図1A−Cは、実施例1に記載したように、(A)好中球及び好酸球、(B)、好酸球及びIL−17A+細胞、及び(C)IL−17F+及びIL−17A+細胞の気管支生検組織数の対比較を示す。
図2A−Bは、実施例2に記載したように、検出不可能(定量下限値未満;<LLOQ)及び検出可能(定量下限以上、≧LLOQ)に関して適合した生検好中球試料中の(A)IL−17A及び(B)IL−17Fの発現を示す。
図3は、実施例2に記載したように、英国のコホート気管支生検のマイクロアレイ解析からの特定の好中球関連遺伝子の発現の双方向階層的クラスタリングを示す。白丸は、ステロイドを服用していない喘息患者に対応する。黒丸は、ステロイド(吸入コルチコステロイド(ICS)又は経口コルチコステロイド(OCS))を服用している喘息患者を示す。
図4A−Bは、実施例3に記載したように、(A)BOBCAT研究からの健常対照及び中等度から重度の喘息患者におけるCXCL1レベル、及び(B)血清ペリオスチンレベルが50ng/ml以下又は50ng/ml超の喘息患者における血漿CXCL1レベルを示す。160pg/mlを超えるCXCL1レベル(破線)は、上昇した血清ペリオスチンレベルを有する傾向にある(フィッシャーの正確確率検定によりp=0.02)。
図5は、実施例3に記載したように、適合試料において検出不可能(<LLOQ)又は検出可能(≧LLOQ)なIL−17Aの発現を有する英国のコホートにおける血清ペリオスチンのレベルを示す。血清ペリオスチンは、検出可能な気管支生検IL−17A mRNAを有する被験体で上昇している(P=0.03、クラスカル・ウォリス)。
図6A−Dは、実施例4に記載したように、抗IL−13抗体、抗IL−17AA/AF抗体と抗IL−17FF抗体の混合物又は3つ全ての抗体の混合物の投与後のマウスチリダニ喘息モデルにおける気管支肺胞洗浄液中(BAL;A、B)及び血液中(C、D)の(A、C)好酸球数及び(B、D)好中球数を示す。*p<0.05、**p<0.005。
図7A−Dは、実施例6に記載したように、(A)抗IL−13ノブ及び抗IL−17ホール半抗体の(A)SDS−PAGE分析、(B)二重特異性抗体のSEC分析、(C)非還元(レーンA)及び還元(レーンc)条件の下での二重特異性抗体のSDS PAGE分析、及び(D)二重特異性抗体のF(ab’)2断片のLC−ESI/TOF分析を示す。
図8A−Bは、実施例8に記載したように、レブリキズマブ及び抗IL−13/IL−17二重特異性抗体によるTF−1細胞の(A)IL−13誘導性及び(B)IL−13 R130Q誘導性増殖の用量依存的阻害を示す。
図9A−Cは、実施例8に記載したように、抗IL−17抗体及び抗IL−13/IL−17二重特異性抗体による正常ヒト包皮線維芽細胞中の(A)IL−17AF誘導性及び(B)IL−17AF誘導性及び(C)IL−17F誘導性のG−CGFの発現の用量依存的阻害を示す。
図10A−Bは、実施例9に記載したように、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体による(A)IL−13誘導性CCL26発現及び(B)IL−17A誘導性CXCL1発現の双方の用量依存的阻害を示す。
図11は、実施例10に記載したように、マウスでの抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の単回静脈内投与後の血清濃度を示す。
図12は、実施例11に記載したように、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の単回静脈内投与後の個々のカニクイザルにおける血清濃度を示す。
図13は、実施例11に記載したように、カニクイザルへの抗ILは−13/IL−17二重特異性抗体の投与後のIL−17Aホモ二量体レベルを示す。
図14A−Cは、実施例13に記載したように、チリダニ喘息モデルマウスにおける、抗IL−13抗体、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体、又は抗IL−17抗体の投与後の(A)血漿TARCレベル、(B)血清G−CSFレベル、及び(C)血清CXCL1レベルを示す。
図15A−Dは、実施例5に記載したように、臨床研究におけるプラセボ及びレブリキズマブ群についてのFEV1のパーセント変化が、ベースラインの好酸球数及び好中球数によって定義された4つのグループにプロットされているグラフを示す(A:好酸球−低及び好中球−高;B:好酸球−低及び好中球−低;C:好酸球−高及び好中球−高;及びD:好酸球−高及び好中球−低)。これらの分析の基礎となる被験体の数は、それぞれのサブプロットに注釈が付けられている。
詳細な説明
別に規定されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed., J. Wiley &Sons (New York, N.Y. 1994)、及びMarch, Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure 4th ed., John Wiley &Sons (New York, N.Y. 1992)は、本願において使用される多くの用語に対する一般的な指針を当業者に提供する。
特定の定義
本明細書を解釈する目的のために、以下の定義が適用され、適切な場合はいつでも、単数で使用される用語はまたその逆も複数形を含む。以下に記載される任意の定義が参照により本明細書に組み込まれる任意の文書との競合する場合には、以下に記載される定義が統制するべきである。
本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される場合、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈から明らかでない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「タンパク質」又は「抗体」は、複数のタンパク質又は抗体をそれぞれ包含し;「細胞」への参照は細胞の混合物などを含める。
本明細書で使用される用語「生物学的試料」は、限定されないが、血液、血清、血漿、唾液、気管支肺胞洗浄液、組織生検(例えば、肺試料)、及び鼻腔スワブ又は鼻ポリープを含む鼻試料を含む。
FENOアッセイは、FENO(分別呼気一酸化窒素)を測定するアッセイを指す。そのレベルは、例えば、2005年に米国胸部学会(ATS)が発行したガイドラインに従っている、手持ち携帯装置のNIOX MINOTM(Aerocrine、Solna、Sweden)を使用して評価することができる。FENOは他の同様の方法、例えばFeNO又はFENOで言及されることができ、全てのその類似の異形が同じ意味を持つことが理解されるべきである。
喘息は、可変性と再発性の症状を特徴とする複雑な疾患で、根底にある炎症と関連し得るか又は関連し得ない、可逆性気道閉塞(例えば、気管支拡張による)及び気管支過敏性である。喘息の例としては、アスピリン感受性/悪化喘息、アトピー性喘息、重度の喘息、軽度の喘息、中等度から重度の喘息、コルチコステロイドナイーブ喘息、慢性喘息、コルチコステロイド抵抗性喘息、コルチコステロイド難治性喘息、新たに診断された未治療喘息、喫煙による喘息、コルチコステロイドで制御されない喘息、及び J Allergy Clin Immunol (2010) 126(5):926-938に述べられるような他の喘息を含む。
「好酸球性疾患」とは、過剰の好酸球数に関連する疾患であり、その非定型症状は、体内の局所的又は全身的な好酸球のレベル又は活性に起因して現れる場合がある。ある実施態様において、過剰血中好酸球数は、少なくとも200/μl、少なくとも250/μl、少なくとも300/μl、又は少なくとも400/μlである。ある実施態様において、個体は、対照又は基準レベルと比較して、上昇した血中好酸球数を有すると決定されている。ある実施態様において、個体は、少なくとも150/μl、少なくとも200/μl、少なくとも250/μl、少なくとも300/μl又は少なくとも400/μlのベースラインの血中好酸球数を有すると決定されている。過剰の好酸球数又は活性に関連する疾患は、限定されないが、喘息(アスピリン感受性の喘息を含む)、アトピー性喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎(季節性アレルギー性鼻炎を含む)、非アレルギー性鼻炎、喘息、重度の喘息、慢性好酸球性肺炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、セリアック病、チャーグ・ストラウス症候群(結節性動脈周囲炎プラスアトピー)、好酸球性筋痛症候群、好酸球増多症候群、突発性血管浮腫を含む浮腫反応、蠕虫感染症(ここでは好酸球は保護の役割を持ち得る)、オンコセルカ皮膚炎、及び好酸球性食道炎、好酸球性胃炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性腸炎及び好酸球性大腸炎を含むがこれらに限定されない、好酸球関連消化器疾患、鼻のミクロポリープ症及びポリープ、アスピリン不耐症、喘息及び閉塞性睡眠時無呼吸症候群が挙げられる。好酸球由来の分泌産物はまた、血管新生及び腫瘍における結合組織形成の促進、及び慢性喘息、クローン病、強皮症及び心内膜心筋線維症などの状態で見られる線維化反応に関連している(Munitz A, Levi-Schaffer F. Allergy 2004; 59: 268-75, Adamko et al. Allergy 2005; 60: 13-22, Oldhoff, et al. Allergy 2005; 60: 693-6)。他の例としては、癌(例えば、神経膠芽腫(例えば多形神経膠芽腫)、非ホジキンリンパ腫(NHL))、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息、線維症、炎症性腸疾患、肺線維症(硬化症に対する二特発性肺線維症(IPF)及び肺線維症を含む)、COPD、肝線維症を含む。ある実施態様において、患者は、対照と比較して、上昇した血清ペリオスチンレベル及び/又はCSF1、MEIS2、LGALS12、IDO1、THBS4、OLIG2、ALOX15、SIGLEC8、CCL23、PYROXD2、HSD3B7、SORD、ASB2、CACNG6、GPR44、MGAT3、SLC47A1、SMPD3、CCR3、CLC、CYP4F12、及びABTB2から選択される一以上の上昇したレベルを示す好酸球性炎症陽性(EIP)患者として同定される。
「好中球性疾患」は、過剰な好中球数に関連した疾患を意味する。幾つかの実施態様において、非定型の症状は、身体における局所的又は全身的な好中球のレベル又は活性に起因する好中球性疾患で現れることがある。ある実施態様において、過剰血中好中球数は、少なくとも3000/μl、3500/μl、4000/μl、又は4500/μlである。ある実施態様において、個体は、対照又は基準レベルと比較して、上昇した血中好中球数を有すると決定されている。ある実施態様において、個体は、少なくとも3000/μl、3500/μl、4000/μl又は4500/μlのベースラインの血中好中球数を有すると決定されている。過剰の好中球数又は活性に関連する疾患は、限定されないが、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息、線維症、炎症性腸疾患、クローン病、肺の炎症性疾患、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝線維症、呼吸器疾患、がん、神経膠芽腫、及び非ホジキンリンパ腫を含む。本明細書に記載される実施態様の何れかにおいて、呼吸器疾患は、喘息、アレルギー性喘息、非アレルギー性喘息、気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、タバコ誘発性肺気腫、気道炎症、嚢胞性線維症、肺線維症、アレルギー性鼻炎、及び気管支拡張症から選択され得る。幾つかの実施態様において、個体は、患者集団において、中間ベースライン血中好中球数を超える血中好中球数を有すると決定されている。幾つかの実施態様において、上昇した好中球数を有する個体は、中等度から重度の喘息の患者集団において、中間ベースライン血中好中球数を超えるベースライン血中好中球数を有する。
IL−13媒介性疾患とは、過剰のIL−13レベル又は活性に関連する疾患であり、その非定型症状は、体内の局所的及び/又は全身的なIL−13のレベル又は活性に起因して現れる場合がある。IL−13媒介性疾患の例は、がん(例えば、非ホジキンリンパ腫、神経膠芽腫)、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息、線維症、炎症性腸疾患、クローン病、肺の炎症性疾患(IPFなどの肺線維症を含む)、COPD、及び肝線維症を含む。
IL−17媒介性疾患とは、過剰のIL−17レベル又は活性に関連する疾患であり、その非定型症状は、体内の局所的及び/又は全身的なIL−17のレベル又は活性に起因して現れる場合がある。IL−17媒介性疾患の例は、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息、線維症、炎症性腸疾患、クローン病、肺の炎症性疾患、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝線維症、呼吸器疾患、がん、神経膠芽腫、及び非ホジキンリンパ腫を含む。本明細書に記載される実施態様の何れかにおいて、呼吸器疾患は、喘息、アレルギー性喘息、非アレルギー性喘息、気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、タバコ誘発性肺気腫、気道炎症、嚢胞性線維症、肺線維症、アレルギー性鼻炎、及び気管支拡張症から選択され得る。
喘息様症状は、息切れ、咳(痰の産生及び/又は痰の質及び/又は咳周波数の変化)、喘鳴、胸部絞扼感、気管支収縮及び上記の症状の何れか又はこれらの症状の組み合わせに起因する夜間覚醒からなる群から選択される症状が含まれる(Juniper et al (2000) Am. J. Respir. Crit. Care Med., 162(4), 1330-1334)。
用語「呼吸器疾患」は、限定されないが、喘息(例えば、アレルギー性及び非アレルギー性喘息(例えば、年少の子供たちの中で、例えば呼吸器合胞体ウイルス(RSV)による感染による));気管支炎(例えば、慢性気管支炎);慢性閉塞性肺疾患(COPD)(例えば、肺気腫(例えば、タバコ誘発性肺気腫);気道炎症、好酸球増加症、線維症、過剰粘液産生、例えば、嚢胞性線維症、肺線維症、アレルギー性鼻炎を含む状態が含まれる。気道炎症、過度の気道分泌、及び気道閉塞によって特徴づけることができる疾患の例は、喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、及び嚢胞性線維症が挙げられる。
増悪(一般に喘息発作又は急性の喘息とも呼ばれる)は、息切れ、咳(痰の産生及び/又は痰の質及び/又は咳頻度の変化)、喘鳴、胸部絞扼感、上記の症状又はこれらの症状の組み合わせの何れかに起因する夜間覚醒の新規又は進行性の増加の症状の発現である。増悪はしばしば呼気の気流(PEF又はFEV1)の低下によって特徴付けられる。しかし、PEFの変動性は、増悪からの回復に至るまで又はその最中には増加するかもしれないが、増悪の最中には通常は増加しない。増悪の重症度は、軽度から生命を脅かす範囲に及び、症状及び肺機能の両方に基づいて評価することができる。本明細書に記載されるように重度の喘息増悪は、喘息治療のために以下の入院加療、高コルチコステロイドの使用(例えば、一日のコルチコステロイドの総用量又は500マイクログラム以上のプロピオン酸フルチカゾン(FP)又は等価物の一日の総用量を3日間又はそれ以上連続して4倍する)、又は経口/非経口のコルチコステロイドの使用の任意の一又は組み合わせをもたらす増悪を含む。
「TH2経路阻害剤」又は「TH2阻害剤」はTH2経路を阻害する薬剤である。TH2経路阻害剤の例は、ITK、BTK、IL−9(例えば、MEDI−528)、IL−5(例えば、メポリズマブ、CAS番号196078−29−2;レシリズマブ(resilizumab))、IL−13(例えば、IMA−026、IMA−638(アンルキンズマブとも言う、INN番号910649−32−0;QAX−576;IL−4/IL−13トラップ),トラロキヌマブ(CAT−354、CAS番号1044515−88−9とも言う);AER−001、ABT−308(ヒト化13C5.5抗体とも言う)、IL−4(例えばAER−001、IL−4/IL−13トラップ)、OX40L、TSLP、IL−25、IL−33及びIgE(例えば、XOLAIR、QGE−031;MEDI−4212);及び受容体、例えば:IL−9受容体、IL−5受容体(例えば、MEDI−563(ベンラリズマブ、CAS番号1044511−01−4)、IL−4受容体アルファ(例えば、AMG−317、AIR−645)、IL−13受容体アルファ1(例えばR−1671)及びIL−13受容体アルファ2、OX40、TSLP−R、IL−7Rアルファ(TSLPの共受容体)、IL17RB(IL−25の受容体)、ST2(IL−33の受容体)、CCR3、CCR4、CRTH2(例えばAMG−853、AP768、AP−761、MLN6095、ACT129968)、FcepsilonRI、FcepsilonRII/CD23(IgEの受容体)、Flap(例えば、GSK2190915)、Sykキナーゼ(R−343、PF3526299);CCR4(AMG−761)、TLR9(QAX−935)及びCCR3、IL5、IL3、GM−CSFの多重サイトカイン阻害剤(例えば、TPI ASM8)から選択される標的の何れか一の活性の阻害剤を含む。上記標的の阻害剤の例は、例えば、国際公開第2008/086395号;国際公開第2006/085938号;米国特許第7615213号;米国特許第7501121号;国際公開第2006/085938号;国際公開第2007/080174号;米国特許第7807788号;国際公開第2005007699号;国際公開第2007036745号;国際公開第2009/009775号;国際公開第2007/082068号;国際公開第2010/073119号;国際公開第2007/045477号;国際公開第2008/134724号;米国特許出願公開第2009/0047277号;及び国際公開第2008/127271号に開示されている。
「TH17経路阻害剤」又は「TH17阻害剤」はTH17経路を阻害する薬剤である。TH17経路阻害剤の例は、IL−1β、IL−6(例えば、トシリズマブ)、IL−17A(例えば、セクキヌマブ(secukinumab)、イクセキズマブ(ixekizumab)、ABT−122)、IL−17F、IL−17AFヘテロ二量体、IL−17B、IL−17C、IL−17D、IL−22、IL−21、TGF−β、IL−23、IL−1β受容体、IL−6受容体、IL−17RA(例えば、ブロダルマブ(brodalumab))、IL−17RC、IL−17RB、IL−22R1、IL10R2、IL−21受容体、TGF−β受容体、及びIL−23受容体(IL−12Rb1、IL23R)から選択される標的の何れか一の活性の阻害剤を含む。上記の標的の阻害剤の例としては、例えば、米国特許第780715号;米国特許第7838638号;米国特許第8580265号;米国特許出願公開第20140314743号;米国特許第8519107号;米国特許第7833527号;国際公開第2014044758号;米国特許出願公開第20130005659号;及び国際公開第2011023685号に開示される。
用語「小分子」は、50ダルトンから2500ダルトンの間の分子量を有する有機分子を指す。
用語「抗体」は最も広範な意味で使用され、具体的には例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ポリエピトープ特異性を有する抗体、単鎖抗体、多重特異性抗体及び抗体の断片(抗原結合断片を含む)を網羅する。そのような抗体は、キメラ、ヒト化、ヒト及び合成である。このような抗体及びそれらの生成方法を以下でより詳細に説明する。
用語「半抗体」又は「ヘミマー」は、本明細書で使用される場合、一価の抗原結合ポリペプチドを指す。ある実施態様において、半抗体又はヘミマーは、VH/VLユニット及び任意で免疫グロブリン定常ドメインの少なくとも一部分を含む。ある実施態様において、半抗体又はヘミマーは、一つの免疫グロブリン軽鎖と結合した一つの免疫グロブリン重鎖、又はその抗原結合断片を含む。ある実施態様において、半抗体又はヘミマーは、単一特異的、すなわち、単一の抗原又はエピトープに結合する。あるそのような実施態様において、半抗体はIL−13に結合し、IL−17に結合しない。ある他の実施態様において、半抗体はIL−17に結合し、IL−13に結合しない。半抗体は、例えば、ラクダ科から生じる単一の可変ドメインを含む抗原結合ドメインを有し得ることを、当業者は容易に理解するであろう。
用語「VH/VLユニット」は、少なくとも一のVH HVR及び少なくとも一のVL HVRを含む抗体の抗原結合領域を指す。ある実施態様において、VH/VLユニットは、少なくとも一、少なくとも二、又は三つ全てのVH HVR及び少なくとも一、少なくとも二、又は三つ全てのVL HVRを含む。ある実施態様において、VH/VLユニットは、更に、フレームワーク領域(FR)の少なくとも一部を含む。幾つかの実施態様において、VH/VLユニットは、三つのVH HVR及び三つのVL HVRを含む。幾つかのそのような実施態様において、VH/VLユニットは、少なくとも一、少なくとも二、少なくとも三、又は四つ全てのVH FR及び少なくとも一、少なくとも二、少なくとも三、又は四つ全てのVL FRを含む。
用語「多重特異性抗体」は、最も広い意味で用いられ、ポリエピトープ特異性を有する(すなわち、一の生物学的分子上の二以上の異なるエピトープに特異的に結合することが可能である又は二以上の異なる生物学的分子上のエピトープに特異的に結合することが可能である)抗原結合ドメインを含む抗体を具体的に網羅する。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体など)の抗原結合ドメインは、二つのVH/VL単位を含み、ここで、第一のVH/VLユニットは、第一のエピトープに特異的に結合し、第二のVH/VLユニットは、第二のエピトープに特異的に結合し、各VH/VLユニットは、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。かかる多重特異性抗体は、限定されないが、完全長抗体、二以上のVL及びVHドメインを有する抗体、Fab、Fv、dsFv、scFvなどの抗体断片、ダイアボディ、二重特異性抗体及びトリアボディ、共有結合的又は非共有結合的に連結されている抗体断片を含む。重鎖定常領域の少なくとも一部及び/又は軽鎖の定常領域の少なくとも一部を更に含むVH/VLユニットはまた、「ヘミマー」又は「半抗体」と称され得る。幾つかの実施態様において、半抗体は、単一重鎖可変領域の少なくとも一部と単一軽鎖可変領域の少なくとも一部を含む。幾つかのそのような実施態様において、2つの半抗体を含み、2つの抗原に結合する二重特異性抗体は、第一の抗原又は第一のエピトープに結合するが、第二の抗原又は第二のエピトープに結合しない第一の半抗体及び第二の抗原又は第二のエピトープに結合するが、第一の抗原又は第一のエピトープに結合しない第二の半抗体を含む。幾つかの実施態様によれば、多特異性抗体は、親和性が5μMから0.001pM、3μMから0.001pM、1μMから0.001pM、0.5μMから0.001pM、又は0.1μMから0.001pMである各抗原又はエピトープと結合するIgG抗体である。幾つかの実施態様において、ヘミマーは、分子内ジスルフィド結合が第二ヘミマーとともに形成されるように重鎖可変領域の十分な部分を含む。幾つかの実施態様において、ヘミマーは、例えば、相補的なホール変異又はノブ変異を含む第2ヘミマー又は半抗体とのヘテロ二量体化を許容するノブ変異又はホール変異を含む。ノブ変異及びホール変異は、以下で更に議論される。
「二重特異性抗体」は、一の生物学的分子上の二つの異なるエピトープに特異的に結合することが可能である又は二つの異なる生物学的分子上のエピトープに特異的に結合することが可能である抗原結合ドメインを含む多重特異性抗体である。二重特異性抗体はまた、本明細書において「二重特異性」を有するとして又は「二重特異的」であるとして言及され得る。特に断らない限り、二重特異的抗体によって結合される抗原が二重特異性抗体名にリストされている順序は任意である。すなわち、幾つかの実施態様において、用語「抗IL−13/IL−17二重特異性抗体」及び「抗IL−17/IL−13二重特異性抗体」は、交換可能に使用されてもよい。幾つかの実施態様において、二重特異性抗体は2つの半抗体を含み、ここで各半抗体は単一の重鎖可変領域及び任意で重鎖定常領域の少なくとも一部、並びに単一の軽鎖可変領域及び任意で軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む。ある実施態様において、二重特異性抗体は2つの半抗体を含み、ここで各半抗体は単一の重鎖可変領域及び単一の軽鎖可変領域を含み、かつ二つ以上の単一重鎖可変領域を含まず、二つ以上の単一軽鎖可変領域を含まない。幾つかの実施態様において、二重特異性抗体は2つの半抗体を含み、ここで各半抗体は単一の重鎖可変領域及び単一の軽鎖可変領域を含み、第一の半抗体は第一の抗原に結合し、第二の抗原に結合せず、第二の半抗体は第二の抗原に結合し、第一の抗原に結合しない。
本明細書において使用される「ノブ・イントゥー・ホール(knob−into−hole)」又は「KnH」技術という用語は、インビトロ又はインビボで2つのポリペプチドの相互的な対合を導く技術であって、それらが相互作用する界面において一方のポリペプチドに突起(ノブ)を及び他方のポリペプチドに空洞(ホール)を導入することによる技術を指す。例えば、KnHは、抗体のFc:Fc結合界面、CL:CH1界面又はVH/VL界面において導入されている(例えば、米国特許出願公開第2011/0287009号、米国特許出願公開第2007/0178552号、国際公開第96/027011号、国際公開第98/050431号及びZhu et al., 1997, Protein Science 6:781-788を参照)。幾つかの実施態様において、KnHsは、多重特異性抗体の製造中に2つの異なる重鎖を一緒に対合させることを駆動する。例えば、Fc領域にKnHを有する多重特異性抗体は、各Fc領域に連結された単一可変ドメインを更に含むことができ、又は類似したもしくは異なる軽鎖可変領域と対合する異なる重鎖可変ドメインを更に含むことができる。KnH技術を用いて、2つの異なる受容体細胞外ドメインを一緒に対合させること、又は(例えばアフィボディ、ペプチボディ及び他のFc融合体を含む)異なる標的認識配列を含む任意の他のポリペプチド配列を対合させることもできる。
本明細書で使用する用語「ノブ変異」は、ポリペプチドが別のポリペプチドと相互作用する界面でポリペプチドに突起(ノブ)を導入する変異を指す。幾つかの実施態様において、他のポリペプチドはホール変異を有する(例えば、米国特許第5731168号、米国特許第5807706号、米国特許第5821333号、米国特許第7695936号、米国特許第8216805号(各々はその全体が参照によって本明細書に援用される)を参照)。
本明細書で使用する用語「ホール変異」は、ポリペプチドが別のポリペプチドと相互作用する界面でポリペプチドに空洞(ホール)を導入する変異を指す。幾つかの実施態様において、他のポリペプチドはノブ変異を有する(例えば、米国特許第5731168号、米国特許第5807706号、米国特許第5821333号、米国特許第7695936号、米国特許第8216805号(各々はその全体が参照によって本明細書に援用される)を参照)。
抗体は、抗原により誘導される又は抗原と関連した活性、例えばIL−17及び/又はIL−13誘導活性などを、その活性が抗体の非存在下で測定された活性と比較して低下した場合「阻害する」。ある実施態様において、抗体は抗原の活性を、抗体の非存在下における活性と比較して抗体の存在下において少なくとも10%阻害する。幾つかの実施態様において、抗体は活性を少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%又は100%阻害する。活性が抗体の非存在下における活性と比較して抗体の存在下において少なくとも50%低下した場合、抗体は抗原又はその関連する活性を「中和する」と考えられている。幾つかの実施態様において、中和抗体は活性を少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%又は100%阻害する。ある実施態様において、IL−17及び/又はIL−13誘導活性は、インビトロ又はインビボでの細胞の増殖である。他のある実施態様において、IL−17及び/又はIL−13誘導活性は、IL−17媒介性及び/又はIL−13媒介性炎症反応又は免疫関連疾患である。ある実施態様において、IL−17及び/又はIL−13誘導活性は、IL−17媒介性及び/又はIL−13媒介性の炎症細胞の浸潤である。
用語「治療薬」は疾患を治療することに用いられる任意の薬剤を指す。治療薬は、例えば、ポリペプチド(例えば、抗体、イムノアドヘシン又はペプチボディ)、標的をコードする核酸分子に結合し得るタンパク質又は核酸分子に結合し得るアプタマー又は小分子(すなわち、siRNAを)などであり得る。
用語「コントローラー」又は「プリベンター(preventor)」は、喘息の炎症を制御するために使用される任意の治療薬を指す。コントローラーの例は、コルチコステロイド、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(例えば、モンテルカスト、ジレウトン、プランルカスト、ザフィルルカストロイコトリエンの合成又は活性を阻害する)、LABA、コルチコステロイド/LABAの組み合わせ組成物、テオフィリン(アミノフィリンを含む)、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、オマリズマブ、LAMA、MABA(例えば、二官能性ムスカリンアンタゴニスト−ベータ2アゴニスト)、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)阻害剤、及び酵素PDE−4阻害剤(例えば、ロフルミラスト)を含む。「第二コントローラー」は典型的には第一コントローラーとは同一でないコントローラーを指す。
用語「コルチコステロイド節約(corticosteroid sparing)」又は「CS」は、他の治療薬の投与に起因する疾患の治療のためにコルチコステロイドを摂取している患者の疾患を治療するために使用されるコルチコステロイドの頻度及び/又は量の減少、又は消失を意味する。「CS節約剤」は、コルチコステロイドを摂取している患者においてCSを生じることが可能な治療薬を指す。
用語「コルチコステロイド」は、限定されないが、フルチカゾン(プロピオン酸フルチカゾン(FP)を含む)、ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、モメタゾン、フルニソリド、ベタメタゾン及びトリアムシノロンを含む。「吸入コルチコステロイド」は、吸入による送達に適しているコルチコステロイドを意味する。典型的な吸入コルチコステロイドは、フルチカゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、ブデノシド、フロ酸モメタゾン、シクレソニド、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、及び現在利用可能又は将来利用可能になる他のコルチコステロイドが挙げられる。吸入することができかつ長時間作用型β2−アゴニストと併用されるコルチコステロイドの例は、限定されないが、ブデソニド/ホルモテロール及びフルチカゾン/サルメテロールが含まれる。
コルチコステロイド/LABA併用薬の例は、フロ酸フルチカゾン/ビランテロールトリフェナターテ(vilanterol trifenatate)及びインダカテロール/モメタゾンを含む。
用語「LABA」は、長時間作用型β−2アゴニストを意味し、そのアゴニストは、例えば、サルメテロール、ホルモテロール、バンブテロール、アルブテロール、インダカテロール、アルホルモテロール及びクレンブテロールが含まれる。
用語「LAMA」は長時間作用型ムスカリンアンタゴニストを意味し、そのアゴニストはチオトロピウムを含む。
LABA/LAMAの組み合わせの例は、限定されないが、オロダテロールチオトロピウム(Boehringer Ingelheim’s)及びインダカテロールグリコピロニウム(Novartis)を含む。
用語「SABA」は、短時間作用型β−2アゴニストを意味し、限定されないが、サルブタモール、レボサルブタモール、フェノテロール、テルブタリン、ピルブテロール、プロカテロール、ビトルテロール、リミテロール、カルブテロール、ツロブテロール及びレプロテロールを含む。
ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(時にはleukastと称する)(LTRA)は、ロイコトリエンを阻害する薬物である。ロイコトリエン阻害剤の例には、モンテルカスト、ジロートン、プランルカスト、及びザフィルルカストが含まれる。
用語「FEV1」は、強制呼気の最初の一秒間に吐き出された空気の体積を指す。それは気道閉塞の尺度である。FEV1の20%減少(PC20)を誘導するために必要とされるメサコリンの刺激的濃度は気道過敏性の尺度である。FEV1は他の同様の方法、例えばFEV1で留意され得、全てのその類似の異形が同じ意味を持つことが理解されるべきである。
用語「FEV1の相対的変化」=(治療の第12週でのFEV1−治療開始前のFEV1)をFEV1で割ったもの。
用語「PEF」は、最大呼気流量を意味し、これは完全吸気後の最大の強制呼気中に達成される最大流量を指す。これは、気道の機能を測定するために使用することができるパラメーターである。
本明細書で使用する場合、「FVC」は、(FEV1のように1秒間に排出された空気の量とは対照的に)残留体積に対して完全吸気と最大呼息の間の肺の空気の体積の変化を測定する標準試験を指す「努力肺活量」を指す。これは、機能的な肺気量の測定値である。IPF、過敏性肺炎、サルコイドーシス、及び全身性硬化症を含む間質性肺疾患のような拘束性肺疾患の患者において、FVCは、肺実質の瘢痕に起因して典型的には低減される。
用語「軽度の喘息」は、一般的に1週間に2回未満の症状又は増悪、1ヶ月に2回未満の夜行性の症状を経験する患者を指し、増悪の間に無症候性である。軽度の、断続的な喘息は必要に応じて以下によってしばしば治療される:吸入気管支拡張薬(短時間作用型吸入β2アゴニスト);既知のトリガーの回避;毎年のインフルエンザワクチン接種;6〜10年毎の肺炎球菌ワクチン接種;及び場合によっては同定されたトリガーへの曝露の前の吸入β2−アゴニスト、クロモリン、又はネドクロミル。患者が短時間作用型β2アゴニストの必要性が増加している(例えば、急性増悪のために1日に短時間作用型β2−アゴニストを3〜4回以上使用する又は症状のため1月に一以上のキャニスターを使用する)場合、患者は治療に漸増が必要であり得る。
用語「中等度喘息」は、一般に、患者は週2回以上増悪を経験しかつその増悪が睡眠や活動に影響を与える;患者は1ヶ月2回以上喘息のため夜間に覚醒する;患者は短時間作用型吸入β2−アゴニストを毎日又は一日おきに必要とする慢性的な喘息症状を持っている;患者のPEF又はFEV1の治療前ベースラインが60から80%と予測され、及びPEF変動が20から30%である喘息を指す。
用語「重度の喘息」は、一般に、患者がほぼ継続した症状、頻繁な増悪、喘息に起因する頻繁な夜間覚醒を有し、活動が制限され、PEF又はFEV1ベースラインが60%未満と予測され、かつPEF変動が20〜30%である喘息を指す。
救助薬の例としては、アルブテロール、ベントリンなどが含まれる。
「耐性」とは、治療薬による治療後にほとんど又は全く有意な改善を示さない疾患を指す。例えば、喘息が制御されないままであるか又はFEV1が改善しないかを確定するために、高用量のICS(例えば、一日のコルチコステロイドの総用量又は500マイクログラム以上のFP(又は等価物)の一日の総用量を3日間又はそれ以上連続して4倍する)、又は全身のコルチコステロイドによる治療を要する喘息はしばしば重度の難治性喘息と考えられる。
本明細書に提供される治療薬は、非経口、皮下、腹腔内、肺内、及び鼻腔内を含む、任意の適切な手段により投与することができる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が含まれる。幾つかの実施態様では、治療薬は吸入される。幾つかの実施態様によれば、投与は注射、例えば、静脈内又は皮下注射によって与えられる。幾つかの実施態様によれば、治療薬は、注射器(例えば、充填済又は未充填)又はオートインジェクターを使用して投与される。
疾患の予防又は治療のために、治療薬の適量は、治療する疾患のタイプ、疾患の重症度及び過程、治療薬が予防を目的としてか治療を目的として投与されるのかどうか、以前の治療法、患者の病歴、及び薬剤への反応、及び主治医の判断により決定されるであろう。治療剤は、患者に対して、単回、又は一連の治療に渡って適切に投与される。治療薬組成物は良好な医療行為に合致した方法で処方され、投与され、投薬される。これに関連した考慮因子としては、治療すべき具体的な疾患、治療すべき具体的な哺乳動物、個々の患者の臨床状態、疾患の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール及び医師にとって既知の他の因子が挙げられる。
「患者の応答」又は「応答」(及びその文法的バリエーション)は、限定しないが、(1)減速及び完全な停止を含む疾患の進行のある程度の阻害;(2)疾患の発現及び/又は症状の数の減少;(3)病変サイズの縮小;(4)隣接末梢器官及び/又は組織への疾患細胞浸潤の阻害(すなわち、減少、減速又は完全停止);(5)疾患拡散の阻害(すなわち減少、減速又は完全停止);(6)疾病病変の退縮又はアブレーションを、必ずでは無いが、もたらし得る自己免疫応答の減少;(7)疾患に伴う1以上の症状のある程度の軽減;(8)治療後の無病を提示する期間の増加;及び又は(9)治療後の任意の時点での死亡率の減少を含む、患者に対する利益を示す任意のエンドポイントを使用して評価することができる。
「親和性」とは、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合相互作用の総和の強度を指す。本明細書で使用する場合、特に断らない限り、「結合親和性」は、結合対(例えば、抗体と抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映している本質的な結合親和性を指す。そのパートナーYに対する分子Xの親和性は、一般的に解離定数(Kd)で表すことができる。親和性は、本明細書に記載したものを含む、当技術分野で知られている一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための特定の事例的及び典型的な実施態様を本明細書に記載する。
「親和性成熟」抗体とは、その改変を有していない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性に改良を生じせしめる、その一又は複数の超可変領域(HVR)において一又は複数の改変を持つものである。
本明細書で使用される用語「抗IL−17抗体」及び「IL−17に結合する抗体」は、IL−17を標的とし、診断薬剤及び/又は治療的薬剤として有用であるように、IL−17Aホモ二量体、IL−17Fホモ二量体、及び/又はIL−17AFへテロ二量体と十分な親和性で結合することができる抗体を指す。幾つかの実施態様において、抗IL−17抗体の、無関係な、非IL−17タンパク質への結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される場合、抗体のIL−17への結合の約10%未満である。ある実施態様において、IL−17へ結合する抗体は、解離定数(Kd)が、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10−8M未満、例えば、10−8Mから10−13M、例えば、10−9Mから10−13M)である。ある実施態様において、抗IL−17抗体は、異なる種由来のIL−17間で保存されているIL−17のエピトープに結合する。幾つかの実施態様において、抗IL−17抗体は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。
幾つかの実施態様において、抗IL17抗体は、IL−17Aホモ二量体に結合することができる。幾つかの実施態様において、抗IL17抗体は、IL−17Aホモ二量体及びIL−17AFへテロ二量体に結合することができる。幾つかの実施態様において、抗IL−17抗体は、IL−17Aホモ二量体、IL−17Fホモ二量体及びIL−17AFへテロ二量体に結合することができる。幾つかのそのような実施態様において、IL−17Aホモ二量体、IL−17Fホモ二量体及びIL−17AFへテロ二量体に結合することができる抗IL−17抗体は、IL−17A及びF抗体又はIL−17A及びIL−17F交差反応性抗体又はIL−17A/F交差反応性抗体と称することができる。あるそのような実施態様において、IL−17A及びF交差反応性抗体は、IL−17A、IL−17F及び/又はIL−17AFヘテロ二量体上の同一又は類似のエピトープに結合する。ある実施態様において、IL−17A及びF交差反応性抗体は、IL−17A、IL−17F及び/又はIL−17AFヘテロ二量体上の同一又は類似のエピトープと十分な親和性で結合する。特定の有利な実施態様において、IL−17A及びF交差反応性抗体又は二重特異性抗IL−13/IL−17抗体は、IL−17A、IL−17F及びIL−17AFと高い親和性で結合する。IL−17A及びIL−17Fの構造は報告されている。Hymowitz et al., 2001, Embo J, 20(19):5332-41, Ely et al., 2009, Nature Immunology 10(12):1245-1252、及びLiu et al., 2013, Nature Communications DOI: 10.1038/ ncomms2880を参照。IL−17A及びIL−17Fの表面領域に存在するアミノ酸残基を含む類似又は同一のエピトープは、構造から推定することができる。
用語「抗IL−13抗体」及び「IL−13に結合する抗体」は、抗体が、IL−13を標的とし、診断薬剤及び/又は治療的薬剤として有用であるように、十分な親和性でIL−13に結合することができる抗体を指す。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体の、無関係な、非IL−13タンパク質への結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される場合、抗体のIL−13への結合の約10%未満である。ある実施態様において、IL−13へ結合する抗体は、解離定数(Kd)が、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10−8M未満、例えば、10−8Mから10−13M、例えば、10−9Mから10−13M)である。ある実施態様において、抗IL−13抗体は、異なる種由来のIL−13間で保存されているIL−13のエピトープに結合する。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。
本明細書における用語「抗体」は最も広い意味で用いられ、様々な抗体構造を包含し、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及び、所望の抗原結合活性を示す限り、抗体断片を含む。
「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2;ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えばscFv);及び抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。
競合アッセイは、標的抗原への結合について参照抗体と競合する抗体を同定するために使用され得る。ある実施態様では、このような競合する抗体は、参照抗体によって結合される同じエピトープ(例えば線状又はコンホメーションエピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な典型的な方法が、例えば、Morris (1996) “Epitope Mapping Protocols," in Methods in Molecular Biology vol. 66 (Humana Press, Totowa, NJ)に提供されている。
参照抗体と「同一のエピトープに結合する抗体」とは、競合アッセイにおいて50%以上、参照抗体のその抗原への結合をブロックする抗体を指し、逆に参照抗体は、競合アッセイにおいて50%以上、その抗体のその抗原への結合をブロックする(時にはクロスブロッキングと称される)。典型的な競合アッセイが、本明細書において提供される。競合分析及びエピトープマッピングのための適切なアッセイには、限定されないが、クロスブロッキングアッセイ、競合ELISA又はビアコア、NMR、及びX線結晶学を含む。
本明細書における目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」とは、下記に定義されるように、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークから得られる軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含有するフレームワークである。ヒト免疫グロブリンのフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同一のアミノ酸配列を含んでもよく、又はそれはアミノ酸配列の変化を含み得る。幾つかの実施態様において、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。幾つかの実施態様において、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLのヒト免疫グロブリンのフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列に、配列が同一である。
用語「キメラ」抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が特定の起源又は種から由来し、一方重鎖及び/又は軽鎖の残りが異なる起源又は種から由来する抗体を指す。
抗体の「クラス」は、その重鎖が保有する定常ドメイン又は定常領域のタイプを指す。抗体の5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG,及びIgMがあり、これらのうちの幾つかは、「サブクラス」(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)へと更に分割され得る。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
本明細書で用いられる「細胞傷害性薬物」という用語は、細胞の機能を阻害又は阻止し及び/又は細胞死又は破壊を生ずる物質を指す。細胞傷害性薬物は、限定されないが、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位体);化学療法剤又は薬物(例えば、メトトレキセート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン又は他の挿入剤);成長阻害剤、酵素及びその断片、例えば核酸分解酵素など;抗生物質;小分子毒素などの毒素、又は細菌、真菌、植物又は動物由来の酵素活性毒素(それらの断片及び/又はその変異体を含む);及び様々な抗腫瘍剤又は抗癌剤を包含する。
