JP2007256758A - 近赤外線吸収フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】近赤外線領域に大きく且つ巾の広い吸収を有し、さらに可視領域の光透過性が高く、且つ可視領域に特定波長の大きな吸収がなく、加工性及び生産性が良好であり、特に近赤外線吸収層が柔軟でクラックを生じにくく、高温、高湿下で長時間放置しても分光特性が安定な近赤外線吸収フィルムを提供する。
【解決手段】近赤外線吸収色素をバインダー樹脂に分散させた近赤外線吸収層を基材フィルム上へ積層してなる近赤外線吸収フィルムであって、前記近赤外線吸収色素は少なくともジイモニウム塩系化合物を含み、前記バインダー樹脂は重量平均分子量が50,000以上で、かつ異なるガラス転移温度を有する2種類以上の樹脂を含むことを特徴とする近赤外線吸収フィルム。
【解決手段】近赤外線吸収色素をバインダー樹脂に分散させた近赤外線吸収層を基材フィルム上へ積層してなる近赤外線吸収フィルムであって、前記近赤外線吸収色素は少なくともジイモニウム塩系化合物を含み、前記バインダー樹脂は重量平均分子量が50,000以上で、かつ異なるガラス転移温度を有する2種類以上の樹脂を含むことを特徴とする近赤外線吸収フィルム。
Description
本発明は、近赤外線領域に大きく且つ巾の広い吸収を有し、さらに可視領域の光透過性が高く、且つ可視領域に特定波長の大きな吸収がなく、加工性及び生産性が良好な近赤外線吸収フィルムに関するもので、特に耐屈曲性に優れ、かつ高温、高湿下で長時間放置しても分光特性が安定な近赤外線吸収フィルムに関するものである。
従来、熱線吸収フィルターや、ビデオカメラ視感度補正用フィルター等の近赤外線吸収フィルターには次のようなものが使われてきた。
(1)燐酸系ガラスに、銅や鉄などの金属イオンを含有したフィルター(例えば、特許文献1、2を参照)。
(2)基板上に屈折率の異なる層を積層し、透過光を干渉させることで特定の波長を透過させる干渉フィルター(例えば、特許文献3、4を参照)。
(3)共重合体に銅イオンを含有するアクリル系樹脂フィルター(例えば、特許文献5を参照)。
(4)バインダー樹脂に色素を分散した構成のフィルター(例えば、特許文献6、7、8を参照)。
特開昭60−235740号公報
特開昭62−153144号公報
特開昭55−21091号公報
特開昭59−184745号公報
特開平6−324213号公報
特開昭57−21458号公報
特開昭57−198413号公報
特開昭60−43605号公報
(1)燐酸系ガラスに、銅や鉄などの金属イオンを含有したフィルター(例えば、特許文献1、2を参照)。
(2)基板上に屈折率の異なる層を積層し、透過光を干渉させることで特定の波長を透過させる干渉フィルター(例えば、特許文献3、4を参照)。
(3)共重合体に銅イオンを含有するアクリル系樹脂フィルター(例えば、特許文献5を参照)。
(4)バインダー樹脂に色素を分散した構成のフィルター(例えば、特許文献6、7、8を参照)。
また、近赤外線吸収性フィルムに耐久性を付与し、経時での劣化を防ぐ方法として、(5)近赤外線色素を含むコート層の残留溶剤量を規定した近赤外線吸収フィルム、が開示されている(例えば、特許文献9を参照)。
特開2000−227515号公報
また、自然環境における温度差により塗膜にクラックが発生することを防ぐために、(6)近赤外線吸収性色素とフッソ系重合体とを含む近赤外線吸収性組成物を用い、塗膜に柔軟性をもたせる方法、が開示されている(例えば、特許文献10を参照)。
特開2004−115718号公報
しかしながら、上記の従来使用されてきた近赤外線吸収フィルターには、それぞれ以下に示すような問題点がある。
前記の(1)の方法では近赤外領域に急峻な吸収が有り、近赤外線遮断率は非常に良好であるが、ガラスであるために加工性に問題があり、光学特性の設計の自由度も狭い。また、可視領域の赤色の一部も大きく吸収してしまい、透過色は青色に見える。ディスプレイ用途では色バランスを重視され、このような場合、使用するのに困難である。
前記の(2)の方法の場合、光学特性は自由に設計でき、ほぼ設計と同等のフィルムを製造することが可能である。しかしながら、屈折率差のある層の積層枚数を非常に多くする必要があり、製造コストが高くなるなどの欠点がある。また、大面積を必要とする場合、全面積にわたって高い精度の膜厚の均一性が要求されるため、生産性に問題がある。
前記の(3)の方法の場合、前記(1)の方法で問題であった加工性は改善される。しかし、前記(1)の方法と同様に、光学設計の自由度が低い。また、可視領域の赤色の一部も大きく吸収してしまい、青く見えてしまう問題は、前記(1)の方法と変わらない。さらに、銅イオンの吸収が小さく、アクリル系樹脂に含有できる銅イオン量も限られているため、アクリル系樹脂フィルムの厚みを厚くしなければならないという問題点もある。
前記(4)の方法は、加工性、生産性は良好で、安価で製造でき、光学設計の自由度も比較的大きい。近赤外線吸収色素としては、フタロシアニン系、チオ−ル金属錯体系、アゾ化合物、ポリメチン系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、キノン系、ジイモニウム塩系など多くの色素が用いられている。しかし、それぞれ単独では、近赤外域の吸収が不十分であったり、吸収領域が狭かったりして、近赤外域の遮断率が不十分である。そのため、複数の色素を混合して用いることが行われているが、複数の色素を含むフィルムを高温、高湿下に長時間放置すると、色素が変性し、近赤外線領域や可視領域の透過率が低下してしまうものが多い。また、高温、高湿下に長時間放置して変性しない色素の場合、可視域の透過率が小さい場合や、可視域に大きな特定の吸収があり着色する場合がある。
また、前記(5)の方法では、近赤外線吸収層の柔軟性が低下する場合がある。近赤外線吸収層の柔軟性が低いと、屈曲により近赤外線吸収層に応力集中がおきる製造工程や後加工工程において、近赤外線吸収層にクラックが発生し、白化などの外観不良が発生するという問題がある。
また、前記(6)の方法では、高価なフッソ系重合体を用いるため、コストが高くなる。また、外力による塗膜の変形における応力に起因するクラックの発生については記載されていない。
近年、薄型大画面ディスプレイとして、液晶ディスプレイとともにプラズマディスプレイがテレビ用として普及し始めている。プラズマディスプレイは、原理上、内部のモジュールから近赤外線が放出され、これが近赤外線リモコンを使う電子機器等の誤動作を起こすため、近赤外線吸収フィルターをプラズマディスプレイの前面に設置することが必要である。しかしながら、従来使用されてきた近赤外線吸収材料では、上記の理由で満足なものが提供されていなかった。
本発明の目的は、近赤外線領域に大きく且つ巾の広い吸収を有し、さらに可視領域の光透過性が高く、且つ可視領域に特定波長の大きな吸収がなく、加工性及び生産性が良好であり、特に近赤外線吸収層が柔軟でクラックを生じにくく、高温、高湿下で長時間放置しても分光特性が安定な近赤外線吸収フィルムを提供することにある。
上記の課題を解決することができた、本発明の近赤外線吸収フィルムとは以下の構成からなる。なお、本発明でいう「フィルム」は所謂「シート」も含む概念である。この他、本発明の近赤外線吸収フィルムを用いたプラズマディスプレイ用前面フィルターも、本発明に包含される。
即ち、本発明の第1の発明は、近赤外線吸収色素をバインダー樹脂に分散させた近赤外線吸収層を基材フィルム上へ積層してなる近赤外線吸収フィルムであって、前記近赤外線吸収色素は少なくとも下記一般式(1)で表されるジイモニウム塩系化合物を含み、前記バインダー樹脂は重量平均分子量が50,000以上で、かつ異なるガラス転移温度を有する2種類以上の樹脂を含むことを特徴とする近赤外線吸収フィルムである。
(式中、R1〜R8は、水素原子、アルキル基、アリ−ル基、アルケニル基、アラルキル基、アルキニル基を表わし、それぞれ同じであっても、異なっていても良い。R9〜R12は、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシ基を表わし、それぞれ同じであっても、異なっていても良い。R1〜R12で置換基を結合できるものは置換基を有しても良い。X- は陰イオンを表わす。)
第2の発明は、 バインダー樹脂が、ガラス転移温度が0℃以上85℃未満の樹脂とガラス転移温度が85℃以上160℃未満の樹脂を含む混合物であり、ガラス転移温度の最も高い樹脂と最も小さい樹脂のガラス転移温度の差が20℃以上180℃以下であることを特徴とする第1の発明に記載の近赤外線吸収フィルムである。
第3の発明は、ガラス転移温度が0℃以上85℃未満の樹脂の重量平均分子量が50,000以上であり、ガラス転移温度が85℃以上160℃以下の樹脂の重量平均分子量が50,000未満であることを特徴とする第2の発明に記載の近赤外線吸収フィルムである。
第4の発明は、ガラス転移温度が0℃以上85℃未満の樹脂をバインダー樹脂に対して10質量%以上50質量%未満含有し、ガラス転移温度が85℃以上160℃以下の樹脂をバインダー樹脂に対して50質量%以上90質量%以下含有することを特徴とする第2または3の発明に記載の近赤外線吸収フィルムである。
第5の発明は、バインダー樹脂がアクリル系樹脂を主成分とすることを特徴とする第1〜4の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収フィルムである。
第6の発明は、アクリル系樹脂が、2−ナフチルアクリレート、4−シアノフェニルアクリレート、4−シアノ−3−チアブチルアクリレート、メチルメタアクリレート、イソプロピルメタアクリレート、tert−ブチルメタアクリレート、フェニルメタアクリレート、2−シアノエチルメタアクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタアクリレート、イソボルニルメタアクリレートから選択される(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体または共重合体であり、これらを単独または2種類以上含むことを特徴とする第5の発明に記載の近赤外線吸収フィルムである。
