JP4761394B2 - 積層光学フィルム、積層光学フィルムを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置 - Google Patents
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Description
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
面内位相差(Re)は、23℃、特に明記しなければ波長590nmにおける層(フィルム)の面内位相差値をいう。Reは、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、Re=(nx−ny)×dによって求められる。なお、本明細書において、Re(550)と示したときは、波長550nmにおける層(フィルム)の面内位相差をいう。また、本明細書に記載される用語や記号に付される添え字の「1」は第1の光学補償層を表し、添え字の「2」は第2の光学補償層を表し、添え字の「3」は第3の光学補償層を表し、添え字の「4」は第4の光学補償層を表す。例えば、第1の光学補償層の面内位相差をRe1と示す。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
厚み方向の位相差(Rth)は、23℃、特に明記しなければ波長590nmにおける層(フィルム)の厚み方向の位相差値をいう。Rthは、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、Rth=(nx−nz)×dによって求められる。なお、本明細書において、Rth(550)と示したときは、波長550nmにおける層(フィルム)の厚み方向の位相差をいう。また、本明細書においては、例えば、第1の光学補償層の厚み方向の位相差をRth1と示す。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)λ/2板
λ/2板とは、光ビームの偏光面を回転させる役目をする電子光学的な複屈折板であり、互いに直角な方向に振動する直線偏光間に1/2波長の光路差を生じさせる機能を有するものをいう。すなわち、常光線成分と異常光線成分との間の位相が2分の1サイクルずれるように作用するものをいう。
(6)λ/4板
λ/4板とは、光ビームの偏光面を回転させる役目をする電子光学的な複屈折板であり、互いに直角な方向に振動する直線偏光間に1/4波長の光路差を生じさせる機能を有するものをいう。すなわち、常光線成分と異常光線成分との間の位相が4分の1サイクルずれるように作用し、円偏光を平面偏光に(または、平面偏光を円偏光に)変換するものをいう。
A−1.積層光学フィルムの全体構成
図1(a)は、本発明の好ましい実施形態による積層光学フィルムの概略断面図である。この積層光学フィルム10は、偏光子11と第1の光学補償層12と第2の光学補償層13と第3の光学補償層14とをこの順に備える。図1(b)は、本発明の別の好ましい実施形態による積層光学フィルムの概略断面図である。この積層光学フィルム10’は、偏光子11と第1の光学補償層12と第2の光学補償層13と第3の光学補償層14とをこの順で備える。積層光学フィルム10’は、第4の光学補償層15をさらに備える。図示例では、第4の光学補償層15は、第3の光学補償層14の第2の光学補償層13とは反対側に配置されている。図1(a)および(b)において図示しないが、必要に応じて、偏光子11と第1の光学補償層12との間に第1の保護層が設けられ、偏光子11の第1の光学補償層12の反対側に第2の保護層が設けられる。なお、第1の保護層を設けない場合、第1の光学補償層12は、偏光子11の保護層としても機能し得る。第1の光学補償層が保護層として機能することで、積層光学フィルム(液晶パネル)の薄型化に寄与し得る。また、本発明の積層光学フィルムは、必要に応じて、任意の適切な光学補償層をさらに備え得る。
上記第1の光学補償層12は、nx>ny>nzの屈折率楕円体を有する。第1の光学補償層の面内位相差Re1は、80〜300nmであり、好ましくは80〜200nm、さらに好ましくは80〜160nm、特に好ましくは100〜140nmである。第1の光学補償層は、偏光子の光軸を補償し得る。上述のように、第1の光学補償層を、その遅相軸を上記偏光子の吸収軸に対して直交するように配置することで、斜め方向から視認した際の画面コントラストが向上し得る。このように、偏光子の吸収軸に対して、第1の光学補償層の遅相軸が直交するように配置することが、本発明の特徴の1つである。Nz係数(Rth1/Re1)は、好ましくは1<Nz<2の関係を示し、さらに好ましくは1<Nz<1.8である。
上記第2の光学補償層13は、nz>nx=nyの屈折率楕円体を有する。第2の光学補償層の厚み方向の位相差Rth2は、好ましくは−50〜−300nm、さらに好ましくは−70〜−250nm、特に好ましくは−90〜−200nm、最も好ましくは−100〜−180nmである。ここで、「nx=ny」は、nxとnyが厳密に等しい場合のみならず、nxとnyが実質的に等しい場合も包含する。すなわち、Re2が10nm未満であることをいう。