「エフェクター機能」とは、抗体のアイソタイプにより変わる、抗体Fc領域に起因する生物学的活性を指す。抗体のエフェクター機能の例には、C1q結合及び補体依存性細胞障害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC);貪食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレーション;及びB細胞活性化が含まれる。
薬剤、例えば、薬学的製剤の「有効量」は、例えば、所望の治療的又は予防的結果を達成するために、必要な用量及び期間で有効な量を指す。
用語「Fc領域」は、定常領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。その用語は、天然配列Fc領域と変異体Fc領域を含む。幾つかの実施態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226又はPro230から重鎖のカルボキシル末端まで伸長する。しかし、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は存在しているか、又は存在していない場合がある。本明細書に明記されていない限り、Fc領域又は定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991に記載されるように、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。
「フレームワーク」又は「FR」は、高頻度可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を意味する。可変ドメインのFRは、一般的に4つのFRのドメイン:FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。従って、HVR配列及びFR配列は、一般に次のVH(又はVL)の配列:FR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4に現れる。
用語「完全長抗体」、「インタクトな抗体」及び「全抗体」は、本明細書中で互換的に使用され、天然型抗体構造と実質的に類似の構造を有するか、又は本明細書で定義されるFc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」及び「宿主細胞培養」は互換的に使用され、外因性の核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫を含める。宿主細胞は、「形質転換体」及び「形質転換された細胞」を含み、継代の数に関係なく、それに由来する一次形質転換細胞及び子孫が含まれる。子孫は親細胞と核酸含量が完全に同一ではないかもしれないが、突然変異が含まれる場合がある。最初に形質転換された細胞においてスクリーニング又は選択されたものと同じ機能又は生物活性を有する変異型子孫が本明細書において含まれる。
「ヒト抗体」は、ヒト又はヒト細胞により産生されるか、又はヒト抗体のレパートリー又は他のヒト抗体をコードする配列を利用した非ヒト起源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」とは、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に存在するアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般的には、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからのものである。一般的には、配列のサブグループは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, NIH Publication 91-3242, Bethesda MD (1991), vols. 1-3にあるサブグループである。幾つかの実施態様において、VLについて、サブグループは上掲のKabatらにあるサブグループカッパIである。幾つかの実施態様において、VHについて、サブグループは上掲のKabatらにあるサブグループIIIである。
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基、及びヒトFR由来アミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。ある実施態様において、ヒト化抗体は、少なくとも一つ、典型的には二つの可変ドメインの実質的に全てを含み、HVR(例えば、CDR)の全て又は実質的に全てが、非ヒト抗体のものに対応し、FRの全て又は実質的に全てが、ヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。抗体の「ヒト化型」、例えば、非ヒト抗体は、ヒト化を遂げた抗体を指す。
本明細書で使用される用語「超可変領域」又は「HVR」は、配列が超可変(「相補性決定領域」又は「CDR」)であるか、及び/又は構造的に定義されたループ(「超可変ループ」)を形成するか、及び/又は抗原接触残基(「抗原接触」)を含む抗体可変ドメインの各領域を指す。一般的に、抗体は、6つのHVR:VH(H1、H2、H3)に3つ、及びVL(L1、L2、L3)に3つを含む。本明細書における典型的なHVRは
(a)アミノ酸残基26−32(L1)、50−52(L2)、91−96(L3)、26−32(H1)、53−55(H2)、及び96−101(H3)で生じる超可変ループ(Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987));
(b)アミノ酸残基24−34(L1)、50−56(L2)、89−97(L3)、31−35b(H1)、50−65(H2)、及び95−102(H3)で生じるCDR(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991));
(c)アミノ酸残基27c−36(L1)、46−55(L2)、89−96(L3)、30−35b(H1)、47−58(H2)、及び93−101(H3)で生じる抗原接触(MacCallum et al. J. Mol. Biol. 262: 732-745 (1996));及び
(d)HVRアミノ酸残基46−56(L2)、47−56(L2)、48−56(L2)、49−56(L2)、26−35(H1)、26−35b(H1)、49−65(H2)、93−102(H3)、及び94−102(H3)を含む、(a)、(b)、及び/又は(c)の組み合わせ、を含む。
特に断らない限り、可変ドメイン内のHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)は、上掲のKabatらに従い、本明細書において番号が付けられる。
「イムノコンジュゲート」は、一以上の異種分子にコンジュゲートした抗体であり、限定されないが、細胞傷害性薬物を含む。
「個体」又は「被験体」は、哺乳動物である。哺乳動物は、限定されないが、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウマ)、霊長類(例えば、ヒト、及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、げっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む。ある実施態様において、個体又は被験体はヒトである。
「単離された」抗体は、その自然環境の成分から分離されたものである。幾つかの実施態様において、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS−PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)により決定されるように、95%以上又は99%の純度に精製される。抗体純度の評価法の総説としては、例えばFlatman et al., J. Chromatogr. B 848:79-87 (2007)を参照のこと。
「単離された」核酸は、その自然環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸は、核酸分子を通常含む細胞に含まれる核酸分子を含むが、しかし、その核酸分子は、染色体外又はその自然の染色体上の位置とは異なる染色体位置に存在している。
「抗IL−17抗体をコードする単離された核酸」は、抗体の重鎖及び軽鎖(又はその断片)をコードする一以上の核酸分子を指し、単一のベクター又は別個のベクター内のそのような核酸分子、及び宿主細胞の一以上の位置に存在するそのような核酸分子を含む。
「抗IL−13抗体をコードする単離された核酸」は、抗体の重鎖及び軽鎖(又はその断片)をコードする一以上の核酸分子を指し、単一のベクター又は別個のベクター内のそのような核酸分子、及び宿主細胞の一以上の位置に存在するそのような核酸分子を含む。
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、すなわち、例えば、天然に生じる変異を含み、又はモノクローナル抗体製剤の製造時に発生し、一般的に少量で存在している変異体などの、可能性のある変異体抗体を除き、集団を構成する個々の抗体は同一であり、及び/又は同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体の調製物とは異なり、モノクローナル抗体の調製物の各モノクローナル抗体は、抗原の単一の決定基に対するものである。「モノクローナル」なる修飾語句は、抗体の、実質的に均一な抗体の集団から得られたものであるという特性を示し、抗体を何か特定の方法で生産しなければならないと解釈されるべきものではない。例えば、モノクローナル抗体は、限定されないが、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含む様々な技術によって作成され、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法は、本明細書に記載されている。幾つかの実施態様において、モノクローナル抗体は、多重特異性(例えば二重特異性)抗体である。
「ネイキッド抗体」とは、異種の部分(例えば、細胞傷害性部分)又は放射性標識にコンジュゲートしていない抗体を指す。ネイキッド抗体は薬学的製剤中に存在してもよい。
「天然型抗体」は、天然に生じる様々な構造をとる免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然型IgG抗体は、ジスルフィド結合している2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖から成る、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端に、各重鎖は、可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)、続いて3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)を有する。同様に、N末端からC末端に、各軽鎖は、可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)、続いて軽鎖定常領域とも呼ばれる定常軽鎖(CL)ドメインを有する。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)とラムダ(λ)と呼ばれる、2つのタイプの何れかに割り当てることができる。
用語「添付文書」は、効能、用法、用量、投与、併用療法、禁忌についての情報、及び/又はそのような治療用製品の使用に関する警告を含む、治療用製品の商用パッケージに慣習的に含まれている説明書を指すために使用される。用語「添付文書」はまた、意図される用途、試験の原理、試薬の調製及び取り扱い、検体の収集及び調製、アッセイのキャリブレーション及びアッセイ手順、アッセイの感度と特異性などの性能と精度のデータに関する情報を含む、治療用製品のコマーシャルパッケージに慣習的に含まれている説明書を指すためにも使用される。
「参照ポリペプチド配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入した後、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした、参照ポリペプチドのアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメーターを決定することができる。しかし、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を用いて得られる。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテク社によって作成され、ソースコードは米国著作権庁、Washington D.C.、20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN−2プログラムはジェネンテク社、South San Francisco、Californiaを通して公的に入手可能であり、ソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN−2プログラムは、UNIX(登録商標)オペレーティングシステム、特にデジタルUNIX(登録商標) V4.0Dでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメーターは、ALIGN−2プログラムによって設定され変動しない。
アミノ酸配列比較にALIGN−2が用いられる状況では、与えられたアミノ酸配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、与えられたアミノ酸配列Bと、又はそれに対して或る程度の%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは、A及びBのプログラムアラインメントにおいて、配列アラインメントプログラムALIGN−2によって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基の全数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと一致しない場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは一致しないと評価されるであろう。特に断らない限りは、ここで使用される全ての%アミノ酸配列同一性値は、直前のパラグラフに記載したように、ALIGN−2コンピュータプログラムを用いて得られる。
用語「薬学的製剤」は、その中に有効で含有される活性成分の生物学的活性を許容するような形態であって、製剤を投与する被験体にとって許容できない毒性である他の成分を含まない調製物を指す。
「薬学的に許容可能な担体」は、被験体に非毒性であり、有効成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容可能な担体は、限定されないが、緩衝剤、賦形剤、安定剤、又は保存剤を含む。
特に断らない限り、本明細書で使用する用語「IL−17」は、IL−17Aホモ二量体、IL−17Fホモ二量体、及び/又はIL−17AFヘテロ二量体を指す。特に断らない限り、用語IL−17A、IL−17AA、IL−17AAホモ二量体、及びIL−17Aホモ二量体は、交換可能に使用される。特に断らない限り、用語IL−17F、IL−17FF、IL−17FFホモ二量体、及びIL−17Fホモ二量体は、交換可能に使用される。特に断らない限り、用語IL−17AF、IL−17AFヘテロ二量体、及びIL−17A/Fヘテロ二量体は、交換可能に使用される。特に断らない限り、本明細書で使用する用語IL−17は、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス、ラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物由来の任意の天然型IL−17A、IL−17F及び/又はIL−17AFへテロ二量体を指す。その用語は、「完全長」で未処理のIL−17、並びに細胞内でのプロセシングから生じた任意の形態のIL−17を含む。その用語はまた、天然に存在するIL−17の変異体、例えば、スプライス変異体又は対立遺伝子変異体を包含する。例示的なヒトIL−17Aのアミノ酸配列は、配列番号7及び8に示される。例示的なヒトIL−17Fのアミノ酸配列は、配列番号9及び10に示される。ある実施態様において、IL−17の配列は、外因性、すなわち、非天然のシグナルペプチドを含む。ある実施態様において、IL−17タンパク質は、シグナルペプチドを含まない成熟タンパク質である。
特に断らない限り、本明細書で使用する用語「IL−13」は、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス、ラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物起源由来の任意の天然型IL−13を指す。その用語は、「完全長」で未処理のIL−13、並びに細胞内でのプロセシングから生じた任意の形態のIL−13を含む。その用語はまた、天然に存在するIL−13の変異体、例えば、スプライス変異体又は対立遺伝子変異体を包含する。例示的なヒトIL−13のアミノ酸配列は、配列番号1及び2、及びSwiss−Protアクセッション番号P35225.2に示される。例示的なカニクイザルIL−13のアミノ酸配列は、配列番号4に示される。ある実施態様において、IL−13の配列は、外因性、すなわち、非天然のシグナルペプチドを含む。ある実施態様において、IL−13タンパク質は、シグナルペプチドを含まない成熟タンパク質である。
本明細書で用いられるように、「治療」(及び「治療する(treat)」又は「治療している(treating)」など文法上の変形)は、治療されている個体の自然経過を変えようと試みる臨床的介入を指し、予防のために、又は臨床病理の過程においての何れかで実行できる。治療の望ましい効果には、疾患の発生又は再発を予防すること、症状の緩和、症状の軽減、疾患のいかなる直接的又は間接的病理学的結果も減少すること、転移を予防すること、疾患進行の速度を減少すること、疾患状態の寛解又は緩和、及び寛解又は予後改善が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの実施態様において、抗体は、疾患の発症を遅延させるか又は疾患の進行を遅くするために使用される。
用語「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然型抗体の可変重鎖ドメイン及び軽鎖(それぞれVH及びVL)は、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と3つの超可変領域(HVR)を含む各ドメインを持ち、一般的に似たような構造を有する。(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co. 91頁、 (2007)を参照)。単一のVH又はVLドメインは、抗原−結合特異性を付与するのに十分であり得る。更に、特定の抗原に結合する抗体は、相補的なVL又はVHドメインのそれぞれのライブラリーをスクリーニングするために、抗原に特異的に結合する抗体からのVH又はVLドメインを用いて単離することができる。例えば、Portolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993); Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991)を参照。
本明細書で使用される、用語「ベクター」は、それがリンクされている別の核酸を伝播することができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、並びにそれが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。ある種のベクターは、それらが動作可能なように連結されている核酸の発現を導くことができる。このようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と言う。
組成物及び方法
ある実施態様において、IL−17及びIL−13に結合する二重特異性抗体が提供される。抗体は、例えば、呼吸器疾患(例えば、喘息及びIPFなど)、好中球性疾患、IL−17媒介性疾患、及びIL−13媒介性疾患を含む好酸球性疾患の診断又は治療のために有用である。例えば、米国特許出願公開第2012/0141492号、米国特許第8715669号又は国際公開第2009/136286号(各々はその全体が参照によって本明細書に援用される)を参照。
本明細書に記載されるように、好酸球の高い喘息患者集団の中で、好中球が高いサブグループと好中球が低いサブグループを同定することができる。ΔFEV1%によって測定されるように、抗IL−13アンタゴニストのレブリキズマブは好酸球が高くかつ好中球が低いサブグループ内で高い治療効果を示したが、一方レブリキズマブは、好酸球が高くかつ好中球が高いサブグループ内では有効性が低い。図15C及びDを参照。このように、区分けされた別のグループである代わりに、好中球の高い喘息は好酸球性喘息と共存することができ、これは、中等度から重度の喘息を治療するための、本明細書に記載される抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の利点及びその使用を更にサポートする。従って、ある実施態様において、本発明は、本明細書に記載される個体に多重特異性抗体を投与することを含む、喘息、特に中等度から重度の喘息を、それを必要とする個体において治療する方法を提供し、ここで多重特異性抗体はレブリキズマブよりも個体において改善された有効性を示している。幾つかの実施態様において、喘息は、好酸球性喘息、Th2高喘息、Th2駆動型喘息又はIL−13高喘息である。幾つかの実施態様において、個体は、対照又は基準レベルと比較して、上昇した血中好酸球数及び/又は血中好中球数を有する。ある実施態様において、個体は血中に少なくとも150又は少なくとも300好酸球/ulで血中好酸球数を有する。ある実施態様において、個体は、患者集団の少なくとも中間血中好中球数である血中好中球数を有する。ある実施態様において、個体は、血中の少なくとも3800好中球/ulを有する。
例示的な抗IL−17抗体
幾つかの実施態様において、IL−17に結合する単離された抗体が提供される。幾つかの実施態様において、単離されたIL−17抗体又は交差反応性抗IL−17A及びF抗体が提供され、ここで抗体はIL−17Aホモ二量体、IL−17Fホモ二量体、及び任意でIL−17AFヘテロ二量体を結合する。幾つかの実施態様において、単離されたIL−17抗体又は交差反応性抗IL−17A及びF抗体は、IL−17Aホモ二量体、IL−17Fホモ二量体、及びIL−17AFヘテロ二量体を結合する。
抗体15E6及び15E6FK
幾つかの実施態様において、抗IL−17抗体は、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号41、43、80、81、及び114から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号42又は配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む。
幾つかの実施態様において、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号41、43、80、81、及び114から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号42又は配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号42又は配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号42又は配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3、及び配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号42又は配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号41、43、80、81、及び114から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。更なる実施態様において、抗体は、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号41、43、80、81、及び114から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号42又は配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。
幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号43のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号80のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号81のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号114のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。
幾つかの実施態様において、(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
幾つかの実施態様において、抗体は、(a)(i)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号41、43、80、及び81から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号42又は配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含むVHドメイン;及び(b)(i)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
幾つかの実施態様において、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号41、43、80、81、及び114から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号42又は配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号47から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体が提供される。
幾つかの実施態様において、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号43のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号47から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体が提供される。
幾つかの実施態様において、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号80のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号47から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号81のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号47から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号114のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号47から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体が提供される。
配列番号80を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、XはNを除く任意のアミノ酸であり得る。配列番号80を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、XはG、A、Q、H、D、K、S、及びRから選択され得る。配列番号80を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、XはG、A、Q、D、及びSから選択され得る。配列番号80を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、XはD、S及びQから選択され得る。配列番号81を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、XはS又はTを除く任意のアミノ酸であり得る。配列番号81を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、Xは、A、G、P、N及びVから選択され得る。配列番号81を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、Xは、A、G及びNから選択され得る。配列番号114を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、XはD、S又はQから選択され得る。幾つかの実施態様において、配列番号43のNWSモチーフは、NPSに変更される。
幾つかの実施態様において、抗IL−17抗体は、配列番号37、39、82、83、及び115から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。ある実施態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗IL−17抗体はIL−17へ結合する能力を保持する。ある実施態様において、配列番号37において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、配列番号39において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、配列番号82において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、配列番号83において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、配列番号115において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。任意で、抗IL−17抗体は、配列番号37のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。任意で、抗IL−17抗体は、配列番号39のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。任意で、抗IL−17抗体は、配列番号82のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。任意で、抗IL−17抗体は、配列番号83のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。任意で、抗IL−17抗体は、配列番号115のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。特定の実施態様において、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号41、43、80、81、及び114から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号42又は配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、一つ、二つ、又は三つのHVRを含む。ある実施態様において、VH配列は、配列番号40、41、42、43、44、80、81、及び114から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、64%、65%、68%、70%、75%、80%、82%、85%、88%、90%、92%、93%、94%、100%の配列同一性を有するHVR配列を含み、ここで抗体はIL−17に結合する能力を保持している。ある実施態様において、VH配列は、配列番号43に対して少なくとも94%配列同一異性を有するHVR−H2配列を含む。ある実施態様において、VH配列は、グリコシル化されていない配列番号43のアミノ酸配列を有するHVR−H2を含む。一実施態様において、VH配列は、配列番号80、81、又は114のアミノ酸配列を有するHVR−H2を含む。
幾つかの実施態様において、抗IL−17抗体が提供され、該抗体は、配列番号38のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。ある実施態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗IL−17抗体はIL−17へ結合する能力を保持する。ある実施態様において、配列番号38において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。任意で、抗IL−17抗体は、配列番号38のVL配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。特定の実施態様において、VLは、(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される一、二、又は三つのHVRを含む。ある実施態様において、VL配列は、配列番号45、46、及び47から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、64%、65%、68%、70%、75%、80%、82%、85%、88%、90%、92%、93%、94%、100%の配列同一性を有するHVR配列を含み、ここで抗体はIL−17に結合する能力を保持している。
幾つかの実施態様において、抗IL−17抗体が提供され、該抗体は、上記に与えられた実施態様の何れかに記載されるVH、及び上記に与えられた実施態様の何れかに記載されるVLを含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号37及び配列番号38のそれぞれVHとVL配列を含み、それらの配列の翻訳後修飾を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号39及び配列番号38のそれぞれVHとVL配列を含み、それらの配列の翻訳後修飾を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号82及び配列番号38のそれぞれVHとVL配列を含み、それらの配列の翻訳後修飾を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号83及び配列番号38のそれぞれVHとVL配列を含み、それらの配列の翻訳後修飾を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号115及び配列番号38のそれぞれVHとVL配列を含み、それらの配列の翻訳後修飾を含む。
配列番号82を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、XはNを除く任意のアミノ酸であり得る。配列番号82を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、XはG、A、Q、H、D、K、及びRから選択され得る。配列番号82を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、XはG、A、及びQから選択され得る。配列番号83を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、XはS又はTを除く任意のアミノ酸であり得る。配列番号83を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、XはA、G、P又はVであり得る。配列番号115を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、XはD、S又はQであり得る。
幾つかの実施態様において、配列番号39のVH配列及び配列番号38のVL配列を含む抗IL−17抗体と、IL−17への結合を競合する抗体が提供される。幾つかの実施態様において、本明細書において提供される抗IL−17抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。例えば、ある実施態様において、配列番号39のVH配列及び配列番号38のVL配列を含む抗IL−17抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。
幾つかの実施態様において、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−17抗体は、キメラ、ヒト化又はヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。幾つかの実施態様において、抗IL−17抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)2断片である。幾つかの実施態様において、抗体は、全長抗体、例えば、本明細書において定義されるインタクトなIgG1又はIgG4抗体、又は他の抗体クラス又はアイソタイプである。
幾つかの実施態様において、以下のセクション1−7で説明されるように、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−17抗体は、単独又は組み合わせで、任意の特徴を組み込むことができる:
抗体30D12及び30D12BF
幾つかの実施態様において、抗IL−17抗体は、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号52又は配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む。
幾つかの実施態様において、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号52又は配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3、及び配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号52又は配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。幾つかの施態様において、抗体は、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号52又は配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。
幾つかの実施態様において、(a)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
幾つかの実施態様において、抗体は、(a)(i)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号52又は配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含むVHドメイン、及び(b)(i)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
幾つかの実施態様において、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号52又は配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号57から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号57から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体が提供される。
幾つかの実施態様において、抗IL−17抗体は、配列番号48又は配列番号50のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。ある実施態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗IL−17抗体はIL−17へ結合する能力を保持する。ある実施態様において、配列番号48において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、配列番号50において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。任意で、抗IL−17抗体は、配列番号48のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。任意で、抗IL−17抗体は、配列番号50のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。特定の実施態様において、VHは、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号52又は配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される一、二、又は三つのHVRを含む。ある実施態様において、VH配列は、配列番号51、52、53、及び54から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、64%、65%、68%、70%、75%、80%、82%、85%、88%、90%、92%、93%、94%、100%の配列同一性を有するHVR配列を含み、ここで抗体はIL−17に結合する能力を保持している。
幾つかの実施態様において、抗IL−17抗体が提供され、該抗体は、配列番号49のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。ある実施態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗IL−17抗体はIL−17へ結合する能力を保持する。ある実施態様において、配列番号49において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。任意で、抗IL−17抗体は、配列番号49のVL配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。特定の実施態様において、VLは、(a)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される一、二、又は三つのHVRを含む。ある実施態様において、VL配列は、配列番号55、56、及び57から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、64%、65%、68%、70%、75%、80%、82%、85%、88%、90%、92%、93%、94%、100%の配列同一性を有するHVR配列を含み、ここで抗体はIL−17に結合する能力を保持している。
幾つかの実施態様において、抗IL−17抗体が提供され、該抗体は、上記に与えられた実施態様の何れかに記載されるVH、及び上記に与えられた実施態様の何れかに記載されるVLを含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号48及び配列番号49のそれぞれVHとVL配列を含み、それらの配列の翻訳後修飾を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号50及び配列番号49のそれぞれVHとVL配列を含み、それらの配列の翻訳後修飾を含む。
幾つかの実施態様において、配列番号50のVH配列及び配列番号49のVL配列を含む抗IL−17抗体と、IL−17への結合を競合する抗体が提供される。幾つかの実施態様において、本明細書において提供される抗IL−17抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。例えば、ある実施態様において、配列番号50のVH配列及び配列番号49のVL配列を含む抗IL−17抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。
幾つかの実施態様において、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−17抗体は、キメラ、ヒト化又はヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。幾つかの実施態様において、抗IL−17抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)2断片である。幾つかの実施態様において、抗体は、全長抗体、例えば、本明細書において定義されるインタクトなIgG1又はIgG4抗体、又は他の抗体クラス又はアイソタイプである。
幾つかの実施態様において、以下のセクション1−7で説明されるように、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−17抗体は、単独又は組み合わせで、任意の特徴を組み込むことができる。
抗体39F12及び39F12A
幾つかの実施態様において、抗IL−17抗体は、(a)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む。
幾つかの実施態様において、(a)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3、及び配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。
幾つかの実施態様において、(a)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
幾つかの実施態様において、抗体は、(a)(i)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含むVHドメイン、及び(b)(i)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
幾つかの実施態様において、(a)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号66から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体が提供される。
