JP6540483B2 - タッチパネルペン用筆記シート、タッチパネル及び表示装置、並びにタッチパネルペン用筆記シートの選別方法 - Google Patents
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Description
一方、現在の主流である静電容量式タッチパネルの表面保護シートには、指で操作する際の滑り性が求められている。従来の抵抗膜式は、複数個所を同時に検知できないため、画面上で指を動かすことはなかったものの、静電容量式タッチパネルは、複数個所を同時に検知可能であり、画面上で指を動かす操作が多いためである。
また、抵抗膜式及び静電容量式に共通して、タッチパネル用の表面保護シートには、指で操作した際の指紋の付着を防止したり、付着した指紋を拭取りやすくする性能が求められている。
しかし、近年、静電容量式タッチパネルや電磁誘導型タッチパネルに入力可能なタッチパネルペンが提案され始めたこと、タッチパネルペンによる文字入力や描画に対応したアプリケーションが増加してきたことから、タッチパネル用の表面保護シートには、タッチパネルペンでの良好な筆記感が求められている。
しかしながら、従来提案された特許文献1〜2のタッチパネル用の表面保護シートは、タッチパネルペンでの筆記感について何ら検討していない。
さらに、近年、表示素子は超高精細化している。このような超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制しつつ、筆記感を良好にする表面保護シートは、特許文献1〜2等の先行技術文献では何ら検討していない。
本発明は、以下の[1]〜[8]のタッチパネルペン用筆記シート、タッチパネル及び表示装置、並びにタッチパネルペン用筆記シートの選別方法を提供する。
0.45≦Rp0.8/Rz0.8≦0.58 (1)
RzJIS2.5/Ra2.5≦6.0 (2)
ヘイズが5.0%未満 (3)
<タッチパネルペン(A)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m超であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
[2]カットオフ値2.5mmのJIS B0601:1994の局部山頂平均間隔をS2.5とした際に、前記表面のS2.5が下記条件(4)を満たす、上記[1]に記載のタッチパネルペン用筆記シート。
0.03mm≦S2.5≦0.25mm (4)
[3]カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の算術平均粗さをRa0.8とした際に、前記表面のRa0.8が下記条件(5)を満たす、上記[1]又は[2]に記載のタッチパネルペン用筆記シート。
0.01μm≦Ra0.8<0.10μm (5)
[4]前記筆記シートについて、JIS K7374:2007に準拠して測定した写像性測定器の光学櫛の幅が0.125mm、0.5mm、1.0mm及び2.0mmの透過像鮮明度をC0.125、C0.5、C1.0及びC2.0とした際に、C0.125、C0.5、C1.0及びC2.0の総和Csが250%以上である上記[1]〜[3]の何れかに記載のタッチパネルペン用筆記シート。
[6]タッチパネルを有する表示装置であって、該タッチパネルが上記[5]に記載のタッチパネルである表示装置。
[7]前記表示装置の表示素子の画素密度が300ppi以上である上記[6]に記載の表示装置。
[8]カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大山高さRp0.8、並びに、カットオフ値2.5mmのJIS B0601:2001の算術平均粗さRa2.5及び十点平均粗さRzJIS2.5が下記条件(1)及び(2)を満たす表面を有し、
かつJIS K7136:2000のヘイズが下記条件(3)を満たすシートを、下記のタッチパネルペン(A)用の筆記シートとして選別する、タッチパネルペン用筆記シートの選別方法。
0.45≦Rp0.8/Rz0.8≦0.58 (1)
RzJIS2.5/Ra2.5≦6.0 (2)
ヘイズが5.0%未満 (3)
<タッチパネルペン(A)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m超であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
本発明のタッチパネルペン用筆記シートは、下記のタッチパネルペン(A)用の筆記シートであって、該筆記シートは、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大山高さRp0.8、並びに、カットオフ値2.5mmのJIS B0601:2001の算術平均粗さRa2.5及び十点平均粗さRzJIS2.5が、下記条件(1)及び(2)を満たす表面を有し、かつ該筆記シートのJIS K7136:2000のヘイズが下記条件(3)を満たすものである。
0.45≦Rp0.8/Rz0.8≦0.58 (1)
RzJIS2.5/Ra2.5≦6.0 (2)
ヘイズが5.0%未満 (3)
<タッチパネルペン(A)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m超であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
