JP7095761B2 - タッチパネルペン用筆記シート、タッチパネル、タッチパネルシステム及び表示装置、並びにタッチパネルペン用筆記シートの選別方法 - Google Patents

タッチパネルペン用筆記シート、タッチパネル、タッチパネルシステム及び表示装置、並びにタッチパネルペン用筆記シートの選別方法 Download PDF

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Description

本発明は、タッチパネルペン用筆記シート、タッチパネル、タッチパネルシステム及び表示装置、並びにタッチパネルペン用筆記シートの選別方法に関する。
近年、タッチパネルは多くの携帯情報端末に搭載されるようになったこともあり、流通量が増加している。タッチパネルの表面には、種々の目的のために表面保護シートが貼着される場合がある。
従来主流であった抵抗膜式タッチパネルは、指やペンで繰り返し打点するような操作を行うことから、表面保護シートには高度な耐擦傷性が求められていた。
一方、現在の主流である静電容量式タッチパネルの表面保護シートには、指で操作する際の滑り性が求められている。従来の抵抗膜式は、複数個所を同時に検知できないため、画面上で指を動かすことはなかったものの、静電容量式タッチパネルは、複数個所を同時に検知可能であり、画面上で指を動かす操作が多いためである。
また、抵抗膜式及び静電容量式に共通して、タッチパネル用の表面保護シートには、指で操作した際の指紋の付着を防止したり、付着した指紋を拭取りやすくする性能が求められている。
上記のようなタッチパネル用の表面保護シートとしては、例えば、特許文献1~2が提案されている。
特開2015-114939号公報 特開2014-109712号公報
静電容量式タッチパネルは、静電容量の変化を計測して触れた箇所を認識することから、接触物には一定の導電性が必要である。このため、静電容量式タッチパネルの出現当初は、指での操作性のみが検討されており、タッチパネルペンにより文字や絵を描くなどの筆記性は検討されていなかった。抵抗膜式パッチパネルにおいても、タッチパネルペンを用いた際の操作は打点が主流であり、文字や絵を描く際の筆記性は重視されていなかった。
しかし、近年、静電容量式タッチパネルや電磁誘導型タッチパネルに筆記入力可能なタッチパネルペンが提案され始めたこと、タッチパネルペンによる文字入力や描画に対応したアプリケーションが増加してきたことから、タッチパネル用の表面保護シートには、タッチパネルペンでの良好な筆記感が求められている。
しかし、従来提案された特許文献1~2のタッチパネル用の表面保護シートは、タッチパネルペンでの筆記感について何ら検討していない。
本発明は、筆記感を良好にし得るタッチパネルペン用筆記シート、タッチパネル及び表示装置、並びにタッチパネルペン用筆記シートの選別方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明は、以下の[1]~[14]のタッチパネルペン用筆記シート、タッチパネル、タッチパネルシステム及び表示装置、並びにタッチパネルペン用筆記シートの選別方法を提供する。
[1]下記のタッチパネルペン(A)用の筆記シートであって、該筆記シートは、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大谷深さRv0.8、並びに、カットオフ値2.5mmのJIS B0601:1994の局部山頂平均間隔S2.5が、下記条件(A1)及び(A2)を満たす表面を有する、タッチパネルペン用筆記シート。
0.35≦Rv0.8/Rz0.8≦0.60 (A1)
0.05mm≦S2.5≦0.30mm(A2)
<タッチパネルペン(A)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m以下であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
[2]表面にシートを有するタッチパネルであって、該シートとして、上記[1]に記載のタッチパネルペン用筆記シートの前記条件(A1)及び(A2)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるタッチパネル。
[3]タッチパネルを有する表示装置であって、該タッチパネルが上記[2]に記載のタッチパネルである表示装置。
[4]カットオフ値0.8mmJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大谷深さRv0.8、並びに、カットオフ値2.5mmのJIS B0601:1994の局部山頂平均間隔S2.5が、下記条件(A1)及び(A2)を満たす表面を有するシートを、下記のタッチパネルペン(A)用の筆記シートとして選別する、タッチパネルペン用筆記シートの選別方法。
0.35≦Rv0.8/Rz0.8≦0.60 (A1)
0.05mm≦S2.5≦0.30mm (A2)
<タッチパネルペン(A)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m以下であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
[5]下記のタッチパネルペン(B)用の筆記シートであって、該筆記シートは、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大山高さRp0.8、並びに、測定区間1mmにおける断面曲線のスキューネスPskが、下記条件(B1)及び(B2)を満たす表面を有し、かつ該筆記シートのJIS K7136:2000のヘイズが下記条件(B3)を満たす、タッチパネルペン用筆記シート。
0.50<Rp0.8/Rz0.8≦0.75 (B1)
0.60≦Psk (B2)
ヘイズが5.0%以上 (B3)
<タッチパネルペン(B)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m超であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
[6]表面にシートを有するタッチパネルであって、該シートとして、上記[1]に記載のタッチパネルペン用筆記シートの前記条件(B1)及び(B2)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるタッチパネル。
[7]タッチパネルを有する表示装置であって、該タッチパネルが上記[6]に記載のタッチパネルである表示装置。
[8]カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大山高さRp0.8、並びに、測定区間1mmにおける断面曲線のスキューネスPskが、下記条件(B1)及び(B2)を満たす表面を有し、
かつJIS K7136:2000のヘイズが下記条件(B3)を満たすシートを、下記のタッチパネルペン(B)用の筆記シートとして選別する、タッチパネルペン用筆記シートの選別方法。
0.50<Rp0.8/Rz0.8≦0.75 (B1)
0.60≦Psk (B2)
ヘイズが5.0%以上 (B3)
<タッチパネルペン(B)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m超であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
[9]下記条件(C1)を満たすものをタッチパネルペン用筆記シートとして選別する、タッチパネルペン用筆記シートの選別方法。
<条件(C1)>
タッチパネルペン用筆記シートの表面にタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際の該タッチパネルペンにかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、μk/μsが0.30以上0.58以下。
[10]前記μkが下記条件(C2)を満たすものをタッチパネルペン用筆記シートとして選別する、請求項12に記載のタッチパネルペン用筆記シートの選別方法。
<条件(C2)>
0.06≦μk≦0.30
[11]下記条件(C1)を満たす表面を有するタッチパネルペン用筆記シート。
<条件(C1)>
タッチパネルペン用筆記シートの表面にタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際の該タッチパネルペンにかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、μk/μsが0.30以上0.58以下。
[12]表面にシートを有するタッチパネルであって、該シートとして、上記[11]に記載のタッチパネルペン用筆記シートの前記条件(C1)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるタッチパネル。
[13]表面にタッチパネルペン用筆記シートを有するタッチパネルと、タッチパネルペンとからなるタッチパネルシステムであって、下記条件(C1)を満たすタッチパネルシステム。
<条件(C1)>
タッチパネルペン用筆記シートの表面にタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際の該タッチパネルペンにかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、μk/μsが0.30以上0.58以下。
[14]タッチパネルを有する表示装置であって、該タッチパネルが上記[12]に記載のタッチパネルである表示装置。
本発明のタッチパネルペン用筆記シート、タッチパネル、タッチパネルシステム及び表示装置は筆記感を良好にできる。また、本発明のタッチパネルペン用筆記シートの選別方法は、タッチパネルペンによる筆記試験を行わなくても、特定のタッチパネルペンに対する筆記感が良好である筆記シートを選別することができ、筆記シートの製品設計、品質管理を効率よくすることができる。
本発明のタッチパネルペン用筆記シートの一実施形態を示す断面図である。 本発明のタッチパネルペン用筆記シートの他の実施形態を示す断面図である。 本発明のタッチパネルの一実施形態を示す断面図である。 本発明のタッチパネルの他の実施形態を示す断面図である。 ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率Eの測定方法の概略図である。 タッチパネルペンの直径Dの算出方法を説明する図である。 摩擦係数の測定方法を説明する概略図である。
以下、本発明のタッチパネルペン用筆記シート、タッチパネル、タッチパネルシステム及び表示装置、並びにタッチパネルペン用筆記シートの選別方法に関して、実施形態A、実施形態B及び実施形態Cを例に取り説明する。
<実施形態A>
[タッチパネルペン用筆記シート]
実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シートは、下記のタッチパネルペン(A)用の筆記シートであって、該筆記シートは、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大谷深さRv0.8、並びに、カットオフ値2.5mmのJIS B0601:1994の局部山頂平均間隔S2.5が、下記条件(A1)及び(A2)を満たす表面を有するものである。
0.35≦Rv0.8/Rz0.8≦0.60 (A1)
0.05mm≦S2.5≦0.30mm (A2)
<タッチパネルペン(A)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m以下であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
なお、ヤング率Eの単位は「N/m」、ペン先の直径Dの単位は「m」、算術平均高さPaの単位は「m」である。また、「M」は「メガ(10)」を意味する。
図1は、実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シート10の一実施形態を示す断面図である。図1のタッチパネルペン用筆記シート10は、プラスチックフィルム1の一方の面に樹脂層2を有している。図2のタッチパネルペン用筆記シート10は、樹脂層2の単層構造となっている。
実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シートは、一方の表面が条件(A1)及び(A2)を満たしていてもよいし、両方の表面が条件(A1)及び(A2)を満たしていてもよい。
実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シートは、枚葉状の形態でもよいし、長尺シートをロール状に巻き取ったロール状の形態であってもよい。
以下、タッチパネルペン用筆記シートのことを「筆記シート」と称する場合がある。また、以下、条件(A1)及び(A2)を満たす表面のことを「筆記面」と称する場合がある。
<筆記面>
実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シートは、少なくとも一方の表面が条件(A1)及び(A2)を満たすものである。
実施形態Aでは、条件(A1)と条件(A2)とで異なるカットオフ値を用いている。以下、2種類のカットオフ値(0.8mm、2.5mm)を用いる理由について説明する。
カットオフ値は、粗さ成分(高周波成分)と、うねり成分(低周波成分)とから構成される断面曲線から、うねり成分をカットする度合いを示す値である。言い換えると、カットオフ値は、断面曲線からうねり成分(低周波成分)をカットするフィルターの細かさを示す値である。カットオフ値が大きいと、フィルターが粗いため、うねり成分のうち大きなうねりはカットされるが、小さなうねりはカットされないこととなる。一方、カットオフ値が小さいと、フィルターが細かいため、うねり成分のほとんどがカットされることとなる。つまり、カットオフ値が小さいと高周波成分の凹凸の影響が強く、カットオフ値が大きいと低周波成分の凹凸の影響が強くなる。
JIS B0601で参照するJIS B0633では、算術平均粗さRaの値に応じて、所定のカットオフ値(基準長さ)を用いることとしている。つまり、JISでは、任意のサンプルに対しては、単一のカットオフ値を用いることを原則としており、複数のカットオフ値を用いることを想定していない。
本発明者らは、筆記シートの筆記感との関係について鋭意研究した。その結果、ペン先の物性が筆記感に大きく影響することを見出した。ここでいうペン先の物性とは、タッチパネルペンのペン先及び軸の構造体の硬さ(ヤング率E)、ペン先の直径D、及びペン先の粗さ(ペン先の断面曲線の算術平均高さPa)を元に上記式(i)から算出される「X」である。Xが筆記感に大きく影響することは、以下のように説明できる。
まず、ヤング率Eは、ペン先の荷重による変形のしやすさを示す基本物性であり、ヤング率Eが小さいほどペン先は荷重により変形しやすい傾向となる。次に、直径Dの2乗は、荷重を分散する度合いを示し、直径Dの2乗が小さいほど荷重を分散しにくく、ペン先は荷重により変形しやすい傾向となる。つまり、「ヤング率E×直径D×直径D」が小さいほど、ペン先が変形しやすく、ペン先と筆記シートとが接触しやすいことを示している。次に、ペン先の断面曲線の算術平均高さPaは、ペン先が筆記シートに接触する度合いを示す。具体的には、Paが大きいほどペン先と筆記シートとは点接触することとなり、ペン先と筆記シートとの接触面積が少なくなる。したがって、[ヤング率E×直径D×直径D]÷Paから算出される「X」の値が小さいほど、ペン先と筆記シートとが密着しやすいことを示し、筆記感に大きな影響を与えることとなる。
さらに本発明者らは、Xの値が小さい場合、筆記時に以下の挙動を示すことを見出した。
まず、Xの値が小さい場合、ペンを筆記シートに接触させた段階、及び書き始めの段階では、ペン先が筆記シートの表面形状に追従するように変形し、ペン先と筆記フィルムとの接触が微小領域において蜜となる。このため、書き始めの段階の摩擦抵抗は高周波成分の凹凸の影響が大きくなる。
次に、書き始め以降の段階では、筆記速度の上昇に伴う移動により、フィルムの低周波成分の凹凸の寄与によりペン先とフィルムとの微小領域への密着頻度が低下し、摩擦抵抗は高周波成分の凹凸の影響が低下する一方で、凹凸量の大きい低周波成分の凹凸の影響が大きくなる。
そして、本発明者らは上記の挙動に基づいてさらに検討を行い、2種類のカットオフ値を用いて表面形状を設計することにより、書き始めから書き終わりまでの筆記感を良好にし得ることを見出した。なお、文字を書いたり、図形を描いたりする際には、一瞬筆記を停止した後に再始動する場合が多い(例えば、筆記方向を転換する際には、通常は一瞬筆記を停止する。また、筆記箇所を移動する際にも一瞬筆記が停止する。)。本発明者らは、このような再始動の直後についても「書き始め」とみなしている。
条件(A1)は、カットオフ値を0.8mmとした際のJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大谷深さRv0.8が、0.35≦Rv0.8/Rz0.8≦0.60を満たすことを要求している。
条件(A1)のカットオフ値は0.8mmである。条件(A1)は高周波成分の凹凸を示しており、主として書き始めの筆記感に影響を与えるパラメータである。
条件(A1)のRv0.8/Rz0.8は、高周波成分の凹凸の谷の割合を示している。凹凸の山にはペン先が密着する一方で、凹凸の谷の中にはペン先が入り込みにくいため、谷は書き始める際のペン先の剥離力(摩擦抵抗)を抑制することになる。このため、Rv0.8/Rz0.8を上記範囲内とすることにより、書き始めのペン先の剥離力(摩擦抵抗)が適切となり、書き始めの筆記感を良好にすることができる。また、Rv0.8/Rz0.8を上記範囲内とすることにより、筆記シートの表面にペンを静止させやすくできる。
一方、Rv0.8/Rz0.8が0.35未満の場合、谷の割合が少なすぎるため引っかかる感触となり、書き始めの筆記感を良好にすることができない。また、Rv0.8/Rz0.8が0.60を超える場合、谷の割合が多すぎるため滑った感触となり、書き始めの筆記感を良好にすることができず、ペンを静止させにくい。
条件(A1)は、0.37≦Rv0.8/Rz0.8≦0.55を満たすことが好ましく、0.40≦Rv0.8/Rz0.8≦0.50を満たすことがより好ましい。
なお、条件(A1)を算出する基準となるRv0.8、Rz0.8は、20個のサンプルを各1回ずつ測定した際の平均値とする。また、後述するS2.5、Pp、Pv、Pa、Ra、透過鮮明度及びヘイズも20個のサンプルを各1回ずつ測定した際の平均値とする。
条件(A2)は、カットオフ値を2.5mmとした際のJIS B0601:1994の局部山頂平均間隔S2.5が、0.05mm≦S2.5≦0.30mmを満たすことを要求している。
条件(A2)のカットオフ値は2.5mmである。条件(A2)は低周波成分の凹凸を示しており、主として書き始め以降の筆記感に影響を与えるパラメータである。
条件(A2)のS2.5は、低周波成分の局部山頂平均間隔を示している。書き始め以降はペン先が局部山頂に接触しながら移動する。このため、S2.5は書き始め以降の感触に影響を与える。したがって、S2.5を上記範囲内とすることにより、書き始め以降の摩擦抵抗が適切となり、書き始め以降の筆記感を良好にすることができる。
2.5が0.05mm未満の場合、局部山頂が多すぎるため引っかかる感触となり、書き始め以降の筆記感を良好にすることができない。また、S2.5が0.30mmを超える場合、局部山頂が、ペン先端の接触面積と比較して少なすぎるため滑った感触となり、書き始め以降の筆記感を良好にすることができない。
条件(A2)は、0.05mm≦S2.5≦0.25mmを満たすことが好ましく、0.05mm≦S2.5≦0.15mmを満たすことがより好ましい。なお、S2.5を0.05mm以上とすることは、表示素子の解像度の低下の抑制にもつながる。特に、画素密度が300ppi以上の超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できる点で好適である。
また、実施形態Aの筆記シートは、単位測定区間を1mm、単位測定区間における断面曲線の山高さの最大値をPp、単位測定区間における断面曲線の谷深さの最大値をPv、PpとPvとの和を単位測定区間における断面曲線の最大断面高さPtとして、5つの測定区間のPtの平均値をPtmとした際に、筆記面のPtmが下記条件(A3)を満たすことが好ましい。
0.01μm≦Ptm≦1.00μm (A3)
単位測定区間における断面曲線の山高さの最大値をPpとは、単位測定区間の標高の平均線よりも上にある部分を山と定義して、最も高い山の高さを表したものである。なお、Ppと、JIS B0601:2001の粗さ曲線の最大山高さRpとは、パラメータを算出する基準が、Ppが断面曲線であり、Rpが粗さ曲線であるという点で異なっている。
単位測定区間における断面曲線の谷深さの最大値をPvとは、単位測定区間の標高の平均線よりも下にある部分を谷と定義して、最も深い谷の深さを表したものである。なお、Pvと、JIS B0601:2001の粗さ曲線の最大谷深さRvとは、パラメータを算出する基準が、Pvが断面曲線であり、Rvが粗さ曲線であるという点で異なっている。
上述したように、書き始めの筆記感は高周波の凹凸の影響が大きく、書き始め以降の筆記感は低周波の凹凸の影響が大きい。しかし、高周波の凹凸と低周波の凹凸を合算した凹凸も、書き始めの筆記感及び書き始め以降の筆記感に若干の影響を与える。条件(A3)は高周波の凹凸と低周波の凹凸を合算した凹凸(カットオフ値0)の標高差が小さすぎず大きすぎないことを示している。このため、条件(A3)を上記範囲とすることにより、書き始めのから書き終わりまでの筆記感をより良好にすることができる。
