JP7061184B2 - 光散乱体、光散乱体形成用組成物、シート状積層体、投影スクリーン、光拡散シート及び光エンハンサー内蔵照明装置 - Google Patents

光散乱体、光散乱体形成用組成物、シート状積層体、投影スクリーン、光拡散シート及び光エンハンサー内蔵照明装置 Download PDF

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Description

本発明は、光散乱体、光散乱体形成用組成物、シート状積層体、投影スクリーン、光拡散シート及び光エンハンサー内蔵照明装置に関する。
プロジェクターより投射された映像をスクリーンに投影してプロジェクター側から視認する反射型スクリーンや、背面から視認する透過型スクリーンは、ホームシアター、デジタルサイネージ、イベント等の広告媒体等、様々な分野で使用されている。
このようなスクリーンとしては、例えば、基材の中に気泡を含有させ、入射した光を反射させる層を備えるスクリーンが知られている。
特許文献1には、平均気泡径が12μm以下の配向性楕円気泡を含有したポリエステル樹脂発泡体シートを画像が投影される反射シートとして用いた技術が開示されている。
特許文献2には、(A)環状オレフィン系樹脂:90~99.9重量部、および、(B)有機架橋粒子:10~0.1重量部(ただし、(A)と(B)の合計が100重量部)を含有し、全光線透過率が0%以上であり、前記環状オレフィン系樹脂(A)の屈折率nと、前記有機架橋粒子(B)の屈折率nとの差の絶対値|n-n|が0.04以上であり、かつ、前記有機架橋粒子(B)の平均粒子径が2.0μm以上である樹脂組成物からなることを特徴とするプロジェクター透過スクリーン用拡散板が開示されている。
特許文献3には、非相溶である2成分のブレンドポリマー繊維を用い、繊維軸方向に垂直に内部空隙を形成させたスクリーン技術が開示されている。
特許文献4には、樹脂中に複数の気泡を含んだ光散乱シートを投影用スクリーンとして適用した技術が開示されている。
特許文献5では、全光線透過率が30~80%、全光線反射率が20~70%である熱可塑性樹脂を含有するフィルムにより、反射光でも透過光でも映像視認の機能を発揮することができる半透明な投影スクリーン技術が開示されている。
特許文献6では、熱可塑性樹脂を含有するフィルム層の厚さ方向に孔と孔との間の最短距離0.1~5mmの間隔で貫通する開口径0.1~8mmの貫通孔を空けることで、全光線透過率が30~80%、全光線反射率が20~70%であるスクリーン技術が開示されている。
特開2009-175522号公報 特開2008-64951号公報 特開2006-243453号公報 特開2006-23342号公報 特開2003-330120号公報 特開2004-62143号公報
しかしながら、本発明者等による検討の結果、特許文献1~6のスクリーンでは、投影画像の鮮明性と明るさが不十分で、視認性が十分ではないことが明らかとなった。
本発明は上記の技術的課題に鑑みてなされたものであり、鮮明かつ明るい画像を投影することができる光散乱体及びそれを形成することができる光散乱体形成用組成物、並びに光散乱体を用いたシート状積層体、投影スクリーン、光拡散シート及び光エンハンサー内蔵照明装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、以下に示す発明を完成するに至った。
本発明は、中空粒子と光散乱粒子とを、当該光散乱粒子よりも屈折率が低い樹脂媒体中に分散してなる光散乱体を提供する。
光散乱粒子はダイヤモンドであることが好ましい。
中空粒子の空孔径は0.78μm以上300μm以下であることが好ましい。
本発明はまた、中空粒子前駆体、光散乱粒子及び樹脂を含み、光散乱粒子の屈折率が樹脂の屈折率よりも高い光散乱体形成用組成物を提供する。
本発明のシート状積層体は、基材と、該基材上に設けられた上述の光散乱体からなる光散乱層とを備える。
本発明の投影スクリーンは、上述の光散乱体又はシート状積層体を備える。
本発明の光拡散シートは、上述の光散乱体からなる光散乱層を備える。
本発明の光エンハンサー内蔵照明装置は、上述の光散乱体又はシート状積層体を備える光エンハンサーと光源とを備える。
本発明によれば、鮮明かつ明るい画像を投影することができる光散乱体及びそれを形成することができる光散乱体形成用組成物、並びに光散乱体を用いたシート状積層体、投影スクリーン、光拡散シート及び光エンハンサー内蔵照明装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る光散乱体を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態に係るシート状積層体を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態に係るシート状積層体を示す模式断面図である。 本発明に一実施形態に係るシート状積層体の光散乱測定の配置図である。 本発明の一実施形態に係るシート状積層体の光散乱強度の角度分布図である。 本発明の一実施形態に係る複合光拡散シートを示す模式断面図である。 本発明の一実施形態に係る光エンハンサー内蔵照明装置を示す模式断面図である。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[光散乱体]
本実施形態の光散乱体は、樹脂媒体と、当該樹脂媒体中に分散している中空粒子と、当該樹脂媒体中に分散している光散乱粒子とを含有する。樹脂媒体の屈折率は、光散乱粒子の屈折率よりも低い。
図1は、本実施形態の光散乱体を示す模式断面図である。図1に示される光散乱体5は、樹脂媒体3と、樹脂媒体3中に分散している中空粒子1及び光散乱粒子2とを含有する。
まず樹脂媒体について説明する。樹脂媒体は、構成成分として、少なくとも樹脂を含有しており、当該樹脂は、例えば、光散乱体中で中空粒子と光散乱粒子を固定するマトリックス樹脂として機能する。
樹脂媒体は、樹脂を含む樹脂用組成物から形成されるものであってもよい。
樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を用いる場合、光散乱粒子との屈折率差が得られやすく、視認性に更に優れる傾向がある。樹脂媒体は、光散乱体に含まれる光散乱粒子の凝集防止の観点から、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂又はシリコーン変性アクリル樹脂を含有することが好ましく、シリコーン変性アクリル樹脂を含有することがより好ましい。樹脂媒体は、1種の樹脂を単独で含有してよく、2種以上を含有してもよい。
