JP6790524B2 - タッチパネルペン用筆記シート、タッチパネル、表示装置、及びタッチパネルペン用筆記シートの選別方法 - Google Patents
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Description
一方、現在の主流である静電容量式タッチパネルの表面保護シートには、指で操作する際の滑り性が求められている。従来の抵抗膜式は、複数個所を同時に検知できないため、画面上で指を動かすことはなかったものの、静電容量式タッチパネルは、複数個所を同時に検知可能であり、画面上で指を動かす操作が多いためである。
また、抵抗膜式及び静電容量式に共通して、タッチパネル用の表面保護シートには、指で操作した際の指紋の付着を防止したり、付着した指紋を拭取りやすくする性能が求められている。
しかし、近年、静電容量式タッチパネルや電磁誘導型タッチパネルに入力可能なタッチパネルペンが提案され始めたこと、タッチパネルペンによる文字入力や描画に対応したアプリケーションが増加してきたことから、タッチパネル用の表面保護シートには、タッチパネルペンでの良好な筆記感が求められている。
しかしながら、特許文献1〜2に代表されるように、従来提案されたタッチパネル用の表面保護シートの殆どのものは、タッチパネルペンでの筆記感について検討されていない。
本発明者らが特許文献3の技術を検証した結果、書き味に関しては所定の効果が確認された。しかし、特許文献3のものは耐摩耗性に乏しいものであった。
<条件1−1>
前記タッチパネル用筆記シートの前記凹凸面とは反対側の面に、透明粘着剤層を介して黒色板を貼り合わせたサンプルを作製する。前記サンプルの前記凹凸面側に向けて、法線から+15度の角度で可視光線を照射し、反射光の反射強度を測定する。反射強度の測定では、前記可視光線の正反射方向である法線から−15度の角度を基準角度(0度)として、基準角度を含む−12度〜+12度の範囲の反射強度を1度ごとに測定する。基準角度からプラス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を+α15、基準角度からマイナス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を−α15とする。−α15の絶対値と、+α15との平均をα15とした際に、4.5度≦α15の関係を示す。
<条件1−2>
前記サンプルの前記凹凸面側に向けて、法線から+75度の角度で可視光線を照射し、反射光の反射強度を測定する。反射強度の測定では、前記可視光線の正反射方向である法線から−75度の角度を基準角度(0度)として、基準角度を含む−12度〜+12度の範囲の反射強度を1度ごとに測定する。基準角度からプラス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を+α75、基準角度からマイナス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を−α75とする。−α75の絶対値と、+α75との平均をα75とした際に、α75と前記α15とが、α15/α75≦4.5の関係を示す。
[3]表示素子上にタッチパネルを有する表示装置であって、前記タッチパネルが上記[2]に記載のタッチパネルである、タッチパネル付きの表示装置。
[4]少なくとも一方の表面が凹凸面であり、前記凹凸面が上記条件1−1及び条件1−2を満たすものをタッチパネル用筆記シートとして選別する、タッチパネルペン用筆記シートの選別方法。
本発明のタッチパネルペン用筆記シートは、少なくとも一方の表面が凹凸面であり、前記凹凸面が下記条件1−1及び条件1−2を満たすものである。
以下、タッチパネルペン用筆記シートのことを「筆記シート」と称する場合がある。
前記タッチパネル用筆記シートの前記凹凸面とは反対側の面に、透明粘着剤層を介して黒色板を貼り合わせたサンプルを作製する。前記サンプルの前記凹凸面側に向けて、法線から+15度の角度で可視光線を照射し、反射光の反射強度を測定する。反射強度の測定では、前記可視光線の正反射方向である法線から−15度の方向を基準角度(0度)として、基準角度を含む−12度〜+12度の方向の反射強度を1度ごとに測定する。基準角度からプラス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を+α15、基準角度からマイナス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を−α15とする。−α15の絶対値と、+α15との平均をα15とした際に、4.5度≦α15の関係を示す。
前記サンプルの前記凹凸面側に向けて、法線から+75度の角度で可視光線を照射し、反射光の反射強度を測定する。反射強度の測定では、前記可視光線の正反射方向である法線から−75度の角度を基準角度(0度)として、基準角度を含む−12度〜+12度の範囲の反射強度を1度ごとに測定する。基準角度からプラス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を+α75、基準角度からマイナス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を−α75とする。−α75の絶対値と、+α75との平均をα75とした際に、α75と前記α15とが、α15/α75≦4.5の関係を示す。
本発明のタッチパネルペン用筆記シートは、少なくとも一方の表面が凹凸面であり、該凹凸面が上記条件1−1及び条件1−2を満たすものである。
まず、図3を引用して、条件1−1の反射強度の測定方法を説明する。
サンプル100は、界面反射を防止するため、筆記シート10の透明粘着剤層と接する部材(基材、易接着層等)と透明粘着剤層20との屈折率差を0.15以内とすることが好ましく、0.10以内とすることがより好ましい。
また、黒色板は、JIS K7361−1:1997の全光線透過率が1%以下のものが好ましく、0%のものがより好ましい。
反射強度の測定では、可視光線の正反射方向である法線から−15度の角度を基準角度(0度)として、基準角度を含む−12度〜+12度の範囲の反射強度を1度ごとに測定する。図3の符号42が可視光線の正反射方向(≒基準角度の方向)に該当し、符号43が示す範囲が反射強度の測定範囲(≒基準角度を含む−12度〜+12度の範囲)に該当する。
