JP2012123040A - 位相差層付偏光板 - Google Patents

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Abstract

【課題】パターン化された位相差層の寸法変化が小さく、立体画像表示のクロストークを低減し得る位相差層付偏光板を提供すること。
【解決手段】本発明の位相差層付偏光板は、3次元液晶表示装置の視認側に用いられる位相差層付偏光板である。この位相差層付偏光板は、偏光子と、偏光子の少なくとも視認側に配置された保護層と、視認側に配置された保護層のさらに視認側に接着層を介して配置された位相差層とを有する。位相差層は、それぞれが異なる方向に遅相軸を有する複数の領域を所定のパターンで有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、位相差層付偏光板に関する。より詳細には、本発明は、パターン化された位相差層の寸法変化が小さく、立体画像表示のクロストークを低減し得る位相差層付偏光板に関する。
従来、立体(3次元)画像表示に関する技術について、数多くの研究がなされ実用化されている。立体表示の基本原理は、観測者の左右の眼に異なる画像を提供することによるものである。立体画像表示に関する技術としては、代表的には、観測者に特殊な眼鏡等を装着させる眼鏡方式と、眼鏡等を装着しない裸眼方式とが挙げられる。眼鏡方式においては、液晶セルの1ライン毎に左右異なる映像を順次出力する時分割方式と、液晶セルの1ライン毎に偏光方向の異なる左右の映像を出力する空間分割方式とがある。空間分割方式においては、液晶セルの1ライン毎に偏光方向の異なる左右の映像を出力するために、液層セルの1ライン毎に対応したパターン状の位相差を発現させる必要がある。パターン状の位相差を発現させる手段として、遅相軸方向が異なる領域をパターン状に有する位相差板(パターンリターダー)が知られている(例えば、特許文献1)。
従来の立体(3次元)画像表示用液晶表示装置においては、視認側偏光板のさらに視認側に配置されている前面板に上記のようなパターンリターダーが配置される。しかし、このような構成では、全体の厚みが厚くなってしまう、高コストになる、などの問題がある。
このような問題を解決する手段として、パターンリターダーの機能を視認側偏光板の視認側保護フィルムに付与することが考えられる。しかし、偏光板(実質的には、偏光子)は加熱や加湿等の条件下における寸法変化が大きく、それに付随してパターンリターダーの寸法も変化してしまう場合が多い。その結果、パターンリターダーのパターンと液晶セルのラインとが対応しなくなってしまい、クロストークが発生するという問題が生じ得る。なお、クロストークとは、左右の画像のそれぞれが他方の画像に混入することである。
特許第3372016号
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、パターン化された位相差層の寸法変化が小さく、立体画像表示のクロストークを低減し得る位相差層付偏光板を提供することにある。
本発明の位相差層付偏光板は、3次元液晶表示装置の視認側に用いられる位相差層付偏光板であって、偏光子と、偏光子の少なくとも視認側に配置された保護層と、該視認側に配置された保護層のさらに視認側に接着層を介して配置された位相差層とを有し、該位相差層が、それぞれが異なる方向に遅相軸を有する複数の領域を所定のパターンで有する。
好ましい実施形態においては、上記位相差層の面内位相差Re(590)は、90nm〜190nmである。
好ましい実施形態においては、上記位相差層の上記所定パターンは、異なる方向に遅相軸を有する2つの領域が交互に配置されたストライプ状である。
好ましい実施形態においては、上記異なる方向に遅相軸を有する2つの領域は、それぞれ、液晶セルの1ラインに対応する。
好ましい実施形態においては、上記視認側に配置された保護層は、セルロース系樹脂フィルムで構成されている。
本発明によれば、偏光子との間に特定の保護層および特定の接着層を介してパターン化された位相差層を配置することにより、パターン化された位相差層の寸法変化が小さく、立体画像表示のクロストークを低減し得る位相差層付偏光板を得ることができる。
本発明の好ましい実施形態による位相差層付偏光板の概略断面図である。 本発明の好ましい実施形態による位相差層付偏光板における位相差層のパターンの一例を説明する概略平面図である。 実施例および比較例の位相差層付偏光板についての寸法変化の測定手順を説明するための概略図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
A.位相差層付偏光板の全体構成
