JP6216497B2 - 位相差層付偏光板 - Google Patents

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Description

本発明は、位相差層付偏光板に関する。より詳細には、本発明は、パターン化された位相差層を有する位相差層付偏光板に関する。
従来、立体(3次元)画像表示に関する技術について、数多くの研究がなされ実用化されている。立体表示の基本原理は、観測者の左右の眼に異なる画像を提供することによるものである。立体画像表示に関する技術としては、代表的には、観測者に特殊な眼鏡等を装着させる眼鏡方式と、眼鏡等を装着しない裸眼方式とが挙げられる。眼鏡方式においては、左目用の映像と右目用の映像を交互に切り換えて出力する時分割方式と、液晶セルの1ライン毎に偏光方向の異なる左右の映像を出力する空間分割方式とがある。空間分割方式においては、液晶セルの1ライン毎に偏光方向の異なる左右の映像を出力するために、液晶セルの1ライン毎に対応したパターン状の位相差を発現させる必要がある。パターン状の位相差を発現させる手段としては、遅相軸方向が異なる領域をパターン状に有する位相差板(パターンリターダー)が知られている(例えば、特許文献1)。
上記のようなパターンリターダーは、通常、立体(3次元)画像表示用液晶表示装置において、視認側偏光板のさらに視認側に配置される。しかし、加熱や加湿等の条件下において、クロストークが発生するという問題が生じ得る(特に、パターンリターダーの機能を、視認側偏光板の視認側保護層に付与させた場合)。なお、クロストークとは、左右の画像のそれぞれが他方の画像に混入することである。
特許第3372016号
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、立体画像表示のクロストークを低減し得る位相差層付偏光板を提供することにある。
本発明の位相差層付偏光板は、厚み15μm〜25μmの偏光子と、該偏光子の片側に配置された位相差層とを有し、該位相差層が、それぞれが異なる方向に遅相軸を有する複数の領域を所定のパターンで有する。
好ましい実施形態においては、上記位相差層の面内位相差Re(590)が、90nm〜190nmである。
好ましい実施形態においては、上記位相差層の上記所定パターンが、異なる方向に遅相軸を有する2つの領域が交互に配置されたストライプ状である。
好ましい実施形態においては、上記異なる方向に遅相軸を有する2つの領域が、それぞれ、液晶セルの1ラインに対応する。
好ましい実施形態においては、上記偏光子が、連続的に供給される親水性ポリマーフィルムの幅方向の両端を把持手段により把持し、該把持手段を該親水性ポリマーフィルムの長手方向に進行させると共に、該親水性ポリマーフィルムの両端を把持する該把持手段の少なくとも一方を該親水性ポリマーフィルムの幅方向の外側にも移動させることで該親水性ポリマーフィルムを幅方向に延伸して得られる。
好ましい実施形態においては、上記幅方向延伸工程において、気相中で、上記親水性ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に液を接触させる。
好ましい実施形態においては、上記偏光子が、少なくとも一対の圧延ロールの間隙に親水性ポリマーフィルムを通過させる圧延工程を経て得られる。
本発明の別の局面によれば、液晶パネルが提供される。この液晶パネルは、上記位相差層付偏光板を有する。
本発明の別の局面によれば、液晶表示装置が提供される。この液晶表示装置は、上記液晶パネルを有する。
本発明によれば、特定の偏光子とパターン化された位相差層とを組み合わせることにより、立体画像表示のクロストークを低減し得る位相差層付偏光板を得ることができる。
本発明の好ましい実施形態による位相差層付偏光板の概略断面図である。 本発明の別の好ましい実施形態による位相差層付偏光板の概略断面図である。 幅方向延伸工程の一例を示す模式図である。 幅方向両端固定工程の一例を示す模式図である。 幅方向両端固定工程の別の一例を示す模式図である。 圧延工程の一例を示す模式図である。 本発明の好ましい実施形態による位相差層付偏光板における位相差層のパターンの一例を示す概略平面図である。 各実施例および比較例のクロストーク率を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
面内位相差(Re)は、23℃、特に明記しなければ波長590nmにおける層(フィルム)の面内位相差値をいう。Reは、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、Re=(nx−ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
厚み方向の位相差(Rth)は、23℃、特に明記しなければ波長590nmにおける層(フィルム)の厚み方向の位相差値をいう。Rthは、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、Rth=(nx−nz)×dによって求められる。
A.位相差層付偏光板
図1は、本発明の好ましい実施形態による位相差層付偏光板の概略断面図である。位相差層付偏光板200は、偏光子20と、偏光子20の片側(代表的には、視認側)に配置された位相差層30と、偏光子20のもう片側に配置された保護層41と、偏光子20と位相差層30との間に配置された保護層42とを有する。位相差層30は、接着層60を介して保護層42に積層されている。保護層41の偏光子20が配置されていない側には、接着層50が設けられている。代表的には、位相差層付偏光板200は、その接着層50が貼り合わされて、液晶セル(代表的には、視認側)に積層される。
図2は、本発明の別の好ましい実施形態による位相差層付偏光板の概略断面図である。位相差層付偏光板300は、偏光子20と、偏光子20の片側(代表的には、視認側)に配置された位相差層30と、偏光子20のもう片側に配置された保護層41とを有する。保護層41の偏光子20が配置されていない側には、接着層50が設けられている。代表的には、位相差層付偏光板300は、その接着層50が貼り合わされて、液晶セル(代表的には、視認側)に積層される。位相差層30は、偏光子20の保護層として機能し得る。
B.偏光子
上記偏光子は、代表的には、二色性物質(好ましくは、ヨウ素)が吸着配向された親水性ポリマーフィルムである。
上記親水性ポリマーフィルムとしては、特に制限されず、従来公知のフィルムが使用できる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィレム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系フィルムや、これらの部分ケン化フィルム等の親水性ポリマーフィルム等が挙げられる。また、これらの他にも、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルム、延伸配向されたポリビニレン系フィルム等も使用できる。これらの中でも、二色性物質であるヨウ素による染色性に優れることから、PVA系ポリマーフィルムが好ましい。
上記PVA系ポリマーフィルムの原料ポリマーとしては、例えば、酢酸ビニルを重合した後にケン化したものや、酢酸ビニルに対して、少量の不飽和カルボン酸や不飽和スルホン酸等の共重合可能なモノマーを共重合したポリマー等が挙げられる。上記PVA系ポリマーの重合度は、特に制限されないが、水に対する溶解度の点等から、500〜10000の範囲が好ましく、より好ましくは1000〜6000の範囲である。また、上記PVA系ポリマーのケン化度は、75モル%以上が好ましく、より好ましくは98モル%〜100モル%の範囲である。
偏光子の厚みは、好ましくは15μm〜25μmであり、より好ましくは15μm〜20μmである。
上記特性を満足し得る偏光子を用いることにより、クロストークを良好に低減することができる。図2に示すように、位相差層が偏光子の保護層として機能し得る場合(パターンリターダーの機能を保護層に付与させた場合)においても、クロストークを良好に低減することができる。具体的には、このような偏光子は、加熱や加湿等の条件下における寸法変化(例えば、延伸方向の収縮)が小さく、偏光子の寸法変化が位相差層へ与える影響(例えば、位相差層の寸法変化)を低減することができる。その結果、パターン化された位相差層(パターンリターダー)のパターンと液晶セルのラインが対応しなくなってクロストークが発生するという問題を改善することができる。
偏光子のホウ素含有量は、好ましくは3重量%〜3.9重量%、さらに好ましくは3.4重量%〜3.9重量%である。このような偏光子は、加熱や加湿等の条件下における寸法変化(収縮)が小さく、クロストークの低減に寄与し得る。ホウ素含有量が3重量%未満である場合には、耐水性が不十分となるおそれがある。一方、ホウ素含有量が3.9重量%を超える場合には、耐久性が不十分となるおそれがある。例えば、偏光板化してヒートサイクル試験を行ったとき、偏光子の延伸方向に破断が発生しやすくなる。なお、偏光子のホウ素の含有量は、例えば、高周波誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)発光分光分析法により、偏光子の重量に対するホウ素の重量分率(%)として算出することができる。ホウ素は、代表的には、偏光子中に、ホウ酸またはそれがポリビニルアルコールのユニットと架橋構造を形成した状態で存在すると考えられるが、ここでいうホウ素含有量は、ホウ素(B)としての値である。
