JP6984458B2 - タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル及び表示装置 - Google Patents

タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル及び表示装置 Download PDF

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本発明は、タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル及び表示装置に関する。
近年、タッチパネルは多くの携帯情報端末に搭載されるようになったこともあり、流通量が増加している。タッチパネルの表面には、種々の目的のために表面保護シートが貼着される場合がある。
従来主流であった抵抗膜式タッチパネルは、指やペンで繰り返し打点するような操作を行うことから、表面保護シートには高度な耐擦傷性が求められていた。
一方、現在の主流である静電容量式タッチパネルの表面保護シートには、指で操作する際の滑り性が求められている。従来の抵抗膜式は、複数個所を同時に検知できないため、画面上で指を動かすことはなかったものの、静電容量式タッチパネルは、複数個所を同時に検知可能であり、画面上で指を動かす操作が多いためである。
また、抵抗膜式及び静電容量式に共通して、タッチパネル用の表面保護シートには、指で操作した際の指紋の付着を抑制したり、付着した指紋を拭取りやすくする性能が求められている。
上記のようなタッチパネル用の表面保護シートとしては、例えば、特許文献1〜2が提案されている。
特開2015−114939号公報 特開2014−109712号公報
静電容量式タッチパネルは、静電容量の変化を計測して触れた箇所を認識することから、接触物には一定の導電性が必要である。このため、静電容量式タッチパネルの出現当初は、指での操作性のみが検討されており、タッチパネルペンにより文字や絵を描くなどの筆記性は検討されていなかった。抵抗膜式タッチパネルにおいても、タッチパネルペンを用いた際の操作は打点が主流であり、文字や絵を描く際の筆記性は重視されていなかった。
しかし、近年、静電容量式タッチパネルや電磁誘導型タッチパネルに入力可能なタッチパネルペンが提案され始めたこと、タッチパネルペンによる文字入力や描画に対応したアプリケーションが増加してきたことから、タッチパネル用の表面保護シートには、タッチパネルペンでの良好な筆記感が求められている。
しかしながら、従来提案された特許文献1〜2のタッチパネル用の表面保護シートは、タッチパネルペンでの筆記感について何ら検討していない。さらに、近年、紙に鉛筆で筆記しているような高レベルな筆記感が求められるようになってきている。
本発明は、高レベルの筆記感を得ることができるタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル及び表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、動摩擦力と、タッチパネルペンの操作を一旦停止した際の残留摩擦力との関係が高レベルな筆記感に大きな影響を与えることを見出し、上記課題を解決するに至った。
本発明は、以下[1]〜[5]のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル及び表示装置を提供する。
[1]下記条件1−1を満たすものをタッチパネルペン用筆記性部材として選別する、タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法。
<条件1−1>
タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対してタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、前記タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら、前記タッチパネルペン用筆記性部材を14mm/秒の速度で片道40mmの長さを移動させた際の前記タッチパネルペンにかかる前記移動方向の動摩擦力を0.001秒間隔で測定し、0.001秒ごとの動摩擦力の平均を算出する。
さらに、前記タッチパネルペン用筆記性部材の片道40mmの長さの移動が完了した後に、前記タッチパネルペンにかかる垂直荷重100gfを保持し、前記タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対して前記タッチパネルペンを60度の角度で接触させたままの状態とする。この状態において、前記タッチパネルペンにかかる前記移動方向の残留摩擦力を0.001秒間隔で測定し、0.001秒ごとの残留摩擦力の平均を算出する。
前記動摩擦力の平均と前記残留摩擦力の平均とが「0.45<残留摩擦力の平均/動摩擦力の平均」の関係を示す。
[2]表面にタッチパネルペン用筆記性部材を有するタッチパネルと、タッチパネルペンとからなるタッチパネルシステムであって、上記条件1−1を満たすタッチパネルシステム。
[3]上記条件1−1を満たす表面を有するタッチパネルペン用筆記性部材。