本発明の位相差層付偏光板は、3次元液晶表示装置の視認側に用いられる。図1は、本発明の好ましい実施形態による位相差層付偏光板の概略断面図である。位相差層付偏光板100は、偏光子10と、偏光子10の視認側に配置された保護層21と、必要に応じて偏光子10の液晶セル側に配置された保護層22と、保護層21のさらに視認側に配置された位相差層30と、を有する。位相差層30は、接着層40を介して保護層21に貼り合わせられている。位相差層30は、それぞれが異なる方向に遅相軸を有する複数の領域を所定のパターンで有する。保護層22は、目的や液晶セルと本発明の位相差層付偏光板との間に配置され得る位相差板の種類に応じて省略されてもよい。以下、位相差層付偏光板のそれぞれの構成部材について詳細に説明する。
B.偏光子
偏光子10としては、目的に応じて任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、1〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させて一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいてもよいし、ヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。
ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行ってもよいし、染色しながら延伸してもよいし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
C.保護層
保護層21および22は、偏光板の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
保護層21は、好ましくはセルロース系樹脂で構成され、さらに好ましくはTACで構成される。保護層21としてセルロース系樹脂(特に、TAC)を用いることにより、偏光子10の寸法変化による位相差層30の寸法変化が顕著に抑制され、結果として、立体画像表示のクロストークが良好に低減され得る。保護層21は、光学的に等方性を有することが好ましい。特に、面内位相差Reが小さいことが好ましい。偏光子を通過した直線偏光は代表的には位相差層30によって円偏光に変換されるところ、保護層21の面内位相差が小さいほど良好な円偏光への変換が実現でき、結果として、優れた立体画像表示が実現できる。具体的には、保護層21の面内位相差Re(590)は、好ましくは0nm以上20nm以下、さらに好ましくは0nm以上10nm以下、特に好ましくは0nm以上6nm以下である。保護層21の厚み方向の位相差Rth(590)は、好ましくは−100nm〜+100nm、さらに好ましくは−70nm〜+70nm、特に好ましくは−50nm〜+50nmである。さらに、保護層21の光弾性係数(590)は、好ましくは5.0×10−11m/N以下、さらに好ましくは3.0×10−11m/N以下である。保護層21の光弾性係数がこのような範囲であれば、立体画像表示への悪影響を抑制することができる。なお、面内位相差Reおよび厚み方向位相差Rthは、それぞれ、以下の式で求められる:
Re(λ)=(nx−ny)×d
Rth(λ)=(nx−nz)×d
ここで、nxは基材フィルムの遅相軸方向の屈折率であり、nyは基材フィルムの進相軸方向の屈折率であり、nzは基材フィルムの厚み方向の屈折率であり、d(nm)は基材フィルムの厚みである。λは、測定に用いる光の波長(nm)である。遅相軸は、フィルム面内の屈折率が最大になる方向をいい、進相軸は、面内で遅相軸に垂直な方向をいう。
D.位相差層
位相差層30は、代表的には、λ/4板として機能し得る。λ/4板は、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または、円偏光を直線偏光に)変換し得る。このような位相差層30の面内位相差Re(590)は、好ましくは90nm〜190nmであり、より好ましくは110nm〜170nmであり、さらに好ましくは130nm〜150nmである。位相差層30は、好ましくは、nx>ny>nzまたはnx>ny=nzの屈折率楕円体を有する。本明細書において、「ny=nz」は、nyとnzが厳密に等しい場合のみならず、nyとnzが実質的に等しい場合も包含する。
位相差層30は、上記のとおり、それぞれが異なる方向に遅相軸を有する複数の領域を所定のパターンで有する。パターンの代表例としては、ストライプ状、チェッカー状、モザイク状が挙げられる。このような構成を有することにより、観測者の左右の眼に異なる画像を提供することができ、結果として、3次元(立体)画像を提供することができる。なお、本明細書において例えば「面内位相差Re(590)が140nmである」とは、当該複数の領域の面内位相差がそれぞれ140nmであることを意味する。代表的には、位相差層30は、それぞれが異なる方向に遅相軸を有する2つの領域を所定のパターンで有する。代表的には、当該2つの領域の遅相軸方向は、互いに実質的に直交している。このような構成であれば、当該2つの領域が偏光方向の異なる画像を提供することができ、結果として、良好な3次元画像を提供することができる。
