JP6733678B2 - 反射型スクリーン - Google Patents

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Description

本発明は、反射型スクリーンに関する。
近年、インクによる書込みとその書込みの消去が行われる凹凸面を前面に有し、凹凸面に対し前方から映像が投映される、反射型スクリーンが開発されている(例えば、特許文献1参照)。投影された映像に対し、インクによる書込みが可能である。
特許文献1に記載の反射型スクリーンは、ガラス板と、光拡散性塗料または顔料を含む層とを有する。ガラス板は、表面に凹凸面を有し、凹凸面への文字や図形の書込みとその書込みの消去が可能とされている。光拡散性塗料または顔料を含む層は、ガラス板の背面に形成され、ガラス板の表面に入射した光を反射する。
日本国特開2003−237295号公報(段落0011、0013、0014)
特許文献1に記載の反射型スクリーンは、投影された映像の光の大部分を拡散反射のみによって反射させる。そのため、映像がぼやけやすく、映像視認性が低かった。
また、従来、凹凸面の高低差が大きすぎると凹の内部からインクが除去しにくく、凹凸面の高低差が小さすぎるとホットスポットが生じやすく、書き込みの消去性の向上と、ホットスポットの発生の抑制との両立が困難であった。
ここで、ホットスポットとは、反射型スクリーンに対し映像が投映されたときに反射型スクリーンの中心部などが明るく光って見える現象である。この現象は、反射型スクリーンの前面が入射光を正反射することで生じる。
発明は、インクによる書込みの消去性を向上すると共にホットスポットの発生を抑制した、反射型スクリーンの提供目的とする。
上記的を達成するため、本発明の態様によれば、
インクによる書込みとその書込みの消去が行われる凹凸面を前面に有し、前記凹凸面に対し前方から映像が投映される、反射型スクリーンであって、
前記前面から前記前面の反対面である後面に向けて、前記映像の光を透過する、ガラス板からなる透明板を有し、
前記凹凸面は、平面視において前記凹凸面の全面積の20%を占め前記凹凸面の外周縁から一定の幅を有する枠状の外周部と、平面視において前記外周部で囲まれ前記凹凸面の全面積の残りの80%を占める中央部とを有し、
前記中央部のうちの、任意の縦50mm、横50mmの正方形の範囲において、下記式(1)、(2)及び(3)が成立する、反射型スクリーンが提供される。
Rcave/RSmave≦0.64・・・(1)
Rcave≧1μm・・・(2)
RSm ave ≦15μm・・・(3)
Rcave:粗さ曲線要素の平均高さRcの10点平均
RSmave:粗さ曲線要素の平均長さRSmの10点平均



本発明の第1の態様によれば、映像視認性を向上した、反射型スクリーンが提供される。また、本発明の第2の態様によれば、インクによる書込みの消去性を向上すると共にホットスポットの発生を抑制した、反射型スクリーンが提供される。
一実施形態による反射型スクリーンの正面図である。 一実施形態による反射型スクリーンの上面図である。 一実施形態による反射型スクリーンの断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成には、同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。本明細書において、数値範囲を表す「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味する。また、本明細書において、「平面視」とは、反射型スクリーンの前面の法線方向から見たことを意味する。
図1は、一実施形態による反射型スクリーンの正面図である。図1において、点線は凹凸面13の外周部13aと凹凸面13の中央部13bとの境界線を示す。境界線は、便宜上図示するものであり、実際に目で確認できるものではなくてよい。図2は、一実施形態による反射型スクリーンの上面図である。図2において、Pはプロジェクタ、U1は反射型スクリーン10の中心部正面に臨むユーザ、U2はプロジェクタPから反射型スクリーン10への入射光の入射角と同じ反射角の反射光を観察するユーザを示す。図3は、一実施形態による反射型スクリーンの断面図である。
反射型スクリーン10は、前面11と、前面11の反対面である後面12とを有し、前面11に凹凸面13を有する。凹凸面13に対しインクによる書込みとその書込みの消去が行われる。インクによる書込みには、専用マーカなどの筆記具、プリンタヘッドなどが用いられる。その書込みの消去には、字消具、溶剤などが用いられる。また、凹凸面13に対し前方から映像が投映される。映像の投映には、プロジェクタPなどが用いられる。
反射型スクリーン10は、不図示の枠で取り囲まれてもよい。その枠には吊り下げ具や脚が設けられてもよく、脚にはキャスターが取付けられてもよい。反射型スクリーン10は、例えば室内で使用される。尚、反射型スクリーン10の使用場所は、特に限定されない。例えば反射型スクリーンは、乗り物や建物の壁材などに適用されてもよい。
凹凸面13は、図1〜図2では前面11の全面を占めているが、前面11の一部のみを占めていてもよい。後者の場合、前面11の残部は凹凸のない平滑面であってよい。また、凹凸面13の数は複数でもよく、複数の凹凸面13が間隔をおいて配置されてもよい。
凹凸面13の形状は、図1では長方形である。凹凸面13の縦寸法L1は、例えば300mm以上である。また、凹凸面13の横寸法L2は、例えば500mm以上である。尚、凹凸面13の形状は、多種多様であってよい。
