JP5974709B2 - 防眩性フィルム、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
このような液晶表示装置には液晶セルの画像表示面側に偏光素子が配置されており、通常、取扱い時に偏光素子に傷が付かないように硬度を付与することが要求されることから、偏光板保護フィルムとして、光透過性基材上にハードコート層を設けたハードコートフィルムを利用することにより、画像表示面に硬度を付与することが一般になされている。
しかしながら、セルロースエステルフィルムは、コスト的には不利な素材であり、また、耐湿、耐熱性が充分でなく、ハードコートフィルムを偏光板保護フィルムとして高温多湿の環境下で使用すると、偏光機能や色相等の偏光板機能を低下させるという欠点があった。
また、このようなポリエステルフィルムを偏光素子上に配置した場合、液晶表示装置に色の異なるムラ(以下、「ニジムラ」ともいう)が、特に表示画面を斜めから観察したときに生じ、液晶表示装置の表示品質が損なわれてしまうという問題もあった。
一方、高分子フィルム(屈折率:Np)及びハードコート層(屈折率:Nh)の屈折率をできるだけ揃える(以下、干渉縞解消法ともいう)ことによって干渉縞が解消できることが知られている。すなわち、特許文献6に記載の発明おいても、干渉縞を防止するにはハードコート層を上記干渉縞解消法に基づいて設ける必要がある。
しかしながら、特許文献6においては、高分子フィルムに高いリタデーション値を持たせるため、必然的に高分子フィルムの縦方向と横方向の屈折率(以下それぞれ、Nx、Nyともいう。ここで、Np−Nx=Ny−Npである)が大きく異なることとなるので、上記干渉縞解消法に基づいたハードコート層の屈折率Nhを決定することができないし、たとえ、NhをNxとNyの平均値にしたとしても、縦及び横方向ではそれぞれNh−Nx、Nh−Nyの屈折率差が存在することとなるので干渉縞を解消することはできない。換言すれば、高分子フィルム厚を増さないかぎり、リタデーションを大きくすればするほど、Nx及びNyとNhとの差は大きくなり、干渉縞はより大きな問題となる。
すなわち、特許文献6においては、干渉縞の発生による画質低下の問題を避けることはできないものであった。
なお、上記「防眩層中で粗密に分布している」とは、上記防眩層には、上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が5%以上である領域)と、上記シリカ微粒子の凝集体が粗に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が1%未満である領域)が複数存在していることを意味する。
なお、上記「有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している」とは、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率2万倍の条件で防眩層の厚み方向の上記有機微粒子が観察される断面を顕微鏡観察したときに、上記有機微粒子から200nm外側の円周内でかつ上記有機微粒子を除いた領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が10%以上である状態を意味する。
なお、上記「上記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置される」とは、上記遅相軸が、上記表示画面の上下方向に対して±45°未満の範囲で防眩性フィルムが画像表示装置に配置された状態を意味する。また、上記「画像表示装置の表示画面の上下方向」とは、上記画像表示装置を表示画面が床面に対して垂直となるように設置した場合における該表示画面の上下方向、すなわち、上記表示画面の床面に対して垂直な方向を意味する。
なお、上記「防眩層中で粗密に分布している」とは、上記防眩層には、上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が5%以上である領域)と、上記シリカ微粒子の凝集体が粗に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が1%未満である領域)が複数存在していることを意味する。
なお、上記「有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している」とは、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率2万倍の条件で防眩層の厚み方向の上記有機微粒子が観察される断面を顕微鏡観察したときに、上記有機微粒子から200nm外側の円周内でかつ上記有機微粒子を除いた領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が10%以上である状態を意味する。
なお、上記「上記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置される」とは、上記遅相軸が、上記表示画面の上下方向に対して±45°未満の範囲で防眩性フィルムが画像表示装置に配置された状態を意味する。また、上記「画像表示装置の表示画面の上下方向」とは、上記画像表示装置を表示画面が床面に対して垂直となるように設置した場合における該表示画面の上下方向、すなわち、上記表示画面の床面に対して垂直な方向を意味する。
また、上記シリカ微粒子は、表面処理されていることが好ましく、上記シリカ微粒子の凝集体は、平均粒子径が100nm〜1μmであることが好ましい。
なお、前記シリカ微粒子の凝集体の平均粒子径は、断面電子顕微鏡による観察(1万〜2万倍程度)からシリカ微粒子の凝集体が多く含まれる5μm四方の領域を選び、その領域中のシリカ微粒子の凝集体の粒子径を測定し、上位10個のシリカ微粒子の凝集体の粒子径を平均したものである。
また、上記バインダー樹脂は、分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーを主材料とすることが好ましい。
また、上記有機微粒子は、表面親水化処理されていることが好ましい。
また、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材は、ポリエステル基材であることが好ましい。
また、上記防眩性フィルムは、JIS K−7136に基づく全へイズが5.0%未満であることが好ましい。
なお、上記「防眩層中で粗密に分布している」とは、上記防眩層には、上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が5%以上である領域)と、上記シリカ微粒子の凝集体が粗に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が1%未満である領域)が複数存在していることを意味する。
なお、上記「有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している」とは、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率2万倍の条件で防眩層の厚み方向の上記有機微粒子が観察される断面を顕微鏡観察したときに、上記有機微粒子から200nm外側の円周内でかつ上記有機微粒子を除いた領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が10%以上である状態を意味する。
なお、上記「上記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置される」とは、上記遅相軸が、上記表示画面の上下方向に対して±45°未満の範囲で防眩性フィルムが画像表示装置に配置された状態を意味する。また、上記「画像表示装置の表示画面の上下方向」とは、上記画像表示装置を表示画面が床面に対して垂直となるように設置した場合における該表示画面の上下方向、すなわち、上記表示画面の床面に対して垂直な方向を意味する。
本発明はまた、面内に複屈折率を有する光透過性基材の一方の面上に、表面に凹凸形状を有する防眩層を有する防眩性フィルムが偏光素子上に設けられた偏光板を備えた画像表示装置であって、上記防眩層は、シリカ微粒子、有機微粒子及びバインダー樹脂を含有し、上記シリカ微粒子は、凝集体を形成して上記防眩層中に粗密に含有されたものを有し、上記シリカ微粒子の凝集体は、上記有機微粒子の周囲に密に分布しており、該有機微粒子の周囲に密に分布したシリカ微粒子の凝集体の一部は、上記有機微粒子の表面に付着及び/又は上記凝集体を構成するシリカ微粒子のうちの一部が上記有機微粒子の内部に含浸しており、上記防眩性フィルムと上記偏光素子とは、上記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸と、上記偏光素子の吸収軸とが垂直となるように配置され、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材は、面内リタデーションが3000nm以上であることを特徴とする画像表示装置でもある。
なお、上記「防眩層中で粗密に分布している」とは、上記防眩層には、上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が5%以上である領域)と、上記シリカ微粒子の凝集体が粗に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が1%未満である領域)が複数存在していることを意味する。
なお、上記「有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している」とは、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率2万倍の条件で防眩層の厚み方向の上記有機微粒子が観察される断面を顕微鏡観察したときに、上記有機微粒子から200nm外側の円周内でかつ上記有機微粒子を除いた領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が10%以上である状態を意味する。
なお、上記「上記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置される」とは、上記遅相軸が、上記表示画面の上下方向に対して±45°未満の範囲で防眩性フィルムが画像表示装置に配置された状態を意味する。また、上記「画像表示装置の表示画面の上下方向」とは、上記画像表示装置を表示画面が床面に対して垂直となるように設置した場合における該表示画面の上下方向、すなわち、上記表示画面の床面に対して垂直な方向を意味する。
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明では、特別な記載がない限り、モノマー、オリゴマー、プレポリマー等の硬化性樹脂前駆体も“樹脂”と記載する。