幾つかの実施態様において、抗IL−17抗体は、配列番号58のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。ある実施態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗IL−17抗体はIL−17へ結合する能力を保持する。ある実施態様において、配列番号58において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。任意で、抗IL−17抗体は、配列番号58のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。特定の実施態様において、VHは、(a)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(c)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される一、二、又は三つのHVRを含む。ある実施態様において、VH配列は、配列番号61、62、及び63から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、64%、65%、68%、70%、75%、80%、82%、85%、88%、90%、92%、93%、94%、100%の配列同一性を有するHVR配列を含み、ここで抗体はIL−17に結合する能力を保持している。
幾つかの実施態様において、抗IL−17抗体が提供され、該抗体は、配列番号59又は配列番号60のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。ある実施態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗IL−17抗体はIL−17へ結合する能力を保持する。ある実施態様において、配列番号59において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、配列番号60において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。任意で、抗IL−17抗体は、配列番号59のVL配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。任意で、抗IL−17抗体は、配列番号60のVL配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。特定の実施態様において、VLは、(a)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される一、二、又は三つのHVRを含む。ある実施態様において、VL配列は、配列番号64、65、及び66から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、64%、65%、68%、70%、75%、80%、82%、85%、88%、90%、92%、93%、94%、100%の配列同一性を有するHVR配列を含み、ここで抗体はIL−17に結合する能力を保持している。
幾つかの実施態様において、抗IL−17抗体が提供され、該抗体は、上記に与えられた実施態様の何れかに記載されるVH、及び上記に与えられた実施態様の何れかに記載されるVLを含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号58及び配列番号59のそれぞれVHとVL配列を含み、それらの配列の翻訳後修飾を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号58及び配列番号60のそれぞれVHとVL配列を含み、それらの配列の翻訳後修飾を含む。
幾つかの実施態様において、配列番号58のVH配列及び配列番号60のVL配列を含む抗IL−17抗体と、IL−17への結合を競合する抗体が提供される。幾つかの実施態様において、本明細書において提供される抗IL−17抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。例えば、ある実施態様において、配列番号58のVH配列及び配列番号60のVL配列を含む抗IL−17抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。
幾つかの実施態様において、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−17抗体は、キメラ、ヒト化又はヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。幾つかの実施態様において、抗IL−17抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)2断片である。幾つかの実施態様において、抗体は、全長抗体、例えば、本明細書において定義されるインタクトなIgG1又はIgG4抗体、又は他の抗体クラス又はアイソタイプである。
幾つかの実施態様において、以下のセクション1−7で説明されるように、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−17抗体は、単独又は組み合わせで、任意の特徴を組み込むことができる。
例示的な抗IL−13抗体
幾つかの実施態様において、IL−13に結合する単離された抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む。例えば、米国特許第8088618号及び国際公開第2005/062967号(各々はその全体が参照によって本明細書に援用される)を参照。
幾つかの実施態様において、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3、及び配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。
幾つかの実施態様において、(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
幾つかの実施態様において、抗体は、(a)(i)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含むVHドメイン、及び(b)(i)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
幾つかの実施態様において、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号20から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体が提供される。
上記実施態様の何れかにおいて、抗IL−13抗体はヒト化される。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、上記実施態様の何れかにおけるHVRを含み、更に、アクセプターヒトフレームワーク、例えばヒト免疫グロブリンのフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを含む。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、上記実施態様の何れかに記載されるHVRを含み、更に、配列番号13のFR1、FR2、FR3,及び/又はFR4配列を含むVHを含む。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、上記実施態様の何れかに記載されるHVRを含み、更に、配列番号14のFR1、FR2、FR3、及び/又はFR4配列を含むVLを含む。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、上記実施態様の何れかに記載されるHVRを含み、更に、配列番号11のFR1、FR2、FR3,及び/又はFR4配列を含むVHを含む。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、上記実施態様の何れかに記載されるHVRを含み、更に、配列番号12のFR1、FR2、FR3、及び/又はFR4配列を含むVLを含む。
幾つかの実施態様において、IL−13に対する抗IL13抗体の結合は、IL−13Rα1/IL−4Rαにより媒介されるIL−13の細胞内シグナル伝達を阻害する。幾つかのそのような実施態様において、抗IL−13抗体は、IL−13Rα1に対するIL−13の結合を阻害しない。幾つかのそのような実施態様において、抗IL−13抗体は、IL−4Rαに対するIL−13の結合を阻害する。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体はレブリキズマブである。Ultsch et al., 2013, J. Mol. Biol. 425:1330-1339を参照。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、軽鎖(配列番号14)におけるM4L置換及び重鎖(配列番号13)におけるQ1E置換を含む。
幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、配列番号13のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。ある実施態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗IL−13抗体はIL−13へ結合する能力を保持する。ある実施態様において、配列番号13において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、配列番号13のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、配列番号11のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。幾つかの実施態様において、VHは、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される一、二又は三つのHVRを含む。
幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体が提供され、該抗体は、配列番号14のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。ある実施態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗IL−13抗体はIL−13へ結合する能力を保持する。ある実施態様において、配列番号14において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、配列番号14のVL配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、配列番号12のVL配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。幾つかの実施態様において、VLは、(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される一、二、又は三つのHVRを含む。
ある実施態様において、VH配列は、配列番号15、16、及び17から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、64%、65%、68%、70%、75%、80%、82%、85%、88%、90%、92%、93%、94%、100%の配列同一性を有するHVR配列を含み、ここで抗体はIL−13に結合する能力を保持している。ある実施態様において、VL配列は、配列番号18、19、及び20から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、64%、65%、68%、70%、75%、80%、82%、85%、88%、90%、92%、93%、94%、100%の配列同一性を有するHVR配列を含み、ここで抗体はIL−13に結合する能力を保持している。
幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体が提供され、該抗体は、上記に与えられた実施態様の何れかに記載されるVH、及び上記に与えられた実施態様の何れかに記載されるVLを含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号13又は配列番号11のVH配列、及び配列番号14又は配列番号12のVL配列を含み、それらの配列の翻訳後修飾を含む。
幾つかの実施態様において、配列番号13のVH配列及び配列番号14のVL配列を含む抗IL−13抗体と、IL−13への結合を競合する抗体が提供される。幾つかの実施態様において、本明細書において提供される抗IL−13抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。例えば、Ultsch, M. et al., Structural Basis of Signaling Blockade by Anti-IL-13 Antibody Lebrikizumab, J. Mol. Biol. (2013), dx.doi.org/10.1016/j.jmb.2013.01.024を参照。幾つかの実施態様において、本明細書において提供される抗IL−13抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。例えば、ある実施態様において、配列番号13のVH配列及び配列番号14のVL配列を含む抗IL−13抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。ある実施態様において、IL−13(配列番号1)のアミノ酸77から89の範囲内にあるエピトープ(それはYCAALESLINVSG(配列番号6)である)に結合する抗体が提供される。ある実施態様において、IL−13(配列番号1)のアミノ酸82から89の範囲内にあるエピトープ(それはESLINVSG(配列番号5)である)に結合する抗体が提供される。
別の例示的な抗IL−13抗体は、11H4及びhu11H4v6を含むそのヒト化バージョンである。Mu11H4は、配列番号26及び25のアミノ酸配列をそれぞれ含む、重鎖及び軽鎖可変領域を含む。ヒト化hu11H4v6は、配列番号30及び29のアミノ酸配列をそれぞれ含む、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。ヒト化hu11H4v6は、配列番号28及び27のアミノ酸配列をそれぞれ含む、重鎖及び軽鎖を含む。
幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む。
幾つかの実施態様において、(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3、及び配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。
幾つかの実施態様において、(a)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。
幾つかの実施態様において、抗体は、(a)(i)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含むVHドメイン、及び(b)(i)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
幾つかの実施態様において、(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号36から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体が提供される。
上記実施態様の何れかにおいて、抗IL−13抗体はヒト化される。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、上記実施態様の何れかにおけるHVRを含み、更に、アクセプターヒトフレームワーク、例えばヒト免疫グロブリンのフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを含む。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、上記実施態様の何れかに記載されるHVRを含み、更に、配列番号30のFR1、FR2、FR3,及び/又はFR4配列を含むVHを含む。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、上記実施態様の何れかに記載されるHVRを含み、更に、配列番号29のFR1、FR2、FR3、及び/又はFR4配列を含むVLを含む。
幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、配列番号30のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。ある実施態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗IL−13抗体はIL−13へ結合する能力を保持する。ある実施態様において、配列番号30において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。任意で、抗IL−13抗体は、配列番号30のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。特定の実施態様において、VHは、(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される一、二、又は三つのHVRを含む。
幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体が提供され、該抗体は、配列番号29のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。ある実施態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗IL−13抗体はIL−13へ結合する能力を保持する。ある実施態様において、配列番号29において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。任意で、抗IL−13抗体は、配列番号29のVL配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。特定の実施態様において、VLは、(a)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される一、二、又は三つのHVRを含む。
ある実施態様において、VH配列は、配列番号31、32、及び33から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、64%、65%、68%、70%、75%、80%、82%、85%、88%、90%、92%、93%、94%、100%の配列同一性を有するHVR配列を含み、ここで抗体はIL−13に結合する能力を保持している。ある実施態様において、VL配列は、配列番号34、35、及び36から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、64%、65%、68%、70%、75%、80%、82%、85%、88%、90%、92%、93%、94%、100%の配列同一性を有するHVR配列を含み、ここで抗体はIL−13に結合する能力を保持している。
幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体が提供され、該抗体は、上記に与えられた実施態様の何れかに記載されるVH、及び上記に与えられた実施態様の何れかに記載されるVLを含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号30及び配列番号29のそれぞれVHとVL配列を含み、それらの配列の翻訳後修飾を含む。
幾つかの実施態様において、配列番号30のVH配列及び配列番号29のVL配列を含む抗IL−13抗体と、IL−13への結合を競合する抗体が提供される。幾つかの実施態様において、本明細書において提供される抗IL−13抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。例えば、Ultsch, M. et al., Structural Basis of Signaling Blockade by Anti-IL-13 Antibody Lebrikizumab, J. Mol. Biol. (2013), dx.doi.org/10.1016/j.jmb.2013.01.053を参照。幾つかの実施態様において、本明細書において提供される抗IL−13抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。例えば、ある実施態様において、配列番号30のVH配列及び配列番号29のVL配列を含む抗IL−13抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。
幾つかの実施態様において、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−13抗体は、キメラ、ヒト化又はヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)2断片である。幾つかの実施態様において、抗体は、全長抗体、例えば、本明細書において定義されるインタクトなIgG1又はIgG4抗体、又は他の抗体クラス又はアイソタイプである。
幾つかの実施態様において、以下のセクション1−7で説明されるように、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−13抗体は、単独又は組み合わせで、任意の特徴を組み込むことができる。
例示的な抗IL−13/IL−17二重特異性抗体
幾つかの実施態様において、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体のような)が提供される。幾つかの実施態様において、抗原結合ドメインは、他の標的に特異的には結合しない。IL−17及びIL−13に結合する多重特異性抗体は、抗IL−17抗体について本明細書に記載される実施態様の何れかに記載される可変領域の第一の組(VH及びVL;VH/VLユニットとも称する)、及び抗IL−13抗体について本明細書に記載される実施態様の何れかに記載される可変領域の第二の組(VH及びVL;VH/VLユニットとも称する)幾つかの実施態様において、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体は、(i)第一のVH/VLユニット及び重鎖定常領域の少なくとも一部及び/又は軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む第一の半抗体、並びに第二のVH/VLユニット及び重鎖定常領域の少なくとも一部及び/又は軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む第二の半抗体を含む。幾つかの実施態様において、第一の半抗体はIL−17に結合するがIL−13に結合せず、かつ第二の半抗体はIL−13に結合するがIL−17に結合しない。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、天然の抗体フォーマットを維持し、かつ二重可変ドメイン(DVD)抗体ではない。例えば、PCT公報番号第2013/102042号を参照。国際公開第2013/102042号は、各標的への結合の結合活性に寄与し得る、IL−13に対する二価結合剤でありかつIL−17Aに対する二価結合剤であるIL−13及びIL−17Aに対する二重特異的抗原結合タンパク質を記述する。本発明の幾つかの実施態様において、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体は、IL−13に対する一価結合剤であり、かつIL−17AA、AF、及びFFに対する一価結合剤である。本明細書中で議論するように、各半抗体が、IL−13及びIL−17(IL−17AA、AF、FF)のそれぞれに対する一価結合剤を含む二重特異性抗体は、親の二価の単一特異性抗体の各々と比較して、同等の結合活性及び効力を維持することが更に発見された。以下に更に記述されるように、幾つかの実施態様において、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体は、第一のVH/VLユニット及び第二のVH/VLユニットを含み、ここで第一のVH/VLユニットは、IL−17に結合し、かつ配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1、配列番号43から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2、配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1、配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含み、かつ第二のVH/VLユニットは、IL−13に結合し、かつ配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1、配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2、配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1、配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含み、ここでIL−13/IL−17二重特異性抗体は、IL13及びIL−17AA、AF及びFに結合しかつ阻害する。
15E6又は15E6FKを含む多重特異性抗体
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号37、39、82、83、及び115から選択されるアミノ酸配列を含むVH(重鎖可変ドメイン)を含む第一のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号38のアミノ酸配列を含むVL(軽鎖可変ドメイン)を含む第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号37のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVLを含む第一のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号39のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVLを含む第一のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号82のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVLを含む第一のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号83のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVLを含む第一のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号115のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVLを含む第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号37のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体と、IL−17に対する結合を競合する第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号13又は配列番号11のアミノ酸配列を含むVH(重鎖可変ドメイン)を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号14又は配列番号12のアミノ酸配列を含むVL(軽鎖可変ドメイン)を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号13又は配列番号11のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号14又は配列番号12のアミノ酸配列を含むVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号14のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体と、IL−13に対する結合を競合する第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号1のアミノ酸82から89からなるIL−13のエピトープに結合する第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号1のアミノ酸77から89からなるIL−13のエピトープに結合する第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含むVH(重鎖可変ドメイン)を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号29のアミノ酸配列を含むVL(軽鎖可変ドメイン)を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号29のアミノ酸配列を含むVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号29のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体と、IL−13に対する結合を競合する第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号37、39、82、及び115から選択されるアミノ酸配列を含む第一のVH及び配列番号38のアミノ酸配列を含む第一のVLを含む第一のVH/VLユニットを含み;かつ配列番号13又は配列番号11のアミノ酸配列を含む第二のVH及び配列番号14又は配列番号12のアミノ酸配列を含む第二のVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号37、39、82、及び115から選択されるアミノ酸配列を含む第一のVH及び配列番号38のアミノ酸配列を含む第一のVLを含む第一のVH/VLユニットを含み;かつ配列番号30のアミノ酸配列を含む第二のVH及び配列番号29のアミノ酸配列を含む第二のVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号37、39、82、83、及び115から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVH及び配列番号38のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVLを含む第一のVH/VLユニットを含む。ある実施態様において、上記配列において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号13のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVH及び配列番号14のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号30のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVH及び配列番号29のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。ある実施態様において、上記配列において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号37、39、82、83、及び115から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第一のVH及び配列番号38のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第一のVLを含む第一のVH/VLユニット;及び配列番号13のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第二のVH及び配列番号14のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第二のVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。ある実施態様において、上記配列において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号37、39、82、83、及び115から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第一のVH及び配列番号38のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第一のVLを含む第一のVH/VLユニット;及び配列番号30のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第二のVH及び配列番号29のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第二のVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。ある実施態様において、上記配列において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号41、43、80、81、及び114から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号42又は配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号41、43、80、81、及び114から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号42又は配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号41、43、80、81、及び114から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号42又は配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号41、43、80、81、及び114から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号42又は配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号41、43、80、81、及び114から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号42又は配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号41、43、80、81、及び114から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号42又は配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号41、43、80、81、及び114から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号42又は配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号41、43、80、81、及び114から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号42又は配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(d)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号47から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号41、43、80、81、及び114から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号42又は配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(d)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号47から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
様々な実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17に結合する第一のVH/VLユニットを含む第一のヘミマーを含み、ここで第一のヘミマーは、重鎖定常領域内にノブ変異を含み、第二のヘミマーは、IL−13に結合する第二のVH/VLユニットを含み、第二のヘミマーは、重鎖定常領域内にホール変異を含む。様々な実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17に結合する第一のVH/VLユニットを含む第一のヘミマーを含み、ここで第一のヘミマーは、重鎖定常領域内にホール変異を含み、第二のヘミマーは、IL−13に結合する第二のVH/VLユニットを含み、第二のヘミマーは、重鎖定常領域内にノブ変異を含む。幾つかの実施態様において、ホール変異を含む重鎖定常領域は、配列番号68(IgG1)又は配列番号70(IgG4)に示される配列を有する。幾つかの実施態様において、ノブ変異を含む重鎖定常領域は、配列番号67(IgG1)又は配列番号69(IgG4)に示される配列を有する。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、配列番号71、72、84、及び85から選択されるアミノ酸配列を有する第一の重鎖及び配列番号73の配列を有する第一の軽鎖を含む第一のヘミマー並びに配列番号21又は23の配列を有する第二の重鎖及び配列番号22又は24の配列を有する第二の軽鎖を含む第二のヘミマーを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、配列番号71、72、84、及び85から選択されるアミノ酸配列を有する第一の重鎖及び配列番号73の配列を有する第一の軽鎖を含む第一のヘミマー並びに配列番号21の配列を有する第二の重鎖及び配列番号22の配列を有する第二の軽鎖を含む第二のヘミマーを含む。
配列番号80、82、又は84を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、XはNを除く任意のアミノ酸であり得る。配列番号80、82、又は84を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、XはA、G、Q、H、D、K、及びRから選択され得る。配列番号80、82、又は84を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、XはA、G、及びQから選択され得る。配列番号81、83、又は85を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、XはS又はTを除く任意のアミノ酸であり得る。配列番号81、83、又は85を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、XはA、G、P又はVであり得る。配列番号114又は115を含む本明細書に記載される何れかの実施態様において、XはD、S又はQであり得る。
幾つかの実施態様において、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−13/IL−17多重特異性抗体は、キメラ、ヒト化又はヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。幾つかの実施態様において、抗IL−13/IL−17多重特異性抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)2断片である。幾つかの実施態様において、抗体は、全長抗体、例えば、本明細書において定義されるインタクトなIgG1又はIgG4抗体、又は他の抗体クラス又はアイソタイプである。
幾つかの実施態様において、以下のセクション1−7で説明されるように、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−13/IL−17多重特異性抗体は、単独又は組み合わせで、任意の特徴を組み込むことができる。
30D12又は30D12BFを含む多重特異性抗体
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号48及び50から選択されるアミノ酸配列を含むVH(重鎖可変ドメイン)を含む第一のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号49のアミノ酸配列を含むVL(軽鎖可変ドメイン)を含む第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号49のアミノ酸配列を含むVLを含む第一のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号50のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号49のアミノ酸配列を含むVLを含む第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号50のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号49のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体と、IL−17に対する結合を競合する第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号13又は配列番号11のアミノ酸配列を含むVH(重鎖可変ドメイン)を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号14又は配列番号12のアミノ酸配列を含むVL(軽鎖可変ドメイン)を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号13又は配列番号11のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号14又は配列番号12のアミノ酸配列を含むVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号14のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体と、IL−13に対する結合を競合する第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号1のアミノ酸82から89からなるIL−13のエピトープに結合する第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号1のアミノ酸77から89からなるIL−13のエピトープに結合する第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含むVH(重鎖可変ドメイン)を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号29のアミノ酸配列を含むVL(軽鎖可変ドメイン)を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号29のアミノ酸配列を含むVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号29のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体と、IL−13に対する結合を競合する第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号48又は配列番号50のアミノ酸配列を含む第一のVH及び配列番号49のアミノ酸配列を含む第一のVLを含む第一のVH/VLユニットを含み;かつ配列番号13又は配列番号11のアミノ酸配列を含む第二のVH及び配列番号14又は配列番号12のアミノ酸配列を含む第二のVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号48又は配列番号50のアミノ酸配列を含む第一のVH及び配列番号49のアミノ酸配列を含む第一のVLを含む第一のVH/VLユニットを含み;かつ配列番号30のアミノ酸配列を含む第二のVH及び配列番号29のアミノ酸配列を含む第二のVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号48又は配列番号50のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVH及び配列番号49のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第一のVLを含む第一のVH/VLユニットを含む。ある実施態様において、上記配列において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号13のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVH及び配列番号14のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号30のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVH及び配列番号29のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。ある実施態様において、上記配列において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号48又は配列番号50のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第一のVH及び配列番号49のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第一のVLを含む第一のVH/VLユニット;及び配列番号13のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第二のVH及び配列番号14のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第二のVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。ある実施態様において、上記配列において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号48又は配列番号50のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第一のVH及び配列番号49のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第一のVLを含む第一のVH/VLユニット;及び配列番号30のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第二のVH及び配列番号29のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第二のVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。ある実施態様において、上記配列において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号52又は配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号52又は配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号52又は配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号52又は配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号52又は配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号52又は配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号57のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号52又は配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(d)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号57から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号52又は配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(d)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号57から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号52又は配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(d)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号57から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
