JP6967443B2 - 光散乱体形成用組成物、光散乱体、シート状積層体、投影スクリーン、及び画像表示システム - Google Patents
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0.15<|nB−nA|≦nC−nA<1.15 …(1)
0.15<|nB−nA|≦nC−nA<1.15 …(1)
本実施形態の光散乱体は、樹脂媒体(以下、樹脂媒体を構成する樹脂を(A)成分という場合もある)と、樹脂媒体中に分散している、メジアン径が50nm以上360nm以下である第1の粒子(以下、(B)成分という場合もある)と、樹脂媒体中に分散している、メジアン径が500nm以上1.5μm以下であり、ダイヤモンド構造を有する第2の粒子(以下、(C)成分という場合もある)と、を含有する。
炭素濃度(%)=[(粒子の全重量)−(残留灰化物重量)/(粒子の全質量)]×100
第1の粒子及び第2の粒子が真円球と仮定して、第1の粒子の真の比重ρ1[g・cm−3]、メジアン径r1[μm]、光散乱体の配合量C1[g]とし、第2の粒子の真の比重ρ2[g・cm−3]、メジアン径r2[μm]、光散乱体の配合量C2[g]とした場合、第1の粒子の粒子数(M1)及び第2の粒子の粒子数(M2)はそれぞれ、
M1=[3/4×1012×C1]÷[ρ1×π×(r1/2)3]、及び
M2=[3/4×1012×C2]÷[ρ2×π×(r2/2)3]
で表され、粒子数比M1/M2は、
M1/M2=(C1×ρ2×r2 3)/(C2×ρ1×r1 3)
の式から求められる。
0.15<|nB−nA|≦nC−nA<1.15 …(1)
図2は、シート状積層体の一実施形態を示す模式断面図である。図2に示される本実施形態のシート状積層体20は、基材4と、該基材4上に設けられた上記本実施形態の光散乱体10からなる光散乱層とを備える。
本実施形態の光散乱体形成用組成物は、上述した、樹脂と、第1の粒子と、第2の粒子と、を含有し、第1の粒子及び第2の粒子の合計含有量が、樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20.0質量部以下であり、第1の粒子の粒子数M1と第2の粒子の粒子数M2との粒子数比M1/M2が、100以上5000以下であり、樹脂は、厚さ20μmにおける全光線透過率が80%以上である。
ところで、基材がフィルム状の場合、基材表面と基材と光散乱体との界面で入射光に対する投影画像にモアレ縞等の光学干渉の画像ノイズが起きやすく、画像の視認性を低下させることがある。特に、レーザー光源を有するレーザープロジェクターやレーザー照明投影において顕著である。
第1の粒子と第2の粒子の2種類の粒子を分散させた透明光散乱体では、樹脂媒体中に分散されていたとしても、光散乱体の表面に凹凸構造が生まれる。この凹凸構造は、光散乱の主体である第1の粒子及び第2の粒子が二次元面でランダムパターンを形成している。このランダムパターンとは、広範囲における配列においては一定のパターンを有しておらずランダムに配置されている状態のことを意味する。この構造的凹凸構造は、平均的な光学的効果としても、ランダム性を有していることになる。このような光学的なランダムパターンを一般的な工業的な加工方法、例えばフォトマスクによるエッチングや機械加工などで作製するのは、一般的に難しい。
本実施形態の投影スクリーンは、上述した本実施形態の光散乱体、又は、上述した本実施形態のシート状積層体を備える。本実施形態の投影スクリーンは、透明スクリーンとすることができる。また、透明スクリーンは、光源に対し透過する側から画像を認識できる透過型透明スクリーンとしてもよく、光源に対し反射する側から画像を認識できる反射型透明スクリーンとしてもよい。
ところで、レーザー光のような時間コヒーレンシーを有する光源をスクリーンに走査し画像を結像させる走査型干渉性光源においては、スクリーンの空間コヒーレンシーにより、スペックルノイズと呼ばれる斑点模様が現れる。こうしたスペックル様画像ノイズが投影画像に現れると、画像の視認性を低下させることがある。この原因は、レーザーのような光源が時間的コヒーレンシーを持ち、それが、通常の透明スクリーンに存在する空間的コヒーレンシーと干渉し、それが画像ノイズとなる。これを解消するには、ランダムレーザー光源やスペッククルデフューザーなどを用いて、光源の時間的コヒーレンシーを低下させる方法か、透明スクリーン側にランダム配置のマイクロレンズや凹凸を形成して、空間的コヒーレンシーを下げる方法が用いられる。しかしながら、投影画像のSN比を向上させるために光源の強度を上げると、上記の方法によっても充分に光源のコヒーレンシーを緩和できない。