本発明の防眩性フィルムにおいては、表面凹凸形状に応じた膜厚差が防眩層に生じているので、該防眩層の表面で反射した光と透明基材側の界面で反射した光とで生ずる干渉光において、同じ光路差となる面積を細分化させることができる。そのため、本発明の防眩性フィルムでは、干渉光が混色して干渉縞が認識できなくなり、干渉縞を防止することができる。
ここで、従来、表面に凹凸形状を有する防眩層が形成された防眩性フィルムとしては、凝集性シリカ等の粒子の凝集によって防眩層の表面に凹凸形状を形成するタイプ、有機フィラーを樹脂中に添加して層表面に凹凸形状を形成するタイプ、あるいは層表面に凹凸をもったフィルムをラミネートして凹凸形状を転写するタイプ等種々のタイプが知られている。このような従来の防眩性フィルムは、いずれのタイプでも、防眩層の表面形状の作用により、光拡散・防眩作用を得るようにしていて、その作用を高めるためには凹凸形状を粗く、多くする必要があるが、凹凸が粗く、多くなると、塗膜の曇価(ヘイズ値)が上昇して白ぼけが発生し、表示画像のコントラストが低下するという問題があった。
また、従来のタイプの防眩性フィルムは、フィルム表面に、いわゆる面ギラと呼ばれるキラキラ光る輝きが発生し、表示画面の視認性が低下するという問題もあった。面ギラは、画像表示装置を点灯した際、背面からの透過光が画面に到達したときに、画面表面に細かい輝度のむらが現れ、観察者が見る角度を変えていくと、その輝度むらの位置が移り変わっていくように見える現象で、特に全面白色表示や全面緑色表示のときに顕著である。
このような面ギラ及び白ぼけという問題に対して、例えば、防眩層表面の細かな凹凸形状をハードコート層の樹脂によりスムージングすることで滑らかな、凸部と凸部の間隔が大きく、凸部高さが従来よりも低い凹凸に変換させて、ハードコート性と防眩性とを維持しつつ、面ギラ及び白ぼけの発生の抑制を図った防眩性フィルムが知られているが、膜厚が10μm以上になるなど厚くなってしまい、近年の防眩性フィルムの薄膜化の要請に充分応えることができなかった。
また、例えば、有機微粒子或いは無機微粒子を単独で用いて層表面に凹凸形状を形成する場合、防眩性フィルムの薄膜化を図ると、微粒子が防眩層の上部に存在しすぎたり、微粒子が高さ方向に凝集したりすることがあるため、表面凹凸が高くなってしまい、面ギラ或いは白ぼけが発生していた。この欠点を解消すべく、有機微粒子或いは無機微粒子の平均粒径を小さくして、表面凹凸の高さを低くしようとすると、反対に表面凹凸の高さが低くなりすぎて、防眩性及び干渉縞防止性がなくなってしまいやすく、安定して良好な製品を得ることはできなかった。
このため、滑らかな凹凸表面を有する防眩層であって、ハードコート性と防眩性及び干渉縞防止性とを維持しつつ、面ギラ及び明所での白ぼけを充分に抑制でき、かつ明所及び暗所でのコントラストが優れる一層構成の防眩層を備えた防眩性フィルムが望まれていた。
更に、面内に複屈折率を有する光透過性基材を用いた防眩性フィルム又は偏光板において、該防眩性フィルム又は偏光板を画像表示装置に設置する際に、上記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸を、偏光素子の吸収軸又は画像表示装置の表示画面に対して特定の方向となるようにすることで、反射防止性能及び明所コントラストを優れた画像表示装置とすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
なお、上述のように従来光学積層体として用いられていたトリアセチルセルロースに代表されるセルロースエステルからなるフィルムは、光学等方性に優れ、面内にほとんど位相差を持たない。このため、該セルロースエステルからなるフィルムを光透過性基材として用いた防眩性フィルム又は偏光板の場合、該光透過性基材の設置方向は考慮する必要がなかった。すなわち、上述した反射防止性能及び明所コントラストの問題は、防眩性フィルムの光透過性基材として、面内に複屈折率を有する光透過性基材を用いたことにより生じたものである。
本発明の防眩性フィルムは、上記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置される。
ここで、画像表示装置は、通常、室内に設置して用いられるものであるため、壁面や床面で反射した光の該画像表示装置の表示画面(防眩性フィルム)での反射を防止することで、反射防止性能を優れたものとすることができる。
本発明者らは、上記壁面や床面で反射し、上記画像表示装置の表示画面に入射する光は、その多くが上記表示画面の左右方向に振動した状態となっていることに着目し、本発明の防眩性フィルムを、上記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置するものとしたのである。すなわち、本発明の防眩性フィルムは、その用途を画像表示装置の表面に設置するものに限定し、この本発明の防眩性フィルムを設置した画像表示装置は、上記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記壁面や床面で反射した光の振動方向に対して垂直な方向を向いた状態となっている。このように光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸の方向を特定の方向となるように防眩性フィルムを設置してなる画像表示装置は、反射防止性能と明所コントラストとに優れたものとなる。
これは、上述した特定の状態で本発明の防眩性フィルムを配置した画像表示装置では、上記表示画面に入射する割合の多い左右方向に振動する光(S偏光)に対し、上記光透過性基材の屈折率が小さい方向である進相軸の方向が平行となり、外光反射が低減できるためである。
この理由は、基材の屈折率が大きくなるほど、反射率は大きくなるが、本発明の防眩性フィルムにおける光透過性基材のような屈折率異方性を有する基材においては、上記構成とすることにより、上記光透過性基材の屈折率は、屈折率の小さい進相軸の屈折率が適用される割合が増加するからである。
また、画像表示装置のコントラストは、暗所コントラストと明所コントラストとに分けられ、暗所コントラストは、(白表示の輝度/黒表示の輝度)として算出され、明所コントラストは、{(白表示の輝度+外光反射)/(黒表示の輝度+外光反射)}として算出される。いずれのコントラストの場合も分母の影響がより大きくなることで、コントラストが低下する。つまり、外光反射を低減できれば、結果として、明所コントラストが向上する。
なお、上記「上記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸が、上記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置される」とは、上記遅相軸が、上記表示画面の上下方向に対して±45°未満の範囲で防眩性フィルムが画像表示装置に配置された状態を意味する。また、上記「画像表示装置の表示画面の上下方向」とは、上記画像表示装置を表示画面が床面に対して垂直となるように設置した場合における該表示画面の上下方向、すなわち、上記表示画面の床面に対して垂直な方向を意味する。
上記ポリエステル基材のリタデーションは、ニジムラ防止性及び薄膜化の観点から、6000〜25000nmであることがより好ましく、更に好ましい範囲は、8000〜2万nmである。
リタデーション(Re)=(nx−ny)×d
また、上記リタデーションは、例えば、王子計測機器社製KOBRA−WRによって測定(測定角0°、測定波長548.2nm)することができる。
また、二枚の偏光板を用いて、ポリエステル基材の配向軸方向(主軸の方向)を求め、配向軸方向に対して直交する二つの軸の屈折率(nx、ny)を、アッベ屈折率計(アタゴ社製 NAR−4T)によって求めることもできる。さらに、ポリエステル基材厚みd(nm)を、電気マイクロメータ(アンリツ社製)を用いて測定することができる。そして、屈折率差(nx−ny)と、フィルムの厚みd(nm)との積より、リタデーションを計算することもできる。
なお、屈折率は、分光光度計(島津製作所社製のUV−3100PC)を用いて、波長380〜780nmの平均反射率(R)を測定し、得られた平均反射率(R)から、以下の式を用い、屈折率(n)の値を求めることができる。
防眩層の平均反射率(R)は、易接着処理のない50μm厚のPET上に原料組成物(但し、シリカ微粒子及び有機微粒子を除いたもの)を塗布し、1〜3μmの厚さの硬化膜にし、PETの塗布しなかった面(裏面)に、裏面反射を防止するために測定スポット面積よりも大きな幅の黒ビニールテープ(例えば、ヤマトビニールテープNO200−38−21 38mm幅)を貼ってから塗膜の平均反射率を測定することができる。ポリエステル基材の屈折率は、測定面とは反対面に同様に黒ビニールテープを貼ってから測定を行うことができる。
R(%)=(1−n)2/(1+n)2
また、防眩性フィルムとなった後に防眩層の屈折率を測定する方法としては、各層の硬化膜をカッターなどで削り取り、粉状態のサンプルを作製し、JIS K7142(2008)B法(粉体又は粒状の透明材料用)に従ったベッケ法(屈折率が既知のカーギル試薬を用い、上記粉状態のサンプルをスライドガラスなどに置き、そのサンプル上に試薬を滴下し、試薬でサンプルを浸漬する。その様子を顕微鏡観察によって観察し、サンプルと試薬の屈折率が異なることによってサンプル輪郭に生じる輝線;ベッケ線が目視で観察できなくなる試薬の屈折率を、サンプルの屈折率とする方法)を用いることができる。
ポリエステル基材の場合は、方向によって屈折率が異なるので、ベッケ法ではなく、プライマー層やハードコート層の処理面に上記黒ビニールテープを貼ることで、平均反射率を測定し求める。
なお、本発明では、上記nx−ny(以下、Δnとも表記する)は、0.05〜0.20であることが好ましい。上記Δnが0.05未満であると、進相軸の屈折率が大きいため、上述した画像表示装置のコントラストの向上が図れないことがある。また、上記Δnが0.05未満であると、充分なニジムラの抑制効果が得られないことがあり、更に、上述したリタデーション値を得るために必要な膜厚が厚くなることがある。一方、上記Δnが0.20を超えると、ポリエステル基材として、裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下することがある。
上記Δnのより好ましい下限は0.07、より好ましい上限は0.15である。Δnが、0.07よりも小さいと、偏光板吸収軸に対し、遅相軸を垂直に配置した時のニジムラ防止効果がでにくくなるためである。なお、上記Δnが0.15を超えると、耐湿熱性試験でのポリエステル基材の耐久性が劣ることがある。耐湿熱性試験での耐久性が優れることから、上記Δnの更に好ましい上限は0.12である。
