシ−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロポキシ)アントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシ−3−アリロキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ジ(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)アントラセン等が含まれる。シール材は、(E)増感剤を一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
(E)増感剤の量は、上述の(D)光カチオン重合開始剤の量100質量部に対して、1〜200質量部であることが好ましく、10〜100質量部であることがより好ましい。シール材中の(E)増感剤の量が当該範囲であると、シール材の成形時や保管時に、シール材が可視光の影響を受け難くなる。
・その他の成分
シール材は、本発明の効果を大きく損なわない範囲において、上述の各成分の他に、必要に応じて充填材や、改質剤、安定剤、(A)エポキシ樹脂および(B)脂環式エポキシ樹脂以外の樹脂等を含んでいてもよい。
シール材が含む充填材の例には、ガラスビーズ、スチレン系ポリマー粒子、メタクリレート系ポリマー粒子、エチレン系ポリマー粒子、プロピレン系ポリマー粒子等が含まれる。シール材は、充填材を一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
また、シール材が含む改質剤の例には、老化防止剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤等が含まれる。一方、安定剤の具体例には、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤等が含まれる。シール材は、これらの改質剤や安定剤を一種のみ含んでもよく、二種以上含んでもよい。
シール材が含む(A)エポキシ樹脂および(B)脂環式エポキシ樹脂以外の樹脂の例には、オキセタン化合物が含まれる。
シール材は酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤は、プラズマ照射や日光照射により発生するラジカルを失活させるもの(Hindered Amine Light Stabilizer, HALS)や、過酸化物を分解するものなどをいう。酸化防止剤は、シール材の硬化物の変色を防ぐ機能を有する。酸化防止剤の例には、ヒンダードアミン、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が含まれる。
ヒンダードアミンの例には、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、2,4−ジクロロ−6−tert−オクチルアミノ−s−トリアジンと4,4’−ヘキサメチレンビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピヘリジン)の重縮合生成物、ビス[1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル]セバケート等が含まれる。
フェノール系酸化防止剤の例には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのモノフェノール類、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のビスフェノール類、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンなどの高分子型フェノール類が含まれる。
リン系酸化防止剤としては、ホスファイト類から選ばれる酸化防止剤およびオキサホスファフェナントレンオキサイド類から選ばれる着色防止剤が好ましく用いられる。
また特に、紫外線への耐性を付与するという点では、Tinuvin123(ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバシン酸)、Tinuvin765(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバシン酸とメチル 1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバシン酸との混合物)、Hostavin PR25(ジメチル 4−メトキシベンジル Idenemalonate)、Tinuvin 312 または Hostavin vsu(エタンジアミド N−(2−エトキシフェニル)−N’−(2−エチルフェニル))、CHIMASSORB 119 FL(N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物が含まれることが好ましい。
・シート状シール材の製造方法