好ましくは、位相差層30の上記所定パターンは、図2に示すように、異なる方向に遅相軸を有する2つの領域31および32が交互に配置されたストライプ状である。ストライプの方向は、表示画面の水平方向(左右方向)であってもよく、垂直方向(上下方向)であってもよい。上記と同様に、当該ストライプ状の2つの領域の遅相軸方向は、互いに実質的に直交している。好ましくは、当該異なる方向に遅相軸を有する2つの領域は、それぞれ、液晶セルの1ラインに対応する。言い換えれば、ストライプ状パターンにおけるストライプの幅は、液晶セルの1ラインに対応する。本明細書において「液晶セルの1ライン」とは、マトリクス状に配列された画素の垂直方向または水平方向の一列をいう。ストライプ状パターンは、好ましくは、隣接する領域同士の間にブラックストライプを有する。ブラックストライプは、好ましくは、液晶セルのブラックマトリクスに対応する位置に形成され得る。ブラックストライプを設けることにより、クロストークがさらに低減され得る。
位相差層30における上記遅相軸方向が異なるそれぞれの領域の遅相軸方向は、好ましくは、上記偏光子の吸収軸方向と±45°の関係である。位相差層30の面内位相差が上記の好適な範囲であって、さらに、それぞれの領域の遅相軸方向と偏光子の吸収軸方向とがこのような関係であれば、左目用画像および右目用画像の両方が良好な円偏光となるので、良好な立体画像表示を実現することができる。
1つの実施形態においては、位相差層30は、基材フィルム上に、光硬化型液晶ポリマーを異なる配向状態で固定することにより形成された、それぞれが異なる方向に遅相軸を有する複数の領域を有する。このような位相差層は、例えば、以下のようにして形成される:まず、基材フィルム上に光配光膜を形成し、偏光露光法を用いて所定の方向に配向規制力を付与する。例えば、液晶セルの1ライン毎にストライプの方向に対して交互に+45°、−45°の配向規制力が与えられた領域を有する光配向膜を形成する。次いで、当該光配向膜上に光硬化型液晶ポリマー層を形成し、当該光硬化型液晶ポリマー層に紫外線を照射して液晶ポリマーの配向状態を固定することにより、それぞれが異なる方向に遅相軸を有する複数の領域(例えば、液晶セルの1ライン毎にストライプの方向に対して交互に+45°、−45°の遅相軸方向を有する2つの領域)を形成する。当該領域の面内位相差は、位相差層全体の面内位相差が上記好適範囲となるように、基材フィルムの面内位相差を考慮して調整され得る。
基材フィルムの線膨張係数は、好ましくは5.0×10−4(1/℃)以下であり、より好ましくは1.0×10−4(1/℃)以下である。基材フィルムを構成する材料としては、例えば、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂が挙げられる。環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとの共重合体(代表的には、ランダム共重合体)、および、これらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト変性体、ならびに、それらの水素化物が挙げられる。環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン系モノマーが挙げられる。上記ポリカーボネート系樹脂としては、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切なポリカーボネート系樹脂が用いられる。例えば、芳香族2価フェノール成分とカーボネート成分とからなる芳香族ポリカーボネートが好ましく用いられる。
別の実施形態においては、位相差層30は、光異性化物質を含有する高分子材料から形成され得る。光異性化物質は、光照射等により構造異性体または立体異性体を生じるので、所定のパターンで光照射を行うことにより、遅相軸方向が異なる領域を所定のパターンで形成することができる。光異性化物質は、代表的には、光異性化性官能基を有する任意の適切なフォトクロミック化合物である。具体例としては、アゾベンゼン系化合物、ベンズアルドキシム系化合物、アゾメチン系化合物、スチルベン系化合物、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、フルギド系化合物、ジアリールエテン系化合物、ケイ皮酸系化合物、レチナール系化合物、およびヘミチオインジコ系化合物が挙げられる。好ましくは、アゾベンゼン系化合物、スピロピラン系化合物、およびケイ皮酸系化合物であり、特に好ましくはケイ皮酸系化合物である。また、光異性化物質は、モノマーであってもよく、ポリマーであってもよい。
上記高分子材料としては、任意の適切な高分子材料が採用され得る。さらに、高分子材料は、好ましくは、重合性樹脂を含有し得る。重合性樹脂を含有することにより、光異性化物質の配向を固定することができる。より詳細には、重合性樹脂は、一旦、光照射または加熱によって光異性化物質の配向を固定するように重合した後は、さらなる光照射または加熱が行われても、光異性化物質の所望でない構造異性化を引き起こさない役割を果たし得る。すなわち、重合性樹脂は、位相差層において固定された遅相軸方向を常に安定に保持し得る。このような重合性樹脂としては、例えば、不飽和二重結合を有する化合物、親電子基を有する化合物、求核基を有する化合物、および、重合性液晶構造を有する化合物が挙げられる。