なお、上記(nx)としては、1.67〜1.78であることが好ましく、より好ましい下限は1.69、より好ましい上限は1.73である。また、上記(ny)としては、1.55〜1.65であることが好ましく、より好ましい下限は1.57、より好ましい上限は1.62である。
上記nx及びnyが上記範囲にあり、かつ、上述したΔnの関係を満たすことで、好適なニジムラの抑制効果を得ることができる。
また、ポリエステル基材に用いられるポリエステルは、これらの上記ポリエステルの共重合体であってもよく、上記ポリエステルを主体(例えば80モル%以上の成分)とし、少割合(例えば20モル%以下)の他の種類の樹脂とブレンドしたものであってもよい。ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレートが力学的物性や光学物性等のバランスが良いので特に好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートは汎用性が高く、入手が容易であるからである。本発明においてはPETのような、汎用性が極めて高いフィルムであっても、表示品質の高い液晶表示装置を作製することが可能な、防眩性フィルムを得ることができる。更に、PETは、透明性、熱又は機械的特性に優れ、延伸加工によりリタデーションの制御が可能であり、固有複屈折が大きく、膜厚が薄くても比較的容易に大きなリタデーションが得られる。
上記横延伸温度としては、80〜130℃が好ましく、より好ましくは90〜120℃である。また、横延伸倍率は2.5〜6.0倍が好ましく、より好ましくは3.0〜5.5倍である。上記横延伸倍率が6.0倍を超えると、得られるポリエステル基材の透明性が低下しやすくなり、横延伸倍率が2.5倍未満であると、延伸張力も小さくなるため、得られるポリエステル基材の複屈折が小さくなり、リタデーションを3000nm以上とできないことがある。
また、本発明においては、二軸延伸試験装置を用いて、上記未延伸ポリエステルの横延伸を上記条件で行った後、該横延伸に対する流れ方向の延伸(以下、縦延伸ともいう)を行ってもよい。この場合、上記縦延伸は、延伸倍率が2倍以下であることが好ましい。上記縦延伸の延伸倍率が2倍を超えると、Δnの値を上述した好ましい範囲にできないことがある。
また、上記熱処理時の処理温度はしては、100〜250℃が好ましく、より好ましくは180〜245℃である。
上記防眩層は、シリカ微粒子、有機微粒子及びバインダー樹脂を含有しており、表面の凹凸形状は、後述するシリカ微粒子の凝集体と有機微粒子とにより形成されている。
本発明の防眩性フィルムは、上記防眩層の表面に形成された凹凸形状が、単一の微粒子(例えば、有機微粒子等)又は単一粒子の凝集体(例えば、シリカ微粒子の凝集体)により防眩層の表面に形成された凹凸形状と比較して、凸部の傾斜が緩やかとなり滑らかな形状となる。これは、後述するように、本発明の防眩性フィルムでは、上記シリカ微粒子と有機微粒子とが防眩層中で特定の状態で分布しているためであると推測される。
上記「防眩層中で粗密に分布している」とは、上記防眩層には、上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が5%以上である領域)と、上記シリカ微粒子の凝集体が粗に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が1%未満である領域)が複数存在していることを意味する。すなわち、上記防眩層中に、上記シリカ微粒子の凝集体は、不均一に分散している。
なお、このようなシリカ微粒子の凝集体の分布は、上記防眩層の厚み方向の断面電子顕微鏡観察にて容易に判別することができる。例えば、図2は、実施例1に係る防眩性フィルムの断面顕微鏡写真であるが、図2において、中央付近の濃色帯状領域が上記防眩層の断面であり、該防眩層の断面において、黒く斑に観察される部分が上記シリカ微粒子の凝集体であり、シリカ微粒子の凝集体が上記防眩層中で不均一に分散していることが明確に確認できる。また、上記シリカ微粒子の凝集体の面積割合は、例えば、画像解析ソフトを用いて算出することができる。
ここで、通常、上記シリカ微粒子の表面には水酸基(シラノール基)が存在しているが、上記表面処理がされることで上記シリカ微粒子表面の水酸基が少なくなり、上記シリカ微粒子の、BET法により測定される比表面積が小さくなるとともに、上記シリカ微粒子が過度に凝集することを防止でき、上述した効果が発揮される。
なお、上記シリカ微粒子の平均1次粒子径は、断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型で倍率は5万倍以上が好ましい)の画像から、画像処理ソフトウェアーを用いて測定される値である。
上記防眩層中で上記シリカ微粒子が数珠状に連なった凝集体を形成していることで、後述するように好適に上記防眩層の表面凹凸形状を滑らかな形状とすることができる。
なお、上記シリカ微粒子が数珠状に連なった構造とは、例えば、上記シリカ微粒子が直線状に連続して連なった構造(直鎖構造)、該直鎖構造が複数絡み合った構造、上記直鎖構造にシリカ微粒子が複数連続して形成された側鎖を1又は2以上有する分岐構造等、任意の構造が挙げられる。
なお、上記シリカ微粒子の凝集体の平均粒子径は、断面電子顕微鏡による観察(1万〜2万倍程度)からシリカ微粒子の凝集体が多く含まれる5μm四方の領域を選び、その領域中のシリカ微粒子の凝集体の粒子径を測定し、上位10個のシリカ微粒子の凝集体の粒子径を平均したものである。なお、上記「シリカ微粒子の凝集体の粒子径」は、シリカ微粒子の凝集体の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、該2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。また、上記シリカ微粒子の凝集体の粒子径は、画像解析ソフトを用いて算出してもよい。
なお、上記シリカ微粒子の凝集体は、上述したように、上記防眩層中で粗密に含有されているため、上記防眩層には、上記有機微粒子の周囲に多数のシリカ微粒子の凝集体が存在している領域と、上記シリカ微粒子の凝集体のみが密に分布している領域とが形成されている。例えば、図4は、実施例2に係る防眩性フィルムの断面顕微鏡写真であるが、図4に示したように、有機微粒子の周囲にシリカ微粒子の凝集体が密に分布している状態は、上記防眩層の断面の電子顕微鏡観察により容易に確認することができる。
ここで、上記防眩層の断面を電子顕微鏡観察した場合、上記有機微粒子の周囲に密に分布したシリカ微粒子の凝集体は、有機微粒子の中心を通る断面だけではなく、該有機微粒子の中心からずれた断面においても密に分布している状態が観察される。
なお、上記「有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している」とは、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率2万倍の条件で防眩層の厚み方向の上記有機微粒子が観察される断面を顕微鏡観察したときに、上記有機微粒子から200nm外側の円周内でかつ上記有機微粒子を除いた領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が10%以上である状態を意味する。
なお、有機微粒子を集まらせるとは、有機微粒子同士が完全に密着しているのではなく、防眩層の断面観察した折に最も近接する有機微粒子間距離が、その粒子の平均粒子径よりも小さい場合、又は、例えば、図4に示した中央上方に含有された有機微粒子と、右側下方に含有された有機微粒子のように、有機微粒子間を上記シリカ微粒子の凝集体が複数連続して連なっている場合を意味する。
なお、図3は、図2に示した実施例1に係る防眩性フィルムの断面顕微鏡写真を更に拡大した顕微鏡写真であるが、図3に示したように、上記有機微粒子の表面に付着等したシリカ微粒子の凝集体は、上記防眩層の断面の電子顕微鏡観察により容易に確認することができる。
また、上記有機微粒子の表面から内部に上記シリカ微粒子の凝集体を構成するシリカ微粒子うちの一部を含浸させる方法としては、例えば、防眩層を形成する際に、有機微粒子の架橋度を下げる方法や、有機微粒子を膨潤させることができる溶剤を防眩層用組成物の中に用いる方法等が挙げられる。
上記有機微粒子は、そのほぼ全表面で均等に上記シリカ微粒子の凝集体の付着等があることが好ましい。
上記有機微粒子の周囲に密に分布したシリカ微粒子の凝集体に占める、上記有機微粒子の表面に付着等しているシリカ微粒子の凝集体の割合は、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率2万倍の条件で防眩層の厚み方向の上記有機微粒子が観察される断面を顕微鏡観察したときに、上記有機微粒子から200nm外側の円周内でかつ上記有機微粒子を除いた領域のシリカ微粒子の凝集体のうち、面積割合で50%以上であることが好ましい。50%未満であると、防眩層中で有機微粒子同士を集まらせる効果が不充分となり、充分な防眩性能及び干渉縞防止性能を有するだけの凹凸を形成できなくなることがある。
これは、以下に挙げる理由によるものと推測される。
すなわち、防眩層用組成物を塗布後、乾燥して溶剤が蒸発する際、粘度が低いとバインダー樹脂が有機微粒子の形状に追随した状態になりやすい。更に、バインダー樹脂は硬化するときに体積が収縮するが、有機微粒子は収縮することが無いため、バインダー樹脂のみが収縮することにより、有機微粒子に対応する位置の表面に形成される凸部が急峻な傾斜になりやすい。
しかしながら、有機微粒子の周りにシリカ微粒子の凝集体が密に分布することにより、上記防眩層用組成物の有機微粒子周りの粘度が上昇し、溶剤が蒸発する際、バインダー樹脂が有機微粒子の形状に追随し難く、また、その部分のバインダー(バインダー樹脂とシリカ微粒子からなる)は硬化収縮し難くなり、結果として、有機微粒子に対応する位置の表面に形成される凸部はなだらかな傾斜となりやすくなる。
このため、上記有機微粒子により防眩層の表面に形成される凹凸形状(凸部)の傾斜角が、微粒子単体で形成される凹凸形状(凸部)の傾斜角よりも緩やかなものになると推測される。
ここで、上記「粒子径が比較的揃った微粒子」とは、重量平均による微粒子の平均粒径をMV、累積25%径をd25、累積75%径をd75としたとき、(d75−d25)/MVが0.25以下である場合を意味し、上記「粒子径のバラツキが比較的大きい凝集体」とは、上記(d75−d25)/MVが0.25を超える場合を意味する。なお、累積25%径とは、粒径分布における粒径の小さい粒子からカウントして、25質量%となったときの粒子径をいい、累積75%径とは、同様にカウントして75質量%となったときの粒子径をいう。なお、上記重量平均による微粒子の平均粒径、累積25%径及び累積75%径は、コールターカウンター法による重量平均径として計測することができる。