変角光度計としては、例えば、日本電色工業社製の商品名GC5000L(光束径:約3mm、光束内傾斜角:0.8度以内、光源:ハロゲンランプ)が挙げられる。
なお、条件1−2の反射強度は、可視光線の照射角度をサンプルの法線から+75度に変更し、さらに、可視光線の正反射方向である法線から−75度の角度を基準角度(0度)と変更する以外は、上述した方法に準じて測定することができる。
人間が書き味を良好に感じる例として、紙に鉛筆で筆記する際の書き味が挙げられる。紙の表面では多くの繊維が絡み合っており、筆記具が繊維を乗り越える際に適度な摩擦が生じ、人間は心地よい書き味を感じる。このため、筆記シートの表面形状を適度に凹凸化することにより、筆記シートの書き味を良好にし得ると考えられる。
表面形状に関するJIS規格(JIS B0601)は、接触式の表面形状測定器を用いて表面形状を測定することを定めている。しかし、触針の形状と表面形状との関係から、測定結果が表面形状を正確に反映できない場合がある。そこで、本発明者らは、反射強度によって表面形状を間接的に表すことを見出した。
図4の実線は、実施例1の筆記シートから作製したサンプルの凹凸面に、法線から+15度の角度で可視光線を照射した際の反射強度分布図であり、図4の破線は、比較例2の筆記シートから作製したサンプルの凹凸面に、法線から+15度の角度で可視光線を照射した際の反射強度分布図である。後述する実施例において、実施例1及び比較例2の筆記シートの表面粗さを示すが、比較例2の筆記シートよりも実施例1の筆記シートは、算術平均粗さRaが大きい。そして、図4の実線(実施例1)と、図4の破線(比較例2)とを比べると、表面粗さが大きい方が、大きな角度に拡散する割合が多いことが分かる。
なお、図4の実線及び破線は、何れも反射強度の最大値を100として、各角度の反射強度を規格化している。また、図4の反射強度分布図は、可視光線の正反射方向(サンプルの法線から−15度の角度)を基準角度(0度)としている。
+α15及び−α15、並びに、後述する+α75及び−α75は、1度ごとの反射強度の値の直線補間による近似曲線で作成した強度分布図から読み取ることができる。
なお、本明細書において、上記α15、並びに、後述するα75、S15、S75及びP12は、10回測定した平均値とする。
筆記シートの表面が略平滑な場合、筆記シートに法線から+15度の角度で可視光線を照射した際の反射強度分布図と、筆記シートに法線から+75度の角度で可視光線を照射した際の反射強度分布図とは、略同一となる。しかし、筆記シートの表面が凹凸面である場合、凹凸の程度が大きくなるほど、+15度の反射強度分布図と、+75度の反射強度分布図とは、分布の形状が大きく相違する。
例えば、凹凸面の任意の箇所に適切な凹凸領域Aが存在し、該領域Aの隣に急峻な山を有する凹凸領域Bが存在したとする。領域B側から可視光線が進んでくることを前提とした場合、+15度の可視光線は、領域Bの急峻な山に入射する確率が小さく、隣の領域Aに入射する確率が大きい一方で、+75度の可視光線は、領域Bの急峻な山に入射する確率が高く、隣の領域Aに入射する確率が小さい。そして、急峻な山に入射した可視光線は、基準角度を含む−12度〜+12度の方向には原則として反射しないため、両者の反射強度分布に違いが生じる。
したがって、+15度の反射強度分布図と、+75度の反射強度分布図との形状が近い場合、凹凸の中に急峻な山が少なく、全体がなだらかな凹凸であることを示し、逆に、+15度の反射強度分布図と、+75度の反射強度分布図との形状が大きく異なる場合、凹凸の中に急峻な山が多いことを示すことになる。
図6の実線は、比較例3の筆記シートから作製したサンプルの凹凸面に、法線から+15度の角度で可視光線を照射した際の反射強度分布図であり、図6の破線は、比較例3の筆記シートから作製したサンプルの凹凸面に、法線から+75度の角度で可視光線を照射した際の反射強度分布図である。
なお、図5及び図6の実線及び破線は、何れも反射強度の最大値を100として、各角度の反射強度を規格化している。また、図5及び図6の反射強度分布図は、可視光線の正反射方向(サンプルの法線から−15度又は−75度の角度)を基準角度(0度)としている。
α15/α75は、3.0以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましく、1.3以下であることがよりさらに好ましい。なお、α15/α75は1.0超であることが好ましい。
<条件1−3>
前記条件1−1において測定した「サンプルの法線から+15度の角度で照射した可視光線の反射強度」の最大値を100として、各角度の反射強度を規格化する。規格化した各角度の反射強度の総和をS15とする。
前記条件1−2において測定した「サンプルの法線から+75度の角度で照射した可視光線の反射強度」の最大値を100として、各角度の反射強度を規格化する。規格化した各角度の反射強度の総和をS75とする。
S15とS75とが、S15/S75≦2.0の関係を示す。
S15/S75は、1.8以下であることがより好ましく、1.6以下であることがさらに好ましく、1.4以下であることがよりさらに好ましい。
<条件1−4>
前記条件1−1において測定した「サンプルの法線から+15度の角度で照射した可視光線の反射強度」の最大値を100として、各角度の反射強度を規格化する。前記条件1−1において設定した基準角度(0度)に対して、−12度の規格化した反射強度と、+12度の規格化した反射強度との平均値をP12とする。
P12が、10.0≦P12の関係を示す。
<条件2−1>
JIS K7136:2000のヘイズが25.0%以上
ギラツキ抑制の観点から、ヘイズは35.0%以上であることがより好ましく、45.0%以上であることがさらに好ましい。また、表示素子の解像性の低下の抑制の観点から、ヘイズは90.0%以下であることが好ましく、70.0%以下であることがより好ましく、65.0%以下であることがさらに好ましく、63.0%以下であることがよりさらに好ましい。
ヘイズ及び後述の全光線透過率を測定する際は、条件1−1及び条件1−2を満たす凹凸面とは反対側の表面から光を入射するものとする。筆記シートの両面が条件1−1及び条件1−2を満たす場合、光入射面はどちらの面であってもよい。なお、ヘイズ及び全光線透過率は、10回測定した際の平均値とする。
<条件2−2>
