JP2019211612A - 透明スクリーン - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、高い透明性を有し、投影された映像を二重像やぼやけなく鮮明に表示でき、直接透過光を抑制することの可能な、光散乱性被膜および光制御膜を有する透明スクリーンを提供することを課題とする。【解決手段】透明基材と、該透明基材上に形成された、可視光散乱体として光散乱性粒子を有する光散乱性被膜と、該光散乱性被膜の面と対向するように配置された面を有する光制御膜と、を有する透明スクリーンであって、該光散乱性被膜は、投影機から投影された映像を表示させる膜であり、該光制御膜は、該光制御膜に対して特定角度で入射する、投影機から出射された特定入射光を散乱させ、かつ、該特定角度を除く角度で入射する通常入射光を透過させる膜であり、該光散乱性被膜と該光制御膜の距離が0〜1.5mmの範囲内である、透明スクリーン。【選択図】図1
Description
本発明は、投影機から出射された投射光を、観察者に映像として視認可能に表示する光散乱性被膜が形成された透明スクリーンに関し、特に可視光散乱体として光散乱性粒子を用いた透明スクリーンに関する。
街の商業ビルのショウウィンドウや、案内板等に、透明性を保持したまま広告等の情報を投影表示する透明スクリーンが、建築物分野において近年注目を集めている。また、建築物の分野だけでなく、自動車のフロントガラスに位置情報等を投影するディスプレイとしての透明スクリーンの利用も近年盛んに研究されており、自動車分野でも注目を集めている。上記のような透明スクリーンは、該透明スクリーンを透過した背景を視認可能である。その為、透明スクリーン設置時の美観の向上や、建築物等の開口部に設けた場合の採光性の維持、さらには透明スクリーンに映像を投影することで新たな映像表現が可能になることが期待される。
上記の透明スクリーンのなかでも、透明な分散媒体中に可視光散乱体を分散させた光散乱性被膜と、ガラス基材等の基材とを含む物品が、スクリーンの透明性や、映像の鮮明性、視野角の広さの観点から注目されている。そして、光散乱性被膜の検討例としては、特許文献1〜6のような、ダイヤモンドやシリカ等の光散乱性の微粒子(以下、「光散乱性粒子」と記載することもある)が分散された被膜が提案されている。
前述した特許文献4、5に提案されているような光散乱性粒子を有する光散乱性被膜を用いた透明スクリーンは、上記文献の実施例において高い透明性を示し、さらに映像の鮮明性、耐久性を兼ね備えていること、その他の方式(ホログラム型や虚像(ペッパーズゴースト)型など)に比較して大面積なスクリーンを低コストで製造できることから近年注目を集めている。上記のような透明スクリーンを透過型として用いた場合、特許文献4の実施例において全光線透過率は約80〜90%、特許文献5の実施例において全光線透過率は約73〜91%を示すことが開示されている。また、特許文献5には、光散乱性被膜と、可視光反射層として可視光領域において光散乱性被膜よりも高い屈折率を持つ透明層(以下、「高屈折率透明層」と記載することもある)または透明基材を有する反射型の透明スクリーンが開示されており、その実施例において、全光線透過率が約8〜70%であることが記載されている。
上記のような光散乱性被膜を利用した透明スクリーンを用いることで、窓ガラスなど建築物を利用した大型サイネージとして透明スクリーンを設置することが期待される。しかし、一方で透明スクリーンは映像を投影する投影機からの投射光の一部が該透明スクリーンを通り抜けてしまい、映像の表示に寄与しないただの透過光(以下、「直接透過光」と記載することもある)となることがある。当該直接透過光に関しては、透明スクリーンを透過型として用いても、反射型として用いても生じる現象であり、特に下記のような問題が顕在化してきている。
例えば、透明スクリーンをコンビニエンスストア等の建築物の窓等の開口部に設置した場合、観察者や通行人の視界に直接透過光が入ると眩しくなる等の問題がある。そのため、透明スクリーンを通り抜けた直接透過光を視認可能な配置ではなく、図2のように透明スクリーン1に対して斜め方向(例えば斜め上や斜め下)から投射光2aを入射させ、光源方向3a上ではない方向へ散乱光4を生じさせて、直接透過光3を視認しないような位置(観察位置X1)で映像を見せることが多い。図2のような位置で映像を見る観察者X1は、通常は透明スクリーン1に対して正対した位置にいることが想定され、そのような位置でも散乱光4によって十分に映像を視認する事が可能である。なお、この時、光源方向3a上には直接透過光3と散乱光4aが生じるが、透明性の高い透明スクリーンにおいては、直接透過光3の照度が散乱光4aよりも高くなる為に、X2の観察位置で散乱光4aによる映像を見る事は通常不可能である。
前述したように、透明スクリーン1は背景を視認可能であるという特性から、直接透過光3が通り抜ける透過側を人が行き来するような環境で使用され易いと考えられる。例えば、ショウウィンドウや建築物の開口部、各種掲示板やパーテーション等に用いた場合、透明スクリーン1を通り抜けた直接透過光3や光源方向3a上の散乱光4aは、駐車場や通路、道路等へ照射されると考えられる。このような場合、照度の高い直接透過光3が自動車の運転者や、光源方向3a上の観察者X2の位置にいる歩行者等の視界に入ったり、反射材等によって反射されたりしてしまい、当該直接透過光3が直接又は間接的に目に入って眩しいという問題がある。上記の問題は、従来の透過率の極めて低い透過型の透明スクリーンや、光沢度の極めて低い、又はヘーズの極めて高い透過型の透明スクリーンでは生じ難かった。また、従来の反射型のスクリーンは、背景が見えない方が容易に映像を明瞭に表示させられる為、そもそもスクリーンを透明にする検討自体が少なかった。
上記のような透明スクリーン特有の問題を解消する手法として、単純に投射光の強度を下げたり、透明スクリーンの透過率を下げたりする方法が挙げられるが、投影された映像の鮮明性が低下してしまうため、適しているとは言い難い。そこで、直接透過光のみを減衰、抑制する方法が検討されている。
例えば特許文献7には、プロジェクターと、透過型スクリーンと、プロジェクターからの直接光を遮断する直接光遮断手段として2つの偏光板とを備える画像表示装置が提案されている。当該文献によれば、投影機からの投射光はまず第1の偏光板を通り、次に透過型スクリーンに入射することによって散乱光を生じさせ、最後に第2の偏光板へ入射する。この時上記の2つの偏光板の偏光軸を直交させることによって、第2の偏光板で直接光のみをカットすることが可能となる。しかし、当該文献の手法では、まず偏光板に投射光を入射させ、該偏光板を通った偏光のみを用いて映像を表示させている。このような場合は、一般的に、偏光板を通さない場合に比べて可視光透過率が大きく下がってしまい、透明スクリーンとしての透明性が失われ易い。また、市販の投影機の多くはRGB光の三色の合成によってカラー映像を表示しており、各色の偏光は一般的に異なるため、特定の偏光だけを利用して映像を表示させてしまうとカラー色の再現の容易さという観点から好ましくない。
また、上記のような偏光板を利用する他にも、投射光の入射角が特定の角度の時に該投射光を散乱し散乱光とする光制御膜を用いて、上記直接透過光を減衰させる手法も検討されている。光制御膜は、特定の角度範囲の入射光のみを散乱、透過させ(不透明)、それ以外の角度範囲の入射光は直進透過させるという光学特性を有する高分子膜である(非特許文献1)。また、例えば特許文献8には、屈折率の異なる2種類の紫外線硬化性樹脂を用いて、当該2種類の紫外線効果性樹脂の混合物層に対し、ある角度から紫外線光を照射することによって、上記のような光制御膜を形成する方法が開示されている。
上記の光制御膜を用いる場合、光制御膜による散乱が生じる特定角度で投射光を該光制御膜へ入射させれば、本来直接透過光となる光が散乱し散乱光になるため、実質的に眩しく感じられなくなる。また、光散乱が生じる入射角以外の角度から入射する入射光を透過するように設計することで、透明性も概ね維持できる。
例えば特許文献9には、フレネルレンズとレンチキュラーレンズを組み合わせたスクリーンの視野角を広くする目的で、曇価に角度依存性がなく60%以上の曇価を示す第1の光制御膜と、曇価に角度依存性があり、その表面に対して0〜180°の角度で光を入射させたときに、60%以上の曇価を示す光散乱角度域が60°以上である第2の光制御膜とを積層した光制御膜積層体が開示されている。しかし、当該文献では、角度依存性のない光制御膜が、表面に対して0〜180°の角度で光を入射させたときに、60%以上の曇価を示す旨が記載されていることから、当該光制御膜積層体を用いると、投影機で投影を行なっていない状態でもスクリーンが白濁して視認されると推測され、透明性が損なわれると考えられる。
また、例えば特許文献10には、良好な入射角度依存性と、広い光拡散入射領域を得ることを目的として、入射光を異方性拡散させるための樹脂性の第1の構造領域と、入射光を等方性拡散させるための樹脂性の第2の構造領域とを有する光拡散フィルムが開示されている。当該文献によれば、第1の構造領域は屈折率の異なる少なくとも2種類の板状領域を交互に平行配置してルーバー構造としたものであり、第2の構造領域は柱状物が、該柱状物と屈折率の異なる媒体物中に林立するカラム構造としたものである。しかし、上記の第1の構造領域は拡散光の広がりの形状がフィルムと平行な面内で異なる性質を有し、より具体的には、フィルムと平行な面での形状が略楕円形になると記載されており、前述したように観察者が移動するような用途での使用には適さないと予想される。
また、上記のように光制御膜と映像を表示するスクリーンとを組み合わせた例としては、例えば特許文献11に、ホログラム素子よりも投影機側に、上下特定角度範囲からの入射光を散乱させる上下光散乱素子、及び左右特定角度範囲からの入射光を散乱させる左右光散乱素子を配設させたホログラムスクリーンが提案されている。当該文献には、ホログラムは波長選択性があるため、入射する映像光の入射角度が変わるとホログラムで回折され出射する光の波長がシフトし、特に透過型のホログラムでは色再現性が顕著に損なわれるという、潜在的な問題を有することが記載されている。その為、当該文献では、上記のように特定角度範囲からの入射光を散乱させる光散乱素子を2層用い、ホログラム素子へ入射する映像光の角度を上下左右に連続的に変化させて入射角に幅を持たせることで、映像光の入射角度に依存して色再現性が損なわれる問題を抑制可能となる旨が開示されている。また、当該文献には、左右光散乱素子を設けない場合には、斜め方向から映像を見た際に映像のコントラストが悪化する旨が記載されている。
また、本発明のような透明性の高い光散乱性被膜を光散乱層として用いたスクリーンと、光制御膜を組み合わせた例としては、例えば特許文献12に、透明基板上に、視野制御フィルタ、該視野制御フィルタ上に光散乱層、を有する反射型スクリーンが提案されている。当該文献によれば、当該視野制御フィルタは特定角度で入射する入射光を吸収し、その他の入射光を透過することによって、スクリーンを透過する透過光によるホットスポット現象を抑制可能である旨が開示されている。しかし、当該文献の図4等を鑑みると、視野制御フィルタの光吸収率は、入射角の変化に対して急峻に増減するものではなく、入射角が該特定角度に近付くに伴って徐々に増加していく挙動を有すると考えられる。すなわち、特定角度以外の角度で入射する入射光に対しても僅かな光吸収を生じてしまう場合があると予想され、不必要に背景や映像を暗くしてしまう可能性が懸念される。
北山慎一郎 etal.,「光制御機能を有する高分子膜のミクロ構造」,表面科学第12巻(1991)8号,p.496−501.