なお、上記「球状」とは、例えば、真球状、楕円球状等が挙げられ、いわゆる不定形を除く意味である。
上記親水化処理としては特に限定されず公知の方法が挙げられるが、例えば、カルボン酸基や水酸基等の官能基を有するモノマーを上記有機微粒子の表面に共重合させる方法等が挙げられる。
なお、通常、表面親水化処理された有機微粒子は、防眩層中でゆるやかに集まらせることができないため、防眩層の表面に充分な凹凸形状を形成することができず防眩性能及び干渉縞防止性が劣ることとなる。しかしながら、本発明では、上記シリカ微粒子が凝集体を形成して防眩層中で粗密に含有され、更に上記有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布しているため、表面親水化処理された有機微粒子を含有する防眩層であっても所望の凹凸形状を形成することができる。
また、上記有機微粒子の平均粒子径は、防眩層の厚さに対して20〜60%であることが好ましい。60%を超えると、有機微粒子は塗膜層最表面に突出し、また有機微粒子により生じる凹凸が急峻なものとはなる恐れがある。20%未満であると、充分な凹凸形状を防眩層表面に形成できなくなって、防眩性能及び干渉縞防止性が不充分となることがある。
なお、上記有機微粒子の平均粒子径は、有機微粒子単独で測定する場合、コールターカウンター法による重量平均径として計測できる。一方、防眩層中の有機微粒子の平均粒径は、防眩層の透過光学顕微鏡観察において、10個の粒子の最大径を平均した値として求められる。もしくはそれが不適な場合は、粒子中心近傍を通る断面の電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)観察において、任意の同じ種類で、ほぼ同じ位の粒径として観察される拡散粒子30個選択して(粒子のどの部位の断面であるか不明であるためn数を増やしている)その断面の最大粒径を測定し、その平均値として算出される値である。いずれも画像から判断するため、画像解析ソフトにて算出してもよい。
上記バインダー樹脂としては、分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーを主材料とすることが好ましい。上記「分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーを主材料とする」とは、上記バインダー樹脂の原料モノマー中、分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーの含有量が最も多いことを意味する。上記分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーは、疎水性モノマーであるため、本発明の防眩性フィルムでは、上記防眩層を構成するバインダー樹脂は、疎水性樹脂であることが好ましい。バインダー樹脂が水酸基を持つような親水性の樹脂が主体となると、後述する極性の高い溶剤(例えば、イソプロピルアルコール)が蒸発しにくくなり上記シリカ微粒子が有機微粒子に付着及び/又は含浸し難くなる。そのため、その後にシリカ微粒子のみで凝集が進んでしまい、防眩層の表面に面ギラを悪化させるような凸部を形成してしまう恐れがある。
なお、本明細書において、「樹脂」とは、特に言及しない限り、モノマー、オリゴマー、ポリマー等も包含する概念である。
本発明における好ましい化合物としては、3以上の不飽和結合を有する化合物が挙げられる。このような化合物を用いると形成するハードコート層の架橋密度を高めることができ、塗硬度を良好にできる。
具体的には、本発明においては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエステル多官能アクリレートオリゴマー(3〜15官能)、ウレタン多官能アクリレートオリゴマー(3〜15官能)等を適宜組み合わせて用いることが好ましい。
上記電離放射線硬化型樹脂と併用して使用することができる溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、製膜性、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
上記熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
ここで、上記シリカ微粒子は、上記防眩層用組成物を増粘させることができる材料であるため、上記シリカ微粒子を含有することで、防眩層用組成物に含まれる有機微粒子の沈降を抑制できる。すなわち、上記シリカ微粒子は、上述した有機微粒子とシリカ微粒子の凝集体との所定の分布の形成促進機能とともに、防眩層用組成物のポットライフの向上機能も有すると推測される。
なお、本明細書において、「極性が高い溶剤」とは、溶解度パラメータが10[(cal/cm3)1/2]以上の溶剤を意味し、「揮発速度が速い溶剤」とは、相対蒸発速度が150以上の溶剤を意味する。従って、上記「極性が高くかつ揮発速度が速い溶剤」とは、上記「極性が高い溶剤」及び「揮発速度が速い溶剤」の両方の要件を充足する溶剤を意味する。
本明細書において、上記溶解度パラメーターは、Fedorsの方法で計算される。Fedorsの方法は、例えば「SP値 基礎・応用と計算方法」(山本秀樹著 株式会社情報機構発行、2005年)に記載されている。Fedorsの方法において、溶解度パラメーターは下記式より算出される。
溶解度パラメーター=[ΣEcoh/ΣV]2
上記式中、Ecohは凝集エネルギー密度、Vはモル分子容である。原子団ごとに決められたEcoh及びVに基づき、Ecoh及びVの総和であるΣEcoh及びΣVを求めることによって、溶解度パラメーターを算出することができる。
また、本明細書において、上記相対蒸発速度とは、n−酢酸ブチルの蒸発速度を100とした時の相対蒸発速度をいい、ASTM D3539−87に準拠して測定される蒸発速度で、下記式により算出される。具体的には、25℃、乾燥空気下におけるn−酢酸ブチルの蒸発時間と各溶剤の蒸発時間を測定し算出する。
相対蒸発速度=(n−酢酸ブチル90重量%が蒸発するのに要する時間)/(測定溶剤の90重量%が蒸発するのに要する時間)×100
また、上記溶剤におけるイソプロピルアルコールの含有量は、全溶剤中20質量%以上であることが好ましい。20質量%未満であると、防眩層用組成物中でシリカ微粒子の凝集体が生じてしまうことがある。上記イソプロピルアルコールの含有量は、40質量%以下であることが好ましい。
上記光重合開始剤としては特に限定されず、公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
本発明において用いる開始剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有するバインダー樹脂の場合は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンが、バインダー樹脂との相溶性、及び、黄変も少ないという理由から好ましい。
上記レベリング剤としては、例えば、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤等が挙げられ、好ましくはパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤等が、防眩層がベナードセル構造となることを回避することから好ましい。溶剤を含む樹脂組成物を塗工し、乾燥する場合、塗膜内において塗膜表面と内面とに表面張力差等を生じ、それによって塗膜内に多数の対流が引き起こされる。この対流により生じる構造はベナードセル構造と呼ばれ、形成する防眩層にゆず肌や塗工欠陥といった問題の原因となる。
また、上記ベナードセル構造は、防眩層の表面の凹凸が大きくなりすぎて白ぼけ、面ギラに悪影響を及ぼす。前述のようなレベリング剤を用いると、この対流を防止することができるため、欠陥やムラのない凹凸膜が得られるだけでなく、凹凸形状の調整も容易となる。
上記の方法のいずれかで防眩層用組成物を塗布した後、形成した塗膜を乾燥させるために加熱されたゾーンに搬送され各種の公知の方法で塗膜を乾燥させ溶剤を蒸発させる。ここで溶剤相対蒸発速度、固形分濃度、塗布液温度、乾燥温度、乾燥風の風速、乾燥時間、乾燥ゾーンの溶剤雰囲気濃度等を選定することにより、有機微粒子及びシリカ微粒子の凝集体の分布状態を調整できる。
特に、乾燥条件の選定によって有機微粒子及びシリカ微粒子の凝集体の分布状態を調整する方法が簡便で好ましい。具体的な乾燥温度としては、30〜120℃、乾燥風速では0.2〜50m/sであることが好ましく、この範囲内で適宜調整した乾燥処理を、1回又は複数回行うことで有機微粒子及びシリカ微粒子の凝集体の分布状態を所望の状態に調整することができる。
また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
50μm<Sm<600μm
0.1°<θa<1.5°
0.02μm<Ra<0.25μm
0.30μm<Rz<2.00μm
100μm<Sm<400μm
0.1°<θa<1.2°
0.02μm<Ra<0.15μm
0.30μm<Rz<1.20μm
上記防眩層の凹凸形状は、更に好ましくは、下記式を満たすことである。
120μm<Sm<300μm
0.1°<θa<0.5°
0.02μm<Ra<0.12μm
0.30μm<Rz<0.80μm
なお、本明細書において、上記Sm、Ra及びRzは、JIS B 0601−1994に準拠する方法で得られる値であり、θaは、表面粗さ測定器:SE−3400 取り扱い説明書(1995.07.20改訂)(株式会社小坂研究所)に記載の定義により得られる値であり、図1に示すように、基準長さLに存在する凸部高さの和(h1+h2+h3+・・・+hn)のアークタンジェントθa=tan−1{(h1+h2+h3+・・・+hn)/L}で求めることができる。
このようなSm、θa、Ra、Rzは、例えば、表面粗さ測定器:SE−3400/株式会社小坂研究所製等により測定して求めることができる。
なお、上記全光線透過率は、JIS K7361に従い、(株)村上色彩技術研究所製「HM−150」等で測定できる。
なお、本発明の防眩性フィルムにおいて、上記シリカ微粒子としてフュームドシリカを用いることにより、上記防眩層の内部ヘイズ及び外部ヘイズをそれぞれ独立して制御することができる。例えば、フュームドシリカを用いることで、該フュームドシリカの平均粒子径が小さいために、内部ヘイズが発現せず、外部ヘイズのみを調整することができる。また、内部ヘイズの調整は、有機微粒子の屈折率とバインダー樹脂の屈折率との比を制御したり、バインダー樹脂のモノマーを有機微粒子に含浸させることで有機粒子界面の屈折率を変えることで調整することができる。
