JP2014153708A - 透明光拡散体及びこれを利用した透過型スクリーン - Google Patents

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Abstract

【課題】 可視光領域の光拡散性能に波長依存性が少ない透明光拡散体とこれを利用した色むらが少ない透過型スクリーンが必要である。
【解決手段】 高屈折率ナノ粒子を分散媒体中に分散させた高屈折率ナノ粒子・ナノコンポジットであって、前記分散媒体と同質または類似した材料を含む高屈折率ナノ粒子複合体の平均サイズが40〜4000nmである高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。高屈折率ナノ粒子複合体の直径の相対標準偏差が1〜50%未満である高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。高屈折率ナノ粒子の含有量が0.2〜40重量%である高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。粒子の画像視野に占める割合が1〜50%である高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。更に、高屈折率粒子の含有量が0.2〜40重量%で、0.2〜400μmに薄層化し好適にしようすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学部材または光学デバイスに好適に使用できる高屈折率ナノ粒子を含有する透明光拡散体に関する。
また、本発明は、当該透明光拡散体を利用したディスプレイ用の光拡散膜や情報表示用の透過型スクリーンに関する。
近年、省エネルギーや機能性等の観点から、入射された光の後方への拡散を抑え、かつ光の進行方向には大きく拡散するといった光拡散体が求められている。このような光制御された光拡散体については、光拡散剤と透明物質の屈折率の差、及び光拡散剤の粒子径が特定の範囲内にあることを特徴とした光拡散体が公知である。例えば、特許文献1においては、透明樹脂よりも屈折率が0.01〜0.1小さくかつ平均粒子径が1〜10μmである透明物質粉末を分散させた光拡散性樹脂が示されている。
また、近年、ディスプレイは、薄型、軽量、低消費電力等の特徴を有していることが要求される。特に、急速に伸びを見せるスマートフォンやタッチ・パネル等に用いられるパネルは、薄型で低電力駆動、光反射率、輝度、視野角面などのディスプレイ特性が向上してきているが、コントラストが不十分で、視野角が狭く、且つ、背景の映り込みが生じることなどにより表示が見難くなるという問題点があった。そこで、これらを改善する一つの方法として、パネルを透過した光を、散乱板中に分散させた微粒子により全方位に散乱させて視野の光を平均化する方法が知られている。例えば、特許文献2には、無機微粒子を透明樹脂中に分散させた0.2μm〜100μmの厚みの光散乱性樹脂であって、該無機微粒子がαアルミナ微粒子で、実質的に破砕面を有さない、多面体微粒子であり、微粒子の長軸長をし、短軸長をSとした場合に、L/S比が2以下であり、数平均粒径が0.1μm以上20μm以下であり、累積粒度分布の微粒側からの累積10体積%、累積90体積%の粒径をそれぞれD10、D90としたときにD90/D10の値が7以下であり、透明樹脂と異なる屈折率を有し、かつ光学的に異方性を有する光散乱性樹脂が開示されている。
特許文献3には、厚さ2mmの光拡散体において、光入力部(一方のメジャー面)から拡散体内に導入された光は、樹脂マトリックス内に分散された粒子の径及び濃度に応じた頻度(確率)で粒子に遭遇し、その度に散乱を受ける。可視光を入出力する光拡散体に使用される粒子の径は、最小0,5μm〜最大数十μmの範囲にあり、可視光の波長に比べて十分大きく、従って、光拡散体内での個々の散乱は、周知のミー散乱理論で近似的に記述できる。同理論で知られているように、個々の散乱の散乱効率及び散乱光の角度分布を左右するファクタとして、「光の波長」、「樹脂マトリックスと粒子の屈折率差」及び「粒子の径」の3つのパラメータがある。そして、実際に採用される粒子の添加濃度、径、光拡散体内の通過光路長(透過型であればほぼ板厚、反射型であれば板厚のほぼ2倍)の条件では、入力から出力までに受ける散乱の回数(多重度)はかなり大きくなる。これら多重散乱を経る結果、光拡散体から出力される出力光は複雑な態様でその属性が変化することが開示されている。さらに、従来の光拡散体についてこの点を調べてみると、白色光を入力しても正面方向とその周辺方向への出力光が黄色味を帯びる傾向が強いことが判った。このことは、白色光入力時の正面方向とその周辺方向への出力光の色温度が下がり気味であることを意味している。光拡散体の実際面への応用、例えばプロジェクタから投影された光像を画像として結像部で結像して観察する透過型あるいは反射型のスクリーンを考えた場合、このような色温度の低下傾向は、画像の白色乃至青色部分が鮮やかに映らないという現象をもたらし、商品価値を著しく損なうものである。