前述したように、可視光散乱体として光散乱性粒子を有する光散乱性被膜を用いた透明スクリーンは、高い透明性や映像の鮮明性、耐久性を兼ね備えていること、大面積なスクリーンを低コストで製造可能であること、色再現性が光の入射角度に依存し難いこと、等から近年注目を集めている。上記のような透明スクリーンは、窓ガラスなど建築物を利用した大型サイネージとしての設置が期待されるが、一方で高い透明性ゆえに前述したような直接透過光の問題がある。当該問題に対して、前述した光制御膜と透明スクリーンとを組み合わせることによって、スクリーンの透明性や映像の鮮明性を維持したまま、投影機からの直接透過光を減衰させることが可能になると考えられ、大型サイネージとしての利用が期待される。
上記の知見に基づいて、本発明者らが図1に示したように、透明基材10上に光散乱性被膜11、その上に光制御膜12を配置した透明スクリーン1を作製して検討を行った。当該光制御膜12で散乱が生じる角度から投射光2aを入射させたところ、直接透過光の抑制は出来たが、一方でこの時に投影された映像をX1の位置から観察すると、散乱光4により鮮明な映像が得られる場合と、二重像や映像のぼやけが生じる場合があるという、新たな問題が引き起こされることがわかった。これは大型サイネージのように複数のユーザーが様々な位置、様々な向きで映像を見る場合に問題となる。
そこで、本発明は、高い透明性を有し、投影された映像を二重像やぼやけなく鮮明に表示でき、直接透過光を抑制することの可能な、光散乱性被膜および光制御膜を有する透明スクリーンを提供することを課題とする。
本発明者らが上記の課題が生じる原因について検討したところ、透明スクリーン1を構成する光散乱性被膜11と光制御膜12は、光源方向3aからの投射光2aに対して2枚の光散乱性の膜として機能する為に各膜上にそれぞれ映像が映り、さらに光散乱性被膜11が透明性の高い膜である為に、図1のX1の位置から見た時に、光制御膜12に映る映像が光散乱性被膜11を透過して見えてしまい、二重像や映像のぼやけとして視認され易くなったと考えられる。また、上記の二重像やぼやけは、透明スクリーンを、図1に示したように透過型として用いて透過側から映像を見た場合でも、反射型として用いて投影側から映像を見た場合でも、同様に視認される。そこで本発明者らが検討した結果、光散乱性被膜と光制御膜とを配置する距離を特定の範囲内とすることにより、上記の課題を解決できることを見出した。
また、図1のX2の位置から観察した場合、通常は、光制御膜12によって直接透過光だけでなく光源方向3a上の散乱光4aも併せてカットされるため、X2の位置では映像を視認できないと考えるのが一般的である。しかし、上記のように光散乱性被膜11と光制御膜12を1層ずつ組み合わせた透明スクリーン1を用いて同様の検討を行ったところ、図1の光源方向3a上のX2の位置から観察した場合、直接透過光、二重像、及び映像のぼやけが抑制された上で、良好な映像を視認可能であることが併せてわかった。
すなわち本発明は、透明基材と、
該透明基材上に形成された、可視光散乱体として光散乱性粒子を有する光散乱性被膜と、
該光散乱性被膜の面と対向するように配置された面を有する光制御膜と、を有する透明スクリーンであって、
該光散乱性被膜は、投影機から投影された映像を表示させる膜であり、
該光制御膜は、該光制御膜に対して特定角度で入射する、投影機から出射された特定入射光を散乱させ、かつ、該特定角度を除く角度で入射する通常入射光を透過させる膜であり、
該光散乱性被膜と該光制御膜の距離が0〜1.5mmの範囲内である、透明スクリーンである。
該透明基材上に形成された、可視光散乱体として光散乱性粒子を有する光散乱性被膜と、
該光散乱性被膜の面と対向するように配置された面を有する光制御膜と、を有する透明スクリーンであって、
該光散乱性被膜は、投影機から投影された映像を表示させる膜であり、
該光制御膜は、該光制御膜に対して特定角度で入射する、投影機から出射された特定入射光を散乱させ、かつ、該特定角度を除く角度で入射する通常入射光を透過させる膜であり、
該光散乱性被膜と該光制御膜の距離が0〜1.5mmの範囲内である、透明スクリーンである。
また、本発明の透明スクリーンは、前記光散乱性被膜の膜厚が0.1〜500μmであるのが好ましい。
また、本発明の透明スクリーンは、前記光制御膜の膜厚が1〜500μmであるのが好ましい。
また、本発明の透明スクリーンは、前記光散乱性粒子が、ダイヤモンド粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化スズ粒子、酸化鉄粒子、チタン酸カルシウム粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、チタン酸バリウム粒子、酸化ニオブ粒子、酸化タンタル粒子、多孔質シリカ粒子、及び中空シリカ粒子からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
また、本発明の透明スクリーンは、前記透明基材がガラス基材であることが好ましい。
また、本発明の透明スクリーンは、前記光散乱性被膜が、全光線透過率が70%以上であることが好ましい。
また、本発明の透明スクリーンは、前記光制御膜が、前記特定角度で入射する白色の入射光を散乱させ、白色の散乱光を生じさせるものであることが好ましい。
また、本発明の透明スクリーンは、前記光制御膜の法線方向を0°とした時、前記特定入射光は該光制御膜へ入射角θで入射し、該入射角θがα≦θ≦β(−90°<α、β<90°、α<β)で表される散乱角度範囲内に入るものであり、該散乱角度範囲が30°以上であることが好ましい。
また、本発明の透明スクリーンは、前記特定入射光に対するヘーズH(θ)が50%以上を示すものであることが好ましい。
また、本発明の透明スクリーンは、前記光制御膜に対し、0°から入射する通常入射光の可視光透過率が50%以上であり、前記特定入射光の可視光透過率が35%以下であることが好ましい。
また、本発明の透明スクリーンは、透過型の透明スクリーンであることが好ましい。
また、本発明の透明スクリーンは、反射型の透明スクリーンであることが好ましい。
また、本発明は、透明スクリーンに映像を投影する投影機と、
前述した透明スクリーンと、を備える映像投影システムであって、
該投影機は、映像を投影するための投射光を出射するものであり、
該透明スクリーンは、少なくとも該投射光が入射する側とは反対側の面に映像を表示するものであり、
該投射光は、該透明スクリーンの前記光制御膜に対して、少なくとも前記特定角度で入射する特定入射光である、映像投影システムである。
前述した透明スクリーンと、を備える映像投影システムであって、
該投影機は、映像を投影するための投射光を出射するものであり、
該透明スクリーンは、少なくとも該投射光が入射する側とは反対側の面に映像を表示するものであり、
該投射光は、該透明スクリーンの前記光制御膜に対して、少なくとも前記特定角度で入射する特定入射光である、映像投影システムである。
また、本発明は、透明スクリーンに映像を投影する投影機と、
前述した透明スクリーンと、を備える映像投影システムであって、
該投影機は、映像を投影するための投射光を出射するものであり、
該透明スクリーンは、該投射光が入射する投影側に映像を表示するものであり、
該投射光は、該透明スクリーンの前記光制御膜に対して、少なくとも前記特定角度で入射する特定入射光である、映像投影システムである。
前述した透明スクリーンと、を備える映像投影システムであって、
該投影機は、映像を投影するための投射光を出射するものであり、
該透明スクリーンは、該投射光が入射する投影側に映像を表示するものであり、
該投射光は、該透明スクリーンの前記光制御膜に対して、少なくとも前記特定角度で入射する特定入射光である、映像投影システムである。
本発明によって、高い透明性、耐久性を有し、投影された映像を二重像やぼやけなく鮮明に表示でき、直接透過光を抑制することの可能な、光散乱性被膜および光制御膜を有する透明スクリーンを提供することが可能となった。さらに、本発明の透明スクリーンは、従来直接透過光によって映像を視認できなかった位置から見た場合でも、直接透過光、二重像、及び映像のぼやけがない良好な映像を表示することが可能である。
1:用語の説明
本明細書で用いる用語を以下に説明する。
本明細書で用いる用語を以下に説明する。
<各方向>
本明細書では、図1〜図4に示したように、透明スクリーン1を設置した際に、該透明スクリーン1の水平方向を示す方向をX方向、当該透明スクリーン1の面に対する法線方向をY方向、及び当該X方向と直交し、かつ当該透明スクリーン1の面と平行となる方向をZ方向と、それぞれ記載する。また、Yマイナス方向を投射光2aが入射する「投影側」、Yプラス方向を「透過側」と記載することもある。また、Zマイナス方向を「下」、Zプラス方向を「上」と記載することもある。また、光制御膜がない場合に投影機2からの直接透過光3が生じる方向を光源方向3aとし、該光源方向3a上での観察位置又は観察者X2とする。
本明細書では、図1〜図4に示したように、透明スクリーン1を設置した際に、該透明スクリーン1の水平方向を示す方向をX方向、当該透明スクリーン1の面に対する法線方向をY方向、及び当該X方向と直交し、かつ当該透明スクリーン1の面と平行となる方向をZ方向と、それぞれ記載する。また、Yマイナス方向を投射光2aが入射する「投影側」、Yプラス方向を「透過側」と記載することもある。また、Zマイナス方向を「下」、Zプラス方向を「上」と記載することもある。また、光制御膜がない場合に投影機2からの直接透過光3が生じる方向を光源方向3aとし、該光源方向3a上での観察位置又は観察者X2とする。
<特定角度、散乱角度範囲、各入射光>
本明細書における「特定角度」とは、光制御膜12へ入射する入射光が、該光制御膜12によって散乱される入射角度を示すものとする。また、特定角度で入射する入射光のうち、投影機2から出射された入射光を「特定入射光」、特定角度を除く角度で入射する入射光を「通常入射光」、上記特定角度の角度範囲を「散乱角度範囲」とそれぞれ記載する。
また、本明細書では、光制御膜12の投影側の面(X−Z面)に対する法線方向(Yマイナス方向)を0°とする時、光散乱が生じる最小入射角度をα、最大入射角度をβとし、入射角度α〜βを散乱角度範囲とする(−90°<α、β<90°、α<β)。また、上記の「特定入射光」については、光制御膜12へ入射角θで入射し、該入射角θがα≦θ≦βの範囲内に入るとしてもよい。
本明細書における「特定角度」とは、光制御膜12へ入射する入射光が、該光制御膜12によって散乱される入射角度を示すものとする。また、特定角度で入射する入射光のうち、投影機2から出射された入射光を「特定入射光」、特定角度を除く角度で入射する入射光を「通常入射光」、上記特定角度の角度範囲を「散乱角度範囲」とそれぞれ記載する。
また、本明細書では、光制御膜12の投影側の面(X−Z面)に対する法線方向(Yマイナス方向)を0°とする時、光散乱が生じる最小入射角度をα、最大入射角度をβとし、入射角度α〜βを散乱角度範囲とする(−90°<α、β<90°、α<β)。また、上記の「特定入射光」については、光制御膜12へ入射角θで入射し、該入射角θがα≦θ≦βの範囲内に入るとしてもよい。
<投射光、透過光、映像、背景>
本明細書では、透明スクリーン1に映像2bを投影する目的で投影機2から出射された光を投射光2aと記載し、透明スクリーン1を透過した光を透過光と記載する。また、上記投射光2aが透明スクリーン1で散乱され、生じた散乱光4によって映像2bが視認可能となる。また、上記投影機2からの投射光2aのうち、透明スクリーン1を通り抜けて映像2bの視認に寄与しない透過光を直接透過光3と記載する。また、投射光2bがなくとも透明スクリーン1を透過して見える透過像(例えば、透過側から見た投影側の透過像)を背景と記載することもある。
本明細書では、透明スクリーン1に映像2bを投影する目的で投影機2から出射された光を投射光2aと記載し、透明スクリーン1を透過した光を透過光と記載する。また、上記投射光2aが透明スクリーン1で散乱され、生じた散乱光4によって映像2bが視認可能となる。また、上記投影機2からの投射光2aのうち、透明スクリーン1を通り抜けて映像2bの視認に寄与しない透過光を直接透過光3と記載する。また、投射光2bがなくとも透明スクリーン1を透過して見える透過像(例えば、透過側から見た投影側の透過像)を背景と記載することもある。
<透明、透明性>
