JP2013238705A - 映写用スクリーンの製造方法及びこれを用いたホワイトボード装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】映写面へのマーカーを用いた書き込みやマーカーインクの消去が可能な映写用スクリーンの製造方法及びこれを用いたホワイトボード装置を提供する。
【解決手段】基材の塗膜層が積層される基剤表面を凹凸状に形成するとともに、複数の微粒子を含むチクソ性の塗膜用原液を作製し、塗膜用原液を基材表面にその凹凸形状に沿って一定の厚さになるように積層状態に形成する。映写面となる塗膜表面において、微粒子が存在する部分が凸状となり、微粒子が存在しない部分が凹状となり、その凹凸により塗膜表面からなる映写面の光の拡散性を得ることができる。また、塗膜表面が基材表面の凹凸形状に合わせた大きく変化する凹凸となり、イレーサーによる消去時にマーカーインクの消し残りを低減することができるため、イレーサーの少ない操作回数でマーカーインクを消去可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、映写面にマーカーによる書き込みや消去ができる映写用スクリーンの製造方法及びこれを用いたホワイトボード装置に関する。
近年、パーソナルコンピュータ等に接続されたプロジェクター装置からのデータを映写するとともに、ホワイトボード用マーカーによる書き込み及び消去を行うことができるホワイトボード装置が利用されている。
この種のホワイトボード装置は、特徴として、映写面を観やすくするためにプロジェクターからの映写光を拡散反射させる表面加工が施されたスクリーンを有する。この種のホワイトボードに適した映写用スクリーンとして、ホワイトボードとして使用できるとともに、映写スクリーンとしても使用できるホワイトボード及び映写スクリーン兼用フィルムについて、表面の光沢を少なくし、かつ、映写面にマーカーで書き込みや消去ができるように、白色合成樹脂フィルムの表面を微細凹凸面に形成し、この微細凹凸面に硬質ハードコート層を被覆したものがある(特許文献1参照)。
このような構成を有するフィルムは、表面が微細凹凸面であるために、光の拡散反射性に優れており、鮮明な映写画像を得ることができる。しかしながら、ホワイトボードとして用いた場合、マーカーのインクが表面の微細凹部に残存してしまい、ホワイトボード上の筆記データ(マーカーインク)をきれいに消去することが困難であった。この結果、繰り返し使用するうちに、完全に拭き取れなかったインクの蓄積により、ホワイトボードが汚れてしまい、使用に耐えなくなるという問題があった。
消去性を良好にするためには、表面凹凸をより平坦にすればよい。例えば筆記シートとして、エンボス加工による凹凸を有する表面クリア層、ベースフィルム層、及び粘着剤層からなるものがある(特許文献2参照)。このようにエンボス加工されたシートは、先の特許文献1に開示されているフィルムのように、表面が微細な凹凸面とはならないので、消去性が改善される。そして、表面の凹凸を適度に形成すれば、従来のプロジェクター装置においては、防眩性についても改善することができた。
特開平11−277984号公報 特開2010−046961号公報
しかしながら、近年、プロジェクター装置の光源が高輝度化している。以前のプロジェクター装置であれば、設置している会場の照明を消さないと、映写画像は観にくかった。これに対して、近年の高輝度なプロジェクター装置を用いれば、特に会場の照明を消さなくても、映写画像を快適に観ることができる。そうなると再び、映し出された映像の中央にプロジェクターの光源が明るいスポット状に見える現象、いわゆるホットスポットが発生し、映写性が低下してしまう。以前の低い輝度でしか映写できないプロジェクター装置であれば防眩性に問題が無かったとしても、高輝度のプロジェクター装置に対しては、さらに高い防眩性が要求される。
このように、ホワイトボードの表面を映写面として利用する場合には、防眩性を高いレベルで実現しなければならない。それのみならず、マーカー筆記を行った場合には、当然のことながら、イレーサーによりマーカーインクを完全に除去できるようにしなければならない。
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、映写に適した光の拡散反射性を有し、ホットスポットを生じない鮮明な映写画像を得ることができ、特に、高輝度のプロジェクター装置に対しても十分な光の拡散性を有し、ホットスポットを生じない鮮明な映写画像を得ることができるとともに、映写面へのマーカーを用いた書き込みやマーカーインクの消去が可能な映写用スクリーンの製造方法及びこれを用いたホワイトボード装置を提供することを目的としている。
本発明の映写用スクリーンの製造法は、基材と、前記基材に積層された塗膜層とを有する映写用スクリーンの製造方法であって、前記基材の少なくとも前記塗膜層側の基材表面を凹凸形状に形成する工程と、前記塗膜層となる塗膜用原液を、チクソ性を有する合成樹脂に複数の微粒子を混合して作製する工程と、前記基材表面に、前記凹凸形状に沿って略一定の厚さとなるように前記塗膜用原液を積層状態に形成する工程とを有する構成とする。
