JP7368202B2 - 封止シート - Google Patents

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Description

本発明は、硬化性の封止剤層を有する封止シートに関する。
近年、有機EL素子は、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能な発光素子として注目されている。
しかし、有機EL素子には、時間の経過とともに、発光輝度、発光効率、発光均一性等の発光特性が低下し易いという問題があった。
この発光特性の低下の問題の原因として、酸素や水分等が有機EL素子の内部に浸入し、電極や有機層を劣化させることが考えられたため、封止材を用いて有機EL素子を封止し、酸素や水分の浸入を防止することが行われてきた。
例えば、特許文献1には、樹脂成分と硬化剤とを含有し、前記樹脂成分が、重量平均分子量が特定範囲内のビフェニル骨格含有エポキシ樹脂と、重量平均分子量が特定範囲内の脂環骨格含有エポキシ樹脂と、重量平均分子量が特定範囲内のスチレン系オリゴマーを含有することを特徴とする画像表示装置封止材が記載されている。
特許文献1には、その画像表示装置封止材は、ビフェニル骨格含有樹脂及びスチレン系オリゴマーを含有するため誘電率が比較的低いことや、その画像表示装置封止材をタッチパネル中の封止材として用いることで、封止材に起因する、タッチパネルの誤作動が生じ難くなることも記載されている。
WO2018/235824号
特許文献1に記載されるように、硬化性のシート状接着剤は、封止材の形成材料として好適に用いられてきた(以下、「封止材形成用のシート状接着剤」を「封止剤層」ということがある。)。
特に、低誘電特性を有する硬化物を与える封止剤層は、タッチパネル等に用いられる封止材の形成材料として有用である。
本発明は、タッチパネル等に用いられる封止材の形成材料としてさらに適する封止シート(すなわち、低誘電特性を有し、かつ、透明性に優れる硬化物になる封止剤層を有する封止シート)を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、硬化性の封止剤層について鋭意検討した。その結果、ガラス転移温度(Tg)が90℃以上のフェノキシ樹脂と、脂環式骨格及び環状エーテル基を有する化合物を含有する接着剤層の硬化物は、低誘電特性を有し、かつ、透明性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記〔1〕~〔7〕の封止シートが提供される。
〔1〕硬化性の封止剤層を有する封止シートであって、以下の要件(I)、要件(II)、及び要件(III)を満たすことを特徴とする封止シート。
要件(I):前記封止剤層が、ガラス転移温度(Tg)が90℃以上のフェノキシ樹脂を含有する。
要件(II):前記封止剤層が、脂環式骨格及び環状エーテル基を有する化合物を1種又は2種以上含有する。
要件(III):前記封止剤層の硬化物の、23℃、周波数100kHzにおける比誘電率が3.5以下である。
〔2〕前記封止剤層の硬化物の、23℃、周波数100kHzにおける誘電正接が0.05以下である、〔1〕に記載の封止シート。
〔3〕前記脂環式骨格及び環状エーテル基を有する化合物の少なくとも1種が、25℃で液体の化合物である、〔1〕又は〔2〕に記載の封止シート。
〔4〕前記脂環式骨格及び環状エーテル基を有する化合物の少なくとも1種が、環状エーテル基としてグリシジルエーテル基を有する化合物である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の封止シート。
〔5〕前記封止剤層の硬化物の全光線透過率が90%以上である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の封止シート。
〔6〕前記封止剤層の硬化物のヘイズ値が1%以下である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の封止シート。
〔7〕前記封止剤層の硬化物のCIE 1976 L色空間におけるb*が-1以上+1以下である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の封止シート。
本発明によれば、低誘電特性を有し、かつ、透明性に優れる硬化物になる封止剤層を有する封止シートが提供される。
本発明の封止シートは、硬化性の封止剤層を有する封止シートであって、以下の要件(I)、要件(II)、及び要件(III)を満たすことを特徴とするものである。
要件(I):前記封止剤層が、ガラス転移温度(Tg)が90℃以上のフェノキシ樹脂を含有する。
要件(II):前記封止剤層が、脂環式骨格及び環状エーテル基を有する化合物を1種又は2種以上含有する。
要件(III):前記封止剤層の硬化物の、23℃、周波数100kHzにおける比誘電率が3.5以下である。
本発明において、「封止剤層」とは、「封止材形成用のシート状接着剤」を意味する。封止剤層の硬化物は封止材として用いられる。
封止剤層は、常温では非流動性を示す層である。封止剤層は、短冊状のものであっても、長尺状(帯状)のものであってもよい。