様々な実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17に結合する第一のVH/VLユニットを含む第一のヘミマーを含み、ここで第一のヘミマーは、重鎖定常領域内にノブ変異を含み、第二のヘミマーは、IL−13に結合する第二のVH/VLユニットを含み、第二のヘミマーは、重鎖定常領域内にホール変異を含む。様々な実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17に結合する第一のVH/VLユニットを含む第一のヘミマーを含み、ここで第一のヘミマーは、重鎖定常領域内にホール変異を含み、第二のヘミマーは、IL−13に結合する第二のVH/VLユニットを含み、第二のヘミマーは、重鎖定常領域内にノブ変異を含む。幾つかの実施態様において、ホール変異を含む重鎖定常領域は、配列番号68(IgG1)又は配列番号70(IgG4)に示される配列を有する。幾つかの実施態様において、ノブ変異を含む重鎖定常領域は、配列番号67(IgG1)又は配列番号69(IgG4)に示される配列を有する。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、配列番号74又は75の配列を有する第一の重鎖及び配列番号76の配列を有する第一の軽鎖を含む第一のヘミマー並びに配列番号21又は23の配列を有する第二の重鎖及び配列番号22又は24の配列を有する第二の軽鎖を含む第二のヘミマーを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、配列番号74又は75の配列を有する第一の重鎖及び配列番号76の配列を有する第一の軽鎖を含む第一のヘミマー並びに配列番号21の配列を有する第二の重鎖及び配列番号22の配列を有する第二の軽鎖を含む第二のヘミマーを含む。
幾つかの実施態様において、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−13/IL−17多重特異性抗体は、キメラ、ヒト化又はヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。幾つかの実施態様において、抗IL−13/IL−17多重特異性抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)2断片である。幾つかの実施態様において、抗体は、全長抗体、例えば、本明細書において定義されるインタクトなIgG1又はIgG4抗体、又は他の抗体クラス又はアイソタイプである。
幾つかの実施態様において、以下のセクション1−7で説明されるように、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−13/IL−17多重特異性抗体は、単独又は組み合わせで、任意の特徴を組み込むことができる。
39F12又は39F12Aを含む多重特異性抗体
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号58のアミノ酸配列を含むVH(重鎖可変ドメイン)を含む第一のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号59及び60から選択されるアミノ酸配列を含むVL(軽鎖可変ドメイン)を含む第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号58のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号59のアミノ酸配列を含むVLを含む第一のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号60のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号59のアミノ酸配列を含むVLを含む第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号58のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号60のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体と、IL−17に対する結合を競合する第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号13又は配列番号11のアミノ酸配列を含むVH(重鎖可変ドメイン)を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号14又は配列番号12のアミノ酸配列を含むVL(軽鎖可変ドメイン)を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号13又は配列番号11のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号14又は配列番号12のアミノ酸配列を含むVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号14のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体と、IL−13に対する結合を競合する第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号1のアミノ酸82から89からなるIL−13のエピトープに結合する第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号1のアミノ酸77から89からなるIL−13のエピトープに結合する第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含むVH(重鎖可変ドメイン)を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号29のアミノ酸配列を含むVL(軽鎖可変ドメイン)を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号29のアミノ酸配列を含むVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号29のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体と、IL−13に対する結合を競合する第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号58のアミノ酸配列を含む第一のVH及び配列番号59又は配列番号60のアミノ酸配列を含む第一のVLを含む第一のVH/VLユニットを含み;かつ配列番号13又は配列番号11のアミノ酸配列を含む第二のVH及び配列番号14又は配列番号12のアミノ酸配列を含む第二のVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号58のアミノ酸配列を含む第一のVH及び配列番号59又は配列番号60のアミノ酸配列を含む第一のVLを含む第一のVH/VLユニットを含み;かつ配列番号30のアミノ酸配列を含む第二のVH及び配列番号29のアミノ酸配列を含む第二のVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号58のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVH及び配列番号59又は配列番号60のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第一のVLを含む第一のVH/VLユニットを含む。ある実施態様において、上記配列において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号13のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVH及び配列番号14のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号30のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVH及び配列番号29のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。ある実施態様において、上記配列において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号58のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第一のVH及び配列番号59又は配列番号60のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第一のVLを含む第一のVH/VLユニット;及び配列番号13のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第二のVH及び配列番号14のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第二のVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。ある実施態様において、上記配列において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号58のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第一のVH及び配列番号59又は配列番号60のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第一のVLを含む第一のVH/VLユニット;及び配列番号30のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第二のVH及び配列番号29のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第二のVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。ある実施態様において、上記配列において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(d)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号66から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(d)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号66から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(d)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号66から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号33のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号34のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号36のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。
様々な実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17に結合する第一のVH/VLユニットを含む第一のヘミマーを含み、ここで第一のヘミマーは、重鎖定常領域内にノブ変異を含み、第二のヘミマーは、IL−13に結合する第二のVH/VLユニットを含み、第二のヘミマーは、重鎖定常領域内にホール変異を含む。様々な実施態様において、多重特異性抗体は、IL−17に結合する第一のVH/VLユニットを含む第一のヘミマーを含み、ここで第一のヘミマーは、重鎖定常領域内にホール変異を含み、第二のヘミマーは、IL−13に結合する第二のVH/VLユニットを含み、第二のヘミマーは、重鎖定常領域内にノブ変異を含む。幾つかの実施態様において、ホール変異を含む重鎖定常領域は、配列番号68(IgG1)又は配列番号70(IgG4)に示される配列を有する。幾つかの実施態様において、ノブ変異を含む重鎖定常領域は、配列番号67(IgG1)又は配列番号69(IgG4)に示される配列を有する。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、配列番号77の配列を有する第一の重鎖及び配列番号78又は79の配列を有する第一の軽鎖を含む第一のヘミマー並びに配列番号21又は23の配列を有する第二の重鎖及び配列番号22又は24の配列を有する第二の軽鎖を含む第二のヘミマーを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、配列番号77の配列を有する第一の重鎖及び配列番号78又は79の配列を有する第一の軽鎖を含む第一のヘミマー並びに配列番号21の配列を有する第二の重鎖及び配列番号22の配列を有する第二の軽鎖を含む第二のヘミマーを含む。
幾つかの実施態様において、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−13/IL−17多重特異性抗体は、キメラ、ヒト化又はヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。幾つかの実施態様において、抗IL−13/IL−17多重特異性抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)2断片である。幾つかの実施態様において、抗体は、全長抗体、例えば、本明細書において定義されるインタクトなIgG1又はIgG4抗体、又は他の抗体クラス又はアイソタイプである。
幾つかの実施態様において、以下のセクション1−7で説明されるように、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−13/IL−17多重特異性抗体は、単独又は組み合わせで、任意の特徴を組み込むことができる。
1.抗体親和性
ある実施態様において、本明細書において与えられる抗体は、抗原に対する解離定数(Kd)が、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10−8M以下、例えば、10−8Mから10−13M、例えば、10−9Mから10−13M)である。
幾つかの実施態様において、Kdは放射性標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。幾つかの実施態様において、RIAは、目的の抗体のFabバージョン及びその抗原により実施される。例えば、非標識抗原の滴定系列の存在下で、最小濃度の(125I)−標識抗原にてFabを均衡化して、抗Fab抗体コートプレートと結合した抗原を捕獲することによって抗原に対するFabの溶液結合親和性を測定する(例としてChen, et al., J. Mol. Biol. 293:865-881(1999)を参照)。アッセイの条件を決めるために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を5μg/mlの捕獲抗Fab抗体(Cappel Labs)を含む50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)にて一晩コートして、その後2%(w/v)のウシ血清アルブミンを含むPBSにて室温(およそ23℃)で2〜5時間、ブロックする。非吸着プレート(Nunc #269620)に、100pM又は26pMの[125I]抗原を段階希釈した目的のFabと混合する(例えば、Presta et al., Cancer Res. 57:4593-4599 (1997)の抗VEGF抗体、Fab−12の評価と一致する)。ついで目的のFabを一晩インキュベートする;しかし、インキュベーションは平衡状態に達したことを確認するまでに長時間(例えばおよそ65時間)かかるかもしれない。その後、混合物を捕獲プレートに移し、室温で(例えば1時間)インキュベートする。次いで、溶液を除去し、プレートをPBS中の0.1%ポリソルベート20(TWEEN−20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したときに、150μl/ウェルのシンチラント(MICROSCINT−20TM;Packard)を添加し、プレートを10分間TOPCOUNTのTMガンマカウンター(Packard)でカウントする。最大結合の20%以下を与える各Fabの濃度が、競合的結合アッセイで使用するために選択される。
幾つかの実施態様によれば、Kdは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを用いて測定される。例えば、BIACORE(登録商標)−2000又はBIACORE(登録商標)−3000(BIAcore、Inc.、Piscataway、NJ)を用いるアッセイが、〜10反応単位(RU)で固定した抗原CM5チップを用いて25℃で実施される。幾つかの実施態様において、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIAcore Inc.)を、提供者の指示書に従ってN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化する。抗原を10mM酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈し、結合したタンパク質の反応単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流速で注入する。抗原の注入後、反応しない群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入する。動力学的な測定のために、Fabの2倍の段階希釈(0.78nMから500nM)を、25℃で、およそ25μl/分の流速で0.05%ポリソルベート20(TWEEN−20TM)界面活性剤(PBST)を含むPBSに注入する。会合及び解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることによる単純一対一ラングミュア結合モデル(simple one-to-one Langmuir binding model)(BIACORE(登録商標)Evaluationソフトウェアバージョン3.2)を用いて、会合速度(kon)と解離速度(koff)を算出する。平衡解離定数(Kd)をkoff/kon比として算出する。例えば、 Chen et al., J. Mol. Biol. 293:865-881 (1999)を参照。上記の表面プラスモン共鳴アッセイによる結合速度が106M−1 s−1を上回る場合、分光計、例えば、流動停止を備えた分光光度計(stop-flow equipped spectrophometer)(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM−AMINCOTM分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される、漸増濃度の抗原の存在下にて、PBS(pH7.2)中、25℃の、20nMの抗抗原抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、帯域通過=16nm)の増加又は減少を測定する蛍光消光技術を用いて結合速度を測定することができる。
2.抗体断片
ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は抗体断片である。抗体断片は、限定されないが、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2、Fv,及びscFv断片、及び下記の他の断片を含む。特定の抗体断片の総説については、Hudson et al. Nat. Med. 9:129-134 (2003)を参照。scFv断片の総説については、例えば、Pluckthun, in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., (Springer-Verlag, New York), pp. 269-315 (1994)を参照;また、国際公開第93/16185号;及び米国特許第5571894号及び第5587458号も参照。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、かつインビボ半減期を増加させたFab及びF(ab’)2断片の議論については、米国特許第5869046号を参照のこと。
ダイアボディーは、二価又は二重特異性であってもよい2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、欧州特許第404097号;国際公開第1993/01161号; Hudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003);及びHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993)を参照。トリアボディ及びテトラボディもまた Hudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003)に記載されている。
単一ドメイン抗体は、抗体の、重鎖可変ドメインの全て又は一部を含む抗体断片、又は軽鎖可変ドメインの全て又は一部を含む抗体断片である。ある実施態様において、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis、Inc.、Waltham、MA;例えば、米国特許第6248516号(B1)を参照)。
抗体断片は様々な技術で作成することができ、限定されないが、本明細書に記載するように、インタクトな抗体の分解、並びに組換え宿主細胞(例えば、大腸菌やファージ)による生産を含む。
3.キメラ及びヒト化抗体
ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は、キメラ抗体である。特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4816567号;及びMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984)に記載される。一例において、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又はサル等の非ヒト霊長類由来の可変領域)及びヒト定常領域を含む。更なる例において、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のものから変更された「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
ある実施態様において、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、ヒトに対する免疫原性を低減するために、親の非ヒト抗体の特異性と親和性を保持したまま、ヒト化されている。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(又はその一部)が、非ヒト抗体から由来し、FR(又はその一部)がヒト抗体配列に由来する、一以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体はまた、任意で、ヒト定常領域の少なくとも一部をも含む。幾つかの実施態様において、ヒト化抗体の幾つかのFR残基は、抗体特異性又は親和性を回復もしくは改善するめに、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換されている。
ヒト化抗体及びそれらの製造方法は、例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)に総説され、更に、 Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988); Queen et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 86:10029-10033 (1989);米国特許第5821337号、第7527791号、第6982321号、及び第7087409号; Kashmiri et al., Methods 36:25-34 (2005) (特異性決定領域(SDR)グラフティングを記述); Padlan, Mol. Immunol. 28:489-498 (1991) (「リサーフェシング」を記述); Dall'Acqua et al., Methods 36:43-60 (2005) (「FRシャッフリング」を記述);及びOsbourn et al., Methods 36:61-68 (2005)及びKlimka et al., Br. J. Cancer, 83:252-260 (2000) (FRのシャッフリングへの「誘導選択」アプローチを記述)に記載されている。
ヒト化に用いられ得るヒトフレームワーク領域は、限定されないが、「ベストフィット」法を用いて選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al. J. Immunol. 151:2296 (1993));軽鎖又は重鎖の可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列由来のフレームワーク領域(例えば、Carter et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992);及びPresta et al. J. Immunol., 151:2623 (1993)を参照);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域又はヒト生殖細胞系フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)を参照);及びFRライブラリースクリーニング由来のフレームワーク領域(例えば、Baca et al., J. Biol. Chem. 272:10678-10684 (1997)及び Rosok et al., J. Biol. Chem. 271:22611-22618 (1996)を参照)を含む。
4.ヒト抗体
ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で周知の様々な技術を用いて生成することができる。ヒト抗体は、van Dijk and van de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol. 5: 368-74 (2001) 及びLonberg, Curr. Opin. Immunol. 20:450-459 (2008)に一般的に記載されている。
ヒト抗体は、抗原投与に応答して、インタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を持つインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に、免疫原を投与することにより調製することができる。このような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置換するか、又は染色体外に存在するか若しくは動物の染色体にランダムに組み込まれている、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全て又は一部を含む。このようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は一般的に不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の総説については、 Lonberg, Nat. Biotech. 23:1117-1125 (2005)を参照。また、例えば、XENOMOUSETM技術を記載している、米国特許第6075181号及び6150584号;HuMab(登録商標)技術を記載している米国特許第5770429号;K−M MOUSE(登録商標)技術を記載している米国特許第7041870号及び、VelociMouse(登録商標)技術を記載している米国特許出願公開第2007/0061900号)を参照。このような動物で生成されたインタクトな抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることにより、更に改変される可能性がある。
ヒト抗体は、ハイブリドーマベース法によって作製することができる。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J. Immunol., 133: 3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987);及びBoerner et al., J. Immunol., 147: 86 (1991)を参照)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体はまた、Li et al., PNAS USA, 103:3557-3562 (2006)に記載される。更なる方法は、例えば、米国特許第7189826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載している)及びNi, Xiandai Mianyixue, 26(4):265-268 (2006) (ヒト−ヒトハイブリドーマを記載している)に記載されたものを含む。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)もまた、Vollmers and Brandlein, Histology and Histopathology, 20(3):927-937 (2005)及びVollmers and Brandlein, Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology, 27(3):185-91 (2005)に記載される。
ヒト抗体はまた、ヒト由来のファージディスプレイライブラリーから選択されたFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって生成され得る。このような可変ドメイン配列は、次に所望のヒト定常ドメインと組み合わせてもよい。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技術を以下に説明する。
5.ライブラリー由来抗体
本明細書に記載される抗体は、所望の活性又は活性(複数)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって単離することができる。例えば、様々な方法が、ファージディスプレイライブラリーを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてのライブラリーをスクリーニングするために、当該技術分野で知られている。そのような方法は、例えば、Hoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O'Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, 2001)に総説され、更に、例えば、McCafferty et al., Nature 348:552-554; Clackson et al., Nature 352: 624-628 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol. 222: 581-597 (1992); Marks and Bradbury, in Methods in Molecular Biology 248:161-175 (Lo, ed., Human Press, Totowa, NJ, 2003); Sidhu et al., J. Mol. Biol. 338(2): 299-310 (2004); Lee et al., J. Mol. Biol. 340(5): 1073-1093 (2004); Fellouse, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(34): 12467-12472 (2004);及びLee et al., J. Immunol. Methods 284(1-2): 119-132(2004)に記載されている。
特定のファージディスプレイ法において、VH及びVL遺伝子のレパートリーがポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により個別にクローニングされ、ファージライブラリーにランダムに再結合され、その後、Winter et al., Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455 (1994)に記載されるように、抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは、通常、抗体断片を、単鎖Fv(scFv)断片、又はFab断片の何れかとして提示する。免疫された起源からのライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要性を伴うことなく免疫原に高親和性抗体を提供する。代わりに、Griffiths et al., EMBO J, 12: 725-734 (1993)に記載されるように、ナイーブなレパートリーが、任意の免疫感作無しで、広範囲の非自己抗原及び自己抗原に対して抗体の単一起源を提供するために(例えば、ヒトから)クローン化することができる。最後に、ナイーブなライブラリーはまた、Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227: 381-388 (1992)に記載されるように、非常に可変なCDR3領域をコードし、インビトロで再構成を達成するために、幹細胞由来の未転位V遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用することにより合成することができる。ヒト抗体ファージライブラリーを記述する特許公報は、例えば、米国特許第5750373号、及び米国特許出願公開第2005/0079574号、第2005/0119455号、第2005/0266000号、第2007/0117126号、第2007/0160598号、第2007/0237764号、第2007/0292936号、及び第2009/0002360号を含む。
ヒト抗体ライブラリーから単離された抗体又は抗体断片は、本明細書でヒト抗体又はヒト抗体の断片とみなされる。
6.多重特異性抗体
ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも二つの異なる部位に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある実施態様において、結合特異性の一つはIL−17に対してであり、他はIL−13に対してである。ある実施態様において、結合特異性の一つはIL−17Aホモ二量体、IL−17Fホモ二量体、及びIL−17AFヘテロ二量体に対してであり、他はIL−13に対してである。二重特異性抗体はまた細胞に対して細胞傷害性薬物を局在化させるために用いることができる。二重特異性抗体は、全長抗体又は抗体断片として調製することができる。
多重特異性抗体を作製するための技術は、限定されないが、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の組換え共発現(Milstein and Cuello, Nature 305: 537 (1983)、国際公開第93/08829号、及びTraunecker et al., EMBO J. 10: 3655 (1991)を参照)及び「ノブ・イン・ホール(knob−in−hole)」エンジニアリング(例えば、米国特許第5731168号;米国特許出願公開第2011/0287009号を参照)を含む。多重特異抗体はまた、抗体のFc−ヘテロ2量体分子を作成するための静電ステアリング効果を操作すること(国際公開第2009/089004号(A1));2つ以上の抗体又は断片を架橋すること(例えば米国特許第4676980号、及びBrennan et al., Science, 229: 81 (1985)を参照);二重特異性抗体を生成するためにロイシンジッパー又はコイルドコイルを使用すること(例えば、Kostelny et al., J. Immunol., 148(5):1547-1553 (1992)及び国際公開第2011/034605号を参照);単一のVH/VLユニットにおいてCLドメイン及びVHドメイン間でフューリンが切断可能なテザー(tether)を使用すること(例えば、国際公開第2013/119966号及び国際公開第2013/055958号を参照);二重特異性抗体断片を作製するため、「ダイアボディ」技術を使用すること(例えば、Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)を参照);二重特異性抗体を作製するために免疫グロブリンドメインのクロスオーバーを使用すること;単鎖Fv(sFv)ダイマーを使用すること(例えば、Gruber et al., J. Immunol., 152:5368 (1994)を参照);及び、例えばTutt et al. J. Immunol. 147: 60 (1991)に記載されているように、三重特異性抗体を調製することによって作製することができる。
「オクトパス抗体」を含む、3つ以上の機能性抗原結合部位を持つ改変抗体もまた本明細書に含まれる(例えば、米国特許出願公開第2006/0025576号(A1)を参照)。
本明細書中の抗体又は断片はまた、例えばIL−17並びにその他の異なる抗原、例えばIL−13(例えば米国特許出願公開第2008/0069820号参照)に結合する抗原結合部位を含む、「二重作用(Dual Acting)FAb」又は「DAF」を含む。DAF二重特異性抗体フォーマットは、二重特異性抗体においてしばしば遭遇する問題である鎖の誤対合の問題を排除し、なおかつ天然の抗体フォーマットを維持する。
ノブ・イントゥー・ホール
多重特異性抗体を産生する方法としてのノブ・イントゥー・ホールの使用は、例えば、米国特許第5731168号、国際公開第2009/089004号、米国特許出願公開第2009/0182127号、米国特許出願公開第2011/0287009号、Marvin and Zhu, Acta Pharmacol. Sin. (2005) 26(6):649-658、及びKontermann (2005) Acta Pharmacol. Sin., 26:1-9に記載される。簡潔な非限定的な議論が本明細書において提供される。
「突起」とは、ヘテロ多量体を安定させ、それによって、例えばホモ多量体形成よりもヘテロ多量体形成を支持するように、第一のポリペプチドの界面から突き出し、従って隣接界面(すなわち、第二のポリペプチドの界面)の代償空洞内に配置可能である少なくとも一つのアミノ酸側鎖を指す。突起は、元の界面に存在し得るか又は(例えば界面をコードする核酸を変更することで)合成的に導入することができる。幾つかの実施態様において、第一のポリペプチドの界面をコードする核酸は、突起をコードするために改変される。これを達成するために、第一のポリペプチドの界面において少なくとも一の「元の」アミノ酸残基をコードする核酸が、元のアミノ酸残基より大きい側鎖体積を有する少なくとも一つの「移入」アミノ酸残基をコードする核酸に置換される。複数の元の残基及びそれに対応する移入残基が存在し得ることが理解されるであろう。種々のアミノ酸残基の側鎖の体積が、例えば、米国特許出願公開第2011/0287009号の表1又は米国特許第7642228号の表1に示される。
幾つかの実施態様において、突起の形成のための移入残基は、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)及びトリプトファン(W)から選択される天然に生じるアミノ酸残基である。幾つかの実施態様において、移入残基はトリプトファン又はチロシンである。幾つかの実施態様において、突起の形成のための元の残基は、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、セリン、トレオニン又はバリンなど小さな側鎖の体積を有する。例えば、米国特許第7642228号を参照。
「空洞(cavity)」は、第二のポリペプチドの界面から窪み、従って、第一のポリペプチドの隣接界面上の対応する突起を収容する少なくとも一つのアミノ酸側鎖を指す。空洞は、元の界面に存在し得るか又は(例えば界面をコードする核酸を変更することで)合成的に導入することができる。幾つかの実施態様において、第二のポリペプチドの界面をコードする核酸は、空洞をコードするために改変される。これを達成するために、第二のポリペプチドの界面において少なくとも一の「元の」アミノ酸残基をコードする核酸が、元のアミノ酸残基より小さい側鎖体積を有する少なくとも一つの「移入」アミノ酸残基をコードするDNAに置換される。複数の元の残基及びそれに対応する移入残基が存在し得ることが理解されるであろう。幾つかの実施態様において、空洞の形成のための移入残基は、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)及びバリン(V)から選択される天然に生じるアミノ酸残基である。幾つかの実施態様において、移入残基は、セリン、アラニン又はスレオニンである。幾つかの実施態様において、空洞の形成のための元の残基は、チロシン、アルギニン、フェニルアラニン又はトリプトファンなど大きな側鎖の体積を有する。
突起は、空洞内に「配置することが可能」であり、このことは、第一ポリペプチド及び第二ポリペプチドのそれぞれの界面上の突起と空洞の空間的位置、及びその突起と空洞の大きさが、界面での第一ポリペプチド及び第二ポリペプチドの正常な会合を著しくを乱すことなく、その突起が空洞中に配置され得るようなものであることを意味している。Tyr、Phe及びTrpなどの突起は通常、界面の軸から垂直に延びておらず、好適なコンフォメーションをとっていないので、対応する空洞と突起の位置合わせは、幾つかの例において、X線結晶構造解析又は核磁気共鳴(NMR)により得られたものなど三次元構造に基づく突起/空洞の対のモデリングに依存し得る。このことは、当該技術分野において広く受け入れられている技術を用いて達成することができる。
幾つかの実施態様において、IgG1定常領域中のノブ変異は、T366Wである。幾つかの実施態様において、IgG1定常領域中のホール変異は、T366S、L368A及びY407Vから選択される一以上の変異を含む。幾つかの実施態様において、IgG1定常領域中のホール変異は、T366S、L368A及びY407Vを含む。配列番号67は、ノブ変異を有する典型的なIgG1定常領域を示し、配列番号68は、ホール変異を有する典型的なIgG1定常領域を示す。
幾つかの実施態様において、IgG4定常領域中のノブ変異は、T366Wである。幾つかの実施態様において、IgG4定常領域中のホール変異は、T366S、L368A及びY407Vから選択される一以上の変異を含む。幾つかの実施態様において、IgG4定常領域中のホール変異は、T366S、L368A及びY407Vを含む。配列番号69は、ノブ変異を有する典型的なIgG4定常領域を示し、配列番号70は、ホール変異を有する典型的なIgG4定常領域を示す。例えば、米国特許第7642228号を参照。
7.抗体変異体
ある実施態様において、本明細書で提供される抗体のアミノ酸配列変異体が企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望まれ得る。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な改変を導入することにより、又はペプチド合成によって調製することができる。このような改変は、例えば、抗体のアミノ酸配列内における、残基の欠失、及び/又は挿入及び/又は置換を含む。最終構築物が、所望の特性、例えば、抗原結合を有していることを条件として、欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせが、最終構築物に到達させるために作成され得る。
置換、挿入、及び欠失変異体
ある実施態様において、一つ以上のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。置換型変異誘発の対象となる部位は、HVR及びFRを含む。保存的置換は、表1の「保存的置換」の見出しの下に示されている。より実質的な変更が、表1の「典型的な置換」の見出しの下に与えられ、アミノ酸側鎖のクラスを参照して以下に更に説明される。アミノ酸置換は、目的の抗体に導入することができ、その産物は、所望の活性、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の減少、又はADCC又はCDCの改善についてスクリーニングされる。
アミノ酸は共通の側鎖特性に基づいてグループに分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe.