JIS K7361−1:1997の全光線透過率が87.0%以上
全光線透過率は88.0%以上であることがより好ましく、89.0%以上であることがさらに好ましい。
<条件3−1>
前記凹凸面の純水の接触角が94度以上。
凹凸面の純水の接触角は100度以上であることがより好ましく、105度以上であることがさらに好ましい。
<条件3−2>
前記凹凸面のヘキサデカンの接触角が40度以上。
凹凸面のヘキサデカンの接触角は50度以上であることがより好ましく、60度以上であることがさらに好ましい。
本発明のタッチパネルペン用筆記シートは、少なくとも一方の表面が凹凸面であり、前記凹凸面が条件1−1及び条件1−2を満たしていれば、その構成は特に限定されない。
図1及び図2は、本発明のタッチパネルペン用筆記シート10の一実施形態を示す断面図である。図1のタッチパネルペン用筆記シート10は、基材1の一方の面に凹凸層2を有し、凹凸層2の表面が凹凸面となっている。図2のタッチパネルペン用筆記シート10は、基材1の一方の面に凹凸層2、オーバーコート層3を有し、オーバーコート層3の表面が凹凸面となっている。
筆記シートは、条件1−1及び条件1−2を満たす凹凸面を筆記シートの両面に有していてもよいが、取り扱い性、表示素子の視認性の観点から、条件1−1及び条件1−2を満たす凹凸面を片面に有し、他方の面は略平滑(Ra0.02μm以下)であることが好ましい。
なお、図示しないが、本発明のタッチパネルペン用筆記シート10の構成は、基材を有さない構成であってもよい。
なお、後述するRa、Rz、θa、λa等を算出する際のカットオフ値は何れも0.8mmである。カットオフ値を0.8mmとした理由は、JIS B0633に規定されるカットオフの中から、タッチパネルペンのペン先の直径(1.0mm前後)に近い値を選択したためである。
(b)凹凸面のJIS B0601:1994の十点平均粗さRzが2.0μm以上4.0μm以下。
(c)凹凸面の平均傾斜角θaが3.0度以上9.5度以下。
(d)前記θa及び前記Raから、式[λa=2π×(Ra/tan(θa))]に基づき算出される平均波長λaが、40μm以上150μm以下。
(e)凹凸面のJIS B0601:1994の凹凸の平均間隔Smが48μm以上150μm以下。
(f)凹凸面のJIS B0601:1994の局部山頂平均間隔Sが20μm以上80μm以下。
また、上記物性(a)〜(f)を満たすことにより、凹凸面への指紋の付着防止性及び指で触れた際の触感を良好にしやすくできるとともに、ギラツキ及びタッチパネルペンのペン先の磨耗を抑制しやすくできる。例えば、凹凸が大きく、かつ凹凸の周期が適度な範囲であれば、指と凹凸面との接触面積が減少して、凹凸面への指紋の付着防止性及び指で触れた際の触感を良好にしやすくできる。しかし、凹凸が大きく、かつ凹凸の周期が適度な範囲であっても、凹凸が大き過ぎる場合には手触りが悪くなる。また、凹凸の大きさ及び凹凸の周期が適度な範囲であれば、タッチパネルペンのペン先が凸部の先端を滑るようにして動き、適度な書き味を有しつつ、タッチパネルペンの摩耗を抑制することができる。
上記(b)のRzは、2.5μm以上3.8μm以下であることがより好ましく、3.0μm以上3.6μm以下であることがさらに好ましい。
上記(c)のθaは、4.5度以上9.0度以下であることがより好ましく、8.5度以上7.5度以下であることがより好ましい。
上記(d)のλaは、45μm以上100μm以下であることがより好ましく、50μm以上70μm以下であることがさらに好ましい。
上記(e)のSmは、50μm以上100μm以下であることがより好ましく、50μm以上70μm以下であることがさらに好ましい。
上記(f)のSは、22μm以上50μm以下であることがより好ましく、24μm以上30μm以下であることがさらに好ましい。
コーティングにより形成した凹凸面が条件1−1及び条件1−2等を満たしやすくするためには、粒子の平均粒子径、粒子の含有量、及び凹凸層の厚み等を後述の範囲とすることが好ましい。
また、凹凸の中の急峻な山の割合を少なくして条件1−2を満たしやすくする観点からは、凹凸層上にオーバーコート層を有することが好ましい。凹凸層上にオーバーコート層を形成することにより、凹凸層の溝が部分的に埋まり、条件1−2を満たしやすくすることができる。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル−スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン、フッ素系樹脂及びポリエステル系樹脂等からなる粒子が挙げられる。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、アンチモン、ジルコニア及びチタニア等からなる粒子が挙げられる。無機粒子の中では透明性に優れるシリカが好適である。また、無機粒子は表面を疎水化処理したものが好ましい。疎水化処理した無機粒子は、凹凸層形成塗布液中での分散性が良好となり、凝集が抑制され、条件1−1及び条件1−2等を満たしやすくできる。また、疎水化処理した無機粒子は、樹脂成分との親和性が良いため、塗膜からの脱落を抑制しやすくできる。
粒子の形状は、球形、不定形の何れであってもよい。球形粒子はなめらかな凹凸を形成するのに適し、不定形粒子はギラツキの抑制に優れている。
これらの粒子は、単独で用いても良いが、二種以上を混合して用いてもよい。
有機粒子と無機粒子とを併用する場合、有機粒子の形状は、なめらかな凹凸を形成する観点から球形であることが好ましい。有機粒子と無機粒子とを併用する場合、無機粒子の形状は特に限定されないが、ギラツキを抑制する観点から不定形であることが好ましい。
また、有機粒子と無機粒子とを併用する場合、有機粒子の平均粒子径と無機粒子の平均粒子径とが、1.0<[有機粒子の平均粒子径/無機粒子の平均粒子径]≦1.5とすることが好ましく、1.1≦[有機粒子の平均粒子径/無機粒子の平均粒子径]≦1.4とすることがより好ましい。
粒子の平均粒子径は、以下の(y1)〜(y3)の作業により算出できる。
(y1)本発明の筆記シートを光学顕微鏡にて透過観察画像を撮像する。倍率は500〜2000倍が好ましい。
(y2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の粒子径を算出する。粒子径は、粒子の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、該2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。
