JP6627298B2 - 量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置 - Google Patents

量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置に関する。
液晶ディスプレイバックライト及び照明装置等の高発光効率化、高演色化に向けた開発が進んでいる。近年、このような発光装置を実現するため、一次光を生じる光源(青色光を放出する青色LED等)と、半導体微粒子からなる量子ドット蛍光体(以下、「量子ドット」と称す)とを組み合わせた発光装置の開発が行われている。
量子ドットは、例えば、CdSeであるコアとZnSであるシェルにより構成される半導体微粒子と、シェルの周辺を覆うリガンドにより構成されるナノサイズの化合物半導体微粒子である。量子ドットは、その粒子径が化合物半導体の励起子のボーア半径よりも小さいため、量子閉じ込め効果が現れる。そのため、量子ドットの発光効率は、従来用いられている希土類イオンを賦活剤とする蛍光体(希土類蛍光体)よりも高く、90%以上の高発光効率を実現することができる。
また、量子ドットの発光波長は、このように量子化された化合物半導体微粒子のバンドギャップエネルギーにより決まるため、量子ドットの粒径を変化させることで任意の発光波長、すなわち任意の発光スペクトルを得ることができる。これらの量子ドットを青色LED等と組み合わせることで、高発光効率で高演色性のバックライトを実現することが可能とされている(例えば、特許文献1〜3参照)。
量子ドットをバックライト装置に組み込む方式としては、光源中に量子ドットを組み込むオンチップ方式、量子ドットを収容した透明チューブを光源と導光板との間に配置するオンエッジ方式、および導光板の出光側や光源上に量子ドットを含むシート(量子ドットシート)を配置するオンサーフェス方式が知られている。
しかしながら、オンチップ方式においては、光源中に量子ドットを組み込むので、量子ドットが高温に晒されてしまい、量子ドットの変換効率が劣る。また、オンエッジ方式においては、量子ドットを収容した透明チューブを光源と導光板との間に配置するので、サイズが大きくなってしまう。特に、モバイル機器においては、小型化が要求されるので、オンエッジ方式では対応することが難しい。
一方、オンサーフェス方式においては、上記の問題がなく、また従来から用いられてきたバックライト装置を利用することも可能である。このようなことから、現在、オンサーフェス方式で量子ドットをバックライト装置に組み込むことが検討されている。
しかし、量子ドットシートを用いたオンサーフェス型のバックライトは、エッジ領域が白色にならず色味を帯びたり、見る方向により色味が変化する場合があった。
国際公開第2012/132239号 特開2015−18131号公報 特開2015−28139号公報
本発明は、上記問題に鑑み、エッジ領域の色味、及び色味の角度依存性を改善した量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、上記課題の原因が、量子ドットから放出される二次光が指向性を有さない一方で、一次光が指向性を有することにあることを見出し、これを解決するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[9]の量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置を提供する。
[1]一次光を吸収して二次光を放出する量子ドット及びバインダー樹脂を含む量子ドット含有層を有する量子ドットシートであって、前記量子ドットシートについて、JIS K7374:2007に準拠して測定した写像性測定器の光学櫛の幅が0.5mm及び1.0mmの透過像鮮明度をC0.5及びC1.0とした際に、C0.5が60.0%以下であり、C1.0が85.0%以下である、量子ドットシート。
[2]前記量子ドットシートについて、JIS K7374:2007に準拠して測定した写像性測定器の光学櫛の幅が0.25mmの透過像鮮明度をC0.25とした際に、C0.25が55.0%以下である、上記[1]に記載の量子ドットシート。
[3]前記量子ドット含有層中に内部拡散粒子を含む上記[1]又は[2]に記載の量子ドットシート。
[4]前記バインダー樹脂の屈折率をn、前記内部拡散粒子の屈折率をnとした際に、n/nが、1.02以上又は0.98以下である上記[3]に記載の量子ドットシート。
[5]前記量子ドット含有層の両面を光透過性基材で挟み込んでなる上記[1]〜[4]の何れかに記載の量子ドットシート。
[6]さらに、光拡散層を有する上記[1]〜[5]の何れかに記載の量子ドットシート。
[7]前記量子ドットシートの少なくとも一方の表面は、JIS B0601:2001に準拠するカットオフ値0.8mmの算術平均粗さRaが0.1〜10μmである上記[1]〜[6]の何れかに記載の量子ドットシート。
[8]一次光を放出する少なくとも1つの光源と、前記光源に隣接して配置され、導光又は拡散のための光学板と、前記光学板の光出射側に配置された量子ドットシートとを備えたバックライトにおいて、前記量子ドットシートが上記[1]〜[7]の何れかに記載の量子ドットシートであるバックライト。
[9]バックライト及び液晶パネルを備えた液晶表示装置であって、前記バックライトが上記[6]に記載のバックライトである液晶表示装置。
本発明の量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置は、エッジ領域の色味及び色味の角度依存性を改善することができる。
本発明の量子ドットシートの一実施形態を示す断面図である。 本発明の量子ドットシートの他の実施形態を示す断面図である。 本発明の量子ドットシートの他の実施形態を示す断面図である。 本発明のバックライトの一実施形態を示す断面図である。 本発明のバックライトの他の実施形態を示す断面図である。 本発明の液晶表示装置の一実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。
[量子ドットシート]
本発明の量子ドットシートは、一次光を吸収して二次光を放出する量子ドット及びバインダー樹脂を含む量子ドット含有層を有する量子ドットシートであって、前記量子ドットシートについて、JIS K7374:2007に準拠して測定した写像性測定器の光学櫛の幅が0.5mm及び1.0mmの透過像鮮明度をC0.5及びC1.0とした際に、C0.5が60.0%以下であり、C1.0が85.0%以下であるものである。
以下、C0.5及びC1.0が上記条件を満たすことにより、エッジ領域の色味及び色味の角度依存性を改善することができる理由を説明する。
まず、エッジ領域の色味及び面内の色味ムラが生じる原因について説明する。
量子ドットから放出される二次光は360度に均等に拡散する。一方、一次光は指向性を有し拡散方向が均一ではない。また、一次光のうち、量子ドットに吸収されずに透過するものも、指向性を有し拡散方向が均一ではない。
したがって、量子ドット含有層を単純に形成してなる量子ドットシートに一次光を入射した場合、透過する光のうち、二次光は均等拡散である一方、一次光は指向性を有することになる。そして、均等拡散である二次光は高角度まで多くの割合の光が拡散し、量子ドットシートのエッジ領域から光が漏れやすい一方で、一次光は高角度の拡散光の割合が少なく、エッジ領域から光が漏れにくい。このため、エッジ領域は一次光の割合が多くなり、一次光の色味(一次光が青色の場合は青味)を帯びることになる。
また、一次光が指向性を有する場合、低角度の領域では一次光の量が十分である一方で、高角度の領域では一次光の量が少なくなる。このため、低角度の領域と高角度の領域とで色味が異なり、色味の角度依存性を生じてしまう。
このように、エッジ領域の色味及び色味の角度依存性は、一次光の指向性が原因であると考えられる。
次に、C0.5及びC1.0の意味について説明する。
透過像鮮明度は、試験片の透過光の光線軸に直交する光学櫛を移動させて、各々の櫛幅について、最高光量(M)及び最低光量(m)を測定し、下記式(1)で算出できる。
[(M−m)/(M+m)]×100 (1)
