JP7095761B2 - タッチパネルペン用筆記シート、タッチパネル、タッチパネルシステム及び表示装置、並びにタッチパネルペン用筆記シートの選別方法 - Google Patents
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Description
一方、現在の主流である静電容量式タッチパネルの表面保護シートには、指で操作する際の滑り性が求められている。従来の抵抗膜式は、複数個所を同時に検知できないため、画面上で指を動かすことはなかったものの、静電容量式タッチパネルは、複数個所を同時に検知可能であり、画面上で指を動かす操作が多いためである。
また、抵抗膜式及び静電容量式に共通して、タッチパネル用の表面保護シートには、指で操作した際の指紋の付着を防止したり、付着した指紋を拭取りやすくする性能が求められている。
しかし、近年、静電容量式タッチパネルや電磁誘導型タッチパネルに筆記入力可能なタッチパネルペンが提案され始めたこと、タッチパネルペンによる文字入力や描画に対応したアプリケーションが増加してきたことから、タッチパネル用の表面保護シートには、タッチパネルペンでの良好な筆記感が求められている。
しかし、従来提案された特許文献1~2のタッチパネル用の表面保護シートは、タッチパネルペンでの筆記感について何ら検討していない。
0.35≦Rv0.8/Rz0.8≦0.60 (A1)
0.05mm≦S2.5≦0.30mm(A2)
<タッチパネルペン(A)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m以下であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
[2]表面にシートを有するタッチパネルであって、該シートとして、上記[1]に記載のタッチパネルペン用筆記シートの前記条件(A1)及び(A2)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるタッチパネル。
[3]タッチパネルを有する表示装置であって、該タッチパネルが上記[2]に記載のタッチパネルである表示装置。
[4]カットオフ値0.8mmJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大谷深さRv0.8、並びに、カットオフ値2.5mmのJIS B0601:1994の局部山頂平均間隔S2.5が、下記条件(A1)及び(A2)を満たす表面を有するシートを、下記のタッチパネルペン(A)用の筆記シートとして選別する、タッチパネルペン用筆記シートの選別方法。
0.35≦Rv0.8/Rz0.8≦0.60 (A1)
0.05mm≦S2.5≦0.30mm (A2)
<タッチパネルペン(A)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m以下であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
0.50<Rp0.8/Rz0.8≦0.75 (B1)
0.60≦Psk (B2)
ヘイズが5.0%以上 (B3)
<タッチパネルペン(B)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m超であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
[6]表面にシートを有するタッチパネルであって、該シートとして、上記[1]に記載のタッチパネルペン用筆記シートの前記条件(B1)及び(B2)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるタッチパネル。
[7]タッチパネルを有する表示装置であって、該タッチパネルが上記[6]に記載のタッチパネルである表示装置。
[8]カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大山高さRp0.8、並びに、測定区間1mmにおける断面曲線のスキューネスPskが、下記条件(B1)及び(B2)を満たす表面を有し、
かつJIS K7136:2000のヘイズが下記条件(B3)を満たすシートを、下記のタッチパネルペン(B)用の筆記シートとして選別する、タッチパネルペン用筆記シートの選別方法。
0.50<Rp0.8/Rz0.8≦0.75 (B1)
0.60≦Psk (B2)
ヘイズが5.0%以上 (B3)
<タッチパネルペン(B)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m超であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
<条件(C1)>
タッチパネルペン用筆記シートの表面にタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際の該タッチパネルペンにかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、μk/μsが0.30以上0.58以下。
[10]前記μkが下記条件(C2)を満たすものをタッチパネルペン用筆記シートとして選別する、請求項12に記載のタッチパネルペン用筆記シートの選別方法。
<条件(C2)>
0.06≦μk≦0.30
[11]下記条件(C1)を満たす表面を有するタッチパネルペン用筆記シート。
<条件(C1)>
タッチパネルペン用筆記シートの表面にタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際の該タッチパネルペンにかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、μk/μsが0.30以上0.58以下。
[12]表面にシートを有するタッチパネルであって、該シートとして、上記[11]に記載のタッチパネルペン用筆記シートの前記条件(C1)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるタッチパネル。
[13]表面にタッチパネルペン用筆記シートを有するタッチパネルと、タッチパネルペンとからなるタッチパネルシステムであって、下記条件(C1)を満たすタッチパネルシステム。
<条件(C1)>
タッチパネルペン用筆記シートの表面にタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際の該タッチパネルペンにかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、μk/μsが0.30以上0.58以下。
[14]タッチパネルを有する表示装置であって、該タッチパネルが上記[12]に記載のタッチパネルである表示装置。
<実施形態A>
[タッチパネルペン用筆記シート]
実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シートは、下記のタッチパネルペン(A)用の筆記シートであって、該筆記シートは、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大谷深さRv0.8、並びに、カットオフ値2.5mmのJIS B0601:1994の局部山頂平均間隔S2.5が、下記条件(A1)及び(A2)を満たす表面を有するものである。
0.35≦Rv0.8/Rz0.8≦0.60 (A1)
0.05mm≦S2.5≦0.30mm (A2)
<タッチパネルペン(A)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m以下であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
なお、ヤング率Eの単位は「N/m2」、ペン先の直径Dの単位は「m」、算術平均高さPaの単位は「m」である。また、「M」は「メガ(106)」を意味する。
実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シートは、一方の表面が条件(A1)及び(A2)を満たしていてもよいし、両方の表面が条件(A1)及び(A2)を満たしていてもよい。
実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シートは、枚葉状の形態でもよいし、長尺シートをロール状に巻き取ったロール状の形態であってもよい。
以下、タッチパネルペン用筆記シートのことを「筆記シート」と称する場合がある。また、以下、条件(A1)及び(A2)を満たす表面のことを「筆記面」と称する場合がある。
実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シートは、少なくとも一方の表面が条件(A1)及び(A2)を満たすものである。
実施形態Aでは、条件(A1)と条件(A2)とで異なるカットオフ値を用いている。以下、2種類のカットオフ値(0.8mm、2.5mm)を用いる理由について説明する。
JIS B0601で参照するJIS B0633では、算術平均粗さRaの値に応じて、所定のカットオフ値(基準長さ)を用いることとしている。つまり、JISでは、任意のサンプルに対しては、単一のカットオフ値を用いることを原則としており、複数のカットオフ値を用いることを想定していない。
まず、ヤング率Eは、ペン先の荷重による変形のしやすさを示す基本物性であり、ヤング率Eが小さいほどペン先は荷重により変形しやすい傾向となる。次に、直径Dの2乗は、荷重を分散する度合いを示し、直径Dの2乗が小さいほど荷重を分散しにくく、ペン先は荷重により変形しやすい傾向となる。つまり、「ヤング率E×直径D×直径D」が小さいほど、ペン先が変形しやすく、ペン先と筆記シートとが接触しやすいことを示している。次に、ペン先の断面曲線の算術平均高さPaは、ペン先が筆記シートに接触する度合いを示す。具体的には、Paが大きいほどペン先と筆記シートとは点接触することとなり、ペン先と筆記シートとの接触面積が少なくなる。したがって、[ヤング率E×直径D×直径D]÷Paから算出される「X」の値が小さいほど、ペン先と筆記シートとが密着しやすいことを示し、筆記感に大きな影響を与えることとなる。
まず、Xの値が小さい場合、ペンを筆記シートに接触させた段階、及び書き始めの段階では、ペン先が筆記シートの表面形状に追従するように変形し、ペン先と筆記フィルムとの接触が微小領域において蜜となる。このため、書き始めの段階の摩擦抵抗は高周波成分の凹凸の影響が大きくなる。
次に、書き始め以降の段階では、筆記速度の上昇に伴う移動により、フィルムの低周波成分の凹凸の寄与によりペン先とフィルムとの微小領域への密着頻度が低下し、摩擦抵抗は高周波成分の凹凸の影響が低下する一方で、凹凸量の大きい低周波成分の凹凸の影響が大きくなる。
そして、本発明者らは上記の挙動に基づいてさらに検討を行い、2種類のカットオフ値を用いて表面形状を設計することにより、書き始めから書き終わりまでの筆記感を良好にし得ることを見出した。なお、文字を書いたり、図形を描いたりする際には、一瞬筆記を停止した後に再始動する場合が多い(例えば、筆記方向を転換する際には、通常は一瞬筆記を停止する。また、筆記箇所を移動する際にも一瞬筆記が停止する。)。本発明者らは、このような再始動の直後についても「書き始め」とみなしている。
条件(A1)のカットオフ値は0.8mmである。条件(A1)は高周波成分の凹凸を示しており、主として書き始めの筆記感に影響を与えるパラメータである。
一方、Rv0.8/Rz0.8が0.35未満の場合、谷の割合が少なすぎるため引っかかる感触となり、書き始めの筆記感を良好にすることができない。また、Rv0.8/Rz0.8が0.60を超える場合、谷の割合が多すぎるため滑った感触となり、書き始めの筆記感を良好にすることができず、ペンを静止させにくい。
条件(A1)は、0.37≦Rv0.8/Rz0.8≦0.55を満たすことが好ましく、0.40≦Rv0.8/Rz0.8≦0.50を満たすことがより好ましい。
なお、条件(A1)を算出する基準となるRv0.8、Rz0.8は、20個のサンプルを各1回ずつ測定した際の平均値とする。また、後述するS2.5、Pp、Pv、Pa、Ra、透過鮮明度及びヘイズも20個のサンプルを各1回ずつ測定した際の平均値とする。
条件(A2)のカットオフ値は2.5mmである。条件(A2)は低周波成分の凹凸を示しており、主として書き始め以降の筆記感に影響を与えるパラメータである。
S2.5が0.05mm未満の場合、局部山頂が多すぎるため引っかかる感触となり、書き始め以降の筆記感を良好にすることができない。また、S2.5が0.30mmを超える場合、局部山頂が、ペン先端の接触面積と比較して少なすぎるため滑った感触となり、書き始め以降の筆記感を良好にすることができない。
条件(A2)は、0.05mm≦S2.5≦0.25mmを満たすことが好ましく、0.05mm≦S2.5≦0.15mmを満たすことがより好ましい。なお、S2.5を0.05mm以上とすることは、表示素子の解像度の低下の抑制にもつながる。特に、画素密度が300ppi以上の超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できる点で好適である。
0.01μm≦Ptm≦1.00μm (A3)
単位測定区間における断面曲線の山高さの最大値をPpとは、単位測定区間の標高の平均線よりも上にある部分を山と定義して、最も高い山の高さを表したものである。なお、Ppと、JIS B0601:2001の粗さ曲線の最大山高さRpとは、パラメータを算出する基準が、Ppが断面曲線であり、Rpが粗さ曲線であるという点で異なっている。
単位測定区間における断面曲線の谷深さの最大値をPvとは、単位測定区間の標高の平均線よりも下にある部分を谷と定義して、最も深い谷の深さを表したものである。なお、Pvと、JIS B0601:2001の粗さ曲線の最大谷深さRvとは、パラメータを算出する基準が、Pvが断面曲線であり、Rvが粗さ曲線であるという点で異なっている。
条件(A3)は、0.10μm≦Ptm≦0.85μmを満たすことがより好ましく、0.0.35μm≦Ptm≦0.75μmを満たすことがさらに好ましい。
0.01μm≦Ra0.8≦0.50μm (A4)