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを伴うこととなる。
置換変異体の一つのタイプは、親抗体(例えば、ヒト化又はヒト抗体など)の一以上の超可変領域残基の置換を含む。一般的には、更なる研究のために選択され得られた変異体は、親抗体と比較して、特定の生物学的特性の改変(例えば、改善)(例えば、親和性の増加、免疫原性を減少)を有し、及び/又は親抗体の特定の生物学的特性を実質的に保持しているであろう。典型的な置換型変異体は、親和性成熟抗体であり、例えば、本明細書に記載されるファージディスプレイに基づく親和性成熟技術を用いて、簡便に生成され得る。簡潔に言えば、一つ以上のHVR残基が変異し、変異体抗体は、ファージ上に表示され、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
改変(例えば、置換)は、例えば抗体の親和性を向上させるために、HVRで行うことができる。このような改変は、HVRの「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟過程中に高頻度で変異を受けるコドンにコードされた残基で(例えばChowdhury, Methods Mol. Biol. 207:179-196 (2008)を参照)、及び/又はSDR(a−CDR)で行うことができ、得られた変異体VH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリから構築し選択し直すことによる親和性成熟が、例えばHoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O'Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, (2001)に記載されている。親和性成熟の幾つかの実施態様において、多様性が、種々の方法(例えば、変異性PCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド指定突然変異誘発)の何れかにより、成熟のために選択された可変遺伝子中に導入される。次いで、二次ライブラリーが作成される。次いで、ライブラリーが、所望の親和性を持つ抗体変異体を同定するためにスクリーニングされる。多様性を導入するする別の方法は、幾つかのHVR残基(例えば、一度に4から6残基)がランダム化されたHVRを標的としたアプローチを含む。抗原結合に関与するHVR残基は、例えばアラニンスキャニング突然変異誘発、又はモデリングを用いて、特異的に同定され得る。特に、CDR−H3及びCDR−L3がしばしば標的にされる。
ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、そのような改変が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させない限りにおいて、一以上のHVR内で生じる可能性がある。例えば、実質的に結合親和性を低下させない保存的改変(例えば本明細書で与えられる保存的置換)をHVR内で行うことができる。このような改変は、HVR「ホットスポット」又はSDRの外側であってもよい。ある実施態様において、アミノ酸置換が、免疫グロブリン分子の一以上の翻訳後修飾を改変又は排除するために又は抗体産生収率を向上させるために導入することができる。上記に与えられた変異体VH又はVL配列の所定の実施態様において、各HVRは不変であるか、又はわずか1個、2個又は3個のアミノ酸置換が含まれているかの何れかである。
突然変異誘発のために標的とすることができる抗体の残基又は領域を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells (1989) Science, 244:1081-1085により説明されるように、「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、標的残基の残基又はグループ(例えば、arg、asp、his、lys及びgluなどの荷電残基)が同定され、抗原と抗体との相互作用が影響を受けるかどうかを判断するために、中性又は負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)に置換される。更なる置換が、最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸の位置に導入され得る。代わりに、又は更に、抗原抗体複合体の結晶構造が、抗体と抗原との接触点を同定する。そのような接触残基及び隣接残基が、置換の候補として標的とされるか又は排除され得る。変異体はそれらが所望の特性を含むかどうかを決定するためにスクリーニングされ得る。
アミノ酸配列挿入は、一残基から百以上の残基を含有するポリペプチド長にわたるアミノ及び/又はカルボキシル末端融合、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例としては、N末端メチオニン残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異体は、酵素に対する抗体のN末端又はC末端への融合(例えばADEPTの場合)、又は抗体の血清半減期を増加させるポリペプチドへの融合を含む。
グリコシル化変異体
ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増加又は減少させるように改変される。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、一以上のグリコシル化部位が作成又は削除されるようにアミノ酸配列を変えることによって簡便に達成することができる。
抗体がFc領域を含む場合には、それに付着する糖を変えることができる。哺乳動物細胞によって生成された天然型抗体は、典型的には、Fc領域のCH2ドメインのAsn297にN−結合により一般的に付着した分岐鎖、二分岐オリゴ糖を含んでいる。例えば、Wright et al. TIBTECH 15:26-32 (1997)を参照。オリゴ糖は、様々な炭水化物、例えば、二分岐オリゴ糖構造の「幹」のGlcNAcに結合した、マンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、シアル酸、並びにフコースを含み得る。幾つかの実施態様において、本明細書で提供される抗体のオリゴ糖の改変は、一定の改善された特性を有する抗体変異体を作成するために行われ得る。
幾つかの実施態様において、抗体変異体は、Fc領域に(直接又は間接的に)付着されたフコースを欠いた糖鎖構造を有して提供される。例えば、このような抗体のフコース量は、1%から80%、1%から65%、5%から65%、又は20%から40%であり得る。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号に記載されているように、MALDI−TOF質量分析法によって測定されるAsn297に付着している全ての糖構造の合計(例えば、コンプレックス、ハイブリッド及び高マンノース構造)に対して、Asn297の糖鎖中のフコースの平均量を計算することによって決定することができる。Asn297は、Fc領域(Fc領域残基のEU番号付け)でおよそ297の位置に位置するアスパラギン残基を指し、しかし、Asn297もまた位置297の上流又は下流のおよそ±3アミノ酸に、すなわち抗体の軽微な配列変異に起因して、位置294と300の間に配置され得る。このようなフコシル化変異体はADCC機能を改善させた可能性がある。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号(Presta、L.);米国特許出願公開第2004/0093621号(協和発酵工業株式会社)を参照。「脱フコシル化」又は「フコース欠損」抗体変異体に関連する出版物の例としては、米国特許出願公開第2003/0157108号;国際公開第2000/61739号;国際公開第2001/29246号;米国特許出願公開第2003/0115614号;米国特許出願公開第2002/0164328号;米国特許出願公開第2004/0093621号;米国特許出願公開第2004/0132140号;米国特許出願公開第2004/0110704号;米国特許出願公開第2004/0110282号;米国特許出願公開第2004/0109865号;国際公開第2003/085119号;国際公開第2003/084570号;国際公開第2005/035586号;国際公開第2005/035778号;国際公開第2005/053742号;国際公開第2002/031140号;Okazaki et al. J. Mol. Biol. 336:1239-1249 (2004); Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004)が含まれる。脱フコシル化抗体を産生する能力を有する細胞株の例としては、タンパク質フコシル化を欠損しているLec13 CHO細胞(Ripka et al. Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545 (1986);米国特許出願公開第2003/0157108号(A1)、Presta、L;及び国際公開第2004/056312号(A1)、Adamsら、特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、例えばアルファ−1、6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004); Kanda, Y. et al., Biotechnol. Bioeng., 94(4):680-688 (2006);及び国際公開第2003/085107号を参照)を含む。
抗体変異体は、例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている二分オリゴ糖を更に備えている。このような抗体変異体はフコシル化を減少させ、及び/又はADCC機能を改善している可能性がある。そのような抗体変異体の例は、例えば、国際公開第2003/011878号(Jean−Mairettら);米国特許第6602684号(Umanaら);及び米国特許出願公開第2005/0123546号(Umanaら)に記載されている。Fc領域に結合したオリゴ糖内に少なくとも1つのガラクトース残基を持つ抗体変異体も提供される。このような抗体変異体はCDC機能を改善させた可能性がある。このような抗体変異体は、例えば、国際公開第1997/30087号(Patelら);国際公開第1998/58964号(Raju、S.);及び国際公開第1999/22764号(Raju、S.)に記載されている。
Fc領域変異体
ある実施態様において、一以上のアミノ酸改変を、本明細書で提供される抗体のFc領域に導入することができ、それによってFc領域変異体を生成する。Fc領域の変異体は、1つ又は複数のアミノ酸位置においてアミノ酸修飾(例えば置換)を含むヒトFc領域の配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のFc領域)を含んでもよい。
幾つかの実施態様において、重鎖定常領域などの抗体定常領域は、多重特異性抗体の形成を促進する、ノブ変異及び/又はホール変異を含む。非限定的で例示的なノブ変異及びホール変異、及びノブ・イントゥー・ホール技術は、一般に、例えば、米国特許第5731168号、国際公開第2009/089004号、米国特許出願公開第2009/0182127号、米国特許出願公開第2011/0287009号、Marvin and Zhu, Acta Pharmacol. Sin. (2005) 26(6):649-658、及びKontermann (2005) Acta Pharmacol. Sin., 26:1-9に記載されている。特定の非限定的で例示的なノブ変異及びホール変異は本明細書において議論される。
ある実施態様において、インビボにおける抗体の半減期が重要であるが、ある種のエフェクター機能(例えば補体及びADCCなど)が不要又は有害である適応のための望ましい候補とならしめる、全てではないが一部のエフェクター機能を有する抗体変異体が提供される。インビトロ及び/又はインビボでの細胞毒性アッセイを、CDC活性及び/又はADCC活性の減少/枯渇を確認するために行うことができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイは、抗体がFcγR結合を欠くが(それゆえ、おそらくADCC活性を欠く)、FcRn結合能力を保持していることを確認するために行うことができる。ADCCを媒介する初代細胞、NK細胞は、FcγRIIIのみを発現するのに対し、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する造血細胞におけるFcRの発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-492 (1991)の464頁の表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5500362号(例えば、Hellstrom, I. et al. Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 83:7059-7063 (1986)を参照)及びHellstrom, I et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 82:1499-1502 (1985); 5,821,337 (Bruggemann, M. et al., J. Exp. Med. 166:1351-1361 (1987)を参照)に説明される。あるいは、非放射性アッセイ法を用いることができる(例えば、フローサイトメトリー用のACTITM非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology、Inc. Mountain View、CA;及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞毒性アッセイ(Promega、Madison、WI)を参照)。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、又は更に、目的の分子のADCC活性は、Clynes et al., PNAS USA 95:652-656 (1998)に開示されるように、インビボで、例えば動物モデルにおいて評価することができる。C1q結合アッセイはまた、抗体が体C1qを結合することができないこと、従って、CDC活性を欠いていることを確認するために行うことができる。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号のC1q及びC3c結合ELISAを参照。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行うことができる(例えば、Gazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202:163 (1996); Cragg, M.S. et al., Blood 101:1045-1052 (2003);及びCragg, M.S. and M.J. Glennie, Blood 103:2738-2743 (2004)を参照)。FcRn結合、及びインビボでのクリアランス/半減期の測定はまた、当該分野で公知の方法を用いて行うことができる(例えば、Petkova, S.B. et al., Int'l. Immunol. 18(12):1759-1769 (2006)を参照)。
エフェクター機能が減少した抗体は、Fc領域の残基238、265、269、270、297、327、329の一つ以上の置換を有するものが含まれる(米国特許第6737056号)。そのようなFc変異体は、残基265(D)及び297(N)のアラニンへの置換を有する、いわゆる「DANA」Fc変異体を含む、アミノ酸位置265、269、270、297及び327の2以上での置換を有するFc変異体を含む(米国特許第7332581号)。
FcRへの改善又は減少させた結合を持つ特定の抗体変異体が記載されている。(例えば、米国特許第6737056号;国際公開第2004/056312号、及びShields et al., J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)を参照)。
ある実施態様において、抗体変異体はADCCを改善する一以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の位置298、333、及び/又は334における置換(EUの残基番号付け)を含む。
幾つかの実施態様において、例えば、米国特許第6194551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogie et al. J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000)に記述されるように、改変された(すなわち、改善され又は減少した)C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を生じる、Fc領域における改変がなされる。
増加した半減期を持ち、胎仔への母性IgGの移送を担う、新生児Fc受容体(FcRn)への結合が改善された抗体(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976)及びKim et al., J. Immunol. 24:249 (1994))が、米国特許出願公開第2005/0014934号(A1)(Hintonら)に記載されている。これらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を改善する一以上の置換を有するFc領域を含む。このようなFc変異体は、Fc領域の残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434の一以上の置換、例えば、Fc領域の残基434の置換を有するものを含む(米国特許第7371826号)。
Fc領域の変異体の他の例に関しては、Duncan & Winter, Nature 322:738-40 (1988);米国特許第5648260号;米国特許第5624821号;及び国際公開第94/29351号も参照のこと。
幾つかの実施態様において、抗体の定常領域は、本明細書において議論される一以上の変異(例えば、ノブ及び/又はホール変異及び/又は安定性を増大させる変異及び/又はADCCを減少させる変異など)を含む。
システイン操作抗体変異体
ある実施態様において、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されている、システイン操作抗体、例えば、「thioMAb(複数)」を作成することが望まれ得る。特定の実施態様において、置換された残基は、抗体のアクセス可能な部位で生じる。それらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基は、それによって抗体のアクセス可能な部位に配置され、本明細書中で更に記載されるように、イムノコンジュゲートを作成するために、例えば薬物部分又はリンカー−薬物部分などの他の部分に抗体をコンジュゲートするために使用することができる。ある実施態様において、一以上の以下の残基がシステインで置換され得る:軽鎖のV205(Kabatの番号付け);重鎖のA118(EU番号付け);及び重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)。システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7521541号に記載のように生成され得る。
抗体誘導体
ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は、当技術分野で知られ、容易に入手される追加の非タンパク質部分を含むように更に改変することができる。抗体の誘導体化に適した部分としては、限定されないが、水溶性ポリマーを含む。水溶性ポリマーの非限定的な例は、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールの共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアミノ酸(単独重合体又はランダム共重合体の何れか)及びデキストラン又はポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコール単独重合体、プロピレンオキシド/エチレンオキシド共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール及びこれらの混合物を包含する。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドはその水中での安定性のために製造上の利点を有し得る。ポリマーは何れかの分子量のものであってよく、そして分枝鎖又は未分枝鎖であってよい。抗体に結合するポリマーの数は変動してよく、そして、一以上の重合体が結合する場合は、それらは同じか又は異なる分子であることができる。一般的に、誘導体化に使用するポリマーの数及び/又は種類は、限定されないが、向上させるべき抗体の特定の特性又は機能、抗体誘導体が限定された条件下で治療に使用されるのか等を含む検討事項に基づいて決定することができる。
幾つかの実施態様において、放射線への曝露によって選択的に加熱されてもよい抗体と非タンパク質性部分とのコンジュゲートが提供される。幾つかの実施態様において、非タンパク質部分はカーボンナノチューブである(Kam et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102: 11600-11605 (2005))。放射線は、任意の波長であって良いが、限定されないものの、通常の細胞に害を与えないが、抗体−非タンパク質部分の近位細胞が死滅される温度に非タンパク質部分を加熱する波長が含まれる。
組換え方法及び組成物
抗体は、例えば米国特許第4816567号で説明したように、組換えの方法及び組成物を用いて製造することができる。幾つかの実施態様において、本明細書に記載される抗IL−17抗体をコードする単離された核酸が提供される。幾つかの実施態様において、本明細書に記載される抗IL−13抗体をコードする単離された核酸が提供される。幾つかの実施態様において、本明細書に記載される抗IL−13/IL−17抗体をコードする単離された核酸が提供される。このような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列、及び/又は抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/又は重鎖)をコードし得る。幾つかの実施態様において、そのような核酸を含む一以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。幾つかの実施態様において、そのような核酸を含む宿主細胞が提供される。一実施態様において、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列、及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、又は(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第一ベクター、及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第二ベクターを含む(例えば、それらにより形質転換される)。
幾つかの実施態様において、宿主細胞は、真核生物、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又はリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。幾つかの実施態様において、抗体を作る方法が提供され、その方法は、上記のように、抗体の発現に適した条件下で、抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養することを含み、及び必要に応じて、宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から抗体を回収することを含む。
幾つかの実施態様において、多重特異性抗体を作る方法が提供され、その方法は、抗体の発現に適した条件下で、多重特異性抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養することを含み、任意で、宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から多重特異性抗体を回収することを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体を作成する方法が提供され、ここで、方法は、第一のVH/VLユニットの発現に適した条件下で、多重特異性抗体(もしあれば、ときには「ヘミマー」又は「半抗体」と称される定常領域を含む)の第一のVH/VLユニットをコードする核酸を含む第一の宿主細胞を培養すること、及び任意で、宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から第一のVH/VLユニットを回収すること、並びに第二のVH/VLユニットの発現に適した条件下で、多重特異性抗体(もしあれば、ときには「ヘミマー」又は「半抗体」と称される定常領域を含む)の第二のVH/VLユニットをコードする核酸を含む第二の宿主細胞を培養すること、及び任意で、宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から第二のVH/VLユニットを回収することを含む。幾つかの実施態様において、方法は、単離された第一のVH/VLユニット及び単離された第二のVH/VLユニットから多重特異性抗体を構築することを更に含む。そのようなアセンブリーは、幾つかの実施態様において、2つのVH/VLユニット(又はヘミマー又は半抗体)間の分子内ジスルフィドを形成する還元工程を含み得る。多重特異性抗体を生成する非限定的で例示的な方法は、例えば、米国特許出願公開第2011/0287009号、米国特許出願公開第2007/0196363号、米国特許出願公開第2007/0178552号、米国特許第5731168号、国際公開第96/027011号、国際公開第98/050431号、国際公開第2013/055958号、国際公開第2011/133886号、及びZhu et al., 1997, Protein Science 6:781-788に記述される。非限定的で例示的な方法はまた、以下の実施例に記述される。
抗IL−17抗体、抗IL−13抗体又は抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の組換え生産のために、例えば上述したように、抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞内での更なるクローニング及び/又は発現のために一以上のベクターに挿入される。このような核酸は、容易に単離され、従来の手順を用いて(例えば、抗体の重鎖と軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)配列決定することができる。
抗体をコードするベクターのクローニング又は発現に適切な宿主細胞は、本明細書に記載の原核細胞又は真核細胞を含む。例えば、特に、グリコシル化及びFcエフェクター機能が必要ない場合には、抗体は、細菌で産生することができる。細菌における抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5648237号、第5789199号及び第5840523号を参照。(また、大腸菌における抗体の発現を説明している、Charlton, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ, 2003), pp. 245-254も参照)。発現の後、抗体は可溶性画分において細菌の細胞ペーストから単離され、更に精製することができる。
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、そのグリコシル化経路が、「ヒト化」されている菌類や酵母菌株を含む抗体をコードするベクターのための、適切なクローニング宿主又は発現宿主であり、部分的又は完全なヒトのグリコシル化パターンを有する抗体の生成をもたらす。Gerngross, Nat. Biotech. 22:1409-1414 (2004)、及びLi et al., Nat. Biotech. 24:210-215 (2006)を参照。
グリコシル化抗体の発現に適した宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物と脊椎動物)から派生している。無脊椎動物細胞の例としては、植物及び昆虫細胞が挙げられる。多数のバキュロウイルス株が同定され、これらは特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために、昆虫細胞と組み合わせて使用することができる。
植物細胞培養もまた宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5959177号、第6040498号、第6420548号、第7125978号及び第6417429号(トランスジェニック植物における抗体産生に関するPLANTIBODIESTM技術を記載)を参照。
脊椎動物細胞もまた宿主として用いることができる。例えば、懸濁液中で増殖するように適合した哺乳動物細胞株は有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS−7)で形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胚腎臓株(Graham et al., J. Gen Virol. 36:59 (1977)に記載された293細胞又は293細胞;ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスのセルトリ細胞(Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980)に記載されるTM4細胞);サル腎細胞(CV1);アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76);ヒト子宮頚癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(HepG2)、マウス乳腺腫瘍(MMT060562);例えばMather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982)に記載されるTRI細胞;MRC5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株は、DHFR− CHO細胞(Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;及びY0、NS0及びSp2/0などの骨髄腫細胞株を含む。抗体産生に適した特定の哺乳動物宿主細胞系の総説については、例えば、Yazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ), pp. 255-268 (2003)を参照。
例示的なアッセイ
結合アッセイ及びその他のアッセイ
幾つかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、例えばELISA、ウエスタンブロット法など公知の方法により、その抗原結合活性について試験される。
幾つかの実施態様において、競合アッセイを、IL−17に対する結合について本明細書に記載されるIL−17抗体と競合する抗体を同定するために用いることができる。幾つかの実施態様において、競合アッセイを、IL−17及び/又はIL−13に対する結合について本明細書に記載される抗IL−13/IL−17二重特異性抗体と競合する抗体を同定するために用いることができる。幾つかの実施態様において、IL−17はIL−17Aである。幾つかの実施態様において、IL−17はIL−17AFヘテロ二量体である。幾つかの実施態様において、IL−17はIL−17Fである。ある実施態様において、このような競合抗体は、IL−17結合のために、配列番号39を含むVHアミノ酸配列及び配列番号38を含むVLアミノ酸配列を含む抗体により結合される同一のエピトープ(例えば、直鎖状又は立体構造エピトープ)に結合する。ある実施態様において、このような競合抗体は、IL−13結合のために、配列番号13を含むVHアミノ酸配列及び配列番号14を含むVLアミノ酸配列を含む抗体により結合される同一のエピトープ(例えば、直鎖状又は立体構造エピトープ)に結合する。ある実施態様において、このような競合抗体は、IL−13結合のために、配列番号30を含むVHアミノ酸配列及び配列番号29を含むVLアミノ酸配列を含む抗体により結合される同一のエピトープ(例えば、直鎖状又は立体構造エピトープ)に結合する。ある実施態様において、このような競合抗体は、IL−17結合のために、配列番号39を含むVHアミノ酸配列及び配列番号38を含むVLアミノ酸配列を含む抗体により結合される同一のエピトープ(例えば、直鎖状又は立体構造エピトープ)に結合し、かつ、IL−13結合のために、配列番号13を含むVHアミノ酸配列及び配列番号14を含むVLアミノ酸配列を含む抗体により結合される同一のエピトープ(例えば、直鎖状又は立体構造エピトープ)に結合する二重特異性抗体である。ある実施態様において、このような競合抗体は、エピトープのアミノ酸残基の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくはそれ以上、又は全てに結合する。ある実施態様において、そのような競合二重特異性抗体は、配列番号39を含むVHアミノ酸配列及び配列番号38を含むVLアミノ酸配列並びに配列番号13を含むVHアミノ酸配列及び配列番号14を含むVLアミノ酸配列を含む二重特異性抗体の、IL−13及び/又はIL−17に対する結合を10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%減少させる。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な典型的な方法が、Morris (1996) “Epitope Mapping Protocols," in Methods in Molecular Biology vol. 66 (Humana Press, Totowa, NJ)に提供されている。
例示的な競合アッセイにおいて、固定化IL−17は、IL−17に結合する第一の標識抗体(例えば、配列番号39を含むVHアミノ酸配列及び配列番号38を含むVLアミノ酸配列(又は配列番号40、43、44、45、46、47を含むアミノ酸配列を含む対応するCDR)を含む抗体)、並びにIL−17への結合について第一の抗体と競合するその能力について試験されている第二の未標識抗体を含む溶液中でインキュベートされる。第二抗体はハイブリドーマ上清中に存在してもよい。対照として、固定化IL−17が、第二の未標識の抗体でなく、第一の標識された抗体を含む溶液中でインキュベートされる。第一の抗体のIL−17への結合を許容する条件下でインキュベートした後、過剰の未結合の抗体が除去され、固定化IL−17に結合した標識の量が測定される。もし、固定化IL−17に結合した標識の量が、対照試料と比較して試験試料中で実質的に減少している場合、それは、第二抗体が、IL−17への結合に対して、第一の抗体と競合していることを示している。Harlow and Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual ch.14 (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY)を参照。
