JP6967443B2 - 光散乱体形成用組成物、光散乱体、シート状積層体、投影スクリーン、及び画像表示システム - Google Patents

光散乱体形成用組成物、光散乱体、シート状積層体、投影スクリーン、及び画像表示システム Download PDF

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本発明は、光散乱体形成用組成物、光散乱体、シート状積層体、投影スクリーン、及び画像表示システムに関する。
投影スクリーンとして、光透過性のある透明スクリーンが知られており、反射型(反射モード)投影の透明スクリーンや透過型(透過モード)投影の透明スクリーンなどが用いられている。従来、透明スクリーンには、光散乱体として、光学レンズ光散乱板のような微小なレンズ構造をフィルム上に形成したものや、フィルム内部に高屈折率微粒子若しくは低屈折率のエアロゲル等の透明光散乱体を有し、ある程度の透過性を維持しつつ、光を散乱させるものが用いられてきた。更に、2枚のガラスの間にホログラムシートを封入した合わせガラスタイプ、高屈折率微細粒子を透明基材に練りこんだパネルタイプなどの光散乱体も開発されてきた。
近年、LED照明、屋内外の広告宣伝で使われるデジタルサイネージ、店舗のショーウィンドウ、ホームシアター、ポスター、イベントでの大型画像投影などにおいて、デジタル画像情報や広告等を投影表示する要望が高まってきている。また、自動車のフロントガラスにナビゲーションや位置情報等を投影するヘッドアップディスプレイやウェアラブルディスプレイ等に用いられる透明スクリーンの需要は、ますます高まると言われている。これらの用途に適用される光散乱体は、背景の視認性を損なわない透明性を有しながらも投影画像が十分に鮮明であることが求められる。しかし、光散乱体の全光線透過率を高めると投影画像の鮮明性が低下する傾向にあり、透明性と投影画像の鮮明性との両立は難しい。
光散乱体或いは透明スクリーンに関する技術については、これまでにも種々の検討がなされている。例えば、下記特許文献1には、高い光線透過性及び高い光散乱性を得ることを目的として、樹脂よりも屈折率が0.01〜0.1小さく平均粒子径が1〜10μmである透明物質粉末を分散させた光散乱性合成樹脂が提案されている。また、下記特許文献2には、高い透過視認性と良好な散乱反射性との両立を目的として、基板と、基板上に設けた透明薄膜層と、透明薄膜層に含まれるメジアン径0.01〜1μmの光散乱体からなり、光散乱体が、爆射法で得られたグラファイト相を有するナノダイヤモンドを酸化処理して得られたダイヤモンド微粒子であることを特徴とする透過型スクリーンが提案されている。
さらに、透過型スクリーンに集光レンズを搭載し、画像の鮮明性を向上させている事例もある(例えば、下記特許文献3参照)。また、下記特許文献4には、スクリーン用途に適した反射・透過特性を得るために、フッ素系樹脂からなる低屈折率光学膜と、金属酸化物の微粒子と特定の分散剤とを含有する高屈折率光学膜とからなる塗布型光学積層膜が積層された光学多層膜が提案されており、かかる光学多層膜を備える反射スクリーンも開示されている。
特公昭60−021662号公報 特開2011−113068号公報 特開2007−240686号公報 特開2005−99675号公報
特許文献1に記載の光散乱性合成樹脂を用いたスクリーンは、光透過率が低く、透明性が十分でないという技術的課題がある。特許文献2に記載の透過型スクリーンは、全光線透過率を高めると投影画像の明度が低下し、両者を高水準で両立させることは困難であるという技術的課題がある。特許文献3に記載の透過型スクリーンは、集光レンズの搭載によって透明性が著しく損なわれるという技術的課題がある。特許文献4に記載の反射スクリーンは、各層の界面で光が反射し、透明性が低下するという技術的課題がある。
本発明は、上記の技術的課題に鑑みてなされたものであり、投影スクリーンにおける透明性と投影画像の鮮明性とを高水準で両立することができる光散乱体及びそれを形成することができる光散乱体形成用組成物、並びに、透明性と投影画像の鮮明性とを高水準で両立することができる投影スクリーン及びそれを備える画像表示システムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、光透過率の高い樹脂中に、樹脂に対して特定の屈折率差を有する特定の粒子を2種類、特定の割合で分散させた光散乱体が、樹脂の高い光透過率を十分維持しつつ投影画像の鮮明性を高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、樹脂と、メジアン径が50nm以上360nm以下である第1の粒子と、メジアン径が500nm以上1.5μm以下であり、ダイヤモンド構造を有する第2の粒子と、を含有し、第1の粒子及び第2の粒子の合計含有量が、樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20.0質量部以下であり、第1の粒子の粒子数Mと第2の粒子の粒子数Mとの粒子数比M/Mが、100以上5000以下であり、樹脂は、厚さ20μmにおける全光線透過率が80%以上である光散乱体形成用組成物を提供する。
本発明の光散乱体形成用組成物によれば、投影スクリーンにおける透明性と投影画像の鮮明性とを高水準で両立することができる光散乱体を形成することができる。
本発明の光散乱体形成用組成物によって上記の効果が奏される理由について本発明者らは以下のとおり考えている。まず、基材上に組成物を塗布し硬化させることにより、全光線透過率の高い樹脂が媒体となり、この樹脂媒体中に上記の第1の粒子及び第2の粒子が分散された光散乱体を形成することができる。そして、この光散乱体において、(1)可視光波長より小さな粒子である第1の粒子によってレイリー散乱を発生させることができ、(2)可視光波長より大きな粒子である第2の粒子によってミー散乱を発生させることができ、更に、(3)第1の粒子及び第2の粒子の合計含有量と粒子数比とが特定の範囲に設定されていることによって、入射光に対して光の損失を小さくしながらも局所的に強いミー散乱が少量の第2の粒子によって得られ、このミー散乱光がその周辺に存在する多量の第1の粒子によって等方的に多重散乱されることにより、透明性と投影画像の鮮明性とを高水準で両立することができたものと本発明者らは考えている。
なお、レイリー散乱とは光の波長よりも小さいサイズの粒子(光の波長の1/10程度)による光の散乱であり、散乱強度は光の波長の4乗に反比例することや、ミー散乱とは光の波長程度以上の大きさの粒子による光の散乱現象であり、散乱強度は波長に大きくは依存しないこと、多数の粒子が不規則に散在するときのティンダル現象はミー散乱によって起こること、などは知られている。しかし、レイリー散乱が主体の光散乱を利用して透明な散乱体に結像させようとすると、光の透過率が高くなるが、画像の鮮明性が悪く、散乱光が波長に依存してしまうので、画像のブルーシフト(青みを帯びる)も起きる。一方、ミー散乱が主体になると、散乱光の強度は高くなるが、光の透過率は低下して、十分な透明性が得られない。そのため、例えば、光を散乱する粒子にダイヤモンドのような高屈折率の粒子を用い、粒子のメジアン径を可視光波長の下限以下である150nm〜300nmにしても、透明光散乱体の透明性と画像の鮮明性との両立には限界がある。本発明は、従来技術が有する上記課題に着目した本発明者らの検討に基づくものである。
本発明の光散乱体形成用組成物において、樹脂の屈折率n、第1の粒子の屈折率n、及び第2の粒子の屈折率nが、下記式(1)で表される条件を満たすことが好ましい。
0.15<|n−n|≦n−n<1.15 …(1)
本発明の光散乱体形成用組成物において、上記第1の粒子及び上記第2の粒子がダイヤモンドであって、炭素濃度が90質量%以上であることが好ましい。
本発明はまた、樹脂を含む樹脂媒体と、樹脂媒体中に分散している、メジアン径が50nm以上360nm以下である第1の粒子と、樹脂媒体中に分散している、メジアン径が500nm以上1.5μm以下であり、ダイヤモンド構造を有する第2の粒子と、を含有する光散乱体であって、第1の粒子及び第2の粒子の合計含有量が、樹脂媒体100質量部に対して、0.01質量部以上20.0質量部以下であり、第1の粒子の粒子数Mと第2の粒子の粒子数Mとの粒子数比M/Mが、100以上5000以下であり、光散乱体の全光線透過率が80%以上である光散乱体を提供する。
本発明の光散乱体によれば、投影スクリーンにおける透明性と投影画像の鮮明性とを高水準で両立することができる。
本発明の光散乱体において、樹脂媒体の屈折率n、第1の粒子の屈折率n、及び第2の粒子の屈折率nが、下記式(1)で表される条件を満たすことが好ましい。
0.15<|n−n|≦n−n<1.15 …(1)
本発明の光散乱体において、上記第1の粒子及び上記第2の粒子がダイヤモンドであって、炭素濃度が90質量%以上であることが好ましい。
本発明はまた、基材と、該基材上に設けられた上記本発明に係る光散乱体からなる光散乱層とを備えるシート状積層体を提供する。
本発明のシート状積層体によれば、本発明に係る光散乱体からなる光散乱層を備えることにより、透明性と投影画像の鮮明性とを高水準で両立する投影スクリーンの実現が可能となる。また、本発明のシート状積層体は、下部に重量物を設ける(例えば、1kg重以上500kg重以下の力を掛ける)ことによって投影面の平坦性を維持することが可能であり、投影画像の歪みを無くすことが容易にできる。
本発明のシート状積層体は、少なくとも一方の最表面に、硬度が2H以上の樹脂層を更に備えることができる。このようなシート状積層体は、マーカーペン等での書き込み及び専用のスポンジ製イレーサー等での書き込みの消去が可能となる。