Ra0.8を上記範囲とすることにより、筆記感をより良好にすることができるとともに、筆記シートによって表示素子の解像度が低下することを抑制できる。特に、画素密度が300ppi以上の超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できる点で好適である。
条件(A4)は、0.03μm≦Ra0.8≦0.30μmであることがより好ましく、0.05μm≦Ra0.8≦0.15μmであることがさらに好ましい。
文字を書いたり、図形を描いたりする際には、一瞬筆記を停止した後に再始動する場合が多い(例えば、筆記方向を転換する際には、通常は一瞬筆記を停止する。また、筆記箇所を移動する際にも一瞬筆記が停止する。)。このように筆記を一瞬停止して再始動する際には、静止摩擦係数と動摩擦係数との差による影響をうけやすいが、μk/μsを上記範囲とすることにより、筆記を一瞬停止して再始動する際にも思い描いた筆記が可能となる(例えば、思い通りの方向に筆記方向を転換できる)。
0.30≦μk/μs≦0.58の関係を満たすためには、上記条件(A1)及び(A2)満たすことが好ましく、上記条件(A1)~(A3)を満たすことがより好ましく、上記条件(A1)~(A4)を満たすことがさらに好ましい。
また、上記効果をより良好にするためには、μk/μsは、0.30≦μk/μs≦0.44の関係を満たすことがより好ましい。
μk/μsは、20個のサンプルを各1回ずつ測定して各サンプルのμk/μsを算出し、20サンプルのμk/μsを平均した値とする。
図7では、タッチパネルペン200は筆記シート10に接触した状態で保持具84によって固定されている。また、保持具84の上部には重り83を乗せるための土台85が付属されている。土台85上には重り83が乗せられており、該重りによってタッチパネルペンに垂直荷重がかけられている。筆記シート10は可動台82上に固定されている。
摩擦係数の測定時には、タッチパネルペンが上記のように固定された状態で、可動台82を、可動台とタッチパネルペンとの成す角の鈍角方向側(図7の左側)に所定の速度で走査する。
図7に示す測定が可能な装置としては、新東科学社製の商品名HEIDON-14DRが挙げられる。
ヤング率Eの測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度50%±10%とする。また、ヤング率Eの測定開始前に、タッチパネルペンを23℃±5℃、湿度50%±10%の雰囲気に10分以上放置するものとする。
σ(応力)=ΔF/S
ε(歪)=ΔL/L
E=σ/ε (ii)
デジタルマイクロスコープとしては、例えば、キーエンス社の商品名VHX-5000等を用いることができる。
なお、Paと、JIS B0601:2001の算術平均粗さRaとは、パラメータを算出する基準が、Paが断面曲線であり、Raが粗さ曲線であるという点で異なっている。
Csを250%以上とすることにより、筆記シートによって表示素子の解像度が低下することを抑制できる。特に、画素密度が300ppi以上の超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できる点で好適である。Csの上限は特に限定されないが、399%程度である。
ヘイズを5.0%以下とすることにより、筆記シートによって表示素子の解像度が低下することを抑制できる。特に、画素密度が300ppi以上の超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できる点で好適である。ヘイズの下限は特に限定されないが、0.1%以上であることが好ましく、0.2%以上であることがより好ましい。
なお、透過像鮮明度及びヘイズを測定する際は、筆記シートの筆記面とは反対側の表面から光を入射するものとする。筆記シートの両面が上記条件(A1)及び(A2)を満たす場合、光入射面はどちらの面であってもよい。
実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シートは、少なくとも一方の表面が条件(A1)及び(A2)を満たしていれば、その構成は特に限定されない。
例えば、実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シート10の構成としては、図1及び図2のように、樹脂層2を有し、該樹脂層2の一方の表面が条件(A1)及び(A2)を満たすものが挙げられる。
なお、図示しないが、樹脂層やプラスチックフィルム以外の他の層を有し、該他の層の表面が条件(A1)及び(A2)を満たしていてもよい。他の層としては、帯電防止層、防汚層等が挙げられる。また、図示しないが、樹脂層は2層以上から構成されていてもよい。
型に流し込む材料として硬化性樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物)を用いる場合、型から取り出す前に硬化性樹脂組成物を硬化することが好ましい。
コーティングにより形成した樹脂層の表面形状が上述した条件を満たすようにするためには、膜厚、粒子の含有量、及び粒子の平均粒子径を後述の範囲とした第一樹脂層を形成し、該第一樹脂層上に第二樹脂層を形成することが好ましい。
第一樹脂層中の粒子の含有量は、樹脂層を形成する全固形分中の0.1~15質量%であることが好ましく、0.2~12質量%であることがより好ましく、0.3~10質量%であることがさらに好ましい。
(1)筆記シートを光学顕微鏡にて透過観察画像を撮像する。倍率は500~2000倍が好ましい。
(2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の粒子径を算出する。粒子径は、粒子の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、該2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。
(3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を第一樹脂層中の粒子の平均粒子径とする。
後述の第二樹脂層の粒子の平均粒子径は、まず、筆記シートの断面をTEM又はSTEMで撮像する。撮像後、上記(2)及び(3)と同様の手法を行うことにより、第二樹脂層の粒子の平均粒子径を算出できる。TEM又はSTEMの加速電圧は10kv~30kV、倍率は5万~30万倍とすることが好ましい。
第二樹脂層の膜厚は0.01~0.15μmが好ましく、0.05~0.10μmがより好ましい。
第二樹脂層の粒子は、第一樹脂層の粒子として例示した有機粒子、無機粒子と同様のものを用いることができる。これらの中でも反射率を低減する観点から、中空粒子が好ましく、中空シリカがより好ましい。
第二樹脂層中の粒子の含有量は、第二樹脂層を形成する全固形分中の20~60質量%であることが好ましく、30~50質量%であることがより好ましい。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
これら光重合開始剤は、融点が100℃以上であることが好ましい。光重合開始剤の融点を100℃以上とすることにより、筆記シートの製造過程や、タッチパネルの透明導電膜の形成過程で、残留した光重合開始剤が昇華して、製造装置や透明導電膜の汚染を防止することができる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
これらプラスチックフィルムの中でも、機械的強度や寸法安定性の観点からは、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN))が好ましい。
プラスチックフィルムの厚みは、5~200μmであることが好ましく、10~150μmであることがより好ましい。
また、レベリング剤の含有量は、条件(A1)及び(A2)を満たす表面を形成しやすくする観点から、樹脂層の全固形分の0.01~5質量%であることが好ましく、0.1~3質量%であることがより好ましい。
筆記感は、実施形態Aの筆記シートを、上記式(i)から導かれるXが100MN/m以下のタッチパネルペン用の筆記シートとして用いた場合により良好にすることができ、上記式(i)から導かれるXが0.1MN/m以上50MN/m以下のタッチパネルペン用筆記シートとして用いた場合にさらに筆記感を良好にすることができる。
ヤング率Eは0.001~2.5GPa(1.0×106~2.5×109N/m2)であることが好ましく、0.002~1.7GPa(2.0×106~1.7×109N/m2)であることがより好ましい。直径Dは0.3~6.0mmであることが好ましく、0.5~2.0mmであることがより好ましい。算術平均高さPaは0.01~150μmであることが好ましく、1.0~120μmであることがより好ましい。
また、タッチパネルペン(A)のペン先の曲率半径は特に限定されないが、0.3~1.5mmの場合により効果を発揮しやすく、0.5~0.8mmの場合にさらに効果を発揮しやすい。
実施形態Aのタッチパネルは、表面にシートを有するタッチパネルであって、該シートとして、実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シートの条件(A1)及び(A2)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるものである。
抵抗膜式タッチパネルの場合、例えば、上部透明基板20として実施形態Aの筆記シート10を用い、該筆記シート10の条件(A1)及び(A2)を満たす側の面がタッチパネル100の表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。また、図示しないが、抵抗膜式タッチパネルは、上部透明基板上に、実施形態Aの筆記シートを、条件(A1)及び(A2)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、上部透明基板上に、実施形態Aの筆記シートを、条件(A1)及び(A2)を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
静電容量式タッチパネルの場合、例えば、表面側の透明基板20として実施形態Aの筆記シート10を用い、該筆記シート10の条件(A1)及び(A2)を満たす側の面がタッチパネル100の表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。また、図示しないが、静電容量式タッチパネルは、表面側の透明基板上に、実施形態Aの筆記シートを、条件(A1)及び(A2)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、表面側の透明基板上に、実施形態Aの筆記シートを、条件(A1)及び(A2)を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
電磁誘導式タッチパネルの場合、例えば、センサー部上に位置する透明基板のうち、最表面の透明基板として、実施形態Aの筆記シートを用い、該筆記シートの条件(A1)及び(A2)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。あるいは、電磁誘導式タッチパネルの場合、センサー部上に位置する透明基板のうち、最表面の透明基板上に、実施形態Aの筆記シートを、条件(A1)及び(A2)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、該最表面の透明基板上に、実施形態Aの筆記シートを、条件(A1)及び(A2)を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
インセルタッチパネルは、2枚のガラス基板に液晶を挟んでなる液晶素子の内部に、抵抗膜式、静電容量式、光学式等のタッチパネル機能を組み込んだものである。
インセルタッチパネルの場合、例えば、表面側のガラス基板に対して、実施形態Aの筆記シートの条件(A1)及び(A2)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせて用いる構成が挙げられる。なお、表面側のガラス基板と、実施形態Aの筆記シートとの間には、偏光板等の他の層を有していてもよい。
実施形態Aの表示装置は、タッチパネルを有する表示装置であって、該タッチパネルが実施形態Aのタッチパネルであるものである。
実施形態Aの表示装置は、表面を過度にあらすことなく筆記感を良好にしていることから、表示素子の解像度が損なわれることを抑制できる。特に、画素密度が300ppi以上の超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できる点で好適である。
実施形態Aのタッチパネルペン用筆記シートの選別方法は、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大谷深さRv0.8、並びに、カットオフ値2.5mmのJIS B0601:1994の局部山頂平均間隔S2.5が、下記条件(A1)及び(A2)を満たす表面を有するシートを、下記のタッチパネルペン(A)用の筆記シートとして選別するものである。
0.35≦Rv0.8/Rz0.8≦0.60 (A1)
0.05mm≦S2.5≦0.30mm (A2)
<タッチパネルペン(A)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m以下であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
0.01μm≦Ptm≦1.00μm (A3)
0.01μm≦Ra0.8≦0.50μm (A4)
Csが250%以上 (A5)
ヘイズが5.0%未満 (A6)
条件(A3)~(A6)の判定条件は、上述した実施形態Aの筆記シートの好適な数値範囲であることが好ましい。
[タッチパネルペン用筆記シート]
実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シートは、下記のタッチパネルペン(B)用の筆記シートであって、該筆記シートは、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大山高さRp0.8、並びに、測定区間1mmにおける断面曲線のスキューネスPskが、下記条件(B1)及び(B2)を満たす表面を有し、かつ該筆記シートのJIS K7136:2000のヘイズが下記条件(B3)を満たすものである。