樹脂用組成物は、樹脂以外の他の成分を含有してよい。他の成分としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、防腐剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、シリコーン消泡剤、レベリング剤、増粘剤、沈殿防止剤、垂れ防止剤、難燃剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤、有機・無機顔料・染料の各種添加剤、添加助剤、帯電防止剤、艶消し剤等が挙げられる。これらの中で、光散乱体に含まれる光散乱粒子等の凝集防止の観点から、上記各界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、スチレン化フェノールアルキレンオキシド付加物硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等のアニオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールモノ(スチリルフェニル)エーテル等のノニオン界面活性剤がより好ましく、スチレン化フェノールアルキレンオキシド付加物硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩又はナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物塩が更に好ましく、スチレン化フェノールアルキレンオキシド付加物硫酸エステル塩又はナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物塩が特に好ましい。
樹脂媒体の屈折率は、1.28以上1.80未満であることが好ましく、1.30以上1.60以下であることがより好ましく、1.40以上1.60以下であることが更に好ましい。本明細書において屈折率は、ナトリウムランプの波長589.3nmでの計測値を指す。
光散乱体中の樹脂媒体の含有量は、粒子の分散性の観点から、光散乱体の全量を基準として、40~95質量%が好ましく、50~90質量%がより好ましい。
中空粒子は、中空構造を持つものであり、薄層により囲まれた空孔を有する。
中空粒子としては、空孔を有する中空ポリマー等をそのまま用いてもよく、加熱等の処理によって中空粒子を形成する前駆体を処理して形成してもよい。加熱等の処理によって中空粒子を形成する前駆体としては、例えば、熱膨張マイクロカプセルが挙げられる。
中空粒子の空孔径は、視認性の観点から、0.78~300μmが好ましく、0.9~100μmがより好ましく、0.9~30μmが更により好ましい。空孔径は、走査型顕微鏡で測定することができ、任意の50個以上の中空粒子について各粒子の空孔径(直径)を測定し、それらを算術平均して求める。なお、観察写真(図)中、空孔径の形状が真円状でない場合には、その空孔径の断面の最大の内接円の直径として測定する。
中空粒子の薄層の材質としては、例えば、酸化シリコン、ガラス、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機物質;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂等の有機物質が挙げられる。これらの中で、視認性の観点から、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂等の有機樹脂が好ましく、アクリル樹脂又はスチレン樹脂がより好ましい。
中空ポリマーとはその中に空気等の気体が封じ込められているカプセルである。中空ポリマーの材質としては酸化シリコン、ガラス、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機物質;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂等の有機物質等が挙げられる。
熱膨張マイクロカプセルはコア内部に熱膨張性気体を内包した構造体であり、加熱により内包された熱膨張性の気体が膨張することによって、中空構造を有する中空粒子が形成される。コア内部の気体としては、低沸点の炭化水素等が挙げられる。熱膨張マイクロカプセルを構成する薄層の材質としては、酸化シリコン、ガラス、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機物質;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂等の有機物質等が挙げられる。
中空粒子の薄層の厚さは、視認性及び中空粒子の構造安定性の観点から、1.0nm~10μmが好ましい。また、薄層の材質が酸化チタン、酸化アルミニウムの場合、薄層の厚さは、1.0nm~1μmが好ましい。走査型電子顕微鏡で測定され、任意の50個以上の中空粒子について各粒子の薄層を測定し、それらを算術平均して求める。なお、観察写真(図)中、薄層の厚さが一定でない場合には、その薄層の最大値と最小値を測定して平均としたものとする。
中空粒子の含有量は、視認性の観点から、光散乱体の全量を基準として、3~50質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましい。
光散乱粒子は、樹脂媒体の屈折率よりも屈折率が高いものであればよい。光散乱粒子を構成する成分としては、例えば、ダイヤモンド;酸化ジルコニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化セシウム、酸化クロム、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化インジウムスズ、酸化タンタル等の金属酸化物;アルミニウム、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、クロム、亜鉛、タングステン、水銀、プラチナ、モリブデン等の金属;ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルオレフィン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂等の樹脂等であってよい。
これらの中で、屈折率1.8以上のものが好ましく、屈折率2.0以上のものがより好ましく、屈折率2.2以上のものが更に好ましい。屈折率の上限は特に限定されないが、例えば、4.0以下とすることができる。
屈折率1.8以上のものとしては、ダイヤモンド;酸化ジルコニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化セシウム、酸化クロム、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化インジウムスズ、酸化タンタル等の金属酸化物;ニッケル、コバルト、鉄、チタン、クロム、亜鉛、タングステン、水銀、プラチナ、モリブデン等の金属が挙げられる。屈折率2.0以上のものとしては、ダイヤモンド;酸化ジルコニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化セシウム、酸化クロム、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化インジウムスズ、酸化タンタル等の金属酸化物;コバルト、鉄、チタン、クロム、亜鉛、タングステン、水銀、プラチナ、モリブデン等の金属が挙げられる。これらの中で、光を効果的に散乱させる観点から、ダイヤモンド、金属酸化物、金属が好ましく、視認性及び高視野角の観点から、ダイヤモンドがより好ましい。光散乱粒子は、これらの成分を単独で含有してよく、2種以上を含有してもよい。また、光散乱粒子として、同一の構成成分からなる1種の粒子を用いてよく、構成成分の異なる複数種の粒子を用いてよい。
