JP2008102169A - 異方性散乱膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属化合物の針状結晶等の異方性散乱材料を一定の角度に配向させることにより、高い透過性、及び優れた散乱強度を有し、耐光性に優れた異方性散乱膜を効率よく製造することができる異方性散乱膜の製造方法の提供。
【解決手段】表面に配向膜を有する基材上に、少なくとも紫外線硬化性液晶化合物、光重合開始剤、及びアスペクト比の平均値が1.5以上の異方性散乱材料を含有する異方性散乱膜塗布液を塗布し、乾燥させて塗布層を形成する塗布層形成工程と、該塗布層を液晶相が発現する温度にまで加熱した状態で紫外線を照射し硬化させて、前記異方性散乱材料の長軸の前記基材面に対する傾斜角を0度以上70度以下に配向させる硬化工程とを含む異方性散乱膜の製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】表面に配向膜を有する基材上に、少なくとも紫外線硬化性液晶化合物、光重合開始剤、及びアスペクト比の平均値が1.5以上の異方性散乱材料を含有する異方性散乱膜塗布液を塗布し、乾燥させて塗布層を形成する塗布層形成工程と、該塗布層を液晶相が発現する温度にまで加熱した状態で紫外線を照射し硬化させて、前記異方性散乱材料の長軸の前記基材面に対する傾斜角を0度以上70度以下に配向させる硬化工程とを含む異方性散乱膜の製造方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、視野角制御フィルム、導光板、散乱型偏光子等として好適な異方性散乱膜を効率良く製造することができる異方性散乱膜の製造方法に関する。
アスペクト比の平均値が1.5以上であり、ナノサイズの透明な金属酸化物、金属炭酸塩化合物等の針状結晶を配向させた状態で含有する異方性散乱膜は、視野角制御フィルム、導光板、散乱型偏光子などとして有用である。
このような異方性散乱材料の製造方法としては、異方性散乱材料をポリマー中に混練した材料を延伸することにより一軸配向させる方法が開示されている(非特許文献1及び2参照)。しかし、これらの文献では、延伸することにより異方性散乱材料の同一平面内での密度が下がってしまったり、配向度が上がらないことが問題である。また、ラングミュア・ブロジェット(LB)法による成膜方法についても報告されている(非特許文献3参照)。しかし、前記LB法による成膜は時間がかかり、大面積化が困難であるという欠点がある。
また、液晶を用いたカーボンナノチューブの配向方法が開示されている(非特許文献4参照)。しかし、この方法では、使用する液晶分子は、UV硬化性ではなく、カーボンナノチューブの配向を固定することができないという問題がある。
また、特許文献1には、リオトロピック液晶中にアスペクト比が2以上の形状を有する光学異方性材料を含み、リオトロピック液晶及び光学異方性材料を配向させた光学異方性膜が提案されているが、充分満足できるものではなく、更なる、金属化合物の針状結晶などの異方性散乱材料を良好に配向させる技術の開発が望まれているのが現状である。
また、特許文献1には、リオトロピック液晶中にアスペクト比が2以上の形状を有する光学異方性材料を含み、リオトロピック液晶及び光学異方性材料を配向させた光学異方性膜が提案されているが、充分満足できるものではなく、更なる、金属化合物の針状結晶などの異方性散乱材料を良好に配向させる技術の開発が望まれているのが現状である。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、金属化合物の針状結晶等の異方性散乱材料を一定の角度に配列させることにより、高い透過性、及び優れた散乱強度を有し、耐光性に優れた異方性散乱膜を効率よく製造できる異方性散乱膜の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 表面に配向膜を有する基材上に、少なくとも紫外線硬化性液晶化合物、光重合開始剤、及びアスペクト比の平均値が1.5以上の異方性散乱材料を含有する異方性散乱膜塗布液を塗布し、乾燥させて塗布層を形成する塗布層形成工程と、
該塗布層を液晶相が発現する温度にまで加熱した状態で紫外線を照射し硬化させて、前記異方性散乱材料の長軸の前記基材面に対する傾斜角を0度以上70度以下に配向させる硬化工程とを含むことを特徴とする異方性散乱膜の製造方法である。
<2> 紫外線硬化性液晶化合物が、サーモトロピック液晶化合物である前記<1>に記載の異方性散乱膜の製造方法である。
<3> 異方性散乱膜塗布液が、高分子界面活性剤を含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の異方性散乱膜の製造方法である。
<4> 異方性散乱材料が、金属化合物の針状結晶を含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の異方性散乱膜の製造方法である。
<5> 金属化合物が、金属酸化物及び金属炭酸塩化合物のいずれかである前記<4>に記載の異方性散乱膜の製造方法である。
<1> 表面に配向膜を有する基材上に、少なくとも紫外線硬化性液晶化合物、光重合開始剤、及びアスペクト比の平均値が1.5以上の異方性散乱材料を含有する異方性散乱膜塗布液を塗布し、乾燥させて塗布層を形成する塗布層形成工程と、
該塗布層を液晶相が発現する温度にまで加熱した状態で紫外線を照射し硬化させて、前記異方性散乱材料の長軸の前記基材面に対する傾斜角を0度以上70度以下に配向させる硬化工程とを含むことを特徴とする異方性散乱膜の製造方法である。
<2> 紫外線硬化性液晶化合物が、サーモトロピック液晶化合物である前記<1>に記載の異方性散乱膜の製造方法である。