上記第3の光学補償層14は、nx>ny>nzの屈折率楕円体を有する。第3の光学補償層の面内位相差Re3は、80〜200nmであり、好ましくは100〜200nm、特に好ましくは110〜150nmである。すなわち、λ/4板として機能し得る。第3の光学補償層は、λ/4板として、例えば、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または、円偏光を直線偏光に)変換し得る。Nz係数(Rth3/Re3)は、好ましくは1<Nz<2の関係を示し、さらに好ましくは1<Nz<1.8である。
本発明の積層光学フィルムは、上述のとおり、第4の光学補償層をさらに備え得る。第4の光学補償層を設けることにより、画面コントラストをさらに向上し得、カラーシフトをさらに低減し得る。上記第4の光学補償層15は、nx=ny>nzの屈折率楕円体を有する。ここで、「nx=ny」は、nxとnyが厳密に等しい場合のみならず、nxとnyが実質的に等しい場合も包含する。すなわち、Re4が10nm未満であることをいう。上記第4の光学補償層の厚み方向の位相差Rth4は、適用される液晶パネルの構成に応じて、任意の適切な値に設定され得る。詳細については、後述のB−4項でも説明するが、第4の光学補償層が液晶セルの一方の側にのみ配置される場合、厚み方向の位相差Rth4は、好ましくは10〜300nm、さらに好ましくは20〜200nm、特に好ましくは30〜150nmである。一方、第4の光学補償層が液晶セルの両側に配置される場合、厚み方向の位相差Rth4は、好ましくは5〜150nm、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは15〜75nmである。
上記偏光子11としては、目的に応じて任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、1〜80μm程度である。
上記第1の保護層および上記第2の保護層は、偏光板の保護フィルムとして使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
上記各層(フィルム)の積層方法は、任意の適切な方法を採用し得る。具体的には、任意の適切な粘着剤層または接着剤層を介して積層される。当該粘着剤層としては、代表的には、アクリル系粘着剤層が挙げられる。アクリル系粘着剤層の厚みは、好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは3〜25μmである。
B−1.液晶パネルの全体構成
図2(a)は、本発明の1つの実施形態による液晶パネルの概略断面図である。この液晶パネル100は、液晶セル20と;液晶セル20の一方の側(図示例ではバックライト側)に配置された本発明の積層光学フィルム10’と;液晶セル20の一方の側(図示例では視認側)に配置された積層フィルム30とを備える。積層フィルム30は、上記偏光子11と第5の光学補償層16とを備える。本実施形態では、第5の光学補償層16の屈折率楕円体はnx>ny>nzの関係を示し、面内位相差Re5が80〜200nmである。積層フィルム30は、必要に応じて、偏光子11と第5の光学補償層16との間に第1の保護層が設けられ、偏光子11の第5の光学補償層16の反対側に第2の保護層が設けられる。また、図示しないが、積層フィルム30は、任意の適切な他の光学補償層をさらに備え得る。図示するように、積層光学フィルム10’および積層フィルム30は、光学補償層が設けられている側が液晶セル20側となるように配置されている。
上記液晶セル20は、一対の基板21、21’と、基板21、21’間に挟持された表示媒体としての液晶層22とを有する。一方の基板(カラーフィルター基板)21には、カラーフィルターおよびブラックマトリクス(いずれも図示せず)が設けられている。他方の基板(アクティブマトリクス基板)21’には、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子(代表的にはTFT)(図示せず)と、このスイッチング素子にゲート信号を与える走査線(図示せず)およびソース信号を与える信号線(図示せず)と、画素電極(図示せず)とが設けられている。なお、カラーフィルターは、アクティブマトリクス基板21’側に設けてもよい。上記基板21、21’の間隔(セルギャップ)は、スペーサー(図示せず)によって制御されている。上記基板21、21’の液晶層22と接する側には、例えば、ポリイミドからなる配向膜(図示せず)が設けられている。
上記第5の光学補償層16は、好ましくは、屈折率楕円体がnx>ny>nzの関係を示し、面内位相差Re5が80〜200nmである。すなわち、λ/4板として機能し得る。第5の光学補償層としては、上記第3の光学補償層と同様のものを採用し得る。
図2(a)に示すように、第4の光学補償層15が液晶セル20の一方の側にのみ配置されている場合、当該第4の光学補償層の厚み方向の位相差Rth4は、好ましくは10〜300nm、さらに好ましくは20〜200nm、特に好ましくは30〜150nmである。一方、図2(b)に示すように、第4の光学補償層15が液晶セル20の両側に配置されている場合、それぞれの第4の光学補償層の厚み方向の位相差Rth4は、好ましくは、一方に配置されている場合の厚み方向の位相差の略半分である。すなわち、好ましくは5〜150nm、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは15〜75nmである。