拡散が弱い場合、光源の正面を櫛の遮光部分が通過する際に遮光される光が多くなるため、最低光量(m)が小さくなる。一方、拡散が強い場合、光源の正面を櫛の遮光部分が通過する際に、試験片で拡散された光が櫛の透過部分を通過する割合が増えて最低光量(m)が大きくなるとともに、最高光量(M)と最低光量(m)との差が小さくなる。つまり、拡散が弱いと上記式(1)の値である透過鮮明度が大きくなり、拡散が強いと上記式(1)の値である透過鮮明度が小さくなるため、透過像鮮明度は拡散の強弱を示すことが分かる。
また、拡散には低角度の拡散から高角度の拡散まで存在しており、拡散の角度と透過鮮明度の値とは関係がある。具体的には、光学櫛の幅が0.125mm及び0.25mmと狭い場合には低角度の拡散の影響が大きく、光学櫛の幅が0.5mmと中程度の場合は中角度の拡散の影響が大きく、光学櫛の幅が1.0mm及び2.0mmと広い場合には高角度の拡散の影響が大きい。
つまり、C0.5が60.0%以下であり、C1.0が85.0%以下であることは、中角度から高角度に渡って拡散が強いことを示している。なお、櫛幅が大きい場合、拡散が強くても櫛の透過部分を拡散光が通過しにくくなり、透過像鮮明度は大きくなる。つまり、櫛幅が大きいC1.0は、その値が大きくても高角度の拡散が少ないとはいえない。このため、本発明では、C0.5よりもC1.0の上限を大きくしている。
したがって、C0.5及びC1.0が上記条件を満たすことにより、低角度領域の割合が多い一次光を、中角度から高角度に渡って拡散することができ、一次光の指向性を原因とするエッジ領域の色味及び色味の角度依存性を改善できると考えられる。また、C0.5及びC1.0が上記条件を満たすことにより、光源の形状や導光板のドットパターンを隠蔽しやすくできる。
一方、C0.5及びC1.0が上記条件を満たさない場合、一次光の指向性を解消し得るような拡散が得られず、エッジ領域の色味及び色味の角度依存性を改善できないと考えられる。
なお、JIS K7374:2007では、写像性測定器の光学櫛の幅が0.125mm、2.0mmの透過像鮮明度も規定している。光学櫛の幅が2.0mmの透過像鮮明度は、サンプルの拡散が強い場合に光量が不足して誤差が生じやすい傾向があり、光学櫛の幅が0.125mmの透過像鮮明度は、一定以上の拡散の強さを有するサンプルに対しては、サンプルごとの値の差が出にくい傾向がある。このため、本発明では、光学櫛の幅が0.125mm、2.0mmの透過像鮮明度を測定していない。
0.5は35.0%以下であることが好ましく、20.0%以下であることがより好ましく、6.0%以下であることがさらに好ましく、3.0%以下であることがよりさらに好ましく、0%であることが最も好ましい。
1.0は55.0%以下であることが好ましく、40.0%以下であることがより好ましく、15.0%以下であることがさらに好ましく、5.0%以下であることがよりさらに好ましく、0%であることが最も好ましい。
また、本発明の量子ドットシートは、JIS K7374:2007に準拠して測定した写像性測定器の光学櫛の幅が0.25mmの透過像鮮明度をC0.25とした際に、C0.25が55.0%以下であることが好ましい。
上述したように、C0.5及びC1.0は中角度から高角度の拡散を示している。一方、C0.25は、拡散の中でも低角度の拡散の強さを示す。つまり、C0.25が55.0%以下であることは、低角度の拡散が強いことを示している。なお、量子ドットシートが干渉ムラを生じると、拡散が強いにも関わらず、C0.25が上昇する場合がある。つまり、C0.25が55.0%以下であることは、低角度の拡散が強く、かつ干渉ムラを生じないことを示している。
したがって、C0.25を55.0%以下とすることにより、エッジ領域の色味及び色味の角度依存性をより改善することができるとともに、干渉ムラを抑制できる。
0.25は30.0%以下であることがより好ましく、15.0%以下であることがさらに好ましく、4.0%以下であることがよりさらに好ましい。また、C0.25は、より好ましくは2.0%以下であり、0%であることが最も好ましい。なお、干渉ムラによりC0.25が上昇する理由は、量子ドットから放出される光は波長の幅が狭く単色性が強いため干渉ムラが生じやすく、該干渉ムラによって波形が変化するためと考えられる
なお、本発明において、C0.25、C0.5及びC1.0は、20回測定を行った際の平均値とする。
透過像鮮明度の測定において量子ドットシートに光を照射する面は、量子ドットシートをバックライトの構成部材として使用する際の光入射面(導光又は拡散のための光学板に対向する側の面)とすることが好ましい。後述する波長450nmの分光透過率、全光線透過率、及び分光反射率を測定する際の光照射面も同様である。
透過率
本発明の量子ドットシートのJIS K7361−1:1997の全光線透過率は特に限定されないが、通常は40%以上程度である。
なお、全光線透過率の強度の測定において、量子ドットシートに光を照射する面は、量子ドットシートをバックライトとして使用する際の光入射面(導光又は拡散のための光学板に対向する側の面)とすることが好ましい。
表面粗さ
本発明の量子ドットシートは、少なくとも一方の表面の算術平均粗さRaが0.1〜10μmであることが好ましく、0.2〜8μmであることがより好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい。また、量子ドットシートの両面が前記Raの範囲を満たすことが好ましい。
Raを0.1μm以上とすることにより、量子ドットシートと接触する部材との密着を防止できる。量子ドットシートと接触する部材とは、例えば、量子ドットシートの光出射側に位置するプリズムシート、量子ドットシートの光入射側に位置する導光又は拡散のための光学板が挙げられる。また、Raを10μm以下とすることにより、偏光板の光漏れ及び正面輝度の低下を抑制できる。
また、拡散の強さを制御することにより、色味の角度依存性の抑制、エッジ領域の色味の抑制、偏光板の光漏れ、及び正面輝度の低下の抑制のバランスの観点からは、Raは0.5〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることがより好ましい。また、光入射面側のRaを1μm以上とすることにより、再帰反射性が付与され、光のリサイクル率が高まり、量子ドットの含有量を少なくすることが可能となる。
なお、Ra及び後述するRzJISは、JIS B0601:2001に準拠するものであり、カットオフ値0.8mmで20回測定した際の平均値である。
本発明の量子ドットシートは、少なくとも一方の表面の十点平均粗さRzJISが0.1〜20μmであることが好ましく、0.2〜10μmであることがより好ましく、0.5〜8μmであることがさらに好ましい。また、量子ドットシートの両面が前記RzJISの範囲を満たすことが好ましい。
RzJISが上記範囲を満たすことは、量子ドットシートの表面粗さが一定のランダム性を有しつつ、かつ粗さに極端な偏りがないことを示している。したがって、RzJISが上記範囲を満たすことにより、拡散の偏りを低減するとともに、局所的な密着を防止することができる。
また、拡散の強さを制御することによって、色味の角度依存性の抑制、エッジ領域の色味の抑制、偏光板の光漏れ、及び正面輝度の低下の抑制のバランスを図る観点からは、RzJISは1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmであることがより好ましい。
Ra及びRzJISを上記範囲とするには、量子ドットシートの最表面に後述する光拡散層を位置させればよい。
量子ドットシートの構成
本発明の量子ドットシートは、一次光を吸収して二次光を放出する量子ドット及びバインダー樹脂を含む量子ドット含有層を有する。
量子ドットとしては、青に相当する波長の一次光を吸収して赤に相当する波長の二次光を放出する第1量子ドット、及び青に相当する波長の一次光を吸収して緑に相当する波長の二次光を放出する第2量子ドットの少なくとも一種を含むことが好ましく、前記第1量子ドット及び前記第2量子ドットの両方を含むことがより好ましい。