<3> 異方性散乱膜塗布液が、高分子界面活性剤を含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の異方性散乱膜の製造方法である。
<4> 異方性散乱材料が、金属化合物の針状結晶を含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の異方性散乱膜の製造方法である。
<5> 金属化合物が、金属酸化物及び金属炭酸塩化合物のいずれかである前記<4>に記載の異方性散乱膜の製造方法である。
本発明の異方性散乱膜の製造方法は、塗布層形成工程と、硬化工程とを含む。前記塗布層形成工程は、表面に配向膜を有する基材上に、少なくとも紫外線硬化性液晶化合物、光重合開始剤、及びアスペクト比の平均値が1.5以上の異方性散乱材料を含有する異方性散乱膜塗布液を塗布し、乾燥させて塗布層を形成する工程である。前記硬化工程は、該塗布層を液晶相が発現する温度にまで加熱した状態で紫外線を照射し硬化させて、前記異方性散乱材料の長軸の前記基材面に対する傾斜角を0度以上70度以下に配向させる工程である。その結果、本発明の異方性散乱膜の製造方法においては、同一平面内で密度を下げることなく異方性散乱材料を一定の角度に傾斜させることができ、耐光性に優れ、散乱型偏光子として好適な異方性散乱膜を効率よく製造することができる。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、金属化合物の針状結晶等の異方性散乱材料を一定の角度に配向させることにより、高い透過性、及び優れた散乱強度を有し、耐光性に優れた異方性散乱膜を効率よく製造することができる異方性散乱膜の製造方法を提供することができる。
本発明の異方性散乱膜の製造方法は、少なくとも塗布層形成工程と、硬化工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
<塗布層形成工程>
前記塗布層形成工程は、表面に配向膜を有する基材上に、少なくとも紫外線硬化性液晶化合物、光重合開始剤及びアスペクト比が平均値で1.5以上の異方性散乱材料を含有する異方性散乱膜塗布液を塗布し、乾燥させて塗布層を形成する工程である。
前記塗布層形成工程は、表面に配向膜を有する基材上に、少なくとも紫外線硬化性液晶化合物、光重合開始剤及びアスペクト比が平均値で1.5以上の異方性散乱材料を含有する異方性散乱膜塗布液を塗布し、乾燥させて塗布層を形成する工程である。
−基材−
前記基材としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば平板状、シート状などが挙げられ、前記構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば単層構造であってもいし、積層構造であってもよく適宜選択することができる。
前記基材としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば平板状、シート状などが挙げられ、前記構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば単層構造であってもいし、積層構造であってもよく適宜選択することができる。
前記基材の材料としては、特に制限はなく、無機材料及び有機材料のいずれであっても好適に用いることができる。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコンなどが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等のアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコンなどが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等のアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記基材は、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記基材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10〜2,000μmが好ましく、50〜500μmがより好ましい。
前記基材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10〜2,000μmが好ましく、50〜500μmがより好ましい。
−配向膜−
前記配向膜としては、ラビング処理による配向膜が好適に挙げられる。該ラビング処理は、基材の表面に、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリビニルアルコール等からなる膜を積層し、ラビングによって配向処理したものである。前記ラビング配向処理は、レーヨン、綿等からなる毛足の短いベルベット状の布を巻付けたドラムを回転させながら配向膜の表面に接触させる方法であり、ラビング処理された配向膜は、その表面に微細な溝が一方向に形成され、該微細な溝に接触する液晶分子を一方向に配向させることができる。
前記配向膜としては、上記ラビング処理による方法以外にも、光配向処理したものであってもよい。該光配向処理は、基材の表面に、アゾベンゼン系ポリマー、ポリビニルシンナメート等の光活性分子を含む光配向膜を形成し、該光活性分子が光化学反応を起こす波長の直線偏光や斜め非偏光を照射して光配向膜の表面に異方性を生成させるものである。光配向処理された光配向膜は、入射光によって膜の最表面の分子長軸の配向が生成され、該最表面の分子に接触する液晶分子を配向させることができる。