本発明のシート状積層体において、上記基材が曲面を有するものであってもよい。
本発明はまた、上記本発明に係るシート状積層体を備える投影スクリーンを提供する。本発明の投影スクリーンは、透明性と投影画像の鮮明性とを高水準で両立することができる。また、本発明の投影スクリーンによれば、透過像及び反射像のいずれにおいても十分な鮮明性を得ることができる。すなわち、本発明の投影スクリーンは、透過型透明スクリーンであってもよく、反射型透明スクリーンであってもよい。また、本発明の投影スクリーンは、透過像と反射像とを同時に投影することができる。
本発明の投影スクリーンは、シート状積層体をロール状にして収納できる収納手段を更に備えるものであってもよい。
本発明の投影スクリーンは、本発明に係るシート状積層体2つが、互いの光散乱層が対向し、互いの光散乱層の間にそれぞれの光散乱層よりも屈折率が小さい低屈折率媒体が介在する状態で配置された構造を有するものであってもよい。このような投影スクリーンによれば、空間コヒーレント性画像ノイズを減少させることができる。
本発明はまた、画像を投影する画像投影手段と、上記本発明に係る光散乱体、上記本発明に係るシート状積層体又は上記本発明に係る投影スクリーンとを備える画像表示システムを提供する。
本発明の画像表示システムによれば、例えば、加工又は手術などの作業時に、対象物又は患部と作業者との間に、光散乱体が設けられた透明部材、シート状積層体又は投影スクリーンを設置することで、作業者が対象物や患部を観察する際、対象物や患部の背景像に外部からの文字や画像による情報を作業者に表示して提供することができる。
本発明の画像表示システムは、人又は物の接近を検出する検出手段と、検出手段からの情報に基づき人又は物が接近したと判定した場合に画像投影手段から光散乱体又は投影スクリーンに画像を投影する手段とを更に備えるものであってもよい。このようなシステムによれば、人又は物が接近したときに情報の提供や警告の表示を行うことができる。
本発明によれば、投影スクリーンにおける透明性と投影画像の鮮明性とを高水準で両立することができる光散乱体及びそれを形成することができる光散乱体形成用組成物、並びに、透明性と投影画像の鮮明性とを高水準で両立することができる投影スクリーン及びそれを備える画像表示システムを提供することが可能となる。
本発明の光散乱体の一実施形態を示す模式断面図である。 本発明のシート状積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の投影スクリーンの一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の画像表示システムの一実施形態を示す模式断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[光散乱体]
本実施形態の光散乱体は、樹脂媒体(以下、樹脂媒体を構成する樹脂を(A)成分という場合もある)と、樹脂媒体中に分散している、メジアン径が50nm以上360nm以下である第1の粒子(以下、(B)成分という場合もある)と、樹脂媒体中に分散している、メジアン径が500nm以上1.5μm以下であり、ダイヤモンド構造を有する第2の粒子(以下、(C)成分という場合もある)と、を含有する。
本明細書においてメジアン径とは、粒子の体積基準での50%メジアン径をいい、動的散乱方式の粒度分布計(例えば、堀場製作所社製、LA−960)を用いて測定される。
図1は、本実施形態の光散乱体を示す模式断面図である。図1に示される光散乱体10は、樹脂媒体3と、樹脂媒体3中に分散している第1の粒子1及び第2の粒子2を含有する。
樹脂媒体は、樹脂を含む樹脂用組成物から形成されるものであってもよい。
樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられ、具体的には、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、ポリウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、アセタール樹脂、ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスルホン樹脂、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂;エポキシアクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
樹脂媒体は、成形性の観点から、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
上記樹脂用組成物は、分散性の観点から、水分散系であることが好ましい。その場合、樹脂として、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などを含むことができる。
樹脂媒体の屈折率は、光散乱効率の観点から、1.28以上1.80以下であることが好ましく、1.30以上1.60以下であることがより好ましい。本明細書において屈折率は、ナトリウムランプの波長589.3nmでの計測値を指す。
樹脂媒体の厚さ20μmにおける全光線透過率は、透明スクリーンを製造する際の透明性の観点から、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。また、樹脂媒体の全光線透過率は、材料の物理的制約の点から、99%以下であってもよい。
第1の粒子は、メジアン径がレイリー散乱の上限である50nm以上、JIS Z8120で規定される可視光波長域の下界である360nm以下に設定されており、光散乱の主体となる。第1の粒子は、視認性の観点から、70nm以上300nm以下がより好ましい。
第1の粒子の材質としては、特に限定はされるものではないが、具体的には、ダイヤモンド;酸化ジルコニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化セシウム、酸化クロム、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化インジウムスズ、酸化タンタル等の金属酸化物;アルミニウム、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、クロム、亜鉛、タングステン、水銀、プラチナ、モリブデン等の金属;ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、セルロース樹脂等の樹脂などであってよい。これらの中でも、視認性の観点から、樹脂の屈折率をn、第1の粒子をn、第2の粒子をnとしたときに、0.15<|n−n|≦n−n<1.15の関係を満たすものが好ましく、屈折率が1.8以上であるダイヤモンド、金属酸化物、及び金属がより好ましく、視野角を広くすることができる観点から、ダイヤモンドが更に好ましい。
ダイヤモンドとしては、製造方法や精製方法により、多種存在するが、いずれも用いることができる。例えば、高圧合成ダイヤモンド、爆轟合成ダイヤモンド、及び気相成長ダイヤモンド等の合成ダイヤモンド、並びに、天然ダイヤモンドなどが挙げられる。高圧合成ダイヤモンドとは、炭素に外部から超高圧を掛けることでダイヤモンドを合成する方法である。爆轟合成ダイヤモンドとは、閉じた鋼鉄製のチャンバー内でTNT火薬やヘキソーゲンなどの爆薬を爆発させてダイヤモンドを合成する方法である。
また、ダイヤモンドは、結晶の構造形態として、単結晶ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、複合体としての複合ダイヤモンドの3つに分類されるが、いずれも用いることができる。第1の粒子は、全光線透過率の観点から、単結晶ダイヤモンドが好ましい。
多結晶ダイヤモンドは、原料としてグラファイトを用いて合成したものを用いてもよい。また、ダイヤモンド結晶の対称構造については、単結晶ダイヤモンドでは立方晶系のダイヤモンド構造であるが、多結晶ダイヤモンドの中には、結晶の対称性として立方晶系のダイヤモンド構造に六方晶系のロンズデーライト(Lonsdaleite)構造が混じったものがある。ロンズデーライト構造を有する多結晶ダイヤモンドは、立方晶系のダイヤモンド構造よりもビッカース硬度が高く、屈折率は同じでも、結晶の内部構造による光学的な散乱効率が高い。複合ダイヤモンドでは、単結晶ダイヤモンドの表面に多結晶ダイヤモンド、グラファイト、DLC(Diamond like carbon)を複合的に形成している。これらのいずれを用いてもよい。
爆轟合成ダイヤモンドは、単結晶ダイヤモンド及び多結晶ダイヤモンドのいずれも表面に薄いグラファイト層を有しており、さらにそのグラファイト相に水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの化学官能基があるため、液体への分散性が高い。天然のダイヤモンドは、液体への分散性が高いものがある。
第1の粒子は、炭素濃度が90質量%以上である、ダイヤモンド構造を有する粒子が好ましい。このような粒子は、金属不純物が少なく好ましい。
共有結合するような原子として、IV族元素のダイヤモンド(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などがある。これらは、最外殻電子(価電子)4個を持ち、最近接原子数(配位数)4、第2隣接原子数(次に隣接する原子の総数)12で正四面体結合する構造をとることができる。このような構造をダイヤモンド構造といい、このダイヤモンド構造が含まれる粒子を「ダイヤモンド構造を有する粒子」という。
