JP2008250057A - 近赤外線吸収フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】外観に優れ、かつ欠陥発生時の部材の再利用性(リワーク性)に高度に優れる近赤外線吸収フィルムを提供する。
【解決手段】透明基材上に、近赤外線吸収色素、樹脂、界面活性剤、及びポリオキシアルキレン化合物を含む近赤外線吸収層を設けた近赤外線吸収フィルムであって、近赤外線吸収層中にポリオキシアルキレン化合物が0.05質量%以上、5.0質量%以下の範囲で含有されていることを特徴とする近赤外線吸収フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、近赤外線を吸収する光学フィルムに関するものであり、詳しくは加工性に優れる近赤外線吸収フィルムに関するものである。
近赤外線の吸収能を有する光学フィルムは、近赤外線を遮断し、可視光を通過させる性質を有しており、各種の用途に使用されている。
近年、薄型大画面ディスプレイとしてプラズマディスプレイが注目されているが、プラズマディスプレイから放出される近赤外線により、近赤外線リモコンを使用する電子機器が誤動作を起こす問題があり、プラズマディスプレイの前面に上記の近赤外線吸収能を有するフィルムが使用されている。
近赤外線の吸収能を有するフィルムとしては、(1)燐酸系ガラスに、銅や鉄などの金属イオンを含有、(2)屈折率の異なる層を積層し、透過光を干渉させることで特定の波長を透過させる干渉フィルター、(3)共重合体に銅イオンを含有するアクリル系樹脂フィルム、(4)樹脂に色素を分散又は溶解した層を積層したフィルム、が提案されている。
これらの中で(4)のフィルムは、加工性、生産性が良好で、光学設計の自由度も比較的大きく、各種の方法が提案されている(特許文献1〜9参照)。
特開2002− 82219号公報 特開2002−138203号公報 特開2002−214427号公報 特開2002−264278号公報 特開2002−303720号公報 特開2002−333517号公報 特開2003− 82302号公報 特開2003− 96040号公報 特開2003−114323号公報
これらの方法の中には、プラズマディスプレイから放出される近赤外線を十分に遮断する能力を有し、かつ、長時間の使用でも経時変化の少ないフィルムがある。さらには、塗膜外観についても高度に優れたフィルムが提案されている。
特許公開2005−92195 特許公開2005−92196 特許公開2005−189737 特許公開2005−189738 特許公開2005−346071 特許公開2006−139311
これらの光学フィルムをディスプレイの部材に組み込む工程として、ガラスに近赤外線吸収フィルムを含む光学フィルターを、粘着剤を介して貼り合せる方式が主に用いられている。
この方式では、安定した品質のディスプレイ部材を提供できる。また、前記の貼り合せ工程において、貼り合せ時に粘着剤に異物や気泡が入り込む場合、あるいは近赤外線フィルムに何らかの欠陥がある場合に、問題のある光学フィルターのみをガラス面から剥離し、ガラスを再利用することにより、コストを低減する点から好ましい。しかしながら、従来の技術では、光学フィルターをガラス面から剥がす際に、ガラス面に粘着剤の一部または全部が残り、ガラス部材を再利用できないという問題があった。
このガラス部材を再利用できるというフィルムの機能をリワーク性とよぶ。このようなリワーク性に優れる近赤外線吸収フィルムを含む光学フィルターが、ディスプレイ製造業者から強く要望されていた。
本発明の目的は、前記の従来の問題点を解決することにあり、具体的には、外観に優れ、かつ欠陥発生時の部材の再利用性(リワーク性)に高度に優れる近赤外線吸収フィルムを提供することにある。
前記の課題を解決することができる本発明の近赤外線吸収フィルムは、以下の構成からなる。
第1の発明は、透明基材上に、近赤外線吸収色素、樹脂、界面活性剤、及びポリオキシアルキレン化合物を含む近赤外線吸収層を設けた近赤外線吸収フィルムであって、近赤外線吸収層中にポリオキシアルキレン化合物が0.05質量%以上、5.0質量%以下の範囲で含有されていることを特徴とする近赤外線吸収フィルムである。
第2の発明は、ポリオキシアルキレン化合物の数平均分子量Mnが200以上、2000以下であることを特徴とする第1の発明に記載の近赤外線吸収フィルムである。
第3の発明は、近赤外線吸収層を構成する樹脂が、アクリル系樹脂または共重合ポリエステル樹脂であることを特徴とする第1または第2の発明に記載の近赤外線吸収フィルムである。
第4の発明は、近赤外線吸収色素がジインモニウム塩化合物を含むことを特徴とする第1〜3のいずれかの発明に記載の近赤外線吸収フィルムである。
第5の発明は、界面活性剤のHLBが2以上12以下であることを特徴とする第1〜4のいずれかの発明に記載の近赤外線吸収フィルムである。
第6の発明は、界面活性剤がシリコーン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤であることを特徴とする第1〜5のいずれかの発明に記載の近赤外線吸収フィルムである。
本発明の近赤外線吸収フィルムを近赤外線吸収フィルターとしてプラズマディプレイの前面に設置した場合、従来の近赤外線吸収フィルターと同様に、ディスプレイから放出される不要な近赤外線を吸収し、精密機器の誤動作を防ぐことができるだけでなく、高度な外観を有し、柔軟性に優れ、さらには加工時における部材の再利用性を大幅に向上することができるため、プラズマディスプレイの高画質化に寄与することができるとともに、ディスプレイの加工コストを削減できるという利点がある。
以下、本発明を詳細に説明する。
(透明基材)
本発明において、透明基材は特に限定されるものではないが、全光線透過率が80%以上で、かつヘイズが5%以下であることが好ましい。基材が透明性に劣る場合には、ディスプレイの輝度を低下させるだけでなく、画像のシャープさが不良となる。
このような透明基材としては、例えば、ポリエステル系、アクリル系、セルロ−ス系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリカーボネ−ト、フェノ−ル系、ウレタン系等のプラスチックフィルム又はシート、ガラス及びこれらの任意の2種類以上を貼り合わせたものが挙げられる。好ましくは、耐熱性、柔軟性のバランスが良好なポリエステル系フィルムであり、より好ましくはポリエチレンテレフタレートフィルムである。
本発明で用いる透明基材として好適なポリエステル系フィルムとは、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸又はそのエステルと、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1、4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどをエステル化反応又はエステル交換反応を行い、次いで重縮合反応させて得たポリエステルチップを乾燥後、押出機で溶融し、Tダイからシート状に押し出して得た未延伸シートを少なくとも1軸方向に延伸し、次いで熱固定処理、緩和処理を行うことにより製造されるフィルムである。
前記のフィルムは、強度等の点から、二軸延伸フィルムが特に好ましい。延伸方法としては、チューブラ延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法等が挙げられるが、平面性、寸法安定性、厚みムラ等から逐次二軸延伸法が好ましい。逐次二軸延伸フィルムは、例えば、長手方向にポリエステルのガラス転移温度(Tg)〜(Tg+30℃)で、2.0〜5.0倍に長手方向にロール延伸し、引き続き、テンターで予熱後120〜150℃で1.2〜5.0倍に幅方向に延伸する。さらに、二軸延伸後に220℃以上(融点−10℃)以下の温度で熱固定処理を行い、次いで幅方向に3〜8%緩和させることによって製造することができる。また、フィルムの長手方向の寸法安定性をさらに改善するために、縦弛緩処理を併用してもよい。
透明基材フィルムにハンドリング性(例えば、積層後の巻取り性)を付与するために、フィルム中に粒子を含有させて、フィルムの表面に突起を形成させることが好ましい。フィルム中に含有させる粒子としては、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、等の無機粒子、架橋アクリル、架橋PMMA、ナイロン、架橋ポリスチレン、ポリエステル、ベンゾグアナミン・ホルマリン縮合物、等の耐熱性高分子粒子が挙げられる。透明性の点から、フィルム中の粒子の含有量は少ないほど好ましく、例えば1ppm以上1000ppm以下であることが好ましい。さらに、透明性の点から、屈折率が基材フィルムを構成する樹脂に近い粒子を選択することが好ましい。例えば、ポリエステルの場合には、シリカ粒子、シリカ−アルミナ複合酸化物粒子などが挙げられる。また、透明基材フィルム中に、必要に応じて各種機能を付与するために、耐光剤(紫外線防止剤)、色素、帯電防止剤などを含有させてもよい。
本発明の近赤外線吸収フィルムにおいて、近赤外線吸収層を積層する面の反対面に、反射防止層を設ける場合、外部から入射する紫外線による近赤外線吸収色素が劣化しやすくなるため、透明基材内に紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。