凹凸面13は、外周部13aと、中央部13bとを有する。外周部13aは、平面視において、凹凸面13の全面積の20%を占め、凹凸面13の外周縁から一定の幅を有する枠状の部分である。平面視において凹凸面13に占める外周部13aの割合が20%になるように、凹凸面13の形状や寸法に応じて外周部13aの幅が決められる。中央部13bは、平面視において、外周部13aで囲まれ、凹凸面13の全面積の残りの80%を占める部分である。
凹凸面13の中央部13bのうちの、任意の縦50mm、横50mmの正方形の範囲において、下記式(1)、(2)が成立することが好ましい。
Rcave/RSmave≦0.64・・・(1)
Rcave≧1μm・・・(2)
Rcave:粗さ曲線要素の平均高さRcの10点平均
RSmave:粗さ曲線要素の平均長さRSmの10点平均
粗さ曲線要素の平均高さRc、粗さ曲線要素の平均長さRSmは、それぞれ、日本工業規格(JIS B0601:2013)に準拠してカットオフ値λc=250μmで測定される。Rcは凹凸の高低差を表し、RSmは凹凸の周期を表す。Rcaveは、縦50mm、横50mmの正方形の範囲内の10点で測定したRcの平均である。また、RSmaveは、縦50mm、横50mmの正方形の範囲内の10点で測定したRSmの平均である。測定点は、無作為に抽出する。
凹凸面13の中央部13bのうちの、任意の縦50mm、横50mmの正方形の範囲において、上記式(1)が成立すれば、凹凸の高低差よりも凹凸の周期の方が十分に長いので、凹の内部からインクが除去しやすく、インクによる書込みの消去が容易である。Rcave/RSmaveは、例えば式(1)に記載の如く0.64以下、好ましくは0.6以下である。
また、凹凸面13の中央部13bのうちの、任意の縦50mm、横50mmの正方形の範囲において、上記式(2)が成立すれば、凹凸の高低差が十分に大きいので、ホットスポットの発生が抑制できる。ホットスポットとは、反射型スクリーン10に対し映像が投映されたときに反射型スクリーン10の中心部などが明るく光って見える現象である。この現象は、反射型スクリーン10の前面11が入射光を正反射することで生じ、図2に示すユーザU2の位置で観察されうる。本実施形態では、凹凸の高低差が十分に大きいので、反射角が適度にばらつき、ホットスポットの発生が抑制できる。Rcaveは、例えば式(2)に記載の如く1μm以上、好ましくは3μm以上である。
上記式(1)、(2)は、中央部13bにおいて成立すればよく、外周部13aにおいて成立しても成立しなくてもよい。外周部13aには、インクによる書込みや映像の投映がなされないことが多いからである。但し、効果がより広範囲で得られるように、上記式(1)、(2)はより広範囲で設立することが好ましい。中央部13bは、平面視において凹凸面13の全面積の80%を占める代わりに、好ましくは90%を占め、より好ましくは95%を占める。これに対応し、外周部13aは、平面視において凹凸面13の全面積の20%を占める代わりに、好ましくは10%を占め、より好ましくは5%を占める。
凹凸面13の中央部13bのうちの、任意の縦50mm、横50mmの正方形の範囲において、上記式(1)、(2)に加えて、下記式(3)が成立することがより好ましい。
RSmave≦15μm・・・(3)
凹凸面13の中央部13bのうちの、任意の縦50mm、横50mmの正方形の範囲において、上記式(3)が成立すれば、凹凸の周期が十分に短いので、ぎらつき(シンチレーション)が抑制できる。きらつきとは、光の明暗による微細な斑点模様が見える現象である。斑点模様は、光の干渉によって生じる。本実施形態では、投影される表示ドットに比較し凹凸の周期が十分に短いので、光の干渉による斑点模様が抑制できる。
上記式(3)は、中央部13bにおいて成立すればよく、外周部13aにおいて成立しても成立しなくてもよい。外周部13aには、映像の投映がなされないことが多いからである。但し、効果がより広範囲で得られるように、上記式(3)はより広範囲で設立することが好ましい。中央部13bは、平面視において凹凸面13の全面積の80%を占める代わりに、好ましくは90%を占め、より好ましくは95%を占める。これに対応し、外周部13aは、平面視において凹凸面13の全面積の20%を占める代わりに、好ましくは10%を占め、より好ましくは5%を占める。
反射型スクリーン10は、図3に示すように、前面11から後面12に向けて、ガラス板20、光散乱層30、および光反射層40をこの順で有する。ガラス板20が、特許請求の範囲に記載の透明板に対応する。
ガラス板20は、映像の光を透過する。ガラス板20は、無色透明であるが、有色透明であってもよい。ガラス板20のヘーズ(Haze)値は、50%以下である。ガラス板20のヘーズ値が50%以下であれば、十分な透明度が得られる。尚、ガラス板20のヘーズ値は、通常、1%以下である。
ヘーズ値は、日本工業規格(JIS K7136)に準拠して測定され、測定対象の試験板を板厚方向に透過する透過光のうち、前方散乱によって入射光から2.5°以上それた透過光の百分率として求められる。ヘーズ値の測定に用いる光源としては、日本工業規格(JIS Z8720:2012)に記載のD65光源を用いる。
ガラス板20のガラスとしては、例えばソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラスなどが挙げられる。また、ガラスは、未強化ガラス、強化ガラスのいずれでもよい。未強化ガラスは、溶融ガラスを板状に成形し、徐冷したものである。成形方法としては、フロート法、フュージョン法などが挙げられる。強化ガラスは、物理強化ガラス、化学強化ガラスのいずれでもよい。物理強化ガラスは、均一に加熱したガラス板を軟化点付近の温度から急冷し、ガラス表面とガラス内部との温度差によってガラス表面に圧縮応力を生じさせることで、ガラス表面を強化したものである。化学強化ガラスは、イオン交換法などによってガラス表面に圧縮応力を生じさせることで、ガラス表面を強化したものである。