上記偏光子の製造方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。偏光子は、代表的には、親水性ポリマーフィルムに、適宜、延伸、染色等の処理を施すことにより製造される。
好ましい実施形態においては、偏光子は、連続的に供給される親水性ポリマーフィルムの幅方向(TD方向)の両端を把持手段により把持し、把持手段を親水性ポリマーフィルムの長手方向に進行させると共に、親水性ポリマーフィルムの両端を把持する把持手段の少なくとも一方を親水性ポリマーフィルムの幅方向の外側にも移動させることで親水性ポリマーフィルムを幅方向に延伸して製造される(幅方向延伸工程)。このような実施形態によれば、加熱や加湿等の条件下における寸法変化(例えば、延伸方向の収縮)が抑制された偏光子を得ることができる。また、大型の原反フィルムおよび延伸機を必要とすることなく、大型で高配向の偏光子を得ることができる。
(幅方向延伸工程)
図3に、本工程の一例を模式的に示す。図示のように、本工程においては、連続的に供給される親水性ポリマーフィルム1の幅方向(同図において左右方向)の両端を、把持手段2により把持する。そして、矢印Aに示すように、把持手段2を親水性ポリマーフィルム1の長手方向(同図において上方向)に進行させる。これにより、矢印Bに示すように、親水性ポリマーフィルム1は、その長手方向(同図において上方向)に搬送される。それと共に、矢印Cに示すように、親水性ポリマーフィルム1の両端を把持する把持手段2の双方を親水性ポリマーフィルム1の幅方向にも移動させることで、親水性ポリマーフィルム1を幅方向に延伸する。なお、図3は、親水性ポリマーフィルム1の両端を把持する把持手段2の双方を親水性ポリマーフィルム1の幅方向の外側に移動させることで、親水性ポリマーフィルム1を幅方向に延伸する場合を示している。
把持手段2により親水性ポリマーフィルム1が把持される部分(つかみしろ)の搬送方向の長さは、例えば、10mm〜100mmの範囲であり、好ましくは10mm〜75mmの範囲であり、より好ましくは25mm〜75mmの範囲である。つかみしろの幅は、例えば、5mm〜50mmの範囲であり、好ましくは10mm〜30mmの範囲であり、より好ましくは10mm〜20mmの範囲である。搬送方向に隣接する把持手段2の間の距離(把持手段2の端部から隣接する把持手段2の端部までの距離)は短いほど好ましく、例えば、1mm〜20mmの範囲であり、好ましくは3mm〜10mmの範囲であり、より好ましくは3mm〜6mmの範囲である。
親水性ポリマーフィルムの幅方向の延伸処理は、例えば、従来公知のテンター延伸機等を用いて実施することができる。この幅方向延伸工程における親水性ポリマーフィルムの合計延伸倍率は、例えば、延伸前のフィルム(原反)の長さに対して、例えば、2倍〜12倍の範囲であり、好ましくは3倍〜10倍の範囲であり、より好ましくは4倍〜8倍の範囲である。
本工程において、気相中で、上記親水性ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に液(処理液)を接触させることが好ましい。液の接触は、噴霧および/または塗布により実施することが好ましい。
上記液の噴霧手段としては、任意の適切な噴霧装置が用いられる。噴霧装置としては、例えば、扶桑精機(株)製の商品名「MKシリーズ」、DeVILBISS社製の商品名「T−AFPV」、ACCUSPRAY社製の商品名「56シリーズ」等が挙げられる。噴霧装置において噴霧用ノズルの数は、例えば、1個〜10個の範囲であり、好ましくは1個〜8個の範囲であり、より好ましくは1個〜4個の範囲である。噴霧用ノズルの孔径は、例えば、0.3mm〜2mmの範囲であり、好ましくは0.5mm〜1.5mmの範囲であり、より好ましくは0.75mm〜1mmの範囲である。噴霧用ノズル1個当たりの流量は、例えば、10mL/秒〜1200mL/秒の範囲であり、好ましくは10mL/秒〜700mL/秒の範囲であり、より好ましくは50mL/秒〜400mL/秒の範囲である。噴霧空気圧力は、例えば、0.03MPa〜3MPaの範囲であり、好ましくは0.1MPa〜1MPaの範囲であり、より好ましくは0.2MPa〜0.5MPaの範囲である。噴霧角度は、例えば、45°〜135°の範囲であり、好ましくは60°〜120°の範囲であり、より好ましくは80°〜100°の範囲である。
上記噴霧用ノズルと親水性ポリマーフィルムとの間の距離は、上記噴霧空気圧力等に応じて適宜に決定することができるが、15cm以下の範囲が好ましい。このような範囲とすることで、液をロスなく、確実に親水性ポリマーフィルムに接触させることができる。
液の噴霧時間は、特に制限されないが、20秒以上の範囲が好ましく、より好ましくは30秒〜120秒の範囲であり、さらに好ましくは40秒〜60秒の範囲である。また、親水性ポリマーフィルムへの液の噴霧量は、特に制限されないが、0.06mL/1cm〜0.19mL/1cmの範囲が好ましい。
上記液を塗布する手段としては、ロールコータ、ダイコータ、バーコータ、スライドコータ、カーテンコータ等の従来公知の手段を取ることができる。
幅方向延伸工程は、後述する、膨潤工程、染色工程、架橋工程、調整工程等の各種工程と同時に実施してもよいし、別個独立に実施してもよい。各種工程と同時に実施する場合、接触させる液としては、例えば、各種工程で用いられる処理液が用いられる。別個独立に実施する場合には、接触させる液としては、例えば、延伸液が用いられる。
上記延伸液としては、特に制限されないが、例えば、ホウ酸、ヨウ化カリウム、各種金属塩やその他のヨウ化化合物、亜鉛化合物等を含む溶液が使用できる。この溶液の溶媒としては、例えば、水、エタノール等が使用できる。延伸液は、ホウ酸およびヨウ化カリウムを含むことが好ましく、両者の含有量は、例えば、合計で2重量%〜18重量%の範囲であり、好ましくは合計で4重量%〜17重量%の範囲であり、より好ましくは合計で6重量%〜15重量%の範囲である。また、ホウ酸(A)とヨウ化カリウム(B)との含有割合(A:B(重量比))は、例えば、1:0.1〜1:4の範囲であり、好ましくは1:0.2〜1:3.5の範囲であり、より好ましくは1:0.5〜1:3の範囲である。
接触させる液の温度は、特に制限されないが、例えば、40℃〜70℃の範囲であり、好ましくは50℃〜70℃の範囲であり、より好ましくは60℃〜70℃の範囲である。
上記処理液の接触後、親水性ポリマーフィルム表面に付着している余分な処理液を液切手段により分離除去することが好ましい。このような処理を施すことにより、光学特性が均一な偏光子を得ることができる。液切手段としては、例えば、スクレイパー、エアーナイフ、ピンチロールおよび吸水ロールが挙げられる。これらの中でも、フィルム表面の損傷防止という観点から、エアーナイフ、吸水ロールが好ましい。また、装置の簡略化の点からは、スクレイパーを使用することが好ましい。
各液切手段を用いた具体例を説明する。スクレイパーを用いる場合、スクレイパーは、その端部が親水性ポリマーフィルムの片面(好ましくは、下面)に接触するように設置され、この状態で親水性ポリマーフィルムを搬送することで、付着した処理液を除去する。エアーナイフを用いる場合、親水性ポリマーフィルムに対してエアーナイフからエアーを吹き付けることにより(好ましくは、下方から)、付着した処理液を分離除去する。ピンチロールを用いる場合、搬送される親水性ポリマーフィルムを一対のピンチロールで挟むことで、付着した処理液を除去する。吸水ロールを用いる場合、吸水ロールは親水性ポリマーフィルムの片面(好ましくは、下面)に接触するように設置され、この状態で親水性ポリマーフィルムを搬送することで、付着した処理液を除去する。
親水性ポリマーフィルムを水平方向に搬送する場合、フィルムの下面に液を接触させることが好ましい。フィルムの上面に処理液を接触させると、処理液の自然落下がなく、しかも、スクレイパー、エアーナイフおよびピンチロールを用いた場合、処理液の逃げる方向がフィルムの幅方向両端部しかなく、分離除去の効率が低くなるからである。これに対し、フィルムの下面に処理液を接触させれば、自然落下により、付着する処理液の量も少なくなり、また、スクレイパー、エアーナイフおよびピンチロールを用いた場合であっても、下方向に処理液を落とせばよいから、分離除去効率が高くなる。
処理液の分離除去は、上記幅方向延伸と同時に行ってもよいし、上記幅方向延伸前に行ってもよいし、上記幅方向延伸後に行ってもよい。
(長手方向収縮工程)
好ましくは、上記幅方向延伸工程と同時に、および/または、上記幅方向延伸工程後、親水性ポリマーフィルムを長手方向に収縮させる。長手方向収縮工程を行うことにより、得られる偏光子の光学特性の低下が抑制される。長手方向収縮工程は、幅方向延伸工程直後に行ってもよいし、幅方向延伸工程後、長手方向収縮工程を実施する前に別の工程を実施してもよい。別の工程を実施する場合には、別の工程が実施されている間、親水性ポリマーフィルムの両端が上記把持手段により把持し続けられていることが好ましい。
