本発明は、FkpAの超高純度組成物の生成方法を提供する。かかる組成物を使用して、FkpAに高度に特異的かつ高感度な抗体を生成する。本抗体は、転じて、FkpAが発現されて、組換えポリペプチドの折り畳み及び組み立てを容易にする細菌発酵培養物内で調製された組換えポリペプチド中のFkpAの検出に有用である。例えば、本抗体は、多重特異性抗体を含む抗体等の組換えポリペプチドの薬学的製剤の開発における放出アッセイにおいて有用であり得る。
いくつかの態様では、本発明は、外因性FkpAを発現する宿主細胞内で産生された組換えポリペプチドの組成物であって、組成物が、約10ppm以下のFkpA、約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、または約1ppmのFkpAを含む、組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、IL13及びIL17に結合する二重特異性抗体等の多重特異性抗体である。
いくつかの態様では、本発明は、逐次的に、多重特異性抗体を含む組成物を、a)タンパク質Aクロマトグラフィー、b)混合モードクロマトグラフィー、及びc)疎水性相互作用クロマトグラフィーに供するステップを含む、多重特異性抗体の精製方法を提供する。いくつかの態様では、本発明は、多重特異性抗体の個々のアームが別個の培養物内で産生され、タンパク質Aクロマトグラフィーによって精製される、多重特異性抗体の精製方法を提供する。その後、精製された抗体アームは組み立てられて、多重特異性抗体を産生する。その後、組み立てられた多重特異性抗体は、混合モード陰イオン交換クロマトグラフィーに続いて疎水性相互作用クロマトグラフィーに供される。
いくつかの実施形態では、本発明は、非対合抗体アーム、ホモ二量体、凝集体、低分子量種、酸性変異形及び塩基性変異形等の産物特異的不純物を実質的に含まない多重特異性抗体を含むことを提供する。いくつかの実施形態では、本組成物は、E.coliタンパク質及びDNAならびにシャペロン(FkpA、DsbA、及びDsbCを含む)等のプロセス特異的不純物を実質的に含まない。
I.定義
「検出」という用語は、標的分子の定性的測定及び定量的測定の両方を含むために本明細書で最も広義に使用される。検出は、試料中の標的分子の単なる存在を特定すること、ならびに標的分子が検出可能なレベルで試料中に存在するかを決定することを含む。
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、任意のアミノ酸長のポリマーを指すために本明細書で互換的に使用される。ポリマーは、直鎖状または分岐状であってもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸によって中断されていてもよい。これらの用語は、天然にまたは介入(例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作もしくは修飾、例えば、標識成分とのコンジュゲーション)により修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸等を含む)の1つ以上の類似体を含有するポリペプチド、ならびに当該技術分野で既知の他の修飾もこの定義に含まれる。本明細書で使用されるとき、「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、抗体を具体的に包含する。
「精製された」ポリペプチド(例えば、抗体またはイムノアドヘシン等)とは、ポリペプチドがその天然環境下で存在するよりも純粋な形態で存在するように、かつ/または実験室条件下で最初に合成及び/もしくは増幅されたときにポリペプチドの純度が増加することを意味する。純度は、相対用語であり、必ずしも絶対純度を意味しない。
本明細書で使用されるとき、「超高純度FkpA」とは、組成物中のタンパク質の少なくとも約95%が所望のタンパク質FkpAである、FkpA組成物を指す。いくつかの例では、超高純度FkpAは、少なくとも約96%、97%、98%、99%、または99.5%のFkpAを含む。いくつかの実施形態では、FkpA純度は、SECによって決定される。
ポリペプチドに関して使用されるとき、「FkpA」タンパク質とは、細菌FKBP型ペプチジル-プロリルシス-トランスイソメラーゼを指す。FkpAは、周辺質タンパク質ジスルフィドイソメラーゼIは、シス/トランスペプチジル-プロリルイソメラーゼ(PPIase)活性及びシャペロン活性の両方を呈する。
本明細書で使用されるとき、「FkpA」は、FKBP型ペプチジル-プロリルシス-トランスイソメラーゼ(FkpA)周辺質タンパク質ジスルフィドイソメラーゼIとしても知られ得る。例示的なFkpAタンパク質は、E.coli FkpAである。E.coli FkpAのアミノ酸配列は、配列番号1または配列番号2に提供される。E.coli FkbA遺伝子の核酸配列は、(配列番号3)によって提供される。いくつかの実施形態では、E.coli FkpAとは、EcoGene受託番号EG12900によって表されるfkpA遺伝子によってコードされるタンパク質を指す。いくつかの実施形態では、E.coli FkpAとは、NCBI RefSeq受託番号NP_417806によって表される配列を有するタンパク質を指す。他のFkpAタンパク質が、当該技術分野で既知である。FkpAタンパク質の例としては、S.boydiiペプチジル-プロリルイソメラーゼ(NCBI RefSeq番号WP_000838252)、C.youngaeペプチジル-プロリルイソメラーゼ(NCBI RefSeq番号WP_006687366)、K.oxytocaペプチジル-プロリルイソメラーゼ(NCBI RefSeq番号WP_004125943)、S.entericaペプチジル-プロリルイソメラーゼ(NCBI RefSeq番号WP_000838233)、K.pneumoniaeペプチジル-プロリルイソメラーゼ(NCBI RefSeq番号WP_019704642)、S.cerevisiae FPR3p(NCBI RefSeq番号NP_013637)、M.musculus Fkpb1a(NCBI RefSeq番号NP_032045)、M.musculus Fkpb2(NCBI RefSeq番号NP_032046)、H.sapiens FKBP2(NCBI RefSeq番号NP_001128680)、及びD.melanogaster CG14715(NCBI RefSeq番号NP_650101)が挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本開示のFkpAタンパク質は、E.coli FkpAと少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の同一性を有する。ある特定の実施形態では、E.coli FkpAは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。
ポリペプチドに関して使用されるとき、「Dsb」タンパク質とは、細菌ジスルフィドオキシドレダクターゼを指す。細菌ジスルフィドオキシレダクターゼは、酵素のジスルフィド結合ファミリーのメンバーである。Dsbファミリーのメンバーとしては、DsbA、DsbB、DsbC、DsbD、及びDsbGが挙げられる。DsbAは、ペプチドが細胞の周辺質内に出現すると鎖内ジスルフィド結合を形成し、DsbCは、細胞の周辺質内での酸化的タンパク質折り畳み中にジスルフィド結合イソメラーゼとしての機能を果たす。
本明細書で使用されるとき、「DsbA」は、周辺質タンパク質ジスルフィドイソメラーゼIとしても知られ得る。例示的なDsbAタンパク質は、E.coli DsbAである。E.coli DsbAのアミノ酸配列は、NCBI受託番号NP_418297によって提供され、E.coli dsbA遺伝子の核酸配列は、NCBI受託番号NC_000913.3またはEcoGene:EG11297によって提供される。
本明細書で使用されるとき、「DsbC」は、周辺質タンパク質ジスルフィドイソメラーゼIIとしても知られ得る。例示的なDsbCタンパク質は、E.coli DsbCである。E.coli DsbCのアミノ酸配列は、NCBI受託番号NP_417369.1によって提供され、E.coli dsbC遺伝子の核酸配列は、NCBI受託番号NC_000913.3またはEcoGene:EG11070によって提供される。
「試料」とは、より大量の材料のほんの一部を指す。一般に、本明細書に記載の方法に従う試験は、試料に対して行われる。試料は、典型的には、例えば、培養された組換えポリペプチド発現細胞株(本明細書で「産物細胞株」とも称される)から、または培養された宿主細胞から得られる組換えポリペプチド調製物から得られる。本明細書で使用されるとき、「宿主細胞」は、目的とする組換えポリペプチドまたは産物の発現のための遺伝子を含有しない。試料は、例えば、採取された細胞培養液から、精製プロセスのある特定のステップでのインプロセスプールから、または最終精製産物から得られ得るが、これらに限定されない。
「捕捉抗体」とは、試料中の標的分子に特異的に結合する抗体を指す。ある特定の条件下で、捕捉抗体は、標的分子と複合体を形成し、これにより、抗体-標的分子複合体が残りの試料から分離されることが可能になる。ある特定の実施形態では、かかる分離は、捕捉抗体に結合しなかった試料中の物質または材料を洗い流すことを含み得る。ある特定の実施形態では、捕捉抗体は、例えば、プレートまたはビーズ等であるが、これらに限定されない固体支持体表面に結合し得る。
「検出抗体」とは、試料中または試料-捕捉抗体組み合わせ材料中の標的分子に特異的に結合する抗体を指す。ある特定の条件下で、検出抗体は、標的分子または標的分子-捕捉抗体複合体と複合体を形成する。検出抗体は、増幅され得る標識を通して直接的に、または例えば、標識され、かつ検出抗体に結合する別の抗体の使用を通して間接的にのいずれかで検出されることができる。直接標識の場合、検出抗体は、典型的には、例えば、ビオチンまたはルテニウムを含むが、これらに限定されないいくつかの手段によって検出可能な部分にコンジュゲートされる。
「標識」または「検出可能な標識」という用語は、検出または定量される物質に結合し得る任意の化学基または部分、例えば、抗体を指す。典型的には、標識は、物質の高感度検出または定量化に好適な検出可能な標識である。検出可能な標識の例としては、発光標識、例えば、蛍光、リン光、化学発光、生物発光、及び電気化学発光標識、放射性標識、酵素、粒子、磁性物質、ならびに電気活性種等が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、検出可能な標識は、特異的結合反応に関与することによってその存在をシグナル伝達し得る。かかる標識の例としては、ハプテン、抗体、ビオチン、ストレプトアビジン、Hisタグ、ニトリロ三酢酸、グルタチオンS-トランスフェラーゼ、及びグルタチオン等が挙げられる。
「検出手段」という用語は、あるアッセイで後に読み取られるシグナル報告により検出可能な抗体の存在を検出するために使用される部分または技法を指す。典型的には、検出手段は、マイクロタイタープレート上で捕捉される標識等の固定化標識を増幅する試薬、例えば、アビジンまたはストレプトアビジン-HRPを用いることを意味する。
「光ルミネセンス」とは、材料がその材料による光(あるいは、電磁放射線とも称される)の吸光後に発光するプロセスを指す。蛍光及びリン光は、2つの異なる種類の光ルミネセンスである。
「化学発光」プロセスは、化学反応による発光種の作製を伴う。「電気化学発光」または「ECL」とは、ある種、例えば、ある抗体が、適切な周辺化学環境下でその種の電気化学的エネルギーへの曝露時に発光するプロセスである。
目的とする抗原、例えば、宿主細胞タンパク質に「結合する」抗体は、その抗体が、アッセイ試薬、例えば、捕捉抗体または検出抗体として有用であるように十分な親和性で抗原に結合するものである。典型的には、かかる抗体は、他のポリペプチドと有意に交差反応しない。
ポリペプチドの標的分子への結合に関して、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド標的上のエピトープの「特異的結合」、またはそれに「特異的に結合する」、またはそれに「特異的な」という用語は、非特異的相互作用とは測定可能な程度に異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、一般に、結合活性を有しない同様の構造を有する分子である対照分子の結合と比較して標的分子の結合を決定することによって測定され得る。いくつかの実施形態では、本発明は、FkpAに特異的に結合するポリクローナル抗体の調製物を提供する。例えば、ポリクローナル抗体調製物中の少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%の抗体が、所望のポリペプチド(例えば、FkpA)に結合する。
「親和性」とは、ある分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合相互作用の合計の強度を指す。別途示されない限り、本明細書で使用されるとき、「結合親和性」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般に、解離定数(Kd)によって表され得る。親和性は、本明細書に記載の方法を含む当該技術分野で既知の一般的な方法によって測定され得る。
本明細書における目的のための「活性な」または「活性」とは、天然のまたは天然に存在するポリペプチドの生物学的及び/または免疫学的活性を保持するポリペプチドの形態(複数可)を指し、「生物学的」活性とは、天然のまたは天然に存在するポリペプチドが有する抗原エピトープに対する抗体の産生を誘導する能力以外の天然のまたは天然に存在するポリペプチドによって引き起こされる生物学的機能(阻害または刺激のいずれか)を指し、「免疫学的」活性とは、天然のまたは天然に存在するポリペプチドが有する抗原エピトープに対する抗体の産生を誘導する能力を指す。
「アンタゴニスト」という用語は、最も広義に使用され、天然ポリペプチドの生物学的活性を部分的または完全に遮断、阻害、または中和する任意の分子を含む。同様の様式で、「アゴニスト」という用語は、最も広義に使用され、天然ポリペプチドの生物学的活性を模倣する任意の分子を含む。好適なアゴニストまたはアンタゴニスト分子としては、具体的には、アゴニストまたはアンタゴニスト抗体または抗体断片、天然ポリペプチドの断片またはアミノ酸配列変異形等が挙げられる。ポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストの特定方法は、ポリペプチドを候補アゴニストまたはアンタゴニスト分子と接触させることと、ポリペプチドに通常関連する1つ以上の生物学的活性の検出可能な変化を測定することとを含み得る。
本明細書における「抗体」という用語は、最も広義に使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、半抗体、少なくとも2つの無傷抗体から形成された多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を具体的に包含するが、これは、それらが所望の生物学的活性を呈する場合に限る。「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書で抗体と互換的に使用される。
抗体は、様々な構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子であり、それらの構造は全て免疫グロブリン折り畳みに基づく。例えば、IgG抗体は、ジスルフィド結合して機能的抗体を形成する2つの「重」鎖及び2つの「軽」鎖を有する。別の例として、1つ以上のジスルフィド結合によって結合している1つの重鎖及び1つの軽鎖は、機能的半抗体を形成する。各重鎖及び軽鎖はそれ自体、「定常」(C)領域及び「可変」(V)領域を含む。V領域が抗体の抗原結合特異性を決定する一方で、C領域は構造的支持を提供し、免疫エフェクターとの非抗原特異的相互作用において機能する。抗体または抗体の抗原結合断片の抗原結合特異性は、特定の抗原に特異的に結合する抗体の能力である。
抗体の抗原結合特異性は、V領域の構造的特徴によって決定される。可変性は、可変ドメインの110アミノ酸長にわたって均等には分布していない。代わりに、V領域は、各々9~12アミノ酸長である「超可変領域」と呼ばれる極度に可変性のより短い領域によって分離される、15~30アミノ酸長のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変の伸展からなる。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、主にβシート構成を採用し、3つの超可変領域によって連結され、βシート構造に連結し、場合によってはその一部を形成するループを形成する、4つのFRを含む。各鎖内の超可変領域は、FRによって近接近して一緒に保持され、他方の鎖の超可変領域とともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接的には関与していないが、抗体の抗体依存性細胞毒性(ADCC)への関与等の様々なエフェクター機能を呈する。
各V領域は、典型的には、3つの相補性決定領域(各々が「超可変ループ」を含有する「CDR」)、及び4つのフレームワーク領域を含む。したがって、有意な親和性で特定の所望の抗原に結合するのに必要な最小構造単位である抗体結合部位は、典型的には、それらの3つのCDRと、それらの間に散在する少なくとも3つ、好ましくは4つのフレームワーク領域とを含み、適切な立体配座にCDRを保持及び提示する。古典的な4つの鎖抗体は、VHドメイン及びVLドメインによって協働して定義される抗原結合部位を有する。ラクダ及びサメ抗体等のある特定の抗体は、軽鎖を欠き、重鎖のみによって形成された結合部位に依存する。VHとVLとの間の協働の不在下で、結合部位が重鎖のみまたは軽鎖のみによって形成された単一ドメイン操作免疫グロブリンが、調製され得る。
「可変」という用語は、可変ドメインのある特定の部分の配列が抗体間で大いに異なり、各特定の抗体のその特定の抗原に対する結合及び特異性において使用されるという事実を指す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメイン全体にわたって均等には分布していない。これは、軽鎖可変ドメインでも重鎖可変ドメインのいずれにおいても、超可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、主にβシート構成を採用し、3つの超可変領域によって連結され、βシート構造に連結し、場合によってはその一部を形成するループを形成する、4つのFRを含む。各鎖内の超可変領域は、FRによって近接近して一緒に保持され、他方の鎖の超可変領域とともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接的には関与していないが、抗体の抗体依存性細胞毒性(ADCC)への関与等の様々なエフェクター機能を呈する。
「超可変領域」という用語は、本明細書で使用されるとき、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」からのからのアミノ酸残基(例えば、VLでは残基約24~34(L1)、50~56(L2)、及び89~97(L3)前後、VHでは約31~35B(H1)、50-65(H2)、及び95~102(H3)前後(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))、ならびに/または「超可変ループ」由来の残基(例えば、VLでは残基26~32(L1)、50~52(L2)、及び91~96(L3)、VHでは26~32(H1)、52A~55(H2)、及び96~101(H3)(Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987))を含み得る。
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書に定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
抗体または半抗体の文脈での「ヒンジ領域」は、一般に、ヒトIgG1のGlu216からPro230までの伸展と定義される(Burton,Molec.Immunol.22:161-206(1985))。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、重鎖内S-S結合を形成する最初及び最後のシステイン残基を同じ位置に置くことによって、IgG1配列と整列し得る。
Fc領域の「下部ヒンジ領域」は、通常ヒンジ領域のすぐC末端にある残基の伸展、すなわち、Fc領域の残基233~239と定義される。本発明以前、FcγR結合は、一般に、IgG Fc領域の下部ヒンジ領域におけるアミノ酸残基が原因であるとされていた。
ヒトIgG Fc領域の「CH2ドメイン」は、通常IgGの残基約231から約340まで延びる。CH2ドメインは、それが別のドメインと密接に対合されないという点で特有である。むしろ、2つのN結合分岐状炭水化物鎖が無傷天然IgG分子の2つのCH2ドメイン間に介在する。炭水化物がドメイン-ドメイン対合の代替を提供し、CH2ドメインを安定させるのに役立ち得ることが推測されている。(Burton,Molec.Immunol.22:161-206(1985))。
「CH3ドメイン」は、Fc領域におけるC末端からCH2ドメインまで(すなわち、IgGのアミノ酸残基約341からアミノ酸残基約447)の残基の伸展を含む。
「抗体断片」は、好ましくはその抗原結合領域を含む、無傷抗体の一部分を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ;タンデムダイアボディ(taDb)、直鎖状抗体(例えば、米国特許第5,641,870号、実施例2;Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057-1062(1995));一アーム抗体、単一可変ドメイン抗体、ミニボディ、一本鎖抗体分子;抗体断片から形成された多重特異性抗体(例えば、Db-Fc、taDb-Fc、taDb-CH3、(scFV)4-Fc、di-scFv、bi-scFv、またはタンデム(di,tri)-scFvを含むが、これらに限定されない);ならびに二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)が挙げられる。
抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化する能力を反映して表記される1つの残留「Fc」断片とが産生される。Fab断片は、H鎖の可変領域ドメイン(VH)を有する全L鎖、及び1つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)からなる。抗体のペプシン処理により、単一の大きいF(ab’)2断片が産出され、これは、一般に、二価の抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合Fab断片に対応し、依然として抗原に架橋することができる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端に更なる数個の残基を有する点で、Fab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を持つFab’の本明細書における表記である。F(ab’)2抗体断片は、元来、それらの間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生されたものであった。抗体断片の他の化学的カップリングも既知である。
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含有する最小抗体断片である。この領域は、1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインが密接な非共有結合性会合にある二量体からなる。各可変ドメインの3つの超可変領域が相互作用してVH-VL二量体の表面上に抗原結合部位を画定するのは、この構成においてである。集合的に、6つの超可変領域は、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一可変ドメイン(または抗原に特異的な超可変領域を3つのみ含むFvの半分)でさえも、全結合部位よりも低い親和性であるが、抗原を認識し、それに結合する能力を有する。
Fab断片は、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含有する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端への数個の残基の付加だけFab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が少なくとも1つの遊離チオール基を持つFab’の本明細書における表記である。F(ab’)2抗体断片は、元来、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生されたものであった。抗体断片の他の化学的カップリングも既知である。
任意の脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明らかに異なる種類のうちの1つに割り当てられ得る。
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体は、異なるクラスに割り当てられ得る。5つの主要な無傷抗体のクラス、つまり、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2に更に分けられ得る。異なるクラスの抗体に対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造及び三次元構成は、周知である。
「一本鎖Fv」または「scFv」抗体断片は、抗体のVHドメイン及びVLドメインを含み、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖内に存在する。いくつかの実施形態では、Fvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーを更に含み、これにより、scFvが抗原結合に望ましい構造を形成することが可能になる。scFvに関する概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照されたい。
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小さい抗体断片を指し、これらの断片は、同じポリペプチド鎖内の軽鎖可変ドメイン(VL)に連結している重鎖可変ドメイン(VH)(VH-VL)を含む。同じ鎖上のこれらの2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを使用することにより、これらのドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対合させられ、2つの抗原結合部位を作製する。ダイアボディについては、例えば、例えば、EP404,097、WO93/11161、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)により完全に記載されている。
本明細書で使用されるとき、「半抗体」または「ヘミマー」という用語は、一価抗原結合ポリペプチドを指す。ある特定の実施形態では、半抗体またはヘミマーは、VH/VL単位と、任意に、少なくとも免疫グロブリン定常ドメインの一部分とを含む。ある特定の実施形態では、半抗体またはヘミマーは、1つの免疫グロブリン軽鎖に関連する免疫グロブリン重鎖、またはその抗原結合断片を含む。ある特定の実施形態では、半抗体またはヘミマーは、単一特異性であり、すなわち、単一の抗原またはエピトープに結合する。ある特定のかかる実施形態では、半抗体は、IL-13に結合するが、IL-17には結合しない。ある特定の他の実施形態では、半抗体は、IL-17に結合するが、IL-13には結合しない。当業者は、半抗体が、例えば、ラクダ科動物に起源を持つ単一可変ドメインからなる抗原結合ドメインを有し得ることを容易に理解するであろう。
「VH/VL単位」という用語は、少なくとも1つのVH HVR及び少なくとも1つのVL HVRを含む抗体の抗原結合領域を指す。ある特定の実施形態では、VH/VL単位は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てのVH HVRと、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てのVL HVRとを含む。ある特定の実施形態では、VH/VL単位は、フレームワーク領域(FR)の少なくとも一部分を更に含む。いくつかの実施形態では、VH/VL単位は、3つのVH HVR及び3つのVL HVRを含む。いくつかのかかる実施形態では、VH/VL単位は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または4つ全てのVH FRと、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または4つ全てのVL FRとを含む。
「多重特異性抗体」という用語は、最も広義に使用され、多重エピトープ特異性を有する(すなわち、1つの生物学的分子上の2つ以上の異なるエピトープに特異的に結合することができるか、または2つ以上の異なる生物学的分子上のエピトープに結合することができる)抗原結合ドメインを含む抗体を具体的に包含する。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体(二重特異性抗体等)の抗原結合ドメインは、2つのVH/VL単位を含み、第1のVH/VL単位は、第1のエピトープに特異的に結合し、第2のVH/VL単位は、第2のエピトープに特異的に結合し、各VH/VL単位は、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。かかる多重特異性抗体としては、全長抗体、2つ以上のVL及びVHドメインを有する抗体、抗体断片(Fab、Fv、dsFv、scFv等)、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ及びトリアボディ、共有結合または非共有結合している抗体断片が挙げられるが、これらに限定されない。重鎖定常領域の少なくとも一部分及び/または軽鎖定常領域の少なくとも一部分を更に含むVH/VL単位は、「ヘミマー」または「半抗体」とも称され得る。いくつかの実施形態では、半抗体は、単一重鎖可変領域の少なくとも一部分及び単一軽鎖可変領域の少なくとも一部分を含む。いくつかのかかる実施形態では、2つの半抗体を含み、2つの抗原に結合する二重特異性抗体は、第1の抗原または第1のエピトープに結合するが、第2の抗原または第2のエピトープには結合しない第1の半抗体と、第2の抗原または第2のエピトープに結合するが、第1の抗原または第1のエピトープには結合しない第2の半抗体とを含む。いくつかの実施形態によると、多重特異性抗体は、5M~0.001pM、3M~0.001pM、1M~0.001pM、0.5M~0.001pM、または0.1M~0.001pMの親和性で各抗原またはエピトープに結合するIgG抗体である。いくつかの実施形態では、ヘミマーは、第2のヘミマーと分子内ジスルフィド結合が形成されることを可能にするのに十分な重鎖可変領域の部分を含む。いくつかの実施形態では、ヘミマーは、例えば、相補的ホール変異またはノブ変異を含む第2のヘミマーまたは半抗体とのヘテロ二量体化を可能にする、ノブ変異またはホール変異を含む。ノブ変異及びホール変異は、以下で更に考察される。
「二重特異性抗体」という用語は、1つの生物学的分子上の2つの異なるエピトープに結合可能であるか、または2つの異なる生物学的分子上のエピトープに特異的に結合することができる抗原結合ドメインを含む、多重特異性抗体である。本明細書において、二重特異性抗体はまた、「重複特異性」を有するもの、または「重複特異性である(dual specific)」とも称され得る。別途示されない限り、二重特異性抗体によって結合される抗原が二重特異性抗体名に列挙される順序は、任意である。つまり、いくつかの実施形態では、「抗IL-13/IL-17二重特異性抗体」及び「抗IL-17/IL-13二重特異性抗体」という用語は、互換的に使用され得る。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、2つの半抗体を含み、各半抗体は、単一重鎖可変領域及び任意に重鎖定常領域の少なくとも一部分と、単一軽鎖可変領域及び任意に軽鎖定常領域の少なくとも一部分とを含む。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、2つの半抗体を含み、各半抗体は、単一重鎖可変領域及び単一軽鎖可変領域を含み、2つ以上の単一重鎖可変領域は含まず、2つ以上の単一軽鎖可変領域は含まない。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、2つの半抗体を含み、各半抗体は、単一重鎖可変領域及び単一軽鎖可変領域を含み、第1の半抗体は、第1の抗原に結合し、第2の抗原には結合せず、第2の半抗体は、第2の抗原に結合し、第1の抗原には結合しない。
本明細書で使用されるとき、「ノブ・イン・ホール」または「KnH」技法という用語は、2つのポリペプチドを、それらが相互作用する界面において、一方のポリペプチドに隆起(ノブ)を誘導し、他方のポリペプチドに空洞(ホール)を導入することにより、インビトロまたはインビボでともに対合することを指向する技法を指す。例えば、KnHは、抗体のFc:Fc結合界面、CL:CH1界面、またはVH/VL界面に導入されている(例えば、US2011/0287009、US2007/0178552、WO96/027011、WO98/050431、及びZhu et al.,1997,Protein Science6:781-788を参照されたい)。いくつかの実施形態では、KnHにより、多重特異性抗体の製造中に2つの異なる重鎖をともに対合することが促進される。例えば、それらのFc領域内にKnHを有する多重特異性抗体は、各Fc領域に結合している単一可変ドメインを更に含んでも、同様のもしくは異なる軽鎖可変ドメインと対合する異なる重鎖可変ドメインを更に含んでもよい。KnH技法を使用して、2つの異なる受容体の細胞外ドメインをともに対合しても、異なる標的認識配列を含む任意の他のポリペプチド配列(例えば、アフィボディ、ペプチボディ、及び他のFc融合体を含む)を対合してもよい。
本明細書で使用されるとき、「ノブ変異」という用語は、ポリペプチドが別のポリペプチドと相互作用する界面において、隆起(ノブ)をポリペプチドに導入する変異を指す。いくつかの実施形態では、他のポリペプチドは、ホール変異を有する(例えば、US5,731,168、US5,807,706、US5,821,333、US7,695,936、US8,216,805、WO2011/133886、WO2013055958を参照されたく、これらは、各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
本明細書で使用されるとき、「ホール変異」という用語は、ポリペプチドが別のポリペプチドと相互作用する界面において、空洞(ホール)をポリペプチドに導入する変異を指す。いくつかの実施形態では、他のポリペプチドは、ノブ変異を有する(例えば、US5,731,168、US5,807,706、US5,821,333、US7,695,936、US8,216,805を参照されたく、これらは、各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
「単一ドメイン抗体」(sdAb)または「単一可変ドメイン(SVD)抗体」という表現は、一般に、単一可変ドメイン(VHまたはVL)が抗原結合を付与し得る抗体を指す。言い換えれば、単一可変ドメインは、標的抗原を認識するために別の可変ドメインと相互作用する必要はない。単一ドメイン抗体の例としては、ラクダ科動物(ラマ及びラクダ)ならびに軟骨魚類(例えば、テンジクザメ)由来の抗体と、ヒト及びマウス抗体由来の組換え方法から得られる抗体とが挙げられる(Nature(1989)341:544-546、Dev Comp Immunol(2006)30:43-56、Trend Biochem Sci(2001)26:230-235、Trends Biotechnol(2003):21:484-490、WO2005/035572、WO03/035694、FEBS Lett(1994)339:285-290、WO00/29004、WO02/051870)。
本明細書で使用されるとき、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、同一であり、かつ/または同じエピトープに結合するが、モノクローナル抗体の産生中に生じ得る可能な変異形を除き、かかる変異形は、一般に、少量で存在する。異なる決定基(エピトープ)に対して指向される異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向される。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらに他の免疫グロブリンが混入していないという点で有利である。「モノクローナル」という修飾語句は、実質的に同種の抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本明細書に提供される方法に従って使用するためのモノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature256:495(1975)が初めて説明したハイブリドーマ法によって作製されても、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)によって作製されてもよい。「モノクローナル抗体」はまた、Clackson et al.,Nature352:624-628(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1991)に記載される技法を使用して、ファージ抗体ライブラリから単離されてもよい。
本明細書におけるモノクローナル抗体は、重鎖及び/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来するか、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または同種である一方で、残りの鎖(複数可)が、別の種に由来するか、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または同種である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、ならびにかかる抗体の断片を具体的に含むが、これは、それらが所望の生物学的活性を呈する場合に限る(米国特許第4,816,567号、Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA81:6851-6855(1984))。本明細書において目的とするキメラ抗体としては、非ヒト霊長類(例えば、ヒヒ、アカゲザル、またはカニクイザル等の旧世界ザル)に由来する可変ドメイン抗原結合配列と、ヒト定常領域配列とを含む、「霊長類化」抗体が含まれる(米国特許第5,693,780号)。
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含有するキメラ抗体である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域由来の残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類等の非ヒト種(供与体抗体)の超可変領域由来の残基に置き換えられる、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの事例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも供与体抗体にも見られない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体性能を更に洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、上述のFR置換(複数可)を除いて、超可変ループの全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、かつFRの全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFRである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、任意に、免疫グロブリンの定常領域、典型的には、ヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部分を含む。更なる詳細については、例えば、Jones et al.,Nature321:522-525(1986)、Riechmann et al.,Nature332:323-329(1988)、及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照されたい。
本明細書における目的のために、「無傷抗体」とは、重可変ドメイン及び軽可変ドメイン、ならびにFc領域を含むものである。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列の定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列変異形であり得る。好ましくは、無傷抗体は、1つ以上のエフェクター機能を有する。
「天然抗体」は、通常2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖からなる約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖が1つのジスルフィド共有結合により重鎖に結合している一方で、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。各重鎖及び軽鎖は、規則的に離間した鎖内ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、一方の端に可変ドメイン(VH)を有し、いくつかの定常ドメインが続く。各軽鎖は、一方の端(VL)に可変ドメインを有し、その他方の端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列する。特定のアミノ酸残基が、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられている。
「ネイキッド抗体」は、細胞毒性部分等の異種分子または放射性標識にコンジュゲートされない(本明細書に定義される)抗体である。
本明細書で使用されるとき、「イムノアドヘシン」という用語は、異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合特異性と免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能とを組み合わせた分子を指す。構造的に、イムノアドヘシンは、所望の結合特異性を有するアミノ酸配列(このアミノ酸配列は、抗体の抗原認識部位及び結合部位以外のものである(すなわち、抗体の定常領域と比較して「異種」である))と、免疫グロブリン定常ドメイン配列(例えば、IgGのCH2及び/またはCH3配列)との融合体を含む。例示的なアドヘシン配列としては、目的とするタンパク質に結合する受容体またはリガンドの一部分を含む、連続したアミノ酸配列が挙げられる。アドヘシン配列は、目的とするタンパク質に結合するが、受容体またはリガンド配列ではない配列(例えば、ペプチボディにおけるアドヘシン配列)でもあり得る。かかるポリペプチド配列は、ファージディスプレイ技法及びハイスループット選別法を含む様々な方法によって選択または特定され得る。イムノアドヘシンにおける免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG-1、IgG-2、IgG-3、またはIgG-4サブタイプ、IgA(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD、またはIgM等の任意の免疫グロブリンから得られ得る。
いくつかの実施形態では、抗体の「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域またはアミノ酸配列変異形Fc領域)に起因する生物学的活性を指し、抗体アイソタイプにより異なる。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合及び補体依存性細胞毒性、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)、食作用、細胞表面受容体の下方調節が挙げられる。
「補体依存性細胞毒性」または「CDC」とは、補体の存在下で標的を溶解する分子の能力を指す。補体活性化経路は、補体系(C1q)の第1の成分の、同族抗原と複合した分子(例えば、ポリペプチド(例えば、抗体))への結合によって開始される。補体活性化を評価するために、例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods202:163(1996)に記載のCDCアッセイが行われ得る。
「抗体依存性細胞媒介細胞毒性」及び「ADCC」は、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞毒性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)が標的細胞上の結合した抗体を認識し、その後、標的細胞の溶解を引き起こす、細胞媒介反応を指す。ADCCを媒介するための初代細胞であるNK細胞が、FcγRIIIのみを発現する一方で、単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞でのFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol9:457-92(1991)の464頁の表3に要約されている。目的とする分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または同第5,821,337号に記載されるもの等のインビトロADCCアッセイを行ってもよい。かかるアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいは、または加えて、目的とする分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)95:652-656(1998)に開示されるもの等の動物モデルにおいて評価され得る。
「ヒトエフェクター細胞」は、1つ以上のFcRを発現し、エフェクター機能を果たす白血球である。いくつかの実施形態では、これらの細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を果たす。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞毒性T細胞、及び好中球が挙げられ、PBMC及びNK細胞が好ましい。
「Fc受容体」または「FcR」という用語は、抗体のFc領域に結合する受容体を説明するために使用される。いくつかの実施形態では、FcRは、天然配列ヒトFcRである。更に、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、これらの受容体の対立遺伝子変異形及びあるいはスプライシング形態を含む、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)を含み、これらは、主にその細胞質ドメインが異なる同様のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(ITAM)を含有する。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系阻害モチーフ(ITIM)を含有する(Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203-234(1997)を参照されたい)。FcRは、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol9:457-92(1991)、Capel et al.,Immunomethods4:25-34(1994)、及びde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med.126:330-41(1995)に概説されている。今後特定されるものも含む他のFcRが、本明細書における「FcR」という用語に包含される。この用語は、母体IgGの胎児への移行に関与する新生児受容体FcRnも含む(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994))。
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養物」という用語は、互換的に使用され、外因性核酸が中に導入された細胞を指し、かかる細胞の子孫を含む。宿主細胞としては、「形質転換体」及び「形質転換細胞」が挙げられ、これらは、初代形質転換細胞及び継代数に関わらずそれに由来する子孫を含む。子孫は、親細胞と核酸含有量の点で完全に同一ではない可能性があるが、変異を含み得る。元来形質転換された細胞についてスクリーニングまたは選択されたものと同じ機能または生物学的活性を有する変異子孫が、本明細書に含まれる。
本明細書で使用されるとき、「不純物」という用語は、所望のポリペプチド産物とは異なる材料または物質を指す。ある特定の実施形態では、ポリペプチド産物は、二重特異性抗体を含む抗体を含む。不純物としては、宿主細胞材料(E.coli宿主細胞タンパク質(ECP)等);浸出タンパク質A;核酸;所望のポリペプチドの変異形、断片、凝集体、または誘導体、別のポリペプチド;内毒素;ウイルス;細胞培養培地成分等が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの例では、不純物は、例えば、細菌細胞(E.coli細胞(例えば、ECP)等)、真核生物細胞、酵母細胞、哺乳動物細胞、鳥類細胞、真菌細胞等であるが、これらに限定されないものに由来する、宿主細胞タンパク質(HCP)であり得る。いくつかの実施形態では、不純物は、クリッピングされたFkpA及び/またはFkpAの凝集体であり得る。いくつかの実施形態では、不純物は、多重特異性抗体(例えば、FkpA、DsbA、及びDsbC等のシャペロン)の発現、折り畳み、または組み立てを容易にするために使用される付属タンパク質を指し得る。いくつかの実施形態では、不純物は、一アーム抗体及び誤組み立て抗体等の産物特異的ポリペプチド、塩基性変異形及び酸性変異形を含む抗体変異形、ならびに凝集体を指し得る。
「単離された」核酸とは、その天然環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸は、通常核酸分子を含有する細胞内に含有される核酸分子を含むが、その核酸分子が染色体外に、またはその天然染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
参照ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入して、最大の配列同一性パーセントを達成した後の、かつ配列同一性の一環としていずれの保存的置換も考慮しない、参照ポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一の候補配列におけるアミノ酸残基の割合と定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するための整列は、当該技術分野の技術範囲内の様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN等の公的に入手可能なコンピュータソフトウェア、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを使用して達成され得る。当業者であれば、比較される配列の全長にわたって最大整列を達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含む、配列の整列に適切なパラメータを決定することができる。ある特定の実施形態では、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって記述され、ソースコードは、ユーザ文書とともに米国著作権庁(U.S.Copyright Office)(Washington D.C.,20559)に提出されており、米国著作権番号TXU510087の下に登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.,South San Francisco,Californiaから公的に入手可能であるか、またはソースコードからコンパイルされ得る。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含むUNIXオペレーティングシステムでの使用のためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定されており、変動しない。
ALIGN-2がアミノ酸配列比較に用いられる状況下で、所与のアミノ酸配列Bへの、それとの、またはそれに対する所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、それとの、またはそれに対するある特定のアミノ酸配列同一性%を有するか、または含む所与のアミノ酸配列Aと表現され得る)は、以下のように計算される。
100×画分X/Y
式中、Xは、配列整列プログラムALIGN-2によって、そのプログラムのA及びBの整列において完全な一致としてスコア化されたアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、BへのAのアミノ酸配列同一性%は、AへのBのアミノ酸配列同一性%と等しくはならないことが理解されるであろう。別途具体的に述べられない限り、本明細書で使用される全てのアミノ酸配列同一性%値は、直前の段落に記載されるように、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して得られる。
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖(それぞれ、VH及びVL)の可変ドメインは、一般に、各ドメインが4つの保存フレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む、同様の構造を有する。(例えば、Kindt et al.,Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page91(2007)を参照されたい。)単一のVHドメインまたはVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。更に、特定の抗原に結合する抗体を、抗原に結合する抗体のVHドメインまたはVLドメインを使用して単離して、それぞれ、相補的VLドメインまたはVHドメインのライブラリをスクリーニングすることができる。例えば、Portolano et al.,J.Immunol.150:880-887(1993)、Clarkson et al.,Nature352:624-628(1991)を参照されたい。
本明細書で使用されるとき、「ベクター」という用語は、それが結合している別の核酸を増殖させることができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、ならびにそれが中に導入される宿主細胞のゲノム内に組み込まれたベクターを含む。ある特定のベクターは、それらが作動可能に結合している核酸の発現を指向することができる。かかるベクターは、本明細書で「発現ベクター」と称される。
クロマトグラフィーに関して本明細書で使用される「逐次的」という用語は、第1のクロマトグラフィーステップに続いて第2のクロマトグラフィーステップを有することを指す。いくつかの実施形態では、「逐次的」という用語は、第1のクロマトグラフィーステップに2つ以上の追加のステップが続く文脈で使用される。いくつかの例では、クロマトグラフィーに関して本明細書で使用されるとき、「逐次的」という用語は、特定の順序でのクロマトグラフィーステップを指し、例えば、第1のクロマトグラフィーステップに第2のクロマトグラフィーステップが続き、その後に第3のクロマトグラフィーステップが続くこと等である。非クロマトグラフィーステップ(例えば、pH及び/または伝導度調整、濾過、濃縮)を含むが、これらに限定されない追加のステップが、第1のクロマトグラフィーステップと追加のクロマトグラフィーステップとの間に含まれてもよい。
クロマトグラフィーに関して本明細書で使用されるとき、「連続」という用語は、直接、または第1のクロマトグラフィー材料と第2のクロマトグラフィー材料との間の連続流を可能にするいくつかの他の機構を介してのいずれかで連結された、これらの2つのクロマトグラフィー材料を有することを指す。
「装填密度」とは、クロマトグラフィー材料の体積(例えば、リットル)と接触した組成物の質量(例えば、グラム)を指す。いくつかの例では、装填密度は、g/Lで表わされる。
本明細書における「約」値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする変動を含む(かつ説明する)。例えば、「約X」に言及する説明は、「X」の説明を含む。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「1つの」、「または」、及び「その」は、別途文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書に記載の本発明の態様及び変形形態は、態様及び変形形態「からなる」及び/または「から本質的になる」を含むことが理解される。
II.FkpAの精製方法
FkpAの超高純度調製物の生成方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、調製物は、約95.0%、約96.0%、約97.0%、約98.0%、約99.0%、約99.1%、約99.2%、約99.3%、約99.4%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、約99.8%、約99.9%のうちのいずれかを超える純度のFkpAを含む。いくつかの実施形態では、99%の純度の調製物は、調製物中の材料の1%以下が、FkpAの産生中に存在する細胞または細胞溶解物中に存在する物質(例えば、タンパク質、核酸、脂質等)であることを示す。FkpAの99%の純度の調製物は、FkpAの精製または製剤化に使用される緩衝液、塩、または他の賦形剤を含有し得る。
いくつかの態様では、本発明は、FkpAの超高純度調製物の生成方法を提供する。いくつかの実施形態では、FkpAは、E.coli培養物等の細菌発酵培養物でFkpAを過剰発現することによって産生される。いくつかの実施形態では、E.coli培養物等の細菌発酵培養物は、内因性FkpAに加えて外因性FkpAを発現する。いくつかの実施形態では、FkpAは、E.coli培養物等の細菌発酵培養物で外因性FkpAを発現することによって産生される。したがって、ある特定の実施形態では、本方法は、外因性FkpAの発現を可能にする条件下でE.coli培養物を培養するステップを更に含む。発酵後、細菌細胞は収集され、遠心分離される。結果として生じる細胞ペーストが溶解緩衝液(例えば、25mMのMES(pH6.0))中に再懸濁され、(例えば、微小流動化剤を使用することによって)溶解される。いくつかの実施形態では、細胞溶解物は、ポリエチレンイミン(PEI)で調整される。いくつかの実施形態では、細胞溶解物は、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、または約1.0%のうちのいずれかを超える最終濃度で、PEIで調整される。いくつかの実施形態では、細胞溶解物は、約15分間、約30分間、約45分間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約8時間、約12時間、約16時間、約20時間、または約24時間のうちのいずれかを超えて、PEIで調整される。いくつかの実施形態では、細胞溶解物は、約0℃、約4℃、または約21℃のうちのいずれかを超える温度で、PEIで調整される。いくつかの実施形態では、細胞溶解物は、周囲温度(約21℃)で、PEIで調整される。いくつかの実施形態では、PEIで調整された溶解物を遠心分離して、粒子状物質を除去する。いくつかの実施形態では、PEIで調整された溶解物は、クロマトグラフィー前に濾過される。いくつかの実施形態では、PEIで調整された溶解物は、クロマトグラフィー前に22μmのフィルターを通して濾過される。
いくつかの実施形態では、本方法は、FkpAポリペプチド及び不純物を含む細胞溶解物からのFkpAポリペプチドの精製方法であって、b)遠心分離により細胞溶解物を浄化することと、c)FkpAポリペプチドを含む浄化された細胞溶解物を陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用することと、d)陰イオン交換クロマトグラフィー材料からFkpAポリペプチドを溶出させて、FkpAポリペプチドを含む陽イオン交換溶出物を生成することと、e)FkpAポリペプチドを含む陽イオン交換溶出物を疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)材料に適用することと、f)HIC材料からFkpAポリペプチドを溶出させて、HIC溶出物を生成することと、g)FkpAポリペプチドを含むHIC溶出物をサイズ排除クロマトグラフィーに適用することと、h)サイズ排除クロマトグラフィーから精製されたFkpAポリペプチドを含む画分を収集することとを含む、方法を含む。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、負に荷電した基(「リガンド」)を含有し、固相上またはその中を通過した水溶液中の陽イオンと交換するための遊離陽イオンを有する、固相である。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、陽イオン交換材料は、膜、モノリス、または樹脂であり得る。一実施形態では、陽イオン交換材料は、樹脂であり得る。上述のいくつかの実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、陽イオン交換クロマトグラフィーカラムである。上述のいくつかの実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、陽イオン交換クロマトグラフィー膜である。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、陽イオン交換材料は、従来のクロマトグラフィー材料または対流クロマトグラフィー材料を利用し得る。従来のクロマトグラフィー材料としては、例えば、灌流材料(例えば、ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)樹脂)及び拡散材料(例えば、架橋アガロース樹脂)が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)樹脂は、POROS(登録商標)樹脂であり得る。いくつかの実施形態では、架橋アガロース樹脂は、スルホプロピル-Sepharose(登録商標)Fast Flow(「SPSFF」)樹脂であり得る。対流クロマトグラフィー材料は、膜(例えば、ポリエーテルスルホン)またはモノリス材料(例えば、架橋ポリマー)であり得る。ポリエーテルスルホン膜は、Mustangであり得る。架橋ポリマーモノリス材料は、架橋ポリ(グリシジルメタクリレート-コ-エチレンジメタクリレート)であり得る。