なお、ヤング率Eの単位は「N/m2」、ペン先の直径Dの単位は「m」、算術平均高さPaの単位は「m」である。また、「M」は「メガ(106)」を意味する。
本発明のタッチパネルペン用筆記シートは、一方の表面が条件(1)及び(2)を満たしていてもよいし、両方の表面が条件(1)及び(2)を満たしていてもよい。
以下、タッチパネルペン用筆記シートのことを「筆記シート」と称する場合がある。また、以下、条件(1)及び(2)を満たす表面のことを「筆記面」と称する場合がある。
本発明のタッチパネルペン用筆記シートは、少なくとも一方の表面が条件(1)及び(2)を満たすものである。
本発明では、条件(1)ではカットオフ値0.8mmの粗さパラメータを用いる一方で、条件(2)ではカットオフ値2.5mmの粗さパラメータを用いている。以下、この理由を説明する。
一方、断面パラメータは、粗さ成分(高周波成分)及びうねり成分(低周波成分)の両方を含んだ凹凸であり、大きな領域の凹凸を示している。
まず、ヤング率Eは、ペン先の荷重による変形のしやすさを示す基本物性であり、ヤング率Eが小さいほどペン先は荷重により変形しやすい傾向となる。次に、直径Dの2乗は、荷重を分散する度合いを示し、直径Dの2乗が小さいほど荷重を分散しにくく、ペン先は荷重により変形しやすい傾向となる。つまり、「ヤング率E×直径D×直径D」が小さいほど、ペン先が変形しやすく、ペン先と筆記シートとが接触しやすいことを示している。次に、ペン先の断面曲線の算術平均高さPaは、ペン先が筆記シートに接触する度合いを示す。具体的には、Paが大きいほどペン先と筆記シートとは点接触することとなり、ペン先と筆記シートとの接触面積が少なくなる。したがって、[ヤング率E×直径D×直径D]÷Paから算出される「X」の値が小さいほど、ペン先と筆記シートとが密着しやすいことを示し、筆記感に大きな影響を与えることとなる。
(a)ペンを筆記シートに接触させた段階では筆記シートの表面にペン先が接地している。Xの値が大きい場合、ペン先は筆記シートの表面に密着しにくいため、筆記開始のきっかけは、ペン先が高周波成分(微小領域)の凸部を乗り越えることにあると考えられる。このため、書き始めの筆記感は、微小領域の凹凸(カットオフ値0.8mmの粗さパラメータ)の影響が大きくなる。
(b)書き始め以降の段階では、ペン先は大きな領域の凹凸表面に沿うように移動する。このため、書き始め以降の筆記感は、大きな領域の凹凸(カットオフ値2.5mmの粗さパラメータ)の影響が大きくなる。
以上のように、Xの値が大きい場合、書き始めの筆記感は、微小領域の凹凸(カットオフ値0.8mmの粗さパラメータ)の影響が大きくなる。一方、書き始め以降の筆記感は、大きな領域の凹凸(カットオフ値0.8mmの粗さパラメータ)の影響が大きくなる。このため、本発明では、条件(1)ではカットオフ値0.8mmの粗さパラメータを用いる一方で、条件(2)ではカットオフ値0.8mmの粗さパラメータを用いている。
なお、文字を書いたり、図形を描いたりする際には、一瞬筆記を停止した後に再始動する場合が多い(例えば、筆記方向を転換する際には、通常は一瞬筆記を停止する。また、筆記箇所を移動する際にも一瞬筆記が停止する。)。本発明者らは、このような再始動の直後についても「書き始め」とみなしている。
条件(1)のカットオフ値は0.8mmである。条件(1)は高周波成分の凹凸を示しており、主として書き始めの筆記感に影響を与えるパラメータである。
本発明では、Rp0.8/Rz0.8を上記範囲内とすることにより、書き始めのペン先の摩擦抵抗が適切となり、書き始めの筆記感を良好にすることができる。また、Rp0.8/Rz0.8を上記範囲内とすることにより、筆記シートの表面にペンを静止させやすくできる。
一方、Rp0.8/Rz0.8が0.45以下の場合、山の割合が少なすぎるため、摩擦抵抗が小さく滑った感触となり、書き始めの筆記感を良好にすることができない。なお、Rp0.8/Rz0.8が0.45以下の場合、書き終わりにペンを静止させにくい。また、Rp0.8/Rz0.8が0.58を超える場合、山の割合が多すぎるため引っかかりが大きくなり、書き始めの筆記感を良好にすることができない。
Raは粗さ曲線の平均を示す。一方、RzJISは、粗さ曲線で最高の山頂から高い順に5番目までの山高さの平均と、最深の谷底から深い順に5番目までの谷深さの平均の和を示している。つまり、RzJIS2.5/Ra2.5は、粗さ曲線のランダム性の度合いを示スパラメータとなる。
RzJIS2.5/Ra2.5が条件(2)を満たさない場合、大きな領域において、極端に高い凸部、あるいは極端に低い凹部が存在することになる。このため、RzJIS2.5/Ra2.5が条件(2)を満たさない場合、筆記時に引っかかるような感触があり、書き始め以降の筆記感が低下してしまう。また、Raが一定の値以下の場合においてRzJIS2.5/Ra2.5が条件(2)を満たさない場合、極端に高い凸部、あるいは極端に低い凹部以外の箇所が略平坦である割合が増えるため、摩擦抵抗が低下して滑る感触となりやすい。
一方、条件(2)を満たしてRzJIS2.5/Ra2.5が小さいことは、大きな領域の凹凸において、極端に高い凸部、あるいは極端に低い凹部が少ないことを意味する。条件(2)を満たす場合、引っかかるような感触や滑る感触が抑制され、書き始め以降の筆記感を良好にすることができる。