本明細書おいて、粒子の炭素濃度は、粒子に含まれる酸素及び窒素の濃度が0.5質量%以下であると仮定した熱重量分析にて燃焼前後の重量変化(ΔM)を測定することにより算出される。すなわち、熱重量分析における、(粒子の全重量)−(残留灰化物重量)を炭素含有量とし、以下の計算式より炭素濃度が算出される。
炭素濃度(%)=[(粒子の全重量)−(残留灰化物重量)/(粒子の全質量)]×100
第1の粒子は、ダイヤモンド構造由来の炭素濃度が90質量%以上である粒子が更に好ましい。このような粒子は、黒色を呈するグラファイト濃度が低く、好ましい。ダイヤモンド構造由来の炭素濃度は、XRDを用いて測定することができる。
第2の粒子は、メジアン径が500nm以上1.5μm以下に設定されている。これにより、可視光のミー散乱を有効に発生させることができる。第2の粒子は、視認性の観点から、550nm以上1.0μm以下がより好ましい。
第2の粒子は、炭素濃度が90質量%以上である、ダイヤモンド構造を有する粒子が好ましい。このような粒子は、金属不純物が少なく好ましい。
第2の粒子は、ダイヤモンド構造由来の炭素濃度が90質量%以上である粒子が更に好ましい。このような粒子は、黒色を呈するグラファイト濃度が低く、好ましい。
本実施形態の光散乱体において、第1の粒子及び第2の粒子の合計含有量は、投影画像の明度やスクリーンの透明性向上の観点から、樹脂媒体100質量部に対して、0.01質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、2質量部以上15.0質量部以下であることがより好ましい。
また、第1の粒子の粒子数Mと第2の粒子の粒子数Mとの粒子数比M/Mが、100以上5000以下であることが好ましく、200以上3000以下であることがより好ましい。なお、M/Mは、体積密度換算によって算出することもできる。
第1の粒子及び第2の粒子が真円球と仮定して、第1の粒子の真の比重ρ[g・cm−3]、メジアン径r[μm]、光散乱体の配合量C[g]とし、第2の粒子の真の比重ρ[g・cm−3]、メジアン径r[μm]、光散乱体の配合量C[g]とした場合、第1の粒子の粒子数(M)及び第2の粒子の粒子数(M)はそれぞれ、
=[3/4×1012×C]÷[ρ×π×(r/2)]、及び
=[3/4×1012×C]÷[ρ×π×(r/2)
で表され、粒子数比M/Mは、
/M=(C×ρ×r )/(C×ρ×r
の式から求められる。
本実施形態の光散乱体において、樹脂媒体、第1の粒子及び第2の粒子は、樹脂媒体の屈折率n、第1の粒子の屈折率n、及び第2の粒子の屈折率nが、下記式(1)で表される条件を満たすように選択される。
0.15<|n−n|≦n−n<1.15 …(1)
樹脂媒体、第1の粒子及び第2の粒子として、それぞれ、上述した樹脂成分、ダイヤモンド及びダイヤモンド構造を有する粒子を用いることにより、上記式(1)の条件を満たすことができる。この場合、樹脂媒体と、第1の粒子及び第2の粒子との屈折率差が十分に得られ、光透過率の高い樹脂媒体の中において、第1の粒子及び第2の粒子による光の散乱効率を高めることができる。
本実施形態の光散乱体は、シート状であることが好ましく、その厚さは、透明性の観点から、1〜50μmが好ましく、2〜30μmがより好ましい。なお、光散乱体の厚みは、マイクロメーター(ミツトヨ社製、MDH−25M)を用いて測定される。
本実施形態の光散乱体は、全光線透過率が75%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
本実施形態の光散乱体は、CIE1976(L、a、b)色空間における明度L値(20°入射、0°透過の配置で計測)が0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましい。
本実施形態の光散乱体は、例えば、剥離基材上に、後述する光散乱体形成用組成物を塗布する工程と、塗膜を乾燥又は硬化してシート状の光散乱体を形成する工程とを備える方法によって得ることができる。
剥離基材は、通常の剥離基材として用いるものであれば特に限定されないが、上質紙、アーク紙、ミラーコート紙、不織布、アルミ泊、金泊、銀泊、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリビニルアセテートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。また、剥離基材から光散乱体が剥がしやすいように剥離基材表面にシリコーン加工、ポリエチレンラミネート加工、クレーコーティング、離型剤の塗布等の表面処理を行っていてもよい。
<シート状積層体>
図2は、シート状積層体の一実施形態を示す模式断面図である。図2に示される本実施形態のシート状積層体20は、基材4と、該基材4上に設けられた上記本実施形態の光散乱体10からなる光散乱層とを備える。
シート状積層体が反射型透明スクリーンとして用いられる場合、基材としては、光学特性を阻害するものでなければ特に限定されるものではないが、具体的には、ケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス等の酸化ガラス;ケイ酸ガラス、ケイ酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、鉛ガラス、バリウムガラス、ホウケイ酸ガラス等のケイ酸塩ガラス;ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニル系樹脂等のプラスチック;石英;酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化インジウウムスズ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等の金属酸化物;鉄鋼、炭素鋼、クロム−モリブデン鋼、アルミ合金、ステンレス合金、銅合金、チタン合金等の合金;金、銀、銅、亜鉛、鉄、アルミニウム、白金、鉛、パラジウム等の金属;綿、麻等の植物繊維;絹、羊毛、アルパカ、アンゴラ、カシミヤ、モヘア等の動物繊維;レーヨン、ポリアセテート、プロミックス、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等の合成繊維;ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維等の無機繊維等が挙げられる。
シート状積層体が透過型透明スクリーンとして用いられる場合、基材としては、光学特性を阻害するものでなければ特に限定されるものではないが、具体的には、ケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス等の酸化ガラス;ケイ酸ガラス、ケイ酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、鉛ガラス、バリウムガラス、ホウケイ酸ガラス等のケイ酸塩ガラス;ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニル系樹脂等のプラスチック;石英;綿、麻等の植物繊維;絹、羊毛、アルパカ、アンゴラ、カシミヤ、モヘア等の動物繊維;レーヨン、ポリアセテート、プロミックス、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等の合成繊維;ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維等の無機繊維等が挙げられる。
基材の厚みは、特に限定されないが、強度や経済性の観点から、10μm〜50mmが好ましく、20μm〜30mmがより好ましい。
光散乱層は、上述した本実施形態の光散乱体からなり、後述する光散乱体形成用組成物を用いて形成することができる。
光散乱層の厚さは、シート状積層体の透明性の観点から、1〜50μmが好ましく、2〜30μmがより好ましい。光散乱層の厚さは、マイクロメーター(ミツトヨ社製 MDH−25M)を用いて測定することができる。
本実施形態のシート状積層体は、少なくとも一方の最表面に、膜の強度を上げるための公知のハードコート層、拡散防止層、帯電防止層、指紋防止フィルム層、又は艶消し層を設けることができる。
また、本実施形態のシート状積層体は、少なくとも一方の最表面に(例えば基材の光散乱層が設けられている側とは反対側の面上又は光散乱層の基材とは反対側の面上に)、硬度が2H以上の樹脂層を更に備えることができる。このようなシート状積層体は、背景像と、プロジェクターによる投影画像を同時に見ながら、シート状積層体上にマーカーペン等での書き込み及び専用のスポンジ製イレーサー等での書き込みの消去が可能となる。
硬度が3H以上の樹脂層は、例えば、硬質アクリル樹脂、アクリル酸エステル共重合体、ウレア架橋ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂などの材料を光散乱層上に塗布し、乾燥又は硬化させることにより形成できる。また、硬度が3H以上の樹脂層は、塩化ビニルシート、フッ素樹脂シート、シリコーン樹脂シート、ポリエステル樹脂シート、ポリエチレンテレプタレート樹脂シート、セルロース樹脂シート、ナイロン樹脂シート、酢酸ビニル共重合体樹脂シートなどの樹脂フィルムを光散乱層に貼り合わせることによっても設けることができる。
本実施形態のシート状積層体は、投影画像を投影するときに反射型及び透過型のいずれにおいても用いることができる。なお、透過型の場合、基材は透明であることが好ましい。
本実施形態のシート状積層体は、後述する光散乱体形成用組成物に、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、メラミンシアヌレート、ベストボロン、ソウファなどの難燃剤を適量添加し、基材として、難燃性の塩化ビニル、難燃性ポリエチテンレテフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、アラミドフィルム、難燃性ポリカーボネートフィルムなどを採用することで、難燃性に優れたシート状積層体にすることができる。
