JP2008139806A - 積層光学フィルム、積層光学フィルムを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の積層光学フィルムは、偏光子と、屈折率楕円体がnx>nz>nyの関係を示し、面内位相差Re1が200〜300nmである第1の光学補償層と、屈折率楕円体がnx>ny=nzの関係を示し、面内位相差Re2が90〜160nmである第2の光学補償層と、屈折率楕円体がnx=ny>nzの関係を示す第3の光学補償層とを少なくともこの順で備える。
【選択図】図1
Description
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
面内位相差(Re)は、23℃、特に明記しなければ波長590nmにおける層(フィルム)の面内位相差値をいう。Reは、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、Re=(nx−ny)×dによって求められる。なお、本明細書において、Re(550)と示したときは、波長550nmにおける層(フィルム)の面内位相差をいう。また、本明細書に記載される用語や記号に付される添え字の「1」は第1の光学補償層を表し、添え字の「2」は第2の光学補償層を表し、添え字の「3」は第3の光学補償層を表す。例えば、第1の光学補償層の面内位相差をRe1と示す。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
厚み方向の位相差(Rth)は、23℃、特に明記しなければ波長590nmにおける層(フィルム)の厚み方向の位相差値をいう。Rthは、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、Rth=(nx−nz)×dによって求められる。なお、本明細書において、Rth(550)と示したときは、波長550nmにおける層(フィルム)の厚み方向の位相差をいう。また、本明細書においては、例えば、第1の光学補償層の厚み方向の位相差をRth1と示す。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
A−1.積層光学フィルムの全体構成
図1(a)は、本発明の好ましい実施形態による積層光学フィルムの概略断面図である。この積層光学フィルム10は、偏光子11と第1の光学補償層12と第2の光学補償層13と第3の光学補償層14とをこの順に備える。図示しないが、必要に応じて、偏光子11と第1の光学補償層12との間に第1の保護層が設けられ、偏光子11の第1の光学補償層12の反対側に第2の保護層が設けられる。図1(b)は、本発明の別の好ましい実施形態による積層光学フィルムの概略断面図である。この積層光学フィルム10’は、偏光子11と第1の光学補償層12と第2の光学補償層13と第3の光学補償層14とをこの順に備える。この積層光学フィルム10’は、偏光子11と第1の光学補償層12との間に、他の光学補償層15をさらに備える。他の光学補償層15は、単層であっても積層体であってもよい。図示しないが、必要に応じて、偏光子11と他の光学補償層15との間に第1の保護層が設けられ、偏光子11の他の光学補償層15の反対側に第2の保護層が設けられる。
(2α+30°)<β<(2α+60°) ・・・(1)
角度αと角度βとの関係は、好ましくは(2α+35°)<β<(2α+55°)、さらに好ましくは(2α+40°)<β<(2α+50°)、特に好ましくはβ=2α+45°である。
上述のように、第1の光学補償層12は、いわゆるλ/2板として機能し得る。第1の光学補償層は、λ/2板として、例えば、ある特定の振動方向を有する直線偏光を、当該直線偏光の振動方向とは略直交する振動方向を有する直線偏光に変換したり、右円偏光を左円偏光に(または、左円偏光を右円偏光に)変換したりし得る。第1の光学補償層がλ/2板として機能することにより、λ/4板として機能する第2の光学補償層の波長分散特性(特に、位相差がλ/4を外れる波長範囲)について、位相差が適切に調節され得る。上記第1の光学補償層は、nx>nz>nyの屈折率楕円体を有する。上記第1の光学補償層の面内位相差Re1は、200〜300nmであり、好ましくは230〜290nm、さらに好ましくは260〜280nmである。Nz係数(Rth1/Re1)は、好ましくは0.1〜0.9、さらに好ましくは0.2〜0.8、特に好ましくは0.3〜0.7である。
上述のように、第2の光学補償層13は、いわゆるλ/4板として機能し得る。第2の光学補償層は、λ/4板として、例えば、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または、円偏光を直線偏光に)変換し得る。本発明によれば、λ/4板として機能する第2の光学補償層の波長分散特性を、上記λ/2板として機能する第1の光学補償層の光学特性によって補正することによって、広い波長範囲での円偏光機能を発揮することができる。上記第2の光学補償層は、nx>ny=nzの屈折率楕円体を有する。上記第2の光学補償層の面内位相差Re2は、90〜160nmであり、好ましくは110〜155nm、さらに好ましくは130〜150nmである。ここで、「ny=nz」は、nyとnzが厳密に等しい場合のみならず、nyとnzが実質的に等しい場合も包含する。すなわち、Nz係数(Rth2/Re2)が、0.9を超え1.1未満であることをいう。