本工程は、例えば、親水性ポリマーフィルムを把持手段から解放した後、親水性ポリマーフィルムを長手方向に2本以上のロールで搬送しながら、親水性ポリマーフィルムの進行方向(長手方向)の上流側のロールの回転速度に対し、下流側のロールの回転速度を遅くすることで実施することができる。この場合、ロールの数は、例えば、2本〜20本の範囲であり、好ましくは2本〜10本の範囲であり、より好ましくは2本〜5本の範囲である。ロールが3本以上である場合には、親水性ポリマーフィルムの進行方向(長手方向)の下流側にいくに従い、ロールの回転速度を順次遅くしていくのが好ましい。親水性ポリマーフィルムの進行方向(長手方向)において隣接するロールの間の距離は、短いほど好ましいが、上記幅方向延伸工程後の親水性ポリマーフィルムの幅方向の長さをW(mm)とすると、例えば、0.025Wmm〜0.5Wmmの範囲であり、好ましくは0.025Wmm〜0.25Wmmの範囲であり、より好ましくは0.025Wmm〜0.125Wmmの範囲である。親水性ポリマーフィルムの進行方向(長手方向)において隣接するロールの回転速度の差は、特に制限されないが、例えば、1m/分〜10m/分の範囲であり、好ましくは1m/分〜5m/分の範囲であり、より好ましくは1m/分〜2m/分の範囲である。また、回転速度の最も速いロールと回転速度の最も遅いロールの回転速度の差は、特に制限されないが、例えば、0.4m/分〜9.9m/分の範囲であり、好ましくは0.4m/分〜4.95m/分の範囲であり、より好ましくは0.4m/分〜1.98m/分の範囲である。
本工程は、例えば、親水性ポリマーフィルムの幅方向の両端を把持手段により把持したまま、把持手段の親水性ポリマーフィルムの長手方向への移動速度をフィルムの進行方向(長手方向)の下流にいくに従い順次遅くすることで実施してもよい。この場合、遅くする前の把持手段の移動速度は、例えば、1m/分〜10m/分の範囲であり、好ましくは1m/分〜5m/分の範囲であり、より好ましくは1m/分〜2m/分の範囲である。遅くした後の把持手段の移動速度は、例えば、0.4m/分〜9.9m/分の範囲であり、好ましくは0.4m/分〜4.95m/分の範囲であり、より好ましくは0.4m/分〜1.98m/分の範囲である。
長手方向収縮工程における親水性ポリマーフィルムの収縮率は、特に制限されないが、例えば、1%〜60%の範囲であり、好ましくは3%〜30%の範囲であり、より好ましくは5%〜20%の範囲である。
(幅方向両端固定工程)
好ましくは、上記幅方向延伸工程後、幅方向両端固定手段で親水性ポリマーフィルムの幅方向の両端を固定して、その端辺の幅方向内側への移動を制限する。幅方向両端固定工程を行うことにより、親水性ポリマーフィルムの幅方向の収縮を抑制して、得られる偏光子の光学特性の低下を抑制することができる。
1つの実施形態においては、上記幅方向延伸工程後、解放位置において親水性ポリマーフィルムを把持手段から解放する。ついで、解放位置から固定位置に親水性ポリマーフィルムを移動させ、固定位置において幅方向両端固定手段で親水性ポリマーフィルムの幅方向の両端を固定して幅方向内側への移動を制限する。これにより、親水性ポリマーフィルムの幅方向の収縮を抑制する。幅方向延伸工程後に、親水性ポリマーフィルム把持手段から解放されると、そのままの状態では、親水性ポリマーフィルムが幅方向に収縮する。本実施形態によれば、この親水性ポリマーフィルムの幅方向の収縮を抑制して、得られる偏光子の光学特性の低下を抑制することができる。
図4に、具体例を模式的に示す。この例では、上記幅方向固定手段は、親水性ポリマーフィルムの両端を把持する把持手段である。図示のように、上記幅方向延伸工程後、まず、解放位置Xにおいて親水性ポリマーフィルム1を把持手段2から解放する。ついで、解放位置Xから固定位置Yに親水性ポリマーフィルム1を移動させ(矢印A)、固定位置Yにおいて第2の把持手段2により親水性ポリマーフィルム1の幅方向の両端を把持する。これにより、親水性ポリマーフィルム1の幅方向内側への移動を制限する。第2の把持手段2としては、上記幅方向延伸工程で用いた把持手段を、再度、利用してもよいし、上記幅方向延伸工程で用いたのとは別の把持手段であってもよい。
解放位置Xでの親水性ポリマーフィルム1の幅方向の長さWは、特に制限されないが、例えば、1500mm〜3000mmの範囲であり、好ましくは1800mm〜2500mmの範囲であり、より好ましくは2000mm〜2200mmの範囲である。また、解放位置Xから固定位置Yまでの距離Lは、短いほど好ましく、例えば、100mm〜500mmの範囲であり、好ましくは100mm〜300mmの範囲であり、より好ましくは100mm〜200mmの範囲である。L/Wは、0.2以下であることが好ましい。L/Wを0.2以下とすることで、親水性ポリマーフィルム1の幅方向の収縮をより好適に抑制できる。L/Wは、より好ましくは0.03〜0.15の範囲であり、さらに好ましくは0.03〜0.1の範囲である。
固定位置Yでの親水性ポリマーフィルム1の幅方向の長さWは、例えば、1425mm〜2850mmの範囲であり、好ましくは1710mm〜2375mmの範囲であり、より好ましくは1900mm〜2090mmの範囲である。幅残存率(W/W)は、0.92以上であることが好ましい。幅残存率(W/W)を0.92以上とすることで、得られる偏光子の光学特性の低下をより好適に抑制できる。幅残存率(W/W)は、より好ましくは0.93〜0.98の範囲であり、さらに好ましくは0.95〜0.98の範囲である。
図5に、別の具体例を模式的に示す。この例では、上記幅方向固定手段が、ロールピンチ手段であり、固定位置Yで、親水性ポリマーフィルム1を、その上下方向から2本のロール3でピンチする(挟み込む)ことで、親水性ポリマーフィルム1の幅方向内側への移動を制限している。ロール3の直径は、大きいほど好ましい。これは、ロール3の直径が大きければ、ロール3により近い位置まで把持手段2で親水性ポリマーフィルム1の両端を把持しておくことができる(解放位置Xから固定位置Yまでの距離Lを、より短くできる)からである。ロール3の直径は、例えば、200mm〜500mmの範囲であり、好ましくは300mm〜400mmの範囲であり、より好ましくは300mm〜350mmの範囲である。
(圧延工程)
好ましい実施形態においては、図6に示すように、少なくとも一対の圧延ロール5,5の間隙に親水性ポリマーフィルム1を通過させる圧延工程を経て偏光子は作製される。圧延工程は、好ましくは、上記幅方向延伸工程後に行う。圧延工程を行うことにより、加熱や加湿等の条件下における寸法変化(例えば、延伸方向の収縮)が抑制された偏光子を得ることができる。
圧延ロールは、好ましくは、弾性体で形成される。一対の圧延ロールのロールギャップTは、圧延処理前の親水性ポリマーフィルムの厚みTに対して、(T/T)×100(%)の値が、好ましくは50%〜90%に設定されている。圧延処理後の親水性ポリマーフィルムの厚みTは、圧延処理前の親水性ポリマーフィルムの厚みTに対して、(T/T)×100(%)の値が、好ましくは96%〜100%である。
圧延温度(圧延ロールの温度)は、好ましくは15℃〜200℃、より好ましくは25℃〜160℃である。
(その他の工程)
偏光子を作製するため行われるその他の工程としては、例えば、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程(幅方向延伸とは別の)、調整工程、乾燥(水分率の調節)工程等が挙げられる。その他の工程は、任意の適切なタイミングで行い得る。
(膨潤工程)
上記膨潤工程は、親水性ポリマーフィルムに膨潤液を接触させることにより行われる。膨潤液としては、例えば、水、グリセリン水溶液、ヨウ化カリウム水溶液等が使用できる。
膨潤工程を上記幅方向延伸工程とは別に行う場合、膨潤液の接触は、例えば、上記膨潤液に親水性ポリマーフィルムを浸漬することにより行われる。この場合、膨潤液(膨潤浴)への親水性ポリマーフィルムの浸漬時間は、特に制限されないが、例えば、20秒〜300秒の範囲であり、好ましくは30秒〜200秒の範囲であり、より好ましくは30秒〜120秒の範囲である。膨潤液(膨潤浴)の温度は、例えば、20℃〜45℃の範囲であり、好ましくは25℃〜40℃の範囲であり、より好ましくは27℃〜37℃の範囲である。
(染色工程)
染色工程は、代表的には、親水性ポリマーフィルムを二色性物質で染色する工程である。染色工程は、好ましくは、上記膨潤工程後に行う。染色工程は、親水性ポリマーフィルムに染色液を接触させることにより行われる。
上記二色性物質としては、従来公知の物質が使用でき、例えば、ヨウ素や有機染料等が挙げられる。有機染料を使用する場合には、例えば、可視光領域のニュートラル化を図る点より、二種類以上を組み合わせることが好ましい。好ましくは、ヨウ素が用いられる。
上記染色液としては、上記二色性物質を溶媒に溶解した溶液が使用できる。溶媒としては、例えば、水が使用できるが、水と相溶性のある有機溶媒がさらに添加されていてもよい。溶液における二色性物質の濃度は、特に制限されないが、例えば、0.005重量%〜0.40重量%の範囲であり、好ましくは0.01重量%〜0.30重量%の範囲である。