上記各層(フィルム)の積層方法は、任意の適切な方法を採用し得る。具体的には、任意の適切な粘着剤層または接着剤層を介して積層される。
王子計測製KOBRA−WPRを用いて自動計測した。測定波長は590nmもしくは550nm、測定温度は23℃であった。
(2)コントラストの測定1
実際に作製して測定した各光学補償層の光学特性パラメーターを用いて、各実施例および比較例の液晶パネルについてコンピューターシミュレーションを行った。シミュレーションには、シンテック社製、液晶表示器用シミュレーター「LCD MASTER」を用いた。
(3)コントラストの測定2
液晶表示装置に白画像および黒画像を表示させ、ELDIM社製 商品名 「EZ Contrast160D」により測定した。
(偏光板の作製)
ポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素を含む水溶液中で染色した後、ホウ酸を含む水溶液中で速比の異なるロール間にて6倍に一軸延伸して偏光子を得た。この偏光子の両面それぞれに、保護層(第1の保護層および第2の保護層)としてトリアセチルセルロースフィルム(厚み40μm、コニカミノルタ社製、商品名:KC4UYW)を、ポリビニルアルコール系接着剤(厚み0.1μm)を介して貼り付けた。保護層の面内位相差Re(550)は0.9nmであり、厚み方向の位相差Rth(550)は、1.2nmであった。このようにして偏光板を作製した。なお、Re(550)は、23℃における波長550nmの光で測定したときの値を示す。
長尺のノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名Zeonor、厚み60μm、光弾性係数3.1×10−12m2/N)を150℃で1.7倍に固定端二軸延伸することによって、長尺状のフィルムを作製した。このフィルムの面内位相差Re1は120nm、厚み方向の位相差Rth1は156nm、Nz係数(Rth1/Re1)は1.3であった。得られたフィルムを後述の液晶セルに対応するサイズに打ち抜いて第1の光学補償層とした。
下記化学式(1)(式中の数字65および35はモノマーユニットのモル%を示し、便宜的にブロックポリマー体で表している:重量平均分子量5000)で示される側鎖型液晶ポリマー20重量部、ネマチック液晶相を示す重合性液晶(BASF社製:商品名PaliocolorLC242)80重量部および光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製:商品名イルガキュア907)5重量部をシクロペンタノン200重量部に溶解して液晶塗工液を調製した。そして、基材フィルム(ノルボルネン系樹脂フィルム:日本ゼオン社製、商品名Zeonor)に当該塗工液をバーコーターにより塗工した後、80℃で4分間加熱乾燥することによって液晶を配向させた。この液晶層に紫外線を照射し、液晶層を硬化させることにより、基材上に第1の光学補償層となる液晶固化層を形成した。この層の面内位相差は実質的にゼロであり、厚み方向の位相差Rth2は−140nmであった。
長尺のノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名Zeonor、厚み60μm、光弾性係数3.1×10−12m2/N)を150℃で1.55倍に固定端二軸延伸することによって、長尺状のフィルムを作製した。このフィルムの面内位相差Re3は140nm、厚み方向の位相差Rth3は217nm、Nz係数(Rth3/Re3)は1.55であった。得られたフィルムを後述の液晶セルに対応するサイズに打ち抜いて第3の光学補償層とした。
上記第3の光学補償層と同様のフィルムを用いた。
上記で得られた偏光板と第5の光学補償層とを積層した。ここで、第5の光学補償層の遅相軸が、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに45°となるように積層した。また、偏光板と第5の光学補償層とはアクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層した。このようにして積層フィルムAを作製した。
上記で得られた第1の光学補償層に、第2の光学補償層となる液晶固化層をイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基材(ノルボルネン系樹脂フィルム)を除去して、第1の光学補償層に第2の光学補償層が転写された積層体を得た。この積層体の第2の光学補償層側に、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して上記で得られた第3の光学補償層を積層し、第1の光学補償層側に、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して上記で得られた偏光板を積層した。このとき、第1の光学補償層の遅相軸が偏光板の偏光子の吸収軸に対して直交するように積層し、第3の光学補償層の遅相軸が偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに45°となるように積層した。このようにして積層光学フィルムBを作製した。