0.50<Rp0.8/Rz0.8≦0.75 (B1)
0.60≦Psk (B2)
ヘイズが5.0%未満 (B3)
<タッチパネルペン(B)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m超であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
なお、ヤング率Eの単位は「N/m2」、ペン先の直径Dの単位は「m」、算術平均高さPaの単位は「m」である。また、「M」は「メガ(106)」を意味する。
実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シートは、一方の表面が条件(B1)及び(B2)を満たしていてもよいし、両方の表面が条件(B1)及び(B2)を満たしていてもよい。
実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シートは、枚葉状の形態でもよいし、長尺シートをロール状に巻き取ったロール状の形態であってもよい。
以下、タッチパネルペン用筆記シートのことを「筆記シート」と称する場合がある。また、以下、条件(B1)及び(B2)を満たす表面のことを「筆記面」と称する場合がある。
実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シートは、少なくとも一方の表面が条件(B1)及び(B2)を満たすものである。
実施形態Bでは、条件(B1)ではカットオフ値0.8mmの粗さパラメータを用いる一方で、条件(B2)では断面パラメータを用いている。以下、この理由を説明する。
一方、断面パラメータは、粗さ成分(高周波成分)及びうねり成分(低周波成分)の両方を含んだ凹凸であり、大きな領域の凹凸を示している。
まず、ヤング率Eは、ペン先の荷重による変形のしやすさを示す基本物性であり、ヤング率Eが小さいほどペン先は荷重により変形しやすい傾向となる。次に、直径Dの2乗は、荷重を分散する度合いを示し、直径Dの2乗が小さいほど荷重を分散しにくく、ペン先は荷重により変形しやすい傾向となる。つまり、「ヤング率E×直径D×直径D」が小さいほど、ペン先が変形しやすく、ペン先と筆記シートとが接触しやすいことを示している。次に、ペン先の断面曲線の算術平均高さPaは、ペン先が筆記シートに接触する度合いを示す。具体的には、Paが大きいほどペン先と筆記シートとは点接触することとなり、ペン先と筆記シートとの接触面積が少なくなる。したがって、[ヤング率E×直径D×直径D]÷Paから算出される「X」の値が小さいほど、ペン先と筆記シートとが密着しやすいことを示し、筆記感に大きな影響を与えることとなる。
(a)ペンを筆記シートに接触させた段階では筆記シートの表面にペン先が接地している。Xの値が大きい場合、ペン先は筆記シートの表面に密着しにくいため、筆記開始のきっかけは、ペン先が高周波成分(微小領域)の凸部を乗り越えることにあると考えられる。このため、書き始めの筆記感は、微小領域の凹凸(カットオフ値0.8mmの粗さパラメータ)の影響が大きくなる。
(b)書き始め以降の段階では、ペン先は大きな領域の凹凸表面に沿うように移動する。このため、書き始め以降の筆記感は、大きな領域の凹凸(断面パラメータ)の影響が大きくなる。
以上のように、Xの値が大きい場合、書き始めの筆記感は、微小領域の凹凸(カットオフ値0.8mmの粗さパラメータ)の影響が大きくなる。一方、書き始め以降の筆記感は、大きな領域の凹凸(断面パラメータ)の影響が大きくなる。このため、実施形態Bでは、条件(B1)ではカットオフ値0.8mmの粗さパラメータを用いる一方で、条件(B2)では断面パラメータを用いている。
なお、文字を書いたり、図形を描いたりする際には、一瞬筆記を停止した後に再始動する場合が多い(例えば、筆記方向を転換する際には、通常は一瞬筆記を停止する。また、筆記箇所を移動する際にも一瞬筆記が停止する。)。本発明者らは、このような再始動の直後についても「書き始め」とみなしている。
条件(B1)のカットオフ値は0.8mmである。条件(B1)は高周波成分の凹凸を示しており、主として書き始めの筆記感に影響を与えるパラメータである。
実施形態Bでは、Rp0.8/Rz0.8を上記範囲内とすることにより、書き始めのペン先の摩擦抵抗が適切となり、書き始めの筆記感を良好にすることができる。また、Rp0.8/Rz0.8を上記範囲内とすることにより、筆記シートの表面にペンを静止させやすくできる。
一方、Rp0.8/Rz0.8が0.50以下の場合、山の割合が少なすぎるため、摩擦抵抗が小さく滑った感触となり、書き始めの筆記感を良好にすることができない。なお、Rp0.8/Rz0.8が0.50以下の場合、書き終わりにペンを静止させにくい。また、Rp0.8/Rz0.8が0.75を超える場合、山の割合が多すぎるため引っかかりが大きくなり、書き始めの筆記感を良好にすることができない。
なお、条件(B1)を算出する基準となるRp0.8、Rz0.8は、20個のサンプルを各1回ずつ測定した際の平均値とする。また、後述するPsk、Ptm、S2.5及びRa0.8、透過鮮明度及びヘイズも20個のサンプルを各1回ずつ測定した際の平均値とする。
Pskは凹凸の確率密度に関するパラメータである。条件(B2)を満たさないことは、Pskが小さく、大きな領域の凹凸では凸部の割合が高いことを示している。大きな領域の凹凸の凸部の割合が高い場合、ペン先は凹凸に沿って進まず、凸部の頂点を結ぶようにして移動するようになり、摩擦抵抗が低下する。このため、条件(B2)を満たさない場合、書き始め以降の摩擦抵抗が低下して滑る感触となる。
一方、条件(B2)を満たしてPskが大きいことは、大きな領域の凹凸では凹部の割合が高いことを示している。この場合、ペン先は大きな領域の凹凸に沿って進むため、適度な摩擦抵抗が付与される。
Pskは、JIS B0601:2001の粗さ曲線のスキューネスRskを、断面曲線に適用したものであり、Rskと同様の式により算出できる。
なお、条件(B2)の断面パラメータとして、条件(B1)のRp0.8/Rz0.8を断面曲線に適用したパラメータを用いなかった理由は、断面パラメータは領域が大きいため、Rp0.8/Rz0.8のような領域内の最大値を用いたパラメータでは測定領域ごとの誤差が大きすぎ、パラメータとしての信頼性が低くなるためである。
なお、Pskが大きすぎる場合、防眩性に劣る傾向にあることから、Pskは5.00以下であることが好ましく、3.00以下であることがより好ましく、2.00以下であることがさらに好ましい。
実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シートは、JIS K7136:2000のヘイズが下記条件(B3)を満たすものである。
ヘイズが5.0%以上 (B3)
ヘイズ及び後述の透過像鮮明度を測定する際は、筆記シートの筆記面とは反対側の表面から光を入射するものとする。筆記シートの両面が上記条件(B1)及び(B2)を満たす場合、光入射面はどちらの面であってもよい。
0.30μm≦Ptm≦7.00μm (B4)
なお、単位測定区間における断面曲線の山高さの最大値をPpとは、単位測定区間の標高の平均線よりも上にある部分を山と定義して、最も高い山の高さを表したものである。また、単位測定区間における断面曲線の谷深さの最大値をPvとは、単位測定区間の標高の平均線よりも下にある部分を谷と定義して、最も深い谷の深さを表したものである。
条件(B4)は、0.50μm≦Ptm≦5.00μmを満たすことがより好ましく、1.00μm≦Ptm≦4.00μmを満たすことがさらに好ましい。
0.02mm≦S2.5≦0.20mm (B5)
条件(B5)のカットオフ値は2.5mmである。条件(B5)は低周波成分の凹凸を示しており、主として書き始め以降の筆記感に影響を与えるパラメータである。条件(B5)を満たすことにより、書き始め以降の摩擦抵抗が適切となり、書き始め以降の筆記感をより良好にすることができる。
条件(B5)は、0.02mm≦S2.5≦0.15mmを満たすことがより好ましく、0.03mm≦S2.5≦0.15mmを満たすことがさらに好ましい。
なお、S2.5を0.20mm以下とすることは、防眩性の向上につながる点でも好適である。
0.10μm≦Ra0.8≦0.25μm (B6)
Ra0.8を上記範囲とすることにより、筆記感をより良好にすることができる。また、Ra0.8を0.10μm以上とすることにより、防眩性を良好にしやすくできる。また、Ra0.8を0.25μm以下とすることにより、筆記シートによって表示素子の解像度が大幅に低下することを抑制できる。
条件(B6)は、0.10μm≦Ra0.8≦0.20μmであることがより好ましく、0.13μm≦Ra0.8≦0.17μmであることがさらに好ましい。
0.50μm≦RzJIS0.8≦1.50μm (B7)
RzJIS0.8を上記範囲とすることにより、筆記感をより良好にすることができる。また、RzJIS0.8を0.50μm以上とすることにより、防眩性を良好にしやすくできる。また、RzJIS0.8を1.50μm以下とすることにより、付与しつつ、筆記シートによって表示素子の解像度が大幅に低下することを抑制できる。特に、画素密度が300ppi以上の超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できる点で好適である。
条件(B7)は、0.50μm≦RzJIS0.8≦1.25μmであることがより好ましく、0.60μm≦RzJIS0.8≦1.00μmであることがさらに好ましい。
文字を書いたり、図形を描いたりする際には、一瞬筆記を停止した後に再始動する場合が多い(例えば、筆記方向を転換する際には、通常は一瞬筆記を停止する。また、筆記箇所を移動する際にも一瞬筆記が停止する。)。このように筆記を一瞬停止して再始動する際には、静止摩擦係数と動摩擦係数との差による影響をうけやすいが、μk/μsを上記範囲とすることにより、筆記を一瞬停止して再始動する際にも思い描いた筆記が可能となる(例えば、思い通りの方向に筆記方向を転換できる)。
0.30≦μk/μs≦0.58の関係を満たすためには、上記条件(B1)及び(B2)満たすことが好ましく、上記条件(B1)及び(B2)に加えて、条件(B4)~(B7)の一以上を満たすことがより好ましく、上記条件(B1)、(B2)、(B4)~(B7)を全て満たすことがさらに好ましい。
また、上記効果をより良好にするためには、μk/μsは、0.30≦μk/μs≦0.44の関係を満たすことがより好ましい。
μk/μsは、20個のサンプルを各1回ずつ測定して各サンプルのμk/μsを算出し、20サンプルのμk/μsを平均した値とする。
また、「タッチパネルペンのペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率E」、「ペン先の直径D」及び「ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さPa」は、実施形態Aで説明した手法と同様の手法で測定することができる。
Csを100%以上とすることにより、筆記シートによって表示素子の解像度が大幅に低下することを抑制できる。また、Csを250%未満とすることにより、防眩性を付与するための手段が限定的にならず、製品設計しやすくできる。
実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シートは、少なくとも一方の表面が条件(B1)及び(B2)を満たしていれば、その構成は特に限定されない。
例えば、実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シート10の構成としては、図1及び図2のように、樹脂層2を有し、該樹脂層2の一方の表面が条件(B1)及び(B2)を満たすものが挙げられる。
なお、図示しないが、樹脂層やプラスチックフィルム以外の他の層を有し、該他の層の表面が条件(B1)及び(B2)を満たしていてもよい。他の層としては、帯電防止層、防汚層等が挙げられる。また、図示しないが、樹脂層は2層以上から構成されていてもよい。
型に流し込む材料として硬化性樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物)を用いる場合、型から取り出す前に硬化性樹脂組成物を硬化することが好ましい。
樹脂層中の粒子(ミクロンオーダーの粒子)の含有量は、樹脂層を形成する全固形分中の2~25質量%であることが好ましく、5~20質量%であることがより好ましく、10~15質量%であることがさらに好ましい。
また、無機超微粒子を含有することにより、ミクロンオーダーの粒子の存在しない箇所にも緩やかな傾斜が形成される結果(略平滑な箇所が減少する結果)、防眩性も良好にすることができる。
無機超微粒子は、上述の凹凸形状を得やすくする観点から、平均一次粒子径が1~25nmであることが好ましく、5~20nmであることがより好ましい。
反応性基としては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基及びアリル基等のエチレン性不飽和結合並びにエポキシ基等が挙げられる。
このような反応性無機超微粒子は、シランカップリング剤で表面処理した無機超微粒子を挙げることができる。無機超微粒子の表面をシランカップリング剤で処理するには、無機超微粒子にシランカップリング剤をスプレーする乾式法や、無機超微粒子を溶剤に分散させてからシランカップリング剤を加えて反応させる湿式法等が挙げられる。
また、樹脂層中におけるミクロンオーダーの粒子及び無機超微粒子の含有量の比(ミクロンオーダーの粒子の含有量/無機超微粒子の含有量)は、筆記シートの表面形状を上述した範囲にしやすくする観点から、1.0~3.0であることが好ましく、1.5~2.5であることがより好ましい。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
これら光重合開始剤は、融点が100℃以上であることが好ましい。光重合開始剤の融点を100℃以上とすることにより、筆記シートの製造過程や、タッチパネルの透明導電膜の形成過程で、残留した光重合開始剤が昇華して、製造装置や透明導電膜の汚染を防止することができる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