本実施形態のシート状積層体は、例えば、基材上に、樹脂用組成物、第1の粒子、及び第2の粒子を含む光散乱体形成用組成物を塗布する工程と、塗膜を乾燥又は硬化する工程と、を備える方法によって製造することができる。また、別の方法として、基材上に、シート状の光散乱体をラミネートする工程とを備える方法が挙げられる。
<光散乱体形成用組成物>
本実施形態の光散乱体形成用組成物は、上述した、樹脂と、第1の粒子と、第2の粒子と、を含有し、第1の粒子及び第2の粒子の合計含有量が、樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20.0質量部以下であり、第1の粒子の粒子数Mと第2の粒子の粒子数Mとの粒子数比M/Mが、100以上5000以下であり、樹脂は、厚さ20μmにおける全光線透過率が80%以上である。
本実施形態の光散乱体形成用組成物は、樹脂の屈折率n、第1の粒子の屈折率n、及び第2の粒子の屈折率nが、上記式(1)で表される条件を満たすことが好ましい。
本実施形態の光散乱体形成用組成物は樹脂用組成物を含有することができる。
樹脂用組成物は、上述した本実施形態に係る光散乱体における樹脂媒体を形成するための樹脂用組成物と同様のものを用いることができる。また、樹脂用組成物は、上述した樹脂に代えて又は併用して、当該樹脂を形成することができるモノマーと、必要に応じて開始剤又は硬化剤とを含有するものであってもよい。
光散乱体形成用組成物における樹脂用組成物の含有量は、分散性の観点から、光散乱体形成用組成物全量を基準として、25〜99.75質量%が好ましく、30〜99質量%がより好ましい。
光散乱体形成用組成物における第1の粒子及び第2の粒子の合計含有量は、分散性の観点から、樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20.0質量部以下であり、2.0質量部以上15.0質量部以下が好ましい。
光散乱体形成用組成物は、必要に応じて、第1の粒子及び第2の粒子以外の無機粒子、有機粒子、金属粒子、金属酸化物粒子、溶剤、重合開始剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、防腐剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、シリコーン消泡剤、レベリング剤、増粘剤、沈殿防止剤、垂れ防止剤、難燃剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤、有機・無機顔料・染料の各種添加剤、添加助剤、帯電防止剤、艶消し剤等を含むことができる。
溶剤としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、ノナン、オクタン、イソオクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶剤;ジメチルケトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステル系溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート等のエステル系溶剤;アセトニトリル等のニトリル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アルコキシ−N−イソプロピル−プロピオンアミド、ヒドロキシアルキルアミドなどの脂肪族アミド系溶剤;N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−ピロリドンなどの脂環族アミド系溶剤;水などが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合開始剤としては、アゾ化合物、過酸化物等の熱ラジカル重合開始剤;ベンゼンスルホン酸エステル化合物、アルキルスルホニウム塩等の熱カチオン重合開始剤;ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物等の光重合開始剤等が挙げられる。
光散乱体形成用組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、樹脂用組成物に、第1の粒子及び第2の粒子を添加し、分散させる方法が挙げられる。
第1の粒子及び第2の粒子を分散させる方法としては、例えば、従来公知の混合、分散方法等が挙げられる。第1の粒子及び第2の粒子をより確実に分散させるためには、分散機を用いて分散処理を行うことが好ましい。
分散機としては、例えば、ディスパ、ホモミキサ、プラネタリーミキサー(PRIMIX社「フィルミックス」)、自転公転ミキサー(シンキー社製「あわとり練太郎」等)等のミキサー類;ホモジナイザ(エム・テクニック社製「クレアミックス」);ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル等のメディア型分散機;湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等);メディアレス分散機(エム・テクニック社製「クレアSS―5」、奈良機械社製「MICROS」等);その他ロールミル等が挙げられる。
分散処理した光散乱体形成用組成物(分散液)は、コーティング剤として用いることができる。例えば、アクリル樹脂立体成型物、ポリカーボネート樹脂立体成型物、ガラス板、光学レンズ、光学反射ミラー、光ファイバー用光コネクターなどの部材の表面に光散乱体をコーティングすることができ、この場合、立体投影、光散乱によるダイレクトビーム除去効果、光学結合率の向上などを実現することができる。
分散液の塗布方法は、特に限定されないが、剥離基材又は基材の形状に応じて適宜選択することができ、例えば、スライドビード方式、スライドカーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式、エアーナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等が挙げられる。
形成された塗膜を乾燥又は硬化する方法としては、温風乾燥機や赤外線乾燥機等で加熱する方法を用いることができる。樹脂用組成物が水系エマルジョンの場合、エマルジョン分散している水分を温風乾燥機や赤外線乾燥機等で加熱して、塗膜に含まれる水分を蒸発させて樹脂を硬化することができる。樹脂用組成物がモノマー及び重合開始剤を含む場合は、必要に応じて、塗膜を加熱して塗膜中の溶剤を除去した後に、紫外線、電子線、赤外線、可視光線、X線、α線、γ線、重粒子線等の活性エネルギー線を照射してモノマーを重合し、高分子化することにより、塗膜を硬化することができる。
光散乱体が剥離基材上に形成された場合、光散乱体を剥離基材から剥がすことで、シート状の光散乱体を得ることもできる。剥離基材からはがす方法としては、特に限定されないが、例えば、シール剥離、物理的剥離、剥離剤添加等が挙げられる。
剥離基材上に形成されたシート状の光散乱体を、基材上にラミネートする方法としては、光学粘着剤や光学接着剤による接合や熱溶融接合などが挙げられる。
本実施形態のシート状積層体は、全光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。また、本実施形態のシート状積層体は、光拡散層の厚みを20μmとしたときに、全光線透過率が80%以上であってもよく、85%以上であってもよい。
本実施形態のシート状積層体は、CIE1976(L、a、b)色空間における明度L値(20°入射、0°透過の配置で計測)が0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましい。
(干渉のノイズ低減)
ところで、基材がフィルム状の場合、基材表面と基材と光散乱体との界面で入射光に対する投影画像にモアレ縞等の光学干渉の画像ノイズが起きやすく、画像の視認性を低下させることがある。特に、レーザー光源を有するレーザープロジェクターやレーザー照明投影において顕著である。
これに対し、本実施形態の光散乱体形成用組成物から形成される光散乱層を備えるシート状積層体は、分散された第1の粒子と第2の粒子の影響で、光散乱層の表面には凹凸構造が形成される。この凹凸構造により、光干渉条件を崩すことができ、投影画像にモアレ縞等の光学干渉の画像ノイズが目視で観測されにくくすることができる。すなわち、光学干渉ノイズの少ない光学画像性能を有するシート状積層体、それを備える投影スクリーン(特には透明スクリーン)を実現することができる。
(フォーカシング用スクリーンへの応用)
第1の粒子と第2の粒子の2種類の粒子を分散させた透明光散乱体では、樹脂媒体中に分散されていたとしても、光散乱体の表面に凹凸構造が生まれる。この凹凸構造は、光散乱の主体である第1の粒子及び第2の粒子が二次元面でランダムパターンを形成している。このランダムパターンとは、広範囲における配列においては一定のパターンを有しておらずランダムに配置されている状態のことを意味する。この構造的凹凸構造は、平均的な光学的効果としても、ランダム性を有していることになる。このような光学的なランダムパターンを一般的な工業的な加工方法、例えばフォトマスクによるエッチングや機械加工などで作製するのは、一般的に難しい。