本実施形態の画像表示システムは、画像を投影する画像投影手段と、本実施形態の光散乱体、本実施形態のシート状積層体、又は本実施形態の投影スクリーンとを備える。
人間の血液中の赤血球にはヘモグロビンが入っており、近赤外の吸収率が高い。このことを利用して、近赤外カメラと画像処理装置により、人間の皮膚表面から深さ10mm程度までの血管像を撮影することが可能である。撮影した血管像をプロジェクターで人間の皮膚表面に直接投影し、静脈の位置を人間の皮膚に直接、画像で表示し、注射針の挿入位置を直接、目視で把握することができる。近赤外光および近赤外カメラを用いた血管の可視化装置として、クリスティー メディカル ホールディングス インコーポレイテッド製の血管可視化装置「VeinViewer」(登録商標)や、株式会社テクノメディカ製の非接触型静脈可視化装置「StatVein」(登録商標)などが知られている。
本実施形態の光散乱体、シート状積層体、及び投影スクリーンは、車両用部材に使用することもできる。一例として、サイド及びリアウィンドウの表面に本実施形態の光散乱体、シート状積層体又は投影スクリーンを接着し、サイド及びリアウィンドウへの画像表示やプライバシー保護のためのライトカーテン機能を付与させることができる。また、運転者が運転時に太陽光が逆光として運転の障害となる場合、逆光の緩和として光散乱体、シート状積層体又は投影スクリーンをサンバイザーとして利用することができる。この場合、全光線透過率を85%程度まで下げることで、光散乱体、シート状積層体又は投影スクリーンにより太陽光を散乱させ、太陽光の照度を低下させるとともに、運転時の視認性を確保することができる。また、フロントウインドウや運転操作パネル付近にプロジェクターで情報を投影するために、光散乱体、シート状積層体又は投影スクリーンでフロントウインドウや運転操作パネル付近に透明スクリーンを構成することもできる。さらに、本実施形態の光散乱体、シート状積層体又は投影スクリーンをレーザーライトやLEDライトの前方に配置することで、光源の指向性を低減し、光線束を広げることもできる。
本実施形態の光散乱体、シート状積層体、及び投影スクリーンは、建築用部材に使用することもできる。一例として、ガラス窓にシート状積層体を貼り付け、プロジェクターにて画像を投影し、店舗の広告や情報提供として使用することができる。他の例として、オフィスの透明なパーティションにシート状積層体を貼り付け、プロジェクター用透明スクリーンとして使用したり、機密やプライバシー保護のために、透明なパーティションにライトを照射し、ライトカーテンとして利用したりすることも可能である。
ウレタン樹脂組成物:エバファノールHA−170(日華化学(株)製、不揮発分36.5質量%、屈折率1.50、厚さ20μmにおける全光線透過率91.0%)
アクリル樹脂組成物:EK−61(サイデン化学(株)製、不揮発分39.8質量%、屈折率1.49、厚さ20μmにおける全光線透過率90.1%)をイオン交換水で希釈し、不揮発分濃度を36.5質量%に調整したもの
ダイヤモンド1:(単結晶ダイヤモンド、RZ社製、メジアン径100nm、比重3.53、炭素濃度98.34%)
ダイヤモンド2:(単結晶ダイヤモンド、RZ社製、メジアン径200nm、比重3.53、炭素濃度98.76%)
ダイヤモンド3:(多結晶ダイヤモンド、RZ社製、メジアン径200nm、比重3.51、炭素濃度99.69%)
酸化チタン:(堺化学社製、型番:SA−1、メジアン径150nm、比重3.90、屈折率2.52)
ダイヤモンド4:(単結晶ダイヤモンド、RZ社製、メジアン径600nm、比重3.53、炭素濃度98.63%)
ダイヤモンド5:(多結晶ダイヤモンド、RZ社製、メジアン径600nm、比重3.51、炭素濃度99.80%)
ダイヤモンド6:(多結晶ダイヤモンド、RZ社製、メジアン径800nm、比重3.51、炭素濃度99.64%)
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)(東洋紡社製、厚さ100μm)
(樹脂組成物1)
200mlステンレスポットに、ダイヤモンド2を0.475質量%、ダイヤモンド5を0.025質量%、及びエバファノールHA―170を99.5質量%となるように加え、ジェットミル機(SUGINO HJP−25003、スギノマシン社製)を用いて、圧力80MPa、2パスの条件でジェットミル処理を行った後、#2000紗にてろ過を行い、樹脂組成物1を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