前記光配向膜の材料としては、アゾベンゼン系ポリマー、ポリビニルシンナメート等の他に、光活性分子が光化学反応を起こす波長の直線偏光又は斜め非偏光照射による光異性化、光二量化、光環化、光架橋、光分解、及び光分解−結合から選択されるいずれかの反応により膜表面に異方性を生成することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、「長谷川雅樹、日本液晶学会誌、Vol.3 No.1,p3(1999)」、「竹内安正、日本液晶学会誌、Vol.3 No.4,p262(1999)」などに記載されている光配向膜材料を使用することができる。
前記配向膜に液晶を塗布すると、該配向膜表面の微細な溝及び最表面の分子の配向の少なくともいずれかを駆動力として液晶分子が配向される。
前記配向膜としては、ラビング処理による配向膜が好適に挙げられる。該ラビング処理は、基材の表面に、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリビニルアルコール等からなる膜を積層し、ラビングによって配向処理したものである。前記ラビング配向処理は、レーヨン、綿等からなる毛足の短いベルベット状の布を巻付けたドラムを回転させながら配向膜の表面に接触させる方法であり、ラビング処理された配向膜は、その表面に微細な溝が一方向に形成され、該微細な溝に接触する液晶分子を一方向に配向させることができる。
前記配向膜としては、上記ラビング処理による方法以外にも、光配向処理したものであってもよい。該光配向処理は、基材の表面に、アゾベンゼン系ポリマー、ポリビニルシンナメート等の光活性分子を含む光配向膜を形成し、該光活性分子が光化学反応を起こす波長の直線偏光や斜め非偏光を照射して光配向膜の表面に異方性を生成させるものである。光配向処理された光配向膜は、入射光によって膜の最表面の分子長軸の配向が生成され、該最表面の分子に接触する液晶分子を配向させることができる。
前記光配向膜の材料としては、アゾベンゼン系ポリマー、ポリビニルシンナメート等の他に、光活性分子が光化学反応を起こす波長の直線偏光又は斜め非偏光照射による光異性化、光二量化、光環化、光架橋、光分解、及び光分解−結合から選択されるいずれかの反応により膜表面に異方性を生成することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、「長谷川雅樹、日本液晶学会誌、Vol.3 No.1,p3(1999)」、「竹内安正、日本液晶学会誌、Vol.3 No.4,p262(1999)」などに記載されている光配向膜材料を使用することができる。
前記配向膜に液晶を塗布すると、該配向膜表面の微細な溝及び最表面の分子の配向の少なくともいずれかを駆動力として液晶分子が配向される。
−紫外線硬化性液晶化合物−
前記紫外線硬化性液晶化合物としては、重合性基を有し、紫外線の照射によって硬化するものであれば特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えばサーモトロピック液晶化合物、リオトロピック液晶化合物などが挙げられる。これらの中でも、配向性の高さの点からサーモトロピック液晶化合物が特に好ましい。
前記紫外線硬化性液晶化合物としては、重合性基を有し、紫外線の照射によって硬化するものであれば特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えばサーモトロピック液晶化合物、リオトロピック液晶化合物などが挙げられる。これらの中でも、配向性の高さの点からサーモトロピック液晶化合物が特に好ましい。
前記紫外線硬化性液晶化合物としては、例えば下記構造式で表される化合物などが挙げられる。ただし、これらに制限されるものではない。
前記液晶化合物としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、BASF社製の商品名PALIOCOLOR LC242;Merck社製の商品名E7;Wacker−Chem社製の商品名LC−Sllicon−CC3767;高砂香料株式会社製の商品名L35、L42、L55、L59、L63、L79、L83などが挙げられる。
前記紫外線硬化性液晶化合物の含有量は、前記異方性散乱膜塗布液の全固形分質量に対し10〜99質量%が好ましく、20〜95質量%がより好ましい。
−光重合開始剤−
前記異方性散乱膜塗布液は、光重合開始剤を含有する。前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ジメチルベンズフェナジン、ベンゾフェノンとミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾールとメルカプトベンズイミダゾール、ベンジルジメチルケタール、チオキサントンとアミン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、チバスペシャルティケミカルズ社製の商品名イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア784、イルガキュア814;BASF社製の商品名ルシリンTPO、などが挙げられる。
前記光重合開始剤の添加量は、前記異方性散乱膜塗布液の全固形分質量に対し0.1〜20質量%が好ましく、0.2〜5質量%がより好ましい。