〔要件(I)〕
封止剤層は、ガラス転移温度(Tg)が90℃以上のフェノキシ樹脂(以下、「フェノキシ樹脂(A)」と記載することがある。)を含有する。
フェノキシ樹脂は、主鎖が芳香族ジオールと芳香族ジグリシジルエーテルとの重付加構造である高分子である。フェノキシ樹脂は、一般に、高分子量のエポキシ樹脂に該当し、重合度が100程度以上のものをいう。
フェノキシ樹脂(A)は、脂環式骨格及び環状エーテル基を有する化合物(以下、「環状エーテル基含有化合物(B)」と記載することがある。)の特性を十分に発揮させるという点で重要ある。
すなわち、後述するように、封止剤層の硬化物の誘電率を下げ、さらに封止剤層の硬化物の透明性を向上させるためには、環状エーテル基含有化合物(B)は封止剤層中に多く含まれることが好ましい。
しかしながら、環状エーテル基含有化合物(B)を多く含む封止剤層は硬化前の形状保持性が低下するおそれがあった。
この点、本発明の封止シートの封止剤層は、フェノキシ樹脂(A)を含有するものであるため、環状エーテル基含有化合物(B)を多く含有する場合であっても、硬化前の形状を一定の形状を長期間にわたり保つことができる。
フェノキシ樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は90℃以上であり、好ましくは95~150℃、より好ましくは100~150℃である。
フェノキシ樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)が90℃以上であることで、その封止剤層の硬化物は、高温条件下における形状保持性に優れたものとなる。
フェノキシ樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量分析計を用いて測定することができる。
フェノキシ樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、通常10,000~200,000、好ましくは20,000~100,000、より好ましくは30,000~80,000である。
フェノキシ樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)が小さ過ぎると、封止剤層は一定の形状を保つことが困難になる傾向がある。フェノキシ樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)が大き過ぎると、封止剤層は取り扱い性に劣る傾向がある。
フェノキシ樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を行い、標準ポリスチレン換算値として求めることができる。
フェノキシ樹脂(A)のエポキシ当量は、好ましくは5,000g/eq以上、より好ましくは6,500g/eq以上である。エポキシ当量は、JIS K7236に準じて測定することができる。
フェノキシ樹脂(A)としては、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の共重合体型フェノキシ樹脂、ビスフェノールE型フェノキシ樹脂、ナフタレン型フェノキシ樹脂、ノボラック型フェノキシ樹脂、ビフェニル型フェノキシ樹脂、シクロペンタジエン型フェノキシ樹脂等が挙げられる。
フェノキシ樹脂(A)は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
フェノキシ樹脂(A)は、二官能フェノール類とエピハロヒドリンとを高分子量まで反応させる方法、又は、二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を重付加反応させる方法により得ることができる。
例えば、二官能フェノール類とエピハロヒドリンとをアルカリ金属水酸化物の存在下で、不活性溶媒中、40~120℃の温度で反応させることにより得ることができる。また、二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類とを、アルカリ金属化合物、有機リン系化合物、環状アミン系化合物等の触媒の存在下で、沸点が120℃以上の、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、ラクトン系溶媒、アルコール系溶媒等の有機溶剤中で、反応固形分濃度が50重量%以下で50~200℃に加熱して重付加反応させて得ることもできる。
二官能フェノール類は、2個のフェノール性水酸基をもつ化合物であれば、特に限定されない。例えば、ハイドロキノン、2-ブロモハイドロキノン、レゾルシノール、カテコールなどの単環二官能フェノール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS等のビスフェノール類;4,4’-ジヒドロキシビフェニルなどのジヒドロキシビフェニル類;ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテルなどのジヒドロキシフェニルエーテル類;及びこれらのフェノール骨格の芳香環に、直鎖アルキル基、分枝アルキル基、アリール基、メチロール基、アリル基、環状脂肪族基、ハロゲン(テトラブロモビスフェノールA等)、ニトロ基等を導入したもの;これらのビスフェノール骨格の中央にある炭素原子に直鎖アルキル基、分枝アルキル基、アリル基、置換基のついたアリル基、環状脂肪族基、アルコキシカルボニル基等を導入した多環二官能フェノール類;等が挙げられる。
エピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、エピヨードヒドリンなどが挙げられる。
また、本発明においては、フェノキシ樹脂(A)として、市販品を用いることもできる。市販品としては、YX7200(ガラス転移温度:150℃)、YX6954(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂、ガラス転移温度:130℃)、jER1256(ガラス転移温度:98℃)(以上、三菱ケミカル社製);YP-50(ガラス転移温度:84℃)(日鉄ケミカル&マテリアル社製);等が挙げられる。
フェノキシ樹脂(A)の含有量は、封止剤層全体に対して好ましくは30~55質量%であり、より好ましくは35~50質量%である。
フェノキシ樹脂(A)の含有量が上記範囲内であることで、封止剤層の形状保持性が向上するとともに、低誘電特性を有し、かつ、透明性に優れる硬化物になる封止剤層が得られやすくなる。
本発明において「低誘電特性を有する」とは、要件(III)を満たすことをいう。
〔要件(II)〕
封止剤層は、脂環式骨格及び環状エーテル基を有する化合物〔環状エーテル基含有化合物(B)〕を1種又は2種以上含有する。
脂環式骨格及び環状エーテル基を有する化合物とは、分子内に脂環式骨格を有し、さらに、分子内に少なくとも1個、好ましくは2個以上の環状エーテル基を有する化合物をいう。なお、本発明においては、フェノキシ樹脂(A)は、脂環式骨格及び環状エーテル基を有する化合物には含まれないものとする。
封止剤層が環状エーテル基含有化合物(B)を含有することで、その封止剤層の硬化物は低誘電特性を有し、さらに透明性に優れたものとなる。
環状エーテル基含有化合物(B)の分子量は、通常、100~5,000、好ましくは200~3,000である。
環状エーテル基含有化合物(B)の環状エーテル当量は、好ましくは50g/eq以上1000g/eq以下、より好ましくは100g/eq以上800g/eq以下である。
環状エーテル基含有化合物(B)の環状エーテル当量が上記範囲にある封止剤層を硬化させることで、接着強度が高い封止材をより効率よく形成することができる。
本発明における環状エーテル当量とは、分子量を環状エーテル基数で除した値を意味する。
環状エーテル基としては、オキシラン基(エポキシ基)、オキセタン基(オキセタニル基)、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
これらの中でも、環状エーテル基としては、オキシラン基が好ましい。
なお、本明細書において、オキシラン基には、グリシジル基、グリシジルエーテル基、エポキシシクロヘキシル基等のオキシラン構造を有する基が含まれる。
環状エーテル基含有化合物(B)としては、少なくとも1個以上の脂環式構造を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル化物や、シクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物等のシクロアルケンオキサイド化合物が挙げられる。
環状エーテル基含有化合物(B)の代表的な化合物としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、プロパン-2,2-ジイル-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ-2-エチルヘキシル、1-エポキシエチル-3,4-エポキシシクロヘキサン、1,2-エポキシ-2-エポキシエチルシクロヘキサン、α-ピネンオキシド、リモネンジオキシド等が挙げられる。
また、環状エーテル基含有化合物(B)として、市販品を用いることもできる。市販品としては、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2000、セロキサイド3000(以上、ダイセル社製);エポライト4000(共栄社化学社製);YX8000、YX8034(以上、三菱ケミカル社製);アデカレジンEP-4088S、アデカレジンEP-4088L、アデカレジンEP-4080E(以上、ADEKA社製);等が挙げられる。
環状エーテル基含有化合物(B)は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
環状エーテル基含有化合物(B)の含有量は、封止剤層全体に対して、好ましくは45質量%以上、より好ましくは55~70質量%である。
環状エーテル基含有化合物(B)の含有量が、封止剤層全体に対して50質量%以上であることで、誘電率がより低く、かつ、透明性により優れる封止剤層の硬化物が得られやすくなる。
環状エーテル基含有化合物(B)の少なくとも1種は、25℃で液体の化合物が好ましい。
「25℃で液体」とは、25℃において流動性を有することを意味する。環状エーテル基含有化合物(B)は、E型粘度計を用いて、25℃、1.0rpmにて測定した粘度が、2~10000mPa・sであることが好ましい。