しかしながら、本実施形態の光散乱体形成用組成物によれば、第1の粒子及び第2の粒子をランダムに分散させて容易に光学的なランダムパターンを構成することができる。形成される構造的凹凸構造においては、物理的なランダム配置が光学特性のランダム性へ反映させて得られることになり、モアレや、回折によるボケ味の不自然さ及び色ムラが発生せず、かつ粒状感がない分散性が得られる。また、本実施形態においては、第1の粒子と第2の粒子の粒径が制御されているため、局所的な凹凸形状の差異が小さく、投影画像の粒状感やギラツキの発生も低減できるというメリットがある。
例えば、カメラのフォーカシング用スクリーンには、マット面となる透明光散乱体が、片方の面に形成されているが、マット面は従来、砂摺りやサンドブラストによリ形成された散乱体を使用することが多かった。本実施形態に係る透明光散乱体をフォーカシン用グスクリーンに利用した場合は、透明光散乱体のランダムパターンを導入することによって、モアレや、回折によるボケ味の不自然さ及び色ムラが発生せず、かつ粒状感がない画像が、エッチング等の加工工程を経ずに容易に得られることになる。
<投影スクリーン>
本実施形態の投影スクリーンは、上述した本実施形態の光散乱体、又は、上述した本実施形態のシート状積層体を備える。本実施形態の投影スクリーンは、透明スクリーンとすることができる。また、透明スクリーンは、光源に対し透過する側から画像を認識できる透過型透明スクリーンとしてもよく、光源に対し反射する側から画像を認識できる反射型透明スクリーンとしてもよい。
本実施形態の投影スクリーンは、光散乱体単独、又は、シート状積層体単独で構成することが可能であるが、投影源により画像を投影する際、光散乱体又はシート状積層体を空間に固定できる機能を有していることが好ましい。
具体的には、シート状積層体の上部全体又は一部に固定金具を取り付けることができる。また、固定機能は、画像にボケや歪がでないように、シート状積層体がたわみなく平面に維持できるものが好ましい。
本実施形態の投影スクリーンは、シート状積層体をロール状に収納できる収納手段を有していることが好ましい。収納手段としては、巻取り方収納装置が挙げられる。この場合、投影スクリーンを使用しないときにシート状積層体の画像投影部を保護することができ、収納性、保管性、携帯性、搬送性などを向上させることができる。
本実施形態の投影スクリーンは、風や振動などにより、投影面のたわみや歪が発生することを抑制するために、シート状積層体の下部に重量物を有していてもよい。重量物として、1kg重以上500kg重以下の力を掛けることによって、画像投影面の平坦性を維持し、投影画像の歪みを無くすことが容易となる。
本実施形態の投影スクリーンは、曲面を有する基材上に、光散乱体又はシート状積層体が設けられたものであってもよい。この場合、曲面基材に、光散乱体又はシート状積層体を接着又は密着させてもよく、上述した光散乱体形成用組成物を曲面基材表面に直接塗布することにより光散乱体を形成してもよい。
この場合、曲面画像や立体画像の投影、立体曲面への投影に適した、透過型曲面透明スクリーン又は反射型曲面透明スクリーンを構成することができる。曲面を有する基材は全光線透過率が85%以上であることが好ましい。本実施形態においては、光拡散層の厚みを20μmとしたときに、全光線透過率が85%以上であってもよい。
(スペックルノイズの低減)
ところで、レーザー光のような時間コヒーレンシーを有する光源をスクリーンに走査し画像を結像させる走査型干渉性光源においては、スクリーンの空間コヒーレンシーにより、スペックルノイズと呼ばれる斑点模様が現れる。こうしたスペックル様画像ノイズが投影画像に現れると、画像の視認性を低下させることがある。この原因は、レーザーのような光源が時間的コヒーレンシーを持ち、それが、通常の透明スクリーンに存在する空間的コヒーレンシーと干渉し、それが画像ノイズとなる。これを解消するには、ランダムレーザー光源やスペッククルデフューザーなどを用いて、光源の時間的コヒーレンシーを低下させる方法か、透明スクリーン側にランダム配置のマイクロレンズや凹凸を形成して、空間的コヒーレンシーを下げる方法が用いられる。しかしながら、投影画像のSN比を向上させるために光源の強度を上げると、上記の方法によっても充分に光源のコヒーレンシーを緩和できない。
マイクロレンズアレイを2枚組み合わせてスペックルノイズを低減する方法が知られている。しかし、この方法では、2つのマイクロレンズアレイの位置関係を厳密に調整する必要があった(特開2010−145745号公報参照)。また、スペックルノイズを抑制する位置に2つのマイクロレンズアレイを配置すると、表示画像の解像度が低下するとの課題もある。
本実施形態に係る投影スクリーンは、上述した本実施形態のシート状積層体2つが、互いの光散乱層が対向し、互いの光散乱層の間にそれぞれの光散乱層よりも屈折率が小さい低屈折率媒体が介在する状態で配置された構造を有するものであってもよい。
上記低屈折率媒体は、屈折率が1.00以上1.28以下であることが好ましい。このような低屈折率媒体として、空気、窒素、炭酸ガス、アルゴンなどの気体が挙げられる。
図3は、本実施形態に係る投影スクリーンの一実施形態を示す模式断面図である。図3に示される投影スクリーン30は、2つのシート状積層体20a,20bが、互いの光散乱層が対向し且つ互いに所定の間隔を隔てて配置された構造を有している。本実施形態においては、2つのシート状積層体の間には、空気のような低屈折率媒体5が介在している。本実施形態において、上記所定の間隔は、1μm以上、2μm以下とすることが好ましい。
本実施形態の投影スクリーンは、上記の構造を有することにより、光散乱体層内の第1の粒子及び第2の粒子による光学散乱点の位置ベクトルに揺らぎが生じ、スクリーンの空間コヒーレンシーを低下させることができる。このような投影スクリーンは、特に、ヘッドアップディスプレイに使われる走査型レーザープロジェクター等のスペックル様画像ノイズを減少させ、投影方向に対し反射する方向で画像を認識する場合において画像の視認性を向上させることができる。
<画像表示システム>
本実施形態の画像表示システムは、画像を投影する画像投影手段と、本実施形態の光散乱体、本実施形態のシート状積層体、又は本実施形態の投影スクリーンとを備える。
本実施形態の画像表示システムによれば、加工又は手術などの作業時に、対象物又は患部と作業者との間に、光散乱体が設けられた透明部材、シート状積層体又は投影スクリーンを設置することで、作業者が対象物や患部を観察する際、対象物や患部の背景像に外部からの文字や画像による情報を作業者に表示して提供することができる。
この場合、光散乱体を設ける透明部材としては、アクリル板、ポリカーボネート板、シクロオレフィン板、ガラス板、透明塩化ビニル樹脂シート、透明フッ素樹脂シート、アクリル樹脂シート、シクロオレフィン樹脂シート、ポリエチレン樹脂シート、ポリプロピレン樹脂シートなどが挙げられる。
本実施形態の画像表示システムは、人又は物の接近を検出する検出手段と、検出手段からの情報に基づき人又は物が接近したと判定した場合に画像投影手段から光散乱体又は投影スクリーンに画像を投影する手段とを更に備えるものであってもよい。
本実施形態の画像表示システムによれば、例えば、光散乱体又はシート状積層体を建築物の透明なドア又は窓に張り付け、透明スクリーンを構成し、近傍に取り付けられた対物センサー、対人センサー、監視カメラなどの検出手段によって、人や物が接近したことが判定されたときに、設置したプロジェクター、ライト、ディスプレイなどの投影機により、建築物の透明なドアもしくは窓に情報の提供や警告を表示することができる。
本実施形態の光散乱体、シート状積層体、及び投影スクリーンは、透明性に優れていることから、建築物のドア又は窓の透明や視認性に影響を与えずに、侵入者や接近者に警告を発することができる建物の防犯効果を得ることができる。また、ウィンドウディスプレイのデジタルサイネージ媒体として適用した場合、顧客が店舗に接近してきた際、顧客に対して商品情報や店舗情報を表示し、広告宣伝効果を生むこともできる。さらに、夜間、透明なドアに人が接近した際、透明なドアに光を投影し、接近者にドアの存在を認識させ、不用意な衝突を回避する装置としても利用できる。
<血管造影への応用>
人間の血液中の赤血球にはヘモグロビンが入っており、近赤外の吸収率が高い。このことを利用して、近赤外カメラと画像処理装置により、人間の皮膚表面から深さ10mm程度までの血管像を撮影することが可能である。撮影した血管像をプロジェクターで人間の皮膚表面に直接投影し、静脈の位置を人間の皮膚に直接、画像で表示し、注射針の挿入位置を直接、目視で把握することができる。近赤外光および近赤外カメラを用いた血管の可視化装置として、クリスティー メディカル ホールディングス インコーポレイテッド製の血管可視化装置「VeinViewer」(登録商標)や、株式会社テクノメディカ製の非接触型静脈可視化装置「StatVein」(登録商標)などが知られている。
本実施形態においては、上記本実施形態の光散乱体形成用組成物を、直接、人間の肌に塗布し、乾燥させ、皮膚上に透明スクリーンを形成することができる。この場合、光散乱体形成用組成物中の樹脂は、皮膚に浸透せず、注射針の挿入時でも、針の挿入を阻害しない弾力性のあるシリコーンなどのエラストマーなどが望ましい。また、使用後に剥離が容易な樹脂であることが望ましい。皮膚上に形成された透明スクリーンに、VeinViewerにて撮像した被験者の血管像を、投影機によって被験者の皮膚表面に投影した場合、通常の蛍光灯下における明るい環境でも、投影血管像を鮮明に見ることができる。また、光散乱体に分散されている粒子がダイヤモンドである場合、スクリーンの赤外光吸収率が低く、背部の血管像も近赤外カメラで観察することができる。
<車両部材への応用>