前記異方性散乱膜塗布液は、光重合開始剤を含有する。前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ジメチルベンズフェナジン、ベンゾフェノンとミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾールとメルカプトベンズイミダゾール、ベンジルジメチルケタール、チオキサントンとアミン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、チバスペシャルティケミカルズ社製の商品名イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア784、イルガキュア814;BASF社製の商品名ルシリンTPO、などが挙げられる。
前記光重合開始剤の添加量は、前記異方性散乱膜塗布液の全固形分質量に対し0.1〜20質量%が好ましく、0.2〜5質量%がより好ましい。
−異方性散乱材料−
前記異方性散乱材料は、透明であって、アスペクト比(長軸長さ/短軸長さ)の平均値が1.5以上であり、異方性散乱を示す材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば金属化合物の針状結晶などが挙げられる。
前記異方性散乱材料は、透明であって、アスペクト比(長軸長さ/短軸長さ)の平均値が1.5以上であり、異方性散乱を示す材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば金属化合物の針状結晶などが挙げられる。
−−金属化合物の針状結晶−−
前記金属化合物の針状結晶としては、例えば金属酸化物、金属炭酸塩化合物などが挙げられる。具体的には、針状の二酸化珪素、針状の酸化チタン、針状の酸化ジルコニウム、針状の酸化亜鉛、針状の酸化アルミニウム、針状の炭酸ストロンチウム、針状の炭酸バリウムなどが挙げられ、これらの中でも、針状の酸化チタンが特に好ましい。
前記針状の酸化チタンは、例えば、水熱合成法、硫酸法、塩素法などの手法により製造することができる。
前記針状の酸化チタンは、例えば、水熱合成法、硫酸法、塩素法などの手法により製造することができる。
前記金属化合物の針状結晶は、アスペクト比(長軸長さ/短軸長さ)の平均値が1.5以上であり、1.6以上が好ましく、2.0以上がより好ましい。前記アスペクト比の平均値が1.5未満であると、十分な異方性散乱効果が得られないことがある。
ここで、前記金属化合物の針状結晶のアスペクト比は、金属化合物の針状結晶の長軸長さ及び短軸長さを測定し、次式、(金属化合物の針状結晶の長軸長さ)/(金属化合物の針状結晶の短軸長さ)から求めることができる。
前記金属化合物の針状結晶の短軸長さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、1〜100nmが好ましく、5〜30nmがより好ましい。前記金属化合物の針状結晶の長軸長さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、10〜1,000nmが好ましく、10〜200nmがより好ましい。
ここで、前記金属化合物の針状結晶のアスペクト比は、金属化合物の針状結晶の長軸長さ及び短軸長さを測定し、次式、(金属化合物の針状結晶の長軸長さ)/(金属化合物の針状結晶の短軸長さ)から求めることができる。
前記金属化合物の針状結晶の短軸長さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、1〜100nmが好ましく、5〜30nmがより好ましい。前記金属化合物の針状結晶の長軸長さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、10〜1,000nmが好ましく、10〜200nmがより好ましい。
このような金属化合物の針状結晶は、短軸方向から見た場合は、金属化合物の針状結晶の直径が数十nm以下と、入射光の波長より十分小さいため、可視光領域では透明に見えるが、長軸方向から見た場合は、入射波長程度の粒子径であるため、可視光領域で不透明(白濁)に見え、散乱型偏光子として好適に用いられる。
前記異方性散乱材料の含有量は、前記異方性散乱膜塗布液の全固形分質量に対し0.1〜50.0質量%が好ましく、1.0〜30.0質量%がより好ましい。前記含有量が0.1質量%未満であると、十分な散乱異方性効果が得られないことがあり、50質量%を超えると、製膜がうまく行えなかったり、膜のヘイズが大きくなり透過率が低くなり過ぎてしまうことがある。
−高分子界面活性剤−
前記異方性散乱膜塗布液は、高分子界面活性剤を含有することが好ましい。該高分子界面活性剤は、その添加量を調整することによって、前記異方性散乱材料の長軸の前記基材面に対する傾斜角度を0度以上70度以下に適宜調整することができる。
このように異方性散乱材料の長軸を基材面に対し0度以上70度以下に配向させるためには媒質である液晶層を0度以上70度以下に配向させなければならない。基材の片面の配向膜上に形成される液晶層は末端を疎水性に調整することにより、配向膜側から空気界面側に向かって立ち上がるいわゆる「スプレー配向」になることもあるが、そのままでは異方性散乱材料の空気界面での立ち上がりは不十分であり、異方性散乱材料を斜め配向させる力は弱い。そこで、使用する液晶層との相互作用が強い高分子界面活性剤を選定して液晶層に添加すると、配向熟成時に高分子界面活性剤が空気界面側に浮き上がり、隣接する液晶を強く垂直配向させる。その結果、液晶層全体の配向状態は、配向膜側が若干のプレチルト角を持った水平配向であり、厚み方向に空気界面側へ行くほど立ち上がって垂直配向になっていく、いわゆる「スプレー配向状態」(即ち、斜め配向)になる。
前記異方性散乱膜塗布液は、高分子界面活性剤を含有することが好ましい。該高分子界面活性剤は、その添加量を調整することによって、前記異方性散乱材料の長軸の前記基材面に対する傾斜角度を0度以上70度以下に適宜調整することができる。