(y3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を 凹凸層中の粒子の平均粒子径とする。
なお、有機粒子と無機粒子とを併用する場合、有機粒子:無機粒子は質量比で、1:1〜1:20であることが好ましく、1:3〜1:15であることがより好ましく、1:5〜1:10であることがさらに好ましい。
また、条件1−1及び条件1−2等を満たしやすくする観点、粒子の脱落を抑制する観点及びタッチパネルペンの磨耗抑制の観点から、[粒子の平均粒子径]/[粒子を含む凹凸層の膜厚]の比は、0.7〜1.8であることが好ましく、0.8〜1.7であることがより好ましく、0.9〜1.5であることがさらに好ましい。
凹凸層の膜厚は、例えば、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。STEMの加速電圧は10kv〜30kV、STEMの倍率は1000〜7000倍とすることが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
これら光重合開始剤は、融点が100℃以上であることが好ましい。光重合開始剤の融点を100℃以上とすることにより、筆記シートの製造過程や、タッチパネルの透明導電膜の形成過程で、残留した光重合開始剤が昇華して、製造装置や透明導電膜の汚染を防止することができる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
溶剤の乾燥が遅すぎる場合、凹凸層のレベリング性が過度になること、及び/又は粒子の凝集が進行することにより、条件1−1及び条件1−2等を満たしやすい表面形状を形成しづらくなる。したがって、溶剤としては、蒸発速度(n−酢酸ブチルの蒸発速度を100としたときの相対蒸発速度)が180以上である溶剤を、全溶剤中の50質量%以上含むことが好ましく、60質量%以上含むことがより好ましい。相対蒸発速度が180以上の溶剤としては、トルエンが挙げられる。トルエンの相対蒸発速度は195である。
凹凸層上には、オーバーコート層を有し、オーバーコート層の表面を前記凹凸面とすることが好ましい。凹凸層上にオーバーコート層を形成することにより、凹凸層の溝が部分的に埋まり、条件1−2を満たしやすくすることができる。
上記の観点から、オーバーコート層中には平均粒子径200nm以上の粒子を実質的に含有しないことが好ましい。具体的には、オーバーコート層の全固形分に占める平均粒子径200nm以上の粒子が1.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0質量%であることがさらに好ましい。
また、上記の観点から、オーバーコート層の厚みは、30〜350nmであることが好ましく、130〜300nmであることがより好ましく、150〜250nmであることがさらに好ましい。
オーバーコート層の膜厚は、例えば、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。STEMの加速電圧は10kv〜30kV、STEMの倍率は5万〜30万倍とすることが好ましい。
なお、オーバーコート層を形成する段階では、凹凸層の熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物を半硬化の状態としておくことが好ましい。かかるステップでオーバーコート層を形成することにより、凹凸層とオーバーコート層との密着性を良好にすることができる。
なお、凹凸層の表面に均等にオーバーコート層の固形分が付着した場合、凹凸層が全体的に滑らかとなり、書き味が低下する傾向にある。つまり、オーバーコート層形成塗布液の固形分を上記範囲とすることは、書き味の低下の抑制にもつながる点で好ましい。
オーバーコート層形成塗布液の溶剤の乾燥が遅すぎる場合、オーバーコート層形成塗布液が凹凸層の溝部分に過度に流れ込み、条件1−1及び条件1−2等を満たしやすい表面形状を形成しづらくなる。したがって、溶剤としては、蒸発速度(n−酢酸ブチルの蒸発速度を100としたときの相対蒸発速度)が150以上である溶剤を、全溶剤中の50質量%以上含むことが好ましく、60質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことがさらに好ましい。相対蒸発速度が150以上の溶剤としては、メチルイソブチルケトンが挙げられる。メチルイソブチルケトンの相対蒸発速度は160である。
オーバーコート層の屈折率を1.45以下とするには、オーバーコート層中に低屈折率剤を含有させることが好ましい。
オーバーコート層の屈折率は、例えば、反射光度計により測定した反射スペクトルと、フレネル係数を用いた多層薄膜の光学モデルから算出した反射スペクトルとのフィッティングにより算出することができる。本明細書において、屈折率とは波長550nmにおける屈折率のことをいう。
低屈折率剤の含有量は、屈折率及び塗膜強度のバランスの観点から、オーバーコート層の全固形文中の20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましく、40〜50質量%であることがさらに好ましい。
低屈折率剤が粒子形状の場合、その平均一次粒子径は、200nm未満であることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましく、20〜80nmであることがさらに好ましい。
(z1)筆記シートの断面をTEM又はSTEMで撮像する。TEM又はSTEMの加速電圧は10kv〜30kV、倍率は5万〜30万倍とすることが好ましい。
(z2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の粒子径を算出する。粒子径は、粒子の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、該2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。
(z3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を粒子状の低屈折率剤の平均一次粒子径とする。