本方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、陽イオン交換材料は、カルボン酸官能基またはスルホン酸官能基を含む。いくつかの実施形態では、官能基は、スルホプロピル、スルホエチル、スルホイソブチル、またはカルボキシルである。いくつかの実施形態では、陽イオン交換材料は、膜、モノリス、または樹脂粒子である。いくつかの実施形態では、陽イオン交換材料は、樹脂である。いくつかの実施形態では、陽イオン交換材料は、Mustang S、Sartobind S、SO3 Monolith、S Ceramic HyperD、POROS(登録商標)HS50、POROS(登録商標)HS20、スルホプロピル-Sepharose(登録商標)Fast Flow(SPSFF)、SP-Sepharose(登録商標)XL(SPXL)、CM Sepharose(登録商標)Fast Flow、Capto(商標)S、Fractogel Se HiCap、Fractogel SO3、またはFractogel COOである。いくつかの実施形態では、陽イオン交換材料は、POROS(登録商標)HS50である。陰イオン交換材料の例は、当該技術分野で既知であり、POROS(登録商標)HQ50、POROS(登録商標)PI50、POROS(登録商標)D、Mustang Q、Q Sepharose(登録商標)FF(QSFF)、及びDEAE Sepharose(登録商標)、またはこれらの等価物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、陰イオン交換材料は、弱陰イオン交換材料、例えば、DEAEである。他の実施形態では、陰イオン交換材料は、強陰イオン交換材料、例えば、QSFFである。いくつかの実施形態では、FkpAの精製に使用される陰イオン交換材料は、弱陰イオン交換材料である。いくつかの実施形態では、弱陰イオン交換材料は、第四級アミンを含む。いくつかの実施形態では、第四級アミンは、架橋アガロースに結合している。いくつかの実施形態では、FkpAの精製に使用される陰イオン交換材料は、DEAE Sepharose(登録商標)である。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、生体分子を疎水性に従って分離する液体クロマトグラフィー技法である。HIC材料の例としては、Toyopearl(登録商標)hexyl650、Toyopearl(登録商標)butyl650、Toyopearl(登録商標)phenyl650、Toyopearl(登録商標)ether650、Source、Resource、Sepharose(登録商標)Hi-Trap、butyl Sepharose(登録商標)、Octyl sepharose(登録商標)、phenyl Sepharose(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。上述のうちのいくつかの実施形態では、HIC材料は、HICカラムである。上述のうちのいくつかの実施形態では、HIC材料は、HIC膜である。いくつかの実施形態では、HIC材料は、ブチル部分を含む。いくつかの実施形態では、ブチル部分は、架橋アガロースに結合している。いくつかの実施形態では、FkpAの精製に使用されるHIC材料は、butyl Sepharose(登録商標)である。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーは、生体分子をそれらのサイズ及び形状に従って分離する液体クロマトグラフィー技法である。サイズ排除クロマトグラフィー材料は、特定の重量範囲の効率的な分子分離のために異なる孔径を有する。サイズ排除クロマトグラフィー材料の例としては、デキストラン、多孔質アガロース粒子、架橋アガロース、架橋アガロース及びデキストラン、ならびに架橋アクリルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。サイズ排除クロマトグラフィー材料の例としては、Sephadex、Superdex、Sephacryl、TSKgel、及びBio-Gelが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Superdex75サイズ排除クロマトグラフィーが、FkpAの精製に使用される。
FkpAを含む組成物のクロマトグラフィー材料への装填は、不純物からのFkpA産物の分離のために最適化され得る。いくつかの実施形態では、組成物のクロマトグラフィー材料への装填は、不純物のクロマトグラフィー材料への結合のために最適化される。例えば、本組成物は、装填緩衝液の伝導度を一定に保ちながら、いくつかの異なるpH値の装填緩衝液中のクロマトグラフィー材料、例えば、クロマトグラフィーカラムに装填され得る。あるいは、本組成物は、装填緩衝液のpHを一定に保ちながら、いくつかの異なる伝導度の装填緩衝液中のクロマトグラフィー材料に装填され得る。組成物のクロマトグラフィー材料への装填、及びクロマトグラフィー材料からの産物のプール画分中への後の溶出を完了させた時点で、プール画分中の不純物の量は、所与のpHまたは伝導度での産物の不純物からの分離に関する情報を提供する。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、FkpAを含む組成物は、陽イオン交換クロマトグラフィー材料の約10mg/mL、約9mg/mL、約8mg/mL、約7mg/mL、約6mg/mL、約5mg/mL、約4mg/mL、約3mg/mL、約2mg/mL、または約1mg/mLのうちのいずれか以下のポリペプチドの装填密度で陽イオン交換クロマトグラフィー材料に装填される。本組成物は、陽イオン交換クロマトグラフィー材料の約1mg/mL~約2mg/mL、約2mg/mL~約3mg/mL、約3mg/mL~約4mg/mL、約4mg/mL~約5mg/mL、約5mg/mL~約6mg/mL、約6mg/mL~約7mg/mL、約7mg/mL~約8mg/mL、約8mg/mL~約9mg/mL、または約9mg/mL~約10mg/mLのうちのいずれかのポリペプチドの装填密度で陽イオンクロマトグラフィー材料に装填され得る。いくつかの実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、アガロースに架橋しているスルホプロピル基、例えば、SP Sepharose(登録商標)である。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、FkpAを含む組成物は、HIC材料の約10mg/mL、約9mg/mL、約8mg/mL、約7mg/mL、約6mg/mL、約5mg/mL、約4mg/mL、約3mg/mL、約2mg/mL、または約1mg/mLのうちのいずれか以下のポリペプチドの装填密度でHIC材料に装填される。本組成物は、HIC材料の約1mg/mL~約2mg/mL、約2mg/mL~約3mg/mL、約3mg/mL~約4mg/mL、約4mg/mL~約5mg/mL、約5mg/mL~約6mg/mL、約6mg/mL~約7mg/mL、約7mg/mL~約8mg/mL、約8mg/mL~約9mg/mL、または約9mg/mL~約10mg/mLのうちのいずれかのポリペプチドの装填密度でHIC材料に装填され得る。いくつかの実施形態では、HIC材料は、架橋アガロースに架橋しているブチル部分、例えば、Butyl Sepharose(登録商標)である。
クロマトグラフィー材料からのFkpAの溶出は、最小不純物及び最小プール体積でのFkpAの収率のために最適化され得る。例えば、本組成物は、装填緩衝液中のクロマトグラフィー材料、例えば、クロマトグラフィーカラムに装填され得る。装填を完了させた時点で、クロマトグラフィー材料をまず洗浄し、その後、溶出緩衝液の伝導度を一定に保ちながら、いくつかの異なるpHの緩衝液で溶出させる。あるいは、産物は、溶出緩衝液のpHを一定に保ちながら、いくつかの異なる伝導度の溶出緩衝液中のクロマトグラフィー材料から溶出され得る。クロマトグラフィー材料からの産物の溶出を完了させた時点で、プール画分中の不純物の量は、所与のpHまたは伝導度での産物の不純物からの分離に関する情報を提供する。多数の画分(例えば、8カラム体積)における産物の溶出は、溶出プロファイルの「テーリング」を示す。本発明のいくつかの実施形態では、溶出のテーリングが最小限に抑えられる。
例えば、緩衝液の所望のpH、緩衝液の所望の伝導度、目的とするタンパク質の特徴、及び精製方法に応じて用いられ得る、様々な緩衝液。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、緩衝液を使用することを含む。緩衝液は、装填緩衝液、平衡化緩衝液、または洗浄緩衝液であり得る。いくつかの実施形態では、装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液のうちの1つ以上は、同じである。いくつかの実施形態では、装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液は、異なる。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、緩衝液は、塩を含む。装填緩衝液は、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、またはそれらの混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、装填緩衝液は、塩化ナトリウム緩衝液である。いくつかの実施形態では、装填緩衝液は、酢酸ナトリウム緩衝液である。
本明細書で使用されるとき、装填物とは、クロマトグラフィー材料に装填された組成物である。装填緩衝液は、FkpAを含む組成物をクロマトグラフィー材料に装填するために使用される緩衝液である。クロマトグラフィー材料は、精製される組成物の装填前に平衡化緩衝液で平衡化され得る。いくつかの例では、洗浄緩衝液は、組成物をクロマトグラフィー材料に装填した後、かつ目的とするポリペプチドを固相から溶出させる前に使用される。
本明細書で使用されるとき、溶出とは、クロマトグラフィー材料からの産物、例えば、FkpAの除去である。溶出緩衝液は、クロマトグラフィー材料から目的とするポリペプチドまたは他の産物を溶出させるために使用される緩衝液である。多くの場合、溶出緩衝液は、装填緩衝液とは異なる物理的特徴を有する。例えば、溶出緩衝液は、装填緩衝液とは異なる伝導度または装填緩衝液とは異なるpHを有し得る。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液よりも低い伝導度を有する。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液よりも高い伝導度を有する。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液よりも低いpHを有する。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液よりも高いpHを有する。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液とは異なる伝導度及び異なるpHを有する。溶出緩衝液は、より高いまたはより低い伝導度、及びより高いまたはより低いpHの任意の組み合わせを有し得る。
伝導度とは、2つの電極間に電流を伝導する水溶液の能力を指す。溶液中、電流は、イオン輸送により流れる。したがって、水溶液中に存在するイオンの量が増加すると、この溶液は、より高い伝導度を有するようになる。伝導度の尺度の基本単位は、ジーメンス(またはmho)、mho(mS/cm)であり、様々なモデルのOrion伝導度計等の伝導度計を使用して測定され得る。電解質伝導度は、電流を搬送する溶液中のイオンの能力であるため、溶液の伝導度は、その中のイオンの濃度を変化させることによって改変され得る。例えば、溶液中の緩衝剤の濃度及び/または塩(例えば、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、もしくは塩化カリウム)の濃度を改変して、所望の伝導度を達成し得る。好ましくは、様々な緩衝液の塩濃度を修正して、所望の伝導度を達成する。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、陽イオン交換装填緩衝液は、約4.0mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cm、約9.0mS/cm、約9.5mS/cm、または約10mS/cmのうちのいずれかを超える伝導度を有する。伝導度は、約4mS/cm~約17mS/cm、約4mS/cm~約10mS/cm、約4mS/cm~約7mS/cm、約5mS/cm~約17mS/cm、約5mS/cm~約10mS/cm、または約5mS/cm~約7mS/cmのうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、伝導度は、約4mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cm、約9.0mS/cm、約9.5mS/cm、または約10mS/cmのうちのいずれかである。一態様では、伝導度は、装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液の伝導度である。いくつかの実施形態では、装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び洗浄緩衝液のうちの1つ以上の伝導度は、同じである。いくつかの実施形態では、装填緩衝液の伝導度は、洗浄緩衝液及び/または平衡化緩衝液の伝導度とは異なる。
いくつかの実施形態では、陽イオン交換溶出緩衝液は、装填緩衝液の伝導度を超える伝導度を有する。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、約5mS/cm、約10mS/cm、約15mS/cm、約20mS/cm、約25mS/cm、約30mS/cm、約35mS/cm、約40mS/cm、約45mS/cm、約50mS/cm、約55mS/cm、約60mS/cm、約65mS/cm、約70mS/cm、約75mS/cm、約80mS/cm、約85mS/cm、約90mS/cm、約95mS/cm、または約100mS/cmのうちのいずれかを超える伝導度を有する。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液の伝導度は、溶出緩衝液の塩濃度を改変することによって改変される。
いくつかの実施形態では、HIC装填緩衝液は、溶出緩衝液の伝導度を超える伝導度を有する。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、HIC装填緩衝液は、約5mS/cm、約10mS/cm、約15mS/cm、約20mS/cm、約25mS/cm、約30mS/cm、約35mS/cm、約40mS/cm、約45mS/cm、約50mS/cm、約55mS/cm、約60mS/cm、約65mS/cm、約70mS/cm、約75mS/cm、約80mS/cm、約85mS/cm、約90mS/cm、約95mS/cm、または約100mS/cmのうちのいずれかを超える伝導度を有する。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液の伝導度は、溶出緩衝液の塩濃度を改変することによって改変される。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、HIC溶出緩衝液は、約4.0mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cm、約9.0mS/cm、約9.5mS/cm、または約10mS/cmのうちのいずれか未満の伝導度を有する。
上記の実施形態のうちのいずれかのいくつかの態様では、溶出緩衝液の伝導度は、段階勾配または線形勾配により装填物及び/または洗浄緩衝液から均一濃度で変化したものである。
いくつかの実施形態では、FkpAは、9カラム体積にわたって、約0%~約60%の10mMのMES及び300mMのNaClの塩勾配で陽イオン交換クロマトグラフィー材料から溶出される。
いくつかの実施形態では、FkpAは、FkpAがHIC材料から溶出するまで、精製水を使用してHIC材料から溶出される。
FkpAの等電点の計算値は、タンパク質のアミノ酸含有量に基づいて、約7.01である。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、陽イオン交換装填緩衝液は、約10、約9、約8、約7、約6、または約5のうちのいずれか未満のpHを有する。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、装填緩衝液は、約4、約5、約6、約7、約8、または約9のうちのいずれかを超えるpHを有する。いくつかの実施形態では、装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液のうちの1つ以上のpHは、同じである。いくつかの実施形態では、装填緩衝液のpHは、平衡化緩衝液及び/または洗浄緩衝液のpHとは異なる。いくつかの実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィーの装填緩衝液のpHは、約pH6.0である。
いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液のpH未満のpHを有する。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、約8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2のうちのいずれか未満のpHを有する。溶出緩衝液のpHは、約4~約9、約4~約8、約4~約7、約4~約6、約4~約5、約5~約9、約5~約8、約5~約7、約5~約6、約6~約9、約6~約8、約6~約7のうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、または約9.0のうちのいずれかである。いくつかの実施形態では、FkpAを含む組成物は、pH8の装填緩衝液中の陰イオン交換材料に装填され、pH約7.0または7.1の溶出緩衝液中の陰イオン交換材料から溶出される。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、HIC装填緩衝液は、約6.0、約7.0、または約8.0のうちのいずれか未満のpHを有する。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、装填緩衝液は、約6.0、約7.0、または約8.0のうちのいずれかを超えるpHを有する。いくつかの実施形態では、装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液のうちの1つ以上のpHは、同じである。いくつかの実施形態では、装填緩衝液のpHは、平衡化緩衝液及び/または洗浄緩衝液のpHとは異なる。
いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーは、貫流モードまたは示差分配モードで使用される。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーに使用される緩衝液は、PBS(pH7.5±0.4)である。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、流量は、約50CV/時間、約40CV/時間、または約30CV/時間のうちのいずれか未満である。流量は、約5CV/時間~約50CV/時間、約10CV/時間~約40CV/時間、または約18CV/時間~約36CV/時間のうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、流量は、約9CV/時間、約18CV/時間、約25CV/時間、約30CV/時間、約36CV/時間、または約40CV/時間のうちのいずれかである。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、流量は、約200cm/時間、約150cm/時間、約100cm/時間、約75cm/時間、または約50cm/時間のうちのいずれか未満である。流量は、約25cm/時間~約200cm/時間、約25cm/時間~約175cm/時間、約25cm/時間~約150cm/時間、約25cm/時間~約100cm/時間、約50cm/時間~約100cm/時間、または約65cm/時間~約85cm/時間のうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、流量は約0.1mL/分、約0.25mL/分、約0.5mL/分、約0.75mL/分、約1mL/分、約2mL/分、約3mL/分、約4mL/分、約5mL/分、約6mL/分、約7mL/分、約8mL/分、約9mL/分、約10mL/分、約11mL/分、約12mL/分、約13mL/分、約14mL/分、約15mL/分、約20mL/分、約25mL/分、及び約50mL/分を超える。いくつかの実施形態では、流量は、約0.1mL/分~約1mL/分、約1mL/分~約5mL/分、約1mL/分~約10mL/分、約5mL/分~約10mL/分、約10mL/分~約15mL/分、約10mL/分~約25mL/分、及び約15mL/分~約25mL/分である。いくつかの実施形態では、FkpAの陰イオン交換クロマトグラフィーの流量は、約13.3ml/分である。いくつかの実施形態では、FkpAの疎水性相互作用クロマトグラフィーの流量は、約13.2ml/分である。いくつかの実施形態では、FkpAのサイズ排除クロマトグラフィーの流量は、約1ml/分である。
床高さとは、使用されるクロマトグラフィー材料の高さである。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、床高さは、約3cm、約10cm、約15cm、約20cm、約25cm、約30cm、約35cm、約40cm、約45cm、約50cm、約60cm、約70cm、約80cm、約90cm、または約100cmのうちのいずれかを超える。床高さは、約3cm~約50cm、約5cm~約35cm、約3cm~約35cm、または約5cm~約50cmのうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、床高さは、装填物中のポリペプチドまたは不純物の量に基づいて決定される。
いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーは、約1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、15mL、20mL、25mL、30mL、40mL、50mL、75mL、100mL、または200mLを超える体積を有する容器のカラム内で行われる。
本発明のいくつかの実施形態では、画分は、クロマトグラフィーから収集される。いくつかの実施形態では、収集される画分は、約0.01CV、0.02CV、0.03CV、0.04CV、0.05CV、0.06CV、0.07CV、0.08CV、0.09CV、0.1CV、0.2CV、0.3CV、0.4CV、0.5CV、0.6CV、0.7CV、0.8CV、0.9CV、1.0CV、2.0CV、3.0CV、4.0CV、5.0CV、6.0CV、7.0CV、8.0CV、9.0CV、または10.0CVを超える。いくつかの実施形態では、産物、例えば、ポリペプチドを含有する画分が、プールされる。いくつかの実施形態では、装填画分及び溶出画分からのポリペプチドを含有する画分が、プールされる。画分中のポリペプチドの量は、当業者によって決定され得、例えば、画分中のポリペプチドの量は、紫外分光法によって決定され得る。いくつかの実施形態では、検出可能なポリペプチド断片を含有する画分が、プールされる。いくつかの実施形態では、画分中のFkpAの存在及び純度は、サイズ排除クロマトグラフィーによって決定される。
例示的な実施形態
いくつかの実施形態では、本発明は、FkpAの超高純度調製物を産生するための、以下の例示的ではあるが非限定的な方法を提供する。FkpAを、E.coliで発現させる。細胞ペーストを、10体積で、25mMのMES(pH6.0)(溶解緩衝液)中に懸濁させ、懸濁液が均質になるまで混合する。室内圧力(6000~8000psi)での4回通過で、微小流動化剤HC-8000を使用して、細胞溶解を行う。SS-34回転子を使用してRC6遠心分離機内で、懸濁液を15,000rpmで30分間遠心分離する。
他の実施形態では、細胞ペーストを、50mMのMES(pH6.0)中に懸濁させ(50g細胞ペースト/1L)、懸濁液が均質になるまで混合する。室内圧力(約7000psi)での3回通過で、微小流動化剤110Fを使用して、細胞溶解を行う。ホモジネートを(10%PEIストック溶液を使用して)0.1%のPEIになるように調整し、周囲温度(約21℃)で30分間混合する。「GSA」回転子を使用してSorval RC-5B+遠心分離機内で、懸濁液を8500rpmで30分間遠心分離する。遠心分離物を収集し、0.22umのDuraporeフィルターを通して濾過する。
(a)SP Sepharose(登録商標)Fast Flow
浄化された遠心分離物(1.5MのTris塩基でpH8.0に調整)を、結合及び溶出モードでDEAE Sepharose(登録商標)Fast Flow(GE Healthcare)を含有するカラムに装填する。カラムは、以下の特性を有し、つまり、カラムは、27.0cm(高さ)×2.6cm(直径)、体積145mL、タンパク質容量50mg/mL以下の樹脂であった。カラムを、3CVの250mMのMES(pH6.0)で事前平衡化し、25mMのMES(pH6.0)で平衡化する。装填終了時、カラムを3CVの平衡化緩衝液で洗浄する。0~30%の緩衝液B(25mMのMES、300mMのNaCl)の9CVの勾配を使用して、FkpAを溶出させる。画分を、SDS-PAGEによって分析する。
(b)Butyl-S Sepharose(登録商標)
その後、プールされたSP画分を、結合及び溶出モードでButyl-S Sepharose(登録商標)クロマトグラフィー材料に適用する。カラムは、以下の特性を有し、つまり、カラム寸法は、9.4cm(高さ)×2.6cm(直径)、体積50mL、タンパク質容量20mg/mL以下の樹脂であった。カラムを、300mMの硫酸ナトリウム、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.0)で平衡化する。等体積の50mMのリン酸塩、0.6Mの硫酸ナトリウム(pH7.0)の添加によってSPプールを調整してから、Butyl-S Sepharose(登録商標)カラムに装填する。その後、カラムを50mMのリン酸塩、300mMの硫酸ナトリウム(pH7.0、3CV)で洗浄する。FkpAを、精製水でカラムから溶出させる。画分を収集し、カラム画分のSDS-PAGE分析によって分析する。
(c)Superdex200
その後、プールされたButyl Sepharose(登録商標)画分を、Superdex200を使用してサイズ排除クロマトグラフィーに供する。このステップを使用して、いかなる残留高分子量種及び低分子量種も除去し、FkpAを製剤化する。Superdex200は、10~600kDalの分子量を有する分子の分画範囲を有し、FkpA等のタンパク質に適している。カラムは、Superdex200であり、以下の特性を有し、つまり、カラムは、60cm×2.6cmの直径、体積320mL、装填体積16mL以下であった。遠心分離フィルターを使用して、HICプール(画分7~11)を16mL以下(SEC CVの5%以下)の体積に濃縮する。これらの装置を、20分間隔でEppendorf臨床遠心分離機を使用して目標体積に到達するまで3000rpmで遠心分離する。Superdex200サイズ排除カラムを、3CVのPBS(pH7.5±0.4)で平衡化する。Butyl Sepharose(登録商標)画分を、カラムに装填し、PBS(pH7.5±0.4)で1mL/分の流量でさせる。
FkpAの純度の決定方法
FkpAの調製物の純度の決定方法は、当該技術分野で既知である。いくつかの実施形態では、調製物中のFkpAの純度は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定される。いくつかの実施形態では、調製物中のFkpAの純度は、高性能液体クロマトグラフィーサイズ排除クロマトグラフィー(HPLC SEC)によって決定される。いくつかの実施形態では、調製物中のFkpAの純度は、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって決定される。いくつかの実施形態では、SDS PAGEゲル上のタンパク質は、蛍光タンパク質画像化を使用して特定される。いくつかの実施形態では、SDS PAGEは、Sypro(登録商標)Rubyを使用して画像化される。いくつかの実施形態では、SDS-PAGE上のタンパク質は、Heukeshoven銀染色を使用して可視化される。他の実施形態では、FkpA分子の同一性は、N末端配列分析、ペプチド質量フィンガープリント法(PMF)、CHIP TOFによる無傷/還元質量、及びウエスタンブロット分析を含むが、これらに限定されない特性評価アッセイを使用して確認される。
いくつかの実施形態では、本発明は、FkpAの超高純度調製物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、FkpAが調製物の少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99.5%のうちのいずれかを構成するFpkAの調製物を提供する。いくつかの実施形態では、FkpAは、調製物の約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、及び/または約99.5%のうちのいずれかである。いくつかの実施形態では、調製物は、約1%、約0.9%、約0.8%、約0.7%、約0.6%、約0.5%、約0.4%、約0.3%、約0.2%、約0.1%、約0.09%、約0.08%、約0.07%、約0.06%、約0.05%、約0.04%、約0.03%、約0.02%、または約0.01%のうちのいずれか未満の不純物を含む。不純物としては、E.coli宿主細胞タンパク質等の宿主細胞タンパク質、核酸、ウイルス、細胞培養培地成分等の細胞培養成分、及びFkpAの凝集体またはFkpAの断片(例えば、FkpAの非機能的断片)が挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、調製物は、約2%、約1.5%、または約1%未満のうちのいずれかの低分子量種を含む。いくつかの実施形態では、調製物は、約1%、0.5%、または0.1%未満の高分子量種を含む。いくつかの実施形態では、高分子量種は、検出不能である。いくつかの実施形態では、FkpA、低分子量種、及び/または高分子量種の存在は、SECによって検出される。
いくつかの実施形態では、本発明は、FkpAの超高純度調製物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、FkpAが調製物の少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99.5%のうちのいずれかを構成するFkpAの調製物を提供する。いくつかの実施形態では、FkpAは、調製物の約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、及び/または約99.5%のうちのいずれかである。いくつかの実施形態では、調製物は、約1%、約0.9%、約0.8%、約0.7%、約0.6%、約0.5%、約0.4%、約0.3%、約0.2%、約0.1%、約0.09%、約0.08%、約0.07%、約0.06%、約0.05%、約0.04%、約0.03%、約0.02%、または約0.01%のうちのいずれか未満の不純物を含む。不純物としては、E.coli宿主細胞タンパク質等の宿主細胞タンパク質、核酸、ウイルス、細胞培養培地成分等の細胞培養成分、及びFkpAの凝集体またはFkpAの断片(例えば、FkpAの非機能的断片)が挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、調製物は、約1%、約0.5%、または約0.1%のうちのいずれか未満の低分子量種を含む。いくつかの実施形態では、調製物は、約1%、0.5%、または0.1%未満の高分子量種を含む。いくつかの実施形態では、FkpA、低分子量種、及び/または高分子量種の存在は、SECによって検出される。
宿主細胞DNA等のDNAの測定方法は、当該技術分野で既知であり、実施例の項に記載される。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、DNAの量は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%のうちのいずれかを超えて低減される。DNAの量は、約10%~99%、約30%~95%、約30%~99%、約50%~95%、約50%~99%、約75%~99%、または約85%~99%のうちのいずれかだけ低減され得る。DNAの量は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約99%のうちのいずれかだけ低減され得る。いくつかの実施形態では、低減は、精製ステップ(複数可)から回収された組成物中のDNAの量を、精製ステップ(複数可)前の組成物中のDNAの量と比較することによって決定される。
細胞培養培地成分とは、細胞培養培地中に存在する成分を指す。細胞培養培地は、細胞の採取時の細胞培養培地であり得る。いくつかの実施形態では、細胞培養培地成分は、ゲンタマイシンである。ゲンタマイシンの量は、ELISAによって測定され得る。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、細胞培養培地成分の量は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%のうちのいずれかを超えて低減される。細胞培養培地成分の量は、約10%~99%、約30%~95%、約30%~99%、約50%~95%、約50%~99%、約75%~99%、または約85%~99%のうちのいずれかだけ低減され得る。いくつかの実施形態では、細胞培養培地成分の量は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約98%のうちのいずれかだけ低減される。いくつかの実施形態では、低減は、精製ステップ(複数可)から回収された組成物中の細胞培養培地成分の量を、精製ステップ(複数可)前の組成物中の細胞培養培地成分の量と比較することによって決定される。
III.ポリペプチド-FkpA
本発明は、FkpAの超高純度調製物の生成方法を提供する。「FkpA」タンパク質という用語は、細菌FKBP型ペプチジル-プロリルシス-トランスイソメラーゼを指す。FkpAは、周辺質タンパク質ジスルフィドイソメラーゼIは、シス/トランスペプチジル-プロリルイソメラーゼ(PPIase)活性及びシャペロン活性の両方を呈する。FkpAは、ペプチドが細胞の周辺質内に出現するとき、ポリペプチドの折り畳みを補助し得る。いくつかの実施形態では、FkpAは、細菌由来である。いくつかの実施形態では、FkpAポリペプチドは、E.coli FkpAポリペプチドである。他の実施形態では、FkpAポリペプチドは、Enterobacteria、Azoarcus、Salmonella、Buchnera、Xanthmonas、Campylobacter、Shigella、Pseudomonas、Yersina、Erwinia、及びNeisseriaのうちのいずれかの種由来である。いくつかの実施形態では、FkpAポリペプチドは、配列番号1または配列番号2のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、FkpAポリペプチドは、配列番号1または配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%のうちのいずれかの同一性を有するアミノ酸配列を含む。
本明細書に記載の方法を使用して精製されるFkpAポリペプチドは、一般に、組換え技法を使用して産生される。細菌中での組換えポリペプチドの産生方法は、当該技術分野で既知である。組換え技法を使用する場合、ポリペプチドは、細胞内で産生され得るか、周辺質空間に産生され得るか、または培地に直接分泌され得る。いくつかの実施形態では、FkpAをコードする核酸は、ポリペプチドを過剰発現するために宿主細胞に導入される。ある特定の実施形態では、FkpAを過剰発現するように操作された宿主細胞は、遺伝子操作されていない宿主細胞によって産生されるレベルを超えるレベルで、FkpAを発現する。いくつかの実施形態では、FkpAをコードする核酸は、発現ベクター、例えば、プラスミドから発現される。いくつかの実施形態では、FkpAポリペプチドをコードする核酸は、配列番号3の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、FkpAをコードする核酸は、配列番号3の核酸配列と少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%のうちのいずれかの同一性を有する核酸配列を含む。
ポリペプチドは、培養培地または宿主細胞溶解物から回収され得る。ポリペプチドの発現に用いられる細胞は、様々な物理的または化学的手段(凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊、または細胞溶解剤等)によって破壊され得る。ポリペプチドが細胞内で産生される場合、第1のステップとして、宿主細胞または溶解された断片のいずれかの粒子状残屑が、例えば、遠心分離または限外濾過によって除去される。Carter et al.,Bio/Technology10:163-167(1992)は、E.coliの周辺質空間に分泌されるポリペプチドを単離するための手順を記載する。簡潔には、細胞ペーストを、酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、及びフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)の存在下で、約30分間にわたって融解する。細胞残屑は、遠心分離によって除去され得る。ポリペプチドが培地に分泌される場合、かかる発現系由来の上清が、一般に、市販のポリペプチド濃縮フィルター、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過装置を使用して最初に濃縮される。タンパク質分解を阻害するためにPMSF等のプロテアーゼ阻害剤が前述のステップのうちのいずれかに含まれてもよく、外来性汚染物質の成長を阻止するために抗生物質が含まれてもよい。
IV.産生時にFkpAが使用され得るポリペプチド。
タンパク質折り畳み及び組み立てがFkpA(例えば、外因性FkpA)の発現によって支援され得る、細菌(例えば、E coli)中に産生され得るポリペプチドの例としては、免疫グロブリン、イムノアドヘシン、抗体、半抗体、抗体断片、酵素、ホルモン、融合タンパク質、Fc含有タンパク質、免疫コンジュゲート、サイトカイン、及びインターロイキンが挙げられるが、これらに限定されない。ポリペプチドの例としては、レニン等の哺乳類タンパク質;ホルモン;ヒト成長ホルモン及びウシ成長ホルモン等の成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;アルファ-1-抗トリプシン;インスリンA-鎖;インスリンB-鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;第VIIIC因子、第IX因子、組織因子、及びフォン・ヴィレブランド因子等の凝固因子;タンパク質C等の抗凝固因子;心房性ナトリウム利尿因子;肺表面活性剤;ウロキナーゼまたはヒト尿もしくは組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)等のプラスミノーゲン活性化因子;ボンベシン;トロンビン;造血成長因子;腫瘍壊死因子-アルファ及び-ベータ;エンケファリナーゼ;RANTES(活性化時に調節され、正常T細胞が発現及び分泌している);ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP-1-アルファ);ヒト血清アルブミン等の血清アルブミン;ミュラー管抑制物質;レラキシンA-鎖;レラキシンB-鎖;プロリラキシン;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;酵素;ベータ-ラクタマーゼ等の微生物タンパク質;DNase;IgE;CTLA-4等の細胞毒性Tリンパ球関連抗原(CTLA);インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子(VEGF);ホルモンまたは成長因子の受容体;タンパク質AまたはD;リウマチ因子;骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3、-4、-5、もしくは-6(NT-3、NT-4、NT-5、もしくはNT-6)等の神経栄養因子、またはNGF-b等の神経成長因子;血小板由来成長因子(PDGF);aFGF及びbFGF等の線維芽細胞成長因子;表皮成長因子(EGF);TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、またはTGF-β5を含むTGF-アルファ及びTGF-ベータ等の形質転換成長因子(TGF);インスリン様成長因子-I及び-II(IGF-I及びIGF-II);des(1-3)-IGF-I(脳IGF-I)、インスリン様成長因子結合タンパク質(IGFBP);サイトカイン;CD3、CD4、CD8、CD19、及びCD20等のCDタンパク質;エリスロポエチン;骨誘導因子;免疫毒素;融合ポリペプチド、すなわち、2つ以上の異種ポリペプチドまたはその断片からなり、組換え核酸によってコードされるポリペプチド;Fc含有ポリペプチド、例えば、第2のポリペプチドに融合した免疫グロブリンFc領域を含む融合タンパク質、またはその断片;免疫コンジュゲート;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン-アルファ、-ベータ、及び-ガンマ等のインターフェロン;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、M-CSF、GM-CSF、及びG-CSF;インターロイキン(IL)、例えば、IL-1~IL-10、IL13、IL17;スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞受容体;表面膜タンパク質;分解促進因子;例えば、AIDSエンベロープの一部分等のウイルス抗原;輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレシン;調節タンパク質;CD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA-4、及びVCAM等のインテグリン;CA125(卵巣癌抗原)またはHER2、HER3、もしくはHER4受容体等の腫瘍関連抗原;イムノアドヘシン;ならびに上記に列挙されるタンパク質のうちのいずれかの断片及び/または変異形、ならびにタンパク質、例えば、上述のタンパク質のうちのいずれか等を含むタンパク質に結合する抗体断片を含む抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のアッセイ方法のうちのいずれかで使用するためのポリペプチド調製物は、目的とする抗体を含有し、すなわち、宿主細胞によって産生される組換えポリペプチドは、抗体である。
かかる抗体の分子標的としては、(i)CD3、CD4、CD13、CD8、CD19、CD11a、CD20、CD22、CD34、CD40、CD79α(CD79a)、及びCD79β(CD79b)、(ii)EGF受容体、HER2、HER3、またはHER4受容体等のErbB受容体ファミリーのメンバー、(iii)LFA-1、Mac1、p150,95、VLA-4、ICAM-1、VCAM、及びαv/β3インテグリン(それらのアルファサブユニットまたはベータサブユニットのいずれか(例えば、抗CD11a、抗CD18、または抗CD11b抗体)を含む)等の細胞接着分子、(iv)VEGF、IgE、血液型抗原;flk2/flt3受容体;肥満(OB)受容体;mpl受容体;CTLA-4;タンパク質C、BR3、c-met、組織因子、β7等の成長因子、ならびに(v)米国特許第7,521,541号に記載されるもの等の細胞表面及び膜貫通腫瘍関連抗原(TAA)等であるが、これらに限定されない、CDタンパク質及びそれらのリガンドが挙げられる。
他の例示的な抗体としては、抗エストロゲン受容体抗体、抗プロゲステロン受容体抗体、抗p53抗体、抗HER-2/neu抗体、抗EGFR抗体、抗カテプシンD抗体、抗Bcl-2抗体、抗E-カドヘリン抗体、抗CA125抗体、抗CA15-3抗体、抗CA19-9抗体、抗c-erbB-2抗体、抗P-糖タンパク質抗体、抗CEA抗体、抗網膜芽細胞腫タンパク質抗体、抗ras癌タンパク質抗体、抗ルイスX抗体、抗Ki-67抗体、抗PCNA抗体、抗CD3抗体、抗CD4抗体、抗CD5抗体、抗CD7抗体、抗CD8抗体、抗CD9/p24抗体、抗CD10抗体、抗CD11a抗体、抗CD11c抗体、抗CD13抗体、抗CD14抗体、抗CD15抗体、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD23抗体、抗CD30抗体、抗CD31抗体、抗CD33抗体、抗CD34抗体、抗CD35抗体、抗CD38抗体、抗CD41抗体、抗LCA/CD45抗体、抗CD45RO抗体、抗CD45RA抗体、抗CD39抗体、抗CD100抗体、抗CD95/Fas抗体、抗CD99抗体、抗CD106抗体、抗ubiquitin抗体、抗CD71抗体、抗c-myc抗体、抗サイトケラチン抗体、抗ビメンチン抗体、抗HPVタンパク質抗体、抗カッパ軽鎖抗体、抗ラムダ軽鎖抗体、抗メラノソーム抗体、抗前立腺特異抗原抗体、抗S-100抗体、抗タウ抗原抗体、抗フィブリン抗体、抗ケラチン抗体、及び抗Tn-抗原抗体から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
モノクローナル抗体
いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、実質的に同種の抗体の集団から得られ、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、同一であり、かつ/または同じエピトープに結合するが、モノクローナル抗体の産生中に生じる可能な変異形を除き、かかる変異形は、一般に、少量で存在する。したがって、「モノクローナル」という修飾語句は、別個の抗体またはポリクローナル抗体の混合物ではないという抗体の特徴を示す。
例えば、モノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature256:495(1975)が初めて説明したハイブリドーマ法を使用して作製されても、組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)によって作製されてもよい。
ハイブリドーマ方法では、マウスまたは他の適切な宿主動物が本明細書に記載されるように免疫化されて、免疫化に使用されるポリペプチドに特異的に結合する抗体を産生するか、または産生することができるリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球は、インビトロで免疫化され得る。その後、ポリエチレングリコール等の好適な融合剤で、リンパ球を骨髄腫細胞と融合して、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59-103(Academic Press,1986))。
そのように調製されたハイブリドーマ細胞を播種し、融合されていない親骨髄腫細胞の成長または生存を阻害する1つ以上の物質を好ましくは含有する好適な培養培地で成長させる。例えば、親骨髄腫細胞が、酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマ用の培養培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジン(HAT培地)を含み、これらの物質は、HGPRT欠損細胞の成長を阻止する。
いくつかの実施形態では、骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による安定した高レベルの抗体産生を支持し、HAT培地等の培地に対して高感度であるものである。これらのうち、いくつかの実施形態では、骨髄腫細胞株は、Salk Institute Cell Distribution Center,San Diego,California USAから入手可能なMOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍等のマウス骨髄腫株、ならびにAmerican Type Culture Collection,Rockville,Maryland USAから入手可能なSP-2またはX63-Ag8-653細胞由来のものである。ヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株も、ヒトモノクローナル抗体の産生に関して記載されている(Kozbor,J.Immunol.133:3001(1984)、Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987))。
ハイブリドーマ細胞が成長する培養培地は、抗原に対して指向されたモノクローナル抗体の産生についてアッセイされる。いくつかの実施形態では、ハイブリドーマ細胞によって産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降またはインビトロ結合アッセイ、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)もしくは酵素結合免疫吸収アッセイ(ELISA)によって決定される。
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson et al.,Anal.Biochem.107:220(1980)のScatchard分析によって決定され得る。
所望の特異性、親和性、及び/または活性を有する抗体を産生するハイブリドーマ細胞が特定された後、クローンは、限界希釈手順によりサブクローニングされ、標準の方法により成長され得る(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice pp.59-103(Academic Press,1986))。この目的に好適な培養培地としては、例えば、D-MEM培地またはRPMI-1640培地が挙げられる。加えて、ハイブリドーマ細胞は、動物における腹水腫瘍としてインビボで成長し得る。
サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えば、ポリペプチドA-Sepharose(登録商標)、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、または親和性クロマトグラフィー等の従来の免疫グロブリン精製手順によって、培養培地、腹水、または血清から好適に分離される。
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用して)容易に単離され、配列決定される。いくつかの実施形態では、ハイブリドーマ細胞は、かかるDNAの供給源としての機能を果たす。単離後、DNAを発現ベクター内に置き、その後、これを宿主細胞(E.coli細胞、サルCOS細胞、ヒト胚腎臓(HEK)293細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞等)、またはさもなければ免疫グロブリンポリペプチドを産生しない骨髄腫細胞にトランスフェクトして、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を得ることができる。抗体をコードするDNAの細菌における組換え発現に関する概説論文としては、Skerra et al.,Curr.Opinion in Immunol.5:256-262(1993)及びPluckthun,Immunol.Revs.,130:151-188(1992)が挙げられる。
更なる一実施形態では、抗体または抗体断片は、McCafferty et al.,Nature348:552-554(1990)に記載される技法を使用して生成される抗体ファージライブラリから単離され得る。Clackson et al.,Nature352:624-628(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1991)はそれぞれ、ファージライブラリを使用したマウス抗体及びヒト抗体の単離について記載している。続報は、鎖シャッフリングによる高親和性(nM範囲)ヒト抗体の産生(Marks et al.,Bio/Technology10:779-783(1992))、ならびに非常に大きいファージライブラリを構築するための戦略としての組み合わせ感染及びインビボ組換え(Waterhouse et al.,Nuc.Acids.Res.21:2265-2266(1993))について記載している。したがって、これらの技法は、モノクローナル抗体を単離するための従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技法に対する実行可能な代替案である。
DNAはまた、例えば、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード配列を相同性マウス配列の代わりに用いることによって(米国特許第4,816,567号、Morrison et al.,Proc.Natl Acad.Sci.USA81:6851(1984))、または非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全てもしくは一部を免疫グロブリンコード配列に共有結合することによって修飾されてもよい。
典型的には、かかる非免疫グロブリンポリペプチドは、ある抗体の定常ドメインの代わりに用いられるか、またはそれらは、ある抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインの代わりに用いられて、ある抗原に対して特異性を有する1つの抗原結合部位及び異なる抗原に対して特異性を有する別の抗原結合部位を含む、キメラ二価抗体を作製する。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG、またはIgMである。いくつかの実施形態では、抗体は、IgGモノクローナル抗体である。
抗体断片
いくつかの実施形態では、抗体は、抗体断片である。抗体断片を産生するための様々な技法が、開発されている。従来、これらの断片は、無傷抗体のタンパク質消化によって得られていた(例えば、Morimoto et al.,Journal of Biochemical and Biophysical Methods24:107-117(1992)及びBrennan et al.,Science229:81(1985)を参照されたい)。しかしながら、これらの断片は現在、組換え宿主細胞から直接産生することができる。例えば、抗体断片は、上記に考察される抗体ファージライブラリから単離することができる。あるいは、Fab’-SH断片をE.coliから直接回収し、化学的にカップリングして、F(ab’)2断片を形成することができる(Carter et al.,Bio/Technology10:163-167(1992))。別のアプローチに従って、F(ab’)2断片は、組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。抗体断片を産生するための他の技法は、当業者に明らかである。他の実施形態では、最適な抗体は、一本鎖Fv断片(scFv)である。WO93/16185、米国特許第5,571,894号、及び米国特許第5,587,458号を参照されたい。抗体断片はまた、例えば、米国特許第5,641,870号に記載される「直鎖状抗体」であってもよい。かかる直鎖状抗体断片は、単一特異性または二重特異性であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体の断片が提供される。いくつかの実施形態では、抗体断片は、抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、scFv、Fv、及びダイアボディからなる群から選択される。
ポリペプチド変異形及び修飾
ある特定の実施形態では、本明細書におけるタンパク質のアミノ酸配列変異形が企図される。例えば、タンパク質の結合親和性及び/または他の生物学的特性を改善することが望ましくあり得る。タンパク質のアミノ酸配列変異形は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することによって、またはペプチド合成によって調製され得る。かかる修飾としては、例えば、タンパク質のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/またはそれへの挿入、及び/またはその置換が挙げられる。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせにより、最終構築物に到達することができるが、但し、最終構築物が所望の特徴を有することを条件とする。
変異形ポリペプチド
「ポリペプチド変異形」とは、ポリペプチドの全長天然配列、シグナルペプチドを欠くポリペプチド配列、シグナルペプチドを有するかまたは有しないポリペプチドの細胞外ドメインと少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する本明細書に定義されるポリペプチド、例えば、活性ポリペプチドを意味する。かかるポリペプチド変異形としては、例えば、1つ以上のアミノ酸残基が全長天然アミノ酸配列のN末端またはC末端に付加または欠失されたポリペプチドが挙げられる。通常、ポリペプチド変異形は、全長天然配列ポリペプチド配列、シグナルペプチドを欠くポリペプチド配列、シグナルペプチドを有するかまたは有しないポリペプチドの細胞外ドメインと、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%のうちのいずれかのアミノ酸配列同一性を有する。任意に、変異形ポリペプチドは、天然ポリペプチド配列と比較して1つ以下の保存的アミノ酸置換を有し、あるいは天然ポリペプチド配列と比較して約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、または約10個以下のうちのいずれかの保存的アミノ酸置換を有する。
変異形ポリペプチドは、N末端またはC末端で切断され得るか、または例えば、全長天然ポリペプチドと比較して、内部残基を欠き得る。ある特定の変異形ポリペプチドは、所望の生物学的活性にとって不可欠ではないアミノ酸残基を欠き得る。切断、欠失、及び挿入を有するこれらの変異形ポリペプチドは、いくつかの従来の技法のうちのいずれかによって調製され得る。所望の変異形ポリペプチドは、化学的に合成されたものであり得る。別の好適な技法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって所望の変異形ポリペプチドをコードする核酸断片を単離し、増幅することを伴う。核酸断片の所望の末端を画定するオリゴヌクレオチドは、PCRにおいて5’プライマー及び3’プライマーで用いられる。好ましくは、変異形ポリペプチドは、本明細書に開示される天然ポリペプチドと少なくとも1つの生物学的及び/または免疫学的活性を共有する。
アミノ酸配列挿入としては、長さが1残基から100以上の範囲の残基を含有するポリペプチドへのアミノ末端及び/またはカルボキシル末端の融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が挙げられる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体または細胞毒性ポリペプチドに融合した抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入変異形としては、抗体の血清半減期を増加させる酵素またはポリペプチドへの抗体のN末端またはC末端の融合が挙げられる。
例えば、ポリペプチドの結合親和性及び/または他の生物学的特性を改善することが望ましくあり得る。ポリペプチドのアミノ酸配列変異形は、適切なヌクレオチド変化を抗体核酸に導入することによって、またはペプチド合成によって調製される。かかる修飾としては、例えば、ポリペプチドのアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/またはそれへの挿入、及び/またはその置換が挙げられる。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせにより、最終構築物に到達するが、但し、最終構築物が所望の特徴を有することを条件とする。アミノ酸変化はまた、グリコシル化部位の数または位置の変化等のポリペプチド(例えば、抗体)の翻訳後プロセスも改変し得る。
所望の活性に悪影響を及ぼすことなく、どのアミノ酸残基が挿入、置換、または欠失され得るかを決定する際の手引きは、ポリペプチドの配列を同種の既知のポリペプチド分子の配列と比較し、相同性の高い領域に作製されるアミノ酸配列変化の数を最小限に抑えることによって見出され得る。
変異誘発に好ましい位置であるポリペプチド(例えば、抗体)のある特定の残基または領域の特定に有用な方法は、Cunningham and Wells,Science244:1081-1085(1989)によって説明される「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。ここで、残基または標的残基群(例えば、Arg、Asp、His、Lys、及びGlu等の荷電残基)を特定し、中性または負に荷電したアミノ酸(最も好ましくはアラニンまたはポリアラニン)に置き換えて、アミノ酸と抗原との相互作用に影響を及ぼす。その後、置換に対する機能的感度を実証するアミノ酸位置は、更なるまたは他の変異形を置換部位に、またはそのために導入することによって洗練される。したがって、アミノ酸配列変異を導入するための部位が事前決定されている一方で、変異自体の性質は事前決定される必要はない。例えば、所与の部位での変異の性能を分析するために、アラニンスキャニングまたはランダム変異誘発が標的コドンまたは領域で行われ、発現した抗体変異形が所望の活性についてスクリーニングされる。
別の種類の変異形は、アミノ酸置換変異形である。これらの変異形は、異なる残基に置き換えられた抗体分子内に少なくとも1つのアミノ酸残基を有する。置換変異誘発に関する最も対象となる部位としては、超可変領域が挙げられるが、FR改変も企図される。かかる置換が生物学的活性に変化をもたらす場合、表1に「例示的な置換」と表示されるか、またはアミノ酸クラスを参照して以下に更に記載されるより実質的な変化が導入され、産物がスクリーニングされ得る。
表1。
ポリペプチドの生物学的特性の実質的な修飾は、(a)置換領域におけるポリペプチド骨格の構造(例えば、シートもしくは螺旋立体配座としてのもの)、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、または(c)側鎖のバルクの維持に対するそれらの影響が著しく異なる置換を選択することによって達成される。アミノ酸は、それらの側鎖の特性の類似性に従って群分けされ得る(A.L.Lehninger,Biochemistry second ed.,pp.73-75,Worth Publishers,New York(1975))。
(1)非極性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M)
(2)非荷電極性:Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q)
(3)酸性:Asp(D)、Glu(E)
(4)塩基性:溶解(K)、Arg(R)、His(H)
あるいは、天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいて群分けされ得る。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln
(3)酸性:Asp、Glu
(4)塩基性:His、Lys、Arg
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのあるメンバーを別のクラスと交換することを伴う。