本発明の近赤外線吸収フィルムは、近赤外域に大きく且つ幅の広い吸収を持ち、さらに、可視領域の光透過性が高く且つ可視領域に特定波長の大きな吸収を持たないだけでなく、耐屈曲性に優れているため、加工性及び生産性が良好であり、さらに、環境安定性に優れ高温高湿下でも長時間の使用に耐えうる利点がある。
本発明の着眼点は、近赤外線吸収層に用いるバインダー樹脂として、重量平均分子量とガラス転移温度が異なる2種類以上の樹脂を選択使用することが、近赤外線吸収層の柔軟性と耐久性に大きく関係することを見出した点にある。以下、本発明の近赤外線吸収フィルムに用いた材料、構成、製造方法に関し、詳しく説明する。
(近赤外線吸収フィルム)
本発明の近赤外線吸収フィルムは、透明基材フィルム上に直接あるいは中間層を介して近赤外線吸収色素をバインダー樹脂に分散させた近赤外線吸収層を積層した層構成からなる。
本発明の近赤外線吸収フィルムは、透明基材フィルム上に直接あるいは中間層を介して近赤外線吸収色素をバインダー樹脂に分散させた近赤外線吸収層を積層した層構成からなる。
本発明において近赤外線吸収フィルムとは、波長800〜1200nmの近赤外線領域の透過率が低く、波長400nm〜800nmの可視光領域の透過率が高い、光選択吸収フィルムを意味する。
波長800〜1200nmの近赤外線領域の範囲の透過率は低いほど好ましく、具体的には、40%以下が好ましく、より好ましくは30%以下、特に好ましくは10%以下である。近赤外線領域の透過率が高い場合には、本発明の近赤外線吸収フィルムをプラズマディスプレイの前面フィルターとして使用した際に、プラズマディスプレイから放出される近赤外線の吸収が不足し、近赤外線リモコンを用いる電子機器の誤動作を防止することができない。また、ディスプレイ用フィルターとして使用する場合、波長400nm〜800nmの可視光領域の透過率は高ければ高いほどよく、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上である。可視光領域の透過率が低い場合には、ディスプレイに表示される画像の発色を妨げ、輝度の低い映像となる。
前記の透過率は、上述の近赤外線吸収色素の種類、単位面積あたりの赤外線吸収色素の存在量、塗布量を調整することにより制御することができる。
近赤外線吸収フィルムの色調は、Lab表色系で表現すると、a値が−10.0〜+10.0、b値が−10.0〜+10.0であることが好ましい。この範囲であれば、プラズマディスプレイの前面に設置した場合でもナチュラル色となり好ましい。
近赤外線吸収フィルムの色調の調整は、上述の近赤外線吸収色素の種類、単位面積あたりの近赤外線吸収色素の存在量、更には、他の色補正色素を併用することにより制御できる。なお、後述の近赤外線吸収フィルムの前面または裏面に着色された粘着層や他の機能層(反射防止層、電磁波吸収層、紫外線吸収層など)を積層する場合には、それらも含めてフィルター全体がナチュラル色になるように、近赤外線吸収フィルムの色調を調整することが好ましい。
また、近赤外線吸収フィルムは、高温、高湿度下に長期間放置されても、近赤外線の透過率、可視光の透過率が変化しないことが好ましい。高温、高湿度下の経時安定性が不良の場合には、ディスプレイの映像の色調が変化するばかりか、近赤外線リモコンを用いた電子機器の誤動作を防止する本発明の効果がなくなる場合がある。
本発明では、温度60℃で湿度95%の環境下に500時間保管された前後の波長420nmから1100nmの各波長における透過率の変化率の最大値が25%以下であることが好ましい。各波長における透過率の変化率とは、下記式で表わされる。
透過率の変化率(%)=|T0(WL)−T1(WL)|/T0(WL)×100
(但し、T0(WL)は波長WL(波長420〜1100nm)での初期の透過率、T1(WL)は波長WL(波長420〜1100nm)での温度60℃、湿度95%、500時間保管後の透過率を示す。
(但し、T0(WL)は波長WL(波長420〜1100nm)での初期の透過率、T1(WL)は波長WL(波長420〜1100nm)での温度60℃、湿度95%、500時間保管後の透過率を示す。
また、近赤外線吸収層は、直径300μm以上、より好ましくは100μmのサイズの欠点が存在しないような塗膜外観にすることが好ましい。直径300μm以上の欠点は、プラズマディスプレイの前面に設置し、画像を表示した際に輝点として検出される。特に、高精細なフルハイビジョン用ではこのような欠点は排除することが好ましい。直径が100μm以上300μm未満の欠点も、粘着層を介する貼り合せ工程で、レンズ効果により強調される場合があるため、できるだけ近赤外線吸収層に存在しないように制御しなければならない。また、塗工層の薄いスジ、ムラ等も、ディスプレイ前面では欠点となる。
塗工外観の改良に関しては、後で説明する。
塗工外観の改良に関しては、後で説明する。
(近赤外線吸収層)
近赤外線吸収層は、溶剤中に近赤外線吸収色素とバインダー樹脂を溶解または分散させた塗布液を、透明基材フィルムに直接あるいは中間層を介して塗布する、いわゆるコーティング法を用いて形成させる。
近赤外線吸収層は、溶剤中に近赤外線吸収色素とバインダー樹脂を溶解または分散させた塗布液を、透明基材フィルムに直接あるいは中間層を介して塗布する、いわゆるコーティング法を用いて形成させる。
近赤外線吸収層は、バインダー樹脂と近赤外線吸収色素を80質量%以上含有する。近赤外線吸収色素と樹脂の含有量の総和は、近赤外線吸収層に対し、85質量%以上が好ましく、特に好ましくは90質量%以上である。他の成分としては、残留溶剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、あるいは色補正色素、ネオンカット色素、キセノンカット色素などの機能性色素が例示される。
<近赤外線吸収色素>
近赤外線吸収層に含有させる近赤外線吸収色素としては、下記の一般式(1)で表わされるジイモニウム塩系化合物を含むことが好ましい。ジイモニウム塩系化合物は、近赤外域の吸収が大きく、吸収域も広く、可視域の透過率も高いという利点がある。
近赤外線吸収層に含有させる近赤外線吸収色素としては、下記の一般式(1)で表わされるジイモニウム塩系化合物を含むことが好ましい。ジイモニウム塩系化合物は、近赤外域の吸収が大きく、吸収域も広く、可視域の透過率も高いという利点がある。
前記の一般式(1)中のR1〜R8の具体例を下記に示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基などが例示される。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基などが例示される。
アリール基としては、フェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ジエチルアミノフェニル、ナフチル基などが例示される。
アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基などが例示される。アラルキル基としては、ベンジル基、p−フルオロベンジル基、p−クロロフェニル基、フェニルプロピル基、ナフチルエチル基などが例示される。
また、R9〜R12としては、水素、フッ素、塩素、臭素、ジエチルアミノ基、ジメチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
また、X-は、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸塩イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオンなどが挙げられる。ただし、本発明では上記で挙げたものに限定されるものではない。
上記の一般式(I)で示されるジイモニウム塩系化合物は、市販品を用いることができる。例えば、Kayasorb IRG−022、IRG−023、IRG−024、IRG−026(以上、日本化薬社製)、CIR−1080、CIR−1081、CIR−1083、CIR−1085、CIR−RL(以上、日本カーリット社製)などが好適である。
特に、高温、高湿下での劣化を抑制するためには、上記の中でもR1〜R8をiso−ブチル基、対イオンをビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオンとするジイモニウム塩系化合物(例えば、日本化薬社製IRG−026、日本カーリット社製CIR−RL)等を用いることが好ましい。
本発明の近赤外線吸収フィルムは、前記の一般式(1)で表わされるジイモニウム塩系化合物以外に、色目の調整を目的として、他の機能性色素、例えば、ネオンカット色素、キセノンカット色素を加えることもできる。また、近赤外域の吸収域の拡大を目的に、他の近赤外線吸収色素を併用することができる。他の近赤外線吸収色素としては、含フッ素フタロシアニン系化合物またはジチオ−ル金属錯体系化合物が好ましい。これらは、何れかまたは両方をジイモニウム塩系化合物と併用することができる。
含フッ素フタロシアニン系化合物としては、例えば、株式会社日本触媒から販売されている、Excolor IR−1、IR−2、IR−3、IR−4、TXEX−805K、TXEX−809K、TXEX−810K、TXEX−811K、TXEX−812Kなどが好適である。
また、ジチオ−ル金属錯体系化合物としては、下記の一般式(2)で表わされる化合物が好適である。