溶剤の乾燥が遅すぎる場合、樹脂層のレベリング性が過度になることにより、上述した表面形状を形成しづらくなる。したがって、溶剤としては、蒸発速度(n-酢酸ブチルの蒸発速度を100としたときの相対蒸発速度)が180以上である溶剤を、全溶剤中の50質量%以上含むことが好ましく、60質量%以上含むことがより好ましい。相対蒸発速度が180以上の溶剤としては、トルエンが挙げられる。トルエンの相対蒸発速度は195である。
これらプラスチックフィルムの中でも、機械的強度や寸法安定性の観点からは、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)が好ましい。
プラスチックフィルムの厚みは、5~200μmであることが好ましく、10~150μmであることがより好ましい。
筆記感は、実施形態Bの筆記シートを、上記式(i)から導かれるXが1,000MN/m以上のタッチパネルペン用の筆記シートとして用いた場合により良好にすることができ、上記式(i)から導かれるXが2,000MN/m以上100,000MN/m以下のタッチパネルペン用筆記シートとして用いた場合にさらに筆記感を良好にすることができる。
ヤング率は0.1~5.0GPa(1.0×108~5.0×109N/m2)であることが好ましく、0.5~2.5GPa(5.0×108~2.5×109N/m2)であることがより好ましい。直径Dは0.3~6.0mmであることが好ましく、0.4~2.5mmであることがより好ましい。算術平均高さPaは0.01~10μmであることが好ましく、0.05~1.0μmであることがより好ましい。
また、タッチパネルペン(B)のペン先の曲率半径は特に限定されないが、0.3~1.5mmの場合により効果を発揮しやすく、0.5~0.8mmの場合にさらに効果を発揮しやすい。
実施形態Bのタッチパネルは、表面にシートを有するタッチパネルであって、該シートとして、実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シートの条件(B1)及び(B2)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるものである。
抵抗膜式タッチパネルの場合、例えば、上部透明基板20として実施形態Bの筆記シート10を用い、該筆記シート10の条件(B1)及び(B2)を満たす側の面がタッチパネル100の表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。また、図示しないが、抵抗膜式タッチパネルは、上部透明基板上に、実施形態Bの筆記シートを、条件(B1)及び(B2)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、上部透明基板上に、実施形態Bの筆記シートを、条件(B1)及び(B2)を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
静電容量式タッチパネルの場合、例えば、表面側の透明基板20として実施形態Bの筆記シート10を用い、該筆記シート10の条件(B1)及び(B2)を満たす側の面がタッチパネル100の表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。また、図示しないが、静電容量式タッチパネルは、表面側の透明基板上に、実施形態Bの筆記シートを、条件(B1)及び(B2)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、表面側の透明基板上に、実施形態Bの筆記シートを、条件(B1)及び(B2)を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
電磁誘導式タッチパネルの場合、例えば、センサー部上に位置する透明基板のうち、最表面の透明基板として、実施形態Bの筆記シートを用い、該筆記シートの条件(B1)及び(B2)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。あるいは、電磁誘導式タッチパネルの場合、センサー部上に位置する透明基板のうち、最表面の透明基板上に、実施形態Bの筆記シートを、条件(B1)及び(B2)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、該最表面の透明基板上に、実施形態Bの筆記シートを、条件(B1)及び(B2)を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
インセルタッチパネルは、2枚のガラス基板に液晶を挟んでなる液晶素子の内部に、抵抗膜式、静電容量式、光学式等のタッチパネル機能を組み込んだものである。
インセルタッチパネルの場合、例えば、表面側のガラス基板に対して、実施形態Bの筆記シートの条件(B1)及び(B2)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせて用いる構成が挙げられる。なお、表面側のガラス基板と、実施形態Bの筆記シートとの間には、偏光板等の他の層を有していてもよい。
実施形態Bの表示装置は、タッチパネルを有する表示装置であって、該タッチパネルが実施形態Bのタッチパネルであるものである。
実施形態Bの表示装置は、表面を過度にあらすことなく筆記感を良好にしていることから、表示素子の解像度が大幅に損なわれることを抑制できる。
実施形態Bのタッチパネルペン用筆記シートの選別方法は、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大山高さRp0.8、並びに、測定区間1mmにおける断面曲線のスキューネスPskが、下記条件(B1)及び(B2)を満たす表面を有し、かつJIS K7136:2000のヘイズが下記条件(B3)を満たすシートを、下記のタッチパネルペン(B)用の筆記シートとして選別するものである。
0.50<Rp0.8/Rz0.8≦0.75 (B1)
0.60≦Psk (B2)
ヘイズが5.0%以上 (B3)
<タッチパネルペン(B)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m超であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
0.30μm≦Ptm≦7.00μm (B4)
0.02mm≦S2.5≦0.20mm (B5)
0.10μm≦Ra0.8≦0.25μm (B6)
0.50μm≦RzJIS0.8≦1.50μm (B7)
Csが100%以上250%未満 (B8)
条件(B4)~(B8)の判定条件は、上述した実施形態Bの筆記シートの好適な数値範囲であることが好ましい。
[タッチパネルペン用筆記シートの選別方法]
実施形態Cのタッチパネルペン用筆記シートの選別方法は、下記条件(C1)を満たすものをタッチパネルペン用筆記シートとして選別するものである。
<条件(C1)>
タッチパネルペン用筆記シートの表面にタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際の該タッチパネルペンにかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、μk/μsが0.30以上0.58以下。
実施形態Cのタッチパネルペン用筆記シートは、一方の表面が条件(C1)を満たしていてもよいし、両方の表面が条件(C1)を満たしていてもよい。
以下、タッチパネルペン用筆記シートのことを「筆記シート」と称する場合がある。また、以下、条件(C1)を満たす表面のことを「筆記面」と称する場合がある。
実施形態Cのタッチパネルペン用筆記シートの選別方法は、下記条件(C1)を満たす表面を有するものをタッチパネルペン用筆記シートとして選別するものである。
文字を書いたり、図形を描いたりする際には、一瞬筆記を停止した後に再始動する場合が多い(例えば、筆記方向を転換する際には、通常は一瞬筆記を停止する。また、筆記箇所を移動する際にも一瞬筆記が停止する。)。このように筆記を一瞬停止して再始動する際には、静止摩擦係数と動摩擦係数との差による影響をうけやすい。
μk/μsが0.30未満、又はμk/μsが0.58を超える場合、筆記を一瞬停止して再始動する際に、思い通りの方向に筆記方向を転換することなどが困難となり、思い描いた筆記ができなくなる。したがって、条件(C1)を満たす筆記シートを選別することは、筆記を一瞬停止して再始動する際に思い描いた筆記が可能となる筆記シートを効率よく選別できることにつながる。
条件(C1)は、0.30≦μk/μs≦0.44の関係を満たすことが好ましい。
実施形態Cにおいて、動摩擦係数μkは、全測定時間の動摩擦係数の平均値を意味する。静止摩擦係数は、摩擦力0から測定時間の経過に伴って、動摩擦係数以上となった最初の摩擦力のピークとする。摩擦係数の測定間隔は0.02秒とすることが好ましい。
μk及びμsは、実施形態Aで説明した手法と同様の手法で測定することができる。
<条件(C2)>
0.06≦μk≦0.30
条件(C2)は、0.08≦μk≦0.28を満たすことがより好ましく、0.08≦μk≦0.20を満たすことがさらに好ましい。
0.06≦μk≦0.30
<条件(C2’)>
0.15≦μs≦0.95
条件(C2’)は、0.20≦μs≦0.60を満たすことがより好ましく、0.25≦μs≦0.50を満たすことがさらに好ましい。
なお、ペンが筆記シートに密着しすぎる場合、及びペンが筆記シートに殆ど密着しない場合、条件(C1)等を満たす筆記シートが設計しにくくなる。このため、条件(C1)等の判定に用いるタッチパネルペンは、タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが0.1MN/m~100,000MN/mであるものが好ましく、0.5MN/m~80,000MN/mであるものが好ましい。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
なお、ヤング率Eの単位は「N/m2」、ペン先の直径Dの単位は「m」、算術平均高さPaの単位は「m」である。また、「M」は「メガ(106)」を意味する。
ヤング率は0.1~5.0GPa(1.0×108~5.0×109N/m2)であることが好ましく、0.5~2.5GPa(5.0×108~2.5×109N/m2)であることがより好ましい。直径Dは0.3~6.0mmであることが好ましく、0.4~2.0mmであることがより好ましい。算術平均高さPaは0.01~10μmであることが好ましく、0.05~1.0μmであることがより好ましい。
また、条件(C1)等の判定に用いるタッチパネルペンのペン先の曲率半径は特に限定されないが、0.3~1.5mmであることが好ましく、0.5~0.8mmであることがより好ましい。
<条件(C3)>
ヘイズが5.0%以上
ヘイズは10.0%以上であることが好ましく、15.0%以上であることがより好ましい。なお、ヘイズが高すぎると、表示素子の解像度が大幅に低下してしまう。このため、ヘイズは40.0%以下であることが好ましく、30.0%以下であることがより好ましい。
ヘイズ及び後述の透過像鮮明度を測定する際は、筆記シートの筆記面とは反対側の表面から光を入射するものとする。筆記シートの両面が上記条件(C1)を満たす場合、光入射面はどちらの面であってもよい。
ヘイズ及び透過鮮明度は、20個のサンプルを各1回ずつ測定した際の平均値とする。
<条件(C4)>
Csが100%以上
なお、Csが大きすぎると、条件(C1)や条件(C3)を満たしにくくなる場合がある。このため、条件(C4)は、Csが100%以上250%未満であることがより好ましく、120%以上230%以下であることがさらに好ましく、150%以上200%以下であることがよりさらに好ましい。
実施形態Cのタッチパネル用筆記シートは、下記条件(C1)を満たす表面を有するものである。
<条件(C1)>
タッチパネルペン用筆記シートの表面にタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際の該タッチパネルペンにかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、μk/μsが0.30以上0.58以下。
<条件(C2)>
0.06≦μk≦0.30
<条件(C2’)>
0.15≦μs≦0.95
<条件(C3)>
ヘイズが5.0%以上
<条件(C4)>
Csが100%以上
(a)ペンを筆記シートに接触させた段階では筆記シートの表面にペン先が接地している。このため、筆記開始のきっかけは、ペン先が高周波成分(微小領域)の凸部を乗り越えることにあると考え、書き始めの筆記感は、微小領域の凹凸の影響が大きくなる。
(b)書き始め以降の段階では、ペン先は大きな領域の凹凸表面に沿うように移動する。このため、書き始め以降の筆記感は、大きな領域の凹凸の影響が大きくなる。
以上のように、書き始めの筆記感は、微小領域の凹凸の影響が大きく、書き始め以降の筆記感は大きな領域の凹凸の影響が大きい。このため、筆記面に高周波成分の凹凸(微小領域の凹凸)と、低周波成分の凹凸(大きな領域の凹凸)とを適切に混在させることにより、筆記感を良好にすることができる。
なお、上記式(i)から導かれるXが大きいタッチパネルペンを用いた場合、ペン先が筆記シートの表面に密着しにくいため、上記(a)及び(b)の傾向は強くなる。つまり、上記式(i)から導かれるXが大きいタッチパネルペンを用いた場合、筆記シートの筆記面に高周波成分の凹凸と低周波成分の凹凸とを混在させること好ましい。Xが大きいとは、Xが500MN/m超であることを意味し、好ましくはXが1,000MN/m以上、より好ましくはXが2,000MN/m以上100,000MN/m以下である。
実施形態Cのタッチパネルペン用筆記シートは、少なくとも一方の表面が条件(C1)を満たしていれば、その構成は特に限定されない。
例えば、実施形態Cのタッチパネルペン用筆記シート10の構成としては、図1及び図2のように、樹脂層2を有し、該樹脂層2の一方の表面が条件(C1)を満たすものが挙げられる。
なお、図示しないが、樹脂層やプラスチックフィルム以外の他の層を有し、該他の層の表面が条件(C1)を満たしていてもよい。他の層としては、帯電防止層、防汚層等が挙げられる。また、図示しないが、樹脂層は2層以上から構成されていてもよい。
樹脂層中の粒子(ミクロンオーダーの粒子)の含有量は、樹脂層を形成する全固形分中の2~25質量%であることが好ましく、5~20質量%であることがより好ましく、10~15質量%であることがさらに好ましい。