25℃で液体の環状エーテル基含有化合物(B)を用いることで、室温(25℃をいう。以下同じ)における貼付性により優れる封止剤層を形成し易くなる。
封止剤層が、25℃で液体の環状エーテル基含有化合物(B)を含有するとき、その含有量は、封止剤層全体に対して、好ましくは55質量%以上であり、より好ましくは、55~70質量%である。
25℃で液体のエポキシ化合物の含有量を、封止剤層全体に対して55質量%以上にすることで、室温における貼付性により優れる封止剤層を形成し易くなる。
環状エーテル基含有化合物(B)の少なくとも1種は、環状エーテル基としてグリシジルエーテル基を有する化合物が好ましい。
グリシジルエーテル基は、エポキシシクロヘキシル基等に比べて反応性がそれほど高くないため、グリシジルエーテル基を有する環状エーテル基含有化合物(B)を用いることで、保存安定性により優れる封止シートが得られ易くなる。
封止剤層が、グリシジルエーテル基を有する環状エーテル基含有化合物(B)を含有するとき、その含有量は、封止剤層全体に対して、好ましくは55質量%以上であり、より好ましくは、55~70質量%である。
グリシジルエーテル基を有する環状エーテル基含有化合物(B)の含有量を、封止剤層全体に対して55質量%以上にすることで、保存安定性により優れる封止シートが得られ易くなる。
〔要件(III)〕
封止剤層の硬化物の、23℃、周波数100kHzにおける比誘電率(以下、この比誘電率を「比誘電率(α)」と記載することがある。)が3.5以下である。
比誘電率(α)が3.5以下の硬化物を、タッチパネル等のタッチセンサーを備える電子デバイス中の封止材として用いることで、封止材に起因する電子デバイスの誤作動を抑制することができる。
比誘電率(α)は、好ましくは3.48以下、より好ましくは3.47以下である。
比誘電率(α)の下限値は特にないが、通常は2.00以上である。
比誘電率(α)の測定試料は、封止剤層を十分に硬化させたものであれば特に限定されない。
例えば、封止剤層が熱硬化性を有するものである場合、110℃で1時間の硬化条件で得られた硬化物を比誘電率(α)の測定試料として用いることができる。
比誘電率(α)は、実施例に記載の方法に従って測定することができる。
環状エーテル基含有化合物(B)を多く含む封止剤層の硬化物は、比誘電率(α)が小さくなる傾向がある。
したがって、要件(III)を満たす封止剤層は、環状エーテル基含有化合物(B)の含有量を調節することにより効率よく形成することができる。
〔硬化剤〕
封止剤層は硬化剤を含有してもよい。硬化剤を用いることで、より効率よく硬化反応が進行する封止剤層を得ることができる。
硬化剤としては、少なくとも環状エーテル基含有化合物(B)の硬化反応を開始させるものであれば特に限定されない。硬化反応を比較的短時間で終えることができることから、硬化剤としては、加熱により硬化反応を開始させるものが好ましく用いられる。
加熱により硬化反応を開始させる硬化剤としては、熱カチオン重合開始剤や、それ以外の熱反応性硬化剤が挙げられる。
熱カチオン重合開始剤は、加熱によって重合を開始させるカチオン種を発生しうる化合物である。
熱カチオン重合開始剤としては、スルニホウム塩、第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。
スルホニウム塩としては、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルシネート、トリス(4-メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアルシネート、ジフェニル(4-フェニルチオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアルシネート等が挙げられる。
スルホニウム塩として、市販品を用いることもできる。市販品としては、アデカオプトンSP-150、アデカオプトンSP-170、アデカオプトンCP-66、アデカオプトンCP-77(以上、旭電化社製)、サンエイドSI-60L、サンエイドSI-80L、サンエイドSI-100L、サンエイドSI-B2A、サンエイドSI-B3(以上、三新化学社製)、CYRACURE UVI-6974、CYRACURE UVI-6990(以上、ユニオン・カーバイド社製)、UVI-508、UVI-509(以上、ゼネラル・エレクトリック社製)、FC-508、FC-509(以上、ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチュアリング社製)、CD-1010、CD-1011(以上、サーストマー社製)、CIシリーズの製品(日本曹達社製)等が挙げられる。