ダイヤモンドとしては、製造方法や精製方法により、多種存在するが、いずれも用いることができる。例えば、天然ダイヤモンド;高圧合成ダイヤモンド、爆轟合成ダイヤモンド、気相成長ダイヤモンド等の合成ダイヤモンド等が挙げられる。
また、ダイヤモンドは、結晶の形態構造として、単結晶ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンドの2つに分類され、単独、もしくは混合して用いることができる。
光散乱粒子のメジアン径は、視認性の観点から、40nm~10μmが好ましく、70nm~1.0μmがより好ましい。光散乱粒子は1種又はメジアン径が異なる2種以上を用いてもよい。本明細書においてメジアン径とは、粒子の体積基準での50%メジアン径を言い、レーザー回折散乱方式の粒度分布計(例えば、堀場製作所製、LA-960)を用いて測定される。
光散乱粒子の形状は、特に限定されず、例えば、球体様、略球様、回転楕円体様、破砕様、不定形様、立方体様、直方体様、板様、角錐様、円錐様、燐片様等であってよい。視認性の観点から、球体様、略球様、回転楕円体様が好ましい。
光散乱粒子の含有量は、視認性の観点から、光散乱体の全量を基準として、1~25質量%であることが好ましく、2~20質量%がより好ましい。
中空粒子に対する光散乱粒子の質量比(光散乱粒子の質量/中空粒子の質量)は、視認性の観点から、0.05以上0.80以下が好ましく、0.15以上0.60以下がより好ましい。
光散乱粒子の屈折率は、樹脂媒体の屈折率よりも、0.2以上大きいことが好ましく、0.4以上大きいことがより好ましく、0.6以上大きいことが更に好ましい。光散乱粒子と樹脂媒体の屈折率の差の上限は、特に限定されないが、例えば2以下とすることができる。
本実施形態の光散乱体は、シート状であることが好ましい。その厚さは特に限定されないが、視認性に更に優れる観点及び経済性に優れる観点から、0.1~500μmが好ましく、0.5~80μmがより好ましい。なお、本明細書における光散乱体の厚さは、マイクロメーター(ミツトヨ社製、商品名:MDH-25M)を用いて測定される。
本実施形態の光散乱体は、例えば、剥離基材上に、後述する光散乱体形成用組成物を塗布する工程と、塗膜を乾燥又は硬化する工程と、乾燥物又は硬化物を剥離基材から剥離する工程と、を備える方法によって製造することができる。
[光散乱体形成用組成物]
本実施形態の光散乱体形成用組成物は、中空粒子前駆体、光散乱粒子及び樹脂を含む。
本実施形態の光散乱体形成用組成物は樹脂用組成物を含有することができる。
樹脂用組成物は、上述した本実施形態の光散乱体における樹脂媒体を形成するための樹脂用組成物と同様のものを用いることができる。また、樹脂用組成物は、上述した樹脂に代えて又は併用して、当該樹脂を形成することができる重合性モノマー(例えば、モノマー混合物)と、必要に応じて、重合開始剤等を含むものであってもよい。樹脂用組成物に含有される樹脂が上述の樹脂又はその原料である場合、粒子の分散性に優れるため、視認性に優れる光散乱体が得られやすい。なお、本実施形態では、上述の樹脂を溶媒で希釈又は分散した溶液(樹脂溶液)として市販されているものを使用してよい。
重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソブチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系化合物;エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、ブタジエン、イソブレン等のアルケン化合物;クロロエチレン、ジクロロエチレン等のハロゲン化アルケン化合物;シクロヘキセン等のシクロアルケン化合物;スチレン;エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のエポキシ化合物;γ-メタクリロキシプロピルアルコキシシラン等のシラン化合物が挙げられる。重合性モノマーは、重合性の官能基を有する上記樹脂であってもよい。
重合開始剤としては、アゾ化合物、過酸化物等の熱ラジカル重合開始剤;ベンゼン酸スルホン酸エステル化合物、アルキルスルホニウム塩等の熱カチオン重合開始剤;ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物等の光重合開始剤等が挙げられる。
樹脂用組成物の固形分としての含有量は、分散性の観点から、光散乱体形成用組成物全量を基準として、22~98.5質量%が好ましく、30~96質量%がより好ましい。
光散乱体形成用組成物における中空粒子前駆体としては、空孔を有する中空ポリマー等を用いてもよく、加熱等の処理によって中空粒子を形成する前駆体を用いてもよい。中空粒子前駆体としては、上述した本実施形態の中空粒子において説明したものと同様のものを用いることができる。
光散乱体形成用組成物における中空粒子前駆体の合計含有量は、分散性の観点から、光散乱体形成用組成物全量を基準として、1.1~69.0質量%が好ましく、2.9~56.0質量%がより好ましい。
光散乱体形成用組成物における光散乱粒子としては、上述した本実施形態の光散乱粒子と同様のものを用いることができる。
光散乱体形成用組成物における光散乱粒子の合計含有量は、分散性の観点から、光散乱体形成用組成物全量を基準として、0.4~9.0質量%が好ましく、0.7~7.5質量%がより好ましい。
光散乱体形成用組成物は、必要に応じて、光散乱粒子以外の無機粒子、光散乱粒子以外の有機粒子、光散乱粒子以外の金属粒子、光散乱粒子以外の金属酸化物粒子、溶剤、重合開始剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、防腐剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、シリコーン消泡剤、レベリング剤、増粘剤、沈殿防止剤、垂れ防止剤、難燃剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤、有機・無機顔料・染料の各種添加剤、添加助剤、帯電防止剤、艶消し剤等を含むことができる。これらの中で、光散乱体に含まれる光散乱粒子等の凝集防止の観点から、上記各界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、スチレン化フェノールアルキレンオキシド付加物硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等のアニオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールモノ(スチリルフェニル)エーテル等のノニオン界面活性剤がより好ましく、スチレン化フェノールアルキレンオキシド付加物硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩又はナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物塩が更に好ましく、スチレン化フェノールアルキレンオキシド付加物硫酸エステル塩又はナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物塩が特に好ましい。