本明細書における「透明」とは、投影機等での投影を行なっていない場合でも、透明スクリーンを透過して背景等を視認可能であることを指すものとする。また、上記の背景等が視認不可となるような強い白濁や着色を有さないとしてもよい。
また、本明細書の「透明性」とは、投影機で投影していない状態で透明スクリーンを観察した際に、透明スクリーンの背景を視認可能であることを指すものとする。また、本明細書の実施例においては、透明スクリーンの透過側の面に対し垂直方向へ1m離れた位置に観察者が立ち、投影側の面から3m離れた位置に置いた物体を、該透明スクリーン越しに目視で観察した場合に、当該物体を鮮明に視認できたものを「透明性が高い」とした。なお、この時観察者は、光制御膜による散乱を視認できない位置から観察するものとする。また、より好ましくは前述した通常入射光に対する可視光透過率が50%以上、ヘーズが50%以下であることを示すものとしてもよい。
本明細書における「透明」とは、投影機等での投影を行なっていない場合でも、透明スクリーンを透過して背景等を視認可能であることを指すものとする。また、上記の背景等が視認不可となるような強い白濁や着色を有さないとしてもよい。
また、本明細書の「透明性」とは、投影機で投影していない状態で透明スクリーンを観察した際に、透明スクリーンの背景を視認可能であることを指すものとする。また、本明細書の実施例においては、透明スクリーンの透過側の面に対し垂直方向へ1m離れた位置に観察者が立ち、投影側の面から3m離れた位置に置いた物体を、該透明スクリーン越しに目視で観察した場合に、当該物体を鮮明に視認できたものを「透明性が高い」とした。なお、この時観察者は、光制御膜による散乱を視認できない位置から観察するものとする。また、より好ましくは前述した通常入射光に対する可視光透過率が50%以上、ヘーズが50%以下であることを示すものとしてもよい。
<可視光透過率>
本明細書における「可視光透過率」は、透明スクリーンに対して所望の角度で光を入射させ、分光光度計V670及び測定ユニットARSN733(日本分光社)によって測定して得た透過スペクトルを用いて、JIS R3106:1998に記載の計算方法に従って算出した値を用いるものとする。なお、当該可視光透過率はTvis(θ)と記載することもあり、その場合のθは測定光の入射角を示すものとする。
本明細書における「可視光透過率」は、透明スクリーンに対して所望の角度で光を入射させ、分光光度計V670及び測定ユニットARSN733(日本分光社)によって測定して得た透過スペクトルを用いて、JIS R3106:1998に記載の計算方法に従って算出した値を用いるものとする。なお、当該可視光透過率はTvis(θ)と記載することもあり、その場合のθは測定光の入射角を示すものとする。
<ヘーズ、全光線透過率>
本明細書における「ヘーズ」及び「全光線透過率」は、JIS K7136:2000、JIS K7361−1:1997の規格に準拠して、ヘーズメーター(スガ試験機製、HZ−T)によって測定して得た値を用いるものとする。なお、この時、透明スクリーンに対して角度0°で光を入射させ、測定するものとする。
本明細書における「ヘーズ」及び「全光線透過率」は、JIS K7136:2000、JIS K7361−1:1997の規格に準拠して、ヘーズメーター(スガ試験機製、HZ−T)によって測定して得た値を用いるものとする。なお、この時、透明スクリーンに対して角度0°で光を入射させ、測定するものとする。
<ヘーズH(θ)>
本明細書における「ヘーズH(θ)」は、透明スクリーンに対して所望の角度θで光を入射させた際の、光の入射角度に依存するヘーズを表すものとする。当該ヘーズH(θ)は、分光ヘーズメーター(SH7000、日本電色工業製)によって測定した値を用いるものとする。測定時は測定光を所望の角度θで測定用サンプルへ入射させるが、これは測定用サンプルを付属の角度変更アタッチメントに設置し、該角度変更アタッチメントを動かすことによって、該測定用サンプルを光軸に対して回転させ、透明スクリーンに対して所望の角度θで光を入射させた際のヘーズH(θ)を測定するものとする。
本明細書における「ヘーズH(θ)」は、透明スクリーンに対して所望の角度θで光を入射させた際の、光の入射角度に依存するヘーズを表すものとする。当該ヘーズH(θ)は、分光ヘーズメーター(SH7000、日本電色工業製)によって測定した値を用いるものとする。測定時は測定光を所望の角度θで測定用サンプルへ入射させるが、これは測定用サンプルを付属の角度変更アタッチメントに設置し、該角度変更アタッチメントを動かすことによって、該測定用サンプルを光軸に対して回転させ、透明スクリーンに対して所望の角度θで光を入射させた際のヘーズH(θ)を測定するものとする。
2:透明スクリーン
本発明の透明スクリーン、及び透明スクリーンの各部材について、以下に記載する。
本発明の透明スクリーン、及び透明スクリーンの各部材について、以下に記載する。
<透明スクリーン>
本発明の透明スクリーンは、透明基材と、該透明基材上に形成された、可視光散乱体として光散乱性粒子を有する光散乱性被膜と、該光散乱性被膜の面と対向するように配置された面を有する光制御膜と、を有する透明スクリーンであって、該光散乱性被膜は、投影機から投影された映像を表示させる膜であり、該光制御膜は、該光制御膜に対して特定角度で入射する、投影機から出射された特定入射光を散乱させ、かつ、該特定角度を除く角度で入射する通常入射光を透過させる膜であり、該光散乱性被膜と該光制御膜の距離が0〜1.5mmの範囲内である、透明スクリーンである。
本発明の透明スクリーンは、透明基材と、該透明基材上に形成された、可視光散乱体として光散乱性粒子を有する光散乱性被膜と、該光散乱性被膜の面と対向するように配置された面を有する光制御膜と、を有する透明スクリーンであって、該光散乱性被膜は、投影機から投影された映像を表示させる膜であり、該光制御膜は、該光制御膜に対して特定角度で入射する、投影機から出射された特定入射光を散乱させ、かつ、該特定角度を除く角度で入射する通常入射光を透過させる膜であり、該光散乱性被膜と該光制御膜の距離が0〜1.5mmの範囲内である、透明スクリーンである。
図3の(a)〜(c)に示したように、本発明の光散乱性被膜11と光制御膜12とは、それぞれ対向する面を有する。また、該光散乱性被膜11と該光制御膜12とは、X−Z面と平行面を有するように配置されるとしてもよい。本発明は、光を散乱させる光散乱性被膜11と、特定角度から入射する特定入射光を散乱させる光制御膜12とを両方有する透明スクリーン1において、二重像や映像のぼやけといった問題を解決するために、該光散乱性被膜11と該光制御膜12との距離dが0〜1.5mmの範囲内となるように配置させたものである。1.5mmを超えると、高解像度(小さいドットサイズ)で映像を表示させ該映像を斜め方向から視認する場合や、図1のように投影機2の投射光2aを透明スクリーン1に対して斜め方向から入射させ、観察者X1の位置から映像を見た場合に、二重像または映像のぼやけが生じてしまう。好ましくは1.3mm以下、より好ましくは1.1mm以下としてもよい。また、上記の距離は極力近い方が望ましく、距離dが0mmの時上記の膜は接触しており、0mmを超える時は接触していない。なお、本明細書では、図3に示したように、光散乱性被膜11の面と対向する光制御膜12の面(X−Z面と平行な面)との距離のうち、最も小さいものを距離dとする。
また、光散乱性被膜11及び光制御膜12の厚みが厚くなるに伴って、観察者X1の移動により二重像や映像のぼやけ等が生じ易くなる場合がある。そのため、上記の光散乱性被膜11のX−Z面と平行な面と、光制御膜12のX−Z面と平行な面と、の距離のうち、最も大きいものを距離lとし、当該距離lを1.5mm以下とするのが好ましい。より好ましくは1.3mm以下としてもよい。下限値は各膜や介在する層、透明基材等の厚みに応じて決定されればよく、特に限定するものではない。
前述したように、透明基材10と光散乱性被膜11は一体化されていれば接触していても、任意の固体層13を介して一体化されているものでもよい。また、光制御膜12は、光散乱性被膜11との距離dが0〜1.5mmの範囲内であれば一体化されていても、一体化されていなくてもよい。また、透明基材10、光散乱性被膜11、及び光制御膜12が一体化されているのが好ましい。上記のように光制御膜12が一体化されている場合は、図3に示したように、(a)該光散乱性被膜11と該光制御膜12の間、(c)該透明基材10と該光制御膜12の間に、固体層13を有していてもよい。
上記の固体層13としては、エチレン酢酸ビニルやポリビニルブチラールなどの合わせガラス中間膜に用いられる樹脂層や、金属膜、金属酸化物膜、金属窒化物膜などの薄膜や、当該薄膜の積層体などが挙げられる。また、光散乱性被膜11や光制御膜12を予め透明フィルム上に形成したものを用いた場合は、基材とした透明フィルムや粘着層、ハードコート層、密着性改善層等が挙げられる。
また、透明スクリーン1は、図3の(b)、(c)のように透明基材10のX−Z面の投影側と透過側にそれぞれ光散乱性被膜11と光制御膜12を設け、該光散乱性被膜11と該光制御膜12とを透明基材10を介して積層しても、(a)のように該透明基材10のどちらか一方に光散乱性被膜11と光制御膜12を積層するものでもよい。また、光散乱性被膜11に対する光制御膜12の配置は、該光散乱性被膜11よりも投影側でも透過側でも、どちらでもよい。また、当該透明スクリーン1の透過側のX−Z面を屋外に露出させるような場合は、傷への耐久性や耐候性の点から透明基材10としてガラス基材を用い、該ガラス基材が屋外側に露出するようにするのが好ましい。この時、屋内側に光散乱性被膜11と光制御膜12を配置するが、該光散乱性被膜11を保護する目的で、図3の(a)のように該光散乱性被膜11よりも投影側に光制御膜12を配置するのが好ましい。
本発明の透明スクリーン1は、光制御膜12を用いることによって、特定入射光を散乱させる。前述した散乱角度範囲において、該特定入射光に対する透明スクリーン1のヘーズH(θ)が、50%以上であるのが好ましい。上記ヘーズH(θ)が50%以上だと、直接透過光をより効果的に抑制することが可能となる。また、上限値は特に限定されるものではないが、例えば99%以下としてもよい。また、散乱角度範囲外の通常入射光に対する透明スクリーン1のヘーズH(θ)は、透明性を損なわないのであれば特に限定されるものではない。例えば50%以下が好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下としてもよい。
また、本発明の透明スクリーン1は、上記の散乱角度範囲内において、特定入射光に対する可視光透過率Tvis(θ)が35%以下であるのが好ましい。Tvis(θ)が35%を超えると、直接透過光を抑制し難くなる場合がある。また、通常入射光に対する可視光透過率Tvis(θ)が50%以上であるのが好ましい。より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上としてもよい。通常入射光の可視光透過率が50%以上だと、透明スクリーン1の背面がより透けて見えるため、透明スクリーン1に映し出された映像2bとの融合等、透明スクリーン1としての特性が活かしやすいため好適である。
本発明の透明スクリーンは、少なくとも透過側に映像を表示することが可能である。また、透明性が高い為、投影側から見た場合でも映像を視認することが可能である。従って、透過側から映像を観察するように用いる場合「透過型」として、投影側から映像を観察するように用いる場合「反射型」として、それぞれ利用することが可能である。また、特に本発明の透明スクリーンは透明性が高いものであることから、透過側に映像を表示する、透過型の透明スクリーンとして用いるのが好ましい。
また、前述したように、本発明の透明スクリーンを反射型として用いてもよい。反射型として用いる場合は、光散乱性被膜11よりも透過側に反射層(図示しない)を設けることで、映像をより鮮明にすることが可能なため好ましい。また、この時光制御膜12は、前述した光散乱性被膜11との距離dが0〜1.5mmの範囲内となるのであれば、反射層よりも透過側に設けられるものでも、投影側に設けられるものでもよい。また、光散乱性被膜11と光制御膜12との間に、反射層を設けるのがより好ましい。