分子内にフッ素を含むポリオルガノシロキサンは、シロキサン結合を有する構造を基本骨格として、該シロキサン結合の側鎖にフッ素を含む有機基を有する構造を有することが好ましい。また、フッ素は、汚れの付着の抑制及び汚れの拭取り性の観点から、パーフルオロポリエーテル基として有機基に含まれていることが好ましい。
また、防汚剤は、防汚剤の特性を長期間維持するために、分子内に電離放射線硬化性官能基を有することが好ましい。
基材としては、光透過性を有するプラスチックフィルムが好適である。
光透過性を有するプラスチックフィルムは、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)等の樹脂から形成することができる。
これらプラスチックフィルムの中でも、機械的強度、寸法安定性及び上記物性(f)を満たしやすくする観点からは、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステルフィルムが好ましい。ポリエステルフィルムの中では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましい。
基材の厚みは、5〜200μmであることが好ましく、10〜150μmであることがより好ましい。
基材には凹凸層等の密着性を向上させるために易接着層が形成されていてもよい。なお、界面反射を抑制するため、基材と易接着層との屈折率差は0.15以内とすることが好ましく、0.10以内とすることがより好ましい。
本発明のタッチパネルは、表面にシートを有するタッチパネルであって、前記シートとして、本発明のタッチパネルペン用筆記シートの前記凹凸面(条件1−1及び条件1−2を満たす凹凸面)がタッチパネルの表面を向くように配置してなるものである。
静電容量式タッチパネルの場合、表面側の透明基板200として本発明の筆記シート10を用い、該筆記シート10の前記凹凸面がタッチパネル1000の表面を向くようにして用いる。なお、表面側の透明基板200は、筆記シートに別の基材を貼り合わせた構成であってもよい。
インセルタッチパネルの場合、表面側のガラス基板上に、本発明の筆記シートの前記凹凸面がタッチパネルの表面を向くように配置して用いる。なお、インセルタッチパネルの表面側のガラス基板と、本発明の筆記シートとの間には、偏光板等の他の層を有していてもよい。
本発明のタッチパネル付きの表示装置は、表示素子上にタッチパネルを有する表示装置であって、前記タッチパネルが本発明のタッチパネルであるものである。
本発明のタッチパネルペン用筆記シートの選別方法は、少なくとも一方の表面が凹凸面であり、前記凹凸面が下記条件1−1及び条件1−2を満たすものをタッチパネル用筆記シートとして選別するものである。
前記タッチパネル用筆記シートの前記凹凸面とは反対側の面に、透明粘着剤層を介して黒色板を貼り合わせたサンプルを作製する。前記サンプルの前記凹凸面側に向けて、法線から+15度の角度で可視光線を照射し、反射光の反射強度を測定する。反射強度の測定では、前記可視光線の正反射方向である法線から−15度の方向を基準角度(0度)として、基準角度を含む−12度〜+12度の方向の反射強度を1度ごとに測定する。基準角度からプラス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を+α15、基準角度からマイナス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を−α15とする。−α15の絶対値と、+α15との平均をα15とした際に、4.5度≦α15の関係を示す。
前記サンプルの前記凹凸面側に向けて、法線から+75度の角度で可視光線を照射し、反射光の反射強度を測定する。反射強度の測定では、前記可視光線の正反射方向である法線から−75度の角度を基準角度(0度)として、基準角度を含む−12度〜+12度の範囲の反射強度を1度ごとに測定する。基準角度からプラス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を+α75、基準角度からマイナス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を−α75とする。−α75の絶対値と、+α75との平均をα75とした際に、α75と前記α15とが、α15/α75≦4.5の関係を示す。
選別条件(1−1)のα15、及び、選別条件(1−2)のα15/α75の好適な範囲は、本発明の筆記シートで示した好適な範囲と同様である。
前記条件1−1において測定した「サンプルの法線から+15度の角度で照射した可視光線の反射強度」の最大値を100として、各角度の反射強度を規格化する。規格化した各角度の反射強度の総和をS15とする。
前記条件1−2において測定した「サンプルの法線から+75度の角度で照射した可視光線の反射強度」の最大値を100として、各角度の反射強度を規格化する。規格化した各角度の反射強度の総和をS75とする。
S15とS75とが、S15/S75≦4.5の関係を示す。
<条件1−4>
前記条件1−1において測定した「サンプルの法線から+15度の角度で照射した可視光線の反射強度」の最大値を100として、各角度の反射強度を規格化する。前記条件1−1において設定した基準角度(0度)に対して、−12度の規格化した反射強度と、+12度の規格化した反射強度との平均値をP12とする。
P12が、10.0≦P12の関係を示す。
<条件2−1>
筆記シートのJIS K7136:2000のヘイズが25.0%以上
<条件2−2>
筆記シートのJIS K7361−1:1997の全光線透過率が87.0%以上
<条件3−1>
前記凹凸面の純水の接触角が94度以上。
<条件3−2>
前記凹凸面のヘキサデカンの接触角が40度以上。
実験例で作製又は準備したタッチパネルペン用筆記シートについて、以下の測定及び評価を行った。
タッチパネル用筆記シートの凹凸面とは反対側の面(基材側の面)に、東レ社製の光学透明粘着シート(屈折率:1.47、厚み100μm)を介して、縦10cm×横10cmの大きさの黒色板(クラレ社製、商品名:コモグラス 品番 :DFA502K、厚み2.0mm)を貼り合わせたサンプルを作製した。
