JP2017203977A - 反射型スクリーン及び映像表示システム - Google Patents
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Abstract
Description
基板と、
前記基板上に設けられた可視光を反射する光反射層と、
前記光反射層の上に設けられた前記投射光を散乱させる散乱層とを有し、
前記散乱層がダイヤモンド粒子及び/又は金属系無機粒子からなる光散乱体を含有することを特徴とする。
透明基板と、
前記透明基板上に設けられた前記投射光を散乱させる散乱層と、
前記散乱層の上に設けられた可視光を反射する光反射層とを有し、
前記散乱層がダイヤモンド粒子及び/又は金属系無機粒子からなる光散乱体を含有することを特徴とする。
高分子樹脂からなる可撓性を有するシートと、
前記シート上に設けられた可視光を反射する光反射層と、
前記光反射層の上に設けられた前記投射光を散乱させる散乱層とを有し、
前記散乱層がダイヤモンド粒子及び/又は金属系無機粒子からなる光散乱体を含有することを特徴とする。
なお、第1の反射型スクリーン用シートは、前記第1の反射型スクリーンにおいて、基板が高分子樹脂からなる可撓性を有するシートに限定されたものに相当する。
透明な高分子樹脂からなる可撓性を有する透明シートと、
前記透明シート上に設けられた前記投射光を散乱させる散乱層と、
前記散乱層の上に設けられた可視光を反射する光反射層とを有し、
前記散乱層がダイヤモンド粒子及び/又は金属系無機粒子からなる光散乱体を含有することを特徴とする。
なお、第2の反射型スクリーン用シートは、前記第2の反射型スクリーンにおいて、透明基板が透明な高分子樹脂からなる可撓性を有する透明シートに限定されたものに相当する。
(1)第1の態様
図1は、投射光により画像を表示するとともに鏡として利用可能な反射型スクリーンの第1の態様を示す。反射型スクリーン1は、基板10と、前記基板10の上に設けられた可視光を反射する光反射層20と、前記光反射層20の上に設けられた前記投射光を散乱させる散乱層30とを有し、前記散乱層30がダイヤモンド粒子及び/又は金属系無機粒子からなる光散乱体31を含有することを特徴とする。本態様の反射型スクリーンは、前記散乱層30の側から投射光を投影して前記散乱層30に画像を表示し、投射光と同じ側(散乱層30の側)から画像を観察するスクリーンとして働くとともに、前記散乱層30の側から観察する鏡としても働く。散乱層30に含まれるダイヤモンド粒子(屈折率2.4)及び金属系無機粒子はガラスや高分子樹脂に比べて高い屈折率を有するため良好な光散乱体として働き、ミー散乱により高い散乱効果を発揮するため視野角依存性が小さく広い範囲から画像を観察することが可能となるとともに、映し出される画像(反射像)の明度及びコントラストを高め、鮮明な画像を観察することが可能となる。さらに基板10の上に設けられた可視光を反射する光反射層20を有することにより、鏡としての性質を併せ持った反射型スクリーンとすることができる。
基板10は特に限定されないが、例えば、ケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス等の酸化ガラス;ケイ酸ガラス、ケイ酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、鉛ガラス、バリウムガラス、ホウケイ酸ガラス等のケイ酸塩ガラス;石英;酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化インジウウムスズ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等の金属酸化物;鉄鋼、炭素鋼、クロム−モリブデン鋼、アルミ合金、ステンレス合金、銅合金、チタン合金等の合金;金、銀、銅、亜鉛、鉄、アルミニウム、白金、鉛、パラジウム等の金属;綿、麻等の植物繊維;絹、羊毛、アルパカ、アンゴラ、カシミヤ、モヘア等の動物繊維;ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂等)、アクリル系樹脂(ポリメチルメタアクリレート樹脂等)、ポリビニルアセタール系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂等)、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、シクロオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等の高分子樹脂;ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維等の無機繊維等が挙げられる。これらの中でも高分子樹脂が好ましい。基板10は着色していても良いし、透明であっても良い。着色された基板10は、高分子樹脂からなる基板を染料、顔料等で着色したものであるのが好ましい。