条件(A3)は、0.10μm≦Ptm≦0.85μmを満たすことがより好ましく、0.0.35μm≦Ptm≦0.75μmを満たすことがさらに好ましい。
また、実施形態Aの筆記シートの筆記面は、カットオフ値を0.8mmとした際のJIS B0601:2001の算術平均粗さRa0.8が下記条件(A4)を満たすことが好ましい。
0.01μm≦Ra0.8≦0.50μm (A4)
Ra0.8を上記範囲とすることにより、筆記感をより良好にすることができるとともに、筆記シートによって表示素子の解像度が低下することを抑制できる。特に、画素密度が300ppi以上の超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できる点で好適である。
条件(A4)は、0.03μm≦Ra0.8≦0.30μmであることがより好ましく、0.05μm≦Ra0.8≦0.15μmであることがさらに好ましい。
さらに、実施形態Aの筆記シートは、筆記面に対して、タッチパネルペン(A)を60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペン(A)に垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際のタッチパネルペン(A)にかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、0.30≦μk/μs≦0.58の関係を満たすことが好ましい。なお、実施形態Aにおいて、動摩擦係数μkは、全測定時間の動摩擦係数の平均値を意味する。静止摩擦係数は、摩擦力0から測定時間の経過に伴って、動摩擦係数以上となった最初の摩擦力のピークとする。摩擦係数の測定間隔は0.02秒とすることが好ましい。
文字を書いたり、図形を描いたりする際には、一瞬筆記を停止した後に再始動する場合が多い(例えば、筆記方向を転換する際には、通常は一瞬筆記を停止する。また、筆記箇所を移動する際にも一瞬筆記が停止する。)。このように筆記を一瞬停止して再始動する際には、静止摩擦係数と動摩擦係数との差による影響をうけやすいが、μk/μsを上記範囲とすることにより、筆記を一瞬停止して再始動する際にも思い描いた筆記が可能となる(例えば、思い通りの方向に筆記方向を転換できる)。
0.30≦μk/μs≦0.58の関係を満たすためには、上記条件(A1)及び(A2)満たすことが好ましく、上記条件(A1)~(A3)を満たすことがより好ましく、上記条件(A1)~(A4)を満たすことがさらに好ましい。
また、上記効果をより良好にするためには、μk/μsは、0.30≦μk/μs≦0.44の関係を満たすことがより好ましい。
μk/μsは、20個のサンプルを各1回ずつ測定して各サンプルのμk/μsを算出し、20サンプルのμk/μsを平均した値とする。
なお、筆記面に対してタッチパネルペンを60度以外の角度(例えば30~75度の範囲の何れかの角度)で接触させた状態で固定した際にも、μk/μsが上記範囲であることが好ましい。また、μk/μsは、走査の速度を14mm/秒以外の速度(例えば0.1~100mm/秒の範囲の何れかの速度)とした際にも、上記範囲であることが好ましい。
また、滑りすぎず適度な抵抗感を得る観点から、μk及びμsは以下の範囲であることが好ましい。μkは0.06~0.30であることが好ましく、0.08~0.28であることがより好ましい。μsは0.15~0.95であることが好ましく、0.20~0.60であることがより好ましい。
図7は、μk及びμsの測定方法を説明する概略図である。
図7では、タッチパネルペン200は筆記シート10に接触した状態で保持具84によって固定されている。また、保持具84の上部には重り83を乗せるための土台85が付属されている。土台85上には重り83が乗せられており、該重りによってタッチパネルペンに垂直荷重がかけられている。筆記シート10は可動台82上に固定されている。
摩擦係数の測定時には、タッチパネルペンが上記のように固定された状態で、可動台82を、可動台とタッチパネルペンとの成す角の鈍角方向側(図7の左側)に所定の速度で走査する。
図7に示す測定が可能な装置としては、新東科学社製の商品名HEIDON-14DRが挙げられる。
タッチパネルペンのペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率Eは、引張試験機の圧縮方向への変異及び荷重特性から算出できる。具体的には図5のように、ペン先から10cmの箇所を両側からクランプ300で固定した軸長L、クランプ300を介してペン軸方向に5gfの垂直荷重を付加した時の変形量と、100gfの垂直荷重を付加した時の変形量の差ΔLを変位と定義し、荷重差95gfをΔF、ペン先の径から求めた断面積Sより、下記式(ii)により算出できる。タッチパネルペン200を押し付ける対象は、厚み3mm以上のステンレス製の板400とする。なお、ペンを押し付ける際にペンが安定しない場合には、板の表面にペンを安定化させるための凹部を設け、該凹部の箇所にペンを接触させればよい。
ヤング率Eの測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度50%±10%とする。また、ヤング率Eの測定開始前に、タッチパネルペンを23℃±5℃、湿度50%±10%の雰囲気に10分以上放置するものとする。
σ(応力)=ΔF/S
ε(歪)=ΔL/L
E=σ/ε (ii)
ペン先の直径Dは、ペン軸に対して垂直方向側からタッチパネルペンを撮像した写真を基準として算出する。図6は、ペン軸に対して垂直方向側からタッチパネルペンを撮像した際のタッチパネルペンの外形を点線で表示したものである。図6(a)に示すように、該写真に対して、該写真の頂点を通り、かつ該写真からはみ出ない円を重ね合わせた際に、最大となる円の直径をペン先の直径Dとする。ただし、図6(b)に示すように、該写真が斜面を有し、かつ該斜面のペン軸に対する角度が40~90度であれば、該斜面をはみ出して該円を重ね合わせてもよい。
ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さPaは、ペン先の形状をデジタルマイクロスコープで撮像し、撮像したペン先の輪郭を断面曲線と擬制し、断面曲線の平均線の方向に単位測定区間(0.5mm)の長さLだけ抜き取り、該抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均することにより算出できる。具体的には、Paは以下の式(iii)から算出できる。ペン先が曲率を有する場合、曲面を直線に補正した上でPaを算出すればよい。なお、単位測定区間(0.5mm)の中間点は、ペン先の中心と一致させることが好ましい。
デジタルマイクロスコープとしては、例えば、キーエンス社の商品名VHX-5000等を用いることができる。
Figure 0007095761000001

なお、Paと、JIS B0601:2001の算術平均粗さRaとは、パラメータを算出する基準が、Paが断面曲線であり、Raが粗さ曲線であるという点で異なっている。
また、実施形態Aの筆記シートは、JIS K7374:2007に準拠して測定した写像性測定器の光学櫛の幅が0.125mm、0.5mm、1.0mm及び2.0mmの透過像鮮明度をC0.125、C0.5、C1.0及びC2.0とした際に、C0.125、C0.5、C1.0及びC2.0の総和Cが250%以上であることが好ましく、270%以上であることがより好ましく、280%以上であることがさらに好ましい。
を250%以上とすることにより、筆記シートによって表示素子の解像度が低下することを抑制できる。特に、画素密度が300ppi以上の超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できる点で好適である。Cの上限は特に限定されないが、399%程度である。
また、実施形態Aの筆記シートは、JIS K7136:2000のヘイズが5.0%未満であることが好ましく、3.0%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。
ヘイズを5.0%以下とすることにより、筆記シートによって表示素子の解像度が低下することを抑制できる。特に、画素密度が300ppi以上の超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できる点で好適である。ヘイズの下限は特に限定されないが、0.1%以上であることが好ましく、0.2%以上であることがより好ましい。
なお、透過像鮮明度及びヘイズを測定する際は、筆記シートの筆記面とは反対側の表面から光を入射するものとする。筆記シートの両面が上記条件(A1)及び(A2)を満たす場合、光入射面はどちらの面であってもよい。
<筆記シート全体の構成>
実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シートは、少なくとも一方の表面が条件(A1)及び(A2)を満たしていれば、その構成は特に限定されない。
例えば、実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シート10の構成としては、図1及び図2のように、樹脂層2を有し、該樹脂層2の一方の表面が条件(A1)及び(A2)を満たすものが挙げられる。
なお、図示しないが、樹脂層やプラスチックフィルム以外の他の層を有し、該他の層の表面が条件(A1)及び(A2)を満たしていてもよい。他の層としては、帯電防止層、防汚層等が挙げられる。また、図示しないが、樹脂層は2層以上から構成されていてもよい。
条件(A1)及び(A2)を満たす表面(筆記面)は、(a)エンボス、サンドブラスト、エッチング等の物理的又は化学的処理、(b)型による成型、(c)コーティング、等により形成することができる。これら方法の中では、表面形状の再現性の観点からは(b)の型による成型が好適であり、生産性及び多品種対応の観点からは(c)のコーティングが好適である。
型による成型は、条件(A1)及び(A2)を満たす形状と相補的な形状からなる型を作製し、当該型に樹脂層を形成する材料を流し込んだ後、型から取り出すことにより形成することができる。ここで、該材料として樹脂層を構成する材料を用い、型に該材料を流し込んだ後にプラスチックフィルムを重ね合わせ、樹脂層をプラスチックフィルムごと型から取り出せば、プラスチックフィルム上に樹脂層を有し、該樹脂層の表面が条件(A1)及び(A2)を満たすタッチパネルペン用筆記シートを得ることができる。また、プラスチックフィルムを用いることなく型から樹脂層をそのまま取り出したり、プラスチックフィルムを用いて型から樹脂層を取り出した後にプラスチックフィルムを剥離することにより、樹脂層単層からなり、該樹脂層の表面が条件(A1)及び(A2)を満たすタッチパネルペン用筆記シートを得ることができる。
型に流し込む材料として硬化性樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物)を用いる場合、型から取り出す前に硬化性樹脂組成物を硬化することが好ましい。
コーティングによる樹脂層の形成は、樹脂成分、粒子及び溶剤を含有してなる樹脂層形成塗布液を、グラビアコーティング、バーコーティング等の公知の塗布方法によりプラスチックフィルム上に塗布、乾燥、硬化することにより形成できる。
コーティングにより形成した樹脂層の表面形状が上述した条件を満たすようにするためには、膜厚、粒子の含有量、及び粒子の平均粒子径を後述の範囲とした第一樹脂層を形成し、該第一樹脂層上に第二樹脂層を形成することが好ましい。
第一樹脂層の膜厚は1.5~10μmが好ましく、2~8μmがより好ましく、4~7μmがさらに好ましい。第一樹脂層及び後述の第二樹脂層の膜厚は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。TEM又はSTEMの加速電圧は10~30kV、倍率は5万~30万倍とすることが好ましい。
第一樹脂層の粒子は、有機粒子及び無機粒子の何れも用いることができる。有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル-スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン-メラミン-ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン、フッ素系樹脂及びポリエステル系樹脂等からなる粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、アンチモン、ジルコニア及びチタニア等からなる粒子が挙げられる。これら粒子の中でも、分散制御の容易さの観点から有機粒子が好適である。
第一樹脂層中の粒子の含有量は、樹脂層を形成する全固形分中の0.1~15質量%であることが好ましく、0.2~12質量%であることがより好ましく、0.3~10質量%であることがさらに好ましい。
第一樹脂層中の粒子の平均粒子径は、0.2~8.0μmが好ましく、0.3~7.0μmがより好ましく、0.5~5.0μmがさらに好ましい。粒子が凝集している場合、凝集粒子の平均粒子径が前記範囲を満たすことが好ましい。粒子の平均粒子径は、以下の(1)~(3)の作業により算出できる。
(1)筆記シートを光学顕微鏡にて透過観察画像を撮像する。倍率は500~2000倍が好ましい。
(2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の粒子径を算出する。粒子径は、粒子の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、該2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。
(3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を第一樹脂層中の粒子の平均粒子径とする。
後述の第二樹脂層の粒子の平均粒子径は、まず、筆記シートの断面をTEM又はSTEMで撮像する。撮像後、上記(2)及び(3)と同様の手法を行うことにより、第二樹脂層の粒子の平均粒子径を算出できる。TEM又はSTEMの加速電圧は10kv~30kV、倍率は5万~30万倍とすることが好ましい。
第二樹脂層は、第一樹脂層の凹凸を滑らかにする層である。このため、第二樹脂層は、平均粒子径0.2μm以上の粒子を含有しないことが好ましい。
第二樹脂層の膜厚は0.01~0.15μmが好ましく、0.05~0.10μmがより好ましい。
第二樹脂層に粒子を含有させる場合、該粒子の平均粒子径は0.2μm未満が好ましく、0.01~0.2μmがより好ましい。
第二樹脂層の粒子は、第一樹脂層の粒子として例示した有機粒子、無機粒子と同様のものを用いることができる。これらの中でも反射率を低減する観点から、中空粒子が好ましく、中空シリカがより好ましい。
第二樹脂層中の粒子の含有量は、第二樹脂層を形成する全固形分中の20~60質量%であることが好ましく、30~50質量%であることがより好ましい。
第一樹脂層及び第二樹脂層の樹脂成分は、熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましく、機械的強度をより良くする観点から、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがより好ましく、その中でも紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
また、多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
これら光重合開始剤は、融点が100℃以上であることが好ましい。光重合開始剤の融点を100℃以上とすることにより、筆記シートの製造過程や、タッチパネルの透明導電膜の形成過程で、残留した光重合開始剤が昇華して、製造装置や透明導電膜の汚染を防止することができる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
プラスチックフィルムは、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo-Olefin-Polymer:COP)等の樹脂から形成することができる。
これらプラスチックフィルムの中でも、機械的強度や寸法安定性の観点からは、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN))が好ましい。
プラスチックフィルムの厚みは、5~200μmであることが好ましく、10~150μmであることがより好ましい。
樹脂層は、条件(A1)及び(A2)を満たしやすくする観点から、フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素シリコーン共重合体系レベリング剤等のレベリング剤の一種又は二種以上を含有することが好ましい。
また、レベリング剤の含有量は、条件(A1)及び(A2)を満たす表面を形成しやすくする観点から、樹脂層の全固形分の0.01~5質量%であることが好ましく、0.1~3質量%であることがより好ましい。
樹脂層塗布液の溶剤としては、一般的に使用される有機溶剤であれば問題ないが、これら溶剤の中でも、ケトン系の溶剤が好ましく、メチルエチルケトンとメチルイソブチルケトンとの混合溶剤がより好ましい。樹脂層を二層以上から構成する場合、最表面の樹脂層塗布液の溶剤としてケトン系溶剤を用いることが好ましい。ケトン系溶剤は、表面の平滑化と下地層との密着性を両立させやすいため、条件(A1)及び(A2)を満たす表面を形成しやすい点で好適である。
実施形態Aの筆記シートは、上記式(i)から導かれるXが500MN/m以下であるタッチパネルペン(タッチパネルペン(A))用の筆記シートとして用いることにより筆記感を良好にすることができる。
筆記感は、実施形態Aの筆記シートを、上記式(i)から導かれるXが100MN/m以下のタッチパネルペン用の筆記シートとして用いた場合により良好にすることができ、上記式(i)から導かれるXが0.1MN/m以上50MN/m以下のタッチパネルペン用筆記シートとして用いた場合にさらに筆記感を良好にすることができる。
タッチパネルペン(A)のヤング率E、直径D、及び算術平均高さPaの個々の値は、上記式(i)を満たす限り特に限定されないが、概ね以下の範囲であることが好ましい。
ヤング率Eは0.001~2.5GPa(1.0×10~2.5×10N/m)であることが好ましく、0.002~1.7GPa(2.0×10~1.7×10N/m)であることがより好ましい。直径Dは0.3~6.0mmであることが好ましく、0.5~2.0mmであることがより好ましい。算術平均高さPaは0.01~150μmであることが好ましく、1.0~120μmであることがより好ましい。
また、タッチパネルペン(A)のペン先の曲率半径は特に限定されないが、0.3~1.5mmの場合により効果を発揮しやすく、0.5~0.8mmの場合にさらに効果を発揮しやすい。
[タッチパネル]
実施形態Aのタッチパネルは、表面にシートを有するタッチパネルであって、該シートとして、実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シートの条件(A1)及び(A2)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるものである。
タッチパネルとしては、抵抗膜式タッチパネル、静電容量式タッチパネル、インセルタッチパネル、光学式タッチパネル、超音波式タッチパネル及び電磁誘導式タッチパネル等が挙げられる。
抵抗膜式タッチパネル100は、図3に示すように、導電膜30を有する上下一対の透明基板20の導電膜30同士が対向するようにスペーサー40を介して配置されてなる基本構成に、図示しない回路が接続されてなるものである。
抵抗膜式タッチパネルの場合、例えば、上部透明基板20として実施形態Aの筆記シート10を用い、該筆記シート10の条件(A1)及び(A2)を満たす側の面がタッチパネル100の表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。また、図示しないが、抵抗膜式タッチパネルは、上部透明基板上に、実施形態Aの筆記シートを、条件(A1)及び(A2)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、上部透明基板上に、実施形態Aの筆記シートを、条件(A1)及び(A2)を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
静電容量式タッチパネルは、表面型及び投影型等が挙げられ、投影型が多く用いられている。投影型の静電容量式タッチパネルは、X軸電極と、該X軸電極と直交するY軸電極とを絶縁体を介して配置した基本構成に、回路が接続されてなるものである。該基本構成をより具体的に説明すると、1枚の透明基板上の別々の面にX軸電極及びY軸電極を形成する態様、透明基板上にX軸電極、絶縁体層、Y軸電極をこの順で形成する態様、図4に示すように、透明基板20上にX軸電極50を形成し、別の透明基板20上にY軸電極60を形成し、接着剤層等の絶縁体層70を介して積層する態様等が挙げられる。また、これら基本態様に、さらに別の透明基板を積層する態様が挙げられる。