(式中、R13〜R16は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、アミノ基を表わし、それぞれ同じであっても、異なっていても良い。R13〜R16で置換基を結合できるものは置換基を有しても良い。)
前記の一般式(2)中のR13〜R16の具体例を下記に示す。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ジエチルアミノフェニル、ナフチル基が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、p−フルオロベンジル基、p−クロロフェニル基、フェニルプロピル基、ナフチルエチル基が挙げられる。
また、アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基が挙げられる。また、市販品として、三井化学株式会社から販売されているSIR−128、SIR−130、SIR−132、SIR−159なども好適である。なお、上記で例示した近赤外線吸収色素は代表例であり、これらに限定されるものではない。
<バインダー樹脂>
本発明において、近赤外線吸収色素は樹脂中に分散あるいは溶解した組成物として、塗布法により、透明基材フィルム上に積層される。樹脂としては、近赤外線吸収色素を均一に溶解あるいは分散できるものであれば特に限定されない。樹脂としては、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリカーボネートのホモポリマーまたはコポリマーが好適である。
本発明において、近赤外線吸収色素は樹脂中に分散あるいは溶解した組成物として、塗布法により、透明基材フィルム上に積層される。樹脂としては、近赤外線吸収色素を均一に溶解あるいは分散できるものであれば特に限定されない。樹脂としては、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリカーボネートのホモポリマーまたはコポリマーが好適である。
これらの樹脂を近赤外線吸収色素のバインダー樹脂として用いる場合、近赤外線吸収層の柔軟性が不足し、後加工工程で近赤外線吸収層にクラックが発生する場合がある。しかしながら、重量平均分子量が50,000以上で、かつ異なるガラス転移温度を有する2種類以上の樹脂を含むバインダー樹脂を用いることにより、近赤外線吸収層の柔軟性が向上し、後加工工程や経時で近赤外線吸収層にクラックが発生するのを抑制することができる。
この場合、バインダー樹脂の重量平均分子量が50000以上とすることで、近赤外線吸収層の強度が増し、耐屈曲性が向上する。さらに、ガラス転移温度が異なる2種類以上の樹脂を用いることで、機能分担することが可能となる。
すなわち、ガラス転移温度が比較的高い方の樹脂、好ましくはガラス転移温度がプラズマディスプレイの使用温度(85℃)以上の樹脂を用いることで、高温・高湿下で長期間保管した場合の近赤外線吸収色素、特にジイモニウム塩系化合物の劣化を防ぐことができる。
また、ガラス転移温度が比較的低い方の樹脂、好ましくはガラス転移温度がプラズマディスプレイの使用温度(85℃)未満の樹脂を用いることで、近赤外線吸収層に柔軟性を付与して、耐屈曲性を向上させることが可能となる。
ガラス転移温度が85℃未満の樹脂を用いた場合、耐屈曲性が向上するという長所があるが、一方、近赤外線吸収フィルムを高温・高湿下で長期間保管した際に、ジイモニウム塩系化合物が劣化しやすくなる。しかしながら、後述するように、ガラス転移温度が85℃未満の樹脂の重量平均分子量を高くする、あるいは近赤外線吸収層の形成に用いる塗布液の調液方法を工夫することで、ガラス転移温度が85℃未満の樹脂を併用した場合でも、ジイモニウム塩系化合物の劣化を抑制することが可能となる。
耐屈曲性と耐久性(高温・高湿下で長期間保管)という機能分担を、ガラス転移温度が異なる2種類以上の樹脂においてさらに発揮させるためには、ガラス転移温度の最も高い樹脂と最も小さい樹脂のガラス転移温度の差を20℃以上180℃以下となるように樹脂を選択することが好ましい。また、2種類の樹脂のガラス転移温度の差が180℃を超える場合には、樹脂同士の相溶性が劣る傾向がある。その結果、ヘイズが上昇する場合がある。
また、近赤外線吸収層の柔軟性を増して耐屈曲性を向上させるためには、ガラス転移温度が0℃以上85℃未満の樹脂として、重量平均分子量が50,000以上の樹脂を選択し、該樹脂を全バインダー樹脂に対し10質量%以上混合させることが好ましい。但し、該樹脂を50質量%以上混合すると、近赤外線吸収層中のジイモニウム塩系化合物が劣化しやすくなる。
また、近赤外線吸収層の柔軟性を増して耐屈曲性を向上させる他の方法として後述する近赤外線吸収層の形成用塗布液の調液方法をより容易とするために、ガラス転移温度が85℃以上160℃以下の樹脂として、重量平均分子量が50,000以下の樹脂を選択し、該樹脂を全バインダー樹脂に対し50質量%以上混合させることが好ましい、但し、該樹脂の混合量が90質量%を超える場合には、近赤外線吸収層の強度が低下し、耐屈曲性が劣る傾向がある。
さらに、近赤外線吸収層に近赤外線吸収色素のバインダーとして用いる樹脂は、ガラス転移温度が0℃以上160℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が0℃未満では、樹脂中に分散された色素同士が反応し、あるいは樹脂が外気中の水分等を吸収することにより、近赤外線吸収色素、特にジイモニウム塩系化合物の劣化が顕著となる。
一方、樹脂のガラス転移温度が160℃を超える場合には、該樹脂と近赤外線吸収色素を溶剤に溶解し、基材フィルム上に塗布液を塗布する際に、樹脂の分子内に溶剤が残存しやすくなるため、塗布層を十分乾燥させる必要がある。しかしながら、乾燥温度を高温にすると、熱シワにより基材フィルムの平面性が悪化するだけでなく、近赤外線吸収色素、特にジイモニウム塩系化合物が劣化しやすくなる。また、塗布層を低温で乾燥する場合、色素の劣化を促進する残留溶剤を低減するために、乾燥時間を長くする必要がある。しかしながら、乾燥時間を長くすることは乾燥ゾーンを長くする、あるいはライン速度を遅くすることが必要になる。すなわち、前者では設備上の制約があり、後者では生産性が低下するという問題がある。
また、柔軟性と基材との密着性、透明性及び経時安定性に優れる点から、バインダー樹脂としてアクリル系樹脂を主成分として用いる、具体的には70質量%以上含有させることが好ましい。
前記のアクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体およびまたは共重合体である。本発明では、これらの重合体をバインダー樹脂として用いる場合、ガラス転移温度の低い樹脂に、ガラス転移温度の高い樹脂に、または両方の樹脂に、アクリル系樹脂を用いることができる。
アクリル系樹脂の単量体として用いられる(メタ)アクリル酸エステルとしては、2−ナフチルアクリレート、4−シアノフェニルアクリレート、4−シアノ−3−チアブチルアクリレート、メチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、2−シアノエチルメタクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、エチルメタアクリレート、n−プロピルメタアクリレート、イソプロピルメタアクリレート、n−ブチルメタアクリレート、イソブチルメタアクリレート、ペンチルメタアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレートが挙げられる。これらの単量体は、単独または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル系樹脂には、上記の(メタ)アクリル酸エステルの他に、他の不飽和二重結合を有する単量体、例えば、オレフィン系、ビニル系(アクリル系を除く)等の単量体、例えば、エチレン、酢酸ビニル、スチレン等を共重合成分として含有させることもできる。これらの他の不飽和二重結合を有する単量体は、20質量%以下の範囲で含有させることができる。
また、(メタ)アクリル系樹脂には、前記の(メタ)アクリル酸エステルと共に官能基を有する単量体を併用させることもできる。これにより上記(メタ)アクリル酸エステルと官能基を有する単量体が共重合し、官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂を得ることができる。(メタ)アクリル系樹脂に官能基を有する単量体を含有させることによって、該官能基と後述する架橋剤が反応して(メタ)アクリル系樹脂を架橋させることが可能になる。
上記の官能基を有する単量体としては(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等のカルボキシル基を有する脂肪族不飽和カルボン酸が挙げられる。
その他の官能基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピルエステル、2−ヒドロキシビニルエーテル等のヒドロキシル基を有するもの、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有するもの、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有するもの、その他、アクリロニトリルおよびアクリルアミド等が挙げられ、これらを単独または2種類以上組み合わせて用いることができる。
官能基を有する単量体は、(メタ)アクリル系樹脂中に0.1〜20質量%の範囲で含有させることが好ましい。アクリル系共重合体は、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、紫外線照射法、電子線照射法によって共重合させることにより得ることができる。