上記の反射層は透明であることが望ましく、例えば光散乱性被膜11よりも高い屈折率を有する透明層(以下、「高屈折率透明層」と記載することもある)とすることが挙げられる。当該高屈折率透明層としては、酸化チタン薄膜、窒化チタン薄膜、アルミニウム薄膜、銀薄膜、ステンレス薄膜、窒化ステンレス薄膜等やその積層体が挙げられる。また、膜厚や膜構成は、所望の可視光反射率になるように適宜選択されればよく、既知のスパッタリングや化学蒸着法、ゾルゲルコーティングなどの物理成膜法や化学成膜法等を用いて、適宜成膜することができる。さらには拡散反射性を発現させるために高屈折率透明層に凹凸構造を付与してもよい。また、上記反射層の可視光反射率が30%以上となるようにすると、投影側に表示される映像をより鮮明とすることが可能なため好適である。また、透明性と反射機能を両立させる目的で、可視光反射率を70%以下としてもよい。
<透明基材>
使用する透明基材としては、透明であり、耐候性等の耐久性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、ガラス基材、プラスチック製の樹脂板やフィルム基材等が挙げられ、特に耐候性や耐熱性等に優れたガラス基材を用いるのが好ましい。
使用する透明基材としては、透明であり、耐候性等の耐久性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、ガラス基材、プラスチック製の樹脂板やフィルム基材等が挙げられ、特に耐候性や耐熱性等に優れたガラス基材を用いるのが好ましい。
ガラス基材としては、例えば、ソーダ石灰ガラスやアルミノシリケートガラス、硼珪酸ガラス、無アルカリガラスなど、各種のガラス材料を板状に成型したガラス板を用いることができる。ガラス板としては公知のフロートガラス板や網入りガラス板等を用いることが出来る。また、ガラス板をさらに加工した、風冷強化ガラス、化学強化ガラス、倍強化ガラス、合わせガラス等を透明基材として用いてもよく、また、ガラス板の表面に各種フィルムや膜等が形成されたフィルム積層ガラスや膜付きガラスを用いてもよい。
また、プラスチック製の樹脂板やフィルム基材としては、例えば、ポリカーボネート樹脂や、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリアミド樹脂、その他のプラスチック製の透明基材が挙げられる。
透明基材の大きさは用途に応じて適宜決定されればよく、特に限定するものではない。また、板厚についても、使用される態様で必要とされる強度等に応じて適宜選択されればよい。例えば、板厚を0.5〜30mm、好ましくは1〜30mmとしてもよい。また、一般的な建築用の窓材や掲示板等としては1〜30mmとしてもよく、車両用の窓材やヘッドアップディスプレイ等として用いる場合は、0.5〜5mm程度としてもよい。また、図3の(b)、(c)のように、透明基材10の両面に光散乱性被膜11と光制御膜12をそれぞれ設ける場合は、距離dが1.5mm以下となるように、板厚を0.5〜1.5mmとするのが好ましく、より好ましくは0.5〜1.3mm、さらに好ましくは0.5〜1.0mmとしてもよい。
また、透明基材としては、表面が平坦な基材だけでなく、透明性を妨げない範囲で、表面に凹凸がある基材やパターンを形成した基材を用いても良い。表面に凹凸がある基材やパターンを形成した基材では、光散乱性に加えて表面の凹凸やパターンによる光学反射の効果も得られ、表面が平坦な基材とは異なる外観を得ることが出来る。
透明基材は、平板でも、曲面形状を有する湾曲板でも良い。湾曲板の曲面形状は、二次元的に曲げられたものでも、三次元的に曲げられたものでもよく、湾曲板の曲率半径の最小値が0.5m〜3mの範囲内となるものを用いるのが好ましい。また、より好ましくは0.9m〜2.6mとしてもよい。
透明基材としてガラス基材を用いる場合は、光散乱性被膜や光制御膜との密着性を向上させるために、酸化セリウム等で表面を予め研磨し、ガラス板表面の汚れ等を除去しておくことが好ましい。
<光散乱性被膜>
本発明の光散乱性被膜は、透明基材上に形成された被膜であり、可視光散乱体として光散乱性粒子を有する。当該光散乱性被膜は、可視光散乱体が投影機からの投射光を広い角度で散乱することで、透明スクリーンとして映像を表示することができる。
また、当該光散乱性被膜は、投影機から投影された映像を表示させる膜であり、少なくとも透過側に映像を表示させることが可能である。なお、上記の「透明基材上」とは、透明基材と一体化していればよく、透明基材の表面に接触するものでも、任意の膜や層、フィルム等の固体層を介して透明基材と一体化するものでもよい。
本発明の光散乱性被膜は、透明基材上に形成された被膜であり、可視光散乱体として光散乱性粒子を有する。当該光散乱性被膜は、可視光散乱体が投影機からの投射光を広い角度で散乱することで、透明スクリーンとして映像を表示することができる。
また、当該光散乱性被膜は、投影機から投影された映像を表示させる膜であり、少なくとも透過側に映像を表示させることが可能である。なお、上記の「透明基材上」とは、透明基材と一体化していればよく、透明基材の表面に接触するものでも、任意の膜や層、フィルム等の固体層を介して透明基材と一体化するものでもよい。
また、本発明の光散乱性被膜は、被膜中に含有される可視光散乱体が投射光を広い角度で散乱し、その波長依存性も少ないため、投影機−透明スクリーン−観察者の三者の位置関係に由来する映像の色ずれが原理的に少ない。これは、透明スクリーンに映像を表示させて大型サイネージとして使用する場合、すなわち複数のユーザーが同じ映像を同時に視認する環境において、ユーザー間での映像の色味の差が出にくくなるため、好適に利用出来る。
光散乱性被膜の膜厚は0.1〜500μmであることが好ましい。0.1μm未満だと、光散乱性粒子を被膜中に含有可能な量が限られるため、十分な光散乱性が得られず、映像の鮮明性が不足する場合がある。また、500μmより大きい膜厚では、光散乱性被膜に対して斜めから表示映像を視認した際、光散乱性被膜上に表示される映像が膜厚方向ににじんでしまい、映像の解像度や輝度が不足しやすい。表示される映像をにじみなく精細に保つためには、より好ましくは0.5〜300μm、さらに好ましくは1〜100μmとしてもよい。
光散乱性被膜のヘーズは、照明環境や投影機等の使用環境にもよるが、2〜40%が好ましい。2%未満だと十分な散乱光量が得られず、限られた使用環境のみでしか透明スクリーン上の映像を視認できなくなる場合がある。40%を超えると透明性を損ない易くなり、透明スクリーン越しに見る背景等の視認性が不足しやすい。より好ましくは4〜35%としてもよい。
また、光散乱性被膜が高い透明性を有し、かつ良好な映像輝度を有するとして、光散乱性被膜の全光線透過率を70%以上とするのが好ましい。また、より好ましくは78%以上としてもよい。
本発明の光散乱性被膜は、分散媒体中に光散乱性粒子を分散させ、該分散媒体を透明基材上に塗布することによって得る事が出来る。上記の分散媒体は、光散乱性被膜の透明性を損なわないために、透明なものを用いるのが好ましい。透明な分散媒体の例としては、有機高分子や無機高分子等が挙げられる。有機高分子としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ジアセチルセルロース樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等があげられる。また、無機高分子としては、ケイ素や、チタン、ジルコニウム、鉄、亜鉛、錫、ハフニウム、タングステンなどの原子を中心として、酸素原子を介して網目状に高分子化した無機酸化物高分子が挙げられる。このような無機酸化物高分子としては、例えば、シリカ等のケイ素酸化物や、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ハフニウム、酸化タングステンなどの原料又は出発材料を挙げることができ、またこれらを混合して用いることもできる。
前記光散乱性粒子は、ダイヤモンド粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化スズ粒子、酸化鉄粒子、チタン酸カルシウム粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、チタン酸バリウム粒子、酸化ニオブ粒子、酸化タンタル粒子、多孔質シリカ粒子、及び中空シリカ粒子からなる群から選ばれる少なくとも1つであるのが好ましい。特に、酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、及びダイヤモンド粒子が、屈折率が高く、強い光散乱性を示し、さらに屈折率の波長依存性が小さく、映像の色ずれが起こりにくいため、透明スクリーンの透明性と映像の鮮明性とを両立できる点で好ましい。
使用する光散乱性粒子の平均粒子径は、100〜600nmとするのが好ましく、150〜550nmがさらに好ましい。平均粒子径が100nm未満だと、光散乱性被膜の光散乱性が不十分になることがある。また600nmを超えると、ヘーズが過度に高くなってしまい、光散乱性被膜の外観が白濁等の不良を生じやすくなることがある。なお、ここで平均粒子径とは、動的光散乱法で水中での体積分布を測定して得られた粒度分布におけるD50値(累積50%粒径)を指すものとする。
上記の光散乱性粒子は、前記分散媒体中に体積比で0.1〜30%となるように分散保持させることが好ましい。この範囲で調製することで、前記光散乱性被膜を前述の好ましいヘーズ、及び全光線透過率に調整し易い。
<光制御膜>
光制御膜は、光制御膜に対して特定角度で入射する、投影機から出射された特定入射光を散乱、及び該特定角度を除く角度で入射する通常入射光を透過させる膜である。投射光を特定角度で光制御膜へ入射させることによって、前述した直接透過光を抑制することが可能となる。また、投影機から出射された特定入射光の他にも、当該特定角度で入射する入射光は散乱される。その為、特定角度の角度範囲内に入る方向から該光制御膜を観察すると、該光制御膜は不透明な膜として視認される。
光制御膜は、光制御膜に対して特定角度で入射する、投影機から出射された特定入射光を散乱、及び該特定角度を除く角度で入射する通常入射光を透過させる膜である。投射光を特定角度で光制御膜へ入射させることによって、前述した直接透過光を抑制することが可能となる。また、投影機から出射された特定入射光の他にも、当該特定角度で入射する入射光は散乱される。その為、特定角度の角度範囲内に入る方向から該光制御膜を観察すると、該光制御膜は不透明な膜として視認される。
また、後述する実施例において本発明者らが検討を行ったところ、光制御膜を透明基材上に設け、光散乱性被膜がない状態で特定入射光を入射させた場合、直接透過光は抑制するが、映像は薄く、ほとんど視認出来ないことがわかった。しかし本発明のように当該光制御膜と光散乱性被膜とを組み合わせると、直接透過光を抑制し、さらに図1や図4のX1〜X3の位置から観察しても映像を視認することが可能になる。
また、光制御膜は、前記特定角度で入射する白色の入射光を散乱させ、白色の散乱光を生じさせるものであるのが好ましい。なお、本明細書において、「前記特定角度で入射する白色の入射光を散乱させ、白色の散乱光を生じさせる」とは、標準イルミナントD65光源からの入射光を散乱する場合に、生じる散乱光の色度が、CIE1931色空間におけるYxy表色系において、0.28<x<0.34、かつ0.30<y<0.36の範囲内となることを指すものとする。
また、光制御膜は、該光制御膜の法線方向を0°とした時、前記特定入射光は該光制御膜へ入射角θで入射し、該入射角θがα≦θ≦β(−90°<α、β<90°、α<β)で表される散乱角度範囲内に入るものであり、該散乱角度範囲β−αが30°以上であるのが好ましい。より好ましくは40°以上、さらに好ましくは50°以上としてもよい。散乱角度範囲β−αが30°未満だと、短焦点プロジェクターなどを投影機として用いた場合に、レンズ等で大きく広げられた投射光に対して散乱可能な範囲が不足してしまうことがある。また、上限値は用途に応じて適宜決定されればよく特に限定されるものではないが、当該散乱角度範囲内で入射する光は散乱されることから、過度に広い範囲だと透明スクリーンの透明性を損なう場合もある。そのため、例えば90°以下としてもよい。
上記の散乱角度範囲内において、特定入射光に対する光制御膜のヘーズH(θ)が、50%以上であるのが好ましい。上記のヘーズH(θ)が50%以上だと、直接透過光をより効果的に抑制することが可能となる。また、上限値は特に限定されるものではないが、例えば99%以下としてもよい。また、散乱角度範囲外の通常入射光に対する光制御膜のヘーズ(H)は、透明性を損なわないのであれば特に限定されるものではない。例えば、10%以下が好ましいとしてもよい。