静電容量式タッチパネルの場合、例えば、表面側の透明基板20として実施形態Aの筆記シート10を用い、該筆記シート10の条件(A1)及び(A2)を満たす側の面がタッチパネル100の表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。また、図示しないが、静電容量式タッチパネルは、表面側の透明基板上に、実施形態Aの筆記シートを、条件(A1)及び(A2)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、表面側の透明基板上に、実施形態Aの筆記シートを、条件(A1)及び(A2)を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
電磁誘導式タッチパネルは、磁界を発生する専用ペンを用いるタッチパネルである。電磁誘導式タッチパネルは、ペンから生じる電磁エネルギーを検出するセンサー部を少なくとも有し、さらにセンサー部上に透明基板を有する。該透明基板は多層構成であってもよい。
電磁誘導式タッチパネルの場合、例えば、センサー部上に位置する透明基板のうち、最表面の透明基板として、実施形態Aの筆記シートを用い、該筆記シートの条件(A1)及び(A2)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。あるいは、電磁誘導式タッチパネルの場合、センサー部上に位置する透明基板のうち、最表面の透明基板上に、実施形態Aの筆記シートを、条件(A1)及び(A2)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、該最表面の透明基板上に、実施形態Aの筆記シートを、条件(A1)及び(A2)を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
インセルタッチパネルは、2枚のガラス基板に液晶を挟んでなる液晶素子の内部に、抵抗膜式、静電容量式、光学式等のタッチパネル機能を組み込んだものである。
インセルタッチパネルの場合、例えば、表面側のガラス基板に対して、実施形態Aの筆記シートの条件(A1)及び(A2)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせて用いる構成が挙げられる。なお、表面側のガラス基板と、実施形態Aの筆記シートとの間には、偏光板等の他の層を有していてもよい。
[表示装置]
実施形態Aの表示装置は、タッチパネルを有する表示装置であって、該タッチパネルが実施形態Aのタッチパネルであるものである。
表示素子としては、液晶表示素子、EL表示素子、プラズマ表示素子、電子ペーパー素子、インセルタッチパネル液晶表示素子等が挙げられる。表示素子が液晶表示素子、EL表示素子、プラズマ表示素子、電子ペーパー素子の場合、これらの表示素子上に実施形態Aのタッチパネルを載置する。
実施形態Aの表示装置は、表面を過度にあらすことなく筆記感を良好にしていることから、表示素子の解像度が損なわれることを抑制できる。特に、画素密度が300ppi以上の超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できる点で好適である。
[タッチパネルペン用筆記シートの選別方法]
実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シートの選別方法は、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大谷深さRv0.8、並びに、カットオフ値2.5mmのJIS B0601:1994の局部山頂平均間隔S2.5が、下記条件(A1)及び(A2)を満たす表面を有するシートを、下記のタッチパネルペン(A)用の筆記シートとして選別するものである。
0.35≦Rv0.8/Rz0.8≦0.60 (A1)
0.05mm≦S2.5≦0.30mm (A2)
<タッチパネルペン(A)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m以下であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シートの選別方法では、タッチパネルペンによる筆記試験を行わなくても、上記式(i)のXが500MN/m以下であるタッチパネルペン(タッチパネルペン(A))の筆記感が良好な筆記シートを選別することができ、筆記シートの製品設計、品質管理を効率よくすることができる。
タッチパネルペン用筆記シートを選別する判定条件は、上記(A1)及び(A2)を必須条件とする。条件(A1)及び(A2)の判定条件は、上述した実施形態Aの筆記シートの好適な数値範囲であることが好ましい。例えば、条件(A1)の判定条件は、0.37≦Rv0.8/Rz0.8≦0.58であることが好ましい。
実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シートの選別方法では、筆記感をより良好する観点、及び表示素子の解像度の低下を抑制する観点から、以下に挙げる条件(A3)~(A6)の一以上を判定条件とすることがより好ましく、(A3)~(A6)の全てを判定条件とすることがさらに好ましい。
0.01μm≦Ptm≦1.00μm (A3)
0.01μm≦Ra0.8≦0.50μm (A4)
が250%以上 (A5)
ヘイズが5.0%未満 (A6)
条件(A3)~(A6)の判定条件は、上述した実施形態Aの筆記シートの好適な数値範囲であることが好ましい。
<実施形態B>
[タッチパネルペン用筆記シート]
実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シートは、下記のタッチパネルペン(B)用の筆記シートであって、該筆記シートは、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大山高さRp0.8、並びに、測定区間1mmにおける断面曲線のスキューネスPskが、下記条件(B1)及び(B2)を満たす表面を有し、かつ該筆記シートのJIS K7136:2000のヘイズが下記条件(B3)を満たすものである。
0.50<Rp0.8/Rz0.8≦0.75 (B1)
0.60≦Psk (B2)
ヘイズが5.0%未満 (B3)
<タッチパネルペン(B)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m超であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
なお、ヤング率Eの単位は「N/m」、ペン先の直径Dの単位は「m」、算術平均高さPaの単位は「m」である。また、「M」は「メガ(10)」を意味する。
図1は、実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シート10の一実施形態を示す断面図である。図1のタッチパネルペン用筆記シート10は、プラスチックフィルム1の一方の面に樹脂層2を有している。図2のタッチパネルペン用筆記シート10は、樹脂層2の単層構造となっている。
実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シートは、一方の表面が条件(B1)及び(B2)を満たしていてもよいし、両方の表面が条件(B1)及び(B2)を満たしていてもよい。
実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シートは、枚葉状の形態でもよいし、長尺シートをロール状に巻き取ったロール状の形態であってもよい。
以下、タッチパネルペン用筆記シートのことを「筆記シート」と称する場合がある。また、以下、条件(B1)及び(B2)を満たす表面のことを「筆記面」と称する場合がある。
<筆記面>
実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シートは、少なくとも一方の表面が条件(B1)及び(B2)を満たすものである。
実施形態Bでは、条件(B1)ではカットオフ値0.8mmの粗さパラメータを用いる一方で、条件(B2)では断面パラメータを用いている。以下、この理由を説明する。
カットオフ値は、粗さ成分(高周波成分)と、うねり成分(低周波成分)とから構成される断面曲線から、うねり成分をカットする度合いを示す値である。言い換えると、カットオフ値は、断面曲線からうねり成分(低周波成分)をカットするフィルターの細かさを示す値である。カットオフ値が大きいと、フィルターが粗いため、うねり成分のうち大きなうねりはカットされるが、小さなうねりはカットされないこととなる。一方、カットオフ値が小さいと、フィルターが細かいため、うねり成分のほとんどがカットされることとなる。つまり、カットオフ値が小さい粗さパラメータは高周波成分の凹凸の影響が強く、カットオフ値が大きい粗さパラメータは低周波成分の凹凸の影響が強くなる。条件(B1)のようなカットオフ値0.8mmの粗さパラメータは、高周波成分(微小領域)の凹凸を示している。
一方、断面パラメータは、粗さ成分(高周波成分)及びうねり成分(低周波成分)の両方を含んだ凹凸であり、大きな領域の凹凸を示している。
本発明者らは、筆記シートの筆記感との関係について鋭意研究した。その結果、ペン先の物性が筆記感に大きく影響することを見出した。ここでいうペン先の物性とは、タッチパネルペンのペン先及び軸の構造体の硬さ(ヤング率E)、ペン先の直径D、及びペン先の粗さ(ペン先の断面曲線の算術平均高さPa)を元に上記式(i)から算出される「X」である。Xが筆記感に大きく影響することは、以下のように説明できる。
まず、ヤング率Eは、ペン先の荷重による変形のしやすさを示す基本物性であり、ヤング率Eが小さいほどペン先は荷重により変形しやすい傾向となる。次に、直径Dの2乗は、荷重を分散する度合いを示し、直径Dの2乗が小さいほど荷重を分散しにくく、ペン先は荷重により変形しやすい傾向となる。つまり、「ヤング率E×直径D×直径D」が小さいほど、ペン先が変形しやすく、ペン先と筆記シートとが接触しやすいことを示している。次に、ペン先の断面曲線の算術平均高さPaは、ペン先が筆記シートに接触する度合いを示す。具体的には、Paが大きいほどペン先と筆記シートとは点接触することとなり、ペン先と筆記シートとの接触面積が少なくなる。したがって、[ヤング率E×直径D×直径D]÷Paから算出される「X」の値が小さいほど、ペン先と筆記シートとが密着しやすいことを示し、筆記感に大きな影響を与えることとなる。
さらに本発明者らは、Xの値と筆記感との関係について鋭意研究した。その結果、以下の(a)、(b)を見出した。
(a)ペンを筆記シートに接触させた段階では筆記シートの表面にペン先が接地している。Xの値が大きい場合、ペン先は筆記シートの表面に密着しにくいため、筆記開始のきっかけは、ペン先が高周波成分(微小領域)の凸部を乗り越えることにあると考えられる。このため、書き始めの筆記感は、微小領域の凹凸(カットオフ値0.8mmの粗さパラメータ)の影響が大きくなる。
(b)書き始め以降の段階では、ペン先は大きな領域の凹凸表面に沿うように移動する。このため、書き始め以降の筆記感は、大きな領域の凹凸(断面パラメータ)の影響が大きくなる。
以上のように、Xの値が大きい場合、書き始めの筆記感は、微小領域の凹凸(カットオフ値0.8mmの粗さパラメータ)の影響が大きくなる。一方、書き始め以降の筆記感は、大きな領域の凹凸(断面パラメータ)の影響が大きくなる。このため、実施形態Bでは、条件(B1)ではカットオフ値0.8mmの粗さパラメータを用いる一方で、条件(B2)では断面パラメータを用いている。
なお、文字を書いたり、図形を描いたりする際には、一瞬筆記を停止した後に再始動する場合が多い(例えば、筆記方向を転換する際には、通常は一瞬筆記を停止する。また、筆記箇所を移動する際にも一瞬筆記が停止する。)。本発明者らは、このような再始動の直後についても「書き始め」とみなしている。
条件(B1)は、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8、及びカットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の粗さ曲線の最大山高さRp0.8が、0.50<Rp0.8/Rz0.8≦0.75を満たすことを要求している。
条件(B1)のカットオフ値は0.8mmである。条件(B1)は高周波成分の凹凸を示しており、主として書き始めの筆記感に影響を与えるパラメータである。
条件(B1)のRp0.8/Rz0.8は、Rz(山高さの最大値と谷深さの最大値との和)中のRp(山高さの最大値)の割合を示している。上述したように、ペンを筆記シートに接触させた段階では筆記シートの表面にペン先が接地している。Xの値が大きい場合、ペン先は筆記シートの表面に密着しにくいため、筆記開始のきっかけは、ペン先が高周波成分(微小領域)の凸部を乗り越えることにある。このため、Rp0.8/Rz0.8は書き始めの筆記感に大きな影響を与える。
実施形態Bでは、Rp0.8/Rz0.8を上記範囲内とすることにより、書き始めのペン先の摩擦抵抗が適切となり、書き始めの筆記感を良好にすることができる。また、Rp0.8/Rz0.8を上記範囲内とすることにより、筆記シートの表面にペンを静止させやすくできる。
一方、Rp0.8/Rz0.8が0.50以下の場合、山の割合が少なすぎるため、摩擦抵抗が小さく滑った感触となり、書き始めの筆記感を良好にすることができない。なお、Rp0.8/Rz0.8が0.50以下の場合、書き終わりにペンを静止させにくい。また、Rp0.8/Rz0.8が0.75を超える場合、山の割合が多すぎるため引っかかりが大きくなり、書き始めの筆記感を良好にすることができない。
条件(B1)は、0.53≦Rp0.8/Rz0.8≦0.70を満たすことが好ましく、0.58≦Rp0.8/Rz0.8≦0.65を満たすことがより好ましい。
なお、条件(B1)を算出する基準となるRp0.8、Rz0.8は、20個のサンプルを各1回ずつ測定した際の平均値とする。また、後述するPsk、Ptm、S2.5及びRa0.8、透過鮮明度及びヘイズも20個のサンプルを各1回ずつ測定した際の平均値とする。
条件(B2)は、測定区間1mmにおける断面曲線のスキューネスPskが0.60以上であることを要求している。Pskは、粗さ成分(高周波成分)及びうねり成分(低周波成分)の両方を含んだ断面形状のパラメータであり、大きな領域の凹凸を示している。
Pskは凹凸の確率密度に関するパラメータである。条件(B2)を満たさないことは、Pskが小さく、大きな領域の凹凸では凸部の割合が高いことを示している。大きな領域の凹凸の凸部の割合が高い場合、ペン先は凹凸に沿って進まず、凸部の頂点を結ぶようにして移動するようになり、摩擦抵抗が低下する。このため、条件(B2)を満たさない場合、書き始め以降の摩擦抵抗が低下して滑る感触となる。
一方、条件(B2)を満たしてPskが大きいことは、大きな領域の凹凸では凹部の割合が高いことを示している。この場合、ペン先は大きな領域の凹凸に沿って進むため、適度な摩擦抵抗が付与される。
Pskは、JIS B0601:2001の粗さ曲線のスキューネスRskを、断面曲線に適用したものであり、Rskと同様の式により算出できる。
なお、条件(B2)の断面パラメータとして、条件(B1)のRp0.8/Rz0.8を断面曲線に適用したパラメータを用いなかった理由は、断面パラメータは領域が大きいため、Rp0.8/Rz0.8のような領域内の最大値を用いたパラメータでは測定領域ごとの誤差が大きすぎ、パラメータとしての信頼性が低くなるためである。
条件(B2)は、0.80≦Pskを満たすことが好ましく、0.90≦Pskを満たすことがより好ましい。
なお、Pskが大きすぎる場合、防眩性に劣る傾向にあることから、Pskは5.00以下であることが好ましく、3.00以下であることがより好ましく、2.00以下であることがさらに好ましい。
<ヘイズ>
実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シートは、JIS K7136:2000のヘイズが下記条件(B3)を満たすものである。
ヘイズが5.0%以上 (B3)
条件(B3)を満たし、かつ上述した条件(B1)及び(B2)を満たすことにより、防眩性及び筆記感を良好にすることができる。
ヘイズは10.0%以上であることが好ましく、15.0%以上であることがより好ましい。なお、ヘイズが高すぎると、表示素子の解像度が大幅に低下してしまう。このため、ヘイズは40.0%以下であることが好ましく、30.0%以下であることがより好ましい。
ヘイズ及び後述の透過像鮮明度を測定する際は、筆記シートの筆記面とは反対側の表面から光を入射するものとする。筆記シートの両面が上記条件(B1)及び(B2)を満たす場合、光入射面はどちらの面であってもよい。
また、実施形態Bの筆記シートは、単位測定区間を1mm、単位測定区間における断面曲線の山高さの最大値をPp、単位測定区間における断面曲線の谷深さの最大値をPv、PpとPvとの和を単位測定区間における断面曲線の最大断面高さPtとして、5つの測定区間のPtの平均値をPtmとした際に、筆記面のPtmが下記条件(B4)を満たすことが好ましい。
0.30μm≦Ptm≦7.00μm (B4)
なお、単位測定区間における断面曲線の山高さの最大値をPpとは、単位測定区間の標高の平均線よりも上にある部分を山と定義して、最も高い山の高さを表したものである。また、単位測定区間における断面曲線の谷深さの最大値をPvとは、単位測定区間の標高の平均線よりも下にある部分を谷と定義して、最も深い谷の深さを表したものである。
上述したように、書き始め以降の筆記感は、大きな領域の凹凸の影響が大きい。条件(B4)は大きな領域の凹凸において、標高差が小さすぎず大きすぎないことを示している。このため、条件(B4)を上記範囲とすることにより、書き始めのから書き終わりまでの筆記感をより良好にすることができる。
条件(B4)は、0.50μm≦Ptm≦5.00μmを満たすことがより好ましく、1.00μm≦Ptm≦4.00μmを満たすことがさらに好ましい。
また、実施形態Bの筆記シートは、カットオフ値2.5mmのJIS B0601:1994の局部山頂平均間隔をS2.5とした際に、筆記面のS2.5が下記条件(B5)を満たすことが好ましい。
0.02mm≦S2.5≦0.20mm (B5)
条件(B5)のカットオフ値は2.5mmである。条件(B5)は低周波成分の凹凸を示しており、主として書き始め以降の筆記感に影響を与えるパラメータである。条件(B5)を満たすことにより、書き始め以降の摩擦抵抗が適切となり、書き始め以降の筆記感をより良好にすることができる。
条件(B5)は、0.02mm≦S2.5≦0.15mmを満たすことがより好ましく、0.03mm≦S2.5≦0.15mmを満たすことがさらに好ましい。
なお、S2.5を0.20mm以下とすることは、防眩性の向上につながる点でも好適である。
また、実施形態Bの筆記シートの筆記面は、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の算術平均粗さRa0.8が下記条件(B6)を満たすことが好ましい。
0.10μm≦Ra0.8≦0.25μm (B6)
Ra0.8を上記範囲とすることにより、筆記感をより良好にすることができる。また、Ra0.8を0.10μm以上とすることにより、防眩性を良好にしやすくできる。また、Ra0.8を0.25μm以下とすることにより、筆記シートによって表示素子の解像度が大幅に低下することを抑制できる。
条件(B6)は、0.10μm≦Ra0.8≦0.20μmであることがより好ましく、0.13μm≦Ra0.8≦0.17μmであることがさらに好ましい。
また、実施形態Bの筆記シートの筆記面は、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の十点平均粗さRzJIS0.8が下記条件(B7)を満たすことが好ましい。
0.50μm≦RzJIS0.8≦1.50μm (B7)
RzJIS0.8を上記範囲とすることにより、筆記感をより良好にすることができる。また、RzJIS0.8を0.50μm以上とすることにより、防眩性を良好にしやすくできる。また、RzJIS0.8を1.50μm以下とすることにより、付与しつつ、筆記シートによって表示素子の解像度が大幅に低下することを抑制できる。特に、画素密度が300ppi以上の超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できる点で好適である。
条件(B7)は、0.50μm≦RzJIS0.8≦1.25μmであることがより好ましく、0.60μm≦RzJIS0.8≦1.00μmであることがさらに好ましい。
さらに、実施形態Bの筆記シートは、筆記面に対して、タッチパネルペン(B)を60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペン(B)に垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際のタッチパネルペン(B)にかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、0.30≦μk/μs≦0.58の関係を満たすことが好ましい。なお、実施形態Bにおいて、動摩擦係数μkは、全測定時間の動摩擦係数の平均値を意味する。静止摩擦係数は、摩擦力0から測定時間の経過に伴って、動摩擦係数以上となった最初の摩擦力のピークとする。摩擦係数の測定間隔は0.02秒とすることが好ましい。