さらに、アクリル系樹脂に架橋構造を形成させるために、架橋剤を添加してもよい。例えば、(1)多官能イソシアネート系架橋剤である、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート、(2)多官能エポキシ系架橋剤である、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールグリシジルエーテル、(3)多官能アジリジン系架橋剤である、N,N−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、(4)金属キレート系架橋剤である、アルミニウムのアセチルアセトン錯体、(5)過酸化物であるベンゾイルパーオキサイド、(6)メラミン系架橋剤などが挙げられる。これらは単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。その含有量は、0.01〜5質量%の範囲が好ましい。
本発明においてバインダー樹脂として好適な(メタ)アクリル系樹脂は、その重量平均分子量は、その下限が500であることが好ましく、より好ましくは1万である。また、(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量は、その上限が200万であることが好ましく、特に好ましくは100万である。重量平均分子量が500未満の(メタ)アクリル系樹脂を用いる場合、近赤外線吸収層である塗膜が脆くなり柔軟性が低下しやすくなる。一方、重量平均分子量が200万を越える(メタ)アクリル系樹脂を用いる場合、溶剤で樹脂を溶解したときの塗布液の粘度が高くなり、塗工性が劣る傾向がある。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)を用いて測定することができる。
なお、アクリル系樹脂としては上記特性のものを調製して使用することができるが、市販品から選択して使用しても差し支えない。
<近赤外線吸収層の形成>
本発明において、透明基材フィルム上に近赤外線吸収層を形成させるために用いる塗布液の調液方法とその効果について以下に説明する。
本発明において、透明基材フィルム上に近赤外線吸収層を形成させるために用いる塗布液の調液方法とその効果について以下に説明する。
一般に、前記近赤外線吸収層を形成する樹脂のガラス転移温度が機器使用温度以下であると、樹脂中に分散された色素同士が反応したり、樹脂が外気中の水分等を吸収したりして、色素の劣化が大きくなる。
しかしながら、本発明では、一般式(1)で表されるジイモニウム塩系化合物、特にR1〜R8をiso−ブチル基、対イオンをビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオンとするジイモニウム塩系化合物を用いること、さらに塗布液の調液工程で該ジイモニウム塩系化合物等の色素の分散方法を工夫することにより、ガラス転移温度が85℃未満の樹脂を併用しても、樹脂中の色素が安定して存在することを見出した。
塗布液を調整する際の工夫点を以下に述べる。
まず、第1の調合工程では、ガラス転移温度が85℃以上160℃以下であり、かつ重量平均分子量が50,000未満の比較的粘度の低い樹脂を溶剤中で溶解させる。
次に、第2の調合工程では、この溶解液中で最初にジイモニウム塩系化合物を含む近赤外線吸収色素を分散させる。
第3の調合工程では、その他の比較的粘度の高い樹脂の溶解液を混合する。
まず、第1の調合工程では、ガラス転移温度が85℃以上160℃以下であり、かつ重量平均分子量が50,000未満の比較的粘度の低い樹脂を溶剤中で溶解させる。
次に、第2の調合工程では、この溶解液中で最初にジイモニウム塩系化合物を含む近赤外線吸収色素を分散させる。
第3の調合工程では、その他の比較的粘度の高い樹脂の溶解液を混合する。
この調合方法を用いることにより、粘度の低い溶液でまず色素を分散することができるため、色素の分散も容易でかつ色素の安定性も良好になる。
この理由は定かではないが、塗工直前の塗布液の状態として、最初に近赤外線吸収色素を分散したガラス転移温度が85℃以上160℃以下と比較的高い樹脂中に、近赤外線吸収色素が選択的に存在するためであるのではないかと推察している。それゆえ、ガラス転移温度が比較的高い85℃以上160℃以下の樹脂の方が、ガラス転移温度が比較的低い85℃未満の樹脂よりも、各色素、特に含有量の多いジイモニウム塩系化合物との親和性に優れていることが望ましい。
また、重量平均分子量が50,000以上の樹脂のガラス転移温度が85℃未満である場合、近赤外線吸収層の柔軟性がさらに向上し、経時的な安定性にも優れ好適である。
近赤外線吸収層の乾燥後の塗布量は特に限定されないが、下限は1g/m2が好ましく、より好ましくは3g/m2であり、上限は50g/m2が好ましく、より好ましくは30g/m2である。
乾燥後の塗布量が少ない場合には、近赤外線の吸収力が不足しやすくなる。そのため、樹脂中の近赤外線吸収色素の存在量を増やすと、色素間の距離が短くなるため、色素間の相互作用が強くなる。その結果、色素の劣化等が起こりやすくなり、経時安定性が不良となる。逆に、乾燥後の塗布量が多い場合には、近赤外線の吸収能は十分であるが、可視光領域での透明性が低下し、ディスプレイの輝度が低下する。そのため、樹脂中の近赤外線吸収色素の存在量を低減すると、光学特性は調節できるが、乾燥が不十分になりやすくなる。その結果、塗膜中の残留溶剤により色素の経時安定性が不良となる。一方、乾燥を十分にした場合には基材の平面性が不良となる。
本発明で、塗工時の塗工液に用いる溶剤は、本発明で用いる近赤外線吸収色素とバインダ−を均一に溶解または分散できるものであれば何でもよい。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロピルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、塩化メチレン、クロロホロム、N、N−ジメチルホルムアミド、水等が挙げられるが、これらに限定させるものではない。
塗布液を透明基材フィルム上に塗布し、乾燥する方法としては、公知の熱風乾燥、赤外線ヒーター等が挙げられるが、乾燥速度が早い熱風乾燥が好ましい。
塗布後の、初期の恒率乾燥の段階では、20℃以上80℃以下で、2m/秒以上30m/秒以下の熱風を用いて乾燥することが好ましい。乾燥温度の下限は30℃がさらに好ましい。初期乾燥を強く行う(熱風温度が高い、熱風の風量が大きい)場合には、泡由来の微小なコートヌケ、微小なハジキ、クラック等の塗膜の微小な欠点が発生しやすくなる。逆に、初期乾燥を弱くする(熱風温度が低い、熱風の風量が小さい)場合には、塗工外観は良好になる。しかしながら、乾燥に時間を要し生産性(コスト)の点で問題があるばかりか、ブラッシング等の問題も発生する。
減率乾燥の工程では、初期乾燥よりも高温とし、塗膜中の溶剤を減少させる必要があり、好ましい温度は、120℃以上180℃以下である。特に好ましくは、下限値が140℃であり、上限値は170℃である。温度が低過ぎる場合には、塗膜中の溶剤が残留溶剤となって色素の経時的な安定性が不十分となる場合がある。高温の場合には、熱シワにより基材の平面性が不良となるだけでなく、近赤外線吸収色素が熱により劣化する。また、通過時間としては、5秒以上180秒以下であることが好ましい。時間が短い場合には塗膜中の溶剤が減少しにくくなり、上記乾燥温度が低すぎる場合と同様、塗膜中で残留溶剤となって色素の経時安定性を劣化させる場合がある。逆に時間が長い場合には、生産性が不良となるだけでなく、基材に熱シワが発生して平面性が不良となる。通過時間の上限は、生産性と平面性の点から、30秒とすることが特に好ましい。
乾燥の最終では、熱風温度を50℃以下にしてフラットの状態で基材の実温を室温へ下げることが好ましい。さらに塗工面をロール表面との接触による傷や粘着より保護するためにロールと接触する前に離型フィルムとラミネートすることが好ましい。
離型フィルムとしては、塗工面に傷つき、汚染等の悪さをしないものであれば任意のものが使用可能である。例えば、PETフィルムを支持体とする離型フィルム(東レ(株)製、U426、厚み80μm)が使用可能である。
(透明基材フィルム)
本発明において、透明基材フィルムは特に限定されるものではないが、全光線透過率が80%以上で、かつヘイズが5%以下であることが好ましい。基材フィルムが透明性に劣る場合には、ディスプレイの輝度を低下させるだけでなく、画像のシャープさが不良となる。
本発明において、透明基材フィルムは特に限定されるものではないが、全光線透過率が80%以上で、かつヘイズが5%以下であることが好ましい。基材フィルムが透明性に劣る場合には、ディスプレイの輝度を低下させるだけでなく、画像のシャープさが不良となる。
このような透明基材フィルムとしては、例えばポリエステル系、アクリル系、セルロ−ス系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリカーボネート、フェノール系、ウレタン系等のプラスチックフィルム、またはこれらの任意の2種類以上を貼り合わせたものが挙げられる。好ましくは、耐熱性、柔軟性のバランスが良好なポリエステル系フィルムであり、より好ましくはポリエチレンテレフタレートフィルムである。
本発明で用いる透明基材フィルムとして好適なポリエステル系フィルムとは、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸又はそのエステルと、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1、4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどをエステル化反応又はエステル交換反応を行い、次いで重縮合反応させて得たポリエステルチップを乾燥後、押出機で溶融し、Tダイからシート状に押し出して得た未延伸シートを少なくとも1軸方向に延伸し、次いで熱固定処理、緩和処理を行うことにより製造されるフィルムである。