特許文献3には、色温度の低下傾向を改善する方法として、明るく、色温度の高い拡散光を出力する光拡散体とその応用が開示され、PMMA等のマトリックス中に第1、第2粒子1、2(例:粒径7.3μm、9μmのシリコーン樹脂)を分散させて光拡散体を構成する。両粒子1、2は、各々最頻径(R1、R2;R1>R2)付近に粒子径が揃っている。第1粒子1には、可視光について散乱効率の波長依存性が小さく、青色光を赤色光と同等以上に通し易く、拡散光に角度拡がりを与える能力に優れた粒子を用い、第2粒子2には、前方散乱性が強く、高濃度添加しても全光線透過率が落ち難い粒子を用いる。第1粒子1で可視光全体にバランス良く、拡散角度の拡がりを与え、第2粒子2で青色成分が過剰角度拡がらないようにしつつ、拡散角度を上乗せする。画像投影用スクリーンの結像部、白色光源のキャップ部等に適用し、明るく、色温度の高い特性が得られる。
また、改善する他の方法として、特許文献4には、ダイヤモンド微粒子を含有する光散乱板は、光を散乱させる物質として粒径0.1〜50μmのダイヤモンド微粒子を含有する光散乱板であり、前記ダイヤモンド微粒子が、爆射法で得られたグラファイト相を有するナノダイヤモンドを酸化処理することにより得られたことを特徴とする光散乱板が開示されている。ダイヤモンドは2.4という高い屈折率を有するため、ミーの散乱により、高い散乱効果を発揮する物質である。光散乱板は、基板と、基板上に設けた透明薄膜層とからなり、透明薄膜層によりダイヤモンド微粒子が固定されたものであるのが好ましい。粒径0.1〜50μmのダイヤモンド微粒子は、1〜10nm程度のメジアン径を有するナノ粒子が凝集した形状のものであるのが好ましい。光散乱板の一例としてアクリル板上にディップ法により形成したウレタン−67重量%ダイヤモンド粒子膜が開示されている。ダイヤモンド微粒子は、高い屈折率及び高い分散安定性を有するので、様々な溶媒やバインダーに分散させることができ、高い光散乱効果を有する光散乱板を容易に形成することができ、光散乱板は、高い光散乱効果を有するので、液晶表示装置等におけるバックライト光源や発光ダイオードの光源等に好適であることが開示されている。
また、改善する他の方法として、特許文献5において、高い透過視認性と良好な散乱反射性とを両立するとともに、広い面積で均一な特性を有する透過型スクリーンを開示している。透過型スクリーンは、基板と、基板上に設けた透明薄膜層と、透明薄膜層に含まれるメジアン径0.01〜1μmの光散乱体からなり、光散乱体が、爆射法で得られたグラファイト相を有するナノダイヤモンドを酸化処理して得られたダイヤモンド微粒子であることが開示されている。透明薄膜層は、前記基板に用いることのできる高分子樹脂を用いるのが好ましい。特に好ましいのはポリビニルアセタール系の樹脂であり、最も好ましいのはポリビニルブチラールである。基板及び透明薄膜層の両方を高分子樹脂で構成する場合、それらの樹脂は同じであっても異なっていてもよい。透明薄膜層の厚みは、5〜1000μmであるのが好ましく、10〜800μmであるのがより好ましく、20〜500μmであるのが最も好ましい。5μm未満の場合は十分な反射像が得られなくなり、1000μmを越えると像がぼけてしまう。透明薄膜層そのものを透過型シートとして用いても良いことが開示されている。一例として、ガラス基板の片面にディップ法により200μm厚みの(ポリビニルブチラール+可塑剤)−13重量%ダイヤモンド微粒子膜の透過型反射スクリーンが開示されている。
光散乱体のメジアン径が可視光の波長と同等以上になると前方散乱(入射光に対してスクリーンの反対側で起こる散乱)が著しく強くなり、透過型スクリーンを透過してくる光が滲んでしまう。従って、光散乱体のメジアン径は1μm以下であり、400nm以下であるのが好ましく、200nm以下であるのがより好ましい。光散乱体のメジアン径が0.01μmより小さくなると後方散乱(入射光に対してスクリーンの手前側で起こる散乱)がほとんど起こらなくなり、透過型スクリーンの散乱反射性が低下する。光散乱体のメジアン径は30nm以上であるのが好ましく、作製した透過型スクリーンは高い透過視認性と良好な散乱反射性とを有しおり、ヘッドアップディスプレー等のスクリーンとして好適であったことが開示されている。
特公昭60−21662号公報 特開2002−250803号公報 特開2004−341446号公報 特開2011−22261号公報 特開2011−113068号公報
上記特許文献1には、省エネルギーや機能性等の観点から、入射された光の後方への拡散を抑え、かつ光の進行方向には大きく拡散するといった光拡散体が求められている。このような光制御された光拡散体については、光拡散剤と透明物質の屈折率の差、及び光拡散剤の粒子径が特定の範囲内にあることを特徴とした光拡散体が公知である。例えば、透明樹脂よりも屈折率が0.01〜0.1小さくかつ平均粒子径が1〜10μmである透明物質粉末を分散させた光拡散性樹脂が示されている。この場合、光拡散体の板厚みが2〜3mmと厚いため、電子機器に適用できない。