ステンレスポットに、ダイヤモンド2を1.9質量%、ダイヤモンド5を0.1質量%、及びエバファノールHA―170を98質量%となるように加えたこと以外は樹脂組成物1と同様にして、樹脂組成物2を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
ステンレスポットに、ダイヤモンド2を4.75質量%、ダイヤモンド5を0.25質量%、及びエバファノールHA―170を95質量%となるように加えたこと以外は樹脂組成物1と同様にして、樹脂組成物3を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
樹脂組成物2のエバファノールHA―170に代えてサイビノールEK―61(98質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物4を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
樹脂組成物2のダイヤモンド2に代えてダイヤモンド1(1.9質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物5を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
樹脂組成物2のダイヤモンド5に代えてダイヤモンド4(0.1質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物6を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
樹脂組成物2のダイヤモンド5に代えてダイヤモンド6(0.1質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物7を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
樹脂組成物2のダイヤモンド2に代えて酸化チタン(1.9質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物8を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
樹脂組成物2のダイヤモンド2に代えてダイヤモンド3(1.9質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物9を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
樹脂組成物2のダイヤモンド2及びダイヤモンド5に代えてダイヤモンド3(1.9質量%)及びダイヤモンド4(0.1質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物10を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
樹脂組成物2のダイヤモンド2及びダイヤモンド5を、それぞれの含有量が1.95質量%及び0.05質量%となるように加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物11を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
樹脂組成物2のダイヤモンド2及びダイヤモンド5を、それぞれの含有量が1.987質量%及び0.013質量%となるように加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物12を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
樹脂組成物2のダイヤモンド2及びダイヤモンド5に代えてダイヤモンド1(2.0質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物13を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
樹脂組成物2のダイヤモンド2及びダイヤモンド5に代えてダイヤモンド3(2.0質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物14を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
樹脂組成物2のダイヤモンド2及びダイヤモンド5に代えてダイヤモンド6(2.0質量%)を加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物15を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