ガラス板20は、図2では平坦な平面板であるが、曲面板であってもよい。平面板を曲面板に曲げる曲げ成形としては、重力成形、またはプレス成形などが用いられる。曲げ成形では、均一に加熱したガラス板を軟化点付近の温度から急冷し、ガラス表面とガラス内部との温度差によってガラス表面に圧縮応力を生じさせることで、ガラス表面を強化してもよい。物理強化ガラスが得られる。尚、化学強化ガラスは、曲げ成形の後、イオン交換法などによってガラス表面に圧縮応力を生じさせることで得られる。
ガラス板20の板厚は、特に限定されないが、例えば0.1mm〜20mmである。
ガラス板20の前面21は、凹凸面を有する。ガラス板20に凹凸面を形成するガラス板の加工方法としては、一般的な加工方法が用いられ、例えば型押し法、エッチング法、ブラスト法などが単独で、または任意の組合せで用いられる。
型押し法では、軟化点以上のガラス板20に対して型を押しつけ、型の凹凸をガラス板20へ転写することで、ガラス板20の前面に凹凸面を形成する。
エッチング法では、エッチング液にガラス板20を浸漬することで、ガラス板20の前面に凹凸面を形成する。エッチング液は例えば10%〜20%程度のフッ化水素を含む水溶液、その浸漬時間は例えば30秒〜600秒程度である。
ブラスト法では、ガラス板20にメディアを吹き付けることで、ガラス板20の前面に凹凸面を形成する。メディアは、例えばセラミック粒子が用いられる。セラミック粒子のセラミックは、ガラス板20のガラス(修正モース硬度:4.5〜6.5程度)よりも高度の高いものが用いられ、例えば、アルミナ(修正モース硬度:12)、炭化ケイ素(修正モース硬度:13)、ジルコン(修正モース硬度:9)が用いられる。セラミック砥粒の平均粒径は例えば4μm〜30μm(粒度#400〜#3000に相当)である。メディアは、セラミック粒子を弾性体に練り込んだものでもよい。メディアの噴射は、一般的なブラスト装置を用いて行う。
ブラスト装置は、圧縮空気等の圧縮気体と共にメディアを噴射する。ブラスト装置は、加圧タンク内に投入されたメディアを圧縮気体と共に加圧して噴射する直圧式、圧縮気体の気流にメディアを合流させて噴射するサクション式などのいずれでもよい。メディアの噴射条件は一般的なものであってよい。噴射圧力は例えば0.3MPa〜0.5MPa、単位面積当たりの処理時間は例えば500秒/m〜600秒/mである。
ガラス板20の前面21は、露出していてもよいが、図3に示すように被覆層50によって被覆されていてもよい。被覆層50は、ガラス板20の前面21の少なくとも一部を被覆していればよい。
被覆層50は、その前面51に、ガラス板20の凹凸面に倣う凹凸面を有する。被覆層50の凹凸面に対し、インクによる書込みやその書込みの消去、映像の投映などがなされる。
被覆層50は、ガラス板20よりもインクとの親和性が低いことが好ましい。インクによる書込みの消去が容易になる。
被覆層50は、インクとの親和性や耐久性の観点から、好ましくはシリコーン系硬化物を含む。シリコーン系硬化物は、例えば硬化性のシリコーンレジンおよび硬化性のシリコーンオリゴマーの少なくとも一方を縮合硬化させることで得られる。
一般的に、シリコーンレジンとシリコーンオリゴマーの違いは分子量であり、比較的低分子量のシリコーンレジンをシリコーンオリゴマーという。シリコーンオリゴマーは一般に2あるいは3量体から分子量1000程度のものを指す。シリコーンレジンおよびシリコーンオリゴマーはM単位、D単位、T単位、Q単位と呼ばれる含ケイ素結合単位から構成される。
硬化性のシリコーンレジンおよび硬化性のシリコーンオリゴマーは主としてT単位またはQ単位から構成される分岐状の構造を持った樹脂であり、T単位のみから構成される樹脂、Q単位のみから構成される樹脂、T単位とQ単位から構成される樹脂がある。またそれら樹脂はさらに少量のM単位やD単位を含むこともある。
硬化性のシリコーンレジンおよび硬化性のシリコーンオリゴマーにおいて、T単位は、1個のケイ素原子を有し、そのケイ素原子に結合した1個の水素原子または1価の有機基と、他のケイ素原子に結合した酸素原子(または他のケイ素原子に結合できる官能基)3個とを有する単位である。
含ケイ素結合単位を形成するモノマーは、(R´−)Si(−Z)4−aで表される。ただし、aは0〜3の整数、R´は水素原子または1価の有機基、Zは水酸基、塩素原子または他のケイ素原子に結合できる1価の官能基を表す。Zが加水分解性基である場合、その加水分解性基としては、アルコキシ基、アシルオキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。
硬度、耐久性の観点から、含ケイ素結合単位としてT単位を主な構成単位とするものが好ましく用いられる。ここで、T単位を主な構成単位とするものとは、M単位、D単位、T単位およびQ単位の合計数に対するT単位数の割合が50%〜100%のオルガノポリシロキサンをいう。より好ましくは、該T単位数の割合が70%〜100%のオルガノポリシロキサンが用いられる。また、T単位以外に少量含まれる他の単位としてはD単位とQ単位が好ましい。
硬化性のシリコーンレジンおよび硬化性のシリコーンオリゴマーとしては、市販されている化合物を使用することができる。たとえば、硬化性のシリコーンレジンとしては、信越化学社製KR220L、KR220LP、KR242A、KR251、KR211、KR255、KR300、KR311、KR2621-1、東レダウコーニング社製SR2402、AY42-163、Z6018などが使用できる。硬化性のシリコーンオリゴマーとしては、信越化学社製KC89S、KR515、KR500、X400-9225、X40-9246、X40−9250、KR401N、X40-9227、KR510、KR9218、KR213、KR400、X40-2327、KR401などが使用できる。これらのうちの1品種が単独で用いられてもよいし、複数品種が組合わせて用いられてもよい。