光反射層は、可視光を効率よく反射する層であればどのような構成でもかまわない。このような光反射層としては、金属薄膜、誘電体多層膜等からなるものが挙げられる。このような光反射層を投影光に対して散乱層の後に設けることにより、反射型スクリーンに鏡としての性質を付与することができるとともに、観察する側とは反対側から入射する可視光を遮断することができ、散乱層によって映し出される画像(反射像)の明度及びコントラストを高め、鮮明な映写像を観察することが可能となる。さらに光反射層を設けることにより、投影光及び散乱層によって散乱した光がこの光反射層で反射されるため、散乱層での反射像の明度がさらに向上し、明度及びコントラストに優れた鮮明な映像を映し出すことが可能となる。
光散乱体は、散乱層を主に構成する材料(光散乱体の分散媒;媒体)よりも高い屈折率を有するのが好ましい。散乱層を主に構成する材料には、無機酸化物高分子及び/又は高分子樹脂を用いることができる。無機酸化物高分子としてはケイ素酸化物等が挙げられる。ケイ素酸化物の屈折率は1.4〜1.5程度、高分子樹脂の屈折率は1.5〜1.6程度であるので、光散乱体は2以上の屈折率を有するのが好ましく、2.3以上の屈折率を有するのがより好ましい。このような屈折率を有する光散乱体として、ダイヤモンド(屈折率2.4)及び金属系無機粒子が挙げられる。
ダイヤモンド粒子は、天然ダイヤモンドの粒子又は人工ダイヤモンドの粒子を用いることができる。ダイヤモンドとしては、例えば、天然ダイヤモンドを100nm以下に粉砕したものが挙げられる。人工ダイヤモンドとしては、爆射法で得られたグラファイト相を有するナノダイヤモンドを酸化処理して得られるものが好ましい。爆射法で得られたナノダイヤモンド(グラファイト相を有するナノダイヤモンド)は、ダイヤモンドの表面をグラファイト系炭素が覆ったコア/シェル構造を有しており、そのため黒く着色している。このため酸化処理を施すことにより、グラファイト相がほとんど除去されたダイヤモンド粒子とするのが好ましい。爆射法で得られたナノダイヤモンドとしては、単結晶ナノダイヤモンドでもよいし、多結晶ナノダイヤモンドでもよい。多結晶ナノダイヤモンドは、単結晶ナノダイヤモンドとは異なり、劈開性を有さず、また、硬度も高く、摩耗し難い性質を有する。
光散乱体はそのまま使用しても良いが、無機酸化物高分子又は高分子樹脂、及びそれらの塗布液との親和性及び分散性をより高めるために、その表面を重合体で被覆するのが好ましい。このように光散乱体の表面を重合体で被覆することにより、散乱層の高い透明性と優れた光散乱性とを両立することができる。
光散乱体を含有する散乱層は、無機酸化物高分子又は高分子樹脂を分散媒(媒体)として前記光散乱体を分散させて形成するのが好ましい。
散乱層の分散媒として使用できる無機酸化物高分子としては、シリカ等のケイ素酸化物(屈折率:1.4〜1.5)、アルミナ(屈折率:1.76)等からなる高分子が挙げられ、特にケイ素酸化物高分子が、光散乱体に対して低い屈折率を有する点、環境にとりわけ優しい材料である点、耐久性が高い点等から好ましい。
散乱層の分散媒として使用できる高分子樹脂としては、前記透明基板に用いることのできる高分子樹脂が挙げられる。その具体例としては、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、メラニン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、セルロース樹脂等が挙げられる。好ましいのはポリビニルアセタール系の樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂又はシクロオレフィン系樹脂であり、より好ましいのはポリビニルブチラール樹脂である。高分子樹脂には、可塑剤が添加されていてもよい。可塑剤としては、例えばトリエチレングリコール−ビス−2−エチルブチレートが挙げられる。散乱層に使用する高分子樹脂の屈折率は、光散乱体の屈折率よりも小さいものが好ましく、その差が大きいほど高い散乱効果が得られるので好ましい。透明基板及び散乱層で用いる高分子樹脂は同じであっても異なっていてもよい。
