JP2005099675A - 塗布型光学積層膜、光学多層膜及び反射スクリーン - Google Patents

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Abstract

【課題】 低屈折率光学膜上に高屈折率光学膜を適正に積層できる塗布型光学積層膜を提
供し、広い波長範囲の光に対して透過性が良く、成型が容易で、生産性に優れた光学多層
膜及び反射スクリーンを提供する。
【解決手段】 屈折率が1.4以下、表面エネルギーが22dyne/cm以下、極性項
の表面エネルギーが0.6dyne/cm以上であり、パーフルオロ重合体を含むフッ素
系樹脂からなる低屈折率光学膜12Lと、低屈折率光学膜12L上に塗布形成された、金
属酸化物の微粒子とカルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、
リン酸基、リン酸塩基、アンモニウム塩基、ヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種
からなる極性基を含む分散剤とを含有する高屈折率光学膜12Hとからなる。
【選択図】図1

Description

本発明は低屈折率光学膜上に高屈折率光学膜を塗布により形成した塗布型光学積層膜、該塗布型光学積層膜を含む光学多層膜、さらに、該光学多層膜を備えた反射スクリーンに関する。
光学材料には、ガラス等の無機光学材料とプラスチック等の有機高分子光学材料とがあるが、いずれの光学材料とも何らかの欠点を有しており光学材料に求められる要求をすべて満足するものではなかった。
すなわち、有機高分子光学材料は、さまざまな形状に成型加工し易く、迅速な大量生産性があり、軽くて割れにくいという利点を有するが、屈折率が低い、軟らかい、傷つき易い、吸湿性があるために形状変化が起こって光学特性が変化する、複屈折率が大きい等の欠点を有していた。
一方、無機光学材料は、硬くて傷つきにくく、耐熱性が高く、吸湿性が小さいこと、屈折率は有機高分子光学材料よりも高く幅広く選択できる、複屈折率が小さい、解像度が高いという利点を有するが、衝撃で割れ易い、成型性が悪い、迅速な大量生産性が悪いという欠点を有していた。
したがって、現状では両者ともに光学材料として不十分であり、それらの欠点のない、つぎの5つの特性を満たす新しい光学材料が求められていた。
1)加工性が良いこと、
2)屈折率値を自由に連続的に選択できること、
3)耐衝撃性があり、割れにくいこと、
4)着色性が少なく、広い波長域において可視光の光透過率が高いこと、
5)傷つきにくいこと
ところで、上記の光学材料を検討する上で、ある屈折率をもつ光学膜の上に異なる屈折率をもつ光学膜を積層することにより光学材料として所望の機能を付与する手法がある。例えば、波長550nmの光に対する屈折率が1.35〜1.45の低屈折率膜の下層に高屈折率膜を設けると効果的な光反射防止膜が得られる(例えば、特許文献1参照。)。
また、有機高分子材料中に種々の金属酸化物の微粒子を混入させることにより、塗膜の屈折率を自由に調整することが可能であり、これをフィルムやレンズ上に塗布することによって、ディスプレイ、モニタ、レンズの表面特性を改良する手法、あるいはそれを光学材料に用いることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平11−64601号公報(段落0017〜0018、図1) 特開2000−171603号公報(段落0024、図1)
しかしながら、フッ素含有膜や離型フィルム等の上に上記微粒子を添加した有機高分子材料を塗布して光学膜を形成しようとすると、その有機高分子材料の表面張力がフッ素含有膜や離型フィルム等の表面エネルギーよりも高いために適正な塗膜とならず積層することができなかった。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、コロナ放電やプラズマ処理などを施さなくても低屈折率光学膜上に高屈折率光学膜を適正に積層できる塗布型光学積層膜を提供し、広い波長範囲の光に対して透過性が良く、成型が容易で、生産性に優れた光学多層膜及び反射スクリーンを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する請求項1の発明に係る塗布型光学積層膜は、屈折率が1.4以下、表面エネルギーが22dyne/cm以下、極性項の表面エネルギーが0.6dyne/cm以上であり、パーフルオロ重合体を含むフッ素系樹脂からなる低屈折率光学膜と、前記低屈折率光学膜上に塗布形成された、金属酸化物の微粒子とカルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基、リン酸塩基、アンモニウム塩基、ヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種からなる極性基を含む分散剤とを含有する高屈折率光学膜とからなることを特徴とする。