上記二色性物質としてヨウ素を使用する場合、溶解度、染色効率等をより一層向上できることから、染色液に助剤としてヨウ化物をさらに添加することが好ましい。ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。これらのヨウ化物の添加割合は、染色液において、0.05重量%〜10重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.10重量%〜5重量%の範囲である。例えば、ヨウ素とヨウ化カリウムとを組み合わせて使用する場合、染色液におけるヨウ素(A)とヨウ化カリウム(B)の割合(A:B(重量比))は、例えば、1:5〜1:100の範囲であり、好ましくは1:7〜1:50の範囲であり、より好ましくは1:10〜1:30の範囲である。
染色工程を上記幅方向延伸工程とは別に行う場合、染色液の接触は、例えば、上記染色液に親水性ポリマーフィルムを浸漬することにより行われる。この場合、染色液(染色浴)への親水性ポリマーフィルムの浸漬時間は、特に制限されないが、例えば、10秒〜90秒の範囲であり、好ましくは15秒〜60秒の範囲であり、より好ましくは20秒〜45秒の範囲である。染色液(染色浴)の温度は、例えば、5℃〜42℃の範囲であり、好ましくは10℃〜35℃の範囲であり、より好ましくは12℃〜30℃の範囲である。
(架橋工程)
架橋工程は、好ましくは、上記染色工程後に行う。架橋工程は、親水性ポリマーフィルムに架橋剤を含む架橋液を接触させることにより行われる。
上記架橋剤としては、従来公知の物質が使用でき、例えば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物等が挙げられる。これらは一種類で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。上記架橋液としては、前架橋剤を溶媒に溶解した溶液が使用できる。溶媒としては、例えば、水が使用できるが、さらに水と相溶性のある有機溶媒を使用してもよい。溶液における架橋剤の濃度は、特に制限されないが、例えば、溶媒(例えば、水)100重量部に対して、0.1重量部〜10重量部の範囲が好ましく、より好ましくは1.5重量部〜8重量部の範囲であり、さらに好ましくは2重量部〜6重量部の範囲である。
上記架橋液は、偏光子の面内の均一な特性が得られる点から、上記ホウ素化合物の他に、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等のヨウ化物等の助剤を含んでいてもよい。これらの中でもホウ酸とヨウ化カリウムとの組み合わせが好ましい。上記溶液における助剤の含有量は、例えば、0.05重量%〜15重量%の範囲であり、好ましくは0.5重量%〜8重量%の範囲である。
架橋工程を上記幅方向延伸工程とは別に行う場合、架橋液の接触は、例えば、上記架橋液に親水性ポリマーフィルムを浸漬することにより行われる。この場合、架橋液(架橋浴)への親水性ポリマーフィルムの浸漬時間は、特に制限されないが、例えば、5秒〜150秒の範囲であり、好ましくは10秒〜90秒の範囲であり、より好ましくは20秒〜40秒の範囲である。架橋液(架橋浴)の温度は、例えば、20℃〜70℃の範囲であり、好ましくは40℃〜60℃の範囲である。
(調整工程)
上記調整工程は、親水性ポリマーフィルムにヨウ化物含有水溶液(調整液)を接触させることにより行われる。
上記ヨウ化物含有水溶液におけるヨウ化物としては、上述のものが使用でき、その中でも、例えば、ヨウ化カリウムやヨウ化ナトリウム等が好ましい。このヨウ化物含有水溶液により、親水性ポリマーフィルムから残存するホウ酸を洗い流すことができる。調整液がヨウ化カリウム水溶液の場合、その濃度は、例えば、0.5重量%〜20重量%の範囲であり、好ましくは1重量%〜15重量%の範囲であり、より好ましくは1.5重量%〜7重量%の範囲である。
調整工程を上記幅方向延伸工程とは別に行う場合、調整液の接触は、例えば、上記調整液に親水性ポリマーフィルムを浸漬することにより行われる。この場合、調整液(調整浴)への親水性ポリマーフィルムの浸漬時間は、特に制限されないが、例えば、2秒〜15秒の範囲であり、好ましくは3秒〜12秒の範囲である。調整液(調整浴)の温度は、例えば、15℃〜40℃の範囲であり、好ましくは20℃〜35℃の範囲である。
(乾燥工程)
乾燥は、例えば、自然乾燥、風乾、加熱乾燥等、従来公知の方法で実施すればよい。加熱乾燥の場合、加熱温度は、特に制限されないが、25℃〜60℃の範囲が好ましく、より好ましくは30℃〜50℃の範囲であり、さらに好ましくは30℃〜45℃の範囲である。
上記幅方向両端固定工程を行う場合、乾燥工程は、少なくとも幅方向両端固定工程の後に実施することが好ましい。図5に示した場合を例に、この乾燥工程について説明する。この例では、乾燥工程が、固定位置Yで親水性ポリマーフィルム1の幅方向内側への移動を制限した直後から実施されている。また、この例では、3本の搬送ロール4を用いて、親水性ポリマーフィルム1をその長手方向(同図において右方向)に搬送しながら、乾燥工程Dが実施されている。乾燥工程D直前の親水性ポリマーフィルム1の幅方向の長さWは、例えば、1425mm〜2850mmの範囲であり、好ましくは1710mm〜2375mmの範囲であり、より好ましくは1900mm〜2090mmの範囲である。上述のとおり、この例では、乾燥工程Dを固定位置Yで親水性ポリマーフィルム1の幅方向内側への移動を制限した直後から実施しているため、Wが、固定位置Yでの親水性ポリマーフィルム1の幅方向の長さWと同じになっている。乾燥工程D後の親水性ポリマーフィルムの幅方向の長さWは、例えば、1380mm〜2760mmの範囲であり、好ましくは1656mm〜2300mmの範囲であり、より好ましくは1840mm〜2024mmの範囲である。また、本実施形態においては、下記式(1)の関係を満たすことが好ましい。下記式(1)の関係を満たすことで、得られる偏光子の光学特性の低下をより好適に抑制できる。
α={−0.66×(L/W)+1.05}×(W/W)≧0.92(1)
:解放位置での親水性ポリマーフィルムの幅方向の長さ(mm)
L:解放位置から固定位置までの距離(mm)
:乾燥工程直前の親水性ポリマーフィルムの幅方向の長さ(mm)
:乾燥工程後の親水性ポリマーフィルムの幅方向の長さ(mm)
なお、αは、より好ましくは0.93〜0.98の範囲であり、さらに好ましくは0.95〜0.98の範囲である。
C.位相差層
上記位相差層は、代表的には、λ/4板として機能し得る。λ/4板は、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または、円偏光を直線偏光に)変換し得る。このような位相差層の面内位相差Re(590)は、好ましくは90nm〜190nmであり、より好ましくは100nm〜170nmであり、さらに好ましくは110nm〜150nmである。位相差層は、好ましくは、nx>ny>nzまたはnx>ny=nzの屈折率楕円体を有する。本明細書において、「ny=nz」は、nyとnzが厳密に等しい場合のみならず、nyとnzが実質的に等しい場合も包含する。
位相差層は、それぞれが異なる方向に遅相軸を有する複数の領域を所定のパターンで有する。パターンの代表例としては、ストライプ状、チェッカー状、モザイク状が挙げられる。このような構成を有することにより、観測者の左右の眼に異なる画像を提供することができ、結果として、3次元(立体)画像を提供することができる。なお、本明細書において例えば「面内位相差Re(590)が140nmである」とは、好ましくは、当該複数の領域の面内位相差がそれぞれ140nmであることを意味する。代表的には、位相差層は、それぞれが異なる方向に遅相軸を有する2つの領域を所定のパターンで有する。代表的には、当該2つの領域の遅相軸方向は、互いに実質的に直交している。このような構成であれば、当該2つの領域が偏光方向の異なる画像を提供することができ、結果として、良好な3次元画像を提供することができる。
位相差層の上記所定パターンは、好ましくは、図7に示すように、異なる方向に遅相軸を有する2つの領域31および32が交互に配置されたストライプ状である。ストライプの方向は、表示画面の水平方向(左右方向)であってもよく、垂直方向(上下方向)であってもよい。上記と同様に、当該ストライプ状の2つの領域の遅相軸方向は、互いに実質的に直交している。好ましくは、当該異なる方向に遅相軸を有する2つの領域は、それぞれ、液晶セルの1ラインに対応する。言い換えれば、ストライプ状パターンにおけるストライプの幅は、液晶セルの1ラインに対応する。本明細書において「液晶セルの1ライン」とは、マトリクス状に配列された画素の垂直方向または水平方向の一列をいう。ストライプ状パターンは、好ましくは、隣接する領域同士の間にブラックストライプを有する。ブラックストライプは、好ましくは、液晶セルのブラックマトリクスに対応する位置に形成され得る。ブラックストライプを設けることにより、クロストークがさらに低減され得る。