反射型スクリーンには、表面にハードコート層を設けても良い。ハードコート層は、ハードコート剤を散乱層の上に塗装することにより形成する。ハードコート剤としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、Lioduras(東洋インキ(株)製)、Acier−PMMA((株)ニデック製)、ユニデック(DIC(株)製)が挙げられる。ハードコート層と散乱層との間に、密着性を改良するための中間層を設けてもよい。塗装方法としては、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法が挙げられる。
図4は、投射光により画像を表示するとともに鏡として利用可能な反射型スクリーンの第2の態様を示す。反射型スクリーン4は、透明基板11と、前記透明基板11の上に設けられた前記投射光を散乱させる散乱層30と、前記散乱層30の上に設けられた可視光を反射する光反射層20とを有し、前記散乱層30がダイヤモンド粒子及び/又は金属系無機粒子からなる光散乱体31を含有することを特徴とする。反射型スクリーン4は、透明基板11側から投射光を投影して前記散乱層30に画像を表示し、投射光と同じ側(透明基板11の側)から画像を観察するスクリーンとして働くとともに、前記透明基板11の側から観察する鏡としても働く。
(1)第1の態様
図8は、投射光により画像を表示するとともに鏡として利用可能な反射型スクリーン用シートの第1の態様を示す。反射型スクリーン用シート101は、投射光により画像を表示するとともに鏡として利用可能な反射型スクリーンを得るためのシートであって、高分子樹脂からなる可撓性を有するシート110と、前記シート110上に設けられた可視光を反射する光反射層20と、前記光反射層20の上に設けられた前記投射光を散乱させる散乱層30とを有し、前記散乱層30がダイヤモンド粒子及び/又は金属系無機粒子からなる光散乱体31を含有することを特徴とする。
図11は、投射光により画像を表示するとともに鏡として利用可能な反射型スクリーン用シートの第2の態様を示す。反射型スクリーン用シート104は、投射光により画像を表示するとともに鏡として利用可能な反射型スクリーンを得るためのシートであって、透明な高分子樹脂からなる可撓性を有する透明シート111と、前記透明シート111上に設けられた前記投射光を散乱させる散乱層30と、前記散乱層30の上に設けられた可視光を反射する光反射層20と、前記光反射層20の上に設けられた保護層50とを有し、前記散乱層30がダイヤモンド粒子及び/又は金属系無機粒子からなる光散乱体31を含有することを特徴とする。
(1)全体構成
上述の反射型スクリーン(又は反射型スクリーン用シート)を用いることにより、映像表示システムを構築することができる。映像表示システムとしては、例えば、図13に示すように、反射型スクリーン201と、前記反射型スクリーン201に映像又は動画を投影する映写装置202と、前記反射型スクリーン201を振動体として音を生じさせる機能を有する振動スピーカー203とを有するものが挙げられる。映写装置202は映像出力部に、振動スピーカー203は音声出力部にそれぞれ接続され、システム制御部により制御される。前記振動スピーカー203は必要のない場合は備えていなくてもよい。
映像表示システムに用いる反射型スクリーンとしては、上述の反射型スクリーン及び反射型スクリーン用シートを用いて得られる反射型スクリーンを用いることができる。
映像表示システムは、画像、動画等を投影するための映写装置202を有する。映写装置202は、ブルーレイディスク(BD)、DVD、メモリー(メモリースティック、SDカード等)等のメディアに保存されたデータ又はLAN回線によって配信されたデータを、映像出力部で処理し、画像及び動画にしてスクリーンに投影する。なお映像出力部から映写装置202に送られる電気信号は、有線で送信しても良いし、無線装置によって送信しても良い。