前記課題を解決するために提供する請求項2の発明に係る塗布型光学積層膜は、請求項1の発明において、前記重合体の主鎖末端または側鎖末端にカルボキシル基が含まれていることを特徴とする。
前記課題を解決するために提供する請求項3の発明に係る塗布型光学積層膜は、請求項1の発明において、前記分散剤が、微粒子表面積に対して1.5〜22μmol/mの割合で含まれていることを特徴とする。
前記課題を解決するために提供する請求項4の発明に係る塗布型光学積層膜は、請求項1の発明において、前記金属酸化物の微粒子が、TiOまたはZrOの微粒子であることを特徴とする。
前記課題を解決するために提供する請求項5の発明に係る塗布型光学積層膜は、請求項1の発明において、前記金属酸化物の微粒子が、0.6〜55wt%含まれることを特徴とする。
前記課題を解決するために提供する請求項6の発明に係る光学多層膜は、透明支持体上に高屈折率光学膜と低屈折率光学膜とがこの順で交互に積層された2n+1層(nは1以上の整数である。)からなる光学多層膜であって、屈折率が1.4以下、表面エネルギーが22dyne/cm以下、極性項の表面エネルギーが0.6dyne/cm以上であり、パーフルオロ重合体を含むフッ素系樹脂からなる低屈折率光学膜と、前記低屈折率光学膜上に塗布形成された、金属酸化物の微粒子とカルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基、リン酸塩基、アンモニウム塩基、ヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種からなる極性基を含む分散剤とを含有する高屈折率光学膜とからなる塗布型光学積層膜の組み合わせを備えることを特徴とする。
前記課題を解決するために提供する請求項7の発明に係る光学多層膜は、請求項6の発明において、前記高屈折率光学膜の屈折率が1.75以上であることを特徴とする。
前記課題を解決するために提供する請求項8の発明に係る反射スクリーンは、基板と、光吸収層と、請求項6または請求項7に記載の光学多層膜と、光拡散層とが順次設けられてなることを特徴とする。
本発明の効果として、請求項1〜5の発明によれば、低屈折率光学膜と高屈折率光学膜との組み合わせを最適化することにより、非常に低い屈折率で低い表面エネルギーの光学膜上に濡れ性よく光学膜を塗布により積層することが可能となる。加えて、金属酸化物微粒子の分散性がよいため、高屈折率の光学膜とすることができる。
請求項6,7の発明によれば、目的の屈折率を有する高屈折率光学膜と低屈折率光学膜とが積層されるため、特定波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくともこれらの波長領域以外の可視波長域の光に対しては高透過特性を有する機能性の光学膜を塗布によって形成することが可能となる。とくに、高屈折率光学膜の屈折率を1.75以上とすることで、スクリーン用途に適した反射・透過特性を有する光学多層膜とすることができる。
請求項8の発明によれば、プロジェクターからの特定波長の光を反射し、外光などのそれ以外の波長領域の入射光を透過・吸収する選択反射が可能となるため、反射スクリーン上の映像の黒レベルを下げて高コントラストを達成することが可能となり、部屋が明るい状態でもコントラストの高い映像を表示することが可能となる。
以下に、本発明に係る塗布型光学積層膜、光学多層膜、反射スクリーンの実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施の形態は例示であり、これに限定されるものではない。
(塗布型光学積層膜及び光学多層膜)