前記フィルムは、強度等の点から、二軸延伸フィルムが特に好ましい。延伸方法としては、チューブラ延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法等が挙げられるが、平面性、寸法安定性、厚みムラ等から逐次二軸延伸法が好ましい。逐次二軸延伸フィルムは、例えば、長手方向にポリエステルのガラス転移温度(Tg)〜(Tg+30℃)で、2.0〜5.0倍に長手方向にロール延伸し、引き続き、テンターで予熱後120〜150℃で1.2〜5.0倍に幅方向に延伸する。さらに、二軸延伸後に220℃以上(融点−10℃)以下の温度で熱固定処理を行い、次いで幅方向に3〜8%緩和させることによって製造することができる。また、フィルムの長手方向の寸法安定性をさらに改善するために、縦弛緩処理を併用してもよい。
フィルムには、ハンドリング性(例えば、積層後の巻取り性)を付与するために、粒子を含有させてフィルム表面に突起を形成させることが好ましい。フィルムに含有させる粒子としては、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、等の無機粒子、アクリル、PMMA、ナイロン、ポリスチレン、ポリエステル、ベンゾグアナミン・ホルマリン縮合物、等の耐熱性高分子粒子が挙げられる。透明性の点から、フィルム中の粒子の含有量は少ないことが好ましく、例えば1ppm以上1000ppm以下であることが好ましい。さらに、透明性の点から使用する樹脂と屈折率の近い粒子を選択することが好ましい。また、フィルムには必要に応じて各種機能を付与するために、耐光剤(紫外線防止剤)、色素、帯電防止剤などを含有させてもよい。
本発明で用いる透明基材フィルムは、単層フィルムであっても、表層と中心層を積層した2層以上の複合フィルムであっても構わない。複合フィルムの場合、表層と中心層の機能を独立して設計することができる利点がある。例えば、厚みの薄い表層にのみ粒子を含有させて表面に凹凸を形成することでハンドリング性を維持しながら、厚みの厚い中心層には粒子を実質上含有させないことで、複合フィルム全体として透明性をさらに向上させることができる。前記複合フィルムの製造方法は特に限定されるものではないが、生産性を考慮すると、表層と中心層の原料を別々の押出機から押出し、1つのダイスに導き未延伸シートを得た後、少なくとも1軸方向に配向させる、いわゆる共押出法による積層が特に好ましい。
透明基材フィルムの厚みは素材により異なるが、ポリエステルフィルムを用いる場合には、下限は35μmが好ましく、より好ましくは50μmである。一方、厚みの上限は260μmが好ましく、より好ましくは200μmである。厚みが薄い場合には、ハンドリング性が不良となるばかりか、近赤外線吸収層の残留溶剤を少なくなるように乾燥時に加熱した場合に、フィルムに熱シワが発生して平面性が不良となりやすい。一方、厚みが厚い場合にはコスト面で問題があるだけでなく、ロール状に巻き取って保存した場合に巻き癖による平面性不良が発生しやすくなる。
(中間層)
本発明の近赤外線吸収フィルムは、透明基材フィルム上に近赤外線吸収層を積層した構成になっているが、透明基材フィルムと近赤外線吸収層の密着性の向上や透明基材フィルムの透明性向上を目的に中間層を設けることが好ましい。なお、フィルム中に粒子を含有させない場合、粒子を含有する中間層をフィルム製造時に同時に設けることにより、ハンドリング性を維持しながら高度な透明性を得ることができる。
本発明の近赤外線吸収フィルムは、透明基材フィルム上に近赤外線吸収層を積層した構成になっているが、透明基材フィルムと近赤外線吸収層の密着性の向上や透明基材フィルムの透明性向上を目的に中間層を設けることが好ましい。なお、フィルム中に粒子を含有させない場合、粒子を含有する中間層をフィルム製造時に同時に設けることにより、ハンドリング性を維持しながら高度な透明性を得ることができる。
前記中間層を構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂などが挙げられるが、基材および近赤外線吸収層との密着性が良好となる樹脂を1種以上選択することが重要であり、具体的には、基材及び近赤外線吸収層を構成する樹脂がエステル系であれば、類似した構造を有するポリエステル系、ポリエステルウレタン系を選定することが好ましい。
前記中間層には、密着性の向上、耐水性の向上を目的に架橋剤を含有させて架橋構造を形成させても構わない。架橋剤としては、尿素系、エポキシ系、メラミン系、イソシアネート系が挙げられる。特に、樹脂が高温・高湿度下での白化や強度が低下する場合には、架橋剤による効果が顕著である。なお、架橋剤を用いずに、樹脂として自己架橋性を有するグラフト共重合樹脂を用いてもよい。
中間層には、表面に凹凸を形成させて滑り性を改善する目的で、各種の粒子を含有させてもよい。中間層中に含有させる粒子としては、例えば、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、等の無機粒子、アクリル、PMMA、ナイロン、スチレン、ポリエステル、ベンゾグアナミン・ホルマリン縮合物、等の有機粒子が挙げられる。なお、透明性の点から使用する樹脂と屈折率の近い粒子を選択することが好ましい。
さらに、中間層に各種機能を付与するために、界面活性剤、帯電防止剤、色素、紫外線吸収剤等を含有させてもよい。
中間層は目的とする機能を有する場合は単層でも構わないが、必要に応じて2層以上に積層しても構わない。
中間層の厚みは、目的とする機能を有すれば特に限定されるものではないが、0.01μm以上5μm以下が好ましい。厚みが薄い場合には中間層としても機能が発現し難くなり、逆に、厚い場合には透明性が不良となりやすくなる。
中間層を設ける方法としては、塗布法が好ましい。塗布法としては、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式などの公知の塗布方法を用いて、フィルムの製造工程で塗布層を設けるインラインコート方式、フィルム製造後に塗布層を設けるオフラインコート方式により設けることができる。これらの方式のうち、インラインコート方式がコスト面で優れるだけでなく、塗布層に粒子を含有させることで、透明基材フィルムに粒子を含有させる必要がなくなるため、透明性を高度に改善することができるため好ましい。
次に、本発明の実施例及び比較例を用いて本願発明を説明する。なお、本発明で使用した特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。
<分子量分布>
近赤外線吸収フィルムをクロロホルムに浸漬し、近赤外線吸収層中のバインダー樹脂を溶解する。なお、樹脂がクロロホルムで溶解しない場合は、バインダー樹脂の種類を確認し、該樹脂を溶解させる溶剤を使用する。次いで、基材フィルムを取り出し、溶解物のみを窒素ガスをかけて室温下で乾燥させた後に、真空乾燥(室温)した。
近赤外線吸収フィルムをクロロホルムに浸漬し、近赤外線吸収層中のバインダー樹脂を溶解する。なお、樹脂がクロロホルムで溶解しない場合は、バインダー樹脂の種類を確認し、該樹脂を溶解させる溶剤を使用する。次いで、基材フィルムを取り出し、溶解物のみを窒素ガスをかけて室温下で乾燥させた後に、真空乾燥(室温)した。
さらに、乾燥させた溶解物をクロロホルム10mMに溶解し、孔径0.2μmのメンブランフィルムで濾過し、得られた試料溶液を以下の条件でGPCを用いて分析した。なお、重量平均分子量は標準ポリスチレン換算値である。標準ポリスチレンは、東ソー株式会社製のTSK標準ポリスチレン(A−500、A−2500、F−1、F−4、F−20、F−128を使用した。
(装置) 東ソー社製、HLC−8220GPC
(カラム)東ソー社製、TSKgel Super HM−H(2本)+TSKgel
Super H2000
(溶媒) クロロホルム
(流速) 0.6ml/min
(濃度) 約0.1%
(温度) 40℃
(検出器)RI
(カラム)東ソー社製、TSKgel Super HM−H(2本)+TSKgel
Super H2000
(溶媒) クロロホルム
(流速) 0.6ml/min
(濃度) 約0.1%
(温度) 40℃
(検出器)RI
<ガラス転移温度>
JIS−K7121に準拠し、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製、DSC6200)を使用して、−100℃〜300℃の温度範囲にわたって10℃/minで昇温させ、DSC曲線から得られた補外ガラス転移開始温度をガラス転移温度とした。
JIS−K7121に準拠し、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製、DSC6200)を使用して、−100℃〜300℃の温度範囲にわたって10℃/minで昇温させ、DSC曲線から得られた補外ガラス転移開始温度をガラス転移温度とした。
なお、得られた近赤外線吸収フィルムの近赤外線吸収層からバインダー樹脂のガラス転移温度を測定する際の試料の作成方法を説明する。
近赤外線吸収層に用いられているバインダー樹脂について、分子量が50,000未満と、それ以上に試料を分取する方法を以下に示す。なお、装置は、上記の<分子量分布>の測定で用いた装置を使用する。
標準ポリスチレンの検量線より、分子量が50,000の溶出時間を求め、T1とする。また、溶出液がRI検出器から、チューブを通って溶出されるまでの時間をT2とする。このT1とT2の総和時間(T1+T2)を、ポリスチレン換算分子量が50,000の溶出液が溶出する時間とする。この溶出時間(T1+T2)をもとに、以下のように溶出液を分取する。