映像表示システムは、さらに反射型スクリーンを振動体として音を生じさせる機能を有する振動スピーカー203を有していてもよい。振動スピーカー203は、音声出力部から出力される電気信号を振動に変換し、振動体を振動させて音を発生させる電磁素子や圧電素子などで形成された振動素子を備え、反射型スクリーン(窓ガラス、ショーウインドウ、看板、パネル等)に取り付けることにより反射型スクリーンをスピーカーとして利用する装置である。なお音声出力部から振動スピーカー203に送られる電気信号は、有線で送信しても良いし、無線装置によって送信しても良い。
映像表示システムは、さらに周囲の音を集める集音マイクからなる集音装置204を有するのが好ましい。集音マイクで集めた音を音声入力部を介してシステム制御部に入力し、システム制御部に含まれる音の位相を反転させる機能を備えた位相反転器で、集めた音の位相を反転させた逆相ノイズを発生させ、音声出力部を介して振動スピーカー203から出力することによって、周囲の音を逆相ノイズで打ち消すことができる。すなわち、ノイズキャンセラーの効果を発揮させることにより、振動スピーカーからの音楽、音声、効果音などをより鮮明に視聴者に聴かせることができる。なお集音装置204から音声入力部に入力する信号は、有線で送信されても良いし、無線装置によって送信されても良い。
映像表示システムは、さらにタッチセンサー機能を有していてもよい。タッチセンサー機能を有していることにより、情報を一方的に提供するだけでなく、ユーザーの意志で情報の選択を行うことができ、さらにユーザーからの情報入力等が可能となる。タッチセンサーの方式としては、特に限定されるものではなく、静電容量方式、抵抗膜方式等、公知の方法を適用することができる。
上述の映像表示システムを適用した具体例を以下に説明する。
店舗や美術館の展示物のショーウインドウなどの一部を反射型スクリーンとして、飾られた作品や商品の案内の映像を映し出し、そこに振動スピーカー203を設置することで、展示用ガラスケースの前に立ち止まっている人々にのみ、人が語りかける程度の音量で伝達することができるシステムが挙げられる。さらに反射型スクリーンにタッチセンサー機能を付与することにより、ユーザーが商品等の案内表示に触れると画面が切り替わり、その商品等の詳細な説明が音声とともに映し出されるようにできる。
化粧室の鏡を反射型スクリーンとして映像を映し出すとともに、振動スピーカーを設置することにより、様々な案外表示及び案内のアナウンスが可能となる。例えば、飛行機や列車のトイレ内にこのような映像表示システムを適用した鏡を設置し、飛行機や列車の運行状況、注意事項の伝達、緊急時の警報等を音声とともに反射型スクリーンに映し出すことができる。さらに集音装置やタッチセンサーを備えることにより、例えば、緊急時に外部との連絡を行う手段とすることができる。
美容院や理容室の鏡を反射型スクリーンとすることにより、髪型のサンプルを客の姿の隣に写し出して好みの髪型を選んだり、髪型を客の姿に重ねて映写し、髪型のイメージを視覚的にプレゼンテーションしたりすることが可能である。サンプルの選択は、例えば手元のリモコンを操作して行うようにするともできるし、鏡にタッチスクリーン機能を付与して鏡を触れることによって行うようにすることもできる。
カラオケ店などに映像表示システムを適用した姿見を設置することにより、カラオケの歌詞表示を姿見に映写することが可能となる。このようなシステムをさらに応用し、例えば、歌手の姿を姿見の反射スクリーンに映写する一方、ユーザーの姿を写し出すことで、1人でデュエット曲を楽しむことも可能となる。
トレーニングルームに映像表示システムを適用した姿見を設置することにより、ダンス、体操、格闘技(太極拳、剣道、柔道、空手等)の型、ゴルフの素振り等のレッスンを行う際に、それらのレッスン用ビデオ等を姿見に映写すことで、姿見に映った自分の姿を確認しながらレッスンを行うことができる。
スマートホン用のアプリの映像を、例えば、壁に設置した反射型スクリーン(振動スピーカー及びタッチセンサーを備える)に映し出すことで、大画面でアプリの操作が可能となる。特に、Line(登録商標)等のアプリのテレビ電話機能を使用する場合に、相手からの映像を大画面に映し出すことができるので、複数の人数で楽しむ場合に特に有効である。
カーブミラーに映像表示システムを適用することにより、案内表示等の映像を映写するとともに、案内アナウンスを流すことができる。
