JP6843664B2 - 表示素子用シール材およびこれを含む有機el素子用面封止材、有機elデバイスおよびその製造方法、有機elディスプレイパネル、ならびに有機el照明 - Google Patents

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Description

本発明は、表示素子用シール材およびこれを含む有機EL素子用面封止材、有機ELデバイスおよびその製造方法、有機ELディスプレイパネル、ならびに有機EL照明に関する。
近年、フレキシブル性や折り曲げ性を有する有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイスの開発が盛んに行われている。有機ELデバイスは通常、電極や基板など、複数の層から構成されるため、層と層とを接着するシール材が必要である。また、有機ELデバイスにおいて、有機EL素子は、湿度等の影響を受けやすい。したがって、外部の水分等から有機EL素子を保護する目的で、有機EL素子はシール材で面封止される。
従来、このようなシール材として、液状のシール材が多く使用されてきた。例えば、有機EL素子等を覆うように液状のシール材を塗布した後、これを硬化させることで、所望の領域にシール材の硬化物からなる層(面封止層)を形成することができる。ただし、液状のシール材は流動性が高いため、平坦な場所で塗布する必要があったり、シール材を塗布する領域の周囲にダム材を配置したりすることが必要であった。
このような課題に対し、近年、シール材をシート状に形成することが検討されている。シート状のシール材は、固形であるため、シール材を貼り合わせる場所を選ばず、さらにダム材等も不要である。シート状のシール材としては、(1)粘着剤からなるシール材、(2)熱硬化性のシール材、および(3)光硬化性のシール材、が知られている。
例えば、(1)粘着剤からなるシール材では、シール材を硬化させるための特別な装置が必要ない、との利点がある。ただし、当該シール材は、耐溶剤性が低く、用途が制限される、との課題があった。一方、(2)熱硬化性のシール材は、被封止物に貼着した後、加熱によって硬化させることで、耐溶剤性の高い面封止層が得られる。ここで、シール材の加熱時、温度が高い程、硬化にかかる時間は短縮される。ただし、加熱温度を高めると、被封止物(例えば有機EL素子)に熱的ダメージを生じさせやすかった。また、(3)光硬化性のシール材は、被封止物に貼着した後、光照射によって硬化させることで、耐溶剤性の高い面封止層が得られる。当該シール材では、その硬化時に、被封止物に熱的ダメージを与えることは少ない。ただし、光照射のみでシール材を硬化させると、硬化までに時間がかかる、との課題があった。
そこで、光照射により、ある程度硬化させた後、被封止物に影響を及ぼさない程度の温度で加熱することで完全硬化が可能なシール材が提案されている(例えば特許文献1)。
特表2015−524146号公報
しかしながら、上述の特許文献1に記載のシール材では、硬化物の透湿性が高い、との課題があった。また通常、シール材は、基材フィルムや保護フィルム等の間に挟まれて保管されるが、特許文献1のシール材は靱性が低く、シール材から保護シートや基材フィルム等を剥離する際に、シール材の一部もしくは全部が保護シート側に残ってしまう現象(以下、「泣き別れ」とも称する)が生じやすかった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものである。すなわち、光照射および加熱を組み合わせることにより比較的穏やかな条件で硬化可能であり、基材フィルム等から容易に剥離可能であり、さらに硬化物の透湿性が低い表示素子用シール材の提供が望まれている。
本発明の第一は、以下の表示素子用シール材およびこれを含む有機EL素子用面封止材、ならびにその硬化物からなる面封止層にある。
[1](A)重量平均分子量が100〜500であるエポキシ樹脂と、(B)重量平均分子量が800〜10000であるエポキシ樹脂と、(C)重量平均分子量が20000〜100000であるエポキシ樹脂と、(D)スルホニウム塩およびヨードニウム塩のうち、少なくとも一方を含む光カチオン重合開始剤と、(E)光増感剤と、を含み、前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分との合計100質量部に対して、前記(A)成分を10〜50質量部含み、前記(B)成分を20〜85質量部含み、前記(C)成分を5〜30質量部含み、シート状である、表示素子用シール材。
[2]前記(A)成分、前記(B)成分、および前記(C)成分が、いずれも分子中に芳香環を含む、[1]に記載の表示素子用シール材。
[3]上記[1]または[2]に記載の表示素子用シール材を含む、有機EL素子用面封止材。
[4]上記[1]または[2]に記載の表示素子用シール材の硬化物からなる、面封止層。
本発明の第二は、以下の有機ELデバイスの製造方法および有機ELデバイス、ならびにこれを含む有機ELディスプレイパネルおよび有機EL照明にある。
[5]有機EL素子が配置された基板を準備する工程と、前記有機EL素子を、[3]に記載の有機EL素子用面封止材で覆う工程と、前記有機EL素子用面封止材を硬化させて、前記有機EL素子を面封止する工程と、を含む、有機ELデバイスの製造方法。
[6]前記有機EL素子を面封止する工程において、前記有機EL素子用面封止材に光を照射した後、前記有機EL素子用面封止材を加熱する、[5]に記載の有機ELデバイスの製造方法。
[7]有機EL素子と、前記有機EL素子と接するように配置された、[4]に記載の面封止層と、を含む、有機ELデバイス。
[8]上記[7]に記載の有機ELデバイスを有する、有機ELディスプレイパネル。
[9]上記[7]に記載の有機ELデバイスを有する、有機EL照明。
本発明の表示素子用シール材は、光照射および加熱により、比較的穏やかな条件で硬化可能であり、また基材フィルム等から容易に剥離可能である。さらに、その硬化物の透湿性も低い。
図1Aは、本発明の有機ELデバイスの一態様を示す概略断面図であり、図1Bは、本発明の有機ELデバイスの他の態様を示す概略断面図である。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
1.表示素子用シール材
本発明の表示素子用シール材(以下、「シール材」とも称する)は、各種表示デバイスの表示素子を面封止するためのシール材であり、23℃において固形状である。