また、上記の散乱角度範囲内において、特定入射光に対する光制御膜の可視光透過率Tvis(θ)が35%以下であるのが好ましい。Tvis(θ)が35%を超えると、直接透過光の抑制が不十分になることがある。また、通常入射光に対する光制御膜の可視光透過率Tvis(θ)が50%以上であるのが好ましい。より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上としてもよい。通常入射光の可視光透過率が50%以上だと、透明スクリーンの背面がより透けて見えるため、透明スクリーンに映し出された映像との融合等、透明スクリーンとしての特性が活かしやすいため好適である。
光制御膜は、代表的には、屈折率が異なる少なくとも2種類の光重合可能なモノマー又はオリゴマーを含有する組成物に対して、線状光源を用いて活性エネルギー線を一定の方向から照射して硬化させることで得られる。この時、活性エネルギー線を一定方向から照射するため、当該照射方向に対応して、組成物内に特定方向の相分離が誘起される。この相分離は、組成物に含まれる屈折率の異なる樹脂が分離し、特定方向に層構造を形成したものであり、特定角度で入射する入射光のみを散乱させることが可能となる。散乱の強度や、散乱を生じる角度は、用いる組成物および上記照射光を照射する方向を変えることによって適宜決定することが可能である。活性エネルギー線としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LED、ショートアークランプ、無電極水銀ランプ等の光源を用いる事ができる。
上記の光重合可能なモノマー又はオリゴマーは、分子内に、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などの重合可能な官能基を少なくとも1個有する化合物を用いるのが好ましい。
モノマーとしては例えば、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシポリプロピレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、エトキシフェニルフェノールアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、フェノキシエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、リン酸2−アクリロイルオキシエチル、イソシアナートアクリレート、ビフェニルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントラシルアクリレート、ベンジルフェニルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、フェニルカルビトールアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ω−ヒドロキシヘキサノイルオキシエチルアクリレート、アクリロイルオキシエチルサクシネート、アクリロイルオキシエチルフタレート、トリブロモフェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレートや、これらのアクリレートに対応するメタクリレートなどが挙げられる。
また、オリゴマーとしては例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリオールポリアクリレート、変性ポリオールポリアクリレート、イソシアヌル酸骨格のポリアクリレート、メラミンアクリレート、ヒダントイン骨格のポリアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートなどのアクリレートや、これらのアクリレートに対応するメタクリレートなどが挙げられる。
上記のような光制御膜が形成された市販のフィルムとしては、住友化学株式会社製「ルミスティー」、リンテック株式会社製「ウインコス(X−1515、Y−2555、Z−2555、W−0055)」、株式会社巴川製紙所製「ライトコントロールフィルム」、大日本印刷株式会社製「視野角制御フィルム」等が挙げられる。
また、光制御膜は、透明基材の表面や、光散乱性被膜の表面に塗布液を塗布・乾燥して形成しても良いし、光制御膜が形成されたフィルムを用いてもよい。また、当該フィルムを用いる場合は、飛散防止機能や紫外線カット機能、熱線カット機能、ハードコート、防犯機能、電磁遮蔽機能等、他の機能を合わせ持った層や膜、フィルムを用いて、当該光制御膜又は当該光制御膜が形成されたフィルムと積層し、多層構造としてもよい。
また、前述したように、活性エネルギー線を一定方向から照射して光制御膜を得たものを用いる場合、通常は一定方向の光のみを散乱させる。その為、透明スクリーンに対して光源である投影機が複数ある場合等は、該光制御膜を複数用いてもよい。また、投影機から出射される投射光に対して散乱角度範囲が十分な時は、該光制御膜を1枚のみ用いるのが簡便であり好ましい。
光制御膜の膜厚は1μm〜500μmとすることが好ましい。1μm未満であると、光制御膜中の前述した層構造を通り抜けてしまう投射光の割合が増加し、十分な直接透過光の抑制効果を得られない場合がある。また、500μmを超えると、前述した二重像やぼやけの抑制が不十分になることがある。より好ましくは10μm〜400μm、さらに好ましくは30μm〜300μmとしてもよい。
<その他の実施形態>
本発明の透明スクリーンは合わせガラスとしてもよい。具体的には、第一のガラス板に光散乱性被膜と光制御膜を設け、第二のガラス板は通常のガラス板を用いて、第一のガラス板と第二のガラス板とを、ポリビニルブチラール樹脂(以下、PVBと記載することもある)等の中間樹脂膜を介して一体化させた合わせガラスが挙げられる。また、第一のガラス板に光散乱性被膜を、第二のガラス板に光制御膜をそれぞれ設けて、同様に合わせガラスとしてもよい。また、任意の透明フィルム(例えばPETフィルム等)上に光散乱性被膜や光制御膜が形成されたものを用い、該透明フィルムを複数の中間樹脂膜で挟持した積層フィルムを2枚のガラス板間に挟み、一体化させて合わせガラスとしてもよい。この時、光散乱性被膜又は光制御膜が積層フィルム内に含まれるものでも、光散乱性被膜及び光制御膜が積層フィルム内に含まれるものでもよい。上記のように合わせガラスとする場合も、前述の二重像や映像のぼやけが生じることが懸念される為、前記光散乱性被膜と前記光制御膜との膜間の距離は1.5mm以下とする。
本発明の透明スクリーンは合わせガラスとしてもよい。具体的には、第一のガラス板に光散乱性被膜と光制御膜を設け、第二のガラス板は通常のガラス板を用いて、第一のガラス板と第二のガラス板とを、ポリビニルブチラール樹脂(以下、PVBと記載することもある)等の中間樹脂膜を介して一体化させた合わせガラスが挙げられる。また、第一のガラス板に光散乱性被膜を、第二のガラス板に光制御膜をそれぞれ設けて、同様に合わせガラスとしてもよい。また、任意の透明フィルム(例えばPETフィルム等)上に光散乱性被膜や光制御膜が形成されたものを用い、該透明フィルムを複数の中間樹脂膜で挟持した積層フィルムを2枚のガラス板間に挟み、一体化させて合わせガラスとしてもよい。この時、光散乱性被膜又は光制御膜が積層フィルム内に含まれるものでも、光散乱性被膜及び光制御膜が積層フィルム内に含まれるものでもよい。上記のように合わせガラスとする場合も、前述の二重像や映像のぼやけが生じることが懸念される為、前記光散乱性被膜と前記光制御膜との膜間の距離は1.5mm以下とする。
本発明の透明スクリーンは複層ガラスとしてもよい。具体的には、第一のガラス板に光散乱性被膜と光制御膜を設け、第二のガラス板は通常のガラス板を用いて、所定距離を隔てて対向させ、スペーサー及び接着樹脂を介して一体化させた複層ガラスが挙げられる。また、該複層ガラスは、前記第一のガラス板、前記第二のガラス板、及びスペーサーによって囲まれた空間に空気や任意のガス等が封止された中空層を有する。
3:映像投影システム
本発明は、透明スクリーンに映像を投影する投影機と、前述した透明スクリーンと、を備える映像投影システムであって、該投影機は、映像を投影するための投射光を出射するものであり、該透明スクリーンは、少なくとも該投射光が入射する側とは反対側の面に映像を表示するものであり、該投射光は、該透明スクリーンの前記光制御膜に対して、少なくとも前記特定角度で入射する特定入射光である、映像投影システムである。
本発明は、透明スクリーンに映像を投影する投影機と、前述した透明スクリーンと、を備える映像投影システムであって、該投影機は、映像を投影するための投射光を出射するものであり、該透明スクリーンは、少なくとも該投射光が入射する側とは反対側の面に映像を表示するものであり、該投射光は、該透明スクリーンの前記光制御膜に対して、少なくとも前記特定角度で入射する特定入射光である、映像投影システムである。
図4には、本発明の映像投影システム50の一例を示した。図4を参照しながら、本発明の映像投影システム50の好適な実施形態のひとつについて以下に記載する。図4には本発明の透明スクリーン1を透過型として用いる場合の、透過型の映像投影システムを示しているが、これに限定されるものではない。なお、前述した透明スクリーン1についての記載と重複する内容については省略するものとする。
<投影機>
投影機2は、透明スクリーン1に映像2bを投影する為の装置であり、公知のプロジェクター等を用いることが出来る。また、当該投影機2を投影側に配置し、投射光2aを出射するのが簡便であり好ましい。当該投影機2の投射光2aを出射する方向(図4では光源方向3aと同じ)は、該投射光2aが透明スクリーン1へ特定角度θで入射するように、適宜選択されればよい。当該特定角度θは、光制御膜によって光散乱を生じる散乱角度範囲内に入るものとする。また、必要に応じて当該投影機2と透明スクリーン1との間にミラー等の反射体を配置して、投射光2aを反射させてもよい。
投影機2は、透明スクリーン1に映像2bを投影する為の装置であり、公知のプロジェクター等を用いることが出来る。また、当該投影機2を投影側に配置し、投射光2aを出射するのが簡便であり好ましい。当該投影機2の投射光2aを出射する方向(図4では光源方向3aと同じ)は、該投射光2aが透明スクリーン1へ特定角度θで入射するように、適宜選択されればよい。当該特定角度θは、光制御膜によって光散乱を生じる散乱角度範囲内に入るものとする。また、必要に応じて当該投影機2と透明スクリーン1との間にミラー等の反射体を配置して、投射光2aを反射させてもよい。
<投射光>
投射光2aは、透明スクリーン1へ入射し散乱されることによって、少なくとも該透明スクリーン1の透過側に映像2bとして表示される。また、投射光2aを、透明スクリーン1の光制御膜に対して特定入射光として入射させることによって、直接透過光を抑制することができる。また、該投射光2aによって、光制御膜での散乱光に起因する映像も併せて生じる。当該映像は、光制御膜のみを観察した場合は明確に視認されるものではないが、光散乱性被膜と組み合わせることにより、観察者X1やX3の位置のように移動しながら観察する際に良好な映像として視認することが可能となる。
投射光2aは、透明スクリーン1へ入射し散乱されることによって、少なくとも該透明スクリーン1の透過側に映像2bとして表示される。また、投射光2aを、透明スクリーン1の光制御膜に対して特定入射光として入射させることによって、直接透過光を抑制することができる。また、該投射光2aによって、光制御膜での散乱光に起因する映像も併せて生じる。当該映像は、光制御膜のみを観察した場合は明確に視認されるものではないが、光散乱性被膜と組み合わせることにより、観察者X1やX3の位置のように移動しながら観察する際に良好な映像として視認することが可能となる。
<映像投影システム>
図4に示したような実施形態における、透過型の映像投影システム50は、投影機2及び透明スクリーン1を備え、該投影機2から出射した投射光2aによって、該透明スクリーン1の透過側に映像を表示するものである。さらに、該投射光2aが透明スクリーン1に対して特定入射光として入射し、直接透過光が抑制される機能を有するシステムである。また、当該投影機2は、出射する投射光2aが特定入射光として入射可能であり、かつ該透明スクリーン1に映像2bを表示可能な距離で、該透明スクリーン1に対する向きや位置を決定すればよい。
また、当該映像投影システム50を用いる場合、表示される映像2bの観察者の観察位置(X1〜X3)及び視線5の向きは、透明スクリーン1の映像を表示する面(X−Z面、以下「映像表示面」と記載することもある)の、該観察者の視線5に対する相対的な位置や、高さ、向き等に影響されるものであり、特に限定されるものではない。