本発明によれば、塗膜用原液に複数の微粒子が含まれており、基材表面への積層後に溶剤の蒸発や原液の収縮等により、映写面となる塗膜表面において、微粒子が存在する部分が凸状となり、微粒子が存在しない部分が凹状となることにより、その凹凸形状により塗膜表面からなる映写面の光の拡散性を得ることができる。また、基材表面の凹凸形状に沿って略一定の厚さの塗膜層が形成されることから、塗膜表面が基材表面の凹凸形状に合わせた大きく変化する凹凸となり、イレーサーによる消去時にマーカーインクの消し残りを低減することができるため、イレーサーの少ない操作回数でマーカーインクを消去可能となる。そして、塗膜用原液がチクソ性を有することから、例えば塗膜用原液を基材表面に転写して塗膜層を形成する場合に、転写時の印刷版から基材表面への版離れが悪いため、複数の微粒子を含ませることで、印刷時の押圧力による微粒子の移動によって、せん断力が発現し、そのせん断力により塗膜用原液の粘度が低下して、塗膜用原液の基材表面への転写が容易となり、塗膜層の形成工程を簡略化し得る。
本発明の一実施例におけるホワイトボード装置の概略構成図 本発明の一実施例における映写用スクリーンの断面構成を示す概略図 本発明の映写用スクリーンの製造工程を示すフロー図 塗膜用原液の作製要領を示す模式的斜視図 スクリーン面の形成過程を示す要部拡大断面図 基材表面に塗膜用原液が転写された状態を示す要部拡大概略断面図 (a)図2に対応する映写用スクリーンサンプルの映写面の拡大写真、(b)微粒子を有しない映写用スクリーンサンプルの映写面の拡大写真 塗膜表面の凹凸形状における算術平均粗さRaおよび平均山間隔Smを固定して基材表面の各値を変えた場合の光沢度・防眩性・マーカー筆記消去性を示す表(表1) 基材表面の凹凸形状における算術平均粗さRaおよび平均山間隔Smを固定して塗膜表面の各値を変えた場合の光沢度・防眩性・マーカー筆記消去性を示す表(表2) 基材の他の実施例を示す図2に対応する図
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、基材と、前記基材に積層された塗膜層とを有する映写用スクリーンの製造方法であって、前記基材の少なくとも前記塗膜層側の基材表面を凹凸形状に形成する工程と、前記塗膜層となる塗膜用原液を、チクソ性を有する合成樹脂に複数の微粒子を混合して作製する工程と、前記基材表面に、前記凹凸形状に沿って略一定の厚さとなるように前記塗膜用原液を積層状態に形成する工程とを有する構成とする。
これによると、塗膜用原液に複数の微粒子が含まれており、基材表面への積層後に溶剤の蒸発や原液の収縮等により、映写面となる塗膜表面において、微粒子が存在する部分が凸状となり、微粒子が存在しない部分が凹状となることにより、その凹凸形状により塗膜表面からなる映写面の光の拡散性を得ることができる。また、基材表面の凹凸形状に沿って略一定の厚さの塗膜層が形成されることから、塗膜表面が基材表面の凹凸形状に合わせた大きく変化する凹凸となり、イレーサーによる消去時にマーカーインクの消し残りを低減することができるため、イレーサーの少ない操作回数でマーカーインクを消去可能となる。そして、塗膜用原液がチクソ性を有することから、例えば塗膜用原液を基材表面に転写して塗膜層を形成する場合に、転写時の印刷版から基材表面への版離れが悪いため、複数の微粒子を含ませることで、印刷時の押圧力による微粒子の移動によって、せん断力が発現し、そのせん断力により塗膜用原液の粘度が低下して、塗膜用原液の基材表面への転写が容易となり、塗膜層の形成工程を簡略化し得る。
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記塗膜層の前記基材表面とは反対側の塗膜表面が、前記複数の微粒子によって前記基材表面の前記凹凸形状よりも表面粗さが小さい凹凸を有する構成とする。これによると、塗膜表面が、基材表面の凹凸形状に合わせた緩やかな凹凸と、それよりも例えば山間隔が狭くかつ凹凸が小さい細かな凹凸とからなることにより、塗膜表面におけるプロジェクターからの投影スポット光の一次反射光が細かく拡散されるとともに、基材表面に達する二次反射光も基材表面の凹凸形状により拡散されるため、容易に高輝度プロジェクターに対応し得る防眩性が得られる。
また、第3の発明は、前記第2の発明において、前記基材表面の表面粗さは、その算術平均粗さRaが3〜10μmの範囲にあり、平均山間隔Smが300〜800μmの範囲にあり、前記塗膜表面の表面粗さは、その算術平均粗さRaが0.5〜1μmの範囲にあり、平均山間隔Smが40〜60μmの範囲にある構成とする。これによると、塗膜表面と基材表面との各表面粗さの関係が、表面粗さの指標としての算術平均粗さRaおよび平均山間隔Smの両値とも、塗膜表面の方が基材表面よりも小さくなるため、塗膜表面に、緩やかに変化する凹凸と小さくかつ細かく変化する凹凸とがそれぞれ明確に形成され、上記粗さの各範囲の設定により、マーカーインクの消去性および高輝度プロジェクターからの投影スポット光の一次反射光の拡散を大きくすることができる。
また、第4の発明は、前記第2の発明において、前記基材表面の表面粗さは、その算術平均粗さRaが3〜10μmの範囲にあり、平均山間隔Smが300〜800μmの範囲にあり、前記微粒子は、その平均粒径が5〜20μmの範囲にある構成とする。これによると、上記第3の発明と同様に、塗膜表面の粗さの指標としての算術平均粗さRaおよび平均山間隔Smの両値とも、塗膜表面の方が基材表面よりも小さくなるため、塗膜表面に、緩やかに変化する凹凸と小さくかつ細かく変化する凹凸とがそれぞれ明確に形成され、微粒子の平均粒径の上記範囲の設定による塗膜表面の小さくかつ細かな凹凸により、マーカーインクの消去性を確保しながら、高輝度プロジェクターからの投影スポット光の一次反射光をより一層拡散でき、防眩性を向上し得る。