青に相当する波長の一次光は、ピーク波長が380〜480nmの範囲であることが好ましく、ピーク波長が450nmであることがより好ましい。また、緑に相当する波長の二次光は、ピーク波長が495〜570nmの範囲であることが好ましく、ピーク波長が528nmであることがより好ましい。赤に相当する波長の二次光は、ピーク波長が620〜750nmの範囲であることが好ましく、ピーク波長が637nmであることがより好ましい。
図1〜3は、本発明の量子ドットシートの実施の形態を示す断面図である。図1の量子ドットシート100は、量子ドット含有層10の上下の面に、光透過性基材21a、21b及び光拡散層42a、42bを有している。図2の量子ドットシート100は、量子ドット含有層10の上下の面に、バリア層32a、32b、光透過性基材21a、21b、及び光拡散層42a、42bを有している。図3の量子ドットシート100は、量子ドット含有層10の上下の面に光透過性基材21a、21bを有し、光透過性基材上に接着剤層51a、51bを介してバリアフィルム30a、30bを有し、バリアフィルム上に接着剤層52a、52bを介して光拡散フィルム40a、40bを有している。
図1〜3は、量子ドット含有層以外の構成(光透過性基材、バリア層、光拡散層等)を有しているが、本発明の量子ドットシートは、量子ドット含有層を少なくとも有し、C0.5及びC1.0が上記条件を満たせばよく、量子ドット含有層以外の構成(光透過性基材、バリア層、光拡散層等)は必要に応じて設ければよい。
なお、図1〜3の量子ドットシートは量子ドット含有層が一層のみであるが、量子ドットシートは量子ドット含有層を二層以上有していてもよい。
量子ドットシートは、図1〜3のように、量子ドット含有層を中心として、上下対称の構成を有することが好ましい。該構成を有することにより、歪みが均等に分散され、量子ドットシートの平面性を良好にすることができるとともに、量子ドットシートの界面の接着性を良好にすることができる。量子ドットシートの平面性が良好になると、面内の輝度の均一性を良好にできる点で好適である。
なお、厚み方向に上下対称の層構成とは、上下で層の数、層の種類が同一であるとともに、各層の厚みが略同一であることをいう。厚みが略同一と言えるためには、対象の関係にある上下の層の厚みの比が0.95〜1.05の範囲であることが好ましく、0.97〜1.03の範囲であることがより好ましい。
また、対称の関係にある層同士は組成も略同一であることが好ましい。組成が略同一と言えるためには、層の構成成分の90質量%以上が同一であることが好ましく、95質量%以上が同一であることがより好ましく、99質量%以上が同一であることがさらに好ましい。
量子ドット含有層
量子ドット(第1量子ドット及び第2量子ドット)について、以下に説明する。
量子ドット(Quantum dot)は、半導体のナノメートルサイズの微粒子で、電子や励起子がナノメートルサイズの小さな結晶内に閉じ込められる量子閉じ込め効果(量子サイズ効果)により、特異的な光学的、電気的性質を示し、半導体ナノ粒子とか、半導体ナノ結晶とも呼ばれるものである。
量子ドットは、半導体のナノメートルサイズの微粒子であり、量子閉じ込め効果(量子サイズ効果)を生じる材料であれば特に限定されない。例えば、既に述べたような、自らの粒径によって発光色が規制される半導体微粒子と、ドーパントを有する半導体微粒子がある。本発明における量子ドットとしては、自らの粒径によって発光色が規制される半導体微粒子及びドーパントを有する半導体微粒子のいずれも用いることができ、共に優れた色純度を得ることができる。
量子ドットは、その粒径により発光色を異にするものであり、例えば、CdSeからなるコアのみから構成される量子ドットの場合、粒径が2.3nm、3.0nm、3.8nm、4.6nmの時の蛍光スペクトルのピーク波長は、528nm、570nm、592nm、637nmである。つまり、ピーク波長637nmの二次光を放出する量子ドットの粒径は4.6nmであり、ピーク波長528nmの二次光を放出する量子ドットの粒径は2.3nmである。
なお、量子ドット含有層中に、赤に相当する波長の二次光を放出する量子ドット、及び緑に相当する波長の二次光を放出する量子ドット以外の量子ドットを含有してもよい。
量子ドットの含有量は、量子ドット含有層の厚み、バックライトにおける光のリサイクル率、目的とする色味等に応じて適宜調整する。量子ドット含有層の厚みが後述する範囲であれば、量子ドット含有層のバインダー樹脂100質量部に対して、量子ドットの含有量は、0.01〜1.0質量部程度である。量子ドットの含有量がこの程度であれば、透過像鮮明度の値に殆ど影響を与えない。
量子ドットのコアとなる材料として具体的には、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe及びHgTeのようなII−VI族半導体化合物、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAs及びTiSbのようなIII−V族半導体化合物、Si、Ge及びPbのようなIV族半導体、等の半導体化合物又は半導体を含有する半導体結晶を例示できる。また、InGaPのような3元素以上を含んだ半導体化合物を含む半導体結晶を用いることもできる。
さらに、ドーパントを有する半導体微粒子からなる量子ドットとしては、上記半導体化合物に、Eu3+、Tb3+、Ag、Cuのような希土類金属のカチオン又は遷移金属のカチオンをドープしてなる半導体結晶を用いることもできる。
量子ドットのコアとなる材料としては、作製の容易性、可視域での発光を得られる粒径の制御性、蛍光量子収率の観点から、CdS、CdSe、CdTe、InP、InGaP等の半導体結晶が好適である。
量子ドットは、1種の半導体化合物からなるものであっても、2種以上の半導体化合物からなるものであってもよく、例えば、半導体化合物からなるコアと、該コアと異なる半導体化合物からなるシェルとを有するコアシェル型構造を有していてもよい。
コアシェル型の量子ドットを用いる場合にシェルを構成する半導体としては、励起子がコアに閉じ込められるように、コアを形成する半導体化合物よりもバンドギャップの高い材料を用いることで、量子ドットの発光効率を高めることができる。
このようなバンドギャップの大小関係を有するコアシェル構造(コア/シェル)としては、例えば、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、Gap/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が挙げられる。
量子ドットのサイズは、所望の波長の光が得られるように、量子ドットを構成する材料によって適宜制御すればよい。量子ドットは粒径が小さくなるに従い、エネルギーバンドギャップが大きくなる。すなわち、結晶サイズが小さくなるにつれて、量子ドットの発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へとシフトする。そのため、量子ドットのサイズを変化させることにより、紫外領域、可視領域、赤外領域のスペクトルの波長全域にわたって、その発光波長を調節することができる。
一般的には、量子ドットの粒径(直径)は0.5〜20nmの範囲であることが好ましく、特に1〜10nmの範囲であることが好ましい。なお、量子ドットのサイズ分布が狭いほど、より鮮明な発光色を得ることができる。
量子ドットの形状は特に限定されず、例えば、球状、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。量子ドットの粒径は、粒子ドットが球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
量子ドットは、樹脂で被覆されているものであってもよい。また、量子ドット含有層のバインダー樹脂の屈折率をnと、量子ドットを被覆する樹脂(被覆樹脂)の屈折率をnとした際に、n/nが1.02以上又は0.98以下の関係を満たすことが好ましい。樹脂で被覆された量子ドットは、量子ドットの耐久性を向上することができる。また、バインダー樹脂の屈折率と被覆樹脂の屈折率とが前記関係を満たすことにより、樹脂で被覆された量子ドットは、後述する内部拡散粒子の作用を奏する。
なお、本発明において、屈折率は波長450nmの光によるものとする。