図4に示したような実施形態における、透過型の映像投影システム50は、投影機2及び透明スクリーン1を備え、該投影機2から出射した投射光2aによって、該透明スクリーン1の透過側に映像を表示するものである。さらに、該投射光2aが透明スクリーン1に対して特定入射光として入射し、直接透過光が抑制される機能を有するシステムである。また、当該投影機2は、出射する投射光2aが特定入射光として入射可能であり、かつ該透明スクリーン1に映像2bを表示可能な距離で、該透明スクリーン1に対する向きや位置を決定すればよい。
また、当該映像投影システム50を用いる場合、表示される映像2bの観察者の観察位置(X1〜X3)及び視線5の向きは、透明スクリーン1の映像を表示する面(X−Z面、以下「映像表示面」と記載することもある)の、該観察者の視線5に対する相対的な位置や、高さ、向き等に影響されるものであり、特に限定されるものではない。
ここで、映像2bの観察者の観察位置(X1〜X3)、及び視線5の向きについて以下に記載する。図4には、観察者の視線5と映像表示面との交点5aを含む、該映像表示面の法線方向(Yプラス方向)を0°とした時、該法線と観察者の視線5とが成す角度を視認角φ(−90°<φ<90°)として記載している。
なお、図4では光源方向3aの延長線上にいない観察位置をX1、X3、光源方向3aの延長線上の観察位置をX2とした。また、X1の位置にいる観察者は、透明スクリーン1に対して視認角φ=0°で正対して映像2bを見るものとし、X3の位置にいる観察者は、視線5が視認角φとなるように映像2bを見るものとする。また、X2の位置にいる観察者の視線5の向きは特に定めないが、該X2の位置にいる観察者の視線5が、光源方向3aを示す直線と一致する場合、当該観察者には該透明スクリーン1が不透明になっているように視認される。また、観察者X1やX3の位置で映像2bを視認する時、該映像2bを見上げたり見下ろしたりしない場合は、視認角φはX−Y面上に含まれるとしてもよい。
なお、図4では光源方向3aの延長線上にいない観察位置をX1、X3、光源方向3aの延長線上の観察位置をX2とした。また、X1の位置にいる観察者は、透明スクリーン1に対して視認角φ=0°で正対して映像2bを見るものとし、X3の位置にいる観察者は、視線5が視認角φとなるように映像2bを見るものとする。また、X2の位置にいる観察者の視線5の向きは特に定めないが、該X2の位置にいる観察者の視線5が、光源方向3aを示す直線と一致する場合、当該観察者には該透明スクリーン1が不透明になっているように視認される。また、観察者X1やX3の位置で映像2bを視認する時、該映像2bを見上げたり見下ろしたりしない場合は、視認角φはX−Y面上に含まれるとしてもよい。
通常、透明スクリーン1を視認する通行人は移動によって視認角φを変えながら映像2bを視認する。そのため、前述したように透明スクリーン1を見る該通行人の視線5と、光源方向3aを示す直線とが、一致しないようにするのが好ましい。また、透明スクリーン1を見る観察者の視線5に対して、少なくとも斜め方向から投射光2aが入射するように、投影機2を配置するのが好ましいとしてもよい。透明スクリーン1を見る観察者の視線5の延長線上から投射光2aが特定入射光として入射するような配置の場合、光制御膜の光散乱により該透明スクリーン1が不透明に視認されることになる。観察者が通行人の場合、移動に伴って透明スクリーン1越しに見える視線5の延長線上の背景の見え方が変わる(特定方向のみ透明性が低くなる等)ことになり、通行人の視野に違和感を生じる場合がある。
また、例えば、通行人が道路や通路、床等を移動し、X−Y面が地面と平行な水平面上にある場合、透明スクリーン1を地面に対して垂直に立てかける(透明スクリーンのX−Z面が、地面に対して垂直になるように配置する)のが好ましい。この時、投影機2を上方又は下方に配置し、投射光2aが特定入射光として光制御膜へ入射するように、斜め上方又は下方から投射光2aを出射するのが好ましい。
また、投影機2と透明スクリーン1の間の投射距離が長いと、当該映像投影システム用のスペースを広く取る必要が生じることから、投射距離は短いほうが好ましい。また、投影機2として、短い投射距離でも大画面を投影可能な短焦点プロジェクターを用いることがより好ましい。上記の短焦点プロジェクターは投射距離を短くすることが可能な為、例えば前述したように透明スクリーン1へ上から映像2bを投影する場合、天井の高さや設置スペース等の制約を受け難くすることが可能である。
また、投射距離が短いことから、透明スクリーン1に対して角度をつけて投射光2aを入射させることができ、入射角θが大きくなるように配置し易い。投射光2aの入射角θが大きいほど、透明スクリーン1が不透明として視認される位置X2を該透明スクリーン1表面に近付けることが出来る。通常、観察者が透明スクリーン1を見る場合は、該透明スクリーン1表面と適度な距離を取って映像2bを見ると予想されることから、透明スクリーン1が透明に見える範囲を実質的に広げることが可能となる。
また、投射距離が短いことから、透明スクリーン1に対して角度をつけて投射光2aを入射させることができ、入射角θが大きくなるように配置し易い。投射光2aの入射角θが大きいほど、透明スクリーン1が不透明として視認される位置X2を該透明スクリーン1表面に近付けることが出来る。通常、観察者が透明スクリーン1を見る場合は、該透明スクリーン1表面と適度な距離を取って映像2bを見ると予想されることから、透明スクリーン1が透明に見える範囲を実質的に広げることが可能となる。
また、当該映像投影システム50は、建築物の開口部等の窓材や、屋内用の透明な掲示板やパーテーション等として用いるのが好ましい。該窓材として用いる場合は、前述したように、透明基材としてガラス基材を用いて、該ガラス基材側が屋外に露出するように配置するのが好適である。また、特に、大型の透明スクリーン1を店舗用の窓ガラスやパーテーション、ショウウィンドウ等として用いる場合、映像を投影する面積が大きくなるに伴って、前述した観察位置X2に該当する範囲が広くなると考えられる。本発明の透明スクリーン1は直接透過光をカットし、さらに観察位置X2で観察した場合でも映像2bを視認することが可能であるため、映像を視認可能な範囲を広くとる事が出来、好適に用いる事が可能である。
<その他実施形態>
前述したように、本発明は透明スクリーンに反射層を形成し、反射型の透明スクリーンとして用いることも可能である。この時の映像投影システムは、透明スクリーンに映像を投影する投影機と、前述した透明スクリーンと、を備える映像投影システムであって、該投影機は、映像を投影するための投射光を出射するものであり、該透明スクリーンは、該投射光が入射する投影側に映像を表示するものであり、該投射光は、該透明スクリーンの前記光制御膜に対して特定入射光として入射するものである、反射型の映像投影システムとするのが好ましい。
前述したように、本発明は透明スクリーンに反射層を形成し、反射型の透明スクリーンとして用いることも可能である。この時の映像投影システムは、透明スクリーンに映像を投影する投影機と、前述した透明スクリーンと、を備える映像投影システムであって、該投影機は、映像を投影するための投射光を出射するものであり、該透明スクリーンは、該投射光が入射する投影側に映像を表示するものであり、該投射光は、該透明スクリーンの前記光制御膜に対して特定入射光として入射するものである、反射型の映像投影システムとするのが好ましい。
当該実施形態の場合、映像は投影側で視認され、透過側で映像を視認可能であることは必須ではない。しかし前述したように、透明スクリーンの性質上、透過側を通行人が行き交うような環境に該映像投影システムを設ける可能性があり、その場合も透過側の通行人に対して直接透過光は抑制される必要がある。また、透過側の通行人に対しても、透明スクリーン越しに見える背景の見え方が変わる(特定方向のみ透明性が低くなる等)事を抑制することが好ましい。その為、透明スクリーンを見る観察者(又は通行人)の視線と、前述した光源方向を示す直線とが、一致しないようにするのが好ましい。
本発明の実施例及び比較例を以下に記載する。しかし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
1:測定用サンプルの作製
以下に記載する方法で、各測定用サンプルを作製した。また、各膜の構成、及び透明基材の厚みを表1に記載した通りとした。なお、表中の「FL4」や「FL1.0」等の記載は、透明基材として厚み4mmや1mmのフロートガラス板を用いた旨を示すものである。また、表中の「―」は測定していないことを示すものである。
以下に記載する方法で、各測定用サンプルを作製した。また、各膜の構成、及び透明基材の厚みを表1に記載した通りとした。なお、表中の「FL4」や「FL1.0」等の記載は、透明基材として厚み4mmや1mmのフロートガラス板を用いた旨を示すものである。また、表中の「―」は測定していないことを示すものである。
[実施例1]
(基材の準備)
200mm角で板厚4.0mmのクリア系のフロートガラス板の表面を酸化セリウムで研磨した後、イオン交換水で洗浄後、乾燥させてガラス基材を準備した。
(基材の準備)
200mm角で板厚4.0mmのクリア系のフロートガラス板の表面を酸化セリウムで研磨した後、イオン交換水で洗浄後、乾燥させてガラス基材を準備した。
(光散乱性被膜形成用塗布液の調製)
まず、多結晶ダイヤモンド粒子(サミットスーパーアブレーシブ製PCD0−1、屈折率2.42、体積平均粒子径D50値440nm)1gとイオン交換水45gを混合し、洗浄槽にて25℃で10分間超音波分散し、さらにポリビニルピロリドン(PVP、キシダ化学製、重量平均分子量36万)を4g加えて攪拌して、分散液A(ダイヤモンド濃度:2質量%)を得た。次に、ガラス容器に、エタノール(20.92g)、イオン交換水(3.47g)、テトラエトキシシラン(TEOS、2.21g)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS、0.94g)、及び1規定硝酸(0.20g)を加え、更に上記の分散液A(2.25g)を加え、室温(20℃)で2時間攪拌して、光散乱性被膜形成用塗布液(多結晶ダイヤモンド粒子3質量%、全固形分濃度5質量%)を得た。
まず、多結晶ダイヤモンド粒子(サミットスーパーアブレーシブ製PCD0−1、屈折率2.42、体積平均粒子径D50値440nm)1gとイオン交換水45gを混合し、洗浄槽にて25℃で10分間超音波分散し、さらにポリビニルピロリドン(PVP、キシダ化学製、重量平均分子量36万)を4g加えて攪拌して、分散液A(ダイヤモンド濃度:2質量%)を得た。次に、ガラス容器に、エタノール(20.92g)、イオン交換水(3.47g)、テトラエトキシシラン(TEOS、2.21g)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS、0.94g)、及び1規定硝酸(0.20g)を加え、更に上記の分散液A(2.25g)を加え、室温(20℃)で2時間攪拌して、光散乱性被膜形成用塗布液(多結晶ダイヤモンド粒子3質量%、全固形分濃度5質量%)を得た。
なお、上記の全固形分は、(1)多結晶ダイヤモンド粒子、(2)ポリビニルピロリドン(PVP)、(3)TEOSのSiO2換算分、(4)GPTMSのR−SiO3/2換算分(Rは、3−グリシドキシプロピル基)の合計値(1)+(2)+(3)+(4)とした。
(光散乱性被膜の形成)
ガラス基材の一方の表面に、前記光散乱性被膜形成用塗布液をスピンコート法にて膜厚が2μmとなるように塗布した後、260℃の電気炉内で10分間焼成し、光散乱性被膜の形成されたガラス基材を作製した。
ガラス基材の一方の表面に、前記光散乱性被膜形成用塗布液をスピンコート法にて膜厚が2μmとなるように塗布した後、260℃の電気炉内で10分間焼成し、光散乱性被膜の形成されたガラス基材を作製した。
(光制御膜の形成)
光散乱性被膜上に、光制御膜を有する市販の視野角制御フィルム(Y−2555、リンテック製)を貼付し、測定用サンプルを得た。当該視野角制御フィルムは、フィルムの法線方向を0°とし、当該法線上から観察した時、0°の方向から入射する入射光は透過するので透明に、+25°〜+55°の方向の特定角度で入射する入射光は光散乱によって不透明に見えるフィルムである。なお、視野角制御フィルムの光制御膜の膜厚は約130μm、光制御膜とフィルムの貼付面との距離は約100μmであった。すなわち、本実施例における光散乱性被膜と光制御膜の距離は0.1mmであった。また、得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