また、第5の発明は、筆記消去を行うボード面が請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の映写用スクリーンにより形成された構成とする。これにより、上記の効果を得ることができる実用的に優れたホワイトボード装置を得ることができる。
以下、本発明の映写用スクリーンの製造方法及びこれを用いたホワイトボード装置の一実施例について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例におけるボード面2を形成するホワイトボード装置の概略構成図である。ホワイトボード装置本体1は、本発明の映写用スクリーンにより表層を形成したボード面2を有している。ボード面2は、パーソナルコンピュータ3等に接続されたプロジェクター装置4からの映写画像を映すプロジェクター用スクリーンとしての適正を有するとともに、ホワイトボード用マーカー5及びイレーサー6を用いた筆記消去に対する適正を有する。続いて、本発明の映写用スクリーンについて説明する。
図2は、本発明の一実施例におけるボード面2を形成する映写用スクリーンの断面構成を示す概略図である。基材7は、後述する球状微粒子8とバインダー樹脂としてのマトリックス樹脂9とにより構成される塗膜層10の形成及び保持、ならびに、ホワイトボード面としての使用に際して、支障が無い程度の強度を有するものである。図に示されるように基材7に積層状態に塗膜層10が形成(塗工)される側となる基材表面7aは、第1の凹凸形状として波打つような凹凸形状に形成されている。これにより、映写用スクリーン全体の光沢度を下げるようにしている。この点については、後ほど詳細に述べる。なお、球状微粒子8は完全な球である必要は無く、略球状であってよい。
基材7の材料としては、プラスチック、鋼板、木板、ガラス板、樹脂化粧版等を挙げることができる。また、基材の厚さも特に制限されず、ホワイトボード装置の構成やボード面の製造方法に合わせ、フィルム状の物や板状のものを用いることができる。特に、シート状の映写用スクリーンを製造する場合には、厚さ20〜200μm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム等を好適に用いることができる。
基材7は、塗膜層10に透明性を有する材料を用いる場合、塗膜層10を透過した映写光の反射層及びボード面の色彩を決定する層としても機能するため、その場合は、白色もしくは白色に近い淡色であることが好ましい。また、基材7として無色もしくは透明性の高い材料を用いて、塗膜層10を形成する面と反対側の面(裏面)に、別途光反射層(図示せず)を形成してもよい。この場合、光反射層は白色インクによる塗装や、別の光反射性フィルム材料を張り合わせる等の方法で形成することができる。ホワイトボード装置本体1のボード面2を形成する際には、板状の基材7を用いた場合にはそのまま利用することも可能であるが、フィルム状の基材7を用いる場合等には、別途、裏面を剛性の高い板部材と張り合わせて使用することも可能である。
塗膜層10は、マトリックス樹脂9に球状微粒子8を内包する形で構成される。各球状微粒子8の間はマトリックス樹脂9によって埋められ、各球状微粒子8の上部(図における上側)表面はマトリックス樹脂9で被覆されている。
球状微粒子8は、マトリックス樹脂9との組み合わせにより、塗膜層10の基材7と接する面とは反対側の露出面としての塗膜表面10aに、JIS B 0601:2001に規定されている算術平均粗さRaが0.5〜1(μm)の範囲にあり、JIS B 0601:2001に規定されている平均山間隔Smが40〜60(μm)の範囲にあるような寸法形状の滑らかな凹凸を形成するために配合される。また、球状微粒子8は、光反射性とボード面の色彩への影響とを考慮して、透明もしくは白色であることが好ましい。
球状微粒子8には、従来のホワイトボード装置における映写用スクリーンでは、粉砕型シリカ等、ランダム形状で、粒子径が比較的小さい微粒子が用いられることが多い。このような微粒子を用いた場合、凹凸形状がより細かく不規則になりやすいため、拡散反射性が高く、プロジェクター映写性に優れた表面形状を形成しやすく、また、原料コスト的に優位である等の利点がある。しかしながら、細かく鋭いカーブを有する凹凸形状が発生しやすく、また、複雑な形状の細かい粒子と樹脂との界面が塗膜表面10aに露出して形成されてしまう場合があること等により、塗膜表面10aに付着したマーカーインクがイレーサーで完全に拭き取れない場合が多く、十分なマーカー筆記消去性が確保しにくい。
このような理由から、本発明では、より滑らかなカーブによる凹凸を形成し、好適なプロジェクター映写性とマーカーによる筆記消去性を両立させるため、球状(略球状を含む)微粒子を用いることが好ましい。また、上記のような寸法形状の凹凸の塗膜表面10aを形成するためには、平均粒径が概ね5〜20μmの範囲にある球状微粒子を用いるのがよい。ここで言う平均粒径とは体積平均径のことであり、コールターカウンタ(コールター社製)を使用して測定したものである。球状微粒子8としては、ポリエチレン製であるとよい。なお、樹脂充填用や表面処理用に用いられる種々のガラスビーズ、球状シリカ微粒子、球状アルミナ微粒子、球状樹脂微粒子等を用いることができる。