上記第3の光学補償層14は、nx=ny>nzの屈折率楕円体を有する。ここで、「nx=ny」は、nxとnyが厳密に等しい場合のみならず、nxとnyが実質的に等しい場合も包含する。すなわち、Re3が10nm未満であることをいう。上記第3の光学補償層の厚み方向の位相差Rth3は、適用される液晶パネルの構成に応じて、任意の適切な値に設定され得る。詳細については、後述のB項でも説明するが、第3の光学補償層が液晶セルの一方の側にのみ配置される場合、厚み方向の位相差Rth3は、好ましくは50〜600nm、さらに好ましくは100〜540nm、特に好ましくは150〜500nmである。一方、第3の光学補償層が液晶セルの両側に配置される場合、厚み方向の位相差Rth3は、好ましくは25〜300nm、さらに好ましくは50〜270nm、特に好ましくは75〜250nmである。
本発明の積層光学フィルムは、任意の適切な光学特性を示す光学補償層をさらに備え得る。例えば、上述のように、偏光子と第1の光学補償層との間に他の光学補償層15を備え得る。他の光学補償層は、例えば、偏光子光軸を補償し得る。他の光学補償層を設けることにより、斜め方向から視認した際の画面コントラストがさらに向上し得る。他の光学補償層は、単層であっても積層体であってもよい。以下、代表例について説明する。
上記他の光学補償層15は、1つの実施形態においては、nz>nx=nyの屈折率楕円体を示し得る。このような光学補償層(位相差フィルム)をポジティブCプレート(以下、便宜上PCと略称することがある)という。この場合、厚み方向の位相差Rthは、好ましくは−50〜−300nm、さらに好ましくは−70〜−250nm、特に好ましくは−90〜−200nm、最も好ましくは−100〜−180nmである。ここで、「nx=ny」は、nxとnyが厳密に等しい場合のみならず、nxとnyが実質的に等しい場合も包含する。すなわち、Reが10nm未満であることをいう。
上記他の光学補償層15は、別の実施形態においては、nx>ny>nzの屈折率楕円体を示し得る。この場合、面内位相差Reは、好ましくは80〜300nmであり、さらに好ましくは100〜200nm、特に好ましくは110〜150nmである。Nz係数は、好ましくは1<Nz<2の関係を示し、さらに好ましくは1<Nz<1.8である。
上記他の光学補償層15は、さらに別の実施形態においては、nx>ny=nzの屈折率楕円体を示し得る。このような光学補償層(位相差フィルム)をポジティブAプレート(以下、便宜上PAと略称することがある)という。この場合、面内位相差Reは、好ましくは80〜300nmであり、さらに好ましくは100〜200nm、特に好ましくは110〜150nmである。ここで、「ny=nz」は、nyとnzが厳密に等しい場合のみならず、nyとnzが実質的に等しい場合も包含する。すなわち、Nz係数(Rth/Re)が、0.9を超え1.1未満であることをいう。
上記他の光学補償層15は、さらに別の実施形態においては、nx>nz>nyの屈折率楕円体を示し得る。このような二軸性の光学補償層(位相差フィルム)を特にZフィルムという。この場合、面内位相差Reは、好ましくは200〜300nmであり、さらに好ましくは230〜290nm、特に好ましくは260〜280nmである。Nz係数(Rth/Re)は、好ましくは0.1〜0.9、さらに好ましくは0.2〜0.8、特に好ましくは0.3〜0.7である。
上記他の光学補償層15は、さらに別の実施形態においては、nz>nx=nyの屈折率楕円体を示す層(ポジティブCプレート)と、nx>ny>nzの屈折率楕円体を示し、面内位相差Reが80〜300nmである層との積層体であり得る。当該ポジティブCプレートについては、A−5−1で説明したとおりである。当該nx>ny>nzの屈折率楕円体を示す層については、A−5−2で説明したとおりである。
上記他の光学補償層15は、さらに別の実施形態においては、nz>nx=nyの屈折率楕円体を示す層(ポジティブCプレート)と、nx>ny=nzの屈折率楕円体を示し、面内位相差Reが80〜300nmである層(ポジティブAプレート)との積層体であり得る。当該ポジティブCプレートの詳細については、A−5−1で説明したとおりである。当該ポジティブAプレートの詳細については、A−5−3で説明したとおりである。
上記偏光子11としては、目的に応じて任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、1〜80μm程度である。
上記第1の保護層および上記第2の保護層は、偏光板の保護フィルムとして使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