樹脂組成物2のダイヤモンド2及びダイヤモンド5を、それぞれの含有量が1.5質量%及び0.5質量%となるように加えたこと以外は樹脂組成物2と同様にして、樹脂組成物16を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
粒子数比M1/M2=(C1×ρ2×r2 3)/(C2×ρ1×r1 3)
(実施例1)
基材の片面に、樹脂組成物1を、固形分の濃度が50g/m2になるようにスライドビード塗布装置(三井電気精機製の卓上コーター、TC−3型)を用いて塗布した。その後、90℃のオーブンの中に1分間入れて乾燥させ、基材上に光散乱体からなる光散乱層が設けられたシート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物6を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物7を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物8を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物9を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物10を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物11を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物12を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物13を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物14を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物15を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物16を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14μmであった。
実施例1〜12及び比較例1〜4のシート状積層体について、全光線透過率、ヘイズ値、及びL*(明度)を下記の方法にしたがって測定した。また、プロジェクターにより映像を投影した時のプロジェクター側から見た映像及びプロジェクター側と反対側から見た映像について、鮮明性の評価を行った。
光散乱体の全光線透過率を、濁度計(日本電色工業(株)製、品番:NDH−5000)を用い、JIS K7361−1(1997年)に準拠して測定した。
光散乱体の拡散光線透過率を、ヘイズメータ(スガ試験機製、品番:HGM−2DP)を用い、JIS−K7105(1981年)に準拠して測定した。この拡散光線透過率及び上記で測定された全光線透過率を用い、下記の式からヘイズ値を求めた。
H=[Td/Tt]×l00(%)
[H:ヘイズ、Td:拡散光線透過率、Tt:全光線透過率]
変角光度計(日本電色工業(株)製、品番:GC5000)を用いてシート状積層体の明度を以下の手順で測定した。光源の入射角を20度にセットし、測定ステージに何も置かない状態での20度方向への透過光強度を100とした。得られたシート状積層体を測定ステージに置いて光源の入射角を20度のまま、0度の透過光のL*値を測定し、それを明度とした。L*値0.50以上を合格とした。
デジタルプロジェクター(エプソン社製、商品名:EH―TW410)で映像をスクリーンに投影し、プロジェクター側から、スクリーンに投影された映像を目視し、映像の鮮明性を、以下の基準により4段階で評価した。
(基準)
1:投射された映像の輪郭が極めてはっきりと見える。
2:投影された映像の輪郭が十分見える。
3:投射された映像の輪郭が薄くて見えにくい。
4:投射された映像の輪郭がぼやけて見えない。
上記基準は、1及び2を合格とした。
デジタルプロジェクター(エプソン社製、商品名:EH―TW410)で映像を光拡散膜に投影し、プロジェクター側と反対側から、スクリーンに投影された映像を目視し、映像の鮮明性を、以下の基準により4段階で評価した。
(基準)
1:投射された映像の輪郭が極めてはっきりと見える。
2:投影された映像の輪郭が十分見える。
3:投射された映像の輪郭が薄くて見えにくい。
4:投射された映像の輪郭がぼやけて見えない。