上述のシール材は、任意の方法で製造することができる。例えば、上記各成分と、必要に応じて溶剤とを混合し、これを基材上に塗布し、乾燥(溶剤を揮発)させることで製造することができる。各成分は、ボールミルで分散したり、フラスコに装入して攪拌したり、三本ロールで混練することで、混合することができる。
なお、シール材を製造する際に使用する溶剤は、上記各成分を均一に分散または溶解させることが可能なものであれば特に制限されない。溶剤の例にはトルエン、キシレン等の芳香族溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;エーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコ−ルモノアルキルエーテル等のエーテル類;N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等が含まれる。
また、混合物の塗布は、スクリーン印刷、ディスペンサー塗布等、公知の手法を用いることができる。さらに、混合物の乾燥は、(A)エポキシ樹脂や(B)脂環式エポキシ化合物が重合しない温度に加熱すること等により行うことができる。
なお、シール材の製造後、シール材に異物が付着すること等を防ぐため、シール材を基材フィルムや保護フィルムと積層、つまりシール材の保管時には、基材フィルムや保護フィルム等でシール材を保護しておくことが好ましい。なお、シール材の使用時には、これらの基材フィルムや保護フィルムは剥離される。
基材フィルムや保護フィルムは、公知の離型フィルムとすることができる。基材フィルムや保護フィルムは、水分バリア性、あるいはガスバリア性を有するフィルム等が好ましく、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルムであることが特に好ましい。基材フィルムや保護フィルムの厚みは、フィルムの材質にもより適宜選択されるが、表示素子等の被封止材への追従性を有する点などから、例えば25〜150μm程度とすることができる。
・シート状シール材の物性
上述のシール材の溶融点は、23〜75℃であることが好ましく、30〜65℃であることが好ましい。溶融点が低すぎると、各種表示素子等と貼り合わせる際のシール材の流動性が大きくなりすぎ、面封止層の厚み(シール材の硬化物の厚み)を一定にすることが難しくなる。一方、シール材の溶融点が過度に高くなると、表示素子等との貼り合わせの際の作業性が悪くなり、これらの間に隙間が生じやすくなる。また、シール材の溶融点が過度に高いと、貼り合わせ時の温度を高める必要があり、表示素子等に影響を及ぼす可能性もある。これに対し、シール材の溶融点を上記範囲とすることで、表示素子の埋め込み性が良好になり、得られる面封止層(シール材の硬化物)と表示素子等との接着強度が高くなる。またらに、面封止層の酸素透過性や水分透過性も十分に低減されやすくなる。
上記溶融点は、以下のように測定される値である。
まず、基材フィルムを有するシール材を幅0.5mm×長さ2cmに切り出す。そして、所定の温度(想定される溶融点近傍の温度)に設定したホットプレート上で、加熱した無アルカリガラス(幅5cm×長さ5cm×厚み0.7mm)とシール材の一方の面(基材フィルムと反対側の面)とを30秒間圧着し、貼り合わせる。その後、これらをホットプレートから外し、室温まで降温させる。基材フィルムを剥離後、シール材を圧着した無アルカリガラスを、無アルカリガラスがホットプレート側になるように配置して、再度、所定の温度まで加熱する。そして、シール材の無アルカリガラスと反対側の面に、PETフィルムを積層し、30秒間圧着して貼り合わせる。そして、ホットプレート上で、PETフィルムを端から90°方向にゆっくりと引張る。このとき、PETフィルムと無アルカリガラスの両方にシール材が付着している場合には、シール材が溶融している(シール材の溶融点以上の温度である)と評価する。一方、無アルカリガラス側のみにシール材が付着している場合には、シール材が溶融していない(シール材の溶融点以下である)と評価する。そして、PETフィルムを貼り合わせる際のホットプレートの温度を調整し、シール材が溶融し始める温度を特定し、当該温度を溶融点とする。
なお、上述のシール材の厚みは、被封止材の種類により、適宜選択されるが、5〜
100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。
2.シール材の用途
上述のシール材は、各種表示素子を封止するためのシール材(表示素子シール材)や有機EL素子を面封止するためのシール材(有機EL素子封止用シール材)とすることができる。なお、表示素子シール材や有機EL素子用シール材は、必要に応じて上述のシール材以外の層を含んでいてもよい。
上述のシール材を用いて面封止層を形成する場合、まず、上述の保護フィルム等を剥がした後、シール材からなる層を、表示素子(例えば、有機EL素子)が配置された表示基板等を覆うように配置する。そして、当該シール材を光によって仮硬化させた後、加熱によって本硬化させる。これにより、表示素子等を面封止する面封止層が得られる。