被覆層50は、インクによる書込みの消去性を向上するため、シリコーン系硬化物に加えて、フッ素系化合物を含んでもよい。フッ素系化合物としては、C2n+1基やC2nO基を含む化合物が好ましい。尚、nは1以上の自然数である。
被覆層50は、コート液をガラス板20の凹凸面に塗布し、塗布したコート液を硬化させることで形成される。コート方法は、公知の手法を用いることができ、たとえば、スプレーコート、スリットコート、ダイコート、スピンコート、ディップコート、カーテンコートなどの手法を用いることができる。コート液は、硬化性のシリコーンレジンおよび硬化性のシリコーンオリゴマーの少なくとも一方と、溶媒とを含む。コート液は、必要に応じて、硬化触媒、フッ素系化合物、レベリング剤、および顔料のうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい。硬化の促進のため、加熱、および/または活性エネルギー線照射を行うことが好ましい。被覆層50の層厚は、0.01μm以上20μmが好ましく、0.1μm以上10μm以下がより好ましい。被覆層50の層厚が0.01μm未満では耐久性が不十分である。被覆層50の層厚が20μm超では被覆層50の凹凸面の高低差が小さくなり、ホットスポットの発生が十分に抑制できない。
尚、本実施形態の反射型スクリーン10はガラス板20を基準として光散乱層30とは反対側に被覆層50を有するが、被覆層50を有しなくてもよい。ガラス板20の凹凸面に対し、インクによる書込みやその書込みの消去、映像の投映などがなされてもよい。
上述したようにガラス板20の前面21が凹凸面を有するのに対し、ガラス板20の後面22は凹凸をほとんど有しないことが好ましい。ガラス板20の後面22の算術平均粗さRaは、例えば5μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。
算術平均粗さRaとは、日本工業規格(JIS B0601:2013)に記載の「算術平均粗さ」のことであり、市販の表面粗さ測定機により測定できる。
尚、本実施形態では、透明板として、硬度や耐久性、質感の観点から、ガラス板20が用いられるが、樹脂板が用いられてもよい。樹脂板の樹脂としては、例えばポリカーボネート、アクリル、塩化ビニルなどが挙げられる。また、透明板は、単層構造、複層構造のいずれでもよく、例えば合わせガラスであってもよい。合わせガラスは、第1ガラス板、第2ガラス板、および第1ガラス板と第2ガラス板とを接合する中間膜を有する。透明板の構成に関係なく、透明板のヘーズ値は例えば50%以下であり、透明板の板厚は例えば0.1mm〜20mmである。
また、本実施形態では、透明板の前面が、凹凸面になっているが、平坦面になっていてもよい。この場合、透明板の前面に透明凹凸層が形成される。透明凹凸層の形成方法としては、例えば型押し法、エッチング法、ブラスト法、インプリント法、コート法などが単独または任意の組合せで用いられる。型押し法、エッチング法、ブラスト法は、前述したガラス板20の凹凸面の形成方法と同じ方法を用いることができる。インプリント法では、透明板とモールドとの間に転写材を挟み、モールドの凹凸パターンを転写材に転写し、転写材を固化させることで、透明凹凸層を形成する。固化は、光硬化、熱硬化を含む。コート法では、微粒子とバインダーとを含むコート液を透明板に塗布し、塗布したコート液を固化させることで、凹凸層を形成する。凹凸層に対しインクによる書込みやその書込みの消去、映像の投映などがなされてもよいし、凹凸層を被覆する被覆層50に対しインクによる書込みやその書込みの消去、映像の投映などがなされてもよい。
コート法でコート液を透明板に塗布する方法としてスプレー法でコートする方法を用いることができる。スプレー法は、微粒子とバインダーとを含むコート液を細いノズルから圧力をかけて噴霧することにより、液滴を作成、表面へ堆積し、凹凸面を作成する。微粒子は、無機微粒子、有機微粒子などから適宜選択可能で有り、バインダーも有機系材料、無機系材料から適宜選択可能である。
光散乱層30は、ガラス板20を透過した光を散乱する。これにより光散乱層30が白色を呈するため、ユーザU1、U2によって視認される映像のコントラストが向上する。光散乱層30は、屈折率が異なる複数の材料で形成される。光散乱層30は、例えばマトリックス部と、マトリックス部中に散在する光散乱部とを含む。
マトリックス部は、無機材料、有機材料のいずれを含んでもよい。無機材料としては、二酸化ケイ素などが挙げられる。有機材料としては、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。有機材料は、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれであってもよい。
光散乱部は、光散乱性粒子、空隙のいずれを含んでもよく、両者を含んでもよい。光散乱性粒子は、無機粒子、有機粒子のいずれでもよい。無機粒子の材料としては、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛などが挙げられる。有機粒子の材料としては、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。また、光散乱性粒子は多孔質粒子であってもよい。多孔質粒子の空孔の細孔直径は2〜50nmが好ましい。光散乱性粒子の数平均粒径は100nm〜10μmである。空隙は、発泡剤などによって形成される。空隙の数平均粒径は100nm〜10μmである。光散乱部が空隙を含む場合、光散乱層30は多孔質層である。光散乱層30に占める光散乱部の割合は、例えば10体積%〜99体積%、好ましくは20体積%〜98体積%、より好ましくは30体積%〜90体積%である。