前述のように、従来、表示素子用シール材を光照射および加熱によって硬化させることが検討されている。しかしながら、従来の表示素子用シール材では、硬化物の透湿性が高く、透湿性をより低くすることが求められていた。また、従来の表示素子用シール材は靱性が十分でなく、表示素子用シール材から基材フィルムや保護フィルムを剥離する際に泣き別れが生じやすかった。
これに対し、本発明の表示素子用シール材は、重量平均分子量が異なる3種類のエポキシ樹脂を所定の比率で含む。具体的には(A)重量平均分子量が100〜500であるエポキシ樹脂(本明細書において、「(A)成分」とも称する)と、(B)重量平均分子量が800〜10000であるエポキシ樹脂(本明細書において、「(B)成分」とも称する)と、(C)重量平均分子量が20000〜100000であるエポキシ樹脂(本明細書において、「(C)成分」とも称する)とを含む。そして、(A)成分、(B)成分、および(C)成分の合計100質量部に対して(A)成分を10〜50質量部含み、(B)成分を20〜85質量部含み、(C)成分を5〜30質量部含む。
本発明では、(A)成分を上記範囲含むことから、シール材を形成するための樹脂組成物の流動性が高くなり、均一かつムラのないシール材とすることができる。また、(A)成分を上記範囲含むため、シール材の靱性が高く、表示素子用シール材から保護フィルム等を剥離する際に泣き別れが生じ難い。さらに、(A)成分を含むことで、シール材が、室温でもある程度の粘着性を有する。そのため、シール材を貼り合わせる際に位置ズレ等が生じ難い。また、(B)成分を上記範囲含むことから、比較的低温でもシール材を十分に硬化させることができる。さらに、(C)成分を上記範囲含むことから、硬化物の透湿性が非常に低い。なお、(A)成分と(B)成分とを組み合わせたのみでは、横流れやジッピングが生じることがある。また、(B)成分と(C)成分とを組み合わせたのみでは、粘着性が得られ難く、脆くなりやすい。さらに、(A)成分と(C)成分とを組み合わせただけでは、これらをシート状にするための配合比率の調整が難しい。これに対し、(A)成分、(B)成分、および(C)成分を組み合わせることで、上述のように配合比の幅が広がり、さらには所望の性能を有する表示素子用シール材が得られやすくなる。さらに本発明の表示素子用シール材は、硬化物の光透過性が高いとの利点も有する。したがって、本発明のシール材は、各種表示素子を面封止するためのシール材として、非常に有用である。
なお、シール材が、成分(A)、成分(B)、および成分(C)を含むか否かは、以下のように確認することができる。例えば赤外分光法(IR)を行うことにより、シール材中の成分がエポキシ基を有するか否かを判断することができる。さらに、ガスクロマトグラフ質量分析で特定される分子量分布のピークから、各成分の凡その分子量を特定することができる。また、ガスクロマトグラフ質量分析によれば、成分(A)、成分(B)、および成分(C)の芳香環の有無も確認することができる。
以下、本発明の表示素子用シール材が含む各成分について説明する。
・(A)重量平均分子量が100〜500であるエポキシ樹脂
(A)成分は、1分子内に1つ以上のエポキシ基を有し、かつ重量平均分子量が100〜500である樹脂であれば特に制限されない。(A)成分は、通常、23℃で液状である。シール材は、(A)成分を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
ここで、(A)成分は、1分子内に複数のエポキシ基を有する樹脂であってもよく、1分子内に1つのみエポキシ基を有する樹脂であってもよい。また、(A)成分は、脂肪族基を有する樹脂であってもよく、芳香族基を有する樹脂であってもよい。(A)成分の例には、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、p−ターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等が含まれる。
上記の中でも、シール材の硬化性を高める観点から、(A)成分は1分子内に2つまたは3つのエポキシ基を有する樹脂であることがましい。また、シール材の硬化物の透湿性が低くなり、さらに接着力を高まるとの観点から、(A)成分は分子内に芳香環を含むことが好ましい。つまり、(A)成分は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールF型エポキシ樹脂であることが特に好ましい。
(A)成分の重量平均分子量(Mw)は、より好ましくは150〜450であり、さらに好ましくは200〜450である。当該重量平均分子量(Mw)は、分子構造から算出される値であってもよく、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値(ポリスチレン換算)であってもよい。
シール材における(A)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分、および(C)成分の合計100質量部に対して10〜50質量部であり、20〜40質量部であることが好ましく、25〜35質量部であることがより好ましい。(A)成分の量が10質量部以上であると、シール材を形成するための樹脂組成物の流動性が十分に高まり、均一なシール材が得られやすくなる。また、(A)成分の量が10質量部以上であると、シール材の靱性も高まりやすくなる。一方、(A)成分の量が50質量部以下であると、シール材を形成するための樹脂組成物が横流れし難く、所望の厚みのシール材が得られる。
なお、シール材の全質量に対する(A)成分の含有量は、9〜50質量%であることが好ましく、19〜40質量%であることがより好ましい。
・(B)重量平均分子量が800〜10000であるエポキシ樹脂
(B)成分は、1分子内に1つ以上のエポキシ基を有し、かつ重量平均分子量が800〜10000である樹脂であれば特に制限されない。(B)成分は、通常、23℃で固体である。シール材は、(B)成分を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
(B)成分は、1分子内に複数のエポキシ基を有する樹脂であってもよく、1分子内に1つのみエポキシ基を有する樹脂であってもよい。また、(B)成分は、脂肪族基を有する樹脂であってもよく、芳香族基を有する樹脂であってもよい。ただし、シール材の硬化物の透湿性が低くなり、被封止物とシール材の硬化物との接着力が高まる等の観点から、(B)成分は、1分子内に複数のエポキシ基を有する樹脂であることが好ましく、芳香環を有する樹脂であることがさらに好ましい。