本発明に係る塗布型光学積層膜は、屈折率が1.4以下、表面エネルギーが22dyne/cm以下、極性項の表面エネルギーが0.6dyne/cm以上であり、パーフルオロ重合体を含むフッ素系樹脂からなる低屈折率光学膜と、前記低屈折率光学膜上に塗布形成された、金属酸化物の微粒子とカルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基、リン酸塩基、アンモニウム塩基、ヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種からなる極性基を含む分散剤とを含有する高屈折率光学膜とからなるものである。
ここで、低屈折率光学膜は、後述する低屈折率光学膜用塗料を塗布・硬化して得られる光学膜である。また、高屈折率光学膜は、後述する高屈折率光学膜用塗料を塗布・硬化して得られる光学膜である。
また、本発明に係る光学多層膜は、透明支持体上に高屈折率光学膜と低屈折率光学膜とがこの順で交互に積層された2n+1層(nは1以上の整数である。)からなる光学多層膜であって、上記塗布型光学積層膜の組み合わせを備えるものであり、後述する高屈折率光学膜用塗料を塗布・硬化して得られる高屈折率の光学膜(I)と、後述する低屈折率光学膜用塗料を塗布・硬化して得られるフッ素含有膜である低屈折率光学膜(II)とが交互に積層された構成とすることが好ましい。詳しくは、基板上から、まず光学膜(I)が設けられ、ついで光学膜(II)が設けられ、以降光学膜(I)と光学膜(II)とが交互に設けられ、最後に光学膜(I)が設けられた構成であり、2n+1層(nは1以上の整数である。)からなる積層膜となる。
光学膜(I)の膜厚は、赤色、緑色、青色の三波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくともこれらの波長領域以外の可視波長域の光に対しては高透過特性を有するように、80nm〜15μm、より好ましくは600〜1000nmとする。15μmより厚くすると、分散し切れなかった微粒子によるヘイズ成分が増大して光学膜としての機能が得られないからである。
また、この光学膜の屈折率は、1.75〜2.10とすることが好ましい。屈折率を2.10よりも高くすると、微粒子の分散性が不充分となって光学膜としての機能が損なわれ、屈折率を1.75よりも低い場合にはスクリーンとして必要とされる光学特性が得られない場合がある。
光学膜(II)の屈折率は、1.30〜1.40が好ましい。屈折率1.40以下とすることで少ない積層数で良好な反射特性を実現でき、スクリーンとしての特性が充分なものとなる。また、1.3よりも低い屈折率をもった膜を形成することは困難であり、屈折率1.3が製造上の下限となる。
また、この光学膜の膜厚は、赤色、緑色、青色の三波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくともこれらの波長領域以外の可視波長域の光に対しては高透過特性を有するように、80nm〜15μm、より好ましくは600〜1300nmとする。
以上の構成により、光学多層膜は、赤色、緑色、青色の三波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくともこれらの波長領域以外の可視波長域の光に対しては高透過特性を有するようになる。なお、光学膜(I)、光学膜(II)それぞれの屈折率や厚みを調整することにより、光学多層膜として反射する三波長帯の波長位置をシフトさせて調整することが可能であり、これによりプロジェクターから投射される光の波長に対応させた光学多層膜とすることができる。
なお、光学多層膜を構成する光学膜(I)及び光学膜(II)の層数は特に限定されるものではなく、所望の層数とすることができる。また、光学多層膜はプロジェクター光の入射側及びその反対側の最外層が光学膜(I)となる奇数層により構成されることが好ましい。光学多層膜を奇数層の構成とすることにより、偶数層とした構成の場合よりも三原色波長帯域フィルターとして機能が優れたものとなる。
光学多層膜の具体的な層数は3〜7層の奇数層とすることが好ましい。層数が2以下の場合には反射層としての機能が十分ではないためである。一方、層数が多いほど反射率は増加するが、層数8以上では反射率の増加率が小さくなり、光学多層膜の形成所要時間をかけるほど反射率の改善効果が得られなくなるためである。
(光学膜用塗料)
以下、本発明における低屈折率光学膜、高屈折率光学膜を形成するために使用される塗料について説明する。
(1)低屈折率光学膜用塗料