また、無機超微粒子を含有することにより、ミクロンオーダーの粒子の存在しない箇所にも緩やかな傾斜が形成される結果(略平滑な箇所が減少する結果)、防眩性も良好にすることができる。
無機超微粒子は、上述の凹凸形状を得やすくする観点から、平均一次粒子径が1~25nmであることが好ましく、5~20nmであることがより好ましい。
反応性基としては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基及びアリル基等のエチレン性不飽和結合並びにエポキシ基等が挙げられる。
このような反応性無機超微粒子は、シランカップリング剤で表面処理した無機超微粒子を挙げることができる。無機超微粒子の表面をシランカップリング剤で処理するには、無機超微粒子にシランカップリング剤をスプレーする乾式法や、無機超微粒子を溶剤に分散させてからシランカップリング剤を加えて反応させる湿式法等が挙げられる。
また、樹脂層中におけるミクロンオーダーの粒子及び無機超微粒子の含有量の比(ミクロンオーダーの粒子の含有量/無機超微粒子の含有量)は、筆記シートの表面形状を上述した範囲にしやすくする観点から、1.0~3.0であることが好ましく、1.5~2.5であることがより好ましい。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
これら光重合開始剤は、融点が100℃以上であることが好ましい。光重合開始剤の融点を100℃以上とすることにより、筆記シートの製造過程や、タッチパネルの透明導電膜の形成過程で、残留した光重合開始剤が昇華して、製造装置や透明導電膜の汚染を防止することができる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
溶剤の乾燥が遅すぎる場合、樹脂層のレベリング性が過度になることにより、上述した表面形状を形成しづらくなる。したがって、溶剤としては、蒸発速度(n-酢酸ブチルの蒸発速度を100としたときの相対蒸発速度)が180以上である溶剤を、全溶剤中の50質量%以上含むことが好ましく、60質量%以上含むことがより好ましい。相対蒸発速度が180以上の溶剤としては、トルエンが挙げられる。トルエンの相対蒸発速度は195である。
これらプラスチックフィルムの中でも、機械的強度や寸法安定性の観点からは、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)が好ましい。
プラスチックフィルムの厚みは、5~200μmであることが好ましく、10~150μmであることがより好ましい。
実施形態Cのタッチパネルは、表面にシートを有するタッチパネルであって、該シートとして、実施形態Cのタッチパネルペン用筆記シートの条件(C1)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるものである。
抵抗膜式タッチパネルの場合、例えば、上部透明基板20として実施形態Cの筆記シート10を用い、該筆記シート10の条件(C1)を満たす側の面がタッチパネル100の表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。また、図示しないが、抵抗膜式タッチパネルは、上部透明基板上に、実施形態Cの筆記シートを、条件(C1)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、上部透明基板上に、実施形態Cの筆記シートを、条件(C1)を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
静電容量式タッチパネルの場合、例えば、表面側の透明基板20として実施形態Cの筆記シート10を用い、該筆記シート10の条件(C1)を満たす側の面がタッチパネル100の表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。また、図示しないが、静電容量式タッチパネルは、表面側の透明基板上に、実施形態Cの筆記シートを、条件(C1)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、表面側の透明基板上に、実施形態Cの筆記シートを、条件(C1)を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
電磁誘導式タッチパネルの場合、センサー部上に位置する透明基板のうち、最表面の透明基板として、実施形態Cの筆記シートを用い、該筆記シートの条件(C1)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くようにして用いる構成が挙げられる。あるいは、電磁誘導式タッチパネルの場合、センサー部上に位置する透明基板のうち、最表面の透明基板上に、実施形態Cの筆記シートを、条件(C1)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせた構成や、該最表面の透明基板上に、実施形態Cの筆記シートを、条件(C1)を満たす側の面が表面を向くようにして載置し、フレーム等で固定した構成であってもよい。
インセルタッチパネルは、2枚のガラス基板に液晶を挟んでなる液晶素子の内部に、抵抗膜式、静電容量式、光学式等のタッチパネル機能を組み込んだものである。
インセルタッチパネルの場合、例えば、表面側のガラス基板に対して、実施形態Cの筆記シートの条件(C1)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせて用いる構成が挙げられる。なお、表面側のガラス基板と、実施形態Cの筆記シートとの間には、偏光板等の他の層を有していてもよい。
実施形態Cのタッチパネルシステムは、表面にタッチパネルペン用筆記シートを有するタッチパネルと、タッチパネルペンとからなるタッチパネルシステムであって、下記条件(C1)を満たすものである。
<条件(C1)>
タッチパネルペン用筆記シートの表面にタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際の該タッチパネルペンにかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、μk/μsが0.30以上0.58以下。
実施形態Cのタッチパネルシステムによれば、タッチパネルの筆記感を良好にすることができる。
実施形態Cの表示装置は、タッチパネルを有する表示装置であって、該タッチパネルが実施形態Cのタッチパネルであるものである。
実施形態Cの表示装置は、表面を過度にあらすことなく筆記感を良好にしていることから、表示素子の解像度が大幅に損なわれることを抑制できる。
A1.測定及び評価
実施例及び比較例で作製したタッチパネルペン用筆記シートについて、以下の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
A1-1.表面形状測定
実施例及び比較例のタッチパネル用筆記シートを10cm四方に切断した。切断箇所は、目視でゴミや傷などの異常点がない事を確認の上、ランダムな部位から選択した。切断した表面部材を東レ社製の光学透明粘着シート(屈折率:1.47、厚み100μm)を介して、縦10cm×横10cmの大きさの黒色板(クラレ社製、商品名:コモグラス 品番 :DFA502K、厚み2.0mm)を貼り合わせたサンプルをそれぞれ20個準備した。
表面粗さ測定器(型番:SE-3400/小坂研究所株式会社製)を用いて、計測ステージにサンプルが固定かつ密着した状態となるようにセットしたのち、下記の測定条件により、下記の測定項目について、各サンプルの樹脂層側の表面形状を測定した。そして、20個のサンプルの平均値を、各実施例及び比較例のRz0.8、Rv0.8、S2.5、Ra0.8及びPtmとした。結果を表1に示す。
<測定条件>
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・Rz0.8、Rv0.8、S2.5及びRa0.8の評価長さ:カットオフ値λcの5倍
・Rz0.8、Rv0.8、S2.5及びRa0.8の予備長さ:カットオフ値λcの2倍
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
・スキッド:用いない(測定面に接触なし)
・カットオフフィルタ種類:ガウシャン
・不感帯レベル:10%
・tp/PC曲線:ノーマル
<測定項目>
・カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さをRz0.8、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の粗さ曲線の最大谷深さをRv0.8とした際のRv0.8/Rz0.8
・カットオフ値2.5mmのJIS B0601:1994の局部山頂平均間隔S2.5
・カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の算術平均粗さRa0.8
・単位測定区間を1mm、単位測定区間における断面曲線の山高さの最大値をPp、単位測定区間における断面曲線の谷深さの最大値をPv、PpとPvとの和を単位測定区間における断面曲線の最大断面高さPtとした際の、5つの測定区間のPtの平均値Ptm。カットオフ値は0。
実施例及び比較例のタッチパネル用筆記シートを5cm四方に切断したサンプルをそれぞれ20個準備した。20個の部位は、目視でゴミや傷などの異常点がない事を確認の上、ランダムな部位から選択した。
スガ試験機社製の写像性測定器(商品名:ICM-1T)を用いて、JIS K7374:2000に従って、各サンプルの、0.125mm、0.5mm、1mm及び2mmの巾をもつ光学くしを通した4種類の透過像鮮明度を測定し、総和Csを算出した。そして、20個のサンプルの平均値を、各実施例及び比較例の総和Csとした。光入射面はプラスチックフィルム側とした。
ヘイズメーター(HM-150、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K-7136:2000に従って、上記「A1-2」で作製した各サンプルのヘイズ(全体ヘイズ)を測定した。そして、20個のサンプルの平均値を、各実施例及び比較例のヘイズとした。光入射面はプラスチックフィルム側とした。
新東科学社製の商品名HEIDON-14DRを用い、一定荷重片道の摩擦測定モードで以下の手法により静摩擦係数(μs)及び動摩擦係数(μk)を測定し、μk/μsを算出した。20個のサンプルを各1回ずつ測定して各サンプルのμk/μsを算出し、20サンプルのμk/μsの平均値を、各実施例及び比較例のμk/μsとした。測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度50%±10%とした。摩擦係数の測定間隔は0.02秒とした。なお、測定開始前に、各サンプルを23℃±5℃、湿度50%±10%の雰囲気に10分以上放置した。
図7に示すように、タッチパネルペン用筆記シートの樹脂層側の表面に、下記のタッチパネルペンA1又はA2を60度の角度で接触させ、保持具で固定した。保持具上部の土台に100gの重りを乗せ、タッチパネルペンに垂直荷重100gfがかかるようにした。荷重をかけたまま、筆記シートを固定した可動台を、可動台とタッチパネルペンとの成す角の鈍角方向側(図7の左側)に14mm/秒の速度で移動させた。片道40mmの長さを移動した際の該ペンにかかる移動方向の静摩擦係数(μs)及び動摩擦係数(μk)を測定した。μk/μsが0.30≦μk/μs≦0.58のものは、静摩擦係数と動摩擦係数とのバランスが良好で、筆記を一瞬停止して再始動した際の筆記感が良好であることを示している。
タッチペン付3色ボールペン(三菱鉛筆株式会社製、商品名:ジェットストリーム スタイラス)、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:0.002GPa(2.0×106N/m2)、ペン先の直径:5mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:100μm、上記式(i)のX:0.5MN/m
<タッチパネルペンA2>
東芝株式会社製、商品名:アクティブ静電ペンIPCZ131A、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:1.5GPa(1.5×109N/m2)、ペン先の直径:1.6mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:100μm、上記式(i)のX:38.4MN/m
タッチパネルペン用筆記シートの樹脂層側の面と反対側の面を、東レ社製の光学透明粘着シート(厚み100μm)を介して、ガラス板に貼り合わせ、上記タッチパネルペンA1及びA2を用いて、筆記感を評価した。書き始め及び書き始め以降の筆記感が良好であるものを2点、書き始め及び書き始め以降の何れか一方の筆記感が良好でなかったものを1点、書き始め及び書き始め以降の何れも筆記感が良好でなかったものを0点として、20人が評価を行った。20人の平均点が1.6点以上のものをA、1.0以上1.6点未満のものをB、1.0点未満のものをCとした。
評価時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度50%±10%とした。なお、評価開始前に、各サンプルを23℃±5℃、湿度50%±10%の雰囲気に10分以上放置した。
[実施例A1]
プラスチックフィルム(PETフィルム、厚み80μm)上に、下記処方の第一樹脂層塗布液A1を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、第一樹脂層を形成した。次いで、第一樹脂層上に、下記処方の第二樹脂層塗布液A1を乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、第二樹脂層を形成し、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 16部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 72.8部
・有機粒子 8部
(球状ポリアクリル-スチレン共重合体、平均粒子径5μm)