また、上記内部ヘイズは、以下のように求められる。
防眩性フィルムの防眩層の表面にある凹凸上に、表面凹凸を形成する樹脂と屈折率が等しいか屈折率差が0.02以下である樹脂をワイヤーバーで乾燥膜厚が8μm(完全に表面の凹凸形状がなくなり、表面が平坦とできる膜厚とする)となるように塗布し、70℃で1分間乾燥後、100mJ/cm2の紫外線を照射して硬化する。これによって、表面にある凹凸がつぶれ、平坦な表面となったフィルムが得られる。ただし、この凹凸形状を有する防眩層を形成する組成物中にレベリング剤等が入っていることで、上記防眩層の表面に塗布する樹脂がはじきやすく濡れにくいような場合は、あらかじめ防眩層の表面をケン化処理(2mol/LのNaOH(又はKOH)溶液で55℃、3分浸した後、水洗し、キムワイプ(登録商標)等で水滴を完全に除去した後、50℃オーブンで1分乾燥)により、親水処理を施すとよい。
この表面を平坦にしたフィルムは、表面凹凸をもたないので、内部ヘイズだけを持つ状態となっている。このフィルムの全ヘイズを、JIS K−7136に従って全ヘイズと同様な方法で測定することで、内部ヘイズを求めることができる。
また、上記外部ヘイズは、(全ヘイズ−内部ヘイズ)として求めることができる。
上記低屈折率層は、外部からの光(例えば蛍光灯、自然光等)が防眩性フィルムの表面にて反射する際、その反射率を低くするという役割を果たす層である。低屈折率層としては、好ましくは1)シリカ、フッ化マグネシウム等の低屈折率粒子を含有する樹脂、2)低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、3)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有するフッ素系樹脂、4)シリカ、フッ化マグネシウム等の低屈折率物質の薄膜等のいずれかで構成される。フッ素系樹脂以外の樹脂については、上述した防眩層を構成するバインダー樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
また、上述したシリカは、中空シリカ微粒子であることが好ましく、このような中空シリカ微粒子は、例えば、特開2005−099778号公報の実施例に記載の製造方法にて作製できる。
これらの低屈折率層は、その屈折率が1.47以下、特に1.42以下であることが好ましい。
また、低屈折率層の厚みは限定されないが、通常は10nm〜1μm程度の範囲内から適宜設定すれば良い。
また、上記低屈折率層は単層で効果が得られるが、より低い最低反射率、あるいはより高い最低反射率を調整する目的で、低屈折率層を2層以上設けることも適宜可能である。上記2層以上の低屈折率層を設ける場合、各々の低屈折率層の屈折率及び厚みに差異を設けることが好ましい。
上記電離放射線で硬化する官能基と熱硬化する極性基とを併せ持つ重合性化合物としては、アクリル又はメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類、完全又は部分フッ素化ビニルエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルケトン類等を例示することができる。
上記電離放射線硬化性基を有する重合性化合物の含フッ素(メタ)アクリレート化合物を少なくとも1種類含むモノマー又はモノマー混合物の重合体;上記含フッ素(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種類と、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの如き分子中にフッ素原子を含まない(メタ)アクリレート化合物との共重合体;フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンのような含フッ素モノマーの単独重合体又は共重合体など。これらの共重合体にシリコーン成分を含有させたシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体も用いることができる。この場合のシリコーン成分としては、(ポリ)ジメチルシロキサン、(ポリ)ジエチルシロキサン、(ポリ)ジフェニルシロキサン、(ポリ)メチルフェニルシロキサン、アルキル変性(ポリ)ジメチルシロキサン、アゾ基含有(ポリ)ジメチルシロキサン、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーン、フルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、メチル水素シリコーン、シラノール基含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーン、フェノール基含有シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が例示される。なかでも、ジメチルシロキサン構造を有するものが好ましい。
dA=mλ/(4nA) (1)
(上記式中、
nAは低屈折率層の屈折率を表し、
mは正の奇数を表し、好ましくは1を表し、
λは波長であり、好ましくは480〜580nmの範囲の値である)
を満たすものが好ましい。
120<nAdA<145 (2)
を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
すなわちバックライトユニットとして冷陰極管光源に拡散板を設置したものを用い、2枚の偏光板(サムスン社製 AMN−3244TP)を用い、該偏光板をパラレルニコルに設置したときに通過する光の輝度のLmaxを、クロスニコルに設置したときに通過する光の輝度のLminで割った値(Lmax/Lmin)をコントラストとし、防眩性フィルム(ポリエステル基材+防眩層等)のコントラスト(L1)を、ポリエステル基材のコントラスト(L2)で割った値(L1/L2)×100(%)をコントラスト比とする。
なお、上記輝度の測定は暗所下で行う。上記輝度の測定には、色彩輝度計(トプコン社製 BM−5A)を用い、色彩輝度計の測定角は、1°に設定し、サンプル上の視野φ5mmで測定する。また、バックライトの光量は、サンプルを設置しない状態で、2枚の偏光板をパラレルニコルに設置したときの輝度が3600cd/m2になるように設置する。
上記防眩層用組成物及び防眩層の形成方法については、上述した防眩性フィルムにおいて、防眩層の形成方法として説明したものと同様の材料、方法が挙げられる。
本発明の偏光板において、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材は、上述した本発明の防眩性フィルムと同様の理由により、リタデーションが3000nm以上であることが好ましく、屈折率が大きい方向である遅相軸方向の屈折率(nx)と、上記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率(ny)との差(nx−ny)が、0.05以上であることが好ましい。
なお、上記「上記光透過性基材は、屈折率が大きい方向である遅相軸と、上記偏光素子の吸収軸とが垂直に配置されている」とは、上記遅相軸が、上記偏光素子の吸収軸に対して±45°超過の範囲で配置された状態を意味する。
上記画像表示装置は、LCD、PDP、FED、ELD(有機EL、無機EL)、CRT、タブレットPC、タッチパネル、電子ペーパー等の画像表示装置であってもよい。
上記白色LEDとは、蛍光体方式、すなわち化合物半導体を使用した青色光又は紫外光を発する発光ダイオードと蛍光体を組み合わせることにより白色を発する素子のことである。なかでも、化合物半導体を使用した青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色発光ダイオードは、連続的で幅広い発光スペクトルを有していることから反射防止性能及び明所コントラストの改善に有効であるとともに、発光効率にも優れるため、本発明における上記バックライト光源として好適である。また、消費電力の小さい白色LEDを広汎に利用可能になるので、省エネルギー化の効果も奏することが可能となる。
また、上記VA(Vertical Alignment)モードとは、電圧無印加のときに液晶分子が液晶セルの基板に垂直になるように配向されて暗表示を示し、電圧の印加で液晶分子を倒れ込ますことで明表示を示す動作モードである。
また、上記IPS(In−Plane Switching)モードとは、液晶セルの一方の基板に設けた櫛形電極対に印加された横方向の電界により、液晶を基板面内で回転させて表示を行う方式である。
本発明の防眩性フィルム又は偏光板を用いた画像表示装置が、バックライト光源として白色発光ダイオードを備えたVAモード又はIPSモードであることが好ましいのは、以下の理由からである。
すなわち、本発明の画像表示装置は、表示画面に入射する割合の多い左右方向に振動する光(S偏光)の本発明の防眩性フィルム又は偏光板での反射を低減させることができるが、結果として、多くのS偏光が透過することとなる。通常、これらの透過したS偏光は、表示装置内部で吸収されるが、観測者側に戻ってくる光もごく僅かであるが存在する。VAモード又はIPSモードは、液晶セルよりも観測者側に設置された偏光子の吸収軸が左右方向であるため、本発明の防眩性フィルム又は偏光板を透過したS偏光を吸収することができ、より、観測者側に戻ってくる光を低下させることができるからである。
このため、本発明の防眩性フィルムは、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、電子ペーパー等に好適に適用することができる。
ポリエステル基材の屈折率として、二枚の偏光板を用いて、該ポリエステル基材の配向軸方向を求め、配向軸方向に対して直交する二つの軸の屈折率(nx,ny)を、アッベ屈折率計(アタゴ社製 NAR−4T)によって求めた。ここで、より大きい屈折率を示す軸を遅相軸と定義する。ポリエステル基材の厚みd(nm)は、電気マイクロメータ(アンリツ社製)を用いて測定し、単位をnmに換算した。屈折率差(nx−ny)と、ポリエステル基材の厚みd(nm)の積より、リタデーションを求めた。
また、防眩層の乾燥硬化後の膜厚の測定は、断面観察でも測定できるが、ここでは簡易的に厚さ測定装置として、ミツトヨ社製のデジマチックインジケーターIDF−130を用いて任意の10点を測定し、その平均値を防眩層の膜厚とした。
ポリエチレンテレフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精機製)にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率4.5倍に延伸した後、その延伸方向とは90度の方向に延伸倍率1.5倍にて延伸を行い、リタデーション=9900nm、膜厚=100μm、(nx−ny)=0.099のポリエステル基材を得た。