低屈折率光学膜用塗料は、有機溶媒とパーフルオロ構造を含む重合体であって、屈折率が1.4以下、表面エネルギーの全体が22dyne/cm以下、その極性項が0.6dyne/cm以上であるフッ素系樹脂とを含有するものである。
フッ素系樹脂は、重合体の主鎖末端または側鎖末端にマレイミド基、アミジン基、アミド基、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホンアミド基、フェノール性OH基、アルコール性OH基及びフェニル基から選ばれる少なくとも1種の官能基が含まれることによって、表面エネルギーの全体が22dyne/cm以下と非常に低くても、その極性項を増加させることができる。
ここで、表面エネルギーにおける極性項とは双極子力、誘起双極子力、水素結合力から成る成分である。
本発明でいうフッ素系樹脂における官能基は、樹脂膜の表面エネルギーの極性項を上げる役割を果たすものである。このような極性基としては、マレイミド基、アミジン基、アミド基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホンアミド基、フェノール性OH基、アルコール性OH基およびフェニル基などから選ばれる少なくとも1種の基であり、2種以上の基が含フッ素重合体中に存在していてもよい。また、本発明の含フッ素重合体溶液組成物中には種類の異なる極性基を有する含フッ素重合体の混合物や、極性基を持たない含フッ素重合体が含まれていてもよい。
カルボキシル基、スルホン酸基はそれぞれの一価の金属塩でもよく、アミジン基[−C(=NH)NH]はイミドイルアミジン構造からなる基[−C(=NH)N=C(NH)R](Rはアルキル基、パーフルオロアルキル基またはエーテル構造を有するパーフルオロアルキル基)でもよい。
極性基は、ポリマー末端の変性や官能基を有するモノマーの共重合により導入できる。さらに、共重合後その官能基を変性して導入することもできる。ポリマー末端に極性基を導入させる方法としては、例えば重合によるポリマー末端部のカルボキシル基生成や、そのカルボキシル基をアルコールでエステルに変換後、アンモニア、1級アミンまたは2級アミンで処理してアミド化する方法などがある。
ジアミンで処理すると末端にアミノ基を有するアミドを極性基として導入することができる。また、末端にアミノ基を有するポリマーを無水マレイン酸で処理すると末端にマレイミド構造を有する極性基を導入することができる。より具体的な例としては、末端にカルボキシル基を有するポリマーをメタノールで処理し、次にエチレンジアミンで処理すると極性基として[‐CONHCHCHNH]を導入することができ、これを無水マレイン酸で処理すると末端にマレイミド構造を有する極基を導入することができる。
勿論これらの反応に限定されず、種々の有機化学反応の組み合わせにより、様々な会合性基を導入することができる。
共重合による側鎖への極性基導入の方法としては、例えばエステル構造を有するモノマーを共重合し、そのエステルとアミン、ジアミン等との反応によりアミド構造を有する極性基を導入することができる。加水分解によりカルボン酸やその塩に変換することができる。エステルをNaBHなどで還元すると‐CHOHを導入できる。このような共重合モノマーの例を以下に示す。
・CX1X2=CX3(CFCOR1
(X1,X2,X3:それぞれ独立にHまたはF、R1:アルキル基、n:0〜20)
・CF=CFO(CFCOR2(m:1〜20,R2:アルキル基)
・CF=CFO〔CFCF(CF)O〕(CFCOR3
(p:1〜5,q:1〜5,R3:アルキル基)
共重合体中のエステルをアンモニアでアミド化し、五酸化リンや無水トリフルオロ酢酸/ピリジンで脱水するとシアノ基を導入することができる。あるいは上記エステルモノマーのエステル部分にシアノ基を有するモノマーを共重合することにより直接シアノ基を導入することができる。また、シアノ基をアンモニアで処理すると極性の強いアミジン基[−C(=NH)NH]を導入することができる。ニトリル化合物の存在下でシアノ基をアンモニアで処理するイミドイルアミジン構造からなる基[−C(=NH)N=C(NH)R](Rはアルキル基、パーフルオロアルキル基またはエーテル構造を有するパーフルオロアルキル基)を導入することができる。
フルオロスルホニル基を有するモノマーを共重合したのち、変性することも可能である。共重合モノマーの例を以下に示す。