なお、条件(2)のパラメータとして、条件(1)のパラメータである「Rp0.8/Rz0.8」のカットオフ値を2.5mmにしたパラメータを用いなかった理由は、カットオフ値を2.5mmは領域が大きいため、Rp0.8/Rz0.8のような領域内の最大値を用いたパラメータでは測定領域ごとの誤差が大きすぎ、パラメータとしての信頼性が低くなるためである。
なお、RzJIS2.5/Ra2.5が小さすぎる場合、筆記面の凹凸形状が規則的であるため、筆記時に違和感を受ける可能性がある。このため、RzJIS2.5/Ra2.5は2.0以上であることが好ましく、3.0以上であることがより好ましく、3.5以上であることがさらに好ましい。
本発明のタッチパネルペン用筆記シートは、JIS K7136:2000のヘイズが下記条件(3)を満たすものである。
ヘイズが5.0%未満 (3)
ヘイズ及び後述の透過像鮮明度を測定する際は、筆記シートの筆記面とは反対側の表面から光を入射するものとする。筆記シートの両面が上記条件(1)及び(2)を満たす場合、光入射面はどちらの面であってもよい。
0.03mm≦S2.5≦0.25mm (4)
条件(4)のカットオフ値は2.5mmである。条件(4)は低周波成分の凹凸を示しており、主として書き始め以降の筆記感に影響を与えるパラメータである。条件(4)を満たすことにより、書き始め以降の摩擦抵抗が適切となり、書き始め以降の筆記感をより良好にすることができる。
条件(4)は、0.03mm≦S2.5≦0.15mmを満たすことがより好ましく、0.03mm≦S2.5≦0.10mmを満たすことがさらに好ましい。
なお、S2.5を0.03mm以上とすることは、表示素子の解像度の低下の抑制につながる点で好適である。特に、画素密度が300ppi以上の超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できる点で好適である。
0.01μm≦Ra0.8<0.10μm (5)
Ra0.8を上記範囲とすることにより、筆記感をより良好にすることができる。また、Ra0.8を0.10μm未満とすることは、表示素子の解像度が低下することを抑制できる点で好適である。特に、画素密度が300ppi以上の超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できる点で好適である。
条件(5)は、0.01μm≦Ra0.8≦0.09μmであることがより好ましく、0.02μm≦Ra0.8≦0.08μmであることがさらに好ましい。
0.05μm≦RzJIS0.8<0.50μm (6)
RzJIS0.8を上記範囲とすることにより、筆記感をより良好にすることができる。また、RzJIS0.8を0.50μm未満とすることは、表示素子の解像度が低下することを抑制できる点で好適である。特に、画素密度が300ppi以上の超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できる点で好適である。
条件(6)は、0.05μm≦RzJIS0.8≦0.40μmであることがより好ましく、0.10μm≦RzJIS0.8≦0.30μmであることがさらに好ましい。
文字を書いたり、図形を描いたりする際には、一瞬筆記を停止した後に再始動する場合が多い(例えば、筆記方向を転換する際には、通常は一瞬筆記を停止する。また、筆記箇所を移動する際にも一瞬筆記が停止する。)。このように筆記を一瞬停止して再始動する際には、静止摩擦係数と動摩擦係数との差による影響をうけやすいが、μk/μsを上記範囲とすることにより、筆記を一瞬停止して再始動する際にも思い描いた筆記が可能となる(例えば、思い通りの方向に筆記方向を転換できる)。本発明の筆記シートは、解像度の低下を抑制するために表面凹凸が少ないものである。このような表面凹凸が少ない筆記シートにおいて、ペン先が筆記シートの表面に密着しにくいタッチパネルペンを用いる場合、μk/μsを上記範囲とすることが特に有効となる。
0.25≦μk/μs≦0.40の関係を満たすためには、上記条件(1)及び(2)満たすことが好ましく、上記条件(1)及び(2)に加えて、条件(4)〜(6)の一以上を満たすことがより好ましく、上記条件(1)、(2)、(4)〜(6)を全て満たすことがさらに好ましい。
また、上記効果をより良好にするためには、μk/μsは、0.30≦μk/μs≦0.40の関係を満たすことがより好ましい。
図7では、タッチパネルペン200は筆記シート10に接触した状態で保持具84によって固定されている。また、保持具84の上部には重り83を乗せるための土台85が付属されている。土台85上には重り83が乗せられており、該重りによってタッチパネルペンに垂直荷重がかけられている。筆記シート10は可動台82上に固定されている。
摩擦係数の測定時には、タッチパネルペンが上記のように固定された状態で、可動台82を、可動台とタッチパネルペンとの成す角の鈍角方向側(図7の左側)に所定の速度で走査する。
図7に示す測定が可能な装置としては、新東科学社製の商品名HEIDON−14DRが挙げられる。
σ(応力)=ΔF/S
ε(歪)=ΔL/L
E=σ/ε (ii)
デジタルマイクロスコープとしては、例えば、キーエンス社の商品名VHX-5000等を用いることができる。