ここで、シール材の仮硬化時に、シール材に照射する光の波長は、上述の光カチオン開始剤の種類等に応じて適宜選択されるが、波長350〜420nmの光であることが好ましく、波長365〜405nmの光であることがより好ましい。また、このとき、照射する光の強度は、10〜10000mW/cmであることが好ましく、20〜1000mW/cmであることがより好ましい。さらに、照射時間は0.01〜180秒であることが好ましく、0.1〜60秒であることがより好ましい。仮硬化時の光の強度が高すぎると、表示素子等に影響を及ぼすことがある。また、シール材の硬化物が黄色味を帯びることがある。一方、仮硬化が不十分であると、熱硬化時にシール材の位置がずれること等がある。光の照射は、一般的な紫外線照射装置等により行うことができる。
一方、仮硬化後、加熱硬化させる際の温度は、被封止物の耐熱温度や効率等を考慮して適宜設定されるが、通常80〜130℃とすることができ、90〜110℃とすることが好ましい。またこのときの加熱時間は、30〜180分間とすることが好ましく、45〜150分間とすることがより好ましい。上記加熱は、熱プレス等により行うことができる。上述のように、シール材の仮硬化を行うことで、加熱の際にシール材の位置ズレ等が生じ難く、高品質な表示装置を作製することができる。
2.有機ELデバイス
上述のシール材の硬化物からなる面封止層を含む有機ELデバイスについて、以下説明する。
本発明の有機ELデバイスの構成は特に制限されないが、例えば、基板上に配置された有機EL素子と、基板と対になる封止基板と、基板と封止基板との間に配置され、有機EL素子を覆う面封止層とを含む構成とすることができる。このとき、面封止層の全部を、前述のシール材の硬化物からなるものとしてもよく、面封止層の一部のみを、前述のシール材の硬化物からなるものとしてもよい。
本発明のシール材の硬化物は、前述のように、酸素透過性や水分透過性が低い。そのため、面封止層が有機EL素子を完全に覆っていない場合や、面封止層と、有機EL素子との間に他の部材が介在している場合でも、有機EL素子を大気中の水分や酸素から保護することができる。さらに、封止基板を設けない構造の有機ELデバイスの面封止層にも、本発明のシール材の硬化物は使用することができる。
図1は、有機ELデバイスの一態様を示す概略断面図である。図1に示されるように、有機ELデバイス20は、基板22、有機EL素子24、および封止基板26がこの順に積層されている。基板22と封止基板26との間には面封止層28が配置されており、有機EL素子24は、面封止層28で覆われて(面封止されて)いる。
基板22および封止基板26は、通常、ガラス基板または樹脂フィルムなどであり、基板22および封止基板26の少なくとも一方は、透明なガラス基板または透明な樹脂フィルムである。このような透明な樹脂フィルムの例には、ポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂等が含まれる。
有機EL素子24の種類は特に制限されず、その層構成は、有機EL素子24の種類に合わせて適宜選択される。例えば、図1Aに示すように、有機EL素子24がトップエミッション型の素子である場合、有機EL素子24は、基板22側から反射画素電極層30(アルミニウムや銀などからなる)、有機EL層32、および透明対向電極層34(ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム・スズ)やIZO(インジウム亜鉛酸化物)などからなる)が積層された構造体とすることができる。一方、有機EL素子24がボトムエミッション型の素子である場合、図1Bに示すように、有機EL素子24は、基板22側から透明対向電極層34、有機EL層32、および反射画素電極層30が積層された構造体とすることができる。これらの反射画素電極層30、有機EL層32および透明対向電極層34は、真空蒸着およびスパッタなどにより成膜することができる。
また、面封止層28は、本発明のシール材の硬化物からなるものとすることができる。前述の通り、本発明のシール材は、有機EL素子24等の埋め込み性が良好であり、さらに面封止層28を位置ズレなく形成することが可能である。したがって、当該面封止層28によれば、特に、基板22と封止基板26との隙間、すなわち、有機EL素子の側面方向から、大気中の水分や酸素などが侵入することを抑制することができる。
なお、上述の有機ELデバイスは、有機ELディスプレイパネルや有機EL照明等に適用することができる。
上記有機ELデバイスは、任意の方法で製造されうるが、例えば、1)有機EL素子が配置された基板を準備する工程と、2)有機EL素子を、シール材で覆う工程と、3)シール材を硬化させて面封止層とする工程と、4)封止基板で封止する工程とを含む方法とすることができる。上述のように、シール材を硬化させる工程では、光照射によるシール材の仮硬化を行ってから、シール材を熱硬化によって、本硬化させる。
以下に実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[材料]