上記基準は、1及び2を合格とした。
まず、光散乱体形成用組成物を調製し、それを用いてシート状積層体を作製した。
200mlのステンレスポッドに、ダイヤモンド2を1.9質量%、ダイヤモンド5を0.1質量%、及びエバファノールHA―170を98質量%となるように加え、ジェットミル機(スターバーストミニ、スギノマシン社製)を用いて、分散処理を行い、光散乱体形成用組成物を調製した。
上記で調製した光散乱体形成用樹脂組成物をコーティング液として用いるために、フィルター(3M社製、Betapure AU)でろ過後、超音波ホモジナイザーにより分散状態を維持した。これを、幅1500mm、長さ2000mの光学PETフィルム(東洋紡製、厚さ100μm、全光線透過率91%)上に、2ロールコーターで塗工し、赤外線乾燥炉にて乾燥後、巻き取りし、シート状積層体を得た。塗工厚は、乾燥後で16μmに設定した。
投影面を平面にするために、上記で得られたシート状積層体を横2000mm、縦1500mmにカッティングし、上端と下端を金属フレーム(アルミ製、横2050mm、縦1550mm)に固定し、透明スクリーンを製作した。なお、金属フレーム上部には天井から吊り下げることが出来るように、吊り下げ用の字具が3箇所(それぞれ左右端から50mmと中央の位置)固定されている。
シート状積層体をロール状に収納できる巻取り方収納装置を設けて、透明スクリーンを使用しないときには、シート状積層体を収納して画像投影部を傷等から保護できるようにした。具体的には、上記で得られたシート状積層体を横2000mm、縦1500mmにカッティングし、上端を円筒状の巻き取り装置(幅1560mm、直径45mm、チェーンと歯車による手動式巻き取り機を装備)に固定し、下端に棒状の錘(長さ1550mm、直径30mm、重さ1.5kg)を固定した。巻き取り装置上部には、2箇所(それぞれ左右端から150mmの位置)に吊り下げ用の字具が固定されており、天井や吊り下げ式固定脚に固定できるようにした。全重量は5.5kgで、収納性だけではなく、人間が一人で携帯し、搬送することが可能であることが確認された。
上記で得られたシート状積層体の裏面に、粘着剤(商品名「ゲルポリ」)を塗布することにより、微粘着性を付与した。透明アクリル製の半円筒(厚さ5mm、直径1000mm、扇角45°、縦800mm、全光線透過率87%)にシート状積層体を界面に気泡のないように貼り付け、曲面型透明スクリーンを製作した。曲面型透明スクリーンは、透過型透明スクリーンとしても、反射型透明スクリーンとしても利用することができた。
上記で得られたシート状積層体をプロジェクター用透明スクリーンに適用した。レーザープロジェクター(リコー株、RICOH PJ WXL4540)により、グレー標準画像を投影させたところ、モアレ縞が観察されなかった。なお、透明スクリーン(JXTGエネルギー(株)製、KALEIDO SCREEN)を使って投影すると、モアレ縞が表出した。
基材の片面に、樹脂組成物1を、固形分の濃度が50g/m2になるようにスライドビード塗布装置(三井電気精機製の卓上コーター、TC−3型)を用いて塗布した。その後、90℃のオーブンの中に1分間入れて乾燥させ、基材上に光散乱体からなる光散乱層が設けられたシート状積層体を2枚作製した。光散乱層の厚さは20μmであった。
樹脂組成物1に代えて樹脂組成物3を用いたこと以外は実施例17と同様にして、透明スクリーンを作製した。実施例17と同様にしてスペックルノイズを測定したところ、コントラスト値は、13.5%であった。
実施例17のシート状積層体と、実施例18のシート状積層体とを組み合わせて、透明スクリーンを作製した。実施例17と同様にしてスペックルノイズを測定したところ、コントラスト値は、8.7%であった。このコントラスト値は、スペックルノイズが人間の目で感じられないレベル(標準のコントラストテスト用の赤のパターン:約8%)に近いものであった、
実施例2と同様にして得られたシート状積層体を縦900mm、横450mmに切り取り、アルミ製フレームに固定し、透明スクリーンを構成した。
実施例2と同様にして得られたシート状積層体の裏面に、微粘着剤(商品名「ゲルポリ」)を50μmの厚さで塗工し、建築物の透明なガラス製ドア(厚さ8mm、幅900mm、縦1500mm)の表面に貼り付け、透明スクリーンを構成した。また、ドア上部に対物センサー付きライト(センサーライト:2灯式LED、人感ライト:LCL−52)を取り付けた。
上記の警報表示装置を、対物センサー付きライトに代えて近赤外レーザーセンサー(DENSO製、ZD−LS100M)をドアの近くに設置し、人が接近すると小型レーザープロジェクター(SONY製、LSPX−P1)が動作するシステムに変更し、広告宣伝表示装置を構成した。