文字を書いたり、図形を描いたりする際には、一瞬筆記を停止した後に再始動する場合が多い(例えば、筆記方向を転換する際には、通常は一瞬筆記を停止する。また、筆記箇所を移動する際にも一瞬筆記が停止する。)。このように筆記を一瞬停止して再始動する際には、静止摩擦係数と動摩擦係数との差による影響をうけやすいが、μk/μsを上記範囲とすることにより、筆記を一瞬停止して再始動する際にも思い描いた筆記が可能となる(例えば、思い通りの方向に筆記方向を転換できる)。
0.30≦μk/μs≦0.58の関係を満たすためには、上記条件(B1)及び(B2)満たすことが好ましく、上記条件(B1)及び(B2)に加えて、条件(B4)~(B7)の一以上を満たすことがより好ましく、上記条件(B1)、(B2)、(B4)~(B7)を全て満たすことがさらに好ましい。
また、上記効果をより良好にするためには、μk/μsは、0.30≦μk/μs≦0.44の関係を満たすことがより好ましい。
μk/μsは、20個のサンプルを各1回ずつ測定して各サンプルのμk/μsを算出し、20サンプルのμk/μsを平均した値とする。
なお、筆記面に対してタッチパネルペンを60度以外の角度(例えば30~75度の範囲の何れかの角度)で接触させた状態で固定した際にも、μk/μsが上記範囲であることが好ましい。また、μk/μsは、走査の速度を14mm/秒以外の速度(例えば0.1~100mm/秒の範囲の何れかの速度)とした際にも、上記範囲であることが好ましい。
また、滑りすぎず適度な抵抗感を得る観点から、μk及びμsは以下の範囲であることが好ましい。μkは0.06~0.30であることが好ましく、0.08~0.28であることがより好ましく、0.08~0.20であることがさらに好ましい。μsは0.15~0.95であることが好ましく、0.20~0.60であることがより好ましく、0.25~0.50であることがさらに好ましい。
μk及びμsは、実施形態Aで説明した手法と同様の手法で測定することができる。
また、「タッチパネルペンのペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率E」、「ペン先の直径D」及び「ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さPa」は、実施形態Aで説明した手法と同様の手法で測定することができる。
また、実施形態Bの筆記シートは、JIS K7374:2007に準拠して測定した写像性測定器の光学櫛の幅が0.125mm、0.5mm、1.0mm及び2.0mmの透過像鮮明度をC0.125、C0.5、C1.0及びC2.0とした際に、C0.125、C0.5、C1.0及びC2.0の総和Cが100%以上250%未満であることが好ましく、120%以上230%以下であることがより好ましく、150%以上200%以下であることがさらに好ましい。
を100%以上とすることにより、筆記シートによって表示素子の解像度が大幅に低下することを抑制できる。また、Cを250%未満とすることにより、防眩性を付与するための手段が限定的にならず、製品設計しやすくできる。
<筆記シート全体の構成>
実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シートは、少なくとも一方の表面が条件(B1)及び(B2)を満たしていれば、その構成は特に限定されない。
例えば、実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シート10の構成としては、図1及び図2のように、樹脂層2を有し、該樹脂層2の一方の表面が条件(B1)及び(B2)を満たすものが挙げられる。
なお、図示しないが、樹脂層やプラスチックフィルム以外の他の層を有し、該他の層の表面が条件(B1)及び(B2)を満たしていてもよい。他の層としては、帯電防止層、防汚層等が挙げられる。また、図示しないが、樹脂層は2層以上から構成されていてもよい。
条件(B1)及び(B2)を満たす表面(筆記面)は、(a)エンボス、サンドブラスト、エッチング等の物理的又は化学的処理、(b)型による成型、(c)コーティング、等により形成することができる。これら方法の中では、表面形状の再現性の観点からは(b)の型による成型が好適であり、生産性及び多品種対応の観点からは(c)のコーティングが好適である。
型による成型は、条件(B1)及び(B2)を満たす形状と相補的な形状からなる型を作製し、当該型に樹脂層を形成する材料を流し込んだ後、型から取り出すことにより形成することができる。ここで、該材料として樹脂層を構成する材料を用い、型に該材料を流し込んだ後にプラスチックフィルムを重ね合わせ、樹脂層をプラスチックフィルムごと型から取り出せば、プラスチックフィルム上に樹脂層を有し、該樹脂層の表面が条件(B1)及び(B2)を満たすタッチパネルペン用筆記シートを得ることができる。また、プラスチックフィルムを用いることなく型から樹脂層をそのまま取り出したり、プラスチックフィルムを用いて型から樹脂層を取り出した後にプラスチックフィルムを剥離することにより、樹脂層単層からなり、該樹脂層の表面が条件(B1)及び(B2)を満たすタッチパネルペン用筆記シートを得ることができる。
型に流し込む材料として硬化性樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物)を用いる場合、型から取り出す前に硬化性樹脂組成物を硬化することが好ましい。
コーティングによる樹脂層の形成は、樹脂成分、粒子及び溶剤を含有してなる樹脂層形成塗布液を、グラビアコーティング、バーコーティング等の公知の塗布方法によりプラスチックフィルム上に塗布、乾燥、硬化することにより形成できる。コーティングにより形成した樹脂層の表面形状が上述した条件を満たすようにするためには、粒子として、ミクロンオーダーの粒子、及びナノオーダーの無機超微粒子を併用し、かつ、膜厚、粒子の含有量、及び粒子の平均粒子径を後述の範囲とすることが好ましい。
樹脂層の膜厚は1.5~10μmが好ましく、2~8μmがより好ましく、4~7μmがさらに好ましい。樹脂層の膜厚は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。TEM又はSTEMの加速電圧は10~30kV、倍率は5万~30万倍とすることが好ましい。
樹脂層の粒子(ミクロンオーダーの粒子)は、有機粒子及び無機粒子の何れも用いることができる。有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル-スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン-メラミン-ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン、フッ素系樹脂及びポリエステル系樹脂等からなる粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、アンチモン、ジルコニア及びチタニア等からなる粒子が挙げられる。これら粒子の中でも、分散制御の容易さの観点から有機粒子が好適である。
樹脂層中の粒子(ミクロンオーダーの粒子)の含有量は、樹脂層を形成する全固形分中の2~25質量%であることが好ましく、5~20質量%であることがより好ましく、10~15質量%であることがさらに好ましい。
樹脂層中の粒子(ミクロンオーダーの粒子)の平均粒子径は、0.2~8.0μmが好ましく、0.3~7.0μmがより好ましく、0.5~5.0μmがさらに好ましい。粒子が凝集している場合、凝集粒子の平均粒子径が前記範囲を満たすことが好ましい。粒子の平均粒子径は、実施形態Aと同様の手法で算出できる。
筆記シートの表面形状を上述した範囲にしやすくする観点から、樹脂層の膜厚は粒子の平均粒子径よりも大きいことが好ましい。具体的には、[粒子の平均粒子径]/[樹脂層の膜厚]の比が0.40~0.80であることが好ましく、0.45~0.75であることがより好ましく、0.50~0.70であることがさらに好ましい。
また、粒子としては、上述したようなミクロンオーダーの粒子のみならず、ナノオーダーの無機超微粒子を含有することが好ましい。ナノオーダーの無機超微粒子を含有することにより、樹脂層の表面形状を上述した範囲にしやすくすることができる。この原因は、ミクロンオーダーの粒子により高周波成分の凹凸(微小領域の凹凸)が形成される一方で、無機超微粒子を含有する場合には、ミクロンオーダーの粒子の存在しない箇所にも緩やかな傾斜が形成され、低周波成分の凹凸(大きな領域の凹凸)が形成される結果、高周波成分の凹凸と低周波成分の凹凸とが混在した形状が形成されるためと考えられる。無機超微粒子を含有する場合、塗布液のチキソトロピー性及び溶媒の乾燥特性が影響を受け、通常のようなレベリングが生じていないため、前記のような現象が生じると考えられる。
また、無機超微粒子を含有することにより、ミクロンオーダーの粒子の存在しない箇所にも緩やかな傾斜が形成される結果(略平滑な箇所が減少する結果)、防眩性も良好にすることができる。
無機超微粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア及びチタニア等からなる超微粒子が挙げられる。これらの中でも透明性の観点からシリカ超微粒子が好適である。
無機超微粒子は、上述の凹凸形状を得やすくする観点から、平均一次粒子径が1~25nmであることが好ましく、5~20nmであることがより好ましい。
無機超微粒子は、表面処理により反応性基が導入された反応性無機超微粒子が好ましい。反応性基を導入することにより、樹脂層中に多量の無機超微粒子を含有させることが可能となり、筆記シートの表面形状を上述した範囲にしやすくできる。
反応性基としては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基及びアリル基等のエチレン性不飽和結合並びにエポキシ基等が挙げられる。
このような反応性無機超微粒子は、シランカップリング剤で表面処理した無機超微粒子を挙げることができる。無機超微粒子の表面をシランカップリング剤で処理するには、無機超微粒子にシランカップリング剤をスプレーする乾式法や、無機超微粒子を溶剤に分散させてからシランカップリング剤を加えて反応させる湿式法等が挙げられる。
無機超微粒子の含有量は、樹脂層を形成する全固形分中の1~20質量%であることが好ましく、2~15質量%であることがより好ましく、3~10質量%であることがさらに好ましい。当該範囲とすることにより、レベリング性の制御、及び樹脂層の重合収縮の抑制により、筆記シートの表面形状を上述した範囲にしやすくできる。
また、樹脂層中におけるミクロンオーダーの粒子及び無機超微粒子の含有量の比(ミクロンオーダーの粒子の含有量/無機超微粒子の含有量)は、筆記シートの表面形状を上述した範囲にしやすくする観点から、1.0~3.0であることが好ましく、1.5~2.5であることがより好ましい。
樹脂層の樹脂成分は、熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましく、機械的強度をより良くする観点から、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがより好ましく、その中でも紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
また、多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
これら光重合開始剤は、融点が100℃以上であることが好ましい。光重合開始剤の融点を100℃以上とすることにより、筆記シートの製造過程や、タッチパネルの透明導電膜の形成過程で、残留した光重合開始剤が昇華して、製造装置や透明導電膜の汚染を防止することができる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
樹脂層形成塗布液には、通常、粘度を調節したり、各成分を溶解または分散可能とするために溶剤を用いる。溶剤の種類によって、塗布、乾燥過程した後の樹脂層の表面状態が異なるため、溶剤の飽和蒸気圧、透明基材への溶剤の浸透性等を考慮して溶剤を選定することが好ましい。具体的には、溶剤は、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール類(ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
溶剤の乾燥が遅すぎる場合、樹脂層のレベリング性が過度になることにより、上述した表面形状を形成しづらくなる。したがって、溶剤としては、蒸発速度(n-酢酸ブチルの蒸発速度を100としたときの相対蒸発速度)が180以上である溶剤を、全溶剤中の50質量%以上含むことが好ましく、60質量%以上含むことがより好ましい。相対蒸発速度が180以上の溶剤としては、トルエンが挙げられる。トルエンの相対蒸発速度は195である。
また、表面形状を適度に滑らかにして、筆記シートの表面形状を上述した範囲にしやすくする観点からは、樹脂層形成塗布液には、レベリング剤を含有させることが好ましい。レベリング剤は、フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素シリコーン共重合体系レベリング剤等が挙げられ、シリコーン系レベリング剤が好適である。レベリング剤の添加量としては、樹脂層形成塗布液の全固形分に対して0.01~0.5重量%が好ましく、0.01~0.2重量%がより好ましい。
プラスチックフィルムは、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo-Olefin-Polymer:COP)等の樹脂から形成することができる。
これらプラスチックフィルムの中でも、機械的強度や寸法安定性の観点からは、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)が好ましい。
プラスチックフィルムの厚みは、5~200μmであることが好ましく、10~150μmであることがより好ましい。
実施形態Bの筆記シートは、上記式(i)から導かれるXが500MN/m超であるタッチパネルペン(タッチパネルペン(B))用の筆記シートとして用いることにより筆記感を良好にすることができる。
筆記感は、実施形態Bの筆記シートを、上記式(i)から導かれるXが1,000MN/m以上のタッチパネルペン用の筆記シートとして用いた場合により良好にすることができ、上記式(i)から導かれるXが2,000MN/m以上100,000MN/m以下のタッチパネルペン用筆記シートとして用いた場合にさらに筆記感を良好にすることができる。
タッチパネルペン(B)のヤング率E、直径D、及び算術平均高さPaの個々の値は、上記式(i)を満たす限り特に限定されないが、概ね以下の範囲であることが好ましい。
ヤング率は0.1~5.0GPa(1.0×10~5.0×10N/m)であることが好ましく、0.5~2.5GPa(5.0×10~2.5×10N/m)であることがより好ましい。直径Dは0.3~6.0mmであることが好ましく、0.4~2.5mmであることがより好ましい。算術平均高さPaは0.01~10μmであることが好ましく、0.05~1.0μmであることがより好ましい。
また、タッチパネルペン(B)のペン先の曲率半径は特に限定されないが、0.3~1.5mmの場合により効果を発揮しやすく、0.5~0.8mmの場合にさらに効果を発揮しやすい。
[タッチパネル]
実施形態Bのタッチパネルは、表面にシートを有するタッチパネルであって、該シートとして、実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シートの条件(B1)及び(B2)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるものである。
タッチパネルとしては、抵抗膜式タッチパネル、静電容量式タッチパネル、インセルタッチパネル、光学式タッチパネル、超音波式タッチパネル及び電磁誘導式タッチパネル等が挙げられる。
抵抗膜式タッチパネル100は、図3に示すように、導電膜30を有する上下一対の透明基板20の導電膜30同士が対向するようにスペーサー40を介して配置されてなる基本構成に、図示しない回路が接続されてなるものである。
抵抗膜式タッチパネルの場合、例えば、上部透明基板20として実施形態Bの筆記シート10を用い、該筆記シート10の条件(B1)及び(B2)を満たす側の面がタッチパネル100の表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。また、図示しないが、抵抗膜式タッチパネルは、上部透明基板上に、実施形態Bの筆記シートを、条件(B1)及び(B2)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、上部透明基板上に、実施形態Bの筆記シートを、条件(B1)及び(B2)を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
静電容量式タッチパネルは、表面型及び投影型等が挙げられ、投影型が多く用いられている。投影型の静電容量式タッチパネルは、X軸電極と、該X軸電極と直交するY軸電極とを絶縁体を介して配置した基本構成に、回路が接続されてなるものである。該基本構成をより具体的に説明すると、1枚の透明基板上の別々の面にX軸電極及びY軸電極を形成する態様、透明基板上にX軸電極、絶縁体層、Y軸電極をこの順で形成する態様、図4に示すように、透明基板20上にX軸電極50を形成し、別の透明基板20上にY軸電極60を形成し、接着剤層等の絶縁体層70を介して積層する態様等が挙げられる。また、これら基本態様に、さらに別の透明基板を積層する態様が挙げられる。
静電容量式タッチパネルの場合、例えば、表面側の透明基板20として実施形態Bの筆記シート10を用い、該筆記シート10の条件(B1)及び(B2)を満たす側の面がタッチパネル100の表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。また、図示しないが、静電容量式タッチパネルは、表面側の透明基板上に、実施形態Bの筆記シートを、条件(B1)及び(B2)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、表面側の透明基板上に、実施形態Bの筆記シートを、条件(B1)及び(B2)を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
電磁誘導式タッチパネルは、磁界を発生する専用ペンを用いるタッチパネルである。電磁誘導式タッチパネルは、ペンから生じる電磁エネルギーを検出するセンサー部を少なくとも有し、さらにセンサー部上に透明基板を有する。該透明基板は多層構成であってもよい。
電磁誘導式タッチパネルの場合、例えば、センサー部上に位置する透明基板のうち、最表面の透明基板として、実施形態Bの筆記シートを用い、該筆記シートの条件(B1)及び(B2)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。あるいは、電磁誘導式タッチパネルの場合、センサー部上に位置する透明基板のうち、最表面の透明基板上に、実施形態Bの筆記シートを、条件(B1)及び(B2)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、該最表面の透明基板上に、実施形態Bの筆記シートを、条件(B1)及び(B2)を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
インセルタッチパネルは、2枚のガラス基板に液晶を挟んでなる液晶素子の内部に、抵抗膜式、静電容量式、光学式等のタッチパネル機能を組み込んだものである。
インセルタッチパネルの場合、例えば、表面側のガラス基板に対して、実施形態Bの筆記シートの条件(B1)及び(B2)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせて用いる構成が挙げられる。なお、表面側のガラス基板と、実施形態Bの筆記シートとの間には、偏光板等の他の層を有していてもよい。
[表示装置]
実施形態Bの表示装置は、タッチパネルを有する表示装置であって、該タッチパネルが実施形態Bのタッチパネルであるものである。
表示素子としては、液晶表示素子、EL表示素子、プラズマ表示素子、電子ペーパー素子、インセルタッチパネル液晶表示素子等が挙げられる。表示素子が液晶表示素子、EL表示素子、プラズマ表示素子、電子ペーパー素子の場合、これらの表示素子上に実施形態Bのタッチパネルを載置する。
実施形態Bの表示装置は、表面を過度にあらすことなく筆記感を良好にしていることから、表示素子の解像度が大幅に損なわれることを抑制できる。
[タッチパネルペン用筆記シートの選別方法]
実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シートの選別方法は、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大山高さRp0.8、並びに、測定区間1mmにおける断面曲線のスキューネスPskが、下記条件(B1)及び(B2)を満たす表面を有し、かつJIS K7136:2000のヘイズが下記条件(B3)を満たすシートを、下記のタッチパネルペン(B)用の筆記シートとして選別するものである。
0.50<Rp0.8/Rz0.8≦0.75 (B1)
0.60≦Psk (B2)
ヘイズが5.0%以上 (B3)