ガラスビーズの例としては、ソーダ石灰ガラスや低アルカリガラスを用いた球状ガラスビーズがあり、市販品の例としては、ポッターズ・バロティーニ株式会社製のフィラー用ガラスビーズ、株式会社ユニオン製のユニビーズ(商品名)シリーズがある。球状シリカ微粒子の例としては、球状溶融シリカ微粒子、球状合成シリカ微粒子があり、市販品の例としては、株式会社トクヤマ製のエクセリカ(商品名)シリーズ、株式会社龍森製の高純度真球状シリカ、電気化学工業株式会社製の溶融シリカ球状タイプがある。球状アルミナ微粒子の市販品の例としては、電気化学工業株式会社製の球状アルミナ、昭和電工株式会社製のアルナビーズ(商品名)、株式会社アドマテックスのアドマファイン(商品名)、株式会社マイクロン製の球状アルミナ微粒子がある。球状樹脂微粒子の例としては、球状アクリル樹脂微粒子、球状ポリスチレン微粒子、球状ポリアクリロニトリル微粒子、球状ナイロン微粒子などがあり、市販品の例としては、綜研化学株式会社製のケミスノー(商品名)シリーズ、東洋紡績株式会社製のタフチック(商品名)シリーズ、住友精化製のフロービーズ(商品名)シリーズ、積水化成品工業株式会社製のテクポリマー(商品名)シリーズがある。
上記のような球状微粒子の中でも、球状樹脂微粒子は、特に、平滑な表面を有し、形状が均一で、また、比重や熱膨張係数等の物理的特性、粒子表面の化学的性状等の点で、後述するマトリックス樹脂9との組み合わせにより塗膜層10を形成する上で有利であることから、本発明において特に好適に用いることができる。
マトリックス樹脂9は、球状微粒子8を内包し、上記のような寸法形状の滑らかな凹凸の塗膜表面10aを形成するとともに、映写用スクリーンの映写面となる塗膜表面10aの物理的、化学的性状を支配的に決定するものである。このため、(1)単独、もしくは溶剤との混合により基材7上に塗膜形成が可能、(2)球状微粒子8の表面を被覆しながら、球状微粒子8の平均粒子径や塗膜層10中における配合比(例えば重量配合比)を調整することにより、所望の凹凸形状を形成することが可能、(3)映写用スクリーンの表面層として十分な強度と耐久性を有する塗膜層10を形成可能、(4)マーカーインクに対する適度な親和性、界面張力を有すること、(5)透明もしくは淡色であること、といった基本的な性能を有していることが必要である。この要求を満たすものであれば、マトリックス樹脂9は特に限定されるものでは無く、各種公知の塗料用樹脂やコーティング用樹脂を用いることができる。このような塗料用樹脂やコーティング樹脂の例としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂及びこれらの変性樹脂や共重合体樹脂があり、多種多様な製品が上市されている。
これらの樹脂を基材上に成膜する方法としては、例えば、(1)紫外線硬化型、電子線硬化型もしくは熱硬化型のモノマー、オリゴマー、樹脂等を含む反応性樹脂原料混合物を用いて、塗工後に光もしくは熱により樹脂原料を硬化させ、塗膜を形成する方法、(2)樹脂を溶剤に溶解もしくは分散した状態で基材上に塗工後、溶剤を揮発させることにより塗膜を形成する方法、(3)熱可塑性樹脂を押出成型等によりシート状に形成する方法がある。このうち、紫外線硬化型の樹脂を用いる方法は、前記のような基本的な性能を有するマトリックス樹脂9を形成するのに適しており、また、原料の選択肢が多い、原料混合物の物性調整が容易、樹脂の硬化反応が短時間で完了するといった点で、生産性の面でも有利であり、特に好ましい。
以上のような観点から、マトリックス樹脂9の原料として特に好ましいものとして、アクリル系、エポキシ系、及びそれらの変性化合物や共重合化合物を主成分とするモノマー、オリゴマー、樹脂を主成分とする紫外線硬化型樹脂が挙げられる。このような紫外線硬化型樹脂原料であるエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシ樹脂、各種モノマーは、例えば、根上工業株式会社、新中村化学工業株式会社、共栄社化学株式会社、サートマー・ジャパン株式会社、東亞合成株式会社、日本化薬株式会社より上市されている。
通常、紫外線硬化型樹脂を作製する場合には、上記モノマー、オリゴマー、樹脂等に加えて、光重合開始剤を配合する必要がある。光重合開始剤としては、アルキルフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系等のラジカル重合開始剤、ヨードニウム塩系、スルホニウム塩系等のカチオン重合開始剤が挙げられ、市販品の例としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製のIRGACURE(商品名)シリーズ、DAROCURE(商品名)シリーズ、日本化薬株式会社製のKAYACURE(商品名)シリーズ、三新化学工業株式会社製のサンエイドSI(商品名)シリーズがある。