更なる例示的な競合アッセイにおいて、固定化IL−13は、IL−13に結合する第一の標識抗体(例えば、配列番号13を含むVHアミノ酸配列及び配列番号14を含むVLアミノ酸配列(又は配列番号15、16、17、18、19、20を含むアミノ酸配列を含む対応するCDR)を含む抗体又は配列番号30を含むVHアミノ酸配列及び配列番号29を含むVLアミノ酸配列(又は配列番号31、32、33、34、45、36を含むアミノ酸配列を含む対応するCDR)を含む抗体)、及びIL−13への結合について第一の抗体と競合する能力について試験されている第二の未標識抗体を含む溶液中でインキュベートされる。第二抗体はハイブリドーマ上清中に存在してもよい。対照として、固定化IL−13が、第二の未標識の抗体でなく、第一の標識された抗体を含む溶液中でインキュベートされる。第一の抗体のIL−13への結合を許容する条件下でインキュベートした後、過剰の未結合の抗体が除去され、固定化IL−13に結合した標識の量が測定される。もし、固定化IL−13に結合した標識の量が、対照試料と比較して試験試料中で実質的に減少している場合、それは、第二抗体が、IL−13への結合に対して、第一の抗体と競合していることを示している。
活性のアッセイ
幾つかの実施態様において、生物学的活性を有する抗IL−17抗体及び抗IL−13/IL−17二重特異性抗体を同定するためのアッセイが提供される。生物学的活性は、例えば、IL17Ra及び/又はRcに結合するIL−17AA、IL−17AF、及び/又はIL−17FFの阻害;IL−17AA、IL−17AF、及び/又はIL−17FF誘導性細胞増殖の阻害;IL−17AA、IL−17AF、及び/又はIL−17FF誘導性G−CSF発現の阻害;IL−17AA、IL−17AF、及び/又はIL−17FF誘導性CXCL1、CXCL2、又はCXCL3発現の阻害;IL−17AA、IL−17AF、及び/又はIL−17FF誘導性IL−6又はIL−8発現の阻害;IL−17AA、IL−17AF、及び/又はIL−17FF誘導性NF−κB発現の阻害;喘息を阻害する活性;及び特発性肺線維症(IPF)を阻害する活性;IL−17AA、IL−17AF、及び/又はIL−17FF誘導性好中球動員の阻害を含み得る。幾つかの実施態様において、生物学的活性は、例えば、IL−13受容体(例えば、IL−4Rα及びIL−13Rα1を含むヘテロ二量体受容体)へのIL−13結合の阻害、IL−13誘導性STAT6リン酸化の阻害、IL−13誘導性CCL26発現の阻害、IL−13誘導性細胞増殖の阻害、IgEへのB細胞のIL−13誘導性スイッチングの阻害、IL−13誘導性粘液産生の阻害、喘息を阻害する活性、IPFを阻害する活性、及びIL−13誘導性好酸球動員の阻害を含む。幾つかの実施態様において、生物学的活性は、例えば、IL−13誘導性STAT6リン酸化の阻害、IL−13誘導性細胞増殖の阻害、IgEへのB細胞のIL−13誘導性スイッチングの阻害、IL−13誘導性粘液産生の阻害、喘息の活動の阻害、及びIPFの活動の阻害を含み、それぞれの場合において、IL−13受容体(例えば、IL−4RαとIL−13Rα1を含むヘテロ二量体受容体)へのIL−13の結合の阻害を伴わない。インビボ及び/又はインビトロにおいてそのような生物学的活性を有する抗体もまた提供される。かかる生物学的活性の試験のための非限定的で例示的なアッセイが本明細書に記載され及び/又は当技術分野において周知である。
イムノコンジュゲート
幾つかの実施態様において、一以上の細胞傷害性薬物にコンジュゲートされた抗IL−13/IL−17二重特異性抗体を含むイムノコンジュゲートが提供される。かかる非限定的で例示的な細胞傷害性薬物は、化学療法剤又は薬物、増殖阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物、又は動物起源の酵素活性毒素、又はそれらの断片)及び放射性同位体を含む。
幾つかの実施態様において、イムノコンジュゲートは、抗体−薬物コンジュゲート(ADC)であって、そこでは抗体は、限定されないが、メイタンシノイド(例えば、米国特許第5208020号、第5416064号及び欧州特許EP0 425235 B1を参照);モノメチルアウリスタチン薬物部分DE及びDF(MMAE及びMMAF)(例えば、米国特許第5635483号及び5780588号及び7498298号を参照)などのアウリスタチン;ドラスタチン;カリケアマイシン又はその誘導体(例えば、米国特許第5712374号、5714586号、5739116号、5767285号、5770701号、5770710号、5773001号、及び5877296号;Hinman et al., Cancer Res. 53:3336-3342 (1993);及びLode et al., Cancer Res. 58:2925-2928 (1998)を参照);ダウノマイシン又はドキソルビシンなどのアントラサイクリン(例えば、Kratz et al., Current Med. Chem. 13:477-523 (2006); Jeffrey et al., Bioorganic & Med. Chem. Letters 16:358-362 (2006); Torgov et al., Bioconj. Chem. 16:717-721 (2005); Nagy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:829-834 (2000); Dubowchik et al., Bioorg. & Med. Chem. Letters 12:1529-1532 (2002); King et al., J. Med. Chem. 45:4336-4343 (2002);及び米国特許第6630579号を参照);メトトレキサート;ビンデシン;ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル、及びオルタタキセルなどのタキサン;トリコテセン;及びCC1065を含む一つ以上の薬物とコンジュゲートしている。
幾つかの実施態様において、イムノコンジュゲートは、酵素的に活性な毒素又はその断片にコンジュゲートした、本明細書に記載の抗体を含み、限定されないが、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシン(modeccin)A鎖、アルファ−サルシン、アレウリテス・フォーディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP−S)、モモルディカ・チャランチア(momordica charantia)阻害剤、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria oficinalis)阻害剤、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)及びトリコテセン(tricothecene)が含まれる。
幾つかの実施態様において、イムノコンジュゲートは、放射性コンジュゲートを形成するために放射性原子にコンジュゲートした本明細書に記載されるような抗体を含む。様々な放射性同位体が、放射性複合体の生産用に利用可能である。例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位体を含む。検出のためにコンジュゲートを使用するとき、それはシンチグラフィー試験のための放射性原子、例えばtc99m又はI123、又は核磁気共鳴(NMR)画像化(磁気共鳴画像法、mriとしても知られている)のためのスピン標識、例えば再び、ヨウ素−123、ヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガン又は鉄を含んでよい。
抗体と細胞傷害性薬物のコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシラート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCL)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トリエン−2,6−ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。Vitetta et al., Science 238:1098 (1987)に記載されるように、例えば、リシンイムノトキシンを調製することができる。カーボン−14−標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体へのコンジュゲーションのためのキレート剤の例である。国際公開第94/11026号を参照。リンカーは、細胞中に細胞毒性薬物の放出を容易にする「切断可能なリンカー」であり得る。例えば、酸に不安定なリンカー、ペプチダーゼ過敏性リンカー、光解離性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chari et al., Cancer Res. 52:127-131 (1992);米国特許第5208020号)が使用され得る。
本明細書において、イムノコンジュゲート又はADCは、限定されないが、市販の(例えばPierce Biotechnology、Inc.、Rockford、IL.、U.S.Aからの)、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC−SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−KMUS、スルホ−MBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMPB、及びスルホ−SMPB、SVSB(スクシンイミジル(4−ビニルスルホン)ベンゾエート)を含むクロスリンカー試薬を用いて調製されるコンジュゲートを明示的に意図する。
診断及び検出のための方法及び組成物
ある実施態様において、本明細書で提供される抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の何れかは、生物学的試料中のIL−17及び/又はIL−13の存在を検出するのに有用である。本明細書で使用する「検出」という用語は、定量的又は定性的検出を包含する。ある実施態様において、生物学的試料は、血清、血漿、鼻腔スワブ、気管支肺胞洗浄液及び痰などの細胞又は組織を含む。
幾つかの実施態様において、診断又は検出の方法に使用される抗IL−13/IL−17二重特異性抗体が提供される。更なる態様において、生物学的試料中のIL−17及び/又はIL−13の存在を検出する方法が提供される。ある実施態様において、本方法は、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体のIL−13及び/又はIL−17への結合を許容する条件下で、本明細書に記載される抗IL−17/IL−13二重特異性抗体と生物学的試料を接触させること、及び複合体が抗IL−13/IL−17二重特異性抗体とIL−17及び/又はIL−13との間に形成されているかどうかを検出することを含む。そのような方法は、インビトロ又はインビボでの方法であり得る。幾つかの実施態様において、例えばIL−17及び/又はIL−13が患者の選択のためのバイオマーカーであるなど、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体が、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体、又は任意の他のTH2経路阻害剤による治療に好適な被験体を選択するために使用される。
抗IL−13/IL−17二重特異性抗体を用いて診断することができる例示的な疾患が本明細書に提供される。
ある実施態様において、標識された抗IL−13/IL−17二重特異性抗体が提供される。標識は、限定されるものではないが、(例えば、蛍光標識、発色団標識、高電子密度標識、化学発光標識、放射性標識など)直接検出される標識又は部分、並びに、例えば、酵素反応又は分子間相互作用を介して間接的に検出される酵素又はリガンドのような部分が含まれる。典型的な標識は、限定されないが、ラジオアイソトープ32P、14C、125I、3H、及び131I、フルオロフォア、例えば希土類キレート又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシェフェラーゼ、例えばホタルルシェフェラーゼ及び細菌ルシェフェラーゼ(米国特許第4737456号)、ルシェフェリン、2,3−ジヒドロフタルジネジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖オキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘテロサイクリックオキシダーゼ、例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ、色素前駆体を酸化する過酸化水素を利用する酵素、例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ、又はマイクロペルオキシダーゼと共役したもの、ビオチン/アビジン、スピンラベル、バクテリオファージラベル、安定な遊離ラジカルなどが含まれる。
薬学的製剤
本明細書に記載の抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の薬学的処方物は、所望の程度の純度を有するその抗体と任意の薬学的に許容される一以上の担体(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed.: Williams and Wilkins PA, USA (1980))とを、凍結乾燥製剤又は水性溶液の形態で混合することによって調製される。薬学的に許容される担体は、使用される投薬量及び濃度でレシピエントに毒性でなく、そしてこれには、限定しないが、リン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸のような緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチオルベンジルアンモニウムクロライド;ヘキサメトニウムクロライド;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジン;マンノサッカライド、ジサッカライド、及びグルコース、マンノース又はデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);及び/又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書における典型的な薬学的に許容される担体は、水溶性の中性アクティブヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)などの介在性薬物分散剤、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International、Inc.)などのヒト可溶性PH−20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質を更に含む。所定の典型的なsHASEGP及び使用法は、rHuPH20を含み、米国特許出願公開第2005/0260186号及び第2006/0104968に開示されている。幾つかの実施態様において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなどの一以上の付加的なグルコサミノグリカナーゼと組み合わされる。
典型的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6267958号に記載されている。水性の抗体製剤は、米国特許第6171586号及び国際公開第2006/044908号に記載されているものが含まれ、後者の製剤はヒスチジン−酢酸緩衝液を含む。
本明細書の製剤はまた、治療を受けている特定の徴候のために必要な一以上の活性成分、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を持つものが含まれる場合がある。例えば、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体を有するコントローラー及び/又はTH2経路阻害剤を更に提供することが所望され得る。このような活性成分は、意図した目的のために有効な量で組み合わされ適切に存在する。
活性成分は、例えば、コアセルベーション技術又は界面重合法によって、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン−マイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート(methylmethacylate))マイクロカプセルにより、コロイド薬物送達系に(例えばリポソーム、アルブミンミクロスフィア、ミクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロ・エマルジョンで調製されたマイクロカプセルに封入されてもよい。このような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に開示される。
徐放性製剤が調製されてもよい。徐放性調製物の好適な例には、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが含まれ、このマトリックスは成形品、例えばフィルム、又はマイクロカプセルの形態である。
インビボ投与に使用される製剤は、一般的に無菌である。無菌性は、例えば、滅菌濾過膜を通して濾過することにより達成することができる。
治療方法及び組成物
本明細書で提供される抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の何れかを、治療方法で使用することができる。
ある実施態様において、本発明は、それを必要とする患者において好酸球及び好中球性炎症又は疾患を治療する方法を提供する。好酸球性炎症は、アレルギー性及び非アレルギー性の両方の、様々な疾患に関連している(Gonlugur (2006) Immunol. Invest. 35(1):29-45)。炎症は、損傷に対する生体組織の修復応答である。炎症反応の特徴は、組織自体で生産される特定の化学物質に起因する損傷した組織中の白血球の蓄積である。好酸球白血球は、アレルギー性疾患、寄生虫感染症、及び腫瘍性疾患のような広範囲の症状において蓄積する(Kudlacz et al., (2002) Inflammation 26: 111-119)。好酸球白血球は、免疫系の構成要素であり、粘膜表面の防御的な要素である。それらは、抗原だけでなく、寄生虫、化学物質、及び外傷に応答する。組織の好酸球及び組織の好中球数が血清ペリオスチンレベルと正に相関していることが見出された。例えば、米国特許出願公開第2012/0156194号を参照。好酸球性炎症を有する患者は、幾つかの実施態様において、米国特許出願公開第2012/0156194号に記載されているように、例えば、全血清ペリオスチンレベルを測定することによって同定することができる。
本明細書に示されるように、IL−17及び好中球性炎症は、重度の制御されない喘息においてIL−13及び好酸球性炎症と正に相関している。肺IL−17はまた、吸入コルチコステロイドを服用している個体において中等度から重度の喘息における組織好中球レベルと関連している。更に、IL−17レベルは、血清ペリオスチン濃度と相関している。
抗IL−17RA抗体によるIL−17A及びIL−17F経路の遮断は、喘息を有する被験体において治療効果を生じなかったことが以前にBusseらによって報告された。Busse et al., 2013, Am. J. Respir. Crit. Care Med. 188:1294.著者は、高気管支拡張剤可逆性サブグループにおいてのみ名義的有意性を有するACQの変化が観察されたことを指摘したが、一方、高可逆性サブグループ解析の結果の有意性は不明のままである。
対照的に、本発明は、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体を、それを必要とする個体に投与することを含む、喘息又は呼吸器疾患を治療する方法を提供し、ここで個体は、参照又は対照レベルと比較して上昇した好酸球数又は上昇した血清ペリオスチンレベルを有すると決定されている。ペリオスチンは、Th2のバイオマーカーであり、ペリオスチンの上昇したレベルを有する患者は、IL−13媒介性疾患を有する可能性があり、かつIL−13が高い患者集団である可能性がある。本明細書に記載されるように、ペリオスチンが高い患者集団におけるレブリキズマブ、抗IL−13治療用抗体の治療効果は不均一である。好酸球−高(ペリオスチン−高)患者集団は更に、好中球−高及び好中球−低のサブグループに分割することができ、そのレブリキズマブは好酸球−高及び好中球−低のサブグループにおいてより有効であり、かつ好酸球−高及び好中球−高のサブグループでは有効性が低かった。
従って、幾つかの実施態様において、本発明は、本明細書に記載の抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の有効量を個体に投与することを含む、個体における喘息又は呼吸器疾患を治療するための方法を提供する。幾つかの実施態様において、喘息は中等度から重度の喘息である。幾つかの実施態様において、個体は、高血清ペリオスチンを有する。幾つかの実施態様において、個体は、対照又は基準レベルと比較して、上昇した血清ペリオスチンを有する。幾つかの実施態様において、個体は、更に任意で、CXCL1、IL8、CXCL2、CXCL3、及びCSF3の少なくとも一つの上昇したレベルを有する。幾つかの実施態様において、個体は、対照又は基準レベルと比較して、上昇した血清ペリオスチン及びCXCL1の上昇したレベルを有する。
幾つかの実施態様において、個体において好酸球性疾患、好中球性疾患、IL−13媒介性疾患、IL−17媒介性疾患、及び/又は呼吸器疾患を治療する方法において使用のための抗IL−13/IL−17二重特異性抗体が提供される。幾つかの実施態様において、本方法は、本明細書に記載の抗体の有効量を個体に投与することを含む。
幾つかの実施態様において、方法は、TH2経路阻害剤を個体に投与することを更に含む。幾つかの実施態様において、TH2経路阻害剤は、ITK、BTK、IL−9、IL−5、IL−13、IL−4、OX40L、TSLP、IL−25、IL−33、IgE、IL−9受容体、IL−5受容体、IL−4受容体アルファ、IL−13受容体アルファ1(IL−13Rα1)、IL−13受容体アルファ2(IL−13Rα2)、OX40、TSLP−R、IL−7Rアルファ、IL−17RB、ST2、CCR3、CCR4、CRTH2、FcイプシロンRI、FcイプシロンRII/CD23、Flap、Sykキナーゼ;CCR4、TLR9、CCR3、IL5、IL3、及びGM−CSFから選択される少なくとも一の標的を阻害する。幾つかの実施態様において、中等度から重度の喘息を治療する方法が提供される。幾つかの実施態様において、特発性肺線維症を治療する方法が提供される。幾つかの実施態様において、対照又は基準レベルと比較して、高い又は上昇した血清ペリオスチンを用いて個体を治療する方法が提供される。幾つかの実施態様において、ペリオスチンが高い喘息を治療する方法が提供される。血清ペリオスチンのレベルを決定する方法は、例えば、米国特許出願公開第2012/0156194号に提供される。
幾つかの実施態様において、個体において喘息又は呼吸器疾患を治療する方法が提供され、ここで、喘息又は呼吸器疾患はコルチコステロイドで制御されない。限定されない例示的なコルチコステロイドは、吸入コルチコステロイド、例えばジプロピオン酸ベクロメタゾン(例えば、Qvar(登録商標))、ブデソニド(例えば、Pulmicort(登録商標))、ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物(例えば、Symbicort(登録商標))、フルニソリド(例えば、Aerobid(登録商標))、プロピオン酸フルチカゾン(例えば、Flovent(登録商標)、Flonase(登録商標))、プロピオン酸フルチカゾン及びサルメテロール(例えば、Advair(登録商標))、及びトリアムシノロンアセトニド(例えば、Azmacort(登録商標))などを含む。幾つかの実施態様において、患者はまた、第二コントローラーで治療される。第二コントローラーは、幾つかの実施態様において、長時間作用型気管支拡張薬(LAND)であってもよい。限定されない例示的な長時間作用型気管支拡張薬は、長時間作用型β2アゴニスト(LABA)、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTRA)、長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)、テオフィリン、及び経口コルチコステロイド(OCS)を含む。限定されない例示的なLABDは、ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物(例えば、Symbicort(登録商標))、プロピオン酸フルチカゾン及びサルメテロール(例えば、Advair(登録商標))、アルホルモテロール酒石酸塩(例えば、Brovana(登録商標))、ホルモテロールフマル酸塩(例えば、Foradil(登録商標)、Performist(登録商標))、及びサルメテロールキシナホ酸塩(例えば、Serevent(登録商標))を含む。ある実施態様において、方法は、コルチコステロイドを患者に投与することを更に含む。
ある実施態様において、医薬として使用のための抗IL−13/IL−17二重特異性抗体が提供される。ある実施態様において、喘息、IPF、呼吸器疾患、好酸球性疾患、好中球性疾患、IL−13媒介性疾患、又はIL−17媒介性疾患の治療において使用のための抗IL−13/IL−17二重特異性抗体が提供される。ある実施態様において、治療の方法に使用のための抗IL−13/IL−17二重特異性抗体が提供される。ある実施態様において、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の有効量を個体に投与することを含む、喘息、呼吸器疾患、好酸球性疾患、好中球性疾患、IL−13媒介性疾患、又はIL−17媒介性疾患を有する個体を治療する方法において使用のための、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体が提供される。一つのそのような実施態様において、本方法は、例えば後述するように、少なくとも一の付加的治療剤の有効量を個体に投与することを更に含む。
上記実施態様の何れかに記載の「個体」又は「患者」は、好ましくはヒトである。ある実施態様において、個体又は患者は、喘息又は呼吸器疾患の治療を必要としているか又は喘息又は呼吸器疾患を発症する危険性が高い。ある実施態様において、喘息患者は、高レベルのペリオスチン発現を示す。ある実施態様において、喘息患者は、対照又は参照レベルと比較して、ペリオスチンの上昇したレベルを示す。
ある実施態様において、患者は中等度から重度の喘息に罹患する。
ある実施態様において、好酸球性炎症又は疾患に罹患している患者は、「好酸球性疾患を診断し治療する方法(Methods of Diagnosing and Treating Eosinophilic Disorders)」と題し、その全体が参照により本明細書に援用される、2013年10月23日に出願された61/894831及び2014年10月22日に出願されたPCT/US14/61759に記載されるように、好酸球のシグネチャー遺伝子の一以上の上昇したレベルを示し得る。ある実施態様において、患者は、対照患者と比較して、上昇した血清ペリオスチンレベル及び/又はCSF1、MEIS2、LGALS12、IDO1、THBS4、OLIG2、ALOX15、SIGLEC8、CCL23、PYROXD2、HSD3B7、SORD、ASB2、CACNG6、GPR44、MGAT3、SLC47A1、SMPD3、CCR3、CLC、CYP4F12、及びABTB2から選択される一以上の上昇したレベルを示す好酸球性炎症陽性(EIP)患者として同定される。例えば、全体が参照によって本明細書に援用される米国特許出願公開第2012/0156194号を参照。代替的に又は付加的に、患者は、CXCR1、CXCR2、好中球エラスターゼ、又はCEACAM6などの好中球シグネチャー遺伝子の一以上のレベルの上昇を示し得る。
Th2駆動型/好酸球性喘息サブフェノタイプの非侵襲的バイオマーカーの中には、血清ペリオスチン、分別呼気一酸化窒素(FeNO)、及び末梢血好酸球数がある。Arron et al. (2013) Adv Pharmacol 66: 1-49を参照。ある実施態様において、好酸球性喘息に罹患している患者は、対照又は基準レベルと比較して、総血清又は血漿ペリオスチンの高いレベル又は上昇したレベルを示す。ある実施態様において、EIPの患者は、血清又は血漿ペリオスチンレベルについて試験された患者を指し、ここで、血清又は血漿ペリオスチンレベルは、患者集団の血清又は血漿ペリオスチンレベルの中間又は平均と等しいか又はそれより大きい(高ペリオスチンと呼ばれることがある)。ある実施態様において、例えば本明細書に記載されるようなELISA又はサンドイッチイムノアッセイを使用して血清又は血漿ペリオスチンレベルについて試験された患者は、20ng/ml以上の総ペリオスチンレベルを有するであろう(好酸球陽性)。ある実施態様において、患者は50ng/ml以上の総ペリオスチンレベルを有するであろうある実施態様によれば、EIPである患者の総ペリオスチンレベルは、血清又は血漿中に、21ng/ml以上、22ng/ml以上、23ng/ml以上、24ng/ml以上、25ng/ml以上、26ng/ml以上、27ng/ml以上、28ng/ml以上、29ng/ml以上、30ng/ml以上、31ng/ml以上、32ng/ml以上、33ng/ml以上、34ng/ml以上、35ng/ml以上、36ng/ml以上、37ng/ml以上、38ng/ml以上、39ng/ml以上、40ng/ml以上、41ng/ml以上、42ng/ml以上、43ng/ml以上、44ng/ml以上、45ng/ml以上、46ng/ml以上、47ng/ml以上、48ng/ml以上、49ng/ml以上、50ng/ml以上、51ng/ml以上、52ng/ml以上、53ng/ml以上、54ng/ml以上、55ng/ml以上、56ng/ml以上、57ng/ml以上、58ng/ml以上、59ng/ml以上、60ng/ml以上、61ng/ml以上、62ng/ml以上、63ng/ml以上、64ng/ml以上、65ng/ml以上、66ng/ml以上、67ng/ml以上、68ng/ml以上、69ng/ml以上及び70ng/ml以上からなる群から選択することができる。EIPの状態は患者の状態を表し、状態を決定するために使用されるアッセイのタイプに依存しないことを理解すべきである。従って、米国特許出願公開第2012/0156194号に示されるELISAアッセイ及びElecsys(登録商標)ペリオスチンアッセイなどの他のペリオスチンのアッセイを含む他の好酸球性炎症の診断アッセイが、好酸球性炎症状態について試験するため及び総ペリオスチンレベルを測定するために使用され又は使用されるために開発することができる。また、本明細書にその全体が参照することにより援用されるJia et al., 2012, J. Allergy Clin. Immunol. 130:647-654、及び米国特許出願公開第2012/0156194号を参照。例示的な総ペリオスチンアッセイの手順を以下に示す。
米国特許出願公開第2012/0156194号の実施例4(本明細書にその全体が参照することにより援用される)は、非常に敏感である(感度1.88ng/ml)ペリオスチン捕捉ELISAアッセイ(E4アッセイ)を提供する。抗体は、nMの親和性で、ペリオスチンのアイソフォーム1〜4を認識する。
E4アッセイ:精製モノクローナル抗体、25D4(ハイブリドーマ又はCHO細胞株から発現されるコート抗体、配列番号121(VH)及び122(VL))の80uLをリン酸緩衝生理食塩水で2ug/mLの最終濃度まで希釈する。マイクロタイタープレートをウェルあたりコート抗体100μLで2〜8℃で一晩覆いコーティングする。プレートを400μLの洗浄緩衝液(PBS/0.05%のTween(ポリソルベート20)により室温で洗浄緩衝液のサイクルあたりウェル毎に3回洗浄する。プレートにブロッキング緩衝液をウェルあたり200μL添加する。覆われたプレートを室温で1.5時間振とうしながらインキュベートする。
rhuPeriostinの標準曲線を用意する(rhuPeriostinの標準ストック=アッセイ希釈液(PBS/0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)/0.05%ポリソルベート20/0.05%ProClin300、pH7.4)中でのrhuPeriostinアイソフォーム1、R&D systems #3548−F2、5.25ng/ml)。標準曲線希釈液=PBS/0.5%BSA/0.05%ポリソルベート200、05%ProClin300、pH7.4。例えば:
対照(Control)及び試料を調製する。3つの対照:スパイクソースコントロール(Spike Source Control)(rhuPeriostin完全長、アイソフォーム1、R&D Systems #3548−F2)、正常マトリックスコントロール(Normal Matrix Control)(正常ヒト血清プール、Bioreclamation、Inc.)、高マトリックスコントロール(High Matrix Control)(正常ヒト血清プール、100ng/ml rhuPeriostin spikeを加える)。例えば、
10μL 対照(又は試料)血清+1.99mL 試料/対照希釈液=1:200
300μL 1:200希釈+300μL 試料/対照希釈液=1:400
300μL 1:400希釈+300μL 試料/対照希釈液=1:800
300μL 1:800希釈+300μL 試料/対照希釈液=1:1600
各希釈は1回実行される。
正常ヒト血清プールを使用して、マトリックスコントロールを構築する。正常コントロールとしてスパイクされていないプールされたヒト血清を使用する。上述のようにプールした血清に100ng/mL rhuPOSTNをスパイクすることにより高コントロールを生成する。プレート毎の各コントロールに対する4つの希釈の平均値、標準偏差(SD)、及び分散の%係数(CV、パーセントで表す)を計算する。CVは、複製の平均についての反復測定の分散の大きさを定量化している。%CV=100*(標準偏差/平均).プレート間の精度を決定するために、全てのプレートに渡るこれらの平均濃度を評価する。このコントロール表は、その後、各コントロールの平均濃度の±20%まで許容分散を設定して、正常及び高コントロールの合格/不合格の基準を定めるために使用される。