分子量50,000以上の溶出液は、分析開始時間から(T1+T2)までに溶出される液とする。また、分子量50,000未満の溶出液は、(T1+T2)から分析終了時間(T2)までに溶出される液とする。これらの溶液を100℃で乾燥固化して、DSC分析用試料とした。
<全光線透過率、ヘイズ>
ヘイズメータ(日本電色工業製、NDH2000)を用いて、全光線透過率およびヘイズを測定した。
ヘイズメータ(日本電色工業製、NDH2000)を用いて、全光線透過率およびヘイズを測定した。
<透過率>
分光光度計(日立U−3500型)を用い、波長200〜1100nmの範囲で、近赤外線吸収層側に光が照射するようにして、室内の空気を透過率の参照として測定した。近赤外領域での透過率は、波長900〜1100nmの透過率の平均値より求めた。また、可視光領域での透過率は、波長450〜700nmの透過率の平均値より求めた。
分光光度計(日立U−3500型)を用い、波長200〜1100nmの範囲で、近赤外線吸収層側に光が照射するようにして、室内の空気を透過率の参照として測定した。近赤外領域での透過率は、波長900〜1100nmの透過率の平均値より求めた。また、可視光領域での透過率は、波長450〜700nmの透過率の平均値より求めた。
<色調>
色差計(日本電色工業製、ZE−2000)を用い、近赤外線吸収層側に光が照射するようにして、Lab表色系のa値、b値を、標準光としてD65光源、10度視野角で測定した。
色差計(日本電色工業製、ZE−2000)を用い、近赤外線吸収層側に光が照射するようにして、Lab表色系のa値、b値を、標準光としてD65光源、10度視野角で測定した。
<経時安定性>
温度60℃、湿度95%雰囲気中で500時間放置した後、上記の分光特性、色調を測定した。
温度60℃、湿度95%雰囲気中で500時間放置した後、上記の分光特性、色調を測定した。
(透過率の経時変化)
まず、近赤外線領域の透過率、可視光領域の透過率の平均値を経時処理前後で求め、それらの透過率の変化量を下記式より求め、以下の判断基準でランク付けを行った。
まず、近赤外線領域の透過率、可視光領域の透過率の平均値を経時処理前後で求め、それらの透過率の変化量を下記式より求め、以下の判断基準でランク付けを行った。
透過率の変化量(%)
=(|処理前の透過率−処理後の透過率|/処理前の透過率)×100
=(|処理前の透過率−処理後の透過率|/処理前の透過率)×100
◎:透過率の変化が5%未満
○:透過率の変化が5%以上10%未満
△:透過率の変化が10%以上20%未満
×:透過率の変化が20%以上
○:透過率の変化が5%以上10%未満
△:透過率の変化が10%以上20%未満
×:透過率の変化が20%以上
(色調の経時変化)
次に、経時処理前後での色調の変化量を下記式より求め、以下の判断基準でランク付けを行った。
次に、経時処理前後での色調の変化量を下記式より求め、以下の判断基準でランク付けを行った。
色調の変化量=√((処理前a値―処理後a値)2+(処理前b値―処理後b値)2)
◎:色調の変化が1未満
○:色調の変化が1以上2未満
△:色調の変化が2以上4未満
×:色調の変化が4以上
○:色調の変化が1以上2未満
△:色調の変化が2以上4未満
×:色調の変化が4以上
<耐屈曲性>
JISK5600に準拠して行い、塗膜(近赤外線吸収層)にクラックが発生するときのマンドレルの直径を求めた。
○:マンドレルの直径が3mm以下
△:マンドレルの直径が3〜5mm
×:マンドレルの直径が5mm以上
JISK5600に準拠して行い、塗膜(近赤外線吸収層)にクラックが発生するときのマンドレルの直径を求めた。
○:マンドレルの直径が3mm以下
△:マンドレルの直径が3〜5mm
×:マンドレルの直径が5mm以上
実施例1
(基材)
固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を2軸スクリュー押出機に投入し、T−ダイスから290℃で溶融押出しし、冷却回転金属ロール上で静電印加を付与しながら密着固化させ、未延伸シートを得た。
次いで、該未延伸シートをロール延伸機で90℃に加熱して、3.5倍で縦延伸を行った後、縦延伸フィルム上に下記の塗布液Aを乾燥後の塗布量が0.5g/m2となる様に両面に塗布し、風速10m/秒、120℃の熱風下で20秒通過させて、中間塗布層を形成させた。さらに、テンターで140℃に加熱して3.7倍横延伸したあと、235℃で幅(横)方向に5%緩和させながら熱処理してフィルムを得た。
得られた中間塗布層を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが厚み100μm、全光線透過率が90.2%で、ヘイズが0.5%であった。
(基材)
固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を2軸スクリュー押出機に投入し、T−ダイスから290℃で溶融押出しし、冷却回転金属ロール上で静電印加を付与しながら密着固化させ、未延伸シートを得た。
次いで、該未延伸シートをロール延伸機で90℃に加熱して、3.5倍で縦延伸を行った後、縦延伸フィルム上に下記の塗布液Aを乾燥後の塗布量が0.5g/m2となる様に両面に塗布し、風速10m/秒、120℃の熱風下で20秒通過させて、中間塗布層を形成させた。さらに、テンターで140℃に加熱して3.7倍横延伸したあと、235℃で幅(横)方向に5%緩和させながら熱処理してフィルムを得た。
得られた中間塗布層を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが厚み100μm、全光線透過率が90.2%で、ヘイズが0.5%であった。
(中間塗布層用塗布液Aの組成)
・イオン交換水 50.0質量%
・イソプロピルアルコール 28.9質量%
・アクリルーメラミン樹脂 10.0質量%
(日本カーバイト製、A−08、固形分濃度:46質量%)
・ポリエステル系樹脂 10.0質量%
(東洋紡績製、MD−1250、固形分濃度:30質量%)
・有機粒子 1.0質量%
(日本触媒製、エポスターMA1001)
・界面活性剤 0.1質量%
(ダウコーニング株式会社製、ペインタッド32)
・イオン交換水 50.0質量%
・イソプロピルアルコール 28.9質量%
・アクリルーメラミン樹脂 10.0質量%
(日本カーバイト製、A−08、固形分濃度:46質量%)
・ポリエステル系樹脂 10.0質量%
(東洋紡績製、MD−1250、固形分濃度:30質量%)
・有機粒子 1.0質量%
(日本触媒製、エポスターMA1001)
・界面活性剤 0.1質量%
(ダウコーニング株式会社製、ペインタッド32)
(近赤外線吸収層用の塗布液の調整)
アクリル系樹脂(A−1)とアクリル系樹脂(B−1)をそれぞれ下記の方法で重合して、近赤外線吸収層用の樹脂として使用した。
アクリル系樹脂(A−1)とアクリル系樹脂(B−1)をそれぞれ下記の方法で重合して、近赤外線吸収層用の樹脂として使用した。
アクリル系樹脂(A−1)を以下の要領で作製した。
反応容器にモノマ−として、イソブチルメタアクリレ−ト60g、酢酸エチル120g、メタノ−ル120g、アゾビスイソブチロニトリル0.51gを入れ、窒素雰囲気下60℃で攪拌しながら8時間反応を行った。反応後、反応溶液をヘキサン中に加え、ポリマ−を再沈殿させて、アクリル系樹脂(A−1)を得た。
得られたアクリル系樹脂(A−1)は、重量平均分子量が100,000、ガラス転移温度が53℃であった。
反応容器にモノマ−として、イソブチルメタアクリレ−ト60g、酢酸エチル120g、メタノ−ル120g、アゾビスイソブチロニトリル0.51gを入れ、窒素雰囲気下60℃で攪拌しながら8時間反応を行った。反応後、反応溶液をヘキサン中に加え、ポリマ−を再沈殿させて、アクリル系樹脂(A−1)を得た。
得られたアクリル系樹脂(A−1)は、重量平均分子量が100,000、ガラス転移温度が53℃であった。
アクリル系樹脂(B−1)を以下の要領で作製した。
反応容器にモノマ−として、t−ブチルメタアクリレ−ト60g、酢酸エチル120g、メタノ−ル120g、アゾビスイソブチロニトリル1.50gを入れ、窒素雰囲気下60℃で攪拌しながら8時間反応を行った。反応後、反応溶液をヘキサン中に加え、ポリマ−を再沈殿させて、アクリル系樹脂(B−1)を得た。
得られたアクリル系樹脂(B−1)は、重量平均分子量が35,000で、ガラス転移温度が107℃であった。
反応容器にモノマ−として、t−ブチルメタアクリレ−ト60g、酢酸エチル120g、メタノ−ル120g、アゾビスイソブチロニトリル1.50gを入れ、窒素雰囲気下60℃で攪拌しながら8時間反応を行った。反応後、反応溶液をヘキサン中に加え、ポリマ−を再沈殿させて、アクリル系樹脂(B−1)を得た。
得られたアクリル系樹脂(B−1)は、重量平均分子量が35,000で、ガラス転移温度が107℃であった。
上記の2種類のアクリル系樹脂(A−1)、アクリル系樹脂(B−1)を別々に、トルエン、メチルエチルケトンの混合溶媒中で、50℃で攪拌して溶解した。なお、溶媒と各樹脂の混合比率は下記の質量比率で分配した。次いで、アクリル系樹脂(B−1)の溶液に、50℃で攪拌しつつ色素を下記の比率で混合して溶解した。その後、アクリル系樹脂(A−1)の溶液と、色素を溶解した(B−1)溶液とを室温に冷却した。さらに、色素を溶解したアクリル系樹脂(B−1)の溶液に、アクリル系樹脂(A−1)の溶液を攪拌しつつ混合して1時間攪拌を継続した。次いで、公称濾過精度が1μmのフィルムで未溶解物を除去して塗布液Bを調製した。調液終了後、30分以内に塗膜を作成した。
・トルエン 39.07質量%
・メチルエチルケトン 39.07質量%
・アクリル系樹脂(A−1) 6.23質量%
(重量平均分子量:100,000、Tg:53℃)
・アクリル系樹脂(B−1) 14.54質量%
(重量平均分子量:35,000、Tg:107℃)