実施例及び比較例では、以下の材料を用いた。なお、粘度は、BROOKFIEL社製のデジタルレオメータ型式DII−III ULTRA(E型粘度計)で23℃、1.0rpmにて測定した値である。
(A)23℃で固体のエポキシ樹脂
・三菱化学(株)製エポキシ樹脂 jER 4275:ビスフェノールA/ビスフェノールF混合型エポキシ樹脂、Mw:約6万、エポキシ当量:8400〜9200g/eq、軟化点:なし
・三菱化学(株)製エポキシ樹脂 jER 4005P:ビスフェノールF型エポキシ樹脂、Mw:6200(ポリスチレン換算)、エポキシ当量:1070g/eq、軟化点:87℃
・三菱化学(株)製エポキシ樹脂 jER 1001:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、Mw:約900、エポキシ当量:450〜500g/eq、軟化点:64℃
(B)23℃で液状の脂環式エポキシ化合物
・三菱化学(株)製エポキシ樹脂 jER YX8000:水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、Mw:352、エポキシ当量:205、粘度:1850mPa・s
・(株)ダイセル製セロキサイド 2021P[CEL2021P]:下記式で表される、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、分子量:252.3、エポキシ当量:128〜145、粘度:265mPa・s
Figure 2018095679
(C)熱カチオン重合開始剤
・KING INDUSTRIES 社製 K−PURE CXC−1612
(D)光カチオン重合開始剤
・サンアプロ(株)製 CPI−210S:トリアリールスルホニウム塩系
・ローディア社製 PI−2074:4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
(E)アントラセンの9位または10位の少なくとも一方の炭素に酸素が結合した構造を有する増感剤
・川崎化成工業(株)製 光カチオン増感剤 アントラキュアー UVS−1331:下記式で表される9,10−ジブトキシアントラセン、分子量322.5
Figure 2018095679
・川崎化成工業(株)製 光カチオン増感剤 アントラキュアー UVS−1101:下記式で表される9,10−ジエトキシアントラセン、分子量266.3
Figure 2018095679
・川崎化成工業(株)製 光カチオン増感剤 アントラキュアー UVS−581:下記式で表される9,10−ビス(オクタノイルオキシ)アントラセン、分子量462.6
Figure 2018095679
(比較用 増感剤)
・日本化薬(株)製 KAYACURE DETX−S:下記式で表される2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、分子量:268.37
Figure 2018095679
(その他の成分)
溶剤:メチルエチルケトン(MEK)
重合性モノマー:オキセタン化合物OXT−221(東亜合成(株)製)
[実施例1]
フラスコに、(A)23℃で固体のエポキシ樹脂として、20質量部のjER4275および50質量部のjER4005P、(B)23℃で液状の脂環式エポキシ化合物として、30質量部のYX8000を投入した。さらに溶剤として82質量部のMEKを加えて、室温で攪拌溶解させた。この溶液に、(C)熱カチオン重合開始剤として4質量部のCXC−1612、(D)光カチオン重合開始剤として1質量部のCPI−210S、(E)アントラセンの9位または10位の少なくとも一方の炭素に酸素が結合した構造を有する増感剤として1質量部のUVS−1331を添加して室温で攪拌し、エポキシ樹脂組成物のワニスを調製した。
調製したワニスを、塗工機を用いて、基材フィルム(離型処理されたPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製ピューレックスA53、38μm))上に、乾燥厚みが約25μmになるように塗工した。その後、窒素パージオーブンにて90℃で3分間乾燥させ、室温(約23℃)で固形のシート状シール材を得た。さらに、シート状シール材上に、保護フィルムとして離型処理したPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製ピューレックスA31)を熱圧着した。なお、保護フィルムは、適宜剥がして、シート状シール材表面を露出させて使用する。
[実施例2〜15、比較例1〜3]
エポキシ樹脂組成物を、下記表1および表2に示す組成とした以外は、実施例1と同様にシート状シール材を得た。
[評価]
得られたシート状シール材について、以下の方法で、耐湿性評価、溶融点の測定、およびUV照射後の接着試験を行った。結果を表1および表2に示す。
(耐湿性評価(Ca試験))
シート状シール材の硬化物の透湿度(耐湿性)を、Ca法により評価した。具体的には、以下の手順で、Ca反応開始時間を測定した。図2は、Ca法による、シート状シール材の硬化物の透湿度の測定用サンプルの作製手順を示す模式図である。
