JP2006209101A - 波長選択吸収フィルター - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明基材上に、樹脂、近赤外線吸収色素(A)、及び色素(B)を含有する単層または複層の波長選択吸収層を積層してなり、かつ、波長800〜1200nm及び波長550〜620nmに極大吸収を有する波長選択吸収フィルターであって、
前記近赤外線吸収色素(A)の1つがビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸を対イオンとする芳香族ジインモニウム系色素(a)であり、
前記色素(B)の1つがポルフィリン系色素またはアザポルフィリン系色素(b)であることを特徴とする波長選択吸収フィルター。
Description
前記近赤外線吸収色素(A)の1つがビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸を対イオンとする芳香族ジインモニウム系色素(a)であり、
前記色素(B)の1つがポルフィリン系色素またはアザポルフィリン系色素(b)であることを特徴とする波長選択吸収フィルターである。
(透明基材)
本発明において、透明基材は特に限定されるものではないが、全光線透過率が80%以上で、かつヘイズが5%以下であることが好ましい。基材が透明性に劣る場合には、ディスプレイの輝度を低下させるだけでなく、画像のシャープさが不良となる。
本発明の波長選択吸収フィルターは、透明基材上に単層または複層の波長選択吸収層を積層した構成を有するものであるが、透明基材と波長選択吸収層の密着性の向上や透明基材の透明性向上を目的として中間層を設けてもよい。なお、フィルム中に粒子を含有させない場合、フィルム製造時に、粒子を含有する中間層を同時に設けることにより、ハンドリング性を維持しながら高度な透明性を得ることができる。
本発明の波長選択吸収フィルターは、透明基材上に直接あるいは中間層を介して近赤外線吸収能を有する色素を含む、単層または複層の層構成からなる波長選択吸収層を積層する。
本発明において波長選択吸収フィルターとは、波長800〜1200nm及び波長550〜620nmに極大吸収を有する光学フィルターである。この波長選択吸収フィルターは、波長800nm以上1200nm以下の近赤外領域における透過率は低いほど好ましい。具体的には、近赤外領域の透過率は20%以下であることが好ましく、特に好ましくは10%以下である。透過率が高い場合には、プラズマディスプレイから放出される近赤外線の吸収が不足し、近赤外線リモコンを用いる電子機器の誤動作を防止することができない。
20℃に塗布液を調節し、東京計器製のB型粘度計(BL)を用いて、ローター回転数60rpmにて測定した。
ヘイズメータ(日本電色工業製、NDH2000)を用いて、全光線透過率およびヘイズを測定した。
分光光度計(日立製作所製、U−3500型)を用い、波長1100nm〜200nmの範囲で、波長選択吸収層側に光が照射するようにして、室内の空気を透過率の参照として測定した。
色差計(日本電色工業製、ZE−2000)を用い、波長選択吸収層側に光が照射するようにして、Lab表色系のa値、b値を、標準光としてC光源、2度視野角で測定した。
温度80℃、湿度95%雰囲気中で48時間放置した後、上記の透過率、色調を測定した。色調の変化量として、下式1よりΔEを求めた。尚、ΔEは値が小さい程、色調の変化が少ないことを表す。
・・・(1)
・・・(2)
(1)微小欠点
波長選択吸収層形成後のフィルターを白色フィルム上に置き、3波長の蛍光灯下で目視観察し、下記の評価を行った。なお、微小欠点は、面積100m2あたりの300μm以上の大きさの欠点の個数を計測し、以下の判断基準に従ってランク付けを行った。
◎:微小欠点が1個未満
○:微小欠点が1個以上5個未満
△:微小欠点が5個以上10個未満
×:微小欠点が10個以上
塗工斑、スジなどの塗工不良の有無については、波長選択吸収フィルターを白色フィルム上に置き、3波長の蛍光灯の下で波長選択吸収層面を目視観察し、以下の判断基準に従ってランク付けを行った。
◎:波長選択吸収フィルターを動かしながら観察しても、塗工不良が見られない
○:波長選択吸収フィルターを動かしながら観察すると、塗工不良が若干分かる
△:波長選択吸収フィルターを動かしながら観察すると、塗工不良が分かる
×:波長選択吸収フィルターを静止した状態でも、塗工不良が分かる
JIS K 5400の8.5.1の規定に準じた試験方法で密着性を測定した。具体的には、波長選択吸収層を積層した側から100個の升目状の切りキズを、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて付け、セロハン粘着テープ(ニチバン社製「405番」、24mm幅)を、升目状の切りキズ面に貼り付け、アクリル板(住友化学社製「スミペックス」)で擦って完全に付着させた後、垂直に引き剥がした時の状況を目視により観察して観察した。
○:剥離した升目なし
△:剥離した枡目が存在するが、剥離した升目が10枡目未満
×:10枡目以上が剥離
(基材の作製)
固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を2軸スクリュー押出機に投入し、T‐ダイスから290℃で溶融押出しし、冷却回転金属ロール上で静電印加を付与しながら密着固化させ、未延伸シートを得た。
・イオン交換水 50.0質量%
・イソプロピルアルコール 28.9質量%
・アクリル−メラミン樹脂 10.0質量%
(日本カーバイド工業(株)製、A−08、固形分濃度:46質量%)