光散乱層30は、マトリックス部や光散乱部に加えて、光吸収部をさらに含んでもよい。光吸収部は、カーボンブラックやチタンブラックなどの光吸収性粒子を含む。光散乱層30に占める光吸収部の割合は、例えば0.01体積%〜5体積%、好ましくは0.1体積%〜3体積%である。光吸収部は、映像のコントラストを向上する。
尚、本実施形態の光散乱層30は、マトリックス部と光散乱部とを含むものであるが、紙のように繊維の集積したものでもよい。光散乱層30は、光を散乱できればよい。
光散乱層30はガラス板20に密着しており、ガラス板20と光散乱層30との間には空気層が存在しない。ガラス板20と光散乱層30との屈折率差は、空気層と光散乱層30との屈折率差よりも小さい。そのため、ガラス板20を透過した光はガラス板20と光散乱層30との界面でほとんど反射されずに光散乱層30に入射する。
尚、本実施形態では、光散乱層30とガラス板20とが密着しているが、密着していなくてもよい。ガラス板20と光散乱層30との間に空気層が存在しなければよく、透明な接着層がガラス板20と光散乱層30との間に存在してもよい。
光散乱層30の内部透過率は21%〜70%である。光散乱層30の内部透過率が21%以上であれば、光散乱層30の拡散反射による前方への反射光の強さが弱く、前方のユーザU1、U2によって映像のぼやけがほとんど認められない。また、光散乱層30の内部透過率が70%以下であれば、映像投映時に光散乱層30の白色が光反射層の色(例えば銀色)を覆い隠し、映像の背景色が白色に見えるので、ユーザU1、U2によって視認される映像のコントラストが良好である。よって、光散乱層30の内部透過率が21%〜70%であれば、映像視認性が良好である。光散乱層30の内部透過率は、好ましくは、30%〜70%である。
光散乱層30の内部透過率A1は、例えば光散乱層30付きのガラス板20の外部透過率A2を測定し、下記式(5)を用いて算出する。外部透過率の測定には波長550nmの光源を用いることができる。
A1=A2−A3・・・(5)
A3:ガラス板20の吸収率
ここで、ガラス板20と光散乱層30との屈折率差は小さいので、ガラス板20と光散乱層30との界面での反射は無視する。ガラス板20の吸収率A3は、ガラス板20の板厚と、ガラス板20の吸収係数とから算出できる。
光散乱層30のヘーズ値は、光散乱層30の内部透過率に応じて適宜設定される。光散乱層30のヘーズ値は、例えば50%〜100%である。光散乱層30のヘーズ値が50%以上であれば、光散乱層30の内部における光の散乱が強く、光散乱層30の白色が光反射層40の色を覆い隠すことができる。光散乱層30のヘーズ値は、好ましくは60%以上である。
光散乱層30のヘーズ値は、例えば光散乱層30付きのガラス板20のヘーズ値を測定し、その測定値で代表する。ガラス板20のヘーズ値は1%以下であり、ガラス板20による前方散乱の影響は略無視できるためである。
光散乱層30の層厚は、光散乱層30の内部透過率や光散乱層30のヘーズ値などに応じて適宜設定される。光散乱層30の層厚は、例えば1μm〜80μmである。光散乱層30の層厚が80μm以下であれば、光散乱層30の内部透過率が十分に高く、光散乱層30の拡散反射による前方への反射光の強さが十分に弱い。また、光散乱層30の層厚が1μm以上であれば、光散乱層30の内部透過率が十分に低く、光散乱層30のヘーズ値が十分に高く、光散乱層30の白色が光反射層40の色を覆い隠すことができる。光散乱層30の層厚は、好ましくは1μm〜100μmである。光散乱層30の光散乱性粒子として多孔質粒子を用いると、光散乱層30の内部透過率とヘーズ値を前記範囲に調整しやすい。
光散乱層30は、光散乱部の材料をマトリックス部の材料に混ぜた液体を、ガラス板20または光反射層40に塗布したのち乾燥または硬化することで形成される。前記液体には溶媒が含まれていてもよい。予め成形したシート状の光散乱層30を、ガラス板20または光反射層40に積層してもよい。シート状の光散乱層30を製造する方法は、前記液体をPET等のフィルム上に塗布したのち乾燥または硬化する方法や、熱可塑性樹脂に光散乱材料を混ぜた樹脂材料を押し出し成形等によりシート状とする方法がある。
光反射層40は、光散乱層30からの光を光散乱層30に向けて反射する。光反射層40は、光反射性材料を含み、例えば金属を含む。光反射層40に含まれる金属は、反射率や色の観点から、銀およびアルミニウムの少なくとも一方を含む単金属または合金であることが好ましい。
例えば、光反射層40は、金属層を含む。金属層の形成方法としては、例えば金属箔や金属板を貼る方法、スパッタリングや真空蒸着法などの物理蒸着法、銀鏡反応やメッキを利用する方法などが挙げられる。
また、光反射層40は、樹脂と、樹脂中に散在する光反射性粒子とを含んでもよい。この場合、光反射層40は、例えば樹脂組成物と光反射性粒子とを混ぜた液体を光散乱層30に塗布し、塗布した液体を固化させることで形成される。前記液体には溶媒が含まれていてもよい。あるいは、樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、樹脂組成物と光反射性粒子とを混ぜた樹脂材料を押し出し成形等によりシート状にすることで形成される。光反射性粒子としては、例えば金属粒子が用いられる。光反射性粒子の形状は、球状、板状のいずれでもよいが、反射率の観点から好ましくは板状である。