溶剤としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、ノナン、オクタン、イソオクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶剤;ジメチルケトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステル系溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系溶剤;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n-アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート等のエステル系溶剤;アセトニトリル等のニトリル系溶剤、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、アルコキシ-N-イソプロピル-プロピオンアミド、ヒドロキシアルキルアミド等の脂肪族アミド系溶剤;N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-ピロリドン等の脂環族アミド系溶剤;水等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光散乱体形成用組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、樹脂用組成物に、中空粒子前駆体及び光散乱粒子を添加し、分散させる方法が挙げられる。
中空粒子前駆体及び光散乱粒子を分散させる方法としては、例えば、従来公知の混合、分散方法等が挙げられる。中空粒子前駆体及び光散乱粒子をより確実に分散させるためには、分散機を用いて分散処理を行うことが好ましい。
分散機としては、例えば、ディスパ、ホモミキサー、プラネタリーミキサー(PRIMIX社「フィルミックス」)、自転公転ミキサー(シンキー社製「あわとり練太郎」等)等のミキサー類;ホモジナイザ(エム・テクニック社製「クレアミックス」);ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル等のメディア型分散機;湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等);メディアレス分散機(エム・テクニック社製「クレアSS―5」、奈良機械社製「MICROS」等);その他ロールミル等が挙げられる。
<シート状積層体>
図2、3は、シート状積層体の一実施形態を示す模式断面図である。図2、3に示される本実施形態のシート状積層体6は、基材4と、該基材4上に設けられた上記本実施形態の光散乱体5からなる光散乱層とを備える。なお、図2は、中空粒子1と光散乱粒子2の粒径が光散乱体5の厚さよりも小さい場合を示す図であり、図3は、中空粒子1の粒径が光散乱体5の厚さよりも大きい場合を示す図である。図3に示すように、中空粒子1及び/又は光散乱粒子2は、樹脂媒体3の外に飛び出していてもよい。
基材は、シート状積層体の光学特性を阻害するものでなければ特に限定されるものではないが、具体的には、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ほうけい酸ガラス等のガラス;ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニル系樹脂等のプラスチック;石英;酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化インジウウムスズ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等の金属酸化物;鉄鋼、炭素鋼、クロム-モリブデン鋼、アルミ合金、ステンレス合金、銅合金、チタン合金等の合金;金、銀、銅、亜鉛、鉄、アルミニウム、白金、鉛、パラジウム等の金属;綿、麻等の植物繊維;絹、羊毛、アルパカ、アンゴラ、カシミヤ、モヘア等の動物繊維;レーヨン、ポリアセテート、プロミックス、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等の合成繊維;ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維等の無機繊維等が挙げられる。
透過型スクリーンとして使用する場合は、透明な基材が好ましい。透明な基材の具体例としては、ガラス、プラスチック等が挙げられる。
基材の厚みは、特に限定されないが、強度及び経済性の観点から、1μm~50mmが好ましく、20μm~30mmがより好ましい。
光散乱層は、上述した本実施形態の光散乱体からなり、光散乱体形成用組成物を用いて形成することができる。
光散乱層の厚さは、視認性及び経済性に優れる観点から、0.1~500μmが好ましく、0.5~80μmがより好ましい。光散乱層の厚さは、マイクロメーター(ミツトヨ社製、商品名:MDH-25M)を用いて測定される。
本実施形態のシート状積層体は、少なくとも一方の最表面に、膜の強度を挙げるための公知のハードコート層、帯電防止層、指紋防止フィルム層、又は艶消し層を設けることができる。
シート状積層体の基材側に粘着剤を塗布して、粘着層を設けてもよい。
本実施形態のシート状積層体は、投影画像を投影するときには反射型及び透過型のいずれにおいても用いることができる。なお、透過型の場合、基材は光学特性を害しなければ、特に限定されない。
本実施形態のシート状積層体は、光散乱体形成用組成物に、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、メラミンシアヌレート、ベストボロン、ソウファ等の難燃剤を適量添加し、基材として、難燃性の塩化ビニル、難燃性ポリエチテンレテフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、アラミドフィルム、難燃性ポリカーボネートフィルム等を採用することで、難燃性に優れたシート状積層体にすることができる。
本実施形態のシート状積層体は、例えば、基材上に、樹脂用組成物、中空粒子前駆体及び光散乱粒子を含む光散乱体形成用組成物を塗布する工程と、塗膜を乾燥又は硬化する工程と、を備える方法によって製造することができる。また、別の方法として、基材上に、シート状の光散乱体をラミネートする工程とを備える方法が挙げられる。
光散乱体形成用組成物の塗布方法は、特に限定されないが、剥離基材又は基材の形状に応じて適宜選択することができ、例えば、スライドビード方式、スライドカーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式、エアーナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等が挙げられる。