自動車等の車内にある鏡を反射型スクリーンとして映像表示システムを適用することにより、必要時にその反射型スクリーンに情報を映し出すことが可能となり、例えば、衝突防止システム等に適用することができる。これら応用例で、鏡像は左右反対に映るので、表示映像を反転させて映し出し、教育効果を高めることは可能である。
(1)光反射層の形成
アクリル板A(縦30cm×横30cm×厚み3mm)の一方の面に銅の薄膜(40nm)及び銀の薄膜(80nm)を真空蒸着法により順に形成した。
10gのダイヤモンド粒子(ビジョン開発製、メジアン径360nm)をニッケル製の反応管に入れ、フッ素ガスを流量15ml/min及びアルゴンガスを流量385ml/minで流通しながら400℃で120時間加熱し、ダイヤモンド粒子の表面をフッ素で修飾したフッ素化ダイヤモンド微粒子Aを作製した。得られたフッ素化ダイヤモンド微粒子Aのメジアン系は365nmであり、フッ素含有量はXPS及び元素分析の結果から12質量%であった。
ポリビニルブチラール樹脂(ブチラール化度:65.9モル%、アセチル基量:0.9モル%)100質量部に対し、可塑剤として40質量部のトリエチレングリコール−ビス−2−エチルブチレートと、3質量部のフッ素化ダイヤモンド微粒子Aを添加し、3本ロールミキサーにより約70℃で約15分間混練した後、押出機を使って180℃で厚さ約0.3mmにフィルム化し、ロールに巻き取ることによりフッ素化ダイヤモンド微粒子Aを含有する樹脂膜を得た。この樹脂膜を、光反射層を形成したアクリル板Aと光反射層を形成していないアクリル板B(縦30cm×横30cm×厚み3mm)との間に、アクリル板A/光反射層(銅及び銀の蒸着膜)/ダイヤモンド粒子含有樹脂膜(散乱層)/アクリル板Bの構成となるように挟み、これをゴムバックに入れて約2.7kPa(20Torr)の真空度で20分間脱気した後、脱気したままの状態で60℃のオーブンで30分間保持しつつ真空プレスし、合わせガラスの予備接着を行った。予備接着された合わせガラスをオートクレーブに入れ、温度135℃、圧力約120N/cm2(12kgf/cm2)の条件で20分間本接着を行って反射型スクリーンを作製した。
ポリビニルブチラール樹脂100質量部及びトリエチレングリコール−ビス−2−エチルブチレート40質量部を含むメチルエチルケトン(MEK)溶液(ポリビニルブチラール:10質量%)に、実施例1Aで作製したフッ素化ダイヤモンド微粒子Aを2質量部添加し、十分攪拌した後、超音波洗浄器を用いて均一分散させた。フッ素化ダイヤモンド微粒子Aは、前記MEK溶液に良好に分散した。この溶液を実施例1Aで作製した光反射層を有するアクリル板Aの光反射層の側にディップコート法により塗布及び乾燥し、200μmの厚みの散乱層を形成した。さらに前記散乱層の上に、多官能アクリレート(大日精化社製、EXF37)100質量部と、コロイダルシリカ(東芝シリコーン社製、UVHC−1105)10質量部と、トルエン270質量部とからなるハードコート剤塗工液を、バーコーターによって塗工し、加熱乾燥した後、300MJ/cm2で紫外線ランプを照射し、5μmのハードコート層を形成し、反射型スクリーンを得た。この反射型スクリーンは、アクリル板A/光反射層(銅及び銀の蒸着膜)/ダイヤモンド粒子含有樹脂膜(散乱層)/ハードコート層の構成であった。
ハードコート剤として、多官能アクリレート(大日精化社製、EXF37)100質量部と、コロイダルシリカ(東芝シリコーン社製、UVHC−1105)10質量部と、実施例1Aで作製したフッ素化ダイヤモンド微粒子Aを3質量部との混合溶液を、トルエンで上記混合溶液分が40%になるように希釈し調整した。実施例1Aで作製した光反射層を有するアクリル板Aの光反射層の側に、バーコーターによって、上記ハードコート剤混合溶液を塗工し、加熱乾燥した後、300MJ/cm2で紫外線ランプを照射し、厚さ100μmのハードコート層を形成し、反射型スクリーンを得た。この反射型スクリーンは、アクリル板A/光反射層(銅及び銀の蒸着膜)/ダイヤモンド粒子含有樹脂膜(散乱層)の構成であった。
光反射層を設けなかった以外は実施例1Aと同様にして、アクリル板A/ダイヤモンド粒子含有樹脂膜(散乱層)/アクリル板Bの構成を有する反射型スクリーンを作製した。
ダイヤモンド粒子を含有しない以外は実施例1Aと同様にして、アクリル板A/光反射層(銅及び銀の蒸着膜)/樹脂膜/アクリル板Bの構成を有する反射型スクリーンを作製した。