洗浄緩衝液(PBS/0.05%ポリソルベート20)のサイクルあたりウェルあたり400μLでプレートを3回洗浄する。希釈した標準液(ウェルを複製)、コントロール(全ての4つの希釈液)、及び試料(全ての4つの希釈液)をプレートに、ウェルあたり100μL添加する。カバーされたプレートは室温で2時間振とうしながら、室温でインキュベートする。80uLの検出MAbストックI(ビオチン化マウス抗ヒトペリオスチン、モノクローナル抗体23B9(VH:配列番号123、VL:配列番号124、アッセイ希釈液中で7.5ug/ml)をアッセイ希釈液=50ng/mLで12mLに希釈する。洗浄緩衝液のサイクルあたりウェルあたり400μLでプレートを4回洗浄する。希釈した検出モノクローナル抗体をプレートにウェルあたり100μL添加する。覆われたプレートを室温で1時間振とうしながらインキュベートする。アッセイ希釈液中で1:80に希釈された80uLのストレプトアビジンHRPストックI(AMDEXストレプトアビジン−HRP、GEヘルスケア#RPN4401、約1mg/ml)をアッセイ希釈液=1:12kで12mLへ希釈する。洗浄緩衝液のサイクルあたりウェルあたり400μLでプレートを4回洗浄する。希釈したストレプトアビジンHRPをプレートにウェルあたり100μL添加する。覆われたプレートを室温で45分間振とうしながらインキュベートする。キルケガードベリー(Kirkegaard and Perry)(KPL)2ステップTMB試薬を室温にする;混ぜない。洗浄緩衝液のサイクルあたりウェルあたり400μLでプレートを4回洗浄する。KPLのTMB基質コンポーネントの等量を混ぜ、プレートに、ウェルあたり100μL追加する。振とうしながら室温で20分間プレートをインキュベートする。1Mリン酸をプレートにウェルあたり100μL添加する。450nmの読み取り波長と650nmの参照波長を使用してプレートを読む。
アイソフォーム1(総ペリオスチンではない)に対する抗体を用いたペリオスチンアッセイが、類似の抗体捕捉フォーマットを使用して別の喘息患者の試料で試験された。予備的な結果では、ペリオスチンのアイソフォーム1は総ペリオスチン(Total Periostin)としてTH2炎症に対するマーカーのようには堅牢でないことを示している(データ非表示)。
あるいは、総ペリオスチンの定量的検出は自動化ロシュcobas e601Elecsys(登録商標)アナライザ(Roche Diagnostics GmbH)(ELECSYS(登録商標)ペリオスチンアッセイ)で評価される。例えば、全体が参照によって本明細書に援用される米国特許出願公開第2012/0156194号の実施例7を参照。試験は、分析物のペリオスチンが、ペリオスチン上の2つの異なるエピトープに結合する2つのモノクローナル抗体の間に挟まれているサンドイッチ形式で行われる。一つの抗体がビオチン化され、ストレプトアビジンコート磁気ビーズへの免疫複合体の取り込みを可能にしている。第二抗体は、シグナル伝達部分としての錯化ルテニウムカチオンを有し、結合した免疫複合体の電圧依存電気化学発光検出を可能にする。使用される例示的試薬は以下に示される:
−ビーズ(M):ストレプトアビジンでコーティングされた磁性微粒子0.72mg/mL;防腐剤。
−試薬1(R1):抗ペリオスチン抗体−ビオチン:
この精製されたマウスモノクローナル抗体は、米国特許出願公開第2012/0156194号の実施例4に係るコーティング抗体25D4に対応し、ビオチン化形態>1.0mg/L;TRIS緩衝液>100mmol/L、pH7.0;保存剤で使用される。
−試薬2(R2):抗ペリオスチン−抗体〜Ru(bpy):
この精製されたマウスモノクローナル抗ペリオスチン抗体は、米国特許出願公開第2012/0156194号の実施例4に係る検出抗体23B9に対応し、((トリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム(II)錯体(Ru(bpy))複合体で標識された)標識形態>1.0mg/L;TRIS緩衝液>100mmol/L、pH7.0;保存剤で使用される。
イムノアッセイは、2つのインキュベーションを用いて行うことができる。約9分間の第1のインキュベーションにおいて、20μL試料中のペリオスチンとビオチン化モノクローナル抗ペリオスチン抗体(R1)は複合体を形成する。更に9分間の第2のインキュベーションにおいて、ルテニル化モノクローナル抗ペリオスチン抗体(R2)とストレプトアビジンでコーティングされた微粒子(M)が、3員環サンドイッチ複合体が形成され、ビオチンとストレプトアビジンとの相互作用を介して固相(微粒子)に結合されるように、第1のインキュベーションのバイアルに加えられる。
反応混合物が測定セル内に吸引され、ここで微小粒子が白金電極の表面に磁気的に捕捉される。非結合物質は洗い流され、細胞はトリプロピルアミンを含む試薬であるProCellで流される。電極への電圧の印加は、次いで、光電子増倍管によって測定される化学発光放出を誘導する。
結果は、試薬バーコードを介して提供されるマスターカーブと2点校正とによって生成される機器固有の検量線を介して決定される。キャリブレーター1は分析物無しであり、キャリブレーター2はバッファリングマトリックスに50ng/mLの組換えヒトペリオスチンが含まれる。キャリブレーションを確認するために、約30〜80ng/mLのペリオスチンを持つ2つのコントロールが採用されている。
本明細書で使用される用語「総ペリオスチン(Total Periostin)」は、ペリオスチンの少なくともアイソフォーム1、2、3、及び4を指す。ヒトペリオスチンアイソフォーム1、2、3、及び4は以下のアミノ酸配列:NP_006466(配列番号109);NP_001129406(配列番号110)、NP_001129407(配列番号111)、及びNP_001129408(配列番号112)(それぞれNCBIデータベースによる)を含むとして当業者に知られており、アイソフォーム5は一部が配列決定されている。アイソフォーム5は、配列番号113のアミノ酸配列を含む。一実施態様において、ペリオスチンのアイソフォームはヒトペリオスチンである。更なる実施態様において、総ペリオスチンなる用語は、アイソフォーム1〜4に加えてヒトペリオスチンのアイソフォーム5を含む。他の実施態様において、総ペリオスチンは、全血清ペリオスチン又は全血漿ペリオスチンである(すなわち、全血液から得られた血清試料又は全血液から得られた血漿試料のそれぞれからの総ペリオスチンで、全血液は患者から得られる)。幾つかの実施態様において、総ペリオスチンは、E4アッセイ又はELECSYS(登録商標)アッセイにより決定される。
幾つかの実施態様において、医薬の製造又は調製における抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の使用が提供される。一実施態様において、医薬は、喘息、呼吸器疾患、好酸球性疾患、IL−13媒介性疾患、又はIL−17媒介性疾患の治療用である。更なる実施態様において、医薬は、喘息、呼吸器疾患、好酸球性疾患、好中球性疾患、IL−13媒介性疾患、又はIL−17媒介性疾患を有する個体に、医薬の有効量を投与することを含む、喘息、IPF、呼吸器疾患、好酸球性疾患、IL−13媒介性疾患、又はIL−17媒介性疾患を治療する方法において使用のためである。一つのそのような実施態様において、本方法は、例えば後述するように、少なくとも一の付加的治療剤の有効量を個体に投与することを更に含む。
幾つかの実施態様において、上記治療法の何れかにおいて使用のための、本明細書に記載される抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の何れかを含む薬学的製剤が提供される。幾つかの実施態様において、薬学的製剤は、本明細書で提供される抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の何れかと薬学的に許容可能な担体とを含む。幾つかの実施態様において、薬学的製剤は、本明細書で提供される抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の何れかと、少なくとも一の付加的治療剤を、例えば後述するように含む。
本明細書において提供される抗体は、治療において、単独で、又は他の薬剤と組み合わせて使用することができる。例えば、本明細書において提供される抗体は少なくとも一の付加的な治療剤と同時投与され得る。ある実施態様において、付加的治療剤は、TH2阻害剤及び/又はTH17阻害剤である。ある実施態様において、付加的治療剤は、コルチコステロイド、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、LABA、コルチコステロイド/LABAの組み合わせ組成物、テオフィリン、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、オマリズマブ、LAMA、MABA(例えば、二官能性ムスカリンアンタゴニスト−ベータ2アゴニスト)、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)阻害剤、又は酵素PDE−4阻害剤である。
上記のこうした併用療法は、併用投与(二以上の治療剤が、同一又は別々の製剤に含まれている)、及び、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の投与が、付加的治療剤又は薬剤の投与の前、同時、及び/又はその後に起きうる分離投与を包含する。幾つかの実施態様において、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の投与、及び付加的治療剤の投与は、互いに、約1カ月以内、又は約1、2若しくは3週間以内、又は約1、2、3、4、5、若しくは6日以内に生じる。
幾つかの実施態様において、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体は、神経膠芽腫又は非ホジキンリンパ腫などのがんを治療することにおいて使用される。幾つかの実施態様において、本明細書において提供される抗体はまた放射線治療と併用して用いることができる。
抗IL−13/IL−17二重特異性抗体(及び任意の付加的な治療剤)は、任意の適切な手段によって投与することができ、経口、肺内、及び鼻腔内、及び局所治療が所望される場合、病巣内投与が含まれる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が含まれる。投薬は、その投与が短期間か又は長期であるかどうかに部分的に依存し、任意の適切な経路、例えば、静脈内又は皮下注射などの注射により行うことができる。限定されないが、様々な時間点にわたる、単一又は複数回投与、ボーラス投与、パルス注入を含む様々な投与スケジュールが本明細書で考えられている。
抗IL−13/IL−17二重特異性抗体は、良好な医療行為に合致した方法で処方され、投与され、投薬される。これに関連した考慮因子としては、治療すべき具体的な疾患、治療すべき具体的な哺乳動物、個々の患者の臨床状態、疾患の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール及び医師にとって既知の他の因子が挙げられる。抗体は、必要ではないが任意で、問題となる疾患の予防又は治療のために、現在使用中の一又は複数の薬剤ともに処方される。そのような他の薬剤の有効量は製剤中に存在する抗体の量、疾患又は治療の種類及び上記した他の要因に依存する。これらは一般的には本明細書に記載されるのと同じ用量及び投与経路において、又は、本明細書に記載された用量の1%から99%で、又は経験的に/臨床的に妥当であると決定された任意の用量及び任意の経路により使用される。
疾患の予防又は治療のためには、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の適切な用量(単独で使用されるか、又は、一以上の更なる治療的薬剤との組み合わされる場合)は、治療すべき疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、抗体を予防又は治療目的のいずれにおいて投与するか、以前の治療、患者の臨床的履歴及び抗体に対する応答性、及び担当医の判断に依存する。抗体は一時的又は一連の治療にわたって患者に適切に投与される。当業者は、疾患の種類及び重症度に応じて、抗体の適切な用量を決定することができる。抗IL−13抗体についての非限定的で例示的な用量は、例えば、PCT公開番号国際公開第2012/083132号に記載される。抗体の投与のための一般的な指針は、例えば、Bai et al., Clinical Pharmacokinetics, 51: 119-135 (2012) 及びDeng et al., Expert Opin. Drug Metab. Toxicol. 8(2):141-160 (2012)に見いだすことができる。抗体療法の進行は、一般的な技術及びアッセイにより容易にモニターされ得る。
上記の製剤又は治療方法の何れかが、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の代わりか又はそれに加えて、イムノコンジュゲートを用いて行うことができることが理解される。
製造品
幾つかの実施態様において、上述した疾患の治療、予防、及び/又は診断に有用な物質を含む製造品が提供される。製造品は、容器と容器上ないしは容器に付随するラベル又は添付文書を含んでなる。好適な容器は、例としてボトル、バイアル、シリンジ、IV輸液バッグ等を含む。容器はガラス又はプラスチックなどの様々な物質から形成されうる。容器は、疾患の治療、予防、及び/又は診断に有効である、それ自体か、又はその他の組成物と併用される化合物を収容し、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は皮下注射針による穴あきストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも一の活性薬剤は抗IL−13/IL−17二重特異性抗体である。ラベル又は添付文書は、組成物が選択した症状の治療のために使用されることを示している。更に、製造品は、(a)組成物が抗IL−13/IL−17二重特異性抗体を包含する組成物を含む第一の容器;及び(b)組成物が更なる細胞障害性又はその他の治療的薬剤を包含する組成物を含む第ニの容器を含み得る。幾つかの実施態様において、製造品は、組成物が、特定の病状を治療するのに使用可能であることを示した添付文書を更に含んでいてよい。別法として、又は加えて、製造品は、薬学的に許容される緩衝液、例えば注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝化塩水、リンガー溶液及びデキストロース溶液を含む第二(又は第三)の容器を更に含んでもよい。更に、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業上及び使用者の見地から望ましい他の材料を含んでもよい。
文脈が明確に指示しない限り、本明細書に開示される全ての実施態様は、互いに組み合わせることができる。
上記の製造品の何れかは、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の代わりか又はそれに加えて、本発明のイムノコンジュゲートを含み得ることが理解される。
以下は本発明の方法及び組成物の例である。上記に与えられる一般的な説明を前提として、様々な他の実施態様が実施され得ることが理解される。
実施例1 IL−17AF及び好中球性炎症は共存し、重度の制御されない喘息においてIL−13及び好酸球性炎症と相関している。
BOBCAT研究は、喘息患者のコホートにおける気道炎症の指標と非侵襲的バイオマーカーとの間の関係を特徴付けるために設計された多施設観察研究である。BOBCATコホートは、気道好酸球増加症の指標としての血液ペリオスチンレベルに関して以前に説明されている。Jia et al., 2012, J. Allergy Clin Immunol, 130: 647-654を参照。研究参加者はカナダ、米国、及び欧州における18のセンターから募集された。各研究サイトでの治験審査委員会は、プロトコールを承認し、全ての被験者は書面によるインフォームドコンセントを提供した。
患者ごとに2つの気管支内生検をホルマリンで固定し、前述したように、その後の切片化と染色のためにパラフィンの単一のブロックに包埋された。例えば、Hauber et al., 2003, J. Allergy Clin. Immunology 112:58-63; Al-Ramli, 2009, J. Allergy Clin Immunol, 123: 1185-1187; Prefontaine et al., 2009, J. Immunol., 183: 5094-5103; Letuve et al., 2006, J. Allergy Clin Immunol, 117: 590-596; Shikotra et al., 2012, J. Allergy Clin Immunol, 129: 104-111を参照。細胞(好酸球、好中球、又は示されるように、サイトカインについて陽性染色細胞)をカウントし、生検組織のmm2あたりの絶対数として表された。
全ての分析において、肺の種々の区画における免疫組織化学(IHC)によって顆粒球レベル及び陽性染色細胞の分布が、必要に応じて記述統計学を用いて特徴付けられた。陽性染色細胞間の相関はSpearmanの順位相関として与えられる。
以前の報告は、健常対照及び/又は軽度の喘息患者と比較して重度の喘息患者からの気管支生検組織における標準的なTh17サイトカインであるIL−17A及びIL−17Fのレベルを分析するために免疫組織化学(IHC)を使用していた。例えば、Doe et al., 2010, Chest, 138: 1140-1147; Al-Ramli, 2009, J. Allergy Clin Immunol, 123: 1185-1187を参照。これらのサイトカインのためのIHCはBOBCAT研究からの生検で行われ、適合生検組織中においてサイトカインと顆粒球の間の分布及び関係について調べられた。図1を参照。各測定はコホート内の値の範囲にわたって検出可能であった。有意な正の相関が組織の好中球と好酸球数との間で観察された(図1A、rS=0.68、P=4.2x10−9;Arron et al, 2014, Eur Respir J, 43:627を参照)。この適用では、我々は、気管支生検において好酸球数とIL−17Aの染色細胞の数は相関することを初めて示すと信じている(図1B、rS=0.39、P=3.2x10−3)。我々はまた、気管支内生検においてIL−17A及びIL−17Fに対して染色する細胞は相関することを示す(図1C、rS=0.56、P=9.0x10−6)。これまでに、気道の好酸球は血清ペリオスチン、血中好酸球、及び呼気一酸化窒素(FeNO)と正に相関すると示されている。国際公開第2009/124090号及びJia et al, 2012, J. Allergy Clin Immunol,130:647-54を参照。要約すると、ここで提示された研究は、ヒト肺組織生検では、組織の好酸球はIL17A+細胞と正に相関し、かつIL17A+細胞はIL17F+細胞と正に相関することを明確に示している。
実施例2 肺のIL−17AFは、吸入コルチコステロイド(ICS)について中等度から重度の喘息における組織の好中球と関連している
英国の研究のための喘息患者が募集され、臨床評価が前述のようにレスター大学(University of Leicester)及びクイーンズ大学ベルファスト(Queens University of Belfast)で行われた。Shikotra et al., 2012, J. Allergy Clin Immunol, 129: 104-111を参照。
患者ごとに2つの気管支内生検をホルマリンで固定し、前述したように、その後の切片化と染色のためにパラフィンの単一のブロックに包埋された。例えば、Hauber et al., 2003, J. Allergy Clin. Immunology 112:58-63; Al-Ramli, 2009, J. Allergy Clin Immunol, 123: 1185-1187; Prefontaine et al., 2009, J. Immunol., 183: 5094-5103; Letuve et al., 2006, J. Allergy Clin Immunol, 117: 590-596; Shikotra et al., 2012, J. Allergy Clin Immunol, 129: 104-111を参照。細胞(好酸球、好中球、又は示されるように、サイトカインについて陽性染色細胞)をカウントし、生検組織のmm2あたりの絶対数として表された。
初代正常ヒト気管支上皮(NHBE)細胞は、Lonza(Walkersville、MD)から購入した。Corning Life Sciencesから6.5mm直径の0.4μMの孔密度のトランスウェルプレート(Corning、NY)が、Advanced BioMatrix(San Diego、CA)からの100μg/mlの PureColを用いてコラーゲンコーティングされた。NHBEは、トランスウェルに播種され、96時間又はコンフルエントになるまで無血清気管支上皮細胞増殖培地(BEGM、Lonza)中で維持された。頂端培地は除去され、細胞はPneumacult完全気液界面(ALI)培地(Stem Cell)により側底に送り込まれ、21日間分化された。
TaqMan(登録商標)遺伝子発現アッセイ(TaqMan Gene Expression Assays)(Applied Biosystems、Foster City、Calif)を購入し、IL−17A(id:Hs99999082_m1)及びIL−17F(id:Hs00369400_m1)に対して製造元の指示に従って実施した。Applied Biosystems User Bulletin No.2(P/N 4303859)に記載のように、相対的な発現レベルは、2(−ΔΔCT)法によって決定された。定量限界(LOQ)以下の発現レベルは、その標的遺伝子のCT(サイクル閾値)値が、1)40又は2)モックRT(逆転写)陰性対照の平均CT値の小さい方の値より大きいか又は等しい人のものであった。
RNAは、Agilent(Santa Clara、CA)の2色全ヒトゲノム4x44k(Whole Human Genome 4×44k)遺伝子発現マイクロアレイで増幅され、Shikotra et al., 2012, J. Allergy Clin Immunol, 129: 104-111に説明されるように製造業者の指示に従って実施された。
全ての分析において、肺の種々の区画における免疫組織化学(IHC)によって顆粒球レベル及び陽性染色細胞の分布が、必要に応じて記述統計学を用いて特徴付けられた。
気道に関連するインビトロ系におけるIL−17Aの作用を調べるために、NHBE細胞は、気管支上皮細胞の粘膜繊毛多列上皮への分化を促進する気液界面(ALI)で増殖させた。ALIで培養されたNHBE細胞は、RNAの単離の前に24時間、IL−17A(10ng/ml)及びTNFα(10ng/mL)により刺激された。遺伝子発現マイクロアレイ解析が行われ、差次的に発現される遺伝子のうち、IL−17A+TNFα刺激が特定の好中球関連遺伝子を上方制御することが発見された。表2を参照。
CSF3は、顆粒球コロニー刺激因子、造血前駆細胞から好中球分化に関与するサイトカインをコードする。CXCL1、2、3、及び8は、分化した好中球に発現する受容体であるCXCR1及びCXCR2に結合し、好中球遊走を促進するケモカインをコードする。
英国のコホートからの気管支生検組織におけるIL−17A及びIL−17FのmRNAの発現をqPCRによって評価した。試験した試料の大部分の発現レベルは検出されなかった:72%(61のうち44)及び75%(61のうち46)が<定量下限(LLOQ)であった。我々は検出不能(<LLOQ)対検出可能(>LLOQ)なIL−17A及びIL−17Fの発現を有する試料中でIHCによって得られた利用可能な適合組織好中球数を比較し(61例のうち50)、わずかに有意な上昇を観察した。図2A(IL−17A;P=0.08)及び図2B(IL−17F;P=0.087)を参照。英国コホートでは、相関がIHCによる組織の好中球数とqPCRによるIL−17A及びIL−17Fの発現との間に存在し、すなわち検出可能な好中球数を示すIHC試料はまたqPCRにより高いIL−17A又はIL−17Fの発現を示している。
特定のIL−17誘導性、好中球関連遺伝子(CXCL1/2/3、IL8、CSF3)の遺伝子発現は、気管支生検のマイクロアレイデータの両方向階層的クラスタリングによって調べられた。図3を参照。遺伝子は、個々の患者の試料において相関していることが判明した;つまり、全ての遺伝子の比較的上昇したレベルを発現する被験体を同定することができた。遺伝子の最も高い協調的発現を有する被験体は、全て中等度から重度の喘息をもっており、かつ吸入コルチコステロイド(ICS)を服用していた。更に、一組の遺伝子が英国コホートにおいて組織の好中球と相関していた(Spearman ρ=0.3902;p=0.0117)。結果は、上昇した好中球数、上昇したIL−17A及びIL−17Fの発現、及び上昇した好中球関連遺伝子の発現がICSを服用する患者のサブセットで観察されたことを示している。
実施例3 IL−17AFバイオマーカーは、高血清ペリオスチンと関連している
BOBCAT研究と英国の研究はそれぞれ実施例1及び2に記載されている。
TaqMan(登録商標)遺伝子発現アッセイ(TaqMan Gene Expression Assays)(Applied Biosystems、Foster City、Calif)を購入し、IL−17A(id:Hs99999082_m1)及びIL−17F(id:Hs00369400_m1)に対して製造元の指示に従って実施した。Applied Biosystems User Bulletin No.2(P/N 4303859)に記載のように、相対的な発現レベルは、2(-ΔΔCT)法によって決定された。定量限界(LOQ)以下の発現レベルは、その標的遺伝子のCT値が、1)40又は2)モックRT陰性対照の平均CT値の小さい方の値より大きいか又は等しい人のものであった。
RNAは、Agilent(Santa Clara、CA)の2色全ヒトゲノム4x44k(Whole Human Genome 4x44k)遺伝子発現マイクロアレイで増幅され、Shikotra et al., 2012, J. Allergy Clin Immunol, 129: 104-111に説明されるように製造業者の指示に従って実施された。
血清ペリオスチンの測定は、前述のように実施された。例えば、Jia et al., 2012, J. Allergy Clin Immunol, 130: 647-654を参照。
定量的サンドイッチ酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)キットは、ヒト血漿試料中のCXCL1/GROa濃度を測定することを特徴とした(R&D Systems Quantikine ELISA kit for the Human CXCL1/GRO alpha Immunoassay、カタログ#DGR00)。簡潔には、ヒトCXCL1に特異的なモノクローナル抗体を96ウェルマイクロプレート上にコーティングした。標準物質、品質コントロール、及び試料を調製し、アッセイ希釈液を含むウェルに加えた。室温でのインキュベーション後、プレートは過剰な未結合の試薬を除去するために洗浄され、検出試薬の適切な希釈物、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に結合した抗ヒトCXCL1ポリクローナル抗体が添加された。室温でインキュベーションし、プレートを洗浄した後、3,3’,5,5’テトラメチルベンジジン(TMB)を含む基質溶液が発色現像のために添加された。酵素反応は、硫酸の添加により停止させ、現像された色の強度は、650nmの参照波長を用いて450nmで測定した。ヒト血漿中において、このアッセイの感度は30pg/mlであると決定された。
全ての分析において、肺の種々の区画における免疫組織化学(IHC)によって顆粒球レベル及び陽性染色細胞の分布が、必要に応じて記述統計学を用いて特徴付けられた。
IL−17誘導性の転写物によりコードされるタンパク質のレベルが、末梢血中で上昇したレベルで検出可能であったかどうかを決定するために、我々は、中等度から重度の喘息患者(N=65)及び健康な対照被験体(N=22)のBOBCATコホートにおける血漿CXCL1レベルを評価した。健常対照では、血漿CXCL1は10/22の被験体(45%)で定量下限(LOQ)未満であったが、一方喘息患者では、血漿CXCL1は16/65の被験体(25%)でLOQ未満であった。検出可能な血漿CXCL1レベルを有する被験体のうち、喘息患者におけるレベルは健常対照よりも有意に高かった。図4Aを参照。検出可能な血漿CXCL1レベルを有する喘息被験体のうち、高度に上昇したCXCL1レベル(>160pg/ml)を有するものにおいて、上昇した血清ペリオスチンレベル(>50ng/ml)を有する傾向があった。図4Bを参照。結果は、断定的に、血漿中の上昇したCXCL1レベルを有する重度の喘息患者は、上昇した血清ペリオスチンレベルを有する傾向にあったことを示している(フィッシャーの正確確率検定によりp=0.02)。
英国のコホート喘息患者における血清ペリオスチンの測定は、適合気管支生検におけるIL−17Aの発現レベルと比較された。IL−17AのmRNAレベルがLLOQ未満であったものに比較して、IL−17AのmRNAの検出可能なレベルを有する被験体は、血清ペリオスチンの上昇したレベルを有していた(p=0.03)。図5を参照。
実施例4 マウスチリダニ喘息モデルにおける抗IL−13及び抗IL−17抗体の独立した相加的活性
マウスチリダニ喘息モデルは8−9週齢のC57BL6マウス(Jackson Laboratory、Sacramento、CA)において、チリダニ抽出物(Df抽出物、ロット#114218、Greer Labs Inc.)を100μg/50μLのPBSで週3回鼻腔内曝露することにより誘導された。抗体治療のために、IgG1対照抗体(600μgの対照抗体/マウス/注射)、抗IL−13 IgG1抗体(ジェネンテック抗体262A5−1、200μgの抗体/マウス/注射)、及び/又は抗IL−17FF IgG1抗体(ジェネンテック抗体28E12)と組み合わせた抗IL−17AA/AF IgG1抗体(ジェネンテック抗体16H4.4F3)が、2週間の感作期間中に週3回腹腔内注射を介して200μg/抗体/マウス(合計が600μgの抗体/マウス/注射)で投与された。最後の曝露の24時間後、血液及び気管支肺胞洗浄液(BALF)は、全ての及び分画の白血球計数のために回収された。完全な血球計数はSysmex XT−2000iV自動血液学分析装置を用いて実施された。BALFの全て及び分画の細胞数はそれぞれフローサイトメトリー(FacsCaliber3)及び顕微鏡下での200 Wright−Giemsa染色細胞のマニュアルの計数によって決定された。計算された細胞数をグラフ化し、統計分析はPrismソフトウェア(Graphpad Software、San Diego、CA)を用いて実施された。
図6に示すように、BAL中の計算された好酸球(A)及び好中球(B)の数は、抗IL−13抗体治療は減少した好酸球数をもたらしたが好中球数は変化せず、一方抗IL−17抗体治療(抗IL−17AA/AF及びIL−17FF抗体との併用療法)は減少した好中球数をもたらしたが好酸球数は変化しなかったことを示した。抗IL−13及び抗IL−17抗体との併用療法は、IL−13及びIL−17抗体の個々の作用と一致した好酸球数及び好中球数の両方の減少へとつながった。減少は、対照と比較して統計的に有意である。末梢血では、抗IL−13抗体治療は、増加した好酸球数(図6C)につながったが、一方抗IL−17抗体治療は好酸球数に影響を与えることなく、統計的に有意な好中球数の減少(図6D)につながった。これらの結果は、IL−13及びIL−17AA/AF/FFは、好酸球及び好中球に対して独立した活性を有しており、かつIL−13及びIL−17AA/AF/FFの組み合わせた中和は、IL−13又はIL−17AA/AF/FFのどちらか単独の中和よりも生物学のより広い範囲を阻害することを示している。図6において、*は統計的に有意である。
実施例5 臨床試験データは好酸球が高い喘息及びレブリキズマブ治療への応答における不均一性を示す
結果は、臨床試験試料から分析されたデータと一致している。これまで我々は、ヒト化抗IL−13抗体レブリキズマブは、吸入コルチコステロイド療法によって制御されない中等度から重度の喘息を有する患者において、特に血清ペリオスチンの上昇したレベルを有する患者においてFEV1を効果的に改善することを示した。Corren et al., 2011, N. Engl. J. Med. 365:1088-98を参照のこと。ここではペリオスチンが高いとは、患者集団内において中間血清ペリオスチンよりも高い血清ペリオスチンのレベルを指す。本明細書に記載されるように、ペリオスチンは治療応答を高めるものの、ペリオスチンが高い患者群内におけるレブリキズマブに対する応答は均質ではないことが更に発見された。
我々は、レブリキズマブの第2相試験、MILLYにおいて中等度から重度の喘息患者におけるIL−13阻害時の肺機能改善(FEV1)の強化のためベースラインの血中好中球レベルと組み合わせて、ベースラインでの血清ペリオスチン、血中好酸球及びFeNOを含めたTh2バイオマーカーを調べた。MILLYは、吸入グルココルチコイド療法にもかかわらず不十分に制御された喘息を有する成人におけるレブリキズマブ(抗IL−13)の無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験であった(Corren et al., 2011, N. Engl. J. Med. 365:1088-98)。検討中の被験体は、治療企図(ITT)集団の中の者であった。
図15は、好酸球数及び好中球数によって分割されるレブリキズマブ治療を受けた患者におけるFEV1のパーセント変化の結果を示す。血中好酸球数は、中央検査室で自動血液分析装置において完全血球算定(CBC)の一部として評価された。血中好中球数は、自動血液分析装置において完全血球算定(CBC)の一部として評価された。好酸球が高い群は、同じ患者集団内において中間好酸球数以上でベースライン好酸球数を有する患者であり(この場合210/μl)、好酸球が低い群は、中間好酸球数未満のベースライン好酸球数を有する患者である。好中球が高い群は、同じ患者集団内において中間好中球数以上でベースライン好中球数を有する患者であり(この場合3890/μl)、好中球が低い群は、中間好中球数未満のベースライン好中球数を有する患者である。
図15に示すように、レブリキズマブは低好酸球数を有する患者よりも高いベースライン好酸球数を有する患者においてより有効であった。図15DをA、Bと比較されたい。好酸球が高い群内において、低い好中球数を有する患者はレブリキズマブによりFEV1のパーセント変化の著しい改善を示したが(図15D);しかし、高いベースライン好中球数を有する好酸球が高い患者は、低いベースライン好中球数を有していた好酸球が高い群内の患者と比較してレブリキズマブにより減少した利益を示した。図15CをDと比較されたい。同様の傾向は、ベースラインペリオスチンレベル及びFeNOで分割された患者において観察された(データ非表示)。
図15の結果は、図1B及びCとともに、抗IL−13抗体、例えばレブリキズマブは、好中球アンタゴニスト、例えば抗IL17抗体と組み合わせて、中等度から重度の喘息を有する患者に利益を更にもたらすことができ、及び/又はレブリキズマブの有効性を更に改善することを示唆する。以下に、二重特異性抗IL−13/抗IL−17抗体の生成を説明する。
実施例6 抗IL−13/IL−17 IgG4二重特異性抗体の生成