[4]表面に筆記性部材を有するタッチパネルであって、前記筆記性部材として、上記[3]に記載のタッチパネルペン用筆記性部材の上記条件1−1を満たす側の面がタッチパネルの表面を向くように配置してなるタッチパネル。
[5]表示素子上にタッチパネルを有する表示装置であって、前記タッチパネルが上記[4]に記載のタッチパネルである、タッチパネル付きの表示装置。
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法は、タッチパネルペンによる筆記試験を行わなくても、高レベルな筆記感が得られる筆記性部材を選別することができ、筆記性部材の製品設計、品質管理を効率よくすることができる。また、本発明のタッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル及び表示装置は、高レベルな筆記感を付与することができる。
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の一実施形態を示す断面図である。 本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の他の実施形態を示す断面図である。 摩擦力の測定方法を説明する概略図である。 タッチパネルペンの直径Dの算出方法を説明する図である。 平均傾斜角θaの算出方法を説明する図である。 本発明のタッチパネルの一実施形態を示す断面図である。 本発明のタッチパネルの他の実施形態を示す断面図である。
以下、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法、タッチパネルシステム、タッチパネルペン用筆記性部材、タッチパネル及び表示装置の実施の形態を説明する。
[タッチパネルペン用筆記性部材の選別方法]
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法は、下記条件1−1を満たすものをタッチパネルペン用筆記性部材として選別するものである。
<条件1−1>
タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対してタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、前記タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら、前記タッチパネルペン用筆記性部材を14mm/秒の速度で片道40mmの長さを移動させた際の前記タッチパネルペンにかかる前記移動方向の動摩擦力を0.001秒間隔で測定し、0.001秒ごとの動摩擦力の平均を算出する。
さらに、前記タッチパネルペン用筆記性部材の片道40mmの長さの移動が完了した後に、前記タッチパネルペンにかかる垂直荷重100gfを保持し、前記タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対して前記タッチパネルペンを60度の角度で接触させたままの状態とする。この状態において、前記タッチパネルペンにかかる前記移動方向の残留摩擦力を0.001秒間隔で測定し、0.001秒ごとの残留摩擦力の平均を算出する。
前記動摩擦力の平均と前記残留摩擦力の平均とが「0.45<残留摩擦力の平均/動摩擦力の平均」の関係を示す。
なお、60度とは、タッチパネルペン用筆記性部材の表面と平行な方向を0度として、表面に対して60度傾いていることを意味する。
図1及び図2は、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材10の一実施形態を示す断面図である。図1及び図2のタッチパネルペン用筆記性部材10は、基材1の一方の面に樹脂層2を有している。
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材は、一方の表面が条件1−1を満たしていてもよいし、両方の表面が条件1−1を満たしていてもよい。
以下、タッチパネルペン用筆記性部材のことを「筆記性部材」、条件1−1を満たす表面のことを「筆記面」と称する場合がある。
<筆記面>
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法は、上記条件1−1を満たす表面を有するものをタッチパネルペン用筆記性部材として選別するものである。以下、条件1−1の設計の技術思想について説明する。
文字を書いたり、図形を描いたりする際には、一瞬筆記を停止した後に再始動する場合が多い。例えば、筆記方向を転換する際には、通常は一瞬筆記を停止してから筆記方向を転換する。筆記を一瞬停止した後に再始動する際の筆記感には静摩擦力が大きく関連していると考えられるが、本発明者らの検討では、両者に十分な相関関係が見られない場合が散見された。
条件1−1の「残留摩擦力の平均(以下、「Fre」と称する場合がある。)」は、筆記性部材の移動が完了した後に、タッチパネルペンの荷重条件及び筆記性部材へのタッチパネルへの接触条件を保持した状態において、タッチパネルペンにかかる前記移動方向の摩擦力を示している。Freは、一瞬筆記を停止する際のペン先の止まりやすさや、タッチパネルペンを再始動する際に要する臨界的な力を示していると考えられる。つまり、Freは、一瞬筆記を停止する動作及び再始動する動作における筆記感(以下、「再始動時の筆記感」と称する場合がある。)に大きく影響すると考えられる。しかし、Freを調整したのみでは、再始動時の筆記感を十分にできない場合があった。