位相差層における上記遅相軸方向が異なるそれぞれの領域の遅相軸方向は、好ましくは、上記偏光子の吸収軸方向と実質的に±45°の関係である。位相差層の面内位相差が上記の好適な範囲であって、さらに、それぞれの領域の遅相軸方向と偏光子の吸収軸方向とがこのような関係であれば、左目用画像および右目用画像の両方が良好な円偏光となるので、良好な立体画像表示を実現することができる。
1つの実施形態においては、位相差層は、基材フィルム上に、光硬化型液晶ポリマーを異なる配向状態で固定することにより形成された、それぞれが異なる方向に遅相軸を有する複数の領域を有する。このような位相差層は、例えば、以下のようにして形成される:まず、基材フィルム上に光配向膜を形成し、偏光露光法を用いて所定の方向に配向規制力を付与する。例えば、液晶セルの1ライン毎にストライプの方向に対して交互に+45°、−45°の配向規制力が与えられた領域を有する光配向膜を形成する。次いで、当該光配向膜上に光硬化型液晶ポリマー層を形成し、当該光硬化型液晶ポリマー層に紫外線を照射して液晶ポリマーの配向状態を固定することにより、それぞれが異なる方向に遅相軸を有する複数の領域(例えば、液晶セルの1ライン毎にストライプの方向に対して交互に+45°、−45°の遅相軸方向を有する2つの領域)を形成する。当該領域の面内位相差は、位相差層全体の面内位相差が上記好適範囲となるように、基材フィルムの面内位相差を考慮して調整され得る。
基材フィルムの線膨張係数は、好ましくは5.0×10−4(1/℃)以下であり、より好ましくは1.0×10−4(1/℃)以下である。基材フィルムを構成する材料としては、例えば、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂が挙げられる。環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとの共重合体(代表的には、ランダム共重合体)、および、これらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト変性体、ならびに、それらの水素化物が挙げられる。環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン系モノマーが挙げられる。上記ポリカーボネート系樹脂としては、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切なポリカーボネート系樹脂が用いられる。例えば、芳香族2価フェノール成分とカーボネート成分とからなる芳香族ポリカーボネートが好ましく用いられる。
別の実施形態においては、位相差層は、光異性化物質を含有する高分子材料から形成され得る。光異性化物質は、光照射等により構造異性体または立体異性体を生じるので、所定のパターンで光照射を行うことにより、遅相軸方向が異なる領域を所定のパターンで形成することができる。光異性化物質は、代表的には、光異性化性官能基を有する任意の適切なフォトクロミック化合物である。具体例としては、アゾベンゼン系化合物、ベンズアルドキシム系化合物、アゾメチン系化合物、スチルベン系化合物、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、フルギド系化合物、ジアリールエテン系化合物、ケイ皮酸系化合物、レチナール系化合物、およびヘミチオインジコ系化合物が挙げられる。好ましくは、アゾベンゼン系化合物、スピロピラン系化合物、およびケイ皮酸系化合物であり、特に好ましくはケイ皮酸系化合物である。また、光異性化物質は、モノマーであってもよく、ポリマーであってもよい。
上記高分子材料としては、任意の適切な高分子材料が採用され得る。さらに、高分子材料は、好ましくは、重合性樹脂を含有し得る。重合性樹脂を含有することにより、光異性化物質の配向を固定することができる。より詳細には、重合性樹脂は、一旦、光照射または加熱によって光異性化物質の配向を固定するように重合した後は、さらなる光照射または加熱が行われても、光異性化物質の所望でない構造異性化を引き起こさない役割を果たし得る。すなわち、重合性樹脂は、位相差層において固定された遅相軸方向を常に安定に保持し得る。このような重合性樹脂としては、例えば、不飽和二重結合を有する化合物、親電子基を有する化合物、求核基を有する化合物、および、重合性液晶構造を有する化合物が挙げられる。
光異性化物質を含有する高分子材料を用いた位相差層の形成方法について簡単に説明する。まず、上記光異性化物質、高分子材料、および必要に応じて重合成樹脂を含む組成物から、前処理シートが形成される。前処理シートの成形方法としては、任意の適切な方法(例えば、溶液流延法、溶融製膜法(溶融押出し法)、塗布法)が採用され得る。例えば、溶融製膜法を行う場合、上記組成物を所定温度で溶融し、ダイから冷却ロールにキャストすることにより、前処理シートが作製され得る。前処理シートは、未延伸の状態で使用されることもあるが、好ましくは所定の方向に一軸延伸され得る。一軸延伸を行うことにより、後述の光照射によって、複数の領域のそれぞれの遅相軸方向をさらに均一に揃えることができる。一軸延伸の方法および条件(例えば、延伸倍率および延伸温度)は、当業者により適切に選択され得る。
次いで、前処理シートに照射強度分布を有する光を照射して、遅相軸方向がそれぞれ異なる複数の領域が形成される。照射強度分布を有する光を照射する方法としては、代表的には、所定のパターンを有するマスクを介して光を照射する方法が挙げられる。照射光は、好ましくは直線偏光である。このようにして、それぞれが異なる方向に遅相軸を有する複数の領域を所定のパターンで有する位相差層を形成することができる。
なお、光異性化物質を含有する高分子材料を用いる位相差層(位相差フィルム)の詳細については、特許第3372016号に記載されており、当該記載は本明細書に参考として援用される。
位相差層は上記の形態に限られず、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切な形態が採用され得る。例えば、ポリビニルアルコールフィルムを面内で選択的に非晶化させて所定のパターン(例えば、1ライン毎に遅相軸方向の異なる領域が交互に配されたストライプパターン)を形成した、所定の位相差(例えば、1/2波長の位相差)に対応したパターンリターダーフィルム;所定の波長(例えば、1/2波長)の領域が所定のパターン(例えば、ストライプパターン)で形成された層上に、パターン化されていない所定の波長(例えば、1/4波長)の位相差層を設けたパターンリターダーフィルム;が位相差層として用いられ得る。
D.保護層
上記保護層は、偏光子の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)が挙げられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルが挙げられる。より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
上記(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10000〜500000である。重量平均分子量が小さすぎると、フィルムにした場合の機械的強度が不足する傾向がある。重量平均分子量が大きすぎると、溶融押出時の粘度が高く、成形加工性が低下し、成形品の生産性が低下する傾向がある。
上記(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度は、好ましくは110℃以上であり、より好ましくは120℃以上である。ガラス転移温度がこのような範囲であれば、耐久性および耐熱性に優れ得る。ガラス転移温度の上限は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
上記所望の特性が得られるという点で、上記(メタ)アクリル系樹脂として、グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂(以下、グルタルイミド樹脂とも称する)は、例えば、特開2006−309033号公報、特開2006−317560号公報、特開2006−328329号公報、特開2006−328334号公報、特開2006−337491号公報、特開2006−337492号公報、特開2006−337493号公報、特開2006−337569号公報、特開2007−009182号公報、特開2009−161744号公報、特開2010−284840号公報に記載されている。これらの記載は、本明細書に参考として援用される。
第1の局面において、好ましくは、グルタルイミド樹脂は、下記一般式(1)で表される単位(以下、グルタルイミド単位とも称する)と、下記一般式(2)で表される単位(以下、(メタ)アクリル酸エステル単位とも称する)とを含む。
式(1)において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基である。式(2)において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基である。