1)サンプルの作製
アセトンに浸漬して、超音波洗浄を10分間行ったガラス基板2(大きさ:25×25mm、厚さ:0.7mm)を準備した。このガラス基板2上に、蒸着機(エイ・エル・エステクノロジー社製)を用いて、下記条件で、厚さ170nmの金属カルシウムの蒸着膜4を形成した(図2A参照)。蒸着時にはマスクを使用し、金属カルシウムの蒸着膜の端部からガラス基板の端部までの長さLは4mmとした。
・蒸着条件
蒸着時の真空度:3.0×10−5Pa
製膜速度:1.2Å/秒
金属カルシウム原料:高純度化学製、グレイン
得られた金属カルシウムの蒸着膜4を形成したガラス基板2を、空気へ暴露せずにN雰囲気のグローブボックスに移動させた。次いで、別途用意した、アセトン洗浄したガラス基板6(25×55mm、厚さ:2mm)に、実施例及び比較例で作製したシート状シール材8を70℃でラミネートした(図2B参照)。次いで、金属カルシウムの蒸着膜4を形成したガラス基板2の金属カルシウムの蒸着膜面と、シート状シール材8がラミネートされたガラス基板6のシート状シール材面とを、N雰囲気のグローブボックス内で貼り合わせた。このとき、金属カルシウムの蒸着膜2の端部からシート状シール材8の端部までの長さL’が4mmとなるようにした(図2C参照)。当該積層物を真空中で室温から100℃に昇温後、100℃で1時間加熱してシート状シール材を硬化させ、サンプルとした。
2)Ca反応開始時間の測定
得られたサンプルを、恒温恒湿槽にて60℃90%RH下で保存した。そして、金属カルシウムの蒸着膜4の端部が、金属光沢から透明に変化するまでの時間(Ca反応開始時間、単位:時間)を測定した。金属カルシウム(金属光沢)と水とが反応すると、透明な水酸化カルシウムCa(OH)に変化する。したがって、上記恒温恒湿槽内でのCa反応開始時間が長いほど、金属カルシウムと水の反応が起こりにくく、シート状シール材の硬化物の透湿度が低いことを意味する。
なお、有機ELデバイスでは、大気中の水分や酸素が、基板と封止基板との隙間から侵入しやすい。そのため、有機ELデバイスにおける封止層の透湿度を測定する際には、Ca法のほうがカップ法よりも実際の装置構成に近い評価セルで測定でき、精度よく評価できる。一般的なカップ法で測定される透湿度は、主に有機ELデバイスの主面から侵入する方向(図1Aの封止基板26から基板22へ向かう方向)の透湿度を評価するものであるのに対し、Ca法により測定される透湿度は、主に有機ELデバイスの側面から侵入する方向(図1Aの封止基板26と基板22の隙間から有機EL素子24の側面に向かう方向)の透湿度を評価するものである。このように、Ca法によれば、大気中の水分や酸素が侵入する方向である、有機ELデバイスの側面から侵入する水分の透湿度を評価できることから、有機ELデバイスの封止層の透湿度を精度よく評価できる。
(溶融点の測定)
シート状シール材を幅0.5mm×長さ2cmに切り出して保護フィルムを剥がした。そして、所定の温度(想定される溶融点近傍の温度)に設定したホットプレート上で、加熱した無アルカリガラス(幅5cm×長さ5cm×厚み0.7mm)とシール材とを30秒間圧着し、これらを貼り合わせた。その後、これらをホットプレートから外し、室温まで降温させた。その後、シート状シール材から基材フィルムを剥がして、無アルカリガラスがホットプレート側になるように配置して、所定の温度まで加熱した。そして、PETフィルム(帝人デュポンフィルム社製ピューレックスA53、38μm)の離型処理されていない面を、シート状シール材と積層し、30秒間圧着して貼り合わせた。その後、ホットプレート上で、PETフィルムを端から180°方向にゆっくりと引張った。このとき、PETフィルムと無アルカリガラスの両方にシール材が付着している場合には、シール材が溶融している、つまりシール材の溶融点以上の温度であると評価した。一方、無アルカリガラス側のみにシール材が付着している場合には、シール材が溶融していない、つまりシール材の溶融点以下であると判断した。そして、PETフィルムを貼り合わせる際のホットプレートの温度を適宜変更し、シール材が溶融し始める温度を特定し、これを溶融点とした。
なお、シート状シール材の溶融点の測定は、シート状シール材の成形直後、および室温(約23℃)にて1週間保管したものについて行った。
表1および表2に、シート状シール材成形直後の溶融点と1週間保管後の溶融点との差((成形直後の溶融点)−(1週間保管後の溶融点)(単位:℃))を示す。
(UV照射後の接着試験)
図3は、UV照射後の接着試験用のサンプルの構成を示す模式図である。
シート状シール材12を1cm角に切り出して保護フィルムを剥がし、70℃に設定したホットプレート上で加熱したアルカリガラス10(幅25mm×長さ100mm×厚み2mm)に貼り合わせた。そして、アルカリガラス10側から可視光を30分暴露した。その後、基材フィルムを剥がしてシート状シール材にアルミ箔/PET複合フィルム14(銘柄:アルペット 30−12(パナック製)、幅20mm×長さ50mm×厚み40um)のアルミ面をのせて室温で2kgの荷重で1分間貼り合わせた。その後、インテグレーション・テクノロジー・ジャパン製 Solidcure 2 HD 180mm 365nm/395nmシステムで、波長395nmの光を照射強度25mW/cmで40秒、アルカリガラス10側から照射した。