本発明者らは鋭意検討した結果、人間は一連の動作の際に直前の感覚を残しており、それ故、一瞬筆記を停止して再始動する際の筆記感には直前の動摩擦力が大きく影響していることを見出した。そして、Freと動摩擦力とを関連付けることにより、再始動時の筆記感を良好にすることができ、ひいては高レベルの筆記感を付与し得ることを見出した。
条件1−1では、Freと、動摩擦力の平均(以下、「F」と称する場合がある。)の関係式「Fre/F」が0.45超であることを要求している。
re/Fが0.45以下であることは、Fに比べてFreが小さ過ぎることを意味する。この場合、筆記を停止する際にペンの駆動力を0近傍に調整する動作が非常に困難となり、ペン先が止まり難くなったり、ペンが滑ると感じられるようになり、思い通りの位置と方向に筆記方向を転換しにくくなる。したがって、Fre/Fが0.45以下の場合、再始動時の筆記感を良好にすることができず、高レベルの筆記感を付与できない。
なお、Fre/Fが大き過ぎると、筆記を一瞬停止して再始動する際の負荷が重く感じられることがある。このため、再始動時の筆記感をより良好にする観点から、条件1−1において、Fre/Fは、0.60以上1.50以下であることが好ましく、0.65以上1.40以下であることがより好ましく、0.90以上1.35以下であることがさらに好ましい。
本発明の筆記性部材の選別方法は、下記条件1−2を満たすものを選別することが好ましい。条件1−2を満たすことにより、条件1−1を満たすことにより得られる再始動時の筆記感をより良好にすることができる。
<条件1−2>
残留摩擦力の平均が1.0gf以上25.0gf以下。
残留摩擦力の平均(Fre)は、1.5gf以上23.0gf以下であることがより好ましく、2.0gf以上20.0gf以下であることがさらに好ましい。
本発明の筆記性部材の選別方法は、下記条件1−3を満たすものを選別することが好ましい。条件1−3を満たすことにより、連続して筆記する際の筆記感を良好にしやすくできるとともに、ペン先の摩耗を抑制しやすくできる。
<条件1−3>
動摩擦力の平均が1.0gf以上32.0gf以下。
動摩擦力の平均(F)は、2.0gf以上25.0gf以下であることがより好ましく、2.5gf以上15.0gf以下であることがさらに好ましい。
本発明の筆記性部材の選別方法は、下記条件1−4を満たすものを選別することが好ましい。条件1−4を満たすことにより、連続して筆記する際の筆記感を良好にしやすくできるとともに、ペン先の摩耗を抑制しやすくできる。
<条件1−4>
動摩擦力の標準偏差が0.5gf以上18.0gf以下。
動摩擦力の標準偏差(以下、「σF」と称する場合がある。)は、0.001秒ごとに測定した動摩擦力から算出したものである。σFは、0.7gf以上10.0gf以下とすることがより好ましく、1.0gf以上5.0gf以下とすることがさらに好ましい。
本発明において、F及びFreは、15個のサンプルを各1回ずつ測定した際の平均値とする。また、本発明において、Fre/Fは、15個のサンプルを各1回ずつ測定して各サンプルのFre/Fを算出し、20サンプルのFre/Fを平均した値とする。また、本発明において、σFは、60個のサンプルのFを各1回ずつ測定した際の標準偏差とする。
図3は、動摩擦力及び残留摩擦力の測定方法を説明する概略図である。
図3では、タッチパネルペン200は筆記性部材10に接触した状態で保持具84によって固定されている。また、保持具84の上部には重り83を乗せるための土台85が付属されている。土台85上には重り83が乗せられており、該重りによってタッチパネルペンに垂直荷重がかけられている。筆記性部材10は可動台82上に固定されている。
摩擦力の測定時には、タッチパネルペンが上記のように固定された状態で、筆記性部材10が固定された可動台82を、筆記性部材とタッチパネルペンとの成す角の鋭角方向側(図3の右側)に所定の速度で移動する。この際、タッチパネルペン200には、可動台82の移動方向に動摩擦力が生じ、各時間の動摩擦力を算出できる。また、筆記性部材10の移動を完了した後の摩擦力である残留摩擦力を測定できる。
図3に示す測定が可能な装置としては、新東科学社製の商品名HEIDON−18L、HEIDON−14DRが挙げられる。
なお、本発明において、F、Fre等の摩擦力に関するパラメータは、下記(A)〜(E)のように測定することが好ましい。
(A)0点補正
タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対してタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかける。この状態のまま(筆記性部材は動かさない)、100m秒静置し、タッチパネルペンの鋭角方向に生じた摩擦力を0.001秒間隔で測定する。計測時間1m秒〜100m秒の間の摩擦力の最大値を、摩擦力の全計測値(1m秒の摩擦力〜残留摩擦力の測定終了の摩擦力までの全ての摩擦力の測定値)から引いた値を各時間の摩擦力として、0点補正する。後述の(C)〜(E)は0点補正した摩擦力に基づいて算出している。