このように異方性散乱材料の長軸を基材面に対し0度以上70度以下に配向させるためには媒質である液晶層を0度以上70度以下に配向させなければならない。基材の片面の配向膜上に形成される液晶層は末端を疎水性に調整することにより、配向膜側から空気界面側に向かって立ち上がるいわゆる「スプレー配向」になることもあるが、そのままでは異方性散乱材料の空気界面での立ち上がりは不十分であり、異方性散乱材料を斜め配向させる力は弱い。そこで、使用する液晶層との相互作用が強い高分子界面活性剤を選定して液晶層に添加すると、配向熟成時に高分子界面活性剤が空気界面側に浮き上がり、隣接する液晶を強く垂直配向させる。その結果、液晶層全体の配向状態は、配向膜側が若干のプレチルト角を持った水平配向であり、厚み方向に空気界面側へ行くほど立ち上がって垂直配向になっていく、いわゆる「スプレー配向状態」(即ち、斜め配向)になる。
このような高分子界面活性剤としては、ノニオン系が好ましく、用いる液晶性化合物との相互作用が強いものを市販の高分子界面活性剤の中から選定することができ、例えば、大日本インキ化学工業株式会社製の商品名メガファックF780F、商品名B1176などが挙げられる。
前記高分子界面活性剤の含有量は、前記異方性散乱膜塗布液の全固形分質量に対し0〜15質量%が好ましく、0〜5質量%がより好ましい。
前記高分子界面活性剤の含有量は、前記異方性散乱膜塗布液の全固形分質量に対し0〜15質量%が好ましく、0〜5質量%がより好ましい。
前記異方性散乱膜塗布液は、例えば、紫外線硬化性液晶化合物、アスペクト比の平均値が1.5以上の異方性散乱材料、光重合開始剤、好ましくは高分子界面活性剤、必要に応じてその他の成分を溶媒に溶解乃至分散することによって調製できる。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;フェノール、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾールなどのフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;フェノール、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾールなどのフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記異方性散乱膜塗布液を、表面に配向膜を有する基材上に塗布し、乾燥させて塗布層を形成する。
前記塗布方法としては、例えば、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法などが挙げられる。
前記塗布方法としては、例えば、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法などが挙げられる。
<硬化工程>
前記硬化工程は、前記塗布層形成工程で得られた塗布層を液晶相が発現する温度にまで加熱した状態で紫外線照射し硬化させて、前記異方性散乱材料の長軸を前記基材面に対し0度以上70度以下の角度に傾斜させる工程である。
前記硬化工程は、前記塗布層形成工程で得られた塗布層を液晶相が発現する温度にまで加熱した状態で紫外線照射し硬化させて、前記異方性散乱材料の長軸を前記基材面に対し0度以上70度以下の角度に傾斜させる工程である。
塗布層を形成した後、異方性散乱材料の配向状態を固定するため、塗布層を液晶相が発現する温度にまで加熱した状態で紫外線照射する。これにより、前記異方性散乱材料の長軸が前記基材面(水平面)に0度以上70度以下の角度に傾斜した異方性散乱膜を形成することができる。
前記加熱条件は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜120℃が好ましい。
前記紫外線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、照射する紫外線は、160〜380nmが好ましく、250〜380nmがより好ましい。照射時間は、例えば、0.1〜600秒間が好ましく、0.3〜300秒間がより好ましい。
前記紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)及びショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などを挙げることができる。
前記加熱条件は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜120℃が好ましい。
前記紫外線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、照射する紫外線は、160〜380nmが好ましく、250〜380nmがより好ましい。照射時間は、例えば、0.1〜600秒間が好ましく、0.3〜300秒間がより好ましい。
前記紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)及びショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などを挙げることができる。
以上により得られる本発明の異方性散乱膜は、異方性散乱材料の長軸が基材面(水平面)に対する傾斜角が0度以上70度以下であり、優れた異方性散乱効果を有する。
また、異方性散乱材料の長軸が配向方向に対し0±15度以内の配向角度を有することが好ましい。
ここで、前記傾斜角度とは、図1に示すように、基板(水平面)1と異方性散乱材料の長軸とのなす角θを意味し、サンプルAでは傾斜角度θが0度(基板に対し平行)であり、サンプルBでは傾斜角度θが55度である。