上記各層(フィルム)の積層方法は、任意の適切な方法を採用し得る。具体的には、任意の適切な粘着剤層または接着剤層を介して積層される。当該粘着剤層としては、代表的には、アクリル系粘着剤層が挙げられる。アクリル系粘着剤層の厚みは、好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは5〜12μmである。
B−1.液晶パネルの全体構成
図3(a)は、本発明の1つの実施形態による液晶パネルの概略断面図である。この液晶パネル100は、液晶セル20と;液晶セル20の一方の側(図示例ではバックライト側)に配置された本発明の積層光学フィルム10と;液晶セル20の一方の側(図示例では視認側)に配置された積層フィルム30とを備える。積層フィルム30は、上述の、偏光子11と第1の光学補償層12と第2の光学補償層13とをこの順に備える。図示しないが、積層フィルム30は、例えば、偏光子11と第1の光学補償層12との間に任意の適切な他の光学補償層をさらに備え得る。また、積層フィルム30は、必要に応じて、偏光子11と第1の光学補償層12との間に第1の保護層が設けられ、偏光子11の第1の光学補償層12の反対側に第2の保護層が設けられる。図示するように、積層光学フィルム10および積層フィルム30は、光学補償層が設けられている側が液晶セル20側となるように配置されている。なお、図示例とは異なり、積層光学フィルム10が視認側に配置され、積層フィルム30がバックライト側に配置されていてもよい。
(2γ+30°)<δ<(2γ+60°)・・・(2)
角度γと角度δとの関係は、好ましくは(2γ+35°)<δ<(2γ+55°)、さらに好ましくは(2γ+40°)<δ<(2γ+50°)、特に好ましくはδ=2γ+45°である。
上記液晶セル20は、一対の基板21、21’と、基板21、21’間に挟持された表示媒体としての液晶層22とを有する。一方の基板(カラーフィルター基板)21には、カラーフィルターおよびブラックマトリクス(いずれも図示せず)が設けられている。他方の基板(アクティブマトリクス基板)21’には、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子(代表的にはTFT)(図示せず)と、このスイッチング素子にゲート信号を与える走査線(図示せず)およびソース信号を与える信号線(図示せず)と、画素電極(図示せず)とが設けられている。なお、カラーフィルターは、アクティブマトリクス基板21’側に設けてもよい。上記基板21、21’の間隔(セルギャップ)は、スペーサー(図示せず)によって制御されている。上記基板21、21’の液晶層22と接する側には、例えば、ポリイミドからなる配向膜(図示せず)が設けられている。
図3(a)および(b)に示すように、第3の光学補償層14が液晶セル20の一方の側にのみ配置されている場合、当該第3の光学補償層の厚み方向の位相差Rth3は、好ましくは50〜600nm、さらに好ましくは100〜540nm、特に好ましくは150〜500nmである。一方、図3(c)に示すように、第3の光学補償層14が液晶セル20の両側に配置されている場合、それぞれの第3の光学補償層の厚み方向の位相差Rth3は、好ましくは、一方に配置されている場合の厚み方向の位相差の略半分である。すなわち、好ましくは25〜300nm、さらに好ましくは50〜270nm、特に好ましくは75〜250nmである。
上記各層(フィルム)の積層方法は、任意の適切な方法を採用し得る。具体的には、任意の適切な粘着剤層または接着剤層を介して積層される。
王子計測製KOBRA−WPRを用いて自動計測した。測定波長は590nmもしくは550nm、測定温度は23℃であった。
(2)コントラストの測定1
実際に作製して測定した各光学補償層の光学特性パラメーターを用いて、各実施例および比較例の液晶パネルについてコンピューターシミュレーションを行った。シミュレーションには、シンテック社製、液晶表示器用シミュレーター「LCD MASTER」を用いた。
(3)コントラストの測定2
液晶表示装置に白画像および黒画像を表示させ、ELDIM社製 商品名 「EZ Contrast160D」により測定した。
厚み100μmのポリカーボネート系樹脂フィルムの両側に、二軸延伸ポリプロピレンフィルム〔東レ製 商品名「トレファンBO24−100」(厚み60μm)〕を、アクリル系粘着剤層(厚み15μm)を介して貼り合せた。その後、ロール延伸機でフィルムの長手方向を保持して、150℃の空気循環式恒温オーブン内(フィルム裏面から3cmの距離の温度を測定/温度バラツキ±1℃)で1.32倍に延伸して延伸フィルム(厚み65μm)を得た。得られた延伸フィルムの面内位相差Re1は270nmであり、厚み方向の位相差Rth1は135nmであり、Nz係数(Rth1/Re1)は0.5であった。なお、前記ポリカーボネート系樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)は136℃であり、延伸前の面内の位相差値は5.0nm、厚み方向の位相差値は12.0nmであった。
長尺のノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名Zeonor、厚み40μm、光弾性係数3.10×10−12m2/N)を140℃で1.52倍に一軸延伸することによって、長尺のフィルムを作製した。このフィルムの厚みは35μm、面内位相差Re2は140nm、厚み方向の位相差Rth2は140nmであった。