(B)実測時間
0点補正する前の計測時間1m秒〜100m秒の摩擦力の標準偏差の3倍を「閾値」とする。上記(A)の100m秒静置の後、さらに500m秒静置した後に、筆記性部材を固定した可動台を14mm/秒の速度で、筆記性部材とタッチパネルペンとの成す角の鋭角方向側に移動させ、タッチパネルペンの鋭角方向の摩擦力を0.001秒間隔で測定する。筆記性部材の移動開始後に閾値を最初に超えた時間を「実測開始」の時間とする。
(C)最大摩擦力Fmax
実測開始から1500m秒以内の最大摩擦力から最大摩擦力Fmaxを算出する。
(D)動摩擦力
最大摩擦力Fmaxが発生した時間を第1ピーク時間とする。
実測を開始した時間から、筆記性部材の40mmの長さの移動が完了する時間までの摩擦力の平均を暫定平均摩擦力とする。第1ピーク時間から30m秒経過後に、[暫定平均摩擦力+(最大摩擦力×0.1)]を超える摩擦力が最初に発生した時間を第2ピーク時間とする。
第2ピーク時間から500m秒経過した時間を動摩擦力の測定開始時間、筆記性部材の40mmの長さの移動が完了する時間を動摩擦力の測定終了時間として、各時間の動摩擦力を測定し、動摩擦力の平均(F)、動摩擦力の標準偏差(σF)を算出できる。
(E)残留摩擦力
筆記性部材の片道40mmの長さの移動が完了した後に、タッチパネルペンにかかる垂直荷重100gfを保持し、タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対してタッチパネルペンを60度の角度で接触させたままの状態とする。この状態において、タッチパネルペンにかかる鋭角方向の摩擦力(残留摩擦力)を測定する。残留摩擦力の測定時間は、筆記性部材の片道40mmの長さの移動が完了してから500m秒経過後を測定開始時間として、そこから400m秒後を測定終了時間とする。各時間の残留摩擦力から、残留摩擦力の平均(Fre)を算出する。
なお、筆記性部材の表面及びタッチパネルペンのペン先に油脂(例えば、人間の指から筆記性部材の表面に転写した指紋成分)が付着していると、摩擦力に影響を与える可能性がある。このため、摩擦力の測定は、筆記性部材の表面及びタッチパネルペンのペン先に油脂が付着しないようにして実施することが好ましい。また、筆記性部材の表面及びタッチパネルペンのペン先に油脂が付着した場合には、筆記性部材の表面及びタッチパネルペンのペン先の形状、物性に影響を与えない範囲で脱脂処理を行った後に摩擦力を測定することが好ましい。
条件1−1及びその他の条件の判定に用いるタッチパネルペンは特に限定されず、市販のタッチパネルペンの中から適宜選択できる。
なお、タッチパネルペンのペン先の材料が筆記性部材の表面凹凸に嵌まり込まない場合、条件1−1を満たす筆記性部材が設計しにくくなる。このため、条件1−1等の判定に用いるタッチパネルペンは、ペン先が一定の柔軟性を有することが好ましい。しかし、ペン先に柔軟性を有する材料のみから形成した場合、フィルムの凸形状部の食い込み部分でペン先が摩耗するため寿命が短くなったり、ペン先が筆記性部材の表面凹凸から離れにくくなる場合がある。したがって、条件1−1等の判定に用いるタッチパネルペンは、ペンの先端領域が、少なくとも2つの領域を有することが好ましい。具体的には、ペンの先端領域が、少なくとも、変形を促進する領域(i)と、硬さを付与する領域(ii)とを有することが好ましい。また、変形を促進する領域(i)と、硬さを付与する領域(ii)とは、規則的又はランダムに混在していることが好ましい。領域(i)と、領域(ii)とが混在した構成としては、例えば、多孔質の構成(空気孔が変形を促進する領域(i)となる)、硬い素材の中に柔らかい素材が混在している構成等が挙げられる。
変形を促進する領域(i)としては、例えば、空気孔、空洞部、柔らかい素材等が挙げられる。柔らかい素材のヤング率は1.0GPa以下であることが好ましく、0.6GPa以下であることがより好ましい。
硬さを付与する領域(ii)としては、ヤング率1.2GPa以上の素材が挙げられる。硬さを付与する領域(ii)の素材のヤング率は2.0GPa以上であることが好ましく、2.5GPa以上であることがより好ましい。なお、筆記性部材の摩耗を抑制する観点からは、硬さを付与する領域(ii)の素材のヤング率は5.0GPa以下であることが好ましく、4.0GPa以下であることがより好ましく、3.5GPa以下であることがさらに好ましい。
領域(i)と領域(ii)との体積比は、98:2〜70:30であることが好ましく、95:5〜75:25であることがより好ましく、90:10〜80:20であることがさらに好ましい。
ヤング率Eの測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度40〜65%とする。また、ヤング率Eの測定開始前に、測定サンプルを23℃±5℃、湿度40〜65%の雰囲気に10分以上放置するものとする。
先端領域とは、タッチパネルペンのペン先から1.5mm以内の範囲をいうものとする。
また、条件1−1等の判定に用いるタッチパネルペンは、ペン先の直径が0.3〜2.5mmであることが好ましく、0.5〜2.0mmであることがより好ましく、0.7〜1.7mmであることがさらに好ましい。