その他、表面の界面張力やすべり性を調整するための表面調整剤を始めとして、前記球状微粒子8の分散性を向上させるための分散剤、マトリックス樹脂9を着色するための色材等の添加剤を適宜配合することが可能である。また、球状微粒子8との混合や塗布工程を行いやすくするため、揮発性有機溶剤を混合して樹脂溶液の粘度調整を行ってもよく、その場合は、基材7上に原料混合物(塗膜用原液)を塗工後、紫外線照射を行う前に、加熱処理等により揮発性有機溶剤を除去する必要がある。好適な揮発性有機溶剤の例としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールがある。表面調整剤は、乾燥過程を経て、塗膜層10の表面張力を下げる効果や、乾燥後の塗膜層10の撥水・撥油性を上げる効果、表面の摩擦係数を下げることにより、すべり性を上げる効果を発現する。これにより、マーカーの筆記/消去性、特に消去性が向上する。なお、表面調整剤は、マトリックス樹脂9中に分子レベルで溶け込んでおり、図には描かれない。
上記のような配合を基本として、塗料やコーティング用として調製された紫外線硬化型の樹脂原料混合物も各種上市されており、本発明に好適に用いることができる。市販品の例としては、日本合成化学株式会社製の紫光(商品名)シリーズ、株式会社ADEKA製のアデカオプトマー(商品名)シリーズ、荒川化学工業株式会社製のビームセット(商品名)シリーズ、DIC株式会社のユニディック(商品名)シリーズがある。
そして、本発明におけるマトリックス樹脂9は、上記条件に加えてチクソ性を有するものである。チクソ性を有する材料としては、例えば紫外線硬化型アクリルからなる樹脂に、平均粒径が0.1〜0.5μm程度のアクリル系またはシリコン系の粒子を添加したものであってよい。ここで言う平均粒径とは体積平均径のことであり、コールターカウンタ(コールター社製)を使用して測定したものである。また、アクリル酸エステル系、ポリアクリル酸系、酸化ポリエチレン系樹脂などからなるチクソ性付与剤を添加したものであってもよい。なお、チクソ性とは、所定温度(例えば25℃)における、ずり速度1(1/s)の粘度をずり速度10(1/s)の粘度で割った値であり、粘度とは、所定温度におけるずり速度10(1/s)の時の粘度で表すことができ、また、B型粘度計などの回転粘度計を用いて、回転数を変えて粘度を測定し、高速回転の時の数値で低速回転の時の数値を割った値で表すことができる。
本発明の映写用スクリーンは、前記のような材料構成により、種々公知の樹脂混合方法ならびに塗工方法を用いて製造することが可能であるが、以下に、製造方法の一実施例を説明する。
図3は、本発明の映写用スクリーンの製造工程を示すフロー図であり、図4は、図3の塗膜用原液の作製要領を示す模式的斜視図である。工程ST1−1で基材表面7aを凹凸形状に形成する。この凹凸形成に対しては、例えば、射出成形法、注型法、圧縮法、トランスファー法、カレンダー加工法、真空法、発泡法が適用可能である。基材表面7aの凹凸形状の各計測パラメータは、JIS B 0601:2001に規定されている算術平均粗さRaが3〜10(μm)の範囲にあり、JIS B 0601:2001に規定されている平均山間隔Smが300〜800(μm)の範囲にあるとよい。
上記工程ST1−1とは別の工程ST1−2で、基材7の塗工面に塗布し凹凸を形成するための、紫外線硬化型の塗膜用原液21を作製する。塗膜用原液21は、図4に示されるように、容器31にチクソ性樹脂としてのマトリックス樹脂9と球状微粒子8とを所定の配合比で入れて、撹拌機32により混合し、インクの調合のように作製される。
マトリックス樹脂9としては、始めにウレタンアクリレートまたはエポキシアクリレートを主成分とする紫外線硬化型樹脂溶液を作製する。このとき、適量の揮発性有機溶剤を混合し、塗工に適した溶液粘度に調整することが好ましい。ここで、樹脂の混合には、各種公知のミキサー、シェイカー等を用いることができる。そして、上述の平均粒径が0.1〜0.5μm程度のアクリル系またはシリコン系の粒子を添加し、またはアクリル酸エステル系、ポリアクリル酸系、酸化ポリエチレン系樹脂などからなるチクソ性付与剤を添加して、チクソ性樹脂溶液を作製する。このチクソ性樹脂溶液には、さらにマーカーのすべり性や撥油性などを得るための表面調整剤を混合してよい。なお、混合には、各種公知のミキサー、シェイカー等を用いることができる。以上のようにして、塗膜用原液21が作製される。なお、球状微粒子8が上記したようにポリエチレン製であることにより、チクソ性樹脂と、それに混ぜられる球状微粒子8とが、共に樹脂材となり、略同一の比重を有することになる。これにより、撹拌後に球状微粒子8が溶液中で上側部分や下側部分に集まってしまうことがなく、球状微粒子8の分散状態が略均一な状態に保持され得る。
次の工程ST2では、上記工程ST1−1で形成された凹凸形状の基材表面7aに対して、工程ST1−2において作製された塗膜用原液21を塗工する。この工程では、グラビア印刷により行う。公知のグラビア印刷の構造と同様に、図5に示されるように、図の上側に圧胴33が配設され、図の下側に圧胴33と平行に対向する版胴34が配設され、両胴33・34間を通過するように基材7が配設される。両胴33・34が図の各矢印に示されるように回転し、両胴33・34間に挟持状態の基材7も矢印に示される向きに送り出される。