紫外線吸収剤は、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤に大別されるが、透明性の確保の観点から、有機系紫外線吸収剤(低分子タイプ、高分子タイプ)を用いることが好ましい。有機系紫外線吸収剤(低分子タイプ)としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、環状イミノエステル系など、およびこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中で、耐久性の観点から、ベンゾトリアゾール系または環状イミノエステル系の紫外線吸収剤が好ましく、更に基材フィルムの製造時の温度に耐えるために分解温度が290℃以上の紫外線吸収剤を使用することが望ましい。
紫外線吸収剤の含有量は、近赤外線吸収層の光劣化を抑制できるように、380nm以下の波長における透過率が10%以下となるように調整することが好ましい。具体的には、紫外線吸収剤の含有量は、透明基材フィルム中に0.1〜4質量%であることが好ましく、0.3〜2質量%であることがより好ましい。紫外線吸収剤量が少なすぎると紫外線吸収能が小さくなり、多すぎるとフィルムが黄変する場合や、フィルムの製膜性が低下する場合がある。
本発明で用いる透明基材は、単層フィルムであっても、表層と中心層を積層した2層以上の複合フィルムであっても構わない。複合フィルムの場合、表層と中心層の機能を独立して設計することができる利点がある。例えば、厚みの薄い表層にのみ粒子を含有させて表面に凹凸を形成することでハンドリング性を維持しながら、厚みの厚い中心層には粒子を実質上含有させないことで、複合フィルム全体として透明性をさらに向上させることができる。また、紫外線吸収能を付与する場合、中心層のみに紫外線吸収剤を含有させることで、フィルム製造時や経時での紫外線吸収剤のフィルム表面への析出を低減することができるため、近赤外線吸収層への耐熱性の劣化等の悪影響を抑制できる。前記の複合フィルムの製造方法は特に限定されるものではないが、生産性を考慮すると、表層と中心層の原料を別々の押出機から押出し、1つのダイスに導き未延伸シートを得た後、少なくとも1軸方向に配向させる、いわゆる共押出法による積層が特に好ましい。
透明基材の厚みは素材により異なるが、ポリエステルフィルムを用いる場合には、下限は35μmが好ましく、より好ましくは50μmである。一方、厚みの上限は260μmが好ましく、より好ましくは200μmである。厚みが薄い場合には、ハンドリング性が不良となるばかりか、近赤外線吸収層の残留溶媒を少なくなるように乾燥時に加熱した場合に、フィルムに熱シワが発生して平面性が不良となりやすい。一方、厚みが厚い場合にはコスト面で問題があるだけでなく、ロール状に巻き取って保存した場合に巻き癖による平面性不良が発生しやすくなる。
(中間層)
本発明の近赤外線吸収フィルターは、透明基材上に近赤外線吸収層を積層した構成からなるが、透明基材と近赤外線吸収層の密着性の向上や透明基材の透明性向上を目的に中間層を設けることが好ましい。なお、フィルム中に粒子を含有させない場合、粒子を含有する中間層をフィルム製造時に同時に設けることにより、ハンドリング性を維持しながら高度な透明性を得ることができる。
前記中間層を構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂などが挙げられるが、基材および近赤外線吸収層との密着性が良好であるように選択することが重要であり、具体的には、基材及び近赤外線吸収層を構成する樹脂がアクリル系であれば、アクリル系、共重合ポリエステル系、ポリエステルウレタン系を選定することが好ましい。
前記中間層には、密着性の向上、耐水性の向上を目的に架橋剤を含有させて架橋構造を形成させても構わない。架橋剤としては、尿素系、エポキシ系、メラミン系、イソシアネート系が挙げられる。特に、樹脂が高温・高湿度下での白化や強度が低下する場合には、架橋剤による効果が顕著である。なお、架橋剤を用いずに、樹脂として自己架橋性を有するグラフト共重合樹脂を用いてもよい。
中間層には、表面に凹凸を形成させて滑り性を改善する目的で、各種の粒子を含有させてもよい。中間層中に含有させる粒子としては、例えば、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、等の無機粒子、アクリル、PMMA、ナイロン、スチレン、ポリエステル、ベンゾグアナミン・ホルマリン縮合物、等の有機粒子が挙げられる。なお、透明性の点から使用する樹脂と屈折率の近い粒子を選択することが好ましい。
さらに、中間層に各種機能を付与するために、界面活性剤、帯電防止剤、色素、紫外線吸収剤等を含有させてもよい。
中間層は目的とする機能を有する場合は単層でも構わないが、必要に応じて2層以上に積層しても構わない。
中間層の厚みは、目的とする機能を有すれば特に限定されるものではないが、0.01μm以上5μm以下が好ましい。厚みが薄い場合には中間層としても機能が発現し難くなり、逆に、厚い場合には透明性が不良となりやすくなる。
中間層を設ける方法としては、塗布法が好ましい。塗布法としては、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式などの公知の塗布方法を用いて、フィルムの製造工程で塗布層を設けるインラインコート方式、フィルム製造後に塗布層を設けるオフラインコート方式により設けることができる。これらの方式のうち、インラインコート方式がコスト面で優れるだけでなく、塗布層に粒子を含有させることで、透明基材に粒子を含有させる必要がなくなるため、透明性を高度に改善することができるため好ましい。
(近赤外線吸収層)
本発明の近赤外線吸収フィルターは、透明基材上に直接あるいは中間層を介して近赤外線吸収色素と樹脂を主に含有する組成物からなる近赤外線吸収層を設けられている。上記の「近赤外線吸収色素と樹脂を主に含有」とは、前記組成物中に近赤外線吸収色素と樹脂を80質量%以上含有することを意味する。
近赤外線吸収色素とは、波長800〜1200nmの近赤外線領域に極大吸収を有する色素であって、ジインモニウム系、フタロシアニン系、ジチオ−ル金属錯体系、ナフタロシアニン系、アゾ系、ポリメチン系、アントラキノン系、ナフトキノン系、ピリリウム系、チオピリリウム系、スクアリリウム系、クロコニウム系、テトラデヒドオコリン系、トリフェニルメタン系、シアニン系、アゾ系、アミニウム系等の化合物が挙げられる。これらの化合物は単独で又は2種以上を混合して使用されるが、近赤外線領域の吸収が大きく、かつ吸収域も広く、さらに可視光領域の透過率も高い下記の式(1)で示されるジインモニウム塩化合物を含むことが好ましい。
Figure 2008250057
前記の式(1)中のR1〜R8の具体例としては、(a)メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基などのアルキル基、(b)フェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ジエチルアミノフェニル、ナフチル基などのアリール基、(c)ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基などのアルケニル基、(d)ベンジル基、p−フルオロベンジル基、p−クロロフェニル基、フェニルプロピル基、ナフチルエチル基などのアラルキル基、が挙げられる。
また、R9〜12としては、水素、フッ素、塩素、臭素、ジエチルアミノ基、ジメチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
また、Xは、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸塩イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオンなどが挙げられる。これらの中で、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオンを対イオンとするジインモニウム塩化合物は耐熱性および耐湿熱性が高く、その結果本発明でポリオキシアルキレン化合物を用いた際の副作用としての耐久性低下が少なく、好ましい。このジインモニウム塩化合物は市販品として入手可能であり、例えば、日本化薬社製Kayasorb IRG−022、IRG−023、IRG−024、IRG−068、日本カーリット社製 CIR−1080、CIR−1081、CIR−1083、CIR−1085、CIR−1085F、CIR−RLなどが好適である。
本発明の近赤外線吸収フィルムは、前記の式(1)で示されるジイモニウム塩系化合物以外に、近赤外線領域の吸収域の拡大、色目の調整を目的として、他の近赤外線吸収色素を加えることもできる。
前記のジインモニウム塩系化合物と併用し得る他の近赤外線吸収色素としては、フタロシアニン系化合物、ジチオール金属錯体系化合物、シアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、スクアリリウム塩系化合物、ピリリウム塩系化合物、チオペリリウム系化合物、クロコニウム系化合物、インドアニリンキレート系色素、インドナフトールキレート系色素、アゾ系色素、アゾキレート系色素、アミニウム塩系色素、キノン系色素、アントラキノン系色素、ポリメチン系色素、トリフェニルメタン系色素などが挙げられる。これらの中で、色素自体の高温高湿度下での劣化の少ないフタロシアニン系化合物、ジチオール系金属錯体系化合物が好ましい。劣化しやすい色素を用いた場合には、近赤外領域の透過率の経時安定性が不良となるだけでなく、ジインモニウム塩系化合物がクエンチャーとして作用して劣化し、近赤外線吸収フィルムが黄色く変色する。