下記化学式(1)に示されるネマチック液晶性化合物90重量部、下記化学式(2)に示されるカイラル剤10重量部、光重合開始剤(イルガキュア907:チバスペシャリティーケミカルズ社製)5重量部、およびメチルエチルケトン300重量部を均一となるように混合し、液晶塗工液を調製した。次に、この液晶塗工液を基板(二軸延伸PETフィルム)上にコーティングし、80℃で3分間熱処理し、次いで紫外線を照射して重合処理し、基板上に第3の光学補償層となるコレステリック配向固化層を形成した。当該コレステリック配向固化層の厚みは3μm、厚み方向の位相差Rth3は240nmであり、面内位相差Re3は実質的にゼロであった。
下記化学式(3)(式中の数字65および35はモノマーユニットのモル%を示し、便宜的にブロックポリマー体で表している:重量平均分子量5000)で示される側鎖型液晶ポリマー20重量部、ネマチック液晶相を示す重合性液晶(BASF社製:商品名PaliocolorLC242)80重量部および光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製:商品名イルガキュア907)5重量部をシクロペンタノン200重量部に溶解して、液晶塗工液を調製した。そして、基材フィルム(ノルボルネン系樹脂フィルム:日本ゼオン社製、商品名ゼオノア)に当該塗工液をバーコーターにより塗工した後、80℃で4分間加熱乾燥することによって液晶を配向させた。この液晶層に紫外線を照射し、当該液晶層を硬化させることによって、基材上にフィルムを形成した。このフィルムの面内位相差は実質的にゼロであり、厚み方向の位相差Rthは−120nmであった。
長尺のノルボルネン系樹脂フィルム(JSR社製、商品名Arton、厚み150μm、光弾性係数3.10×10−12m2/N)を150℃で3倍に固定端二軸延伸することによって、長尺のフィルムを作製した。このフィルムの厚みは50μm、面内位相差Reは140nm、厚み方向の位相差Rthは220nm、Nz係数(Rth/Re)は1.57であった。
上記第2の光学補償層と同様のフィルムを用いた。
長尺のノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名Zeonor、厚み50μm、光弾性係数3.10×10−12m2/N)を140℃で2.25倍に一軸延伸することによって、長尺のフィルムを作製した。このフィルムの厚みは35μm、面内位相差Reは270nm、厚み方向の位相差Rthは270nmであった。
上記第1の光学補償層と同様のフィルムを用いた。
(偏光板の作製)
ポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素を含む水溶液中で染色した後、ホウ酸を含む水溶液中で速比の異なるロール間にて6倍に一軸延伸して偏光子を得た。こうして得られた偏光子の両側それぞれに、保護層(第1の保護層および第2の保護層)としてトリアセチルセルロースフィルム(厚み40μm)〔コニカミノルタ社製、商品名:KC4UYW〕を、ポリビニルアルコール系接着剤(厚み0.1μm)を介して貼り付けた。保護層の面内位相差Re(550)は0.9nmであり、厚み方向の位相差Rth(550)は、1.2nmであった。このようにして偏光板を得た。
上記で得られた偏光板、第1の光学補償層および第2の光学補償層をこの順に積層した。ここで、第1の光学補償層および第2の光学補償層の遅相軸が、それぞれ、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに15°、75°となるように積層した。なお、各層はアクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層した。このようにして積層フィルムAを得た。
上記で得られた第2の光学補償層に、第3の光学補償層となるコレステリック配向固化層をイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基板(二軸延伸PETフィルム)を除去して、第2の光学補償層にコレステリック配向固化層が転写された積層体を得た。この積層体の第2の光学補償層側に、上記で得られた第1の光学補償層および偏光板をこの順で、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層した。ここで、第1の光学補償層および第2の光学補償層の遅相軸が、それぞれ、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに15°、75°となるように積層した。このようにして積層光学フィルムBを得た。