なお、Paと、JIS B0601:2001の算術平均粗さRaとは、パラメータを算出する基準が、Paが断面曲線であり、Raが粗さ曲線であるという点で異なっている。
Csを250%以上とすることにより、筆記シートによって表示素子の解像度が低下することを抑制できる。特に、画素密度が300ppi以上の超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できる点で好適である。Csの上限は特に限定されないが、399%程度である。
本発明のタッチパネルペン用筆記シートは、少なくとも一方の表面が条件(1)及び(2)を満たしていれば、その構成は特に限定されない。
例えば、本発明のタッチパネルペン用筆記シート10の構成としては、図1及び図2のように、樹脂層2を有し、該樹脂層2の一方の表面が条件(1)及び(2)を満たすものが挙げられる。
なお、図示しないが、樹脂層やプラスチックフィルム以外の他の層を有し、該他の層の表面が条件(1)及び(2)を満たしていてもよい。他の層としては、帯電防止層、防汚層等が挙げられる。また、図示しないが、樹脂層は2層以上から構成されていてもよい。
型に流し込む材料として硬化性樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物)を用いる場合、型から取り出す前に硬化性樹脂組成物を硬化することが好ましい。
コーティングにより形成した樹脂層の表面形状が上述した条件を満たすようにするためには、膜厚、粒子の含有量、及び粒子の平均粒子径を後述の範囲とした第一樹脂層を形成し、該第一樹脂層上に第二樹脂層を形成することが好ましい。
第一樹脂層中の粒子の含有量は、樹脂層を形成する全固形分中の0.1〜70質量%であることが好ましく、0.2〜60質量%であることがより好ましく、0.5〜50質量%であることがさらに好ましい。
(1)本発明の筆記シートを光学顕微鏡にて透過観察画像を撮像する。倍率は500〜2000倍が好ましい。
(2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の粒子径を算出する。粒子径は、粒子の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、該2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。
(3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を第一樹脂層中の粒子の平均粒子径とする。
後述の第二樹脂層の粒子の平均粒子径は、まず、本発明の筆記シートの断面をTEM又はSTEMで撮像する。撮像後、上記(2)及び(3)と同様の手法を行うことにより、第二樹脂層の粒子の平均粒子径を算出できる。TEM又はSTEMの加速電圧は10kv〜30kV、倍率は5万〜30万倍とすることが好ましい。
第二樹脂層の膜厚は0.01〜0.15μmが好ましく、0.05〜0.10μmがより好ましい。
第二樹脂層の粒子は、第一樹脂層の粒子として例示した有機粒子、無機粒子と同様のものを用いることができる。これらの中でも反射率を低減する観点から、中空粒子が好ましく、中空シリカがより好ましい。
第二樹脂層中の粒子の含有量は、第二樹脂層を形成する全固形分中の1〜80質量%であることが好ましく、5〜75質量%であることがより好ましい。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
これら光重合開始剤は、融点が100℃以上であることが好ましい。光重合開始剤の融点を100℃以上とすることにより、筆記シートの製造過程や、タッチパネルの透明導電膜の形成過程で、残留した光重合開始剤が昇華して、製造装置や透明導電膜の汚染を防止することができる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
これらプラスチックフィルムの中でも、機械的強度や寸法安定性の観点からは、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN))が好ましい。
プラスチックフィルムの厚みは、5〜200μmであることが好ましく、10〜150μmであることがより好ましい。
筆記感は、本発明の筆記シートを、上記式(i)から導かれるXが1,000MN/m以上のタッチパネルペン用の筆記シートとして用いた場合により良好にすることができ、上記式(i)から導かれるXが2,000MN/m以上100,000MN/m以下のタッチパネルペン用筆記シートとして用いた場合にさらに筆記感を良好にすることができる。
ヤング率は0.1〜5.0GPa(1.0×108〜5.0×109N/m2)であることが好ましく、0.5〜2.5GPa(5.0×108〜2.5×109N/m2)であることがより好ましい。直径Dは0.3〜6.0mmであることが好ましく、0.4〜2.0mmであることがより好ましい。算術平均高さPaは0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜1.0μmであることがより好ましい。
また、タッチパネルペン(A)のペン先の曲率半径は特に限定されないが、0.3〜1.5mmの場合により効果を発揮しやすく、0.5〜0.8mmの場合にさらに効果を発揮しやすい。