ペン先の直径Dは、ペン軸に対して垂直方向側からタッチパネルペンを撮像した写真を基準として算出する。図4は、ペン軸に対して垂直方向側からタッチパネルペンを撮像した際のタッチパネルペンの外形を点線で表示したものである。図4(a)に示すように、該写真に対して、該写真の頂点を通り、かつ該写真からはみ出ない円を重ね合わせた際に、最大となる円の直径をペン先の直径Dとする。ただし、図4(b)に示すように、該写真が斜面を有し、かつ該斜面のペン軸に対する角度が40〜90度であれば、該斜面をはみ出して該円を重ね合わせてもよい。
また、本発明の筆記性部材の選別方法は、下記条件2−1を満たすものをタッチパネルペン用筆記性部材として選別することが好ましい。
<条件2−1>
ヘイズが25.0%以上
ヘイズを25.0%以上とすることにより、ギラツキ(映像光に微細な輝度のばらつきが見える現象)を抑制しやすくできる。
ギラツキ抑制の観点から、ヘイズは35.0%以上であることがより好ましく、45.0%以上であることがさらに好ましい。また、表示素子の解像性の低下の抑制の観点から、ヘイズは90.0%以下であることが好ましく、70.0%以下であることがより好ましく、67.0%以下であることがさらに好ましく、60.0%以下であることがよりさらに好ましい。
ヘイズ及び後述の全光線透過率を測定する際は、筆記性部材の筆記面(上記条件1−1を満たす面)とは反対側の表面から光を入射するものとする。筆記性部材の両面が筆記面の場合、光入射面はどちらの面であってもよい。なお、本明細書において、ヘイズ及び全光線透過率は、15個のサンプルを各1回ずつ測定した際の平均値とする。
また、本発明の筆記性部材の選別方法は、下記条件2−2を満たすものをタッチパネルペン用筆記性部材として選別することが好ましい。
<条件2−2>
JIS K7361−1:1997の全光線透過率が87.0%以上
全光線透過率を87.0%以上とすることにより、表示素子の輝度の低下を抑制できる。
全光線透過率は88.0%以上であることがより好ましく、89.0%以上であることがさらに好ましい。なお、全光線透過率が高すぎると、条件1−1を満たしにくい傾向がある。このため、全光線透過率は92.0%以下であることが好ましく、91.5%以下であることがより好ましく、91.0%以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法を応用すれば、任意の筆記性部材に適したタッチパネルペンを選定することもできる。
[タッチパネルペン用筆記性部材]
本発明のタッチパネル用筆記性部材は、下記条件1−1を満たす表面を有するものである。
<条件1−1>
タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対してタッチパネルペンを60度の角度で接触させた状態で固定し、前記タッチパネルペンに垂直荷重100gfをかけながら、前記タッチパネルペン用筆記性部材を14mm/秒の速度で片道40mmの長さを移動させた際の前記タッチパネルペンにかかる前記移動方向の動摩擦力を0.001秒間隔で測定し、0.001秒ごとの動摩擦力の平均を算出する。
さらに、前記タッチパネルペン用筆記性部材の片道40mmの長さの移動が完了した後に、前記タッチパネルペンにかかる垂直荷重100gfを保持し、前記タッチパネルペン用筆記性部材の表面に対して前記タッチパネルペンを60度の角度で接触させたままの状態とする。この状態において、前記タッチパネルペンにかかる前記移動方向の残留摩擦力を0.001秒間隔で測定し、0.001秒ごとの残留摩擦力の平均を算出する。
前記動摩擦力の平均と前記残留摩擦力の平均とが「0.45<残留摩擦力の平均/動摩擦力の平均」の関係を示す。
本発明の筆記性部材は、筆記面に対してタッチパネルペンを60度以外の角度(例えば30〜75度の範囲の何れかの角度)で接触させた状態で固定した際にも、条件1−1等を満たすことが好ましい。また、条件1−1等は、移動速度を14mm/秒以外の速度(例えば0.1〜100mm/秒の範囲の何れかの速度)とした際にも、上記範囲であることが好ましい。
本発明の筆記性部材は、下記条件1−2を満たすことが好ましい。条件1−2を満たすことにより、条件1−1を満たすことにより得られる再始動時の筆記感をより良好にすることができる。
<条件1−2>
残留摩擦力の平均が1.0gf以上25.0gf以下。
本発明の筆記性部材は、下記条件1−3を満たすことが好ましい。条件1−3を満たすことにより、連続して筆記する際の筆記感を良好にしやすくできるとともに、ペン先の摩耗を抑制しやすくできる。
<条件1−3>
動摩擦力の平均が1.0gf以上32.0gf以下。
本発明の筆記性部材は、下記条件1−4を満たすことが好ましい。条件1−4を満たすことにより、連続して筆記する際の筆記感を良好にしやすくできるとともに、ペン先の摩耗を抑制しやすくできる。
<条件1−4>
動摩擦力の標準偏差が0.5gf以上15.0gf以下。
本発明の筆記性部材の条件1−1〜1−4の好適な範囲は、上述したタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法の条件1−1〜1−4の好適な範囲と同様である。