サンプルの凹凸面側に向けて、法線から+15度の角度で可視光線を照射し、反射光の反射強度を測定した。反射強度の測定では、可視光線の正反射方向である法線から−15度の方向を基準角度(0度)として、基準角度を含む−12度〜+12度の方向の反射強度を1度ごとに測定した。
さらに、サンプルの凹凸面側に向けて、法線から+75度の角度で可視光線を照射し、反射光の反射強度を測定した。反射強度の測定では、可視光線の正反射方向である法線から−75度の方向を基準角度(0度)として、基準角度を含む−12度〜+12度の方向の反射強度を1度ごとに測定した。
上記の測定結果に基づき、明細書本文の記載に基づき、条件1−1〜1−4に関する数値を算出した。結果を表1に示す。
ヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いて、ヘイズ(JIS K−7136:2000)、及び全光線透過率(JIS K7361−1:1997)を測定した。光入射面は基材側とした。結果を表1に示す。
凹凸面に1.5μLの試料(純水又はヘキサデカン)を滴下し、着滴1秒後に、θ/2法に従って、滴下した液滴の左右端点と頂点を結ぶ直線の、凹凸面に対する角度から試料(純水又はヘキサデカン)の接触角を算出した。接触角は5回測定した平均値とした。また、接触角を測定する際の室内温度は20℃とした。光入射面は基材側とした。結果を表1に示す。
表面粗さ測定器(型番:SE−3400/小坂研究所株式会社製)を用いて、下記の測定条件により、下記の測定項目について、タッチパネルペン用筆記シートの凹凸層側の表面形状を測定した。結果を表1に示す。
<測定条件>
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・触針の送り速さ:0.1mm/s
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
・評価長さ:4mm
・予備長さ:0.8mm
<測定項目>
・カットオフ値0.8mmのJIS B0601:1994の算術平均粗さRa
・カットオフ値0.8mmのJIS B0601:1994の十点平均粗さRz
・カットオフ値0.8mmの平均傾斜角θa
・カットオフ値0.8mmの平均波長λa
・カットオフ値0.8mmのJIS B0601:1994の凹凸の平均間隔Sm
・カットオフ値0.8mmのJIS B0601:1994の局部山頂平均間隔S
タッチパネルペン用筆記シートの凹凸層側の面と反対側の面をガラス板に貼り合わせ、タッチパネルペン(キングジム社製、商品名「BB−2付属ペン」)を用いて書き味を評価した。
書き味が良好であるものを2点、普通であるものを1点、良好でなかったものを0点として、20人が評価を行った。20人の平均点が1.6点以上のものを「A」、1.0以上1.6点未満のものを「B」、1.0点未満のものを「C」とした。結果を表1に示す。
筆記シートの凹凸面に対し、日本スチールウール社製のスチールウール(商品名:ボンスターB−204、等級:#0000」を用いて、2つの荷重条件(300g/m2、400g/m2)でラビング試験を10往復回実施し、粒子の脱落に伴う塗膜の白化が生じているか否かを目視で評価した。荷重400g/m2でも白化が生じないものを「A」、荷重300g/m2では白化が生じないが荷重400g/m2で白化が生じたものを「B」、荷重300g/m2で白化が生じたものを「C」とした。結果を表1に示す。
図10に示すように、タッチパネルペン用筆記シート10の凹凸層側の表面に、タッチパネルペン(キングジム社製、商品名「BB−2付属ペン」)51を60度の角度で接触させ、保持具54で固定した。保持具上部の土台55に100gの重り53を乗せ、タッチパネルペン51に垂直荷重100gfがかかるようにした。荷重をかけたまま、筆記シート10を固定した可動台52を14mm/秒の速度で、片道40mmの長さを往復移動する動作を50回繰り返す動作を1サイクルとして、最大4サイクル繰り返した。
各サイクル完了後に、タッチパネルペンのペン先の磨耗が目視で容易に確認できるか否かを確認した。その結果、4サイクル完了後でも摩耗が確認できないものを「A」、3サイクル完了後では摩耗が確認できないが、4サイクル完了後に摩耗が確認できたものを「B」、1〜3サイクル完了後に摩耗が確認できたものを「C」とした。結果を表1に示す。
測定装置は新東科学社製の商品名「HEIDON−14DR」を用い、モードは「一定荷重往復の摩擦測定モード」とし、評価時の温度は23℃とした。
タッチパネルペン用筆記シートの凹凸層側の面に指の腹を押し当て、上下左右に動かす動作を行った。
触感(滑り性)が良好であるものを2点、普通であるものを1点、良好でなかったものを0点として、20人が評価を行った。20人の平均点が1.6点以上のものを「A」、1.0以上1.6点未満のものを「B」、1.0点未満のものを「C」とした。結果を表1に示す。
タッチパネルペン用筆記シートの凹凸層側の面に指の腹を押し当て、指紋の付着性を目視で評価した。指紋が付着しにくいものを「A」、指紋が付着しやすいものを「C」とした。結果を表1に示す。
また、不織布(旭化成社製、商品名:ベンコットン)を用いて、付着した指紋を拭取り、指紋の跡が見えなくなるまでの回数を評価した。3回までの拭取りで指紋が見えなくなるものを「A」、4〜7回の拭取りで指紋が見えなくなるものを「B」、7回拭取っても指紋が見えるものを「C」とした。結果を表1に示す。
タッチパネルペン用筆記シートを、市販の超高精細液晶表示装置(画素密度350ppi)上に載置して、ギラツキの状態を目視で評価した。ギラツキが目視で視認できないレベルであるものを2点、ギラツキが僅かに観察されるが気にならないものを1点、ギラツキがひどく観察されるものを0点として、20人が評価を行った。20人の平均点が1.6点以上のものを「A」、1.0以上1.6点未満のものを「B」、1.0点未満のものを「C」とした。結果を表1に示す。
照度1000Lxの明室環境下にて、上記サンプルの凹凸面側に対して30Wの三波長蛍光灯で45度の角度から照射し、白化の状態を目視で評価した。15人の被験者が評価を行い、10人以上が良好(白くない)と回答したものを「A」、5〜9人が良好と回答したものを「B」、4人以下が良好と回答したものを「C」とした。結果を表1に示す。
[実施例1]
基材として厚み100μmのPETフィルム(屈折率1.65のPETフィルムの両面に屈折率1.55の易接着層が形成された基材)を用い、該基材上に、下記処方の凹凸層形成塗布液1を乾燥後の厚みが4μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、凹凸層を形成した。