有機微粒子(親水化処理アクリル−スチレン共重合体粒子、平均粒子径2.0μm、屈折率1.55、積水化成品工業社製) 3質量部
フュームドシリカ(オクチルシラン処理;平均粒子径12nm、日本アエロジル社製)
1質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名:PETA、ダイセル・サイテック社製) 60質量部
ウレタンアクリレート(製品名:UV1700B、日本合成化学社製) 40質量部
イルガキュア184(BASFジャパン社製) 5質量部
ポリエーテル変性シリコーン(TSF4460、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製) 0.025質量部
トルエン 105質量部
イソプロピルアルコール 30質量部
シクロヘキサノン 15質量部
なお、フュームドシリカは、オクチル基を有するシラン化合物(例えば、オクチルシラン)により、シラノール基をオクチルシリル基で置換して疎水化処理されたものである。
有機微粒子の配合量を8質量部とした以外は実施例1と同様にして防眩層用組成物を調製し、該防眩層用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2に係る防眩性フィルムを製造した。
有機微粒子の配合量を1質量部とした以外は実施例1と同様にして防眩層用組成物を調製し、該防眩層用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例3に係る防眩性フィルムを製造した。
フュームドシリカの配合量を2質量部とした以外は実施例1と同様にして防眩層用組成物を調製し、該防眩層用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例4に係る防眩性フィルムを製造した。
有機微粒子を(親水化処理アクリル−スチレン共重合体粒子、平均粒子径2.0μm、屈折率1.515、積水化成品工業社製)とした以外は実施例1と同様にして防眩層用組成物を調製し、該防眩層用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例5に係る防眩性フィルムを製造した。
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムの延伸倍率を調整して、リタデーション=4400nm、膜厚=80μm、(nx−ny)=0.055のポリエステル基材を得た。得られたポリエステル基材を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例6に係る防眩性フィルムを製造した。
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムの延伸倍率を調整して、リタデーション=19000nm、膜厚=190μm、(nx−ny)=0.10のポリエステル基材を得た。得られたポリエステル基材を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例7に係る防眩性フィルムを製造した。
フュームドシリカとしてメチル処理(シラノール基をメチル基で置換して疎水化処理)のものを用いた以外は実施例1と同様にして防眩層用組成物を調製し、該防眩層用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例1に係る防眩性フィルムを製造した。
フュームドシリカを配合しない以外は実施例1と同様にして防眩層用組成物を調製し、該防眩層用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例2に係る防眩性フィルムを製造した。
フュームドシリカを配合せず、有機微粒子として親水化処理をしていないアクリル−スチレン共重合体粒子(平均粒子径2.0μm、屈折率1.55、積水化成品工業社製)8質量部を用い、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)の代わりにペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(製品名:PETIA、ダイセル・サイテック社製)を用いた以外は実施例1と同様にして防眩層用組成物を調製し、該防眩層用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例3に係る防眩性フィルムを得た。
有機微粒子の代わりにアルミノシリケート粒子(平均粒径2.0μm、屈折率1.50、水澤化学工業社製)を用い、配合量を6質量部とした以外は実施例1と同様にして防眩層用組成物を調製し、該防眩層用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例4に係る防眩性フィルムを製造した。
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)の代わりにペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(製品名:PETIA、ダイセル・サイテック社製)を用いた以外は実施例1と同様にして防眩層用組成物を調製し、該防眩層用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例5に係る防眩性フィルムを製造した。
ポリエステル基材として、リタデーション=2500nm、膜厚=75μm、(nx−ny)=0.033の東洋紡社製PETフィルム A4100を用いた以外は、実施例1と同様にして参考例1に係る防眩性フィルムを製造した。
有機微粒子として(親水化処理アクリル−スチレン共重合体粒子、平均粒子径1.0μm、屈折率1.55、積水化成品工業社製)を使用し、配合量を2質量部とした以外は実施例1と同様にして防眩層用組成物を調製し、該防眩層用組成物を用いて、硬化時の防眩層の厚みを1.5μmとした以外は、実施例1と同様にして参考例2に係る防眩性フィルムを製造した。
有機微粒子として(親水化処理アクリル−スチレン共重合体粒子、平均粒子径10μm、屈折率1.55、積水化成品工業社製)を使用し、配合量を8質量部とした以外は実施例1と同様にして防眩層用組成物を調製し、該防眩層用組成物を用いて、硬化時の防眩層の厚みを13μmとした以外は、実施例1と同様にして参考例3に係る防眩性フィルムを製造した。
全ての結果を表1に示した。
実施例、比較例にて作製した防眩性フィルムを、液晶モニター(FLATORON IPS226V(LG Electronics Japan社製))の観察者側の偏光素子上に配置し、液晶表示装置を作製した。なお、防眩性フィルムは、S偏光とポリエステル基材の進相軸とが平行で、かつ、ポリエステル基材の遅相軸と液晶モニターの観察者側の偏光素子の吸収軸とのなす角度が90°となるように配置した。
作製した液晶表示装置について、暗所及び明所(液晶モニター周辺照度400ルクス)にて、正面及び斜め方向(約50度)から目視及び偏光サングラス越しに表示画像の観察を行い、ニジムラの有無を以下の基準に従い評価した。偏光サングラス越しの観察は、目視よりも非常に厳しい評価法である。観察は10人で行い、最多数の評価を観察結果としている。
◎:ニジムラが観測されない
○:ニジムラが観測されるが、実使用上問題ないレベル
△:ニジムラが薄く観測される
×:ニジムラが強く観測される
JIS B 0601−1994に準拠して、防眩性フィルムの防眩層の表面の凹凸の平均間隔(Sm)、凹凸の算術平均粗さ(Ra)及び十点平均粗さ(Rz)を測定し、図1に示した方法で凹凸部の平均傾斜角(θa)を測定した。なお、上記Sm、Ra、θa及びRzの測定には、表面粗さ測定器:SE−3400/株式会社小坂研究所製を用い、以下の条件で測定した。
(1)表面粗さ検出部の触針:
型番/SE2555N(2μ触針)、株式会社小坂研究所製
(先端曲率半径2μm/頂角:90度/材質:ダイヤモンド)
(2)表面粗さ測定器の測定条件:
基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc:2.5mm
評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):12.5mm
触針の送り速さ:0.5mm/s
なお、通常カットオフ値は0.8mmが使用されることが多いが、本発明においては、カットオフ値を2.5mmに設定して測定を行った。その理由として、本発明における表面に凹凸形状を有する防眩性フィルムの好ましい凹凸形状としては、上記に記載しているように、外光による反射を防ぎ、さらには、画像表示装置を黒表示にした状態での優れた艶黒感(画面表示における濡れたような艶のある黒色の再現性)を得ることができる凹凸形状である。すなわち、大きくなだらかな凹凸形状を有することが好ましく、この凹凸形状を測定するには、カットオフ値を2.5mmに設定して測定することが好ましいからである。
フナテック社製の干渉縞検査ランプ(Naランプ)を用い、目視にて得られた防眩性フィルムの干渉縞の有無を検査し、下記基準で評価した。得られた防眩性フィルムは、塗工面の反対側を黒インキで塗りつぶし、塗工面に干渉縞検査ランプをあて、反射観察にて評価を行った。
◎:干渉縞の発生が見られなかった
○:干渉縞が観察されるが、極めて薄く、実使用上問題ないレベル
×:干渉縞がはっきり観察される
得られた防眩性フィルムの面ギラについて、輝度1500cd/cm2のライトボックス、140ppiのブラックマトリクスガラス、防眩性フィルムの順に下から重ねた状態にし、30cm程度の距離から上下、左右様々な角度から、被験者15人が目視評価を行った。面ギラが気になるか否かを判定し、下記の基準により評価した。
◎:良好と答えた人が10人以上
○:良好と答えた人が5〜9人
×:良好と答えた人が4人以下
得られた防眩性フィルムについて、裏面反射を防止するため、黒アクリル板、透明粘着、防眩性フィルム(粘着側は非塗工面)の順に貼付したものを照度1000Lxの明所環境下にて30Wの三波長蛍光灯下(サンプル面に、45度の角度で照射)で15人の被験者により官能評価(サンプルから50cm程度上部、45度付近の前記蛍光灯が映り込まない箇所を目視観察し、白ぼけが無く黒く見えるかを評価)を行い、下記の基準により評価した。
◎:良好と答えた人が10人以上
○:良好と答えた人が5〜9人
×:良好と答えた人が4人以下
暗所コントラストの測定では、バックライトユニットとして冷陰極管光源に拡散板を設置したものを用い、2枚の偏光板(サムスン社製 AMN−3244TP)を用い、該偏光板をパラレルニコルに設置したときに通過する光の輝度のLmaxを、クロスニコルに設置したときに通過する光の輝度のLminで割ることで、防眩性フィルム(光透過性基材+防眩層)を最表面に載置したときのコントラスト(L1)と、光透過性基材のみを最表面に載置したときのコントラスト(L2)とを求め、(L1/L2)×100(%)によりコントラスト比を算出して、暗所コントラストの評価とした。