前記配向角度とは、図2に示すように、液晶分子の配向方向に対するズレ角度φを意味し、サンプルAでは配向角度φが0±0度であり、サンプルBでは配向角度φが0±10度である。
また、異方性散乱材料の長軸が配向方向に対し0±15度以内の配向角度を有することが好ましい。
ここで、前記傾斜角度とは、図1に示すように、基板(水平面)1と異方性散乱材料の長軸とのなす角θを意味し、サンプルAでは傾斜角度θが0度(基板に対し平行)であり、サンプルBでは傾斜角度θが55度である。
前記配向角度とは、図2に示すように、液晶分子の配向方向に対するズレ角度φを意味し、サンプルAでは配向角度φが0±0度であり、サンプルBでは配向角度φが0±10度である。
−異方性散乱膜及びその用途等−
本発明の異方性散乱膜は、図3の視点Aのように、異方性散乱材料の短軸方向から見た場合は、異方性散乱材料の直径が数十nm以下と入射光の波長より十分小さいため、可視光領域では透明に見える。また、図3の視点Bのように、異方性散乱材料の長軸方向から見た場合は、入射波長程度の粒子径であるため、可視光領域で不透明(白濁)に見える。なお、図3では、異方性散乱子Pの長軸が基材面(水平面)に対し垂直(90度)に配向している。
本発明の異方性散乱膜は、図3の視点Aのように、異方性散乱材料の短軸方向から見た場合は、異方性散乱材料の直径が数十nm以下と入射光の波長より十分小さいため、可視光領域では透明に見える。また、図3の視点Bのように、異方性散乱材料の長軸方向から見た場合は、入射波長程度の粒子径であるため、可視光領域で不透明(白濁)に見える。なお、図3では、異方性散乱子Pの長軸が基材面(水平面)に対し垂直(90度)に配向している。
図4は、本発明の異方性散乱膜の一例を示す概略断面図である。図4のaでは、異方性散乱子Pの長軸が基材面(水平面)Sに対し水平(0度)に配列している。図4のb、及び図4のcでは、異方性散乱子Pの長軸が基材面(水平面)Sに対し略水平(±10度)に配列している。
図5は、本発明の異方性散乱膜の一例を示す概略断面図である。図5のaでは、異方性散乱子Pの長軸が基材面(水平面)Sに対し略水平(約30度)に傾斜している。図5のbでは、異方性散乱子Pの長軸が基材面(水平面)Sに対し斜め方向(約45度)に配列している。図5のcでは、異方性散乱子Pの長軸が基材面(水平面)Sに対し斜め方向(約70度)に配列している。
図5は、本発明の異方性散乱膜の一例を示す概略断面図である。図5のaでは、異方性散乱子Pの長軸が基材面(水平面)Sに対し略水平(約30度)に傾斜している。図5のbでは、異方性散乱子Pの長軸が基材面(水平面)Sに対し斜め方向(約45度)に配列している。図5のcでは、異方性散乱子Pの長軸が基材面(水平面)Sに対し斜め方向(約70度)に配列している。
本発明の異方性散乱膜は、異方性散乱材料を配向させることによって、異方性散乱フイルムを作製することが可能であり、このような異方性散乱フイルムは、散乱型偏光子、視野角制御フィルム、導光板等に応用できるが、更に、自動車、バス、トラック、電車、新幹線、飛行機、旅客機、船等の各種乗り物用ガラス;一般の戸建住宅、集合住宅、オフィスビス、店舗、公共施設、工場施設等の建物の開口部、間仕切り等の建材用ガラスなどの各種分野に幅広く用いることができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<ゲスト−ホスト型液晶法による酸化チタンが配向した異方性散乱膜の作製>
−配向膜の作製−
清浄な厚み100μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フイルム株式会社製)表面に、ポリビニルアルコール(PVA)配向膜溶液(メタノール溶液)をバーコート塗布し、100℃で3分間乾燥させて、厚み1.0μmのPVA膜を作製した。このPVA膜表面をラビング装置(常陽工学株式会社製、回転数1,000rpm、押し込み量0.35mm)で2回ラビングすることにより、PVA配向膜を作製した。得られたPVA配向膜付きTACフィルムを基体とした。
<ゲスト−ホスト型液晶法による酸化チタンが配向した異方性散乱膜の作製>
−配向膜の作製−
清浄な厚み100μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フイルム株式会社製)表面に、ポリビニルアルコール(PVA)配向膜溶液(メタノール溶液)をバーコート塗布し、100℃で3分間乾燥させて、厚み1.0μmのPVA膜を作製した。このPVA膜表面をラビング装置(常陽工学株式会社製、回転数1,000rpm、押し込み量0.35mm)で2回ラビングすることにより、PVA配向膜を作製した。得られたPVA配向膜付きTACフィルムを基体とした。
−異方性散乱膜塗布液の調製−
光重合性基を有する液晶化合物(BASF社製、商品名:PALIOCOLOR LC242)3.04gをメチルエチルケトン(MEK)5.07gに溶解した液晶溶液に、開始剤溶液〔イルガキュア907(チバスペシャルティケミカルズ社製)0.90g、及びカヤキュアDETX(日本化薬株式会社製)0.30gをメチルエチルケトン(MEK)8.80gに溶解した溶液〕1.11gを添加し、5分間攪拌することにより、完全に溶解させた。
次に、得られた溶液に15.0質量%の表面疎水化処理した酸化チタン(針状結晶、長軸長さ215nm、短軸長さ28nm、平均アスペクト比7.6)のメチルエチルケトン溶液(石原産業株式会社製、FTL−100)3.5gを添加し、5分間攪拌することにより、異方性散乱膜塗布液を調製した。ただし、酸化チタン粒子はそのまま使用するのではなく、遠心分離装置(日立製作所製、CF12RX)を用い、11,000rpm、30分間の分離精製を5回行い、上澄みに含まれる小さな酸化チタン粒子のみを用いた。