これらの一部は市販品として入手可能であり、例えば、日本触媒製のフタロシアニン系色素(IR−1、R−2、IR−3、IR−4、IR−10、IR−10A、IR−12、IR−14)、旭電化製のシアニン系色素(TZ−111、114、119、121、123)、みどり化学製のニッケル錯体系色素(MIR−101、MIR−111、MIR−121、MIR−102、MIR−1011、MIR−1021)、山田化学製のシアニン系色素(IR−301)、山本化成製のシアニン系色素(YKR−2900)、フタロシアニン系色素(YKR−3070、YKR−3081)が挙げられる。
本発明において、目的とする近赤外線領域の吸収、可視光領域での透過率を制御するために、近赤外線吸収色素の量を、近赤外線吸収層の厚み方向における任意の面で0.01g/m以上、1.0g/m以下と存在するように調整することが好ましい。近赤外線吸収色素の量を0.01g/m以上とすることで、近赤外線領域での吸収能を高くすることができる。一方、近赤外線吸収色素の量を1.0g/m以下とすることで、可視光領域での透明性の低下を抑え、ディスプレイの輝度の低下を抑えることができる。
本発明明において、近赤外線吸収層を透明基材に積層する方法としては、近赤外線吸収色素と樹脂を加熱により溶融させて透明基材上に設ける方法、近赤外線吸収色素と樹脂を有機溶媒に溶解し透明基材上に塗布、乾燥して積層する塗布法が挙げられる。近赤外線吸収層の幅方向及び流れ方向の均一性が得られ易い塗布法が好ましい。
本発明において、近赤外線吸収層に用いる樹脂としては、近赤外線吸収色素を均一に溶解あるいは分散できる点から、ポリエステル系、アクリル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリカーボネート系樹脂が好適である。これらの樹脂の中でも、耐熱性の点から、アクリル系樹脂が好ましい。しかしながら、アクリル系樹脂は、透明性および耐熱性に優れるが、極性がなく柔軟性に乏しい。そのため、粘着加工後のリワーク性に劣る傾向がある。したがって、アクリル系樹脂を用いる場合に本発明の効果が顕著に発揮でされる。
また、樹脂のガラス転移温度は、利用する機器(例えば、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイ)の使用保証温度以上であることが好ましく、特に好ましくは85℃以上160℃以下である。ガラス転移温度が機器使用温度以上とすることで、樹脂中に分散された色素同士の反応、あるいは樹脂への外気中の水分の吸収による、色素やバインダ−樹脂の劣化を抑制することができる。
なお、ガラス転移温度はJIS K7121に準拠し、示差走査熱量法(DSC)を用いて行い、ガラス転移温度は補外ガラス転移開始温度を用いる。測定の手順は、以下のようにした。
試料約5mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(MACサイエンスDSC3100S))に装着し、窒素雰囲気下、10℃/分の速度で30℃から200℃まで昇温させ、200℃に到達後試料を取出し、直ちに急冷する。このパンを再度示差熱量計に装着し、30℃から10℃/分の速度で昇温させてガラス転移温度 (Tg:℃)を測定する。
近赤外線吸収層に用いる樹脂として、ガラス転移温度が85℃以上の樹脂を用いることにより、色素と樹脂、あるいは色素間の相互作用による色素の変性を抑制することができる。また、ガラス転移温度が160℃以下の樹脂を用いることにより、該樹脂を溶媒に溶解し、透明基材上に塗布する際に、過酷な温度で乾燥する必要がない。そのため、基材の熱シワによる平面性の不良や色素の劣化を抑制することができる。さらに、温和な条件で乾燥できるため、乾燥時間も長くする必要がないので、生産性も低下しない。また、乾燥も十分にできるため、塗膜中に残留する溶媒により、樹脂の見かけのガラス転移温度の低下を抑えられるので、色素も変性しにくい。
近赤外線吸収層における近赤外線吸収色素の量は、樹脂に対し1質量%以上、10質量%以下であることが好ましい。樹脂中の近赤外線吸収色素の量を1質量%以上とすることにより、目的とする近赤外線吸収能を達成するために、近赤外線吸収層の塗工量を増やす必要がない。また、十分に乾燥することができるので、乾燥温度を高温にする、あるいは乾燥時間を長くする必要がない。そのため、色素の劣化や基材の平面性不良などが起こりにくい。一方、樹脂中の近赤外線吸収色素の量を10質量%以下とすることにより、色素間の相互作用を抑制することができる。そのため、近赤外線吸収層中の残留溶媒量を低い水準になるまで乾燥しなくても、色素の経時的な変性が起こりにくくなる。
本発明において、近赤外線吸収層は、近赤外線吸収色素、樹脂、および有機溶媒を含む塗布液を、透明基材上に塗布、乾燥させて形成される。この際に、界面活性剤を含有させることが重要である。界面活性剤を含有させることにより塗液の表面張力を下げ、近赤外線吸収層の塗工外観、特に、微小な泡によるヌケ、異物等の付着よる凹み、乾燥工程でのハジキが改善される。
界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、ノニオン系の公知のものを好適に使用できる。しかしながら、近赤外線吸収色素として、対イオンを有するジインモニウム塩化合物やシアニンを用いる場合には、イオン交換により近赤外線吸収色素が劣化しやすくなる。そのため、極性基を有していないノニオン系界面活性剤が好ましい。ノニオン系界面活性剤の中でも、界面活性能に優れるシリコーン系又はフッ素系界面活性剤が特に好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、ジメチルシリコーン、アミノシラン、アクリルシラン、ビニルベンジルシラン、ビニルベンジシルアミノシラン、グリシドシラン、メルカプトシラン、ジメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリアルコキシシロキサン、ハイドロジエン変性シロキサン、ビニル変性シロキサン、ビトロキシ変性シロキサン、アミノ変性シロキサン、カルボキシル変性シロキサン、ハロゲン化変性シロキサン、エポキシ変性シロキサン、メタクリロキシ変性シロキサン、メルカプト変性シロキサン、フッ素変性シロキサン、アルキル基変性シロキサン、フェニル変性シロキサン、アルキレンオキシド変性シロキサンなどが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、4フッ化エチレン、パーフルオロアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルスルホン酸アミド、パーフルオロアルキルスルホン酸ナトリウム、パーフルオロアルキルカリウム塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルアルキル化合物、パーフルオロアルキルアルキルベタイン、パーフルオロアルキルハロゲン化物などが挙げられる。
界面活性剤の含有量は、近赤外線吸収層を構成する樹脂に対して0.01質量%以上、2.00質量%以下であることが好ましい。界面活性剤の含有量を0.01質量%以上とすることにより、塗工外観が向上する。一方、界面活性剤の含有量を2.00質量%以下とすることにより、近赤外線吸収層への水分の吸収を低減でき、水分による色素の劣化を抑制することができる。
本発明において、界面活性剤のHLBは2以上、12以下であることが好ましい。HLBの下限値は好ましくは3であり、特に好ましくは4である。一方、HLBの上限値は好ましくは11であり、特に好ましくは10である。HLBを2以上とすることにより、レベリング性が向上する。なお、HLBが低い場合には、近赤外線吸収層の表面が撥水化するため、耐湿熱による色素の劣化を抑えることができる。一方、HLBを12以下にすることにより、近赤外線吸収層への水分の吸収を抑制できるので、色素の経時安定性が向上する。
なお、HLBとはアメリカのAtlas Powder社のW.C.GriffinがHydorophil Lyophile Balanceと名付けて界面活性剤の分子中に含まれる親水基と親油基のバランスを特性値として指標化した値でこの値が低いほど親油性が、逆に高いほど親水性が高くなる。
さらに、本発明においては、近赤外線吸収層中にポリオキシアルキレン化合物を含有させることが重要である。近赤外線吸収層中にポリオキシアルキレン化合物を含有させることにより、近赤外線吸収層の表面物性が向上し、光学用フィルターを加工する工程において、粘着剤と近赤外線吸収層の界面の接着強度が向上する。これによって、光学用フィルターをガラスに貼り合せた後、再度、ガラスから光学フィルターを剥がす際に、粘着剤がガラスへ移行することを防止することができる。
通常、界面活性剤は、塗布乾燥の工程において表面にブリードして局在化することによって表面張力を下げ、塗膜外観の向上に寄与する。一般に、乾燥後の皮膜の表面に疎水基を配列させることで、表面物性に作用して粘着剤との密着性を阻害する。しかしながら、本発明において使用するポリオキシアルキレン化合物は、塗布乾燥後において界面活性剤よりも優先的に近赤外線吸収層の表面にブリードするために、界面活性剤の疎水基が表面に析出せずに親水基の部分が表面に配列する。そのため、近赤外線吸収層の表面物性が損なわれず、粘着剤との密着性の向上に作用する。
さらに、ポリオキシアルキレン化合物を添加することにより、近赤外線吸収層の柔軟性が向上するため、加工工程あるいは光学用フィルターとして加工しディスプレイに組み込んだ後、熱変形などによる近赤外線吸収層のクラックの発生頻度が少なくなる。そのため光学用フィルターの加工速度の向上およびディスプレイの品質の向上に寄与することができる。
ポリオキシアルキレン化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ1,3−ブチレングリコール、ポリ1,4−ブチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコールなどが好適である。本発明においては、種類の異なるポリオキシアルキレン化合物の混合物、あるいはこれらの2種以上の共重合体も好適である。