量子ドットの粒径、形状、分散状態等の情報については、透過型電子顕微鏡(TEM)により得ることができる。また、量子ドットの結晶構造、粒径については、X線結晶回折(XRD)により得ることができる。さらには、紫外−可視(UV−Vis)吸収スペクトルによって、量子ドットの粒径、表面に関する情報を得ることもできる。
量子ドット含有層のバインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。これらの中でも、耐久性の観点から、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましく、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物がより好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられ、その中でもエチレン性不飽和結合基が好ましい。また、エチレン性不飽和結合基の中でも(メタ)アクリレート基が好ましい。以下、(メタ)アクリロイル基を有する電離放射線硬化性化合物を(メタ)アクリレート系化合物と称する。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。また、本明細書において、「電離放射線」は、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
電離放射線硬化性化合物は、上記官能基を1つのみ有する単官能の電離放射線硬化性化合物であってもよく、上記官能基を2つ以上有する多官能の電離放射線硬化性化合物であってもよく、これらの混合物であってもよい。
また、電離放射線硬化性化合物は、モノマーであってもよく、オリゴマーであってもよく、低分子量のポリマーであってもよく、これらの混合物であってもよい。
電離放射線硬化性化合物の中でも単官能モノマーは、重合収縮を抑制して量子ドットシートの平面性を良好にし得るとともに、量子ドット含有層の密着性を向上して量子ドットシートの初期段階及び経時的な機能低下を抑制する点で好適である。特に、量子ドット含有層の厚みが厚い場合、単官能モノマーを用いた場合の前記効果が顕著となる。
また、単官能モノマーを用いて量子ドット含有層の密着性が向上すると、接着剤層を介することなく、量子ドット含有層に光透過性基材等の部材を密着させることが可能となる。つまり、単官能モノマーを用いて量子ドット含有層の密着性を向上させることにより、量子ドットシートの構成を、量子ドット含有層を中心として厚み方向に上下対称の構成としやすくできる。また、接着剤層を介することなく、量子ドット含有層を光透過性基材等の部材に密着させることにより、量子ドットの耐湿性及び耐酸素性を向上することができる。
全電離放射線硬化性化合物中における単官能モノマーの割合は40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることがよりさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、量子ドットは湿度に弱いことから、電離放射線硬化性化合物としては、分子中に水酸基を有さないものを主成分として用いることが好ましい。具体的には、全電離放射線硬化性化合物に対する分子中に水酸基を有さない電離放射線硬化性化合物の割合が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
分子中に水酸基を含まない電離放射線硬化性化合物としては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート系化合物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート系化合物等が挙げられる。
また、電離放射線硬化性化合物は、疎水性を高めて量子ドットの耐湿性を向上する観点から、総炭素数が8以上であることが好ましい。耐湿性に加えて量子ドット含有層の密着性を考慮すると、電離放射線硬化性化合物の総炭素数は、8〜20であることがより好ましい。例えば、総炭素数が8〜20の単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、電離放射線硬化性化合物の分子量は、100〜2000であることが好ましく、120〜1000であることがより好ましく、150〜500であることがさらに好ましい。電離放射線硬化性化合物の分子量が100以上であると、製造時の液垂れを防止しやすくすることができ、分子量が2000以下であると、後述する工程(d)の貼り合わせ時の圧力で量子ドット含有層の厚みを均一化しやすくできる。
電離放射線硬化性化合物として単官能モノマーを用いる場合、製造時の液垂れ防止、量子ドット含有層の厚みの均一化、及び量子ドット含有層の密着性の観点から、単官能モノマーの分子量は、100〜500であることが好ましく、120〜400であることがより好ましく、150〜250であることがさらに好ましい。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
これら光重合開始剤は、融点が20℃以下であることが好ましい。融点が20℃以下の場合、製造時に上記の電離放射線硬化性化合物に添加する際に、室温下で容易に溶解させることができるためである。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
内部拡散粒子
量子ドット含有層中には、内部拡散粒子を含むことが好ましい。内部拡散粒子を含むことにより、高角度にまで光を拡散することができ、C0.5を60.0%以下、C1.0を85.0%以下にしやすくできる。
内部拡散粒子は、有機粒子及び無機粒子の何れも用いることができる。有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル−スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂及びポリエステル等からなる粒子が挙げられる。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア及びチタニア等からなる微粒子が挙げられる。
内部拡散粒子の形状は、球形、円盤状、ラグビーボール状、不定形等の形状が挙げられる。また、内部拡散粒子は、中空粒子、多孔質粒子及び中実粒子の何れであってもよい。
また、内部拡散粒子は、バインダー樹脂の屈折率をn、内部拡散粒子の屈折率をnとした際に、n/nが1.02以上又は0.98以下となるものを用いることが好ましい。n/nは、バインダー樹脂と内部拡散粒子との相対屈折率であり、n/nを1.02以上又は0.98以下とすることにより、高角度にまで光を拡散し、上述した条件A−1及び条件B−1を満たしやすくできる。また、n/nを1.02以上又は0.98以下とすることにより、一次光が量子ドットに衝突する確率が上がり、量子ドットの使用量を少なくすることができる。なお、屈折率は波長450nmの光によるものとする。
/nは、強い拡散性、及び偏光板の光漏れの抑制の観点から、1.10以上0.95以下、又は1.15以上0.90以下であることがより好ましい。
内部拡散粒子の屈折率はベッケ法、バインダー樹脂の屈折率はアッベ法で測定することができる。
内部拡散粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、1〜40質量部であることが好ましく、3〜30質量部であることがより好ましい。内部拡散粒子の含有量を前記範囲とすることにより、高角度まで光を拡散する一方で、偏光板の光漏れを抑制できる。
内部拡散粒子の平均粒子径は、含有量当たりの粒子数を増やして拡散の均一性を図る観点から、10μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。なお、内部拡散粒子の平均粒子径の下限は、0.1μm程度である。
内部拡散粒子の平均粒子径は、以下の(1)〜(3)の作業により算出できる。
(1)光学顕微鏡にて量子ドット含有層の透過観察画像を撮像する。倍率は500〜2000倍が好ましい。