また、光反射層40は、誘電体多層膜を含んでもよい。誘電体多層膜は、屈折率が異なる複数の誘電体を積層する方法により形成できる。高屈折率の誘電体としては例えばSi、AlN、NbN、SnO、ZnO、SnZnO、Al、MoO、NbO、TiOおよびZrOが挙げられる。前記高屈折率の誘電体より低屈折率の誘電体としては例えばSiO、MgF、およびAlFが挙げられる。
光反射層40は、(1)金属層、(2)樹脂と樹脂中に散在する光反射性粒子とを含む層、(3)誘電体多層膜のうちの少なくとも1つを含み、いずれか2つ以上を含んでもよい。組合わせは特に限定されない。
光反射層40は、正反射率と拡散反射率と外部透過率と吸収率の和を100%とする。正反射率と拡散反射率との和が全反射率である。正反射率や拡散反射率の測定サンプルには、ガラス基材(具体的には2mm厚のソーダライムガラス板)上に光反射層40を形成したものを用いる。
光反射層40の正反射率は、絶対反射率として測定する。光反射層40の正反射率は、測定サンプルの光反射層40におけるガラス基材側の表面に対しガラス基材側から入射角5°で波長550nmの光を入射し、正反射の方向に反射した光を分光光度計で検出して測定値とする。分光光度計としては、市販のもの(例えば日立製作所社製、型式:U−4100)が用いられる。
一方、光反射層40の拡散反射率は、光反射層40の全反射率から光反射層40の正反射率を引いて算出する。光反射層40の全反射率は、絶対反射率として測定する。光反射層40の全反射率は、測定サンプルを積分球の内部に設置し、測定サンプルの光反射層40におけるガラス基材側の表面に対しガラス基材側から入射角5°で波長550nmの光を入射し、様々な方向に反射した光を積分球によって集めて分光光度計で検出して測定値とする。
光反射層40の正反射率は、好ましくは40%以上である。光反射層40の正反射率が40%以上であれば、映像のぼやけが略ない。光反射層の正反射率は、より好ましくは50%以上である。
光反射層40の拡散反射率は、好ましくは40%未満である。光反射層40の拡散反射率が40%未満であれば、映像のぼやけが略ない。
光反射層40の正反射率と拡散反射率の合計、つまり光反射層40の全反射率は、30〜100%が好ましい。
光反射層40の外部透過率は、好ましくは50%未満である。光反射層40の外部透過率が50%未満であれば、映像の明るさが十分に得られる。
尚、光反射層40は、金属層であってもよい。この場合、光反射層40は、めっき、スパッタ、蒸着などによって光散乱層30上に形成される。
光反射層40は、図3では光散乱層30に密着しているが、光散乱層30に密着していなくてもよく、光散乱層30との間に隙間を形成してもよい。光反射層40は、光散乱層30とは別に形成されてもよい。
光反射層40の前面41は、凹凸をほどんど有しないことが好ましい。光反射層40の前面41の算術平均粗さRaは、例えば5μm以下、好ましくは1μm以下である。
上記反射型スクリーンの製造方法は、ガラス板20と、光散乱層30と、光反射層40とを含む積層体を製造する工程を有する。尚、ガラス板20の代わりに、樹脂板が透明板として用いられてもよい。
反射型スクリーンは、映写とき消しが行われる用途に適している。
例えば、建物等の構造物における窓等として、以下の用途が挙げられる。
・居住空間のインテリアやCM、教育用の映像の表示
・カーディーラーでの情報や広告等の表示
・スーパーマーケット、リテイルや公共の建物のガラスドアとして用いて広告表示、情報通知、イベント等の用途
・壁紙のパターンを変えられるガラスウォールとしての用途
・スタジアム・スタジオの背面ボード
・ホテルなどのバスルームのパーテーション
・空港、駅、病院、学校における、文字、標識、画像、動画の表示
・寺社、仏閣、神社、教会等の宗教施設における、地域や観光の情報の表示
・商業施設における空間演出
・スタジアムにおける、文字、標識、画像、動画の表示
・キッチンでの情報や個人向けの映像投影用途
・ホワイトボードとして、書き込みや表示が可能な部材として学校やミーティングルームで用いる。また、ユーザーインターフェースと共に用いる。
テーブルトップ、ケーシング等における用途として、以下の用途が挙げられる。
・レストランのテーブルトップ
・机(デスクトップ)、キッチンカウンター
・卓上のパーテーション
・自動販売機。
また、車両における用途として、以下の用途が挙げられる。
・鉄道車両の内部の広告中吊り
・新幹線のパーテーション部分
・自動車において、車内パーテーションとしてTVやDVDの映像の表示。
また、床、階段のステップ等に用いて意匠性を向上したり、『足元注意』などの表示をされる使い方が挙げられる。
[試験例1〜8]
試験例1〜8では、ガラス板の前面の表面粗さ以外、同じ構成の試験片を作製し、各試験片の評価を行った。各試験片は、ガラス板、およびガラス板の前面に形成される被覆層のみで構成した。光散乱層や光反射層の有無は評価に影響しないので、光散乱層や光反射層は形成しなかった。
試験例1〜8において、ガラス板の前面の表面粗さは、ガラス板の前面の加工条件によって調整した。具体的には、表1に示すように、試験例1〜7では加工A〜Gによりガラス板の前面全体に略均一な凹凸面を形成し、試験例8ではガラス板の前面に凹凸面を形成しなかった。尚、ガラス板の前面の形状は、平面視で縦90mm、横90mmの正方形とした。