また、ポリオキシアルキレン化合物の末端基を他の化合物の官能基と結合させ、化合物の安定性を高めることも可能である。末端に結合させる化合物としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールなどの一価のアルコール類、あるいは酢酸、プロピオン酸、酪酸、などのカルボン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、などの芳香族カルボン酸などが挙げられる。
本発明で使用するポリオキシアルキレン化合物は、その数平均分子量Mnが200〜2000の範囲にある化合物を選択することが好ましい。数平均分子量Mnの下限は、250がより好ましく、300がさらに好ましい。一方、数平均分子量Mnの上限は、1800がより好ましく、1500がさらに好ましい。なお、ここでいう数平均分子量とは、公知の測定方法によって求められる数平均分子量、具体的にはGPC測定によって求められる分子量を指す。
数平均分子量Mnが200以上のポリオキシアルキレン化合物を用いることにより、乾燥工程において、ポリオキシアルキレン化合物が表面から蒸発することを遅らせ、乾燥後において界面活性剤の表面へのブリードを防ぐ効果を十分に発揮することができる。
一方、数平均分子量Mnが2000以下のポリオキシアルキレン化合物を用いることにより、塗布乾燥後において、界面活性剤よりも優先的にポリオキシアルキレン化合物が表面にブリードし、本発明の効果を十分に発揮することができる。
本発明では、ポリオキシアルキレン化合物を、乾燥硬化後の近赤外線吸収層中に、0.05質量%以上、5.0質量%以下の範囲で含有させることが重要である。その含有量の下限は、0.07%質量が好ましく、0.10質量%がより好ましい。一方、その含有量の上限は、4.5質量%が好ましく、4.0質量%がより好ましい。
ポリオキシアルキレン化合物を近赤外線吸収層中に0.05質量%以上含有させることにより、近赤外線吸収層と粘着剤との密着性を向上させることができる。一方、ポリオキシアルキレン化合物を近赤外線吸収層中に5.0質量%以下に調整することにより、近赤外線吸収層の表面に局在せずに、近赤外線吸収層の内部に残留するポリオキシアルキレン化合物を減少させ、近赤外線吸収層の内部における吸水性を抑制できる。そのため、水分の影響による近赤外線吸収色素の劣化を抑制し、良好な耐久性を維持することができる。
本発明において、近赤外線吸収層は、有機溶媒中に、樹脂、近赤外線吸収色素、界面活性剤、及びポリオキシアルキレン化合物を含む塗布液を、透明基材上に塗布、乾燥させて形成させることが好ましい。
有機溶媒としては、(1)メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、トリデシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−メチルシクロヘキシルアルコール等のアルコール類、(2)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等のグリコール類、(3)エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチレンエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、エチレングリコールモノブチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルアセテート等のグリコールエーテル類、(4)酢酸エチル、酢酸イソプロピレン、酢酸n−ブチル等のエステル類、(5)アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソホロン、ジアセトンアルコール等のケトン類、が例示される。これらの有機溶媒は、単独で、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
これらの有機溶媒のなかでも、近赤外線吸収色素の溶解性に優れるケトン類を、塗布液に使用する全有機溶媒に対し、30質量%以上、80質量%以下の範囲で用いることが好ましい。この場合、その他の有機溶媒は、レベリング性、乾燥性を考慮して選定する。
また、使用する有機溶媒は、沸点が60〜180℃の範囲の溶媒を選択することが好ましい。沸点が60℃以上の有機溶媒を用いることにより、塗布時の塗布液の固形分濃度の変化を抑え、塗布厚みを安定化させることができる。一方、沸点が180℃以下の有機溶媒を用いることにより、塗膜中に残存する有機溶媒量を少なくし、色素の経時安定性を良好にすることができる。
近赤外線吸収色素および樹脂を、有機溶媒中に溶解あるいは分散する方法としては、加温下で、これらを攪拌、分散、あるいは粉砕する方法が好適である。塗布液を加温することにより、近赤外線吸収色素及び樹脂の溶解性を向上させることができる。そのため、未溶解物等による塗工外観の悪化を抑えることができる。また、有機溶媒中で樹脂及び色素を分散あるいは粉砕して、大きさが0.3μm以下の微粒子の状態で塗布液中に分散させることにより、透明性に優れる層を形成することが可能となる。
分散機あるいは粉砕機は、公知のものを用いることができる。具体的には、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ホモミキサー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。
塗布液中に1μm以上のコンタミや未溶解物が存在した場合、塗布後の外観が不良になるため、塗布液を透明基材に塗布する前に、フィルター等でこれらを除去することが好ましい。フィルターとしては、例えば、大きさが1μm以上のコンタミや未溶解物を99%以上除去する性能を有するフィルターが好適である。大きさが1μm以上のコンタミや未溶解物を含む塗布液を塗布し乾燥した場合には、その周囲に凹み等が発生し、100〜1000μmサイズの欠点になる場合がある。
塗布液中に含まれる樹脂、近赤外線吸収色素、界面活性剤、及びポリオキシアルキレン化合物などの固形分の濃度は、10質量%以上30質量%が好ましい。塗布液の固形分の濃度を10質量%以上に調整することにより、塗布後の乾燥時間が長くなることによる生産性の低下や、塗膜中に残存する溶媒量による色素の経時安定性の悪化を抑えることができる。一方、塗布液の固形分の濃度を30質量%以下に調整することにより、塗布液の粘度の上昇によるレベリング性の悪化、及びそれにともなう塗布外観の悪化を防ぐことができる。また、塗布外観の点から、塗布液の粘度を10cps以上300cps以下の範囲になるように、塗布液の固形分濃度、あるいは有機溶媒の種類、界面活性剤の種類は配合量を調整することが好ましい。
本発明において、塗布法を用いて、近赤外線吸収層を透明基材上に形成させる方法として、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式、バーコート方式、リップコート方式などの一般的に用いられている方法が適用できる。これらのなかで、均一に塗布することのできるグラビアコート方式、特にリバースグラビア方式が好ましい。また、グラビアの直径は、80mm以下であることが好ましい。直径が大きい場合には流れ方向にうねスジが発生する頻度が増える。
近赤外線吸収層の乾燥後の塗布量は、1g/m以上、50g/m以下の範囲が好ましい。塗布量は、下限が3g/m、上限が30g/mの範囲がさらに好ましい。乾燥後の塗布量が少ない場合には、近赤外線の吸収力が不足しやすくなる。そこで、必要とする近赤外線吸収性を得るために、樹脂中の近赤外線吸収色素の存在量を増やすと、色素間の距離が短くなり、色素間の相互作用が強くなる。その結果、色素の劣化等が起こりやすくなり、経時安定性が不良となる。一方、乾燥後の塗布量が多い場合には、近赤外線の吸収能は十分であるが、可視光領域での透明性が低下し、ディスプレイの輝度が低下する。そこで、可視光領域での透過率を高めるため荷、樹脂中の近赤外線吸収色素の存在量を低減すると、光学特性は調節できるが、乾燥が不十分になりやすくなる。その結果、塗膜中の残留溶媒により色素の経時安定性が不良となる。一方、乾燥を十分にするために、過酷な条件(乾燥温度を高くする、あるいは乾燥時間を長くする)で乾燥した場合には、熱により、基材の平面性が悪化する。
塗布液を透明基材上に塗布、乾燥する方法としては、公知の熱風乾燥、赤外線ヒーター等が挙げられる。これらの乾燥方法のなかでも、乾燥速度が早い熱風乾燥が好ましい。
塗布後の、初期の恒率乾燥の段階では、20℃以上80℃以下で、2m/秒以上30m/秒の熱風を用いて乾燥することが好ましい。厳しい条件で初期乾燥を行う(熱風温度が高い、あるいは熱風の風量が大きい)場合には、泡由来の微小なコートヌケ、微小なハジキ、クラック等の塗膜の微小な欠点が発生しやすくなる。一方、温和な条件で初期乾燥を行う(熱風温度が低い、熱風の風量が小さい)場合には、外観は良好になる。しかしながら、乾燥に時間を要するため、コスト面で問題がある。さらに、ブラッシングも発生しやすくなる。また、塗布液に界面活性剤を添加しない場合には、上記の微小な欠点が発生しやすくなるため、初期乾燥をかなり弱くすることが好ましい。
減率乾燥の工程では、乾燥温度を初期の恒率乾燥時よりも高くし、塗膜中の溶媒を減少させる。この減率乾燥工程では、乾燥温度を120℃以上、180℃以下とすることが好ましい。特に好ましくは、下限値が140℃であり、上限値が170℃である。