本実施形態の光散乱体、シート状積層体、及び投影スクリーンは、車両用部材に使用することもできる。一例として、サイド及びリアウィンドウの表面に本実施形態の光散乱体、シート状積層体又は投影スクリーンを接着し、サイド及びリアウィンドウへの画像表示やプライバシー保護のためのライトカーテン機能を付与させることができる。また、運転者が運転時に太陽光が逆光として運転の障害となる場合、逆光の緩和として光散乱体、シート状積層体又は投影スクリーンをサンバイザーとして利用することができる。この場合、全光線透過率を85%程度まで下げることで、光散乱体、シート状積層体又は投影スクリーンにより太陽光を散乱させ、太陽光の照度を低下させるとともに、運転時の視認性を確保することができる。また、フロントウインドウや運転操作パネル付近にプロジェクターで情報を投影するために、光散乱体、シート状積層体又は投影スクリーンでフロントウインドウや運転操作パネル付近に透明スクリーンを構成することもできる。さらに、本実施形態の光散乱体、シート状積層体又は投影スクリーンをレーザーライトやLEDライトの前方に配置することで、光源の指向性を低減し、光線束を広げることもできる。
<建築部材への応用>
本実施形態の光散乱体、シート状積層体、及び投影スクリーンは、建築用部材に使用することもできる。一例として、ガラス窓にシート状積層体を貼り付け、プロジェクターにて画像を投影し、店舗の広告や情報提供として使用することができる。他の例として、オフィスの透明なパーティションにシート状積層体を貼り付け、プロジェクター用透明スクリーンとして使用したり、機密やプライバシー保護のために、透明なパーティションにライトを照射し、ライトカーテンとして利用したりすることも可能である。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
光散乱体形成用樹脂組成物及びシート状積層体を作成するために下記の材料を準備した。
[樹脂]
ウレタン樹脂組成物:エバファノールHA−170(日華化学(株)製、不揮発分36.5質量%、屈折率1.50、厚さ20μmにおける全光線透過率91.0%)
アクリル樹脂組成物:EK−61(サイデン化学(株)製、不揮発分39.8質量%、屈折率1.49、厚さ20μmにおける全光線透過率90.1%)をイオン交換水で希釈し、不揮発分濃度を36.5質量%に調整したもの
[第1の粒子]
ダイヤモンド1:(単結晶ダイヤモンド、RZ社製、メジアン径100nm、比重3.53、炭素濃度98.34%)
ダイヤモンド2:(単結晶ダイヤモンド、RZ社製、メジアン径200nm、比重3.53、炭素濃度98.76%)
ダイヤモンド3:(多結晶ダイヤモンド、RZ社製、メジアン径200nm、比重3.51、炭素濃度99.69%)
酸化チタン:(堺化学社製、型番:SA−1、メジアン径150nm、比重3.90、屈折率2.52)
[第2の粒子]
ダイヤモンド4:(単結晶ダイヤモンド、RZ社製、メジアン径600nm、比重3.53、炭素濃度98.63%)
ダイヤモンド5:(多結晶ダイヤモンド、RZ社製、メジアン径600nm、比重3.51、炭素濃度99.80%)
ダイヤモンド6:(多結晶ダイヤモンド、RZ社製、メジアン径800nm、比重3.51、炭素濃度99.64%)
[基材]
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)(東洋紡社製、厚さ100μm)
<光散乱体形成用樹脂組成物の調製>
(樹脂組成物1)
200mlステンレスポットに、ダイヤモンド2を0.475質量%、ダイヤモンド5を0.025質量%、及びエバファノールHA―170を99.5質量%となるように加え、ジェットミル機(SUGINO HJP−25003、スギノマシン社製)を用いて、圧力80MPa、2パスの条件でジェットミル処理を行った後、#2000紗にてろ過を行い、樹脂組成物1を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(樹脂組成物2)
ステンレスポットに、ダイヤモンド2を1.9質量%、ダイヤモンド5を0.1質量%、及びエバファノールHA―170を98質量%となるように加えたこと以外は樹脂組成物1と同様にして、樹脂組成物2を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(樹脂組成物3)
ステンレスポットに、ダイヤモンド2を4.75質量%、ダイヤモンド5を0.25質量%、及びエバファノールHA―170を95質量%となるように加えたこと以外は樹脂組成物1と同様にして、樹脂組成物3を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(樹脂組成物4)
樹脂組成物2のエバファノールHA―170に代えてサイビノールEK―61(98質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物4を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(樹脂組成物5)
樹脂組成物2のダイヤモンド2に代えてダイヤモンド1(1.9質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物5を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(樹脂組成物6)
樹脂組成物2のダイヤモンド5に代えてダイヤモンド4(0.1質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物6を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(樹脂組成物7)
樹脂組成物2のダイヤモンド5に代えてダイヤモンド6(0.1質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物7を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(樹脂組成物8)
樹脂組成物2のダイヤモンド2に代えて酸化チタン(1.9質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物8を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(樹脂組成物9)
樹脂組成物2のダイヤモンド2に代えてダイヤモンド3(1.9質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物9を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(樹脂組成物10)
樹脂組成物2のダイヤモンド2及びダイヤモンド5に代えてダイヤモンド3(1.9質量%)及びダイヤモンド4(0.1質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物10を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(樹脂組成物11)
樹脂組成物2のダイヤモンド2及びダイヤモンド5を、それぞれの含有量が1.95質量%及び0.05質量%となるように加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物11を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(樹脂組成物12)
樹脂組成物2のダイヤモンド2及びダイヤモンド5を、それぞれの含有量が1.987質量%及び0.013質量%となるように加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物12を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(樹脂組成物13)
樹脂組成物2のダイヤモンド2及びダイヤモンド5に代えてダイヤモンド1(2.0質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物13を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(樹脂組成物14)
樹脂組成物2のダイヤモンド2及びダイヤモンド5に代えてダイヤモンド3(2.0質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物14を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(樹脂組成物15)
樹脂組成物2のダイヤモンド2及びダイヤモンド5に代えてダイヤモンド6(2.0質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物15を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(樹脂組成物16)
樹脂組成物2のダイヤモンド2及びダイヤモンド5を、それぞれの含有量が1.5質量%及び0.5質量%となるように加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物16を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
なお、表中に示す粒子比率における粒子数比(第1の粒子の粒子数M/第2の粒子の粒子数M)ついては、第1の粒子及び第2の粒子の含有量C及びC、比重ρ及びρ、第1の粒子及び第2の粒子のメジアン径r及びrの値から、以下に示す式にしたがって体積密度換算により算出した。
粒子数比M/M=(C×ρ×r )/(C×ρ×r
<シート状積層体の作製>
(実施例1)