我々は以前に、大腸菌内で、2つの異なる軽鎖を有するヒトIgG1の二重特異性抗体を生成する技術を確立した(Yu et al., 2011, Sci Transl Med 3, 84ra44)。この方法は、免疫グロブリン重鎖のヘテロ二量体化を促進するためにknobs−into−holes技術(Ridgway et al., 1996, Protein Eng. 9, 617-621; Atwell et al., 1997, J Mol Biol 270, 26-35)を利用する。軽鎖誤対合の無い2つの異なる軽鎖の使用を可能にするために、我々は別々の大腸菌細胞内においてヘミマーとして各アームを培養した。我々は、ヒトIgG4のホールとして抗IL−17アームの及びヒトIgG4のノブとして抗IL−13アームの発現を可能にするベクター中に抗IL−17及び抗IL−13親抗体をサブクローニングすることによって、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体を生成するこのアプローチを適用した。IgG4のノブ重鎖定常領域の配列は配列番号69に示され、及びIgG4のホール重鎖定常領域の配列は配列番号70に示される。
我々は、以前に作製され特徴づけられているレブリキズマブを二重特異性抗体の抗IL−13 CDRのもとにした。例えば、PCT公開番号WO2005/062967A2を参照。レブリキズマブは、10pMの検出限界未満であるビアコア由来のKdで可溶性ヒトIL−13に結合する。IL−13へのレブリキズマブの結合は、IL−13Rα1へのサイトカインの結合を阻害しないが、ヘテロ二量体シグナル伝達コンピテントIL−4Rα/IL−13Rα1複合体のその後の形成をブロックする(Ultsch, M. et al., 2013, J. Mol. Biol., dx.doi.org/10.1016/j.jmb.2013.01.024; Corren et al., 2011, N. Engl. J. Med. 365, 1088-1098)。二重特異性抗体において、抗IL−13抗体は、レブリキズマブと比較して、FR領域に2つの逸脱を有していた:重鎖にQ1E及び軽鎖にM4L。配列番号13及び14をそれぞれ参照。二つの改変が、単一抗IL−13半抗体において組み合わされ、得られた半抗体は、野生型抗IL−13半抗体に対して改善された収率及びフォールディングを有することが見出された。
抗体発現のために、大腸菌株64B4を用いた。一晩培養物はLB(100μg/mlのカルベニシリン)中で30℃で増殖せられ、5mlのCRAP培地(100μg/mlのカルベニシリン)に1:100に希釈され(Simmons et al., 2002, J. Immunol. Methods, 263: 133-147)、30℃で24時間増殖された。
SDS−PAGEによる非還元分析のために、CRAP発現培地の200μlがペレット化され、NR−溶解緩衝液(88μlのPopCulture試薬(Novagen)、10μlの100mMのヨードアセトアミド、2μlのlysonase試薬(EMD Biosciences))100μlに再懸濁させた。試料は、室温で15分間インキュベートされ、次いで不溶性成分をペレット化するために9300rcfで回転された。50μlの上清を新しいチューブに移し、50μlの2×LDS試料緩衝液(Invitrogen)と混合された。次いで、試料は95℃で5分間加熱され、5μlがNuPAGE 4−12%Bis−Tris/MESゲル(Invitrogen)にロードされた。ゲルはニトロセルロース膜上にiBlot(Invitrogen)によって転送され、IRDye800CWがコンジュゲートした抗ヒト(H&L)抗体(Rockland)を用いてイムノブロットされ、LICORオデッセイイメージャーを用いて画像化された。
図7Aは、ノブ及びホール半抗体のSDS−PAGE分析を示す。IL−17半抗体の重鎖及び軽鎖のコドン最適化バージョンも作製され、発現について試験された。元のコード配列及びコドン最適化コード配列の配列は配列番号99から102に示される。抗IL−17半抗体のCDRは、配列番号40、43、44、45、46及び47に示される。米国特許出願公開第2012/0141492号又は米国特許第8715669号を参照。それぞれの培養中で、半抗体種が主なバンドであった。元のコード配列は、抗体産生のスケールアップのために選択された。
10Lの発酵槽へのスケールアップのために、初期スターター培養液(500ml)を固定相に増殖させ、10Lの発酵に植菌するために使用された(Simmons et al., 2002, J. Immunol. Methods, 263: 133-147)。10Lの流加培養物を増殖させ、全ブロスはマイクロフルイディクスを介して回収された。溶解した細胞は、その後、0.8%PEIの最終濃度(v/v)で4℃で一晩処置された。各混合物は、続いて20分間、15000×gで遠心分離され、その後0.22μmのフィルターを通して濾過された。各半抗体は、その後250mLのMabSURE SELECTカラムに捕獲された(GE Healthcare Life Sciences)。カラムを50mMのTRIS pH8.0、150mMのNaClからなる平衡化緩衝液の10カラム容量(CV)で平衡化し、続いて2つの異なる洗浄緩衝液(第一は50mMのTRIS pH8.0、150mMのNaCl、0.05%のTriton X−100、0.05%のTriton X−114、第二は25mMのクエン酸ナトリウムpH6.0からなる)で洗浄した。各群は、0.15Mの酢酸ナトリウムpH2.7に溶出され、次いで、1:10 1Mのアルギニン/コハク酸pH8.7を使用してpH5.0に滴定された。
各半抗体の同一性は、飛行時間型(LC−ESI/TOF)分析により液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化により確認された。純度は4〜20%のトリス−グリシンSDS−PAGEゲルにより分析された。凝集体の量は、SECにより決定された。
最初の評価の最中に、我々は抗IL−17半抗体は7よりも高いpHで沈殿を形成することを見出した。半抗体は捕捉され、その後、低いpHでプロテインAカラムから溶出され、溶出液は、酸化還元反応において二重特異性抗体の構築を行うためにpH8.5に調整された。抗IL−17半抗体溶出液の約20%は、pH調整後の沈殿のために失われた。抗IL−13半抗体と対合するために利用可能な抗IL−17半抗体の減少は2つの半抗体の比率の間の不均衡を生じ、抗IL−13/IL−17二重特異性の収率を減少させた。構築の後、二重特異性抗体は、陽イオン交換クロマトグラフィーによって精製された。他の二重特異性抗体とは異なり、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の一部は不可逆的に陽イオン交換樹脂SPHPに結合した。上記の観察の結果、形成された二重特異性の割合は、約10%で非常に低かった。
構築の前及び間に抗IL−17半抗体の溶解性及び安定性を改善するために、幾つかの条件、例えば、溶出半抗体に100mM、250mM、350mM及び500mMで異なる濃度のアルギニンを添加すること、4%のポリビニルピロリドン(PVP)を添加すること、及び/又は0.5のpH単位の増分でpH8.5から10へpHを増加させることが試験された。約pH9で高濃度のアルギニン(0.5M)がIL−17半抗体の溶解度を大きく増加させ、かつpH誘導性の沈殿を1%未満まで減少させることが見出された。pH8.5で500mMのアルギニンもまた良好な結果につながった。我々はまた、形成された二重特異性の割合は、pH8.5で0.5Mのアルギニンの添加によるジスルフィド酸化のためのpH調整の前に抗IL−17半抗体と抗IL−13半抗体とを組み合わせることによって増加させることができることを見出した。更に、抗IL−13/IL−17二重特異性が疎水性相互作用カラムに不可逆的に結合しなかったので、我々は陽イオン交換カラムを疎水性相互作用カラムと置き換えた。改良された方法に従う場合、形成された二重特異性抗体の割合は10%から65%に増加した。
一つの例示的な実験において、抗IL−17半抗体は抗IL−13と1:1の比で組み合わされ、次いで0.5Mアルギニン/コハク酸pH8.7に滴定され、その後新たに調製した還元剤、還元L−グルタチオン(GSH)が1:200のモル比を達成するように添加された。混合物を3日間室温で放置した。酸化還元に続いて、構築された二重特異性は、30CVの勾配を用いて45mLのHIC ProPac 10カラム(Thermo Scientific)で精製された。ランニング緩衝液は、25mMのリン酸カリウム、1Mの硫酸アンモニウムpH6.5、溶出緩衝液は、25mMのリン酸カリウムpH6.5、25%イソプロパノールであった。3mLの画分を集め、ピーク画分を、純度を分析するために4−20%トリス−グリシンSDS PAGEにより分離し、それに応じてプールした。プールは、次いで10mg/mLに濃縮され、PBS中に透析された。濃縮された二重特異性プールをカラムクロマトグラフィーによりエンドトキシンを除去するために更に精製した。予想外に、凝集体が精製工程の間に再び観察された。凝集体を減少させるために、トリトンX−114を0.1%(v/v)の最終濃度でタンパク質プールにスパイクした。プールは、完全に混合され、氷上で5分間インキュベートされ、続いて15分間、37℃で加熱された。続いて、この混合物は3,000×gで25℃で10分間遠心分離され、水層は吸引され、残りのトリトンX−114を除去するためのゲル濾過に通した。トリトンX−114の添加は、全ての検出可能な凝集体を除去した。
純度は4〜20%のトリス−グリシンSDS−PAGEゲルによって分析され、凝集体レベルはSECによって決定された。構築された二重特異性の同一性は、そのインタクトな還元型でLC−ESI/TOFにより確認された。ホモ二量体及びヘテロ二量体の理論的質量は互いに数ダルトンの範囲内であるため、二重特異性はまた、Fabricatorを使用してFcを除去した後に分析された。インタクトな抗体は、pH6.5でタンパク質1ug当たり1単位のFabricatorにより処置され、4時間37℃でインキュベートされた。F(ab’)2の同一性は、LC−ESI/TOFにより確認された。
図7Bは、単一の優勢な種を明らかにするSEC分析を示す。図7(c)は、(レーンa)非還元及び(レーンc)還元条件下における二重特異性抗体のSDS PAGE分析を示す。レーンbは、分子量マーカーを示す。図7Dは、F(ab’)2断片のLC−ESI/TOF分析及びIL−17ホモ二量体、IL−13ホモ二量体、及び抗IL−13/IL−17二重特異性F(ab’)2の理論的分子量を示す。
実施例7 抗IL−13/IL−17二重特異性抗体のサイトカイン結合親和性
ヒト及びカニクイザルIL−13サイトカインに対する抗IL−17/抗IL−13二重特異性抗体の結合親和性は、BIAcoreTM−T200装置を用いて測定された。抗IL−13抗体は、CM5バイオセンサーチップ上にコーティングされたマウス抗ヒトFc抗体(GE Healthcare カタログ#BR−1008−39)によって捕捉され、約500応答単位(RU)を達成した。ヒトIL−13、ヒトIL−13R130Q(アレルギーや喘息に関連する一般的なIL−13変異体、Vladich et al., 2005, J. Clin Invest., 115:747-754を参照)、及びカニクイザルIL−13の4倍連続希釈(50nMから49pM)が、30μl/分の流速で25℃にてHBS−P緩衝液(GE Healthcare)に注入された。会合速度(kon)及び解離速度(koff)は単純な一対一のラングミュア結合モデルを用いて計算した(BIAcore T200評価用ソフトウェアのバージョン 2.0)。平衡解離定数(KD)はkoff/konの比として算出した。結果を表3に示す。
様々なIL−17サイトカインに対する抗IL−17/抗IL−13二重特異性抗体の結合親和性は、BIAcoreTM−T200装置を用いて表面プラズモン共鳴(SRP)により測定された。抗IL−17/抗IL−13抗体は、CM5バイオセンサーチップ上にコーティングされたマウス抗ヒトFc抗体(GE Healthcare カタログ#BR−1008−39)によって捕捉され、約500応答単位(RU)を達成した。反応速度測定のために、ヒトIL−17AA(R&D Systems、カタログ#317−ILB−050)、ヒトIL−17AFヘテロ二量体、ヒトIL−17FF(R&D Systems、カタログ#1335−IL−025/CF)、カニクイザルIL−17AA、カニクイザルIL−17AF、及びカニクイザルIL−17FFの5倍連続希釈(20nMから32pM)が、30μl/分の流量で25℃にてHBS−P緩衝液(GE Healthcare)に注入された。会合速度(kon)及び解離速度(koff)は単純な一対一のラングミュア結合モデルを用いて計算した(BIAcore T200評価用ソフトウェアのバージョン 2.0)。平衡解離定数(KD)はkoff/konの比として算出した。結果を表4に示す。
実施例8 抗IL−13/IL−17二重特異性抗体によるサイトカイン誘導性増殖の阻害
TF−1細胞におけるIL−13誘導性活性に対する抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の作用を以下のように研究した。ヒトTF−1細胞(赤白血病細胞、R&D Systems、Minneapolis、MN)が、5%CO2を含む37℃での加湿インキュベーター中で、10%熱不活化ウシ胎児血清(FBS)(カタログ番号SH30071.03、HyClone Laboratories、Inc.、Logan、UT);及び1Xペニシリン:ストレプトマイシン:グルタミン(カタログ番号10378−016、Gibco Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA)及び2ng/mLのrhGM−CSF(カタログ番号215−GM、R&D Systems、Minneapolis、MN)を含有するRPMI 1640増殖培地中で培養された。アッセイ培地は、2ng/mlのrhGM−CSFを含まない増殖培地である。以下の最終濃度、10ng/mlのヒトIL−13又は10ng/mlのヒトIL−13 R130Qで指定されるようにサイトカインがアッセイ培地に添加された。
抗体は、96ウェル組織培養プレート(カタログ番号353072、Falcon BD、Franklin Lakes、Nj)において、ヒトサイトカインを含有するアッセイ培地中に3.3倍に連続希釈された。プレートは37°Cで20分間インキュベートされた。TF−1細胞はアッセイ培地で2回洗浄され、2.5×105細胞/mlの最終容量で再懸濁された。TF−1細胞の50μlを各ウェルに添加する。ウェル当たり総容量は100μLであった。プレートを、ウェルあたり1μCiの3Hチミジンを添加する前に、37℃で、5%のCO2を含む加湿インキュベーター中で4日間インキュベートした。更なる4時間のインキュベーション後、増殖を、3Hチミジンの取り込みによって測定した。細胞関連放射能をシンチレーション計数により定量化した。結果は、重複試料の平均として表される。カレイダグラフを使用してグラフが作り出され、統計解析が行われた(Synergy Software、Reading、PA)。
実験の結果は図8に示される。抗IL−13/IL−17二重特異性抗体は、TF−1細胞のIL−13誘導性(図8A)及びIL−13 R130Q−誘導性(図8B)増殖をレブリキズマブと同等の効力で用量依存的に阻害した。表5は、各抗体及び各サイトカインのIC90の結果を示す。
正常なヒト包皮線維芽細胞のIL−17誘導性増殖に対する抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の作用を以下のように研究した。正常ヒト包皮線維芽細胞(NHFF)の凍結アリコートは、Life Technologies(カタログ番号C−004−5C、Life Technologies、Carlsbad、CA)から入手し、低血清成長サプリメント(Low Serum Growth Supplement)(LSGS;カタログ番号S00310、Life Technologies、Carlsbad、CA)を補充した培地106(カタログ番号M106500、Life Technologies、Carlsbad、CA)中で増殖させた。組み換えヒトIL−17AA及びIL−17 FFはR&D Systemsから入手し(IL−17AA:317−ILB−050及びIL−17FF:1335−IL−025/CF)、製造業者の指示に従い4mNのHCl中で再構成された。組み換えヒトIL−17AFが生成され、社内で精製された。
アッセイが行われた前日に、NHFFのアリコートは解凍され、96ウェル平底組織培養プレート中のLSGSを補充した培地106の100μL中に0.125x106細胞/ウェルで播種され、付着のために37℃で一晩インキュベートされた。アッセイの朝に、培地は100μL/ウェルで新鮮な培地と交換され、細胞は平衡化のため2+時間更にインキュベートされた。
抗体は、最高濃度として50μg/mlから開始して連続的に1:3に希釈された。10×ワーキングストックが、500μg/mlで作製され、連続希釈が組織培養培地中で行われた。サイトカインもまた組織培養培地中で10×ワーキングストックとして調製された。IL−17AAは、1.6ng/mlの最終濃度に対して16ng/mlに、IL−17AFは、125ng/mlの最終濃度に対して1.25ug/mlで、及びIL−17FFは、1.5ug/mlの最終濃度に対して15ug/mlで希釈された。抗体及びサイトカインのワーキングストックストックが各々10μL/100μL/ウェルで添加され、24時間培養された。上清を回収し、新鮮な96ウェル丸底プレートに移し、分析まで−80℃で凍結させた。
G−CSF ELISAは、製造業者の指示に従ってR&D Systems(Minneapolis、MN.カタログ番号DY214)から購入した市販のキットを使用して行った。データは、IC50及びIC90値を計算するために、Excel(Microsoft、Redmond、WA)及びPrism(Graphpad Software、San Diego、CA)ソフトウェアを使用して分析された。
実験の結果は図9に示される。IL−17AA(0.05nMと同等の1.6ng/ml)、IL−17AF(4nMと同等の125ng/ml)、及びIL−17FF(50nMと同等の1.5μg/ml)はNHFF細胞におけるサイトカイン依存性のG−CSFの発現を誘発する(それぞれ、図9A、B、及びCの白い四角を参照)。IgG4対照抗体は、G−CSFの発現には影響を及ぼさなかったが、抗IL−17親抗体及び抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の両方とも用量依存的にIL−17の3つ全てのアイソフォームによって誘導されたG−CSFの発現を阻害した。表6は、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体によるIL−17誘導性G−CSF発現の阻害のIC90を示す。
IL−17AFへテロ二量体及びIL−17Fホモ二量体は、強固な応答を誘発するために、高いサイトカインの濃度を必要とする。その応答の阻害のためのIC90は、IL−17AF及びIL−17Fのそれぞれにおいて抗体:サイトカインのモル比が〜2及び〜1で生じる。
実施例9 抗IL−13/IL−17二重特異性抗体によるIL−13及びIL−17の両方の中和
同じアッセイでIL−13及びIL−17の両方を中和する抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の活性はBEAS−2B細胞アッセイで評価された。CCL26mRNAレベルは、IL−13応答を評価するために使用され、CXCL1分泌は、IL−17応答を評価するためにELISAによって測定された。
BEAS−2Bヒト気管支上皮細胞はATCCから入手し(カタログ番号ATCC CRL−9609、Manassas、VA)、十分に補充されたBEGM培地(カタログ番号CC−3170、Lonza、Walkersville、MD)中でコラーゲン処理された組織培養フラスコ中で増殖させた組み換えヒトIL−13は社内で生成され、組み換えヒトIL−17AA(カタログ番号IL−17AA:317−ILB−050)及びTNFα(カタログ番号210−TA−005/CF)はR&D Systems(Minneapolis、MN)から入手した。
BEAS−2B細胞の凍結アリコートは解凍され、完全BEGM培地中でコラーゲン処理した96ウェル平底プレートに104細胞/ウェルで播種され、コンフルエンスになるまで2〜3日間増殖させた。次いで、培地をヒドロコルチゾンを欠く新鮮なBEGM培地と置換し、ステロイド離脱のために更に2〜3日間培養した。アッセイの日に、培地を100μL/ウェルでヒドロコルチゾンを欠く新鮮なBEGMと置換し、37℃で数時間平衡化した。
IL−17線維芽細胞アッセイのために上記のように抗体希釈を行った。サイトカインについては、IL−13(100ng/ml)、IL−17AA(16ng/ml)、及びTNFα(1ng/ml)の10×ワーキングストックが調製され、それぞれ10ng/ml、1.6ng/ml、及び0.1ng/mlの最終濃度のためにウェルに添加され、37℃で培養された。24時間後、上清を回収し、−80℃で凍結し、ウェル中の培地の残りを吸引し、付着細胞を含有するウェルをRNaseを含まない冷却PBSで1回洗浄し、吸引し、cDNA合成のためにCells−to−cDNA IIキット(カタログ番号AM1723、Life Technologies、Carlsbad、CA)を用いて製造業者のプロトコールに従って処理した。
ヒトCCL26のためのTaqmanプライマー及びプローブは、Life Technologiesから購入し(カタログ番号4331182;Assay ID:Hs00171146_m1)、内部対照RPL19のものは社内で設計して生成された(フォワードプライマー5’−AGC GGA TTC TCA TGG AAC A−3’(配列番号96);リバースプライマー5’−CTG GTC AGC CAG GAG CTT−3’(配列番号97);及びプローブ5’−TCC ACA AGC TGA AGG CAG ACA AGG−3’(配列番号98))。Taqman qPCR反応は、TaqMan Universal PCR Master Mix(カタログ番号4304437、Life Technologies、Carlsbad、CA)を使用して、20μLの容量/反応に設定され、及びPCR反応は、Applied Biosystems7500リアルタイムPCRシステムを用いて行われた。相対量(RQ)の値は、ベースラインの応答として処理された無刺激状態に対する実験値の正規化されたデルタサイクル閾値(dCT)値の比として算出された。RQ値は、IC90値を計算するために、Prismにおいてlog[Ab]に対してプロットされた。
BEAS−2B培養からの上清を、製造者の指示に従ってR&D Systems(カタログ番号DY275)から購入したキットを用いたELISAによってCXCL1について分析した。データは、IC50及びIC90値を計算するために、Excel及びPrismソフトウェアを使用して分析された。CXCL1の濃度は、IC90値を計算するために、Prismにおいてlog[Ab]に対してプロットされた。
実験の結果は図10に示される。抗IL−13/IL−17二重特異性抗体は、用量依存的にCCL26の発現(図10A)及びCXCL1の発現(図10B)の両方を阻害し、二重特異性抗体は、同じアッセイにおいてIL−13及びIL−17の両方を中和することができることを示唆している。IC90値は、非線形回帰によって計算され、表7に示される。
CCL26の発現のためのIC90の値(0.04μg/ml)は、上述のIL−13アッセイにおける二重特異性抗体のIC90に類似しているが(表5参照)、CXCL1の発現のためのIC90の値(0.19μg/ml)は、上述のIL−17細胞アッセイにおける二重特異性抗体のIC90に類似している(表6参照)。
実施例10 マウスへの投与後の抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の薬物動態
C57BL/6Nマウスにおける単回静脈内(IV)投与後の抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の薬物動態が評価された。20.4から22.19グラムの重量範囲の9匹の雌C57BL/6Nマウスに、尾静脈を介して、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の10mg/kgの単回IVボーラス投与が投与された。投与後に以下の時点で、血液はn=3マウス/時点から採取され、血清に処理された:5分;2、8及び24時間;3、7、10、14及び21日。以下に説明するように、各血清試料中の抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の濃度はELISAによって決定された。ナイーブ−プールアプローチ(naive−pooled approach)及びノンコンパートメント解析(NCA)(Non Compartmental Analysis)を使用するPhoenix WinNonlin v6(Pharsight;Mountain View、CA)を使用して、群の抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の血清濃度対時間のプロファイルが薬物動態を評価するために使用された。以下のPKパラメーターが決定された:
Cmax:観察された最大血清濃度
・ AUClast:0日目から測定可能な抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の血清濃度を有する最終時点までの血清濃度−時間曲線下面積。
・ CL:クリアランス
各マウスPK血清試料中の抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の濃度はヒトIgGについてサンドイッチELISAによって決定された。このアッセイでは、ヒツジ抗ヒトIgG(H+L)(カタログ AU003CUS01、Binding site;Birmingham、UK)及びヤギ抗ヒトIgG(H+L)HRP(カタログ A80−319P−12、Bethyl;Montgomery、TX)は、それぞれ捕捉及び検出抗体として使用された。投薬動物のための抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の同一ロットを標準として使用した。ヒトIgG ELISAは、0.39−25ng/mLのアッセイ範囲で最大10%Cの57BL/6マウス血清マトリックスまで耐容性を示した。最小定量可能濃度は、未濃縮マウス血清中で0.039μg/mLであると決定された(1/100の最小試料希釈を説明している)。
実験の結果は図11に示される。プールされたアプローチは、PKを評価するために使用されたので、単一のPKパラメーター推定値のみ図11に示される。C57BL/6Nマウスにおける単回IV投与後、抗IL−13/IL−17は、投与後最初の24時間で血清濃度の急激な低下を示し、その後の20日間にわたって漸減が続いた。Cmaxは211μg/mLであり、血清中濃度−時間曲線下面積(AUClast)は1610日 x μg/mLであった。クリアランス(CL)は6.2mL/日/kgであった。
実施例11 カニクイザルにおける薬物動態
カニクイザルにおける単回静脈内(IV)投与後の抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の薬物動態が評価された。2.8−3.7kgの体重範囲を有する15匹の雄カニクイザルが3群(n=5/群)に分けられた。各群の全ての動物は、ビヒクル対照(群1)あるいは3又は30mg/kgの抗IL−13/IL−17二重特異性抗体(それぞれ群2及び3)の単回IV用量が投与された。投与後に以下の時点で、血液は採取され、血清に処理された:投与前;15分;1、2、4、8及び24時間;3、7、10、14及び21日。以下に説明するように、各血清試料中の抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の濃度はELISAによって決定された。以下に記載されるように、血清はまた、抗治療抗体(ATA)の存在について試験された。Phoenix WinNonlin v6(Pharsight;Mountain View、CA)を使用して、個々の動物に対する抗IL−13/Il−17二重特異性抗体の血清濃度対時間のプロファイルが薬物動態を評価するために使用され、個々及び群の平均の薬物動態パラメーターが報告された。以下のPKパラメーターが決定された:
・ Cmax:観察された最大血清濃度
・ AUClast:0日目から測定可能な抗IL−13/IL−17の血清濃度を有する最終時点までの血清濃度−時間曲線下面積。
・ CL:クリアランス
・ Vss:定常状態における分布容積
マウス薬物動態研究のために上記のように個々のカニクイザルの血清試料中の抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の濃度がサンドイッチヒトIgG ELISAによって分析された。ヒトIgG ELISAは、0.39−25ng/mLのアッセイ範囲で最大5%のカニクイザル血清マトリックスまで耐容性を示した。最小定量可能濃度は、未濃縮カニクイザル血清中で0.039μg/mLであると決定された(1/100の最小試料希釈を説明している)。
カニクイザル血清試料中の抗治療抗体(ATA)は、均一な架橋ELISAを用いて検出され、ここでATAは、ビオチン化抗IL−13/IL−17二重特異性抗体とジゴキシゲニン(DIG)標識された抗IL−13/IL−17二重特異性抗体とを架橋させることを許された。ビオチン抗IL−13/IL−17二重特異性抗体及びDIG抗IL−13/IL−17二重特異性抗体は、EZ−連結スルホ−NHS−Lc−ビオチン(カタログ 21327、Pierce;Rochester、NY)及び3−アミノ−3−デオキシジゴキシゲニン ヘミスクシンイミド、スクシンイミジル エステル(カタログ A2952、Invitrogen;Carlsbad、CA)をそれぞれを使用して製造業者のプロトコールに従って社内で調製された。試料は最初にビオチン抗IL−13/IL−17二重特異性抗体及びDIG抗IL−13/IL−17二重特異性抗体と4℃で一晩インキュベートした。抗IL−13/IL−17二重特異性抗体ATA免疫複合体は、その後、2μg/mLのニュートラアビジン(Thermo Scientific;Rockford、IL)でプレコーティングされたNunc Maxisorp 384ウェルプレート上に捕獲され、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識マウス抗DIG抗体(Jackson Immunoresearch;West Grove、PA)を使用して検出された。基質の3,3’,5,5’テトラメチルベンジジン(TMBE−1000、Moss;Pasadena、MD)とインキュベートした後、各試料ウェルの吸光度(光学密度、OD)を得た。アッセイカットポイント(後述)以上のODを有する試料は、陽性とみなされた。このアッセイは、血清マトリックスの2%まで許容され、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の50μg/mlの存在下で未濃縮血清中0.6μg/mlのATAを検出することができた。
アッセイカットポイントを定義するために、個々のODは32の薬物未投与カニクイザルの血清試料のパネルについて得られた(Bioreclamation;Westbury、NY)。また、陰性対照(プールされたナイーブカニクイザル血清、Bioreclamation)のODは、同じアッセイプレートから得られた。各動物は、個々のOD比を与えるために陰性対照のODで個々のODを割ることによって正規化され、比率の平均値が求められた。カットポイント係数はこの値に1.65倍の標準偏差を加えて算出した。3つの別々の実験を実行し、アッセイカットポイント係数は、結果を平均することによって1.9であると決定された。試料を分析する場合、各アッセイプレートのカットポイントは、同じプレート上の陰性対照の平均ODにより、このカットポイント係数を乗算することによって決定された。このエッセイのために計算されたカットポイントは、約5%の推定偽陽性率を与えた。
実験の結果は図12及び表8に示される。表8は、図12に示される各動物に投与される用量を示す。
ビヒクル対照で処置された動物(群1)の抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の血清濃度は報告可能未満(LTR)であることが見出され、従って薬物動態学的分析はこれらの動物について行われなかった。
群の平均Cmaxは、群2及び3についてそれぞれ89.9±107及び1050±102μg/mLであった。群の平均AUClastは、群2及び3についてそれぞれ499±107及び5500±571日*μg/mLであった。Cmax及びAUCの両方が用量に比例して増加することが観察された。群の平均クリアランス(CL)は、群2及び3についてそれぞれ6.12±1.33及び5.50±0.567mL/日/kgであった。群の平均Vssは、群2及び3についてそれぞれ43.1±12.1及び23.4±6.51であった。
抗IL−13/IL−17二重特異性抗体で処置された10匹のうち、8匹は抗治療抗体に対して陽性の結果がでた(群2で3/5動物及び群3で5/5動物)。
実施例12 カニクイザルにおけるIL−17AAの標的結合
カニクイザルのPK研究は、上記の実施例11に記載されている。ELISAは、標的結合を実証するためにカニクイザル血清中の総IL−17AAを定量化するために開発された。IL−17AAに特異的な抗体が捕捉及び検出のために使用され、社内で作成された組み換えカニクイザルIL−17AAがアッセイ標準及び対照を調製するために使用された。血清は、ベースライン値のために−7日及び0日で、並びに投与後1、3、8、11、15、22、29、及び36日目に採取され、これらの試料の総IL−17AAレベルが決定された。
結果を図13に示す。血清中の遊離IL−17AAは、サイトカインに典型的な非常に短い半減期を有しており、ベースラインでのアッセイ検出限界以下である。血清IL−17AAが抗体に結合されている場合、抗体の長い半減期を獲得し、検出可能になるであろう。カニクイザルPK研究では、IL−17AAレベルはベースラインでは検出できず、IL−17AAレベルの頑強な増加は、抗IL−13/IL−17二重特異性抗体の投与後に観察され、IL−17AAの結合を確認した。作用は両方の用量で見られ、用量依存的であった。応答は、上記の薬物動態の結果と相関していた。
実施例13 マウスチリダニ喘息モデルにおける抗IL−17、抗IL−13、及び抗IL−13プラス抗IL−17抗体の有効性
マウスチリダニ(HDM)喘息モデルは実施例4に上述されるように実質的に実施された。バイオマーカーレベルは、製造業者のプロトコールに従って、以下のアッセイを使用して、血清及び血漿中で測定された:TARC(R&D、MCC170)、CXCL1(Millipore、MCYTOMAG−70K)、及びG−CSF(Millipore、MCYTOMAG−70K)。
血清TARCレベルは第2相研究におけるレブリキズマブ治療後に減少することが示された。例えば、Corren et al., 2011, New England J. Medicine 365:1088-98及び米国特許出願公開第2012/0156194号を参照。図14Aに示すように、HDMモデルにおいて、血漿TARCレベルは、抗IL−13抗体又は抗IL−13抗体プラス抗IL−17抗体処置後に下降線をたどったが、抗IL−17抗体処置後は下降線をたどらず、IL−13経路特異的な調節を確認した。同様に、図14B及び図9Cに示されるように、IL−17経路のバイオマーカー、G−CSF及びCXCL1は、抗IL−17抗体及び抗IL−13抗体プラス抗IL−17抗体処置後に血清中で有意に減少した。図14において、*p<0.05、**p<0.005、及び***p<0.0005。
前述の発明は、理解を明確にする目的のために、例示と実施例によりある程度詳細に記載してきたが、説明及び実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に引用される全ての特許及び科学文献の開示は、参照によりその全体が明示的に援用される。