乾燥温度を120℃以上とすることにより、塗膜中の溶媒を減少させ、塗膜中に残留する溶媒による色素の経時的な劣化を抑制し、色素の安定性を高めることができる。さらに、乾燥の最終工程において、ポリオキシアルキレン化合物を近赤外線吸収層の表面への移動を促進し、表面にポリオキシアルキレン化合物を局在化させることができる。したがって、本発明において、塗工外観とリワーク性を両立させる上で有効な手段の1つである。
一方、減率乾燥時の乾燥温度を180℃以下とすることにより、熱シワによる基材フィルムの平面性の悪化を抑制できるだけでなく、熱による近赤外線吸収色素の劣化も抑制することができる。
また、フィルムが乾燥炉内を通過する時間は、5秒以上、180秒以下が好ましい。フィルムの通過時間を5秒以上とすることにより、塗膜中に残留する溶媒による色素の経時的な劣化を抑制することができる。一方、フィルムの通過時間を180秒以下とすることにより、生産性の低下と、熱シワによるフィルムの平面性の悪化を抑制することができる。フィルムの通過時間は、生産性と平面性の点から、30秒を上限とすることが特に好ましい。
乾燥の最終工程では、熱風温度を、近赤外線吸収色素を構成する樹脂のガラス転移温度以下にし、フラットの状態で離型フィルムの基材の実温を樹脂のガラス転移温度以下にすることが好ましい。高温のままでは乾燥炉を出た場合には、塗布面がロール表面に接触した際に滑りが不良となり、キズ等が発生するだけでなく、カール等が発生する場合がある。
(近赤外線吸収フィルム)
本発明において、近赤外線吸収フィルムとは、波長が800〜1200nmの近赤外領域の透過率が低く、400nm〜800nmの可視光領域の透過率が高いフィルムを意味する。近赤外領域の透過率は低いほど好ましく、具体的には40%以下、より好ましくは30%以下である。透過率が高い場合には、プラズマディスプレイから放出される近赤外線の吸収が不足し、近赤外線リモコンを用いる電子機器の誤動作を防止することができない。
上記の透過率は、近赤外線吸収色素の種類、単位面積あたりの近赤外線吸収色素の存在量、近赤外線吸収層の塗布量により調整することができる。
近赤外線吸収フィルムの色調をLab表色系で表現すると、a値が−10.0〜+10.0、b値が−10.0〜+10.0であることが好ましい。この範囲内であれば、プラズマディスプレイの前面に設置した場合でもナチュラル色となり好ましい。
色調は、上述の近赤外線吸収色素の種類、単位面積あたりの近赤外線吸収色素の存在量、更には、他の色素の混合により調整することができる。なお、後述の近赤外線吸収フィルムの前面または裏面に着色された粘着層を用いて、電磁波防止フィルム、反射防止フィルム、ガラス等の他の部材と貼り合せる場合には、光学フィルターとして、ナチュラル色になるように色調を調整することが好ましい。
近赤外線吸収層の塗工外観としては、直径が300μm以上、より好ましくは100μmのサイズの欠点を存在しないように、欠点を除去することが好ましい。直径が300μm以上の欠点は、プラズマディスプレイの前面に設置する場合、輝点として観察される欠点として顕在化する。また、直径が100μm以上、300μm未満の欠点も、粘着加工等の貼り合わせにより、レンズ効果により強調される場合があり、できるだけ存在させないように除去することが好ましい。また、塗工層の薄いスジ、ムラ等も、ディスプレイ前面で外観不良となる。
近赤外線吸収フィルムは、高温、高湿度下に長期間放置されても、近赤外線の透過率、可視光の透過率が変化しないことが好ましい。高温、高湿度下の経時安定性が不良の場合には、ディスプレイの映像の色調が変化するばかりか、近赤外線リモコンを用いた電子機器の誤動作を防止する効果が不十分となる場合がある。また、可視光領域の透過率が低下する場合には、輝度が低下する。
高温、高湿度下の近赤外線吸収層の経時安定性を良好にするためには、例えば、(a)フタロシアニンやイミド酸イオンを対イオンとするジインモニウム塩化合物などの耐熱性に優れる近赤外線吸収色素を選択する、(b)ガラス転移温度が85℃以上の樹脂を選択する、(c)ジインモニウム塩化合物やシアニン化合物のように対イオンを有する近赤外線吸収色素では、同種のイオン基を有する化合物を塗布液中に添加し、対イオンのイオン交換を抑制する、(d)近赤外線吸収層を塗布法により製造する際に、塗布液で使用する有機溶媒の種類、塗布層の厚み、乾燥条件等を制御して、近赤外線吸収層中の残留溶媒量を低減すること、あるいは樹脂中の色素の含有量を調整する、などの方法を少なくとも1つ採用することが好ましい。
なお、近赤外線吸収層中に残留する有機溶媒の量は、少なければ少ないほどよいが、3質量%以下が好ましい。残留溶媒量が3質量%以下の場合、実質的に経時安定性に差がみられなくなる。しかしながら、さらに残留溶媒量を低下させるために、例えば、乾燥を過酷な条件で行うと、基材の平面性が不良になる等の弊害が発生する。一方、減圧乾燥のような方法では生産性が低下する。
本発明の目的とする、リワーク性が良好な近赤外線吸収フィルムを得るためには、近赤外線吸収色素、樹脂から主に構成される近赤外線吸収層中において界、面活性剤およびポリオキシアルキレン化合物を含有させることが必要であり、さらにポリオキシアルキレン化合物を、近赤外線吸収層中に0.05質量%以上、5.0質量%以下の範囲で含有させることが重要である。ポリオキシアルキレン化合物の含有量が少ないと、リワーク性を良好にする効果が小さくなる。一方、ポリオキシアルキレン化合物の含有量が多い場合には、近赤外線吸収フィルムの耐久性が悪化する。
本発明において、近赤外線吸収層を設けていない面に、他の機能を付与しても構わない。具体的には、帯電防止層、易接着層、易滑層、反射防止層、電磁波防止層が挙げられる。反射防止層、電磁波防止層を設けることで、光学フィルターの部材を減らすことができ、安価にできるだけでなく、光の干渉する面が減少してプラズマディスプレイの画質を向上させることができる。
帯電防止層は、近赤外線吸収層の形成時、後工程でのゴミの付着を低減する機能を付与することができ、微小欠点の低減や製造時の歩留まり向上することが可能となる。また、易接着層は、粘着剤で他の部材と貼り合せた際の密着力を向上させる機能を付与することができ、易滑層はハンドリング性を向上させる機能を付与することができる。
しかしながら、帯電防止剤がイオン化合物で、かつ近赤外線吸収色素もイオン化合物の場合、近赤外線吸収フィルムの製造時にロール状に巻き取る際に、近赤外線吸収層と帯電防止層が接触し、その界面付近で近赤外線吸収色素が劣化することがある。
例えば、ジインモニウム塩化合物やシアニンのように、対イオンを有する近赤外線吸収色素を用い、帯電防止層中の帯電防止剤として、アニオン系やカチオン系の界面活性剤や、4級アンモニウム塩のカチオン系樹脂のようなイオン化合物を用いる場合、近赤外線吸収色素の対イオンが帯電防止剤のイオンと交換し、近赤外線吸収色素が変質することがある。
したがって、近赤外線吸収色素として、ジインモニウム塩化合物やシアニンのように、イオン結合を有する近赤外線吸収色素を用いる場合には、帯電防止剤として、π共役系導電性高分子を用いることが好ましい。
π共役系導電性高分子は、近赤外線吸収色素、特に、ジインモニウム塩の劣化を促進しないため、近赤外線吸収色素の経時安定性の点で好ましい。π共役系導電性高分子としては、アニリン又はその誘導体、ピロール又はその誘導体、イソチアナフテン又はその誘導体、アセチレン又はその誘導体、チオフェン又はその誘導体等を主たる繰り返し単位とする高分子が挙げられる。その中でも、着色が少ないチオフェン又はその誘導体を繰り返し単位とするポリチオフェン又はその誘導体が好ましい。
本発明において、ディスプレイから放出される有害電磁波を遮断する目的で、赤外線吸収層と同一面、ないしは、反対面に導電層を直接或いは粘着剤を介して設けてもよい。該導電層は金属メッシュと導電薄膜の何れを用いても良く、金属メッシュを用いた場合、開口率が50%以上の金属メッシュ導電層を有している必要がある。金属メッシュの開口率が低ければ電磁波シ−ルド性は良好となるが光線透過率が低下する問題が有る、このため、良好な光線透過率を得るためには開口率が50%以上は必要となる。本発明に用いられる金属メッシュとしては、電気電導性の高い金属箔にエッチング処理を施して、メッシュ状にしたものや、金属繊維を使った織物状のメッシュや、高分子繊維の表面に金属をメッキ等の手法を用いて付着させた繊維を用いてもよい。該電磁波吸収層に使われる金属は、電気電導性が高く、安定性が良ければいかなる金属でも良く特に限定されるものではないが、加工性、コストなどの観点より、好ましくは、銅、ニッケル、タングステンなどがよい。
また、導電薄膜を用いた場合、透明導電層はいかなる導電膜でもよいが、好ましくは、金属酸化物であることが好ましい。これによって、より高い可視光線透過率を得ることが出来る。また、本発明において透明導電層の導電率を向上させたい場合は、金属酸化物/金属/金属酸化物の3層以上の繰り返し構造であることが好ましい。金属を多層化することで、高い可視光線透過率を維持しながら、電導性を得ることができる。本発明に用いられる。金属酸化物は、電導性と可視光線透過性が有していれば如何なる金属酸化物でもよい。一例として、酸化錫、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ビスマスなどがある。以上は一例であり、特に限定されるものではない。また、本発明に用いられる金属層は、導電性の観点より、金、銀及びそれらを含む化合物が好ましい。
更に、導電層を多層化した場合、例えばくり返し層数が3層の場合、銀層の厚さは50〜200Åが好ましく、より好ましくは50〜100Åである。これよりも膜厚が厚い場合は、光線透過率が低下し、薄い場合は抵抗値が上がってしまう。また、金属酸化物層の厚さとしては、好ましくは、100〜1000Å、より好ましくは、100〜500Åである。この厚さより厚い場合には着色して色調が変ってしまい、薄い場合には抵抗値が上がってしまう。さらに、3層以上多層化する場合、例えば、金属酸化物/銀/金属酸化物/銀/金属酸化物のように5層とした場合、中心の金属酸化物の厚さは、それ以外の金属酸化物層の厚さよりも厚いことが好ましい。このようにすることで、多層膜全体の光線透過率が向上する。