・不定形シリカ 3部
(平均粒子径5nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.2部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 80部
・溶剤2(アノン) 30部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 18部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 80部
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 2部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 110部
プラスチックフィルムを厚み40μmのTACに変更し、第一樹脂層塗布液A1を下記処方の第一樹脂層塗布液A2に変更し、第一樹脂層の膜厚を6μmに変更し、第二樹脂層塗布液A1を下記処方の第二樹脂層塗布液A2に変更し、第二樹脂層の厚みを0.1μmに変更した以外は、実施例A1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 17.9部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 81.4部
・フュームドシリカ 0.5部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.2部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 4部
・溶剤2(トルエン) 160部
・溶剤3(シクロヘキサノン) 27部
・溶剤4(イソプロピルアルコール) 63部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 10部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 43部
・中空シリカ 5部
(平均一次粒子径50nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッ素系レベリング剤 1部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 135部
・溶剤2(メチルエチルケトン) 232部
・溶剤3 176部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
プラスチックフィルムを厚み60μmのTACに変更し、第一樹脂層塗布液A1を下記処方の第一樹脂層塗布液A3に変更し、第一樹脂層の厚みを5μmに変更した以外は、実施例A2と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 17.9部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 81.2部
・フュームドシリカ 0.7部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッ素系レベリング剤 0.2部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 4部
・溶剤2(トルエン) 180部
・溶剤3(シクロヘキサノン) 30部
・溶剤4(イソプロピルアルコール) 70部
プラスチックフィルムを厚み80μmのTACに変更し、第一樹脂層塗布液A1を下記処方の第一樹脂層塗布液A4に変更し、第一樹脂層の厚みを8μmに変更し、第二樹脂層を形成しなかった以外は、実施例A1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 75部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・有機粒子 25部
(球状ポリアクリル-スチレン共重合体、平均粒子径2μm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.001部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 40部
・溶剤2(アノン) 40部
・溶剤3 40部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
第一樹脂層塗布液A1を下記処方の第一樹脂層塗布液A5に変更し、第一樹脂層の厚みを3μmに変更し、第二樹脂層を形成しなかった以外は、実施例A1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 93部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・無機微粒子 7部
(富士シリシア化学社製、ゲル法不定形シリカ)
(疎水処理、平均粒子径(レーザー回折散乱法)4.1μm)
・光重合開始剤 5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.001部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 TSF4460)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 30部
・溶剤2(メチルエチルケトン) 30部
・溶剤3(イソプロピルアルコール) 30部
・溶剤4(N-ブタノール) 30部
プラスチックフィルムを厚み40μmのTACに変更し、第一樹脂層塗布液A1を下記処方の第一樹脂層塗布液A6に変更し、第一樹脂層の厚みを5μmに変更し、第二樹脂層を形成しなかった以外は、実施例A1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
<第一樹脂層塗布液A6>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 81部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・有機粒子 13部
(球状ポリアクリル-スチレン共重合体、平均粒子径3.5μm)
・フュームドシリカ 6部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.001部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 30部
・溶剤2(アノン) 30部
・溶剤3(メチルイソブチルケトン) 30部
・溶剤4 30部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
実施例A1~A3及び比較例A1~A3のタッチパネルペン用筆記シートの基材側の面に、厚み20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、上部電極板とした。次いで、厚み1mmの強化ガラス板の一方の面に、厚み約20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、下部電極板とした。次いで、下部電極板の導電性膜を有する面に、スペーサー用塗布液として電離放射線硬化型樹脂(Dot Cure TR5903:太陽インキ社)をスクリーン印刷法によりドット状に印刷した後、高圧水銀灯で紫外線を照射して、直径50μm、高さ8μmのスペーサーを1mmの間隔で配列させた。
次いで、上部電極板と下部電極板とを、導電性膜どうしを対向するように配置させ、厚み30μm、幅3mmの両面接着テープで縁を接着し、実施例A1~A3及び比較例A1~A3の抵抗膜式タッチパネルを作製した。
実施例A1~A3及び比較例A1~A3の抵抗膜式タッチパネルに上記タッチパネルペンA1~A2で筆記したところ、各タッチパネルペンの筆記感の評価は、表1と同様であった。
また、実施例A1~A3及び比較例A1~A3の抵抗膜式タッチパネルを、市販の超高精細液晶表示装置(シャープ製のスマートフォン、商品名:SH-03G、画素密度480ppi)上に載置して画像を目視で評価したところ、実施例A1~A3のタッチパネルは、超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できるものであった。一方、比較例A1~A3のタッチパネルは、超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できないものであった。
実施例A1~A3及び比較例A1~A3のタッチパネルペン用筆記シートと、市販の超高精細液晶表示装置(シャープ製のスマートフォン、商品名:SH-03G、画素密度480ppi)とを、透明粘着剤(東レ社製の光学透明粘着シート、厚み100μm)を介して貼り合わせ、実施例A1~A3及び比較例A1~A3の表示装置を作製した。なお、貼り合わせの際は、タッチパネルペン用筆記シート基材側の面が表示素子側を向くようにした。
実施例A1~A3及び比較例A1~A3の表示装置に上記タッチパネルペンA1~A2で筆記したところ、各タッチパネルペンの筆記感の評価は、表1と同様であった。
また、実施例A1~A3及び比較例A1~A3の表示装置の映像を目視で評価したところ、実施例A1~A3の表示装置は、超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できるものであった。一方、比較例A1~A3の表示装置は、超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できないものであった。
実施例A1~A3及び比較例A1~A3で作製したタッチパネルペン用筆記シートに対して、下記のタッチパネルペンA3を用いて、上記と同様の手法で、μk/μsの測定、及び筆記感の評価を行った。結果を表2に示す。
Adonit社製、商品名:Jot Mini、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:0.1GPa(1.0×108N/m2)、ペン先の直径:5.0mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:1.0μm、上記式(i)のX:2,500MN/m
B1.測定及び評価
実施例及び比較例で作製したタッチパネルペン用筆記シートについて、以下の測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
B1-1.表面形状測定
実施例及び比較例のタッチパネル用筆記シートを10cm四方に切断した。切断箇所は、目視でゴミや傷などの異常点がない事を確認の上、ランダムな部位から選択した。切断した表面部材を東レ社製の光学透明粘着シート(屈折率:1.47、厚み100μm)を介して、縦10cm×横10cmの大きさの黒色板(クラレ社製、商品名:コモグラス 品番 :DFA502K、厚み2.0mm)を貼り合わせたサンプルをそれぞれ20個準備した。
表面粗さ測定器(型番:SE-3400/小坂研究所株式会社製)を用いて、計測ステージにサンプルが固定かつ密着した状態となるようにセットしたのち、下記の測定条件により、下記の測定項目について、各サンプルのタッチパネルペン用筆記シートの樹脂層側の表面形状を測定した。そして、20個のサンプルの平均値を、各実施例及び比較例のRz0.8、Rp0.8、Psk、Ptm、S2.5及びRa0.8とした。結果を表3に示す。
<測定条件>
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・Rz0.8、Rp0.8、S2.5及びRa0.8の評価長さ:カットオフ値λcの5倍
・Rz0.8、Rp0.8、S2.5及びRa0.8の予備長さ:カットオフ値λcの2倍
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
・スキッド:用いない(測定面に接触なし)
・カットオフフィルタ種類:ガウシャン
・不感帯レベル:10%
・tp/PC曲線:ノーマル
<測定項目>
・カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さをRz0.8、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の粗さ曲線の最大山高さをRp0.8とした際のRp0.8/Rz0.8
・測定区間1mmにおける断面曲線のスキューネスPsk。カットオフ値は0。
・単位測定区間を1mm、単位測定区間における断面曲線の山高さの最大値をPp、単位測定区間における断面曲線の谷深さの最大値をPv、PpとPvとの和を単位測定区間における断面曲線の最大断面高さPtとした際の、5つの測定区間のPtの平均値Ptm。カットオフ値は0。
・カットオフ値2.5mmのJIS B0601:1994の局部山頂平均間隔S2.5
・カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の算術平均粗さRa0.8
実施例及び比較例のタッチパネル用筆記シートを5cm四方に切断したサンプルをそれぞれ20個準備した。20個の部位は、目視でゴミや傷などの異常点がない事を確認の上、ランダムな部位から選択した。
ヘイズメーター(HM-150、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K-7136:2000に従って、各サンプルのヘイズ(全体ヘイズ)を測定した。そして、20個のサンプルの平均値を、各実施例及び比較例のヘイズとした。光入射面はプラスチックフィルム側とした。
スガ試験機社製の写像性測定器(商品名:ICM-1T)を用いて、JIS K7374:2000に従って、上記「B1-2」で作製した各サンプルの、0.125mm、0.5mm、1mm及び2mmの巾をもつ光学くしを通した4種類の透過像鮮明度を測定し、総和Csを算出した。そして、20個のサンプルの平均値を、各実施例及び比較例の総和Csとした。光入射面はプラスチックフィルム側とした。