特許文献2には、αアルミナ微粒子の数平均粒径が0.1μm以上20μm以下であり、この範囲の微粒子を透明樹脂中に分散させた光散乱性樹脂で、前方散乱特性は確保しようとすると、光透過性が十分なものとは言えず、これらの性能が向上した光散乱層の開発が望まれていた。また、光散乱する微粒子のD90/D10の値が7以下でありまた、D90/D10の値が7を超えると、粒径にバラツキが多くなるため、分散性が低下したり、光散乱性樹脂の表面の凹凸が大きくなることが開示されている。しかし、光拡散膜を作製する上でのアルミナ微粒子の分散プロセス条件を述べているだけで、光散乱として最適な粒径サイズ分布が未開示である。
特許文献3には、明るく、色温度の高い拡散光を出力する光拡散体とその応用が開示され、PMMA等のマトリックス中に第1、第2粒子1、2(例:粒径7.3μm、9μmのシリコーン樹脂)において、光入力部(一方のメジャー面)から拡散体内に導入された光は、樹脂マトリックス内に分散された粒子の径及び濃度に応じた頻度(確率)で粒子に遭遇し、その度に散乱を受ける。可視光を入出力する光拡散体に使用される粒子の径は、最小0.5μm〜最大数十μmの範囲にあり、可視光の波長に比べて十分大きく、従って、光拡散体内での個々の散乱は、周知のミー散乱理論で近似的に記述できる。特許文献3の様に樹脂マトリックスとの屈折率差が小さい散乱粒子を透明樹脂に分散させた光拡散体であるため、光拡散体の厚さは2mmと厚いものになってしまっている。そのため、コントラスト性に欠けていた。また複数の粒子を精細に配合する必要があり、さらに異なる粒子間の凝集を防ぐ必要が想定され、光拡散特性を制御するには難しいシステムである。
また、特許文献4には、ダイヤモンド微粒子を含有する光散乱板は、光を散乱させる物質として粒径0.1〜50μmのダイヤモンド微粒子を含有する光散乱板であり、前記ダイヤモンド微粒子が、爆射法で得られたグラファイト相を有するナノダイヤモンドを酸化処理することにより得られたことを特徴とする光散乱板が開示されている。ダイヤモンドの屈折率が2.4であるため、透明樹脂との屈折率差が大きく、かつ粒子サイズが0.1μm以上50μm以下であるナノダイヤモンドの凝集粒で、有機ポリマーのシェルを有するダイヤモンド含有粒子の構造が開示されている。ダイヤモンド粒子表面でモノマーを重合生成したポリマーで被覆したダイヤモンド微粒子がウレタン−67wt%ダイヤモンドの凝集粒で、ほぼ最密充填されているため、このような凝集したダイヤモンドの微粒子を透明樹脂中に分散させた光拡散層では、特許文献2と同様に前方散乱特性は見込まれるが、光透過性が十分なものとは言えず、これらの性能が向上した光散乱層の開発が望まれていた。またダイヤモンド微粒子を被覆しているポリマーやダイヤモンド微粒子に含まれるグラファイト相は屈折率が低いため、上記ダイヤモンド微粒子の平均屈折率が2.4より大きく低下し、つまり本来のダイヤモンドの屈折率の効果が低減し、光拡散版の性能は十分なものとは言えず、これらの性能が向上した光散乱板の開発が望まれていた。さらに、上記ダイヤモンド微粒子の平均粒径の分布、例えば標準偏差などが制御されていないため、光拡散性能にばらつきが生じ得る。
また、特許文献4では前方散乱(入射光に対してスクリーンの反対側で起こる散乱)を積極的に発生させていたのに対して、高い透過視認性と良好な散乱反射性とを両立するとともに、広い面積で均一な特性を有する透過型スクリーンを開示している特許文献5において、高い透過視認性と良好な散乱反射性を有している透過型スクリーンは、基板と、基板上に設けた透明薄膜層の厚みは、5〜1000μmである透明薄膜層と、透明薄膜層に含まれるメジアン径0.01〜1μmの光散乱体からなり、光散乱体が、爆射法で得られたグラファイト相を有するナノダイヤモンドを酸化処理して得られたダイヤモンド微粒子であることが開示されている。この特許文献5によると、光散乱体のメジアン径が可視光の波長と同等以上になると前方散乱が著しく強くなり、透過型スクリーンを透過してくる光が滲んでしまう。従って、光散乱体のメジアン径は1μm以下であり、400nm以下であるのが好ましく、200nm以下であるのがより好ましい範囲では、前方散乱性を抑えることが出来ると開示されている。しかしながら、ダイヤモンド微粒子にグラファイト相が含まれ、さらに上記ダイヤモンド微粒子の平均粒径の分布、すなわち標準偏差が制御されていないため、表示むらなどの画質性能に欠けていた。
以上より、光拡散体の開発は次のような流れがある。第一番目に、光拡散粒子と透明物質の屈折率の差が0.02〜0.1で、0.5μm〜数10μmサイズの樹脂製の光拡散粒子では光拡散体の板厚みは数mmになる。第二番目に、光拡散粒子と透明物質の屈折率の差が0.1以上で、平均粒径が0.1μm〜20μmサイズの無機微粒子を透明樹脂中に分散せしめた0.2μm〜100μmの厚みの光拡散体である。第三番目に、粒径0.1〜50μmのダイヤモンド微粒子を透明樹脂中に分散させた光散乱板(アクリル板上にディップ法により形成したウレタン−67重量%ダイヤモンド粒子膜)。第四番目に、粒径0.01〜1μmのダイヤモンド微粒子を透明樹脂中に分散させた5μm〜1000μmの厚みの高い透過視認性と良好な散乱反射性板(ガラス基板の片面にディップ法により形成した(ポリビニルブチラール+可塑剤)−13重量%ダイヤモンド微粒子膜の透過型反射スクリーン)。