反射防止層とは、表面反射を防ぎ、蛍光灯等の映り込みを防止する機能を有する。該反射防止機能を付与する方法は限定させず任意に選択できるが、例えば、基材の表面に屈折率の異なる層を積層し、該層の界面における反射光の干渉を利用して低減する方法、表面に凹凸を付与する方法が挙げられる。該方法の反射防止膜を形成する方法として、大きくは下記の2方法が挙げられる。その一つの方法は、基材の表面に、蒸着法やスパッタリング法により反射防止膜を形成する方法であり、他の一つの方法は、基材の表面に、反射防止用塗布液を塗布し乾燥させることにより反射防止膜を形成する方法である。一般論としては、反射防止特性では前者が、経済性では後者が優れていると言われているが、本発明においては、どちらの方法を用いても構わない。
(光学フィルター)
本発明において光学フィルターとは、プラズマディスプレイの前面に設置されるもので、ディプレイから発生する近赤外線、電磁波をカットすると共に、ディスプレイの視認性向上のための反射防止、色再現性の向上等の機能を有し、更には、ディスプレイの保護の機能を有する。
光学フィルターは、反射防止フィルム、ガラス、電磁波防止フィルム、近赤外線吸収フィルムを粘着剤で貼り合せた構成が一例として挙げられ、粘着剤に紫外線吸収能、色補正機能、色再現性の向上機能を付与することが好ましい。また、フィルムの同一面あるいは反対面に別々の機能を付与した複合フィルムを用いることで、部材数の低減、計量化等で好ましい。更には、軽量化、高画質化のために、ガラスを用いず、直接プラズマディスプレイのパネルに貼り合わせる直貼りフィルターも好ましい。
これらの光学フィルターの加工には常に貼り合せの工程が伴うが、貼り合せ時に異物や気泡が入り込んだ際、あるいは近赤外線フィルムに何らかの欠陥があった際に光学フィルターを剥がす必要がある。本発明の近赤外線吸収フィルムを用いることでリワーク性が向上し、ガラス部材に粘着剤が残ることが無くなるため、高価なガラス部材の再利用ができ、加工コストを削減できる。さらには、光学フィルターの欠陥を自動で検知し、ガラス部材から近赤外線吸収フィルムを機械で剥がすことで、加工の速度を著しく向上させることができる。
次に本発明の実施例及び比較例を示す。また、本発明で使用した特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。
<塗布液粘度>
塗布液を20℃に調節し、B型粘度計(東京計器製、BL)を用いて、ローター回転数60rpmにて測定した。
<透過率>
分光光度計(日立U−3500型)を用い、波長1100〜200nmの範囲で、近赤外線吸収層側に光が照射するようにして、室内の空気を透過率の参照として測定した。
<色調>
色差計(日本電色工業製、ZE−2000)を用い、近赤外線吸収層側に光が照射するようにして、D65光源、10度の視野角で測定した。
<耐湿熱性>
温度60℃、湿度95%雰囲気中で500時間放置した後の色調を測定し、処理前後の色調の変化量Δx、Δyを求めた。
<耐熱性>
温度90℃の雰囲気中で500時間放置した後の色調を測定し、処理前後の色調の変化量Δx、Δyを求めた。
<リワーク性>
フィルムを幅30mm、長さ150mmにカットし、離型フィルムでラミネートされた粘着シート(綜研化学製SK−2057)を25mm幅にカットした物の片面の離型フィルムを剥がしながら気泡が入らないようにゴムロールで軽く押えながら貼り付けた。さらにもう片面の離型フィルムを剥がしながらガラス板(工業用青ガラス;50mmx150mmx2mm)に気泡が入らないようにゴムロールで軽く押えながら貼り付けた。この貼り付けたフィルムの上に、重さ5kgのローラーで10往復させて圧着させた後、さらに50℃に設定したオーブン内で30分加熱し、室温まで冷却することで粘着剤を十分に定着させた。
さらに、端から300mm/分と150mm/分の2つの速度で、フィルムを90度の角度に引き剥がした際に、ガラス上に残留する粘着剤の面積を、以下の3段階で評価した。
○: 残留粘着剤が全く無い
△: 残留粘着剤が貼り付けた面積の30%未満
×: 残留粘着剤が貼り付けた面積の30%以上
<柔軟性>
フィルムを幅10mmにカットし、近赤外線吸収層を外側にして金属棒に巻きつけて、近赤外線吸収層のひび割れの有無を確認した。金属棒は直径が1〜20mmで1mm間隔の20本を用い、ひび割れが発生しない最小の直径を柔軟性の評価値とした。
実施例1
1.透明基材の製造
(1)紫外線吸収剤含有マスターバッチの調整
乾燥させた紫外線吸収剤(サイテック社製、CYASORB UV−3638;2,2′−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン))10質量部、粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(東洋紡績製、ME553)90質量部を混合し、混練押出機を用い、マスターバッチを作製した。この時の押し出し温度は285℃であり、押し出し時間は7分であった。
(2)易接着層形成用の塗布液の調整
易接着層形成用の塗布液を以下の方法に従って調製した。ジメチルテレフタレート95質量部、ジメチルイソフタレート95質量部、エチレングリコール35質量部、ネオペンチルグリコール145質量部、酢酸亜鉛0.1質量部および三酸化アンチモン0.1質量部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6.0質量部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
得られたポリエステル樹脂の30質量%水分散液を6.7質量部、重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタン樹脂の20質量%水溶液(第一工業製薬製、エラストロンH−3)を40質量部、エラストロン用触媒(Cat64)を0.5質量部、水を47.8質量部およびイソプロピルアルコールを5質量部、それぞれ混合し、さらにアニオン性界面活性剤を塗布液に対し1質量%、コロイダルシリカ粒子(日産化学工業社製、スノーテックスOL)を塗布液の固形分に対し5質量%添加し塗布液とした。
(3)基材フィルムの製膜
固有粘度が0.62dl/gで、粒子を含有しないPET樹脂のペレット(東洋紡績社製、ME553)90質量部と前記の紫外線吸収剤含有マスターバッチ10質量部とを135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機に供給した。押出機熔融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの樹脂温度は280℃、その後のポリマー管では275℃とし、口金よりシート状にして押し出した。これらのポリマーは、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度:10μm以上の粒子を95%カット)を用いて濾過した。また、フラットダイは樹脂温度が275℃になるようにした。
押し出した樹脂を、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラム(ロール径400φ、Ra0.1μm以下)に巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時の吐出量は48kg/hrであり、得られた未延伸シートは幅300mm、厚さ1400μmであった。次に、上記キャストフィルムを加熱されたロール群および赤外線ヒーターを用いて100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向(走行方向)に3.5倍延伸して一軸配向フィルムを得た。該フィルム製造時に用いる全ロールに関し、ロールの表面粗度をRaで0.1μm以下に管理し、縦延伸工程の予熱入口と冷却ロールにロールクリーナーを設置した。縦延伸工程のロール径は150mmであり、サクションロール、静電密着、パートニップの密着装置を採用してフィルムをロールへ密着させた。その後、易接着層形成用の塗布液を濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)25μmのフェルト型ポリプロピレン製濾材で精密濾過し、リバースロール法で両面に塗布、乾燥した。塗布後、引き続いて、フィルムの端部をクリップで把持して130℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後幅方向に4.0倍に延伸し230℃にて5秒間熱処理し、この熱処理工程中で幅方向に3%の弛緩処理し、基材フィルム(B)を得た。該フィルム厚さ100μmであり、この時の易接着層のコート量は0.01g/mであった。得られたフィルムの波長380nmの透過率は4%で優れた紫外線吸収性を有していた。また、全光線透過率が91%、ヘイズが0.6%で透明性に優れていた。
2.近赤外線吸収層の積層
下記の塗布液A(粘度が23cps)を上記の中間塗布層上に乾燥後に950nmの透過率が4.3%になるように直径60mmの斜線グラビアを用いてリバースで塗工し、40℃で5m/秒の熱風で20秒間、150℃で20m/秒の熱風で20秒間、さらに、90℃で20m/秒の熱風で10秒間通過させて乾燥し、近赤外線吸収フィルムを作成した。
(近赤外線吸収層用の塗布液A)