SONY社製プレイステーションポータブル(VAモード液晶セル搭載)から液晶セルを取り外し、当該液晶セルの視認側に上記積層フィルムAを、アクリル系粘着剤(厚み20μm)を介して貼り付けた。その際、各光学補償層が液晶セル側になるように貼り付けた。また、液晶セルのバックライト側には、上記積層光学フィルムBを、アクリル系粘着剤(厚み20μm)を介して貼り付けた。その際、各光学補償層が液晶セル側になるように貼り付けた。また、積層フィルムAの偏光子の吸収軸と積層光学フィルムBの吸収軸とが互いに実質的に直交するように積層して、液晶パネルを得た。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図6(a)に示す。また、得られた液晶パネルを用いて作製した液晶表示装置のコントラストの視野角依存性を実測した。結果を図6(b)に示す。
(積層光学フィルムCの作製)
上記で得られた第2の光学補償層に、第3の光学補償層となるコレステリック配向固化層をイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基板を除去して、第2の光学補償層にコレステリック配向固化層が転写された積層体を得た。この積層体の第2の光学補償層側に、上記で得られた第1の光学補償層、Zフィルムおよび偏光板をこの順で、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層した。ここで、Zフィルム、第1の光学補償層および第2の光学補償層の遅相軸が、それぞれ、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに90°、15°、75°となるように積層した。このようにして積層光学フィルムCを得た。
積層光学フィルムBのかわりに上記で得られた積層光学フィルムCを用いたこと以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得た。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図7(a)に示す。また、得られた液晶パネルを用いて作製した液晶表示装置のコントラストを実測した。結果を図7(b)に示す。
(積層光学フィルムDの作製)
上記で得られた第2の光学補償層に、第3の光学補償層となるコレステリック配向固化層をイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基板を除去して、第2の光学補償層にコレステリック配向固化層が転写された積層体を得る。この積層体の第2の光学補償層側に、上記で得られた第1の光学補償層、Zフィルムおよび偏光板をこの順で、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層する。ここで、Zフィルム、第1の光学補償層および第2の光学補償層の遅相軸が、それぞれ、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに0°、15°、75°となるように積層する。このようにして積層光学フィルムDを得る。
積層光学フィルムBのかわりに上記で得られる積層光学フィルムDを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図8に示す。
(積層光学フィルムEの作製)
上記で得られた第2の光学補償層に、第3の光学補償層となるコレステリック配向固化層をイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基板を除去して、第2の光学補償層にコレステリック配向固化層が転写された積層体1を得る。上記で得られた第1の光学補償層に、ポジティブCプレートをイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基材フィルム(ノルボルネン系樹脂フィルム)を除去して、第1の光学補償層にポジティブCプレートが転写された積層体2を得る。積層体1の第2の光学補償層側に、積層体2および偏光板をこの順で、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層する。ここで、積層体2のポジティブCプレートが偏光板側となるように積層する。また、第1の光学補償層および第2の光学補償層の遅相軸が、それぞれ、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに15°、75°となるように積層する。このようにして積層光学フィルムEを得る。
積層光学フィルムBのかわりに上記で得られる積層光学フィルムEを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図9に示す。
(積層光学フィルムFの作製)
上記で得られた第2の光学補償層に、第3の光学補償層となるコレステリック配向固化層をイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基板を除去して、第2の光学補償層にコレステリック配向固化層が転写された積層体を得る。この積層体の第2の光学補償層側に、上記で得られた第1の光学補償層、ポジティブAプレート(Re=140nm)および偏光板をこの順で、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層する。ここで、ポジティブAプレート(Re=140nm)、第1の光学補償層および第2の光学補償層の遅相軸が、それぞれ、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに0°、15°、75°となるように積層する。このようにして積層光学フィルムFを得る。