急速に伸びを見せるスマートフォンやタッチ・パネル等に用いられるパネルでは、薄型で低電力駆動、光反射率、輝度、視野角面などのディスプレイ特性の向上が不可欠である。先行している光拡散体については、光拡散剤と透明物質の屈折率の差、及び光拡散剤の粒子径が特定の範囲内にあることを特徴にしている。光拡散体の開発の流れにおいて、特に、高コントラスト性や広視野角性の向上を図るためには、透光性かつ薄膜の光拡散体が必要であるが、先行技術によりこれを製品化するには難しいと予想される。
本発明者らは、透光性かつ高コントラスト性薄膜の光拡散体を実現するため、ミー散乱理論に基づいて、光散乱シミュレーションを行い、複合体中の粒子径や屈折率などについて鋭意検討した結果、高屈折率ナノ粒子を分散させた複合体が優れた透明光拡散体として機能することに加えて、可視光領域の光拡散性能に波長依存性が少ないことを見出した。同時にこの透明光拡散体を色むらが少ない透過型スクリーンとして好適に使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。しかも、例えば特許文献3で示されているような複数の光拡散粒子の配合を必要とせず、簡易なプロセスで、薄膜化することができる。
上記目的を達成する本発明は、以下に記載するものである。
〔1〕高屈折率ナノ粒子(A)を分散媒体(B)中に分散させた高屈折率ナノ粒子・ナノコンポジットであって、前記分散媒体(B)と同質または類似した材料(D)を含む高屈折率ナノ粒子複合体(C)の平均サイズが40〜4000nmであることを特徴とする高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。
〔2〕〔1〕の高屈折率ナノ粒子複合体(C)の相対標準偏差が5〜50%未満である高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。
〔3〕〔1〕及び〔2〕の高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体において、高屈折率ナノ粒子(A)の含有量が0.2〜40重量%で、0.2〜400μmの薄膜である高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。
〔4〕〔1〕〜〔3〕の高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体において、高屈折率ナノ粒子(A)がダイヤモンド(屈折率2.4)、チタン酸バリウム(屈折率2.4)、酸化ジルコニウム(屈折率2.4)、酸化チタニウム(屈折率2.7)から選ばれるナノ粒子である高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。
〔5〕〔1〕の高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体において、該透明光拡散体のシート表面を顕微鏡観察の画像から得られた粒子の平均サイズが40〜4000nmで、粒子の画像視野に占める割合が1〜50%であることを特徴とする高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。
〔6〕〔1〕の分散媒体(B)がポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、2酢酸セルロース、3酢酸セルロース、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂の中から一つ以上からなる熱可塑性樹脂であることを特徴とする高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。
〔7〕〔1〕の分散媒体(B)がエポキシ系、アクリル系、シリコーン系の中から一つからなる光硬化性樹脂であることを特徴とする高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。
〔8〕〔1〕〜〔7〕における高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体を利用した透過型スクリーン。
〔9〕〔1〕〜〔7〕における高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体を利用したエッジライト型透明光拡散体。
本発明の透明光拡散体は、複数の粒子の配合を必要とせず、単純なプロセスで、容易に均質で大面積な薄膜として得られ、光学部材または光学デバイスに好適に使用できる。またこれを利用した透過型透明スクリーンは可視光領域の光拡散性能において波長依存性が少ないため、色むらがなく、快適な表示を実現することができる。さらに、高屈折率ナノ粒子複合体が膜表面に配置されることにより、耐引っ掻き性が向上する。