このような(B)成分の例には、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールE型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAD型;ジフェニルエーテル型エポキシ化合物;フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビフェニルノボラック型、ビスフェノールノボラック型、ナフトールノボラック型、トリスフェノールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ナフチル型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型、トリフェノールエタン型、トリフェノールプロパン型等のトリフェノールアルカン型エポキシ樹脂等が含まれる。これらの中でも、入手が容易である等の観点から、ビスフェノールA型樹脂またはビスフェノールF型樹脂であることが特に好ましい。
(B)成分の重量平均分子量(Mw)は、より好ましくは800〜9000であり、さらに好ましくは900〜8000である。当該重量平均分子量(Mw)は、分子構造から算出される値であってもよく、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値(ポリスチレン換算)であってもよい。
シール材における(B)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分、および(C)成分の合計100質量部に対して20〜85質量部であり、35〜70質量部であることが好ましく、45〜65質量部であることがより好ましい。(B)成分の量が20質量部以上であると、光照射による仮硬化後、比較的低温でもシール材を硬化させることが可能となる。一方、(B)成分の量が85質量部以下であると、相対的に(A)成分および(C)成分の量が十分となり、シール材にムラが生じ難くなったり、シール材の硬化物の透湿性が低減したりする。
なお、シール材の全質量に対する(B)成分の含有量は、34〜69質量%であることが好ましく、44〜64質量%であることがより好ましい。
・(C)重量平均分子量が20000〜100000であるエポキシ樹脂
(C)成分は、1分子内に1つ以上のエポキシ基を有し、かつ重量平均分子量が20000〜100000である樹脂であれば、特に制限されない。(C)成分は、通常、23℃で固体である。シール材は、(C)成分を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
(C)成分は、1分子内に複数のエポキシ基を有する樹脂であってもよく、1分子内に1つのみエポキシ基を有する樹脂であってもよい。また、(C)成分は、脂肪族基を有する樹脂であってもよく、芳香族基を有する樹脂であってもよい。ただし、シール材の硬化物の透湿性が低くなり、被封止物とシール材の硬化物との接着力が高まる等の観点から、(C)成分は、1分子内に複数のエポキシ基を有する樹脂であることが好ましく、さらに芳香環を有する樹脂であることが好ましい。(C)成分の具体例には、上述の(B)成分で挙げた樹脂を高分子量化した樹脂が含まれ、入手が容易である等の観点から、ビスフェノールA型樹脂またはビスフェノールF型樹脂であることが特に好ましい。
(C)成分の重量平均分子量(Mw)は、より好ましくは30000〜80000であり、さらに好ましくは40000〜70000である。当該重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値(ポリスチレン換算)であってもよい。
シール材における(C)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分、および(C)成分の合計100質量部に対して5〜30質量部であり、10〜25質量部であることが好ましく、10〜20質量部であることがより好ましい。(C)成分の量が5質量部以上であると、シール材の硬化物の透湿度が低減しやすい。ただし、(C)成分の量が過剰になると、シール材の靱性が低下し、泣き別れといった現象が生じやすくなる。これに対し、(C)成分の量が30質量部であれば、シール材の靱性が良好となり、シール材から保護フィルム等を容易に剥離させることが可能となる。
なお、シール材の全質量に対する(C)成分の含有量は、9〜30質量%であることが好ましく、9〜19質量%であることがより好ましい。
・(D)光カチオン重合開始剤
光カチオン重合開始剤は、スルホニウム塩またはヨードニウム塩のうちの少なくとも一方であり、光照射によりカチオンを生成し、上述の(A)成分、(B)成分、および(C)成分の重合を開始させることが可能な化合物であれば特に制限されない。本発明のシール材では特に、波長300nm以上の光に反応してカチオンを生成する化合物であることが好ましく、波長300〜450nmの活性光線に反応して、カチオンを発生させることが可能な化合物であることが特に好ましい。シール材は、光カチオン重合開始剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
スルホニウム塩の例には、トリフェニルスルホニウム塩、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム塩、および下記一般式で表されるスルホニウム塩等が含まれる。
Figure 0006843664
上記一般式において、Yはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、酸素原子またはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基、もしくは置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。一方、上記一般式においてRは、ハロゲン原子、またはアルキル基を有していてもよいp−フェニレン基を表し、Rは、水素原子、酸素原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいベンゾイル基、または置換基を有していてもよいポリフェニル基を表す。また、Xは、対イオンを表す。
一方、ヨードニウム塩の例には、ジフェニルヨードニウム塩、4−メチルフェニル(4−イソプロピルフェニル)ヨードニウム塩、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム塩、フェニル−4−(2’−ヒドロキシ−1’−テトラデカオキシ)フェニルヨードニウム塩、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム塩等が含まれる。