積層光学フィルムBのかわりに上記で得られる積層光学フィルムFを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図10に示す。
(積層光学フィルムGの作製)
上記で得られた第2の光学補償層に、第3の光学補償層となるコレステリック配向固化層をイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基板を除去して、第2の光学補償層にコレステリック配向固化層が転写された積層体を得る。この積層体の第2の光学補償層側に、上記で得られた第1の光学補償層、ポジティブAプレート(Re=270nm)および偏光板をこの順で、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層する。ここで、ポジティブAプレート(Re=270nm)、第1の光学補償層および第2の光学補償層の遅相軸が、それぞれ、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに0°、15°、75°となるように積層する。このようにして積層光学フィルムGを得る。
積層光学フィルムBのかわりに上記で得られる積層光学フィルムGを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図11に示す。
(積層光学フィルムHの作製)
上記で得られた第2の光学補償層に、第3の光学補償層となるコレステリック配向固化層をイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基板を除去して、第2の光学補償層にコレステリック配向固化層が転写された積層体を得る。この積層体の第2の光学補償層側に、上記で得られた第1の光学補償層、2軸性位相差フィルムおよび偏光板をこの順で、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層する。ここで、2軸性位相差フィルム、第1の光学補償層および第2の光学補償層の遅相軸が、それぞれ、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに0°、15°、75°となるように積層する。このようにして積層光学フィルムHを得る。
積層光学フィルムBのかわりに上記で得られる積層光学フィルムHを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図12に示す。
(積層光学フィルムIの作製)
上記で得られた第2の光学補償層に、第3の光学補償層となるコレステリック配向固化層をイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基板を除去して、第2の光学補償層にコレステリック配向固化層が転写された積層体1を得る。上記で得られたポジティブAプレート(Re=140nm)に、ポジティブCプレートをイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基材フィルムを除去して、ポジティブAプレート(Re=140nm)にポジティブCプレートが転写された積層体2を得る。積層体1の第2の光学補償層側に、上記で得られた第1の光学補償層、積層体2および偏光板をこの順で、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層する。ここで、積層体2のポジティブCプレートが偏光板側となるように積層する。また、ポジティブAプレート(Re=140nm)、第1の光学補償層および第2の光学補償層の遅相軸が、それぞれ、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに0°、15°、75°となるように積層する。このようにして積層光学フィルムIを得る。
積層光学フィルムBのかわりに上記で得られる積層光学フィルムIを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図13に示す。
(積層光学フィルムJの作製)
上記で得られた第2の光学補償層に、第3の光学補償層となるコレステリック配向固化層をイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基板を除去して、第2の光学補償層にコレステリック配向固化層が転写された積層体1を得る。上記で得られた2軸性位相差フィルムに、ポジティブCプレートをイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基材フィルムを除去して、2軸性位相差フィルムにポジティブCプレートが転写された積層体2を得る。積層体1の第2の光学補償層側に、上記で得られた第1の光学補償層、積層体2および偏光板をこの順で、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層する。ここで、積層体2のポジティブCプレートが偏光板側となるように積層する。また、2軸性位相差フィルム、第1の光学補償層および第2の光学補償層の遅相軸が、それぞれ、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに0°、15°、75°となるように積層する。このようにして積層光学フィルムJを得る。