・ポリエステル系樹脂 10.0質量%
(東洋紡績製、バイロナールMD−1250、固形分濃度:30質量%)
・ポリメタクリル酸メチル系架橋物粒子 1.0質量%
(日本触媒製、エポスターMA1001)
・シリコーン系界面活性剤 0.1質量%
(ダウコーニング製、ペインタッド32)
下記の質量比でトルエン、メチルエチルケトン、樹脂を混合し、加温下で攪拌して樹脂を溶解した後、色素および界面活性剤を添加して30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Bを調整した。
・トルエン 39.995質量%
・メチルエチルケトン 40.000質量%
・アクリル系樹脂 18.776質量%
(三菱レイヨン製、BR−80、Tg=105℃)
・芳香族系ジインモニウム系色素 0.695質量%
(日本カーリット製、CIR1085、対イオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)
・フタロシアニン系色素 0.357質量%
(日本触媒製、IR−10A)
・アザポルフィリン系色素 0.118質量%
(山田化成製、TAP−2)
・シリコーン系界面活性剤 0.059質量%
(ダウコーニング製、ペインタッド57、HLB=6.7)
前記の塗布液B(固形分濃度:20質量%、粘度:40cps)を前記の中間塗布層の一方に、乾燥後の950nmの透過率が4.3%(乾燥後の塗布量で8.0g/m2)になるように直径60cmの斜線グラビアを用いてリバースで塗工し、40℃で5m/秒の熱風で20秒間、150℃で20m/秒の熱風で20秒間、さらに、90℃で20m/秒の熱風で10秒間通過させて乾燥し、波長選択吸収フィルターを得た。なお、波長選択吸収層における、芳香族ジインモニウム系色素(a)とアザポルフィリン系色素(b)との質量比は、(a)/(b)=100/17であった。
波長選択吸収層に用いた色素の種類を表1に、得られた波長選択吸収フィルターの物性を表2及び表3に示す。
下記の塗布液Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして波長選択吸収フィルターを得た。なお、波長選択吸収層における、芳香族ジインモニウム系色素(a)とアザポルフィリン系色素(b)との質量比は、(a)/(b)=100/17であった。
下記の質量比でトルエン、シクロペンタノン、樹脂を混合し、加温下で攪拌して樹脂を溶解した後、色素および界面活性剤を添加して30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Cを調製した。
・トルエン 40.088質量%
・シクロペンタノン 40.088質量%
・フルオレン骨格を有する共重合ポリエステル樹脂 18.776質量%
(カネボウ製、O−PET、Tg=150℃)
・芳香族系ジインモニウム系色素 0.695質量%
(日本カーリット製、CIR1085、対イオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)
・フタロシアニン系色素 0.176質量%
(日本触媒製、IR−12)
・アザポルフィリン系色素 0.118質量%
(山田化成製、TAP−2)
・シリコーン系界面活性剤 0.059質量%
(ダウコーニング製、ペインタッド57、HLB=6.7)
波長選択吸収層に用いた色素の種類を表1に、得られた波長選択吸収フィルターの物性を表2及び表3に示す。
下記の塗布液Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして波長選択吸収フィルターを得た。
(波長選択吸収層用の塗布液Dの調整)
下記の質量比でトルエン、メチルエチルケトン、樹脂を混合し、加温下で攪拌して樹脂を溶解した後、色素および界面活性剤を添加して30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Dを作成した。
・トルエン 39.998質量%
・メチルエチルケトン 39.998質量%
・アクリル系樹脂 18.825質量%
(三菱レイヨン製、BR−80)
・芳香族系ジインモニウム系色素 0.697質量%
(日本カーリット製、CIR1085、対イオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)
・フタロシアニン系色素 0.358質量%
(日本触媒製、IR−10A)
・スクアリリウム系色素 0.065質量%
(協和発酵製、SD184)
・シリコーン系界面活性剤 0.059質量%
(ダウコーニング製、ペインタッド57、HLB=6.7)
波長選択吸収層に用いた色素の種類を表1に、得られた波長選択吸収フィルターの物性を表2及び表3に示す。
下記の塗布液Eを用いたこと以外は、実施例1と同様にして波長選択吸収フィルターを得た。なお、波長選択吸収層における、芳香族ジインモニウム系色素(a)とアザポルフィリン系色素(b)との質量比は、(a)/(b)=100/19であった。
下記の質量比でトルエン、メチルエチルケトン、樹脂を混合し、加温下で攪拌して樹脂を溶解した後、色素および界面活性剤を添加して30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Eを作成した。
・トルエン 40.002質量%
・メチルエチルケトン 40.002質量%
・アクリル系樹脂 18.839質量%
(三菱レイヨン製、BR−80)
・芳香族系ジインモニウム系色素 0.622質量%
(日本触媒製、IRG022、対イオン:ヘキサフルオロアンチモン酸)