光重合性基を有する液晶化合物(BASF社製、商品名:PALIOCOLOR LC242)3.04gをメチルエチルケトン(MEK)5.07gに溶解した液晶溶液に、開始剤溶液〔イルガキュア907(チバスペシャルティケミカルズ社製)0.90g、及びカヤキュアDETX(日本化薬株式会社製)0.30gをメチルエチルケトン(MEK)8.80gに溶解した溶液〕1.11gを添加し、5分間攪拌することにより、完全に溶解させた。
次に、得られた溶液に15.0質量%の表面疎水化処理した酸化チタン(針状結晶、長軸長さ215nm、短軸長さ28nm、平均アスペクト比7.6)のメチルエチルケトン溶液(石原産業株式会社製、FTL−100)3.5gを添加し、5分間攪拌することにより、異方性散乱膜塗布液を調製した。ただし、酸化チタン粒子はそのまま使用するのではなく、遠心分離装置(日立製作所製、CF12RX)を用い、11,000rpm、30分間の分離精製を5回行い、上澄みに含まれる小さな酸化チタン粒子のみを用いた。
−酸化チタンの配向及び硬化−
得られた異方性散乱膜塗布液を、上記PVA配向膜付きTACフィルム上に、バーコート塗布し、塗布面の反対側の面が接触するようにホットプレートに載せ、90℃で1分間加熱した後、加熱した状態で紫外線(UV)照射(高圧水銀灯、1kW、330mJ/mm2)することにより、酸化チタン粒子が配向した厚み30μmの異方性散乱膜を形成した。
得られた異方性散乱膜塗布液を、上記PVA配向膜付きTACフィルム上に、バーコート塗布し、塗布面の反対側の面が接触するようにホットプレートに載せ、90℃で1分間加熱した後、加熱した状態で紫外線(UV)照射(高圧水銀灯、1kW、330mJ/mm2)することにより、酸化チタン粒子が配向した厚み30μmの異方性散乱膜を形成した。
<酸化チタンの配向性>
得られた異方性散乱膜の切片を透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製、JEM−2010)で観察したところ、500個の酸化チタン粒子の78個数%以上が配向方向に対し±10度以内で配向しており、また基材面(水平面)に対する傾斜角が0〜5度に配列していた。
得られた異方性散乱膜の切片を透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製、JEM−2010)で観察したところ、500個の酸化チタン粒子の78個数%以上が配向方向に対し±10度以内で配向しており、また基材面(水平面)に対する傾斜角が0〜5度に配列していた。
得られた異方性散乱膜を有するフィルムについて、以下のようにして諸特性を評価した。結果を表1に示す。
<異方性散乱性>
得られた異方性散乱膜の異方性は、紫外・可視分光光度計(日本分光株式会社製、V−560)を用いて、透過スペクトルの入射角度依存性を調べることにより評価した。なお、入射光に対して、異方性散乱膜のサンプルの角度を、90°及び55°にセッティングすることにより、それぞれの入射角度での透過率を測定した。
得られた異方性散乱膜の異方性は、紫外・可視分光光度計(日本分光株式会社製、V−560)を用いて、透過スペクトルの入射角度依存性を調べることにより評価した。なお、入射光に対して、異方性散乱膜のサンプルの角度を、90°及び55°にセッティングすることにより、それぞれの入射角度での透過率を測定した。
<耐光性>
超高圧水銀灯を使用して、暴光試験を行い、1,000時間暴光後の上記偏光度及び透過率を測定し、初期との比較により、耐光性を評価した。
超高圧水銀灯を使用して、暴光試験を行い、1,000時間暴光後の上記偏光度及び透過率を測定し、初期との比較により、耐光性を評価した。
(実施例2)
実施例1において、異方性散乱膜塗布液中に高分子界面活性剤(B1176、大日本インキ化学工業株式会社製)0.1gを添加した以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子が配向した厚み30μmの異方性散乱膜を形成した。
実施例1において、異方性散乱膜塗布液中に高分子界面活性剤(B1176、大日本インキ化学工業株式会社製)0.1gを添加した以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子が配向した厚み30μmの異方性散乱膜を形成した。
<酸化チタンの配向性>
得られた異方性散乱膜の切片を透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製、JEM−2010)で観察したところ、500個の酸化チタン粒子の75個数%以上が配向方向に対し±10度以内に配向しており、また基材面(水平面)に対する傾斜角は55±5度に配列していた。
得られた異方性散乱膜の切片を透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製、JEM−2010)で観察したところ、500個の酸化チタン粒子の75個数%以上が配向方向に対し±10度以内に配向しており、また基材面(水平面)に対する傾斜角は55±5度に配列していた。
得られた異方性散乱膜を有するフィルムの諸特性について、実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、異方性散乱膜塗布液を以下のように変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の異方性散乱膜を有するフィルムを作製した。
−異方性散乱膜塗布液の調製−