第四級アンモニウム塩としては、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウムハイドロジェンサルフェート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムp-トルエンスルホネート、N,N-ジメチル-N-ベンジルアニリニウムヘキサフルオロアンチモネート、N,N-ジメチル-N-ベンジルアニリニウムテトラフルオロボレート、N,N-ジメチル-N-ベンジルピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、N,N-ジエチル-N-ベンジルトリフルオロメタンスルホネート、N,N-ジメチル-N-(4-メトキシベンジル)ピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、N,N-ジエチル-N-(4-メトキシベンジル)トルイジニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
ホスホニウム塩としては、エチルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、テトラブチルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
ジアゾニウム塩としては、AMERICURE(アメリカン・キャン社製)、ULTRASET(旭電化社製)等が挙げられる。
ヨードニウム塩としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルシネート、ビス(4-クロロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルシネート、ビス(4-ブロモフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルシネート、フェニル(4-メトキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルシネート等が挙げられる。また、市販品として、UV-9310C(東芝シリコーン社製)、Photoinitiator2074(ローヌ・プーラン社製)、UVEシリーズの製品(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズの製品(ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチュアリング社製)なども用いることができる。
熱カチオン重合開始剤以外の熱反応性硬化剤としては、ベンジルメチルアミン、2,4,6-トリスジメチルアミノメチルフェノール等のアミン化合物;2-メチルイミダゾール、3-エチル-4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール化合物;三フッ化ホウ素・モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・ピペラジン錯体などのルイス酸;等が挙げられる。
硬化剤は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
硬化剤の含有量は、特に制限されないが、環状エーテル基含有化合物(B)100質量部に対して、好ましくは0.1~15質量部、より好ましくは1~10質量部、さらに好ましくは1~5質量部である。
〔シランカップリング剤〕
封止剤層は、シランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤を用いることで、湿熱耐久性により優れる封止剤層が得られ易くなる。
シランカップリング剤としては、公知のシランカップリング剤を用いることができる。なかでも、分子内にアルコキシシリル基を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物が好ましい。
シランカップリング剤としては、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン等のビニル基を有するシランカップリング剤;
2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシランカップリング剤;
p-スチリルトリメトキシシラン、p-スチリルトリエトキシシラン等のスチリル基を有するシランカップリング剤;
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル・ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノ基を有するシランカップリング剤;
3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド基を有するシランカップリング剤;
3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のハロゲン原子を有するシランカップリング剤;
3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するシランカップリング剤;
ビス(トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド基を有するシランカップリング剤;
3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基を有するシランカップリング剤;
アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン等のアリル基を有するシランカップリング剤;
3-ヒドキシプロピルトリメトキシシラン、3-ヒドキシプロピルトリエトキシシラン等の水酸基を有するシランカップリング剤;等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
封止剤層がシランカップリング剤を含有するとき、シランカップリング剤の含有量は、封止剤層全体中、好ましくは0.01~5質量%、より好ましくは0.05~1質量%である。
〔その他の成分〕
封止剤層は、本発明の効果を妨げない範囲で、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、紫外線吸収剤、帯電防止剤、光安定剤、酸化防止剤、樹脂安定剤、充填剤、顔料、増量剤、軟化剤等の添加剤が挙げられる。
これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
封止剤層が、これらの添加剤を含有する場合、その含有量は、目的に合わせて適宜決定することができる。
〔封止剤層〕
封止剤層の厚みは、通常1~50μmであり、好ましくは1~25μm、より好ましくは5~25μmである。厚みが上記範囲内にある封止剤層は、封止材の形成材料として好適に用いられる。
封止剤層の厚みは、公知の厚み計を用いて、JIS K 7130(1999)に準じて測定することができる。
封止剤層の形成方法は特に限定されない。例えば、キャスト法を用いて封止剤層を形成することができる。
封止剤層をキャスト法により製造する場合、封止剤層を構成する成分を含有する封止剤組成物を調製し、得られた封止剤組成物を、公知の方法を用いて、基材又は剥離フィルムの剥離処理された剥離層面に塗工し、得られた塗膜を乾燥することで、封止剤層を形成することができる。
封止剤組成物は、溶媒を含有してもよい。
溶媒としては、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
これらの溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶媒の含有量は、塗工性等を考慮して適宜決定することができる。
封止剤組成物を塗工する方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
塗膜を乾燥する方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等、従来公知の乾燥方法が挙げられる。
塗膜を乾燥するときの条件としては、例えば、80~150℃で30秒から5分間である。
封止剤層が熱硬化性を有するものである場合、封止剤層を加熱することにより、少なくとも環状エーテル基含有化合物(B)の環状エーテル基が反応し、封止剤層が硬化する。
封止剤層を熱硬化させる際の条件は特に限定されない。
加熱温度は、通常、80~200℃、好ましくは90~150℃である。
加熱時間は、通常、30分から12時間、好ましくは1~6時間である。
封止剤層の硬化物の、23℃、周波数100kHzにおける誘電正接(以下、この誘電正接を「誘電正接(β)」と記載することがある。)は、好ましくは0.05以下であり、より好ましくは0.045以下、さらに好ましくは0.040以下である。
誘電正接(β)の下限は特にないが、通常0.0001以上である。
誘電正接(β)が0.05以下であることで、発熱や信号の減衰を抑制することが可能となるである。
誘電正接(β)は、実施例に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の封止シートの封止剤層は、環状エーテル基含有化合物(B)を含有するため、その硬化物は誘電正接が低くなる傾向がある。
封止剤層の硬化物の全光線透過率は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは91%以上である。
全光線透過率の上限は特にないが、通常100%以下である。
全光線透過率が90%以上の硬化物を、タッチパネル等の表示用デバイス中の封止材として用いることで、視認性により優れる電子デバイスを得ることができる。
全光線透過率は、実施例に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の封止シートの封止剤層は、環状エーテル基含有化合物(B)を含有するため、その硬化物は全光線透過率が高くなる傾向がある。
封止剤層の硬化物のヘイズ値は、好ましくは1%以下であり、より好ましくは0.9%以下であり、特に好ましくは0.4%以下である。
ヘイズ値の下限は特にないが、通常0%以上である。
ヘイズ値が1%以下の硬化物を、タッチパネル等の表示用デバイス中の封止材として用いることで、視認性により優れる電子デバイスを得ることができる。
ヘイズ値は、実施例に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の封止シートの封止剤層は、環状エーテル基含有化合物(B)を含有するため、その硬化物はヘイズ値が低くなる傾向がある。
封止剤層の硬化物のCIE 1976 L色空間におけるb*値は、-1以上+1以下が好ましい。