そして、90℃に加熱した引張試験装置(インテスコ製210型引張試験装置)で、図3に示すように、アルカリガラス10およびアルミ箔/PET複合フィルム14を、それぞれの表面と平行方向に50mm/分の速度で引張り、このときの応力を測定した。
Figure 2018095679
Figure 2018095679
表1および表2に示されるように、(A)23℃において固体のエポキシ樹脂と、(B)23℃において液状の脂環式エポキシ化合物と、(C)熱カチオン重合開始剤と、(D)光カチオン重合開始剤と、(E)アントラセンの9位または10位の少なくとも一方の炭素に酸素が結合した構造を有する増感剤と、を含むシート状シール材の硬化物では、耐湿性がいずれも良好であった(実施例1〜15)。つまり、当該シール材の硬化物からなる面封止層によれば、水分や酸素の侵入を十分に抑制可能であるといえる。またこのとき、これらのシート状シール材は、溶融点の変化が少なかった。つまり、シール材の室温での保存安定性が十分に高いといえる。さらに、これらのシール材は、可視光曝露後に、UV硬化させた場合にも、十分な接着強度を有していた。つまり、当該シール材は、シート状に成形する際や、保存時に光硬化性が低下し難いといえる。
これに対し、アントラセンの9位または10位の少なくとも一方の炭素に酸素が結合した構造を有さない、比較用の増感剤を用いたシート状シール材では、可視光曝露後に、UV硬化させると、十分な接着強度が得られなかった(比較例1〜3)。可視光曝露時に、光カチオン重合開始剤が反応してしまったためであると推察される。
本発明のシート状シール材は、酸素透過性や水分透過性が低く、保存安定性が高い。さらに、当該シート状シール材によれば、貼り合わせの際に位置ズレが生じ難く、各種素子を適切に封止することが可能である。したがって、例えば有機EL素子等、各種表示素子を封止するためのシール材として、非常に有用である。
20 有機ELデバイス
22 基板
24 有機EL素子
26 封止基板
28 面封止層
30 反射画素電極層
32 有機EL層
34 透明対向電極層

Claims (11)

  1. (A)23℃で固体のエポキシ樹脂と、
    (B)23℃で液状の脂環式エポキシ化合物と、
    (C)熱カチオン重合開始剤と、
    (D)光カチオン重合開始剤と、
    (E)アントラセンの9位または10位の少なくとも一方の炭素に酸素が結合した構造を有する増感剤と、
    を含む、シート状シール材。
  2. 前記(B)23℃で液状の脂環式エポキシ化合物の含有量が、前記(A)23℃で固体のエポキシ樹脂および前記(B)23℃で液状の脂環式エポキシ化合物の合計量に対して10〜50質量%である、
    請求項1に記載のシート状シール材。
  3. 前記(B)23℃で液状の脂環式エポキシ化合物が、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、および3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレートの少なくとも一方を含む、
    請求項1または2に記載のシート状シール材。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のシート状シール材を含む、
    表示素子シール材。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のシート状シール材を含む、
    有機EL素子用面封止材。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のシート状シール材の硬化物。
  7. 有機EL素子が形成された基板を準備する工程と、
    前記有機EL素子を、請求項5に記載の有機EL素子用面封止材で覆う工程と、
    前記有機EL素子用面封止材を硬化させて、前記有機EL素子を面封止する工程と、
    を含む、
    有機ELデバイスの製造方法。
  8. 前記有機EL素子を面封止する工程において、前記有機EL素子用面封止剤に光を照射した後、前記有機EL素子用面封止剤を加熱する、
    請求項7に記載の有機ELデバイスの製造方法。
  9. 有機EL素子と、
    前記有機EL素子と接するように前記有機EL素子を面封止する面封止層と、を含み、
    前記面封止層は、請求項5に記載の有機EL素子用面封止材の硬化物である、
    有機ELデバイス。
  10. 請求項9に記載の有機ELデバイスを有する、
    有機ELディスプレイパネル。
  11. 請求項10に記載の有機ELデバイスを有する、
    有機EL照明。
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