JP4314532B2 - 近赤外線吸収フィルム - Google Patents
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Description
近年、薄型大画面ディスプレイとしてプラズマディスプレイが注目されているが、プラズマディスプレイから放出される近赤外線により、近赤外線リモコンを使用する電子機器が誤動作を起こす問題があり、プラズマディスプレイの前面に上記の近赤外線吸収能を有するフィルムが使用されている。
これらの中で(4)のフィルムは、加工性、生産性が良好で、光学設計の自由度も比較的大きく、各種の方法が提案されている(特許文献1〜9参照)。
一方、ディスプレイの軽量化や高画質化の為に、ガラスを使用せずに近赤外線吸収フィルムを含む光学フィルターをプラズマディスプレイのパネルに貼り合せる方式が提案されている。この方式では近赤外線吸収フィルムにディスプレイの熱が伝わり易く、かつ、ガラスが無くなることで、近赤外線吸収フィルムが変形しやすくなる問題があり、耐熱性に優れ、かつ、柔軟性に優れる近赤外線吸収フィルムが要望されている。
(透明基材)
本発明において、透明基材は特に限定されるものではないが、全光線透過率が80%以上で、かつヘイズが5%以下であることが好ましい。基材が透明性に劣る場合には、ディスプレイの輝度を低下させるだけでなく、画像のシャープさが不良となる。
明性の確保の観点からは有機系紫外線吸収剤(低分子タイプ、高分子タイプ)の使用が望
ましい。有機系紫外線吸収剤(低分子タイプ)としては特に限定されないが、例えばベン
ゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、環状イミノエステル系など、およびこれらの組み
合わせが挙げられる。これらの中で、耐久性の観点からはベンゾトリアゾール系、環状イミノエステル系が好ましく、更に基材製造時の温度に耐えるために分解温度が290℃以上の紫外線吸収剤を使用することが望ましい。
本発明の近赤外線吸収フィルターは、透明基材上に近赤外線吸収層を積層した構成からなるが、透明基材と近赤外線吸収層の密着性の向上や透明基材の透明性向上を目的に中間層を設けることが好ましい。なお、フィルム中に粒子を含有させない場合、粒子を含有する中間層をフィルム製造時に同時に設けることにより、ハンドリング性を維持しながら高度な透明性を得ることができる。
本発明の近赤外線吸収フィルターは、透明基材上に直接あるいは中間層を介して近赤外線吸収色素と樹脂を主に含有する組成物からなる近赤外線吸収層を設けられている。上記の「近赤外線吸収色素と樹脂を主に含有」とは、前記組成物中に近赤外線吸収色素と樹脂を80質量%以上含有することを意味する。
試料約5mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(MACサイエンスDSC3100S))に装着し、窒素雰囲気下、10℃/分の速度で30℃から200℃まで昇温させ、200℃に到達後試料を取出し、直ちに急冷する。このパンを再度示差熱量計に装着し、30℃から10℃/分の速度で昇温させてガラス転移温度 (Tg:℃)を測定する。
塗布後の、初期の恒率乾燥の段階では、20℃以上80℃以下で、2m/秒以上30m/秒の熱風を用いて乾燥することが好ましい。初期乾燥を強く行う(熱風温度が高い、熱風の風量が大きい)場合には、界面活性剤の表面への局在化が起こりにくく耐久性向上や滑り性付与の効果がでにくいだけでなく、泡由来の微小なコートヌケ、微小なハジキ、クラック等の塗膜の微小な欠点が発生しやすくなる。逆に、初期乾燥を弱くする(熱風温度が低い、熱風の風量が小さい)場合には、外観は良好になるが乾燥時間が掛かりコスト面で問題があるばかりか、ブラッシング等の問題が発生する。塗布液に界面活性剤を添加しない場合には、上記の微小な欠点が発生しやすく、初期乾燥をかなり弱くする必要がある。
本発明において近赤外線吸収フィルムとは、800〜1200nmの近赤外領域の透過率が低く、400nm〜800nmの可視光領域の透過率が高いフィルムのことである。近赤外領域の透過率は低いほど好ましく、具体的には40%以下、より好ましくは30%以下である。透過率が高い場合には、プラズマディスプレイから放出される近赤外線の吸収が不足し、近赤外線リモコンを用いる電子機器の誤動作を防止することができない。
透過率の調整としては、上述の近赤外線吸収色素の種類、単位面積あたりの近赤外線吸収色素の存在量により変更することができる。
本発明において光学フィルターとは、プラズマディスプレイの前面に設置されるもので、ディプレイから発生する近赤外線、電磁波をカットすると共に、ディスプレイの視認性向上の為の反射防止、色再現性の向上等の機能を有し、更には、ディスプレイの保護の機能を有する。
塗布液を20℃に調節し、B型粘度計(東京計器製、BL)を用いて、ローター回転数60rpmにて測定した。
分光光度計(日立U−3500型)を用い、波長1100〜200nmの範囲で、近赤外線吸収層側に光が照射するようにして、室内の空気を透過率の参照として測定した。
色差計(日本電色工業製、ZE−2000)を用い、近赤外線吸収層側に光が照射するようにして、D65光源、10度の視野角で測定した。
温度60℃、湿度95%雰囲気中で500時間放置した後の色調を測定し、処理前後の色調の変化量Δx、Δyを求めた。
温度90℃の雰囲気中で500時間放置した後の色調を測定し、処理前後の色調の変化量Δx、Δyを求めた。
フィルムを幅10mmにカットし、近赤外線吸収層を外側にして金属棒に巻きつけて、近赤外線吸収層のひび割れの有無を確認した。金属棒は直径が1〜20mmで1mm間隔の20本を用い、ひび割れが発生しない最小の直径を柔軟性の評価値とした。
1.透明基材の製造
(1)紫外線吸収剤含有マスターバッチの調整
乾燥させた紫外線吸収剤(サイテック社製、CYASORB UV−3638;2,2′−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン))10質量部、粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(東洋紡績製、ME553)90質量部を混合し、混練押出機を用い、マスターバッチを作製した。この時の押し出し温度は285℃であり、押し出し時間は7分であった。