版胴34の外周面には、間隔をあけて配置された複数の仕切り34aが突設されており、隣り合う仕切り34a間にグラビア印刷におけるセル35が形成されている。版胴34の外周面には、各セル35に十分に充填される厚さで、上記塗膜用原液21が付けられている。圧胴33の回転により搬送される基材7と、版胴34に付けられた塗膜用原液21とが、両胴33・34の最狭部に達すると、圧胴33からの押圧力で塗膜用原液21に圧力が加わり、セル35内の塗膜用原液21が基材表面7aに転写される。
このとき、上記押圧力により、球状微粒子8がセル35内で移動し、塗膜用原液21内にせん断力が発現する。塗膜用原液21は上記したようにチクソ性を有するものであり、チクソ性を有する樹脂は粘度が高い。粘度が高いままだと、転写時にセル35内に塗膜用原液21が残り、基材表面7aへの確実な転写ができない虞がある。それに対して、上記せん断力の発現により、塗膜用原液21の粘度が低下するため、塗膜用原液21が、セル35内に残存することなく、基材表面7aに確実に転写可能となる。このようにして基材表面7aに塗膜用原液21が転写された状態は図6に示されるようになる。図に示されるように、転写直後では、塗膜層10の表面(10a)は、基材表面7aの凹凸形状に対応した第2の凹凸形状としての緩やかな凹凸面となっている。
次の工程ST3では乾燥を行う。この乾燥工程では、オーブン等で加熱し、揮発性有機溶剤を蒸発させる。ここで、先に例示したような揮発性有機溶剤を使用した場合には、例えば、80℃、数分程度の条件で加熱乾燥を行えばよい。
次の工程ST4では、上部(図6における上方)より紫外線を照射し、紫外線硬化型樹脂を硬化させることにより、塗膜層10が完成する(図2)。このとき、紫外線硬化型樹脂は重合反応に伴う硬化収縮により、若干収縮している。紫外線照射には、種々公知の紫外線照射用光源装置を用いることができ、例えば、メタルハライドランプ、水銀ランプ、クセノンランプ、LEDランプ等がある。紫外線の照射量は、一般的なウレタンアクリレート系樹脂の場合、波長365nmで計測した積算光量が、100〜2000mJ/cm2程度となるようにすればよい。
完成品は、図2(a)に示されるように、塗膜層10の表面における各球状微粒子8間の部分が凹むようになる。これにより、各球状微粒子8が存在する部分を凸とし、各球状微粒子8間の部分を凹とする凹凸面からなる第3の凹凸形状を有する塗膜表面10aが形成される。球状微粒子8の平均粒径は概ね5〜20μmであり、これにより塗膜表面10aの球状粒子8による凹凸における表面粗さは、その算術平均粗さRaが0.5〜1μmの範囲にあり、平均山間隔Smが40〜60μmの範囲にあるようになる。一方、基材表面7aの粗さは、その算術平均粗さRaが3〜10μmの範囲にあり、平均山間隔Smが300〜800μmの範囲にある。これにより、塗膜表面10aには、基材表面7aの凹凸形状(第1の凹凸形状)に対応して大きな波状に緩やかに変化する凹凸(第2の凹凸形状)と、球状粒子8に対応して、第2の凹凸形状の大きくかつ緩やかに変化する凹凸よりも小さな波状に細かく変化する凹凸(第3の凹凸形状)とが重畳形成される。
図2(b)は、各球状微粒子8を塗膜用原液に入れないで、小さくかつ細かく変化する凹凸(第3の凹凸形状)を省略して、基材表面7aに対応して大きくかつ緩やかに変化する第2の凹凸形状を模式的に示した要部断面図である。映写面となる塗膜表面10aに入射する光(矢印L)は、塗膜表面10aで反射される1次反射光(矢印L1a)と、塗膜層10を透過し、基材表面7aで反射し、再び塗膜層10を透過して出射する2次反射光(矢印L2a)とに、大きく分かれる。1次反射光L1aは、塗膜表面10aの大きくかつ緩やかに変化する凹凸により拡散される。また、2次反射光L1bは、基材表面7aの大きくかつ緩やかに変化する凹凸により拡散され、さらに塗膜表面10aから出射される場合にも塗膜表面10aの凹凸により拡散される。
そして、図2(c)の要部拡大断面図に示されるように、塗膜表面10aには各球状微粒子8による小さくかつ細かく変化する第3の凹凸形状が形成されている。塗膜表面10aに入射する光(矢印L)は、この小さくかつ細かく変化する凹凸(第3の凹凸形状)によっても拡散され、この場合の1次反射光L1bおよび2次反射光L2bは図に示されるように拡散される。このように、塗膜表面10aには、基材表面7aの第1の凹凸形状に対応して形成される大きくかつ緩やかに変化する第2の凹凸形状と、球状微粒子8による小さくかつ細かく変化する第3の凹凸形状とが重畳形成されていることから、大小の両凹凸により1次反射光L1および2次反射光L2は、いずれか一方の凹凸状態よりも大きく拡散される。
なお、塗膜層10の内部に入射する光は、ある程度拡散されて入射する。塗膜層10の内部において、それを構成する球状微粒子8、表面調整剤およびマトリックス樹脂9の光の屈折率は異なる。したがって、球状微粒子8、表面調整剤およびマトリックス樹脂9のそれぞれの間の界面において、2次反射光(L2a・L2b)の屈折や散乱が発生する。そのように屈折や散乱がなされた2次反射光(L2a・L2b)は、塗膜表面10aより出射する際に、その凹凸により、さらに拡散される。このようにして、1次反射光(L1a・L1b)及び2次反射光(L2a・L2b)が二重、三重あるいはそれ以上に拡散されるので、映し出された映像の中央にプロジェクターの光源が明るいスポット状に見える現象、いわゆるホットスポットの発生を低減することができる。