光散乱性被膜上に、光制御膜を有する市販の視野角制御フィルム(Y−2555、リンテック製)を貼付し、測定用サンプルを得た。当該視野角制御フィルムは、フィルムの法線方向を0°とし、当該法線上から観察した時、0°の方向から入射する入射光は透過するので透明に、+25°〜+55°の方向の特定角度で入射する入射光は光散乱によって不透明に見えるフィルムである。なお、視野角制御フィルムの光制御膜の膜厚は約130μm、光制御膜とフィルムの貼付面との距離は約100μmであった。すなわち、本実施例における光散乱性被膜と光制御膜の距離は0.1mmであった。また、得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
[実施例2]
ガラス基材の板厚を4.0mmから0.4mmとして、実施例1と同様に光散乱性被膜が形成されたガラス基材を用意した。次に、光散乱性被膜が形成されていない方の表面に、実施例1と同様の視野角制御フィルム(Y−2555、リンテック製)を貼付し、測定用サンプルとした。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
ガラス基材の板厚を4.0mmから0.4mmとして、実施例1と同様に光散乱性被膜が形成されたガラス基材を用意した。次に、光散乱性被膜が形成されていない方の表面に、実施例1と同様の視野角制御フィルム(Y−2555、リンテック製)を貼付し、測定用サンプルとした。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
[実施例3]
ガラス基材の板厚を0.7mmとした以外は、実施例2と同様に測定用サンプルを作製した。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
ガラス基材の板厚を0.7mmとした以外は、実施例2と同様に測定用サンプルを作製した。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
[実施例4]
ガラス基材の板厚を1.0mmとした以外は、実施例2と同様に測定用サンプルを作製した。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
ガラス基材の板厚を1.0mmとした以外は、実施例2と同様に測定用サンプルを作製した。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
[実施例5]
ガラス基材の板厚を1.1mmとした以外は、実施例2と同様に測定用サンプルを作製した。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
ガラス基材の板厚を1.1mmとした以外は、実施例2と同様に測定用サンプルを作製した。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
[実施例6]
ガラス基材の板厚を1.3mmとした以外は、実施例2と同様に測定用サンプルを作製した。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
ガラス基材の板厚を1.3mmとした以外は、実施例2と同様に測定用サンプルを作製した。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
[比較例1]
200mm角で板厚4.0mmのクリア系のフロートガラス板を準備し、測定用サンプルとした。
200mm角で板厚4.0mmのクリア系のフロートガラス板を準備し、測定用サンプルとした。
[比較例2]
光制御膜を設けない他は、実施例1と同様の方法で測定用サンプルを得た。得られた測定用サンプルは、光散乱性被膜側を投影側とした。
光制御膜を設けない他は、実施例1と同様の方法で測定用サンプルを得た。得られた測定用サンプルは、光散乱性被膜側を投影側とした。
[比較例3]
光散乱性被膜を設けない他は、実施例1と同様の方法で測定用サンプルを得た。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
光散乱性被膜を設けない他は、実施例1と同様の方法で測定用サンプルを得た。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
[比較例4]
ガラス基材の板厚を1.6mmとした他は、実施例2と同様の方法で測定用サンプルを得た。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
ガラス基材の板厚を1.6mmとした他は、実施例2と同様の方法で測定用サンプルを得た。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
[比較例5]
ガラス基材の板厚を1.8mmとした他は、実施例2と同様の方法で測定用サンプルを得た。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
ガラス基材の板厚を1.8mmとした他は、実施例2と同様の方法で測定用サンプルを得た。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
[比較例6]
ガラス基材の板厚を2.0mmとした他は、実施例2と同様の方法で測定用サンプルを得た。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
ガラス基材の板厚を2.0mmとした他は、実施例2と同様の方法で測定用サンプルを得た。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
[比較例7]
ガラス基材の板厚を4.0mmとした他は、実施例2と同様の方法で測定用サンプルを得た。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
ガラス基材の板厚を4.0mmとした他は、実施例2と同様の方法で測定用サンプルを得た。得られた測定用サンプルは、光制御膜側を投影側とした。
2:光学特性と官能評価
実施例及び比較例で得た測定用サンプルを用いて、以下の光学特性を測定、及び官能評価を行なった。尚、前述したように、測定用サンプルに用いた光制御膜は、測定用サンプルを0°の位置から該測定用サンプルに正対して観察した時は透明に、0°の位置から+25°〜+55°の方向を向いて測定用サンプルを観察した時は不透明に見えるものである。
実施例及び比較例で得た測定用サンプルを用いて、以下の光学特性を測定、及び官能評価を行なった。尚、前述したように、測定用サンプルに用いた光制御膜は、測定用サンプルを0°の位置から該測定用サンプルに正対して観察した時は透明に、0°の位置から+25°〜+55°の方向を向いて測定用サンプルを観察した時は不透明に見えるものである。
(1)ヘーズ、全光線透過率
測定用サンプルのヘーズ、全光線透過率を、JIS K7136:2000、JIS K7361−1:1997の規格に準拠して、ヘーズメーター(スガ試験機製、HZ−T)を用いて測定した。得られた結果を表1に示した。
測定用サンプルのヘーズ、全光線透過率を、JIS K7136:2000、JIS K7361−1:1997の規格に準拠して、ヘーズメーター(スガ試験機製、HZ−T)を用いて測定した。得られた結果を表1に示した。
(2)官能評価
実施例及び比較例で得た測定用サンプルを用いて、以下の方法で官能評価を行なった。なお、いずれの評価時も、測定用サンプルの映像表示面が床に対して垂直になるように測定用サンプルを設置した。また、不透明に見える範囲が上方になるように、測定用サンプルの向きを選択した。得られた結果を表1に示した。
実施例及び比較例で得た測定用サンプルを用いて、以下の方法で官能評価を行なった。なお、いずれの評価時も、測定用サンプルの映像表示面が床に対して垂直になるように測定用サンプルを設置した。また、不透明に見える範囲が上方になるように、測定用サンプルの向きを選択した。得られた結果を表1に示した。
[透明性]
測定用サンプルの透過側の面に対し垂直方向へ1m離れた位置に観察者が立ち、投影側の面から3m離れた位置に置いた物体を、該透明スクリーン越しに目視で観察した。この時、当該物体を鮮明に視認できたものを「透明性が高い」として、表中に「○」と記載した。なお、この時観察者は測定用サンプルに対して正対し、かつ測定用サンプルを見上げたり見下ろしたりしない向きで観察するものとする。
測定用サンプルの透過側の面に対し垂直方向へ1m離れた位置に観察者が立ち、投影側の面から3m離れた位置に置いた物体を、該透明スクリーン越しに目視で観察した。この時、当該物体を鮮明に視認できたものを「透明性が高い」として、表中に「○」と記載した。なお、この時観察者は測定用サンプルに対して正対し、かつ測定用サンプルを見上げたり見下ろしたりしない向きで観察するものとする。
[映像、直接透過光]
市販のプロジェクター(ASUS製P3B)を用いて、各測定用サンプルに映像を表示させ、映像の鮮明性、二重像の有無、及び直接透過光の眩しさについて評価した。この時、測定用サンプルの中央部に対し角度θ=45°で投射光を入射させ、測定用サンプルにカラー映像を投影した。プロジェクターは該測定用サンプルの上方から角度θで投射光が入射するように配置するものとする。また、映像の観察は測定用サンプルの透過側から行い、該測定用サンプルに対して正対し、かつ測定用サンプルを見上げたり見下ろしたりしない向きで視認角度を変えながら観察するものとする。また、プロジェクターの解像度はWXGA(1280x800)、投影像のサイズはおよそ320x200mmで固定した。各評価基準を以下に示す。
市販のプロジェクター(ASUS製P3B)を用いて、各測定用サンプルに映像を表示させ、映像の鮮明性、二重像の有無、及び直接透過光の眩しさについて評価した。この時、測定用サンプルの中央部に対し角度θ=45°で投射光を入射させ、測定用サンプルにカラー映像を投影した。プロジェクターは該測定用サンプルの上方から角度θで投射光が入射するように配置するものとする。また、映像の観察は測定用サンプルの透過側から行い、該測定用サンプルに対して正対し、かつ測定用サンプルを見上げたり見下ろしたりしない向きで視認角度を変えながら観察するものとする。また、プロジェクターの解像度はWXGA(1280x800)、投影像のサイズはおよそ320x200mmで固定した。各評価基準を以下に示す。
[映像の鮮明性]
1:投影された映像が極めてはっきりと見える
2:投影された映像が見える
3:映像が薄い、もしくはほとんど見えない
評価1及び2を合格とした。
1:投影された映像が極めてはっきりと見える
2:投影された映像が見える
3:映像が薄い、もしくはほとんど見えない
評価1及び2を合格とした。
[二重像]
1:投影された映像が極めてはっきりと見える
2:投影された映像の縁がぼけてわずかに二重に見えるが気にならない
3:投影された映像がぼけて二重に見える
4:投影された映像が見えない
評価1及び2を合格とした。
1:投影された映像が極めてはっきりと見える
2:投影された映像の縁がぼけてわずかに二重に見えるが気にならない
3:投影された映像がぼけて二重に見える
4:投影された映像が見えない
評価1及び2を合格とした。
[直接透過光の眩しさ]
1:透明スクリーン越しにプロジェクターを覗き込んでも直接透過光が眩しくない
2:透明スクリーン越しにプロジェクターを覗き込むと直接透過光がわずかに眩しい
3:透明スクリーン越しにプロジェクターを覗き込むと直接透過光が眩しい
評価1及び2を合格とした。
1:透明スクリーン越しにプロジェクターを覗き込んでも直接透過光が眩しくない
2:透明スクリーン越しにプロジェクターを覗き込むと直接透過光がわずかに眩しい
3:透明スクリーン越しにプロジェクターを覗き込むと直接透過光が眩しい
評価1及び2を合格とした。
以上より、実施例1〜6はいずれも鮮明な映像が得られ、かつ直接透過光による眩しさを十分抑制出来るものだった。また、良好な透明性を有していた。また、光散乱性被膜と光制御膜の距離が1.0mm以下の実施例1〜3は二重像を高度に抑制できるものだった。また、実施例4〜6は映像の縁にややぼやけが見られたものの、実使用には全く問題のないものだった。