また、本発明の筆記性部材は、条件1−1等を満たしやすくするため、ペンの先端領域が、少なくとも、変形を促進する領域(i)と、硬さを付与する領域(ii)とを有するタッチパネルペン用の筆記性部材として用いることが好ましい。変形を促進する領域(i)及び硬さを付与する領域(ii)の具体的な実施形態は上述の通りである。
また、本発明の筆記性部材は、ペン先の直径が上述した範囲のタッチパネルペン用の筆記性部材として用いることが好ましい。
また、本発明の筆記性部材は、下記条件2−1を満たすことが好ましい。
<条件2−1>
筆記性部材のJIS K7136:2000のヘイズが25.0%以上
また、本発明の筆記性部材は、下記条件2−2を満たすことが好ましい。
<条件2−2>
JIS K7361−1:1997の全光線透過率が87.0%以上
本発明の筆記性部材の条件2−1及び2−2の好適な範囲は、上述したタッチパネルペン用筆記性部材の選別方法の条件2−1及び2−2の好適な範囲と同様である。
<筆記性部材全体の構成>
本発明のタッチパネルペン用筆記性部材は、少なくとも一方の表面が条件1−1を満たしていれば、その構成は特に限定されない。
例えば、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材10の構成としては、図1及び図2のように、基材1上に樹脂層2を有し、該樹脂層2の一方の表面が条件1−1を満たすものが挙げられる。樹脂層2は、図2のように、第一樹脂層2a、第二樹脂層2bの多層構造であってもよい。
なお、図示しないが、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材10の構成は、基材を有さない樹脂層単層であってもよく、あるいは、基材及び樹脂層以外の他の層を有し、該他の層の表面が条件1−1を満たしていてもよい。他の層としては、帯電防止層、防汚層等が挙げられる。
タッチパネルペン用筆記性部材は、枚葉状の形態でもよいし、長尺シートをロール状に巻き取ったロール状の形態であってもよい。また、枚葉の大きさは特に限定されないが、一般的には、大きさは対角で2〜500インチ程度である。ロール状の幅及び長さは特に限定されないが、一般的には、幅は500〜3000mm、長さは500〜5000m程度である。
また、枚葉の形状も特に限定されず、例えば、多角形(三角形、四角形、五角形等)や円形であってもよいし、ランダムな不定形であってもよい。
筆記面は、「エンボス、サンドブラスト、エッチング等の物理的又は化学的処理」、「型による成型」、「コーティング」等により形成することができる。これら方法の中では、表面形状の再現性の観点からは「型による成型」が好適であり、生産性及び多品種対応の観点からは「コーティング」が好適である。
筆記性部材が条件1−1等を満たすためには、筆記性部材の筆記面が以下の物性(a)〜(f)を満たすことが好ましい。
なお、後述するRt、θa、λaを算出する際のカットオフ値は何れも0.8mmである。カットオフの値は、想定するペン先の直径が、好ましくは0.3〜2.5mm、より好ましくは0.5〜2.0mm、さらに好ましくは0.7〜1.7mmであることに鑑み、JISに規定されているカットオフ値の中から、前記直径のサイズを網羅するカットオフ値を選択したものである。
(a)筆記面のJIS B0601:2001の粗さ曲線の最大断面高さRtが2.5μm以上8.0μm以下。
(b)筆記面の平均傾斜角θaが2.0度以上10.0度以下。
(c)平均傾斜角θa及びJIS B0601:2001の算術平均粗さRaから、式[λa=2π×(Ra/tan(θa))]に基づき算出される平均波長λaが、10μm以上75μm以下。
(d)筆記面の粒子の面積比率が15.0%以上35.0%以下。
(e)前記λa(μm)と、筆記面の100μm平方の粒子密度(個/100μm平方)との商[λa(μm)÷粒子密度(個/100μm平方)]が、14以上1000以下。
なお、本明細書において、上記(a)〜(e)は、15個の筆記性部材のサンプルから得られた値の平均値とする。
上記物性(a)〜(e)は、筆記面の凹凸に極端に高い山や極端に低い谷が数多く存在せず、適度な大きさの凹凸が存在すること、及び、筆記面の凸部が適度に密集していることを意味している。筆記面が上記物性(a)〜(e)を満たすことにより、動摩擦力及び残留摩擦力のバランスが適切となり、条件1−1等を満たしやすくすることができる。
また、上記物性(a)〜(e)を満たすこと(筆記面の凹凸に極端に高い山や極端に低い谷が数多く存在せず、適度な大きさの凹凸が存在すること、及び、筆記面の凸部が適度に密集していること)は、ギラツキの抑制につながる点で好ましい。
また、(a)のRtを8.0μm以下とすること、(b)のθaを10.0度以下とすること、(c)のλaを75μm以下とすること、(d)の面積比率を15.0%以上とすること、(e)の商を1000以下とすることは、タッチパネルペンのペン先の摩耗の抑制にもつながる点で好ましい。特に、(c)のλaを75μm以下とすること、(e)の商を1000以下とすることにより、タッチパネルペンのペン先の摩耗を大幅に抑制できる。
上記(a)のRtは、2.8μm以上6.0μm以下であることがより好ましく、3.0μm以上4.5μm以下であることがさらに好ましい。