上記反射光の強さにおいては、1次反射光L1a・L1bによるものの方が大きい。上記したように、塗膜表面10aは、大きくかつ緩やかに変化する凹凸と小さくかつ細かく変化する凹凸とにより、低周波に高周波が乗ったように変化する凹凸形状に形成されている。これにより、塗膜表面10aで反射する1次反射光L1a・L1bは、複雑かつ種々の方向に拡散されるため、上記ホットスポットの発生を大きく低減し得る。
塗膜表面10aに形成される凹凸は、大小の両方とも必要である。その理由について、投影実験の結果得られた知見を元に、現象面から述べる。
図2(b)に示す塗膜表面10aの大きくかつ緩やかに変化する(平均山間隔が大きい)凹凸は、投影実験の結果、ホットスポットを大きく、かつその輪郭をぼやけた状態にすることがわかった。しかしながら、この大きくかつ緩やかに変化する凹凸だけでは、ホットスポット自体の眩しさを低減する効果が不十分であった。
逆に、図2(a)や図2(c)に示す大小の両凹凸のうち、小さくかつ細かく変化する(平均山間隔が小さい)凹凸(第3の凹凸形状)のみで塗膜表面10aを形成すると、ホットスポット自体の眩しさは大きく低減されることがわかった。しかしながら、この小さくかつ細かく変化する凹凸だけでは、ホットスポット自体の輪郭がぼやけず、はっきりと判別できてしまい、その輪郭がプロジェクターより映写された画像と重なって、映写された画像の視認に支障をきたしていた。
したがって、図2(a)や図2(c)に示すように、塗膜表面10aが大小の両凹凸(第2の凹凸形状と第3の凹凸形状との重畳)を備えれば、ホットスポット自体の眩しさが低減される上に、その輪郭もぼやけるので、ホットスポットの存在を認めることができない程度にまで映写画像の品質が向上する。すなわち、結果的にはホットスポットの発生が大きく低減される。
なお、塗膜表面10aの凹凸は、防眩性を満たすことはもちろんであるが、マーカー筆記消去性を損なわない程度に小さな表面粗さを有していることが必要である。このマーカー筆記消去性については、後ほどまた詳しく述べる。
以上のような材料構成と工法により、塗膜表面10a及び基材表面7aにおける光の拡散反射性がさらに向上するので、高輝度のプロジェクター装置においても、映し出された映像の中央にプロジェクターの光源が明るいスポット状に見える現象、いわゆるホットスポットを生じない鮮明な映写画像を得ることができる、映写面へのマーカーの書き込みや消去が可能な映写用スクリーンの製造方法及びこれを用いたホワイトボード装置を提供することができる。
以下、本発明の実施例を示す。上記したようにして作製された図2に対応する映写用スクリーンサンプルの映写面(塗膜表面10a)の拡大写真を図7(a)に示す。また、球状微粒子8を含まない塗膜用原液を用いて、他の材料および工程を同一として形成した映写用スクリーンの映写面の拡大写真を比較例として図7(b)に示す。
また、図8の表1に、塗膜表面10aの凹凸形状における算術平均粗さRaを0.5μm、平均山間隔Smを45μmに固定し、基材表面7aの凹凸形状における算術平均粗さRaを2〜11μm、平均山間隔Smを280〜850μmの各範囲で任意の値を複数抽出した場合の複数のサンプル1〜21に対して、光沢度の測定値と、防眩性の良否と、マーカーによる筆記性およびイレーサーによる消去性の良否とをそれぞれ示す。
ここで、光沢度とは、LED光源とシリコンフォトダーオード製受光部を有する光沢度計(堀場製作所製)を用いて、JIS Z 8741に規定された鏡面光沢度−測定方法により計測される60°鏡面光沢度のことである。
また、防眩性については、市販の液晶プロジェクター(パナソニック製 PT−LB75、最大輝度:2600ルーメン)を用いて、映写用スクリーン正面約2mの距離より画像を映写し、投影画像の品質を目視で評価した。映写面上にホットスポットの存在は認められるが、映写された画像の視認には支障が無い程度にその影響が低く、容認できる程度に鮮明な映写画像が得られたものについては○と記し、ホットスポットの存在が大きく認められ、映写された画像の視認に支障をきたす(すなわち「目が疲れる」などの症状を訴える)程度にその影響が大きく、鮮明な映写画像が得られなかったものについては×と記した。
また、マーカー筆記消去性については、黒色の市販ホワイトボード用マーカー(パナソニック電子黒板用マーカー)を用いて、映写用スクリーン上に文字を筆記した後、市販のホワイトボード用イレーサーを用いて文字を消去し、この筆記と消去を50セット繰り返した。そして、色差ΔE、すなわち筆記・消去テスト開始前と筆記・消去テスト終了後とのL値の変化量を測定することにより、マーカーインクの拭き取り性を評価し、ΔEが2以下のものを○、そうでないものを×と記した。
表1から、防眩性とマーカー筆記消去性とが共に○となったものは、サンプル5〜7・10〜12・15〜17であり、それらの光沢度も15〜26と良好であった。
また、図9の表2に、基材表面7aの凹凸形状における算術平均粗さRaを3μm、平均山間隔Smを300μmに固定し、塗膜表面10aの凹凸形状における算術平均粗さRaを0.2〜1.3μm、平均山間隔Smを20〜65μmの各範囲で任意の値を複数抽出した場合の複数のサンプル22〜38に対して、光沢度の測定値と、防眩性の良否と、マーカーによる筆記性およびイレーサーによる消去性の良否とをそれぞれ示す。