形成された塗膜を乾燥又は硬化する方法としては、温風乾燥機や赤外線乾燥機等で加熱する方法を用いることができる。樹脂用組成物が水系エマルジョンの場合、エマルジョン分散している水分を温風乾燥機や赤外線乾燥機等で加熱して、塗膜に含まれる水分を蒸発させて樹脂を硬化することができる。樹脂用組成物がモノマー及び重合開始剤を含む場合は、必要に応じて、塗膜を加熱して塗膜中の溶剤を除去した後に、紫外線、電子線、赤外線、可視光線、X線、α線、γ線、重粒子線等の活性エネルギー線を照射してモノマーを重合し、高分子化することにより、塗膜を硬化することができる。
光散乱体形成用組成物の塗膜の厚さは、視認性及び経済性の観点から、乾燥後の光散乱体の厚さ(例えば、光散乱体5の厚さ)が、0.1~500μmとなる厚さであることが好ましく、0.5~80μmとなる厚さであることがより好ましい。
光散乱体が剥離基材上に形成された場合、光散乱体を剥離基材から剥がすことで、シート状の光散乱体を得ることもできる。剥離基材からはがす方法としては、特に限定されないが、例えば、シール剥離、物理的剥離、剥離剤添加等が挙げられる。
剥離基材上に形成されたシート状の光散乱体を、基材上にラミネートする方法としては、光学粘着剤や光学接着剤による接合や熱溶融接合等が挙げられる。
<投影スクリーン>
本実施形態の投影スクリーンは、上述した本実施形態の光散乱体、又は、上述した本実施形態のシート状積層体を備える。本実施形態の投影スクリーンは、光源に対し透過する側から画像を認識できる透過型スクリーンとしてもよく、光源に対し反射する側から画像を認識できる反射型スクリーンとしてもよい。
本実施形態の投影スクリーンは、光散乱体単独、又は、シート状積層体単独で構成することが可能であるが、投影源により画像を投影する際、光散乱体又はシート状積層体を空間に固定できる機能を有していることが好ましい。
具体的には、シート状積層体の上部全体又は一部に固定金具を取り付けることができる。また、固定機能は、画像にボケや歪がでないように、シート状積層体がたわみなく平面に維持できるものが好ましい。
本実施形態の投影スクリーンは、シート状積層体をロール状に収納できる収納手段を有していることが好ましい。収納手段としては、巻取り型収納装置が挙げられる。この場合、投影スクリーンを使用しないときにシート状積層体の画像投影部を保護することができ、収納性、保管性、携帯性、搬送性等を向上させることができる。
本実施形態の投影スクリーンは、風や振動等により、投影面のたわみや歪が発生することを抑制するために、シート状積層体の下部に重量物を有していてもよい。重量物として、1kg重以上500kg重以下の力を掛けることによって、画像投影面の平坦性を維持し、投影画像の歪みを無くすことが容易となる。
本実施形態の投影スクリーンは、曲面を有する基材上に、光散乱体又はシート状積層体が設けられたものであってもよい。この場合、曲面基材に、光散乱体又はシート状積層体を接着又は密着させてもよく、上述した光散乱体形成用組成物を曲面基材表面に直接塗布することにより光散乱体を形成してもよい。
この場合、曲面画像や立体画像の投影、立体曲面への投影に適した、透過型曲面透明スクリーン又は反射型曲面透明スクリーンを構成することができる。
本実施形態の光散乱体又はシート状積層体を、光の指向性を弱めることができる光拡散シートとして使用することができる。
また、本実施形態の光散乱体又はシート状積層体を、別の光拡散シート上に形成させることで光散乱効果をさらに増幅させる複合光散乱シートとして使用することができる。例えばLED(発光ダイオード)やLD(レーザーダイオード)を光源とした照明の場合、複合光散乱シートを用いることで、光を有効に散乱させ、使用するに相応しい角度に散乱角を広げることができ、屋内や屋外において、一様に照明光を散乱させることができる。
本実施形態の光散乱体又はシート状積層体を使用して、照明の光エンハンサーを構成することができる。光散乱体又はシート状積層体を照明用の光エンハンサーとして使用することで、極めて単純な構造で、効率良く光散乱させることができる。
本実施形態のシート状積層体又は投影スクリーンを車両用部材に使用することもできる。一例として、サイドおよびリアウィンドウ表面にシート状積層体又は投影スクリーンを接着させ、サイドおよびリアウィンドウへの画像表示機能を付与させることが出来る。
本実施形態のシート状積層体又は投影スクリーンを建築用部材に使用することもできる。一例として、透明な窓材にシート状積層体又は投影スクリーンを貼り付け、プロジェクターにて画像を投影し、店舗の広告や情報提供として使用することができる。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例により何ら制限されるものではない。
下記のとおり、光散乱体形成用組成物を調製するための材料及び基材を準備した。
[樹脂組成物]
アクリル樹脂組成物:EK-61(サイデン化学(株)製、不揮発成分:39.2%)、屈折率:1.49。
ウレタン樹脂組成物:エバファノールHA-170(日華化学(株)製、不揮発分36.5質量%、屈折率1.50。
シリコーン変性アクリル樹脂:MX-9012(三菱ケミカル(株)製、不揮発成分:49.6%)、屈折率:1.45
[中空粒子前駆体]
・中空ポリマー:ローペイクSN-1055(ダウコーティングマテリアルズ社製、不揮発成分:26.5%)、メジアン径:1.7μm、薄層の厚み:350nm、材質:スチレン樹脂
・熱膨張マイクロカプセル:Expancel053-40(日本フィライト社製、不揮発成分:100%)、メジアン径:14μm、材質:アクリル樹脂
[光散乱粒子]
・ダイヤモンド1:(RZ社製、単結晶ダイヤモンド、メジアン径:200nm、屈折率:2.42)
・ダイヤモンド2:(RZ社製、多結晶ダイヤモンド、メジアン径:500nm、屈折率:2.42)
・酸化チタン:(堺化学社製、型番:SA-1、メジアン径:150nm、屈折率:2.52)
[界面活性剤]
界面活性剤1:ペンタスチレン化フェノールエチレンオキシド3モルプロピレンオキシド9モル付加物硫酸エステルアンモニウム塩の50.0質量%水溶液
界面活性剤2:トリスチレン化フェノールプロピレンオキシド100モル付加物の50.0質量%水溶液
界面活性剤3:β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のNa塩の50.0質量%水溶液(商品名:デモールNL、花王(株)製)
[基材]
ポリエステル樹脂:PETフィルム(東洋紡社製、A4300、厚さ100μm)
<光散乱体形成用組成物の調製>
(光散乱体形成用組成物1の調製)
200mlステンポットに、ダイヤモンド1を1.5g及びEK-61を76.5gとなるように加え、ホモミキサー(ROBOMICS(fmodel)、プライミクス社製)を用いて4000rpmで30分間、混合・分散処理を行った後、#2000紗にてろ過を行い、ダイヤモンド分散樹脂組成物を得た。紗に凝集物は見られなかった。次いで、上記ダイヤモンド分散樹脂組成物に中空ポリマーを22.0g加えて、超音波分散装置(アズワン社製)を用いて、5分間超音波分散処理を行った。これにより光散乱体形成用組成物1を得た。
(光散乱体形成用組成物2の調製)
ステンレスポットに、ダイヤモンド1を1.7g、EK-61を85.8g、及び中空ポリマーを12.5gとなるように加えたこと以外は光散乱体形成用組成物1と同様にして、光散乱体形成用組成物2を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(光散乱体形成用組成物3の調製)