抗体の適切な立体配座の維持に関与しないいかなるシステイン残基も、一般にセリンで置換されて、分子の酸化的安定性を改善し、異常な架橋を阻止することができる。逆に、システイン結合(複数可)がポリペプチドに付加されて、その安定性を改善することができる(具体的には、抗体がFv断片等の抗体断片である場合)。
置換変異形の一例は、親抗体(例えば、ヒト化抗体)の1つ以上の超可変領域残基の置換を伴う。一般に、更なる開発のために選択された結果として生じる変異形(複数可)は、それらが生成される親抗体と比較して改善された生物学的特性を有する。かかる置換変異形を生成するための好都合な方法は、ファージディスプレイを使用した親和性成熟を伴う。簡潔には、いくつかの超可変領域部位(例えば、6~7つの部位)が変異されて、各部位に全ての可能なアミノ置換を生成する。そのように生成された抗体変異形は、各粒子内にパッケージングされたM13の遺伝子III産物への融合物として、線維状ファージ粒子から一価様式でディスプレイされる。その後、ファージディスプレイされた変異形は、本明細書に開示されるそれらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。修飾のための候補超可変領域部位を特定するために、アラニンスキャニング変異誘発を行って、抗原結合に著しく寄与する超可変領域残基を特定することができる。あるいは、または加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析して、抗体と標的との間の接触点を特定することが有益であり得る。かかる接触残基及び隣接残基は、本明細書に詳述される技法に従う置換の候補である。かかる変異形が生成されると、変異形のパネルが本明細書に記載されるスクリーニングに供され、1つ以上の関連アッセイにおいて優れた特性を有する抗体が更なる開発のために選択され得る。
ポリペプチドの別の種類のアミノ酸変異形は、抗体の元のグリコシル化パターンを改変する。ポリペプチドは、非アミノ酸部分を含み得る。例えば、ポリペプチドは、グリコシル化され得る。かかるグリコシル化は、宿主細胞または宿主生物でのポリペプチドの発現中に天然に存在し得るか、またはヒト介入に起因する計画的な修飾であり得る。改変とは、ポリペプチドに見られる1つ以上の炭水化物部分の欠失、及び/またはポリペプチド中に存在しない1つ以上のグリコシル化部位の付加を意味する。
ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N結合またはO結合のいずれかである。N結合とは、炭水化物部分のアスパラギン残基の側鎖への結合を指す。トリペプチド配列であるアスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-トレオニン(式中、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)は、炭水化物部分のアスパラギン側鎖への酵素結合の認識配列である。したがって、ポリペプチド中でのこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在により、潜在的なグリコシル化部位が作製される。O結合グリコシル化とは、糖類であるN-アセイルガラクトサミン(aceylgalactosamine)、ガラクトース、またはキシロースのうちの1つのヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはトレオニンへの結合を指すが、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリジンも使用され得る。
グリコシル化部位のポリペプチドへの付加は、(N結合グリコシル化部位のための)上述のトリペプチド配列のうちの1つ以上を含有するようにアミノ酸配列を改変することによって、好都合に達成される。改変は、(O結合グリコシル化部位のための)元の抗体の配列への1つ以上のセリンまたはトレオニン残基の付加、またはそれによる置換によっても行われ得る。
ポリペプチド上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的もしくは酵素的に、またはグリコシル化の標的としての機能を果たすアミノ酸残基をコードするコドンの変異置換によって達成され得る。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、様々なエンド-及びエキソ-グリコシダーゼの使用によって達成され得る。
他の修飾としては、それぞれ、グルタミニル残基及びアスパラギニル残基の対応するグルタミル残基及びアスパルチル残基への脱アミド化、プロリン及びリジンのヒドロキシル化、セリルまたはトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のγ-アミノ基のメチル化、N末端アミンのアセチル化、ならびに任意のC末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。
キメラポリペプチド
本明細書に記載のポリペプチドは、別の異種ポリペプチドまたはアミノ酸配列に融合したポリペプチドを含むキメラ分子を形成するような方法で修飾され得る。いくつかの実施形態では、キメラ分子は、ポリペプチドと、抗タグ抗体が選択的に結合し得るエピトープを提供するタグポリペプチドとの融合を含む。エピトープタグは、一般に、ポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシル末端に位置する。ポリペプチドのかかるエピトープタグ形態の存在は、タグポリペプチドに対する抗体を使用して検出され得る。エピトープタグの提供により、抗タグ抗体またはエピトープタグに結合する別の種類の親和性マトリックスを使用して、ポリペプチドが親和性精製によって容易に精製されることも可能になる。
多重特異性抗体
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある特定の実施形態では、結合特異性の一方は1つの抗原に対するものであり、他方は任意の他の抗原に対するものである。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、同じ抗原の2つの異なるエピトープに結合し得る。二重特異性抗体を使用して、特定の抗原を発現する細胞に細胞毒性剤を局在化させることもできる。二重特異性抗体は、全長抗体または抗体断片として調製され得る。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、1つのアームがIL13に結合し、1つのアームがIL17に結合する二重特異性抗体である。
多重特異性抗体を作製するための技法としては、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え同時発現(Milstein and Cuello,Nature305:537(1983)、WO93/08829、及びTraunecker et al.,EMBO J.10:3655(1991)を参照されたい)、ならびに「ノブ・イン・ホール」操作(例えば、米国特許第5,731,168号を参照されたい)、ならびに加えて、二重特異性抗体の半分の抗原結合断片(Fab)内の1つ以上の重鎖及び軽鎖ドメインの交換(CrossMab、WO2009/080251、WO2009/080252、WO2009/080253、及びWO2009/080254を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。多重特異性抗体はまた、静電ステアリング効果を操作して、抗体Fc-ヘテロ二量体分子を作製すること(WO2009/089004A1)、2つ以上の抗体または断片を架橋すること(例えば、米国特許第4,676,980号、及びBrennan et al.,Science,229:81(1985)を参照されたい)、ロイシンジッパーを使用して、二重特異性抗体を産生すること(例えば、Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547-1553(1992)を参照されたい)、「ダイアボディ」技法を使用して、二重特異性抗体断片を作製すること(例えば、Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)を参照されたい)、ならびに一本鎖Fv(sFv)二量体を使用すること(例えば、Gruber et al.,J.Immunol.,152:5368(1994)を参照されたい)、ならびに例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)に記載される三重特異性抗体を調製することによって、作製され得る。以下に考察されるように、いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、細胞(例えば、FkpAを発現するE.coli細胞)内で半抗体を生成し、この半抗体を単離し、この半抗体を二重特異性抗体へと組み立てることによって調製される。
「オクトパス抗体」を含む、3つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作された抗体もまた、本明細書に含まれる(例えば、US2006/0025576A1を参照されたい)。
本明細書の抗体または断片には、1つの抗原及び別の異なる抗原に結合する抗原結合部位を含む「二重作用FAb」または「DAF」も含まれる(例えば、US2008/0069820を参照されたい)。
二重特異性抗体の作製方法は、当該技術分野で既知である。従来、二重特異性抗体の組換え産生は、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の同時発現に基づいており、これらの2つの重鎖は、異なる特異性を有する(Milstein and Cuello,Nature305:537(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖のランダムな組み合わせのため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10個の異なる抗体分子の混合物を産生する可能性があり、それらのうちの1つのみが正しい二重特異性構造を有する。通常親和性クロマトグラフィーステップによって行われる正しい分子の精製は幾分厄介であり、産物収率は低い。同様の手順が、1993年5月13日公開のWO93/08829、及びTraunecker et al.,EMBO J.,10:3655(1991)に開示されている。
異なるアプローチに従って、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体-抗原組み合わせ部位)が、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合される。融合は、好ましくは、ヒンジ、CH2、及びCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとの融合である。融合物のうちの少なくとも1つに存在する軽鎖結合に必要な部位を含有する、第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物、及び所望の場合、免疫グロブリン軽鎖融合物をコードするDNAが、別個の発現ベクターに挿入され、好適な宿主生物に同時トランスフェクトされる。これにより、構築に使用される不均等な比率の3つのポリペプチド鎖が最適収率を提供する実施形態において、3つのポリペプチド断片の相互割合を調整する際に優れた柔軟性が提供される。しかしながら、等しい比率での少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現が高収率をもたらす場合、またはそれらの比率が特に重要でない場合に、2つまたは3つ全てのポリペプチド鎖をコードする配列を1つの発現ベクターに挿入することが可能である。
このアプローチの一実施形態では、二重特異性抗体は、一方のアームにある第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖と、他方のアームにある(第2の結合特異性を提供する)ハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対とからなる。二重特異性分子の半分のみでの免疫グロブリン軽鎖の存在により容易な分離方法が提供されるため、この非対称構造が、望ましくない免疫グロブリン鎖の組み合わせからの所望の二重特異性化合物の分離を容易にすることが見出された。このアプローチは、WO94/04690に開示されている。二重特異性抗体の生成についての更なる詳細については、例えば、Suresh et al.,Methods in Enzymology,121:210(1986)を参照されたい。
別のアプローチに従って、抗体分子の対間の界面は、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体の割合を最大にするように操作され得る。好ましい界面は、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の界面由来の1つ以上の小さいアミノ酸側鎖は、より大きい側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)に置き換えられる(ノブまたは隆起)。大きい側鎖(複数可)と同一または同様の大きさの補償「空洞」(ホール)は、大きいアミノ酸側鎖をより小さいアミノ酸側鎖(例えば、アラニンまたはトレオニン)に置き換えることによって、第2の抗体分子の界面上に作製される。これにより、ホモ二量体等の他の望ましくない最終産物と比べてヘテロ二量体の収率を増加させるための機構が提供される。ノブ及びホールは、本明細書に更に記載されている。
ノブ・イン・ホール
多重特異性抗体及び/または一アーム抗体及び/またはイムノアドヘシンの産生方法としてノブ・イン・ホールを使用することは、当該技術分野で周知である。Genentechに譲渡された米国特許第5,731,168号(1998年3月24日付与)を参照されたい。多重特異性抗体の生成方法を記載する他の参考文献としては、Amgenに譲渡されたPCT公開第WO2009089004号(2009年7月16日公開)、及びNovo Nordisk A/Sに譲渡された米国特許公開第20090182127号(2009年7月16日公開)が挙げられる。Marvin and Zhu,Acta Pharmacologica Sincia(2005)26(6):649-658及びKontermann(2005)Acta Pharacol.Sin.,26:1-9もまた参照されたい。簡潔な考察が、本明細書に提供されている。
「隆起」とは、第1のポリペプチドの界面から突出し、それ故に隣接した界面(すなわち、第2のポリペプチドの界面)の補償空洞内に位置付け可能になるために、例えば、ヘテロ多量体を安定させ、それによりホモ多量体形成よりもヘテロ多量体形成を好むようになる、少なくとも1つのアミノ酸側鎖を指す。隆起は、元の界面に存在し得るか、または合成的に(例えば、界面をコードする核酸を改変することによって)導入され得る。通常、第1のポリペプチドの界面をコードする核酸は、隆起をコードするように改変される。これを達成するために、第1のポリペプチドの界面の少なくとも1つの「元の」アミノ酸残基をコードする核酸が、元のアミノ酸残基よりも大きい側鎖体積を有する少なくとも1つの「移入」アミノ酸残基をコードする核酸で置き換えられる。2つ以上の元の残基及び対応する移入残基が存在し得ることが、理解される。置き換えられる元の残基の数の上限は、第1のポリペプチドの界面における残基の総数である。様々なアミノ残基の側鎖体積が、以下の表に示される。
表2。アミノ酸の特性
a水の分子量を差し引いたアミノ酸の分子量。Handbook of Chemistry and Physics,43rd ed.Cleveland,Chemical Rubber Publishing Co.,1961からの値。
bA.A.Zamyatnin,Prog.Biophys.Mol.Biol.24:107-123,1972からの値。
cC.Chothia,J.Mol.Biol.105:1-14,1975からの値。アクセス可能な表面積は、この参考文献の図6~20に定義されている。
隆起の形成に好ましい移入残基は、一般に、天然に存在するアミノ酸残基であり、好ましくはアルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、及びトリプトファン(W)から選択される。トリプトファン及びチロシンが最も好ましい。一実施形態では、隆起を形成するための元の残基は、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、セリン、トレオニン、またはバリン等の小さい側鎖体積を有する。隆起を形成するためのCH3ドメインにおける例示的なアミノ酸置換としては、T366W置換が挙げられるが、これに限定されない。
「空洞」とは、第2のポリペプチドの界面から凹んでおり、それ故に隣接する第1のポリペプチドの界面上の対応する隆起を収容する少なくとも1つのアミノ酸側鎖を指す。空洞は、元の界面に存在しても、合成的に(例えば、界面をコードする核酸を改変することによって)導入されてもよい。通常、第2のポリペプチドの界面をコードする核酸は、空洞をコードするように改変される。これを達成するために、第2のポリペプチドの界面の少なくとも1つの「元の」アミノ酸残基をコードする核酸が、元のアミノ酸残基よりも小さい側鎖体積を有する少なくとも1つの「移入」アミノ酸残基をコードするDNAに置き換えられる。2つ以上の元の残基及び対応する移入残基が存在し得ることが、理解される。置き換えられる元の残基の数の上限は、第2のポリペプチドの界面における残基の総数である。様々なアミノ残基の側鎖体積が、上記の表2に示されている。空洞の形成に好ましい移入残基は、通常、天然に存在するアミノ酸残基であり、好ましくはアラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、及びバリン(V)から選択される。セリン、アラニン、またはトレオニンが最も好ましい。一実施形態では、空洞を形成するための元の残基は、チロシン、アルギニン、フェニルアラニン、またはトリプトファン等の大きい側鎖体積を有する。空洞を生成するためのCH3ドメインにおける例示的なアミノ酸置換としては、T366S置換、L368A置換、及びY407A置換が挙げられるが、これらに限定されない。
「元の」アミノ酸残基とは、元の残基よりも小さいまたは大きい側鎖体積を有し得る「移入」残基に置き換えられるものである。移入アミノ酸残基は、天然に存在するか、または天然に存在しないアミノ酸残基であり得るが、好ましくは、天然に存在するアミノ酸残基である。「天然に存在する」アミノ酸残基とは、遺伝子コードによってコードされ、上記の表2に列挙される残基である。「天然に存在しない」アミノ酸残基とは、遺伝子コードによってコードされないが、ポリペプチド鎖内の隣接するアミノ酸残基(複数可)に共有結合することができる残基を意味する。天然に存在しないアミノ酸残基の例は、ノルロイシン、オルニチン、ノルバリン、ホモセリン、及びEllman et al.,Meth.Enzym.202:301-336(1991)に記載されるもの等の他のアミノ酸残基類似体である。かかる天然に存在しないアミノ酸残基を生成するために、Noren et al.Science244:182(1989)及びEllmanら(上記)の手順が使用され得る。簡潔には、これは、天然に存在しないアミノ酸残基を有するサプレッサーtRNAの化学的活性化、その後のRNAのインビトロ転写及び翻訳を伴う。本発明の方法は、少なくとも1つの元のアミノ酸残基の置き換えを伴うが、2つ以上の元の残基が置き換えられてもよい。通常、第1または第2のポリペプチドの界面における合計残基より多くが、置き換えられる元のアミノ酸残基を含むことはない。典型的には、置き換えられる元の残基は「埋められる」。「埋められる」とは、残基が溶媒に本質的にアクセス不能であることを意味する。一般に、移入残基は、ジスルフィド結合の可能な酸化または誤対合を阻止するために、システインではない。
隆起は、空洞内で「位置付け可能」であり、これは、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドそれぞれの界面の隆起及び空洞の空間的位置、ならびに隆起及び空洞の大きさが、界面での第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの正常な会合を著しく乱すことなく隆起が空洞内に位置し得るようなものであることを意味する。Tyr、Phe、及びTrp等の隆起が、典型的には、界面の軸から垂直には延びず、好ましい立体配座を有しないため、隆起と対応する空洞との整列は、X線結晶学または核磁気共鳴(NMR)によって得られるもの等の三次元構造に基づく隆起/空洞対のモデリングに依存する。これは、当該技術分野で広く受け入れられている技法を使用して達成され得る。
「元のまたは鋳型核酸」とは、隆起または空洞をコードするように「改変され」得る(すなわち、遺伝子操作され変異され得る)目的とするポリペプチドをコードする核酸を意味する。元のまたは開始核酸は、天然に存在する核酸であり得るか、または事前改変に供されている核酸(例えば、ヒト化抗体断片)を含み得る。核酸を「改変する」とは、元の核酸が、目的とするアミノ酸残基をコードする少なくとも1つのコドンの挿入、欠失、または置き換えによって変異されることを意味する。通常、元の残基をコードするコドンは、移入残基をコードするコドンに置き換えられる。この様式でDNAを遺伝子修飾するための技法は、Mutagenesis:a Practical Approach,M.J.McPherson,Ed.,(IRL Press,Oxford,UK.(1991)に概説されており、例えば、部位特異的変異誘発、カセット変異誘発、及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)変異誘発を含む。元の/鋳型核酸を変異させることによって、元の/鋳型核酸によってコードされた元の/鋳型ポリペプチドが、それに従って対応して改変される。
隆起または空洞は、合成手段によって、例えば、組換え技法、インビトロペプチド合成、前述の天然に存在しないアミノ酸残基を導入するための技法、ペプチドの酵素または化学的カップリング、またはこれらの技法のいくつかの組み合わせによって、第1または第2のポリペプチドの界面に「導入」され得る。したがって、「導入」される隆起または空洞は、「天然に存在しない」か、または「非天然」であり、これは、それが天然または元のポリペプチド(例えば、ヒト化モノクローナル抗体)には存在しないことを意味する。
一般に、隆起を形成するための移入アミノ酸残基は、比較的少数の「回転異性体」(例えば、約3~6つ)を有する。「回転異性体」とは、アミノ酸側鎖のエネルギー的に好ましい立体配座である。様々なアミノ酸残基の回転異性体の数は、Ponders and Richards,J.Mol.Biol.193:775-791(1987)に概説される。
一実施形態では、第1のFcポリペプチド及び第2のFcポリペプチドは、界面で交わる/相互作用する。第1のFcポリペプチド及び第2のFcポリペプチドが界面で交わるいくつかの実施形態では、第2のFcポリペプチドの界面(配列)は、第1のFcポリペプチドの界面(配列)の空洞(「ホール」とも称される)内に位置付け可能な隆起(「ノブ」とも称される)を含む。一実施形態では、第1のFcポリペプチドが、空洞をコードするように鋳型/元のポリペプチドから改変されているか、または第2のFcポリペプチドが、隆起をコードするように鋳型/元のポリペプチドから改変されているか、またはこれらの両方である。一実施形態では、第1のFcポリペプチドが、空洞をコードするように鋳型/元のポリペプチドから改変されており、かつ第2のFcポリペプチドが、隆起をコードするように鋳型/元のポリペプチドから改変されている。一実施形態では、第2のFcポリペプチドの界面が、第1のFcポリペプチドの界面の空洞内に位置付け可能な隆起を含み、空洞もしくは隆起またはこれらの両方がそれぞれ、第1のFcポリペプチド及び第2のFcポリペプチドの界面に導入されている。第1のFcポリペプチド及び第2のFcポリペプチドが界面で交わるいくつかの実施形態では、第1のFcポリペプチド(配列)の界面は、第2のFcポリペプチドの界面(配列)の空洞内に位置付け可能な隆起を含む。一実施形態では、第2のFcポリペプチドが、空洞をコードするように鋳型/元のポリペプチドから改変されているか、または第1のFcポリペプチドが、隆起をコードするように鋳型/元のポリペプチドから改変されているか、またはこれらの両方である。一実施形態では、第2のFcポリペプチドが、空洞をコードするように鋳型/元のポリペプチドから改変されており、かつ第1のFcポリペプチドが、隆起をコードするように鋳型/元のポリペプチドから改変されている。一実施形態では、第1のFcポリペプチドの界面が、第2のFcポリペプチドの界面の空洞内に位置付け可能な隆起を含み、隆起もしくは空洞またはこれらの両方がそれぞれ、第1のFcポリペプチド及び第2のFcポリペプチドの界面に導入されている。
一実施形態では、隆起及び空洞は各々、天然に存在するアミノ酸残基を含む。一実施形態では、隆起を含むFcポリペプチドは、鋳型/元のポリペプチドの界面由来の元の残基を、元の残基よりも大きい側鎖体積を有する移入残基に置き換えることによって生成される。一実施形態では、隆起を含むFcポリペプチドは、該ポリペプチドの界面由来の元の残基をコードするポリヌクレオチドが、元の残基よりも大きい側鎖体積を有する移入残基をコードするポリヌクレオチドに置き換えられるステップを含む方法によって、生成される。一実施形態では、元の残基は、トレオニンである。一実施形態では、元の残基は、T366である。一実施形態では、移入残基は、アルギニン(R)である。一実施形態では、移入残基は、フェニルアラニン(F)である。一実施形態では、移入残基は、チロシン(Y)である。一実施形態では、移入残基は、トリプトファン(W)である。一実施形態では、移入残基は、R、F、Y、またはWである。一実施形態では、隆起は、鋳型/元のポリペプチドの2つ以上の残基を置き換えることによって生成される。一実施形態では、隆起を含むFcポリペプチドは、366位のトレオニンのトリプトファンでの置き換えを含む(アミノ酸番号付けは、Kabatら(pp.688-696in Sequences of proteins of immunological interest,5th ed.,Vol.1(1991;NIH,Bethesda,MD))のEU番号付けスキームに従う)。
いくつかの実施形態では、空洞を含むFcポリペプチドは、鋳型/元のポリペプチドの界面の元の残基を、元の残基よりも小さい側鎖体積を有する移入残基に置き換えることによって生成される。例えば、空洞を含むFcポリペプチドは、該ポリペプチドの界面由来の元の残基をコードするポリヌクレオチドが、元の残基よりも小さい側鎖体積を有する移入残基をコードするポリヌクレオチドで置き換えられるステップを含む方法によって、生成され得る。一実施形態では、元の残基は、トレオニンである。一実施形態では、元の残基は、ロイシンである。一実施形態では、元の残基は、チロシンである。一実施形態では、移入残基は、システイン(C)ではない。一実施形態では、移入残基は、アラニン(A)である。一実施形態では、移入残基は、セリン(S)である。一実施形態では、移入残基は、トレオニン(T)である。一実施形態では、移入残基は、バリン(V)である。空洞は、鋳型/元のポリペプチドの1つ以上の元の残基を置き換えることによって生成され得る。例えば、一実施形態では、空洞を含むFcポリペプチドは、トレオニン、ロイシン、及びチロシンからなる群から選択される2つ以上の元のアミノ酸の置き換えを含む。一実施形態では、空洞を含むFcポリペプチドは、アラニン、セリン、トレオニン、及びバリンからなる群から選択される2つ以上の移入残基を含む。いくつかの実施形態では、空洞を含むFcポリペプチドは、トレオニン、ロイシン、及びチロシンからなる群から選択される2つ以上の元のアミノ酸の置き換えを含み、該元のアミノ酸は、アラニン、セリン、トレオニン、及びバリンからなる群から選択される移入残基に置き換えられる。いくつかの実施形態では、置き換えられる元のアミノ酸は、T366、L368、及び/またはY407である。一実施形態では、空洞を含むFcポリペプチドは、366位のトレオニンのセリンでの置き換えを含む(アミノ酸番号付けは、Kabatら(上記)のEU番号付けスキームに従う)。一実施形態では、空洞を含むFcポリペプチドは、368位のロイシンのアラニンでの置き換えを含む(アミノ酸番号付けは、Kabatら(上記)のEU番号付けスキームに従う)。一実施形態では、空洞を含むFcポリペプチドは、407位のチロシンのバリンでの置き換えを含む(アミノ酸番号付けは、Kabatら(上記)のEU番号付けスキームに従う)。一実施形態では、空洞を含むFcポリペプチドは、T366S、L368A、及びY407Vからなる群から選択される2つ以上のアミノ酸置き換えを含む(アミノ酸番号付けは、Kabatら(上記)のEU番号付けスキームに従う)。これらの抗体断片のいくつかの実施形態では、隆起を含むFcポリペプチドは、366位のトレオニンのトリプトファンでの置き換えを含む(アミノ酸番号付けは、Kabatら(上記)のEU番号付けスキームに従う)。
一実施形態では、本抗体は、WO2005/063816に記載される「ノブ」及び「ホール」を構成するFc変異を含む。例えば、ホール変異は、FcポリペプチドにおけるT366S、L368A、及び/またはY407Vのうちの1つ以上であり得、ノブ変異は、T366Wであり得る。
本発明の一態様において、多重特異性抗体が精製され、本抗体は第1の半抗体及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体はIL-17に結合する第1のVH/VL単位を含み、第2の半抗体はIL-13に結合する第2のVH/VL単位を含む。いくつかの実施形態では、第1の半抗体はIL-13には結合せず、第2の半抗体はIL-17には結合しない。
IL-17ファミリーには6つのメンバー、つまり、IL-17A、B、C、D、E、及びFが存在する。IL-17ファミリーのメンバーはホモ二量体を形成し、IL-17A及びIL-17Fはヘテロ二量体を更に形成する。例えば、Gaffen,S.L.,2009,Nature Review9:556-567、Hymowitz et al.,2001,EMBO J.20:5332-41、及びWO2005/010044を参照されたい。IL-17は、当該技術分野では、IL-17ファミリーのプロトタイプであるIL-17Aを指すために使用される場合がある。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される多重特異性抗体は、IL-13及びIL-17AAに結合し、それらの活性を阻害する。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される多重特異性抗体は、IL-17AA、IL-17AF、及びIL-17FFに結合し、IL-17AA誘導性活性、IL-17AF誘導性活性、及びIL-17FF誘導性活性を阻害し、またIL-13誘導性活性を阻害する。ある特定の実施形態では、抗IL-13/IL-17二重特異性抗体は、抗IL-13/IL-17AA、FF、及びAF抗体を指す。ある特定のかかる実施形態では、抗IL-13/IL-17AA、AF、及びFF二重特異性抗体は、IL-17AまたはIL-17F単独によって誘導される活性とは対照的に、IL-17A及びFサイトカインの全てによって誘導される活性を有利に遮断する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される多重特異性抗体は、IL-17AA、IL-17AF、及びIL-17FFに結合する。いくつかの実施形態では、IL-17AA誘導性活性は、IL-17AA誘導性遺伝子発現及び/またはインビボもしくはインビトロでの細胞の増殖である。いくつかの実施形態では、IL-17AF誘導性活性は、IL-17AF誘導性遺伝子発現及び/またはインビボもしくはインビトロでの細胞の増殖である。いくつかのかかる実施形態では、IL-17FF誘導性活性は、IL-17FF誘導性遺伝子発現及び/またはインビボもしくはインビトロでの細胞の増殖である。いくつかの実施形態では、IL-13誘導性活性は、IL-13誘導性遺伝子発現及び/またはインビボもしくはインビトロでの細胞の増殖である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される多重特異性抗体は、IL-13のIL-13Rα1への結合を阻害しない。
いくつかの実施形態では、抗IL13/IL17AA AF FF二重特異性抗体は、第1の半抗体及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、IL-17AA、AF、及びFFに結合する第1のVH/VL単位を含み、第2の半抗体は、IL-13に結合する第2のVH/VL単位を含み、第1のVH/VL単位は、配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、第2のVH/VL単位は、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、第1の半抗体はIL-13には結合せず、第2の半抗体はIL-17には結合しない。
いくつかの実施形態では、第1のVH/VL単位は、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVH配列、及び配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVL配列を含み、第2のVH/VL単位は、配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVH配列、及び配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVL配列を含む。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体が提供され、第1のVH/VL単位は、配列番号18のアミノ酸配列を有するVH配列及び配列番号19のアミノ酸配列を有するVL配列を含み、第2のVH/VL単位は、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH配列及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVL配列を含む。
ある特定の実施形態では、第1の半抗体は、配列番号26のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むIL17AA、AF、及びFFに結合し、第2の半抗体は、配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むIL13に結合する。ある特定の実施形態では、第1の半抗体は、配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むIL17AA、AF、及びFFに結合し、第2の半抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むIL13に結合する。抗IL13/抗IL17抗体に関連する配列を、表3に提示する。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、PCT/US2015/01716(WO2015/127405)を参照されたい。
表3
V.ベクター、宿主細胞、及び組換え方法
FkpAを使用した異種ポリペプチド(例えば、多重特異性抗体)の組換え産生について、ポリペプチド(例えば、多重特異性抗体)をコードする核酸は、単離され、更なるクローニング(DNAの増幅)または発現のために複製可能なベクターに挿入される。ポリペプチド(例えば、多重特異性抗体)をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離され、配列決定される。多くのベクターが利用可能である。ベクターの選択は、使用される宿主細胞に部分的に依存する。一般に、好ましい宿主細胞は、原核生物起源のいずれかのものである。IgG、IgM、IgA、IgD、及び、IgE定常領域を含む任意のアイソタイプの定常領域が、この目的のために使用され得、かかる定常領域が任意のヒトまたは動物種から得られ得ることが理解される。
A.原核生物宿主細胞を使用した抗体の生成
i.ベクター構築
本発明の多重特異性抗体のポリペプチド成分をコードするポリヌクレオチド配列は、標準の組換え技法を使用して得られ得る。所望のポリヌクレオチド配列は、ハイブリドーマ細胞等の抗体産生細胞から単離され、配列決定され得る。あるいは、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド合成機またはPCR技法を使用して合成され得る。得られた後、ポリペプチドをコードする配列は、原核生物宿主内で異種ポリヌクレオチドを複製し、発現することができる組換えベクターに挿入される。利用可能かつ当該技術分野で既知の多くのベクターが、本発明の目的のために使用され得る。適切なベクターの選択は、ベクターに挿入される核酸の大きさ及びベクターで形質転換される特定の宿主細胞に主に依存する。各ベクターは、その機能(異種ポリヌクレオチドの増幅もしくは発現、またはこれらの両方)及びそれが存在する特定の宿主細胞とのその適合性に応じて、様々な成分を含有する。ベクター成分としては、一般に、複製起点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種核酸挿入、及び転写終結配列が挙げられるが、これらに限定されない。
一般に、宿主細胞と適合性のある種由来のレプリコン及び制御配列を含有するプラスミドベクターが、これらの宿主に関連して使用される。このベクターは、通常、複製部位、及び形質転換細胞において表現型選択を提供することができるマーキング配列を持つ。例えば、E.coliは、典型的には、E.coli種由来のプラスミドであるpBR322を使用して形質転換される。pBR322は、アンピシリン(Amp)及びテトラサイクリン(Tet)耐性をコードする遺伝子を含有し、それ故に形質転換細胞を特定するための容易な手段を提供する。pBR322、その誘導体、または他の微生物プラスミドもしくはバクテリオファージは、微生物によって内因性タンパク質の発現のために使用され得るプロモーターも含有し得るか、またはそれを含有するように修飾され得る。特定の抗体の発現のために使用されるpBR322誘導体の例は、Carterらの米国特許第5,648,237号に記載される。
加えて、宿主微生物と適合性のあるレプリコン及び制御配列を含有するファージベクターは、これらの宿主に関連して形質転換ベクターとして使用され得る。例えば、GEM(商標)-11等のバクテリオファージを利用して、E.coli LE392等の感受性宿主細胞を形質転換するために使用され得る組換えベクターを作製することができる。
本発明の発現ベクターは、ポリペプチド成分の各々をコードする2つ以上のプロモーター-シストロン対を含み得る。プロモーターは、その発現を調節するシストロンの上流(5’)に位置する非翻訳調節配列である。原核生物プロモーターは、典型的には、2つのクラス、つまり誘導プロモーター及び構成プロモーターに分けられる。誘導プロモーターは、培養条件の変化、例えば、栄養素の存在もしくは不在、または温度の変化に応答して、その制御下で増加したレベルのシストロンの転写を開始するプロモーターである。
様々な潜在的宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが、周知である。選択されたプロモーターは、制限酵素消化によりソースDNAからプロモーターを除去し、単離されたプロモーター配列を本発明のベクターに挿入することによって、軽鎖または重鎖をコードするシストロンDNAに作動可能に結合し得る。天然プロモーター配列及び多くの異種プロモーターの両方が、標的遺伝子の増幅及び/または発現を指向するために使用され得る。いくつかの実施形態では、異種プロモーターが、一般に、天然標的ポリペプチドプロモーターと比較して、発現された標的遺伝子のより大きい転写及びより高い収率を可能にするため、異種プロモーターが利用される。
原核生物宿主との使用に好適なプロモーターとしては、PhoAプロモーター、-ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、ならびにハイブリッドプロモーター(tacまたはtrcプロモーター等)が挙げられる。しかしながら、細菌において機能的な他のプロモーター(他の既知の細菌またはファージプロモーター等)も好適である。それらのヌクレオチド配列が公開されており、それにより、当業者が、任意の必要とされる制限部位を提供するためにリンカーまたはアダプターを使用して、それらを標的軽鎖及び重鎖をコードするシストロンに作動可能に連結することが可能になっている(Siebenlist et al.,(1980)Cell20:269)。
翻訳開始領域(TIR)は、タンパク質の全体的な翻訳レベルの主要な決定因子である。TIRは、シグナル配列をコードするポリヌクレオチドを含み、シャイン・ダルガノ配列のすぐ上流から開始コドンのおよそ20ヌクレオチド下流まで延びている。一般に、このベクターは、TIRを含み、TIR及び変異形TIRは、当該技術分野で既知であり、TIRの生成方法は、当該技術分野で既知である。一連の核酸配列変異形が様々な翻訳強度で作製され、それにより多くの異なるポリペプチドの最適な分泌のためにこの因子を調整するための好都合な手段を提供することができる。PhoA等のこれらの変異形に融合するレポーター遺伝子の使用により、異なる翻訳開始領域の相対翻訳強度の定量方法が提供される。変異形または変異体TIRがプラスミドベクターのバックグラウンドに提供され、それにより、成熟ポリペプチドの最大発現のための翻訳強度の最適範囲を確立するように、目的とする遺伝子が挿入される、一組のプラスミド及び測定されるその発現を提供することができる。変異形TIRは、USP8,241,901に開示されている。
本発明の一態様では、組換えベクター内の各シストロンは、膜にわたる発現ポリペプチドの転位を指向する分泌シグナル配列成分を含む。一般に、シグナル配列は、ベクターの成分であり得るか、またはそれは、ベクターに挿入される標的ポリペプチドDNAの一部であり得る。本発明の目的のために選択されるシグナル配列は、宿主細胞によって認識され、プロセシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものであるべきである。異種ポリペプチド原産のシグナル配列を認識及びプロセシングしない原核生物宿主細胞の場合、シグナル配列は、例えば、本発明のシグナルポリペプチドから選択される原核生物シグナル配列により置換される。加えて、ベクターは、アルカリ性ホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Lpp、または熱安定性エンテロトキシンII(STII)リーダー、LamB、PhoE、PelB、OmpA、及びMBPからなる群から選択されるシグナル配列を含み得る。
一態様では、1つ以上のポリヌクレオチド(例えば、発現ベクター)が、抗体を集合的にコードする。一実施形態では、単一のポリヌクレオチドが、抗体の軽鎖をコードし、別個のポリヌクレオチドが、抗体の重鎖をコードする。一実施形態では、単一のポリヌクレオチドが、抗体の軽鎖及び重鎖をコードする。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリヌクレオチド(例えば、発現ベクター)が、一アーム抗体を集合的にコードする。一実施形態では、単一のポリヌクレオチドが、(a)一アーム抗体の軽鎖及び重鎖、ならびに(b)Fcポリペプチドをコードする。一実施形態では、単一のポリヌクレオチドが、一アーム抗体の軽鎖及び重鎖をコードし、別個のポリヌクレオチドが、Fcポリペプチドをコードする。一実施形態では、別個のポリヌクレオチドがそれぞれ、一アーム抗体の軽鎖成分、一アーム抗体の重鎖成分、及びFcポリペプチドをコードする。一アーム抗体の産生は、例えば、WO2005063816に記載されている。
本発明の抗体の発現に好適な原核生物宿主細胞としては、グラム陰性菌またはグラム陽性菌等のArchaebacteria及びEubacteriaが挙げられる。有用な細菌の例としては、Escherichia(例えば、E.coli)、Bacilli(例えば、B.subtilis)、Enterobacteria、Pseudomonas種(例えば、P.aeruginosa)、Salmonella typhimurium、Serratia marcescans、Klebsiella、Proteus、Shigella、Rhizobia、Vitreoscilla、またはParacoccusが挙げられる。一実施形態では、グラム陰性細胞が使用される。一実施形態では、E.coli細胞が、本発明の宿主として使用される。E.coli株の例としては、株W3110(Bachmann,Cellular and Molecular Biology,vol.2(Washington,D.C.:American Society for Microbiology,1987),pp.1190-1219、ATCC寄託番号27,325)及びその誘導体(遺伝子型W3110ΔfhuA(ΔtonA)ptr3 lac Iq lacL8 ΔompTΔ(nmpc-fepE)degP41 kanRを有する株33D3(米国特許第5,639,635号)、ならびに株63C1及び64B4を含む)が挙げられる。いくつかの実施形態では、E.coli株は、62A7(ΔfhuA(ΔtonA)ptr3、lacIq、lacL8、ompTΔ(nmpc-fepE)ΔdegP ilvG修復型)と命名されたW3110誘導体である。E.coli294(ATCC31,446)、E.coli B、E.coli λ1776(ATCC31,537)、及びE.coli RV308(ATCC31,608)等の他の株及びその誘導体も、好適である。これらの例は、限定的なものではなく、むしろ例示的なものである。定義された遺伝子型を有する上述の細菌のうちのいずれの誘導体の構築方法も、当該技術分野で既知であり、例えば、Bass et al.,Proteins,8:309-314(1990)に記載されている。一般に、細菌の細胞内でのレプリコンの複製可能性を考慮して適切な細菌を選択することが必要である。例えば、pBR322、pBR325、pACYC177、またはpKN410等の周知のプラスミドを使用して、レプリコンを提供する場合、E.coli、Serratia、またはSalmonella種が、宿主として好適に使用され得る。典型的には、宿主細胞は、最小量のタンパク質分解酵素しか分泌すべきでなく、更なるプロテアーゼ阻害剤が、細胞培養物に組み込まれることが望ましくあり得る。
細菌培養物におけるポリペプチドの産生収率及び品質を改善するために、細菌細胞が修飾され得る。例えば、分泌抗体ポリペプチドの適切な組み立て及び折り畳みを改善するために、細菌宿主細胞は、宿主原核生物細胞を同時形質転換するために使用され得るFkpA及びDsbタンパク質(DsbB、DsbC、DsbD、及び/またはDsbG)等のシャペロンタンパク質を発現する追加のベクターを含み得る。シャペロンタンパク質は、細菌宿主細胞内で産生される異種タンパク質の適切な折り畳み及び溶解を容易にすることが実証されている。
ii.抗体産生
宿主細胞は、上述の発現ベクターで形質転換され、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、または所望の配列をコードする遺伝子の増幅に適切になるように修飾された従来の栄養素培地で培養される。
形質転換とは、DNAが、染色体外要素として、または染色体組み込み体によってのいずれかで複製可能になるように、DNAを原核生物宿主に導入することを意味する。使用される宿主細胞に応じて、かかる細胞に適切な標準の技法を使用して、形質転換が行われる。一般に、塩化カルシウムを用いるカルシウム処理が、頑丈な細胞壁障壁を含有する細菌細胞に使用される。形質転換の別の方法は、ポリエチレングリコール/DMSOを用いる。使用されるなお別の技法は、電気穿孔である。
本発明のポリペプチドを産生するために使用される原核生物細胞は、当該技術分野で既知であり、かつ選択された宿主細胞の培養に好適な培地で成長する。好適な培地の例としては、必要な栄養素補助剤を含むルリアブロス(LB)が挙げられる。いくつかの実施形態では、培地は、発現ベクターを含有する原核生物細胞の成長を選択的に許容するために、発現ベクターの構築に基づいて選択された選択剤も含有する。例えば、アンピシリン耐性遺伝子を発現する細胞を成長させるために、アンピシリンが培地に添加される。
炭素、窒素、及び無機リン酸塩源に加えて、任意の必要な補助剤も、単独で、または複合窒素源等の別の補助剤もしくは培地との混合物として導入される適切な濃度で含まれ得る。任意に、培養培地は、グルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレート、ジチオエリトリトール、及びジチオスレイトールからなる群から選択される1つ以上の還元剤を含有し得る。
原核生物宿主細胞は、好適な温度で培養される。E.coli成長の場合、例えば、好ましい温度は、約20℃~約39℃の範囲、より好ましくは約25℃~約37℃の範囲、更により好ましくは約30℃である。培地のpHは、主に宿主生物に応じて約5~約9の範囲の任意のpHであり得る。E.coliの場合、pHは、好ましくは約6.8~約7.4、より好ましくは約7.0である。
誘導プロモーターが本発明の発現ベクターに使用される場合、タンパク質発現は、プロモーターの活性化に好適な条件下で誘導される。本発明の一態様では、ポリペプチドの転写を制御するために、PhoAプロモーターが使用される。したがって、形質転換宿主細胞は、誘導のためにリン酸塩制限培地で培養される。好ましくは、リン酸塩制限培地は、C.R.A.P培地(例えば、Simmons et al.,J.Immunol.Methods(2002),263:133-147を参照されたい)、またはWO2002/061090に記載の培地である。当該技術分野で既知であるように、用いられるベクター構築物に従って、様々な他の誘導因子が使用され得る。
一実施形態では、本発明の発現ポリペプチドは、宿主細胞の周辺質に分泌され、それから回収される。タンパク質回収は、典型的には、一般に浸透圧ショック、超音波処理、または溶解等の手段による微生物の破壊を伴う。細胞が破壊されると、細胞残屑または全細胞は、遠心分離または濾過によって除去され得る。タンパク質は、例えば、親和性樹脂クロマトグラフィーによって更に精製され得る。あるいは、タンパク質は、培養培地に輸送され、その中で単離され得る。細胞が、培養物から除去され得、培養上清が、産生されたタンパク質の更なる精製のために濾過され、濃縮される。発現ポリペプチドは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)及びウエスタンブロットアッセイ等の一般に既知の方法を使用して、更に単離され、特定され得る。
本発明の一態様では、抗体産生は、発酵プロセスによって大量に行われる。様々な大規模供給バッチ発酵手順が、組換えポリペプチドの産生に利用可能である。大規模発酵は、少なくとも1000リットルの容量、好ましくは約1,000~100,000リットルの容量を有する。これらの発酵槽は、酸素及び栄養素、特にグルコース(好ましい炭素/エネルギー源)を分布させるために撹拌インペラーを使用する。小規模発酵とは、一般に、容積がおよそ100リットル以下であり、約1リットル~約100リットルの範囲であり得る発酵槽での発酵を指す。
発酵プロセスにおいて、タンパク質発現の誘導は、典型的には、細胞が所望の密度、例えば、約180~220のOD550になるまで好適な条件下で成長した後に開始され、その段階で、細胞は初期静止期にある。当該技術分野で既知であり、上述されるように、用いられるベクター構築物に従って、様々な誘導因子が使用され得る。細胞は、誘導前により短い期間成長し得る。細胞は、通常、約12~50時間誘導されるが、より長いまたはより短い誘導時間も使用され得る。
本発明のポリペプチドの産生収率及び品質を改善するために、様々な発酵条件が修正され得る。例えば、分泌抗体ポリペプチドの適切な組み立て及び折り畳みを改善するために、FkpA、DsbA、及び/またはDsbC等のシャペロンタンパク質を発現する追加のベクターを使用して、宿主原核生物細胞を同時形質転換することができる。シャペロンタンパク質は、細菌宿主細胞内で産生される異種タンパク質の適切な折り畳み及び溶解を容易にすることが実証されている。いくつかの実施形態では、FkpA、DsbA、及び/またはDsbCは、細菌宿主細胞で発現される。
発現異種タンパク質(特にタンパク質分解感受性のもの)のタンパク質分解を最小限に抑えるために、タンパク質分解酵素が欠損したある特定の宿主株が、本発明に使用され得る。例えば、宿主細胞株は、既知の細菌プロテアーゼ、例えば、プロテアーゼIII、OmpT、DegP、Tsp、プロテアーゼI、プロテアーゼMi、プロテアーゼV、プロテアーゼVI、及びこれらの組み合わせをコードする遺伝子において遺伝子変異(複数可)をもたらすように修飾され得る。いくつかのE.coliプロテアーゼ欠損株が利用可能であり、例えば、例えば、Jolyら(1998)(上記)、Georgiouらの米国特許第5,264,365号、Georgiouらの米国特許第5,508,192号、Hara et al.,Microbial Drug Resistance,2:63-72(1996)に記載されている。
一実施形態では、タンパク質分解酵素が欠損し、かつ1つ以上のシャペロンタンパク質を発現するプラスミドで形質転換されたE.coli株が、本発明の発現系における宿主細胞として使用される。
B.抗体精製
当該技術分野で既知の標準のタンパク質精製方法が、用いられ得る。以下の手順、つまり、免疫親和性またはイオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカまたは陽イオン交換樹脂(SP等)または陰イオン交換(DEAE等)でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、及び例えば、Sephadex G-75を使用したゲル濾過が、好適な精製手順のうちの例示的なものである。
一態様では、固相に固定化されたタンパク質Aが、本発明の抗体産物の免疫親和性精製に使用される。タンパク質Aは、高親和性で抗体のFc領域に結合するStaphylococcus aureas由来の41kDの細胞壁タンパク質である。Lindmark et al.,(1983)J.Immunol.Meth.62:1-13。タンパク質Aが固定化される固相は、好ましくは、ガラスまたはシリカ表面を含むカラム、より好ましくは、制御孔ガラスカラムまたはケイ酸カラムである。いくつかの用途では、カラムは、不純物の非特異的結合を阻止するためにグリセロール等の試薬でコーティングされている。
精製の第1のステップとして、上述の細胞培養物由来の調製物を、タンパク質A固定化固相に適用して、目的とする抗体のタンパク質Aへの特異的結合を可能にする。その後、固相を洗浄して、固相に非特異的に結合している不純物を除去する。最後に、目的とする抗体を、溶出により固相から回収する。
本発明のいくつかの実施形態では、精製ステップのうちの1つ以上から得られる画分を、FkpAの除去について分析する。いくつかの実施形態では、FkpAの除去は、免疫アッセイによって、例えば、本明細書に記載の免疫アッセイによって決定される。
本発明は、例えば、化学療法剤、薬物、成長阻害剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、もしくは動物起源の酵素的に活性な毒素、もしくはその断片)、または放射性同位体(すなわち、放射性コンジュゲート)等の細胞毒性剤にコンジュゲートされる本明細書に記載の抗体のうちのいずれかを含む、免疫コンジュゲート(互換的に「抗体-薬物コンジュゲート」または「ADC」と称される)も提供する。
本発明の二重特異性抗体のための精製スキームが、以下に記載される。
VI.FkpAの組成物
いくつかの態様では、本発明は、超高純度FkpAを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本組成物は、約95.0%、約96.0%、約97.0%、約98.0%、約99.0%、または約99.5%のうちのいずれかを超えるFkpAである、FkpAを含む。いくつかの実施形態では、95%のFkpAを含む組成物は、調製物中の材料の5%未満が、FkpAの産生中に存在する細胞または細胞溶解物(例えば、タンパク質、核酸、脂質等)中に存在した他の物質である、組成物である。いくつかの実施形態では、FkpAポリペプチドの割合は、サイズ排除クロマトグラフィー(例えば、HPLC-SEC)によって測定される。いくつかの実施形態では、超高純度FkpAを含む組成物は、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、約0.5%、または約0.1%のうちのいずれか未満の低分子量種(例えば、SECまたはSDS-PAGEによって測定される、FkpA未満の分子量を有する種)を含む。いくつかの実施形態では、超高純度FkpAを含む組成物は、約2%未満の低分子量種を含む。いくつかの実施形態では、超高純度FkpAを含む組成物は、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、約0.5%、または約0.1%のうちのいずれか未満の高分子量種(例えば、SECまたはSDS-PAGEによって測定される、FkpAを超える分子量を有する種)を含む。いくつかの実施形態では、超高純度FkpAを含む組成物は、約1%未満の高分子量種を含む。
いくつかの実施形態では、高度に精製されたFkpAを含む組成物が、使用のために製剤化される。いくつかの実施形態では、超高純度FkpAを含む組成物は、例えば、アジュバントを添加して、免疫応答の生成を容易にすることによって、動物の免疫化して、FkpAに対する抗体を生成させるために製剤化される。他の実施形態では、超高純度FkpAを含む組成物は、免疫アッセイにおける使用、例えば、陽性対照または標準曲線としての使用のために製剤化される。
VII.FkpAに対する抗体の生成
ある特定の態様では、本発明は、FkpAの存在について組換えポリペプチド試料を分析するための免疫アッセイにおいて使用するための抗体(例えば、ポリクローナル抗体及び/またはモノクローナル抗体)を生成するための、免疫原として使用するための超高純度FkpAを提供する。例えば、本抗体は、組換えポリペプチド(例えば、多重特異性抗体)が外因性FkpAを発現する細菌細胞で産生された組換えポリペプチド試料中の、FkpAを検出及び/または定量するための免疫アッセイにおいて使用され得る。いくつかの実施形態では、本発明は、超高純度FkpAに特異的に結合するポリクローナル抗体を提供する。いくつかの態様では、ポリクローナル抗体は、FkpAの異なるエピトープに特異的に結合し、それ故にFkpA断片、変異形、誤折り畳みタンパク質等を検出するための有用性を提供する。免疫アッセイで測定される試料中のFkpAのレベルの過剰定量または過剰評価をもたらし得る、宿主細胞タンパク質不純物に対するウサギ抗体の生成を最小限に抑えるために、動物(例えば、ウサギ)は、超高純度FkpAで免疫化される。
本発明は、FkpAに特異的に結合する抗体を提供する。いくつかの実施形態では、抗体は、ポリクローナル抗体である。ポリクローナル抗体は、好ましくは、関連抗原及びアジュバントの複数回の皮下(sc)または腹腔内(ip)注入によって動物において産生される。二官能性または誘導体化剤、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介するコンジュゲーション)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介する)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2、またはR1N=C=NR(式中、R及びR1は、異なるアルキル基である)を使用して、関連抗原を、免疫化される種において免疫原性であるポリペプチド、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、またはダイズトリプシン阻害剤にコンジュゲートすることが有用であり得る。
例えば、100μgまたは5μgのタンパク質またはコンジュゲート(それぞれ、ウサギまたはマウスの場合)を、3体積のフロイント完全アジュバントと組み合わせ、複数の部位で溶液を皮内注入することにより、動物を、抗原、免疫原性コンジュゲート、または誘導体に対して免疫化する。1ヶ月後、動物を、複数の部位での皮下注入によって、完全フロイントアジュバント中のペプチドまたはコンジュゲートの最初の量の1/5~1/10で追加免疫する。7~14日後、動物を採血し、血清を抗体力価についてアッセイする。動物を、力価が水平状態になるまで追加免疫する。いくつかの実施形態では、動物を、同じ抗原のコンジュゲートであるが、異なるポリペプチドにコンジュゲートされ、かつ/または異なる架橋試薬によりコンジュゲートされたもので追加免疫する。コンジュゲートは、ポリペプチド融合物として組換え細胞培養物で作製することもできる。ミョウバン等の凝集剤も、免疫応答を増強するために好適に使用される。
いくつかの実施形態では、FkpAで免疫化される動物は、ヤギ、ヒツジ、ウサギ、マウス、モルモット、ハムスター、ラット、ロバ、またはニワトリである。
いくつかの実施形態では、FkpAに特異的に結合する抗体は、モノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、実質的に同種の抗体の集団から得られ、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、同一であり、かつ/または同じエピトープに結合するが、モノクローナル抗体の産生中に生じる可能な変異形を除き、かかる変異形は、一般に、少量で存在する。したがって、「モノクローナル」という修飾語句は、別個の抗体またはポリクローナル抗体の混合物ではないという抗体の特徴を示す。上述のように、モノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature256:495(1975)が初めて説明したハイブリドーマ法を使用して作製されても、組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)によって作製されてもよい。
いくつかの態様では、本発明は、FkpAに特異的に結合する抗体の精製方法であって、抗FkpA抗体を含む組成物を支持材料に結合している超高純度FkpAを含むクロマトグラフィー材料と接触させることと、クロマトグラフィー材料を洗浄して、結合していない化合物を除去することと、抗FkpA抗体を溶出させることとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、支持材料に結合している超高純度FkpAは、約1%、約0.9%、約0.8%、約0.7%、約0.6%、約0.5%、約0.4%、約0.3%、約0.2%、約0.1%、約0.05%、約0.01%のうちのいずれか未満の不純物を含む。いくつかの実施形態では、超高純度FkpAは、本明細書に記載の方法によって調製される。いくつかの実施形態では、本発明は、FkpAに特異的に結合するポリクローナル抗体の精製方法を提供する。いくつかの実施形態では、ポリクローナル抗体の約1%、約0.9%、約0.8%、約0.7%、約0.6%、約0.5%、約0.4%、約0.3%、約0.2%、約0.1%、約0.05%、約0.01%のうちのいずれか未満が、非FkpA化合物に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、抗FkpA抗体は、抗体を、クロマトグラフィー材料に固定化された超高純度FkpA(例えば、活性化グリセリル制御孔ガラスに固定化された超高純度FkpA)と接触させることによって精製される。いくつかの実施形態では、抗体は、固定化FkpAとの接触前に、例えば、硫酸アンモニウム沈殿によって濃縮される。いくつかの実施形態では、抗体を固定化FkpAに結合させ、その後、固定化FkpA抗体複合体を洗浄して、結合していない不純物を除去する。更なる実施形態では、抗体は、装填緩衝液として異なるpHの緩衝液で溶出させることによって、固定化FkpAから溶出され、例えば、抗体は、中性pH(例えば、pH7.2)の固定化FkpAに結合し、酸性pH(例えば、pH2.0)で溶出される。いくつかの更なる実施形態では、抗FkpA抗体は、更なるクロマトグラフィー、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーに供される。いくつかの実施形態では、精製抗FkpA抗体(例えば、ポリクローナル抗体)はそれぞれ、超高純度FkpAへのそれらの結合についてアッセイされる。
VIII.FkpAに対する抗体を使用した免疫アッセイ