ここで、上記スルホニウム塩およびヨードニウム塩における、スルホニウムまたはヨードニウムの対イオンとしては、[CFSO]、[CSO、[PF、[AsF、[PhB](Phは置換基を有していてもよいフェニル基)、Cl、Br、I、[OC(O)R(Rは炭素数1〜10のアルキル基)、[SbF、[BF、[SbCl、[ClO、[CHSO、[FSO]、[FPO]、p−トルエンスルホネート、アダマンタンカルボキシレート、テトラアリールボレート、[(RPF6−n(Rはフッ素置換されていてもよいアルキル基を表し、nは1〜5の整数を表す)等が含まれる。
上記対イオンとしては、上記の中でも[CFSO]、[CSO、[PF、[AsF、Cl、Br、I、[OC(O)R(Rは炭素数1〜10のアルキル基)、[SbFが好ましい。
なお、(D)光カチオン重合開始剤は、スルホニウム塩のほうが、被封止物とシール材の硬化剤との接着強度が高くなるため、好ましい。
ここで、上述の(D)光カチオン重合開始剤の含有量は、(A)成分、(B)成分、および(C)成分の合計100質量部に対して0.3〜4質量部であることが好ましく、0.5〜2質量部であることがより好ましく、0.5〜1.5質量部であることがさらに好ましい。(D)光カチオン重合開始剤の含有量が当該範囲であると、光照射によって、十分に(A)成分、(B)成分、および(C)成分を重合させることが可能となる。また、(D)光カチオン重合開始や後述の(E)光増感剤の量が多くなると、シール材が着色しやすくなる。これに対し、上述の(A)成分、(B)成分、および(C)成分を組み合わせることで、(D)光カチオン重合開始や(E)光増感剤の量が比較的少なくても十分に硬化させることが可能であり、シール材の光透過性を高くすることができる。
・(E)光増感剤
本発明のシール材が含む(E)光増感剤は、上述の(D)光カチオン重合開始剤のカチオン生成を促進させることが可能な化合物であれば特に制限されない。(E)光増感剤は、光を吸収して電子励起状態となる。そして、当該(E)光増感剤から(D)光カチオン重合開始剤に、電子やエネルギー等が移動すること等によって、(D)光カチオン重合開始剤が活性化される。
(E)光増感剤は、波長350nm〜450nmの光によって励起状態となる化合物であることが好ましい。このような(E)光増感剤の例には、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、アントラセン等の多核芳香族類;フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル等のキサンテン類;キサントン、チオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のキサントン類;チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン等のシアニン類;メロシアニン、カルボメロシアニン等のメロシアニン類;ローダシアニン類;オキソノール類;チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー等のチアジン類;アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン等のアクリジン類;アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン等のアクリドン類;アントラキノン類;、スクアリウム類;スチリル類;ベーススチリル類;7−ジエチルアミノ4−メチルクマリン等のクマリン類が含まれる。これらの中でも、特に多環芳香族類、アクリドン類、クマリン類、またはベーススチリル類が好ましく、アントラセン化合物が特に好ましい。
ここで、上述の(E)光増感剤の含有量は、(A)成分、(B)成分、および(C)成分の合計100質量部に対して0.2〜3質量部であることが好ましく、0.2〜1.5質量部であることがより好ましく、0.3〜1質量部であることがさらに好ましい。(E)光カチオン重合開始剤の含有量が当該範囲であると、光照射によって、十分に(D)光カチオン重合開始剤を活性化させることができる。
(F)その他の成分
シール材は、本発明の効果を大きく損なわない範囲において、上述の各成分の他に、必要に応じてシランカップリング剤やレベリング剤、充填材、上記以外の樹脂、各種改質剤や安定剤等を含んでいてもよい。
シランカップリング剤は、シール材と被封止物との接着強度を高めることが可能なものであれば、特に制限されないが、1)エポキシ基を有するシランカップリング剤、または2)エポキシ基と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤であることが好ましい。エポキシ基と反応するとは、(A)成分、(B)成分、および(C)成分等が含むエポキシ基と付加反応すること等をいう。シランカップリング剤を含むシール材は、被封止物(例えば有機EL素子のガラス基板等)と密着性が高い。また、当該シランカップリング剤が、エポキシ基、またはエポキシ基と反応可能な官能基を有することで、シール材の硬化物中に低分子量成分が残り難くなる。
1)エポキシ基を有するシランカップリング剤の例には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が含まれる。
2)エポキシ基と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤は、例えば、1級アミノ基や2級アミノ基等のアミノ基;カルボキシル基等;メタクリロイル基;イソシアネート基等を含むシランカップリング剤とすることができる。当該シランカップリング剤の具体例には、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン又は3−(4−メチルピペラジノ)プロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン等が含まれる。
また、シール材には、上記以外のシランカップリング剤が含まれてもよい。上記以外のシランカップリング剤の例には、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が含まれる。シール材は、シランカップリング剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