表2から、防眩性とマーカー筆記消去性とが共に○となったものは、サンプル27〜29・32〜34であり、それらの光沢度も16〜25と良好であった。
これら表1および表2から、基材表面7aの表面粗さは、その算術平均粗さRaが3〜10μmの範囲にあり、平均山間隔Smが300〜800μmの範囲にあり、塗膜表面10aの表面粗さは、その算術平均粗さRaが0.5〜1μmの範囲にあり、平均山間隔Smが40〜60μmの範囲にあると特に好適であることが判明した。
ちなみに、塗膜層9の表面粗さは、塗膜層10の基材表面7aと反対側の塗膜表面10aに形成される凹凸形状の測定値である。このことについて、もう少し詳細に説明する。基材表面7aの大きくかつ緩やかに変化する凹凸形状を第1の凹凸形状とする。また、塗膜層9の基材表面7aと反対側の塗膜表面10aに形成される大小の凹凸が重畳された凹凸形状のうち、基材表面7aの第1の凹凸形状に沿って大きくかつ緩やかに変化する凹凸成分を第2の凹凸形状とする。そして、球状微粒子8により小さくかつ細かく変化する凹凸成分を第3の凹凸形状とする。
すなわち、このような塗膜層10の塗膜表面10aにおいて、その表面粗さは、第3の凹凸形状と第2の凹凸形状とを重畳した凹凸形状の測定値ということになる。ここで第2の凹凸形状については、塗膜層10を形成するための塗膜用原液21が有するチクソ性により、その平均山間隔は基材表面7aが有する第1の凹凸形状と略同一となる。そして、同じく塗膜層10を形成するための塗膜用原液21が有するチクソ性により、塗膜層10の基材表面7aと反対側の塗膜表面10aに形成される重畳凹凸形状のうち、第2の凹凸形状が有する平均粗さは、基材表面7aが有する第1の凹凸形状と同等か、それよりも若干小さい程度となる。さらに、塗膜層10の基材表面7aと反対側の塗膜表面10aに形成される重畳凹凸形状のうちの第3の凹凸形状が有する平均山間隔および表面粗さは、いずれも、基材表面7aが有する第1の凹凸形状より小さい。
また、上記図示例では基材7の基材表面7aとは相反する側の面(裏面)が平坦に形成されていたが、基材表面7aの凹凸形状の加工としては、エンボス加工も可能である。この場合には、図10に示されるように、基材裏面7bを部分的に押し上げることにより基材表面7aの対応する部分が凸状になり、基材表面7aに図2と同様の凹凸形状を容易に形成することができる。
以上、本発明を、その好適形態実施例について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施例により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であり、例えば電子黒板装置にも適用し得る。また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
本発明のマーカーインクによる筆記消去が可能な投影用スクリーンの製造方法によれば、特に消去性に優れ、かつ高輝度のプロジェクター装置においても鮮明な映写画像を得ることができるので、ホワイトボード用の投影用スクリーンとして有用である。
1 ホワイトボード装置本体
2 ボード面
3 パーソナルコンピュータ
4 プロジェクター装置
5 マーカー
6 イレーサー
7 基材
7a 基材表面
8 球状微粒子
9 マトリックス樹脂
10 塗膜層
10a 塗膜層表面
21 塗膜用原液

Claims (5)

  1. 基材と、前記基材に積層された塗膜層とを有する映写用スクリーンの製造方法であって、
    前記基材の少なくとも前記塗膜層側の基材表面を凹凸形状に形成する工程と、
    前記塗膜層となる塗膜用原液を、チクソ性を有する合成樹脂に複数の微粒子を混合して作製する工程と、
    前記基材表面に、前記凹凸形状に沿って略一定の厚さとなるように前記塗膜用原液を積層状態に形成する工程とを有することを特徴とする映写用スクリーンの製造方法。
  2. 前記塗膜層の前記基材表面とは反対側の塗膜表面が、前記複数の微粒子によって前記基材表面の前記凹凸形状よりも表面粗さが小さい凹凸を有することを特徴とする請求項1に記載の映写用スクリーンの製造方法。
  3. 前記基材表面の表面粗さは、その算術平均粗さRaが3〜10μmの範囲にあり、平均山間隔Smが300〜800μmの範囲にあり、
    前記塗膜表面の表面粗さは、その算術平均粗さRaが0.5〜1μmの範囲にあり、平均山間隔Smが40〜60μmの範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の映写用スクリーンの製造方法。
  4. 前記基材表面の表面粗さは、その算術平均粗さRaが3〜10μmの範囲にあり、平均山間隔Smが300〜800μmの範囲にあり、
    前記微粒子は、その平均粒径が5〜20μmの範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の映写用スクリーンの製造方法。
  5. 筆記消去を行うボード面が、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の映写用スクリーンの製造方法により形成されたことを特徴とするホワイトボード装置。
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