<タッチパネルペン(B)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m超であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シートの選別方法では、タッチパネルペンによる筆記試験を行わなくても、上記式(i)のXが500MN/m超であるタッチパネルペン(タッチパネルペン(B))の筆記感が良好であるとともに、防眩性が良好な筆記シートを選別することができ、筆記シートの製品設計、品質管理を効率よくすることができる。
タッチパネルペン用筆記シートを選別する判定条件は、上記(B1)~(B3)を必須条件とする。条件(B1)~(B3)の判定条件は、上述した実施形態Bの筆記シートの好適な数値範囲であることが好ましい。例えば、条件(B1)の判定条件は、0.53≦Rp0.8/Rz0.8≦0.70であることが好ましく、0.58≦Rp0.8/Rz0.8≦0.65であることがより好ましい。
実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シートの選別方法では、筆記感をより良好する観点、防眩性を良好にする観点、及び表示素子の解像度の大幅な低下を抑制する観点から、以下に挙げる条件(B4)~(B8)の一以上を判定条件とすることがより好ましく、(B4)~(B8)の全てを判定条件とすることがさらに好ましい。
0.30μm≦Ptm≦7.00μm (B4)
0.02mm≦S2.5≦0.20mm (B5)
0.10μm≦Ra0.8≦0.25μm (B6)
0.50μm≦RzJIS0.8≦1.50μm (B7)
が100%以上250%未満 (B8)
条件(B4)~(B8)の判定条件は、上述した実施形態Bの筆記シートの好適な数値範囲であることが好ましい。
<実施形態C>
[タッチパネルペン用筆記シートの選別方法]
実施形態Cのタッチパネルペン用筆記シートの選別方法は、下記条件(C1)を満たすものをタッチパネルペン用筆記シートとして選別するものである。
<条件(C1)>
タッチパネルペン用筆記シートの表面にタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際の該タッチパネルペンにかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、μk/μsが0.30以上0.58以下。
図1は、実施形態Cのタッチパネルペン用筆記シート10の一実施形態を示す断面図である。図1のタッチパネルペン用筆記シート10は、プラスチックフィルム1の一方の面に樹脂層2を有している。図2のタッチパネルペン用筆記シート10は、樹脂層2の単層構造となっている。
実施形態Cのタッチパネルペン用筆記シートは、一方の表面が条件(C1)を満たしていてもよいし、両方の表面が条件(C1)を満たしていてもよい。
以下、タッチパネルペン用筆記シートのことを「筆記シート」と称する場合がある。また、以下、条件(C1)を満たす表面のことを「筆記面」と称する場合がある。
<筆記面>
実施形態Cのタッチパネルペン用筆記シートの選別方法は、下記条件(C1)を満たす表面を有するものをタッチパネルペン用筆記シートとして選別するものである。
文字を書いたり、図形を描いたりする際には、一瞬筆記を停止した後に再始動する場合が多い(例えば、筆記方向を転換する際には、通常は一瞬筆記を停止する。また、筆記箇所を移動する際にも一瞬筆記が停止する。)。このように筆記を一瞬停止して再始動する際には、静止摩擦係数と動摩擦係数との差による影響をうけやすい。
μk/μsが0.30未満、又はμk/μsが0.58を超える場合、筆記を一瞬停止して再始動する際に、思い通りの方向に筆記方向を転換することなどが困難となり、思い描いた筆記ができなくなる。したがって、条件(C1)を満たす筆記シートを選別することは、筆記を一瞬停止して再始動する際に思い描いた筆記が可能となる筆記シートを効率よく選別できることにつながる。
条件(C1)は、0.30≦μk/μs≦0.44の関係を満たすことが好ましい。
実施形態Cにおいて、動摩擦係数μkは、全測定時間の動摩擦係数の平均値を意味する。静止摩擦係数は、摩擦力0から測定時間の経過に伴って、動摩擦係数以上となった最初の摩擦力のピークとする。摩擦係数の測定間隔は0.02秒とすることが好ましい。
μk、μsは、20個のサンプルを各1回ずつ測定した際の平均値とする。μk/μsは、20個のサンプルを各1回ずつ測定して各サンプルのμk/μsを算出し、20サンプルのμk/μsを平均した値とする。
μk及びμsは、実施形態Aで説明した手法と同様の手法で測定することができる。
実施形態Cの筆記シートの選別方法は、滑りすぎず適度な抵抗感の筆記シートを選別する観点から、筆記面のμkが下記条件(C2)を満たすものを選別することが好ましい。
<条件(C2)>
0.06≦μk≦0.30
条件(C2)は、0.08≦μk≦0.28を満たすことがより好ましく、0.08≦μk≦0.20を満たすことがさらに好ましい。
0.06≦μk≦0.30
実施形態Cの筆記シートの選別方法は、滑りすぎず適度な抵抗感の筆記シートを選別する観点から、筆記面のμsが下記条件(C2’)を満たすものを選別することが好ましい。
<条件(C2’)>
0.15≦μs≦0.95
条件(C2’)は、0.20≦μs≦0.60を満たすことがより好ましく、0.25≦μs≦0.50を満たすことがさらに好ましい。
条件(C1)、(C2)及び(C2’)の判定に用いるタッチパネルペンは特に限定されず、市販のタッチパネルペンの中から適宜選択できる。
なお、ペンが筆記シートに密着しすぎる場合、及びペンが筆記シートに殆ど密着しない場合、条件(C1)等を満たす筆記シートが設計しにくくなる。このため、条件(C1)等の判定に用いるタッチパネルペンは、タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが0.1MN/m~100,000MN/mであるものが好ましく、0.5MN/m~80,000MN/mであるものが好ましい。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
なお、ヤング率Eの単位は「N/m」、ペン先の直径Dの単位は「m」、算術平均高さPaの単位は「m」である。また、「M」は「メガ(10)」を意味する。
「タッチパネルペンのペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率E」、「ペン先の直径D」及び「ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さPa」は、実施形態Aで説明した手法と同様の手法で測定することができる。
また、上記式(i)から導かれるXが上記範囲である場合において、タッチパネルペンのヤング率E、直径D、及び算術平均高さPaの個々の値は、概ね以下の範囲であることが好ましい。
ヤング率は0.1~5.0GPa(1.0×10~5.0×10N/m)であることが好ましく、0.5~2.5GPa(5.0×10~2.5×10N/m)であることがより好ましい。直径Dは0.3~6.0mmであることが好ましく、0.4~2.0mmであることがより好ましい。算術平均高さPaは0.01~10μmであることが好ましく、0.05~1.0μmであることがより好ましい。
また、条件(C1)等の判定に用いるタッチパネルペンのペン先の曲率半径は特に限定されないが、0.3~1.5mmであることが好ましく、0.5~0.8mmであることがより好ましい。
また、実施形態Cの筆記シートの選別方法は、筆記シートのJIS K7136:2000のヘイズが下記条件(C3)を満たすものを選別することが好ましい。
<条件(C3)>
ヘイズが5.0%以上
条件(C3)を満たす筆記シートを選別することにより、防眩性及び筆記感が良好な筆記シートを効率よく選別できる。
ヘイズは10.0%以上であることが好ましく、15.0%以上であることがより好ましい。なお、ヘイズが高すぎると、表示素子の解像度が大幅に低下してしまう。このため、ヘイズは40.0%以下であることが好ましく、30.0%以下であることがより好ましい。
ヘイズ及び後述の透過像鮮明度を測定する際は、筆記シートの筆記面とは反対側の表面から光を入射するものとする。筆記シートの両面が上記条件(C1)を満たす場合、光入射面はどちらの面であってもよい。
ヘイズ及び透過鮮明度は、20個のサンプルを各1回ずつ測定した際の平均値とする。
また、実施形態Cの筆記シートの選別方法は、JIS K7374:2007に準拠して測定した写像性測定器の光学櫛の幅が0.125mm、0.5mm、1.0mm及び2.0mmの透過像鮮明度をC0.125、C0.5、C1.0及びC2.0とした際に、C0.125、C0.5、C1.0及びC2.0の総和Cが下記条件(C4)を満たすものを選別することが好ましい。
<条件(C4)>
が100%以上
条件(C4)を満たす筆記シートを選別することにより、表示素子の解像度が大幅に低下することを抑制できる。
なお、Cが大きすぎると、条件(C1)や条件(C3)を満たしにくくなる場合がある。このため、条件(C4)は、Cが100%以上250%未満であることがより好ましく、120%以上230%以下であることがさらに好ましく、150%以上200%以下であることがよりさらに好ましい。
[タッチパネルペン用筆記シート]
実施形態Cのタッチパネル用筆記シートは、下記条件(C1)を満たす表面を有するものである。
<条件(C1)>
タッチパネルペン用筆記シートの表面にタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際の該タッチパネルペンにかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、μk/μsが0.30以上0.58以下。
なお、筆記面に対してタッチパネルペンを60度以外の角度(例えば30~75度の範囲の何れかの角度)で接触させた状態で固定した際にも、μk/μsが上記範囲であることが好ましい。また、μk/μsは、走査の速度を14mm/秒以外の速度(例えば0.1~100mm/秒の範囲の何れかの速度)とした際にも、上記範囲であることが好ましい。
実施形態Cの筆記シートは、筆記面のμkが下記条件(C2)を満たすことが好ましい。
<条件(C2)>
0.06≦μk≦0.30
また、実施形態Cの筆記シートは、筆記面のμsが下記条件(C2’)を満たすことが好ましい。
<条件(C2’)>
0.15≦μs≦0.95
実施形態Cの筆記シートの条件(C1)、(C2)及び(C2’)の好適な範囲は、上述したタッチパネルペン用筆記シートの選別方法の条件(C1)、(C2)及び(C2’)の好適な範囲と同様である。
また、実施形態Cの筆記シートは、条件(C1)、(C2)及び(C2’)を満たしやすくするため、上記式(i)から導かれるXが0.1MN/m~100,000MN/mであるタッチパネルペン用の筆記シートとして用いることが好ましく、上記式(i)から導かれるXが0.5MN/m~80,000MN/mであるタッチパネルペン用の筆記シートとして用いることがより好ましい。また、タッチパネルペンのヤング率E、直径D、算術平均高さPa、及びペン先の曲率半径の個々の値は、上述した範囲であることが好ましい。
また、実施形態Cの筆記シートは、JIS K7136:2000のヘイズが下記条件(C3)を満たすことが好ましい。
<条件(C3)>
ヘイズが5.0%以上
また、実施形態Cの筆記シートは、JIS K7374:2007に準拠して測定した写像性測定器の光学櫛の幅が0.125mm、0.5mm、1.0mm及び2.0mmの透過像鮮明度をC0.125、C0.5、C1.0及びC2.0とした際に、C0.125、C0.5、C1.0及びC2.0の総和Cが下記条件(C4)を満たすことが好ましい。
<条件(C4)>
が100%以上
実施形態Cの筆記シートの条件(C3)及び(C4)の好適な範囲は、上述したタッチパネルペン用筆記シートの選別方法の条件(C3)及び(C4)の好適な範囲と同様である。
条件(C1)を満たす筆記シートとするためには、筆記面に高周波成分の凹凸(微小領域の凹凸)と、低周波成分の凹凸(大きな領域の凹凸)とを適切に混在させることが好ましい。以下に、高周波成分の凹凸(微小領域の凹凸)と、低周波成分の凹凸(大きな領域の凹凸)との違いを説明する。
(a)ペンを筆記シートに接触させた段階では筆記シートの表面にペン先が接地している。このため、筆記開始のきっかけは、ペン先が高周波成分(微小領域)の凸部を乗り越えることにあると考え、書き始めの筆記感は、微小領域の凹凸の影響が大きくなる。
(b)書き始め以降の段階では、ペン先は大きな領域の凹凸表面に沿うように移動する。このため、書き始め以降の筆記感は、大きな領域の凹凸の影響が大きくなる。
以上のように、書き始めの筆記感は、微小領域の凹凸の影響が大きく、書き始め以降の筆記感は大きな領域の凹凸の影響が大きい。このため、筆記面に高周波成分の凹凸(微小領域の凹凸)と、低周波成分の凹凸(大きな領域の凹凸)とを適切に混在させることにより、筆記感を良好にすることができる。
なお、上記式(i)から導かれるXが大きいタッチパネルペンを用いた場合、ペン先が筆記シートの表面に密着しにくいため、上記(a)及び(b)の傾向は強くなる。つまり、上記式(i)から導かれるXが大きいタッチパネルペンを用いた場合、筆記シートの筆記面に高周波成分の凹凸と低周波成分の凹凸とを混在させること好ましい。Xが大きいとは、Xが500MN/m超であることを意味し、好ましくはXが1,000MN/m以上、より好ましくはXが2,000MN/m以上100,000MN/m以下である。
<筆記シート全体の構成>
実施形態Cのタッチパネルペン用筆記シートは、少なくとも一方の表面が条件(C1)を満たしていれば、その構成は特に限定されない。
例えば、実施形態Cのタッチパネルペン用筆記シート10の構成としては、図1及び図2のように、樹脂層2を有し、該樹脂層2の一方の表面が条件(C1)を満たすものが挙げられる。
なお、図示しないが、樹脂層やプラスチックフィルム以外の他の層を有し、該他の層の表面が条件(C1)を満たしていてもよい。他の層としては、帯電防止層、防汚層等が挙げられる。また、図示しないが、樹脂層は2層以上から構成されていてもよい。
条件(C1)を満たす表面(筆記面)は、(a)エンボス、サンドブラスト、エッチング等の物理的又は化学的処理、(b)型による成型、(c)コーティング、等により形成することができる。これら方法の中では、表面形状の再現性の観点からは(b)の型による成型が好適であり、生産性及び多品種対応の観点からは(c)のコーティングが好適である。
コーティングによる樹脂層の形成は、樹脂成分、粒子及び溶剤を含有してなる樹脂層形成塗布液を、グラビアコーティング、バーコーティング等の公知の塗布方法によりプラスチックフィルム上に塗布、乾燥、硬化することにより形成できる。コーティングにより形成した樹脂層が条件(C1)を満たすようにするためには、粒子として、ミクロンオーダーの粒子、及びナノオーダーの無機超微粒子を併用し、かつ、膜厚、粒子の含有量、及び粒子の平均粒子径を後述の範囲とすることが好ましい。
樹脂層の膜厚は1.5~10μmが好ましく、2~8μmがより好ましく、4~7μmがさらに好ましい。樹脂層の膜厚は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。TEM又はSTEMの加速電圧は10~30kV、倍率は5万~30万倍とすることが好ましい。
樹脂層の粒子(ミクロンオーダーの粒子)は、有機粒子及び無機粒子の何れも用いることができる。有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル-スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン-メラミン-ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン、フッ素系樹脂及びポリエステル系樹脂等からなる粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、アンチモン、ジルコニア及びチタニア等からなる粒子が挙げられる。これら粒子の中でも、分散制御の容易さの観点から有機粒子が好適である。
樹脂層中の粒子(ミクロンオーダーの粒子)の含有量は、樹脂層を形成する全固形分中の2~25質量%であることが好ましく、5~20質量%であることがより好ましく、10~15質量%であることがさらに好ましい。
樹脂層中の粒子(ミクロンオーダーの粒子)の平均粒子径は、0.2~8.0μmが好ましく、0.3~7.0μmがより好ましく、0.5~5.0μmがさらに好ましい。粒子が凝集している場合、凝集粒子の平均粒子径が前記範囲を満たすことが好ましい。粒子の平均粒子径は、実施形態Aと同様の手法で算出できる。
筆記シートの表面が条件(C1)を満たしやすくする観点から、樹脂層の膜厚は粒子(ミクロンオーダーの粒子)の平均粒子径よりも大きいことが好ましい。具体的には、[粒子の平均粒子径]/[樹脂層の膜厚]の比が0.40~0.80であることが好ましく、0.45~0.75であることがより好ましく、0.50~0.70であることがさらに好ましい。
また、粒子としては、上述したようなミクロンオーダーの粒子のみならず、ナノオーダーの無機超微粒子を含有することが好ましい。ナノオーダーの無機超微粒子を含有することにより、樹脂層の表面が条件(C1)を満たしやすくすることができる。この原因は、ミクロンオーダーの粒子により高周波成分の凹凸(微小領域の凹凸)が形成される一方で、無機超微粒子を含有する場合には、ミクロンオーダーの粒子の存在しない箇所にも緩やかな傾斜が形成され、低周波成分の凹凸(大きな領域の凹凸)が形成される結果、高周波成分の凹凸と低周波成分の凹凸とが混在した形状が形成されるためと考えられる。無機超微粒子を含有する場合、塗布液のチキソトロピー性及び溶媒の乾燥特性が影響を受け、通常のようなレベリングが生じていないため、前記のような現象が生じると考えられる。上述したように、高周波成分の凹凸と低周波成分の凹凸とを混在させることは、上記式(i)から導かれるXが大きいタッチパネルペンに対して極めて有効となる。
また、無機超微粒子を含有することにより、ミクロンオーダーの粒子の存在しない箇所にも緩やかな傾斜が形成される結果(略平滑な箇所が減少する結果)、防眩性も良好にすることができる。
無機超微粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア及びチタニア等からなる超微粒子が挙げられる。これらの中でも透明性の観点からシリカ超微粒子が好適である。
無機超微粒子は、上述の凹凸形状を得やすくする観点から、平均一次粒子径が1~25nmであることが好ましく、5~20nmであることがより好ましい。
無機超微粒子は、表面処理により反応性基が導入された反応性無機超微粒子が好ましい。反応性基を導入することにより、樹脂層中に多量の無機超微粒子を含有させることが可能となり、筆記シートの表面形状を上述した範囲にしやすくできる。
反応性基としては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基及びアリル基等のエチレン性不飽和結合並びにエポキシ基等が挙げられる。
このような反応性無機超微粒子は、シランカップリング剤で表面処理した無機超微粒子を挙げることができる。無機超微粒子の表面をシランカップリング剤で処理するには、無機超微粒子にシランカップリング剤をスプレーする乾式法や、無機超微粒子を溶剤に分散させてからシランカップリング剤を加えて反応させる湿式法等が挙げられる。
無機超微粒子の含有量は、樹脂層を形成する全固形分中の1~20質量%であることが好ましく、2~15質量%であることがより好ましく、3~10質量%であることがさらに好ましい。当該範囲とすることにより、レベリング性の制御、及び樹脂層の重合収縮の抑制により、筆記シートの表面形状を上述した範囲にしやすくできる。
また、樹脂層中におけるミクロンオーダーの粒子及び無機超微粒子の含有量の比(ミクロンオーダーの粒子の含有量/無機超微粒子の含有量)は、筆記シートの表面形状を上述した範囲にしやすくする観点から、1.0~3.0であることが好ましく、1.5~2.5であることがより好ましい。
樹脂層の樹脂成分は、熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましく、機械的強度をより良くする観点から、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがより好ましく、その中でも紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
また、多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
これら光重合開始剤は、融点が100℃以上であることが好ましい。光重合開始剤の融点を100℃以上とすることにより、筆記シートの製造過程や、タッチパネルの透明導電膜の形成過程で、残留した光重合開始剤が昇華して、製造装置や透明導電膜の汚染を防止することができる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
樹脂層形成塗布液には、通常、粘度を調節したり、各成分を溶解または分散可能とするために溶剤を用いる。溶剤の種類によって、塗布、乾燥過程した後の樹脂層の表面状態が異なるため、溶剤の飽和蒸気圧、透明基材への溶剤の浸透性等を考慮して溶剤を選定することが好ましい。具体的には、溶剤は、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール類(ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