なお、シランカップリング剤の分子量は、80〜800であることが好ましい。シランカップリング剤の分子量が800を超えると、シール材を被封止物と貼り合わせる際の流動性が低下し、密着性が低下することがある。
シール材におけるシランカップリング剤の含有量は、(A)成分、(B)成分、および(C)成分の合計100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、3〜5質量部であることがより好ましい。
また、シール材には、レベリング剤が含まれていてもよい。レベリング剤は、一般的なシール材に含まれる公知のレベリング剤を用いることができる。例えば、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマー、アクリレート系ポリマー等が含まれる。レベリング剤の含有量は、(A)成分、(B)成分、および(C)成分の合計100質量部に対して0.1〜1質量部であることが好ましい。
また、シール材は、充填材を含んでいてもよい。充填材の例には、ガラスビーズ、スチレン系ポリマー粒子、メタクリレート系ポリマー粒子、エチレン系ポリマー粒子、プロピレン系ポリマー粒子等が含まれる。シール材は、充填材を一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
さらに、シール材は、(A)成分、(B)成分、および(C)成分以外の樹脂を含んでいてもよく、その例には、オキセタン化合物が含まれる。
また、シール材が含む改質剤や安定剤の例には、酸化防止剤、老化防止剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤等が含まれる。シール材は、これらの改質剤や安定剤を一種のみ含んでもよく、二種以上含んでもよい。
上記酸化防止剤は、プラズマ照射や日光照射により発生するラジカルを失活させるもの(Hindered Amine Light Stabilizer, HALS)や、過酸化物を分解するものであることが好ましい。酸化防止剤は、シール材の硬化物の変色を防ぐ機能を有する。酸化防止剤の例には、ヒンダードアミン、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が含まれる。
ヒンダードアミンの例には、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、2,4−ジクロロ−6−tert−オクチルアミノ−s−トリアジンと4,4’−ヘキサメチレンビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピヘリジン)の重縮合生成物、ビス[1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル]セバケート等が含まれる。
フェノール系酸化防止剤の例には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのモノフェノール類、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のビスフェノール類、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンなどの高分子型フェノール類が含まれる。
リン系酸化防止剤としては、ホスファイト類から選ばれる酸化防止剤およびオキサホスファフェナントレンオキサイド類から選ばれる着色防止剤が好ましく用いられる。
また特に、紫外線への耐性を付与するという点では、Tinuvin123(ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバシン酸)、Tinuvin765(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバシン酸とメチル 1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバシン酸との混合物)、Hostavin PR25(ジメチル 4−メトキシベンジル Idenemalonate)、Tinuvin 312 または Hostavin vsu(エタンジアミド N−(2−エトキシフェニル)−N’−(2−エチルフェニル))、またはCHIMASSORB 119 FL(N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物が含まれることが好ましい。
・表示素子用シール材の製造方法
上述のシール材は、任意の方法で製造することができる。例えば、上記各成分と、必要に応じて溶剤とを混合し、これを基材上に塗布し、乾燥(溶剤を揮発)させることで製造することができる。上述のシール材では、上述の(A)成分、(B)成分、および(C)成分を組み合わせているため、これらを溶剤に溶解させてシート状に成形しても、シート材の特性に影響が生じ難い。各成分は、ボールミルで分散したり、フラスコに装入して攪拌したり、三本ロールで混練することで、混合することができる。
なお、シール材を製造する際に使用する溶剤は、上記各成分を均一に分散または溶解させることが可能なものであれば特に制限されない。溶剤の例にはトルエン、キシレン等の芳香族溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;エーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコ−ルモノアルキルエーテル等のエーテル類;N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等が含まれる。
また、混合物の塗布は、スクリーン印刷、ディスペンサー塗布等、公知の手法を用いることができる。さらに、混合物の乾燥は、(A)成分、(B)成分、および(C)成分が重合しない温度に加熱すること等により行うことができる。
なお、シール材の製造後、シール材に異物が付着すること等を防ぐため、シール材を基材フィルムや保護フィルムと積層、つまりシール材の保管時には、基材フィルムや保護フィルム等でシール材を保護しておくことが好ましい。なお、シール材の使用時には、これらの基材フィルムや保護フィルムは剥離される。
基材フィルムや保護フィルムは、公知の離型フィルムとすることができる。基材フィルムや保護フィルムは、水分バリア性、あるいはガスバリア性を有するフィルム等が好ましく、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルムであることが特に好ましい。基材フィルムや保護フィルムの厚みは、フィルムの材質にもより適宜選択されるが、表示素子等の被封止物への追従しやすくする等の観点から、例えば25〜150μm程度であることが好ましい。