いくつかの実施形態では、本発明は、FkpAの存在及び/または分量についての組換えポリペプチド(例えば、多重特異性抗体)試料の分析方法であって、免疫アッセイを使用して試料中のFkpAを検出することと、試料中で検出されたFkpAの量を1つ以上の濃度の超高純度FkpA参照標準物の検出と比較することとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、調製物は、約1%、約0.9%、約0.8%、約0.7%、約0.6%、約0.5%、約0.4%、約0.3%、約0.2%、約0.1%、約0.09%、約0.08%、約0.07%、約0.06%、約0.05%、約0.04%、約0.03%、約0.02%、または約0.01%のうちのいずれか未満の不純物を含む。いくつかの実施形態では、超高純度FkpA参照標準物は、本明細書に記載の方法によって調製される。いくつかの実施形態では、免疫アッセイは、超高純度FkpAに特異的に結合する抗体を含む。いくつかの実施形態では、超高純度FkpAに特異的に結合する抗体は、約1%、約0.9%、約0.8%、約0.7%、約0.6%、約0.5%、約0.4%、約0.3%、約0.2%、約0.1%、約0.09%、約0.08%、約0.07%、約0.06%、約0.05%、約0.04%、約0.03%、約0.02%、または約0.01%のうちのいずれか未満の非FkpA化合物に結合する。いくつかの実施形態では、超高純度FkpAに特異的に結合する抗体は、ポリクローナル抗体である。他の実施形態では、超高純度FkpAに特異的に結合する抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、超高純度FkpAに特異的に結合する抗体は、免疫アッセイにおいて捕捉抗体として使用される。いくつかの実施形態では、超高純度FkpAに特異的に結合する抗体は、検出抗体として使用される。いくつかの実施形態では、検出抗体は、検出剤(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、FkpAは、E.coli FkpAである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、宿主細胞(例えば、E.coli宿主細胞)内で調製される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、FkpAを過剰発現する(例えば、FkpAを過剰発現したE.coli宿主細胞)。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、外因性FkpAを発現する(例えば、外因性FkpAを発現したE.coli宿主細胞)。いくつかの実施形態では、試料は、細胞溶解物であるか、または組換えポリペプチド調製物から得られ、組換えポリペプチド調製物は、1つ以上のクロマトグラフィー精製ステップに供されている。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチド調製物は、最終精製産物である。いくつかの実施形態では、超高純度FkpAに特異的に結合する抗体は、免疫アッセイにおいて、約50ng/mL、約25ng/mL、約15ng/mL、約10ng/mL、約5ng/mL、約2.5ng/mL、及び/または約1.5ng/mL未満、及び/またはそれらのうちのいずれかのFkpAを検出することができる。
いくつかの態様では、本発明は、FkpAの検出及び定量化のための免疫アッセイ方法を提供する。かかる方法は、FkpAが発現されて、ポリペプチド折り畳み及び組み立てを容易にする、宿主細胞、例えば、E.coliで産生された組換えポリペプチド調製物中のFkpAの検出及び定量化のために使用され得る。いくつかの実施形態では、免疫アッセイ方法は、本明細書に記載の捕捉及び検出抗FkpA抗体を使用する。いくつかの実施形態では、本抗体は、サンドイッチアッセイ、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)アッセイ、電気化学的アッセイ(ECL)アッセイ、磁気免疫アッセイを含むが、これらに限定されない当該技術分野で既知の任意の免疫アッセイ方法で使用される。ある特定の実施形態では、本方法は、FkpAへの抗FkpA抗体の結合を許容する条件下で、組換えポリペプチド調製物の試料を本明細書に記載の抗FkpA抗体と接触させることと、抗FkpA抗体とFkpAとの間で複合体が形成されるかどうかを検出することとを含む。
ある特定の実施形態では、標識抗FkpA抗体が提供される。標識としては、直接検出される標識または部分(蛍光標識、発色団標識、電子密度の高い標識、化学発光標識、及び放射性標識等)、ならびに間接的に、例えば、酵素反応または分子相互作用により検出される酵素またはリガンド等の部分が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な標識としては、放射性同位体32P、14C、125I、3H、及び131I、フルオロフォア(希土類キレートまたはフルオレセイン及びその誘導体等)、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルセリフェラーゼ(luceriferase)、例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖質オキシダーゼ、例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸塩デヒドロゲナーゼ、過酸化水素を用いて色素前駆体を酸化させる酵素(HRP等)、ラクトペルオキシダーゼ、またはマイクロペルオキシダーゼとカップリングされたウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ等の複素環式オキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、ならびに安定した遊離ラジカル等が挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態では、捕捉抗FkpA抗体は、固相に固定化される。いくつかの実施形態では、固定化のために使用される固相は、例えば、表面、粒子、多孔質マトリックス、ビーズ等の形態の支持体を含む、本質的に水不溶性であり、免疫測定アッセイに有用な任意の不活性支持体または担体である。一般に使用されている支持体の例としては、小シート、SEPHADEX(登録商標)、ゲル、ポリ塩化ビニル、プラスチックビーズ、及びポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等から製造されたアッセイプレートまたは試験管、例えば、96ウェルマイクロタイタープレート、ならびに濾紙等の粒子状材料、アガロース、架橋デキストラン、及び他の多糖類が挙げられる。あるいは、米国特許第3,969,287号、同3,691,016号、同4,195,128号、同4,247,642号、同4,229,537号、及び同4,330,440号に記載の反応性水不溶性マトリックス、(臭化シアン活性化炭水化物等)ならびに反応性基質が、捕捉-試薬固定化に好適に用いられる。いくつかの実施形態では、固定化捕捉試薬は、一度にいくつかの試料を分析するために使用され得るマイクロタイタープレート上にコーティングされる。例示的なマイクロタイタープレートとしては、MICROTEST(登録商標)、MAXISORP(登録商標)、NUNC MAXISORB(登録商標)、及びIMMULON(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。固相は、非共有結合もしくは共有結合相互作用、または所望の場合、物理的結合によって結合し得る、上記に定義される捕捉試薬でコーティングされる。結合技法としては、米国特許第4,376,110号及びその中で引用されている参考文献に記載されるものが挙げられる。共有結合の場合、プレートまたは他の固相が、室温で1時間等の当該技術分野で周知の条件下で、捕捉試薬と一緒に、架橋剤とともにインキュベートされる。いくつかの実施形態では、プレートが積み重ねられ、アッセイ自体のかなり前にコーティングされ、その後、アッセイが、手動、半自動、または自動の様式で(ロボット工学を使用することによって等)いくつかの試料で同時に行われる。
いくつかの実施形態では、コーティングされたプレートは、結合部位に非特異的に結合してそれを飽和させる遮断剤で処理されて、遊離リガンドのプレートのウェル上の過剰部位への望ましくない結合を阻止する。この目的に適切な遮断剤の例としては、例えば、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、卵アルブミン、カゼイン、及び脱脂乳が挙げられるが、これらに限定されない。遮断処理は、典型的には、周囲温度の条件下である期間、典型的には、約1~4時間行われる。
いくつかの実施形態では、コーティング及び遮断後、分析される、適切には、希釈される試料が、固定化相に添加される。この目的のために希釈に使用され得る例示的な緩衝液としては、(a)0.5%のBSA、0.05%のTWEEN20(登録商標)洗剤(P20)、0.05%のPROCLIN(登録商標)300抗生物質、5mMのEDTA、0.25%の3-((3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)-1-プロパンスルホネート(CHAPS)界面活性剤、0.2%のベータ-ガンマグロブリン、及び0.35MのNaClを含有する、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、(b)0.5%のウシ血清アルブミン(BSA)、0.05%のP20、及び0.05%のPROCLIN(登録商標)300を含有する、PBS(pH7)、(c)0.5%のBSA、0.05%のP20、0.05%のPROCLIN(登録商標)300、5mMのEDTA、及び0.35MのNaClを含有する、PBS(pH6.35)、(d)0.5%のBSA、0.05%のP20、0.05%のPROCLIN(登録商標)300、5mMのEDTA、0.2%のベータ-ガンマグロブリン、及び0.35MのNaClを含有する、PBS、ならびに(e)0.5%のBSA、0.05%のP20、0.05%のPROCLIN(登録商標)300、5mMのEDTA、0.25%のCHAPS、及び0.35MのNaClを含有するPBSが挙げられるが、これらに限定されない。
試料及び固定化捕捉試薬のインキュベーションの条件は、アッセイの感度を最大にし、解離を最小限に抑えるように、かつ試料中に存在する目的とするいかなる検体(FkpA等)も固定化捕捉試薬に確実に結合するように選択される。任意に、試料は、捕捉されていない材料を除去するために、(例えば、洗浄によって)固定化捕捉試薬から分離される。洗浄に使用される溶液は、一般に、緩衝液(例えば、「洗浄緩衝液」)である。架橋剤または他の好適な薬剤もこの段階で添加されて、目的とする捕捉された材料がその後のステップである程度解離されるという懸念がある場合に、目的とする現在結合した材料(例えば、FkpA)が捕捉試薬に共有結合することを可能にし得る。
存在する目的とする任意の結合した材料を有する固定化捕捉試薬を、検出抗FkpA抗体と接触させる。いくつかの実施形態では、検出抗体は、ビオチン化される。いくつかの実施形態では、ビオチン化標識のための検出手段は、アビジンまたはストレプトアビジン-HRPである。いくつかの実施形態では、検出手段の読み出しは、蛍光または比色である。
捕捉試薬に現在結合している試料由来の目的とするいかなる遊離材料(例えば、FkpA)のレベルも、検出抗体の検出手段を使用して測定または定量化される。いくつかの実施形態では、測定または定量化は、上記のステップの結果として生じる反応を標準曲線と比較して、既知の量に対する目的とする材料(例えば、FkpA)のレベルを決定することを含む。
固定化捕捉試薬に添加される抗体は、直接標識されるか、または過剰な第1の抗体を洗い流した後に、第1の抗体の動物種のIgGに対して指向されたモル過剰の第2の標識抗体を添加することによって間接的に検出されるかのいずれかである。後者の間接アッセイでは、第1の抗体に対する標識抗血清が試料に添加されて、標識抗体をインサイチュで産生する。
第1の抗体または第2の抗体のいずれかに使用される標識は、目的とする遊離材料(例えば、FkpA)の第1の抗体または第2の抗体への結合と干渉しない、任意の検出可能な官能基である。好適な標識の例としては、免疫アッセイでの使用に既知のもの、例えば、上記に列挙されるものが挙げられる。
これらの標識をタンパク質またはポリペプチドに共有結合させるための、従来の方法が利用可能である。例えば、ジアルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミド、ビス-イミデート、及びビス-ジアゾ化ベンジジン等のカップリング剤を使用して、抗体を、上述の蛍光標識、化学発光標識、及び酵素標識でタグすることができる。例えば、米国特許第3,940,475号(蛍光測定法)及び米国特許第3,645,090号(酵素)、Hunter et al.,Nature144:945(1962)、David et al.,Biochemistry,13:1014-1021(1974)、Pain et al.,J.Immunol.Methods40:219-230(1981)、及びNygren,J.Histochem.and Cytochem.,30:407-412(1982)を参照されたい。
IX.製剤化に使用するための多重特異性抗体の取得及び方法
本明細書に記載の精製方法で使用される多重特異性抗体は、組換え方法を含む、当該技術分野で周知の方法を使用して得ることができる。以下の項は、これらの方法に関する手引きを提供する。
(A)ポリヌクレオチド
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ポリペプチドmRNAを有し、かつそれを検出可能なレベルで発現すると考えられる組織から調製されたcDNAライブラリを含むが、これらに限定されない任意の供給源から得ることができる。したがって、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ヒト組織から調製されたcDNAライブラリから好都合に得ることができる。ポリペプチドをコードする遺伝子もまた、ゲノムライブラリから、または既知の合成手順(例えば、自動核酸合成)によって得ることができる。
例えば、ポリヌクレオチドは、軽鎖及び重鎖等の全免疫グロブリン分子鎖をコードし得る。完全な重鎖は、重鎖可変領域(VH)だけでなく、重鎖定常領域(CH)も含み、これは、典型的には、3つの定常ドメイン、つまり、CH1、CH2、及びCH3、ならびに「ヒンジ」領域を含む。いくつかの状況では、定常領域の存在が望ましい。
ポリヌクレオチドによってコードされ得る他のポリペプチドとしては、単一ドメイン抗体(「dAb」)、Fv、scFv、Fab'、及びF(ab')2等の抗原結合抗体断片、ならびに「ミニボディ」が挙げられる。ミニボディは、(典型的には)CH1及びCKまたはCLドメインが切除されている、二価抗体断片である。ミニボディは、従来の抗体よりも小さいため、それらは、臨床的/診断的用途においてより良好な組織浸透を達成するはずであるが、二価であるため、それらは、dAb等の一価抗体断片よりも高い親和性を保持するはずである。したがって、別途文脈が指示しない限り、本明細書で使用されるとき、「抗体」という用語は、全抗体分子だけでなく、上記に考察される種類の抗原結合抗体断片も包含する。好ましくは、コードされたポリペプチド中に存在する各フレームワーク領域は、対応するヒトアクセプターフレームワークと比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を有する。したがって、例えば、フレームワーク領域は、アクセプターフレームワークと比較して、合計で、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個のアミノ酸置換を含み得る。
好適には、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、単離及び/または精製され得る。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、単離されたポリヌクレオチドである。
「単離されたポリヌクレオチド」という用語は、分子がその正常または天然環境から除去または分離されるか、またはそれがその正常または天然環境に存在しないような方法で産生されていることを示すことが意図される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、精製されたポリヌクレオチドである。精製されたという用語は、少なくともいくらかの混入分子または物質が除去されていることを示すことが意図される。
好適には、ポリヌクレオチドは、関連ポリヌクレオチドが、組成物中に存在する支配的な(すなわち、最も豊富な)ポリヌクレオチドを構成するように、実質的に精製される。
(B)ポリヌクレオチドの発現
以下の説明は、主にポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するベクターで形質転換またはトランスフェクトされた細胞を培養することによる、ポリペプチドの産生に関する。当然ながら、当該技術分野で周知の代替の方法を用いて、ポリペプチドを調製することができることが企図される。例えば、適切なアミノ酸配列またはその部分は、固相技法を使用する直接ペプチド合成によって産生され得る(例えば、Stewart et al.,Solid-Phase Peptide Synthesis W.H.Freeman Co.,San Francisco,Calif.(1969)、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85:2149-2154(1963)を参照されたい)。インビトロタンパク質合成は、手動技法を使用して、または自動で行われ得る。自動合成は、例えば、製造業者の指示を使用して、Applied Biosystems Peptide Synthesizer(Foster City,Calif.)を使用して達成され得る。ポリペプチドの様々な部分を別個に化学的に合成し、化学的または酵素的方法を使用して組み合わせて、所望のポリペプチドを産生することができる。
本明細書に記載のポリヌクレオチドは、ポリペプチドの産生のために発現ベクター(複数可)に挿入される。「制御配列」という用語は、特定の宿主生物における、作動可能に結合されたコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。制御配列としては、プロモーター(例えば、天然会合プロモーターまたは異種プロモーター)、シグナル配列、エンハンサーエレメント、及び転写終結配列が挙げられるが、これらに限定されない。
ポリヌクレオチドは、それが別のポリヌクレオチド配列と機能的な関係性に置かれているとき、「作動可能に結合」されている。例えば、プレ配列または分泌リーダーの核酸は、それがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現する場合、ポリペプチドの核酸に作動可能に結合しているか、プロモーターまたはエンハンサーは、それがコード配列の転写に影響を及ぼす場合、その配列に作動可能に結合しているか、あるいはリボソーム結合部位は、それが翻訳を容易にするように位置付けられている場合、コード配列に作動可能に結合している。一般に、「作動可能に結合」するとは、結合している核酸配列が連続的であること、及び分泌リーダーの場合では、連続的かつリーディング相にあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは、連続的でなくてもよい。結合は、好都合な制限部位での連結によって達成される。かかる部位が存在していない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが、従来的な慣例に従って使用される。
抗体の場合、軽鎖及び重鎖は、同じまたは異なる発現ベクター内でクローニングされ得る。免疫グロブリン鎖をコードする核酸セグメントは、免疫グロブリンポリペプチドの発現を確実にする発現ベクター(複数可)内の制御配列に作動可能に結合される。
ポリヌクレオチド配列を含有するベクター(例えば、可変重鎖及び/または可変軽鎖コード配列ならびに任意の発現制御配列)は、細胞宿主の種類に応じて異なる周知の方法によって宿主細胞に移行され得る。例えば、塩化カルシウムトランスフェクションは、一般的に原核生物細胞に利用される一方で、リン酸カルシウム処理、電気穿孔、リポフェクション、微粒子銃、またはウイルス系トランスフェクションは、他の細胞宿主に使用され得る。(一般に、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Press,2nd ed.,1989を参照されたい)。哺乳動物細胞を形質転換するために使用される他の方法としては、ポリブレン、プロトプラスト融合、リポソーム、電気穿孔、及び微量注入の使用が挙げられる。遺伝子導入動物を産生するためには、導入遺伝子が受精卵母細胞に微量注入され得るか、または胚性幹細胞のゲノムに組み込まれ、かかる細胞の核が除核された卵母細胞に移行され得る。
ベクター
「ベクター」という用語は、発現ベクター及び形質転換ベクター及びシャトルベクターを含む。
「発現ベクター」という用語は、インビボまたはインビトロ発現することができる構築物を意味する。
「形質転換ベクター」という用語は、1つの主体から別の主体(その種のものであっても、異なる種のものであってもよい)へと移行され得る構築物を意味する。構築物が1つの種から別の種へと(Escherichia coliプラスミドから、Bacillus属等の細菌へ等)移行され得る場合、形質転換ベクターは、「シャトルベクター」と呼ばれる場合がある。それは、E.coliプラスミドから植物に対するAgrobacteriumへと移行され得る構築物ですらあり得る。
ベクターは、ポリペプチドの発現を提供するために、以下に記載される好適な宿主細胞へと形質転換され得る。様々なベクターが、公的に入手可能である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子、またはファージの形態であり得る。適切な核酸配列が、様々な手順によってベクターに挿入され得る。一般に、DNAは、当該技術分野で既知の技法を使用して、適切な制限エンドヌクレアーゼ部位(複数可)に挿入される。これらの成分のうちの1つ以上を含有する好適なベクターの構築は、当業者に既知の標準の連結技法を用いる。
ベクターは、例えば、複製起点、任意に該ポリヌクレオチドの発現のためのプロモーター、及び任意にプロモーターの調節因子を有して提供される、プラスミド、ウイルス、またはファージベクターであり得る。ベクターは、当該技術分野で周知の1つ以上の選択可能なマーカー遺伝子を含有し得る。
これらの発現ベクターは、典型的には、エピソームまたは宿主染色体DNAの不可欠な部分のいずれかとして、宿主生物において複製可能である。
宿主細胞
宿主細胞は、例えば、細菌、酵母もしくは他の真菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、または哺乳動物細胞であり得る。
遺伝子操作されている遺伝子導入多細胞宿主生物を使用して、ポリペプチドを産生することができる。この生物は、例えば、遺伝子導入哺乳動物生物(例えば、遺伝子導入ヤギまたはマウス株)であり得る。
好適な原核生物としては、Eubacteria(グラム陰性またはグラム陽性生物等、例えば、E.coli等のEnterobacteriaceae)が挙げられるが、これらに限定されない。E.coli K12株MM294(ATCC31,446)、E.coli X1776(ATCC31,537)、E.coli株W3110(ATCC27,325)、及びK5772(ATCC53,635)等の様々なE.coli株が、公的に入手可能である。他の公的な原核生物宿主細胞としては、Enterobacteriaceae(Escherichia等、例えば、E.coli、Enterobacter、Erwinia、Klebsiella、Proteus、Salmonella、例えば、Salmonella typhimurium、Serratia、例えば、Serratia marcescans、及びShigella)、ならびにBacilli(B.subtilis及びB.licheniformis(例えば、B.licheniformis41P)等)、Pseudomonas(P.aeruginosa等)、及びStreptomycesが挙げられる。これらの例は、限定的なものではなく、むしろ例示的なものである。株W3110は、組換えポリヌクレオチド産物発酵にとって一般的な宿主株であるため、それは、1つの特に好ましい宿主または親宿主である。好ましくは、宿主細胞は、最小量のタンパク質分解酵素を分泌する。例えば、株W3110は、宿主に内因性であるポリペプチドをコードする遺伝子において遺伝子変異をもたらすように修飾されてもよく、かかる宿主の例としては、E.coli W3110株1A2(完全な遺伝子型tonAを有する)、E.coli W3110株9E4(完全な遺伝子型tonA ptr3を有する)、E.coli W3110株27C7(ATCC55,244)(完全な遺伝子型tonA ptr3 phoA E15(argF-lac)169 degP ompT kan'を有する)、E.coliW3110株37D6(完全な遺伝子型tonA ptr3 phoA E15(argF-lac)169 degP ompT rbs7 ilvG kan'を有する)、E.coliW3110株40B4(非カナマイシン耐性degP欠失変異を有する株37D6である)、及び変異周辺質プロテアーゼを有するE.coli株が挙げられる。あるいは、インビトロのクローニング方法、例えば、PCRまたは他の核酸ポリメラーゼ反応が好適である。いくつかの実施形態では、原核生物宿主細胞(例えば、E.coli宿主細胞)が、1つ以上のシャペロンを発現して、抗体の折り畳み及び組み立てを容易にする。いくつかの実施形態では、シャペロンは、FkpA、DsbA、またはDsbCのうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、シャペロンは、内因性シャペロン遺伝子から発現される。いくつかの実施形態では、シャペロンは、外因性シャペロン遺伝子から発現される。いくつかの実施形態では、シャペロン遺伝子は、E.coliシャペロン遺伝子(例えば、E.coli FkpA遺伝子、E.coli DsbA遺伝子、及び/またはE.coli DsbC遺伝子)である。
これらの原核生物宿主内では、典型的には、宿主細胞と適合性のある発現制御配列(例えば、複製起点)を含有する、発現ベクターを作製することができる。加えて、ラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、ベータ-ラクタマーゼプロモーター系、またはファージラムダ由来のプロモーター系等の、任意の数の様々な周知のプロモーターが存在する。プロモーターは、典型的には、任意にオペレーター配列によって発現を制御し、リボソーム結合部位配列等を有することで、転写及び翻訳を開始し、完了する。
真核生物微生物が、発現に使用され得る。糸状真菌または酵母等の真核生物微生物は、ポリペプチドをコードするベクターの好適なクローニングまたは発現宿主である。Saccharomyces cerevisiaeは、一般的に使用される下等真核生物宿主微生物である。他には、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces宿主(例えば、K.lactis(MW98-8C、CBS683、CBS4574)、K.fragilis(ATCC12,424)、K.bulgaricus(ATCC16,045)、K.wickeramii(ATCC24,178)、K.waltii(ATCC56,500)、K.drosophilarum(ATCC36,906)、K.thermotolerans、及びK.marxianus等)、yarrowia(EP402,226)、Pichia pastoris、Candida、Trichoderma reesia、Neurospora crassa、Schwanniomyces(Schwanniomyces occidentalis等)、ならびに糸状真菌(例えば、Neurospora、Penicillium、Tolypocladium、及び(A.nidulans及びA.niger等の)Aspergillus宿主等)が挙げられる。メチロトローフ(Methylotropic)酵母は、本明細書において好適であり、Hansenula、Candida、Kloeckera、Pichia、Saccharomyces、Torulopsis、及びRhodotorulaからなる属から選択される、メタノール上で成長することができる酵母を含むが、これらに限定されない。Saccharomycesは、好ましい酵母宿主であり、好適なベクターは、所望の場合、発現制御配列(例えば、プロモーター)、複製起点、及び終結配列等を有する。典型的なプロモーターは、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ及び他の解糖酵素を含む。誘導酵母プロモーターとしては、中でも、アルコールデヒドロゲナーゼ、イソシトクロムC、及びマルトース及びガラクトース利用に関与する酵素由来のプロモーターが挙げられる。
微生物に加えて、哺乳動物組織細胞培養物を使用して、本明細書に記載のポリペプチドを発現し、産生することもでき、いくつかの事例では、これが好ましい(Winnacker,From Genes to Clones VCH Publishers,N.Y.,N.Y.(1987)を参照されたい)。いくつかの実施形態の場合、異種ポリペプチド(例えば、無傷免疫グロブリン)を分泌することができるいくつかの好適な宿主細胞株が、当該技術分野で開発されており、CHO細胞株、様々なCos細胞株、HeLa細胞、好ましくは、骨髄腫細胞株、または形質転換B細胞もしくはハイブリドーマが挙げられるため、真核生物細胞が好ましくあり得る。いくつかの実施形態では、哺乳動物宿主細胞は、CHO細胞である。
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、脊椎動物宿主細胞である。有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1(COS-7、ATCC CRL1651)、ヒト胚腎臓株(成長のために懸濁液培養物内でサブクローニングされた293または293細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL10)、チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHOまたはCHO-DP-12株)、マウスセルトリ細胞、サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL70)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL2)、イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL34)、バッファローラット肝臓細胞(BRL3A、ATCC CRL1442)、ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL75)、ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB8065)、マウス乳腺腫瘍(MMT060562、ATCC CCL51)、TRI細胞、MRC5細胞、FS4細胞、及びヒト肝臓癌株(Hep G2)である。
X.半抗体の多重特異性抗体組立体の産生
いくつかの実施形態では、本発明は、多重特異性抗体を産生するための方法及び試薬を提供する。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、半抗体を別個に産生することによって産生され、各半抗体は、特定のエピトープに結合するVH/VL単位を含む。いくつかの実施形態では、各半抗体は、宿主細胞内で別個に産生される。いくつかの実施形態では、各半抗体は、同じ宿主細胞内でともに産生される。半抗体は、混合され、多重特異性抗体へと組み立てられる。いくつかの実施形態では、各半抗体は、同じ宿主細胞内でともに産生される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、FkpA、DsbA、及び/またはDsbC等のシャペロンを発現して、半抗体の折り畳みを容易にする。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、IL13に結合する半抗体及びIL17に結合する半抗体から組み立てられる。
各半抗体は、米国特許第7,642,228号に記載されるように、重鎖内に操作されるノブ(隆起)またはホール(空洞)のいずれかを有し得る。簡潔には、CH3ノブ変異体が、まず産生され得る。その後、パートナーCH3ドメイン上のノブに近接する残基366、368、及び407をランダム化することによって、CH3ホール変異体のライブラリが作製され得る。ある特定の実施形態では、ノブ変異はT366Wを含み、ホール変異は変異を有し、IgG1またはIgG4骨格においてT366S、L368A、及びY407Vを含む。当業者であれば、他の免疫グロブリンアイソタイプにおける同等の変異を作製することができる。更に、当業者であれば、二重特異性に使用される2つの半抗体が同じアイソタイプのものであることが好ましいことを容易に理解するであろう。
いくつかの実施形態では、ノブ変異またはホール変異のいずれかを含有する半抗体は、細菌宿主細胞(例えば、E.coli)内で重鎖及び軽鎖構築物を発現することによって、別個の培養物内で生成される。各半抗体は、タンパク質A親和性クロマトグラフィーによって別個に精製することができる。ノブ半抗体及びホール半抗体から浄化された細胞抽出物は、HiTrap(登録商標)MaBSelect(商標)SuRe(商標)カラムによって精製され得る。異なる特異性を有するタンパク質A精製半抗体を組み立てて、還元剤の存在下、インビトロの酸化還元反応において二重特異性抗体を形成することができる。
いくつかの実施形態では、ノブ変異またはホール変異のいずれかを含有する半抗体は、同じ細菌宿主細胞(例えば、E.coli)内で重鎖及び軽鎖構築物を発現することによって、同じ培養物内で生成される。半抗体は、タンパク質A親和性クロマトグラフィーによって精製することができる。ノブ半抗体及びホール半抗体から浄化された細胞抽出物は、HiTrap(登録商標)MaBSelect(商標)SuRe(商標)カラムによって精製され得る。異なる特異性を有するタンパク質A精製半抗体を組み立てて、還元剤の存在下、インビトロの酸化還元反応において二重特異性抗体を形成することができる。
任意の好適な方法を使用して、所望の還元条件を調製することができる。例えば、所望の還元条件は、還元体/還元剤を反応物(本発明の組み立て混合物等)に添加することによって調製され得る。好適な還元体としては、ジチオスレイトール(DTT)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、チオグリコール酸、アスコルビン酸、チオール酢酸、グルタチオン(GSH)、ベータ-メルカプトエチルアミン、システイン/シスチン、GSH/グルタチオンジスルフィド(GSSG)、システアミン/シスタミン、グリシルシステイン、及びベータ-メルカプトエタノールが挙げられるが、これらに限定されず、好ましくは、GSHである。ある特定の実施形態では、還元体は、弱還元体であり、弱還元体としては、GSH、ベータ-メルカプトエチルアミン、システイン/シスチン、GSH/GSSG、システアミン/シスタミン、グリシルシステイン、及びベータ-メルカプトエタノールが挙げられるが、これらに限定されず、好ましくは、GSHである。ある特定の好ましい実施形態では、還元体は、GSHである。ある特定の実施形態では、還元体は、DTTではない。所望の還元条件を反応において達成するために、好適な実験条件下で好適な濃度の好適な還元体を選択することは、当業者の能力の範囲内である。例えば、20℃の二重特異性抗体タンパク質濃度が10g/Lである溶液中の10mMのL還元グルタチオンは、約-400mVの開始酸化還元電位をもたらすことになる。例えば、組み立て混合物に添加されるグルタチオンは、ノブ・イン・ホール二重特異性組み立てに有利な弱還元条件を創出する。BMEA(ベータ-メルカプトエチルアミン)等の同様のクラスの他の還元体は、同様の効果を有し得る。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、WO2013/055958を参照されたい。反応の還元条件は、当該技術分野で既知の任意の好適な方法を使用して評価され、測定され得る。例えば、還元条件は、レザズリンインジケーター(還元条件で青色から無色への変色)を使用して測定され得る。より正確に測定するためには、酸化還元電位メーター(BROADLEY JAMES(登録商標)によって作製されるORP電極等)が使用され得る。
ある特定の実施形態において、還元条件は、弱還元条件である。本明細書で使用されるとき、「弱還元体」または「弱還元条件」という用語は、25℃で負の酸化電位を有する還元剤によって調製される還元剤または還元条件を指す。還元体の酸化電位は、pHが7~9、かつ温度が15℃~39℃である場合に、好ましくは、-50~-600mV、-100~-600mV、-200~-600mV、-100~-500mV、-150~-300mV、より好ましくは、約-300~-500mV、最も好ましくは、約-400mVである。当業者は、所望の還元条件を調製するための好適な還元体を選択することができるであろう。当業者であれば、強還元体、すなわち、同じ濃度、pH、及び温度で上述の還元体よりも大きい負の酸化電位を有するものが、より低い濃度で使用され得ることを認識するであろう。好ましい実施形態では、タンパク質は、上記に引用される条件下でインキュベートされる場合に、還元体の存在下でジスルフィド結合を形成することができる。弱還元体の例としては、グルタチオン、ベータ-メルカプトエチルアミン、シスチン/システイン、GSH/GSSG、システアミン/シスタミン、グリシルシステイン、及びベータ-メルカプトエタノールが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、GSH:抗体の200倍のモル比のものと同様の酸化電位を、他の還元体を使用した効率的な組み立てが期待できる弱還元条件の参照点として使用することができる。
グルタチオン濃度は、モル濃度の観点から、または組み立て混合物中に存在する半抗体の量に対するモル比もしくはモル過剰の観点から表され得る。還元体の標的モル比を使用することで、組み立て混合物中のタンパク質濃度が制御され、これにより、様々なタンパク質濃度による還元過剰または還元不足を阻止する。ある特定の他の実施形態では、還元体は、半抗体の総量に対して、2~600倍、2~200倍、2~300倍、2~400倍、2~500倍、2~20倍、2~8倍、20~50倍、50~600倍、50~200倍、または100~300倍のモル過剰、好ましくは50~400倍、より好ましくは100~300倍、最も好ましくは200倍のモル過剰で、組み立て混合物に添加される。ある特定の実施形態では、組み立て混合物は、7~9のpH、好ましくはpH8.5を有する。
XI.多重特異性抗体を含むポリペプチドの精製
シャペロン(例えば、FkpA、Dsba、及び/またはDsbC)を使用して、E.coli内で生成されるポリペプチド(例えば、多重特異性抗体)の精製方法が、本明細書に提供される。いくつかの態様では、多重特異性抗体の精製は、親和性クロマトグラフィー、混合モードクロマトグラフィー、及び疎水性相互作用クロマトグラフィーの逐次的ステップを含む。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、親和性クロマトグラフィー前に組み立てられる。他の態様では、多重特異性抗体は、親和性クロマトグラフィー後に組み立てられる。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、抗体の一方のアーム(すなわち、一方のVH/VL単位)がIL13に結合し、他方のアームがIL17に結合する、二重特異性抗体である。
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、2つ以上の抗体アームで構成され、異なる抗体アームが、異なるエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗体アームは、VH/VL単位を含む。いくつかの実施形態では、抗体アームは、半抗体としても知られるヘミマーを含む。組み立てを容易にするために、いくつかの実施形態では、一方の抗体アームの重鎖が「ノブ」を含むように修飾され、別の抗体アームの重鎖が第1の重鎖のノブが第2の重鎖のホールにフィットするように「ホール」を含む。
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体の各アームは、別個の細胞培養物で産生される。宿主細胞内での抗体アームの発現後、全細胞ブロスが収集され、ホモジナイズされ、抗体アームが抽出される。いくつかの実施形態では、ポリエチレンイミン(PEI)が、クロマトグラフィー前に細胞溶解物に添加される。いくつかの実施形態では、細胞溶解物は、クロマトグラフィー前に遠心分離される。その後、多重特異性抗体の各アームは、親和性クロマトグラフィーによって精製される。いくつかの実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、タンパク質Aクロマトグラフィーである。この時点で、精製抗体アームは、例えば、SDS-PAGE SECクロマトグラフィー、質量分析法等によって分析され得る。その後、多重特異性抗体の精製されたアームは、本明細書に記載の方法によって組み合わされ、組み立てられる。
他の実施形態では、多重特異性抗体の各アームは、別個の細胞培養物で産生される。宿主細胞内での抗体アームの発現後、全細胞ブロスが収集され、ホモジナイズされる。その後、各培養物由来の細胞ホモジネートは混合され、組み合わされた抗体アームが抽出される。いくつかの実施形態では、ポリエチレンイミン(PEI)が、クロマトグラフィー前に細胞溶解物に添加される。いくつかの実施形態では、細胞溶解物は、クロマトグラフィー前に遠心分離される。その後、多重特異性抗体の組み合わされたアームは、親和性クロマトグラフィーによって精製される。いくつかの実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、タンパク質Aクロマトグラフィーである。この時点で、精製抗体アームは、例えば、SDS-PAGE SECクロマトグラフィー、質量分析法等によって分析され得る。その後、多重特異性抗体の精製されたアームは、本明細書に記載の方法によって組み合わされ、組み立てられる。
他の実施形態では、多重特異性抗体の各アームは、同じ細胞培養物で産生される。宿主細胞内での抗体アームの発現後、全細胞ブロスが収集され、ホモジナイズされ、抗体アームが抽出される。いくつかの実施形態では、ポリエチレンイミン(PEI)が、クロマトグラフィー前に細胞溶解物に添加される。いくつかの実施形態では、細胞溶解物は、クロマトグラフィー前に遠心分離される。その後、多重特異性抗体のアームは、親和性クロマトグラフィーによって精製される。いくつかの実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、タンパク質Aクロマトグラフィーである。この時点で、精製抗体アームは、例えば、SDS-PAGE SECクロマトグラフィー、質量分析法等によって分析され得る。その後、多重特異性抗体の精製されたアームは、本明細書に記載の方法によって組み立てられる。
いくつかの実施形態では、細胞溶解物中のPEIの最終濃度は、少なくとも約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約2.0%、約3.0%、約4.0%、または約5.0のうちのいずれかである。いくつかの実施形態では、細胞溶解物中のPEIの最終濃度は、約0.1%~5%、約0.1%~1%、約0.1%~0.5%、約0.5%~5%、約0.5%~1%、または約1%~5%のうちのいずれか1つである。いくつかの実施形態では、PEIを含む細胞溶解物は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、または約24時間のうちのいずれかを超えて保持される。いくつかの実施形態では、PEIを含む細胞溶解物は、約1時間~24時間、約1時間~6時間、約6時間~12時間、約12時間~18時間、約18時間~24時間のうちのいずれか1つの間保持される。いくつかの実施形態では、PEIを含む細胞溶解物は、約10時間~14時間のうちのいずれか1つの間保持される。いくつかの実施形態では、PEIを含む細胞溶解物は、約4℃~37℃で保持される。いくつかの実施形態では、PEIを含む細胞溶解物は、およそ周囲温度で保持される。
いくつかの実施形態では、細胞溶解物は、クロマトグラフィー前に遠心分離によって浄化される。いくつかの実施形態では、細胞溶解物は、クロマトグラフィー前に濾過される。いくつかの実施形態では、細胞溶解物は、クロマトグラフィー前に0.22μmのフィルターを通して濾過される。
親和性クロマトグラフィーの例としては、タンパク質Aまたはタンパク質Gで誘導体化されるを使用するクロマトグラフィーが挙げられるが、これらに限定されない。親和性クロマトグラフィー材料の例としては、ProSep(登録商標)-vA、ProSep(登録商標)Ultra Plus、Protein A Sepharose(登録商標)Fast Flow、Toyopearl(登録商標)AF-rProtein A、MabSelect(商標)、MabSelect SuRe(商標)、及びMabSelect SuRe(商標)LXが挙げられるが、これらに限定されない。上述のうちのいくつかの実施形態では、親和性クロマトグラフィー材料は、カラム内にある。上述のうちのいくつかの実施形態では、親和性クロマトグラフィー材料は、膜である。いくつかの実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、タンパク質Aクロマトグラフィーである。いくつかの実施形態では、タンパク質Aクロマトグラフィーは、MabSelect SuRe(商標)クロマトグラフィーである。
いくつかの実施形態では、親和性クロマトグラフィーステップからの溶出物は、その後、混合モードクロマトグラフィーに適用される。いくつかの実施形態では、混合モード材料は、以下の機能性、つまり、陰イオン交換、陽イオン交換、水素結合、疎水性相互作用のうちの1つ以上をすることができる官能基を含む。いくつかの実施形態では、混合モード材料は、陰イオン交換及び疎水性相互作用をすることができる官能基を含む。いくつかの実施形態では、混合モード材料は、陽イオン交換及び疎水性相互作用をすることができる官能基を含む。混合モード材料は、N-ベンジル-N-メチルエタノールアミン、4-メルカプト-エチル-ピリジン、ヘキシルアミン、またはフェニルプロピルアミンをリガンドとして含有しても、架橋ポリアリルアミンを含有してもよい。混合モード材料の例としては、Capto(商標)adhere樹脂、Ac細胞(商標)Plus Quaternary Methyl Amine(QMA)樹脂、Capto(商標)MMC樹脂、MEP HyperCel(商標)樹脂、HEA HyperCel(商標)樹脂、PPA HyperCel(商標)樹脂、またはChromaSorb(商標)膜もしくはSartobind STIC(登録商標)が挙げられる。いくつかの実施形態では、混合モード材料は、Capto(商標)adhere樹脂である。いくつかの実施形態では、混合モードクロマトグラフィーは、結合及び溶出モードで行われ、多重特異性抗体は、混合モードクロマトグラフィー材料に結合し、その後、混合モードクロマトグラフィー材料から溶出される。上述のうちのいくつかの実施形態では、混合モード材料は、カラム内にある。上述のうちのいくつかの実施形態では、混合モード材料は、膜内にある。
いくつかの実施形態では、混合モードクロマトグラフィーステップからの溶出物は、その後、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)クロマトグラフィーに適用される。いくつかの実施形態では、混合モードクロマトグラフィーステップからの溶出物は、疎水性相互作用クロマトグラフィー前に陰イオン交換クロマトグラフィーに適用される。疎水性相互作用クロマトグラフィーは、生体分子を疎水性に従って分離する液体クロマトグラフィー技法である。HICクロマトグラフィー材料の例としては、Toyopearl(登録商標)Hexyl-650、Toyopearl(登録商標)Hexyl-650C、Toyopearl(登録商標)Butyl-650、Toyopearl(登録商標)Phenyl-650、Toyopearl(登録商標)Ether-650、HiTrap(登録商標)Sepharose、Octyl Sepharose(登録商標)、Phenyl Sepharose(登録商標)、またはButyl Sepharose(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、HICクロマトグラフィー材料は、Phenyl Sepharose(登録商標)を含む。他の実施形態では、HICクロマトグラフィー材料は、Butyl Sepharose(登録商標)を含む。いくつかの実施形態では、HICクロマトグラフィーは、貫流モードで行われ、多重特異性抗体は、HICクロマトグラフィーを貫流する。上述のうちのいくつかの実施形態では、HICクロマトグラフィー材料は、カラム内にある。上述のうちのいくつかの実施形態では、HICクロマトグラフィー材料は、膜内にある。
本発明のいくつかの実施形態では、混合モードクロマトグラフィー溶出物は、HICクロマトグラフィー前に陰イオン交換クロマトグラフィーに適用される。いくつかの実施形態では、陰イオン交換クロマトグラフィー材料は、正に荷電しており、固相を通り越えるか、または通過した水溶液中の陰イオンとの交換のために遊離陰イオンを有する固相である。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、陰イオン交換材料は、膜、モノリス、または樹脂であり得る。一実施形態では、陰イオン交換材料は、樹脂であり得る。いくつかの実施形態では、陰イオン交換材料は、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、または第四級アンモニウムイオン官能基、ポリアミン官能基、またはジエチルアミノアエチル(diethylaminoaethyl)官能基を含み得る。陰イオン交換材料の例は、当該技術分野で既知であり、POROS(登録商標)HQ50、POROS(登録商標)PI50、POROS(登録商標)D、MustangQ、Q Sepharose(登録商標)Fast Flow(QSFF)、及びDEAE-Sepharose(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、陰イオン交換クロマトグラフィー材料は、QSFFクロマトグラフィー材料である。いくつかの実施形態では、陰イオン交換クロマトグラフィーは、結合及び溶出モードで行われる。上述のうちのいくつかの実施形態では、陰イオン交換クロマトグラフィー材料は、カラム内にある。上述のうちのいくつかの実施形態では、膜内の陰イオン交換クロマトグラフィー材料。
本発明のいくつかの実施形態では、HICクロマトグラフィーからの多重特異性抗体を含む画分は、陽イオン交換クロマトグラフィーに適用される。いくつかの実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、正に荷電しており、固相を通り越えるか、または通過した水溶液中の陽イオンとの交換のために遊離陽イオンを有する固相である。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、陽イオン交換材料は、膜、モノリス、または樹脂であり得る。いくつかの実施形態では、陽イオン交換材料は、樹脂であり得る。陽イオン交換材料は、例えば、スルホン酸塩、カルボキシル、カルボキシメチルスルホン酸、スルホイソブチル、スルホエチル、カルボキシル、スルホプロピル、スルホニル、スルホキシエチル、またはオルトリン酸塩であるが、これらに限定されないカルボン酸官能基またはスルホン酸官能基を含み得る。上述のいくつかの実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、陽イオン交換クロマトグラフィーカラムである。上述のいくつかの実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、陽イオン交換クロマトグラフィー膜である。陽イオン交換材料の例は、当該技術分野で既知であり、Mustang(登録商標)S、Sartobind(登録商標)S、SO3 Monolith、CIM(登録商標)、CIMmultus(登録商標)及びCIMac(登録商標)SO3、S Ceramic HyperD(登録商標)、POROS(登録商標)XS、POROS(登録商標)HS50、POROS(登録商標)HS20、Sulphopropyl-Sepharose(登録商標)Fast Flow(SPSFF)、SP-Sepharose(登録商標)XL(SPXL)、CM Sepharose(登録商標)Fast Flow、Capto(商標)S、Fractogel(登録商標)EMD Se Hicap、Fractogel(登録商標)EMD SO3
-、またはFractogel(登録商標)EMD COO-が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、陽イオン交換材料は、POROS(登録商標)HS50である。いくつかの実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィーは、結合及び溶出モードで行われる。上述のうちのいくつかの実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、カラム内にある。上述のうちのいくつかの実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、膜内にある。
本発明のいくつかの実施形態では、陰イオン交換クロマトグラフィーからのポリペプチド(例えば、多重特異性抗体)を含む画分は、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーに適用される。いくつかの実施形態では、ヒドロキシアパタイトは、(Ca5(PO4)3OH)2を含む。いくつかの実施形態では、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー材料は、固相クロマトグラフィーである。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、ヒドロキシアパタイト材料は、膜、モノリス、または樹脂であり得る。いくつかの実施形態では、陽イオン交換材料は、樹脂であり得る。いくつかの実施形態では、樹脂は、セラミックである。いくつかの実施形態では、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーは、セラミックヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーである。いくつかの実施形態では、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーは、CHTセラミックヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーである。ヒドロキシアパタイト材料の例は、当該技術分野で既知であり、CHTセラミックヒドロキシアパタイトのI型及びII型が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーは、結合及び溶出モードで行われる。上述のうちのいくつかの実施形態では、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー材料は、カラム内にある。上述のうちのいくつかの実施形態では、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー材料は、膜内にある。
多重特異性抗体を含む溶液の、本明細書に記載のクロマトグラフィー材料のうちのいずれかへの装填は、不純物からの多重特異性抗体の分離のために最適化され得る。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体を含む溶液の、クロマトグラフィー材料への装填は、結合及び溶出モードで使用される場合(例えば、本明細書に表記される親和性クロマトグラフィー、混合モードクロマトグラフィー、及びイオン交換クロマトグラフィー)、多重特異性のクロマトグラフィー材料への結合のために最適化され得る。例えば、多重特異性抗体を含む溶液は、装填緩衝液の伝導度を一定に保ちながら、いくつかの異なるpHの装填緩衝液中のクロマトグラフィー材料、例えば、クロマトグラフィーカラムに装填され得る。あるいは、多重特異性抗体を含む溶液は、装填緩衝液のpHを一定に保ちながら、いくつかの異なる伝導度の装填緩衝液中のクロマトグラフィー材料に装填され得る。多重特異性抗体を含む溶液のクロマトグラフィー材料への装填、及びクロマトグラフィー材料からの多重特異性抗体のプール画分中への溶出を完了させた時点で、プール画分中の汚染物質の量は、所与のpHまたは伝導度での産物の汚染物質からの分離に関する情報を提供する。同様に、多重特異性抗体がクロマトグラフィー材料を貫流するクロマトグラフィーの場合(例えば、HIC)、装填緩衝液は、多重特異性抗体がクロマトグラフィーを貫流する一方で、不純物がクロマトグラフィー材料によって保持されるか、または多重特異性抗体とは異なる速度でクロマトグラフィー材料を貫流するように、pH及び伝導度について最適化される。
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体または抗体アームを含む溶液の装填密度は、親和性クロマトグラフィー材料(例えば、タンパク質Aクロマトグラフィー材料)の約10g/L、約20g/L、約30g/L、約40g/L、約50g/L、約60g/L、約70g/L、約80g/L、約90g/L、約100g/L、約110g/L、約120g/L、約130g/L、約140g/L、約または150g/Lのうちのいずれかを超える。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体または抗体アームを含む溶液の装填密度は、親和性クロマトグラフィー材料(例えば、タンパク質Aクロマトグラフィー材料)の約10g/L~20g/L、約20g/L~30g/L、約30g/L~40g/L、約40g/L~50g/L、約50g/L~60g/L、約60g/L~70g/L、約70g/L~80g/L、約80g/L~90g/L、約90g/L~100g/Lのうちのいずれかである。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、親和性クロマトグラフィーの溶出物は、混合モードクロマトグラフィー材料(例えば、Capto(商標)adhereクロマトグラフィー材料)の約30g/L、約40g/L、約50g/L、約60g/L、約70g/L、約80g/L、約90g/L、約100g/L、約110g/L、約120g/L、約130g/L、約140g/L、または約150g/Lのうちのいずれかを超えるポリペプチドの装填密度で混合モードクロマトグラフィー材料に装填される。いくつかの実施形態では、親和性クロマトグラフィーの溶出物の装填密度は、混合モードクロマトグラフィー材料(例えば、Capto(商標)adhereクロマトグラフィー材料)の約10g/L~20g/L、約20g/L~30g/L、約30g/L~40g/L、約40g/L~50g/L、約50g/L~60g/L、約60g/L~70g/L、約70g/L~80g/L、約80g/L~90g/L、約90g/L~100g/Lのうちのいずれかである。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、混合モードクロマトグラフィーまたは陰イオン交換クロマトグラフィーの溶出物は、HICクロマトグラフィー材料(例えば、Phenyl Sepharose(登録商標)またはButyl Sepharose(登録商標)クロマトグラフィー材料)の約30g/L、約40g/L、約50g/L、約60g/L、約70g/L、約80g/L、約90g/L、約100g/L、約110g/L、約120g/L、約130g/L、約140g/L、または約150g/Lのうちのいずれかを超えるポリペプチドの装填密度でHICクロマトグラフィー材料に装填される。いくつかの実施形態では、混合モードクロマトグラフィーまたは陰イオン交換クロマトグラフィーの溶出物の装填密度は、混合モードクロマトグラフィー材料(例えば、Phenyl Sepharose(登録商標)またはButyl Sepharose(登録商標)クロマトグラフィー材料)の約10g/L~20g/L、約20g/L~30g/L、約30g/L~40g/L、約40g/L~50g/L、約50g/L~60g/L、約60g/L~70g/L、約70g/L~80g/L、約80g/L~90g/L、約90g/L~100g/Lのうちのいずれかである。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、混合モードクロマトグラフィーの溶出物は、陰イオン交換クロマトグラフィー材料(例えば、QSFFクロマトグラフィー材料)の約30g/L、約40g/L、約50g/L、約60g/L、約70g/L、約80g/L、約90g/L、約100g/L、約110g/L、約120g/L、約130g/L、約140g/L、または約150g/Lのうちのいずれかを超えるポリペプチドの装填密度で陰イオン交換クロマトグラフィー材料に装填される。いくつかの実施形態では、混合モードクロマトグラフィーの溶出物の装填密度は、陰イオン交換クロマトグラフィー材料(例えば、QSFFクロマトグラフィー材料)の約10g/L~20g/L、約20g/L~30g/L、約30g/L~40g/L、約40g/L~50g/L、約50g/L~60g/L、約60g/L~70g/L、約70g/L~80g/L、約80g/L~90g/L、約90g/L~100g/Lのうちのいずれかである。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、HICクロマトグラフィーからの多重特異性抗体を含む画分は、陽イオン交換クロマトグラフィー材料(例えば、POROS(登録商標)HS50クロマトグラフィー材料)の約30g/L、約40g/L、約50g/L、約60g/L、約70g/L、約80g/L、約90g/L、約100g/L、約110g/L、約120g/L、約130g/L、約140g/L、または約150g/Lのうちのいずれかを超えるポリペプチドの装填密度で陽イオン交換クロマトグラフィー材料に装填される。いくつかの実施形態では、HICクロマトグラフィーからの多重特異性抗体を含む画分の装填密度は、陽イオン交換クロマトグラフィー材料(例えば、POROS(登録商標)HS50クロマトグラフィー材料)の約10g/L~20g/L、約20g/L~30g/L、約30g/L~40g/L、約40g/L~50g/L、約50g/L~60g/L、約60g/L~70g/L、約70g/L~80g/L、約80g/L~90g/L、約90g/L~100g/Lのうちのいずれかである。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、陰イオン交換クロマトグラフィーからの多重特異性抗体を含む画分は、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー材料(例えば、CHT I型セラミックヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー材料)の約5g/L、10g/L、約15g/L、約20g/L、約25g/L、約30g/L、約40g/L、約50g/L、約60g/L、約70g/L、約80g/L、約90g/L、約100g/L、約110g/L、約120g/L、約130g/L、約140g/L、または約150g/Lのうちのいずれか未満のポリペプチドの装填密度でヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー材料に装填される。いくつかの実施形態では、HICクロマトグラフィーからの多重特異性抗体を含む画分の装填密度は、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー材料(例えば、CHT I型セラミックヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー材料)の約5g/L~10g/L、約10g/L~15g/L、約15g/L~20g/L、約20g/L~25g/L、約25g/L~30g/L、約30g/L~50g/L、約50g/L~100g/L、及び約100g/L~150g/Lのうちのいずれかである。