溶剤の乾燥が遅すぎる場合、樹脂層のレベリング性が過度になることにより、上述した表面形状を形成しづらくなる。したがって、溶剤としては、蒸発速度(n-酢酸ブチルの蒸発速度を100としたときの相対蒸発速度)が180以上である溶剤を、全溶剤中の50質量%以上含むことが好ましく、60質量%以上含むことがより好ましい。相対蒸発速度が180以上の溶剤としては、トルエンが挙げられる。トルエンの相対蒸発速度は195である。
また、表面形状を適度に滑らかにして、筆記シートの表面形状を上述した範囲にしやすくする観点からは、樹脂層形成塗布液には、レベリング剤を含有させることが好ましい。レベリング剤は、フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素シリコーン共重合体系レベリング剤等が挙げられ、シリコーン系レベリング剤が好適である。レベリング剤の添加量としては、樹脂層形成塗布液の全固形分に対して0.01~0.5重量%が好ましく、0.01~0.2重量%がより好ましい。
プラスチックフィルムは、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo-Olefin-Polymer:COP)等の樹脂から形成することができる。
これらプラスチックフィルムの中でも、機械的強度や寸法安定性の観点からは、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)が好ましい。
プラスチックフィルムの厚みは、5~200μmであることが好ましく、10~150μmであることがより好ましい。
[タッチパネル]
実施形態Cのタッチパネルは、表面にシートを有するタッチパネルであって、該シートとして、実施形態Cのタッチパネルペン用筆記シートの条件(C1)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるものである。
タッチパネルとしては、抵抗膜式タッチパネル、静電容量式タッチパネル、インセルタッチパネル、光学式タッチパネル、超音波式タッチパネル及び電磁誘導式タッチパネル等が挙げられる。
抵抗膜式タッチパネル100は、図3に示すように、導電膜30を有する上下一対の透明基板20の導電膜30同士が対向するようにスペーサー40を介して配置されてなる基本構成に、図示しない回路が接続されてなるものである。
抵抗膜式タッチパネルの場合、例えば、上部透明基板20として実施形態Cの筆記シート10を用い、該筆記シート10の条件(C1)を満たす側の面がタッチパネル100の表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。また、図示しないが、抵抗膜式タッチパネルは、上部透明基板上に、実施形態Cの筆記シートを、条件(C1)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、上部透明基板上に、実施形態Cの筆記シートを、条件(C1)を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
静電容量式タッチパネルは、表面型及び投影型等が挙げられ、投影型が多く用いられている。投影型の静電容量式タッチパネルは、X軸電極と、該X軸電極と直交するY軸電極とを絶縁体を介して配置した基本構成に、回路が接続されてなるものである。該基本構成をより具体的に説明すると、1枚の透明基板上の別々の面にX軸電極及びY軸電極を形成する態様、透明基板上にX軸電極、絶縁体層、Y軸電極をこの順で形成する態様、図4に示すように、透明基板20上にX軸電極50を形成し、別の透明基板20上にY軸電極60を形成し、接着剤層等の絶縁体層70を介して積層する態様等が挙げられる。また、これら基本態様に、さらに別の透明基板を積層する態様が挙げられる。
静電容量式タッチパネルの場合、例えば、表面側の透明基板20として実施形態Cの筆記シート10を用い、該筆記シート10の条件(C1)を満たす側の面がタッチパネル100の表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。また、図示しないが、静電容量式タッチパネルは、表面側の透明基板上に、実施形態Cの筆記シートを、条件(C1)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、表面側の透明基板上に、実施形態Cの筆記シートを、条件(C1)を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
電磁誘導式タッチパネルは、磁界を発生する専用ペンを用いるタッチパネルである。電磁誘導式タッチパネルは、ペンから生じる電磁エネルギーを検出するセンサー部を少なくとも有し、さらにセンサー部上に透明基板を有する。該透明基板は多層構成であってもよい。
電磁誘導式タッチパネルの場合、センサー部上に位置する透明基板のうち、最表面の透明基板として、実施形態Cの筆記シートを用い、該筆記シートの条件(C1)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。あるいは、電磁誘導式タッチパネルの場合、センサー部上に位置する透明基板のうち、最表面の透明基板上に、実施形態Cの筆記シートを、条件(C1)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、該最表面の透明基板上に、実施形態Cの筆記シートを、条件(C1)を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
インセルタッチパネルは、2枚のガラス基板に液晶を挟んでなる液晶素子の内部に、抵抗膜式、静電容量式、光学式等のタッチパネル機能を組み込んだものである。
インセルタッチパネルの場合、例えば、表面側のガラス基板に対して、実施形態Cの筆記シートの条件(C1)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせて用いる構成が挙げられる。なお、表面側のガラス基板と、実施形態Cの筆記シートとの間には、偏光板等の他の層を有していてもよい。
[タッチパネルシステム]
実施形態Cのタッチパネルシステムは、表面にタッチパネルペン用筆記シートを有するタッチパネルと、タッチパネルペンとからなるタッチパネルシステムであって、下記条件(C1)を満たすものである。
<条件(C1)>
タッチパネルペン用筆記シートの表面にタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際の該タッチパネルペンにかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、μk/μsが0.30以上0.58以下。
実施形態Cのタッチパネルシステムにおける、タッチパネル、タッチパネルペン用筆記シート、及びタッチパネルペンの実施の形態は、例えば、上述の実施形態Cのタッチパネルペン用筆記シートの選別方法、タッチパネルペン用筆記シート、及びタッチパネルにおいて示した実施の形態と同様のものが挙げられる。
実施形態Cのタッチパネルシステムによれば、タッチパネルの筆記感を良好にすることができる。
[表示装置]
実施形態Cの表示装置は、タッチパネルを有する表示装置であって、該タッチパネルが実施形態Cのタッチパネルであるものである。
表示素子としては、液晶表示素子、EL表示素子、プラズマ表示素子、電子ペーパー素子、インセルタッチパネル液晶表示素子等が挙げられる。表示素子が液晶表示素子、EL表示素子、プラズマ表示素子、電子ペーパー素子の場合、これらの表示素子上に実施形態Cのタッチパネルを載置する。
実施形態Cの表示装置は、表面を過度にあらすことなく筆記感を良好にしていることから、表示素子の解像度が大幅に損なわれることを抑制できる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
<実施形態Aの実施例>
A1.測定及び評価
実施例及び比較例で作製したタッチパネルペン用筆記シートについて、以下の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
A1-1.表面形状測定
実施例及び比較例のタッチパネル用筆記シートを10cm四方に切断した。切断箇所は、目視でゴミや傷などの異常点がない事を確認の上、ランダムな部位から選択した。切断した表面部材を東レ社製の光学透明粘着シート(屈折率:1.47、厚み100μm)を介して、縦10cm×横10cmの大きさの黒色板(クラレ社製、商品名:コモグラス 品番 :DFA502K、厚み2.0mm)を貼り合わせたサンプルをそれぞれ20個準備した。
表面粗さ測定器(型番:SE-3400/小坂研究所株式会社製)を用いて、計測ステージにサンプルが固定かつ密着した状態となるようにセットしたのち、下記の測定条件により、下記の測定項目について、各サンプルの樹脂層側の表面形状を測定した。そして、20個のサンプルの平均値を、各実施例及び比較例のRz0.8、Rv0.8、S2.5、Ra0.8及びPtmとした。結果を表1に示す。
<測定条件>
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・Rz0.8、Rv0.8、S2.5及びRa0.8の評価長さ:カットオフ値λcの5倍
・Rz0.8、Rv0.8、S2.5及びRa0.8の予備長さ:カットオフ値λcの2倍
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
・スキッド:用いない(測定面に接触なし)
・カットオフフィルタ種類:ガウシャン
・不感帯レベル:10%
・tp/PC曲線:ノーマル
<測定項目>
・カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さをRz0.8、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の粗さ曲線の最大谷深さをRv0.8とした際のRv0.8/Rz0.8
・カットオフ値2.5mmのJIS B0601:1994の局部山頂平均間隔S2.5
・カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の算術平均粗さRa0.8
・単位測定区間を1mm、単位測定区間における断面曲線の山高さの最大値をPp、単位測定区間における断面曲線の谷深さの最大値をPv、PpとPvとの和を単位測定区間における断面曲線の最大断面高さPtとした際の、5つの測定区間のPtの平均値Ptm。カットオフ値は0。
A1-2.透過像鮮明度
実施例及び比較例のタッチパネル用筆記シートを5cm四方に切断したサンプルをそれぞれ20個準備した。20個の部位は、目視でゴミや傷などの異常点がない事を確認の上、ランダムな部位から選択した。
スガ試験機社製の写像性測定器(商品名:ICM-1T)を用いて、JIS K7374:2000に従って、各サンプルの、0.125mm、0.5mm、1mm及び2mmの巾をもつ光学くしを通した4種類の透過像鮮明度を測定し、総和Cを算出した。そして、20個のサンプルの平均値を、各実施例及び比較例の総和Cとした。光入射面はプラスチックフィルム側とした。
A1-3.ヘイズ
ヘイズメーター(HM-150、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K-7136:2000に従って、上記「A1-2」で作製した各サンプルのヘイズ(全体ヘイズ)を測定した。そして、20個のサンプルの平均値を、各実施例及び比較例のヘイズとした。光入射面はプラスチックフィルム側とした。
A1-4.摩擦係数
新東科学社製の商品名HEIDON-14DRを用い、一定荷重片道の摩擦測定モードで以下の手法により静摩擦係数(μs)及び動摩擦係数(μk)を測定し、μk/μsを算出した。20個のサンプルを各1回ずつ測定して各サンプルのμk/μsを算出し、20サンプルのμk/μsの平均値を、各実施例及び比較例のμk/μsとした。測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度50%±10%とした。摩擦係数の測定間隔は0.02秒とした。なお、測定開始前に、各サンプルを23℃±5℃、湿度50%±10%の雰囲気に10分以上放置した。
図7に示すように、タッチパネルペン用筆記シートの樹脂層側の表面に、下記のタッチパネルペンA1又はA2を60度の角度で接触させ、保持具で固定した。保持具上部の土台に100gの重りを乗せ、タッチパネルペンに垂直荷重100gfがかかるようにした。荷重をかけたまま、筆記シートを固定した可動台を、可動台とタッチパネルペンとの成す角の鈍角方向側(図7の左側)に14mm/秒の速度で移動させた。片道40mmの長さを移動した際の該ペンにかかる移動方向の静摩擦係数(μs)及び動摩擦係数(μk)を測定した。μk/μsが0.30≦μk/μs≦0.58のものは、静摩擦係数と動摩擦係数とのバランスが良好で、筆記を一瞬停止して再始動した際の筆記感が良好であることを示している。
<タッチパネルペンA1>
タッチペン付3色ボールペン(三菱鉛筆株式会社製、商品名:ジェットストリーム スタイラス)、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:0.002GPa(2.0×10N/m)、ペン先の直径:5mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:100μm、上記式(i)のX:0.5MN/m
<タッチパネルペンA2>
東芝株式会社製、商品名:アクティブ静電ペンIPCZ131A、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:1.5GPa(1.5×10N/m)、ペン先の直径:1.6mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:100μm、上記式(i)のX:38.4MN/m
A1-5.筆記感
タッチパネルペン用筆記シートの樹脂層側の面と反対側の面を、東レ社製の光学透明粘着シート(厚み100μm)を介して、ガラス板に貼り合わせ、上記タッチパネルペンA1及びA2を用いて、筆記感を評価した。書き始め及び書き始め以降の筆記感が良好であるものを2点、書き始め及び書き始め以降の何れか一方の筆記感が良好でなかったものを1点、書き始め及び書き始め以降の何れも筆記感が良好でなかったものを0点として、20人が評価を行った。20人の平均点が1.6点以上のものをA、1.0以上1.6点未満のものをB、1.0点未満のものをCとした。
評価時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度50%±10%とした。なお、評価開始前に、各サンプルを23℃±5℃、湿度50%±10%の雰囲気に10分以上放置した。
A2.タッチパネルペン用筆記シートの作製
[実施例A1]
プラスチックフィルム(PETフィルム、厚み80μm)上に、下記処方の第一樹脂層塗布液A1を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、第一樹脂層を形成した。次いで、第一樹脂層上に、下記処方の第二樹脂層塗布液A1を乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、第二樹脂層を形成し、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
<第一樹脂層塗布液A1>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 16部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 72.8部
・有機粒子 8部
(球状ポリアクリル-スチレン共重合体、平均粒子径5μm)
・不定形シリカ 3部
(平均粒子径5nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.2部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 80部
・溶剤2(アノン) 30部
<第二樹脂層塗布液A1>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 18部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 80部
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 2部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 110部
[実施例A2]
プラスチックフィルムを厚み40μmのTACに変更し、第一樹脂層塗布液A1を下記処方の第一樹脂層塗布液A2に変更し、第一樹脂層の膜厚を6μmに変更し、第二樹脂層塗布液A1を下記処方の第二樹脂層塗布液A2に変更し、第二樹脂層の厚みを0.1μmに変更した以外は、実施例A1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
<第一樹脂層塗布液A2>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 17.9部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 81.4部
・フュームドシリカ 0.5部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.2部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 4部
・溶剤2(トルエン) 160部
・溶剤3(シクロヘキサノン) 27部
・溶剤4(イソプロピルアルコール) 63部
<第二樹脂層塗布液A2>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 10部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 43部
・中空シリカ 5部
(平均一次粒子径50nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッ素系レベリング剤 1部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 135部
・溶剤2(メチルエチルケトン) 232部
・溶剤3 176部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
[実施例A3]
プラスチックフィルムを厚み60μmのTACに変更し、第一樹脂層塗布液A1を下記処方の第一樹脂層塗布液A3に変更し、第一樹脂層の厚みを5μmに変更した以外は、実施例A2と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
<第一樹脂層塗布液A3>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 17.9部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 81.2部
・フュームドシリカ 0.7部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッ素系レベリング剤 0.2部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 4部
・溶剤2(トルエン) 180部
・溶剤3(シクロヘキサノン) 30部
・溶剤4(イソプロピルアルコール) 70部
[比較例A1]
プラスチックフィルムを厚み80μmのTACに変更し、第一樹脂層塗布液A1を下記処方の第一樹脂層塗布液A4に変更し、第一樹脂層の厚みを8μmに変更し、第二樹脂層を形成しなかった以外は、実施例A1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
<第一樹脂層塗布液A4>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 75部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・有機粒子 25部
(球状ポリアクリル-スチレン共重合体、平均粒子径2μm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.001部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 40部
・溶剤2(アノン) 40部
・溶剤3 40部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
[比較例A2]
第一樹脂層塗布液A1を下記処方の第一樹脂層塗布液A5に変更し、第一樹脂層の厚みを3μmに変更し、第二樹脂層を形成しなかった以外は、実施例A1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
<第一樹脂層塗布液A5>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 93部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・無機微粒子 7部
(富士シリシア化学社製、ゲル法不定形シリカ)
(疎水処理、平均粒子径(レーザー回折散乱法)4.1μm)