(2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の長径及び短径を測定し、長径及び短径の平均から個々の粒子の粒子径を算出する。長径は、個々の粒子の画面上において最も長い径とする。また、短径は、長径を構成する線分の中点に直交する線分を引き、該直交する線分が粒子と交わる2点間の距離をいうものとする。
(3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を内部拡散粒子の平均粒子径とする。
後述する光拡散層の拡散粒子の平均粒子径も、上記作業にならって算出できる。
量子ドット含有層の厚みは、10〜200μmであることが好ましく、20〜150μmであることがより好ましく、30〜130μmであることがさらに好ましい。量子ドット含有層の厚みがこの範囲であれば、表示装置の軽量化および薄膜化に適しており、また、量子ドット含有層の厚みの振れ(製造公差)による色ムラを抑制できる。
量子ドット含有層の厚みは、例えば、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。STEMの加速電圧は10kv〜30kV、倍率は1000〜7000倍とすることが好ましい。
量子ドットシートを構成する他の層の厚みも、上記と同様の手法により測定できる。なお、厚みがナノオーダーの場合は、STEMの倍率は5万〜30万倍とすることが好ましい。
光透過性基材
本発明の量子ドットシートは、機械的強度及びコシの観点から光透過性基材を有することが好ましい。当該観点から、光透過性基材は、量子ドット含有層の上下にそれぞれ一枚以上有することが好ましい。
また、量子ドットシートは、量子ドット含有層の両面を光透過性基材で挟み込んでなる構成であることが好ましい。該構成によれば、量子ドット含有層を保護するとともに、量子ドットの耐酸素性及び耐湿性を向上することができる。
光透過性基材は特に制限されないが、光透過性、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものであることが好ましい。このような透明基材としては、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、アクリル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)等のプラスチックフィルムが挙げられる。
上記の中でも、機械的強度、寸法安定性及び耐熱性の観点からは、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)が好ましい。
光透過性基材の厚みは、機械的強度、コシ及び薄膜化のバランスの観点から、10〜200μmが好ましく、20〜150μmがより好ましく、30〜100μmがさらに好ましい。
光透過性基材の表面には、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理の他、アンカー剤又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
バリア層
本発明の量子ドットシートは、量子ドットの耐湿性及び耐酸素性を向上するために、バリア層を有することが好ましい。バリア層は、量子ドット含有層の一方の側のみに有していてもよいが、量子ドット含有層の両側に有することが好ましい。
バリア層は、図2のように、量子ドット含有層を挟み込む光透過性基材に設けてもよいし、図3のように別の光透過性基材に設けてもよい。
また、バリア層は、量子ドット含有層に近い側に設けることが好ましい。例えば、後述する光拡散層を有する場合、光拡散層よりも量子ドット含有層側にバリア層を設けることが好ましい。
バリア層としては、無機物又は無機酸化物からなるものであることが好ましく、無機物もしくは無機酸化物の蒸着膜、無機アルコキシドの加水分解膜が挙げられる。耐湿性及び耐酸素性の観点からは、バリア層は、無機物もしくは無機酸化物の蒸着膜であることが好ましい。
バリア層は、公知の無機物、無機酸化物及び無機アルコキシド等を用いて、公知の方法により形成することができ、その組成及び形成方法は特に限定されない。バリア層は、単層でもよく、2層以上有してもよい。バリア層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
蒸着膜の材料は、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の無機物、または、これらの酸化物等、さらにはこれらに有機物が配合されたものが挙げられる。
加水分解膜の材料である無機アルコキシドは、金属アルコキシドともよばれるものであり、テトラアルコキシシラン等のケイ素アルコキシド、チタンアルコキシド、アルミニウムアルコキシド等が挙げられる。
バリア層の厚みは、耐湿性、耐酸素性、ひび割れ抑制及び光透過性のバランスの観点から、5〜1000nmであることが好ましく、10〜700nmであることがより好ましく、10〜500nmであることがさらに好ましい。バリア層が蒸着膜の場合、バリア層の厚みは、5〜30nmであることが好ましく、7〜25nmであることがより好ましく、10〜20nmであることがさらに好ましい。
バリア層としての蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法及び光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等が挙げられる。
光拡散層
本発明の量子ドットシートは、適度な拡散によりC0.5を60.0%以下、C1.0を85.0%以下にしやすくするために、光拡散層を有することが好ましい。
光拡散層は、量子ドット含有層の一方の側のみに有していてもよいが、量子ドット含有層の両側に有することが好ましい。また、光拡散層は、量子ドットシートの最外層あるいは最外層と同一視できる位置に配置することが好ましい。光拡散層を量子ドット含有層の一方の側のみに有する場合、光拡散層は光出射面側の最外層あるいは最外層と同一視できる位置に配置することが好ましい。
なお、最外層と同一視できる位置とは、光拡散層の表面凹凸に実質的な影響を与えないような薄膜(厚み100nm以下の層)が光拡散層上に形成されている際の光拡散層の位置をいう。
光拡散層は、図1及び図2のように、量子ドット含有層を挟み込む光透過性基材上に設けてもよいし、図3のように別の光透過性基材上に設けてもよい。
光拡散層は、表面凹凸による外部拡散を有するものが好ましい。かかる光拡散層を最外層あるいは最外層と同一視できる位置に配置することにより、量子ドットシートと接触する部材(輝度向上シート等)との密着を防止できる。また、外部拡散により低〜中角度の拡散が強くなり、C0.5を60.0%以下、C1.0を85.0%以下にしやすくできる。
光拡散層は、例えば、バインダー樹脂及び拡散粒子から形成できる。
光拡散層のバインダー樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。これらの中でも、耐擦傷性の観点から、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましく、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物がより好ましい。
熱硬化性樹脂組成物及び電離放射線硬化性樹脂組成物は、量子ドット含有層で例示したものと同様のものを用いることができる。
拡散粒子の平均粒子径と、光拡散層の厚みとの比(拡散粒子の平均粒子径/光拡散層の厚み)は、0.10〜2.00であることが好ましく、0.15〜1.50であることがより好ましく、0.20〜1.00であることがさらに好ましい。
光出射面側の光拡散層の拡散粒子の平均粒子径と、光拡散層の厚みとの比を0.10以上とすることにより、強い外部拡散を付与することができる。また、光入射面側の光拡散層の拡散粒子の平均粒子径と、光拡散層の厚みとの比を0.10以上とすることにより、再帰反射性が付与され、光のリサイクル率が高まり、量子ドットの含有量を少なくすることが可能となる。また、拡散粒子の平均粒子径と、光拡散層の厚みとの比を2.00以下とすることにより、光拡散層において拡散粒子を十分に保持できる。