光異性化物質を含有する高分子材料を用いた位相差層の形成方法について簡単に説明する。まず、上記光異性化物質、高分子材料、および必要に応じて重合成樹脂を含む組成物から、前処理シートが形成される。前処理シートの成形方法としては、任意の適切な方法(例えば、溶液流延法、溶融製膜法(溶融押出し法)、塗布法)が採用され得る。例えば、溶融製膜法を行う場合、上記組成物を所定温度で溶融し、ダイから冷却ロールにキャストすることにより、前処理シートが作製され得る。前処理シートは、未延伸の状態で使用されることもあるが、好ましくは所定の方向に一軸延伸され得る。一軸延伸を行うことにより、後述の光照射によって、複数の領域のそれぞれの遅相軸方向をさらに均一に揃えることができる。一軸延伸の方法および条件(例えば、延伸倍率および延伸温度)は、当業者により適切に選択され得る。
次いで、前処理シートに照射強度分布を有する光を照射して、遅相軸方向がそれぞれ異なる複数の領域が形成される。照射強度分布を有する光を照射する方法としては、代表的には、所定のパターンを有するマスクを介して光を照射する方法が挙げられる。照射光は、好ましくは直線偏光である。このようにして、それぞれが異なる方向に遅相軸を有する複数の領域を所定のパターンで有する位相差層を形成することができる。
なお、光異性化物質を含有する高分子材料を用いる位相差層(位相差フィルム)の詳細については、特許第3372016号に記載されており、当該記載は本明細書に参考として援用される。
位相差層30は上記の形態に限られず、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切な形態が採用され得る。例えば、ポリビニルアルコールフィルムを面内で選択的に非晶化させて所定のパターン(例えば、1ライン毎に遅相軸方向の異なる領域が交互に配されたストライプパターン)を形成した、所定の位相差(例えば、1/2波長の位相差)に対応したパターンリターダーフィルム;所定の波長(例えば、1/2波長)の領域が所定のパターン(例えば、ストライプパターン)で形成された層上に、パターン化されていない所定の波長(例えば、1/4波長)の位相差層を設けたパターンリターダーフィルム;が位相差層として用いられ得る。
E.接着層
本明細書において、「接着層」とは、隣り合う光学部材の面と面とを接合し、実用上十分な接着力と接着時間で一体化させるものをいう。接着層40を形成する材料としては、例えば、粘着剤、接着剤、アンカーコート剤が挙げられる。上記接着層は、被着体の表面にアンカーコート層が形成され、その上に接着剤層が形成されたような、多層構造であってもよい。また、肉眼的に認知できないような薄い層(ヘアーラインともいう)であってもよい。
接着層の厚みは、目的に応じて適切に設定され得る。厚みは、好ましくは2μm〜50μmであり、さらに好ましくは2μm〜40μmであり、特に好ましくは5μm〜35μmである。このような範囲内に厚みを設定することにより、適切な接着性を有する接着層を得ることができる。
接着層の20℃におけるせん断弾性率は、好ましくは30000Pa〜1100000Paであり、より好ましくは40000Pa〜1000000Paであり、さらに好ましくは50000Pa〜900000Paであり、特に好ましくは50000Pa〜90000Paである。
接着層の23℃における波長590nmの光で測定した透過率は、好ましくは90%以上である。透過率の理論上の上限は100%であり、実用的な上限は96%である。
接着層のゲル分率は、好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは75%〜90%であり、特に好ましくは80%〜85%である。ゲル分率をこのような範囲とすることによって、良好な粘着特性を有する接着層が得られ得る。ゲル分率は、用いる架橋剤の種類、含有量等によって、調節することが可能である。
接着層のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−70℃〜−10℃であり、さらに好ましくは−60℃〜−15℃であり、特に好ましくは−50℃〜−20℃である。ガラス転移温度をこのような範囲とすることによって、位相差層に対して強固な接着性を有する接着層を得ることができる。
接着層の水分率は、好ましくは1.0%以下であり、さらに好ましくは0.8%以下であり、特に好ましくは0.6%以下であり、最も好ましくは0.4%以下である。水分率の理論上の下限値は0である。水分率をこのような範囲とすることによって、高温環境下でも発泡の生じにくい接着層を得ることができる。