ソニー社製プレイステーションポータブル(VAモード液晶セル搭載)から液晶セルを取り外し、当該液晶セルの視認側に上記積層フィルムAを、アクリル系粘着剤(厚み20μm)を介して貼り付けた。このとき、第5の光学補償層が液晶セル側になるように貼り付けた。また、液晶セルのバックライト側には、上記積層光学フィルムBを、アクリル系粘着剤(厚み20μm)を介して貼り付けた。ことのき、第3の光学補償層が液晶セル側になるように貼り付けた。また、積層フィルムAの偏光子の吸収軸と積層光学フィルムBの偏光子の吸収軸とが互いに実質的に直交するように積層した。具体的には、バックライト側の偏光子の吸収軸を基準(0°)にして、反時計回りに第1の光学補償層の遅相軸が90°、第3の光学補償層の遅相軸が45°、第5の光学補償層の遅相軸が135°、視認側の偏光子の吸収軸が90°となるように積層した。このようにして液晶パネルを作製した。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図4に示す。また、得られた液晶パネルを用いて作製した液晶表示装置のコントラストの視野角依存性を実測した。結果を図5に示す。
(第4の光学補償層の作製)
下記化学式(2)に示されるネマチック液晶性化合物90重量部、下記化学式(3)に示されるカイラル剤10重量部、光重合開始剤(イルガキュア907:チバスペシャリティーケミカルズ社製)5重量部、およびメチルエチルケトン300重量部を均一となるように混合し、液晶塗工液を調製した。次に、この液晶塗工液を基板(二軸延伸PETフィルム)上にコーティングし、80℃で3分間熱処理し、次いで紫外線を照射して重合処理し、基板上に第4の光学補償層となるコレステリック配向固化層を形成した。当該コレステリック配向固化層の厚みは2.1μm、厚み方向の位相差Rth4は100nmであり、面内位相差Re4は実質的にゼロであった。
上記で得られた第1の光学補償層に、第2の光学補償層となる液晶固化層をイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基材(ノルボルネン系樹脂フィルム)を除去して、第1の光学補償層に第2の光学補償層が転写された積層体1を得る。
上記で得られた第3の光学補償層に、第4の光学補償層となるコレステリック配向固化層をイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基板(二軸延伸PETフィルム)を除去して、第3の光学補償層にコレステリック配向固化層が転写された積層体2を得る。
積層体2の第3の光学補償層側に、積層体1および偏光板をこの順で、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層する。このとき、積層体1の第1の光学補償層が偏光板側となるように積層する。また、第1の光学補償層の遅相軸が偏光板の偏光子の吸収軸に対して直交するように積層し、第3の光学補償層の遅相軸が偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに45°となるように積層する。このようにして積層光学フィルムCを作製する。
積層光学フィルムBのかわりに積層光学フィルムCを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。なお、バックライト側の偏光子の吸収軸を基準(0°)にして、反時計回りに第1の光学補償層の遅相軸が90°、第3の光学補償層の遅相軸が45°、第5の光学補償層の遅相軸が135°、視認側の偏光子の吸収軸が90°となるように積層する。このようにして液晶パネルを作製する。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図6に示す。
(接着剤水溶液の調製)
アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(平均重合度:1200、ケン化度:98.5モル%,アセトアセチル化度:5モル%)100重量部に対し、メチロールメラミン50重量部を30℃の温度条件下で純水に溶解し、固形分濃度3.7%に調整した水溶液を得た。この水溶液100重量部に対し、アルミナコロイド水溶液(平均粒子径15nm、固形分濃度10%、正電荷)18重量部を加えて接着剤水溶液を調製した。接着剤水溶液の粘度は9.6mPa・sであった。接着剤水溶液のpHは、4〜4.5であった。
ポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素を含む水溶液中で染色した後、ホウ酸を含む水溶液中で速比の異なるロール間にて6倍に一軸延伸して偏光子を得る。この偏光子の片面に、第2の保護層としてトリアセチルセルロースフィルム(商品名:KC4UYW)を、ポリビニルアルコール系接着剤(厚み0.1μm)を介して貼り付ける。次に、偏光子の他方の面に上記で得られた接着剤水溶液を厚み0.1μmで塗工して、上記で得られた第1の光学補償層を貼り付ける。このとき、第1の光学補償層の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して直交するように積層する。このようにして積層体Iを得る。