クロマトグラフィー材料からの多重特異性抗体の溶出は、最小汚染物質及び最小プール体積を有する産物の収率のために最適化され得る。例えば、多重特異性抗体または抗体アームを含有する溶液は、装填緩衝液中のクロマトグラフィー材料、例えば、クロマトグラフィーカラムに装填され得る。装填を完了させた時点で、多重特異性抗体または抗体アームを、溶出緩衝液の伝導度を一定に保ちながら、いくつかの異なるpHの緩衝液で溶出させる。あるいは、多重特異性抗体または抗体アームは、溶出緩衝液のpHを一定に保ちながら、いくつかの異なる伝導度の溶出緩衝液中のクロマトグラフィー材料から溶出され得る。クロマトグラフィー材料からの多重特異性抗体または抗体アームの溶出を完了させた時点で、プール画分中の不純物の量は、所与のpHまたは伝導度での多重特異性抗体または抗体アームの不純物からの分離に関する情報を提供する。多数の画分(例えば、8カラム体積)における多重特異性抗体または抗体アームの溶出は、溶出プロファイルの「テーリング」を示す。本発明のいくつかの実施形態では、溶出のテーリングが最小限に抑えられる。
例えば、緩衝液の所望のpH、緩衝液の所望の伝導度、目的とするタンパク質の特徴、及び精製方法に応じて用いられ得る、様々な緩衝液。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、緩衝液を使用することを含む。緩衝液は、装填緩衝液、平衡化緩衝液、または洗浄緩衝液であり得る。いくつかの実施形態では、装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液のうちの1つ以上は、同じである。いくつかの実施形態では、装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液は、異なる。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、緩衝液は、塩を含む。装填緩衝液は、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、またはそれらの混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、装填緩衝液は、塩化ナトリウム緩衝液である。いくつかの実施形態では、装填緩衝液は、酢酸ナトリウム緩衝液である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、Trisを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、アルギニンを含む。
本明細書で使用されるとき、装填物とは、クロマトグラフィー材料に装填された組成物である。装填緩衝液は、多重特異性抗体または抗体アームを含む溶液をクロマトグラフィー材料に装填するために使用される緩衝液である。クロマトグラフィー材料は、精製される溶液の装填前に平衡化緩衝液で平衡化され得る。いくつかの例では、洗浄緩衝液は、溶液をクロマトグラフィー材料に装填した後、かつ目的とする多重特異性抗体または抗体アームを固相から溶出させる前に使用される。しかしながら、目的とする産物、例えば、多重特異性抗体のうちのいくつかは、洗浄緩衝液によってクロマトグラフィー材料から除去され得る(例えば、HICの場合、貫流モード)。
本明細書で使用されるとき、溶出は、産物、例えば、多重特異性抗体または抗体アームのクロマトグラフィー材料からからの除去である。溶出緩衝液は、クロマトグラフィー材料から目的とする多重特異性抗体または他の産物を溶出させるために使用される緩衝液である。多くの場合、溶出緩衝液は、装填緩衝液とは異なる物理的特徴を有する。例えば、溶出緩衝液は、装填緩衝液とは異なる伝導度または装填緩衝液とは異なるpHを有し得る。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液よりも低い伝導度を有する。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液よりも高い伝導度を有する。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液よりも低いpHを有する。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液よりも高いpHを有する。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液とは異なる伝導度及び異なるpHを有する。溶出緩衝液は、より高いまたはより低い伝導度、及びより高いまたはより低いpHの任意の組み合わせを有し得る。
伝導度とは、2つの電極間に電流を伝導する水溶液の能力を指す。溶液中、電流は、イオン輸送により流れる。したがって、水溶液中に存在するイオンの量が増加すると、この溶液は、より高い伝導度を有するようになる。伝導度の尺度の基本単位は、ジーメンス(またはmho)、mho(mS/cm)であり、様々なモデルのOrion伝導度計等の伝導度計を使用して測定され得る。電解質伝導度は、電流を搬送する溶液中のイオンの能力であるため、溶液の伝導度は、その中のイオンの濃度を変化させることによって改変され得る。例えば、溶液中の緩衝剤の濃度及び/または塩(例えば、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、もしくは塩化カリウム)の濃度を改変して、所望の伝導度を達成し得る。好ましくは、様々な緩衝液の塩濃度を修正して、所望の伝導度を達成する。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、装填緩衝液は、約1.0mS/cm、約1.5mS/cm、約2.0mS/cm、約2.5mS/cm、約3.0mS/cm、約3.5mS/cm、約4.0mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cm、約9.0mS/cm、約9.5mS/cm、約10mS/cm、または約20mS/cmのうちのいずれかを超える伝導度を有する。伝導度は、約1mS/cm~約20mS/cm、約4mS/cm~約10mS/cm、約4mS/cm~約7mS/cm、約5mS/cm~約17mS/cm、約5mS/cm~約10mS/cm、または約5mS/cm~約7mS/cmのうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、伝導度は、約1.0mS/cm、約1.5mS/cm、約2.0mS/cm、約2.5mS/cm、約3.0mS/cm、約3.5mS/cm、約4mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cm、約9.0mS/cm、約9.5mS/cm、約10mS/cm、または約20mS/cmのうちのいずれかである。一態様では、伝導度は、装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液の伝導度である。いくつかの実施形態では、装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び洗浄緩衝液のうちの1つ以上の伝導度は、同じである。いくつかの実施形態では、装填緩衝液の伝導度は、洗浄緩衝液及び/または平衡化緩衝液の伝導度とは異なる。
いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液の伝導度未満の伝導度を有する。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、約0.0mS/cm、約0.5mS/cm、約1.0mS/cm、約1.5mS/cm、約2.0mS/cm、約2.5mS/cm、約3.0mS/cm、約3.5mS/cm、約4.0mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、または約7.0mS/cmのうちのいずれか未満の伝導度を有する。伝導度は、約0mS/cm~約7mS/cm、約1mS/cm~約7mS/cm、約2mS/cm~約7mS/cm、約3mS/cm~約7mS/cm、または約4mS/cm~約7mS/cm、約0mS/cm~約5.0mS/cm、約1mS/cm~約5mS/cm、約2mS/cm~約5mS/cm、約3mS/cm~約5mS/cm、または約4mS/cm~約5mS/cmのうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液の伝導度は、約0.0mS/cm、約0.5mS/cm、約1.0mS/cm、約1.5mS/cm、約2.0mS/cm、約2.5mS/cm、約3.0mS/cm、約3.5mS/cm、約4mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、または約7.0mS/cmのうちのいずれかである。
いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液の伝導度を超える伝導度を有する。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、5.5mS/cm、6.0mS/cm、6.5mS/cm、7.0mS/cm、7.5mS/cm、8.0mS/cm、8.5mS/cm、9.0mS/cm、9.5mS/cm、10mS/cm、11mS/cm、12mS/cm、13mS/cm、14mS/cm、15mS/cm、16mS/cm、17.0mS/cm、18.0mS/cm、19.0mS/cm、20.0mS/cm、21.0mS/cm、22.0mS/cm、23.0mS/cm、24.0mS/cm、25.0mS/cm、26.0mS/cm、27.0mS/cm、28.0mS/cm、29.0mS/cm、または30.0mS/cmのうちのいずれかを超える伝導度を有する。伝導度は、約5.5mS/cm~約30mS/cm、約6.0mS/cm~約30mS/cm、約7mS/cm~約30mS/cm、約8mS/cm~約30mS/cm、約9mS/cm~約30mS/cm、または約10mS/cm~約30mS/cmのうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液の伝導度は、5.5mS/cm、6.0mS/cm、6.5mS/cm、7.0mS/cm、7.5mS/cm、8.0mS/cm、8.5mS/cm、9.0mS/cm、9.5mS/cm、10mS/cm、11mS/cm、12mS/cm、13mS/cm、14mS/cm、15mS/cm、16mS/cm、17.0mS/cm、18.0mS/cm、19.0mS/cm、20.0mS/cm、21.0mS/cm、22.0mS/cm、23.0mS/cm、24.0mS/cm、25.0mS/cm、26.0mS/cm、27.0mS/cm、28.0mS/cm、29.0mS/cm、または30.0mS/cmのうちのいずれかである。上記の実施形態のうちのいずれかのいくつかの態様では、溶出緩衝液の伝導度は、段階勾配または線形勾配により装填物及び/または洗浄緩衝液から変化したものである。
本発明のいくつかの実施形態では、多重特異性抗体を含む溶液は、約6.5mS/cm未満の伝導度を有する緩衝液中の混合モードクロマトグラフィー材料に装填され、ポリペプチドは、約1.5mS/cmの伝導度を有する溶出緩衝液中のクロマトグラフィー材料から溶出される。いくつかの実施形態では、装填緩衝液は、約6.5mS/cmの伝導度を有し、溶出緩衝液は、約3mS/cmの伝導度を有する。いくつかの実施形態では、装填緩衝液は、約5.5mS/cmの伝導度を有し、溶出緩衝液は、約2mS/cmの伝導度を有する。いくつかの実施形態では、装填緩衝液は、約5.5mS/cmの伝導度を有し、溶出緩衝液は、約1mS/cmの伝導度を有する。上記の実施形態の更なる実施形態では、クロマトグラフィー材料は、Capto(商標)adhere樹脂である。
上記の実施形態のうちのいずれかのいくつかの態様では、溶出緩衝液の伝導度は、段階勾配または線形勾配により装填物及び/または洗浄緩衝液から変化したものである。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、6.5mS/cm未満で混合モードクロマトグラフィー(例えばCapto(商標)ahereクロマトグラフィー)に装填され、多重特異性抗体は、段階伝導度勾配により混合モードクロマトグラフィーから約約1.5mS/cmになるまで溶出される。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、2.5mS/cm未満で陰イオン交換クロマトグラフィー(例えば、QSFFクロマトグラフィー)に装填され、多重特異性抗体は、段階伝導度勾配により陰イオン交換クロマトグラフィーから約8.6mS/cmになるまで溶出される。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、約5.0mS/cmで陽イオン交換クロマトグラフィー(例えば、POROS(登録商標)HS50クロマトグラフィー)に装填され、多重特異性抗体は、段階伝導度勾配により陽イオン交換クロマトグラフィーから約27.5mS/cmになるまで溶出される。
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(例えば、CHT I型セラミックヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー)に装填され、多重特異性抗体は、線形伝導度勾配によりヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーから溶出される。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、約10mMのリン酸ナトリウムを含むヒドロキシアパタイト緩衝液A中のヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーに装填される。いくつかの実施形態では、線形勾配は、約10mMのリン酸ナトリウム、約1Mの塩化ナトリウムを含むヒドロキシアパタイト緩衝液Bを徐々に添加することによって形成される。いくつかの実施形態では、ヒドロキシアパプタイト緩衝液A及び/またはBは、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3のいずれかである。いくつかの実施形態では、ヒドロキシアパプタイト緩衝液A及び/またはBは、約pH6.8である。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のヒドロキシアパタイト緩衝液B含有量は、勾配にわたって増加する。いくつかの実施形態では、線形勾配は、約0%のヒドロキシアパタイト緩衝液Bで開始し、約100%のヒドロキシアパタイト緩衝液Bで終了する。いくつかの実施形態では、線形勾配は、約10、15、20、25、または30カラム体積(CV)のいずれかにわたって、約0%のヒドロキシアパタイト緩衝液Bで開始し、約100%のヒドロキシアパタイト緩衝液Bで終了する。いくつかの実施形態では、線形勾配は、約20カラム体積(CV)にわたって、約0%のヒドロキシアパタイト緩衝液Bで開始し、約100%のヒドロキシアパタイト緩衝液Bで終了する。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、装填緩衝液は、約10、約9、約8、約7、約6、または約5のうちのいずれか未満のpHを有する。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、装填緩衝液は、約4、約5、約6、約7、約8、または約9のうちのいずれかを超えるpHを有する。装填緩衝液は、約4~9、約4~8、約4~7、約5~9、約5~8、約5~7、約5~6のうちのいずれかのpHを有し得る。いくつかの実施形態では、装填緩衝液のpHは、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、または約8のうちのいずれかである。pHは、装填緩衝液、平衡化緩衝液、または洗浄緩衝液のpHであり得る。いくつかの実施形態では、装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液のうちの1つ以上のpHは、同じである。いくつかの実施形態では、装填緩衝液のpHは、平衡化緩衝液及び/または洗浄緩衝液のpHとは異なる。
いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液のpH未満のpHを有する。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、約8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2のうちのいずれか未満のpHを有する。溶出緩衝液のpHは、約4~約9、約4~約8、約4~約7、約4~約6、約4~約5、約5~約9、約5~約8、約5~約7、約5~約6、約6~約9、約6~約8、約6~約7のうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、約4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、または9.0のうちのいずれかである。
いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液のpHを超えるpHを有する。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、約5、約6、約7、約8、または約9のうちのいずれかを超えるpHを有する。溶出緩衝液のpHは、約4~約9、約5~約9、約6~約9、約7~約9、約8~約9、約4~約8、約5~約8、約6~約8、約7~約8、約4~約7、約5~約7、及び約6~約7のうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、約4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7/0、7.5、8.0、8.5、または9.0のうちのいずれかである。
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体または抗体アームを含む溶液は、約pH7.7で親和性クロマトグラフィー(例えば、タンパク質Aクロマトグラフィー)に装填され、多重特異性抗体または抗体アームは、段階勾配により親和性クロマトグラフィーから約2.9のpHになるまで溶出される。
上記の実施形態のうちのいずれかのいくつかの態様では、溶出緩衝液のpHは、段階勾配または線形勾配により装填物及び/または洗浄緩衝液から変化したものである。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、流量は、約50CV/時、40CV/時、または30CV/時のうちのいずれか未満である。流量は、約5CV/時~50CV/時、約10CV/時~40CV/時、または約18CV/時~36CV/時のうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、流量は、9CV/時、18CV/時、25CV/時、30CV/時、36CV/時、または40CV/時のうちのいずれかである。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、流量は、100cm/時、75cm/時、または50cm/時のうちのいずれか未満である。流量は、25cm/時~150cm/時、25cm/時~100cm/時、50cm/時~100cm/時、または65cm/時~85cm/時のうちのいずれかであり得る。
床高さとは、使用されるクロマトグラフィー材料の高さである。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、床高さは、約5cm、約10cm、約15cm、約20cm、約25cm、約30cm、約35cm、約40cm、約45cm、または約50cmのうちのいずれかを超える。いくつかの実施形態では、床高さは、約5cm~50cmである。いくつかの実施形態では、床高さは、装填物中のポリペプチドまたは汚染物質の量に基づいて決定される。
いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーは、約1mL、約2mL、約3mL、約4mL、約5mL、約6mL、約7mL、約8mL、約9mL、約10mL、約15mL、約20mL、約25mL、約30mL、約40mL、約50mL、約75mL、約100mL、約200mL、約300mL、約400mL、約500mL、約600mL、約700mL、約800mL、約900mL、約1L、約2L、約3L、約4L、約5L、約6L、約7L、約8L、約9L、約10L、約25L、約50L、約100L、約200L、約300L、約400L、約500L、約600L、約700L、約800L、約900L、または約100Lを超える体積を有する容器のカラム内にある。
本発明のいくつかの実施形態では、画分は、クロマトグラフィーから収集される。いくつかの実施形態では、収集される画分は、約0.01CV、0.02CV、0.03CV、0.04CV、0.05CV、0.06CV、0.07CV、0.08CV、0.09CV、0.1CV、0.2CV、0.3CV、0.4CV、0.5CV、0.6CV、0.7CV、0.8CV、0.9CV、1.0CV、2.0CV、3.0CV、4.0CV、5.0CV、6.0CV、7.0CV、8.0CV、9.0CV、または10.0CVを超える。いくつかの実施形態では、産物、例えば、多重特異性抗体または抗体アームを含有する画分が、プールされる。画分中のポリペプチドの量は、当業者によって決定され得、例えば、画分中のポリペプチドの量は、紫外分光法によって決定され得る。いくつかの実施形態では、OD280が約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、及び約1.0のうちのいずれかを超えるときに、画分が収集される。いくつかの実施形態では、OD280が約0.5~1.0、約0.6~1.0、約0.7~1.0、約0.8~1.0、または約0.9~1.0のうちのいずれかであるときに、画分が収集される。いくつかの実施形態では、産物、例えば、検出可能な多重特異性抗体または抗体アームを含有する画分が、プールされる。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、不純物は、産物特異的不純物である。産物特異的不純物の例としては、非対合半抗体、非対合抗体鎖、抗体断片、ホモ二量体、凝集体、高分子量種、超高分子量種、低分子量種、ならびに電荷変異形(酸性変異形及び塩基性変異形等)が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本方法は、非対合半抗体及び/またはホモ二量体(例えば、同じ結合ドメインを含む対合半二量体)の低減または除去を提供する。非対合半抗体及びホモ二量体の存在の測定方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、疎水性相互作用クロマトグラフィー高性能液体クロマトグラフィー(HIC-HPLC)を含む疎水性相互作用クロマトグラフィーによるものである。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、半抗体及び/またはホモ二量体の量は、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%を超えて低減される。半抗体及び/またはホモ二量体の量は、約10%~99%、約30%~95%、約30%~99%、約50%~95%、約50%~99%、約75%~99%、または約85%~99%のうちのいずれかだけ低減され得る。いくつかの実施形態では、低減は、精製ステップ(複数可)から回収された組成物中の半抗体及び/またはホモ二量体の量を、精製ステップ(複数可)前の組成物中の半抗体及び/またはホモ二量体の量と比較することによって決定される。
凝集したポリペプチド(例えば、凝集した多重特異性抗体または凝集した抗体アーム)は、高分子量(HMW)タンパク質であり得る。いくつかの実施形態では、凝集したポリペプチドは、目的とするポリペプチドの多量体である。HMWタンパク質は、目的とするポリペプチドの二量体であっても、その最大8倍の単量体であっても、それよりも大きくてもよい。凝集したタンパク質(例えば、HMWタンパク質)の測定方法は、当該技術分野で既知であり、実施例の項に記載される。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、凝集したタンパク質の量は、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%のうちのいずれかを超えて低減される。凝集したタンパク質の量は、約10%~99%、約30%~95%、約30%~99%、約50%~95%、約50%~99%、約75%~99%、または約85%~99%のうちのいずれかだけ低減され得る。凝集したタンパク質の量は、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%のうちのいずれかだけ低減され得る。いくつかの実施形態では、低減は、精製ステップ(複数可)から回収された組成物中の凝集したタンパク質(例えば、HMWタンパク質)の量を、精製ステップ(複数可)前の組成物中の凝集したタンパク質(例えば、HMWタンパク質)の量と比較することによって決定される。
断片ポリペプチドは、低分子量(LMW)タンパク質であり得る。いくつかの実施形態では、断片化ポリペプチドは、目的とする多重特異性抗体または抗体アームの断片である。LMWタンパク質の例としては、Fab(断片抗原結合)、Fc(断片、結晶化可能)領域、もしくはこれらの両方の組み合わせ、または目的とする抗体の任意のランダム断片化部分が挙げられるが、これらに限定されない。断片化タンパク質(例えば、LMWタンパク質)の測定方法は、当該技術分野で既知であり、実施例の項に記載される。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、LMWタンパク質の量は、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%のうちのいずれかを超えて低減される。LMWタンパク質の量は、約10%~99%、約30%~95%、約30%~99%、約50%~95%、約50%~99%、約75%~99%、または約85%~99%のうちのいずれかだけ低減され得る。LMWタンパク質の量は、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%のうちのいずれかだけ低減され得る。いくつかの実施形態では、低減は、精製ステップ(複数可)から回収された組成物中の断片化タンパク質(例えば、LMWタンパク質)の量を、精製ステップ(複数可)前の組成物中の断片化タンパク質(例えば、LMWタンパク質)の量と比較することによって決定される。
抗体の酸性変異形は、抗体のpIが天然無傷抗体のpI未満である変異形である。抗体の塩基性変異形は、抗体のpIが天然無傷抗体のpIを超える変異形である。電荷変異形(例えば、酸性及び塩基性変異形)は、酸化、脱アミド化、リジン残基のC末端プロセシング、N末端ピログルタミン酸形成、及び抗体の糖化等の天然プロセスの結果であり得る。電荷変異形の測定方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、画像化毛管等電点電気泳動(cIEF)である。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、電荷変異形(酸性及び/または塩基性変異形)の量は、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%を超えて低減される。電荷変異形(酸性及び/または塩基性変異形)の量は、約10%~99%、約30%~95%、約30%~99%、約50%~95%、約50%~99%、約75%~99%、または約85%~99%のうちのいずれかだけ低減され得る。いくつかの実施形態では、低減は、精製ステップ(複数可)から回収された電荷変異形(酸性及び/または塩基性変異形)の量を、精製ステップ(複数可)前の組成物中の電荷変異形の量と比較することによって決定される。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、不純物は、プロセス特異的不純物である。例えば、不純物は、宿主細胞材料;FkpA、DsbA、及びDspC等のシャペロン;浸出タンパク質A;核酸;別のポリペプチド;内毒素;ウイルス汚染物質;細胞培養培地成分、カルボキシペプチダーゼB、ゲンタマイシン等のうちのいずれか1つ以上であり得る。いくつかの例では、汚染物質は、例えば、細菌細胞(E.coli細胞等)、昆虫細胞、原核生物細胞、真核生物細胞、酵母細胞、哺乳動物細胞、鳥類細胞、真菌細胞等であるが、これらに限定されないものに由来する、宿主細胞タンパク質(HCP)であり得る。
宿主細胞タンパク質(HCP)は、ポリペプチドが産生された細胞に由来するタンパク質である。例えば、ECPは、宿主細胞、すなわち、E.coliタンパク質に由来するタンパク質である。CHOPの量は、酵素結合免疫吸着アッセイ(「ELISA」)によって測定され得る。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、HCP(例えば、ECP)の量は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%のうちのいずれかを超えて低減される。HCPの量は、約10%~99%、約30%~95%、約30%~99%、約50%~95%、約50%~99%、約75%~99%、または約85%~99%のうちのいずれかだけ低減され得る。いくつかの実施形態では、HCPの量は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約98%のうちのいずれかだけ低減される。いくつかの実施形態では、低減は、精製ステップ(複数可)から回収された組成物中のHCPの量を、精製ステップ(複数可)前の組成物中のHCPの量と比較することによって決定される。
シャペロンタンパク質、例えば、FkpA、DsbA、及び/またはDsbCは、多くの場合、細胞内での抗体の産生において抗体の折り畳み及び組み立てを容易にするために使用される。シャペロンは、FkpA、DsbA、またはDsbCに特異的に結合する抗体を使用して、ELISAによって検出され得る。例えば、抗体は、FkpA、DsbA、またはDsbCの超高純度組成物に対して生成され得る。いくつかの実施形態では、FkpA、DsbA、及び/またはDsbCは、質量分析法によって決定される。
浸出タンパク質Aは、それが結合している固相から剥離または洗浄されたタンパク質Aである。例えば、浸出タンパク質Aは、タンパク質Aクロマトグラフィーカラムから浸出され得る。タンパク質Aの量は、例えば、ELISAによって測定され得る。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、浸出タンパク質Aの量は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%のうちのいずれかを超えて低減される。浸出タンパク質Aの量は、約10%~99%、約30%~95%、約30%~99%、約50%~95%、約50%~99%、約75%~99%、または約85%~99%のうちのいずれかだけ低減され得る。いくつかの実施形態では、浸出タンパク質Aの量は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%のうちのいずれかだけ低減される。いくつかの実施形態では、低減は、精製ステップ(複数可)から回収された組成物中の浸出タンパク質Aの量を、精製ステップ(複数可)前の組成物中の浸出タンパク質Aの量と比較することによって決定される。
宿主細胞DNA等のDNAの測定方法は、当該技術分野で既知であり、実施例の項に記載される。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、DNAの量は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%のうちのいずれかを超えて低減される。DNAの量は、約10%~99%、約30%~95%、約30%~99%、約50%~95%、約50%~99%、約75%~99%、または約85%~99%のうちのいずれかだけ低減され得る。DNAの量は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約99%のうちのいずれかだけ低減され得る。いくつかの実施形態では、低減は、精製ステップ(複数可)から回収された組成物中のDNAの量を、精製ステップ(複数可)前の組成物中のDNAの量と比較することによって決定される。
細胞培養培地成分とは、細胞培養培地中に存在する成分を指す。細胞培養培地は、細胞の採取時の細胞培養培地であり得る。いくつかの実施形態では、細胞培養培地成分は、ゲンタマイシンである。ゲンタマイシンの量は、ELISAによって測定され得る。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、細胞培養培地成分の量は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%のうちのいずれかを超えて低減される。細胞培養培地成分の量は、約10%~99%、約30%~95%、約30%~99%、約50%~95%、約50%~99%、約75%~99%、または約85%~99%のうちのいずれかだけ低減され得る。いくつかの実施形態では、細胞培養培地成分の量は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約98%のうちのいずれかだけ低減される。いくつかの実施形態では、低減は、精製ステップ(複数可)から回収された組成物中の細胞培養培地成分の量を、精製ステップ(複数可)前の組成物中の細胞培養培地成分の量と比較することによって決定される。
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、ウイルス濾過によって更に精製される。ウイルス濾過は、ポリペプチド精製供給流中のウイルス汚染物質の除去である。ウイルス濾過の例としては、限外濾過及び微量濾過が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、パルボウイルスフィルターを使用して精製される。
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、クロマトグラフィー後(例えば、HICクロマトグラフィー後または陽イオン交換クロマトグラフィー後)に濃縮される。濃縮方法の例は、当該技術分野で既知であり、限外濾過及び透析濾過が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、第1の限外濾過、透析濾過、及び第2の限外濾過によって濃縮される。いくつかの実施形態では、限外濾過及び/または透析濾過は、約5kDal、約10kDal、約5kDal、約20kDal、または約25kDalのうちのいずれか未満のカットオフを有するフィルターを使用する。いくつかの実施形態では、第1の限外濾過の残余分は、薬学的製剤へと透析濾過される。
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、本精製方法の精製されたポリペプチドを、薬学的に許容される担体と組み合わせることを更に含む。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、限外濾過/透析濾過によって薬学的製剤へと製剤化される。
いくつかの実施形態では、ポリペプチド(例えば、多重特異性抗体)の濃度は、約10mg/mL、約20mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約110mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、約180mg/mL、約190mg/mL、約200mg/mL、または約300mg/mLのうちのいずれかを超える。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体の濃度は、約10mg/mL~20mg/mL、約20mg/mL~30mg/mL、約30mg/mL~40mg/mL、約40mg/mL~50mg/mL、約50mg/mL~60mg/mL、約60mg/mL~70mg/mL、約70mg/mL~80mg/mL、約80mg/mL~90mg/mL、約90mg/mL~100mg/mL、約100mg/mL~110mg/mL、約110mg/mL~120mg/mL、約120mg/mL~130mg/mL、約130mg/mL~140mg/mL、約140mg/mL~150mg/mL、約150mg/mL~160mg/mL、約160mg/mL~170mg/mL、約170mg/mL~180mg/mL、約180mg/mL~190mg/mL、約190mg/mL~200mg/mL、約200mg/mL~300mg/mLのうちのいずれかである。
XII.製剤及び製剤の作製方法
本明細書に記載の方法によって精製された多重特異性抗体を含む、製剤及び製剤の作製方法もまた、本明細書に提供される。例えば、精製されたポリペプチドは、薬学的に許容される担体と組み合わされてもよい。
いくつかの実施形態では、ポリペプチド製剤は、所望の程度の純度を有するポリペプチドを、凍結乾燥製剤または水溶液の形態の任意の薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤と混合することによって、保管のために調製され得る(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))。
本明細書で使用されるとき、「担体」としては、用いられる投薬量及び濃度で、それに曝露されている細胞または哺乳動物にとって無毒である、薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤が挙げられる。多くの場合、生理的に許容される担体は、pH緩衝水溶液である。
許容される担体、賦形剤、または安定剤は、用いられる投薬量及び濃度で、レシピエントにとって無毒であり、それらには、リン酸、クエン酸、他の有機酸等の緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール、及びm-クレゾール等);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン等のアミノ酸;単糖類、二糖類、及び他の炭水化物(グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む);EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトール等の糖;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
いくつかの実施形態では、ポリペプチド製剤中のポリペプチドは、機能的活性を維持する。
インビボ投与に使用される製剤は、滅菌されていなければならない。これは、滅菌濾過膜を通す濾過によって容易に達成される。
本明細書の製剤は、治療されている特定の適応症の必要に応じて2つ以上の活性化合物、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有する活性化合物も含有し得る。例えば、ポリペプチドに加えて、1つの製剤中に追加のポリペプチド(例えば、抗体)を含むことが望ましくあり得る。あるいは、または加えて、本組成物は、化学療法剤、細胞毒性剤、サイトカイン、成長阻害剤、抗ホルモン剤、及び/または心臓保護剤を更に含み得る。かかる分子は、意図される目的のために有効な量の組み合わせで好適に存在する。
XIII.FkpAを発現する細胞内で産生されたポリペプチドの組成物
いくつかの態様では、本発明は、FkpAを発現する宿主細胞内で産生された組換えポリペプチドを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物中の組換えポリペプチドは、FkpAを含む宿主細胞タンパク質から精製されている。いくつかの実施形態では、本組成物は、FkpAを発現する宿主細胞内で産生された組換えポリペプチドと、薬学的に許容される賦形剤とを含む。
いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドを含む組成物は、約50ppm、約40ppm、約30ppm、約20ppm、約10ppm、約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、または約0.1ppmのうちのいずれか未満または以下のFkpAを含む。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドを含む組成物は、約0.2ppmのFkpAを含む。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドを含む組成物は、約0.1ppmのFkpAを含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、少なくとも約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約50mg/mL、約75mg/mL、約100mg/mL、約125mg/mL、約150mg/mL、約175mg/mL、約200mg/mL、約250mg/mL、または約300mg/mlのうちのいずれかの濃度の組換えポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、少なくとも約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約50mg/mL、約75mg/mL、約100mg/mL、約125mg/mL、約150mg/mL、約175mg/mL、約200mg/mL、約250mg/mL、または約300mg/mlのうちのいずれかの濃度の組換えポリペプチド、ならびに約50ppm、約40ppm、約30ppm、約20ppm、約10ppm、約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、または約0.1ppmのうちのいずれか未満のFkpAを含む。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドを含む組成物は、約0.2ppmのFkpAを含む。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドを含む組成物は、約0.1ppmのFkpAを含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、約5mg/ml~約100mg/mL、約50mg/mL~約150mg/mL、約100mg/mL~約200mg/mL、約150mg/mL~約250mg/mL、約200mg/mL~約300mg/mlの濃度の組換えポリペプチド、ならびに約50ppm、約40ppm、約30ppm、約20ppm、約10ppm、約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、または約0.1ppmのうちのいずれか未満のFkpAを含む。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドを含む組成物は、約0.2ppmのFkpAを含む。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドを含む組成物は、約0.1ppmのFkpAを含む。
いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドを含む組成物は、約50ppm、40ppm、30ppm、20ppm、10ppm、9ppm、8ppm、7ppm、6ppm、5ppm、4ppm、3ppm、2ppm、1ppm、0.9ppm、0.8ppm、0.7ppm、0.6ppm、0.5ppm、0.4ppm、0.3ppm、0.2ppm、または0.1ppmのうちのいずれか未満または以下のDsbA及び/またはDsbCを含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、少なくとも約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約50mg/mL、約75mg/mL、約100mg/mL、約125mg/mL、約150mg/mL、約175mg/mL、約200mg/mL、約250mg/mL、または約300mg/mlのうちのいずれかの濃度の組換えポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、少なくとも約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約50mg/mL、約75mg/mL、約100mg/mL、約125mg/mL、約150mg/mL、約175mg/mL、約200mg/mL、約250mg/mL、または約300mg/mlのうちのいずれかの濃度の組換えポリペプチド、ならびに約50ppm、約40ppm、約30ppm、約20ppm、約10ppm、約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、または約0.1ppmのうちのいずれか未満のDsbA及び/またはDsbCを含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、約5mg/ml~約100mg/mL、約50mg/mL~約150mg/mL、約100mg/mL~約200mg/mL、約150mg/mL~約250mg/mL、約200mg/mL~約300mg/mlの濃度の組換えポリペプチド、ならびに約50ppm、約40ppm、約30ppm、約20ppm、約10ppm、約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、または約0.1ppmのうちのいずれか未満のDsbA及び/またはDsbCを含む。DsbA及びDsbCを検出するための試薬及び方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許仮出願第62/129,701号に提供される。
いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、抗体である。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、多重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、二重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、本組成物は、FkpAを発現する、例えば、外因性FkpAを発現する細胞内で産生された多重特異性抗体を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、FkpAを発現する細胞内で産生された多重特異性抗体を含み、本組成物は、FkpAを本質的に含まない。いくつかの実施形態では、本組成物は、FkpAを発現する細胞内で産生された多重特異性抗体を含み、本組成物は、約50ppm、約40ppm、約30ppm、約20ppm、約10ppm、約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、または約0.1ppm未満のFkpAを含む。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドを含む組成物は、約0.2ppmのFkpAを含む。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドを含む組成物は、約0.1ppmのFkpAを含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、少なくとも約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約50mg/mL、約75mg/mL、約100mg/mL、約125mg/mL、約150mg/mL、約175mg/mL、約200mg/mL、約250mg/mL、または約300mg/mlのうちのいずれかの濃度の多重特異性抗体を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、少なくとも約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約50mg/mL、約75mg/mL、約100mg/mL、約125mg/mL、約150mg/mL、約175mg/mL、約200mg/mL、約250mg/mL、または約300mg/mlのうちのいずれかの濃度の多重特異性抗体、ならびに約50ppm、約40ppm、約30ppm、約20ppm、約10ppm、約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、または約0.1ppmのうちのいずれか未満のFkpAを含む。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドを含む組成物は、約0.2ppmのFkpAを含む。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドを含む組成物は、約0.1ppmのFkpAを含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、約5mg/ml~約100mg/mL、約50mg/mL~約150mg/mL、約100mg/mL~約200mg/mL、約150mg/mL~約250mg/mL、約200mg/mL~約300mg/mlの濃度の多重特異性抗体、ならびに約50ppm、約40ppm、約30ppm、約20ppm、約10ppm、約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、または約0.1ppmのうちのいずれか未満のFkpAを含む。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドを含む組成物は、約0.2ppmのFkpAを含む。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドを含む組成物は、約0.1ppmのFkpAを含む。
いくつかの実施形態では、本組成物は、FkpAを発現する、例えば、外因性FkpAを発現する、例えば、外因性FkpA、DsbA、及び/またはDsbCを発現する細胞内で産生された多重特異性抗体を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、FkpAを発現する細胞内で産生された多重特異性抗体を含み、本組成物は、FkpAを本質的に含まない。いくつかの実施形態では、本組成物は、FkpAを発現する細胞内で産生された多重特異性抗体を含み、本組成物は、約50ppm、約40ppm、約30ppm、約20ppm、約10ppm、約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、または約0.1ppm未満のDsbA及び/またはDsbCを含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、少なくとも約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約50mg/mL、約75mg/mL、約100mg/mL、約125mg/mL、約150mg/mL、約175mg/mL、約200mg/mL、約250mg/mL、または約300mg/mlのうちのいずれかの濃度の多重特異性抗体を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、少なくとも約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約50mg/mL、約75mg/mL、約100mg/mL、約125mg/mL、約150mg/mL、約175mg/mL、約200mg/mL、約250mg/mL、または約300mg/mlのうちのいずれかの濃度の多重特異性抗体、ならびに約50ppm、約40ppm、約30ppm、約20ppm、約10ppm、約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、または約0.1ppmのうちのいずれか未満のDsbA及び/またはDsbCを含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、約5mg/ml~約100mg/mL、約50mg/mL~約150mg/mL、約100mg/mL~約200mg/mL、約150mg/mL~約250mg/mL、約200mg/mL~約300mg/mlの濃度の多重特異性抗体、ならびに約50ppm、約40ppm、約30ppm、約20ppm、約10ppm、約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、または約0.1ppmのうちのいずれか未満のDsbA及び/またはDsbCを含む。
いくつかの実施形態では、本組成物は、FkpAを発現する細胞内で産生された二重特異性抗体を含み、本組成物は、FkpAを本質的に含まない。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は第1の半抗体及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体はIL-17に結合する第1のVH/VL単位を含み、第2の半抗体はIL-13に結合する第2のVH/VL単位を含む。いくつかの実施形態では、第1の半抗体はIL-13には結合せず、第2の半抗体はIL-17には結合しない。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される多重特異性抗体は、IL-17AA、IL-17AF、及びIL-17FFに結合し、IL-17AA誘導性活性、IL-17AF誘導性活性、及びIL-17FF誘導性活性を阻害し、またIL-13誘導性活性を阻害する。ある特定のかかる実施形態では、抗IL-13/IL-17AA、AF、及びFF二重特異性抗体は、IL-17AまたはIL-17F単独によって誘導される活性とは対照的に、IL-17A及びFサイトカインの全てによって誘導される活性を有利に遮断する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される多重特異性抗体は、IL-17AA、IL-17AF、及びIL-17FFに結合する。いくつかの実施形態では、IL-17AA誘導性活性は、IL-17AA誘導性遺伝子発現及び/またはインビボもしくはインビトロでの細胞の増殖である。いくつかの実施形態では、IL-17AF誘導性活性は、IL-17AF誘導性遺伝子発現及び/またはインビボもしくはインビトロでの細胞の増殖である。いくつかのかかる実施形態では、IL-17FF誘導性活性は、IL-17FF誘導性遺伝子発現及び/またはインビボもしくはインビトロでの細胞の増殖である。いくつかの実施形態では、IL-13誘導性活性は、IL-13誘導性遺伝子発現及び/またはインビボもしくはインビトロでの細胞の増殖である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される多重特異性抗体は、IL-13のIL-13Rα1への結合を阻害しない。
いくつかの実施形態では、組成物中の抗IL13/IL17AA AF FF二重特異性抗体は、第1の半抗体及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、IL-17AA、AF、及びFFに結合する第1のVH/VL単位を含み、第2の半抗体は、IL-13に結合する第2のVH/VL単位を含み、第1のVH/VL単位は、配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、第2のVH/VL単位は、配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、第1の半抗体はIL-13には結合せず、第2の半抗体はIL-17には結合しない。
いくつかの実施形態では、第1のVH/VL単位は、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVH配列、及び配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVL配列を含み、第2のVH/VL単位は、配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVH配列、及び配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVL配列を含む。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体が提供され、第1のVH/VL単位は、配列番号21のアミノ酸配列を有するVH配列及び配列番号22のアミノ酸配列を有するVL配列を含み、第2のVH/VL単位は、配列番号10のアミノ酸配列を有するVH配列及び配列番号11のアミノ酸配列を有するVL配列を含む。
ある特定の実施形態では、第1の半抗体は、配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むIL17AA、AF、及びFFに結合し、第2の半抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むIL13に結合する。ある特定の実施形態では、第1の半抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むIL17AA、AF、及びFFに結合し、第2の半抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むIL13に結合する。
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、本明細書に記載の半抗体を組み立てることによって調製される。半抗体は、宿主細胞を培養して、半抗体の2つの鎖を発現させ、それにより発現時に2つの鎖が折り畳み、組み立てられて、宿主細胞内で生物学的に半抗体を形成することによって、原核生物宿主細胞内で産生される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、E.coli宿主細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、ポリペプチドの第1の鎖をコードする第1の翻訳単位、ポリペプチドの第2の鎖をコードする第2の翻訳単位;ならびにペプチジル-プロリルイソメラーゼ(例えば、FkpA)、タンパク質ジスルフィドオキシドレダクターゼ(例えば、DsbA及びDsbC)からなる群から選択される、少なくとも1つのシャペロンタンパク質をコードする翻訳単位をコードする、1つ以上のポリヌクレオチドを含む。翻訳単位は、同じポリペプチド分子上にあっても、異なるポリペプチド分子上にあっても、または任意の組み合わせであってもよい。例えば、第1及び第2の翻訳単位は、第1のポリペプチド分子上にあってもよく、1つ以上のシャペロンタンパク質をコードする翻訳単位は、第2のポリペプチド分子上にあってもよい。宿主細胞は、成長温度及び成長撹拌速度を含む成長相と、産生温度及び産生撹拌速度を含む産生相とを含む条件下、培養培地中で培養される。いくつかの実施形態では、成長温度は、産生温度を2~10℃上回り、成長撹拌速度は、産生撹拌速度を50~250rpm上回る。半抗体は、細胞から回収され、上述のように組み立てられる。いくつかの実施形態では、半抗体は、組み立て前にタンパク質Aクロマトグラフィーによって精製される。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許仮出願第62/075,792号を参照されたい。
組み立てられた多重特異性抗体は、例えば、FkpAを含む不純物を除去するために更に精製される。いくつかの実施形態では、組み立てられた多重特異性抗体は、混合モードクロマトグラフィー(例えば、陰イオン交換混合モードクロマトグラフィー)によって、続いて疎水性相互作用クロマトグラフィーによって精製される。いくつかの実施形態では、組み立てられた多重特異性抗体は、混合モードクロマトグラフィー(例えば、陰イオン交換混合モードクロマトグラフィー)によって、続いて陰イオン交換クロマトグラフィーによって、続いて疎水性相互作用クロマトグラフィーによって精製される。いくつかの実施形態では、組み立てられた多重特異性抗体は、混合モードクロマトグラフィー(例えば、陰イオン交換混合モードクロマトグラフィー)によって、続いて陰イオン交換クロマトグラフィーによって、続いて疎水性相互作用クロマトグラフィーによって、続いて陽イオン交換クロマトグラフィーによって精製される。いくつかの実施形態では、精製された多重特異性抗体は、本明細書に記載のアッセイを使用して、FkpAの除去について分析される。
XIV.製品及びキット
本明細書に記載の方法によって精製されたポリペプチド(例えば、多重特異性抗体)及び/または本明細書に記載の方法によって精製されたポリペプチドを含む製剤は、製品に含有され得る。いくつかの実施形態では、製品は、本明細書に記載の超高純度FkpAポリペプチドを使用して生成された抗体を含む。製品は、ポリペプチド、抗体、ポリペプチド及び/またはポリペプチド製剤を含有する容器を含み得る。好ましくは、製品は、(a)本明細書に記載のポリペプチド及び/またはポリペプチド製剤を含む組成物を容器内に含む容器、ならびに(b)対象への製剤の投与に関する指示を有する添付文書を含む。
製品は、容器と、容器上または容器に関連するラベルまたは添付文書とを含む。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ等が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチック等の様々な材料から形成され得る。容器は、製剤を保持または含有し、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを有する静脈用溶液袋またはバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、ポリペプチドである。ラベルまたは添付文書は、提供されているポリペプチド及び任意の他の薬物の投薬量及び間隔についての具体的な手引きにより、対象における本組成物の使用を示す。製品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的観点及びユーザの観点から望ましい他の材料を更に含み得る。いくつかの実施形態では、容器は、シリンジである。いくつかの実施形態では、シリンジは、注入デバイス内に更に含有される。いくつかの実施形態では、注入デバイスは、自己注入器である。
「添付文書」は、かかる治療薬若しくは薬品の適応症、使用法、投薬量、投与、禁忌症についての情報、パッケージングされた製品と組み合わされる他の治療薬、及び/またはかかる治療薬の使用に関する警告を含有する、治療薬の商業用パッケージに習慣的に含まれる指示書を指すように使用される。
いくつかの実施形態では、本発明は、細菌細胞から調製された組換えポリペプチドを含む薬学的組成物中のFkpAの検出のためのキットであって、本明細書に記載の抗FkpA抗体を含む、キットを提供する。なお他の実施形態では、本発明は、細菌細胞から調製された組換えポリペプチドを含む薬学的組成物中のFkpAの検出のためのキットであって、本明細書に記載の抗FkpA抗体を含む、キットを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、細菌細胞から調製された組換えポリペプチドを含む薬学的組成物中のFkpAの検出のためのキットであって、細菌細胞(例えば、E.coli細胞)が、FkpAを発現する、キットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、使用に関する指示を含む。いくつかの実施形態では、キットは、試料中のFkpAを定量するための標準曲線を生成する際の参照標準物として使用するための超高純度FkpAを更に含む。いくつかの実施形態では、キットは、試料中のFkpAを検出するためのアッセイにおける陽性対照として使用するための超高純度FkpAを更に含む。