一方で、膜を形成しなかった比較例1は、映像も二重像も見えず、かつ直接透過光によって眩しく感じられるものだった。また、光散乱性被膜のみを有する比較例2は、映像が鮮明であり、二重像も生じないものだったが、比較例1と同様に直接透過光を抑制出来なかった。また、光制御膜のみを有する比較例3は、直接透過光を抑制出来ていたが、映像がほとんど見えないものだった。また、光散乱性被膜と光制御膜との距離が大きい比較例4〜7は、映像の鮮明性が実施例未満であり、かつ二重像が観察された。
3:入射角に対する光学特性
得られた測定用サンプルについて、以下の光学特性を測定した。
得られた測定用サンプルについて、以下の光学特性を測定した。
[可視光透過率:TVIS(θ)]
まず、測定用サンプルに対して角度θでS偏光、P偏光の光をそれぞれ入射させ、日本分光社の分光光度計V670および測定ユニットARSN733を用いて、可視光の透過スペクトルを測定した。また、この時、−80°〜80°まで10°ずつ角度θを変えて測定した。尚、この時角度θが前述した特定角度の角度範囲を含むものとする。
次に、得られたS偏光、P偏光の入射光に対する透過スペクトルの単純平均を計算し、それを用いて、JIS R3106:1998に記載の計算方法に従って可視光透過率TVIS(θ)を計算した。実施例1、2、6及び比較例1〜3については、得られた各値を図5に示した。また、実施例1〜6、及び比較例1〜7については、θ=0°〜80°の値を表2に示した。
まず、測定用サンプルに対して角度θでS偏光、P偏光の光をそれぞれ入射させ、日本分光社の分光光度計V670および測定ユニットARSN733を用いて、可視光の透過スペクトルを測定した。また、この時、−80°〜80°まで10°ずつ角度θを変えて測定した。尚、この時角度θが前述した特定角度の角度範囲を含むものとする。
次に、得られたS偏光、P偏光の入射光に対する透過スペクトルの単純平均を計算し、それを用いて、JIS R3106:1998に記載の計算方法に従って可視光透過率TVIS(θ)を計算した。実施例1、2、6及び比較例1〜3については、得られた各値を図5に示した。また、実施例1〜6、及び比較例1〜7については、θ=0°〜80°の値を表2に示した。
得られた結果から、測定光の入射角が0°の時のTVIS(0°)≧50%のものは透明性が良好であると判定した。また、入射角θが30°〜80°の範囲では、TVIS(0°)よりも著しく可視光透過率が低くなり、いずれの実施例もTVIS(30°)〜TVIS(80°)が35%以下となった。
[可視光透過率:TVIS(φ)]
透明スクリーンを見る観察者の視線の向きが変わった時の、透明スクリーンの透明性の変化について、実施例1、2、6及び比較例1〜3を用いて以下の方法で評価した。
まず、測定用サンプルに対して角度φでS偏光、P偏光の光をそれぞれ入射させ、日本分光社の分光光度計V670および測定ユニットARSN733を用いて、可視光の透過スペクトルを測定した。また、この時、−80°〜80°まで10°ずつ角度φを変えて測定した。なお、この時、前述したTvis(θ)を測定した際の角度θと、上記の角度φとが直交するように(前述した特定角度の角度範囲を含まないように)該測定用サンプルを測定した。
次に、得られたS偏光、P偏光の入射光に対する透過スペクトルの単純平均を計算し、それを用いて、JIS R3106:1998に記載の計算方法に従って可視光透過率TVIS(φ)を計算した。得られた各値を図6に示した。
透明スクリーンを見る観察者の視線の向きが変わった時の、透明スクリーンの透明性の変化について、実施例1、2、6及び比較例1〜3を用いて以下の方法で評価した。
まず、測定用サンプルに対して角度φでS偏光、P偏光の光をそれぞれ入射させ、日本分光社の分光光度計V670および測定ユニットARSN733を用いて、可視光の透過スペクトルを測定した。また、この時、−80°〜80°まで10°ずつ角度φを変えて測定した。なお、この時、前述したTvis(θ)を測定した際の角度θと、上記の角度φとが直交するように(前述した特定角度の角度範囲を含まないように)該測定用サンプルを測定した。
次に、得られたS偏光、P偏光の入射光に対する透過スペクトルの単純平均を計算し、それを用いて、JIS R3106:1998に記載の計算方法に従って可視光透過率TVIS(φ)を計算した。得られた各値を図6に示した。
[ヘーズ:H(θ)]
ヘーズH(θ)は、分光ヘーズメーター(SH7000、日本電色工業製)によって測定した。また、測定時は測定光を所望の角度θ(θ=0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°)で測定用サンプルへ入射させる。これは測定用サンプルを付属の角度変更アタッチメントに設置し、該角度変更アタッチメントを動かすことによって、該測定用サンプルを光軸に対して回転させ、透明スクリーンに対して所望の角度θで光を入射させた際のヘーズH(θ)を測定した。尚、この時角度θが前述した特定角度の角度範囲を含むものとする。得られた結果を表3に示した。
ヘーズH(θ)は、分光ヘーズメーター(SH7000、日本電色工業製)によって測定した。また、測定時は測定光を所望の角度θ(θ=0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°)で測定用サンプルへ入射させる。これは測定用サンプルを付属の角度変更アタッチメントに設置し、該角度変更アタッチメントを動かすことによって、該測定用サンプルを光軸に対して回転させ、透明スクリーンに対して所望の角度θで光を入射させた際のヘーズH(θ)を測定した。尚、この時角度θが前述した特定角度の角度範囲を含むものとする。得られた結果を表3に示した。
得られた結果から、いずれの実施例においても、測定光の入射角が0°の時のH(0°)が最も低い値を示すことがわかった。当該入射角はTVIS(0°)≧50%であり、透明性を有する角度である。また、入射角θが30°〜60°の範囲では、H(θ)が50%以上となることがわかった。
以上より、光制御膜を有する測定用サンプルは、入射角θが散乱角度範囲内の時に光を強く散乱し不透明になることが確認された。また、上記の散乱が生じる範囲は、前述した光制御膜の光散乱が生じる範囲とほぼ同じになることがわかった。また、光制御膜を持たない比較例2のヘーズH(θ)は角度による差はほとんど見られなかった。
また、Tvis(φ)の測定結果より、光制御膜の散乱が生じない角度から透明スクリーンを見る時、該透明スクリーンを見る視線の向きを変えても、視認される透明スクリーンの透明性に大きな変化はないことが確認された。
なお、可視光透過率Tvis(θ)は、70°以上の範囲でTvis(θ)が50%未満となったが、これは光制御膜を形成しなかった比較例1でも同様の傾向であることから、フレネルの式で説明できる反射率の上昇と考えられ、散乱によってTvis(θ)が低下しているのではないと推測される。
X1,X2,X3:観察者、観察位置
1:透明スクリーン
10:透明基材、
11:光散乱性被膜
12:光制御膜
13:固体層
2:投影機
2a:投射光
2b:映像
3:直接透過光
3a:光源方向
4、4a:散乱光
5:視線
5a:視線と映像表示面との交点
50:映像投影システム
1:透明スクリーン
10:透明基材、
11:光散乱性被膜
12:光制御膜
13:固体層
2:投影機
2a:投射光
2b:映像
3:直接透過光
3a:光源方向
4、4a:散乱光
5:視線
5a:視線と映像表示面との交点
50:映像投影システム
Claims (14)
- 透明基材と、
該透明基材上に形成された、可視光散乱体として光散乱性粒子を有する光散乱性被膜と、
該光散乱性被膜の面と対向するように配置された面を有する光制御膜と、を有する透明スクリーンであって、
該光散乱性被膜は、投影機から投影された映像を表示させる膜であり、
該光制御膜は、該光制御膜に対して特定角度で入射する、投影機から出射された特定入射光を散乱させ、かつ、該特定角度を除く角度で入射する通常入射光を透過させる膜であり、
該光散乱性被膜と該光制御膜の距離が0〜1.5mmの範囲内である、透明スクリーン。 - 前記光散乱性被膜の膜厚が0.1〜500μmである、請求項1に記載の透明スクリーン。
- 前記光制御膜の膜厚が1〜500μmである、請求項1又は2に記載の透明スクリーン。
- 前記光散乱性粒子は、ダイヤモンド粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化スズ粒子、酸化鉄粒子、チタン酸カルシウム粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、チタン酸バリウム粒子、酸化ニオブ粒子、酸化タンタル粒子、多孔質シリカ粒子、及び中空シリカ粒子からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1乃至3のいずれかに記載の透明スクリーン。
- 前記透明基材がガラス基材である、請求項1乃至4のいずれかに記載の透明スクリーン。
- 前記光散乱性被膜は、全光線透過率が70%以上である、請求項1乃至5のいずれかに記載の透明スクリーン。
- 前記光制御膜は、前記特定角度で入射する白色の入射光を散乱させ、白色の散乱光を生じさせるものである、請求項1乃至6のいずれかに記載の透明スクリーン。
- 前記光制御膜の法線方向を0°とした時、前記特定入射光は該光制御膜へ入射角θで入射し、該入射角θがα≦θ≦β(−90°<α、β<90°、α<β)で表される散乱角度範囲内に入るものであり、該散乱角度範囲が30°以上である、請求項1乃至7のいずれかに記載の透明スクリーン。
- 前記透明スクリーンは、前記特定入射光に対するヘーズH(θ)が50%以上を示すものである、請求項1乃至8のいずれかに記載の透明スクリーン。
- 前記透明スクリーンは、前記光制御膜に対し、0°から入射する通常入射光の可視光透過率が50%以上であり、
前記特定入射光の可視光透過率が35%以下である、請求項1乃至9のいずれかに記載の透明スクリーン。 - 前記透明スクリーンが、透過型の透明スクリーンである、請求項1乃至10のいずれかに記載の透明スクリーン。
- 前記透明スクリーンが、反射型の透明スクリーンである、請求項1乃至10のいずれかに記載の透明スクリーン。
- 透明スクリーンに映像を投影する投影機と、
請求項1乃至12のいずれかに記載の透明スクリーンと、を備える映像投影システムであって、
該投影機は、映像を投影するための投射光を出射するものであり、
該透明スクリーンは、少なくとも該投射光が入射する側とは反対側の面に映像を表示するものであり、
該投射光は、該透明スクリーンの前記光制御膜に対して、少なくとも前記特定角度で入射する特定入射光である、映像投影システム。 - 透明スクリーンに映像を投影する投影機と、
請求項1乃至12のいずれかに記載の透明スクリーンと、を備える映像投影システムであって、
該投影機は、映像を投影するための投射光を出射するものであり、
該透明スクリーンは、該投射光が入射する投影側に映像を表示するものであり、
該投射光は、該透明スクリーンの前記光制御膜に対して、少なくとも前記特定角度で入射する特定入射光である、映像投影システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018107435A JP2019211612A (ja) | 2018-06-05 | 2018-06-05 | 透明スクリーン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018107435A JP2019211612A (ja) | 2018-06-05 | 2018-06-05 | 透明スクリーン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2019211612A true JP2019211612A (ja) | 2019-12-12 |
Family
ID=68844990
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018107435A Pending JP2019211612A (ja) | 2018-06-05 | 2018-06-05 | 透明スクリーン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019211612A (ja) |
-
2018
- 2018-06-05 JP JP2018107435A patent/JP2019211612A/ja active Pending
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