前記積層体Iの第1の光学補償層側に、第2の光学補償層となる液晶固化層をイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基材(ノルボルネン系樹脂フィルム)を除去して、積層体Iに第2の光学補償層が転写された積層体IIを得る。この積層体IIの第2の光学補償層側に、アクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して上記で得られた第3の光学補償層を積層する。このとき、第3の光学補償層の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して時計回りに45°となるように積層する。このようにして積層光学フィルムB’を作製する。
積層光学フィルムBのかわりに積層光学フィルムB’を用いたこと以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図7に示す。
(積層光学フィルムC’の作製)
上記で得られた第3の光学補償層に、第4の光学補償層となるコレステリック配向固化層をイソシアネート系接着剤(厚み5μm)で接着し、上記基板(二軸延伸PETフィルム)を除去して、第3の光学補償層にコレステリック配向固化層が転写された積層体を得る。なお、この積層体に用いられる第4の光学補償層の厚みは1.8μm、厚み方向の位相差Rth4は80nmであり、面内位相差Re4は実質的にゼロであった。
前記積層体の第3の光学補償層側に、上記積層体IIをアクリル系粘着剤(厚み12μm)を介して積層する。このとき、積層体IIの第1の光学補償層が第3の光学補償層側となるように積層する。また、第1の光学補償層の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して直交するように積層し、第3の光学補償層の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して時計回りに45°となるように積層する。このようにして積層光学フィルムC’を作製する。
積層光学フィルムBのかわりに積層光学フィルムC’を用いたこと以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図8に示す。
積層光学フィルムBのかわりに積層フィルムAを用いたこと以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得た。なお、バックライト側の偏光子の吸収軸を基準(0°)にして、反時計回りにバックライト側の第5の光学補償層の遅相軸が45°、視認側の第5の光学補償層の遅相軸が135°、視認側の偏光子の吸収軸が90°となるように積層した。このようにして液晶パネルを作製した。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図9に示す。また、得られた液晶パネルを用いて作製した液晶表示装置のコントラストを測定した。結果を図10に示す。
(積層フィルムDの作製)
第1の光学補償層の遅相軸と偏光板の偏光子の吸収軸とが平行となるように積層すること以外は積層光学フィルムBと同様にして、積層フィルムDを作製する。
積層光学フィルムBのかわりに積層フィルムDを用いること以外は実施例1と同様にして液晶パネルを得る。なお、バックライト側の偏光子の吸収軸を基準(0°)にして、反時計回りに積層フィルムDの第1の光学補償層の遅相軸が0°、積層フィルムDの第3の光学補償層の遅相軸が45°、積層フィルムAの第5の光学補償層の遅相軸が135°、視認側の偏光子の吸収軸が90°となるように積層する。このようにして液晶パネルを作製する。
このような液晶パネルを用いた液晶表示装置のコントラストの視野角依存性についてコンピューターシミュレーションを行った。結果を図11に示す。
10’ 積層光学フィルム
11 偏光子
12 第1の光学補償層
13 第2の光学補償層
14 第3の光学補償層
15 第4の光学補償層
20 液晶セル
100 液晶パネル
100’ 液晶パネル
Claims (7)
- 偏光子と、
屈折率楕円体がnx>ny>nzの関係を示し、面内位相差Re1が80〜300nmである第1の光学補償層と、
屈折率楕円体がnz>nx=nyの関係を示す第2の光学補償層と、
屈折率楕円体がnx>ny>nzの関係を示し、面内位相差Re3が80〜200nmである第3の光学補償層とを少なくともこの順で備え、
該偏光子の吸収軸と該第1の光学補償層の遅相軸とが直交している、積層光学フィルム。 - 前記第3の光学補償層の前記第2の光学補償層とは反対側に配置され、屈折率楕円体がnx=ny>nzの関係を示す第4の光学補償層をさらに備える、請求項1に記載の積層光学フィルム。
- 液晶セルと、請求項1または2に記載の積層光学フィルムとを備える、液晶パネル。
- 前記積層光学フィルムがバックライト側に配置されている、請求項3に記載の液晶パネル。
- 偏光子と、屈折率楕円体がnx>ny>nzの関係を示し、面内位相差Re5が80〜200nmである第5の光学補償層とを備える積層フィルムが視認側に配置されている、請求項4に記載の液晶パネル。
- 前記液晶セルがVAモードである、請求項3〜5のいずれかに記載の液晶パネル。
- 請求項3〜6のいずれかに記載の液晶パネルを有する、液晶表示装置。
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