グルタルイミド樹脂は、必要に応じて、下記一般式(3)で表される単位(以下、芳香族ビニル単位とも称する)をさらに含んでいてもよい。
式(3)において、Rは、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数6〜10のアリール基である。
上記一般式(1)において、好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、Rは水素、メチル基、ブチル基、またはシクロヘキシル基であり、さらに好ましくは、Rはメチル基であり、Rは水素であり、Rはメチル基である。
上記グルタルイミド樹脂は、グルタルイミド単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記一般式(1)におけるR、R、およびRが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
グルタルイミド単位は、上記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル単位をイミド化することにより、形成することができる。また、グルタルイミド単位は、無水マレイン酸等の酸無水物、または、このような酸無水物と炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸等をイミド化することによっても、形成することができる。
上記一般式(2)において、好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、Rは水素またはメチル基であり、さらに好ましくは、Rは水素であり、Rはメチル基であり、Rはメチル基である。
上記グルタルイミド樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記一般式(2)におけるR、R、およびRが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
上記グルタルイミド樹脂は、上記一般式(3)で表される芳香族ビニル構成単位として、好ましくはスチレン、α−メチルスチレン等を含み、さらに好ましくはスチレンを含む。このような芳香族ビニル構成単位を有することにより、位相差を小さくすることができる。
上記グルタルイミド樹脂は、芳香族ビニル構成単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、RおよびRが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
上記グルタルイミド樹脂における上記グルタルイミド単位の含有量は、例えばRの構造等に依存して変化させることが好ましい。グルタルイミド単位の含有量は、グルタルイミド樹脂の総繰り返し単位を基準として、好ましくは20重量%以上であり、より好ましくは20重量%〜95重量%であり、さらに好ましくは40重量%〜90重量%であり、特に好ましくは50重量%〜80重量%である。グルタルイミド単位の含有量がこのような範囲であれば、位相差を小さくすることができる。
上記グルタルイミド樹脂における上記芳香族ビニル単位の含有量は、目的や所望の特性に応じて適切に設定され得る。用途によっては、芳香族ビニル単位の含有量は0であってもよい。芳香族ビニル単位が含まれる場合、その含有量は、グルタルイミド樹脂の総繰り返し単位を基準として、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは10重量%〜40重量%であり、さらに好ましくは15重量%〜30重量%であり、特に好ましくは15重量%〜25重量%である。芳香族ビニル単位の含有量がこのような範囲であれば、耐熱性および機械的強度に優れ得る。
上記グルタルイミド樹脂には、必要に応じて、グルタルイミド単位、(メタ)アクリル酸エステル単位、および芳香族ビニル単位以外のその他の単位がさらに共重合されていてもよい。その他の単位としては、例えば、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体から構成される単位が挙げられる。これらのその他の単位は、上記グルタルイミド樹脂中に、直接共重合していてもよいし、グラフト共重合していてもよい。
第2の局面において、好ましくは、グルタルイミド樹脂は、下記一般式(4)で表されるグルタルイミド単位とメタクリル酸メチル単位とを含み、2.5〜5.0%のイミド化率、0.10〜0.50mmol/gの酸価、および1重量%未満のアクリル酸エステル単位含有量を有する。
式(4)において、RおよびR10はそれぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R11は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。
上記一般式(4)において、RおよびR10は、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、R11は水素、メチル基、ブチル基、またはシクロヘキシル基であることが好ましく、Rはメチル基であり、R10は水素であり、R11はメチル基であることがより好ましい。
第2の局面の上記グルタルイミド樹脂は、グルタルイミド単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記一般式(4)におけるR、R10、およびR11が異なる複数の種類を含んでいてもよい。
第2の局面の上記グルタルイミド樹脂は、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂を加熱溶融し、ポリメタクリル酸メチル樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部のイミド化剤で処理する工程を含む製造方法によって得られ得る。使用されるポリメタクリル酸メチル樹脂中のアクリル酸エステル単位は、好ましくは1重量%未満である。
上記ポリメタクリル酸メチル樹脂は、メタクリル酸メチルを重合させることによって製造される。当該重合工程においては、メタクリル酸メチル以外にも、例えば、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等を併用することができる。この場合、アクリル酸エステル単位は、好ましくは1重量%未満である。アクリル酸メチル単位が0.5重量%未満であることがより好ましい。
上記ポリメタクリル酸メチル樹脂を加熱溶融して、イミド化剤と処理する方法としては、従来公知の任意の方法を用いることができ、例えば、特開2010−284840号に記載の方法が好ましく用いられ得る。当該方法によれば、グルタルイミド単位、メタクリル酸メチル単位、カルボン酸またはカルボン酸無水物単位の比率が所望に制御されたグルタルイミド樹脂が容易に得られ得る。
第2の局面の上記グルタルイミド樹脂におけるイミド化率は、グルタルイミド単位とメタクリル酸メチル単位との比で表される。この比は、例えば、グルタルイミド樹脂のNMRスペクトル、IRスペクトル、あるいはその他の方法により測定することが可能である。本明細書におけるイミド化率は次のようにして求められる。すなわち、H−NMR
BRUKER AvanceIII(400MHz)を用いて、樹脂のH−NMR測定を行った。3.5から3.8ppm付近のメタクリル酸メチルのO−CHプロトン由来のピーク面積Aと、3.0から3.3ppm付近のグルタルイミドのN−CHプロトン由来のピークの面積Bより、次式で求められる。
Im%=B/(A+B)×100
なお、ここで、「イミド化率」とは全カルボニル基中のイミドカルボニル基の占める割合をいう。
第2の局面の上記グルタルイミド樹脂のイミド化率は、好ましくは2.5%〜5.0%、より好ましくは2.5%〜4.5%、さらに好ましくは3.0%〜4.5%である。イミド化率が当該範囲であれば、耐熱性、透明性、成形加工性、およびフィルムに加工したときの機械的強度に優れたグルタルイミド樹脂が得られ得る。
第2の局面の上記グルタルイミド樹脂の酸価は、樹脂中でのカルボン酸単位、カルボン酸無水物単位の含有量を表す。酸価は、例えばWO2005/054311および特開2005−23272号公報に記載の滴定法などにより算出することが可能である。
第2の局面の上記グルタルイミド樹脂の酸価は、好ましくは0.10〜0.50mmol/g、より好ましくは0.15〜0.45mmol/gである。酸価が当該範囲内であれば、耐熱性、機械物性、成形加工性のバランスに優れたグルタルイミド樹脂が得られ得る。
第2の局面の上記グルタルイミド樹脂におけるアクリル酸エステル単位の含有量は、好ましくは1重量%未満であり、より好ましくは0.5重量%未満である。アクリル酸エステル単位の含有量が当該範囲内であれば、熱安定性に優れたグルタルイミド樹脂が得られ得る。
第2の局面の上記グルタルイミド樹脂には、必要に応じ、グルタルイミド単位、メタクリル酸メチル単位、カルボン酸もしくはカルボン酸無水物単位、アクリル酸エステル単位以外のその他の単位がさらに共重合されていてもよい。その他の単位としては、例えば、スチレン等の芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体を共重合してなる構成単位を挙げることができる。これらのその他の単位は、上記グルタルイミド樹脂中に、直接共重合していてもよいし、グラフト共重合していてもよい。