塗布液の材料を下記の質量比で混合し、30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Aを調整した。
・トルエン 23.114質量%
・メチルエチルケトン 23.114質量%
・アクリル系樹脂 52.531質量%
(総研化学製、GS−1030、固形分濃度:30質量%、Tg:115℃)
・ジインモニウム塩化合物(色素A) 0.935質量%
(日本カーリット製、CIR1085、対イオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)
・シアニン系色素 0.077質量%
(旭電化工業製、TZ−123)
・シリコーン系界面活性剤 0.059質量%
(ダウコーニング製、ペインタッド57、HLB:6.7)
・ポリオキシアルキレン化合物C 0.170質量%
(ポリプロピレングリコール、Mn:500)
近赤外線吸収層中の近赤外線吸収色素(ジインモニウム塩化合物)の種類、ポリオキシアルキレン化合物の種類と含有量を表1に示す。また、得られた近赤外線吸収フィルムの物性を表2および表3に示す。近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高いフィルムが得られた。また、外観及び耐久性に優れ、かつ再加工性の指標であるリワーク性も良好であった。
実施例2
実施例1において、ポリオキシアルキレン化合物の種類を下記の化合物Dに変更したこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
・ポリオキシアルキレン化合物D(ポリプロピレングリコール、Mn:900)
近赤外線吸収層中の近赤外線吸収色素(ジインモニウム塩化合物)の種類、ポリオキシアルキレン化合物の種類と含有量を表1に示す。また、得られた近赤外線吸収フィルムの物性を表2および表3に示す。近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高いフィルムが得られた。また、外観及び耐久性に優れ、かつ再加工性の指標であるリワーク性も良好であった。
実施例3
実施例1において、ポリオキシアルキレン化合物の種類を下記の化合物Eに変更したこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
・ポリオキシアルキレン化合物E(ポリエチレングリコール、Mn:400)
近赤外線吸収層中の近赤外線吸収色素(ジインモニウム塩化合物)の種類、ポリオキシアルキレン化合物の種類と含有量を表1に示す。また、得られた近赤外線吸収フィルムの物性を表2および表3に示す。近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高いフィルムが得られた。また、外観及び耐久性に優れ、かつ再加工性の指標であるリワーク性も良好であった。
実施例4
実施例1において、ポリオキシアルキレン化合物の種類を下記の化合物Fに変更したこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
・ポリオキシアルキレン化合物F(ポリ1,3−ブチレングリコール、Mn:600)
近赤外線吸収層中の近赤外線吸収色素(ジインモニウム塩化合物)の種類、ポリオキシアルキレン化合物の種類と含有量を表1に示す。また、得られた近赤外線吸収フィルムの物性を表2および表3に示す。近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高いフィルムが得られた。また、外観及び耐久性に優れ、かつ再加工性の指標であるリワーク性も良好であった。
比較例1
下記の塗布液Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
(近赤外線吸収層用の塗布液B)
塗布液の材料を下記の質量比で混合し、30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Bを調整した。
・トルエン 22.915質量%
・メチルエチルケトン 22.916質量%
・アクリル系樹脂 53.098質量%
(総研化学製、GS−1030、固形分濃度:30質量%、Tg:115℃)
・ジインモニウム塩化合物(色素A) 0.935質量%
(日本カーリット製、CIR1085、対イオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)
・シアニン系色素 0.077質量%
(旭電化工業製、TZ−123)
・シリコーン系界面活性剤 0.059質量%
(ダウコーニング製、ペインタッド57、HLB:6.7)
近赤外線吸収層中の近赤外線吸収色素(ジインモニウム塩化合物)の種類を表1に示す。また、得られた近赤外線吸収フィルムの物性を表2および表3に示す。近赤外領域の吸収が強いフィルムを得られた。可視光領域での透過率は実施例1〜4と同等で、外観および耐久性に優れたフィルムが得られたが、再加工性の指標であるリワーク性が不良となった。
比較例2
下記の塗布液Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
(近赤外線吸収層用の塗布液C)
塗布液の材料を下記の質量比で混合し、30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Bを調整した。
・トルエン 22.846質量%
・メチルエチルケトン 22.847質量%
・アクリル系樹脂 53.295質量%
(総研化学製、GS−1030、固形分濃度:30質量%、Tg:115℃)
・ジインモニウム塩化合物(色素A) 0.935質量%
(日本カーリット製、CIR1085、対イオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)
・シアニン系色素 0.077質量%
(旭電化工業製、TZ−123)
近赤外線吸収層中の近赤外線吸収色素(ジインモニウム塩化合物)の種類を表1に示す。また、得られた近赤外線吸収フィルムの物性を表2および表3に示す。近赤外領域の吸収が強いフィルムを得られた。可視光領域での透過率は実施例1〜4と同等で、耐久性および再加工性の指標であるリワーク性に優れたフィルムが得られたが、外観が不良となった。
比較例3
下記の塗布液Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
(近赤外線吸収層用の塗布液D)
塗布液の材料を下記の質量比で混合し、30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Bを調整した。
・トルエン 23.045質量%
・メチルエチルケトン 23.045質量%
・アクリル系樹脂 52.728質量%
(総研化学製、GS−1030、固形分濃度:30質量%、Tg:115℃)
・ジインモニウム塩化合物(色素A) 0.935質量%
(日本カーリット製、CIR1085、対イオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)
・シアニン系色素 0.077質量%
(旭電化工業製、TZ−123)
・ポリオキシアルキレン化合物C 0.170質量%
(ポリプロピレングリコール、Mn:500)
近赤外線吸収層中の近赤外線吸収色素(ジインモニウム塩化合物)の種類を表1に示す。また、得られた近赤外線吸収フィルムの物性を表2および表3に示す。近赤外領域の吸収が強いフィルムを得られた。可視光領域での透過率は実施例1〜4と同等で、耐久性および再加工性の指標であるリワーク性に優れたフィルムが得られたが、外観が不良となった。
実施例5
下記の塗布液Eを用いたこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
(近赤外線吸収層用の塗布液E)
塗布液の材料を下記の質量比で混合し、30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Aを調整した。
・トルエン 22.975質量%
・メチルエチルケトン 22.975質量%
・アクリル系樹脂 52.928質量%
(総研化学製、GS−1030、固形分濃度:30質量%、Tg:115℃)
・ジインモニウム塩化合物(色素A) 0.935質量%
(日本カーリット製、CIR1085、対イオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)
・シアニン系色素 0.077質量%
(旭電化工業製、TZ−123)
・シリコーン系界面活性剤 0.059質量%
(ダウコーニング製、ペインタッド57、HLB:6.7)
・ポリオキシアルキレン化合物C 0.051質量%
(ポリプロピレングリコール、Mn:500)
近赤外線吸収層中の近赤外線吸収色素(ジインモニウム塩化合物)の種類、ポリオキシアルキレン化合物の種類と含有量を表1に示す。また、得られた近赤外線吸収フィルムの物性を表2および表3に示す。近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高いフィルムが得られた。また、外観及び耐久性に優れ、かつ再加工性の指標であるリワーク性も良好であった。
実施例6
下記の塗布液Fを用いたこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
(近赤外線吸収層用の塗布液F)
塗布液の材料を下記の質量比で混合し、30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Aを調整した。
・トルエン 23.709質量%
・メチルエチルケトン 23.709質量%
・アクリル系樹脂 50.831質量%
(総研化学製、GS−1030、固形分濃度:30質量%、Tg:115℃)