実施例1A〜3A及び比較例1A〜2Aの反射型スクリーンに、映像を投影し、同じ側(投影側)からスクリーンに映し出される映像を観察し、画像の鮮鋭性及び視野角を目視で評価した。なお実施例1A及び比較例1A〜2Aの反射型スクリーンはアクリル板Bの側から映像を投影し、実施例2Aの反射型スクリーンはハードコート層の側から映像を投影し、実施例3Aの反射型スクリーンはダイヤモンド粒子含有樹脂膜(散乱層)の側から映像を投影した。さらに映像の投影側と同じ側から人の姿を写し、鏡としての性能を目視で評価した。
比較例1Aの反射型スクリーンは、観察する側の反対側(アクリル板Aの側)から光が入射したため投射された映像が全体的に白っぽく、輪郭が薄く観察された。比較例2Aの反射型スクリーンは、投射された映像の色合いがほとんど区別できず、輪郭がほとんど認識できなかった。これに対して、実施例1A〜3Aの反射型スクリーンは、投射された映像の発色が極めて鮮やかで、輪郭が極めてはっきりと見えた。
視野角は、スクリーンに投影された画像を投影側の斜め120°から観察し、目視で評価した。なお前記観察角度は、スクリーンの法線に対する角度である。その結果、比較例1Aの反射型スクリーンは、投射された映像の色合いがほとんど区別できず、輪郭がほとんど認識できなかった。比較例2Aの反射型スクリーンは、投射された映像がほとんど認識できなかった。これに対して、実施例1A〜3Aの反射型スクリーンは、投射された映像の発色が鮮やかで、輪郭がはっきりと見えた。
実施例1A〜3A及び比較例2Aの反射型スクリーンは、全て同様に鏡として像を映し出すことができたが、比較例1Aの反射型スクリーンは、鏡として像を映し出すことはできなかった。
(1)光反射層の形成
アクリル板A(縦30cm×横30cm×厚み3mm)の一方の面にTiO2、 SiO2を交互に真空蒸着法により蒸着させ、厚さ1μmの誘電体多層膜を形成した。
200mlステンレスポットに、ダイヤモンド微粒子(ビジョン開発製、メジアン径360nm)を9質量部、水系ウレタン樹脂エバファノールHA―170(日華化学製、不揮成分:36.5質量%)を91質量部加えて、ホモミキサー(PRIMIX社製、商品名:T.K HOMODisper(Model2.5))を用い、4000rpmで15分間攪拌を行った。その後、#2000紗にてろ過を行い、ダイヤモンド微粒子B/ウレタン樹脂分散液を得た。紗に凝集物は見られなかった。
誘電体多層膜を形成した面に、上記分散液を、ダイヤモンド粒子含有樹脂膜(散乱層)の厚さが100μmになるようにスライドビード塗布装置(三井電気精機製の卓上コーター、TC−3型)を用いて塗布した。その後、105℃のオーブンの中に30分間入れて乾燥させ、反射型スクリーンを作製した。
この反射型スクリーンは、アクリル板A/誘電体多層膜(光反射層)/ダイヤモンド粒子含有樹脂膜(散乱層)の構成であった。
実施例4AのエバファノールHA―170に代えて水系アクリル樹脂EK−61(サイデン化学製、不揮成分=36.5質量%に調整)を用いたこと以外は、実施例4Aと同様の方法で反射型スクリーンを作製した。
この反射型スクリーンは、アクリル板A/誘電体多層膜(光反射層)/ダイヤモンド粒子含有樹脂膜(散乱層)の構成であった。
アクリル板A(縦30cm×横30cm×厚み3mm)の一面に実施例4Aで用いたダイヤモンド微粒子/ウレタン樹脂分散液を実施例4Aと同じ方法で塗布、乾燥し、100μmの厚みのダイヤモンド粒子含有樹脂膜(散乱層)を形成した。さらに、前記散乱層の上に銅の薄膜(40nm)及び銀の薄膜(80nm)を真空蒸着法により順に形成し、光反射層を作製した。さらに前記散乱層の上に、多官能アクリレート(大日精化社製、EXF37)100質量部と、コロイダルシリカ(東芝シリコーン社製、UVHC―1105)10質量部と、トルエン270質量部とからなるハードコート剤塗工液を、バーコーターによって塗工し、加熱乾燥した後、300MJ/cm2で紫外線ランプを照射し、厚さ5μmのハードコート層を形成し、反射型スクリーンを作製した。
この反射型スクリーンは、アクリル板A/ダイヤモンド粒子含有樹脂膜(散乱層)/銅及び銀の蒸着膜(光反射層)/ハードコート層の構成であった。
実施例4A及び5Aの反射型スクリーンはダイヤモンド粒子含有樹脂膜(散乱層)の側から映像を投影し、実施例6Aの反射型スクリーンはアクリル板Aの側から映像を投影した。さらに映像の投影側と同じ側から人の姿を写し、鏡としての性能を目視で評価した。