なお、輝度の測定には、色彩輝度計(トプコン社製 BM−5A)を用い、照度が5Lx以下の暗所環境下で行った。色彩輝度計の測定角は1°に設定し、サンプル上の視野φ5mmで測定した。バックライトの光量は、サンプルを設置しない状態で、2枚の偏光板をパラレルニコルに設置したときの輝度が3600cd/m2になるように設置した。
◎:上記コントラスト比が90%以上
○:上記コントラスト比が80%以上90%未満
×:上記コントラスト比が80%未満
JIS K−5400に準拠して得られた防眩性フィルムの鉛筆硬度(ただし、500g荷重とした)を測定し、以下の基準により評価した。
○:鉛筆硬度が2H以上
×:鉛筆硬度が2H未満
なお、鉛筆硬度の測定に使用する機器としては、鉛筆硬度試験機(東洋精機社製)を用いた。該鉛筆硬度試験は、5回の鉛筆硬度試験のうち、4回以上の傷等の外観異常が認められなかった場合に使用した鉛筆についての硬度を求めた。例えば、2Hの鉛筆を用いて、5回の試験を行い、4回外観異常が生じなければ、その防眩性フィルムの鉛筆硬度は2Hである。
JIS K5600−5−1の屈曲試験で用いる円筒型マンドレル法の芯棒に得られた防眩性シートを巻きつけ、クラックの入り方で、以下の基準により評価した。
○:8mmの芯棒に巻きつけてもクラックが入らず良好
×:8mmの芯棒に巻きつけた場合クラックが入った
ソニー社製液晶テレビ「KDL−40X2500」の最表面の偏光板を剥離し、表面塗布のない偏光板を貼付した。次いで、その上に得られた防眩性フィルムを、防眩層側が最表面で、S偏光とポリエステル基材の進相軸との関係及びポリエステル基材の遅相軸と偏光素子の吸収軸との関係が、ニジムラ評価時と同じとなるように、光学フィルム用透明粘着フィルム(全光線透過率91%以上、ヘイズ0.3%以下、膜厚20〜50μmの製品、例えばMHMシリーズ:日栄加工社製など)により貼付した。該液晶テレビを、照度が約1,000Lxの環境下の室内に設置し、メディアファクトリー社のDVD「オペラ座の怪人」を表示して、液晶テレビから1.5〜2.0m程度離れた場所から上下、左右様々な角度から、該映像を被験者15人が鑑賞することで、下記項目に関して官能評価を実施した。評価基準は以下のとおりである。動画像表示のとき、コントラストが高く、立体感があり、かつ画像にテリや輝きがあり、躍動感を感じるか否かで判定した。
◎:立体感及び躍動感が全て○であった
○:立体感又は躍動感のうち一つが○でもう一つが△であった
×:立体感又は躍動感のうち少なくとも一つが×であった
なお、立体感及び躍動感は以下の基準により評価した。
立体感
○:良好と答えた人が10人以上
△:良好と答えた人が5〜9人
×:良好と答えた人が4人以下
躍動感
○:良好と答えた人が10人以上
△:良好と答えた人が5〜9人
×:良好と答えた人が4人以下
また、得られた防眩性フィルムを厚み方向に切断し、現れた断面を電子顕微鏡(STEM)観察することで、防眩層に含有される微粒子の状態を確認しところ、実施例に係る防眩性フィルムの防眩層では、シリカ微粒子は、数珠状の凝集体を形成して防眩層中に粗密に含まれるとともに、有機微粒子の周囲に密に分布していた。また、有機微粒子は、シリカ微粒子の凝集体が表面に付着するとともに、該凝集体を構成するシリカ微粒子のうちの一部が内部に含浸しており、有機微粒子同士は凝集せず、ゆるやかに集まった状態で防眩層に含有されていた。なお、図2に、実施例1に係る防眩性フィルムの断面顕微鏡写真、図3に、図2の拡大顕微鏡写真を示し、図4に、実施例2に係る防眩性フィルムの断面顕微鏡写真、図5に、図4の拡大顕微鏡写真を示した。また、有機微粒子同士がゆるやかに集まった状態を示すため、図6に図4の縮小顕微鏡写真を示した。
一方、比較例1に係る防眩性フィルムは、シリカ微粒子が有機微粒子に付着しているものの、シリカ微粒子が粗密な状態で防眩層に含まれていないため、表面親水化処理された有機微粒子同士がゆるやかに集まることなく分散してしまい、防眩層の表面に凹凸が充分に形成されず、干渉縞防止性に劣るものであった。なお、図7に、比較例1に係る防眩性フィルムの断面顕微鏡写真を示した。比較例2に係る防眩性フィルムは、シリカ微粒子が含まれておらず有機微粒子は、防眩層中で単分散状に分散しており、凹凸が充分に形成されず、干渉縞防止性に劣るものであった。比較例3に係る防眩性フィルムは、シリカ微粒子を用いずに有機微粒子により凹凸を形成させた防眩性フィルムであり、シリカ微粒子が含まれていないため、防眩層の表面の凹凸(凸部)の傾斜が急峻となり白ぼけ及びコントラスト比に劣るものであった。比較例4に係る防眩性フィルムは、有機微粒子を用いなかったため、粒子の凝集が過度に進み、大きな凸部を形成し、面ギラに劣るものであった。比較例5に係る防眩性フィルムは親水性樹脂を主とするバインダー樹脂を用いたため、有機微粒子の周りにシリカが密に分布せず、シリカ微粒子のみの凝集が大きくなった塊が凸部を形成し、面ギラが劣るものであった。
また、ポリエステル基材のΔn(遅相軸と進相軸との屈折率差)及びリタデーションが低い参考例1に係る防眩性フィルムは、ニジムラ評価にも劣るものであった。また、参考例2に係る防眩性フィルムは、好適な凹凸が形成されているものの、防眩層の膜厚が薄すぎたため、鉛筆硬度の評価に劣るものであった。参考例3に係る防眩性フィルムは、好適な凹凸が形成されているものの、防眩層の膜厚が厚すぎたため、割れ性の評価に劣るものであった。
(低屈折率層用組成物)
中空シリカ微粒子(該シリカ微粒子の固形分:20質量%、溶液;メチルイソブチルケトン、平均粒径:50nm) 40質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(ダイセル・サイテック社製) 10質量部
重合開始剤(イルガキュア127;BASFジャパン社製) 0.35質量部
変性シリコーンオイル(X22164E;信越化学工業社製) 0.5質量部
MIBK 320質量部
PGMEA 161質量部
ポリエチレンテレフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精機製)にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率4.5倍に延伸した後、その延伸方向とは90度の方向に延伸倍率1.5倍にて延伸を行い、nx=1.70、ny=1.60、膜厚80μm、リタデーション=8000nmの光透過性基材を得た。
得られた光透過性基材を用いた以外、実施例1と同様の方法にて、防眩性フィルムを製造し、液晶モニター(FLATORON IPS226V(LG Electronics Japan社製))の観察者側の偏光素子上に、防眩層を観測者側となるように防眩性フィルムを設置し、周辺照度400ルクス(明所)において、正面及び斜め方向(約50度)から目視及び偏光サングラス越しに表示画像の観察を行い、ニジムラを評価した。
実施例8の場合、表示画面に入射する割合の多い該表示画面に対して左右方向に振動するS偏光と、防眩性フィルムの進相軸を平行(防眩性フィルムの遅相軸が、表示画面の上下方向と平行)となるように設置し、比較例6の場合、S偏光と防眩性フィルムの遅相軸を平行に設置し、目視評価を行った。その結果、実施例8は、比較例6よりも、明所コントラストも優れたものであり、ニジムラも無かった。比較例6は、ニジムラは見られないが、実施例8と比較して明所コントラストに劣るものであった。
なお、図8に、使用した液晶モニターのバックライト光源スペクトルを示す。
ポリエチレンテレフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精機製)にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率4.5倍に延伸した後、その延伸方向とは90度の方向に延伸倍率1.8倍にて延伸を行い、nx=1.68、ny=1.62、膜厚80μm、リタデーション=4800nmの光透過性基材を得た。
得られた光透過性基材を用いた以外、実施例1と同様の方法にて、防眩性フィルムを得た。得られた防眩性フィルムを用いて、実施例9では、S偏光と防眩性フィルムの進相軸を平行に設置して測定し、比較例7では、S偏光と防眩性フィルムの遅相軸とを平行に設置して評価を行った。
実施例8と同様にして評価した実施例9の明所コントラストは、比較例7よりも良好であり、ニジムラもなかった。一方、比較例7では、ニジムラは見られないが、実施例9と比較して明所コントラストに劣るものであった。
Claims (11)
- 面内に複屈折率を有する光透過性基材の一方の面上に、表面に凹凸形状を有する防眩層を有する防眩性フィルムを備えた画像表示装置であって、
前記防眩性フィルムは、画像表示装置の表面に配置して用いられ、
前記防眩層は、シリカ微粒子、有機微粒子及びバインダー樹脂を含有し、
前記シリカ微粒子は、凝集体を形成して前記防眩層中に粗密に含有されたものを有し、
前記シリカ微粒子の凝集体は、前記有機微粒子の周囲に密に分布しており、該有機微粒子の周囲に密に分布したシリカ微粒子の凝集体の一部は、前記有機微粒子の表面に付着及び/又は前記凝集体を構成するシリカ微粒子のうちの一部が前記有機微粒子の内部に含浸しており、
前記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸が、前記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置され、
前記光透過性基材は、屈折率が大きい方向である遅相軸方向の屈折率(nx)と、前記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率(ny)との差(nx−ny)が、0.05以上である
ことを特徴とする画像表示装置。
なお、前記「防眩層中で粗密に分布している」とは、前記防眩層には、前記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が5%以上である領域)と、前記シリカ微粒子の凝集体が粗に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が1%未満である領域)が複数存在していることを意味する。
なお、前記「有機微粒子の周囲に前記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している」とは、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率2万倍の条件で防眩層の厚み方向の前記有機微粒子が観察される断面を顕微鏡観察したときに、前記有機微粒子から200nm外側の円周内でかつ前記有機微粒子を除いた領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が10%以上である状態を意味する。