接着層40は、好ましくは、アクリル系粘着剤で構成される。アクリル系粘着剤は、好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマーと過酸化物とを含む。(メタ)アクリル系ポリマーは、アクリレート系モノマーおよび/またはメタクリレート系モノマーから合成される重合体または共重合体をいう。(メタ)アクリル系ポリマーが共重合体である場合、その分子の配列状態は特に制限はなく、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。上記(メタ)アクリル系ポリマーの好ましい分子配列状態は、ランダム共重合体である。
上記過酸化物としては、加熱によりラジカルを発生させて(メタ)アクリル系ポリマーの架橋を達成できるかぎり、任意の適切な過酸化物が用いられ得る。過酸化物としては、例えば、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類が挙げられる。過酸化物の配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して好ましくは0.01重量部〜1重量部であり、さらに好ましくは0.05重量部〜0.8重量部であり、特に好ましくは0.1重量部〜0.5重量部であり、最も好ましくは0.15〜0.45重量部である。過酸化物の配合量をこのような範囲とすることで、適度な応力緩和性および優れた熱安定性を有する接着層が得られ得る。
F.その他
本発明の位相差層付偏光板においては、上記位相差層の視認側に、目的に応じて任意の適切な表面処理層を形成してもよい。表面処理層の代表例としては、アンチグレア層、反射防止層およびハードコート層が挙げられる。
アンチグレア層は、画像表示装置の表面で外光が反射することによる透過光の視認性低下の防止等を目的として設けられる。アンチグレア層は、形成されるフィルム表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。アンチグレア層を形成する材料としては、代表的には、透明樹脂が挙げられる。具体例としては、イソシアヌル酸トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのようなアクリル系樹脂、イソホロンジイソシアネートポリウレタンのようなウレタン系樹脂を含有する紫外線硬化型樹脂が挙げられる。微細凹凸構造の付与は、任意の適切な方式で行われる。代表例としては、粗面化(例えば、サンドブラスト、エンボス加工)、微粒子の配合が挙げられる。微粒子を用いる場合、当該微粒子としては、目的に応じて任意の適切な微粒子が採用され得る。好ましくは、透明微粒子である。具体的には、微粒子は、無機系微粒子(例えば、導電性であり得るシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウムまたは酸化アンチモン微粒子)であってもよく、有機系微粒子(例えば、架橋または未架橋のポリマー微粒子)であってもよい。微粒子の平均粒径は、好ましくは0.5μm〜20μmである。微粒子の配合量は、透明樹脂100重量部に対して、好ましくは2重量部〜70重量部であり、より好ましくは5重量部〜50重量部である。
ハードコート層は、画像表示装置の表面に配置される偏光板等の表面の傷付き防止等を目的として設けられる。ハードコート層は、適切な硬度および滑り性を有する硬化膜で構成される。ハードコート層を形成する材料としては、上記アンチグレア層を形成するアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂に加えて、シリコーン系樹脂が挙げられる。
反射防止層は、画像表示装置の表面での外光の反射防止を目的として設けられる。反射防止層としては、当業界で通常用いられている反射防止層が採用され得る。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。また、実施例において、特に明記しない限り、「部」および「%」は重量基準である。
<実施例1>
厚み60μmのポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする高分子フィルム(クラレ(株)製 商品名「VF−PE#6000」)を、下記(1)〜(5)の条件の5浴に、フィルム長手方向に張力を付与しながら浸漬し、最終的な延伸倍率がフィルム元長に対して、6.2倍となるように延伸した。この延伸フィルムを40度の空気循環式乾燥オーブン内で1分間乾燥させて、偏光子を作製した。
<条件>
(1)膨潤浴:30度の純水。
(2)染色浴:水100重量部に対し、0.035重量部のヨウ素と、水100重量部に対し、0.2重量部のヨウ化カリウムとを含む、30度の水溶液。
(3)第1の架橋浴:3重量%のヨウ化カリウムと、3重量%のホウ酸とを含む、40度の水溶液。
(4)第2の架橋浴:5重量%のヨウ化カリウムと、4重量%のホウ酸とを含む、60度の水溶液。
(5)水洗浴:3重量%のヨウ化カリウムを含む、25度の水溶液。