ステンレスポットに、ダイヤモンド1を1.3g、EK-61を61.7g、及び中空ポリマーを37.0gとなるように加えたこと以外は光散乱体形成用組成物1と同様にして、光散乱体形成用組成物3を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(光散乱体形成用組成物4の調製)
ステンレスポットに、ダイヤモンド1を1.5g、ダイヤモンド2を0.2g、EK-61を76.5g、及び中空ポリマーを22.0gとなるように加えたこと以外は光散乱体形成用組成物1と同様にして、光散乱体形成用組成物4を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(光散乱体形成用組成物5の調製)
ステンレスポットに、ダイヤモンド1を1.8g、EK-61を91.4g、及び中空ポリマーに代えて熱膨張マイクロカプセルを6.8gとなるように加えたこと以外は光散乱体形成用組成物1と同様にして、光散乱体形成用組成物5を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(光散乱体形成用組成物6の調製)
ステンレスポットに、ダイヤモンド1を1.6g、ダイヤモンド2を0.2g、EK-61を91.4g、及び中空ポリマーに代えて熱膨張マイクロカプセルを6.8gとなるように加えたこと以外は光散乱体形成用組成物1と同様にして、光散乱体形成用組成物6を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(光散乱体形成用組成物7の調製)
ステンレスポットに、ダイヤモンド1に代えて酸化チタンを1.5g、EK-61を76.5g、及び中空ポリマーを22.0gとなるように加えたこと以外は光散乱体形成用組成物1と同様にして、光散乱体形成用組成物7を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(光散乱体形成用組成物8の調製)
ステンレスポットに、ダイヤモンド1を1.5g、EK-61に代えてHA-170を82.2g、及び中空ポリマーを22.0gとなるように加えたこと以外は光散乱体形成用組成物1と同様にして、光散乱体形成用組成物8を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(光散乱体形成用組成物9の調製)
ステンレスポットに、ダイヤモンド1を加えず、EK-61を63.0g、及び中空ポリマーを37.0gとなるように加えたこと以外は光散乱体形成用組成物1と同様にして、光散乱体形成用組成物9を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(光散乱体形成用組成物10の調製)
ステンレスポットに、ダイヤモンド1を1.7g、及びEK-61を98.3gとなるように加え、中空ポリマーを加えなかったこと以外は光散乱体形成用組成物1と同様にして、光散乱体形成用組成物10を調製した。なお、紗に凝集物は見られなかった。
(光散乱体形成用組成物11の調製)
ステンレスポットに、ダイヤモンド1を1.25g、ダイヤモンド2を0.13g、MX-9012を50.77g、中空ポリマーを18.53g、及びイオン交換水を29.32gとなるように加えたこと以外は光散乱体形成用組成物1と同様にして、光散乱体形成用組成物11を調製した。なお、ろ過の際に紗に凝集物は見られなかった。
(光散乱体形成用組成物12の調製)
ステンレスポットに、ダイヤモンド1を1.25g、ダイヤモンド2を0.13g、MX-9012を47.80g、中空ポリマーを18.57g、界面活性剤1を3.00g、及びイオン交換水を29.25gとなるように加えたこと以外は光散乱体形成用組成物1と同様にして、光散乱体形成用組成物12を調製した。なお、ろ過の際に紗に凝集物は見られなかった。
(光散乱体形成用組成物13の調製)
ステンレスポットに、ダイヤモンド1を1.25g、ダイヤモンド2を0.13g、MX-9012を47.80g、中空ポリマーを18.57g、界面活性剤2を3.00g、及びイオン交換水を29.25gとなるように加えたこと以外は光散乱体形成用組成物1と同様にして、光散乱体形成用組成物13を調製した。なお、ろ過の際に紗に凝集物は見られなかった。
(光散乱体形成用組成物14の調製)
ステンレスポットに、ダイヤモンド1を1.25g、ダイヤモンド2を0.13g、MX-9012を47.80g、中空ポリマーを18.57g、界面活性剤3を3.00g、及びイオン交換水を29.25gとなるように加えたこと以外は光散乱体形成用組成物1と同様にして、光散乱体形成用組成物14を調製した。なお、ろ過の際に紗に凝集物は見られなかった。
光散乱体形成用組成物1~14の組成をまとめて表1に示す。
Figure 0007061184000001
<シート状積層体の作製>
(実施例1)
基材の片面に、光散乱体形成用組成物1を、固形分濃度が40g/mになるようにスライドビード塗布装置(三井電気精機製の卓上コーター、TC-3型)を用いて塗布した。その後、100℃のオーブンの中に2分間入れて乾燥させ、基材上に光散乱体からなる光散乱層が設けられたシート状積層体を作製した。光散乱層は、厚さが14.2μmであり、中空粒子の空孔径は1.0μmであり、中空粒子の薄層の厚みは0.35μmであった。
中空粒子の空孔径及び薄層の厚さは、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM-6010LA)で中空粒子が50個以上60個未満で視野に入るように観察倍率を任意に設定し、映し出された範囲を撮影した画像データに基づいて算出した。画像データを画像解析ソフト「粒子解析」(日鉄住金テクノロジー株式会社製)に取り込み、50個の中空粒子における空孔径の断面の最大の内接円の直径として測定したときの平均値を空孔径として算出した。また、50個の中空粒子における薄層の厚さを測定し、それらの算術平均を薄層の厚さとした。なお、画像データ中、薄層の厚さが一定でない場合には、その薄層の厚さの最大値と最小値を測定して平均としたものとした。
(実施例2)
光散乱体形成用組成物の固形分濃度を60g/mになるように塗布した以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは19.6μmであり、中空粒子の空孔径は1.0μmであり、中空粒子の薄層の厚みは0.35μmであった。
(実施例3)
光散乱体形成用組成物の固形分濃度を80g/mになるように塗布した以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは28.1μmであり、中空粒子の空孔径は1.0μmであり、中空粒子の薄層の厚みは0.35μmであった。
(実施例4)
光散乱体形成用組成物1に代えて光散乱体形成用組成物2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは13.8μmであり、中空粒子の空孔径は1.0μmであり、中空粒子の薄層の厚みは0.35μmであった。
(実施例5)