基材の片面に、樹脂組成物1を、固形分の濃度が50g/mになるようにスライドビード塗布装置(三井電気精機製の卓上コーター、TC−3型)を用いて塗布した。その後、90℃のオーブンの中に1分間入れて乾燥させ、基材上に光散乱体からなる光散乱層が設けられたシート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
(実施例2)
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
(実施例3)
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
(実施例4)
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
(実施例5)
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
(実施例6)
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物6を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
(実施例7)
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物7を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
(実施例8)
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物8を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
(実施例9)
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物9を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
(実施例10)
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物10を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
(実施例11)
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物11を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
(実施例12)
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物12を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
(比較例1)
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物13を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
(比較例2)
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物14を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
(比較例3)
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物15を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
(比較例4)
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物16を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
Figure 0006967443
Figure 0006967443
Figure 0006967443
<シート状積層体の評価>
実施例1〜12及び比較例1〜4のシート状積層体について、全光線透過率、ヘイズ値、及びL(明度)を下記の方法にしたがって測定した。また、プロジェクターにより映像を投影した時のプロジェクター側から見た映像及びプロジェクター側と反対側から見た映像について、鮮明性の評価を行った。
[全光線透過率]
光散乱体の全光線透過率を、濁度計(日本電色工業(株)製、品番:NDH−5000)を用い、JIS K7361−1(1997年)に準拠して測定した。
[ヘイズ値]
光散乱体の拡散光線透過率を、ヘイズメータ(スガ試験機製、品番:HGM−2DP)を用い、JIS−K7105(1981年)に準拠して測定した。この拡散光線透過率及び上記で測定された全光線透過率を用い、下記の式からヘイズ値を求めた。
H=[Td/Tt]×l00(%)
[H:ヘイズ、Td:拡散光線透過率、Tt:全光線透過率]
透明性については、全光線透過率が高く、ヘイズ値が低いものを透明性が高いとし、全光線透過率75%以上、かつヘイズ値30%以下を合格とした。
[L(明度)]
変角光度計(日本電色工業(株)製、品番:GC5000)を用いてシート状積層体の明度を以下の手順で測定した。光源の入射角を20度にセットし、測定ステージに何も置かない状態での20度方向への透過光強度を100とした。得られたシート状積層体を測定ステージに置いて光源の入射角を20度のまま、0度の透過光のL値を測定し、それを明度とした。L値0.50以上を合格とした。
[(1)プロジェクター側から見た映像の鮮明性(透過モード]
デジタルプロジェクター(エプソン社製、商品名:EH―TW410)で映像をスクリーンに投影し、プロジェクター側から、スクリーンに投影された映像を目視し、映像の鮮明性を、以下の基準により4段階で評価した。
(基準)
1:投射された映像の輪郭が極めてはっきりと見える。
2:投影された映像の輪郭が十分見える。
3:投射された映像の輪郭が薄くて見えにくい。
4:投射された映像の輪郭がぼやけて見えない。
上記基準は、1及び2を合格とした。
[(2)プロジェクター側と反対側から見た映像の鮮明性(反射モード)]
デジタルプロジェクター(エプソン社製、商品名:EH―TW410)で映像を光拡散膜に投影し、プロジェクター側と反対側から、スクリーンに投影された映像を目視し、映像の鮮明性を、以下の基準により4段階で評価した。
(基準)
1:投射された映像の輪郭が極めてはっきりと見える。
2:投影された映像の輪郭が十分見える。
3:投射された映像の輪郭が薄くて見えにくい。
4:投射された映像の輪郭がぼやけて見えない。
上記基準は、1及び2を合格とした。
Figure 0006967443
表4の結果から、本発明に係る光散乱体を有するシート状積層体は、透過度が高く、また映像の明度が高いことが示され、プロジェクター用の透明スクリーンとして有用であることが分かった。また、本発明に係る光散乱体を有するシート状積層体は、画質の官能評価において、反射型としても透過型としても高い画質を得ることができることが分かった。
<透明スクリーンの作製>
まず、光散乱体形成用組成物を調製し、それを用いてシート状積層体を作製した。
(光散乱体形成用組成物の調製)
200mlのステンレスポッドに、ダイヤモンド2を1.9質量%、ダイヤモンド5を0.1質量%、及びエバファノールHA―170を98質量%となるように加え、ジェットミル機(スターバーストミニ、スギノマシン社製)を用いて、分散処理を行い、光散乱体形成用組成物を調製した。
(シート状積層体の作製)
上記で調製した光散乱体形成用樹脂組成物をコーティング液として用いるために、フィルター(3M社製、Betapure AU)でろ過後、超音波ホモジナイザーにより分散状態を維持した。これを、幅1500mm、長さ2000mの光学PETフィルム(東洋紡製、厚さ100μm、全光線透過率91%)上に、2ロールコーターで塗工し、赤外線乾燥炉にて乾燥後、巻き取りし、シート状積層体を得た。塗工厚は、乾燥後で16μmに設定した。
(実施例13:固定式透明スクリーン)
投影面を平面にするために、上記で得られたシート状積層体を横2000mm、縦1500mmにカッティングし、上端と下端を金属フレーム(アルミ製、横2050mm、縦1550mm)に固定し、透明スクリーンを製作した。なお、金属フレーム上部には天井から吊り下げることが出来るように、吊り下げ用の字具が3箇所(それぞれ左右端から50mmと中央の位置)固定されている。
この透明スクリーンを天井から吊り下げ、空間に固定し、光学プロジェクター(リコー(株)性 RICOH PJ WUL5670)にて映像を投影した。光源に対し透過する側から画像を認識できる透過型透明スクリーンとしても、光源に対し反射する側から画像を認識できる反射型透明スクリーンとしても利用することができることが確認された。また、ハイビジョン画像を投影することが可能で、視野角は、前方も後方も170°以上とほぼ全方位からボケや歪のない画像を観察することができた。
(実施例14:ロール巻き取り式透明スクリーン)
シート状積層体をロール状に収納できる巻取り方収納装置を設けて、透明スクリーンを使用しないときには、シート状積層体を収納して画像投影部を傷等から保護できるようにした。具体的には、上記で得られたシート状積層体を横2000mm、縦1500mmにカッティングし、上端を円筒状の巻き取り装置(幅1560mm、直径45mm、チェーンと歯車による手動式巻き取り機を装備)に固定し、下端に棒状の錘(長さ1550mm、直径30mm、重さ1.5kg)を固定した。巻き取り装置上部には、2箇所(それぞれ左右端から150mmの位置)に吊り下げ用の字具が固定されており、天井や吊り下げ式固定脚に固定できるようにした。全重量は5.5kgで、収納性だけではなく、人間が一人で携帯し、搬送することが可能であることが確認された。
(実施例15:曲面型透明スクリーン)