(画像の鮮鋭性)
実施例4A〜6Aの結果は、実施例1A〜3Aと同等に良好なものであった。
(視野角)
実施例4A〜6Aの結果は、実施例1A〜3Aと同等に良好なものであった。
ダイヤモンド粒子(ビジョン開発製、メジアン径360nm)5gとメタノール95gを、超音波ホモジナイザーを用いて20℃で1時間分散し、5質量%のダイヤモンド粒子分散液(a)を用意した。さらにポリビニルピロリドン(PVP、キシダ化学製、重量平均分子量3.6×105)をメタノールに溶解し、20質量%のPVP溶液(b)を用意した。
(1)光反射層の形成
ガラス基板A(縦30cm×横30cm×厚み3mm)の一方の面に銅の薄膜(40nm)及び銀の薄膜(80nm)を真空蒸着法により順に形成した。
10gのダイヤモンド粒子(ビジョン開発製、メジアン径360nm)をニッケル製の反応管に入れ、フッ素ガスを流量15ml/min及びアルゴンガスを流量385ml/minで流通しながら400℃で120時間加熱し、ダイヤモンド粒子の表面をフッ素で修飾したフッ素化ダイヤモンド微粒子Aを作製した。得られたフッ素化ダイヤモンド微粒子Aのメジアン系は365nmであり、フッ素含有量はXPS及び元素分析の結果から12wt%であった。
ポリビニルブチラール樹脂(ブチラール化度:65.9モル%、アセチル基量:0.9モル%)100質量部に対し、可塑剤として40質量部のトリエチレングリコール−ビス−2−エチルブチレートと、3質量部のフッ素化ダイヤモンド微粒子Aを添加し、3本ロールミキサーにより約70℃で約15分間混練した後、型押出機を使って180℃で厚さ約0.3mmにフィルム化し、ロールに巻き取ることにより、フッ素化ダイヤモンド微粒子Aを含有する樹脂膜を得た。この樹脂膜を、光反射層を形成した透明なガラス基板A(縦30cm×横30cm×厚み3mm)と光反射層を形成していない透明なガラス基板B(縦30cm×横30cm×厚み3mm)の間に、ガラス基板A/銅蒸着膜(保護層)/銀の蒸着膜(光反射層)/ダイヤモンド粒子含有樹脂膜(散乱層)/ガラス基板Bの構成となるように挟み、これをゴムバックに入れて約2.7kPa(20Torr)の真空度で20分間脱気した後、脱気したままの状態で90℃のオーブンに移し、90℃で30分間保持しつつ真空プレスし、合わせガラスの予備接着を行った。予備接着された合わせガラスをオートクレーブに入れ、温度135℃、圧力約120N/cm2(12kgf/cm2)の条件で20分間本接着を行って反射型スクリーンを作製した。
ポリビニルブチラール100質量部及びトリエチレングリコール−ビス−2−エチルブチレート40質量部を含むメチルエチルケトン(MEK)溶液(ポリビニルブチラール:10質量%)に、実施例1Bで作製したフッ素化ダイヤモンド微粒子Aを2質量部添加し、十分攪拌した後、超音波洗浄器を用いて均一分散させた。フッ素化ダイヤモンド微粒子Aは、前記MEK溶液に良好に分散した。この溶液をガラス基板A(縦30cm×横30cm×厚み3mm)の一方の面にディップコート法により塗布及び乾燥し、200μmの厚みの散乱層を形成した。
光反射層、第1の保護層及び第2の保護層を設けなかった以外は実施例1Bと同様にして、ガラス基板A/ダイヤモンド粒子含有シリカ膜(散乱層)の構成を有する反射型スクリーンを作製した。
ダイヤモンド粒子を含有しない以外は実施例1Bと同様にして、ガラス基板A/シリカ膜/銀の蒸着膜(光反射層)/銅蒸着膜(第1の保護層)/防さび塗料層(第2の保護層)の構成を有する反射型スクリーンを作製した。
実施例1B〜3B及び比較例1B〜2Bの反射型スクリーンに、映像を投影し、同じ側(投影側)からスクリーンに映し出される映像を観察し、画像の鮮鋭性及び視野角を目視で評価した。なお実施例1B、3B及び比較例1B〜2Bの反射型スクリーンはガラス基板Aの側から映像を投影し、実施例2Bの反射型スクリーンはガラス基板Bの側から映像を投影した。さらに映像の投影側と同じ側から人の姿を写し、鏡としての性能を目視で評価した。
比較例1Bの反射型スクリーンは、観察する側の反対側(散乱層側)から光が入射したため投射された映像が全体的に白っぽく、輪郭が薄く観察された。比較例2Bの反射型スクリーンは、投射された映像の色合いがほとんど区別できず、輪郭がほとんど認識できなかった。これに対して、実施例1B〜3Bの反射型スクリーンは、投射された映像の発色が極めて鮮やかで、輪郭が極めてはっきりと見えた。