光散乱体形成用組成物1に代えて光散乱体形成用組成物3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14.0μmであり、中空粒子の空孔径は1.0μmであり、中空粒子の薄層の厚みは0.35μmであった。
(実施例6)
光散乱体形成用組成物1に代えて光散乱体形成用組成物4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14.1μmであり、中空粒子の空孔径は1.0μmであり、中空粒子の薄層の厚みは0.35μmであった。
(実施例7)
光散乱体形成用組成物1に代えて光散乱体形成用組成物5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは27.4μmであり、中空粒子の空孔径は26.6μmであり、中空粒子の薄層の厚みは0.40μmであった。
(実施例8)
光散乱体形成用組成物1に代えて光散乱体形成用組成物6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは27.0μmであり、中空粒子の空孔径は26.2μmであり、中空粒子の薄層の厚みは0.40μmであった。
(実施例9)
光散乱体形成用組成物1に代えて光散乱体形成用組成物7を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14.3μmであり、中空粒子の空孔径は1.0μmであり、中空粒子の薄層の厚みは0.35μmであった。
(実施例10)
光散乱体形成用組成物1に代えて光散乱体形成用組成物8を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは13.8μmであり、中空粒子の空孔径は1.0μmであり、中空粒子の薄層の厚みは0.35μmであった。
(比較例1)
光散乱体形成用組成物1に代えて光散乱体形成用組成物9を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14.1μmであり、中空粒子の空孔径は1.0μmであり、中空粒子の薄層の厚みは0.35μmであった。
(比較例2)
光散乱体形成用組成物1に代えて光散乱体形成用組成物10を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。なお、光散乱体の厚さは14.3μmであった。
(実施例17)
光散乱体形成用組成物1に代えて光散乱体形成用組成物11を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14.2μmであり、中空粒子の空孔径は1.0μmであり、中空粒子の薄層の厚みは0.40μmであった。
(実施例18)
光散乱体形成用組成物1に代えて光散乱体形成用組成物12を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14.1μmであり、中空粒子の空孔径は1.0μmであり、中空粒子の薄層の厚みは0.40μmであった。
(実施例19)
光散乱体形成用組成物1に代えて光散乱体形成用組成物13を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは13.8μmであり、中空粒子の空孔径は1.0μmであり、中空粒子の薄層の厚みは0.40μmであった。
(実施例20)
光散乱体形成用組成物1に代えて光散乱体形成用組成物14を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、シート状積層体を作製した。光散乱層の厚さは14.0μmであり、中空粒子の空孔径は1.0μmであり、中空粒子の薄層の厚みは0.40μmであった。
<シート状積層体の評価>
実施例1~10、17~20及び比較例1~2のシート状積層体について、L(明度)を下記の方法にしたがって測定した。また、プロジェクターにより映像を投影した時のプロジェクター側から見た映像及びプロジェクター側と反対側から見た映像について、鮮明性の評価を行なった。また、シート状積層体の外観評価を行った。その結果を表2に示す。
<透過の明度L(透過モード)>
変角光度計(日本電色工業(株)製、品番:GC5000)を用いてシート状積層体の明度を以下の手順で測定した。光源の入射角を20度にセットし、測定ステージに何も置かない状態での20度方向への透過光強度を100とした。シート状積層体を測定ステージに置いて光源の入射角を20度のまま、0度の透過のL値を測定し、それを明度とした。L値は1.30以上を合格とした。
<反射の明度L(反射モード)>
変角光度計(日本電色工業(株)製、品番:GC5000)を用いてシート状積層体の明度を以下の手順で測定した。光源の入射角を20度にセットし、測定ステージに標準白色板を置いた状態での20度方向への反射光強度を100とした。次に標準白色板の代わりにシート状積層体を測定ステージに置いて光源の入射角を20度のまま、0度の反射のL値を測定し、それを明度とした。L値は10以上を合格とした。
<(1)プロジェクター側と反対側から見た映像の鮮明性(透過モード)>
デジタルプロジェクター(エプソン社製、商品名:EH-TW-410)で映像をシート状積層体に投影し、プロジェクター側と反対側から、各シート状積層体に投影された映像を目視し、映像の鮮明性を、以下の基準により4段階で評価した。1及び2を合格とした。
(基準)
水準1:投射された映像の輪郭が極めてはっきりと見える。
水準2:投影された映像の輪郭が十分見える。
水準3:投射された映像の輪郭が薄くて見えにくい。
水準4:投射された映像の輪郭がぼやけて見えない。
<(2)プロジェクター側から見た映像の鮮明性(反射モード)>
デジタルプロジェクター(エプソン社製、商品名:EH-TW-410)で映像をシート状積層体に投影し、プロジェクター側から、各シート状積層体に投影された映像を目視し、映像の鮮明性を、以下の基準により4段階で評価した。1及び2を合格とした。
(基準)
水準1:投射された映像の輪郭が極めてはっきりと見える。
水準2:投影された映像の輪郭が十分見える。
水準3:投射された映像の輪郭が薄くて見えにくい。
水準4:投射された映像の輪郭がぼやけて見えない。
<(3)外観評価(凝集物)>
作製したシート状積層体をB5サイズに裁断し、そのシート状積層体表面を目視にて観察して、目視できた凝集物の数を確認し、以下の基準により5段階で評価した。ここで凝集物とは、一塊のものをいい、何個かの凝集物が目視で一つに見える場合は1個として計数した。その結果を表2に示す。なお、1~4を合格とした。
1:シート状積層体表面に凝集物が全く見られない(凝集物の数が0個)。
2:シート状積層体表面に凝集物が極僅か見られる(凝集物の数が1~3個)。
3:シート状積層体表面に凝集物が少し見られる(凝集物の数が4~10個)。
4:シート状積層体表面に凝集物が見られる(凝集物の数が11~20個)。
5:シート状積層体表面に凝集物がかなり見られる(凝集物の数が21個以上)。
Figure 0007061184000002