本発明のタッチパネルは、表面にシートを有するタッチパネルであって、該シートとして、本発明のタッチパネルペン用筆記シートの条件(1)及び(2)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるものである。
静電容量式タッチパネルの場合、表面側の透明基板20として本発明の筆記シート10を用い、該筆記シート10の条件(1)及び(2)を満たす側の面がタッチパネル100の表面を向くようにして用いる。なお、表面側の透明基板20は、筆記シートに別の基材を貼り合わせた構成であってもよい。
インセルタッチパネルは、2枚のガラス基板に液晶を挟んでなる液晶素子の内部に、抵抗膜式、静電容量式、光学式等のタッチパネル機能を組み込んだものである。
インセルタッチパネルの場合、表面側のガラス基板に対して、本発明の筆記シートの条件(1)及び(2)を満たす側の面が表面を向くようにして貼り合わせて用いる。なお、表面側のガラス基板と、本発明の筆記シートとの間には、偏光板等の他の層を有していてもよい。
本発明の表示装置は、タッチパネルを有する表示装置であって、該タッチパネルが本発明のタッチパネルであるものである。
本発明の表示装置は、表面を過度にあらすことなく筆記感を良好にしていることから、表示素子の解像度が損なわれることを抑制できる。特に、画素密度が300ppi以上の超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できる点で好適である。
本発明のタッチパネルペン用筆記シートの選別方法は、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大山高さRp0.8、並びに、カットオフ値2.5mmのJIS B0601:2001の算術平均粗さRa2.5及び十点平均粗さRzJIS2.5が下記条件(1)及び(2)を満たす表面を有し、かつJIS K7136:2000のヘイズが下記条件(3)を満たすシートを、下記のタッチパネルペン(A)用の筆記シートとして選別するものである。
0.45≦Rp0.8/Rz0.8≦0.58 (1)
RzJIS2.5/Ra2.5≦6.0 (2)
ヘイズが5.0%未満 (3)
<タッチパネルペン(A)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m超であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
0.03mm≦S2.5≦0.25mm (4)
0.01μm≦Ra0.8<0.10μm (5)
0.05μm≦RzJIS0.8<0.50μm (6)
Csが100%以上250%未満 (7)
条件(4)〜(7)の判定条件は、上述した本発明の筆記シートの好適な数値範囲であることが好ましい。
実施例及び比較例で作製したタッチパネルペン用筆記シートについて、以下の測定及び評価を行った。結果を表1又は表2に示す。
1−1.表面形状測定
表面粗さ測定器(型番:SE−3400/小坂研究所株式会社製)を用いて、下記の測定条件により、下記の測定項目について、タッチパネルペン用筆記シートの樹脂層側の表面形状を測定した。
<測定条件>
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
<測定項目>
・カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さをRz0.8、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の粗さ曲線の最大山高さをRp0.8とした際のRp0.8/Rz0.8
・カットオフ値2.5mmのJIS B0601:2001の算術平均粗さをRa2.5、カットオフ値2.5mmのJIS B0601:2001の算術平均粗さをRzJIS2.5とした際のRzJIS2.5/Ra2.5
・カットオフ値2.5mmのJIS B0601:1994の局部山頂平均間隔S2.5
・カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の算術平均粗さRa0.8、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の算術平均粗さRzJIS0.8
ヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K−7136:2000に従ってヘイズ(全体ヘイズ)を測定した。光入射面はプラスチックフィルム側とした。
スガ試験機社製の写像性測定器(商品名:ICM−1T)を用いて、JIS K7374:2000に従って、0.125mm、0.5mm、1mm及び2mmの巾をもつ光学くしを通した4種類の透過像鮮明度を測定し、総和Csを算出した。光入射面はプラスチックフィルム側とした。Csが250%以上のものは、表示素子の解像度の低下を抑制できることを示している。
新東科学社製の商品名HEIDON−14DRを用い、一定荷重片道の摩擦測定モードで以下の手法により静摩擦係数(μs)及び動摩擦係数(μk)を測定し、μk/μsを算出した。なお、測定時の温度は23℃とし、摩擦係数の測定間隔は0.02秒とした。