新東科学社製の商品名HEIDON-14DRを用い、一定荷重片道の摩擦測定モードで以下の手法により静摩擦係数(μs)及び動摩擦係数(μk)を測定し、μk/μsを算出した。20個のサンプルを各1回ずつ測定して各サンプルのμk/μsを算出し、20サンプルのμk/μsの平均値を、各実施例及び比較例のμk/μsとした。測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度50%±10%とした。摩擦係数の測定間隔は0.02秒とした。なお、測定開始前に、各サンプルを23℃±5℃、湿度50%±10%の雰囲気に10分以上放置した。
図7に示すように、タッチパネルペン用筆記シートの樹脂層側の表面に、下記のタッチパネルペンB1又はB2を60度の角度で接触させ、保持具で固定した。保持具上部の土台に100gの重りを乗せ、タッチパネルペンに垂直荷重100gfがかかるようにした。荷重をかけたまま、筆記シートを固定した可動台を、可動台とタッチパネルペンとの成す角の鈍角方向側(図7の左側)に14mm/秒の速度で移動させた。片道40mmの長さを移動した際の該ペンにかかる移動方向の静摩擦係数(μs)及び動摩擦係数(μk)を測定した。μk/μsが0.30≦μk/μs≦0.58のものは、静摩擦係数と動摩擦係数とのバランスが良好であり、筆記を一瞬停止して再始動した際の筆記感が良好であることを示している。
サムスン電子社製の商品名「Sペン SCL24KKA」、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:1.0GPa(1.0×109N/m2)、ペン先の直径:0.5mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:0.1μm、上記式(i)のX:2,500MN/m
<タッチパネルペンB2>
ニンテンドー株式会社製の商品名「DS専用タッチペン NTR-004」、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:2.0GPa(2.0×109N/m2)、ペン先の直径:2.0mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:0.1μm、上記式(i)のX:80,000MN/m
タッチパネルペン用筆記シートの樹脂層側の面と反対側の面を、東レ社製の光学透明粘着シート(厚み100μm)を介して、ガラス板に貼り合わせ、上記タッチパネルペンB1及びB2を用いて、筆記感を評価した。書き始め及び書き始め以降の筆記感が良好であるものを2点、書き始め及び書き始め以降の何れか一方の筆記感が良好でなかったものを1点、書き始め及び書き始め以降の何れも筆記感が良好でなかったものを0点として、20人が評価を行った。20人の平均点が1.6点以上のものをA、1.0以上1.6点未満のものをB、1.0点未満のものをCとした。
評価時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度50%±10%とした。なお、評価開始前に、各サンプルを23℃±5℃、湿度50%±10%の雰囲気に10分以上放置した。
B1-5の筆記感の評価を蛍光灯の照明下(筆記面の明るさ:500ルクス)で行った際に、照明の映り込みが全く気にならないものを2点、照明が若干映り込むが筆記に支障をきたさないものを1点、照明が激しく映り込み筆記に支障をきたすものを0点として、20人が評価を行った。20人の平均点が1.6点以上のものをA、1.0以上1.6点未満のものをB、1.0点未満のものをCとした。
[実施例B1]
プラスチックフィルム(厚み40μmトリアセチルセルロース樹脂フィルム)上に、下記処方の樹脂層塗布液B1を乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、樹脂層を形成し、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 81部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・有機粒子 13部
(球状ポリアクリル-スチレン共重合体、平均粒子径3.5μm)
・フュームドシリカ 6部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.001部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 180部
・溶剤2(アノン) 70部
・溶剤3(メチルイソブチルケトン) 2部
・溶剤4 28部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
樹脂層塗布液B1を下記処方の樹脂層塗布液B2に変更し、樹脂層の厚みを7μmに変更した以外は、実施例B1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 83部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・有機粒子 11部
(球状ポリスチレン、平均粒子径3.5μm)
・フュームドシリカ 7部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.125部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 225部
・溶剤2(アノン) 3部
・溶剤3(メチルイソブチルケトン) 50部
・溶剤4(イソプロピルアルコール) 28部
樹脂層塗布液B1を下記処方の樹脂層塗布液B3に変更し、樹脂層の厚みを6μmに変更し、樹脂層上に、下記処方の第二樹脂層塗布液B1を乾燥後の厚みが0.1μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、第二樹脂層を形成し、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 17.9部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 81.4部
・フュームドシリカ 0.5部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.2部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 4部
・溶剤2(トルエン) 160部
・溶剤3(シクロヘキサノン) 27部
・溶剤4(イソプロピルアルコール) 63部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 10部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 43部
・中空シリカ 5部
(平均一次粒子径50nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッ素系レベリング剤 1部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 135部
・溶剤2(メチルエチルケトン) 232部
・溶剤3 176部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
樹脂層塗布液B1を下記処方の樹脂層塗布液B4に変更し、樹脂層の厚みを3μmに変更した以外は、実施例B1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
<樹脂層塗布液B4>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 93部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・無機微粒子 5部
(富士シリシア化学社製、ゲル法不定形シリカ)
(疎水処理、平均粒子径(レーザー回折散乱法)4.1μm)
・光重合開始剤 5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.001部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 TSF4460)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 30部
・溶剤2(メチルエチルケトン) 30部
・溶剤3(イソプロピルアルコール) 30部
・溶剤4(N-ブタノール) 30部
実施例B1~B2及び比較例B1~B2のタッチパネルペン用筆記シートの基材側の面に、厚み20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、上部電極板とした。次いで、厚み1mmの強化ガラス板の一方の面に、厚み約20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、下部電極板とした。次いで、下部電極板の導電性膜を有する面に、スペーサー用塗布液として電離放射線硬化型樹脂(Dot Cure TR5903:太陽インキ社)をスクリーン印刷法によりドット状に印刷した後、高圧水銀灯で紫外線を照射して、直径50μm、高さ8μmのスペーサーを1mmの間隔で配列させた。
次いで、上部電極板と下部電極板とを、導電性膜どうしを対向するように配置させ、厚み30μm、幅3mmの両面接着テープで縁を接着し、実施例B1~B2及び比較例B1~B2の抵抗膜式タッチパネルを作製した。
実施例B1~B2及び比較例B1~B2の抵抗膜式タッチパネルに上記タッチパネルペンB1~B2で筆記したところ、各タッチパネルペンの筆記感の評価は、表3と同様であった。
また、実施例B1~B2及び比較例B1~B2の抵抗膜式タッチパネルを、市販の超高精細液晶表示装置(シャープ製のスマートフォン、商品名:SH-03G、画素密度480ppi)上に載置して、蛍光灯照明下で画像を目視で評価したところ、実施例B1~B2のタッチパネルは、比較例B1のタッチパネルよりも防眩性に優れ、比較例B2のタッチパネルに比べて超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できるものであった。
実施例B1~B2及び比較例B1~B2のタッチパネルペン用筆記シートと、市販の超高精細液晶表示装置(シャープ製のスマートフォン、商品名:SH-03G、画素密度480ppi)とを、透明粘着剤を介して貼り合わせ、実施例B1~B2及び比較例B1~B2の表示装置を作製した。なお、貼り合わせの際は、タッチパネルペン用筆記シート基材側の面が表示素子側を向くようにした。
実施例B1~B2及び比較例B1~B2の表示装置に上記タッチパネルペンB1~B2で筆記したところ、各タッチパネルペンの筆記感の評価は、表3と同様であった。
また、蛍光灯照明下で実施例B1~B2及び比較例B1~B2の表示装置の映像を目視で評価したところ(評価面の明るさ:500ルクス)、実施例B1~B2の表示装置は、比較例B1の表示装置よりも防眩性に優れ、比較例B2の表示装置に比べて超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できるものであった。
実施例B1~B2及び比較例B1~B2で作製したタッチパネルペン用筆記シートに対して、下記のタッチパネルペンB3を用いて、上記と同様の手法で、μk/μsの測定、及び筆記感の評価を行った。結果を表4に示す。
タッチペン付3色ボールペン(三菱鉛筆株式会社製、商品名:ジェットストリーム スタイラス)、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:0.002GPa(2.0×106N/m2)、ペン先の直径:5.0mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:100μm、上記式(i)のX:0.5MN/m
C1.測定及び評価
実施例及び比較例で作製したタッチパネルペン用筆記シートについて、以下の測定及び評価を行った。結果を表5又は表6に示す。
新東科学社製の商品名HEIDON-14DRを用い、一定荷重片道の摩擦測定モードで以下の手法により静摩擦係数(μs)及び動摩擦係数(μk)を測定し、μk/μsを算出した。20個のサンプルを各1回ずつ測定した際の平均値を各実施例及び比較例のμk、μsとした。また、20個のサンプルを各1回ずつ測定して各サンプルのμk/μsを算出し、20サンプルのμk/μsの平均値を、各実施例及び比較例のμk/μsとした。測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度50%±10%とした。摩擦係数の測定間隔は0.02秒とした。なお、測定開始前に、各サンプルを23℃±5℃、湿度50%±10%の雰囲気に10分以上放置した。
図7に示すように、タッチパネルペン用筆記シートの樹脂層側の表面に、下記のタッチパネルペンC1~C4を60度の角度で接触させ、保持具で固定した。保持具上部の土台に100gの重りを乗せ、タッチパネルペンに垂直荷重100gfがかかるようにした。荷重をかけたまま、筆記シートを固定した可動台を、可動台とタッチパネルペンとの成す角の鈍角方向側(図7の左側)に14mm/秒の速度で走査した。片道40mmの長さを1走査した際の該ペンにかかる走査方向の静摩擦係数(μs)及び動摩擦係数(μk)を測定した。
サムスン電子社製の商品名「Sペン SCL24KKA」、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:1.0GPa(1.0×109N/m2)、ペン先の直径:0.5mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:0.1μm、上記式(i)のX:2,500MN/m
<タッチパネルペンC2>
ニンテンドー株式会社製の商品名「DS専用タッチペン NTR-004」、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:2.0GPa(2.0×109N/m2)、ペン先の直径:2.0mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:0.1μm、上記式(i)のX:80,000MN/m
<タッチパネルペンC3>
タッチペン付3色ボールペン(三菱鉛筆株式会社製、商品名:ジェットストリーム スタイラス)、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:0.002GPa(2.0×106N/m2)、ペン先の直径:5.0mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:100μm、上記式(i)のX:0.5MN/m