また、上記の比に基づく効果を得やすくする観点から、光拡散層の拡散粒子の平均粒子径は、1〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。
拡散粒子は、有機粒子及び無機粒子の何れも用いることができ、量子ドット含有層の内部拡散粒子として例示したものと同様のものを使用できる。
光拡散層の厚みは、拡散粒子の保持力及び外部拡散性の観点から、1〜30μmであることが好ましく、3〜20μmであることがより好ましい。
光拡散層の拡散粒子は、拡散性と塗膜強度のバランスの観点から、バインダー樹脂100質量部に対して、10〜200質量部であることが好ましく、30〜170質量部であることがより好ましく、50〜150質量部であることがさらに好ましい。
接着剤層
量子ドットシートを構成する各層を積層するため、各層の間に接着剤層を介在させてもよい。例えば、図3では、光透過性基材とバリアフィルムとの間、バリアフィルムと拡散フィルムとの間に接着剤層を有している。
接着剤層は、汎用の感圧型接着剤(粘着剤)、熱硬化型接着剤、電離放射線硬化型接着剤から形成することができる。
接着剤層の厚みは、接着力及び薄膜化の観点から、0.5〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。
量子ドットシートは、反射防止層、帯電防止層等の上記以外の機能層を有していてもよい。
量子ドットシートの総厚みは特に限定されないが、100〜700μm程度である。
量子ドットシートの製造方法は特に限定されないが、例えば、以下の(a)〜(d)の順で製造することができる。
(a)量子ドット含有層を基準として、量子ドット含有層の一方の面上に位置させる光透過性基材及び層を積層し、積層体Aを得る工程。
(b)量子ドット含有層を基準として、量子ドット含有層の他方の面上に位置させる光透過性基材及び層を積層し、積層体Bを得る工程。
(c)積層体A及び積層体Bの何れか一方の積層体の一方の面に、一次光を吸収して二次光を放出する量子ドット及びバインダー樹脂成分を含む量子ドット含有層塗布液を塗布し、量子ドット含有層を形成する工程。
(d)工程(c)で量子ドット含有層を形成していない積層体と、工程(c)で量子ドット含有層を形成した積層体の量子ドット含有層側の面とを貼り合わせる工程。
工程(d)では接着剤層を用いてもよいが、接着剤層を用いずに貼り合わせることにより、 図1〜3のように、量子ドット含有層を中心として厚み方向に上下対称の構成が可能となるため好ましい。
量子ドット含有層のバインダー樹脂が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である場合において、工程(d)で接着剤層を用いずに積層体A及び積層体Bを貼り合わせるためには、以下の手法を採用することが好ましい。
第一に、電離放射線硬化性樹脂組成物が単官能モノマーを含む(言い換えると、量子ドット含有層塗布液が単官能モノマーを含む)ことが好ましい。
第二に、工程(c)で量子ドット含有層を形成する際に、電離放射線を照射しないか、電離放射線の照射量を抑制して電離放射線硬化性樹脂組成物に未硬化の部分を残しておき、工程(d)の後に電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化を進行させることが好ましい
第一の手法及び第二の手法を組み合わせると、工程(d)において、接着剤層を介することなく2つの積層体を貼り合わせる作業性がより向上する点で好ましい。
[バックライト]
本発明のバックライトは、一次光を放出する少なくとも1つの光源と、前記光源に隣接して配置され、導光又は拡散のための光学板と、前記光学板の光出射側に配置された量子ドットシートとを備えたバックライトにおいて、前記量子ドットシートが上述した本発明の量子ドットシートであるものである。
量子ドットシートの上下の何れの面から光を入射してもC0.5及びC1.0が上記条件を満たす場合、バックライトに量子ドットシートを設置する向きは特に限定されない。一方、量子ドットシートの上下の何れか一方の面から光を入射した場合にのみにC0.5及びC1.0が上記条件を満たす場合、該条件を満たした際の光入射面が導光又は拡散のための光学板と対向するように、バックライトに量子ドットシートを設置するものとする。
本発明のバックライトとしては、一例として、図4に示すようなエッジライト型のバックライト、あるいは、図5に示すような直下型のバックライトを採用することができる。
図4のエッジライト型のバックライトに用いられる光学板120は、光源110で放出された一次光を導光するための光学部材であり、いわゆる導光板である。導光板は、例えば、少なくとも一つの面を光入射面とし、これと略直交する一方の面を光出射面とするように成形された略平板状の形状からなる。
導光板は、主としてポリメチルメタクリレート等の高透明な樹脂から選ばれるマトリックス樹脂からなる。導光板は、必要に応じてマトリックス樹脂と屈折率の異なる樹脂粒子が添加されていてもよい。導光板の各面は、一様な平面ではなく複雑な表面形状をしているものであってもよく、ドットパターン等が設けられていてもよい。
図5の直下型のバックライトに用いられる光学板120は、光源110のパターンを見えにくくするための光拡散性を有する光学部材(光拡散材)である。光拡散材としては、例えば、厚み1〜3mm程度の乳白色の樹脂板が挙げられる。
エッジライト型及び直下型のバックライトには、上述した光源、光学板及び量子ドットシートの他に、目的に応じて、反射板、光拡散フィルム、プリズムシート、輝度上昇フィルム(BEF)及び反射型偏光フィルム(DBEF)等から選ばれる一種以上の部材を備えていてもよい。反射板は、光学板の光出射面側と反対側に配置される。光拡散フィルム、プリズムシート、輝度上昇フィルム及び反射型偏光フィルムは、光学板の光出射面側に配置される。反射板、光拡散フィルム、プリズムシート、輝度上昇フィルム及び反射型偏光フィルム等から選ばれる一種以上の部材を備える構成とすることで、正面輝度、視野角等のバランスに優れたバックライトとすることができる。
エッジライト型及び直下型のバックライトにおいて、光源110は、一次光を放出する発光体であり、青に相当する波長の一次光を放出する発光体を用いることが好ましい。青に相当する波長の一次光は、ピーク波長が380〜480nmの範囲であることが好ましく、ピーク波長が450nmであることがより好ましい。光源110としては、バックライトを設置する装置が単純化及び小型化できるという観点から、LED光源であることが好ましく、青色単色のLED光源であることがより好ましい。光源110は、少なくとも1つであり、十分な一次光を放出するという観点から、複数個であることが好ましい。
なお、量子ドットシートの量子ドット含有層中に、第1量子ドット及び第2量子ドットの一方のみを含有する場合、青に相当する波長の一次光を放出する発光体からなる一次光源に加えて、補助光源を有することが好ましい。具体的には、量子ドット含有層中に第1量子ドットのみを含有する場合には、緑色に相当する波長の光を放出する発光体を補助光源として用いることが好ましい。また、量子ドット含有層中に第2量子ドットのみを含有する場合には、赤色に相当する波長の光を放出する発光体を補助光源として用いることが好ましい。
本発明のバックライトは、上述した本発明の量子ドットシートを用いていることから、バックライトのエッジ領域の色味、及び色味の角度依存性を改善することができる。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、バックライト及び液晶パネルを備えた液晶表示装置であって、前記バックライトが上述した本発明のバックライトであるものである。
図6は、本発明の液晶表示装置の実施の形態を示す断面図である。図6の液晶表示装置300は、バックライト200と、液晶パネル210とを備えている。また、バックライト200及び液晶パネル210は、ホルダ220に組み込まれて固定されている。
液晶パネルは、偏光板(図示せず)及びカラーフィルター(図示せず)等を備える。液晶パネルは、特に限定されず、一般的に液晶表示装置の液晶パネルとして公知のものを用いることができる。例えば、液晶層の上下をガラス板で挟んだ一般的な構造を有する液晶パネル、具体的には、TN、STN、VA、IPS及びOCB等の表示方式のものを用いることができる。