図7に示すように、タッチパネルペン用筆記シートの樹脂層側の表面に、下記のタッチパネルペン1を60度の角度で接触させ、保持具で固定した。保持具上部の土台に100gの重りを乗せ、タッチパネルペンに垂直荷重100gfがかかるようにした。荷重をかけたまま、筆記シートを固定した可動台を、可動台とタッチパネルペンとの成す角の鈍角方向側(図7の左側)に14mm/秒の速度で走査した。片道40mmの長さを1走査した際の該ペンにかかる走査方向の静摩擦係数(μs)及び動摩擦係数(μk)を測定した。μk/μsが0.25≦μk/μs≦0.40のものは、静摩擦係数と動摩擦係数とのバランスが良好であり、筆記を一瞬停止して再始動した際の筆記感が良好であることを示している。
サムスン電子社製の商品名「Sペン SCL24KKA」、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:1.0GPa(1.0×109N/m2)、ペン先の直径:0.5mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:0.1μm、上記式(i)のX:2,500MN/m
タッチパネルペン用筆記シートの樹脂層側の面と反対側の面をガラス板に貼り合わせ、上記タッチパネルペン1を用いて、筆記感を評価した。書き始め及び書き始め以降の筆記感が良好であるものを2点、書き始め及び書き始め以降の何れか一方の筆記感が良好でなかったものを1点、書き始め及び書き始め以降の何れも筆記感が良好でなかったものを0点として、20人が評価を行った。20人の平均点が1.6点以上のものをA、1.0以上1.6点未満のものをB、1.0点未満のものをCとした。
[実施例1]
プラスチックフィルム(厚み40μmトリアセチルセルロース樹脂フィルム)上に、下記処方の第一樹脂層塗布液1を乾燥後の厚みが7μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、第一樹脂層を形成した。次いで、第一樹脂層上に、下記処方の第二樹脂層塗布液1を乾燥後の厚みが0.1μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、第二樹脂層を形成し、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ウレタンアクリレート 60部
(荒川化学工業社製、ビームセット577)
・反応性シリカ 40部
(平均一次粒子径0.05μm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッソ系レベリング剤 0.01部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(メチルエチルケトン) 200部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 11部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 44部
・中空シリカ 45部
(平均一次粒子径50nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッソ系レベリング剤 0.1部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 110部
第一樹脂層塗布液1を下記処方の第一樹脂層塗布液2に変更し、第二樹脂層塗布液1を下記処方の第二樹脂層塗布液2に変更した以外は、実施例1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ウレタンアクリレート 52部
(荒川化学工業社製、ビームセット577)
・ジルコニア粒子 48部
(平均一次粒子径0.05μm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッソ系レベリング剤 0.01部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(メチルエチルケトン) 200部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 11部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 28部
・中空シリカ 61部
(平均一次粒子径50nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッソ系レベリング剤 0.1部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 110部
第一樹脂層塗布液1を下記処方の第一樹脂層塗布液3に変更し、第一樹脂層の厚みを5μmに変更し、第二樹脂層塗布液1を下記処方の第二樹脂層塗布液3に変更した以外は、実施例1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 17.9部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 81.2部
・フュームドシリカ 0.7部
(平均一次粒子径10nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.2部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 4部
・溶剤2(トルエン) 180部
・溶剤3(シクロヘキサノン) 30部