硬化物のb*値が上記範囲内の硬化物を、タッチパネル等の表示用デバイス中の封止材として用いることで、視認性により優れる電子デバイスを得ることができる。
b*値は、実施例に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の封止シートの封止剤層は、環状エーテル基含有化合物(B)を含有するため、b*値は0に近い値になる傾向がある。
〔封止シート〕
本発明の封止シートは、上記の封止剤層を有するものである。
本発明の封止シートは、封止剤層の他に、基材、剥離フィルム、機能性フィルム等を有していてもよい。
基材としては、通常、樹脂フィルムを利用することができる。
樹脂フィルムの樹脂成分としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族系重合体、ポリウレタン系ポリマー、液晶ポリマーフィルム等が挙げられる。
基材の厚みは、特に制限はないが、好ましくは10~500μm、より好ましくは10~300μm、さらに好ましくは15~200μmである。
剥離フィルムは、封止シートの製造工程においては支持体として機能するとともに、封止シートを使用するまでの間は、封止剤層の保護シートとして機能する。
なお、本発明の封止シートを使用する際は、通常、剥離フィルムは剥離除去される。
剥離フィルムとしては、従来公知のものを利用することができる。例えば、剥離フィルム用の基材上に、剥離剤により剥離処理された剥離層を有するものが挙げられる。
剥離フィルム用の基材としては、グラシン紙、コート紙、上質紙等の紙基材;これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のプラスチックフィルム;等が挙げられる。
剥離剤としては、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
剥離フィルムの厚みは、特に制限はないが、通常20~250μm程度である。
本発明の封止シートが剥離フィルムを有するものである場合、封止剤層の両側にそれぞれ1枚、合計2枚の剥離フィルムを有していてもよいし、封止剤層の片側にのみ剥離フィルムを有していてもよい。
機能性フィルムとしては、導電性フィルム、ガスバリアフィルム、反射防止フィルム、位相差フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルム等が挙げられる。これらのうち、例えば、ガスバリアフィルムとしては、金属や無機化合物の膜を有するフィルム等が挙げられる。
機能性フィルムの厚みは、特に限定されないが、通常、5~200μm、好ましくは10~100μmである。
本発明の封止シートの封止剤層は、電子デバイスの封止材の形成材料として好適に用いられる。
本発明の封止シートの封止剤層は、低誘電特性を有する硬化物を与えるものである。この特性が生かされることから、電子デバイスとしては、タッチパネル等のタッチセンサーを備えるものが好ましい。
また、本発明の封止シートの封止剤層は、透明性に優れる硬化物を与えるものである。この特性が生かされることから、電子デバイスとしては、光透過性が求められる電子デバイスが好ましい。
光透過性が求められる電子デバイスとしては、有機ELディスプレイ、有機EL照明等の有機EL素子;液晶ディスプレイ等の液晶素子;電子ペーパー素子;太陽電池素子;発光ダイオード;等が挙げられる。
本発明の封止シートを用いて電子デバイスを封止する方法は特に限定されない。例えば、対象の電子デバイスに本発明の封止シートの封止剤層を貼付し、次いで、上記の方法により封止剤層を硬化させることにより電子デバイスを封止することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例になんら限定されるものではない。
〔実施例又は比較例で使用した化合物〕
・フェノキシ樹脂(A1):(三菱ケミカル社製、商品名:YX6954BH30、ガラス転移温度(Tg):130℃、エポキシ当量:10,000~16,000g/eq)
・フェノキシ樹脂(A2):(三菱ケミカル社製、商品名:1256B40、ガラス転移温度(Tg):98℃、エポキシ当量:6,700~8,000g/eq)
・フェノキシ樹脂(A3):(三菱ケミカル社製、商品名:YX8100BH30、ガラス転移温度(Tg):150℃)
・環状エーテル基を有する化合物(B1):水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔三菱ケミカル社製、商品名:YX8034、環状エーテル当量:270g/eq、脂環式骨格、グリシジルエーテル基、25℃で液体〕
・環状エーテル基を有する化合物(B2):水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔三菱ケミカル社製、商品名:YX8000、環状エーテル当量:205g/eq、脂環式骨格、グリシジルエーテル基、25℃で液体〕
・環状エーテル基を有する化合物(BX1):ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔三菱ケミカル社製、商品名:jER828、環状エーテル当量:189g/eq、芳香族骨格、グリシジルエーテル基、25℃で液体〕