偏光板は、所望の偏光特性を備えるものであれば特に限定されず、一般的に液晶表示装置の偏光板として公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコールフィルムが延伸されてなり、ヨウ素を含有する偏光板が好適に用いられる。
カラーフィルターとしては、特に限定されず、例えば、一般的に液晶表示装置のカラーフィルターとして公知のものを用いることができる。カラーフィルターは、通常、赤色、緑色及び青色の各色の透明着色パターンから構成され、それら各透明着色パターンは、着色剤が溶解又は分散、好ましくは顔料微粒子が分散された樹脂組成物から構成される。
カラーフィルターの形成方法は、所定の色に着色したインキ組成物を調整して、着色パターン毎に印刷することによって形成する方法や、所定の色の着色剤を含有した塗料タイプの感光性樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィ法によって形成する方法が挙げられる。
液晶表示装置の表示画像は、バックライトから照射された白色光がカラーフィルターを透過することでカラー表示される。液晶表示装置は、量子ドットによるバックライトのスペクトルと適合するカラーフィルターを用いることで、明るさと効率に優れ、非常に鮮明な色を生成するディスプレイを実現することができる。
液晶パネルは、カラーフィルター上に任意の層が単層又は複層形成された構成であってもよい。上記任意の層としては特に限定されず、例えば、タッチパネル用センサー層、ハードコート層、帯電防止層、低屈折率層、高屈折率層、防眩層、防汚層、反射防止層、高誘電体層、電磁波遮蔽層、接着剤層等が挙げられる。
本発明の液晶表示装置は、上述した本発明のバックライトを用いていることから、表示画像のエッジ領域の色味、及び色味の角度依存性を改善することができる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準とする。また、屈折率は特に断りのない限り波長450nmの屈折率とする。
1.量子ドットシートの物性測定及び評価
以下のように、実施例及び比較例の量子ドットシートの物性測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
1−1.透過像鮮明度
スガ試験機社製の写像性測定器(商品名:ICM−1T)を用いて、JIS K7374:2007に準拠して、C0.25、C0.5及びC1.0を測定した。20回測定した際の平均値を表1に示す。
1−2.表面粗さ
表面粗さ測定器(型番:SE−3400/小坂研究所株式会社製)を用いて、JIS B0601:2001に準拠して、下記の測定条件により、量子ドットシートの表面のRa及びRzJISを測定した。20回測定した際の平均値を表1に示す。
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):0.8mm
・評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):4.0mm
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×2
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
1−3.エッジ領域の色味
実施例及び比較例のバックライトを点灯し、バックライトのエッジ領域の色味を正面方向から目視で評価した。全く青味が気にならないものを1点、若干青味が気になるが実用上問題ないレベルであるものを2点、青味が強く実用上問題あるレベルであるものを3点とする評価基準で、20人の被験者が評価を行い、平均点を算出した。平均点が1.50点以下のものを「AA」、平均点が1.50点超1.75点以下のものを「A」、平均点が1.75点超2.00点以下のものを「B」、平均点が2.00点超2.25点以下のものを「B」、平均点が2.25点超のものを「C」とした。
1−4.色味の角度依存性
実施例及び比較例のバックライトを点灯し、様々な方向からバックライトの中心付近の色味を目視で評価した。角度による色味の変化が全く気にならないものを1点、角度による色味の変化が若干気になるが実用上問題ないレベルであるものを2点、角度による色味の変化が大きく実用上問題あるレベルであるものを3点とする評価基準で、20人の被験者が評価を行い、平均点を算出した。平均点が1.50点以下のものを「AA」、平均点が1.50点超1.75点以下のものを「A」、平均点が1.75点超2.00点以下のものを「B」、平均点が2.00点超2.25点以下のものを「B」、平均点が2.25点超のものを「C」とした。
1−5.干渉ムラ
蛍光灯照明下で、実施例及び比較例の量子ドットシートの干渉ムラの有無を目視で観察した。干渉ムラが観察されないものを「A」、干渉ムラが若干観察されるものを「B」、干渉ムラが激しく観察されるものを「C」とした。
2.量子ドットの作製
技術文献「Journal of American Chemical Society.2007,129,15432−15433」に記載されている方法を参照し、蛍光スペクトルのピーク波長が637nmのInP/ZnSコアシェル型量子ドット(量子ドットA)、及び蛍光スペクトルのピーク波長が528nmのInP/ZnSコアシェル型量子ドット(量子ドットB)を作製した。
次いで、アミノポリスチレン(SMA社製、商品名:SMA EF80)及びエポキシ樹脂(Loctite社製、商品名:E−30CL)を溶媒に溶かした混合液に量子ドットAを添加し、量子ドットA−アミノポリスチレン混合液を調整した。該混合液の溶媒を蒸発させ、さらに混合物を硬化させて硬化物を得た後、該硬化物をボールミルで粉砕して、量子ドットAがアミノポリスチレン及びエポキシ樹脂でコーティングされてなる量子ドットCを得た。同様の作業を量子ドットBに対しても行い、量子ドットBがアミノポリスチレン及びエポキシ樹脂でコーティングされてなる量子ドットDを得た。
3.量子ドットシートの作製
[実施例1]
厚み12μmの二軸延伸PETフィルムの一方の面上に、PVD法にて酸化ケイ素からなる膜厚20nmのバリア層を形成し、バリアフィルムを得た。次いで、厚み50μmの二軸延伸PETフィルムの一方の面上に、下記処方の光拡散層塗布液a1を乾燥後の厚みが11μmとなるように塗布、乾燥した後、紫外線照射して光拡散層を形成し、光拡散フィルムを得た。次いで、光拡散フィルムと、バリアフィルムと、厚み50μmの二軸延伸PETフィルムとを、前記の順番で厚み3μmの接着剤層を介して積層し、積層体Aを得た(図3参照)。バリアフィルムと光拡散フィルムとは、両者の二軸延伸PETフィルム側の面が対向するようにして貼り合わせた。次いで、上記と同様の作業により積層体Bを得た。
次いで、積層体Aの二軸延伸PETフィルム側の面に、下記処方の量子ドット含有層塗布液b1を乾燥後の厚みが100μmとなるように塗布、乾燥し、電離放射線未照射の量子ドット含有層を形成した。
次いで、電離放射線未照射の量子ドット含有層と、積層体Bの二軸延伸PETフィルム側の面とを対向させてラミネートし、積層体Aの光拡散層側から紫外線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化を進行させ、実施例1の量子ドットシートを得た。
<光拡散層塗布液a1>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 30部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・ウレタンアクリレート 70部
(日本合成化学社製、UV1700B)
・光重合開始剤 5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.1部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・ウレタン樹脂系拡散粒子 100部
(平均粒子径3μm)
・希釈溶剤 500部
<量子ドット含有層塗布液b1>
・イソノニルアクリレート 100部
(単官能モノマー、屈折率**)