なお、上述のシール材の厚みは、被封止物の種類により、適宜選択されるが、5〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。
2.シール材の用途
上述のシール材は、各種表示素子を封止するためのシール材(表示素子シール材)や有機EL素子を面封止するためのシール材(有機EL素子封止用シール材)とすることができる。なお、表示素子シール材や有機EL素子用シール材は、必要に応じて上述のシール材以外の層を含んでいてもよい。
上述のシール材を用いて面封止層を形成する場合、まず、上述の保護フィルム等を剥がした後、シール材を、表示素子(例えば、有機EL素子)が配置された表示基板等を覆うように配置する。そして、当該シール材を光によってある程度硬化(仮硬化)させた後、加熱によって本硬化させる。これにより、表示素子等を面封止する面封止層が得られる。
ここで、シール材の仮硬化時に、シール材に照射する光の波長は、上述の光カチオン開始剤の種類等に応じて適宜選択されるが、波長350〜420nmの光であることが好ましく、波長365〜405nmの光であることがより好ましい。また、このとき、照射する光の強度は、10〜10000mW/cmであることが好ましく、20〜1000mW/cmであることがより好ましく、150〜10000mW/cmであることが特に好ましく、200〜1000mW/cmであることがさらに好ましい。さらに、照射時間は0.01〜180秒であることが好ましく、0.1〜60秒であることがより好ましい。仮硬化時の光の強度が高すぎると、表示素子等に影響を及ぼすことがある。また、シール材の硬化物が黄色味を帯びることがある。一方、仮硬化が不十分であると、熱硬化時にシール材の位置がずれること等がある。光の照射は、一般的な紫外線照射装置等により行うことができる。
一方、仮硬化後、加熱硬化させる際の温度は、被封止物の耐熱温度や効率等を考慮して適宜設定されるが、通常60〜80℃とすることができ、70〜80℃とすることが好ましい。またこのときの加熱時間は、30〜180分間とすることが好ましく、45〜90分間とすることがより好ましい。上記加熱は、熱プレス等により行うことができる。光照射および加熱を組み合わせることで、過度に温度を高めることなく、短時間でシール材を硬化させることが可能である。
3.有機ELデバイス
上述のシール材の硬化物からなる面封止層を含む有機ELデバイスについて、以下説明する。
本発明の有機ELデバイスの構成は特に制限されないが、例えば、基板上に配置された有機EL素子と、基板と対になる封止基板と、基板と封止基板との間に配置され、有機EL素子を覆う面封止層とを含む構成とすることができる。このとき、面封止層の全部を、前述のシール材の硬化物からなるものとしてもよく、面封止層の一部のみを、前述のシール材の硬化物からなるものとしてもよい。
本発明のシール材の硬化物は、前述のように、透湿性が低い。そのため、面封止層が有機EL素子を完全に覆っていない場合や、面封止層と、有機EL素子との間に他の部材が介在している場合でも、有機EL素子を大気中の水分等から保護することができる。さらに、封止基板を設けない構造の有機ELデバイスの面封止層にも、本発明のシール材の硬化物は使用することができる。
図1は、有機ELデバイスの一態様を示す概略断面図である。図1に示されるように、有機ELデバイス20は、基板22、有機EL素子24、および封止基板26がこの順に積層されている。基板22と封止基板26との間には面封止層28が配置されており、有機EL素子24は、面封止層28で覆われて(面封止されて)いる。
基板22および封止基板26は、通常、ガラス基板または樹脂フィルムなどであり、基板22および封止基板26の少なくとも一方は、透明なガラス基板または透明な樹脂フィルムである。このような透明な樹脂フィルムの例には、ポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂等が含まれる。
有機EL素子24の種類は特に制限されず、その層構成は、有機EL素子24の種類に合わせて適宜選択される。例えば、図1Aに示すように、有機EL素子24がトップエミッション型の素子である場合、有機EL素子24は、基板22側から反射画素電極層30(アルミニウムや銀などからなる)、有機EL層32、および透明対向電極層34(ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム・スズ)やIZO(インジウム亜鉛酸化物)などからなる)が積層された構造体とすることができる。一方、有機EL素子24がボトムエミッション型の素子である場合、図1Bに示すように、有機EL素子24は、基板22側から透明対向電極層34、有機EL層32、および反射画素電極層30が積層された構造体とすることができる。これらの反射画素電極層30、有機EL層32および透明対向電極層34は、真空蒸着およびスパッタなどにより成膜することができる。
また、面封止層28は、本発明のシール材の硬化物からなるものとすることができる。前述の通り、本発明のシール材は、比較的穏やかな条件で硬化させることができる。したがって、シール材を硬化させる際に、有機EL素子に影響を及ぼし難い。さらに、当該面封止層28によれば、特に、基板22と封止基板26との隙間、すなわち、有機EL素子の側面方向から、大気中の水分や酸素などが侵入することを抑制することができる。
なお、上述の有機ELデバイスは、有機ELディスプレイパネルや有機EL照明等に適用することができる。
上記有機ELデバイスは、任意の方法で製造されうるが、例えば、1)有機EL素子が配置された基板を準備する工程と、2)有機EL素子を、シール材で覆う工程と、3)シール材を硬化させて面封止層とする工程と、4)封止基板で封止する工程とを含む方法とすることができる。上述のように、シール材を硬化させる工程では、光照射によるシール材の仮硬化を行ってから、シール材を熱硬化によって、本硬化させる。
以下に実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[材料]
実施例および比較例では、以下の材料を用いた。
(A)重量平均分子量(Mw)100〜500のエポキシ樹脂
・成分(A1):三菱化学社製 jER(登録商標) YL−983U(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、Mw:400、エポキシ当量:165〜175g/eq)