次いで、凹凸層上に、下記処方のオーバーコート層形成塗布液2を乾燥後の厚みが200nmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、オーバーコート層(屈折率1.37)を形成し、タッチパネルペン用筆記シートを得た。なお、凹凸層を形成する段階では凹凸層の電離放射線硬化性樹脂組成物は半硬化の状態とし、その後、オーバーコート層を形成する段階で、凹凸層及びオーバーコート層の電離放射線硬化性樹脂組成物を完全硬化させた。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 60部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 40部
・有機粒子 2部
(球状ポリスチレン粒子、平均粒子径5.0μm)
・無機粒子 15部
(疎水化処理された不定形シリカ、平均粒子径4.0μm)
・光重合開始剤 3.5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッソ系レベリング剤 0.1部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(トルエン) 120部
・溶剤2(シクロヘキサノン) 50部
・多官能アクリレート
(日本化薬社製、KAYARAD PET−30) 100部
・中空シリカ粒子 90部
(平均一次粒子径60nm)
・下記の防汚剤A 5部
・光重合開始剤 7部
(BASF社製、イルガキュア127)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 7500部
・溶剤2 830部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
特開2010−53114号公報の実施例1に準拠して製造した化合物(シロキサン結合を有する構造を基本骨格として、該シロキサン結合の側鎖に二以上の有機基を有し、少なくとも一つの有機基の中にパーフルオロポリエーテル基を有し、かつ、少なくとも一つの有機基の中に電離放射線硬化性官能基を有する化合物)
凹凸層の厚みを3μmに変更し、オーバーコート層塗布液の防汚剤Aの添加量を10部に変更した以外は、実施例1と同様にしてタッチパネルペン用筆記シートを得た。
実施例1と同様の基材上に、下記処方の凹凸層形成塗布液3を乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、凹凸層を形成し、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 81部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・有機粒子 13部
(球状ポリアクリル−スチレン共重合体、平均粒子径3.5μm)
・フュームドシリカ 6部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.001部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 180部
・溶剤2(アノン) 70部
・溶剤3(メチルイソブチルケトン) 2部
・溶剤4 28部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
実施例1と同様の基材上に、下記処方の凹凸層形成塗布液4を乾燥後の厚みが7μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、凹凸層を形成し、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 83部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・有機粒子 11部
(球状ポリスチレン、平均粒子径3.5μm)
・フュームドシリカ 7部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.125部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 225部
・溶剤2(アノン) 3部
・溶剤3(メチルイソブチルケトン) 50部
・溶剤4(イソプロピルアルコール) 28部
実施例1と同様の基材上に、下記処方の凹凸層形成塗布液5を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、凹凸層を形成し、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 60部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 40部
・有機粒子 2部
(球状ポリスチレン粒子、平均粒子径5.0μm)
・無機粒子 15部
(疎水化処理された不定形シリカ、平均粒子径3.0μm)
・光重合開始剤 3.5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッソ系レベリング剤 0.1部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(トルエン) 120部
・溶剤2(シクロヘキサノン) 50部
一方、条件1−1を満たさない比較例1〜2の筆記シートは書き味に劣るものであった。また、比較例3の筆記シートは条件1−1を満たして書き味には優れるものの、条件1−2を満たさず、耐摩耗性に劣るものであった。なお、比較例1及び2の筆記シートは、条件1−2が最適範囲(α15/α75が1.3以下)ではないが、耐摩耗性及びタッチパネルペンの磨耗抑制が良好となっている。この理由は、比較例1及び2の筆記シートは、条件1−1の値が小さく、凹凸の程度が小さいためである。