本明細書に開示される特徴は全て、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本明細書に開示される各特徴は、同じ、同等、または同様の目的を果たす代替の特徴に置き換えられてもよい。したがって、別途明確に述べられない限り、開示される各特徴は、一般的な一連の同等または同様の特徴の一例にすぎない。
本発明の更なる詳細が、以下の非限定的な実施例によって例示されている。本明細書における全ての参考文献の開示は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
以下の実施例は、単に本発明の例示となるよう意図されており、それ故に決して本発明を限定するものと解釈されるべきではない。以下の実施例及び詳細な説明は、限定的なものではなく、例示として提供されている。
実施例1。E.coliタンパク質のアッセイは、FkpAを適切に測定しない。
FkpAは、典型的には高レベルでは発現されないE.coli内のシャペロンタンパク質であるが、FkpAを過剰発現するE.coliが、抗体を含むヘテロ多量体真核生物タンパク質の適切な組み立て及び折り畳みを改善するために使用されている(Zhang et al.,2003,BioTechniques,35:1032-1042)。
E.coliタンパク質(ECP)のアッセイが、FkpAの存在を適切に検出し、定量することができるかを決定するために、超精製されたFkpAの試料(実施例2を参照されたい)を、アッセイ希釈剤(0.15MのNaCl/0.1MのNaPO4/0.1%の魚ゼラチン/0.05%のPolysorbate20/0.05%のProclin300)に異なる濃度で添加し、ECPアッセイで試験した(Zhu-Shimoni,J.et al.,2014,Biotech and Bioeng.111:2367-2379)。E.coliタンパク質のアッセイが、ウシ血清アルブミンは検出しないはずであるため、この哺乳類タンパク質を陰性対照として使用した。結果を表4に示す。
表4。ECPアッセイ検出
これらの結果は、ECPアッセイがFkpAを適切に検出及び定量しないことを示す。更に、E.coli内で調製される治療用タンパク質の放出アッセイの一部として、E.coli残物(例えば、E.coliタンパク質及び核酸)を検出するための市販のアッセイは、FkpAを具体的に特定しない。したがって、FkpA検出アッセイと干渉し得る他のE.coliタンパク質及び/または核酸への反応性が最小限に抑えられたFkpAに高度に特異的なポリクローナル抗体を生成する必要が存在する。加えて、FkpAの超高純度調製物は、治療用ポリペプチド調製物中のFkpAを正確に検出するためのFkpA標準物の生成、ならびに研究及び商業的ポリペプチド産生のためのアッセイ品質を保証するためのFkpA陽性対照の生成に有用である。
実施例2。超高純度FkpAの調製
材料及び方法
抽出ステップ
FkpAを、E.coli(66F8:ΔfhuA ΔphoA ilvG2096(Valr)Δprc spr43H1 ΔdegP ΔmanA lacIQ ΔompT ΔmenEと命名されたW3110誘導体)内で発現させた。そのために、FkpAのORFを含有する適合性プラスミド(pACYC、Novagen,Madison,WI)を、EP1356052に記載されるように構築した(例えば、実施例9~10、特に段落[0207]を参照されたい)。0.5mLの凍結ストック培養物(10~15%のDMSOを含有)を融解し、使用して、0.5mlのテトラサイクリン溶液(5mg/ml)ならびに/または2mLのカナマイシン溶液(5mg/mL)及び2.5mlの1Mのリン酸ナトリウム溶液で補助した500mlのSoy LB培地を含有する2Lの振盪フラスコに植え付けた。培養物を、大規模培養物に拡大した。200mMのIPTGの50mLのボーラス添加を、およそ200のODで発酵物に添加した。IPTGを使用して、FkpAオープンリーディングフレーム(ORF)の発現を制御するために使用されるtacIIプロモーターを誘導した。発酵運転時間は、50時間であった。
別途記載のない限り、全ての細胞溶解ステップ及び遠心分離ステップを、2~8℃で行った。
10LのE.coli発酵物から回収した304gの一定分量の細胞ペーストを、一晩融解した。細胞ペーストを、10体積の25mMの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)(pH6.0(溶解緩衝液)中に懸濁させ、60分間混合して、均一な懸濁液を生成した。温度制御ユニット(5℃以下の初期設定点)を備えた微小流動化剤HC-8000ホモジナイザー(Microfluidics Corporation)を、細胞溶解に使用した。微小流動化剤を、細胞懸濁液の導入前に、1Lの冷やした溶解緩衝液で濯いだ。細胞懸濁液を微小流動化剤に移行させ、室内圧力(6,000~8,000psi)で、合計4回の通過を行った。冷やした溶解緩衝液を使用して、微小流動化剤から残留懸濁液を追跡した。200mLの一定分量の溶解した細胞懸濁液を、遠心分離及びその後の精製のために得た。残りの約3.2Lのホモジネートを、-60℃以下で保管した。
200mLの一定分量を6つの等体積に分け、50mLの遠心分離管に移行させた。15,000rpmの速度の、SS-34回転子(Thermo Corporation)を備えたRC6Plus遠心分離機を、20℃の温度で30分間使用して、管を遠心分離した。FkpAを含有する上清を2~8℃の温度で保管し、ペレットを処分した。
SP Sepharose(登録商標)Flow陽イオン-交換クロマトグラフィーの分析評価
(成熟タンパク質のアミノ酸配列に基づく)FkpAの等電点(pI)の計算値は、7.01である。pH6.0で行われる陽交換クロマトグラフィーは、標的タンパク質の良好な結合をもたらすはずである一方で、(3~6のpI値を有する)E.coliタンパク質(ECP)不純物の大半は、カラムを貫流するはずである。
強陽イオン-交換培地SP Sepharose(登録商標)Fast Flow(GE Healthcare)で充填された1mLの重力流カラムを使用して、この潜在的な第1のクロマトグラフィーステップの分析評価を行った。
カラムを、3カラム体積(CV)の50mMのMES、1.0MのNaCl(pH6.0)(溶出緩衝液)で事前平衡化し、その後、3CVの50mMのMES(pH6.0)(平衡化緩衝液)で平衡化した。1.0mLの一定分量の溶解物上清を、カラムに装填し、続いて平衡化緩衝液で5CV洗浄した。(平衡化緩衝液と溶出緩衝液とをブレンドすることによって生じる)100mM~1000mMまで増加するNaCl濃度を使用して、カラムを段階溶出させた。
ジスルフィド結合還元を有しないドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を使用して、カラム画分中のFkpAの相対純度を決定した。結果は、FkpAがこれらの条件下で陽イオン交換培地に完全に結合していること(貫流画分及び洗浄画分中のFkpAの欠如によって証明される通り)を示す(図1、レーン2及び3)。FkpAは、100mMのNaClステップによってカラムから完全に溶出され、これは、FkpAが陽イオン-交換培地に弱く結合していることを示し、ECPの大半がカラムを貫流するという仮説を確認する。結果として生じるFkpA含有プールは非常に清潔であり、少量の残留ECPを有するにすぎない(図1、レーン4)。
SP Sepharose(登録商標)Flow陽イオン-交換クロマトグラフィーの段階溶出評価
SP Sepharose(登録商標)Fast Flow陽イオン-交換クロマトグラフィーを使用する、FkpA精製物の分取評価を、AKTA Explorer100(GE Healthcare)で行った。2.6cm(幅)×27.3cm(長さ)のカラム(1CV=145mL)を、この操作に使用した。全てのステップを、8.85mL/分(100cm/時)の流量で行った。カラムを、3CVの50mMの溶出緩衝液(25mMのMES、1.0MのNaCl(pH6.0))で事前平衡化し、その後、3CVの平衡化緩衝液(25mMのMES(pH6.0))で平衡化した。溶解物上清をカラムに装填し、20mLの平衡化緩衝液で追跡した。カラムを5CVの平衡化緩衝液で洗浄し、その後、50mMのMES、100mMのNaCl(pH6.0)で段階溶出させた。段階溶出後、カラムから3CVの溶出緩衝液をストリップした。
クロマトグラムを図2に示す。カラム画分のSDS-PAGE分析(図3A及び3B)は、FkpAが主要溶出ピークに関連し、主に画分11~17において見出されることを示す。画分18~23中には、少量のFkpAも存在する。
SP Sepharose(登録商標)Flow陽イオン-交換クロマトグラフィーの勾配溶出評価
残留ECPを除去するためのSP Sepharose(登録商標)Fast Flowの潜在性を更に評価するために、第1の分取評価からの画分11~18の再クロマトグラフィーを行った。
画分11~18をプールし、Sephadex(登録商標)G-25を使用して、SP Sepharose(登録商標)Fast Flow平衡化緩衝液へと緩衝液交換して戻した。
緩衝液交換した画分を、先程の分取運転で使用したものと同じSP Sepharose(登録商標)Fast Flowカラムで、同じ装填及び洗浄パラメータに従って再クロマトグラフした。9CVにわたって、0~30%の勾配(0~300mMのNaCl)を使用して溶出を行い、これは、FkpAの元の段階溶出に必要な相対塩量を考慮する。
クロマトグラム(図4)は、比較的低い(5~11mS/cm)イオン強度の条件下で溶出する大きな主要ピークを示す。勾配プロファイルは、段階溶出プロファイル(図2)に対する強い類似性を示し、より小さいプレピークが不在である(それらの画分は、再クロマトグラフィーのために選択したものの中には含まれなかった)。
溶出プロファイルのSDS-PAGE分析。FkpAに対するECPバンドの検査は、これらの不純物のうちのいくつかの部分的な解像度のみが、線形勾配の使用によって達成されることを示す(データ示さず)。これは、これらのECPがFkpAと同等のpI値を有し得ること、またはいくつかの他の相互作用様式(複数可)がそれらの同時精製に関与し得ることを示す可能性がある。
潜在的な第2の精製ステップの分析評価:Q Sepharose(登録商標)Fast FlowとPhenyl Sepharose(登録商標)との比較
Q Sepharose(登録商標)Fast Flow
強陰イオン-交換培地Q Sepharose(登録商標)Fast Flow(QSFF)(GE Healthcare)で充填された1mLの重力流カラムを使用して、この潜在的な第2のクロマトグラフィーステップの分析評価を行った。
カラムを、5mLの50mMのTris1.0MのNaCl(pH8.0)(QSFF溶出緩衝液)で事前平衡化し、その後、5mLの50mMのTris(pH8.0)(QSFF平衡化緩衝液)で平衡化した。上述のSP Sepharose(登録商標)の勾配評価からの画分22~50の2.5mLの一定分量のミニプールを、PD-10カラム(GE Healthcare)を使用して、3.5mLのQSFF平衡化緩衝液へと緩衝液交換し、カラムに装填した。カラムを3.5mLのQSFF平衡化緩衝液で洗浄し、その後、3.0mLのQSFF溶出緩衝液で段階溶出させた。
QSFF及びPhenyl Sepharose(登録商標)(以下に記載される)の評価からのカラム画分を、SDS-PAGEによって分析した(図5)。Q Sepharose(登録商標)カラムは、FkpAに結合しないが、カラムに結合している高分子量(MW)種のうちの3つを除去することができた。しかしながら、約35kDa、約40kDa、及び約26kDaでのバンドは、FkpAとともに、カラム貫流物中で依然検出することができる。回収データを表5及び6に要約する。Q Sepharose(登録商標)Fast Flowゲルは、良好な全体的回収(95%)をもたらした。
表5。QSFF及びPhenyl Sepharose(登録商標)カラム画分からの分光光度データ
FkpA(mg/mL)=(吸光度(280nm)-吸光度(320nm))/0.54
表6。Q Sepharose(登録商標)Fast Flow回収データ
Phenyl Sepharose(登録商標)
疎水性相互作用培地Phenyl Sepharose(登録商標)Fast Flow(低置換)(GE Healthcare)で充填された1mLの重力流カラムを使用して、この潜在的な第2のクロマトグラフィーステップの分析評価を行った。
カラムを、5mLの50mMのリン酸塩(pH7.0)(Phenyl溶出緩衝液)で事前平衡化し、その後、5mLの0.6Mの硫酸ナトリウム、50mMのリン酸塩(pH7.0)(Phenyl平衡化緩衝液)で平衡化した。2.5mLの1.2Mの硫酸ナトリウムを、上述のSP Sepharose(登録商標)の勾配評価からの画分22~50の2.5mLの一定分量のミニプールに添加した。ミニプールを緩徐に混合し、室温で30分間静置し、その後、カラムに装填した。カラムを3.0mLのPhenyl平衡化緩衝液で洗浄し、その後、Phenyl溶出緩衝液中、3.0mLの体積の減少する硫酸ナトリウム(0.5M、0.4M、0.3M、0.2M、0.1M、及び0M)で段階溶出させた。最後に、3.0mLの精製水(PW)を使用して、カラムをストリップした。
Phenyl Sepharose(登録商標)(低置換)ゲルは、Q Sepharose(登録商標)Fast Flowとは反対の挙動を示し、QSFFに結合している不純物は、Phenyl Sepharose(登録商標)(低置換)カラムを貫流することができる。QSFFでFkpAとともに同時精製した約35kDaのバンドは、Phenyl Sepharose(登録商標)カラムも貫流する。FkpAは、PWストリップだけでなく、減少する塩プロファイルにおいても非常に後期に、0Mの硫酸ナトリウムで溶出され、これは、それが非常に疎水性であることを示す。FkpA含有画分は、SP Sepharose(登録商標)Fast Flowプール中に存在したECP不純物を欠くようである。回収データを表5及び6に要約する。Phenyl Sepharose(登録商標)Fast Flow(低置換)ゲルは、51%しか回収することができなかった。残りのタンパク質は、カラムに結合している可能性があり、これは、Phenyl Sepharose(登録商標)(低置換)ゲルがFkpAに密接に結合し過ぎることを示す。Phenyl Sepharose(登録商標)Fast Flow(低置換)は、残留ECPの除去に成功することができたが、より低い回収が代償であった。
表6。Pheny Sepharose(登録商標)(低置換)回収データ
潜在的な第2の精製ステップの分析評価:Phenyl Sepharose(登録商標)と、Butyl Sepharose(登録商標)と、Octyl Sepharose(登録商標)との比較
第2の精製ステップの疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)の潜在性を実証したところで、異なる疎水性を有する3つのHIC培地、つまり、Phenyl Sepharos(登録商標)(低置換)と、Octyl Sepharose(登録商標)Fast Flowと、Butyl Sepharose(登録商標)4Fast Flow(GE Healthcare)とを比較する、第2の評価を行った。
Phenyl Sepharose(登録商標)について上述のように、各カラムについてクロマトグラフィーを行い、各3.0mLの精製水(PW)を使用してカラムをストリップした後、3mLの2%の水酸化ナトリウムを使用して各カラムを再生させるステップを追加した。
各カラムからのカラム再生画分を比較した(表7及び8)。表7及び8において、FkpAに関して疎水性が増加する順序で、異なるカラムを列挙する。Butyl Sepharose(登録商標)4Fast Flowゲルは、3つのうちで最低の再生値(15%)を有する一方で、Octyl Sepharose(登録商標)Fast Flow及びPhenyl Sepharose(登録商標)Fast Flow(低置換)はそれぞれ、45及び56%の回収を示す。したがって、Octyl Sepharose(登録商標)Fast Flow及びPhenyl Sepharose(登録商標)Fast Flow(低置換)ゲルは、第2のクロマトグラフィーステップとして使用するには疎水性であり過ぎる。
表7。カラム再生画分からの分光光度データ
FkpA(mg/mL)=(吸光度(280nm)-吸光度(320nm))/0.54
表8。HICゲル再生
潜在的な第2の精製ステップの分析評価:Butyl-S Sepharose(登録商標)6Fast Flow
異なる疎水性を有する3つのHIC培地を比較した後、追加のHICゲル、つまり、Butyl-S Sepharose(登録商標)6Fast Flow(GE Healthcare)を評価した。このゲルは、評価されたHICゲルのクロマトグラフィー培地において最も弱いHICリガンドを有する。
1mLの重力流カラムを、Butyl-S Sepharose(登録商標)6Fast Flow(GE Healthcare)で充填した。カラムを、5mLの50mMのリン酸塩(pH7.0)(Butyl-S溶出緩衝液)で事前平衡化し、その後、5mLの0.6Mの硫酸ナトリウム、50mMのリン酸塩(pH7.0)(Butyl-S平衡化緩衝液)で平衡化した。2.5mLの1.2Mの硫酸ナトリウムを、上述のSP Sepharose(登録商標)の勾配評価からの画分22~50の2.5mLの一定分量のミニプールに添加した。ミニプールを緩徐に混合し、室温で30分間静置し、その後、カラムに装填した。カラムを3.0mLのButyl-S平衡化緩衝液で洗浄し、その後、Butyl-S溶出緩衝液中、3.0mLの体積の減少する硫酸ナトリウム(0.5M、0.4M、0.3M、0.2M、0.1M、及び0M)で段階溶出させた。3.0mLの精製水(PW)を使用してカラムを2回ストリップし、その後、3mLの2%の水酸化ナトリウムを使用して再生させた。
Butyl-Sの評価からのカラム画分を、SDS-PAGEによって分析した(図6)。SP Sepharose(登録商標)Fast FlowミニプールからのECPは、平衡化条件下(0.6Mの硫酸ナトリウム)でカラムによって捕捉されない。加えて、NaOH再生画分中に非常にわずかなFkpAが存在するようであり、これは、このクロマトグラフィー培地が、大きな回収損失を維持しないでおきながら、SP Sepharose(登録商標)Fast Flowプールから残留ECPを除去できる可能性があることを示す。
潜在的な第2の精製ステップの分析評価:Butyl Sepharose(登録商標)4Fast FlowとButyl-S Sepharose(登録商標)6Fast Flowとの比較
Butyl-S Sepharose(登録商標)6Fast FlowまたはButyl Sepharose(登録商標)4Fast Flowのいずれかを含有する1mLの重力流カラムを、直接比較した。手順は、2×3mLのPWではなく、6.0mLのPWを使用してカラムを1回ストリップしたことを除いて、Butyl-S Sepharose(登録商標)6Fast Flowについて上述の通りであった。
Butyl Sepharose(登録商標)4Fast Flow及びButyl-S Sepharose(登録商標)6Fast Flowからのカラム画分のSDS-PAGE分析をそれぞれ、図7A及び7Bに示す。Butyl Sepharose(登録商標)4Fast Flow試料の場合、FkpAは、非常に後期に溶出する(50mMのリン酸塩にPWが続く)。再生画分中には、顕著な量のFkpA及びより低い分子量の不純物が存在する。Butyl-S Sepharose(登録商標)6Fast Flow試料の場合、FkpAは、いくつかの洗浄濃度にわたって溶出し、ほとんどがPWストリップステップ前に溶出する。再生画分は、依然としていくらかのより低い分子量の不純物及び少量のFkpAを含有する。この実験のButyl-S Sepharose(登録商標)6Fast Flowアームの回収データを、表9及び10に示す。質量平衡は定量的であり、全タンパク質のうちの6%のみが再生画分中に見出される。Butyl-S Sepharose(登録商標)6Fast Flowゲルは、非常に高い回収だけでなく、SP Sepharose(登録商標)Fast Flowプールからの残留ECPの優れたクリアランスも提供する。
表9。分光光度データ:Butyl-S Sepharose(登録商標)6Fast Flow
FkpA(mg/mL)=(吸光度(280nm)-吸光度(320nm))/0.54
表10。Butyl-S Sepharose(登録商標)回収データ
Butyl-S Sepharose(登録商標)6Fast Flowの最適化
この実験の目的は、カラムの、0.3Mの硫酸ナトリウムの中間洗浄が、潜在的な減少する硫酸ナトリウム勾配と同等の精製(回収及び純度)を提供するかどうかを評価することであった。
1mLの重力流カラムを、Butyl-S Sepharose(登録商標)6Fast Flow(GE Healthcare)で充填した。カラムを、5mLの50mMのリン酸塩(pH7.0)(Butyl-S溶出緩衝液)で事前平衡化し、その後、5mLの0.6Mの硫酸ナトリウム、50mMのリン酸塩(pH7.0)(Butyl-S平衡化緩衝液)で平衡化した。2.5mLの0.6Mの硫酸ナトリウムを、上述のSP Sepharose(登録商標)の勾配評価からの画分22~50の2.5mLの一定分量のミニプールに添加した。ミニプールを緩徐に混合し、室温で30分間静置し、その後、カラムに装填した。カラムを、5.0mLの0.3Mの硫酸ナトリウム、50nMのリン酸塩(pH7.0)で洗浄し、その後、5.0mLの精製水(PW)で溶出させ、その後、3mLの2%の水酸化ナトリウムを使用して再生させた。
SDS-PAGEによるカラム画分の分析(図8)は、SP Sepharose(登録商標)Fast Flowプール中のより高い分子量の不純物が、還元硫酸ナトリウム条件下でButyl-S Sepharose(登録商標)カラムを貫流し、非常に清潔な溶出物プールを残したことを示す。装填レーン内のいくつかのより低い分子量のバンドは、カラムに結合し、再生を介して除去された(先程のゲルにおいて見られる通り、図3)。
回収データを表11及び12に示す。F-T/洗浄プールにおける回収は、先の実験の回収値よりも約5%高い。PW溶出回収は、わずかにより低い。追加のPW溶出は、収率を増加させた可能性がある。再生ステップもまた、再生前のより長い溶出ステップに対する可能な必要性と一貫して、段階溶出よりもわずかに高い。
表11。Butyl-S Sepharose(登録商標)Fast Flow回収データ
FkpA(mg/mL)=(吸光度(280nm)-吸光度(320nm))/0.54
表12。Butyl-S Sepharose(登録商標)Fast Flow回収データ
Butyl-S Sepharose(登録商標)HIC培地は、FkpAの非常に良好な回収とともに、SP Sepharose(登録商標)Fast FlowプールからのECPの優れた分離を示す。これらの分析評価からのデータに基づいて、それを拡大し、FkpA精製プロセスにおける第2の回収ステップとして使用する。
Butyl-S Sepharose(登録商標)Fast Flowステップの拡大
Butyl-S Sepharose(登録商標)クロマトグラフィーステップを拡大して、Butyl-S Sepharose(登録商標)クロマトグラフィーステップに対して回収及び純度を比較した。一連の開発運転を行って、ステップを最適化した。分析HIC運転は、FkpAがButyl-S Sepharose(登録商標)ゲルに比較的密接に結合したことを示した。延長溶出ステップを評価して、FkpA回収の増加が得られ得るかどうかを確認した。
緩衝液及び溶液
調整緩衝液:0.6Mの硫酸ナトリウム、50mMのリン酸塩(pH7.0)
平衡化緩衝液:0.3Mの硫酸ナトリウム、50mMのリン酸塩(pH7.0)(A11)
溶出溶液:精製水(PW、A12)
再生溶液:2%のNaOH
カラム調製
この評価のために、2.6cm×9.4cm(50mL)のカラムを調製した。カラムを3CVの平衡化緩衝液で平衡化した。
装填調整
140mLの調整緩衝液を、添加全体を通して緩徐に混合しながら、140mLのSP Sepharose(登録商標)FFプールに徐々に添加した。全ての調整緩衝液を添加した後、室温で30分間混合を続けた。
クロマトグラフィー
クロマトグラムを図9に示す。少量のブレークスルーODが観察され、これは分析評価に基づいて期待されていた。溶出ピークは、明白なテーリングを有し、約6CVの溶出後に10mAUFSに到達する。プール後物を別個の画分として収集した。2%(0.5M)の水酸化ナトリウムを再生溶液として使用して、カラム再生を行った。紫外可視分光光度分析カラム画分を表13に示す。質量平衡は、分析運転のものよりも高かったが、データは、先の分析運転から生成されたものと同様である。拡大運転は、FkpAの純度及び回収に関して同様のカラム性能を示す。第2のカラム運転は、同等のカラムプロファイルを示した。
表13。Butyl-S Sepharose(登録商標)回収
SDS-PAGE
SDS-PAGEによるカラム画分の分析(図10A)は、この精製ステップが分析評価と同等であることを示し、これは、このHICステップの拡大が、SP Sepharose(登録商標)Fast Flowプール中に存在する宿主細胞タンパク質不純物の除去を複製することができたことを実証する。より高い分子量の不純物はカラムを貫流し、より低い分子量の不純物は(先のゲルによって証明される通り)カラムに密接に結合した。溶出物プールは非常に清潔であり、非常に少量のFkpAがプール後物中に観察された。染色溶液中で一晩インキュベートした後、SYPRO Ruby試薬(Bio-Rad Laboratories)を使用して、同じゲルを画像化した。SYPRO Ruby画像化は、タンパク質含有試料の分析のより高感度の検出方法である。SYPRO Ruby画像化(図10B)は、精製されたFkpAの画分が、依然として、宿主細胞タンパク質不純物及び/またはクリッピングされた形態のFkpAであり得る、いくつかのより低い分子量のバンドを有することを示す。
結論
Butyl-S Sepharose(登録商標)クロマトグラフィーステップの拡大は、異なるHIC培地の分析評価から選択されたパラメータにより、線形であった。Butyl-S Sepharose(登録商標)は、それがこの第2の精製ステップについて評価されたHIC培地のうちで最も弱いリガンドを有するため、FkpAの最良の回収を提供する。分子純度は、この単位操作によって大いに増強され、主要な不純物バンドは、SDS-PAGE分析に基づいて、貫流中に存在するか、またはより高度に保持されているかのいずれかである。
HPLC-SEC分析評価
その一次配列に基づいて、FkpAは、約26kDaのモル質量を有する。FkpAについての先の公開情報は、分子がより高い分子量で非共有結合性会合を通して泳動することを示唆する。FkpAを含有するButyl-S Sepharose(登録商標)プールと並んで、タンパク質参照物を使用して、分析評価を行って、FkpAがサイズ排除クロマトグラフィーカラム上のどこで遊走するかを決定した。
材料及び方法
TSKgel G3000SWxl HPLC-SECカラム(7.8mm×30cm、Tosoh Bioscience)を、評価に使用した。移動相は、0.25MのKCl、0.2Mのリン酸カリウム(pH6.2)であった。カラム流量は、0.5mL/分であった。FkpAを、タンパク質標準物、つまり、抗体(約150kDa)、ウシ血清アルブミン(約66.5kDa)、及びNutropin(登録商標)(約22kDa)と比較した。
クロマトグラフィー
HPLC-SEC結果を図11に示す。FkpAは、抗体とBSAとの間に保持時間を有し、これは、FkpAがその一次配列から予測されるよりもずっと大きな溶液モル質量を有するという、先の参考文献を確認する(表14)。
表14。FkpA及び標準物のHPLC-SEC
Superdex200サイズ排除クロマトグラフィー
Superdex200サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を選択して、FkpAから残留するより高い分子量種及びより低い分子量種を分離し、タンパク質を製剤化した。
運転1:1.6cm×60cmのSuperdex200カラムを使用するパイロット法
初期Superdex200運転を、120mLのカラムで行った。最終製剤化バルクの生成のためにSuperdex200SECステップを拡大する前に、カラム画分を純度について特性評価した。
材料及び方法
1.6cm×60cm(1CV=120mL)のSuperdex200カラム(GE Healthcare)を、このパイロット運転に使用した。カラムを1CVの0.1MのNaOHで浄化し、その後、3CVのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.5)(平衡化緩衝液)で平衡化した。
試料調製
1対のAmicon Ultra10kDaユニット(Millipore Corporation)を使用して、30mLのButyl-S Sepharose(登録商標)プールを濃縮した。Amiconユニットを、残余分体積が6mL以下(1CVの5%以下)になるまで、20分間のサイクルを使用して、Eppendorf5810R遠心分離機内、3000rpmで遠心分離した。
クロマトグラフィー
Superdex200クロマトグラフィーステップのクロマトグラムを、図12に示す。プロファイルは、TSKgel G3000SWxl HPLC-SECカラムがより高い分子量種のより良好な解像度を産出したことを除いて、TSKgel G3000SWxl HPLC-SECカラムを使用するHPLC-SECプロファイルと実質的には違わないようである。
SDS-PAGE
カラム画分32~42を、SDS-PAGEによって分析した。SDS試料緩衝液とともに室温(加熱なし)で1時間インキュベートすることによって、試料をSDS-PAGEのために調製した。通常の試料調製に対するこの修正は、試料の加熱がより低い分子量種の存在に関与するかどうかを確認するために行った。
無染色画像(図13A)及び同じゲルのSYPRO Ruby画像化(図13B)は、無傷タンパク質と同時遊走するより低い分子量のバンドの存在を示す。未加熱の試料中により低い分子量のバンドが存在するため、85℃で5分間加熱する従来の試料調製が、より低い分子量のバンドの存在に関与しないということを結論付けることができる。
ウエスタンブロット分析
ウエスタンブロット分析を行って、材料が、ウサギの免疫化に使用するのに十分に純粋であるか、または追加の精製作業が必要とされるかどうかどうかを決定した。この分析では、Superdex200カラムの画分37(ピーク画分、図12)を使用した。
ゲル及びウエスタンブロット結果を図14に示す。ウエスタンブロットの抗体は、抗ECPであった。タンパク質をPVDFシートに移行し、各PVDFシートをヤギ抗ECPとともにインキュベートする。第2のインキュベーションに、西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲートされたウサギ抗ヤギ抗体を続ける。その後、PVDFシートを、西洋ワサビペルオキシダーゼとの反応によって発光する増強化学発光基質とともにインキュベートする。分子量マーカーは、StrepTactin及び西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート系でも発光する。抗ECPとともにインキュベートした免疫ブロットは、試料中のECPを明らかにする。ゲル結果は、先に生成されたSYPRO Ruby画像化結果を確認する(図13B)。ウエスタンブロットは、37kDaと50kDaとの間に、Sypro Ruby画像化では見られない薄いバンドを示す。
質量分析
タンパク質をトリプシンによって消化させ、UPLC-MS/MSによって分析して、1)材料中に存在するFkpAペプチド配列、及び2)試料中に他のタンパク質不純物が存在しないことを決定した。分析は、0~40%のアセトニトリルの45分間のUPLC勾配からなり、これを高解像度四重極飛行時間質量分析計に直接スプレーし、この質量分析計は、MS調査スキャンに続いて、クロマトグラフィー分離中の各連続MSスキャンから上位20個の最も豊富な前駆体イオンのMS/MSを収集した。LC-MS/MS生データファイルを、UniprotのE coli規準及びアイソフォームデータベースに対して検索し、356のFkpAペプチドを特定した(高MS/MSサンプリング速度のため、多くは同じペプチドの複数の事例であった)。質量分析計の較正に使用した内部標準物に起源を持つ、2つのβ-ガラクトシダーゼペプチドもまた見出され、それ故にFkpA試料には含有されていなかった。質量分析法を使用して、FkpAを更に特性評価し、ベータ-ガラクトシダーゼを内部対照として使用した。
結果を表15に示す。質量分析法での分析は、FkpA配列の約91%の網羅を示し、シグナル配列が、期待通り、FkpAペプチド網羅における9%の不在を表した。他のタンパク質に由来するいかなる他のペプチドも観察されず、SDS-PAGE及びウエスタンブロット分析によって観察されるより低い分子量のバンドは、FkpA関連のものであるという結論をもたらした。他の不純物が存在する場合、それらのレベルは質量分析計の検出限度のレベル未満である、かつ/またはそれらの組成物は結果が比較されるデータベースに存在しない。
表15。質量分析の結果
Superdex200運転2~4
初期パイロット運転後、その後の運転2~4を320mLのカラムで行って、最終製剤化バルクを生成した。
カラム調製
2.6cm×60cmのカラム(320mLの床体積)を1CVの0.1MのNaOHで浄化し、その後、3CVのPBS(pH7.5)(平衡化緩衝液)で平衡化した。
試料調製
一定分量の60mg~95mgを、運転2~4に使用した。運転1に使用したものと同じ手順を使用して、SECのための一定分量を調製した。標的最終体積は、16.0mL以下(床体積の5%以下)であった。図15は、運転2中に得られたクロマトグラムを示す。画分37~44をプールし、TSKgel G3000SWxl HPLC-SECカラムを使用して再分析した。図16は、運転2の画分37~44のTSKgel G3000SWxl HPLC-SECクロマトグラムを示す。約2%の凝集体を確認することができる。この量の凝集は、凝集体に対して生成された抗体を有するために望ましい。結果は、運転3及び4でも同様であった。
SDS-PAGE
運転1からのカラム画分35~40及び運転2~4からの37~44を、SDS-PAGEによって分析した。図17(それぞれレーン2~5)を参照されたい。運転1からの材料は分解したようであり、その後の実験には使用しなかった。
限外濾過及び濾過
Superdex200プールを、Amicon Ultra10kDaユニットを使用して2.0mg/mLの標的タンパク質濃度まで濃縮した。運転1の材料の不測かつ未知の分解原因のため、運転2~4からの材料のみを最終バルクに含めた。
2つのAmicon Ultra10kDaユニットを使用した。運転2~4からの13mLの組み合わせた画分(各運転からの画分37~44)を各ユニットに移行させた。試料を前述のように遠心分離した。濾液を流し出し、UF残余分を、組み合わせた画分からの追加の材料と混合した(ユニット内のより高いタンパク質濃度を最小限に抑えるため)。タンパク質濃度が標的の2.0mg/mLをわずかに上回るまで、プロセスを繰り返した。濃縮された試料を0.2μのフィルターを通して濾過し、5mLのUF濾液で追跡した。表16に示されるように、標的タンパク質濃度でのFkpAの回収は、実質的に定量的であった。
表16。限外濾過及び濾過ステップからの回収
超高純度FkpAの凍結融解安定性
凍結融解安定性試験の背後にある目的は、試薬が、活性を損失することも、電気泳動またはSECプロファイルを変化させることもなく、最大3回の凍結融解に好適であることを確実にすることである。
材料及び方法
75μLの一定分量の超高純度FkpAを、この研究に使用した。1つの一定分量を冷室に保持し、残りの3つを-80℃以下の冷凍庫内に置いた。1時間後、3つの凍結した一定分量を融解し、緩徐に混合した。1つの一定分量(「1回の凍結融解」)を冷室に置き、他の2つを冷凍庫に戻した。残り2つの試料についてプロセスを繰り返し、第2の凍結融解試料を試料に移行させ、第3の凍結融解試料を-80℃以下の冷凍庫内で一晩保持した。第3の試料を翌日融解した。
SDS-PAGE
10μgの一定分量の凍結融解試料の各々を、SDS-PAGEによって分析した。ゲル結果(図18)は、4つの試料の各々の間の同等性を示す。
HPLC-SEC
100μgの一定分量の凍結融解試料の各々を、HPLC-SECによって分析した。サイズ分類結果(図19A及び19Bならびに表17)は、4つの試料間の同等性を示す。より高い分子量種及び単量体における非常に小さな差異は、おそらく手動でのピークの統合よるものである。Superdex200運転2~4からの超高純度FkpAバルクは、タンパク質の明らかな変化はなく、3回の凍結融解に好適である。試薬を、ウサギにおいて抗体を産生するための免疫原として使用するのに、ならびにELISAアッセイの参照物として、及びウサギ抗血清からの抗FkpAを精製するための親和性カラムを構築するためのリガンドとしての機能を果たすのに、好適であると見なした。
表17。FkpAの凍結融解アッセイのHPLC-SEC分析
最終産物を、SDS-PAGE(図14)、HPLC-SEC(表17)、N末端配列分析、及びペプチド質量フィンガープリント法(表15)によって特性評価した。濃度は、FkpAの減衰係数を使用して分光光度的に決定される2.02mg/mLであり、100μg/mLまで希釈した。希釈した溶液を標準ストックIと表記し、-70℃以下の温度で保管した。
実施例3。抗FkpA抗体の生成及び精製
治療用ポリペプチドの調製物中のFkpAの除去を測定するためのアッセイで使用するために、ポリクローナル抗体を超高純度FkpAに対して生成した。以下の実施例は、ポリクローナルFkpA抗体を生成するために使用される精製方法を説明する。これらの試薬は、FkpA免疫原とともに、特異的FkpA ELISAの開発に必要であった。
3匹のウサギを、超高純度FkpAで免疫化した。42日目に、個々のウサギから採血し、FkpA抗血清を使用して、抗FkpA抗体を精製した。ウサギA、B、及びCからの抗血清及び予備免疫血清を、直接結合ELISAによってアッセイした。超高純度FkpAを、炭酸塩緩衝液(pH9.6)中、4μg/mLまで希釈し、Costar96ウェルプレート(カタログ番号9018)上に直接コーティングし、2~8℃で12~72時間インキュベートした。各ウェルを洗浄し、プレート洗浄機を使用しておよそ400μLの洗浄緩衝液(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)及び0.05%のPolysorbate20)で3回吸引し、完全にブロットした。プレートを廃棄物リザーバー上で反転させても、溶液がウェルから除去されなかった。およそ200μLのアッセイ希釈剤を各ウェルに添加し、撹拌しながら周囲温度で1~2時間インキュベートした。洗浄ステップを繰り返した。試料を、アッセイ希釈剤(0.15MのNaCl、0.1MのNaPO4(pH7.2)、0.05%のPolysorbate20、0.1%の魚ゼラチン、0.05%のProclin300)中、1:500に希釈し、その後、最大12回で4倍に段階希釈し、対応するウェルに添加した。プレートを、撹拌しながら室温で2時間インキュベートした。プレートをELISA洗浄緩衝液で洗浄し、アッセイ希釈剤中で希釈したヤギ抗ウサギ-HRPを各ウェルに添加し、撹拌しながら室温で2時間インキュベートした。プレートをELISA洗浄緩衝液で洗浄し、SureBlue Reserve(商標)TMB Microwell Peroxidase Substrate(Kirkegaard&Perry Labs[KPL]、カタログ番号53-00-00)(基質溶液)をプレートに添加、室温でおよそ20分間色を発現させた。0.6Nの硫酸で反応を停止させた。450nmの波長でODを読み取り、Softmax Proデータ整理ソフトウェアを使用してデータを分析した。ウサギA、B、及びCからの抗血清の、FkpAに対する免疫反応は同等(図20)、それ故に試料をプールした。
FkpA抗体の精製
プールされた抗血清に、60%の硫酸アンモニウム沈降(ASP)ステップを行った。52.7mLの硫酸アンモニウム溶液(3.8Mの硫酸アンモニウム、50mMのリン酸塩(pH7.0))を、添加全体を通して緩徐に撹拌しながら、73.0mLの抗FkpAウサギ抗血清に緩徐に添加した。添加の完了後、溶液を冷室に移行させ、一晩緩徐に混合した。
その後、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を使用して、ASP抗FkpA抗体の相対純度を決定し、タンパク質のモル質量も確認した。2×10μLの一定分量のAS懸濁液を、別個のEppendorf管に移行させた。90μLのPBS(pH7.2)を各試料に添加し、緩徐に混合して、懸濁液を溶解した。100μLの試料をEppendorf管に移行させた。試料を、最高速度で5分間微量遠心分離した。上清を取り除き、別個のEppendorf管に移行させた。残りのペレットを、100μLのPBS(pH7.2)中で再構成した。2×10μLの一定分量の上清を、別個のEppendorf管に移行させた。90μLのPBS(pH7.2)を各上清試料に添加し、緩徐に混合して、緩徐に混合した。
各条件からの10μLの試料を、SDS-PAGEによって分析した。電気泳動をジスルフィド結合還元あり及びなしで行い、抗体の共有結合凝集について評価した。SDS-PAGEを、Bio-Rad Criterion(商標)4~20%のTGX(Tris-Glycine eXtended)Stain-Free(商標)ゲルを使用して行い、Bio-Rad Criterion Stain Free(商標)画像化装置(Bio-Rad Laboratories)で画像化した。ゲル結果を図21に示す。60%の分画ステップは、矢印によってマークされる上清中の抗体の不在によって証明される通り、ウサギ抗体の全ての抗血清の枯渇に成功した。
SDS-PAGEによる分析の後、残りの硫酸アンモニウム懸濁液を、Sorvall RC6Plus遠心分離機内、2~8℃の温度、11,000rpmで30分間遠心分離した。上清を除去し、ペレットを-80℃で保管した。
その後、ペレットをリン酸緩衝液中に溶解した。ASP抗FkpA抗体の濃度を、UV分光光度法によって6.69mg/mLであると決定した。
ASP抗FkpA抗体を、上述の直接結合ELISAによってアッセイした。超高純度FkpAを、炭酸塩緩衝液(pH9.6)中、4μg/mLまで希釈し、Costar96ウェルプレート(カタログ番号9018)上に直接コーティングした。試料を、アッセイ希釈剤中、1:500に希釈し、その後、最大12回で2倍に段階希釈した。ヤギ抗ウサギ-HRPを使用して、結合を検出した。ASP抗FkpA抗体は、1:256,000の希釈で開始する超高純度FkpAに対して、線形用量応答を示す(図22)。これらの結果は、ELISAサンドイッチアッセイの追求を促した。
ASP抗FkpA抗体を有するELISAサンドイッチアッセイの開発
製造業者の指示に従ってPierce Kit EZ-Link Peroxidase(カタログ番号31489)を使用して、1mgのASP抗FkpA抗体をHRPにコンジュゲートした。HRPコンジュゲートされたASP抗FkpA抗体を、アッセイ希釈剤中、1/20に更に希釈し、ASP HRPコンジュゲートストックIと表記した。ASP抗FkpA抗体を一定分量に分け、ASPコーティング源と表記した。その後、ASPコーティング源を、PBS中1mg/mLまで希釈し、ASPコーティングストックIと表記した。
ASPコーティングストックIを、炭酸塩緩衝液(pH9.6)中、4μg/mLまで希釈し、Costar96ウェルプレート(カタログ番号9018)上に直接コーティングした。FkpAを、0.78~100ng/mLの範囲の様々な濃度に希釈し、各対応するウェルに添加した。ASP HRPコンジュゲートストックIを、1:60、1:80、1:100、及び1:110に希釈し、各対応するウェルに添加した。100μLの希釈したASPコーティングストックIマイクロタイタープレートの各ウェルにピペットで移し、2~8℃で12~72時間インキュベートした。各ウェルを洗浄し、プレート洗浄機を使用しておよそ400μLの洗浄緩衝液で3回吸引し、完全にブロットした。プレートを廃棄物リザーバー上で反転させても、溶液がウェルから除去されなかった。およそ200μLのアッセイ希釈剤を各ウェルに添加し、撹拌しながら周囲温度で1~2時間インキュベートした。洗浄ステップを繰り返した。1ウェル当たり100μLの希釈標準(二連で)、対照(二連で)、及び試料を適切なウェルにピペットで移した。プレートを、撹拌しながら周囲温度で2時間±10分間インキュベートした。ウェルを上記のように洗浄し、プレートを回転させ、洗浄ステップを繰り返した。ASP HRP-コンジュゲートストックIをアッセイ希釈剤で希釈して、1.5~2.0ODの最大OD値を目標とした最高標準と最低標準との間に有意なOD範囲を得た。100μLの希釈HRP-コンジュゲートストックIを各ウェルにピペットで移し、撹拌しながら周囲温度で2時間±10分間インキュベートした。ウェルを上記のように洗浄し、プレートを回転させ、洗浄ステップを繰り返した。1ウェル当たり100μLの基質溶液をウェルにピペットで移し、暗所、周囲温度で十分な時間インキュベートして、最適標準曲線色発現を可能にした。100μLの0.6Nの硫酸を、各ウェルにピペットで移した。ODを、2つのフィルター(検出吸光度の場合450nm及び参照吸光度の場合620~630nm(参照波長は任意であった))を使用したプレートリーダーを使用して、読み取った。試料濃度を、最低4パラメータのロジスティック曲線フィッティングプログラムを有するデータ処理ソフトウェアを使用して決定した。結果を図23に示す。標準曲線は、約25ng/mLで水平状態となるようである。作業範囲を約0.156~20ng/mLであると決定し、期待される約1.7の最大ODによって決定される最適ASP HRPコンジュゲートストックI希釈は1:90であった。
ASP抗FkpA抗体を有するELISAサンドイッチアッセイの使用
ELISAサンドイッチアッセイを行って、実施例6に記載されるように生成された抗IL13/IL17二重特異性抗体試料中のFkpAの量をアッセイした。ASP HRPコンジュゲートストックIを1:90に希釈した。結果は非線形性(表18)を示し、それ故に追加の抗体精製が好ましくあり得ることを示唆する。
表18。ASP ELISAサンドイッチアッセイ
*=データを計算に含めなかった、N/A=該当なし、GTR=範囲超、LTR=範囲未満
FkpA抗体の親和性精製
ELISAサンドイッチアッセイの線形性を改善するために、一定分量のASP抗FkpA抗体を、親和性(AF)精製及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって更に精製した。活性化グリセリルCPGに共有結合している超高純度FkpAを使用して親和性カラムを構築して、非FkpA抗体から標的抗FkpA抗体を分離した。
グリセリル制御孔ガラスカラムへのカップリングのための超高純度FkpAの調製
2.02mg/mLの超高純度FkpAの、20×1mLのバイアルを2~8℃で一晩融解し、含有物をプールした。125mLのSephadex G-25カラム(GE Healthcare)を使用して、FkpAをカップリング緩衝液(0.1Mの重炭酸ナトリウム、0.5Mの塩化ナトリウム(pH8.3))へと緩衝液交換した。カラム1CVの0.1MのNaOHで浄化し、その後、3CVのカップリング緩衝液で平衡化した。
カップリング手順
グリセリル-CPG(Millipore Corporation)を、その高流量特徴、及び溶出相中の低pH条件に耐えるその能力のために、親和性カラムを構築するための支持体として選択した。支持体のグリセリル部分は、アミノ化学カップリング前にアルデヒドに酸化されるアルコール官能基を有する。全てのカップリングステップを室温で行った。
乾燥グリセリル-CPGを、ドラフト内で適切な量の精製水に添加した(1グラムのグリセリル-CPGは、約3mLの水和ゲルを産生する)。グリセリル-CPGを水と緩徐に混合して、ゲルを完全に水和させた。水和ゲルを15~30分間沈定させた。水和ゲルの場合、10~12mLの沈定体積の体積を標的とした。
(微細物を含有する)液体層を除去し、沈定したゲルに精製水を添加した。ゲルを緩徐に混合し、その後、15~30分間沈定させた。液体層を除去し、液体層に微細物が観察されなくなるまで必要に応じてステップを繰り返した。
グリセリル-CPGゲル上のヒドロキシル基をアルデヒドに酸化させるのに、メタ過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)を選択した。等体積の新たに調製した1%(m/v)のメタ過ヨウ素酸ナトリウムを、水和グリセリル-CPGに添加し、その後、好適なサイズの容器に移行させた。容器を軌道回転機に固定し、30分間緩徐に混合した。酸化ステップの終了時、容器を回転機から取り外し、ゲルを沈定させた。
液体を除去し、3~4体積のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.2)を、ゲルに添加した。ゲルを緩徐に懸濁させ、その後、15分間沈定させた。液体を除去し、PBSを更に3回繰り返して、残留メタ過ヨウ素酸ナトリウムを除去してから、カップリングされるタンパク質を添加した。最後に、3~4体積の0.1Mの重炭酸ナトリウム、0.5MのNaCl(pH8.3)(カップリング緩衝液)を、沈定したゲルに添加し、緩徐に混合し、15分間沈定させた。カップリングステップ前に、液体を除去した。
緩衝液交換したFkpA(Sephadex G-25ステップより)を、酸化グリセリル-CPGに添加した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN)を使用して、中間体シッフ塩基を還元し、FkpAと支持体との間に安定した共有結合を形成した。NaBH3CNを、1mLの沈定グリセリル-CPG当たり約1mgのシアノ水素化ホウ素ナトリウムで反応混合物に添加した。反応混合物を、密封容器に移行させ、軌道回転機に固定し、室温で一晩緩徐に混合した。
回転機からカップリングしたゲルを除去し、15~30分間沈定させた。沈定後、2mLの一定分量の上清を除去し、1対の1mLのEppendorf管に移行させた。管を、最高速度で2分間微量遠心分離して、いかなる残留固体も除去した。残留タンパク質の上清を測定して、カップリング効率を決定した。酸化グリセリル-CPGへのFkpAの結合は定量的であり、タンパク質から上清を枯渇させるはずである。上清中のタンパク質濃度は、いかなる残留FkpA徴候も示さず、これは、カップリング効率が100%であることを示した(データ示さず)。
FkpA-CPGゲルを洗浄して、NaIO4の除去について上述のように、残留NaBH3CNを除去した。
等体積の1.0MのTris(pH8.0)をFkpA-CPGゲルに添加した。FkpAのカップリングを使用して、追加のアミン基を導入して、ゲルを親和性支持体として使用する前にいかなる残りの反応性部位も遮断した。
FkpA-CGPを再度上述のように洗浄した。
親和性カラム調製
親和性ゲルを、1.6cmのXKカラム(GE Healthcare)に充填した。最終寸法は、1.6cm×6.3cm(CV=12.6mL)であった。カラムを、5CVのPBS、0.02%のアジ化ナトリウム(pH7.2)で洗浄し、その後、使用するまで冷室で保管した。
FkpA-CPG親和性クロマトグラフィー
運転1:FkpA-CPG親和性ゲルの初期評価
60%の硫酸アンモニウムペレットのうちの25%を使用して、親和性カラム性能の初期評価を行った。ペレットを-60℃以下から融解し、室温まで温めた。120mLの3.8Mの硫酸アンモニウム、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.0)をペレットに添加し、ペレットを緩徐に混合して、それを懸濁させた。懸濁液を4つのSS-34遠心分離管に分け、Sorvall RC6Plus遠心分離機内、15,000rpmで30分間遠心分離した。上清を処分し、4つの遠心分離管のうちの3つを、後日の精製のために-60℃以下の冷凍庫内に再び移行させた。
30mLの50mMのリン酸ナトリウム(pH7.0)を、残りの遠心分離管に添加した。管を実験室回転機に固定し、室温で1時間緩徐に混合して、ペレット中のタンパク質を完全に溶解させた。
試料を15,000rpmで15分間遠心分離し、その後、0.2μのフィルターを通して濾過した。濾過した試料を、30mLのPBS、0.02%のアジ化ナトリウム(pH7.5)(親和性カラムの平衡化緩衝液)で追跡して、親和性カラムに装填される供給ストックを生成した。
試料をカラムに装填し、20mLの平衡化緩衝液で追跡した。洗浄後、溶出物プールを、プールの収集全体を通して緩徐に混合しながら、17mLの1.0MのTris(pH8.0)を含有するビーカー中に収集した。クロマトグラムを図24に示す。
0.2μフィルターを使用してpH調整プールを濾過し、5.0mLの平衡化緩衝液で追跡してから、タンパク質濃度を測定し、プール中に回収した。濃度を、UV-VIS分光光度法によって0.058mg/mLであると決定した。pH調整プールを2~8℃で保管した。
Superdex200クロマトグラフィー
Superdex200カラム(GE)を使用してSECを行って、凝集体を除去し、pH調整親和性プールを製剤化した。
1.6cm×60cm(1CV=120mL)のSuperdex200カラム(GE Healthcare)を1CVの0.1MのNaOHで浄化し、その後、3CVのPBS(pH7.5)(平衡化緩衝液)で平衡化した。
運転1:FkpA-CPG運転1のクロマトグラフィー
FkpA-CPG運転1からの83mLのpH調整プールを、Amicon Ultra10kDaユニットを使用して6.0mL以下(1CVの≦5%)の体積まで濃縮した。13mLのpH調整プールを各ユニットに移行させた。濃縮機を、Eppendorf遠心分離機内、3,000rpmで30分間スピンさせた。濾液を除去し、pH調整プールを補充した。UF残余分の標的体積(UF残余分体積=3.8mL)が達成されるまで、プロセスを繰り返した。
UF残余分をカラムに装填し、PBS(pH7.5)で追跡した。クロマトグラム(図25)は、標的単量体種から分離されるいくつかのより高い分子量種を示す。
より高い分子量種を含有する画分(画分41~63)及び主要ピークを含む画分(画分64~86)を、HPLC-SECによって分析した。アッセイ結果(図26A及び26B)は、主要ピークが、約96%の単量体種を含有することを示し、これは、サイズ排除クロマトグラフィーステップの使用によって大いに増強された。
Superdex200画分をプールし、Amicon Ultra濃縮ユニット(Millipore)を使用して濃縮した。濃度を、UV分光光度法によって3.1mg/mLであると決定した
製造業者の指示に従ってPierce Kit EZ-Link Peroxidase(カタログ番号31489)を使用して、1mgの親和性精製抗FkpA抗体を、HRPにコンジュゲートした。HRPコンジュゲートされた親和性精製抗FkpA抗体を、アッセイ希釈剤中、1/20に更に希釈し、AF HRPコンジュゲートストックIと表記した。親和性精製抗FkpA抗体を一定分量に分け、AFコーティング源と表記した。AFコーティング源を、PBS中1mg/mLまで希釈し、AFコーティングストックIと表記した。
AFコーティングストックIを、炭酸塩緩衝液(pH9.6)中、4μg/mLまで希釈し、Costar96ウェルプレート(カタログ番号9018)上に直接コーティングした。FkpAを、0.78~100ng/mLの範囲の様々な濃度に希釈し、各対応するウェルに添加した。AF HRPコンジュゲートストックIを、1:2000、1:4000、1:6000、及び1:8000に希釈し、各対応するウェルに添加した。アッセイを上述のように行った。結果を図27に示す。作業範囲を0.78~100ng/mLであると決定し、最大ODは約1.7であったため、最適AF HRPコンジュゲートストックI希釈は1:6000であった。
ASP抗FkpA抗体と親和性精製抗FkpA抗体との比較
ELISAサンドイッチアッセイを行って、ASP抗FkpA抗体及び親和性精製抗FkpA抗体の能力を比較して、5.31mg/mLの抗IL13/IL17を含有する、実施例6に記載されるように調製した抗IL13/IL17二重特異性抗体試料中のFkpAの量をアッセイした。アッセイパラメータを表19に示す。ASP抗FkpA抗体及びAF抗FkpA抗体の結果として生じる標準曲線を、図28A及び28Bに示す。図28A、28B、ならびに表19及び20に示されるように、親和性精製抗体は、0.78ng/mL~100ng/mLの動的範囲を有し、改善された線形性を有し、より少ないHRP検出抗体を必要とした。
表19。ASP抗FkpA抗体及びAF抗FkpA抗体の比較において使用されるパラメータ
表20。ASP抗FkpA抗体及びAF抗FkpA抗体の結果
残りのASP抗体の親和性精製
上述の並行比較に基づいて、親和性クロマトグラフィーに続いてサイズ排除クロマトグラフィーを使用して、残りのASP抗体を精製した。画分33~46は、約98%の単量体を含有する(図29)。濃度を、UV分光光度法によって0.386mg/mLであると決定した。Superdex200運転2の画分33~46を組み合わせ、前述のようにAmicon Ultra10kDaユニットを使用して濃縮した。濃度を、UV分光光度法によって1.2mg/mLであると決定し、試料をAFコーティングストックIIと表記した。
AF抗体の凍結融解安定性
凍結融解安定性試験の背後にある目的は、試薬が、活性を損失することも、電気泳動またはSECプロファイルを変化させることもなく、最大3回の凍結融解に好適であることを確実にすることである。100μLの一定分量のAFコーティングストックIIを、この実験に使用した。1つの一定分量を冷室に保持し、残りの3つを-60℃以下の冷凍庫内に置いた。1時間後、3つの凍結した一定分量を融解し、緩徐に混合した。1つの一定分量(「1回の凍結融解」)を冷室に置き、他の2つを冷凍庫に戻した。残り2つの試料についてプロセスを繰り返し、第2の凍結融解試料を試料に移行させ、第3の凍結融解試料を-60℃以下の冷凍庫内で一晩保持した。第3の試料を翌日融解した。
10μgの一定分量の凍結融解試料の各々を、SDS-PAGEによって分析した。ゲル結果を図30に示す。凍結融解試料は、ゲルの両側において凍結融解間で同等であるようである。還元された側は、試料の各々において、いくつかの非常に高い分子量のバンドを示す。これらのバンドは、還元ステップに関連するゲルの人為的結果であり得る。
4つの凍結融解試料を、HPLC-SECによって分析した。50μgの一定分量を、試料の各々に使用した。アッセイ結果は、図31A及び31Bならびに表21にある。プロファイルはかなり同様であるが、凍結融解の増加とともにより高い分子量種の増加に向かうわずかな傾向を示す。これらの試料の機能試験は、より高い分子量種の増加が試薬の使用に対する影響をほとんど有しないことを明らかにした(図32)。SDS-PAGE及びHPLC-SEC分析に基づいて、最大3回の凍結融解では、タンパク質純度及び/または組成物には有意な差異は存在しない。
表21。AF精製抗体の凍結融解アッセイのHPLC-SEC分析
AFコーティングストックIIを一定分量に分け、複数の凍結/融解事象にわたってAF抗FkpA抗体の安定性を評価した。
AFコーティングストックIとIIとのサンドイッチELISA比較
AFコーティングストックI及びIIを、炭酸塩緩衝液(pH9.6)中3μg/mLに希釈し、Costar96ウェルプレート(カタログ番号9018)上に直接コーティングし、2~8℃で一晩インキュベートした。プレートをELISA洗浄緩衝液(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)/0.05%のPolysorbate20)で洗浄し、アッセイ希釈剤(0.15Mの塩化ナトリウム[NaCl]/0.1Mのリン酸ナトリウム[NaPO4]/0.1%の魚ゼラチン/0.05%のPolysorbate20/0.05%のProclin300)で、撹拌しながら室温で1~2時間遮断し、その後、再度ELISA洗浄緩衝液で洗浄した。標準曲線(100~1.56ng/mL)及びブランクをプレートに追加し、撹拌しながら室温で2時間インキュベートした。プレートをELISA洗浄緩衝液で洗浄し、AF HRPコンジュゲートストックIを、アッセイ希釈剤との1:6000の希釈でプレートに添加し、撹拌しながら室温で2時間インキュベートした。プレートをELISA洗浄緩衝液で洗浄し、SureBlue Reserve(商標)TMB Microwell Peroxidase Substrate(Kirkegaard&Perry Labs[KPL]、カタログ番号53-00-00)をプレートに添加、室温でおよそ20分間色を発現させた。0.6Nの硫酸で反応を停止させた。450nmの波長でODを読み取り、Softmax Proデータ整理ソフトウェアを使用してデータを分析した。AFコーティングストックI及びIIから生成された標準曲線は、ほぼ重ね合わせることができた。コーティング濃度、検出抗体希釈、及びインキュベーション時間をスクリーニングして、最適化した。3ug/mLのコーティング濃度及び1/6000のAF HRPコンジュゲート希釈を、正確かつ頑強であると決定した。コーティングインキュベーション時間は、最大3日間頑強であった。
その後の採血からの抗体の精製及び分析
ウサギA、B、及びCのその後の採血を、溶解材料及び非溶解材料を別個に精製して、赤血球溶血が生じたかどうかに基づいてプールした。両方のプールを、60%のASPに続いて、前述の親和性クロマトグラフィー及びSECによって精製した。SEC-HPLCデータに基づいて、溶解プール(ロットBと表記)と非溶解プール(ロットCと表記)との間には有意な差異は存在しない。画分35~38は、AFコーティングストックII(ロットAと表記)材料に最も密接に似ているため、ロットB画分35~38をともにプールした(表22)。
表22。ロットAとロットBとのHPLC-SEC比較
ロットA、B、及びCを、サンドイッチELISAにおいてコート抗体として比較した。コート抗体を、3μg/mLに希釈した。AF HRPコンジュゲートストックIを、1:6000の希釈で、検出抗体として使用した。3つの抗体の結果は、同等であった(図33)。ロットBの濃度を、UV分光光度法によって2.13mg/mLであると決定した。
製造業者の指示に従ってPierce Kit EZ-Link Peroxidase(カタログ番号31489)を使用して、1mgのロットB抗体をHRPにコンジュゲートした。ロットBのHRPコンジュゲート抗体を1/10に更に希釈し、ロットBのHRPコンジュゲートストックIと表記した。ロットBを一定下位分量に分け、ロットBコーティングストックIと表記した。
アッセイ頑強性
実験計画を行って、アッセイ条件をスクリーニングし、頑強性を実証した。濃度、コンジュゲートされた希釈物、及びTMB基質インキュベーション時間等のアッセイパラメータは、異なっていた。これらのパラメータのわずかな変動は、アッセイ結果には影響を及ぼさなかった。最適な条件を表23に示す。
表23。
実施例4。超高純度FkpAの安定性
-70℃で保管した超高純度FkpAの安定性
アッセイ対照としての超高純度FkpAの安定性を試験するために、実施例2に記載の標準ストックIをアッセイ希釈剤中で3(低)、15(中)、75(高)ng/mLに希釈し、一定分量に分け、-70℃で保管した。凍結前に、標準曲線を使用して、1つの低、中、及び高の一定分量の濃度をELISAによって測定した。低、中、及び高の超高純度FkpA対照の一定分量の安定性を、一定分量を融解し、FkpAの濃度を決定することによって、合計18日間監視した。-70℃での保管時、低対照は不安定であった。中対照は同様の不安定性を示したが、-70℃での保管時、高対照は安定しているようであった。
-70℃に対して、2~8℃で保管した超高純度FkpAの安定性
半分を-70℃及び他の半分を2~8℃で合計8日間保管した新たな組の低及び中対照に対して、第2の試験を行った。凍結前に、濃度は測定しなかった。先の実験と同様に、凍結した対照の濃度は、1日目の時点で、標的濃度の計算値から30%低下し始めた。2~8℃で保管した対照の濃度は、-70℃で保管した対照よりも緩徐な速度で低下したが、低下は依然として許容範囲外であると見なされた(図34)。
様々な量のポリソルベート中で調製した超高純度FkpAの安定性