上記で得られたシート状積層体の裏面に、粘着剤(商品名「ゲルポリ」)を塗布することにより、微粘着性を付与した。透明アクリル製の半円筒(厚さ5mm、直径1000mm、扇角45°、縦800mm、全光線透過率87%)にシート状積層体を界面に気泡のないように貼り付け、曲面型透明スクリーンを製作した。曲面型透明スクリーンは、透過型透明スクリーンとしても、反射型透明スクリーンとしても利用することができた。
(実施例16:プロジェクター用透明スクリーン)
上記で得られたシート状積層体をプロジェクター用透明スクリーンに適用した。レーザープロジェクター(リコー株、RICOH PJ WXL4540)により、グレー標準画像を投影させたところ、モアレ縞が観察されなかった。なお、透明スクリーン(JXTGエネルギー(株)製、KALEIDO SCREEN)を使って投影すると、モアレ縞が表出した。
(実施例17:スペックルノイズの低減)
基材の片面に、樹脂組成物1を、固形分の濃度が50g/mになるようにスライドビード塗布装置(三井電気精機製の卓上コーター、TC−3型)を用いて塗布した。その後、90℃のオーブンの中に1分間入れて乾燥させ、基材上に光散乱体からなる光散乱層が設けられたシート状積層体を2枚作製した。光散乱層の厚さは20μmであった。
次に、シート状積層体2枚を、光散乱層同士が向かい合うように空気を介して重ね、図3に示される投影スクリーンと同様の構造を有する透明スクリーンを作製した。なお、光散乱層の間隔は1.2μmとした。
上記の透明スクリーンに、映像信号により変調されたレーザー光(RGB三波長混合レーザー光源を用い、赤のパターン)を照射して、スペックルノイズを測定した。投影された画像上のスペックルのコントラスト値は、22.3%であった。
(実施例18:スペックルノイズの低減)
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物3を用いたこと以外は実施例17と同様にして、透明スクリーンを作製した。実施例17と同様にしてスペックルノイズを測定したところ、コントラスト値は、13.5%であった。
(実施例19:スペックルノイズの低減)
実施例17のシート状積層体と、実施例18のシート状積層体とを組み合わせて、透明スクリーンを作製した。実施例17と同様にしてスペックルノイズを測定したところ、コントラスト値は、8.7%であった。このコントラスト値は、スペックルノイズが人間の目で感じられないレベル(標準のコントラストテスト用の赤のパターン:約8%)に近いものであった、
(実施例20:加工作業用の画像表示システム)
実施例2と同様にして得られたシート状積層体を縦900mm、横450mmに切り取り、アルミ製フレームに固定し、透明スクリーンを構成した。
図4に示すように、作業台6上の対象物7に対し、斜め15°の角度で作業者9と対象物7の間に透明スクリーン40を設置した。水平方法からプロジェクター8(リコー(株)製、RICOH PJ WUL5670)により画像を下方より透明スクリーンに投影した。なお、プロジェクターは、透明スクリーンに画像情報を投影したときに、プロジェクターの直接的な透過光や反射光が作業者の眼に直接入射されないように配置した。
上記の画像表示システムは、作業上、操作の障害とならない透明度を確保することができるとともに、作業環境での環境照明(JIS照明基準300ルクス以上)でも、作業者は透明スクリーン上の画像を充分認識できた。
(実施例21:警報表示装置)
実施例2と同様にして得られたシート状積層体の裏面に、微粘着剤(商品名「ゲルポリ」)を50μmの厚さで塗工し、建築物の透明なガラス製ドア(厚さ8mm、幅900mm、縦1500mm)の表面に貼り付け、透明スクリーンを構成した。また、ドア上部に対物センサー付きライト(センサーライト:2灯式LED、人感ライト:LCL−52)を取り付けた。
上記の警報表示装置は、人や物が接近した際、センサーが感知してライトが作動し、ドアに設置した透明スクリーンにライトの光が照射された。これにより、接近者に視覚でドアに警報することができる。また、上記の警報表示装置は、夜間、透明なドアに人が接近した際、透明なドアに光を投影し、接近者にドアの存在を認識させ、不用意な衝突を回避する装置としても利用できる。
(実施例22:広告宣伝表示装置)
上記の警報表示装置を、対物センサー付きライトに代えて近赤外レーザーセンサー(DENSO製、ZD−LS100M)をドアの近くに設置し、人が接近すると小型レーザープロジェクター(SONY製、LSPX−P1)が動作するシステムに変更し、広告宣伝表示装置を構成した。
上記の広告宣伝表示装置は、顧客が店舗に接近してきた際、顧客に対して商品情報や店舗情報を透明なドアに表示することができ、ウィンドウディスプレイのデジタルサイネージとして利用し、広告宣伝媒体を表示させることで広告宣伝効果を生むことが期待できる。
(実施例23:ホワイトボード機能付き表示装置)
実施例2と同様にして得られたシート状積層体の裏面に、微粘着剤(商品名「ゲルポリ」)を50μmの厚さで塗工し、鉄製の可動式フレームスタンドに固定された透明なアクリル板(厚さ5mm、縦1000mm、横1200mm)の上に貼り付け、透明スクリーンを構成した。次に、貼り付けたシート状積層体の光散乱層の表面に、ホワイトボードコート剤(SST社製、SC1001、硬度3H)を塗工し、ボードマーカーで書き込みができるようにした。
上記のホワイトボード機能付き表示装置は、背景像とプロジェクターによる投影画像を同時に見ることができるだけではなく、操作者がボードマーカーで文字や図形を書き込むことができる。また、専用のスポンジ製イレーサーで書き込みを消すことも可能である。
1…第1の粒子、2…第2の粒子、3…樹脂媒体、4…基材、5…低屈折率媒体(空気層)、6…作業台、7…対象物、8…プロジェクター、9…作業者、10…光散乱体、20,20a,20b…シート状積層体、30…投影スクリーン、40…透明スクリーン。

Claims (16)

  1. 樹脂と、メジアン径が50nm以上360nm以下である第1の粒子と、メジアン径が500nm以上1.5μm以下であり、ダイヤモンド構造を有する第2の粒子と、を含有し、
    前記第1の粒子及び前記第2の粒子の合計含有量が、前記樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20.0質量部以下であり、
    前記第1の粒子の粒子数Mと前記第2の粒子の粒子数Mとの粒子数比M/Mが、100以上5000以下であり、
    前記樹脂は、厚さ20μmにおける全光線透過率が80%以上である、光散乱体形成用組成物。
  2. 前記樹脂の屈折率n、前記第1の粒子の屈折率n、及び前記第2の粒子の屈折率nが、下記式(1)で表される条件を満たす、請求項1に記載の光散乱体形成用組成物。
    0.15<|n−n|≦n−n<1.15 …(1)
  3. 前記第1の粒子及び前記第2の粒子がダイヤモンドであって、炭素濃度が90質量%以上である、請求項1又は2に記載の光散乱体形成用組成物。
  4. 樹脂媒体と、前記樹脂媒体中に分散している、メジアン径が50nm以上360nm以下である第1の粒子と、前記樹脂媒体中に分散している、メジアン径が500nm以上1.5μm以下であり、ダイヤモンド構造を有する第2の粒子と、を含有する光散乱体であって、
    前記第1の粒子及び前記第2の粒子の合計含有量が、前記樹脂媒体100質量部に対して、0.01質量部以上20.0質量部以下であり、
    前記第1の粒子の粒子数Mと前記第2の粒子の粒子数Mとの粒子数比M/Mが、100以上5000以下であり、
    前記光散乱体の全光線透過率が80%以上である、光散乱体。
  5. 前記樹脂媒体の屈折率n、前記第1の粒子の屈折率n、及び前記第2の粒子の屈折率nが、下記式(1)で表される条件を満たす、請求項4に記載の光散乱体。
    0.15<|n−n|≦n−n<1.15 …(1)
  6. 前記第1の粒子及び前記第2の粒子がダイヤモンドであって、炭素濃度が90質量%以上である、請求項4又は5に記載の光散乱体。
  7. 基材と、該基材上に設けられた請求項4〜6のいずれか一項に記載の光散乱体からなる光散乱層と、を備える、シート状積層体。
  8. 少なくとも一方の最表面に、硬度が2H以上の樹脂層を更に備える、請求項7に記載のシート状積層体。
  9. 前記基材が曲面を有する、請求項7又は8に記載のシート状積層体。
  10. 請求項7〜9のいずれか一項に記載のシート状積層体を備える、投影スクリーン。
  11. 透過型透明スクリーンである、請求項10に記載の投影スクリーン。
  12. 反射型透明スクリーンである、請求項10に記載の投影スクリーン。
  13. 前記シート状積層体をロール状にして収納できる収納手段を更に備える、請求項10〜12のいずれか一項に記載の投影スクリーン。
  14. 請求項7に記載のシート状積層体2つが、互いの光散乱層が対向し、互いの光散乱層の間にそれぞれの光散乱層よりも屈折率が小さい低屈折率媒体が介在する状態で配置された構造、を有する、投影スクリーン。
  15. 画像を投影する画像投影手段と、請求項4〜6のいずれか一項に記載の光散乱体、請求項7〜9のいずれか一項に記載のシート状積層体又は請求項10〜14のいずれか一項に記載の投影スクリーンと、を備える、画像表示システム。
  16. 人又は物の接近を検出する検出手段と、前記検出手段からの情報に基づき人又は物が接近したと判定した場合に前記画像投影手段から前記光散乱体、前記シート状積層体又は前記投影スクリーンに画像を投影する手段と、を更に備える、請求項15に記載の画像表示システム。
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