易接着層形成用の塗布液を以下の方法に従って調製した。ジメチルテレフタレート95質量部、ジメチルイソフタレート95質量部、エチレングリコール35質量部、ネオペンチルグリコール145質量部、酢酸亜鉛0.1質量部および三酸化アンチモン0.1質量部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6.0質量部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の30質量%水分散液を6.7質量部、重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタン樹脂の20質量%水溶液(第一工業製薬製、エラストロンH−3)を40質量部、エラストロン用触媒(Cat64)を0.5質量部、水を47.8質量部およびイソプロピルアルコールを5質量部、それぞれ混合し、さらにアニオン性界面活性剤を塗布液に対し1質量%、コロイダルシリカ粒子(日産化学工業社製、スノーテックスOL)を塗布液の固形分に対し5質量%添加し塗布液とした。
固有粘度が0.62dl/gで、粒子を含有しないPET樹脂のペレット(東洋紡績社製、ME553)90質量部と前記の紫外線吸収剤含有マスターバッチ10質量部とを135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機に供給した。押出機熔融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの樹脂温度は280℃、その後のポリマー管では275℃とし、口金よりシート状にして押し出した。これらのポリマーは、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度:10μm以上の粒子を95%カット)を用いて濾過した。また、フラットダイは樹脂温度が275℃になるようにした。押し出した樹脂を、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラム(ロール径400φ、Ra0.1μm以下)に巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時の吐出量は48kg/hrであり、得られた未延伸シートは幅300mm、厚さ1400μmであった。次に、上記キャストフィルムを加熱されたロール群および赤外線ヒーターを用いて100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向(走行方向)に3.5倍延伸して一軸配向フィルムを得た。該フィルム製造時に用いる全ロールに関し、ロールの表面粗度をRaで0.1μm以下に管理し、縦延伸工程の予熱入口と冷却ロールにロールクリーナーを設置した。縦延伸工程のロール径は150mmであり、サクションロール、静電密着、パートニップの密着装置を採用してフィルムをロールへ密着させた。その後、易接着層形成用の塗布液を濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)25μmのフェルト型ポリプロピレン製濾材で精密濾過し、リバースロール法で両面に塗布、乾燥した。塗布後、引き続いて、フィルムの端部をクリップで把持して130℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後幅方向に4.0倍に延伸し230℃にて5秒間熱処理し、この熱処理工程中で幅方向に3%の弛緩処理し、基材フィルム(B)を得た。該フィルム厚さ100μmであり、この時の易接着層のコート量は0.01g/m2 であった。得られたフィルムの波長380nmの透過率は4%で優れた紫外線吸収性を有していた。また、全光線透過率が91%、ヘイズが0.6%で透明性に優れていた。
下記の塗布液A(粘度が23cps)を上記の中間塗布層上に乾燥後に950nmの透過率が4.3%になるように直径60cmの斜線グラビアを用いてリバースで塗工し、40℃で5m/秒の熱風で20秒間、150℃で20m/秒の熱風で20秒間、さらに、90℃で20m/秒の熱風で10秒間通過させて乾燥し、近赤外線吸収フィルターを作成した。
(近赤外線吸収層用の塗布液A)
塗布液の材料を下記の質量比で混合し、30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Aを調整した。
・トルエン 22.193質量%
・メチルエチルケトン 23.083質量%
・アクリル系樹脂 52.762質量%
(総研化学製、GS−1030、固形分濃度:30質量%、Tg:115℃)
・ジインモニウム塩化合物(色素A) 0.937質量%
(日本カーリット製、CIR1085、対イオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)
・シアニン系色素 0.076質量%
(旭電化工業製、TZ−123)
・シリコーン系界面活性剤 0.059質量%
(ダウコーニング製、ペインタッド57、HLB:6.7)
・イオン性液体C 0.890質量%
(n−ブチル−3−メチルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)
下記の塗布液Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
(近赤外線吸収層用の塗布液B)
塗布液の材料を下記の質量比で混合し、30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Bを調整した。
・トルエン 22.998質量%
・メチルエチルケトン 23.083質量%
・アクリル系樹脂 52.762質量%
(総研化学製、GS−1030、固形分濃度:30質量%、Tg:115℃)
・ジインモニウム塩化合物(色素A) 0.937質量%
(日本カーリット製、CIR1085、対イオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)
・シアニン系色素 0.076質量%
(旭電化工業製、TZ−123)
・シリコーン系界面活性剤 0.059質量%
(ダウコーニング製、ペインタッド57、HLB:6.7)
・イオン性液体C 0.085質量%
(n−ブチル−3−メチルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)
下記の塗布液Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