実施例1〜2及び比較例1〜3のタッチパネルペン用筆記シートの凹凸面とは反対側の面(基材側の面)に、厚み20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、上部電極板とした。次いで、厚み1mmの強化ガラス板の一方の面に、厚み約20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、下部電極板とした。次いで、下部電極板の導電性膜を有する面に、スペーサー用塗布液として電離放射線硬化型樹脂(Dot Cure TR5903:太陽インキ社)をスクリーン印刷法によりドット状に印刷した後、高圧水銀灯で紫外線を照射して、直径50μm、高さ8μmのスペーサーを1mmの間隔で配列させた。
次いで、上部電極板と下部電極板とを、導電性膜どうしを対向するように配置させ、厚み30μm、幅3mmの両面接着テープで縁を接着し、実施例1〜2及び比較例1〜3の抵抗膜式タッチパネルを作製した。
該タッチパネル上での書き味、耐摩耗性等の評価は、表1と同様であった。
実施例1〜2及び比較例1〜3のタッチパネルペン用筆記シートと、市販の超高精細液晶表示装置(画素密度350ppi)とを、透明粘着剤層を介して貼り合わせ、実施例1〜2及び比較例1〜3の表示装置を作製した。なお、貼り合わせの際は、タッチパネルペン用筆記シートの凹凸面側が、表示装置の表面側(表示素子とは反対側)を向くようにした。
該表示装置での書き味、耐摩耗性等の評価は、表1と同様であった。
2:凹凸層
3:オーバーコート層
10:タッチパネルペン用筆記シート
20:透明粘着剤層
30:黒色板
100:サンプル
200:透明基板
300:導電膜
400:スペーサー
500:X軸電極
600:Y軸電極
700:絶縁体層
1000:タッチパネル
Claims (8)
- 少なくとも一方の表面が凹凸面であり、前記凹凸面が電離性放射性樹脂組成物の硬化物を含み、かつ前記凹凸面が下記条件1−1及び条件1−2を満たす、タッチパネル用筆記シート。
<条件1−1>
前記タッチパネル用筆記シートの前記凹凸面とは反対側の面に、透明粘着剤層を介して黒色板を貼り合わせたサンプルを作製する。前記サンプルの前記凹凸面側に向けて、法線から+15度の角度で可視光線を照射し、反射光の反射強度を測定する。反射強度の測定では、前記可視光線の正反射方向である法線から−15度の角度を基準角度(0度)として、基準角度を含む−12度〜+12度の範囲の反射強度を1度ごとに測定する。基準角度からプラス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を+α15、基準角度からマイナス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を−α15とする。−α15の絶対値と、+α15との平均をα15とした際に、4.5度≦α15の関係を示す。
<条件1−2>
前記サンプルの前記凹凸面側に向けて、法線から+75度の角度で可視光線を照射し、反射光の反射強度を測定する。反射強度の測定では、前記可視光線の正反射方向である法線から−75度の角度を基準角度(0度)として、基準角度を含む−12度〜+12度の範囲の反射強度を1度ごとに測定する。基準角度からプラス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を+α75、基準角度からマイナス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を−α75とする。−α75の絶対値と、+α75との平均をα75とした際に、α75と前記α15とが、α15/α75≦4.5の関係を示す。 - JIS K7136:2000のヘイズが25.0%以上である請求項1に記載のタッチパネル用筆記シート。
- 前記凹凸面の純水の接触角が94度以上である請求項1又は2に記載のタッチパネル用筆記シート。
- 前記凹凸面のヘキサデカンの接触角が40度以上である請求項1〜3の何れか1項に記載のタッチパネル用筆記シート。
- 表面に屈折率1.45以下のオーバーコート層を有し、前記オーバーコート層側の表面が前記凹凸面である請求項1〜4の何れか1項に記載のタッチパネル用筆記シート。
- 表面にシートを有するタッチパネルであって、前記シートとして、請求項1〜5の何れか1項に記載のタッチパネルペン用筆記シートの前記凹凸面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるタッチパネル。
- 表示素子上にタッチパネルを有する表示装置であって、前記タッチパネルが請求項6に記載のタッチパネルである、タッチパネル付きの表示装置。
- 少なくとも一方の表面が凹凸面であり、前記凹凸面が電離性放射性樹脂組成物の硬化物を含み、かつ前記凹凸面が下記条件1−1及び条件1−2を満たすものをタッチパネル用筆記シートとして選別する、タッチパネルペン用筆記シートの選別方法。
<条件1−1>
前記タッチパネル用筆記シートの前記凹凸面とは反対側の面に、透明粘着剤層を介して黒色板を貼り合わせたサンプルを作製する。前記サンプルの前記凹凸面側に向けて、法線から+15度の角度で可視光線を照射し、反射光の反射強度を測定する。反射強度の測定では、前記可視光線の正反射方向である法線から−15度の方向を基準角度(0度)として、基準角度を含む−12度〜+12度の方向の反射強度を1度ごとに測定する。基準角度からプラス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を+α15、基準角度からマイナス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を−α15とする。−α15の絶対値と、+α15との平均をα15とした際に、4.5度≦α15の関係を示す。
<条件1−2>
前記サンプルの前記凹凸面側に向けて、法線から+75度の角度で可視光線を照射し、反射光の反射強度を測定する。反射強度の測定では、前記可視光線の正反射方向である法線から−75度の角度を基準角度(0度)として、基準角度を含む−12度〜+12度の範囲の反射強度を1度ごとに測定する。基準角度からプラス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を+α75、基準角度からマイナス方向側の角度であって、基準角度の反射強度の1/2以下の反射強度に最初に到達する角度を−α75とする。−α75の絶対値と、+α75との平均をα75とした際に、α75と前記α15とが、α15/α75≦4.5の関係を示す。
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