・ジイモニウム塩系化合物 0.70質量%
(日本カーリット製、CIR−RL)
・フタロシアニン系化合物 0.39質量%
(日本触媒製、IR−10A)
・メチルエチルケトン 39.07質量%
・アクリル系樹脂(A−1) 6.23質量%
(重量平均分子量:100,000、Tg:53℃)
・アクリル系樹脂(B−1) 14.54質量%
(重量平均分子量:35,000、Tg:107℃)
・ジイモニウム塩系化合物 0.70質量%
(日本カーリット製、CIR−RL)
・フタロシアニン系化合物 0.39質量%
(日本触媒製、IR−10A)
(近赤外線吸収フィルムの作製)
前記の塗布液B(固形分濃度:21質量%)を前記の中間塗布層の一方に、乾燥後の塗布量で9.3g/m2になるように直系60cmの斜線グラビアを用いてリバースで塗工した。次いで、40℃で5m/秒の熱風で20秒間、150℃で20m/秒の熱風で20秒間、さらに、90℃で20m/秒の熱風で10秒間通過させて乾燥し、近赤外線吸収フィルムを得た。
得られた近赤外線吸収フィルムは、近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高く、経時安定性も良好で、耐屈曲性も良好であった。
前記の塗布液B(固形分濃度:21質量%)を前記の中間塗布層の一方に、乾燥後の塗布量で9.3g/m2になるように直系60cmの斜線グラビアを用いてリバースで塗工した。次いで、40℃で5m/秒の熱風で20秒間、150℃で20m/秒の熱風で20秒間、さらに、90℃で20m/秒の熱風で10秒間通過させて乾燥し、近赤外線吸収フィルムを得た。
得られた近赤外線吸収フィルムは、近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高く、経時安定性も良好で、耐屈曲性も良好であった。
実施例2
実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)を下記の市販のアクリル系樹脂(三菱レイヨン製、BR−90)に変更し、かつアクリル系樹脂(B−1)を下記の市販のアクリル系樹脂(三菱レイヨン製、BR−83)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、近赤外線吸収フィルムを得た。
なお、アクリル系樹脂(三菱レイヨン製、BR−90)は、重量平均分子量が230,000で、Tgが65℃である。また、アクリル系樹脂(三菱レイヨン製、BR−83)は、重量平均分子量が40,000で、Tgが105℃である。
得られた近赤外線吸収フィルムは、近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高く、経時安定性も良好で、耐屈曲性も良好であった。
実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)を下記の市販のアクリル系樹脂(三菱レイヨン製、BR−90)に変更し、かつアクリル系樹脂(B−1)を下記の市販のアクリル系樹脂(三菱レイヨン製、BR−83)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、近赤外線吸収フィルムを得た。
なお、アクリル系樹脂(三菱レイヨン製、BR−90)は、重量平均分子量が230,000で、Tgが65℃である。また、アクリル系樹脂(三菱レイヨン製、BR−83)は、重量平均分子量が40,000で、Tgが105℃である。
得られた近赤外線吸収フィルムは、近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高く、経時安定性も良好で、耐屈曲性も良好であった。
実施例3
実施例1において、2種類の樹脂を50℃に加温しつつ、同時に同一容器で溶解したものに色素を添加したこと以外は実施例1と同様にして、近赤外線吸収フィルムを得た。
得られた近赤外線吸収フィルムは、近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高く、耐屈曲性も良好であった。なお、経時での透過率が実施例1よりもやや劣ったが、実用的には問題ないレベルである。
実施例1において、2種類の樹脂を50℃に加温しつつ、同時に同一容器で溶解したものに色素を添加したこと以外は実施例1と同様にして、近赤外線吸収フィルムを得た。
得られた近赤外線吸収フィルムは、近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高く、耐屈曲性も良好であった。なお、経時での透過率が実施例1よりもやや劣ったが、実用的には問題ないレベルである。
実施例4
実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)を下記のアクリル系樹脂(A−2)に変更し、かつアクリル系樹脂(B−1)を前記のアクリル系樹脂(三菱レイヨン製、BR−83)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、近赤外線吸収フィルムを得た。
なお、アクリル系樹脂(A−2)は、重量平均分子量が300,000で、Tgが20℃である。また、アクリル系樹脂(三菱レイヨン製、BR−83)は、重量平均分子量が40,000で、Tgが105℃である。
得られた近赤外線吸収フィルムは、近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高く、経時安定性も良好で、耐屈曲性も良好であった。
実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)を下記のアクリル系樹脂(A−2)に変更し、かつアクリル系樹脂(B−1)を前記のアクリル系樹脂(三菱レイヨン製、BR−83)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、近赤外線吸収フィルムを得た。
なお、アクリル系樹脂(A−2)は、重量平均分子量が300,000で、Tgが20℃である。また、アクリル系樹脂(三菱レイヨン製、BR−83)は、重量平均分子量が40,000で、Tgが105℃である。
得られた近赤外線吸収フィルムは、近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高く、経時安定性も良好で、耐屈曲性も良好であった。
アクリル系樹脂(A−2)は、以下の要領で作製した。
反応容器にモノマ−として、ブチルメタアクリレ−ト60g、酢酸エチル120g、メタノ−ル120g、アゾビスイソブチロニトリル0.17gを入れ、窒素雰囲気下60℃で攪拌しながら8時間反応を行った。反応後、反応溶液をヘキサン中に加え、ポリマ−を再沈殿させて、アクリル系樹脂(A−2)を得た。
反応容器にモノマ−として、ブチルメタアクリレ−ト60g、酢酸エチル120g、メタノ−ル120g、アゾビスイソブチロニトリル0.17gを入れ、窒素雰囲気下60℃で攪拌しながら8時間反応を行った。反応後、反応溶液をヘキサン中に加え、ポリマ−を再沈殿させて、アクリル系樹脂(A−2)を得た。
実施例5
実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)を前記のアクリル系樹脂(三菱レイヨン製、BR−90)に変更し、アクリル系樹脂(B−1)を下記のアクリル系樹脂(B−2)に変更したこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
なお、アクリル系樹脂(三菱レイヨン製、BR−90)は、重量平均分子量が230,000で、Tgが65℃である。また、アクリル系樹脂(B−2)は、重量平均分子量が45,000で、Tgが144℃である。
得られた近赤外線吸収フィルムは、近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高く、経時安定性も良好で、耐屈曲性も良好であった。
実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)を前記のアクリル系樹脂(三菱レイヨン製、BR−90)に変更し、アクリル系樹脂(B−1)を下記のアクリル系樹脂(B−2)に変更したこと以外は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルムを得た。
なお、アクリル系樹脂(三菱レイヨン製、BR−90)は、重量平均分子量が230,000で、Tgが65℃である。また、アクリル系樹脂(B−2)は、重量平均分子量が45,000で、Tgが144℃である。
得られた近赤外線吸収フィルムは、近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高く、経時安定性も良好で、耐屈曲性も良好であった。
アクリル系の樹脂(B−2)は、以下の要領で作製した。
反応容器にモノマ−として、メタアクリレ−ト22.2g、メチルメタアクリレート37.8g、酢酸エチル120g、メタノ−ル120g、アゾビスイソブチロニトリル1.13gを入れ、窒素雰囲気下60℃で攪拌しながら8時間反応を行った。反応後、反応溶液をヘキサン中に加え、ポリマ−を再沈殿させて、アクリル系樹脂(B−2)を得た。
反応容器にモノマ−として、メタアクリレ−ト22.2g、メチルメタアクリレート37.8g、酢酸エチル120g、メタノ−ル120g、アゾビスイソブチロニトリル1.13gを入れ、窒素雰囲気下60℃で攪拌しながら8時間反応を行った。反応後、反応溶液をヘキサン中に加え、ポリマ−を再沈殿させて、アクリル系樹脂(B−2)を得た。
比較例1
実施例1において、近赤外線吸収層用の塗布液を以下のように調整した塗布液Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして、近赤外線吸収フィルムを得た。