表2から明らかであるように、実施例1~10、17~20のシート状積層体は、反射モードにおいても透過モードにおいても映像の明度が高いことが示され、プロジェクター用の投影スクリーンとして有用であることが分かる。また、実施例1~10、17~20のシート状積層体は、反射モードとしても透過モードとしても高い画質を得ることができることが分かった。さらに、実施例17~20のシート状積層体は、光散乱体粒子の凝集物を抑えることができ、シート状積層体の外観が優れ、且つ画像を投影した際にも、高画質を得ることができることが分かった。
(実施例11:曲面型透明スクリーン)
実施例1~10で得られた各シート状積層体の基材面に、粘着剤(商品名「ゲルポリ」)を塗布することにより、微粘着性を付与した。透明アクリル製の半円筒(厚さ5mm、直径500mm、扇角45°、縦400mm)にシート状積層体を、界面に気泡のないように貼り付け、曲面型透明スクリーンを作製した。曲面型透明スクリーンは、透過型透明スクリーンとしても、反射型透明スクリーンとしても利用することができた。
(実施例12:光拡散シート)
図4に示す評価装置を用いて、シート状積層体6の性能を評価した。図4に示す評価装置は、光源10と、光源10の光放出光軸に対し垂直に配置された透明光学ステージ11と、光検出器13を有する光学ゴニオメーター12とを備える。透明光学ステージ11に、シート状積層体6の基材4側を固定し、光源10から、シート状積層体6の光散乱体5側から光を照射して、シート状積層体6を透過した光の強度を光検出器13により検出することにより測定を行った。その結果を図5に示す。
具体的には、白色LED(OptoSupply社製、Xeon3Emitter、最大消費電力3.2W、最大印可電圧5V、最大順方向電流800mA、色温度6,500K)を使用した簡易LED照明試験器を使用し、シート状積層体を光拡散シートとして性能評価した。LED光源の光放出光軸に対し垂直に配置する透明ステージに実施例2のシート状積層体を基材側で固定し、光を照射する。シート状積層体に散乱された光の分布を光学ゴニオメーター(ニッカ電測社製)に設置された光検出器(浜松フォトニクス製PINフォトファイオード S1223、アパーチャー径1mm)で光強度分布を計測するが、迷光除去のために、光源に1,000Hzの正弦波を印加し、光検出器の出力信号をロックインアンプ(NF回路ブロック社製 LI5640)を使用し、ノイズ除去された信号を検出した。
(比較例3:光拡散シート)
透明ポリエステルフィルム(東洋紡製、厚さ75μm)について、実施例12と同様の方法で、光拡散シートとしての評価を実施した。その結果を図5に示す。
(比較例4:光拡散シート)
スコッチカル光拡散フィルム(3M社製、厚さ75μm)について、実施例12と同様の方法で、光拡散シートとしての評価を実施した。その結果を図5に示す。
図5に示すように、強度が50%(0.5)になる測定角度の2倍したものを散乱角とした場合、比較例3では、散乱角は約12°であり、比較例4では、散乱角は約27°であるのに対して、実施例12のシート状積層体では、散乱角が73°に達することが明らかとなった。
(実施例13:複合光拡散シート)
図6に示すように、市販の光拡散シート14上に光散乱体5が形成された複合光拡散シート15を作製した。
具体的には、光拡散シート(スコッチカル光拡散フィルム、3M社製)の片面に光散乱体形成用組成物2を塗布した。塗布は、光散乱層の厚みを2.3μmとした以外は、実施例1と同様にして実施し、複合光拡散シートを作製した。このような複合光拡散シートによれば、光散乱高率を高めることができる。
(実施例14:複合光拡散シート)
光散乱層の厚みを5.4μmとした以外は、実施例13と同様に実施し、複合光拡散シートを作製した。
(実施例15:複合光拡散シート)
光散乱層の厚みを8.3μmとした以外は、実施例13と同様に実施し、複合光拡散シートを作製した。
(比較例5)
実施例13に使用したスコッチカル光拡散フィルム(3M社製)に光散乱層を形成しなかったものを複合光拡散シートとして評価した。
を比較例とした。
塗布面からLED照明を照射し、実施例13~15及び比較例5の複合光拡散シートの光学特性を評価した。その結果を表3に示す。
Figure 0007061184000003
光拡散率とは、ドイツ工業規格DIN5036で定めた測定方法の一つで、具体的には、樹脂基材の一方の面に入射角0度で光を入射し、反対面から出射した光の出射角θ(±5°,±20°,±70°)方向の輝度L(θ)を測定し、測定値を下記数式(1)に代入することより、樹脂基材の拡散率を算出することができ、値が高いほどより広く光が拡散することを意味する。
光拡散率D=<(B70+B20)/2>/B×100 …(1)
θ=Iθ/cosθ
θ=測定角度θにおける強度
表3から明らかであるように、実施例13~15の複合光拡散シートによれば、光拡散率が向上することが分かった。
(実施例16:照明用エンハンサー)
図7に示す照明装置23を用いて、光エンハンサーとしてのシート状積層体6を評価した。照明装置23は、箱状の白色アクリル板20と、その開口部を覆う透明アクリル板21と、これらの内部に設置された円筒型LED光源22とを備える。白色アクリル板の内側全面にシート状積層体6を貼り付けた場合と、貼り付けない場合とを比較することにより評価した。
具体的には、縦20cm、横40cm、奥行き20cmの照明装置の内側全面(白色アクリル板製)に、実施例2のシート状積層体を粘着剤で貼り付けた。光源としては直管形LED(ルートアール社製、RL―BAR30DLC)を使用し、開口部は透明アクリル板にて閉じた。この照明装置の投影面から30cmの位置で照度を、シート状積層体を貼り付けた場合と貼り付けていない場合について、照度計(日置電機製、FT3424)にて計測した。その結果を表4に示す。
Figure 0007061184000004
表4から明らかであるように、実施例2のシート状積層体は、照明用光エンハンサーとして、約1.61倍の照度の上昇効果を得られることが分かった。
1…中空粒子、2…光散乱粒子、3…樹脂媒体、4…基材、5…光散乱体、6…シート状積層体、10…光源、11…透明光学ステージ、12…光学ゴニオメーター、13…光検出器、14…光拡散シート、15…複合光拡散シート、20…白色アクリル板、21…透明アクリル板、22…円筒型LED光源。

Claims (5)

  1. 中空粒子とダイヤモンド粒子とを、当該ダイヤモンド粒子よりも屈折率が低い樹脂媒体中に分散してなる光散乱体であって、
    前記中空粒子は薄層により囲まれた空孔を有し、
    前記薄層はフェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂及び尿素樹脂から選ばれる有機物質から構成され、
    前記中空粒子の空孔径は0.9~30μmであり、
    前記ダイヤモンド粒子のメジアン径は70nm~1.0μmである、光散乱体
  2. 基材と、該基材上に設けられた請求項1に記載の光散乱体からなる光散乱層とを備えるシート状積層体。
  3. 請求項1に記載の光散乱体、又は請求項2に記載のシート状積層体を備える投影スクリーン。
  4. 請求項1に記載の光散乱体からなる光散乱層を備える光拡散シート。
  5. 請求項1に記載の光散乱体、又は請求項2に記載のシート状積層体を備える光エンハンサーと、光源とを備える光エンハンサー内蔵照明装置。
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