高屈折率ナノ粒子複合体(C)の直径500nmの単分散、分散媒体(B)の屈折率を1.50とした時の可視光領域(400〜800nm)における光散乱強度の高屈折率ナノ粒子複合体(C)の屈折率依存性を示す図である。ここでは、高屈折率ナノ粒子複合体(C)の屈折率として、1.70、2.00、2.42の結果および相対標準偏差20%の分布をもつ屈折率2.42である直径500nmのナノ粒子複合体(C)の結果を示している。 PVAナノダイヤモンド・ナノコンポジットの前方散乱状態を示す写真である。 COPナノダイヤモンド・ナノコンポジット成型シートの外観写真である。左)ナノダイヤモンド粒子含有なし、右)ナノダイヤモンド粒子含有あり COPナノダイヤモンド・ナノコンポジットの前方散乱状態を示す写真である。左)ナノダイヤモンド粒子含有なし、右)ナノダイヤモンド粒子含有あり PVAナノダイヤモンド・ナノコンポジット膜の光学顕微鏡観察画像(上)、凝集体のスケッチ図(中)、凝集体のサイズ分布図(下)である。 高屈折率ナノ粒子(A)と分散媒体(B)と同質または類似した材料(D)を含む高屈折率ナノ粒子複合体(C)の模式図である。
以下、実施例を基に本発明を詳細に説明する。
(透明光拡散体の設計指針)
本発明の透明光拡散体は、高屈折率ナノ粒子(A)を分散媒体(B)中に分散させた高屈折率ナノ粒子・ナノコンポジットであって、前記分散媒体(B)と同質または類似した材料(D)を含む高屈折率ナノ粒子複合体(C)の平均サイズが40〜4000nmであることを特徴とする高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。高屈折率ナノ粒子複合体(C)の直径の相対標準偏差が5〜50%未満である高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。高屈折率ナノ粒子(A)の含有量が0.2〜40重量%である高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。粒子(C)の画像視野に占める割合が1〜50%であることを特徴とする高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。先ず、透明光拡散体の可視光領域における光拡散性能の波長依存性を小さくするために、ミー散乱理論に基づいて、単一散乱条件で非偏光の光散乱シミュレーションを行い、光拡散剤である高屈折率ナノ粒子複合体(C)の屈折率、平均直径、相対標準偏差(変動係数または直径の平均値に対する標準偏差の割合%)として好適な条件を探索した。
(光散乱シミュレーションによる条件探索)
分散媒体(B)として公知の樹脂やガラスの屈折率が1.35〜1.85であることを想定し、高屈折率ナノ粒子複合体(C)の屈折率、直径、直径の平均値に対する標準偏差の割合%を変数として、上述の光散乱シミュレーションによる検討を詳細に行った。その結果は、高屈折率ナノ粒子複合体(C)の屈折率が2.1〜2.8、好ましくは2.2〜2.6であり、且つ直径が250〜800nm、好ましくは300〜750nmであり、且つ相対標準偏差が10〜35%、好ましくは15〜30%が好適な条件であることを示した。代表的な光散乱シミュレーションの結果を図1に示す通り、上記好適な条件において、光散乱強度が波長に依存しないことがわかる。
(光散乱シミュレーションの結果の検証と実際の実施形態)
上記光散乱シミュレーションの結果に基づき、鋭意検討を行った結果、実際には多重散乱などの複数の影響により、高屈折率ナノ粒子複合体(C)の平均直径と相対標準偏差に関する条件が緩和される。さらに、高屈折率ナノ粒子複合体(C)は単一成分である必要はなく、主成分が当該発明の請求範囲内であればよく、当該発明の趣旨を損なわなければ、多成分のナノ粒子を光拡散剤とすることができる。以下の実施形態に関する説明において、高屈折率ナノ粒子複合体(C)とは主成分のナノ粒子に関する。
高屈折率ナノ粒子複合体(C)の平均直径は40〜4000nmで、40〜3000nmが好ましく、更に50〜2000nmがより好ましい。40nm未満では、粒子サイズが小さく、光散乱強度が低下するため、好ましくない。また4000nm以上では、粒子サイズが大きく、光透過性が悪く、前方散乱が強く指向性が高いため、好ましくない。
高屈折率ナノ粒子複合体(C)の相対標準偏差も上記光散乱シミュレーションの結果より緩和され、5〜50%が好ましく、5〜40%がより好ましい。50%以上では、大きな粒子の影響が大きく表れ、散乱光強度の波長依存性が生じ始めるため、好ましくない。
高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体において、高屈折率ナノ粒子(A)の含有量が0.2〜40重量%で、より好ましくは1.0〜35重量%。0.2重量%未満では散乱強度が不足し、40重量%以上では透過性が不足する。
高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体において、透明光拡散体のシート表面を顕微鏡観察すると、高屈折率ナノ粒子複合体の分散した画像から得られ、その粒子の平均サイズは40〜4000nmで、より好ましくは100〜3000nmの粒子の画像視野に占める割合が1〜50%で、より好ましくは10〜40%である。高屈折率ナノ粒子複合体におけるナノ粒子は透明光拡散体のナノ粒子の濃度と同等で均一に分散していてもよく、高濃度でクラスター状に存在していてもよい。また、可視光線および近傍の波長域の光を利用する光学顕微鏡やAFM(原子間力顕微鏡)・SPM(走査型プローブ顕微鏡)などの顕微鏡観察が適している。