偏光子20と位相差層30との間に配置された保護層42は、好ましくはセルロース系樹脂で構成され、さらに好ましくはTACで構成される。保護層42としてセルロース系樹脂(特に、TAC)を用いることにより、偏光子の寸法変化による位相差層の寸法変化が顕著に抑制され、結果として、立体画像表示のクロストークが良好に低減され得る。保護層42は、光学的に等方性を有することが好ましい。特に、面内位相差Reが小さいことが好ましい。偏光子を通過した直線偏光は代表的には位相差層30によって円偏光に変換されるところ、保護層42の面内位相差が小さいほど良好な円偏光への変換が実現でき、結果として、優れた立体画像表示が実現できる。具体的には、保護層42の面内位相差Re(590)は、好ましくは0nm以上20nm以下、さらに好ましくは0nm以上10nm以下、特に好ましくは0nm以上6nm以下である。保護層42の厚み方向の位相差Rth(590)は、好ましくは−100nm〜+100nm、さらに好ましくは−70nm〜+70nm、特に好ましくは−50nm〜+50nmである。さらに、保護層42の光弾性係数(590)は、好ましくは5.0×10−11m/N以下、さらに好ましくは3.0×10−11m/N以下である。光弾性係数がこのような範囲であれば、立体画像表示への悪影響を抑制することができる。
保護層41は、好ましくは、上記(メタ)アクリル系樹脂で構成される。保護層41として上記(メタ)アクリル系樹脂を用いることにより、画像表示装置の表示特性への悪影響を抑制することができる。この場合、保護層41の面内位相差Re(590)は、好ましくは0nm以上10nm以下、さらに好ましくは0nm以上7nm以下、特に好ましくは0nm以上5nm以下である。保護層41の厚み方向の位相差Rth(590)は、好ましくは−15nm〜+15nm、さらに好ましくは−10nm〜+10nm、特に好ましくは−5nm〜+5nmである。また、保護層41は、延伸フィルムであっても未延伸フィルムであってもよいが、好ましくは延伸フィルムである。
保護層の厚みは、好ましくは20μm〜100μmである。
なお、上記偏光子の製造方法を採用する場合、得られた偏光子を上記熱可塑性樹脂基材と一体となった状態で使用してもよい。この場合、上記熱可塑性樹脂基材は保護層として機能し得る。
E.接着層
本明細書において、「接着層」とは、隣り合う光学部材の面と面とを接合し、実用上十分な接着力と接着時間で一体化させるものをいう。接着層を形成する材料としては、例えば、粘着剤、接着剤、アンカーコート剤が挙げられる。上記接着層は、被着体の表面にアンカーコート層が形成され、その上に接着剤層が形成されたような、多層構造であってもよい。また、肉眼的に認知できないような薄い層(ヘアーラインともいう)であってもよい。
接着層の厚みは、目的に応じて適切に設定され得る。厚みは、好ましくは2μm〜50μmであり、さらに好ましくは2μm〜40μmであり、特に好ましくは5μm〜35μmである。このような範囲内に厚みを設定することにより、適切な接着性を有する接着層を得ることができる。
接着層の20℃におけるせん断弾性率は、好ましくは30000Pa〜1100000Paであり、より好ましくは40000Pa〜1000000Paであり、さらに好ましくは50000Pa〜900000Paであり、特に好ましくは50000Pa〜90000Paである。
接着層の23℃における波長590nmの光で測定した透過率は、好ましくは90%以上である。透過率の理論上の上限は100%であり、実用的な上限は96%である。
接着層のゲル分率は、好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは75%〜90%であり、特に好ましくは80%〜85%である。ゲル分率をこのような範囲とすることによって、良好な粘着特性を有する接着層が得られ得る。ゲル分率は、用いる架橋剤の種類、含有量等によって、調節することが可能である。
接着層のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−70℃〜−10℃であり、さらに好ましくは−60℃〜−15℃であり、特に好ましくは−50℃〜−20℃である。ガラス転移温度をこのような範囲とすることによって、位相差層に対して強固な接着性を有する接着層を得ることができる。
接着層の水分率は、好ましくは1.0%以下であり、さらに好ましくは0.8%以下であり、特に好ましくは0.6%以下であり、最も好ましくは0.4%以下である。水分率の理論上の下限値は0である。水分率をこのような範囲とすることによって、高温環境下でも発泡の生じにくい接着層を得ることができる。
接着層は、好ましくは、アクリル系粘着剤で構成される。アクリル系粘着剤は、好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマーと過酸化物とを含む。(メタ)アクリル系ポリマーは、アクリレート系モノマーおよび/またはメタクリレート系モノマーから合成される重合体または共重合体をいう。(メタ)アクリル系ポリマーが共重合体である場合、その分子の配列状態は特に制限はなく、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。上記(メタ)アクリル系ポリマーの好ましい分子配列状態は、ランダム共重合体である。
上記過酸化物としては、加熱によりラジカルを発生させて(メタ)アクリル系ポリマーの架橋を達成できるかぎり、任意の適切な過酸化物が用いられ得る。過酸化物としては、例えば、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類が挙げられる。過酸化物の配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して好ましくは0.01重量部〜1重量部であり、さらに好ましくは0.05重量部〜0.8重量部であり、特に好ましくは0.1重量部〜0.5重量部であり、最も好ましくは0.15重量部〜0.45重量部である。過酸化物の配合量をこのような範囲とすることで、適度な応力緩和性および優れた熱安定性を有する接着層が得られ得る。
F.その他
本発明の位相差層付偏光板においては、上記位相差層の視認側に、目的に応じて任意の適切な表面処理層を形成してもよい。表面処理層の代表例としては、アンチグレア層、反射防止層およびハードコート層が挙げられる。
アンチグレア層は、画像表示装置の表面で外光が反射することによる透過光の視認性低下の防止等を目的として設けられる。アンチグレア層は、形成されるフィルム表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。アンチグレア層を形成する材料としては、代表的には、透明樹脂が挙げられる。具体例としては、イソシアヌル酸トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのようなアクリル系樹脂、イソホロンジイソシアネートポリウレタンのようなウレタン系樹脂を含有する紫外線硬化型樹脂が挙げられる。微細凹凸構造の付与は、任意の適切な方式で行われる。代表例としては、粗面化(例えば、サンドブラスト、エンボス加工)、微粒子の配合が挙げられる。微粒子を用いる場合、当該微粒子としては、目的に応じて任意の適切な微粒子が採用され得る。好ましくは、透明微粒子である。具体的には、微粒子は、無機系微粒子(例えば、導電性であり得るシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウムまたは酸化アンチモン微粒子)であってもよく、有機系微粒子(例えば、架橋または未架橋のポリマー微粒子)であってもよい。微粒子の平均粒径は、好ましくは0.5μm〜20μmである。微粒子の配合量は、透明樹脂100重量部に対して、好ましくは2重量部〜70重量部であり、より好ましくは5重量部〜50重量部である。
ハードコート層は、画像表示装置の表面に配置される偏光板等の表面の傷付き防止等を目的として設けられる。ハードコート層は、適切な硬度および滑り性を有する硬化膜で構成される。ハードコート層を形成する材料としては、上記アンチグレア層を形成するアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂に加えて、シリコーン系樹脂が挙げられる。
反射防止層は、画像表示装置の表面での外光の反射防止を目的として設けられる。反射防止層としては、当業界で通常用いられている反射防止層が採用され得る。
G.液晶パネル
本発明の液晶パネルは、上記位相差層付偏光板を有する。好ましくは、本発明の液晶パネルは、液晶セルと、液晶セルの視認側に配置された上記位相差層付偏光板とを有する。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法は以下の通りである。
1.厚み
デジタルマイクロメーター(アンリツ社製、製品名「KC−351C」)を用いて測定した。
2.位相差
王子計測機器(株)製、商品名「KOBRA−CCD」を用いて測定した。