・溶剤4(イソプロピルアルコール) 70部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 10部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 43部
・中空シリカ 5部
(平均一次粒子径50nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッ素系レベリング剤 1部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 135部
・溶剤2(メチルエチルケトン) 232部
・溶剤3 176部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
基材を厚み60μmのトリアセチルセルロース樹脂フィルムに変更し、第一樹脂層塗布液1を下記処方の第一樹脂層塗布液4に変更し、第一樹脂層の厚みを10μmに変更し、第二樹脂層塗布液1を下記処方の第二樹脂層塗布液4に変更した以外は、実施例1と同様にして、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ウレタンアクリレート 100部
(荒川化学工業社製、ビームセット577)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッソ系レベリング剤 0.01部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(メチルエチルケトン) 200部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 10部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 40部
・中空シリカ 43部
(平均一次粒子径50nm)
・反応性シリカ 7部
(平均一次粒子径50nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッソ系レベリング剤 0.1部
(DIC社製、メガファック RS-75)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 110部
プラスチックフィルム(PETフィルム、厚み80μm)上に、下記処方の第一樹脂層塗布液5を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、第一樹脂層を形成した。次いで、第一樹脂層上に、下記処方の第二樹脂層塗布液5を乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、第二樹脂層を形成し、タッチパネルペン用筆記シートを得た。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 16部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 72.8部
・有機粒子 8部
(球状ポリアクリル−スチレン共重合体、平均粒子径5μm)
・不定形シリカ 3部
(平均粒子径5nm)
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.2部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(トルエン) 80部
・溶剤2(アノン) 30部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 18部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・ウレタンアクリレート
(日本合成化学社製、UV1700B) 80部
・光重合開始剤 3部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 2部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・溶剤1(メチルイソブチルケトン) 110部
実施例1〜3のタッチパネルペン用筆記シートの基材側の面に、厚み20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、上部電極板とした。次いで、厚み1mmの強化ガラス板の一方の面に、厚み約20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、下部電極板とした。次いで、下部電極板の導電性膜を有する面に、スペーサー用塗布液として電離放射線硬化型樹脂(Dot Cure TR5903:太陽インキ社)をスクリーン印刷法によりドット状に印刷した後、高圧水銀灯で紫外線を照射して、直径50μm、高さ8μmのスペーサーを1mmの間隔で配列させた。
次いで、上部電極板と下部電極板とを、導電性膜どうしを対向するように配置させ、厚み30μm、幅3mmの両面接着テープで縁を接着し、実施例1〜3及び比較例1〜2の抵抗膜式タッチパネルを作製した。
実施例1〜3及び比較例1〜2の抵抗膜式タッチパネルに上記タッチパネルペン1で筆記したところ、各タッチパネルペンの筆記感の評価は、表1と同様であった。