<タッチパネルペンC4>
東芝株式会社製、商品名:アクティブ静電ペンIPCZ131A、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:1.5GPa(1.5×109N/m2)、ペン先の直径:1.6mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:100μm、上記式(i)のX:38.4MN/m
タッチパネルペン用筆記シートの樹脂層側の面と反対側の面を、東レ社製の光学透明粘着シート(厚み100μm)を介して、ガラス板に貼り合わせ、上記タッチパネルペンC1~C4を用いて、筆記感を評価した。書き始めの筆記感、書き始め以降の筆記感、及び筆記を一瞬停止して再始動する際の筆記感の3つの筆記感を評価ポイントとして、全体として筆記感が良好であるものを2点、全体として筆記感が普通であるものを1点、全体として筆記感が良好でなかったものを0点として、20人が評価を行った。20人の平均点が1.6点以上のものをA、1.0以上1.6点未満のものをB、1.0点未満のものをCとした。
評価時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度50%±10%とした。なお、評価開始前に、各サンプルを23℃±5℃、湿度50%±10%の雰囲気に10分以上放置した。
実施例及び比較例のタッチパネル用筆記シートを5cm四方に切断したサンプルをそれぞれ20個準備した。20個の部位は、目視でゴミや傷などの異常点がない事を確認の上、ランダムな部位から選択した。
ヘイズメーター(HM-150、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K-7136:2000に従って、各サンプルの、ヘイズ(全体ヘイズ)を測定した。そして、20個のサンプルの平均値を、各実施例及び比較例のヘイズとした。光入射面はプラスチックフィルム側とした。
スガ試験機社製の写像性測定器(商品名:ICM-1T)を用いて、JIS K7374:2000に従って、上記「C1-3」で作製した各サンプルの、0.125mm、0.5mm、1mm及び2mmの巾をもつ光学くしを通した4種類の透過像鮮明度を測定し、総和Csを算出した。そして、20個のサンプルの平均値を、各実施例及び比較例の総和Csとした。光入射面はプラスチックフィルム側とした。
C1-2の筆記感の評価を蛍光灯の照明下(筆記面の明るさ:500ルクス)で行った際に、照明の映り込みが全く気にならないものを2点、照明が若干映り込むが筆記に支障をきたさないものを1点、照明が激しく映り込み筆記に支障をきたすものを0点として、20人が評価を行った。20人の平均点が1.6点以上のものをA、1.0以上1.6点未満のものをB、1.0点未満のものをCとした。
[実験例C1]
プラスチックフィルム(厚み40μmトリアセチルセルロース樹脂フィルム)上に、下記処方の樹脂層塗布液C1を乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、樹脂層を形成し、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 81部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・有機粒子 13部
(球状ポリアクリル-スチレン共重合体、平均粒子径3.5μm)
・フュームドシリカ 6部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.001部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 180部
・溶剤2(アノン) 70部
・溶剤3(メチルイソブチルケトン) 2部
・溶剤4 28部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
樹脂層塗布液C1を下記処方の樹脂層塗布液C2に変更し、樹脂層の厚みを7μmに変更した以外は、実験例C1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 83部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・有機粒子 11部
(球状ポリスチレン、平均粒子径3.5μm)
・フュームドシリカ 7部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.125部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 225部
・溶剤2(アノン) 3部
・溶剤3(メチルイソブチルケトン) 50部
・溶剤4(イソプロピルアルコール) 28部
樹脂層塗布液C1を下記処方の樹脂層塗布液C3に変更し、樹脂層の厚みを6μmに変更し、樹脂層上に、下記処方の第二樹脂層塗布液C1を乾燥後の厚みが0.1μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、第二樹脂層を形成し、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 17.9部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 81.4部
・フュームドシリカ 0.5部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.2部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 4部
・溶剤2(トルエン) 160部
・溶剤3(シクロヘキサノン) 27部
・溶剤4(イソプロピルアルコール) 63部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 10部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 43部
・中空シリカ 5部
(平均一次粒子径50nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッ素系レベリング剤 1部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 135部
・溶剤2(メチルエチルケトン) 232部
・溶剤3 176部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
樹脂層塗布液C1を下記処方の樹脂層塗布液C4に変更し、樹脂層の厚みを3μmに変更した以外は、実験例C1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
<樹脂層塗布液C4>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 93部
(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)
・無機微粒子 5部
(富士シリシア化学社製、ゲル法不定形シリカ)
(疎水処理、平均粒子径(レーザー回折散乱法)4.1μm)
・光重合開始剤 5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.001部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 TSF4460)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 30部
・溶剤2(メチルエチルケトン) 30部
・溶剤3(イソプロピルアルコール) 30部
・溶剤4(N-ブタノール) 30部
また、実験例C1及びC2のタッチパネルペン用筆記シートは、上記式(i)のXの値が500MN/m超のタッチパネルペン(ペンC1及びペンC2)に対する筆記感が極めて良好であるとともに、防眩性が良好であることが確認できる。この原因は、実験例C1及びC2のタッチパネルペン用筆記シートは、樹脂層にミクロンオーダーの粒子及びナノオーダーの無機超微粒子を含むことから、樹脂層の表面に微小領域の凹凸及び大きな領域の凹凸が混在して形成されるためと考えられる。
実験例C1~C4のタッチパネルペン用筆記シートの基材側の面に、厚み20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、上部電極板とした。次いで、厚み1mmの強化ガラス板の一方の面に、厚み約20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、下部電極板とした。次いで、下部電極板の導電性膜を有する面に、スペーサー用塗布液として電離放射線硬化型樹脂(Dot Cure TR5903:太陽インキ社)をスクリーン印刷法によりドット状に印刷した後、高圧水銀灯で紫外線を照射して、直径50μm、高さ8μmのスペーサーを1mmの間隔で配列させた。
次いで、上部電極板と下部電極板とを、導電性膜どうしを対向するように配置させ、厚み30μm、幅3mmの両面接着テープで縁を接着し、実験例C1~C4の抵抗膜式タッチパネルを作製した。
実験例C1~C4の抵抗膜式タッチパネルに上記タッチパネルペンC1~C4で筆記したところ、各タッチパネルペンの筆記感の評価は、表5と同様であった。この結果は、タッチパネルと、タッチパネルペンとの組み合わせからなるタッチパネルシステムにおいて、μk/μsが0.30以上0.58以下の値を示すタッチパネルシステムは、筆記感が良好であることを示している。
また、実験例C1~C4の抵抗膜式タッチパネルを、市販の超高精細液晶表示装置(シャープ製のスマートフォン、商品名:SH-03G、画素密度480ppi)上に載置して、蛍光灯照明下で画像を目視で評価したところ、実験例C1~2のタッチパネルは、実験例C3のタッチパネルよりも防眩性に優れ、実験例C4のタッチパネルに比べて超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できるものであった。
実験例C1~C4のタッチパネルペン用筆記シートと、市販の超高精細液晶表示装置(シャープ製のスマートフォン、商品名:SH-03G、画素密度480ppi)とを、透明粘着剤を介して貼り合わせ、実験例C1~C4の表示装置を作製した。なお、貼り合わせの際は、タッチパネルペン用筆記シート基材側の面が表示素子側を向くようにした。
実験例C1~C4の表示装置に上記タッチパネルペンC1~C4で筆記したところ、各タッチパネルペンの筆記感の評価は、表5と同様であった。
また、蛍光灯照明下で実験例C1~C4の表示装置の映像を目視で評価したところ、実験例C1~C2の表示装置は、実験例C3の表示装置よりも防眩性に優れ、実験例C4の表示装置に比べて超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できるものであった。
2:樹脂層
10:タッチパネルペン用筆記シート
20:透明基板
30:導電膜
40:スペーサー
50:X軸電極
60:Y軸電極
70:絶縁体層
82:可動台
83:重り
84:保持具
85:土台
100:タッチパネル
200:タッチパネルペン
300:クランプ
400:ステンレス板
Claims (6)
- 下記条件(C1)を満たし、
下記条件(C1)を満たす面が、平均粒子径が0.2~8.0μmである粒子及び平均一次粒子径が1~25nmである無機超微粒子を含む樹脂層であるものをタッチパネルペン用筆記シートとして選別する、タッチパネルペン用筆記シートの選別方法。
<条件(C1)>
タッチパネルペン用筆記シートの表面にタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際の該タッチパネルペンにかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、μk/μsが0.30以上0.58以下。 - 前記μkが下記条件(C2)を満たすものをタッチパネルペン用筆記シートとして選別する、請求項1に記載のタッチパネルペン用筆記シートの選別方法。
<条件(C2)>
0.06≦μk≦0.30 - 下記条件(C1)を満たす表面を有し、
下記条件(C1)を満たす面が、平均粒子径が0.2~8.0μmである粒子及び平均一次粒子径が1~25nmである無機超微粒子を含む樹脂層である、タッチパネルペン用筆記シート。
<条件(C1)>
タッチパネルペン用筆記シートの表面にタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際の該タッチパネルペンにかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、μk/μsが0.30以上0.58以下。 - 表面にシートを有するタッチパネルであって、該シートとして、請求項3に記載のタッチパネルペン用筆記シートの前記条件(C1)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるタッチパネル。
- 表面にタッチパネルペン用筆記シートを有するタッチパネルと、タッチパネルペンとからなるタッチパネルシステムであって、
下記条件(C1)を満たし、
下記条件(C1)を満たす面が、平均粒子径が0.2~8.0μmである粒子及び平均一次粒子径が1~25nmである無機超微粒子を含む樹脂層である、タッチパネルシステム。
<条件(C1)>
タッチパネルペン用筆記シートの表面にタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、該タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら14mm/秒の速度で片道40mmの長さを走査した際の該タッチパネルペンにかかる走査方向の動摩擦係数をμk、静摩擦係数をμsとした際に、μk/μsが0.30以上0.58以下。 - タッチパネルを有する表示装置であって、該タッチパネルが請求項4に記載のタッチパネルである表示装置。
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