・光重合開始剤 5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.001部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 TSF4460)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 30部
・溶剤2(メチルエチルケトン) 30部
・溶剤3(イソプロピルアルコール) 30部
・溶剤4(N-ブタノール) 30部
[比較例A3]
プラスチックフィルムを厚み40μmのTACに変更し、第一樹脂層塗布液A1を下記処方の第一樹脂層塗布液A6に変更し、第一樹脂層の厚みを5μmに変更し、第二樹脂層を形成しなかった以外は、実施例A1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
<第一樹脂層塗布液A6>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 81部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・有機粒子 13部
(球状ポリアクリル-スチレン共重合体、平均粒子径3.5μm)
・フュームドシリカ 6部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.001部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 30部
・溶剤2(アノン) 30部
・溶剤3(メチルイソブチルケトン) 30部
・溶剤4 30部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
Figure 0007095761000002
表1の結果から明らかなように、実施例A1~A3のタッチパネルペン用筆記シートは、タッチパネルペンとして上記式(i)のXの値が500MN/m以下のタッチパネルペンを用いた際に、書き始めから書き終わりまでの筆記感が良好であった。また、実施例A1~A3のタッチパネルペン用筆記シートは、μk/μsが0.30≦μk/μs≦0.58であるため静摩擦係数と動摩擦係数とのバランスが良好であり、筆記を一瞬停止して再始動した際の筆記感が良好であるものであった。
A3.タッチパネルの作製
実施例A1~A3及び比較例A1~A3のタッチパネルペン用筆記シートの基材側の面に、厚み20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、上部電極板とした。次いで、厚み1mmの強化ガラス板の一方の面に、厚み約20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、下部電極板とした。次いで、下部電極板の導電性膜を有する面に、スペーサー用塗布液として電離放射線硬化型樹脂(Dot Cure TR5903:太陽インキ社)をスクリーン印刷法によりドット状に印刷した後、高圧水銀灯で紫外線を照射して、直径50μm、高さ8μmのスペーサーを1mmの間隔で配列させた。
次いで、上部電極板と下部電極板とを、導電性膜どうしを対向するように配置させ、厚み30μm、幅3mmの両面接着テープで縁を接着し、実施例A1~A3及び比較例A1~A3の抵抗膜式タッチパネルを作製した。
実施例A1~A3及び比較例A1~A3の抵抗膜式タッチパネルに上記タッチパネルペンA1~A2で筆記したところ、各タッチパネルペンの筆記感の評価は、表1と同様であった。
また、実施例A1~A3及び比較例A1~A3の抵抗膜式タッチパネルを、市販の超高精細液晶表示装置(シャープ製のスマートフォン、商品名:SH-03G、画素密度480ppi)上に載置して画像を目視で評価したところ、実施例A1~A3のタッチパネルは、超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できるものであった。一方、比較例A1~A3のタッチパネルは、超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できないものであった。
A4.表示装置の作製
実施例A1~A3及び比較例A1~A3のタッチパネルペン用筆記シートと、市販の超高精細液晶表示装置(シャープ製のスマートフォン、商品名:SH-03G、画素密度480ppi)とを、透明粘着剤(東レ社製の光学透明粘着シート、厚み100μm)を介して貼り合わせ、実施例A1~A3及び比較例A1~A3の表示装置を作製した。なお、貼り合わせの際は、タッチパネルペン用筆記シート基材側の面が表示素子側を向くようにした。
実施例A1~A3及び比較例A1~A3の表示装置に上記タッチパネルペンA1~A2で筆記したところ、各タッチパネルペンの筆記感の評価は、表1と同様であった。
また、実施例A1~A3及び比較例A1~A3の表示装置の映像を目視で評価したところ、実施例A1~A3の表示装置は、超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できるものであった。一方、比較例A1~A3の表示装置は、超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できないものであった。
[参考例A1~A6]
実施例A1~A3及び比較例A1~A3で作製したタッチパネルペン用筆記シートに対して、下記のタッチパネルペンA3を用いて、上記と同様の手法で、μk/μsの測定、及び筆記感の評価を行った。結果を表2に示す。
<タッチパネルペンA3>
Adonit社製、商品名:Jot Mini、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:0.1GPa(1.0×10N/m)、ペン先の直径:5.0mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:1.0μm、上記式(i)のX:2,500MN/m
Figure 0007095761000003
表2の結果から、実施例A1~A3のタッチパネルペン用筆記シートは、タッチパネルペンとして上記式(i)のXの値が500MN/m超のタッチパネルペン(ペンA3)を用いた際は、筆記感が良好ではない傾向があることが確認できる。また、表1及び表2の結果から、条件(A1)及び(A2)を満たすタッチパネルペン用筆記シートは、上記式(i)のXの値が500MN/m超のタッチパネルペン(筆記シートに密着しにくいペン)用の筆記シートに適していない一方で、上記式(i)のXの値が500MN/m以下のタッチパネルペン(筆記シートに密着しやすいペン)用の筆記シートに適していることが確認できる。
<実施形態Bの実施例>
B1.測定及び評価
実施例及び比較例で作製したタッチパネルペン用筆記シートについて、以下の測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
B1-1.表面形状測定
実施例及び比較例のタッチパネル用筆記シートを10cm四方に切断した。切断箇所は、目視でゴミや傷などの異常点がない事を確認の上、ランダムな部位から選択した。切断した表面部材を東レ社製の光学透明粘着シート(屈折率:1.47、厚み100μm)を介して、縦10cm×横10cmの大きさの黒色板(クラレ社製、商品名:コモグラス 品番 :DFA502K、厚み2.0mm)を貼り合わせたサンプルをそれぞれ20個準備した。
表面粗さ測定器(型番:SE-3400/小坂研究所株式会社製)を用いて、計測ステージにサンプルが固定かつ密着した状態となるようにセットしたのち、下記の測定条件により、下記の測定項目について、各サンプルのタッチパネルペン用筆記シートの樹脂層側の表面形状を測定した。そして、20個のサンプルの平均値を、各実施例及び比較例のRz0.8、Rp0.8、Psk、Ptm、S2.5及びRa0.8とした。結果を表3に示す。
<測定条件>
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・Rz0.8、Rp0.8、S2.5及びRa0.8の評価長さ:カットオフ値λcの5倍
・Rz0.8、Rp0.8、S2.5及びRa0.8の予備長さ:カットオフ値λcの2倍
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
・スキッド:用いない(測定面に接触なし)
・カットオフフィルタ種類:ガウシャン
・不感帯レベル:10%
・tp/PC曲線:ノーマル
<測定項目>
・カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さをRz0.8、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の粗さ曲線の最大山高さをRp0.8とした際のRp0.8/Rz0.8
・測定区間1mmにおける断面曲線のスキューネスPsk。カットオフ値は0。
・単位測定区間を1mm、単位測定区間における断面曲線の山高さの最大値をPp、単位測定区間における断面曲線の谷深さの最大値をPv、PpとPvとの和を単位測定区間における断面曲線の最大断面高さPtとした際の、5つの測定区間のPtの平均値Ptm。カットオフ値は0。
・カットオフ値2.5mmのJIS B0601:1994の局部山頂平均間隔S2.5
・カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の算術平均粗さRa0.8
B1-2.ヘイズ
実施例及び比較例のタッチパネル用筆記シートを5cm四方に切断したサンプルをそれぞれ20個準備した。20個の部位は、目視でゴミや傷などの異常点がない事を確認の上、ランダムな部位から選択した。
ヘイズメーター(HM-150、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K-7136:2000に従って、各サンプルのヘイズ(全体ヘイズ)を測定した。そして、20個のサンプルの平均値を、各実施例及び比較例のヘイズとした。光入射面はプラスチックフィルム側とした。
B1-3.透過像鮮明度
スガ試験機社製の写像性測定器(商品名:ICM-1T)を用いて、JIS K7374:2000に従って、上記「B1-2」で作製した各サンプルの、0.125mm、0.5mm、1mm及び2mmの巾をもつ光学くしを通した4種類の透過像鮮明度を測定し、総和Cを算出した。そして、20個のサンプルの平均値を、各実施例及び比較例の総和Cとした。光入射面はプラスチックフィルム側とした。
B1-4.摩擦係数
新東科学社製の商品名HEIDON-14DRを用い、一定荷重片道の摩擦測定モードで以下の手法により静摩擦係数(μs)及び動摩擦係数(μk)を測定し、μk/μsを算出した。20個のサンプルを各1回ずつ測定して各サンプルのμk/μsを算出し、20サンプルのμk/μsの平均値を、各実施例及び比較例のμk/μsとした。測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度50%±10%とした。摩擦係数の測定間隔は0.02秒とした。なお、測定開始前に、各サンプルを23℃±5℃、湿度50%±10%の雰囲気に10分以上放置した。
図7に示すように、タッチパネルペン用筆記シートの樹脂層側の表面に、下記のタッチパネルペンB1又はB2を60度の角度で接触させ、保持具で固定した。保持具上部の土台に100gの重りを乗せ、タッチパネルペンに垂直荷重100gfがかかるようにした。荷重をかけたまま、筆記シートを固定した可動台を、可動台とタッチパネルペンとの成す角の鈍角方向側(図7の左側)に14mm/秒の速度で移動させた。片道40mmの長さを移動した際の該ペンにかかる移動方向の静摩擦係数(μs)及び動摩擦係数(μk)を測定した。μk/μsが0.30≦μk/μs≦0.58のものは、静摩擦係数と動摩擦係数とのバランスが良好であり、筆記を一瞬停止して再始動した際の筆記感が良好であることを示している。
<タッチパネルペンB1>
サムスン電子社製の商品名「Sペン SCL24KKA」、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:1.0GPa(1.0×10N/m)、ペン先の直径:0.5mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:0.1μm、上記式(i)のX:2,500MN/m
<タッチパネルペンB2>
ニンテンドー株式会社製の商品名「DS専用タッチペン NTR-004」、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:2.0GPa(2.0×10N/m)、ペン先の直径:2.0mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:0.1μm、上記式(i)のX:80,000MN/m
B1-5.筆記感
タッチパネルペン用筆記シートの樹脂層側の面と反対側の面を、東レ社製の光学透明粘着シート(厚み100μm)を介して、ガラス板に貼り合わせ、上記タッチパネルペンB1及びB2を用いて、筆記感を評価した。書き始め及び書き始め以降の筆記感が良好であるものを2点、書き始め及び書き始め以降の何れか一方の筆記感が良好でなかったものを1点、書き始め及び書き始め以降の何れも筆記感が良好でなかったものを0点として、20人が評価を行った。20人の平均点が1.6点以上のものをA、1.0以上1.6点未満のものをB、1.0点未満のものをCとした。
評価時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度50%±10%とした。なお、評価開始前に、各サンプルを23℃±5℃、湿度50%±10%の雰囲気に10分以上放置した。
B1-6.防眩性
B1-5の筆記感の評価を蛍光灯の照明下(筆記面の明るさ:500ルクス)で行った際に、照明の映り込みが全く気にならないものを2点、照明が若干映り込むが筆記に支障をきたさないものを1点、照明が激しく映り込み筆記に支障をきたすものを0点として、20人が評価を行った。20人の平均点が1.6点以上のものをA、1.0以上1.6点未満のものをB、1.0点未満のものをCとした。
B2.タッチパネルペン用筆記シートの作製
[実施例B1]
プラスチックフィルム(厚み40μmトリアセチルセルロース樹脂フィルム)上に、下記処方の樹脂層塗布液B1を乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、樹脂層を形成し、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
<樹脂層塗布液B1>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 81部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・有機粒子 13部
(球状ポリアクリル-スチレン共重合体、平均粒子径3.5μm)
・フュームドシリカ 6部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.001部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 180部
・溶剤2(アノン) 70部
・溶剤3(メチルイソブチルケトン) 2部
・溶剤4 28部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
[実施例B2]
樹脂層塗布液B1を下記処方の樹脂層塗布液B2に変更し、樹脂層の厚みを7μmに変更した以外は、実施例B1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
<樹脂層塗布液B2>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 83部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・有機粒子 11部
(球状ポリスチレン、平均粒子径3.5μm)
・フュームドシリカ 7部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.125部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 225部
・溶剤2(アノン) 3部
・溶剤3(メチルイソブチルケトン) 50部
・溶剤4(イソプロピルアルコール) 28部
[比較例B1]
樹脂層塗布液B1を下記処方の樹脂層塗布液B3に変更し、樹脂層の厚みを6μmに変更し、樹脂層上に、下記処方の第二樹脂層塗布液B1を乾燥後の厚みが0.1μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、第二樹脂層を形成し、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
<樹脂層塗布液B3>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 17.9部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 81.4部
・フュームドシリカ 0.5部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.2部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 4部
・溶剤2(トルエン) 160部
・溶剤3(シクロヘキサノン) 27部
・溶剤4(イソプロピルアルコール) 63部
<第二樹脂層塗布液B1>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 10部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 43部
・中空シリカ 5部
(平均一次粒子径50nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッ素系レベリング剤 1部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 135部
・溶剤2(メチルエチルケトン) 232部
・溶剤3 176部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
[比較例B2]
樹脂層塗布液B1を下記処方の樹脂層塗布液B4に変更し、樹脂層の厚みを3μmに変更した以外は、実施例B1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
<樹脂層塗布液B4>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 93部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・無機微粒子 5部
(富士シリシア化学社製、ゲル法不定形シリカ)
(疎水処理、平均粒子径(レーザー回折散乱法)4.1μm)
・光重合開始剤 5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.001部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 TSF4460)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 30部
・溶剤2(メチルエチルケトン) 30部
・溶剤3(イソプロピルアルコール) 30部
・溶剤4(N-ブタノール) 30部
Figure 0007095761000004
表3の結果から明らかなように、実施例B1~B2のタッチパネルペン用筆記シートは、タッチパネルペンとして上記式(i)のXの値が500MN/m超のタッチパネルペンを用いた際に、書き始めから書き終わりまでの筆記感が良好であった。また、実施例B1~B2のタッチパネルペン用筆記シートは、μk/μsが0.30≦μk/μs≦0.58であるため静摩擦係数と動摩擦係数とのバランスが良好であり、筆記を一瞬停止して再始動した際の筆記感が良好であるものであった。また、実施例B1~B2のタッチパネルペン用筆記シートは、防眩性にも優れるものであった。
B3.タッチパネルの作製
実施例B1~B2及び比較例B1~B2のタッチパネルペン用筆記シートの基材側の面に、厚み20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、上部電極板とした。次いで、厚み1mmの強化ガラス板の一方の面に、厚み約20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、下部電極板とした。次いで、下部電極板の導電性膜を有する面に、スペーサー用塗布液として電離放射線硬化型樹脂(Dot Cure TR5903:太陽インキ社)をスクリーン印刷法によりドット状に印刷した後、高圧水銀灯で紫外線を照射して、直径50μm、高さ8μmのスペーサーを1mmの間隔で配列させた。
次いで、上部電極板と下部電極板とを、導電性膜どうしを対向するように配置させ、厚み30μm、幅3mmの両面接着テープで縁を接着し、実施例B1~B2及び比較例B1~B2の抵抗膜式タッチパネルを作製した。
実施例B1~B2及び比較例B1~B2の抵抗膜式タッチパネルに上記タッチパネルペンB1~B2で筆記したところ、各タッチパネルペンの筆記感の評価は、表3と同様であった。