・成分(A2):ナガセケムテックス社製 EX−201(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、Mw:234、エポキシ当量:117g/eq)
・成分(A3):三菱化学社製 jER(登録商標) YX−8000(下記一般式で表される水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、Mw:352、エポキシ当量:205)
Figure 0006843664
(B)重量平均分子量(Mw)800〜10000のエポキシ樹脂
・成分(B1):三菱化学社製 jER(登録商標)−1001(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、Mw:900、エポキシ当量:450〜500g/eq、軟化点:64℃)
・成分(B2):三菱化学社製 jER(登録商標)−4005P(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、Mw:7500、エポキシ当量:950〜1200g/eq、軟化点:87℃)
(C)重量平均分子量(Mw)20000〜100000のエポキシ樹脂
・成分(C1):三菱化学社製 jER(登録商標)−4275(ビスフェノールA/ビスフェノールF混合タイプ、Mw:約60000、エポキシ当量:8400〜9200g/eq)
・成分(C2):三菱化学社製 jER(登録商標)−1256(ビスフェノールAタイプ、Mw:約50000、エポキシ当量:7500〜8500g/eq)
(D)光カチオン重合開始剤
(スルホニウム塩)
・成分(D1):アデカ社製 SP−171(下記一般式で表される骨格を有する化合物)
Figure 0006843664
・成分(D2)サンアプロ社製 CPI−101A(下記式で表される化合物)
Figure 0006843664
(上記一般式において、YおよびZは、水素基、もしくはアルキル基を表す)
(ヨードニウム塩)
・成分(D3):ローディア社製 PI−2074(下記式で表される化合物)
Figure 0006843664
(E)光増感剤
・成分(E1):川崎化成工業社製 アントラキュアー UVS−1101(下記式で表される9,10−ジエトキシアントラセン、分子量266.3)
Figure 0006843664
・川崎化成工業(株)製 光カチオン増感剤 アントラキュアー UVS−1331(下記式で表される9,10−ジブトキシアントラセン、分子量322.5)
Figure 0006843664
(F)その他の成分
・成分(F1)メチルエチルケトン(MEK)
・成分(F2)1−メトキシ−2−プロパノール
<実施例1>
フラスコに、(A)成分として10質量部のYL−983U、(B)成分として60質量部のjER(登録商標)1001、および(C)成分として30質量部のjER(登録商標)4275、とを投入した。当該フラスコに、さらに溶剤として70質量部のメチルエチルケトン(MEK)と、17.5質量部の1−メトキシ−2−プロパノールとを加えて室温で攪拌し、(A)成分、(B)成分、および(C)成分を溶剤に溶解させた。当該溶液に、(D)光カチオン重合開始剤として1質量部のSP−171、および(E)光増感剤として0.5質量部のUVS−1101をさらに添加して室温で攪拌し、ワニスを調製した。
一方、基材フィルムとして、離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ニッパ社製 V8)を準備した。当該基材フィルム上に、上述のワニスを塗工機にて、乾燥厚みが約15μmとなるように塗工した。そして、90℃のイナートオーブン内で3分間保持し、塗工膜中の溶剤(MEKおよび1−メトキシ−2−プロパノール)を乾燥除去した。これにより、室温(約23℃)において固形(シート状)の表示素子用シール材を得た。そして、当該表示素子用シール材上に保護フィルムとして、離型処理したPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製 ピューレックスA31)を室温で圧着した。なお、保護フィルムおよび基材フィルムは、適宜剥がし、表示素子用シール材を露出させて使用する。
<実施例2〜15、比較例1〜12>
表1および表2に示すように、ワニス調製用の樹脂等の組成を変更した以外は、実施例1と同様にして表示素子用シール材を得た。
<評価>
各実施例および比較例で調製したワニスの塗工性、得られた表示素子用シール材の形状保持性(ジッピング防止性および泣き別れ防止性)、接着力、および透湿量について、以下のように測定した。結果を表1および表2に示す。
(塗工性)
各実施例および比較例で作製した、保護フィルムを貼り合わせる前の表示素子用シール材を目視で観察し、ワニスの塗工性を以下の基準で評価した。
◎:シート状に成形でき、かつハジキやムラが無い
○:シート状に成形できたものの、ハジキやムラがA4サイズ中に1か所ある
×:シート状に成形できない、もしくはハジキやムラがA4サイズ中に2か所以上ある
(保護フィルム剥離時の表示素子用シール材の形状保持性)
表示素子用シール材から保護フィルムを剥離する際の、表示素子用シール材の状態を目視で観察した。
・ジッピング防止性
表示素子用シール材から保護フィルムを剥がす際に、表示素子用シール材と保護フィルムとの間で粘性を帯びた糸状のものが生じる現象(ジッピング)が生じたかを確認した。具体的には、表示素子用シール材を、基材フィルムおよび保護フィルムごと、幅15mm×長さ100mmに切り出した。その後、保護フィルムを5mm/秒および100mm/秒の速度にて、それぞれ90°で剥離した。このときにジッピングが生じたかを目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:5mm/秒、100mm/秒ともにジッピングが生じなかった
○:5mm/秒ではジッピングが生じたが、100mm/秒では生じなかった
×:5mm/秒、100mm/秒ともにジッピングが生じた
・泣き別れ防止性
表示素子用シール材から保護フィルムを剥がす際に、表示素子用シール材の一部ないしは全部が、保護フィルム側に残ってしまう現象(泣き別れ)が生じたかを確認した。具体的には、表示素子用シール材を、基材フィルムおよび保護フィルムごと、幅15mm×長さ100mmに切り出した。その後、保護フィルムを5mm/秒および100mm/秒の速度にて、それぞれ90°で剥離した。このときに泣き別れが生じたかを目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:5mm/秒、100mm/秒ともに泣き別れが生じなかった