・熱カチオン重合開始剤(C1):(三新化学社製、商品名:サンエイドSI-B3)
・シランカップリング剤(D1):8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBM4803)
〔実施例1〕
フェノキシ樹脂(A1)100質量部、環状エーテル基を有する化合物(B1)150質量部、熱カチオン重合開始剤(C1)3.3質量部、シランカップリング剤(D1)0.2質量部をメチルエチルケトンに溶解し、塗工液を調製した。
この塗工液を剥離フィルム(第1剥離フィルム、リンテック社製、商品名:SP-PET752150)の剥離処理面上に塗工し、得られた塗膜を100℃で2分間乾燥し、厚みが15μmの封止剤層を形成した。この封止剤層上に、もう1枚の剥離フィルム(第2剥離フィルム、リンテック社製、商品名:SP-PET381130)の剥離処理面を貼り合わせて封止シートを得た。
〔実施例2~3、比較例1、2〕
封止剤層を構成する各成分の種類及び量を第1表に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして封止シートを得た。
実施例1~3、比較例1、2で得た封止シートについて、以下の試験を行った。結果を第1表に示す。
〔比誘電率、誘電正接〕
実施例又は比較例で得た封止シートを110℃で1時間加熱して、封止剤層を硬化させた。硬化処理後の封止シートから剥離フィルムを剥離除去して測定用試料を得た。
得られた測定用試料について、LFインピーダンス・アナライザ(アジレント・テクノロジー社製、HP4192A)を用いて自動平衡ブリッジ法により、23℃、100kHzにおける比誘電率及び誘電正接を測定した。
〔全光線透過率〕
実施例又は比較例で得た封止シートの剥離フィルムを1枚剥離除去し、封止剤層を露出させた。ラミネーターを用いて、23℃で、露出した封止剤層を無アルカリガラスに貼合し、積層体を得た。得られた積層体を110℃で1時間加熱して、封止剤層を硬化させた後、もう1枚の剥離フィルムを剥離除去して測定用試料を得た。
得られた測定用試料について、JIS K7361:1997に準拠し、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH-2000)を用いて、全光線透過率(%)を測定した。
〔ヘイズ〕
全光線透過率で用いたものと同様の測定用試料を調製した。
得られた測定用試料について、JIS K7136:2000に準拠し、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH-2000)を用いて、ヘイズ値(%)を測定した。
〔測色〕
全光線透過率で用いたものと同様の測定用試料を調製した。
得られた測定用試料について、CIE1976L*a*b*表色系により規定される色彩値b*を、JIS Z 8729-1994に準拠し、分光光度計(島津製作所社製、UV-3200)を用いて測定した。
Figure 0007368202000001
第1表から以下のことが分かる。
実施例1~3で得られた封止シートの封止剤層は、脂環式骨格及び環状エーテル基を有する化合物〔環状エーテル基含有化合物(B)〕を多く含有するため、その硬化物は、低誘電特性を有し、かつ、透明性に優れている。
一方、環状エーテル基含有化合物(B)に代えて、芳香族骨格と環状エーテル基を有する化合物を用いた比較例1、2で得られた封止シートの封止剤層の硬化物は、誘電率が高くなっている。

Claims (6)

  1. 硬化性の封止剤層を有する封止シートであって、以下の要件(I)、要件(II)、要件(III)、要件(IV)、及び要件(V)を満たすことを特徴とする封止シート。
    要件(I):前記封止剤層が、ガラス転移温度(Tg)が90℃以上のフェノキシ樹脂を含有する。
    要件(II):前記封止剤層が、脂環式骨格及び環状エーテル基を有する化合物を1種又は2種以上含有する。
    要件(III):前記封止剤層の硬化物の、23℃、周波数100kHzにおける比誘電率が3.5以下である。
    要件(IV):前記脂環式骨格及び環状エーテル基を有する化合物の含有量が、封止剤層全体に対して55~70質量%である。
    要件(V):前記封止剤層の硬化物のヘイズ値が1%以下である。
  2. 前記封止剤層の硬化物の、23℃、周波数100kHzにおける誘電正接が0.05以下である、請求項1に記載の封止シート。
  3. 前記脂環式骨格及び環状エーテル基を有する化合物の少なくとも1種が、25℃で液体の化合物である、請求項1又は2に記載の封止シート。
  4. 前記脂環式骨格及び環状エーテル基を有する化合物の少なくとも1種が、環状エーテル基としてグリシジルエーテル基を有する化合物である、請求項1~3のいずれかに記載の封止シート。
  5. 前記封止剤層の硬化物の全光線透過率が90%以上である、請求項1~4のいずれかに記載の封止シート。
  6. 前記封止剤層の硬化物のCIE 1976 L色空間におけるb*が-1以上+1以下である、請求項1~のいずれかに記載の封止シート。
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