・CF=CFO(CFSOF(m:1〜20)
・CF=CFO〔CFCF(CF)O〕(CFSO
(p:1〜5,q:1〜5)。
共重合により導入されたフルオロスルホニル基をアルカリ加水分解するとスルホン酸のアルカリ金属塩を得ることができる。なお、酸性にするとスルホン酸基を導入できる。また、フルオロスルホニル基をアミンと反応させるとスルホンアミド構造を導入することができる。
極性基を有するモノマーを直接共重合することも可能である。共重合モノマーの例を以下に示す。もちろんこの他にも広範な種類の共重合モノマーを用いることができる。
・R4Co
・R4CONR5R6
・R4CONH(CH)KNH
・R4CHOH
・R4SO
・R4SONR7R8,
・R4C(=NH)NH
[R4:CX4X5=CX6(CF (X4,X5,X6:それぞれ独立にHまた
はF、n:0〜20)またはCF=CFO(CF (m:1〜20)またはCF
=CFO〔CFCF(CF)O〕p(CF2) (p:1〜5,q:1〜5)、
M:H、アンモニウムまたは一価の金属、R5,R6,R7,R8:それぞれ独立にHまたはアルキル基またはアリール基、官能基を有していてもよい]
本発明に用いられる含フッ素重合体は、単独重合体または共重合体の繰り返し単位の主鎖構造部分がパーフルオロの重合体が好ましい。主鎖中または側鎖への結合部としてエーテル結合を有していてもよい。また、主鎖のパーフルオロ構造のフッ素原子の半分以下が塩素原子や水素原子に置換されていてもよい。これによって、屈折率を1.4以下に調節でき、塗膜表面エネルギーを22dyne/cm以下に下げることができる。なお、塗布膜の透明性から、非晶質のものが好ましいが、結晶化度が30%以下、好ましくは20%以下のものであれば適用可能である。
このような重合体としては主鎖に脂肪族環構造を有する非晶質パーフルオロ重合体が好適である。
非晶質パーフルオロ重合体の具体例としては、例えば式(1)に示す構造を含むCF2=CFO(CF2)nCF=CF2(n=1〜3)の環化重合体、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、パーフルオロ−1,3−ジオキソールの単独重合体を挙げることができる。これらのモノマーの複数を用いた共重合体も好適である。また、これらのモノマーをテトラフルオロエチレンなどのモノマーとの共重合体も結晶化度が前述の範囲内にあれば用いることができる。
Figure 2005099675
また、主鎖に脂肪族環構造を有していなくても、前述のように結晶化度が小さければ使用することができる。例えば、テトラフルオロエチレンとポリフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体であって、ビニルエーテル含有量を増やして結晶化度を小さくした重合体が挙げられる。
このうち、ポリフルオロアルキルビニルエーテルには、パーフルオロプロピルビニルエーテルなどのパーフルオロアルキルビニルエーテルやパーフルオロ(3,6−ジオキサ−5−メチル−1−ノネン)などのパーフルオロオキシアルキルビニルエーテル、メチルパーフルオロ(4−ビニロキシ−ブタノエート)、メチルパーフルオロ(4,7−ジオキサ−5−メチル−8−ノネノエート)などのエステル含有ビニルエーテル、パーフルオロ(3,6−ジオキサ−4−メチル−7−ヘプテニルスルホニルフルオリド)などのフルオロスルホニル基含有ビニルエーテル、パーフルオロ(4,7−ジオキサ−5−メチル−8−ノネノニトリル)などのシアノ基含有ビニルエーテルを例示することができる。
また、テトラフルオロエチレンの代わりにフッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレンなどを用いることができる。用いる重合体の分子量は重合体組成や用途により異なるが、コーティング材料として用いるためには数平均または重量平均の平均分子量がおよそ10〜10、特には10〜5×10のものが好ましい。分子量が小さすぎると、重合体が脆くなったり、フッ素重合体本来の優れた耐熱性などの物性が損なわれたりする場合がある。
平均分子量は光散乱法や浸透圧法、溶融粘弾性による方法などにより直接求めることができる。また、予めそれらの方法で得られたデータを用いて検量線を作製すれば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーや固有粘度[η]を測定することにより、分子量を算出することができる。赤外吸収スペクトルや核磁気共鳴スペクトルによる末端基の分析によっても求めることが可能である。