加工Aは、2段階のブラスト処理により行った。1段階目のブラスト処理において、ブラスト装置は直圧式、メディアはアルミナ#600、ノズル距離は60mm、噴射圧力は0.3MPa、1枚当たりの処理時間は6.72秒とした。2段階目のブラスト処理は、メディアとしてアルミナ#600の代わりにセラミック粒子を弾性体に練り込んだものを用いた以外、1段階目のブラスト処理と同じ処理条件で行った。
加工Bは、2段階のブラスト処理のうち、1段階目のブラスト処理においてメディアとしてアルミナ#600の代わりにアルミナ#800を用いた以外、加工Aと同じ処理条件で行った。
加工Cは、2段階のブラスト処理のうち、1段階目のブラスト処理においてメディアとしてアルミナ#600の代わりにアルミナ#1000を用いた以外、加工Aと同じ処理条件で行った。
加工Dは、ブラスト処理、その後のエッチング処理の2段階により行った。加工Dにおける1段階目のブラスト処理は、加工Aにおける1段階目のブラスト処理と同じ処理条件で行った。加工Dにおける2段階目のエッチング処理は、フッ化水素酸10%の水溶液にガラス板を60秒浸漬することで行った。
加工Eは、ブラスト処理、その後のエッチング処理の2段階により行った。加工Eにおける1段階目のブラスト処理は、メディアとしてアルミナ#600の代わりにアルミナ#480を用いた以外、加工Aにおける1段階目のブラスト処理と同じ処理条件で行った。加工Eにおける2段階目のエッチング処理は、加工Dにおける2段階目のエッチング処理と同じ処理条件で行った。
加工Fは、1段階のみのブラスト処理により行った。加工Fにおけるブラスト処理は、メディアとしてアルミナ#600の代わりにアルミナ#480を用いた以外、加工Aにおける1段階目のブラスト処理と同じ処理条件で行った。
加工Gは、1段階のみのブラスト処理により行った。加工Gにおけるブラスト処理は、加工Aにおける1段階目のブラスト処理と同じ処理条件で行った。
試験例1〜8において、被覆層は、下記のコート液をスピンコータによってガラス板の前面全体に塗布し、塗布したコート液を150℃で30分間乾燥させることで形成した。コート液としては、シリコーンオリゴマー系コーティング剤KR400(信越化学社製)をトルエンで50%に希釈した液を用いた。被覆層の層厚は2μmであった。尚、被覆層の前面の形状は、平面視で縦90mm、横90mmの正方形とした。
試験片の評価項目は、(1)被覆層の前面の表面粗さ、(2)インクによる書込みの消去性(消し残りの有無)、(3)ホットスポットの有無、(4)ぎらつきの有無とした。
被覆層の前面の表面粗さ(Rcave、RSmave)は、オリンパス社製のレーザ顕微鏡(OLS4000、対物レンズの倍率10倍、カットオフ値λc250μm)により測定した。その測定箇所は、被覆層の前面の中央部(ここでは、前面の80%を占める部分)のうち、四隅と中心の5箇所とした。5箇所の測定領域は一部重なる。この5箇所について測定すれば、全体の表面粗さの傾向がわかる。各箇所について、Rcave、RSmaveを測定した。
インクによる書込みの消去性は、被覆層の前面の中心部に対しホワイトボード用マーカを用いた書込みと専用字消具を用いた書込みの消去とを10回繰り返し行い、その後、視認できる程度の消し残りがあったか否かで評価した。
ホットスポットの有無は、被覆層の前面に対し映像をプロジェクタから投影し、図2に示すユーザU2の位置で試験片の中心部が明るく光って見えるか否かで評価した。
ぎらつきの有無は、被覆層の前面に対し映像をプロジェクタから投影し、図2に示すユーザU1の位置で明暗による微細な斑点模様が見えるか否かで評価した。
試験片の評価結果などを表1に示す。
Figure 0006733678
表1から明らかなように、試験例1〜5によれば、Rcave/RSmaveが0.64以下、且つRcaveが1μm以上であるので、消し残りもホットスポットも無かった。一方、試験例6および7によれば、Rcave/RSmaveが0.64を超えているため、消し残りが有った。また、試験例8によれば、Rcaveが1μm未満であるので、ホットスポットが有った。
また、表1から明らかなように、試験例1〜3、7および8によれば、RSmaveが15μm以下であるので、ぎらつきが無かった。一方、試験例4〜6によれば、RSmaveが15μmを超えるので、ぎらつきが有った。
[試験例9〜14]
試験例9〜14では、光散乱層の層厚と光反射層の有無以外、同じ構成の反射型スクリーンを製造し、各反射型スクリーンの評価を行った。試験例9〜13において、反射型スクリーンは、被覆層、ガラス板、光散乱層、および光反射層で構成した。一方、試験例14において、反射型スクリーンは、被覆層、ガラス板、および光散乱層で構成した。
試験例9〜14において、ガラス板の前面には、試験例3と同じ加工C(表1参照)で凹凸面を形成した。凹凸面には、被覆層を形成した。その後、凹凸面とは反対側の後面には、光散乱層などを形成した。被覆層の形成方法は、試験例1〜8と同様であるので説明を省略する。
光散乱層は、下記の光散乱塗料をバーコータによってガラス板の後面に塗布し、塗布した光散乱塗料を150℃で30分間乾燥させることで形成した。光散乱塗料は、下記の混合溶液に、光散乱性粒子(日産化学工業社製:ライトスターLA-S233A)を加え撹拌することで作製した。
光散乱塗料用の混合溶液は、ポリビニルアルコール(関東化学社製、ポリビニルアルコール2000)を蒸留水中に添加し、70℃で1時間撹拌させた後、2−プロパノール(純正化学社製)中に添加することで作製した。
試験例9〜13において、光反射層は、下記の光反射塗料をバーコータによって光散乱層に塗布し、塗布した光反射塗料を150℃で30分間乾燥させることで形成した。光反射塗料は、光散乱塗料用の混合溶液と同じ混合溶液に、光反射性粒子(尾池工業社製:Alリーフパウダー)を加え撹拌することで作製した。