なお、前記「前記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸が、前記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置される」とは、前記遅相軸が、前記表示画面の上下方向に対して±45°未満の範囲で防眩性フィルムが画像表示装置に配置された状態を意味する。また、前記「画像表示装置の表示画面の上下方向」とは、前記画像表示装置を表示画面が床面に対して垂直となるように設置した場合における該表示画面の上下方向、すなわち、前記表示画面の床面に対して垂直な方向を意味する。 - 面内に複屈折率を有する光透過性基材の一方の面上に、表面に凹凸形状を有する防眩層を有する防眩性フィルムを備えた画像表示装置であって、
前記防眩性フィルムは、画像表示装置の表面に配置して用いられ、
前記防眩層は、シリカ微粒子、有機微粒子及びバインダー樹脂を含有し、
前記シリカ微粒子は、凝集体を形成して前記防眩層中に粗密に含有されたものを有し、
前記シリカ微粒子の凝集体は、前記有機微粒子の周囲に密に分布しており、該有機微粒子の周囲に密に分布したシリカ微粒子の凝集体の一部は、前記有機微粒子の表面に付着及び/又は前記凝集体を構成するシリカ微粒子のうちの一部が前記有機微粒子の内部に含浸しており、
前記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸が、前記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置され、
前記光透過性基材は、面内リタデーションが3000nm以上である
ことを特徴とする画像表示装置。
なお、前記「防眩層中で粗密に分布している」とは、前記防眩層には、前記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が5%以上である領域)と、前記シリカ微粒子の凝集体が粗に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が1%未満である領域)が複数存在していることを意味する。
なお、前記「有機微粒子の周囲に前記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している」とは、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率2万倍の条件で防眩層の厚み方向の前記有機微粒子が観察される断面を顕微鏡観察したときに、前記有機微粒子から200nm外側の円周内でかつ前記有機微粒子を除いた領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が10%以上である状態を意味する。
なお、前記「前記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸が、前記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置される」とは、前記遅相軸が、前記表示画面の上下方向に対して±45°未満の範囲で防眩性フィルムが画像表示装置に配置された状態を意味する。また、前記「画像表示装置の表示画面の上下方向」とは、前記画像表示装置を表示画面が床面に対して垂直となるように設置した場合における該表示画面の上下方向、すなわち、前記表示画面の床面に対して垂直な方向を意味する。 - シリカ微粒子は、表面処理されている請求項1又は2記載の画像表示装置。
- シリカ微粒子の凝集体は、平均粒子径が100nm〜1μmである請求項1、2又は3記載の画像表示装置。
なお、前記シリカ微粒子の凝集体の平均粒子径は、断面電子顕微鏡による観察(1万〜2万倍程度)からシリカ微粒子の凝集体が多く含まれる5μm四方の領域を選び、その領域中のシリカ微粒子の凝集体の粒子径を測定し、上位10個のシリカ微粒子の凝集体の粒子径を平均したものである。 - バインダー樹脂は、分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーを主材料とする請求項1、2、3又は4記載の画像表示装置。
- 有機微粒子は、表面親水化処理されている請求項1、2、3、4又は5記載の画像表示装置。
- 面内に複屈折率を有する光透過性基材は、ポリエステル基材である請求項1、2、3、4、5又は6記載の画像表示装置。
- JIS K−7136に基づく全へイズが5.0%未満である請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の画像表示装置。
- 面内に複屈折率を有する光透過性基材の一方の面上に、表面に凹凸形状を有する防眩層を有する防眩性フィルムが偏光素子上に設けられた偏光板を備えた画像表示装置であって、
前記防眩層は、シリカ微粒子、有機微粒子及びバインダー樹脂を含有し、
前記シリカ微粒子は、凝集体を形成して前記防眩層中に粗密に含有されたものを有し、
前記シリカ微粒子の凝集体は、前記有機微粒子の周囲に密に分布しており、該有機微粒子の周囲に密に分布したシリカ微粒子の凝集体の一部は、前記有機微粒子の表面に付着及び/又は前記凝集体を構成するシリカ微粒子のうちの一部が前記有機微粒子の内部に含浸しており、
前記防眩性フィルムと前記偏光素子とは、前記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸と、前記偏光素子の吸収軸とが垂直となるように配置され、
前記面内に複屈折率を有する光透過性基材は、屈折率が大きい方向である遅相軸方向の屈折率(nx)と、前記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率(ny)との差(nx−ny)が、0.05以上である
ことを特徴とする画像表示装置。
なお、前記「防眩層中で粗密に分布している」とは、前記防眩層には、前記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が5%以上である領域)と、前記シリカ微粒子の凝集体が粗に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が1%未満である領域)が複数存在していることを意味する。
なお、前記「有機微粒子の周囲に前記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している」とは、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率2万倍の条件で防眩層の厚み方向の前記有機微粒子が観察される断面を顕微鏡観察したときに、前記有機微粒子から200nm外側の円周内でかつ前記有機微粒子を除いた領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が10%以上である状態を意味する。
なお、前記「前記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸が、前記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置される」とは、前記遅相軸が、前記表示画面の上下方向に対して±45°未満の範囲で防眩性フィルムが画像表示装置に配置された状態を意味する。また、前記「画像表示装置の表示画面の上下方向」とは、前記画像表示装置を表示画面が床面に対して垂直となるように設置した場合における該表示画面の上下方向、すなわち、前記表示画面の床面に対して垂直な方向を意味する。 - 面内に複屈折率を有する光透過性基材の一方の面上に、表面に凹凸形状を有する防眩層を有する防眩性フィルムが偏光素子上に設けられた偏光板を備えた画像表示装置であって、
前記防眩層は、シリカ微粒子、有機微粒子及びバインダー樹脂を含有し、
前記シリカ微粒子は、凝集体を形成して前記防眩層中に粗密に含有されたものを有し、
前記シリカ微粒子の凝集体は、前記有機微粒子の周囲に密に分布しており、該有機微粒子の周囲に密に分布したシリカ微粒子の凝集体の一部は、前記有機微粒子の表面に付着及び/又は前記凝集体を構成するシリカ微粒子のうちの一部が前記有機微粒子の内部に含浸しており、
前記防眩性フィルムと前記偏光素子とは、前記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸と、前記偏光素子の吸収軸とが垂直となるように配置され、
前記面内に複屈折率を有する光透過性基材は、面内リタデーションが3000nm以上である
ことを特徴とする画像表示装置。
なお、前記「防眩層中で粗密に分布している」とは、前記防眩層には、前記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が5%以上である領域)と、前記シリカ微粒子の凝集体が粗に分布している領域(電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときに、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が1%未満である領域)が複数存在していることを意味する。
なお、前記「有機微粒子の周囲に前記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している」とは、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率2万倍の条件で防眩層の厚み方向の前記有機微粒子が観察される断面を顕微鏡観察したときに、前記有機微粒子から200nm外側の円周内でかつ前記有機微粒子を除いた領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が10%以上である状態を意味する。
なお、前記「前記光透過性基材の屈折率が大きい方向である遅相軸が、前記画像表示装置の表示画面の上下方向と平行に配置される」とは、前記遅相軸が、前記表示画面の上下方向に対して±45°未満の範囲で防眩性フィルムが画像表示装置に配置された状態を意味する。また、前記「画像表示装置の表示画面の上下方向」とは、前記画像表示装置を表示画面が床面に対して垂直となるように設置した場合における該表示画面の上下方向、すなわち、前記表示画面の床面に対して垂直な方向を意味する。 - バックライト光源として白色発光ダイオードを備えたVAモード又はIPSモードの液晶表示装置である請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の画像表示装置。
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