視野角は、スクリーンに投影された画像を投影側の斜め120°から観察し、目視で評価した。なお前記観察角度は、スクリーンの法線に対する角度である。その結果、比較例1Bの反射型スクリーンは、投射された映像の色合いがほとんど区別できず、輪郭がほとんど認識できなかった。比較例2Bの反射型スクリーンは、投射された映像がほとんど認識できなかった。これに対して、実施例1B〜3Bの反射型スクリーンは、投射された映像の発色が鮮やかで、輪郭がはっきりと見えた。
実施例1B〜3B及び比較例2Bの反射型スクリーンは、全て同様に鏡として像を映し出すことができたが、比較例1Bの反射型スクリーンは、鏡として像を映し出すことはできなかった。
200mlステンレスポットに、ダイヤモンド微粒子(ビジョン開発製、メジアン径360nm)を9質量部、水系ウレタン樹脂エバファノールHA―170(日華化学製、不揮成分:36.5質量%)を91質量部加えて、ホモミキサー(PRIMIX社製、商品名:T.K HOMODisper(Model2.5))を用い、4000rpmで15分間攪拌を行った。その後、#2000紗にてろ過を行い、ダイヤモンド微粒子B/ウレタン樹脂分散液を得た。紗に凝集物は見られなかった。
ガラス基板A(縦30cm×横30cm×厚み3mm)の一方の面に、上記分散液を、ダイヤモンド粒子含有樹脂膜(散乱層)の厚さが100μmになるようにスライドビード塗布装置(三井電気精機製の卓上コーター、TC−3型)を用いて塗布した。その後、105℃のオーブンの中に30分間入れて乾燥させた。次に散乱層の面にTiO2、SiO2を交互に真空蒸着法により蒸着させ、厚さ1μmの誘電体多層膜を形成し、反射型スクリーンを作製した。
この反射型スクリーンは、ガラス基板A/ダイヤモンド粒子含有シリカ膜(散乱層)/誘電体多層膜(光反射層)の構成であった。
実施例4Bの反射型スクリーンはガラス基板Aの側から映像を投影した。さらに映像の投影側と同じ側から人の姿を写し、鏡としての性能を目視で評価した。
(画像の鮮鋭性)
実施例4Bの結果は、実施例1B〜3Bと同等に良好なものでした。
(視野角)
実施例4Bの結果は、実施例1B〜3Bと同等に良好なものでした。
Claims (8)
- 投射光により画像を表示するとともに鏡として利用可能な反射型スクリーンであって、
基板と、
前記基板上に設けられた可視光を反射する光反射層と、
前記光反射層の上に設けられた前記投射光を散乱させる散乱層とを有し、
前記散乱層がダイヤモンド粒子及び/又は金属系無機粒子からなる光散乱体を含有することを特徴とする反射型スクリーン。 - 投射光により画像を表示するとともに鏡として利用可能な反射型スクリーンであって、
透明基板と、
前記透明基板上に設けられた前記投射光を散乱させる散乱層と、
前記散乱層の上に設けられた可視光を反射する光反射層とを有し、
前記散乱層がダイヤモンド粒子及び/又は金属系無機粒子からなる光散乱体を含有することを特徴とする反射型スクリーン。 - 請求項2に記載の反射型スクリーンにおいて、前記光反射層の上に、前記光反射層に隣接して設けられた保護層をさらに有していることを特徴とする反射型スクリーン。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の反射型スクリーンにおいて、前記光反射層が金属薄膜又は誘電体多層膜からなることを特徴とする反射型スクリーン。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の反射型スクリーンと、前記反射型スクリーンに映像又は動画を投影する映写装置と、前記スクリーンを振動体として音を生じさせる機能を有する振動スピーカーとを有することを特徴とする映像表示システム。
- 請求項5に記載の映像表示システムにおいて、前記反射型スクリーンがタッチセンサー機能を有していることを特徴とする映像表示システム。
- 請求項5又は6に記載の映像表示システムにおいて、さらに周辺の音を集音する集音装置と、音の位相を反転させる位相反転器とを有していることを特徴とする映像表示システム。
- 請求項5〜7のいずれか一項に記載の映像表示システムにおいて、さらに通信機能を有していることを特徴とする映像表示システム。
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