・フタロシアニン系色素 0.358質量%
(日本触媒製、IR−10A)
・アザポルフィリン系色素 0.118質量%
(山田化成製、TAP−2)
・シリコーン系界面活性剤 0.059質量%
(ダウコーニング製、ペインタッド57、HLB=6.7)
波長選択吸収層に用いた色素の種類を表1に、得られた波長選択吸収フィルターの物性を表2及び表3に示す。
(波長選択吸収層における近赤外線吸収層用の塗布液Fの調整)
下記の質量比でトルエン、メチルエチルケトン、樹脂を混合し、加温下で攪拌して樹脂を溶解した後、色素および界面活性剤を添加して30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Fを調整した。
・トルエン 40.056質量%
・メチルエチルケトン 40.057質量%
・アクリル系樹脂 18.776質量%
(三菱レイヨン製、BR−80、Tg=105℃)
・芳香族系ジインモニウム系色素 0.695質量%
(日本カーリット製、CIR1085、対イオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)
・フタロシアニン系色素 0.357質量%
(日本触媒製、IR−10A)
・シリコーン系界面活性剤 0.059質量%
(ダウコーニング製、ペインタッド57、HLB=6.7)
下記の質量比で混合後、30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Gを調整した。
・メチルエチルケトン 49.808質量%
・アクリル系粘着剤 49.847質量%
(総研化学製、SKダイン1435、固形分30重量%)
・アザポルフィリン系色素 0.045質量%
(山田化成製、TAP−2)
・硬化剤 0.150質量%
(総研化学製、L−45)
・硬化剤 0.150質量%
(総研化学製、TD−75)
実施例1と同様に得た中間塗布層形成面に、前記の塗布液Fを乾燥後の950nmにおける透過率が4.3%(乾燥後の塗布量で8.0g/m2)になるように直径60cmの斜線グラビアを用いてリバースで塗工し、40℃で5m/秒の熱風で20秒間、150℃で20m/秒の熱風で20秒間、さらに、90℃で20m/秒の熱風で10秒間通過させて乾燥し、近赤外線吸収層を形成させた。次いで、前記の塗布液Gを近赤外線吸収層上にリップコーターを用いて、乾燥後の塗工量が16g/m2になるように塗工し、40℃で5m/秒の熱風で20秒間、150℃で20m/秒の熱風で20秒間、さらに、90℃で20m/秒の熱風で10秒間通過させて乾燥し、ネオンカット層を形成させた。すなわち、近赤外線吸収層とネオンカット層の2層の構成からなる波長選択吸収層を有する波長選択吸収フィルターを得た。なお、波長選択吸収層における、芳香族ジインモニウム系色素(a)とアザポルフィリン系色素(b)との質量比は、(a)/(b)=100/17であった。
波長選択吸収層に用いた色素の種類を表1に、得られた波長選択吸収フィルターの物性を表2及び表3に示す。
Claims (8)
- 透明基材上に、樹脂、近赤外線吸収色素(A)、及び色素(B)を含有する単層または複層の波長選択吸収層を積層してなり、かつ、波長800〜1200nm及び波長550〜620nmに極大吸収を有する波長選択吸収フィルターであって、
前記近赤外線吸収色素(A)の1つがビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸を対イオンとする芳香族ジインモニウム系色素(a)であり、
前記色素(B)の1つがポルフィリン系色素またはアザポルフィリン系色素(b)であることを特徴とする波長選択吸収フィルター。 - 複層の波長選択吸収層が、樹脂及び近赤外線吸収色素(A)を含有する近赤外線吸収層と、樹脂及び色素(B)を含有するネオンカット層がこの順に透明基材上に形成させてなることを特徴とする請求項1に記載の波長選択吸収フィルター。
- 波長選択吸収層が、前記芳香族ジインモニウム系色素(a)100質量部に対して、前記ポルフィリン系色素またはアザポルフィリン系色素(b)5〜100質量部(質量比)含むことを特徴とする請求項1に記載の波長選択吸収フィルター。
- 波長選択吸収層を構成する樹脂がアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の波長選択吸収フィルター。
- 単層の波長選択吸収層が、前記透明基材上に、有機溶剤、樹脂、芳香族系ジインモニウム系色素(a)、ポルフィリン系色素またはアザポルフィリン系色素(b)を含有する塗布液Aを、塗布、乾燥させて形成させることを特徴とする請求項1に記載の波長選択吸収フィルター。
- 複層の波長選択吸収層が、前記透明基材上に、有機溶剤、樹脂、および芳香族系ジインモニウム系色素(a)を含有する塗布液Bを、塗布、乾燥させて形成させた近赤外線吸収層と、該近赤外線吸収層の直上に、有機溶剤および樹脂と、ポルフィリン系色素またはアザポルフィリン系色素(b)を含有する塗布液Cを、塗布、乾燥させて形成させたネオンカット層を含むことを特徴とする請求項1に記載の波長選択吸収フィルター。
- 塗布液AまたはBが、さらにHLBが2〜12の界面活性剤を含有することを特徴とする請求項5または6に記載の波長選択吸収フィルター。
- 界面活性剤がシリコーン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤であることを特徴とする請求項7に記載の波長選択吸収フィルター。
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