標準ストックIを、アッセイ対照において使用するためのアッセイ希釈剤中の様々な量のポリソルベート中、3(低)、15(中)、または75(高)ng/mLに希釈した。アッセイ希釈剤は0.05%のポリソルベートを含有するため、0.1、0.25、0.5、及び1%のポリソルベート濃度を試験して、それが-70℃で凍結された対照の安定性を改善したかどうかを確認した。凍結前(T=0)に、FkpAの様々な溶液を試験し、上述のように合計15日間監視した。3ng/mLに希釈した全ての試料では、0.5%のポリソルベートを含有する試料のみが、15日間全てにわたって、T=0と比較して、濃度の20%未満の低下を有するようである。他の3ng/mL条件では、より大きな可変性が観察された(表24)。15ng/mLの溶液では、どの条件も、標的濃度の30%未満を超える濃度を有しなかった。0.5%または0.25%のポリソルベートを含有するものの濃度は、15日間全てにわたって、標的の20%以内のままであった(表24)。0.5%のポリソルベートは、試験した全ての対照うちで最良の回収を産出した。標的濃度及び0日目の両方からの差異パーセント(%Diff)は1~13%であり、%CVは1~10%である。0.10%のポリソルベート中で希釈した対照は、20%未満の%Diffを有したが、低対照では、20%が%CVで、より大きな可変性が存在した。全体として、増加した量のポリソルベートは、超高純度FkpAの不安定性を阻止するのに適切であるとは見なされなかった。
表24。異なる濃度のポリソルベートの比較
魚ゼラチン、ApoMab、及び緩衝液C中で調製した超高純度FkpAの安定性
0.2%の魚ゼラチン、1mg/mLのApoMab(Ashkenazi,A,2008,Nature Reviews Drug Discovery,7:1001-1012)、または緩衝液C(20mMの酢酸ヒスチジン、240mMのスクロース、0.02%のPolysorbate20(pH5.5))中で3(低)、15(中)、75(高)ng/mLに希釈した時の、-70℃での超高純度FkpAの安定性を決定した。(図35A及び35B)。結果は、いくつかの異なる組成物中でのFkpAの安定性、及び全ての場合で、緩衝液C中での保管時に、-70℃で対照が安定したままであることを示す。一例として、緩衝液C中の対照回収の頑強性を、このアッセイを16回繰り返すことによって実証した(表25)。可変性は、許容範囲内であった。
表25。FkpAの検出のためのELISA
実施例5。超高純度FkpAと市販のFkpA試薬との比較
実施例3に記載のサンドイッチELISAアッセイが、異なるFkpA標準物を検出する能力を決定した。様々な標準物は、標準ストックI(実施例2に記載)、BioSource FkpA標準物カタログ番号MBS1037402、及びBioSource FkpA標準物カタログ番号MBS1182120を含んだ。使用した標準物は、1.56~100ng/mLであった。BioSource FkpA標準物カタログ番号MBS1037402及びMBS1182120は、標準ストックIよりも低いシグナル伝達を有する標準曲線を産生した(図36)。
実施例6。抗IL13/抗IL17IgG4二重特異性抗体の生成
E.coli内に、2つの異なる軽鎖を有するヒトIgG1二重特異性抗体を生成するための技法(Yu et al.,2011,Sci Transl Med3,84ra44)。この方法は、ノブ・イン・ホール技法(Ridgway et al.,1996,Protein Eng.9,617-621、Atwell et al.,1997,J Mol Biol270,26-35)を利用して、免疫グロブリン重鎖のヘテロ二量体化を促進する。軽鎖が誤対合することなく、2つの異なる軽鎖の使用を可能にするために、各アームを、別個のE.coli細胞内でヘミマーまたは半抗体として培養した。このアプローチを使用して、抗IL17及び抗IL13の親抗体をベクターにサブクローニングし、抗IL17アームのヒトIgG4ホールとしての発現、及び抗IL13アームのヒトIgG4ノブとしての発現を可能にすることによって、抗IL13/抗IL17二重特異性抗体を生成した。IgG4ノブ重鎖定常領域の配列を配列番号15または16に示し、IgG4ホール重鎖定常領域の配列を配列番号26または27に示す。
初期抗体発現では、内因性FkpAのみを発現するE.coli株64B4を使用した。初期評価中、我々は、抗IL-17半抗体が7よりも高いpHで沈降物を形成したことを見出した。半抗体を捕捉し、その後、低pHでタンパク質Aカラムから溶出させ、溶出物をpH8.5に調整して、酸化還元反応において二重特異性抗体の組み立てを行った。pH調整後、抗IL-17半抗体溶出物のうちの約20%が沈降して失われた。抗IL-13半抗体との対合に利用可能な抗IL-17半抗体の減少は、2つの半抗体の比率間に不平衡をもたらし、抗IL-13/IL-17二重特異性の収率を低減した。その後、外因性FkpA、DsbA、及びDsbCを過剰発現する異なるE.coli株内で半抗体を産生させた。E.coli株67A6(遺伝子型:W3110ΔfhuA ΔphoA ilvG2096(IlvG+;Valr)Δprc spr43H1 ΔmanA lacIQ ΔompT ΔmenE742 degPS210A)を、抗IL13または抗IL17半AbのLC及びHC、ならびにシャペロンFkpA、DsbA、及びDsbCをコードするTIR(翻訳開始領域)2,2単一プラスミドで形質転換した。両方のプラスミドで、FkpAの発現はphoAプロモーターの制御下にあり、DsbA及びDsbCの発現は多シストロン性の様式でtacIIプロモーターの制御下にあった。両方のLC及びHCは、独立したphoAプロモーターの制御下にあった。プラスミドを使用して、67A6を形質転換した。発現されたFkpAは、その天然シグナル伝達ペプチドを含有する。
各々が上述の67A6E.coli細胞の培養物内で成長した、半抗体、抗IL13.ノブ及び抗IL17.ホール。抗IL13.ノブの大規模培養物をpH6.7±0.2に維持し、抗IL17.ホールの大規模培養物をpH7.0±0.2に維持した。培養物のODが150に到達するまで、培養物を34℃、220rpmで成長させた。その後、培養物を25℃、160rpmに転換した。合計発酵は、72時間であった。
各半抗体の全ブロスを、微少流体技術によって別個にホモジナイズした。その後、各ホモジネートプールを水で希釈し、PEIで調整し、室温でインキュベートした。その後、この調整したホモジネートプールを遠心分離して固体を分離し、続いて、一連のフィルターを通して遠心分離物を含有する半抗体を濾過した。
各半抗体の力価は、FkpA、DsbA、及びDsbCの外因性発現を有しないE.coli株64B4によって産生された力価よりも約10~20倍高かった(データ示さず)。したがって、FkpA、DsbA、及びDsbCの外因性発現を採用して、抗IL13/IL17抗体を調製した。
その後、MabSelect SuRe(商標)樹脂(GE Healthcare Life Sciences)を使用して、各半抗体を親和性クロマトグラフィーカラム上に別個に捕捉した。カラム平衡化後、遠心分離物をカラムに装填し、平衡化緩衝液及び第2の洗浄緩衝液で洗浄した。酸性条件(pH2.8)下、カラムから半抗体を溶出させた。
抗IL13/抗IL17抗体の組み立て
親和性精製した抗IL13及び抗IL17半抗体を1:1の質量比で組み合わせた後、pH8.5に滴定した。組み立てプロセスから期待される二重特異性抗体の理論最大量に対して還元した、100倍の過剰モル比のL-グルタチオン(GSH)を混合物に添加し、温度を室温から35℃に調整した。2つの半抗体を酸化還元反応においてインビトロで組み立てて、抗IL13/抗IL17二重特異性抗体を形成した。酸化還元反応を35℃で12~24時間続けた。pHを6.5に調整することによって、組み立て反応を停止させ、プールを水で希釈してから、以下に記載される精製プロセスに供した。
MabSelect SuRe(商標)精製及び組み立て後、二重特異性抗体のいくつかの逐次的精製ステップを行った。組み立てられた抗体をまず、CAPTO(商標)ADHERE樹脂(GE Healthcare Life Sciences)を使用して、結合及び溶出モードで作動した混合モード陰イオン交換クロマトグラフィーステップで精製した。カラム平衡化(50mMの酢酸塩(pH6.5))後、調整した組み立てプールをカラムに装填し、平衡化緩衝液で洗浄し、その後、第2の洗浄緩衝液(200mMの酢酸塩(pH6.5))で洗浄した。緩衝液のpHを低下させる(25mMの酢酸塩(pH5.2))ことによって、二重特異性抗体を溶出させた。
CAPTO(商標)ADHEREクロマトグラフィー後、二重特異性抗体産物の濃度は約80~85%から92%以上へと増加し、SEC-HPLCによって測定される高分子量種濃度は約12~15%から約4%以下へと減少した。加えて、調製物中のECPは約2ログだけ低減し、DsbAは約1ログだけ減少し、FkpAは0.75ログだけ減少した。
Q SEPHAROSE(登録商標)Fast Flow樹脂(GE Healthcare Life Sciences)を使用して、結合及び溶出モードで作動した陰イオン交換クロマトグラフィーステップをかけて、プールを更に精製した。pH8.5に調整したCapto(商標)adhere溶出物プールを、平衡化したQ Sepharose(登録商標)Fast Flowカラムに装填し、平衡化緩衝液(50mMのTris(pH8.5))で洗浄した。緩衝液(50mMのTris、100mMの酢酸ナトリウム(pH8.5))の伝導度を増加させることによって、カラムから二重特異性抗体を溶出させた。
QSFFクロマトグラフィー後、二重特異性抗体産物の濃度は約92%以上から94%以上へと増加し、高分子量種濃度は4%以下から約2.5%以下へと減少し、SEC-HPLCによって測定される超高分子量種の量は検出することができなかった。加えて、調製物中のDsbCは約4倍だけ減少し、FkpAは4~5倍だけ減少した。
QSFF溶出物プールをpH5.5に調整し、Phenyl Sepharose(登録商標)6Fast Flow(高置換)樹脂(GE Healthcare Life Sciences)を使用し、貫流モードで作動した疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムで更に精製した。カラムを平衡化し(170mMの酢酸塩(pH5.5))、調整したQSFFプールをカラムに装填した。抗IL13/抗IL17二重特異性抗体を貫流させ、その後、カラムを平衡化緩衝液で洗浄した。産物プール収集を開始し、OD280に基づいて終結させた(プールは0.5~1ODの間または最大10CVのカラム洗浄体積で生じた)。その後、プールを濃縮し、限外濾過/透析濾過(UF/DF)を使用して緩衝液交換した。
第2の運転を行い、結果は同様であった。
実施例7。抗IL13/抗IL17抗体の調製物中の不純物の検出
非対合半抗体、ホモ二量体、低分子量種(LMWS)、高分子量種(HMWS)、超高分子量種(vHMWS)、酸性変異形、塩基性変異形、FkpA、DsbA、DsbC、ECP、浸出タンパク質A、E.coli DNA、及び内毒素を含む不純物の存在について、2つのロットの抗IL13/抗IL17二重特異性抗体を分析した。産物品質を表26に提示する。
表26。産物品質
精製された抗IL13/抗IL17二重特異性抗体におけるFkpAの検出
超高純度FkpAに対する抗体ならびに標準及び対照の超高純度FkpAを使用するELISAによって、FkpAの濃度を決定した。抗IL13/抗IL17二重特異性抗体の各産生段階後、LC-MS/MS(液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法)によって、FkpAの存在についても試料を分析した。
ELISA及びLC-MS/MSによる検出FkpAが、以下に記載される。結果を表27に示す。
表27 抗IL13/抗IL17試料中のFkpA濃度
ELISAによるFkpAの検出
超高純度FkpAに対して指向されたポリクローナル血清を、炭酸塩緩衝液(pH9.6)中3μg/mLに希釈し、Costar96ウェルプレート(カタログ番号9018)上に直接コーティングし、2~8℃で一晩インキュベートした。プレートをELISA洗浄緩衝液(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)/0.05%のPolysorbate20)で洗浄し、アッセイ希釈剤(0.15Mの塩化ナトリウム/0.1Mのリン酸ナトリウム/0.1%の魚ゼラチン/0.05%のPolysorbate20/0.05%のProclin300)で、撹拌しながら室温で1~2時間遮断し、その後、再度ELISA洗浄緩衝液で洗浄した。超高純度FkpAの標準曲線(100~1.56ng/mL)及びブランクをプレートに追加し、撹拌しながら室温で2時間インキュベートした。プレートをELISA洗浄緩衝液で洗浄し、親和性精製抗FkpA HRPコンジュゲートストックを、アッセイ希釈剤との1:6000の希釈でプレートに添加し、撹拌しながら室温で2時間インキュベートした。プレートをELISA洗浄緩衝液で洗浄し、SureBlue Reserve(商標)TMB Microwell Peroxidase Substrate(Kirkegaard&Perry Labs、カタログ番号53-00-00)をプレートに添加、室温でおよそ20分間色を発現させた。0.6Nの硫酸で反応を停止させた。450nmの波長でODを読み取り、Softmax Proデータ整理ソフトウェアを使用してデータを分析した。
LC-MS/MSによるFkpAの検出
0.5mgのApomab中、1、5、10、25、及び50ppmのFkpAのFkpA標準物。0.5mgの各抗体試料及び標準物を、5mg/mLの最終濃度になるまで精製水で希釈した。400μLの変性緩衝液(7.2Mの塩酸グアニジン、0.3Mの酢酸ナトリウム(pH5.0))及び10μLの0.5MのBond-Breaker Tris(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、中性pH(Pierce)を、100μLの希釈した試料に添加し、試料を37℃で15分間インキュベートした。
NAP-5脱塩カラムを、約10mLの脱塩緩衝液(1mMの酢酸ナトリウム、0.5mMのTCEP(pH5.0))で平衡化した。試料を装填し、800μLの脱塩緩衝液で溶出させた。100μLの0.5MのMOPS(3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、4-モルホリンプロパン-スルホン酸)を、各試料に添加した。
20μLの0.5mg/mLのトリプシンを各試料に添加し、試料を37℃で60分間インキュベートした。30μLの10%のトリフロウロ(triflouro)酢酸(TFA)を添加することによって、トリプシンを不活性化した。
100μLの消化された各試料を、多重反応監視(MRM)によってLC-MS/MS分析のために注入した。2.1mm×150mm、1.7μmのWaters CSH C18UPLCカラムを有するWaters Acquity H-Class Bio UPLCで、LCを行った。カラム温度は60℃であり、流量は0.3mL/分であり、緩衝液A(0.1%のギ酸を有する水)及び緩衝液B(0.1%のギ酸を有するアセトニトリル)を0~40%のBの勾配として45分間使用した。
Sciex6500Qtrap質量分析計でMS/MSを行った。MRMは、FkpAペプチドSAYALGASLGR(配列番号45)ペプチドの+2前駆体イオンの、y6断片イオンへの推移を監視する。衝突エネルギーは28.1Vであり、脱クラスター化電位=70Vであり、滞留時間は100ミリ秒であった。前駆体のQ1質量=533.3、y6断片イオンのQ3質量=560.3。FkpA標準曲線を使用して、抗IL13/抗IL17試料中のFkpA濃度を決定した。
実施例8。抗IL13/抗IL17二重特異性抗体の5-カラム精製
抗IL13/抗IL17抗体におけるFkpAの濃度を更に低減するために、上述の4カラム手順に追加の精製ステップを追加した。POROS(登録商標)50HS陽イオン交換クロマトグラフィーを評価した。pH5.0に調整したPhenyl Sepharose(登録商標)6Fast Flow(高置換)溶出物プールの試料を、POROS(登録商標)HS50(Applied Biosystems(商標))陽イオン交換カラムに適用し、結合及び溶出モードで精製した。線形塩勾配(22CVにわたって、0~500mMの酢酸塩(pH5.8))を使用して、二重特異性抗体を溶出させた。その後、不純物の除去について試料をアッセイした。結果を表28に提示する。
表28。予備POROS(登録商標)HS50の第5のクロマトグラフィーステップの結果
これらの結果に基づいて、POROS(登録商標)HS50カラムを抗IL13/抗IL17の精製スキームに組み込んだ。半抗体を、MabSelect SuRe(商標)カラムのタンパク質A親和性クロマトグラフィーによって精製し、実施例6に記載されるように組み立てた。組み立てられた抗IL13/抗IL17抗体を、実施例6に記載のCAPTO(商標)ADHERE、Q SEPHAROSE(登録商標)Fast Flow、及びPhenyl Sepharose(登録商標)6Fast Flow(高置換)クロマトグラフィーステップによって更に精製した。
UF/DFステップの前に、Phenyl Sepharose(登録商標)6Fast Flowカラムからの抗IL13/抗IL17二重特異性抗体プールを、結合及び溶出モードで作動したPOROS(登録商標)HS50カラムで精製した。カラムを平衡化(50mMの酢酸塩(pH5.5))し、希釈されたPhenyl Sepharose(登録商標)6Fast Flow(高置換)貫流物プールをカラムに装填した。カラムを平衡化緩衝液で洗浄し、その後、第2の洗浄緩衝液(50mMの酢酸塩(pH5.8))で洗浄した。22CVにわたって、10~100%のB(A:水、B:500mMの酢酸塩(pH5.8))の線形塩勾配を使用して、二重特異性抗体をカラムから溶出させた。溶出物収集を開始し、OD280に基づいて終結させた(プールは0.5~1ODの間で生じた)。
その後、限外濾過/透析濾過(UF/DF)を使用して、POROS(登録商標)HS50プールの濃縮及び緩衝液交換を行った。
αIL13及びαIL17の4つの異なる発酵で、プロセスを繰り返した。
最終産物の試料及び精製プロセスの異なるステップ後の試料を、産物特異的不純物について分析した。試料中の高分子量種(HMWS)の分析結果を表29に提示する。簡潔には、組み立てられた二重特異性抗体の出発材料は、約91~94%の産物及び約6.0~7.5%のHMWSを含有した。Capto(商標)adhere混合モードクロマトグラフィー後、試料は約95~98%の産物及び約2.2%のHMWSを含有し、これは試料中のHMWS不純物の量の低減を示した。陰イオン交換、HIC、及び陽イオン交換後、試料は、98~99.6%の産物及び0.2~1.5%のHMWSを含有した。
表29。分析SEC-HPLC結果
超高純度FkpAに対する抗体を使用する、実施例4に提示したELISAを使用して、FkpAの存在について5-カラムプロセスプールの試料を分析した。表30及び31に示されるように、5-カラムプロセスは、二重特異性抗体製剤からFkpAを除去するのに有効であった。
したがって、本明細書に記載の精製プロセスは、外因性FkpAを過剰発現するE.coli細胞によって産生された半抗体から組み立てられた例示的な二重特異性抗体、すなわち、抗IL13/抗IL17二重特異性抗体の試料において、FkpAレベルを、ELISAアッセイによって分析される6ppm以下まで、実質的に除去または低減した。比較として、内因性FkpAのみを発現するE.coli細胞(外因性FkpAまたは他のシャペロンタンパク質を発現するプラスミドを持たない株64B4等)によって産生され、ProPac(商標)HIC-10カラムによって精製された抗IL13/抗IL17二重特異性抗体の試料において、FkpAのレベルは、同じELISAアッセイによって分析される7ppmのままである(データ示さず)。
表30。ELISAによって決定される抗IL13/抗IL17試料中のFkpA濃度
表31 抗IL13/抗IL17試料中のタンパク質濃度(mg/mL)
実施例9。FkpAを外因的に発現するE.coli内で産生されたポリペプチドを精製するための混合モード陰イオン交換クロマトグラフィーの評価
ハイスループットスクリーニングは、従来の陰イオン交換クロマトグラフィー(例えば、QSFFクロマトグラフィー)と比較して、混合モード陰イオン-交換クロマトグラフィーでの産物関連不純物の解像度の増強を示した(図37)。抗IL17単量体は、QSFFクロマトグラフィーによってほとんどまたは全く分離されなかったが、混合モードクロマトグラフィーでは、抗IL13単量体種及び抗IL17二量体種の分離の改善が観察された。
二重特異性抗体の精製における混合モードクロマトグラフィーの使用を評価した。評価の一群において、IL13またはIL17に結合する半抗体を細菌培養物内で別個に調製した。その後、IL13またはIL17に結合する半抗体を、タンパク質Aクロマトグラフィー(MabSelect SuRe(商標)クロマトグラフィー)を使用する親和性クロマトグラフィーに供した。その後、部分的に精製された抗体を組み立てて、上述のIL13及びIL17に結合する二重特異性抗体を形成した。組み立てられた二重特異性抗体を、QSFF陰イオン交換クロマトグラフィー、その後、Capto(商標)Adhere混合モード陰イオン交換クロマトグラフィーに供する(トレーン1)か、またはCapto(商標)Adhere混合モード陰イオン交換クロマトグラフィー、その後、QSFF陰イオン交換クロマトグラフィーに供した(トレーン2)。結果を表32に提示する。
表32。産物品質
一般に、組み立てられた二重特異性抗体を、陰イオン交換クロマトグラフィー前に混合モード陰イオンクロマトグラフィーに供すると、産物変異形除去の改善がもたらされた。
プロセス関連不純物のクリアランスを表33に提示する。
表33。プロセス関連不純物
トレーン2を使用して精製される材料中のより少ない量の不純物によって示されるように、混合モードが陰イオン交換クロマトグラフィーに先行するとき、改善された不純物クリアランスが観察された。
結合及び溶出QSFF陰イオン交換条件は、以下の通りであった。カラムを50mMのTris(pH8.5)で平衡化した。pH8.5かつ1.8mS/cm以下に調整した、組み立てプール(トレーン1)またはCapto(商標)Adhere溶出物プール(トレーン2)を、1Lの装填樹脂当たり20g以下のタンパク質の装填密度になるまで、カラムに装填し、平衡化緩衝液で洗浄し、その後、第2の洗浄緩衝液(5mMの酢酸ナトリウムを有する50mMのTris(pH8.5))で洗浄した。緩衝液(139mMの酢酸ナトリウムを有する50mMのTris(pH8.5))の伝導度を増加させることによって、二重特異性抗体を溶出させた。プールを開始し、280nmでの吸光度に基づいて終結させた。
結合及び溶出Capto(商標)Adhere混合モード陰イオン交換条件は、以下の通りであった。カラムを50mMの酢酸塩(pH6.5)で平衡化した。pH6.5かつ7.0mS/cm以下に調整したQSFF溶出物プール(トレーン1)または組み立てプール(トレーン2)を、1Lの装填樹脂当たり24g以下のタンパク質の装填密度になるまで、カラムに装填し、平衡化緩衝液で洗浄し、その後、第2の洗浄緩衝液(200mMの酢酸塩(pH6.5))で洗浄した。緩衝液のpHを低下させる(25mMの酢酸塩(pH5.2))ことによって、二重特異性抗体を溶出させた。プールを開始し、280nmでの吸光度に基づいて終結させた。
実施例10。FkpA低減についてのHIC樹脂のスクリーニング
二重特異性抗体産物等のポリペプチド産物中のFkpAの低減について、いくつかのHIC樹脂をスクリーニングした。樹脂としては、Bakerbond(商標)WP Hi-Propyl、Capto(商標)Octyl、Capto(商標)Butyl、Toyopearl(登録商標)Hexyl-650C、Toyopearl(登録商標)PPG-600M、Toyopearl(登録商標)Phenyl-650M、Toyopearl(登録商標)Butyl-650M、及びToyopearl(登録商標)Ether-650Mが挙げられる。Hexyl650Cは、貫流モードで最低のFkpAレベルを産生し、Capto(登録商標)Butylが続いた(図38及び39)。ロボット工学ハイスループットスクリーニングを行って、様々な塩の種類ならびに濃度及びpH条件下、これらの樹脂に対する産物及びFkpAのバッチ結合を評価した。3つの異なるコスモトロピック塩を検査して、選択性に対する塩の種類の影響を決定した。試験した塩及び濃度範囲は、以下の通りであった。100~800mMの酢酸ナトリウム、100~400mMの硫酸ナトリウム、500~2000mMの塩化ナトリウム。加えて、5.0~7.0のpH範囲を評価した。96ウェルの底膜プレートを、各ウェルおよそ50μLの樹脂で充填し、各実験にとって適切な結合条件(塩の種類、塩濃度、pH)で平衡化した。対応する結合条件に調整した、FkpAを含有する部分的に精製された産物プール(すなわち、装填出発材料/供給ストック)を各ウェルに適用して、1μLの樹脂当たり50μgの産物の装填密度を標的とした。混合及びインキュベーションを行って、平衡を達成した後、上清を収集し、相対的産物及びFkpA含有量について分析して、装填出発材料/供給ストックに対する、得られた産物の濃縮を評価した。Hexyl650Cは、貫流モードで最低のFkpAレベルを産生し、Capto(商標)Butylが続いた。
実施例11。プロセスバージョン
いくつかのプロセスバージョンを評価した。プロセスの第1の例において、E.coli内で半抗体を産生した。図40Aを参照されたい。各半抗体のE.coli全細胞ブロスを、微少流体技術によってホモジナイズした。各ホモジネートプールを水で希釈し、PEIで調整し、室温でインキュベートした。その後、この調整したホモジネートプールを遠心分離して固体を分離し、続いて、一連のフィルターを通して遠心分離物を含有する半抗体を濾過した。その後、半抗体を、タンパク質Aクロマトグラフィーカラム(MabSelect SuRe(商標))を使用する親和性精製に供した。その後、上述の親和性精製された半抗体を組み合わせることによって、二重特異性抗体を組み立てた。この第1のプロセス(プロセス1)について、組み立てられた二重特異性抗体を、結合及び溶出モードで混合モード陰イオン交換クロマトグラフィー(Capto(商標)Adhere)に供し、その後、結合及び溶出モードで陰イオン交換クロマトグラフィー(Q Sepharose(登録商標)Fast Flow)に供した。その後、回収された画分を、貫流モードでHIC(Phenyl Sepharose(登録商標)6Fast Flow、高置換)に供した。最後に、二重特異性抗体を限外濾過及び透析濾過に供して、二重特異性抗体を製剤化した。あるプロセスであるプロセス2(図40B)の別の例において、組み立てられた二重特異性抗体を上述のように調製し、混合モード陰イオン交換クロマトグラフィー(Capto(商標)Adhere)に供し、その後、結合及び溶出モードで陰イオン交換クロマトグラフィー(Q Sepharose(登録商標)Fast Flow)に供した。その後、回収された画分を、貫流モードでHIC(Phenyl Sepharose(登録商標)6Fast Flow、高置換)及び結合及び溶出モードで陽イオン交換クロマトグラフィー(POROS(登録商標)50HS)に供した。最後に、二重特異性抗体を限外濾過及び透析濾過に供して、二重特異性抗体を製剤化した。
第3のプロセス(プロセス3、図40C)において、二重特異性抗体を上述のように組み立て、その後、混合モード陰イオン交換クロマトグラフィー(Capto(商標)Adhere)に供し、その後、結合及び溶出モードで陰イオン交換クロマトグラフィー(Q Sepharose(登録商標)Fast Flow)及び貫流モードでHIC(Hexyl650C)に供した。最後に、二重特異性抗体を限外濾過及び透析濾過に供して、二重特異性抗体を製剤化した。
第4のプロセス(プロセス4、図40D)において、二重特異性抗体を上述の組み立て、その後、結合及び溶出モードで混合モード陰イオン交換クロマトグラフィー(Capto(商標)Adhere)に供し、その後、結合及び溶出モードで陰イオン交換クロマトグラフィー(Q Sepharose(登録商標)Fast Flow)及び結合及び溶出モードでセラミックヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(CHT I型、80μm)に供した。
最後に、プロセス1~3について、二重特異性抗体を限外濾過及び透析濾過に供して、二重特異性抗体を製剤化した。
その後、MabSelect SuRe(商標)樹脂(GE Healthcare Life Sciences)を使用して、各半抗体を親和性クロマトグラフィーカラム上に別個に捕捉した。カラム平衡化後、遠心分離物をカラムに装填し、平衡化緩衝液及び第2の洗浄緩衝液で洗浄した。酸性条件(pH2.8)下、カラムから半抗体を溶出させた。
Capto(商標)Adhereプロセス:
結合及び溶出Capto(商標)Adhere混合モード陰イオン交換条件は、以下の通りであった。カラムを50mMの酢酸塩(pH6.5)で平衡化した。pH6.5かつ6.5mS/cmに調整した組み立てプールを、1Lの装填樹脂当たり20g以下のタンパク質の装填密度になるまで、カラムに装填し、平衡化緩衝液で洗浄し、その後、第2の洗浄緩衝液(200mMの酢酸塩(pH6.5))で洗浄した。緩衝液のpHを低下させる(25mMの酢酸塩(pH5.2))ことによって、二重特異性抗体を溶出させた。プールを開始し、280nmでの吸光度に基づいて終結させた。
Q Sepharose(登録商標)FFプロセス:
結合及び溶出QSFF陰イオン交換条件は、以下の通りであった。カラムを50mMのTris(pH8.5)で平衡化した。pH8.5に調整したCapto(商標)Adhere溶出物プールを、1Lの装填樹脂当たり50g以下のタンパク質の装填密度になるまで、カラムに装填し、平衡化緩衝液で洗浄した。緩衝液(100mMの酢酸ナトリウムを有する50mMのTris(pH8.5))の伝導度を増加させることによって、二重特異性抗体を溶出させた。プールを開始し、280nmでの吸光度に基づいて終結させた。
Phenyl Sepharose(登録商標)プロセス:
貫流Phenyl Sepharose(登録商標)6Fast Flow(高置換)HIC条件は、以下の通りであった。カラムを170mMの酢酸塩(pH5.5)で平衡化した。調整したQSFF溶出物プール(pH5.5)をカラムに装填した。抗IL13/抗IL17二重特異性抗体を貫流させ、その後、カラムを平衡化緩衝液で洗浄した。産物プール収集を開始し、280nmでの吸光度に基づいて終結させた。
POROS(登録商標)HS50プロセス:
結合及び溶出POROS(登録商標)HS50陽イオン交換条件は、以下の通りであった。カラムを50mMの酢酸塩(pH5.5)で平衡化した。5.0mS/cmに調整したPhenyl Sepharose(登録商標)貫流プールを、1Lの装填樹脂当たり20g以下のタンパク質の装填密度になるまで、カラムに装填し、平衡化緩衝液で洗浄し、その後、第2の洗浄緩衝液(50mMの酢酸塩(pH5.8))で洗浄した。伝導度を、22カラム体積(CV)にわたって、10~100%のB(A:WFI、B:500mMの酢酸塩(pH5.8))まで線形勾配で増加させることによって、二重特異性抗体を溶出させた。プールを開始し、280nmでの吸光度に基づいて終結させた。
Hexyl-650Cプロセス:
貫流Hexyl-650C HIC条件は、以下の通りであった。カラムを、125mMの酢酸ナトリウムを有する50mMのMOPS(pH7.0)で平衡化した。調整したQSFF溶出物プール(pH7.0)をカラムに装填した。抗IL13/抗IL17二重特異性抗体を貫流させ、その後、カラムを平衡化緩衝液で洗浄した。産物プール収集を開始し、280nmでの吸光度に基づいて終結させた。
CHT I型プロセス:
結合及び溶出CHT I型セラミックヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー条件は、以下の通りであった。カラムを10mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)で平衡化した。10mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)を含有するように調整したQSFF溶出物プールを、1Lの装填樹脂当たり25g以下のタンパク質の装填密度になるまで、カラムに装填し、平衡化緩衝液で洗浄した。伝導度を、20カラム体積(CV)において、0~100%のB(A:平衡化緩衝液、B:1Mの塩化ナトリウムを含有する10mMのリン酸ナトリウム(pH6.8))まで線形勾配で増加させることによって、二重特異性抗体を溶出させた。プールを開始し、280nmでの吸光度に基づいて終結させた。
これらの例示的なプロセス(プロセス1~4)の各々の最終カラムプールにおける全体的な収率及び産物品質データを、以下の表34に示す。
表34。産物品質
実施例12。αA/αBの精製
2つの抗原A及びBに結合する二重特異性抗体を組み立て、精製した。抗IL13/抗IL17二重特異性抗体について上述の、FkpA、DsbA、及びDsbCを過剰発現するE.coli内で、抗A及び抗B半抗体を産生した(実施例6を参照されたい)。抗A半抗体はFc領域に「ノブ」アミノ酸置換を含み、抗B半抗体は「ホール」アミノ酸置換を含んだ。
各半抗体の全ブロスを、微少流体技術によって別個にホモジナイズした。その後、各ホモジネートプールを水で希釈し、PEIで調整し、室温でインキュベートした。その後、この調整したホモジネートプールを遠心分離して固体を分離し、続いて、一連のフィルターを通して遠心分離物を含有する半抗体を濾過した。
その後、MabSelect SuRe(商標)樹脂(GE Healthcare Life Sciences)を使用して、各半抗体を親和性クロマトグラフィーカラム上に別個に捕捉した。カラム平衡化後、遠心分離物をカラムに装填し、平衡化緩衝液及び第2の洗浄緩衝液で洗浄した。酸性条件(pH2.8<3)下、カラムから半抗体を溶出させた。
等しい質量の各半抗体を組み合わせることによって、二重特異性抗体を組み立てた。試料を最大pH8.4に滴定した。組み立てプロセスから期待される二重特異性抗体の理論最大量に対して還元した、100倍の過剰モル比のL-グルタチオン(GSH)を混合物に添加し、温度を室温から35℃に調整した。2つの半抗体を酸化還元反応においてインビトロで組み立てて、二重特異性抗体を形成した。酸化還元反応を35℃で20時間続けた。pHを6.5に調整することによって、組み立て反応を停止させ、プールを水で希釈してから、以下に記載される精製プロセスに供した。
その後、組み立てられた二重特異性抗体を、Capto(商標)Adhere混合モード陰イオン交換クロマトグラフィーに供した。結合及び溶出Capto(商標)Adhere混合モード陰イオン交換条件は、以下の通りであった。カラムを、50mMの酢酸ナトリウムを含有する2mMのMES(pH6.5)で平衡化した。pH6.5かつ6.5mS/cmに調整した組み立てプールを、1Lの装填樹脂当たり20g以下のタンパク質の装填密度になるまで、カラムに装填し、平衡化緩衝液で洗浄し、その後、第2の洗浄緩衝液(150mMの酢酸塩を含有する6mMのMES(pH6.5))で洗浄した。緩衝液のpHを低下させる(25mMの酢酸塩(pH5.0))ことによって、二重特異性抗体を溶出させた。プールを開始し、280nmでの吸光度に基づいて終結させた。
プールされたCapto(商標)Adhere溶出物をpH8.5に調整し、結合及び溶出モードでQSFF陰イオン交換クロマトグラフィーカラムで精製した。結合及び溶出QSFF陰イオン交換条件は、以下の通りであった。カラムを50mMのTris(pH8.5)で平衡化した。調整したCapto(商標)Adhere溶出物プールを、1Lの装填樹脂当たり41gのタンパク質の装填密度になるまで、カラムに装填し、平衡化緩衝液で洗浄した。緩衝液(100mMの酢酸ナトリウムを有する50mMのTris(pH8.5))の伝導度を増加させることによって、二重特異性抗体を溶出させた。プールを開始し、280nmでの吸光度に基づいて終結させた。
その後、pH5.5に調整したQSFF溶出物を、貫流モードでPhenyl Sepharose(登録商標)HSクロマトグラフィーに供した。貫流Phenyl Sepharose(登録商標)6Fast Flow(高置換)HIC条件は、以下の通りであった。カラムを170mMの酢酸塩(pH5.5)で平衡化した。調整したQSFF溶出物プールをカラムに装填した。二重特異性抗体を貫流させ、その後、カラムを平衡化緩衝液で洗浄した。産物プール収集を開始し、280nmでの吸光度に基づいて終結させた。その後、Phenyl Sepharose(登録商標)プールを濃縮し、限外濾過/透析濾過(UF/DF)を使用して緩衝液交換した。非対合半抗体、ホモ二量体、低分子量種(LMWS)、高分子量種(HMWS)、超高分子量種(vHMWS)、酸性変異形、塩基性変異形、FkpA、DsbA、DsbC、ECP、浸出タンパク質A、E.coli DNA、及び内毒素を含む不純物の存在について、抗A/抗B二重特異性抗体を分析した。産物品質及び(収率%によって示される)プロセス性能を表35に詳述する。
表35。抗A/抗B産物品質及びプロセス性能
配列
別途表記されない限り、アミノ酸配列はN末端からC末端で提示され、核酸配列は5’から3’で提示される。
E.coli FkpA
アミノ酸配列-リーダー配列なし
AFADKSKLSDQEIEQTLQAFEARVKSSAQAKMEKDAADNEAKGKEYREKFAKEKGVKTSSTGLVYQVVEAGKGEAPKDSDTVVVNYKGTLIDGKEFDNSYTRGEPLSFRLDGVIPGWTEGLKNIKKGGKIKLVIPPELAYGKAGVPGIPPNSTLVFDVELLDVKPAPKADAKPEADAKAADSAKK
(配列番号1)
アミノ酸配列-全配列
MKSLFKVTLLATTMAVALHAPITFAAEAAKPATTADSKAAFKNDDQKSAYALGASLGRYMENSLKEQEKLGIKLDKDQLIAGVQDAFADKSKLSDQEIEQTLQAFEARVKSSAQAKMEKDAADNEAKGKEYREKFAKEKGVKTSSTGLVYQVVEAGKGEAPKDSDTVVVNYKGTLIDGKEFDNSYTRGEPLSFRLDGVIPGWTEGLKNIKKGGKIKLVIPPELAYGKAGVPGIPPNSTXVFDVELLDVKPAPKADAKPEADAKAADSAKK
(配列番号2)
核酸配列
atgaaatcactgtttaaagtaacgctgctggcgaccacaatggccgttgccctgcatgcaccaatcacttttgctgctgaagctgcaaaacctgctacagctgctgacagcaaagcagcgttcaaaaatgacgatcagaaatcagcttatgcactgggtgcctcgctgggtcgttacatggaaaactctctaaaagaacaagaaaaactgggcatcaaactggataaagatcagctgatcgctggtgttcaggatgcatttgctgataagagcaaactctccgaccaagagatcgaacagactctacaagcattcgaagctcgcgtgaagtcttctgctcaggcgaagatggaaaaagacgcggctgataacgaagcaaaaggtaaagagtaccgcgagaaatttgccaaagagaaaggtgtgaaaacctcttcaactggtctggtttatcaggtagtagaagccggtaaaggcgaagcaccgaaagacagcgatactgttgtagtgaactacaaaggtacgctgatcgacggtaaagagttcgacaactcttacacccgtggtgaaccgctttctttccgtctggacggtgttatcccgggttggacagaaggtctgaagaacatcaagaaaggcggtaagatcaaactggttattccaccagaactggcttacggcaaagcgggtgttccggggatcccaccgaattctaccctggtgtttgacgtagagctgctggatgtgaaaccagcgccgaaggctgatgcaaagccggaagctgatgcgaaagccgcagattctgctaaaaaataa
(配列番号3)
<本発明の更なる実施態様>
[実施態様1]
FkpAポリペプチドを含む細胞溶解物からの前記FkpAポリペプチドの精製方法であって、
a)遠心分離により前記細胞溶解物を浄化することと、
b)前記FkpAポリペプチドを含む前記浄化された細胞溶解物を陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用することと、
c)前記陽イオン交換クロマトグラフィー材料から前記FkpAポリペプチドを溶出させて、前記FkpAポリペプチドを含む陽イオン交換溶出物を生成することと、
d)前記FkpAポリペプチドを含む前記陽イオン交換溶出物を疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)材料に適用することと、
e)前記HIC材料から前記FkpAポリペプチドを溶出させて、HIC溶出物を生成することと、
f)前記FkpAポリペプチドを含む前記HIC溶出物をサイズ排除クロマトグラフィーに適用することと、
g)前記サイズ排除クロマトグラフィーから前記FkpAポリペプチドを溶出させることと、を含む、前記方法。
[実施態様2]
前記FkpAポリペプチドを含む前記溶解物が、約pH6.0である、実施態様1に記載の方法。
[実施態様3]
前記陽イオン交換クロマトグラフィー材料が、強陽イオン交換体である、実施態様1または2に記載の方法。
[実施態様4]
前記強陽イオン交換体が、スルホプロピル基を含む、実施態様3に記載の方法。
[実施態様5]
前記スルホプロピル基が、架橋アガロースに結合している、実施態様4に記載の方法。
[実施態様6]
前記陽イオン交換材料が、溶出前に25mMの2-(N-モルフィリノ(morphilino))エタンスルホン酸(MES)中で洗浄される、実施態様1~5のいずれか一に記載の方法。
[実施態様7]
前記FkpAが、塩勾配を使用して前記陽イオンクロマトグラフィー材料から溶出される、実施態様1~6のいずれか一に記載の方法。
[実施態様8]
前記塩勾配が、線形勾配である、実施態様7に記載の方法。
[実施態様9]
前記塩勾配が、9カラム体積にわたって、25mMのMES、300mMのNaClから25mMのMES、300mMのNaClまでの0~30%の勾配である、実施態様8に記載の方法。
[実施態様10]
前記陽イオン交換溶出物が、画分で収集される、実施態様1~9のいずれか一に記載の方法。
[実施態様11]
前記画分が、疎水性相互作用クロマトグラフィー前にサイズ排除クロマトグラフィーによって分析される、実施態様10に記載の方法。
[実施態様12]
少なくとも約25%のFkpAを含む画分が、更なる精製のために選択される、実施態様11に記載の方法。
[実施態様13]
前記HIC材料が、ブチル部分を含む、実施態様1~12のいずれか一に記載の方法。
[実施態様14]
前記ブチル部分が、架橋アガロースに結合している、実施態様13に記載の方法。
[実施態様15]
前記陽イオン交換溶出物が、HIC前に約0.6Mの硫酸ナトリウム及び約50mMのPO
4
(約pH7)を含有するように調整される、実施態様1~14のいずれか一に記載の方法。
[実施態様16]
前記FkpA結合HIC材料が、溶出前に40mMのリン酸塩、300mMの硫酸ナトリウム(pH7.0)で洗浄される、実施態様1~15のいずれか一に記載の方法。
[実施態様17]
前記FkpAが、水を使用して前記HIC材料から溶出される、実施態様1~16のいずれか一に記載の方法。
[実施態様18]
前記HIC溶出物が、画分で収集される、実施態様1~16のいずれか一に記載の方法。
[実施態様19]
FkpAを含む画分が、プールされる、実施態様18に記載の方法。
[実施態様20]
少なくとも約25%のFkpAを含む画分が、プールされる、実施態様19に記載の方法。
[実施態様21]
前記サイズ排除クロマトグラフィー材料が、架橋アガロースとデキストランとの球状複合体を含む、実施態様1~20のいずれか一に記載の方法。
[実施態様22]
前記サイズ排除貫流物が、画分で収集される、実施態様1~21のいずれか一に記載の方法。
[実施態様23]
前記HIC溶出物が、サイズ排除クロマトグラフィー前に濃縮される、実施態様1~22のいずれか一に記載の方法。
[実施態様24]
前記HIC溶出物が、サイズ排除クロマトグラフィー前に約6倍~約10倍に濃縮される、実施態様23に記載の方法。
[実施態様25]
FkpAを含むサイズ排除画分が、プールされる、実施態様22~24のいずれか一に記載の方法。
[実施態様26]
前記FkpAポリペプチドが、Escherichia coli FkpAポリペプチドである、実施態様1~25のいずれか一に記載の方法。
[実施態様27]
前記FkpAポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含む、実施態様26に記載の方法。
[実施態様28]
前記FkpAポリペプチドのアミノ酸配列が、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%の同一性を含む、実施態様27に記載の方法。
[実施態様29]
前記FkpAが、細胞で発現される、実施態様1~28のいずれか一に記載の方法。
[実施態様30]
前記細胞が、原核生物細胞である、実施態様29に記載の方法。
[実施態様31]
前記細胞が、E.coli細胞である、実施態様29または30に記載の方法。
[実施態様32]
前記細胞が、FkpAの内因性発現を超えるレベルでFkpAを発現するように操作される、実施態様29~31のいずれか一に記載の方法。
[実施態様33]
前記細胞が、微小流動化剤を使用して溶解される、実施態様1~32のいずれか一に記載の方法。
[実施態様34]
実施態様1~33のいずれか一に記載の方法によって精製されたFkpAポリペプチドを含む組成物。
[実施態様35]
精製されたFkpAポリペプチドを含む組成物であって、少なくとも約98%の単量体FkpAポリペプチドを含む、前記組成物。
[実施態様36]
前記組成物が、約2%未満の低分子量種を含む、実施態様35に記載の組成物。
[実施態様37]
前記組成物が、約5%以下の高分子量種を含む、実施態様35または36に記載の組成物。
[実施態様38]
単量体FkpAポリペプチドの割合が、サイズ排除クロマトグラフィーによって検出される、実施態様35~37のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様39]
前記組成物が、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%未満の不純物を含む、実施態様38に記載の組成物。
[実施態様40]
前記不純物が、FkpAに対して高分子量及び/または低分子量のポリペプチド種である、実施態様39に記載の組成物。
[実施態様41]
前記不純物が、E.coliタンパク質(ECP)、FkpA凝集体、FkpA断片、核酸、または細胞培養培地成分のうちの1つ以上である、実施態様39または40に記載の組成物。
[実施態様42]
前記FkpAが、1回以上の凍結融解サイクルに対して安定している、実施態様34~41のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様43]
前記FkpAが、3回の凍結融解サイクルに対して安定している、実施態様42に記載の組成物。
[実施態様44]
前記組成物中の前記FkpAポリペプチドの純度が、クロマトグラフィー、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはウエスタンブロット分析のうちの1つ以上によって測定される、実施態様34~43のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様45]
前記組成物中の前記FkpAポリペプチドの純度が、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定される、実施態様34~44のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様46]
前記組成物中の前記FkpAポリペプチドの純度が、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定される、実施態様34~45のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様47]
前記組成物中の前記FkpAポリペプチドの純度が、蛍光画像化または銀染色を使用してSDSゲル電気泳動によって測定される、実施態様34~44のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様48]
前記組成物中の非FkpAポリペプチドの存在が、ウエスタンブロット分析により示される抗FkpA抗体と免疫反応しないゲル電気泳動によって特定される種の存在によって特定される、実施態様47に記載の組成物。
[実施態様49]
前記組成物中の前記FkpAポリペプチドの凝集体の存在が、ウエスタンブロット分析により、前記天然FkpAを超える分子量を有する種の存在によって特定される、実施態様48に記載の組成物。
[実施態様50]
FkpAに特異的に結合する抗体の生成方法であって、動物を、実施態様1~33のいずれか一に記載の方法によって精製されたFkpAを含む組成物に曝露または免疫化することを含む、前記方法。
[実施態様51]
FkpAに特異的に結合する抗体の生成方法であって、動物を実施態様34~49のいずれか一に記載の組成物に曝露または免疫化することを含む、前記方法。
[実施態様52]
前記動物から血清を収集することを更に含み、前記血清がFkpAに特異的に結合する抗体を含む、実施態様50または51に記載の方法。
[実施態様53]
前記血清が、FkpAに特異的に結合するポリクローナル抗体を含む、実施態様52に記載の方法。
[実施態様54]
1つ以上のモノクローナル抗体が、前記血清から単離される、実施態様52または53に記載の方法。
[実施態様55]
前記動物が、ヤギ、ウサギ、マウス、モルモット、ハムスター、ラット、ロバ、またはニワトリである、実施態様50~54のいずれか一に記載の方法。
[実施態様56]
FkpAに特異的に結合するポリクローナル抗体を含む組成物であって、前記ポリクローナル抗体が、動物を、実施態様1~33のいずれか一に記載の方法によって精製されたFkpAを含む組成物に免疫化することによって生成される、前記組成物。
[実施態様57]
FkpAに特異的に結合するポリクローナル抗体を含む組成物であって、前記ポリクローナル抗体が、動物を、実施態様34~49のいずれか一に記載の組成物に免疫化することによって生成される、前記組成物。
[実施態様58]
前記ポリクローナル抗体が、前記動物の血清から収集される、実施態様56または57に記載の組成物。
[実施態様59]
FkpAに特異的に結合するモノクローナル抗体を含む組成物であって、前記モノクローナル抗体が、動物を、実施態様1~33のいずれか一に記載の方法によって精製されたFkpAを含む組成物に免疫化することによって生成される、前記組成物。
[実施態様60]
FkpAに特異的に結合するモノクローナル抗体を含む組成物であって、前記モノクローナル抗体が、動物を、実施態様34~49のいずれか一に記載の組成物に免疫化することによって生成される、前記組成物。
[実施態様61]
前記動物が、ヤギ、ウサギ、マウス、モルモット、ハムスター、ラット、ロバ、またはニワトリである、実施態様56~60のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様62]
FkpAに特異的に結合する抗体の精製方法であって、抗FkpA抗体を含む、実施態様56~61のいずれか一に記載の組成物を、約60%の最終濃度の硫酸アンモニウムになるまで、硫酸アンモニウムと接触させることと、前記溶液を遠心分離することと、前記上清を除去することと、前記ペレットをリン酸緩衝液中に溶解することと、を含む、前記方法。
[実施態様63]
前記リン酸緩衝液が、約50mMのリン酸ナトリウム(約pH7.0)を含む、実施態様62に記載の方法。
[実施態様64]
FkpAに特異的に結合する抗体の精製方法であって、
a)抗FkpA抗体を含む、実施態様56~61のいずれか一に記載の組成物を、約60%の最終濃度の硫酸アンモニウムになるまで、硫酸アンモニウムと接触させることと、前記溶液を遠心分離することと、前記上清を除去することと、前記ペレットをリン酸緩衝液中に溶解して、抗FkpA抗体溶液を生成することと、
b)前記抗FkpA抗体溶液を親和性クロマトグラフィー材料に適用することと、
c)前記親和性材料から前記抗体を溶出させて、前記抗FkpA抗体を含む親和性溶出物を生成することと、
d)前記硫酸アンモニウム上清をサイズ排除クロマトグラフィーに供することと、e)前記サイズ排除クロマトグラフィーから、前記精製された抗体を含む画分を収集することと、を含む、前記方法。
[実施態様65]
前記リン酸緩衝液が、約50mMのリン酸ナトリウム(約pH7.0)を含む、実施態様64に記載の方法。
[実施態様66]
前記親和性クロマトグラフィー材料が、クロマトグラフィー培地に結合しているFkpAを含む、実施態様64または65に記載の方法。
[実施態様67]
前記クロマトグラフィー培地が、架橋デキストランである、実施態様66に記載の方法。
[実施態様68]
前記FkpAが、実施態様1~33のいずれか一に記載の方法によって精製される、実施態様66または67に記載の方法。
[実施態様69]
前記FkpAが、実施態様34~49のいずれか一に記載の組成物に由来する、実施態様66または67に記載の方法。
[実施態様70]
前記FkpAが、前記クロマトグラフィー培地に共有結合している、実施態様66~69のいずれか一に記載の方法。
[実施態様71]
前記FkpAが、グリセリル-制御孔ガラスカラム(グリセリル-CPG)を使用して前記クロマトグラフィー培地に結合している、実施態様66~70のいずれか一に記載の方法。
[実施態様72]
前記抗FkpA抗体が、前記親和性カラムから溶出される、実施態様64~71のいずれか一に記載の方法。
[実施態様73]
前記サイズ排除クロマトグラフィー材料が、架橋アガロースとデキストランとの球状複合体を含む、実施態様64~72のいずれか一に記載の方法。
[実施態様74]
架橋アガロースとデキストランとの前記球状複合体が、10,000ダルトン~600,000ダルトンの分子量を有する分子の分離範囲を有する、実施態様73に記載の方法。
[実施態様75]
前記サイズ排除貫流物が、画分で収集される、実施態様64~74のいずれか一に記載の方法。
[実施態様76]
抗FkpA抗体を含むサイズ排除画分が、プールされる、実施態様75に記載の方法。
[実施態様77]
前記抗体が、ポリクローナル抗体である、実施態様64~76のいずれか一に記載の方法。
[実施態様78]
前記抗体が、実施態様50~55のいずれか一に記載の方法に従って調製される、実施態様64~77のいずれか一に記載の方法。
[実施態様79]
前記抗体の約1%未満が、非FkpA化合物に特異的に結合する、実施態様64~78のいずれか一に記載の方法。
[実施態様80]
実施態様62~79のいずれか一に記載の方法によって精製された、単離された抗FkpA抗体。
[実施態様81]
試料中のFkpAの定量化方法であって、検出システムを使用して前記試料中のFkpAを検出することと、前記試料中で検出されたFkpAの量を1つ以上の濃度の超高純度FkpA参照標準物の検出と比較することと、を含む、前記方法。
[実施態様82]
前記超高純度FkpA参照標準物が、少なくとも約95%、約96%、約97%、または約98%の単量体FkpAポリペプチドを含む、実施態様81に記載の方法。
[実施態様83]
前記超高純度FkpA参照標準物が実施態様1~33のいずれか一に記載の方法によって調製され、実施態様34~49のいずれか一に記載のFkpA組成物を含む、実施態様81または82に記載の方法。
[実施態様84]
前記検出システムが、免疫アッセイである、実施態様81~83のいずれか一に記載の方法。
[実施態様85]
前記免疫アッセイが、超高純度FkpA参照標準物に特異的に結合する抗体を含む、実施態様84に記載の方法。
[実施態様86]
FkpAの存在及び/または分量についての組換えポリペプチド試料の分析方法であって、免疫アッセイを使用して前記試料中のFkpAを検出することと、前記試料中で検出されたFkpAの量を1つ以上の濃度の超高純度FkpA参照標準物の検出と比較することと、を含む、前記方法。
[実施態様87]
前記超高純度FkpA参照標準物が、少なくとも約98%の単量体FkpAポリペプチドを含む、実施態様86に記載の方法。
[実施態様88]
前記超高純度FkpA参照標準物が、実施態様1~33のいずれか一に記載の方法によって調製される、実施態様86または87に記載の方法。
[実施態様89]
前記免疫アッセイが、超高純度FkpAに特異的に結合する抗体を含む、実施態様84~88のいずれか一に記載の方法。
[実施態様90]
前記超高純度FkpAに特異的に結合する前記抗体が、ポリクローナル抗体である、実施態様89に記載の方法。
[実施態様91]
前記超高純度FkpAに特異的に結合する前記抗体が、前記免疫アッセイにおいて捕捉抗体として使用される、実施態様89または90に記載の方法。
[実施態様92]
超高純度FkpAに特異的に結合する前記抗体が、検出抗体として使用される、実施態様89~91のいずれか一に記載の方法。
[実施態様93]
前記検出抗体が、検出剤にコンジュゲートされる、実施態様92に記載の方法。
[実施態様94]
検出剤が、西洋ワサビペルオキシダーゼである、実施態様89~93のいずれか一に記載の方法。
[実施態様95]
FkpAに特異的に結合する前記抗体が、実施態様56~61のいずれか一に記載の組成物中に含まれるか、または実施態様50~55のいずれか一に記載の方法に従って調製される、実施態様89~94のいずれか一に記載の方法。
[実施態様96]
前記FkpAが、E.coli FkpAである、実施態様81~95のいずれか一に記載の方法。
[実施態様97]
前記試料が、宿主細胞内で調製される組換えポリペプチドを含む、実施態様81~96のいずれか一に記載の方法。
[実施態様98]
前記宿主細胞が、E.coli細胞である、実施態様97に記載の方法。
[実施態様99]
前記宿主細胞が、FkpAを過剰発現する、実施態様97または98に記載の方法。
[実施態様100]
前記試料が、細胞溶解物である、実施態様81~99のいずれか一に記載の方法。
[実施態様101]
前記試料が、組換えポリペプチド調製物から得られ、前記組換えポリペプチド調製物が、1つ以上のクロマトグラフィー精製ステップに供されている、実施態様81~100のいずれか一に記載の方法。
[実施態様102]
前記組換えポリペプチド調製物が、最終精製産物である、実施態様101に記載の方法。
[実施態様103]
前記組換えポリペプチド試料中に含有される前記組換えポリペプチドが、抗体またはイムノアドヘシンである、実施態様81~102のいずれか一に記載の方法。
[実施態様104]
前記抗体が、多重特異性抗体、二重特異性抗体、半抗体、または抗体断片である、実施態様103に記載の方法。
[実施態様105]
前記組換えポリペプチドが、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4である、実施態様103または104に記載の方法。
[実施態様106]
試料中のFkpAの検出のための免疫アッセイ方法であって、前記試料が、宿主細胞株に由来する組換えポリペプチド調製物から得られ、前記方法が、
(a)FkpAに結合する捕捉抗体を前記試料と接触させて、それにより試料-捕捉抗体組み合わせ材料を生成することと、
(b)FkpAに結合する検出抗体を前記試料-捕捉抗体組み合わせ材料と接触させることと、
(c)前記試料-捕捉抗体組み合わせ材料に結合している前記抗体を検出することと、を含む、前記方法。
[実施態様107]
標準滴定曲線を使用して結合している前記検出抗体のレベルを定量化することを更に含む、実施態様106に記載の方法。
[実施態様108]
結合している前記検出抗体のレベルに基づいて、前記試料中に存在するFkpAの量を計算することを更に含む、実施態様107に記載の方法。
[実施態様109]
前記試料中に存在するFkpAの前記量が、前記標準滴定曲線を超高純度FkpA組成物で生成された標準滴定曲線と比較することによって決定される、実施態様108に記載の方法。
[実施態様110]
前記超高純度FkpA組成物が、少なくとも約98%の単量体FkpAポリペプチドを含む、実施態様109に記載の方法。
[実施態様111]
前記組成物中の前記超高純度FkpAが、実施態様1~33のいずれか一に記載の方法によって調製される、実施態様109または110に記載の方法。
[実施態様112]
前記捕捉抗体が、前記超高純度FkpAに特異的に結合する、実施態様106~111のいずれか一に記載の方法。
[実施態様113]
前記検出抗体が、前記超高純度FkpAに特異的に結合する、実施態様106~112のいずれか一に記載の方法。
[実施態様114]
前記超高純度FkpAに特異的に結合する前記抗体が、ポリクローナル抗体である、実施態様112または113に記載の方法。
[実施態様115]
FkpAに結合する前記第2の検出抗体が西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲートされる、実施態様106~114のいずれか一に記載の方法。
[実施態様116]
前記ポリクローナル抗体が、実施態様50~55のいずれか一に記載の方法に従って生成される、実施態様106~115のいずれか一に記載の方法。
[実施態様117]
前記免疫アッセイが、サンドイッチアッセイである、実施態様106~116のいずれか一に記載の方法。
[実施態様118]
前記サンドイッチアッセイが、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)である、実施態様117に記載の方法。
[実施態様119]
前記FkpAが、E.coli FkpAである、実施態様106~118のいずれか一に記載の方法。
[実施態様120]
前記宿主細胞株に由来する前記組換えポリペプチド調製物が、E.coliから得られる、実施態様106~119のいずれか一に記載の方法。
[実施態様121]
前記宿主細胞株が、外因性FkpAを過剰発現する、実施態様120に記載の方法。
[実施態様122]
前記試料が、細胞溶解物である、実施態様106~121のいずれか一に記載の方法。
[実施態様123]
前記試料が、前記組換えポリペプチド調製物から得られ、前記組換えポリペプチド調製物が、1つ以上のクロマトグラフィー精製ステップに供されている、実施態様106~122のいずれか一に記載の方法。
[実施態様124]
前記組換えポリペプチド調製物が、最終精製産物である、実施態様123に記載の方法。
[実施態様125]
前記組換えポリペプチド調製物中に含有される前記組換えポリペプチドが、抗体またはイムノアドヘシンである、実施態様106~124のいずれか一に記載の方法。
[実施態様126]
前記抗体が、多重特異性抗体、二重特異性抗体、半抗体、または抗体断片である、実施態様125に記載の方法。
[実施態様127]
前記組換えポリペプチドが、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4である、実施態様125または126に記載の方法。
[実施態様128]
前記組換えポリペプチドが、IL13に結合する第1の結合ドメイン、及びIL17に結合する第2の結合ドメインを含む二重特異性抗体である、実施態様125に記載の方法。
[実施態様129]
前記IL13が、配列番号4または配列番号5のアミノ酸配列を含む、実施態様128に記載の方法。
[実施態様130]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、実施態様128または129に記載の方法。
[実施態様131]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号10のアミノ酸配列を含むVH配列、及び配列番号11のアミノ酸配列を含むVL配列を含む、実施態様128~130のいずれか一に記載の方法。
[実施態様132]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様128~131のいずれか一に記載の方法。
[実施態様133]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様128~132のいずれか一に記載の方法。
[実施態様134]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施態様128~133のいずれか一に記載の方法。
[実施態様135]
前記IL17が、ヒトIL17である、実施態様128~134のいずれか一に記載の方法。
[実施態様136]
第2の結合ドメインが、ヒトIL17AA、IL17FF、及びIL17AFに結合する、実施態様128~135のいずれか一に記載の方法。
[実施態様137]
前記IL17Aが、配列番号6または配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記IL17Fが、配列番号8または配列番号9のアミノ酸配列を含む、実施態様128~136のいずれか一に記載の方法。