(近赤外線吸収層用の塗布液C)
塗布液の材料を下記の質量比で混合し、30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Cを調整した。
・トルエン 21.411質量%
・メチルエチルケトン 23.083質量%
・アクリル系樹脂 52.762質量%
(総研化学製、GS−1030、固形分濃度:30質量%、Tg:115℃)
・ジインモニウム塩化合物(色素A) 0.937質量%
(日本カーリット製、CIR1085、対イオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)
・シアニン系色素 0.076質量%
(旭電化工業製、TZ−123)
・シリコーン系界面活性剤 0.059質量%
(ダウコーニング製、ペインタッド57、HLB:6.7)
・イオン性液体C 1.671質量%
(n−ブチル−3−メチルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)
下記の塗布液Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
(近赤外線吸収層用の塗布液D)
塗布液の材料を下記の質量比で混合し、30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Dを調整した。
・トルエン 23.083質量%
・メチルエチルケトン 23.083質量%
・アクリル系樹脂 52.762質量%
(総研化学製、GS−1030、固形分濃度:30質量%、Tg:115℃)
・ジインモニウム塩化合物(色素A) 0.937質量%
(日本カーリット製、CIR1085、対イオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)
・シアニン系色素 0.076質量%
(旭電化工業製、TZ−123)
・シリコーン系界面活性剤 0.059質量%
(ダウコーニング製、ペインタッド57、HLB:6.7)
実施例1において、イオン性液体の種類を下記のイオン性液体Dに変更したこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
イオン性液体D:n−ブチル−3−メチルピリジニウム テトラフルオロボレート
実施例1において、イオン性液体の種類を下記のイオン性液体Eに変更したこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
イオン性液体E:N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
下記の塗布液Eを用いたこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
(近赤外線吸収層用の塗布液E)
塗布液の材料を下記の質量比で混合し、30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Eを調整した。
・トルエン 22.193質量%
・メチルエチルケトン 23.083質量%
・アクリル系樹脂 52.762質量%
(総研化学製、GS−1030、固形分濃度:30質量%、Tg:115℃)
・ジインモニウム塩化合物(色素B) 0.937質量%
(日本カーリット製、CIR1081、対イオン:六フッ化アンチモン)
・シアニン系色素 0.076質量%
(旭電化工業製、TZ−123)
・シリコーン系界面活性剤 0.059質量%
(ダウコーニング製、ペインタッド57、HLB:6.7)
・イオン性液体C 0.890質量%
(n−ブチル−3−メチルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)
下記の塗布液Fを用いたこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
(近赤外線吸収層用の塗布液F)
塗布液の材料を下記の質量比で混合し、30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Eを調整した。
・トルエン 23.083質量%
・メチルエチルケトン 23.083質量%
・アクリル系樹脂 52.762質量%
(総研化学製、GS−1030、固形分濃度:30質量%、Tg:115℃)
・ジインモニウム系色素 0.937質量%
(日本カーリット製、CIR1081、対イオン:六フッ化アンチモン)
・シアニン系色素 0.076質量%
(旭電化工業製、TZ−123)
・シリコーン系界面活性剤 0.059質量%
(ダウコーニング製、ペインタッド57、HLB:6.7)
透明基材として、反射フィルム(日本油脂製、リアルック7700S)を用い、反射防止層とは反対面に近赤外線吸収層を積層したこと以外は、実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
Claims (5)
- 透明基材上に、近赤外線吸収色素、樹脂から主に構成される組成物からなる近赤外線吸収層を設けた近赤外線吸収フィルムであって、前記の組成物中にイオン性液体を0.1質量%以上10.0質量%以下含有することを特徴とする近赤外線吸収フィルム。
- 前記の近赤外線吸収色素がジインモニウム塩化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の近赤外線吸収フィルム。
- 前記の近赤外線吸収色素がビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸を対イオンとするジインモニウム塩化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線吸収フィルム。
- 前記のイオン性液体がビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸を陰イオンとして含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の近赤外線吸収フィルム。
- 近赤外線吸収層を構成する樹脂がアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の近赤外線吸収フィルム。
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