一方、遅相軸方向が異なる2つの領域をストライプパターンで有する位相差フィルムを以下のようにして作製した。ノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名「ZEONOR」)の上に光配光膜を形成し、偏光露光法を用いて液晶セルの1ライン毎にストライプの方向に対して+45°、−45°の配向規制力を与え、当該光配向膜上に所定の複屈折率と膜厚とを有する光硬化型液晶ポリマー層を形成した。次いで、紫外線を照射して光硬化型液晶ポリマーを硬化させ、その配向状態を固定することにより、遅相軸方向が異なる2つの領域をストライプパターンで有する、λ/4板に対応する位相差フィルム(パターンリターダーフィルム)を作製した。
上記で得られた偏光子の一方の面に、内側(液晶セル側)保護層としてTACフィルム(コニカミノルタオプト社製、商品名「KC4KR−1」、厚み41μm、Re(590)=52nm、Rth(590)=125nm)を、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性接着剤(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を介して貼り合わせた。ここで、当該TACフィルムは面内位相差がゼロではないので遅相軸を発現する。本実施例においては、TACフィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸とが直交するようにして貼り合わせた。さらに、偏光子のもう一方の面には、視認側保護層としてTACフィルム(富士フイルム社製、商品名「TD80UL」、厚み80μm、Re(590)=4nm、Rth(590)=45nm)を、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性接着剤(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を介して貼り合わせた。次いで、視認側保護層表面に、アクリル系粘着剤(厚み23μm)を介して、上記で得られたパターンリターダーフィルムを貼り合わせた。このようにして、位相差層付偏光板を得た。
得られた位相差層付偏光板を、吸収軸方向が長辺となるようにして680mm×430mmにカットして測定試料を作成した。この測定試料について、図3に×印で示す12ヶ所にマーキングし、6つの距離(矢印a〜fの距離)を測定した。次いで、この測定試料を70℃の高温環境下で240時間放置した後、室温に戻し、矢印a〜fの距離を測定した。高温処理前後の矢印a〜fの距離の差を算出し、寸法変化の指標とした。結果を表1に示す。
また、市販の液晶表示装置(日本ビクター株式会社製、商品名「GD−463D10」)から液晶セルを取り出し、当該液晶セルの視認側に上記で得られた位相差層付偏光板を貼り合わせた。液晶セルの視認側と反対側には、市販の偏光板(日東電工社製、商品名「VEGQ1724NTB−K1」)を貼り合わせた。このようにして得られた液晶表示装置で画像を表示したところ、良好な3次元画像を観測することができた。
<比較例1>
視認側保護層を用いず、偏光子に実施例1で用いたノルボルネン系樹脂フィルムを貼り付けたこと以外は実施例1と同様にして、位相差層付偏光板を得た。得られた位相差層付偏光板について、実施例1と同様にして寸法変化を測定した。結果を表1に示す。さらに、得られた位相差層付偏光板について、実施例1と同様にして3次元画像を観測したところ、クロストークが認められた。
Figure 2012123040
表1から明らかなように、本発明の実施例によれば、位相差層(パターンレターダー)の寸法変化が顕著に抑制される。
本発明の位相差層付偏光板は、液晶表示装置に好適に用いられ得、特に、3次元液晶表示装置の視認側偏光板として好適に用いられ得る。
10 偏光子
21 保護層
22 保護層
30 位相差層
40 接着層
100 位相差層付偏光板

Claims (5)

  1. 3次元液晶表示装置の視認側に用いられる位相差層付偏光板であって、
    偏光子と、該偏光子の少なくとも視認側に配置された保護層と、該視認側に配置された保護層のさらに視認側に接着層を介して配置された位相差層とを有し、
    該位相差層が、それぞれが異なる方向に遅相軸を有する複数の領域を所定のパターンで有する
    位相差層付偏光板。
  2. 前記位相差層の面内位相差Re(590)が、90nm〜190nmである、請求項1に記載の位相差層付偏光板。
  3. 前記位相差層の前記所定パターンが、異なる方向に遅相軸を有する2つの領域が交互に配置されたストライプ状である、請求項1または2に記載の位相差層付偏光板。
  4. 前記異なる方向に遅相軸を有する2つの領域が、それぞれ、液晶セルの1ラインに対応する、請求項1から3のいずれかに記載の位相差層付偏光板。
  5. 前記視認側に配置された保護層が、セルロース系樹脂フィルムで構成されている、請求項1から4のいずれかに記載の位相差層付偏光板。

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