積層光学フィルムBのかわりに上記で得られる積層光学フィルムJを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図14に示す。
(積層フィルムKの作製)
上記で得られた偏光板、ポジティブAプレート(Re=270nm)および第2の光学補償層をこの順に積層した。ここで、ポジティブAプレートおよび第2の光学補償層の遅相軸が、それぞれ、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに15°、75°となるように積層した。なお、各層はアクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層した。このようにして積層フィルムKを得た。
上記で得られた第2の光学補償層に、第3の光学補償層となるコレステリック配向固化層をイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基板(二軸延伸PETフィルム)を除去して、第2の光学補償層にコレステリック配向固化層が転写された積層体を得た。この積層体の第2の光学補償層側に、上記で得られたポジティブAプレート(Re=270nm)および偏光板をこの順で、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層した。ここで、ポジティブAプレート(Re=270nm)および第2の光学補償層の遅相軸が、それぞれ、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに15°、75°となるように積層した。このようにして積層フィルムLを得た。
積層フィルムAのかわりに上記で得られた積層フィルムKを用いたこと、および、積層光学フィルムBのかわりに上記で得られた積層フィルムLを用いたこと以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得た。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図15(a)に示す。また、得られた液晶パネルを用いて作製した液晶表示装置のコントラストを実測した。結果を図15(b)に示す。
10’ 積層光学フィルム
11 偏光子
12 第1の光学補償層
13 第2の光学補償層
14 第3の光学補償層
15 他の光学補償層
20 液晶セル
100 液晶パネル
100’ 液晶パネル
100” 液晶パネル
Claims (10)
- 偏光子と、
屈折率楕円体がnx>nz>nyの関係を示し、面内位相差Re1が200〜300nmである第1の光学補償層と、
屈折率楕円体がnx>ny=nzの関係を示し、面内位相差Re2が90〜160nmである第2の光学補償層と、
屈折率楕円体がnx=ny>nzの関係を示す第3の光学補償層とを少なくともこの順で備える、積層光学フィルム。 - 前記偏光子と前記第1の光学補償層との間に、屈折率楕円体がnz>nx=nyの関係を示す光学補償層をさらに備える、請求項1に記載の積層光学フィルム。
- 前記偏光子と前記第1の光学補償層との間に、屈折率楕円体がnx>ny>nzの関係を示し、面内位相差Reが80〜300nmである光学補償層をさらに備える、請求項1に記載の積層光学フィルム。
- 前記偏光子と前記第1の光学補償層との間に、屈折率楕円体がnx>ny=nzの関係を示し、面内位相差Reが80〜300nmである光学補償層をさらに備える、請求項1に記載の積層光学フィルム。
- 前記偏光子と前記第1の光学補償層との間に、屈折率楕円体がnx>nz>nyの関係を示し、面内位相差Reが200〜300nmである光学補償層をさらに備える、請求項1に記載の積層光学フィルム。
- 前記偏光子と前記第1の光学補償層との間に、屈折率楕円体がnz>nx=nyの関係を示す光学補償層と、屈折率楕円体がnx>ny>nzの関係を示し、面内位相差Reが80〜300nmである光学補償層とをさらに備える、請求項1に記載の積層光学フィルム。
- 前記偏光子と前記第1の光学補償層との間に、屈折率楕円体がnz>nx=nyの関係を示す光学補償層と、屈折率楕円体がnx>ny=nzの関係を示し、面内位相差Reが80〜300nmである光学補償層とをさらに備える、請求項1に記載の積層光学フィルム。
- 液晶セルと、請求項1〜7のいずれかに記載の積層光学フィルムとを有する、液晶パネル。
- 前記液晶セルがVAモードである、請求項8に記載の液晶パネル。
- 請求項8または9に記載の液晶パネルを有する、液晶表示装置。
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