高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体において、高屈折率ナノ粒子(A)が一次粒径サイズが100nm以下のダイヤモンド、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウムから選ばれるナノ粒子である。上述の条件であれば、好適な透明光拡散体を得ることができるが、平均粒子直径及び相対標準偏差を制御し易く、また分散性に優れるナノ粒子(A)が一層好ましく、具体的にはナノダイヤモンドが好適である。
また、透明光拡散体中に分散させられるナノ粒子(A)が上記の条件の範囲であり、且つ当該発明に影響を与えない限り、複合体(C)中での分散性を向上させることなどを目的に、当該粒子の表面を酸化処理や還元処理などを施すことによって、表面官能基を変化させてもよく、さらに界面活性剤や高分子化合物を用い、表面修飾することもできる。
複合体(C)の分散媒体(B)としては、公知の樹脂やガラスの屈折率が1.35〜1.85であることを想定して上述の検討を行っているので、現実的に考えられる分散媒体に制約はなく、以下の分散媒体を例示することができる。
分散媒体(B)としては、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、光硬化性ポリマーとして知られる各分散媒体(B)を使用することができる。
熱可塑性ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−ペンテン)等のポリオレフィン類、ポリシクロオレフィン類及びそれらの誘導体、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12などのポリアミド類及びその誘導体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート・ポリエチレングリコールブロック共重合体などのポリエステル類及びその誘導体、各種変性ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルフォン、ポリ塩化ビニル及びその共重合体、ポリ塩化ビニリデン及びその共重合体、ポリメチルメタクリレート類、アクリル酸(またはメタクリル酸)エステル共重合体類、ポリスチレン類、アクリロニトリルスチレン共重合体類、アクリロニトリルスチレンブタジエン系共重合体等のポリスチレン類及びその共重合体類、ポリ酢酸ビニル類、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール類、エチレン酢酸ビニル共重合体及びその加水分解物類、ポリビニルアルコール類、スチレンブタジエンブロック共重合体類、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のゴム類、ポリメトキシエチレン、ポリエトキシエチレン等のポリビニルエーテル類、ポリアクリルアマイド、ポリホスファーゼン類、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、側鎖に液晶成分を含有する側鎖型液晶ポリマー等が挙げられる。
熱硬化性ポリマーとしては、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BTレジン)、架橋性ポリフェニレンオキサイド、硬化性ポリフェニレンエーテル、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、キシレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA、レゾルシン等から合成される各種ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂、スピロ環式エポキシ樹脂等が使用できる。
光硬化性ポリマーとしては、例えば、紫外線硬化性樹脂及び電子線硬化性樹脂のいずれであってもよい。紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂としては、公知の様々なものが使用でき、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エステル樹脂等があげられる。代表的なものとしては、分子中にアクリロイル基を有する紫外線硬化型樹脂であり、エポキシアクリレート系,ウレタンアクリレート系,ポリエステルアクリレート系,ポリオールアクリレート系のオリゴマー、ポリマーと単官能・2官能・あるいは多官能重合性(メタ)アクリル系モノマー、例えばテトラヒドロフルフリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレートなどのモノマー、オリゴマー、ポリマーなどの混合物が使用される。なお、光硬化性樹脂には、通常配合される光重合開始剤等を配合してもよい。
また上述の複合体はオフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、スプレー印刷など公知の方法により適当な厚みの薄膜や板として射出成形法、押出成形法、カレンダー成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、キャスト法など公知の方法により成型加工されるが、透明光拡散体として機能するだけではなく、同時に透過型スクリーンとして好適に使用することができる。