実施例2と同様にして得られたシート状積層体の裏面に、微粘着剤(商品名「ゲルポリ」)を50μmの厚さで塗工し、鉄製の可動式フレームスタンドに固定された透明なアクリル板(厚さ5mm、縦1000mm、横1200mm)の上に貼り付け、透明スクリーンを構成した。次に、貼り付けたシート状積層体の光散乱層の表面に、ホワイトボードコート剤(SST社製、SC1001、硬度3H)を塗工し、ボードマーカーで書き込みができるようにした。
Claims (16)
- 樹脂と、メジアン径が50nm以上360nm以下である第1の粒子と、メジアン径が500nm以上1.5μm以下であり、ダイヤモンド構造を有する第2の粒子と、を含有し、
前記第1の粒子及び前記第2の粒子の合計含有量が、前記樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20.0質量部以下であり、
前記第1の粒子の粒子数M1と前記第2の粒子の粒子数M2との粒子数比M1/M2が、100以上5000以下であり、
前記樹脂は、厚さ20μmにおける全光線透過率が80%以上である、光散乱体形成用組成物。 - 前記樹脂の屈折率nA、前記第1の粒子の屈折率nB、及び前記第2の粒子の屈折率nCが、下記式(1)で表される条件を満たす、請求項1に記載の光散乱体形成用組成物。
0.15<|nB−nA|≦nC−nA<1.15 …(1) - 前記第1の粒子及び前記第2の粒子がダイヤモンドであって、炭素濃度が90質量%以上である、請求項1又は2に記載の光散乱体形成用組成物。
- 樹脂媒体と、前記樹脂媒体中に分散している、メジアン径が50nm以上360nm以下である第1の粒子と、前記樹脂媒体中に分散している、メジアン径が500nm以上1.5μm以下であり、ダイヤモンド構造を有する第2の粒子と、を含有する光散乱体であって、
前記第1の粒子及び前記第2の粒子の合計含有量が、前記樹脂媒体100質量部に対して、0.01質量部以上20.0質量部以下であり、
前記第1の粒子の粒子数M1と前記第2の粒子の粒子数M2との粒子数比M1/M2が、100以上5000以下であり、
前記光散乱体の全光線透過率が80%以上である、光散乱体。 - 前記樹脂媒体の屈折率nA、前記第1の粒子の屈折率nB、及び前記第2の粒子の屈折率nCが、下記式(1)で表される条件を満たす、請求項4に記載の光散乱体。
0.15<|nB−nA|≦nC−nA<1.15 …(1) - 前記第1の粒子及び前記第2の粒子がダイヤモンドであって、炭素濃度が90質量%以上である、請求項4又は5に記載の光散乱体。
- 基材と、該基材上に設けられた請求項4〜6のいずれか一項に記載の光散乱体からなる光散乱層と、を備える、シート状積層体。
- 少なくとも一方の最表面に、硬度が2H以上の樹脂層を更に備える、請求項7に記載のシート状積層体。
- 前記基材が曲面を有する、請求項7又は8に記載のシート状積層体。
- 請求項7〜9のいずれか一項に記載のシート状積層体を備える、投影スクリーン。
- 透過型透明スクリーンである、請求項10に記載の投影スクリーン。
- 反射型透明スクリーンである、請求項10に記載の投影スクリーン。
- 前記シート状積層体をロール状にして収納できる収納手段を更に備える、請求項10〜12のいずれか一項に記載の投影スクリーン。
- 請求項7に記載のシート状積層体2つが、互いの光散乱層が対向し、互いの光散乱層の間にそれぞれの光散乱層よりも屈折率が小さい低屈折率媒体が介在する状態で配置された構造、を有する、投影スクリーン。
- 画像を投影する画像投影手段と、請求項4〜6のいずれか一項に記載の光散乱体、請求項7〜9のいずれか一項に記載のシート状積層体又は請求項10〜14のいずれか一項に記載の投影スクリーンと、を備える、画像表示システム。
- 人又は物の接近を検出する検出手段と、前記検出手段からの情報に基づき人又は物が接近したと判定した場合に前記画像投影手段から前記光散乱体、前記シート状積層体又は前記投影スクリーンに画像を投影する手段と、を更に備える、請求項15に記載の画像表示システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017245952A JP6967443B2 (ja) | 2017-12-22 | 2017-12-22 | 光散乱体形成用組成物、光散乱体、シート状積層体、投影スクリーン、及び画像表示システム |
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