下記構造式で表されるリオトロピック液晶化合物(LLC−1)4.0gを純水6.0gに溶解した液晶溶液に、15.0質量%の表面親水化処理した酸化チタン(針状結晶、長軸長さ215nm、短軸長さ28nm、平均アスペクト比7.6)のメチルアルコール溶液(石原産業株式会社製、FTL−110)3.5gを添加し、更に光重合開始剤(イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ社製)を2.0質量%添加し、5分間攪拌することにより、異方性散乱膜塗布液を調製した。ただし、酸化チタン粒子はそのまま使用するのではなく、遠心分離装置(日立製作所製、CF12RX)を用い、11,000rpm、30分間の分離精製を5回行い、上澄みに含まれる小さな酸化チタン粒子のみを用いた。
実施例1において、異方性散乱膜塗布液を以下のように変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の異方性散乱膜を有するフィルムを作製した。
−異方性散乱膜塗布液の調製−
下記構造式で表されるリオトロピック液晶化合物(LLC−1)4.0gを純水6.0gに溶解した液晶溶液に、15.0質量%の表面親水化処理した酸化チタン(針状結晶、長軸長さ215nm、短軸長さ28nm、平均アスペクト比7.6)のメチルアルコール溶液(石原産業株式会社製、FTL−110)3.5gを添加し、更に光重合開始剤(イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ社製)を2.0質量%添加し、5分間攪拌することにより、異方性散乱膜塗布液を調製した。ただし、酸化チタン粒子はそのまま使用するのではなく、遠心分離装置(日立製作所製、CF12RX)を用い、11,000rpm、30分間の分離精製を5回行い、上澄みに含まれる小さな酸化チタン粒子のみを用いた。
得られた異方性散乱膜の切片を透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製、JEM−2010)で観察したところ、500個の酸化チタン粒子の73個数%以上が配向方向に対し±10度以内に配向しており、また基材面(水平面)に対する傾斜角が0〜5度に配列していた。
次に、得られた異方性散乱膜を有するフィルムの諸特性について、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、酸化チタンが配向した異方性散乱膜を設けない以外は、実施例1と同様にして、比較例1のフィルムを作製した。
得られた比較例1のフィルムの諸特性について、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、酸化チタンが配向した異方性散乱膜を設けない以外は、実施例1と同様にして、比較例1のフィルムを作製した。
得られた比較例1のフィルムの諸特性について、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
本発明の異方性散乱膜の製造方法により製造された異方性散乱膜は、一定角度に異方性散乱材料を傾斜させることによって、散乱型偏光子を作製することが可能であり、このような散乱型偏光子は、視野角制御フィルム、導光板等に応用できる。
1 基材
2 異方性散乱膜
P 異方性散乱材料
S 水平面
2 異方性散乱膜
P 異方性散乱材料
S 水平面
Claims (5)
- 表面に配向膜を有する基材上に、少なくとも紫外線硬化性液晶化合物、光重合開始剤、及びアスペクト比の平均値が1.5以上の異方性散乱材料を含有する異方性散乱膜塗布液を塗布し、乾燥させて塗布層を形成する塗布層形成工程と、
該塗布層を液晶相が発現する温度にまで加熱した状態で紫外線を照射し硬化させて、前記異方性散乱材料の長軸の前記基材面に対する傾斜角を0度以上70度以下に配向させる硬化工程とを含むことを特徴とする異方性散乱膜の製造方法。 - 紫外線硬化性液晶化合物が、サーモトロピック液晶化合物である請求項1に記載の異方性散乱膜の製造方法。
- 異方性散乱膜塗布液が、高分子界面活性剤を含有する請求項1から2のいずれかに記載の異方性散乱膜の製造方法。
- 異方性散乱材料が、金属化合物の針状結晶を含有する請求項1から3のいずれかに記載の異方性散乱膜の製造方法。
- 金属化合物が、金属酸化物及び金属炭酸塩化合物のいずれかである請求項4に記載の異方性散乱膜の製造方法。
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JP2006282311A JP2008102169A (ja) | 2006-10-17 | 2006-10-17 | 異方性散乱膜の製造方法 |
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Cited By (3)
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WO2015152116A1 (ja) * | 2014-03-31 | 2015-10-08 | 富士フイルム株式会社 | 光変換部材及び光変換部材の製造方法並びに光変換部材を含むバックライトユニットおよび液晶表示装置 |
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-
2006
- 2006-10-17 JP JP2006282311A patent/JP2008102169A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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A761 | Written withdrawal of application |
Effective date: 20110610 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 |