また、実施例B1~B2及び比較例B1~B2の抵抗膜式タッチパネルを、市販の超高精細液晶表示装置(シャープ製のスマートフォン、商品名:SH-03G、画素密度480ppi)上に載置して、蛍光灯照明下で画像を目視で評価したところ、実施例B1~B2のタッチパネルは、比較例B1のタッチパネルよりも防眩性に優れ、比較例B2のタッチパネルに比べて超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できるものであった。
B4.表示装置の作製
実施例B1~B2及び比較例B1~B2のタッチパネルペン用筆記シートと、市販の超高精細液晶表示装置(シャープ製のスマートフォン、商品名:SH-03G、画素密度480ppi)とを、透明粘着剤を介して貼り合わせ、実施例B1~B2及び比較例B1~B2の表示装置を作製した。なお、貼り合わせの際は、タッチパネルペン用筆記シート基材側の面が表示素子側を向くようにした。
実施例B1~B2及び比較例B1~B2の表示装置に上記タッチパネルペンB1~B2で筆記したところ、各タッチパネルペンの筆記感の評価は、表3と同様であった。
また、蛍光灯照明下で実施例B1~B2及び比較例B1~B2の表示装置の映像を目視で評価したところ(評価面の明るさ:500ルクス)、実施例B1~B2の表示装置は、比較例B1の表示装置よりも防眩性に優れ、比較例B2の表示装置に比べて超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できるものであった。
[参考例B1~B4]
実施例B1~B2及び比較例B1~B2で作製したタッチパネルペン用筆記シートに対して、下記のタッチパネルペンB3を用いて、上記と同様の手法で、μk/μsの測定、及び筆記感の評価を行った。結果を表4に示す。
<タッチパネルペンB3>
タッチペン付3色ボールペン(三菱鉛筆株式会社製、商品名:ジェットストリーム スタイラス)、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:0.002GPa(2.0×10N/m)、ペン先の直径:5.0mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:100μm、上記式(i)のX:0.5MN/m
Figure 0007095761000005
表4の結果から、実施例B1~B2のタッチパネルペン用筆記シートは、タッチパネルペンとして上記式(i)のXの値が500MN/m以下のタッチパネルペン(ペンB3)を用いた際は、筆記感が良好ではない傾向があることが確認できる。また、表3及び表4の結果から、条件(B1)及び(B2)を満たすタッチパネルペン用筆記シートは、上記式(i)のXの値が500MN/m以下のタッチパネルペン(筆記シートに密着しやすいペン)用の筆記シートに適していない一方で、上記式(i)のXの値が500MN/m超のタッチパネルペン(筆記シートに密着しにくいペン)用の筆記シートに適していることが確認できる。
<実施形態Cの実施例>
C1.測定及び評価
実施例及び比較例で作製したタッチパネルペン用筆記シートについて、以下の測定及び評価を行った。結果を表5又は表6に示す。
C1-1.摩擦係数
新東科学社製の商品名HEIDON-14DRを用い、一定荷重片道の摩擦測定モードで以下の手法により静摩擦係数(μs)及び動摩擦係数(μk)を測定し、μk/μsを算出した。20個のサンプルを各1回ずつ測定した際の平均値を各実施例及び比較例のμk、μsとした。また、20個のサンプルを各1回ずつ測定して各サンプルのμk/μsを算出し、20サンプルのμk/μsの平均値を、各実施例及び比較例のμk/μsとした。測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度50%±10%とした。摩擦係数の測定間隔は0.02秒とした。なお、測定開始前に、各サンプルを23℃±5℃、湿度50%±10%の雰囲気に10分以上放置した。
図7に示すように、タッチパネルペン用筆記シートの樹脂層側の表面に、下記のタッチパネルペンC1~C4を60度の角度で接触させ、保持具で固定した。保持具上部の土台に100gの重りを乗せ、タッチパネルペンに垂直荷重100gfがかかるようにした。荷重をかけたまま、筆記シートを固定した可動台を、可動台とタッチパネルペンとの成す角の鈍角方向側(図7の左側)に14mm/秒の速度で走査した。片道40mmの長さを1走査した際の該ペンにかかる走査方向の静摩擦係数(μs)及び動摩擦係数(μk)を測定した。
<タッチパネルペンC1>
サムスン電子社製の商品名「Sペン SCL24KKA」、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:1.0GPa(1.0×10N/m)、ペン先の直径:0.5mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:0.1μm、上記式(i)のX:2,500MN/m
<タッチパネルペンC2>
ニンテンドー株式会社製の商品名「DS専用タッチペン NTR-004」、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:2.0GPa(2.0×10N/m)、ペン先の直径:2.0mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:0.1μm、上記式(i)のX:80,000MN/m
<タッチパネルペンC3>
タッチペン付3色ボールペン(三菱鉛筆株式会社製、商品名:ジェットストリーム スタイラス)、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:0.002GPa(2.0×10N/m)、ペン先の直径:5.0mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:100μm、上記式(i)のX:0.5MN/m
<タッチパネルペンC4>
東芝株式会社製、商品名:アクティブ静電ペンIPCZ131A、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:1.5GPa(1.5×10N/m)、ペン先の直径:1.6mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:100μm、上記式(i)のX:38.4MN/m
C1-2.筆記感
タッチパネルペン用筆記シートの樹脂層側の面と反対側の面を、東レ社製の光学透明粘着シート(厚み100μm)を介して、ガラス板に貼り合わせ、上記タッチパネルペンC1~C4を用いて、筆記感を評価した。書き始めの筆記感、書き始め以降の筆記感、及び筆記を一瞬停止して再始動する際の筆記感の3つの筆記感を評価ポイントとして、全体として筆記感が良好であるものを2点、全体として筆記感が普通であるものを1点、全体として筆記感が良好でなかったものを0点として、20人が評価を行った。20人の平均点が1.6点以上のものをA、1.0以上1.6点未満のものをB、1.0点未満のものをCとした。
評価時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度50%±10%とした。なお、評価開始前に、各サンプルを23℃±5℃、湿度50%±10%の雰囲気に10分以上放置した。
C1-3.ヘイズ
実施例及び比較例のタッチパネル用筆記シートを5cm四方に切断したサンプルをそれぞれ20個準備した。20個の部位は、目視でゴミや傷などの異常点がない事を確認の上、ランダムな部位から選択した。
ヘイズメーター(HM-150、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K-7136:2000に従って、各サンプルの、ヘイズ(全体ヘイズ)を測定した。そして、20個のサンプルの平均値を、各実施例及び比較例のヘイズとした。光入射面はプラスチックフィルム側とした。
C1-4.透過像鮮明度
スガ試験機社製の写像性測定器(商品名:ICM-1T)を用いて、JIS K7374:2000に従って、上記「C1-3」で作製した各サンプルの、0.125mm、0.5mm、1mm及び2mmの巾をもつ光学くしを通した4種類の透過像鮮明度を測定し、総和Cを算出した。そして、20個のサンプルの平均値を、各実施例及び比較例の総和Cとした。光入射面はプラスチックフィルム側とした。
C1-5.防眩性
C1-2の筆記感の評価を蛍光灯の照明下(筆記面の明るさ:500ルクス)で行った際に、照明の映り込みが全く気にならないものを2点、照明が若干映り込むが筆記に支障をきたさないものを1点、照明が激しく映り込み筆記に支障をきたすものを0点として、20人が評価を行った。20人の平均点が1.6点以上のものをA、1.0以上1.6点未満のものをB、1.0点未満のものをCとした。
C2.タッチパネルペン用筆記シートの作製
[実験例C1]
プラスチックフィルム(厚み40μmトリアセチルセルロース樹脂フィルム)上に、下記処方の樹脂層塗布液C1を乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、樹脂層を形成し、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
<樹脂層塗布液C1>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 81部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・有機粒子 13部
(球状ポリアクリル-スチレン共重合体、平均粒子径3.5μm)
・フュームドシリカ 6部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.001部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 180部
・溶剤2(アノン) 70部
・溶剤3(メチルイソブチルケトン) 2部
・溶剤4 28部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
[実験例C2]
樹脂層塗布液C1を下記処方の樹脂層塗布液C2に変更し、樹脂層の厚みを7μmに変更した以外は、実験例C1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
<樹脂層塗布液C2>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 83部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・有機粒子 11部
(球状ポリスチレン、平均粒子径3.5μm)
・フュームドシリカ 7部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.125部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 225部
・溶剤2(アノン) 3部
・溶剤3(メチルイソブチルケトン) 50部
・溶剤4(イソプロピルアルコール) 28部
[実験例C3]
樹脂層塗布液C1を下記処方の樹脂層塗布液C3に変更し、樹脂層の厚みを6μmに変更し、樹脂層上に、下記処方の第二樹脂層塗布液C1を乾燥後の厚みが0.1μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、第二樹脂層を形成し、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
<樹脂層塗布液C3>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 17.9部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 81.4部
・フュームドシリカ 0.5部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.2部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 4部
・溶剤2(トルエン) 160部
・溶剤3(シクロヘキサノン) 27部
・溶剤4(イソプロピルアルコール) 63部
<第二樹脂層塗布液C1>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 10部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 43部
・中空シリカ 5部
(平均一次粒子径50nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッ素系レベリング剤 1部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 135部
・溶剤2(メチルエチルケトン) 232部
・溶剤3 176部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
[実験例C4]
樹脂層塗布液C1を下記処方の樹脂層塗布液C4に変更し、樹脂層の厚みを3μmに変更した以外は、実験例C1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
<樹脂層塗布液C4>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 93部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・無機微粒子 5部
(富士シリシア化学社製、ゲル法不定形シリカ)
(疎水処理、平均粒子径(レーザー回折散乱法)4.1μm)
・光重合開始剤 5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.001部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 TSF4460)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 30部
・溶剤2(メチルエチルケトン) 30部
・溶剤3(イソプロピルアルコール) 30部
・溶剤4(N-ブタノール) 30部
Figure 0007095761000006
表5に示すように、μk/μsが0.30以上0.58以下の値を示す筆記シートは、筆記感の評価がA又はBとなっている。このことは、μk/μsが0.30以上0.58以下の値を示す筆記シートを選択することは、筆記感が良好である筆記シートの選択につながることを示している。また、ペンC1~C4は全て種類が異なるものであることから、表5の結果は、いかなるタッチパネルペンを用いた場合であっても、μk/μsが0.30以上0.58以下の値を示す筆記シートを選択することは、筆記感が良好である筆記シートの選択につながることを示している。
また、実験例C1及びC2のタッチパネルペン用筆記シートは、上記式(i)のXの値が500MN/m超のタッチパネルペン(ペンC1及びペンC2)に対する筆記感が極めて良好であるとともに、防眩性が良好であることが確認できる。この原因は、実験例C1及びC2のタッチパネルペン用筆記シートは、樹脂層にミクロンオーダーの粒子及びナノオーダーの無機超微粒子を含むことから、樹脂層の表面に微小領域の凹凸及び大きな領域の凹凸が混在して形成されるためと考えられる。
C3.タッチパネルの作製
実験例C1~C4のタッチパネルペン用筆記シートの基材側の面に、厚み20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、上部電極板とした。次いで、厚み1mmの強化ガラス板の一方の面に、厚み約20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、下部電極板とした。次いで、下部電極板の導電性膜を有する面に、スペーサー用塗布液として電離放射線硬化型樹脂(Dot Cure TR5903:太陽インキ社)をスクリーン印刷法によりドット状に印刷した後、高圧水銀灯で紫外線を照射して、直径50μm、高さ8μmのスペーサーを1mmの間隔で配列させた。
次いで、上部電極板と下部電極板とを、導電性膜どうしを対向するように配置させ、厚み30μm、幅3mmの両面接着テープで縁を接着し、実験例C1~C4の抵抗膜式タッチパネルを作製した。
実験例C1~C4の抵抗膜式タッチパネルに上記タッチパネルペンC1~C4で筆記したところ、各タッチパネルペンの筆記感の評価は、表5と同様であった。この結果は、タッチパネルと、タッチパネルペンとの組み合わせからなるタッチパネルシステムにおいて、μk/μsが0.30以上0.58以下の値を示すタッチパネルシステムは、筆記感が良好であることを示している。
また、実験例C1~C4の抵抗膜式タッチパネルを、市販の超高精細液晶表示装置(シャープ製のスマートフォン、商品名:SH-03G、画素密度480ppi)上に載置して、蛍光灯照明下で画像を目視で評価したところ、実験例C1~2のタッチパネルは、実験例C3のタッチパネルよりも防眩性に優れ、実験例C4のタッチパネルに比べて超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できるものであった。
C4.表示装置の作製
実験例C1~C4のタッチパネルペン用筆記シートと、市販の超高精細液晶表示装置(シャープ製のスマートフォン、商品名:SH-03G、画素密度480ppi)とを、透明粘着剤を介して貼り合わせ、実験例C1~C4の表示装置を作製した。なお、貼り合わせの際は、タッチパネルペン用筆記シート基材側の面が表示素子側を向くようにした。
実験例C1~C4の表示装置に上記タッチパネルペンC1~C4で筆記したところ、各タッチパネルペンの筆記感の評価は、表5と同様であった。
また、蛍光灯照明下で実験例C1~C4の表示装置の映像を目視で評価したところ、実験例C1~C2の表示装置は、実験例C3の表示装置よりも防眩性に優れ、実験例C4の表示装置に比べて超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できるものであった。
本発明のタッチパネルペン用筆記シート、タッチパネル、タッチパネルシステム及び表示装置は、タッチパネルペンの筆記感を良好にできる点で有用である。また、本発明のタッチパネルペン用筆記シートの選別方法は、筆記シートの製品設計、品質管理を効率良くできる点で有用である。
1:プラスチックフィルム
2:樹脂層
10:タッチパネルペン用筆記シート
20:透明基板
30:導電膜
40:スペーサー
50:X軸電極
60:Y軸電極
70:絶縁体層
82:可動台
83:重り
84:保持具
85:土台
100:タッチパネル
200:タッチパネルペン
300:クランプ
400:ステンレス板

Claims (6)

  1. 下記条件(C1)を満たし、
    下記条件(C1)を満たす面が、平均粒子径が0.2~8.0μmである粒子及び平均一次粒子径が1~25nmである無機超微粒子を含む樹脂層であるものをタッチパネルペン用筆記シートとして選別する、タッチパネルペン用筆記シートの選別方法。
    <条件(C1)>
    タッチパネルペン用筆記シートの表面にタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際の該タッチパネルペンにかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、μk/μsが0.30以上0.58以下。
  2. 前記μkが下記条件(C2)を満たすものをタッチパネルペン用筆記シートとして選別する、請求項1に記載のタッチパネルペン用筆記シートの選別方法。
    <条件(C2)>
    0.06≦μk≦0.30
  3. 下記条件(C1)を満たす表面を有し、
    下記条件(C1)を満たす面が、平均粒子径が0.2~8.0μmである粒子及び平均一次粒子径が1~25nmである無機超微粒子を含む樹脂層である、タッチパネルペン用筆記シート。
    <条件(C1)>
    タッチパネルペン用筆記シートの表面にタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際の該タッチパネルペンにかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、μk/μsが0.30以上0.58以下。
  4. 表面にシートを有するタッチパネルであって、該シートとして、請求項3に記載のタッチパネルペン用筆記シートの前記条件(C1)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるタッチパネル。
  5. 表面にタッチパネルペン用筆記シートを有するタッチパネルと、タッチパネルペンとからなるタッチパネルシステムであって、
    下記条件(C1)を満たし、
    下記条件(C1)を満たす面が、平均粒子径が0.2~8.0μmである粒子及び平均一次粒子径が1~25nmである無機超微粒子を含む樹脂層である、タッチパネルシステム。
    <条件(C1)>
    タッチパネルペン用筆記シートの表面にタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際の該タッチパネルペンにかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、μk/μsが0.30以上0.58以下。
  6. タッチパネルを有する表示装置であって、該タッチパネルが請求項4に記載のタッチパネルである表示装置。
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