・ジインモニウム塩化合物(色素A) 0.935質量%
(日本カーリット製、CIR1085、対イオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)
・シアニン系色素 0.077質量%
(旭電化工業製、TZ−123)
・シリコーン系界面活性剤 0.059質量%
(ダウコーニング製、ペインタッド57、HLB:6.7)
・ポリオキシアルキレン化合物C 0.680質量%
(ポリプロピレングリコール Mn:500)
近赤外線吸収層中の近赤外線吸収色素(ジインモニウム塩化合物)の種類、ポリオキシアルキレン化合物の種類と含有量を表1に示す。また、得られた近赤外線吸収フィルムの物性を表2および表3に示す。近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高いフィルムが得られた。また、外観及び耐久性に優れ、かつ再加工性の指標であるリワーク性も良好であった。
比較例4
下記の塗布液Gを用いたこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
(近赤外線吸収層用の塗布液G)
塗布液の材料を下記の質量比で混合し、30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Aを調整した。
・トルエン 24.105質量%
・メチルエチルケトン 24.106質量%
・アクリル系樹脂 49.698質量%
(総研化学製、GS−1030、固形分濃度:30質量%、Tg:115℃)
・ジインモニウム塩化合物(色素A) 0.935質量%
(日本カーリット製、CIR1085、対イオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)
・シアニン系色素 0.077質量%
(旭電化工業製、TZ−123)
・シリコーン系界面活性剤 0.059質量%
(ダウコーニング製、ペインタッド57、HLB:6.7)
・ポリオキシアルキレン化合物C 1.020質量%
(ポリプロピレングリコール、Mn:500)
近赤外線吸収層中の近赤外線吸収色素(ジインモニウム塩化合物)の種類を表1に示す。また、得られた近赤外線吸収フィルムの物性を表2および表3に示す。近赤外領域の吸収が強いフィルムを得られた。可視光領域での透過率は実施例1〜4と同等で、外観および再加工性の指標であるリワーク性に優れたフィルムが得られたが、耐久性が不良となった。
実施例7
実施例1において、ジインモニウム塩化合物に下記の化合物Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
・ジインモニウム塩化合物(色素B)
(日本カーリット製、CIR1081、対イオン:六フッ化アンチモン)
近赤外線吸収層中の近赤外線吸収色素(ジインモニウム塩化合物)の種類、ポリオキシアルキレン化合物の種類と含有量を表1に示す。また、得られた近赤外線吸収フィルムの物性を表2および表3に示す。近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高いフィルムが得られた。また、外観及び耐久性に優れ、かつ再加工性の指標であるリワーク性も良好であった。
比較例5
比較例1において、ジインモニウム塩化合物に下記の化合物Bを用いたこと以外は比較例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
・ジインモニウム塩化合物(色素B)
(日本カーリット製、CIR1081、対イオン:六フッ化アンチモン)
近赤外線吸収層中の近赤外線吸収色素(ジインモニウム塩化合物)の種類を表1に示す。また、得られた近赤外線吸収フィルムの物性を表2および表3に示す。近赤外領域の吸収が強いフィルムを得られた。可視光領域での透過率は実施例1〜4と同等で、外観および耐久性に優れたフィルムが得られたが、再加工性の指標であるリワーク性が不良となった。
実施例8
下記の塗布液Hを用いたこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
(近赤外線吸収層用の塗布液H)
下記の質量比でトルエン、シクロペンタノン、樹脂を混合し、加温下で攪拌して樹脂を溶解した後、色素、界面活性剤およびポリオキシアルキレン化合物を添加して30分以上攪拌した。次いで、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Cを調製した。
・トルエン 41.500質量%
・シクロペンタノン 41.500質量%
・フルオレン骨格を有する共重合ポリエステル樹脂 15.759質量%
(カネボウ社製、O−PET、Tg:150℃)
・ジインモニウム塩化合物(色素A) 0.935質量%
(日本カーリット製、CIR1085、対イオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)
・シアニン系色素 0.077質量%
(旭電化工業製、TZ−123)
・シリコーン系界面活性剤 0.059質量%
(ダウコーニング製、ペインタッド57、HLB:6.7)
・ポリオキシアルキレン化合物C 0.170質量%
(ポリプロピレングリコール、Mn:500)
近赤外線吸収層中の近赤外線吸収色素(ジインモニウム塩化合物)の種類、ポリオキシアルキレン化合物の種類と含有量を表1に示す。また、得られた近赤外線吸収フィルムの物性を表2および表3に示す。近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高いフィルムが得られた。また、外観及び耐久性に優れ、かつ再加工性の指標であるリワーク性も良好であった。
実施例9
透明基材として、反射フィルム(日本油脂製、リアルック7700S)を用い、反射防止層とは反対面に近赤外線吸収層を積層したこと以外は、実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
近赤外線吸収層中の近赤外線吸収色素(ジインモニウム塩化合物)の種類、ポリオキシアルキレン化合物の種類と含有量を表1に示す。また、得られた近赤外線吸収フィルムの物性を表2および表3に示す。近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高いフィルムが得られた。また、外観及び耐久性に優れ、かつ再加工性の指標であるリワーク性も良好であった。
Figure 2008250057
なお、表中で用いた略語の意味は下記のとおりである。
(色素A)
ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸を対イオンとする、N,N,N′,N′−テトラキス(p−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジインモニウム塩
(色素B)
六フッ化アンチモンを対イオンとする、N,N,N′,N′−テトラキス(p−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジインモニウム塩
(ポリオキシアルキレン化合物C)
ポリプロピレングリコール、Mn:500
(ポリオキシアルキレン化合物D)
ポリプロピレングリコール、Mn:900
(ポリオキシアルキレン化合物E)
ポリエチレングリコール、Mn:400
(ポリオキシアルキレン化合物E)
ポリ1,3-ブチレンングリコール、Mn:600
(樹脂G)
アクリル系樹脂、Tg:115℃
(樹脂H)
共重合ポリエステル樹脂、Tg:150℃
Figure 2008250057
Figure 2008250057
本発明の近赤外線吸収フィルムを近赤外線吸収フィルターとしてプラズマディプレイに設置した場合、従来の近赤外線吸収フィルターと同様に、ディスプレイから放出される不要な近赤外線を吸収し、精密機器の誤動作を防ぐことができるだけでなく、外観に優れ、さらには加工時における部材の再利用性を大幅に向上することができるため、プラズマディスプレイの高画質化に寄与することができるとともに、ディスプレイの加工コストを削減できると同時に省資源につながるという利点があり、産業界に大きく寄与することが出来る。

Claims (6)

  1. 透明基材上に、近赤外線吸収色素、樹脂、界面活性剤、及びポリオキシアルキレン化合物を含む近赤外線吸収層を設けた近赤外線吸収フィルムであって、近赤外線吸収層中にポリオキシアルキレン化合物が0.05質量%以上、5.0質量%以下の範囲で含有されていることを特徴とする近赤外線吸収フィルム。
  2. ポリオキシアルキレン化合物の数平均分子量Mnが200以上、2000以下であることを特徴とする請求項1記載の近赤外線吸収フィルム。
  3. 近赤外線吸収層を構成する樹脂が、アクリル系樹脂または共重合ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線吸収フィルム。
  4. 近赤外線吸収色素がジインモニウム塩化合物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の近赤外線吸収フィルム。
  5. 界面活性剤のHLBが2以上12以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の近赤外線吸収フィルム。
  6. 界面活性剤がシリコーン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の近赤外線吸収フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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