上記(b)のθaは、3.0度以上8.0度以下であることがより好ましく、4.0度以上7.0度以下であることがより好ましい。
上記(c)のλaは、15μm以上50μm以下であることがより好ましく、20μm以上35μm以下であることがさらに好ましい。
上記(d)の面積比率は、18.0%以上32.0%以下であることがより好ましく、20.0%以上30.0%以下であることがさらに好ましい。
上記(e)の商は、16以上200以下であることがより好ましく、20以上50以下であることがさらに好ましい。
上記(b)の「平均傾斜角θa」は、小坂研究所社製の表面粗さ測定器(商品名:SE−3400)の取り扱い説明書(1995.07.20改訂)に定義されている値であり、図5に示すように、基準長さL内での高さ方向の変化量の総和(h+h+h+・・・+h)を基準長さLで割ったもののアークタンジェントθa=tan−1{(h+h+h+・・・+h)/L}で求めることができる。なお、本明細書では、基準長さを1500分割し、1500点の高さデータを得て、該1500点の高さデータを元に平均傾斜角θaを算出するものとする。
上記(d)の粒子の面積比率は、走査型電子顕微鏡(SEM)による筆記面の平面写真から、画像解析ソフトによってグレースケール化した画像を2値化し、粒子部分を選択することにより算出することができる。また、上記(e)を算出する元となる筆記面の100μm平方の粒子密度(個/100μm平方)は、前述のように2値化した画像の粒子部分が独立している領域の数をカウントすることにより算出できる。画像解析ソフトとしては、例えば、三谷商事株式会社製の商品名WinRoofが挙げられる。
また、本発明の筆記性部材は、筆記面の耐擦傷性を向上しつつ、タッチパネルペンの摩耗を抑制する観点から、筆記面のJIS K5600−5−4:1999の鉛筆硬度が2H以上9H以下であることが好ましく、3H以上7H以下であることがより好ましく、5H以上6H以下であることがさらに好ましい。
コーティングによる樹脂層の形成は、樹脂成分、粒子及び溶剤を含有してなる樹脂層形成塗布液を、グラビアコーティング、バーコーティング等の公知の塗布方法により基材上に塗布、乾燥、硬化することにより形成できる。コーティングにより形成した樹脂層が条件1−1等を満たしやすくするためには、粒子の平均粒子径、粒子の含有量、及び樹脂層の厚み等を後述の範囲とすることが好ましい。
なお、図2のように、樹脂層が2層以上から形成される場合は、少なくとも何れかの樹脂層に粒子を含有していればよいが、条件1−1等を満たしやすくする観点からは、最表面の樹脂層に粒子を含むことが好ましい。また、最表面の樹脂層が粒子を含み、下層の樹脂層が粒子を含まない構成とすることにより、筆記面の鉛筆硬度を向上しやすくできる。
樹脂層の粒子は、有機粒子及び無機粒子の何れも用いることができる。有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル−スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン、フッ素系樹脂及びポリエステル系樹脂等からなる粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、アンチモン、ジルコニア及びチタニア等からなる粒子が挙げられる。これら粒子の中でも、有機粒子は、粒子の凝集を抑制しやすく、条件1−1等を満たしやすい点で好適である。
また、粒子は、タッチパネルペンのペン先の摩耗抑制の観点から、球形粒子であることが好ましい。
樹脂層中の粒子の平均粒子径は、樹脂層の厚みにより異なるため一概には言えないが、条件1−1等を満たしやすくする観点から、1.0〜10.0μmが好ましく、1.5〜5.0μmであることがより好ましく、1.8〜3.5μmであることがさらに好ましい。粒子が凝集している場合、凝集粒子の平均粒子径が前記範囲を満たすことが好ましい。
粒子の平均粒子径は、以下の(y1)〜(y3)の作業により算出できる。
(y1)本発明の筆記性部材を光学顕微鏡にて透過観察画像を撮像する。倍率は500〜2000倍が好ましい。
(y2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の粒子径を算出する。粒子径は、粒子の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、該2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。
(y3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を 樹脂層中の粒子の平均粒子径とする。
粒子は、粒子径分布が広いもの(単一粒子で粒子径分布が広いもの、あるいは、粒子径分布が異なる2種類以上の粒子を混合した混合粒子の粒子径分布が広いもの)であってもよいが、ギラツキを抑制する観点から、粒子径分布が狭い方が好ましい。具体的には、粒子の粒子径分布の変動係数は、25%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることがさらに好ましい。
樹脂層中の粒子の含有量は、条件1−1等を満たしやすくする観点から、樹脂成分100質量部に対して、10〜30質量部であることが好ましく、12〜25質量部であることがより好ましく、15〜20質量部であることがさらに好ましい。