さらに情報を含んだ光の入射を光ファイバーなどの光導入経路を介して当該透明光拡散体のエッジとカップリングすることによって、エッジライト型透明光拡散体として機能し好適に使用することができる。これによれば、情報光源をレイアウトの選択肢が大幅に拡大する。また、上述の複合体のシートを光透明性の基板の内部に埋め込んだ構造でも良い。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、以下に示す各実施例は、本発明の技術思想を具体化するための透明光拡散体及びこれを利用した透過型スクリーンを例示するものであって、本発明をこの実施例に特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。
各実施例および比較例における透明光拡散体の諸条件と評価結果を表1に示す。ここで、評価については、以下に記載の方法により行った。
透明光拡散体の透明性については、透明光拡散体の裏に置いた印刷物の文字の鮮明さとして、以下の3段階の基準に従い評価した。評価の様子を図2に示す。
○:文字をはっきり認識することができる。
△:文字の存在はわかるが鮮明ではない。
×:文字を認識することが難しい。
透明光拡散体の光拡散性能については、レーザーポインターを約10cmの距離で照射したときの輝度として、以下の3段階の基準に従い評価した。評価の様子を図3に示す。
○:レーザーポインターの光を強く拡散している様子がはっきりわかる。
△:レーザーポインターの光を拡散している様子がわかるが強くはない(中程度)。
×:レーザーポインターの光を拡散している様子がわかるが弱い。
透明光拡散体を透過型スクリーンとして使用した時の色むらについては、プロジェクターによりカラー像を投影し、以下の2階の基準に従い評価した。
○:色むらがなく、快適な表示である。
×色むらや像の鮮明さが不十分である。
[実施例及び比較例で用いたナノ粒子]
ナノ粒子(A)として、代表的な屈折率2.42であるビジョン開発株式会社製ナノダイヤモンド粒子を使用した。
[透明光拡散体の作製]
実施例1〜10及び比較例1〜5においては、ナノ粒子(A)としてナノダイヤモンドと分散媒体(B)としてポリビニルアルコール(クラレ製PVA117;以下「PVA」という)と蒸留水から水−8質量%PVAの溶液を調合した。ここで、全固形分(ナノダイヤモンドとPVAの総量)に対して、ナノダイヤモンドの割合を0.1〜50重量%まで変化させた試料を準備した。これらの分散溶液をBRANSON製超音波ホモジナイザーModel450Dを用いて60Wの出力で1分間の5回実施し均一分散液とした。実施例1〜実施例10及び比較例1〜比較例6においては、約25mm四方×厚み約1mmのガラス基板上にこれらの分散液をスピン回転数を調整してスピンコートした。実施例11においては、分散液をシャーレ上でキャスティングすることにより、薄膜試料を得た。比較例1では平均直径33nm、相対標準偏差12%では光拡散性が認められなかった。比較例2では平均直径4100nm、相対標準偏差20%では光拡散性が認められるが、光透過性が大幅に低下した。比較例3では平均直径420nm、相対標準偏差50%では光拡散性が認められるが、光透過性が低下し、色むらも発生した。比較例4ではナノダイヤモンドの含有量が0.1%であるため、光拡散性が認められなかった。比較例5ではナノダイヤモンドの含有量が50%であるため、光拡散性が認められるが、光透過性が大幅に低下した。比較例6では平均直径60nm、相対標準偏差4%の単分散性で光拡散性が認められるが、色むらが発生した。
[ナノコンポジットシートの作製]
ナノ粒子(A)としてナノダイヤモンドと分散媒体(B)としてシクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製ZEONEX480R;以下「COP」という)とシクロヘキサンからシクロヘキサン−10重量%COPの溶液を調合し、上記PVAの例と同様にナノダイヤモンド複合体(C)粉末を作製した。ナノダイヤモンド複合体(C)粉末をCOPのペレットに所定量分散させた混合ペレットを作製した後、微少サンプル用小型混練機(Xplore社製 DSM)で溶融混練してシートを成型することでナノコンポジットシートを作製した。上記のようにして得られたシートは、いずれも透明シートであり、特に実施例12(図3)及び実施例13では光学的に透明な光拡散シートであった。比較例7ではナノダイヤモンドを含有しないので、光拡散性は発現しない。シクロオレフィンポリマーは吸湿性がほぼゼロに近い非極性のポリマーであり、従来、シリカやジルコニアなどのナノサイズの無機粒子を均一分散させることは出来なかった。本発明により、初めて透明ナノダイヤモンドCOPナノコンポジットを作製することが出来た。また、実施例12及び実施例13と同様に、株式会社クラレ製のPMMAであるEH1000を分散媒体(B)としてナノコンポジットシート(実施例14)を作製した。また、三菱ガス化学製のポリカーボネートH−4000を分散媒体(B)としてナノコンポジットシート(実施例15)を作製した。COPと同様に良好な光拡散シートが得られた。