・光重合開始剤 5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・量子ドットA 0.2部
・量子ドットB 0.2部
・内部散乱粒子 20部
(真球状アルミナ、平均粒子径1.5μm、屈折率1.76)
・希釈溶剤 5部
[実施例2]
量子ドット含有層塗布液b1の内部散乱粒子を、真球状ジルコニア(平均粒子径0.1μm、屈折率2.2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の量子ドットシートを得た。
[実施例3]
光拡散層塗布液a1を下記の光拡散層塗布液a2に変更し、光拡散層の厚みを2μmに変更した以外は実施例1と同様にして積層体A及びBを得た。次いで、積層体A1及び積層体B1の光拡散層上に、下記のオーバーコート層塗布液c1を乾燥後の厚みが120nmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射してオーバーコートを形成し、積層体A1及び積層体B1を得た。次いで、積層体A1の二軸延伸PETフィルム側の面に、下記処方の量子ドット含有層塗布液b2を乾燥後の厚みが100μmとなるように塗布、乾燥し、アクリルポリオールとイソシアネートとが完全に反応していない量子ドット含有層を形成した。
次いで、量子ドット含有層と、積層体B1の二軸延伸PETフィルム側の面とを対向させてラミネートし、50℃で一週間エージング処理してアクリルポリオールとイソシアネートとの反応を進行させ、実施例3の量子ドットシートを得た。
<光拡散層塗布液a2>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 30部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・ウレタンアクリレート 70部
(日本合成化学社製、UV1700B)
・光重合開始剤 5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.1部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・ウレタン樹脂系拡散粒子 5部
(平均粒子径3μm)
・希釈溶剤 500部
<量子ドット含有層塗布液b2>
・アクリルポリオール 162部
(DIC社製、アクリディックA−807、固形分50%)
・イソシアネート 32部
(三井化学社製、タケネートD110N、固形分60%)
・量子ドットC 0.4部
・量子ドットD 0.4部
・希釈溶剤 400部
<オーバーコート層塗布液c1>
・紫外線硬化性樹脂 1部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・光重合開始剤 0.2部
(BASF社製、イルガキュア127)
・レベリング剤 0.1部
(大日精化工業社製、セイカビーム10−28(MB))
・希釈溶剤 90部
[比較例1]
光拡散層塗布液a1のウレタン樹脂系拡散粒子の添加量を0部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の量子ドットシートを得た。
[比較例2]
光拡散層塗布液a1のウレタン樹脂系拡散粒子の添加量を5部に変更し、光拡散層の厚みを3μmに変更し、量子ドット含有層塗布液1aから内部散乱粒子を除いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の量子ドットシートを得た。
4.バックライト及び液晶表示装置の作製
光源に青色LEDを用いている市販の液晶表示装置(対角7インチ)を分解し、バックライトを取り出した。バックライトはエッジライト型であり、導光板の下方に反射板、導光板の上方に光拡散フィルム、プリズムシート2枚を有するものであった。なお、2枚のプリズムシートは、下側のものと上側のものとでストライプラインが直交するものであった。
上記バックライトから光拡散フィルムを取り除き、導光板とプリズムシートとの間に、実施例1〜4及び比較例1〜2の量子ドット含有シートを配置して、実施例1〜4及び比較例1〜2のバックライトを得た。
次いで、分解した液晶表示装置のバックライトが設置されていた箇所に、実施例1〜4及び比較例1〜2のバックライトを戻し、実施例1〜4及び比較例1〜2の液晶表示装置を得た。
表1の結果から明らかなように、実施例1〜4の量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置は、比較例1〜2の量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置に比べて、エッジ領域の色味、及び色味の角度依存性を改善できることが確認できた。
10:量子ドット含有層
21a、21b、31a、31b、41a、41b:光透過性基材
30a、30b:バリアフィルム
32a、32b:バリア層
40a、40b:光拡散フィルム
42a、42b:光拡散層
51a、51b、52a、52b:接着剤層
61:積層体A
62:積層体B
100:量子ドットシート
110:光源
120:光学板
130:反射板
140:プリズムシート
200:バックライト
210:液晶パネル
220:ホルダ
300:液晶表示装置

Claims (11)

  1. 一次光を吸収して二次光を放出する量子ドット及びバインダー樹脂を含む量子ドット含有層を有する量子ドットシートであって、
    前記量子ドットシートについて、JIS K7374:2007に準拠して測定した写像性測定器の光学櫛の幅が0.5mm及び1.0mmの透過像鮮明度をC0.5及びC1.0とした際に、C0.53.0%以下であり、C1.05.0%以下である、量子ドットシート。
  2. 前記量子ドットシートについて、JIS K7374:2007に準拠して測定した写像性測定器の光学櫛の幅が0.25mmの透過像鮮明度をC0.25とした際に、C0.252.0%以下である、請求項1に記載の量子ドットシート。
  3. 前記量子ドット含有層中に内部拡散粒子を含む請求項1又は2に記載の量子ドットシート。
  4. 前記バインダー樹脂の屈折率をn、前記内部拡散粒子の屈折率をnとした際に、n/nが、1.02以上又は0.98以下である請求項3に記載の量子ドットシート。
  5. 前記量子ドット含有層の両面を光透過性基材で挟み込んでなる請求項1〜4の何れか1項に記載の量子ドットシート。
  6. さらに、光拡散層を有する請求項1〜5の何れか1項に記載の量子ドットシート。
  7. 前記量子ドットシートの少なくとも一方の表面は、JIS B0601:2001に準拠するカットオフ値0.8mmの算術平均粗さRaが0.1〜10μmである請求項1〜6の何れか1項に記載の量子ドットシート。
  8. 前記量子ドットシートが、前記量子ドット含有層の上下に、それぞれ光透過性基材、バリア層及び光拡散層を有し、かつ、量子ドット含有層を中心として上下対称の構成を有する請求項1〜7の何れか1項に記載の量子ドットシート。
  9. 一次光を放出する少なくとも1つの光源と、前記光源に隣接して配置され、導光又は拡散のための光学板と、前記光学板の光出射側に配置された量子ドットシートとを備えたバックライトにおいて、前記量子ドットシートが請求項1〜の何れか1項に記載の量子ドットシートであるバックライト。
  10. バックライト及び液晶パネルを備えた液晶表示装置であって、前記バックライトが請求項に記載のバックライトである液晶表示装置。
  11. 一次光を吸収して二次光を放出する量子ドット及びバインダー樹脂を含む量子ドット含有層を有する量子ドットシートのエッジ領域の色味及び色味の角度依存性の改善方法であって、
    前記量子ドットシートについて、JIS K7374:2007に準拠して測定した写像性測定器の光学櫛の幅が0.5mm及び1.0mmの透過像鮮明度をC 0.5 及びC 1.0 とした際に、C 0.5 が3.0%以下、C 1.0 が5.0%以下であることを判定条件として、前記判定条件を満たすものを量子ドットシートとして選択する、
    量子ドットシートのエッジ領域の色味及び色味の角度依存性の改善方法。
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