樹脂層の膜厚の好適な範囲は、樹脂層の実施形態によって若干異なる。例えば、粒子を含む樹脂層の厚みは、条件1−1等を満たしやすくする観点、筆記面の鉛筆硬度を向上させる観点及びカールを抑制する観点から、2.0〜8.0μmが好ましく、2.2〜6.0μmがより好ましく、2.5〜4.0μmがさらに好ましい。
また、条件1−1等を満たしやすくする観点から、[粒子の平均粒子径]/[粒子を含む樹脂層の膜厚]の比は、0.7〜1.3であることが好ましく、0.8〜1.2であることがより好ましく、0.8〜1.0であることがさらに好ましい。
粒子を含まない樹脂層は、粒子を含む樹脂層よりも基材側に位置することが好ましく、その厚みは、筆記面の鉛筆硬度を向上させる観点及びカールを抑制する観点から、3.0〜15.0μmとすることが好ましく、6.0〜10.0μmとすることがより好ましい。
樹脂層の膜厚は、例えば、樹脂層の膜厚は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。STEMの加速電圧は10kv〜30kV、STEMの倍率は1000〜7000倍とすることが好ましい。
樹脂層の樹脂成分は、熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましく、筆記面の鉛筆硬度を向上する観点から、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがより好ましく、その中でも紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
また、多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
これら光重合開始剤は、融点が100℃以上であることが好ましい。光重合開始剤の融点を100℃以上とすることにより、筆記性部材の製造過程や、タッチパネルの透明導電膜の形成過程で、残留した光重合開始剤が昇華して、製造装置や透明導電膜の汚染を防止することができる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
樹脂層形成塗布液には、通常、粘度を調節したり、各成分を溶解または分散可能とするために溶剤を用いる。溶剤の種類によって、塗布、乾燥過程した後の樹脂層の表面状態が異なるため、溶剤の飽和蒸気圧、透明基材への溶剤の浸透性等を考慮して溶剤を選定することが好ましい。具体的には、溶剤は、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール類(ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
溶剤の乾燥が遅すぎる場合、樹脂層のレベリング性が過度になることにより、条件1−1等を満たしやすい表面形状を形成しづらくなる。したがって、溶剤としては、蒸発速度(n−酢酸ブチルの蒸発速度を100としたときの相対蒸発速度)が180以上である溶剤を、全溶剤中の70質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましい。相対蒸発速度が180以上の溶剤としては、トルエンが挙げられる。トルエンの相対蒸発速度は195である。一方、相対蒸発速度が180未満の溶剤としては、メチルイソブチルケトン(MIBK)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、イソプロピルアルコール(IPA)等が挙げられる。
また、表面形状を適度に滑らかにして、筆記性部材の表面形状を上述した範囲にしやすくする観点からは、樹脂層形成塗布液には、レベリング剤を含有させることが好ましい。レベリング剤は、フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素シリコーン共重合体系レベリング剤等が挙げられる。レベリング剤の添加量としては、樹脂層形成塗布液の全固形分に対して0.01〜0.50重量%が好ましく、0.10〜0.40重量%がより好ましく、0.20〜0.30質量%がさらに好ましい。
基材としては、光透過性を有する基材が好ましく、プラスチックフィルム、ガラス等が挙げられ、プラスチックフィルムが好適である。
プラスチックフィルムは、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)等の樹脂から形成することができる。
これらプラスチックフィルムの中でも、機械的強度、寸法安定性及び上記物性(f)を満たしやすくする観点からは、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステルフィルムが好ましい。ポリエステルフィルムの中では、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
基材の厚みは、5〜200μmであることが好ましく、10〜150μmであることがより好ましい。
[タッチパネル]
本発明のタッチパネルは、表面に筆記性部材を有するタッチパネルであって、前記筆記性部材として、本発明のタッチパネルペン用筆記性部材の条件1−1を満たす