[実施態様138]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、実施態様128~137のいずれか一に記載の方法。
[実施態様139]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号21のアミノ酸配列を含むVH配列、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むVL配列を含む、実施態様128~138のいずれか一に記載の方法。
[実施態様140]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様128~139のいずれか一に記載の方法。
[実施態様141]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様128~140のいずれか一に記載の方法。
[実施態様142]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施態様128~141のいずれか一に記載の方法。
[実施態様143]
細菌細胞から調製された組換えポリペプチドを含む薬学的組成物の品質アッセイであって、前記薬学的組成物の試料を実施態様106~142のいずれか一に記載の免疫アッセイ方法に供して、前記薬学的組成物中のFkpAの存在または量を検出することを含む、前記品質アッセイ。
[実施態様144]
約30ppm、約25ppm、約20ppm、約15ppm、約14ppm、約13ppm、約12ppm、約11ppm、約10ppm、約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、または約0.1ppm以下の前記薬学的組成物中のFkpAの量である、実施態様143に記載の品質アッセイ。
[実施態様145]
前記細菌細胞が、E.coli細胞である、実施態様143または144に記載の品質アッセイ。
[実施態様146]
前記細菌細胞が、外因性FkpAを過剰発現する、実施態様143~145のいずれか一に記載の品質アッセイ。
[実施態様147]
前記試料が、細胞溶解物である、実施態様143~146のいずれか一に記載の品質アッセイ。
[実施態様148]
前記試料が、前記組換えポリペプチド調製物から得られ、前記組換えポリペプチド調製物が、1つ以上のクロマトグラフィー精製ステップに供されている、実施態様143~147のいずれか一に記載の品質アッセイ。
[実施態様149]
前記組換えポリペプチド調製物が、最終精製産物である、実施態様148に記載の品質アッセイ。
[実施態様150]
前記組換えポリペプチドが、抗体またはイムノアドヘシンである、実施態様143~149のいずれか一に記載の品質アッセイ。
[実施態様151]
前記抗体が、多重特異性抗体、二重特異性抗体、半抗体、または抗体断片である、実施態様150に記載の品質アッセイ。
[実施態様152]
前記組換えポリペプチドが、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4である、実施態様151に記載の品質アッセイ。
[実施態様153]
前記組換えポリペプチドが、IL13に結合する第1の結合ドメイン、及びIL17に結合する第2の結合ドメインを含む二重特異性抗体である、実施態様151に記載の品質アッセイ。
[実施態様154]
前記IL13が、配列番号4または配列番号5のアミノ酸配列を含む、実施態様153に記載の品質アッセイ。
[実施態様155]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、実施態様153または154に記載の品質アッセイ。
[実施態様156]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号10のアミノ酸配列を含むVH配列、及び配列番号11のアミノ酸配列を含むVL配列を含む、実施態様153~155のいずれか一に記載の品質アッセイ。
[実施態様157]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様153~156のいずれか一に記載の品質アッセイ。
[実施態様158]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様153~157のいずれか一に記載の品質アッセイ。
[実施態様159]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施態様153~158のいずれか一に記載の品質アッセイ。
[実施態様160]
前記IL17が、ヒトIL17である、実施態様153~159のいずれか一に記載の品質アッセイ。
[実施態様161]
第2の結合ドメインが、ヒトIL17AA、IL17FF、及びIL17AFに結合する、実施態様153~159のいずれか一に記載の品質アッセイ。
[実施態様162]
前記IL17Aが、配列番号6または配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記IL17Fが、配列番号8または配列番号9のアミノ酸配列を含む、実施態様153~161のいずれか一に記載の品質アッセイ。
[実施態様163]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、実施態様153~162のいずれか一に記載の品質アッセイ。
[実施態様164]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号21のアミノ酸配列を含むVH配列、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むVL配列を含む、実施態様153~163のいずれか一に記載の品質アッセイ。
[実施態様165]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様153~164のいずれか一に記載の品質アッセイ。
[実施態様166]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様153~165のいずれか一に記載の品質アッセイ。
[実施態様167]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施態様153~166のいずれか一に記載の品質アッセイ。
[実施態様168]
前記薬学的組成物中のDsbA及び/またはDsbCの量を検出するステップを更に含む、実施態様153~167のいずれか一に記載の品質アッセイ。
[実施態様169]
DsbAの量が、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、または約0.1ppm以下である、実施態様168に記載の品質アッセイ。
[実施態様170]
DsbCの量が、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、または約0.1ppm以下である、実施態様168または169に記載の品質アッセイ。
[実施態様171]
DsbA及び/またはDsbCの量が、免疫アッセイによって測定される、実施態様168~170のいずれか一に記載の品質アッセイ。
[実施態様172]
細菌細胞から調製された組換えポリペプチドを含む薬学的組成物中のFkpAの検出のためのキットであって、実施態様50~55のいずれか一に記載の方法によって調製された抗FkpA抗体、または実施態様56~61のいずれか一に記載の抗FkpA抗体の組成物を含む、前記キット。
[実施態様173]
前記キットが、試料中のFkpAを定量するための標準曲線を生成する際の参照標準物として使用するための、かつ/または陽性対照として使用するための超高純度FkpAを更に含む、実施態様172に記載のキット。
[実施態様174]
前記超高純度FkpAが、実施態様1~33のいずれか一に記載の方法に従って調製される、実施態様172に記載のキット。
[実施態様175]
組換えポリペプチドを含む組成物であって、前記組換えポリペプチドが、内因性FkpAを発現する宿主細胞内で産生され、前記組成物が、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、または約0.1ppm以下の濃度のFkpAを含む、前記組成物。
[実施態様176]
前記組成物中のFkpAの量が、免疫アッセイによって決定される、実施態様175に記載の組成物。
[実施態様177]
前記組成物中のFkpAの量が、実施態様106~124のいずれか一に記載の免疫アッセイによって決定される、実施態様175に記載の組成物。
[実施態様178]
組換えポリペプチドを含む組成物であって、前記組換えポリペプチドが、外因性FkpAを発現するように操作されている宿主細胞内で産生され、前記組成物が、約15ppm、約14ppm、約13ppm、約12ppm、約11ppm、約10ppm、約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、または約0.1ppm以下の濃度のFkpAを含む、前記組成物。
[実施態様179]
前記組換えポリペプチドが、抗体である、実施態様175~178のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様180]
前記抗体が、二重特異性抗体である、実施態様179に記載の抗体。
[実施態様181]
前記組成物が、少なくとも約0.2ppmのFkpAを含む、実施態様175~180のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様182]
前記宿主細胞が、外因性FkpAを発現し、前記組成物が、約13ppm以下を含む、実施態様175~181のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様183]
前記宿主細胞が、外因性FkpAを発現し、前記組成物が、約0.7ppm以下を含む、実施態様175~182のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様184]
前記宿主細胞が、外因性FkpAを発現し、前記組成物が、約6ppm以下を含む、実施態様175~183のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様185]
前記組換えポリペプチドが、二重特異性抗体であり、前記二重特異性抗体が、IL13に結合する第1の結合ドメイン、及びIL17に結合する第2の結合ドメインを含む、実施態様175~184のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様186]
前記IL13が、配列番号4または配列番号5のアミノ酸配列を含む、実施態様185に記載の組成物。
[実施態様187]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、実施態様185または186に記載の組成物。
[実施態様188]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号10のアミノ酸配列を含むVH配列、及び配列番号11のアミノ酸配列を含むVL配列を含む、実施態様185~187のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様189]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様185~188のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様190]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様185~189のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様191]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施態様185~190のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様192]
前記IL17が、ヒトIL17である、実施態様185~191のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様193]
前記第2の結合ドメインが、ヒトIL17AA、IL17FF、及びIL17AFに結合する、実施態様185~192のいずれか一に記載の方法。
[実施態様194]
前記IL17Aが、配列番号6または配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記IL17Fが、配列番号8または配列番号9のアミノ酸配列を含む、実施態様193に記載の組成物。
[実施態様195]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、実施態様185~194のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様196]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号21のアミノ酸配列を含むVH配列、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むVL配列を含む、実施態様185~195のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様197]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様185~196のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様198]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様185~196のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様199]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施態様185~198のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様200]
前記組成物が、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、または約0.1ppm以下の濃度のDsbAを含む、実施態様185~199のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様201]
前記組成物中のDsbAの濃度が、免疫アッセイによって決定される、実施態様200に記載の組成物。
[実施態様202]
前記組成物が、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、または約0.1ppm以下の濃度のDsbCを含む、実施態様185~201のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様203]
前記組成物中のDsbCの濃度が、免疫アッセイによって決定される、実施態様202に記載の組成物。
[実施態様204]
二重特異性抗体を含む組成物であって、前記組換えポリペプチドが、
a)宿主細胞に、
i)第1の重鎖及び第1の軽鎖をコードする核酸であって、前記第1の重鎖及び前記第1の軽鎖が、第1の抗原結合ドメインを形成する、核酸と、
ii)第2の重鎖及び第2の軽鎖をコードする核酸であって、前記第2の重鎖及び前記第2の軽鎖が、第1の抗原結合ドメインを形成する、核酸と、
iii)FkpAポリペプチドをコードする核酸と、を導入することであって、
前記第1の重鎖及び前記第2の重鎖が、Fcドメインを形成する、導入することと、
b)前記抗体を精製することと、
を含む方法によって産生され、前記組成物が、約5ppm未満のFkpAを含む、前記組成物。
[実施態様205]
前記組成物が、約1ppm未満のFkpAを含む、実施態様204に記載の組成物。
[実施態様206]
前記宿主細胞が、原核生物宿主細胞である、実施態様175~205のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様207]
前記宿主細胞が、グラム陰性菌である、実施態様206に記載の組成物。
[実施態様208]
前記グラム陰性菌が、E.coliである、実施態様207に記載の方法。
[実施態様209]
前記FkpAが、E.coli FkpAである、実施態様175~208のいずれか一に記載の方法。
[実施態様210]
前記二重特異性抗体が、精製される、実施態様175~209のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様211]
前記二重特異性抗体が、IL13に結合する第1の結合ドメインを含む、実施態様175~210のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様212]
前記二重特異性抗体が、IL17に結合する第2の結合ドメインを含む、実施態様175~211のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様213]
前記IL13が、配列番号4または配列番号5のアミノ酸配列を含む、実施態様211または212に記載の組成物。
[実施態様214]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、実施態様211~213のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様215]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号10のアミノ酸配列を含むVH配列、及び配列番号11のアミノ酸配列を含むVL配列を含む、実施態様211のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様216]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様211~215のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様217]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様211~215のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様218]
前記二重特異性抗体の前記第1の結合ドメインが、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施態様211~217のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様219]
前記IL17が、ヒトIL17である、実施態様211~218のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様220]
前記第2の結合ドメインが、ヒトIL17AA、IL17FF、及びIL17AFに結合する、実施態様211~219のいずれか一に記載の方法。
[実施態様221]
前記IL17Aが、配列番号6または配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記IL17Fが、配列番号8または配列番号9のアミノ酸配列を含む、実施態様220に記載の組成物。
[実施態様222]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、実施態様219~221のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様223]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号21のアミノ酸配列を含むVH配列、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むVL配列を含む、実施態様219~222のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様224]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様219~223のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様225]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様219~223のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様226]
前記二重特異性抗体の前記第2の結合ドメインが、配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施態様219~225のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様227]
前記組成物が、約15ppm以下のDsbAを含む、実施態様175~226のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様228]
前記組成物が、約5ppm以下のDsbAを含む、実施態様175~227のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様229]
前記組成物が、約15ppm以下のDsbCを含む、実施態様175~228のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様230]
前記組成物が、約5ppm以下のDsbCを含む、実施態様175~229のいずれか一に記載の組成物。
[実施態様231]
ポリペプチド及び1つ以上の不純物を含む組成物からの前記ポリペプチドの精製方法であって、
a)前記組成物を親和性クロマトグラフィーに供して、親和性溶出物を産生することと、
b)前記親和性溶出物を混合モードクロマトグラフィーに供して、混合モード溶出物を生成することと、
c)前記混合モード溶出物を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供し、前記ポリペプチドを含む画分を収集することと、
前記組成物からの産物特異的不純物の量を低減する、前記方法。
[実施態様232]
多重特異性抗体及び1つ以上の不純物を含む組成物からの前記多重特異性抗体の精製方法であって、前記多重特異性抗体が、複数のアームを含み、各アームが、VH/VL単位を含み、前記方法が、逐次的に、
a)前記組成物をタンパク質Aクロマトグラフィーに供して、タンパク質A溶出物を産生するステップと、
b)前記タンパク質A溶出物を混合モードクロマトグラフィーに供して、混合モード溶出物を生成するステップと、
c)前記混合モード溶出物を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供し、前記多重特異性抗体を含む画分を収集するステップと、を含み、
前記組成物からの産物特異的不純物の量を低減する、前記方法。
[実施態様233]
前記混合モードクロマトグラフィーが、混合モード陰イオン交換クロマトグラフィーである、実施態様231または232に記載の方法。
[実施態様234]
前記親和性クロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様231に記載の方法。
[実施態様235]
前記タンパク質Aクロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様232または233に記載の方法。
[実施態様236]
前記混合モードクロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様231~235のいずれか一に記載の方法。
[実施態様237]
前記HICが、貫流モードで行われる、実施態様231~236のいずれか一に記載の方法。
[実施態様238]
多重特異性抗体及び1つ以上の不純物を含む組成物からの前記多重特異性抗体の精製方法であって、前記多重特異性抗体が、複数のアームを含み、各アームが、VH/VL単位を含み、前記多重特異性抗体の各アームが、別個に産生され、前記方法が、逐次的に、
a)前記多重特異性抗体の各アームをタンパク質Aクロマトグラフィーに供して、前記多重特異性抗体の各アームのタンパク質A溶出物を産生するステップと、
b)前記多重特異性抗体を含む組成物を産生するのに十分な条件下で、前記多重特異性抗体の各アームのタンパク質A溶出物を含む混合物を形成するステップと、
c)前記多重特異性抗体を含む前記組成物を混合モードクロマトグラフィーに供して、混合モード溶出物を生成するステップと、
d)前記混合モード溶出物を疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)に供し、前記多重特異性抗体を含む画分を収集するステップと、を含み、
前記組成物からの産物特異的不純物の量を低減する、前記方法。
[実施態様239]
前記混合モードクロマトグラフィーが、混合モード陰イオン交換クロマトグラフィーである、実施態様238に記載の方法。
[実施態様240]
前記タンパク質Aクロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様238または239に記載の方法。
[実施態様241]
前記混合モードクロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様238~240のいずれか一に記載の方法。
[実施態様242]
前記疎水性相互作用クロマトグラフィーが、貫流モードで行われる、実施態様238~241のいずれか一に記載の方法。
[実施態様243]
前記混合モード溶出物が、疎水性相互作用クロマトグラフィー前に陰イオン交換クロマトグラフィーに供される、実施態様231~242のいずれか一に記載の方法。
[実施態様244]
前記陰イオン交換クロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様243に記載の方法。
[実施態様245]
前記ポリペプチドまたは多重特異性抗体を含む前記疎水性相互作用クロマトグラフィー画分を陽イオン交換クロマトグラフィーに供し、前記ポリペプチドまたは多重特異性抗体を含む画分を収集するステップを更に含む、実施態様231~244のいずれか一に記載の方法。
[実施態様246]
前記陽イオン交換クロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様245に記載の方法。
[実施態様247]
ポリペプチド及び1つ以上の不純物を含む組成物からの前記ポリペプチドの精製方法であって、
a)前記組成物を親和性クロマトグラフィーに供して、親和性溶出物を産生することと、
b)前記親和性溶出物を混合モードクロマトグラフィーに供して、混合モード溶出物を生成することと、
c)前記混合モード溶出物を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、陰イオン交換溶出物を生成することと、
d)前記陰イオン交換溶出物を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供し、前記ポリペプチドを含む画分を収集することと、
前記組成物からの産物特異的不純物の量を低減する、前記方法。
[実施態様248]
多重特異性抗体及び1つ以上の不純物を含む組成物からの前記多重特異性抗体の精製方法であって、前記多重特異性抗体が、複数のアームを含み、各アームが、VH/VL単位を含み、前記方法が、逐次的に、
a)前記組成物をタンパク質Aクロマトグラフィーに供して、タンパク質A溶出物を産生するステップと、
b)前記タンパク質A溶出物を混合モードクロマトグラフィーに供して、混合モード溶出物を生成するステップと、
c)前記混合モード溶出物を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、陰イオン交換溶出物を生成するステップと、
d)前記陰イオン交換溶出物を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供し、前記多重特異性抗体を含む画分を収集するステップと、を含み、
前記組成物からの産物特異的不純物の量を低減する、前記方法。
[実施態様249]
多重特異性抗体及び1つ以上の不純物を含む組成物からの前記多重特異性抗体の精製方法であって、前記多重特異性抗体が、複数のアームを含み、各アームが、VH/VL単位を含み、前記多重特異性抗体の各アームが、別個に産生され、前記方法が、逐次的に、
a)前記多重特異性抗体の各アームをタンパク質Aクロマトグラフィーに供して、前記多重特異性抗体の各アームのタンパク質A溶出物を産生するステップと、
b)前記多重特異性抗体を含む組成物を産生するのに十分な条件下で、前記多重特異性抗体の各アームのタンパク質A溶出物を含む混合物を形成するステップと、
c)前記多重特異性抗体を含む前記組成物を混合モードクロマトグラフィーに供して、混合モード溶出物を生成するステップと、
d)前記混合モード溶出物を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、陰イオン交換溶出物を生成するステップと、
e)前記陰イオン交換溶出物を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供し、前記多重特異性抗体を含む画分を収集し、前記多重特異性抗体を含む画分を収集するステップと、を含み、
前記組成物からの産物特異的不純物の量を低減する、前記方法。
[実施態様250]
前記混合モードクロマトグラフィーが、混合モード陰イオン交換クロマトグラフィーである、実施態様247~249のいずれか一に記載の方法。
[実施態様251]
前記親和性クロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様247に記載の方法。
[実施態様252]
前記タンパク質Aクロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様248~250のいずれか一に記載の方法。
[実施態様253]
前記混合モードクロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様247~252のいずれか一に記載の方法。
[実施態様254]
前記陰イオン交換クロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様247~253のいずれか一に記載の方法。
[実施態様255]
前記疎水性相互作用クロマトグラフィーが、貫流モードで行われる、実施態様247~254のいずれか一に記載の方法。
[実施態様256]
前記ポリペプチドまたは多重特異性抗体を含む前記疎水性相互作用クロマトグラフィー画分を陽イオン交換クロマトグラフィーに供するステップを更に含む、実施態様247~255のいずれか一に記載の方法。
[実施態様257]
前記陽イオン交換クロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様247~256のいずれか一に記載の方法。
[実施態様258]
ポリペプチド及び1つ以上の不純物を含む組成物からの前記ポリペプチドの精製方法であって、
a)前記組成物を親和性クロマトグラフィーに供して、親和性溶出物を産生することと、
b)前記親和性溶出物を混合モードクロマトグラフィーに供して、混合モード溶出物を生成することと、
c)前記混合モード溶出物を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、陰イオン交換溶出物を生成することと、
d)前記陰イオン交換溶出物を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供し、前記ポリペプチドを含む画分を収集することと、
e)前記疎水性相互作用溶出物を陽イオン交換クロマトグラフィーに供し、前記ポリペプチドを含む画分を収集することと、
前記組成物からの産物特異的不純物の量を低減する、前記方法。
[実施態様259]
多重特異性抗体及び1つ以上の不純物を含む組成物からの前記多重特異性抗体の精製方法であって、前記多重特異性抗体が、複数のアームを含み、各アームが、VH/VL単位を含み、前記方法が、逐次的に、
a)前記組成物をタンパク質Aクロマトグラフィーに供して、タンパク質A溶出物を産生するステップと、
b)前記タンパク質A溶出物を混合モードクロマトグラフィーに供して、混合モード溶出物を生成するステップと、
c)前記混合モード溶出物を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、陰イオン交換溶出物を生成するステップと、
d)前記陰イオン交換溶出物を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供し、前記多重特異性抗体を含む画分を収集するステップと、
e)前記疎水性相互作用溶出物を陽イオン交換クロマトグラフィーに供し、前記ポリペプチドを含む画分を収集するステップと、を含み、
前記組成物からの産物特異的不純物の量を低減する、前記方法。
[実施態様260]
多重特異性抗体及び1つ以上の不純物を含む組成物からの前記多重特異性抗体の精製方法であって、前記多重特異性抗体が、複数のアームを含み、各アームが、VH/VL単位を含み、前記多重特異性抗体の各アームが、別個に産生され、前記方法が、逐次的に、
a)前記多重特異性抗体の各アームをタンパク質Aクロマトグラフィーに供して、前記多重特異性抗体の各アームのタンパク質A溶出物を産生するステップと、
b)前記多重特異性抗体を含む組成物を産生するのに十分な条件下で、前記多重特異性抗体の各アームのタンパク質A溶出物を含む混合物を形成するステップと、
c)前記多重特異性抗体を含む前記組成物を混合モードクロマトグラフィーに供して、混合モード溶出物を生成するステップと、
d)前記混合モード溶出物を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、陰イオン交換溶出物を生成するステップと、
e)前記陰イオン交換溶出物を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供し、前記多重特異性抗体を含む画分を収集し、前記多重特異性抗体を含む画分を収集するステップと、
f)前記疎水性相互作用溶出物を陽イオン交換クロマトグラフィーに供し、前記ポリペプチドを含む画分を収集するステップと、を含み、
前記組成物からの産物特異的不純物の量を低減する、前記方法。
[実施態様261]
前記混合モードクロマトグラフィーが、混合モード陰イオン交換クロマトグラフィーである、実施態様258~260のいずれか一に記載の方法。
[実施態様262]
前記親和性クロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様258に記載の方法。
[実施態様263]
前記タンパク質Aクロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様259~261のいずれか一に記載の方法。
[実施態様264]
前記混合モードクロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様258~263のいずれか一に記載の方法。
[実施態様265]
前記陰イオン交換クロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様258~264のいずれか一に記載の方法。
[実施態様266]
前記疎水性相互作用クロマトグラフィーが、貫流モードで行われる、実施態様258~265のいずれか一に記載の方法。
[実施態様267]
前記陽イオン交換クロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様258~266のいずれか一に記載の方法。
[実施態様268]
ポリペプチド及び1つ以上の不純物を含む組成物からの前記ポリペプチドの精製方法であって、逐次的に、
a)前記組成物を親和性クロマトグラフィーに供して、親和性溶出物を産生するステップと、
b)前記親和性溶出物を混合モードクロマトグラフィーに供して、混合モード溶出物を生成するステップと、
c)前記混合モード溶出物を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、陰イオン交換溶出物を生成するステップと、
d)前記陰イオン交換溶出物をヒドロキシアパパタイト(hydroxyapapatite)クロマトグラフィーに供し、前記ポリペプチドを含む画分を収集するステップと、を含み、
前記組成物からの産物特異的不純物の量を低減する、前記方法。
[実施態様269]
多重特異性抗体及び1つ以上の不純物を含む組成物からの前記多重特異性抗体の精製方法であって、前記多重特異性抗体が、複数のアームを含み、各アームが、VH/VL単位を含み、前記方法が、逐次的に、
a)前記組成物をタンパク質Aクロマトグラフィーに供して、タンパク質A溶出物を産生するステップと、
b)前記タンパク質A溶出物を混合モードクロマトグラフィーに供して、混合モード溶出物を生成するステップと、
c)前記混合モード溶出物を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、陰イオン交換溶出物を生成するステップと、
d)前記陰イオン交換溶出物をヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーに供し、前記多重特異性抗体を含む画分を収集するステップと、を含み、
前記組成物からの産物特異的不純物の量を低減する、前記方法。
[実施態様270]
多重特異性抗体及び1つ以上の不純物を含む組成物からの前記多重特異性抗体の精製方法であって、前記多重特異性抗体が、複数のアームを含み、各アームが、VH/VL単位を含み、前記多重特異性抗体の各アームが、別個に産生され、前記方法が、逐次的に、
a)前記多重特異性抗体の各アームをタンパク質Aクロマトグラフィーに供して、前記多重特異性抗体の各アームのタンパク質A溶出物を産生するステップと、
b)前記多重特異性抗体を含む組成物を産生するのに十分な条件下で、前記多重特異性抗体の各アームのタンパク質A溶出物を含む混合物を形成するステップと、
c)前記多重特異性抗体を含む前記組成物を混合モードクロマトグラフィーに供して、混合モード溶出物を生成するステップと、
d)前記混合モード溶出物を陰イオン交換クロマトグラフィーに供して、陰イオン交換溶出物を生成するステップと、
e)前記陰イオン交換溶出物をヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーに供し、前記多重特異性抗体を含む画分を収集し、前記多重特異性抗体を含む画分を収集するステップと、を含み、
前記組成物からの産物特異的不純物の量を低減する、前記方法。
[実施態様271]
前記混合モードクロマトグラフィーが、混合モード陰イオン交換クロマトグラフィーである、実施態様268~270のいずれか一に記載の方法。
[実施態様272]
前記親和性クロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様271に記載の方法。
[実施態様273]
前記タンパク質Aクロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様269~272のいずれか一に記載の方法。
[実施態様274]
前記混合モードクロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様268~273のいずれか一に記載の方法。
[実施態様275]
前記陰イオン交換クロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで行われる、実施態様268~274のいずれか一に記載の方法。
[実施態様276]
前記ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーが、貫流モードで行われる、実施態様268~275のいずれか一に記載の方法。
[実施態様277]
前記ポリペプチドまたは多重特異性抗体を含む前記ヒドロキシアパタイト相互作用クロマトグラフィー画分を限外濾過に供するステップを更に含む、実施態様231~245または256~267のいずれか一に記載の方法。
[実施態様278]
前記ポリペプチドまたは多重特異性抗体を含む前記陽イオン交換画分を限外濾過に供するステップを更に含む、実施態様245~246または256~267のいずれか一に記載の方法。
[実施態様279]
前記ポリペプチドまたは多重特異性抗体を含む前記ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー画分を限外濾過に供するステップを更に含む、実施態様267~276のいずれか一に記載の方法。
[実施態様280]
前記限外濾過が、第1の限外濾過、透析濾過、及び第2の限外濾過を逐次的に含む、実施態様277~279のいずれか一に記載の方法。
[実施態様281]
前記タンパク質Aクロマトグラフィーが、アガロースに結合しているタンパク質Aを含む、実施態様232~233、235~246、248~250、252~257、259~261、263~270、または269~276のいずれか一に記載の方法。
[実施態様282]
前記タンパク質Aクロマトグラフィーが、MAbSelect(商標)、MAbSelect(商標)SuRe、及びMAbSelect(商標)SuRe LX、Prosep-VA、Prosep-VA Ultra Plus、Protein A Sepharose(登録商標)fast flow、またはTyopearl Protein Aクロマトグラフィーである、実施態様281に記載の方法。
[実施態様283]
前記タンパク質Aクロマトグラフィーが、タンパク質A平衡化緩衝液、タンパク質A装填緩衝液、またはタンパク質A洗浄緩衝液のうちの1つ以上を使用し、前記平衡化緩衝液、装填緩衝液、及び/または洗浄緩衝液が、約pH7~約pH8である、実施態様281または282に記載の方法。
[実施態様284]
前記タンパク質A平衡化緩衝液が、約pH7.7である、実施態様283に記載の方法。
[実施態様285]
前記タンパク質A平衡化緩衝液が、約25mMのTris及び約25mMのNaClを含む、実施態様283または284に記載の方法。
[実施態様286]
前記タンパク質Aクロマトグラフィーが、装填後に平衡化緩衝液で洗浄される、実施態様283~285のいずれか一に記載の方法。
[実施態様287]
第2の洗浄及び第3の洗浄を更に含み、前記第2の洗浄が、1Mのアルギニンであり、前記第3の洗浄が、平衡化緩衝液である、実施態様286に記載の方法。
[実施態様288]
前記多重特異性抗体が、pH勾配によって前記タンパク質Aクロマトグラフィーから溶出される、実施態様283~287のいずれか一に記載の方法。
[実施態様289]
前記多重特異性抗体が、低pHを有するタンパク質A溶出緩衝液を前記タンパク質Aクロマトグラフィーに適用することによって、タンパク質Aから溶出される、実施態様283~288のいずれか一に記載の方法。
[実施態様290]
前記タンパク質A溶出緩衝液が、約150mMの酢酸(約pH2.8または約pH2.9)を含む、実施態様289に記載の方法。
[実施態様291]
前記タンパク質A溶出物が、プールされ、前記溶出物のOD
280
が、約0.5を超える、実施態様283~290のいずれか一に記載の方法。
[実施態様292]
前記混合モードクロマトグラフィーが、四級アミン及び疎水性部分を含む、実施態様231~291のいずれか一に記載の方法。
[実施態様293]
前記混合モードクロマトグラフィーが、四級アミン及び高架橋アガロースに結合している疎水性部分を含む、実施態様231~292のいずれか一に記載の方法。
[実施態様294]
前記混合モードクロマトグラフィーが、N-ベンジル-n-メチルエタノールアミンを含む、実施態様231~293のいずれか一に記載の方法。
[実施態様295]
前記混合モードクロマトグラフィーが、Capto(商標)adhereクロマトグラフィーである、実施態様294に記載の方法。
[実施態様296]
前記混合モードクロマトグラフィーが、混合モード事前平衡化緩衝液、混合モード平衡化緩衝液、混合モード装填緩衝液、または混合モード洗浄緩衝液のうちの1つ以上を使用し、前記混合モード事前平衡化緩衝液、前記混合モード平衡化緩衝液、及び/または混合モード洗浄緩衝液が、約pH6~約pH7である、実施態様231~295のいずれか一に記載の方法。
[実施態様297]
前記混合モード事前平衡化緩衝液、前記混合モード平衡化緩衝液、及び/または混合モード洗浄緩衝液が、約pH6.5である、実施態様296に記載の方法。
[実施態様298]
前記混合モード事前平衡化緩衝液が、約200mMの酢酸塩または約500mMの酢酸塩を含む、実施態様296または297に記載の方法。
[実施態様299]
前記混合モード平衡化緩衝液が、約50mMの酢酸塩を含む、実施態様296~298のいずれか一に記載の方法。
[実施態様300]
前記混合モードクロマトグラフィーが、装填後に洗浄緩衝液で洗浄される、実施態様296~299のいずれか一に記載の方法。
[実施態様301]
前記洗浄緩衝液が、約50mMの酢酸塩(約pH6.5)または約200mMの酢酸塩(約pH6.5)である、実施態様300に記載の方法。
[実施態様302]
前記ポリペプチドまたは多重特異性抗体が、pH勾配によって前記混合モードクロマトグラフィーから溶出される、実施態様231~301のいずれか一に記載の方法。
[実施態様303]
前記ポリペプチドまたは多重特異性抗体が、低pHを有する混合モード溶出緩衝液を前記混合モード陰イオン交換クロマトグラフィーに適用することによって、前記混合モードクロマトグラフィーから溶出される、実施態様231~302のいずれか一に記載の方法。
[実施態様304]
前記混合モード溶出緩衝液が、約25mMの酢酸塩(約pH5.2または約pH5.0)を含む、実施態様303に記載の方法。
[実施態様305]
前記混合モード溶出物が、プールされ、前記溶出物のOD
280
が、約0.5超~約1.0である、実施態様231~304のいずれか一に記載の方法。
[実施態様306]
前記疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)が、疎水性部分を含む、実施態様231~267のいずれか一に記載の方法。
[実施態様307]
前記疎水性相互作用クロマトグラフィーが、フェニル部分を含む、実施態様306に記載の方法。
[実施態様308]
前記疎水性相互作用クロマトグラフィーが、架橋アガロースに結合している疎水性部分を含む、実施態様306または307に記載の方法。
[実施態様309]
前記疎水性相互作用クロマトグラフィーが、架橋アガロースに結合しているフェニル部分またはブチル部分を含む、実施態様306~308のいずれか一に記載の方法。
[実施態様310]
前記疎水性相互作用クロマトグラフィーが、phenyl Sepharose(登録商標)クロマトグラフィーまたはButyl Sepharose(登録商標)クロマトグラフィーである、実施態様309に記載の方法。
[実施態様311]
前記疎水性相互作用交換クロマトグラフィーが、HIC平衡化緩衝液、HIC装填緩衝液、またはHIC洗浄緩衝液のうちの1つ以上を使用し、前記HIC平衡化緩衝液、前記装填緩衝液、及び/または前記HIC洗浄緩衝液が、約pH5~約pH6である、実施態様306~310のいずれか一に記載の方法。
[実施態様312]
前記HIC平衡化緩衝液、前記装填緩衝液、及び/または前記洗浄緩衝液が、約pH5.5である、実施態様311に記載の方法。
[実施態様313]
前記HIC平衡化緩衝液及び前記洗浄緩衝液が、約170mMの酢酸塩を含む、実施態様311または312に記載の方法。
[実施態様314]
前記HIC装填緩衝液が、50mMのTris、100mMの酢酸ナトリウム(pH約5.5)である、実施態様311~313のいずれか一に記載の方法。
[実施態様315]
前記疎水性相互作用クロマトグラフィーが、装填後にHIC洗浄緩衝液で洗浄される、実施態様311~314のいずれか一に記載の方法。
[実施態様316]
前記疎水性相互作用クロマトグラフィーが、ヘキシル部分を含む、実施態様306~315のいずれか一に記載の方法。
[実施態様317]
前記疎水性相互作用クロマトグラフィーが、ヒドロキシル化メタクリルポリマーに結合している疎水性部分を含む、実施態様306に記載の方法。
[実施態様318]
前記疎水性相互作用クロマトグラフィーが、ヒドロキシル化メタクリルポリマーに結合しているヘキシル部分を含む、実施態様316または317に記載の方法。
[実施態様319]
前記疎水性相互作用クロマトグラフィーが、TOYOPEARL(登録商標)Hexyl650Cである、実施態様318に記載の方法。
[実施態様320]
前記疎水性相互作用交換クロマトグラフィーが、HIC平衡化緩衝液、HIC装填緩衝液、またはHIC洗浄緩衝液のうちの1つ以上を使用し、前記HIC平衡化緩衝液、前記HIC装填緩衝液、及び/または前記HIC洗浄緩衝液が、約pH6~約pH8である、実施態様316~319のいずれか一に記載の方法。
[実施態様321]
前記HIC平衡化緩衝液、前記装填緩衝液、及び/または前記洗浄緩衝液が、約pH7.0である、実施態様320に記載の方法。
[実施態様322]
前記HIC平衡化緩衝液及び前記洗浄緩衝液が、約50mMの3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)及び125mMの酢酸塩を含む、実施態様320または321に記載の方法。
[実施態様323]
前記疎水性相互作用クロマトグラフィーが、装填後にHIC洗浄緩衝液で洗浄される、実施態様316~322のいずれか一に記載の方法。
[実施態様324]
前記疎水性相互作用溶出物が、プールされ、前記溶出物のOD
280
が、約0.5超~約1.0である、実施態様306~323のいずれか一に記載の方法。
[実施態様325]
陰イオン交換クロマトグラフィーが、四級アミンを含む、実施態様243、244、または247~324のいずれか一に記載の方法。
[実施態様326]
前記陰イオン交換クロマトグラフィーが、架橋アガロースに結合している四級アミンを含む、実施態様325に記載の方法。
[実施態様327]
前記混合モード陰イオン交換クロマトグラフィーが、QSFFクロマトグラフィーである、実施態様326に記載の方法。
[実施態様328]
前記陰イオン交換クロマトグラフィーが、陰イオン交換事前平衡化緩衝液、陰イオン交換平衡化緩衝液、または陰イオン交換装填緩衝液のうちの1つ以上を使用し、前記陰イオン交換事前平衡化緩衝液、前記陰イオン交換平衡化緩衝液、及び/または陰イオン交換前記装填緩衝液が、約pH8~約pH9である、実施態様325~327のいずれか一に記載の方法。
[実施態様329]
前記陰イオン交換事前平衡化緩衝液、前記陰イオン交換平衡化緩衝液、及び/または前記陰イオン交換装填緩衝液が、約pH8.5である、実施態様328に記載の方法。
[実施態様330]
前記陰イオン交換事前平衡化緩衝液が、約50mMのTris及び約500mMの酢酸ナトリウムまたは約100mMの酢酸ナトリウムを含む、実施態様328または329に記載の方法。
[実施態様331]
前記陰イオン交換平衡化緩衝液が、約50mMのTrisを含む、実施態様328~330のいずれか一に記載の方法。
[実施態様332]
前記陰イオン交換クロマトグラフィーが、装填後に陰イオン交換平衡化緩衝液で洗浄される、実施態様328~331のいずれか一に記載の方法。
[実施態様333]
前記ポリペプチドまたは多重特異性抗体が、塩勾配によって前記陰イオン交換クロマトグラフィーから溶出される、実施態様328~332のいずれか一に記載の方法。
[実施態様334]
前記ポリペプチドまたは多重特異性抗体が、増加した塩濃度を有する陰イオン交換溶出緩衝液を前記陰イオン交換クロマトグラフィーに適用することによって、前記陰イオン交換クロマトグラフィーから溶出される、実施態様328~333のいずれか一に記載の方法。
[実施態様335]
前記陰イオン交換溶出緩衝液が、約50mMのTris及び約100mMの酢酸ナトリウム(約pH8.5)を含む、実施態様334に記載の方法。
[実施態様336]
前記陰イオン交換溶出物が、プールされ、前記溶出物のOD
280
が、約0.5超~約1.0である、実施態様328~335のいずれか一に記載の方法。
[実施態様337]
前記ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーが、セラミックヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーである、実施態様267~280のいずれか一に記載の方法。
[実施態様338]
前記ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーが、CHT I型セラミックヒドロキシアパプタイト(hydroxyapaptite)クロマトグラフィーである、実施態様337に記載の方法。
[実施態様339]
前記ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーが、ヒドロキシアパタイト緩衝液Aまたはヒドロキシアパタイト緩衝液Bのうちの1つ以上を使用し、前記ヒドロキシアパタイト緩衝液Bが、ヒドロキシアパタイト緩衝液Aと比較してより高い伝導度を有する、実施態様337または338に記載の方法。
[実施態様340]
前記ヒドロキシアパタイト緩衝液Aが、約10mMのリン酸ナトリウム(約pH6.8)を含む平衡化緩衝液である、実施態様339に記載の方法。
[実施態様341]
前記ヒドロキシアパタイト緩衝液Bが、約10mMのリン酸ナトリウム及び約1M塩化ナトリウム(約pH6.8)を含む、実施態様339または340に記載の方法。
[実施態様342]
前記ポリペプチドまたは多重特異性抗体が、ヒドロキシアパタイト緩衝液A中のヒドロキシアパタイト緩衝液Bの勾配を使用して、ヒドロキシアパタイド(hydroxyapaptide)クロマトグラフィーから溶出される、実施態様339~341のいずれか一に記載の方法。
[実施態様343]
前記勾配が、線形勾配である、実施態様342に記載の方法。
[実施態様344]
前記勾配が、0%のヒドロキシアパプタイト緩衝液Bから100%のヒドロキシアパプタイト緩衝液Bへと増加する、実施態様342または343に記載の方法。
[実施態様345]
前記勾配が、約20カラム体積中、0%のヒドロキシアパプタイト緩衝液Bから100%のヒドロキシアパプタイト緩衝液Bへと増加する、実施態様342~344のいずれか一に記載の方法。
[実施態様346]
前記ヒドロキシアパタイト溶出物が、プールされ、前記溶出物のOD
280
が、約0.5超~約1.0である、実施態様337~345のいずれか一に記載の方法。
[実施態様347]
陽イオン交換クロマトグラフィーが、カルボン酸部分またはスルホン酸部分を含む、実施態様245~246または256~326のいずれか一に記載の方法。
[実施態様348]
前記カルボン酸部分または前記スルホン酸部分が、スルホプロピル、スルホエチル、スルホイソブチル、またはカルボキシル部分である、実施態様347に記載の方法。
[実施態様349]
前記陽イオン交換クロマトグラフィーが、架橋アガロースに結合しているカルボン酸部分またはスルホン酸部分を含む、実施態様347または348のいずれか一に記載の方法。
[実施態様350]
前記陽イオン交換材料が、POROS(登録商標)HS50、POROS(登録商標)HS20、SO3 Monolith、S Ceramic HyperD、スルホプロピル-Sepharose(登録商標)Fast Flow(SPSFF)、SP-Sepharose(登録商標)XL(SPXL)、CM Sepharose(登録商標)Fast Flow、Capto(商標)S、Fractogel Se HiCap、Fractogel SO3、またはFractogel COOである、実施態様348または349に記載の方法。
[実施態様351]
前記陽イオン交換装填密度が、約20g/L未満である、実施態様347~350のいずれか一に記載の方法。
[実施態様352]
前記陽イオン交換クロマトグラフィーが、陽イオン交換事前平衡化緩衝液、陽イオン交換平衡化緩衝液、陽イオン交換装填緩衝液、または陽イオン交換洗浄緩衝液のうちの1つ以上を使用し、前記陽イオン交換事前平衡化緩衝液、前記陽イオン交換平衡化緩衝液、前記陽イオン交換装填緩衝液、及び/または陽イオン交換洗浄緩衝液が、約pH5.0~約pH6.0である、実施態様347~351のいずれか一に記載の方法。
[実施態様353]
前記陽イオン交換陽イオン交換、前記平衡化緩衝液、前記陽イオン交換装填緩衝液、及び/または陽イオン交換洗浄緩衝液が、約pH5.5または約pH5.8である、実施態様352に記載の方法。
[実施態様354]
前記陽イオン交換平衡化緩衝液が、50mMの酢酸ナトリウムを含む、実施態様352または353に記載の方法。
[実施態様355]
前記陽イオン交換洗浄緩衝液が、50mMの酢酸ナトリウムを含む、実施態様352~354のいずれか一に記載の方法。
[実施態様356]
前記陽イオン交換クロマトグラフィーが、装填後に平衡化緩衝液で洗浄される、実施態様352~355のいずれか一に記載の方法。
[実施態様357]
前記ポリペプチドまたは多重特異性抗体が、塩勾配によって前記陽イオン交換クロマトグラフィーから溶出される、実施態様352~356のいずれか一に記載の方法。
[実施態様358]
前記ポリペプチドまたは多重特異性抗体が、増加した塩濃度を有する陽イオン交換溶出緩衝液を前記陽イオン交換クロマトグラフィーに適用することによって、前記陽イオン交換クロマトグラフィーから溶出される、実施態様352~357のいずれか一に記載の方法。
[実施態様359]
前記陽イオン交換溶出緩衝液が、500mMの酢酸ナトリウム(約pH5.8)を含む、実施態様358に記載の方法。
[実施態様360]
前記溶出が、10%~100%の陽イオン交換溶出緩衝液の勾配溶出である、実施態様359に記載の方法。
[実施態様361]
前記陽イオン交換溶出物が、プールされ、前記溶出物のOD
280
が、約0.5超~約1.0である、実施態様352~360のいずれか一に記載の方法。
[実施態様362]
前記ポリペプチドまたは前記多重特異性抗体が、細胞内で産生される、実施態様251~361のいずれか一に記載の方法。
[実施態様363]
前記多重特異性抗体の前記アームが、細胞内で産生される、実施態様361に記載の方法。
[実施態様364]
前記細胞が、原核生物細胞である、実施態様362または363に記載の方法。
[実施態様365]
前記原核生物細胞が、E.coli細胞である、実施態様364に記載の方法。
[実施態様366]
前記細胞が、1つ以上のシャペロンを発現するように操作される、実施態様364または365に記載の方法。
[実施態様367]
前記シャペロンが、FkpA、DsbA、またはDsbCのうちの1つ以上である、実施態様366に記載の方法。
[実施態様368]
前記シャペロンが、E.coliシャペロンである、実施態様366または367に記載の方法。
[実施態様369]
前記細胞が溶解されて、前記ポリペプチドまたは前記多重特異性抗体を含む細胞溶解物を生成する、実施態様362~368のいずれか一に記載の方法。
[実施態様370]
前記細胞が溶解されて、タンパク質Aクロマトグラフィー前に前記多重特異性抗体または前記多重特異性抗体のアームを含む細胞溶解物を生成する、実施態様369に記載の方法。
[実施態様371]
前記細胞が、微小流動化剤を使用して溶解される、実施態様369または370に記載の方法。
[実施態様372]
ポリエスリエンイミン(polyethlyeneimine)(PEI)が、クロマトグラフィー前に前記細胞溶解物に添加される、実施態様369~371のいずれか一に記載の方法。
[実施態様373]
前記PEIが、約0.4%の最終濃度になるまで前記溶解物に添加される、実施態様372に記載の方法。
[実施態様374]
前記細胞溶解物が、遠心分離によって浄化される、実施態様369~373のいずれか一に記載の方法。
[実施態様375]
前記産物特異的不純物が、非対合抗体アーム、抗体ホモ二量体、凝集体、高分子量種(HMW)、低分子量種(LMW)、酸性変異形、または塩基性変異形のうちの1つ以上である、実施態様251~373のいずれか一に記載の方法。
[実施態様376]
前記方法が、前記組成物中のE.coliタンパク質(ECP)、FkpA、DsbA、DsbC、浸出タンパク質A、核酸、細胞培養培地成分、またはウイルス不純物のうちのいずれか1つの量を低減する、実施態様251~375のいずれか一に記載の方法。
[実施態様377]
前記多重特異性抗体が、二重特異性抗体である、実施態様232~245、247~257、259~267、または269~376のいずれか一に記載の方法。
[実施態様378]
前記多重特異性抗体の第1のアームが、IL13に結合する、実施態様377に記載の方法。
[実施態様379]
前記IL13が、ヒトIL13である、実施態様378に記載の方法。
[実施態様380]
前記IL13が、配列番号1または配列番号2のアミノ酸配列を含む、実施態様378または379に記載の方法。
[実施態様381]
前記多重特異性抗体の前記第1のアームが、配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、実施態様378~380のいずれか一に記載の方法。
[実施態様382]
前記多重特異性抗体の前記第1のアームが、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH配列、及び配列番号14のアミノ酸配列を含むVL配列を含む、実施態様378~381のいずれか一に記載の方法。
[実施態様383]
前記多重特異性抗体の前記第1のアームが、配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様378~382のいずれか一に記載の方法。
[実施態様384]
前記多重特異性抗体の前記第1のアームが、配列番号16のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様378~383のいずれか一に記載の方法。
[実施態様385]
前記多重特異性抗体の前記第1のアームが、配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施態様378~384のいずれか一に記載の方法。
[実施態様386]
前記抗体の第2のアームが、IL17に結合する、実施態様378~385のいずれか一に記載の方法。
[実施態様387]
前記IL17が、ヒトIL17である、実施態様386に記載の方法。
[実施態様388]
前記IL17が、配列番号3、配列番号4、配列番号5、または配列番号6のアミノ酸配列を含む、実施態様386または387に記載の方法。
[実施態様389]
前記多重特異性抗体の第2のアームが、配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、実施態様386~388のいずれか一に記載の方法。
[実施態様390]
前記多重特異性抗体の前記第2のアームが、配列番号25のアミノ酸配列を含むVH配列、及び配列番号26のアミノ酸配列を含むVL配列を含む、実施態様386~389のいずれか一に記載の方法。
[実施態様391]
前記多重特異性抗体の前記第2のアームが、配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様386~390のいずれか一に記載の方法。
[実施態様392]
前記多重特異性抗体の前記第2のアームが、配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施態様386~391のいずれか一に記載の方法。
[実施態様393]
前記多重特異性抗体の前記第2のアームが、配列番号29のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施態様386~393のいずれか一に記載の方法。
[実施態様394]
実施態様231~393のいずれか一に記載の方法によって精製されたポリペプチドまたは多重特異性抗体を含む、組成物であって、約5%、4%、3%、2%、または1%以下の産物特異的不純物を含む、前記組成物。
[実施態様395]
前記産物特異的不純物が、非対合抗体アーム、抗体ホモ二量体、凝集体、高分子量種(HMW)、低分子量種(LMW)、酸性変異形、または塩基性変異形のうちの1つ以上である、実施態様394に記載の組成物。
[実施態様396]
前記組成物が、約未満を含み、組成物が、前記組成物中、約5%、4%、3%、2%、または1%以下のE.coliタンパク質(ECP)、FkpA、DsbA、DsbC、浸出タンパク質A、核酸、細胞培養培地成分、またはウイルス不純物のうちのいずれか1つを含む、実施態様394または395に記載の組成物。