反射型スクリーンの評価項目は、(1)光散乱層の内部透過率やヘーズ値、層厚、(2)映像の背景色、(3)映像のぼやけの有無とした。
光散乱層の内部透過率やヘーズ値、層厚の測定には、試験例毎に反射型スクリーンと同じ条件で作製した光散乱層付きのガラス板を供した。尚、光散乱層付きのガラス板の前面には、凹凸加工を施さなかった。内部透過率やヘーズ値は、既述の通り測定した。層厚は、断面を電子顕微鏡で測定した。
映像の背景色は、反射型スクリーンの前面に対し映像をプロジェクタから投影し、図2に示すユーザU1の位置で目視で評価した。
映像のぼやけの有無は、反射型スクリーンの前面に対し映像をプロジェクタから投影し、図2に示すユーザU1の位置で目視で評価した。
反射型スクリーンの評価結果などを表2に示す。
Figure 0006733678
表2から明らかなように、試験例9〜11によれば、光反射層が設けられており且つ光散乱層の内部透過率が21%〜70%であるので、映像の背景色が白色でコントラストが良好であり且つ映像のぼやけが無かった。一方、試験例12によれば、光反射層が設けられているが光散乱層の内部透過率が21%未満であるので、映像のぼやけが有った。また、試験例13によれば、光反射層が設けられているが光散乱層の内部透過率が70%を超えているので、光散乱層の白色が光反射層の銀色を隠しきれず、映像の背景色が灰白色であり、コントラストが悪かった。さらに、試験例14によれば、光反射層を設けずに、投影された映像の光の大部分を拡散反射によって反射させたため、映像のぼやけが有った。
以上、反射型スクリーンの実施形態などについて説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
例えば、反射型スクリーンは、磁性層をさらに有してもよい。磁性層は、鉄などの軟磁性材料、永久磁石などの硬磁性材料のいずれを含んでもよい。磁石の吸着力を利用することができ、反射型スクリーンに紙などを留めたり、壁に反射型スクリーンを取付けたりすることができる。
また、反射型スクリーンは、光反射層40を基準として光散乱層30とは反対側に、腐食防止層などの保護層をさらに有してもよい。光反射層40を保護することができる。
また、反射型スクリーンは、光散乱層30や光反射層40の両側に透明板を有してもよい。つまり、第1の透明板と第2の透明板との間に光散乱層30や光反射層40が設けられてもよく、合わせ板の内部に光散乱層30や光反射層40が設けられてもよい。第1の透明板および第2の透明板がそれぞれガラス板の場合、合わせ板として合わせガラスが得られる。尚、第1の透明板および第2の透明板は、両方が樹脂板、あるいは一方がガラス板で他方が樹脂板でもよい。
また、光反射層40は、正反射よりも拡散反射が支配的なものでもよい。そのような光反射層40としては、球状の反射性粒子が分散した層、反射性の凹凸構造を有する層が挙げられる。反射性の凹凸構造を有する層は、例えば凹凸面に沿って金属の反射膜を施すことで得られる。反射性の凹凸構造は、ランダムな凹凸構造、規則的な凹凸構造であってよく、ホログラム等でもよい。
本出願は、2015年10月30日に日本国特許庁に出願した特願2015−213945号、および2015年10月30日に日本国特許庁に出願した特願2015−213946号に基づく優先権を主張するものであり、これらの出願の全内容を本出願に援用する。
10 反射型スクリーン
11 前面
12 後面
13 凹凸面
13a 外周部
13b 中央部
20 ガラス板
30 光散乱層
40 光反射層
50 被覆層

Claims (6)

  1. インクによる書込みとその書込みの消去が行われる凹凸面を前面に有し、前記凹凸面に対し前方から映像が投映される、反射型スクリーンであって、
    前記前面から前記前面の反対面である後面に向けて、前記映像の光を透過する、ガラス板からなる透明板を有し、
    前記凹凸面は、平面視において前記凹凸面の全面積の20%を占め前記凹凸面の外周縁から一定の幅を有する枠状の外周部と、平面視において前記外周部で囲まれ前記凹凸面の全面積の残りの80%を占める中央部とを有し、
    前記中央部のうちの、任意の縦50mm、横50mmの正方形の範囲において、下記式(1)、(2)及び(3)が成立する、反射型スクリーン。
    Rcave/RSmave≦0.64・・・(1)
    Rcave≧1μm・・・(2)
    RSm ave ≦15μm・・・(3)
    Rcave:粗さ曲線要素の平均高さRcの10点平均
    RSmave:粗さ曲線要素の平均長さRSmの10点平均
  2. 前記前面から前後面に向けて、前透明板、前記透明板を透過した光を散乱する光散乱層、および前記光散乱層からの光を前記光散乱層に向けて反射する光反射層をこの順で有し、
    前記光散乱層は前記透明板に密着しており、前記光散乱層の内部透過率が21〜70%である、請求項に記載の反射型スクリーン。
  3. 前記光散乱層のヘーズ値が50%〜100%である、請求項に記載の反射型スクリーン。
  4. 前記光散乱層の層厚が1μm〜80μmである、請求項2又は3に記載の反射型スクリーン。
  5. 前記光反射層の正反射率が40%以上である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の反射型スクリーン。
  6. 前記透明板を基準として前記光散乱層とは反対側に、前記透明板の少なくとも一部を覆う被覆層を有し、
    前記被覆層に前記凹凸面が形成されている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の反射型スクリーン。
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