[実施例1]
(PVAフィルムの準備)
重合度2400のPVAからなる厚み75μm、幅0.13m、長さ50mのロールに巻き回した原反PVAフィルム(クラレ社製、商品名「VF−PS」)を準備した。この原反PVAフィルムを順次繰り出し、PVAフィルムの幅方向の両端を把持手段(テンタークリップ)により把持し、テンター延伸機で速度1m/分でPVAフィルムの長手方向に搬送した。この際、把持手段(テンタークリップ)によるつかみしろの長さは15mm、幅は50mmとした。また、PVAフィルムの長手方向に隣接する把持手段(テンタークリップ)の間の距離は5mmとした。
(偏光子の作製)
(1)膨潤工程および幅方向延伸工程
30m/分で上記PVAフィルムの幅方向に往復運動する噴霧装置(スプレー)を用いて、16mL/分の流量で、PVAフィルムの両面に、気相中で、30℃の水(膨潤液)を30秒噴霧した。この際、把持手段(テンタークリップ)により、PVAフィルムを原反の2.2倍の長さになるように幅方向に延伸した。
(2)染色工程および幅方向延伸工程
上記噴霧装置(スプレー)を用いて、膨潤後のPVAフィルムの片面に、気相中で、0.2重量%のヨウ素を含む30℃の水溶液(染色液)を25秒噴霧した。この際、把持手段(テンタークリップ)により、PVAフィルムを原反の3.3倍の長さになるように幅方向に延伸した。
(3)架橋工程および幅方向延伸工程
上記噴霧装置(スプレー)を用いて、染色処理後のPVAフィルムの片面に、気相中で、3重量%のホウ酸と3重量%のヨウ化カリウムとを含む30℃の水溶液(架橋液)を10秒噴霧した。この際、把持手段(テンタークリップ)により、PVAフィルムを原反の3.6倍の長さになるように幅方向に延伸した。
(4)幅方向延伸工程
上記噴霧装置(スプレー)を用いて、架橋後のPVAフィルムの片面に、4重量%のホウ酸と5重量%のヨウ化カリウムとを含む60℃の水溶液(延伸液)を60秒噴霧した。この際、把持手段(テンタークリップ)により、PVAフィルムを原反の5.9倍の長さになるように幅方向に延伸した。
(5)調整工程
上記噴霧装置(スプレー)を用いて、延伸処理後のPVAフィルムの片面に、4重量%のヨウ化カリウムを含む30℃の水溶液(調整液)を10秒噴霧した。
(6)乾燥工程
PVAフィルムに60℃で1分間乾燥処理を施し、厚み17μmの偏光子を得た。
(位相差層の作製)
遅相軸方向が異なる2つの領域をストライプパターンで有する位相差フィルムを以下のようにして作製した。ノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名「ZEONOR」)の上に光配向膜を形成し、偏光露光法を用いて液晶セルの1ライン毎にストライプの方向に対して+45°、−45°の配向規制力を与え、当該光配向膜上に所定の複屈折率と膜厚とを有する光硬化型液晶ポリマー層を形成した。次いで、紫外線を照射して光硬化型液晶ポリマーを硬化させ、その配向状態を固定することにより、遅相軸方向が異なる2つの領域をストライプパターンで有する、λ/4板に対応する位相差フィルム(パターンリターダーフィルム)を作製した。
((メタ)アクリル系フィルムの作製)
特開2009−161744号公報の製造例1に記載のイミド化MS樹脂100重量部およびトリアジン系紫外線吸収剤(アデカ社製、商品名:T−712)0.62重量部を、2軸混練機にて220℃にて混合し、樹脂ペレットを作製した。得られた樹脂ペレットを、100.5kPa、100℃で12時間乾燥させ、単軸の押出機にてダイス温度270℃でTダイから押出してフィルム状に成形した(厚み160μm)。さらに当該フィルムを、その搬送方向に150℃の雰囲気下に延伸し(厚み80μm)、次いでフィルム搬送方向と直交する方向に150℃の雰囲気下に延伸して、厚さ40μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの面内位相差Re(590)は0.4nm、厚み方向位相差Rth(590)は0.78nmであった。
上記で得られた偏光子の一方の面に、内側(液晶セル側)保護層として上記で得られた(メタ)アクリル系フィルムを、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性接着剤(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を介して貼り合わせた。
次いで、偏光子のもう一方の面には、視認側保護層としてTACフィルム(富士フイルム社製、商品名「TD80UL」、厚み80μm、Re(590)=4nm、Rth(590)=45nm)を、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性接着剤(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を介して貼り合わせた。次いで、視認側保護層表面に、アクリル系粘着剤(厚み23μm)を介して、上記で得られたパターンリターダーフィルムを貼り合わせた。このとき、パターンリターダーフィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度が実質的に±45°となるように貼り合わせた。
さらに、内側保護層表面に、アクリル系粘着剤層(厚み23μm)を形成した。
このようにして、粘着剤層/(メタ)アクリル系フィルム/偏光子/TACフィルム/粘着剤層/位相差層の構成を有する位相差層付偏光板を得た。
[実施例2]
厚み90μmの原反PVAフィルムを用い、厚み20μmの偏光子を得たこと以外は実施例1と同様にして、位相差層付偏光板を得た。
[実施例3]
厚み100μmの原反PVAフィルムを用い、厚み24μmの偏光子を得たこと以外は実施例1と同様にして、位相差層付偏光板を得た。
[比較例1]
厚み120μmの原反PVAフィルムを用い、厚み29μmの偏光子を得たこと以外は実施例1と同様にして、位相差層付偏光板を得た。
(クロストーク率)
実施例1〜3および比較例1で得られた位相差層付偏光板を、液晶パネル(LG電子製、型番:42LW6500)に貼り合わせ、80℃の高温環境下で500時間放置した後の黒表示時および白表示時の輝度を測定し、下記式により、クロストーク率を求めた。
クロストーク率=(奇数ライン黒表示、偶数ライン白表示時の輝度)−(奇数ライン、偶数ライン共に黒表示時の輝度)/(奇数ライン白表示、偶数ライン黒表示時の輝度)−(奇数ライン、偶数ライン共に黒表示時の輝度)
クロストーク率の測定結果を図8に示す。なお、実用的には、クロストーク率は20%以下であることが求められる。
本発明の位相差層付偏光板は、液晶表示装置に好適に用いられ得る。特に、3次元液晶表示装置の視認側偏光板として好適に用いられ得る。
20 偏光子
30 位相差層
41 保護層
42 保護層
50 接着層
60 接着層
200 位相差層付偏光板
300 位相差層付偏光板

Claims (6)

  1. 厚み15μm〜25μmの偏光子と、該偏光子の片側に配置された位相差層とを有し、該位相差層が、それぞれが異なる方向に遅相軸を有する複数の領域を所定のパターンで有する、位相差層付偏光板の製造方法であって、
    ホウ素含有量が3重量%〜3.9重量%である前記偏光子を得る工程を含み、該工程は、
    連続的に供給される親水性ポリマーフィルムの幅方向の両端を把持手段により把持し、該把持手段を該親水性ポリマーフィルムの長手方向に進行させると共に、該親水性ポリマーフィルムの両端を把持する該把持手段の少なくとも一方を該親水性ポリマーフィルムの幅方向の外側にも移動させることで該親水性ポリマーフィルムを幅方向に延伸する幅方向延伸工程と、
    少なくとも前記幅方向延伸工程と同時に、前記親水性ポリマーフィルムを長手方向に収縮する長手方向収縮工程と、を含む、
    位相差層付偏光板の製造方法。
  2. 前記位相差層の面内位相差Re(590)が、90nm〜190nmである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記位相差層の前記所定パターンが、異なる方向に遅相軸を有する2つの領域が交互に配置されたストライプ状である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記異なる方向に遅相軸を有する2つの領域が、それぞれ、液晶セルの1ラインに対応する、請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記幅方向延伸工程において、気相中で、前記親水性ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に液を接触させる、請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 少なくとも一対の圧延ロールの間隙に親水性ポリマーフィルムを通過させる圧延工程を経て、前記偏光子を得る、請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
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