また、得られた抵抗膜式タッチパネルを、市販の超高精細液晶表示装置(画素密度350ppi)上に載置して、蛍光灯照明下で画像を目視で評価したところ、実施例1〜3のタッチパネルは、超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できるものであった。
実施例1〜3のタッチパネルペン用筆記シートと、市販の超高精細液晶表示装置(画素密度350ppi)とを、透明粘着剤を介して貼り合わせ、実施例1〜3の表示装置を作製した。なお、貼り合わせの際は、タッチパネルペン用筆記シート基材側の面が表示素子側を向くようにした。
蛍光灯照明下で得られた表示装置の映像を目視で評価したところ、実施例1〜3の表示装置は、超高精細の表示素子の解像度の低下を抑制できるものであった。
実施例1〜3及び比較例1〜2で作製したタッチパネルペン用筆記シートに対して、下記のタッチパネルペン2を用いて、上記と同様の手法で、μk/μsの測定、及び筆記感の評価を行った。結果を表2に示す。
タッチペン付3色ボールペン(三菱鉛筆株式会社製、商品名:ジェットストリーム スタイラス)、ペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率:0.002GPa(2.0×106N/m2)、ペン先の直径:5mm、ペン先の断面曲線の算術平均高さPa:100μm、上記式(i)のX:0.5MN/m
2:樹脂層
10:タッチパネルペン用筆記シート
20:透明基板
30:導電膜
40:スペーサー
50:X軸電極
60:Y軸電極
70:絶縁体層
82:可動台
83:重り
84:保持具
85:土台
100:タッチパネル
200:タッチパネルペン
300:クランプ
400:ガラス板
Claims (8)
- 下記のタッチパネルペン(A)用の筆記シートであって、該筆記シートは、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大山高さRp0.8、並びに、カットオフ値2.5mmのJIS B0601:2001の算術平均粗さRa2.5及び十点平均粗さRzJIS2.5が、下記条件(1)及び(2)を満たす表面を有し、かつ該筆記シートのJIS K7136:2000のヘイズが下記条件(3)を満たす、タッチパネルペン用筆記シート。
0.45≦Rp0.8/Rz0.8≦0.58 (1)
RzJIS2.5/Ra2.5≦6.0 (2)
ヘイズが5.0%未満 (3)
<タッチパネルペン(A)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m超であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i) - カットオフ値2.5mmのJIS B0601:1994の局部山頂平均間隔をS2.5とした際に、前記表面のS2.5が下記条件(4)を満たす、請求項1に記載のタッチパネルペン用筆記シート。
0.03mm≦S2.5≦0.25mm (4) - カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の算術平均粗さをRa0.8とした際に、前記表面のRa0.8が下記条件(5)を満たす、請求項1又は2に記載のタッチパネルペン用筆記シート。
0.01μm≦Ra0.8<0.10μm (5) - 前記筆記シートについて、JIS K7374:2007に準拠して測定した写像性測定器の光学櫛の幅が0.125mm、0.5mm、1.0mm及び2.0mmの透過像鮮明度をC0.125、C0.5、C1.0及びC2.0とした際に、C0.125、C0.5、C1.0及びC2.0の総和Csが250%以上である請求項1〜3の何れか1項に記載のタッチパネルペン用筆記シート。
- 表面にシートを有するタッチパネルであって、該シートとして、請求項1〜4の何れか1項に記載のタッチパネルペン用筆記シートの前記条件(1)及び(2)を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるタッチパネル。
- タッチパネルを有する表示装置であって、該タッチパネルが請求項5に記載のタッチパネルである表示装置。
- 前記表示装置の表示素子の画素密度が300ppi以上である請求項6に記載の表示装置。
- カットオフ値0.8mmのJIS B0601:2001の最大高さ粗さRz0.8及び粗さ曲線の最大山高さRp0.8、並びに、カットオフ値2.5mmのJIS B0601:2001の算術平均粗さRa2.5及び十点平均粗さRzJIS2.5が下記条件(1)及び(2)を満たす表面を有し、
かつJIS K7136:2000のヘイズが下記条件(3)を満たすシートを、下記のタッチパネルペン(A)用の筆記シートとして選別する、タッチパネルペン用筆記シートの選別方法。
0.45≦Rp0.8/Rz0.8≦0.58 (1)
RzJIS2.5/Ra2.5≦6.0 (2)
ヘイズが5.0%未満 (3)
<タッチパネルペン(A)>
タッチパネルペンを構成するペン先及び軸の構造体の見掛けのヤング率をE、ペン先の直径をD、ペン先の単位測定区間(0.5mm)における断面曲線の算術平均高さをPaとした際に、下記式(i)から導かれるXが500MN/m超であるタッチパネルペン。
X(MN/m)=[E×D×D]/Pa (i)
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