得られた近赤外線吸収フィルムは、近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高く、経時安定性は良好であったが、屈曲性が劣っていた。
実施例1において、近赤外線吸収層用の塗布液を以下のように調整した塗布液Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして、近赤外線吸収フィルムを得た。
得られた近赤外線吸収フィルムは、近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高く、経時安定性は良好であったが、屈曲性が劣っていた。
(近赤外線吸収層用の塗布液の調整)
トルエン、メチルエチルケトン、樹脂を下記の質量比で混合し、50℃で攪拌して樹脂を溶解した後、色素を添加して30分以上攪拌した。次いで、公称濾過精度が1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Cを調製した。
・トルエン 39.07質量%
・メチルエチルケトン 39.07質量%
・アクリル系樹脂 20.77質量%
(三菱レイヨン製、BR−83、重量平均分子量:40,000、Tg:105℃)
・ジイモニウム塩系化合物 0.70質量%
(日本カーリット製、CIR−RL)
・フタロシアニン系化合物 0.39質量%
(日本触媒製、IR−10A)
トルエン、メチルエチルケトン、樹脂を下記の質量比で混合し、50℃で攪拌して樹脂を溶解した後、色素を添加して30分以上攪拌した。次いで、公称濾過精度が1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Cを調製した。
・トルエン 39.07質量%
・メチルエチルケトン 39.07質量%
・アクリル系樹脂 20.77質量%
(三菱レイヨン製、BR−83、重量平均分子量:40,000、Tg:105℃)
・ジイモニウム塩系化合物 0.70質量%
(日本カーリット製、CIR−RL)
・フタロシアニン系化合物 0.39質量%
(日本触媒製、IR−10A)
比較例2
実施例1において、近赤外線吸収層用の塗布液を以下のように調整した塗布液Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして、近赤外線吸収フィルムを得た。
得られた近赤外線吸収フィルムは、近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高く、透過率と色調の経時安定性も良好であったが、屈曲性が劣っていた。
実施例1において、近赤外線吸収層用の塗布液を以下のように調整した塗布液Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして、近赤外線吸収フィルムを得た。
得られた近赤外線吸収フィルムは、近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高く、透過率と色調の経時安定性も良好であったが、屈曲性が劣っていた。
(近赤外線吸収層用の塗布液の調整)
トルエン、メチルエチルケトン、樹脂を下記の質量比で混合し、50℃で攪拌して樹脂を溶解した後、色素を添加して30分以上攪拌した。次いで、公称濾過精度が1μmのフィルムで未溶解物を除去して塗布液Dを調製した。
・トルエン 39.07質量%
・メチルエチルケトン 39.07質量%
・アクリル系樹脂 6.23質量%
(三菱レイヨン製、BR−80、重量平均分子量:95,000、Tg:105℃)
・アクリル系樹脂 14.54質量%
(三菱レイヨン製、BR−83、重量平均分子量:40,000、Tg:105℃)
・ジイモニウム塩系化合物 0.70質量%
(日本カーリット製、CIR−RL)
・フタロシアニン系化合物 0.39質量%
(日本触媒製、IR−10A)
トルエン、メチルエチルケトン、樹脂を下記の質量比で混合し、50℃で攪拌して樹脂を溶解した後、色素を添加して30分以上攪拌した。次いで、公称濾過精度が1μmのフィルムで未溶解物を除去して塗布液Dを調製した。
・トルエン 39.07質量%
・メチルエチルケトン 39.07質量%
・アクリル系樹脂 6.23質量%
(三菱レイヨン製、BR−80、重量平均分子量:95,000、Tg:105℃)
・アクリル系樹脂 14.54質量%
(三菱レイヨン製、BR−83、重量平均分子量:40,000、Tg:105℃)
・ジイモニウム塩系化合物 0.70質量%
(日本カーリット製、CIR−RL)
・フタロシアニン系化合物 0.39質量%
(日本触媒製、IR−10A)
比較例3
実施例1において、近赤外線吸収層用の塗布液以下のように調整した塗布液Eを用いたこと以外は実施例1と同様にして、近赤外線吸収フィルムを得た。
得られた近赤外線吸収フィルムは、近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高く屈曲性も良好であったが、透過率と色調の経時安定性が劣っていた。
実施例1において、近赤外線吸収層用の塗布液以下のように調整した塗布液Eを用いたこと以外は実施例1と同様にして、近赤外線吸収フィルムを得た。
得られた近赤外線吸収フィルムは、近赤外領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高く屈曲性も良好であったが、透過率と色調の経時安定性が劣っていた。
(近赤外線吸収層用の塗布液の調整)
トルエン、メチルエチルケトン、樹脂を下記の質量比で混合し、50℃に加温下で攪拌して樹脂を溶解した後、色素を添加して30分以上攪拌した。次いで、公称濾過精度が1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Eを調製した。
・トルエン 39.07質量%
・メチルエチルケトン 39.07質量%
・アクリル系樹脂 20.77質量%
(三菱レイヨン製、BR−60、重量平均分子量:70,000、Tg:75℃)
・ジイモニウム塩系化合物 0.70質量%
(日本カーリット製、CIR−RL)
・フタロシアニン系化合物 0.39質量%
(日本触媒製、IR−10A)
トルエン、メチルエチルケトン、樹脂を下記の質量比で混合し、50℃に加温下で攪拌して樹脂を溶解した後、色素を添加して30分以上攪拌した。次いで、公称濾過精度が1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液Eを調製した。
・トルエン 39.07質量%
・メチルエチルケトン 39.07質量%
・アクリル系樹脂 20.77質量%
(三菱レイヨン製、BR−60、重量平均分子量:70,000、Tg:75℃)
・ジイモニウム塩系化合物 0.70質量%
(日本カーリット製、CIR−RL)
・フタロシアニン系化合物 0.39質量%
(日本触媒製、IR−10A)
本発明の近赤外線吸収フィルムは、近赤外線領域に大きく且つ巾の広い吸収を有し、さらに可視領域の光透過性が高く、且つ可視領域に特定波長の大きな吸収がなく、特に耐屈曲性に優れ、かつ高温、高湿下で長時間放置しても分光特性が安定であるため、特にプラズマディスプレイ用の近赤外線吸収フィルムとして好適である。
Claims (6)
- 近赤外線吸収色素をバインダー樹脂に分散させた近赤外線吸収層を基材フィルム上へ積層してなる近赤外線吸収フィルムであって、前記近赤外線吸収色素は少なくとも下記一般式(1)で表されるジイモニウム塩系化合物を含み、前記バインダー樹脂は重量平均分子量が50,000以上で、かつ異なるガラス転移温度を有する2種類以上の樹脂を含むことを特徴とする近赤外線吸収フィルム。
- バインダー樹脂が、ガラス転移温度が0℃以上85℃未満の樹脂とガラス転移温度が85℃以上160℃未満の樹脂を含む混合物であり、ガラス転移温度の最も高い樹脂と最も小さい樹脂のガラス転移温度の差が20℃以上180℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線吸収フィルム。
- ガラス転移温度が0℃以上85℃未満の樹脂の重量平均分子量が50,000以上であり、ガラス転移温度が85℃以上160℃以下の樹脂の重量平均分子量が50,000未満であることを特徴とする請求項2に記載の近赤外線吸収フィルム。
- ガラス転移温度が0℃以上85℃未満の樹脂をバインダー樹脂に対して10質量%以上50質量%未満含有し、ガラス転移温度が85℃以上160℃以下の樹脂をバインダー樹脂に対して50質量%以上90質量%以下含有することを特徴とする請求項2または3に記載の近赤外線吸収フィルム。
- バインダー樹脂がアクリル系樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の近赤外線吸収フィルム。
- アクリル系樹脂が、2−ナフチルアクリレート、4−シアノフェニルアクリレート、4−シアノ−3−チアブチルアクリレート、メチルメタアクリレート、イソプロピルメタアクリレート、tert−ブチルメタアクリレート、フェニルメタアクリレート、2−シアノエチルメタアクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタアクリレート、イソボルニルメタアクリレートから選択される(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体または共重合体であり、これらを単独または2種類以上含むことを特徴とする請求項5に記載の近赤外線吸収フィルム。
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2006
- 2006-03-24 JP JP2006082627A patent/JP2007256758A/ja not_active Withdrawn
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