○:100mm/秒では泣き別れが生じたが、5mm/秒では泣き別れが生じなかった
×:5mm/秒、100mm/秒ともに名泣き別れが生じた
(接着力)
表示素子用シール材を、基材フィルムおよび保護フィルムごと、幅15mm×長さ100mmに切り出した。そして、保護フィルムを剥がし、表示素子用シール材の一方の面をアルカリガラス(幅15mm×長さ100mm×厚み2mm)に貼り合わせた。その後、表示素子用シール材から基材フィルムを剥がして、表示素子用シール材にアルミニウム箔/PET複合フィルム(パナック社製 アルペット 30−12、幅15mm×長さ150mm×厚み40μm)のアルミニウム面をのせて室温で2kgの荷重で1分間貼り合わせた。その後、インテグレーション・テクノロジー・ジャパン社製 Solidcure2 HD、180mm、365nm/395nmシステムで、波長395nmの光を照射強度500mW/cmで6秒間、アルカリガラス側から照射した。その後、80℃のオーブンで1時間加熱した。
加熱後の試験片について、引張試験装置(インテスコ社製 210型引張試験装置)で、アルミニウム箔/PET複合フィルムを、50mm/分の速度で90°で剥離し、このときの応力を測定した。なお、150g/15mm以上を合格とした。
(透湿量)
基材フィルムとして、離型処理されたPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製ピューレックスA31)を準備した。当該基材フィルム上に、実施例および比較例で調製したワニスを塗工機にて、乾燥厚みが100μmになるように塗工した・そして、90℃のイナートオーブン内で3分間保持し、塗工膜中の溶剤(MEKおよび1−メトキシ−2−プロパノール)を乾燥除去した。これにより、室温(約23℃)において固形(シート状)の表示素子用シール材を得た。
当該表示素子用シール材に、インテグレーション・テクノロジー・ジャパン社製 Solidcure2 HD、180mm、365nm/395nmシステムで、波長395nmの光を照射強度500mW/cmで6秒間照射した後、80℃のオーブンで1時間加熱した。その後、基材フィルムを剥離し、厚さ100μmの表示素子用シール材の硬化物を得た。
得られた硬化物を用い、JIS Z0208準拠した方法でアルミニウムカップを作製した。当該カップを、60℃90%RHの高温高湿槽に24時間放置した前後の重量から、下記の計算式で透湿量を算出した。
透湿量(g/m・100μm・24h)=[24h放置後のアルミニウムカップ重量(g)−放置前のアルミニウムカップ重量(g)]/フィルム面積(m
Figure 0006843664
Figure 0006843664
表1および表2に示されるように、(A)重量平均分子量が100〜500であるエポキシ樹脂と、(B)重量平均分子量が800〜10000であるエポキシ樹脂と、(C)重量平均分子量が20000〜100000であるエポキシ樹脂と、を所定の比率で含む表示素子用シール材では、その形成時に、ワニスの塗工性が良好であった。またさらに、得られた表示素子用シール材から保護フィルムを剥離する際に、ジッピングや泣き別れが生じ難かった(実施例1〜15)。
これに対し、成分(A)の量が過剰である場合には、ワニスの塗工性が低く、均一な厚みの表示素子用シール材を得ることができなかった(比較例10〜12)。一方、成分(A)を全く含まない場合には、泣き別れが生じやすかった(比較例1〜4)。成分(A)を含まない場合には、相対的に成分(B)や成分(C)の量が過剰になり、表示素子用シール材の靱性が低くなったと推察される。
また、成分(A)を含んでいたとしても、成分(C)の量が過剰である場合、泣き別れが生じやすかった(比較例5〜9)。成分(C)の量が過剰となることで、表示素子用シール材の靱性が低くなったと推察される。
本発明の表示素子用シール材は、光硬化および熱硬化によって、比較的穏やかな条件で硬化可能である。またさらに、その硬化物は透湿量が低い。したがって、各種素子を適切に封止することが可能である。本発明の表示素子用シール材は、例えば有機EL素子等、各種表示素子を封止するためのシール材として、非常に有用である。
20 有機ELデバイス
22 基板
24 有機EL素子
26 封止基板
28 面封止層
30 反射画素電極層
32 有機EL層
34 透明対向電極層

Claims (9)

  1. (A)重量平均分子量が100〜500であるエポキシ樹脂と、
    (B)重量平均分子量が800〜10000であるエポキシ樹脂と、
    (C)重量平均分子量が20000〜100000であるエポキシ樹脂と、
    (D)スルホニウム塩およびヨードニウム塩のうち、少なくとも一方を含む光カチオン重合開始剤と、
    (E)光増感剤と、
    を含み、
    前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分との合計100質量部に対して、前記(A)成分を10〜50質量部含み、前記(B)成分を20〜85質量部含み、前記(C)成分を5〜30質量部含み、
    シート状である、
    表示素子用シール材。
  2. 前記(A)成分、前記(B)成分、および前記(C)成分が、いずれも分子中に芳香環を含む、
    請求項1に記載の表示素子用シール材。
  3. 請求項1または2に記載の表示素子用シール材を含む、有機EL素子用面封止材。
  4. 前記項1または2に記載の表示素子用シール材の硬化物からなる、面封止層。
  5. 有機EL素子が配置された基板を準備する工程と、
    前記有機EL素子を、請求項3に記載の有機EL素子用面封止材で覆う工程と、
    前記有機EL素子用面封止材を硬化させて、前記有機EL素子を面封止する工程と、
    を含む、
    有機ELデバイスの製造方法。
  6. 前記有機EL素子を面封止する工程において、前記有機EL素子用面封止材に光を照射した後、前記有機EL素子用面封止材を加熱する、
    請求項5に記載の有機ELデバイスの製造方法。
  7. 有機EL素子と、
    前記有機EL素子と接するように配置された、請求項4に記載の面封止層と、
    を含む、有機ELデバイス。
  8. 請求項7に記載の有機ELデバイスを有する、
    有機ELディスプレイパネル。
  9. 請求項7に記載の有機ELデバイスを有する、
    有機EL照明。
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