Figure 2014153708
また、何れの実施例においても、エッジライト型透明光拡散体として好適に使用できることを確認した。また、実施例12で作製した130μm厚みの光拡散シートを比較例7と同様に作製したCOP100%の0.5mm厚みのシート2枚で熱圧着したエッジライト型透明光拡散体も作製した。
なお、PVA−15重量%ナノダイヤモンド/シリコン(実施例10)の表面構造を株式会社エリオニクス製のENT−1100a(超微小押し込み硬さ試験機により観察した。図5(上)は実施例10のナノダイヤモンド・ナノコンポジット膜の光学顕微鏡画像、図5(中)は凝集体のスケッチ図(凝集体、20面積%)、図5(下)は凝集体のサイズ分布である。この光学顕微鏡画像より、ナノ構造の平均サイズは1.7μm(相対標準偏差は28%)の大きさの凝集体となっていた。また、観察された凝集体が三次元的に同様に分布していると仮定すると、凝集体は20体積%と推定される。15重量%は6体積%であるので、凝集体中に存在するナノダイヤモンド粒子は30体積%と算出される。ナノダイヤモンド複合体(C)において、ナノダイヤモンド粒子はナノコンポジット全体の粒子濃度より濃い凝集状態であると考えられる。以上の結果から、図6に、高屈折率ナノ粒子(A)と表面改質層(D)から構成される高屈折率ナノ粒子複合体(C)の模式図を示した。
本発明によって得られる透明光拡散体は自動車等のランプカバー、LEDなどの照明光源のカバー、表示・広告灯のカバー等として好適に使用できる。またヘッドアップディスプレイ、ショッピングウインドウや高層ビルなどの窓材を利用し透過型スクリーンとして好適に機能する。しかも薄膜とすることができるため、スマートフォンやタッチ・パネルのディスプレイ用などに好適に使用できる。

Claims (9)

  1. 高屈折率ナノ粒子(A)を分散媒体(B)中に分散させた高屈折率ナノ粒子・ナノコンポジットであって、前記分散媒体(B)と同質または類似した材料(D)を含む高屈折率ナノ粒子複合体(C)の平均サイズが40〜4000nmであることを特徴とする高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。
  2. 請求項1の高屈折率ナノ粒子複合体(C)の相対標準偏差が5〜50%未満である高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。
  3. 請求項1及び請求項2の高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体において、高屈折率ナノ粒子(A)の含有量が0.2〜40重量%で、0.2〜400μmの薄膜である高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。
  4. 請求項1乃至請求項3の高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体において、高屈折率ナノ粒子(A)がダイヤモンド(屈折率2.4)、チタン酸バリウム(屈折率2.4)、酸化ジルコニウム(屈折率2.4)、酸化チタニウム(屈折率2.7)から選ばれるナノ粒子である高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。
  5. 請求項1の高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体において、該透明光拡散体のシート表面を顕微鏡観察の画像から得られた粒子の平均サイズが40〜4000nmで、粒子の画像視野に占める割合が1〜50%であることを特徴とする高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。
  6. 請求項1の分散媒体(B)がポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、2酢酸セルロース、3酢酸セルロース、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂の中から一つ以上からなる熱可塑性樹脂であることを特徴とする高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。
  7. 請求項1の分散媒体(B)がエポキシ系、アクリル系、シリコーン系の中から一つからなる光硬化性樹脂であることを特徴とする高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体。
  8. 請求項1乃至7における高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体を利用した透過型スクリーン。
  9. 請求項1乃至7における高屈折率ナノ粒子複合体を含有する透明光拡散体を利用したエッジライト型透明光拡散体。
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