主鎖に環構造を有する非晶質パーフルオロ重合体の場合には、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)中30℃で測定される固有粘度[η]が0.02〜5dl/g、特には0.05〜1dl/gの重合体であることが好ましい。
有機溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチレングリコールアセテート等のエステル系溶媒、含フッ素溶媒としては、パーフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンなどの含フッ素芳香族炭化水素類、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミンなどの含フッ素アルキルアミン類、パーフルオロヘキサン、パーフルオロオクタン、パーフルオロデカン、パーフルオロドデカン、パーフルオロ−2,7−ジメチルオクタン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1H−1,1−ジクロロパーフルオロプロパン、1H−1,3−ジクロロパーフルオロプロパン、1H−パーフルオロブタン、2H,3H−パーフルオロペンタン、3H,4H−パーフルオロ−2−メチルペンタン、2H,3H−パーフルオロ−2−メチルペンタン、パーフルオロ−1,2−ジメチルヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルヘキサン、1H−パーフルオロヘキサン、1H,1H,1H,2H,2H−パーフルオロヘキサン、1H,1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタン、1H−パーフルオロオクタン、1H−パーフルオロデカン、1H,1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンなどの含フッ素脂肪族炭化水素類、パーフルオロデカリン、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの含フッ素脂環族炭化水素類、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン、フッ素含有低分子量ポリエーテルなどの含フッ素エーテル類を単独または混合して用いることが可能である。例えば、高屈折率光学膜用塗料に用いられる有機溶媒をメチルイソブチルケトンとし、低屈折率光学膜用塗料に用いられる有機溶媒を含フッ素アルコール(C6F13C2H4OH)とパーフルオロブチルアミンとの混合溶媒(95:5)とする。また、これら有機溶媒は必ずしも100%純粋である必要はなく、異性体、未反応物、分解物、酸化物、水分等の不純成分が20%以下であれば含まれていてもかまわない。
低屈折率光学膜用塗料は塗布により塗膜とされた後、硬化反応により低屈折率光学膜となる。
(2)高屈折率光学膜用塗料
本発明における高屈折率光学膜用塗料は、上記低屈折率光学膜であるフッ素含有膜上に塗布されて光学膜を形成する材料であって、結合剤が溶解した有機溶媒中に微粒子が分散剤により分散された光学膜用材料である。また、この光学膜用材料は塗布された後に硬化反応により、高屈折率光学膜となるものである。
また、高屈折率光学膜用塗料は、上述した低屈折率光学膜用塗料を基体上に塗布して得られる低屈折率光学膜上に高屈折率光学膜を塗布形成するのに用いられる高屈折率光学膜用塗料であって、微粒子と、有機溶媒と、エネルギーを吸収して硬化反応を起こす結合剤と、分散剤とを含有し、該分散剤がカルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基、リン酸塩基、アンモニウム塩基、ヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種からなる極性基を含むものである。
なお、塗布対象は上記低屈折率光学膜だけでなく、上述した低屈折率光学膜用塗料から形成されるフッ素含有基体上に適用してもよい。また、フィルム、板、レンズ状など全ての形状の基板や光学薄膜に適用可能である。
分散剤は、親油基と親水基とからなり、微粒子の分散性を向上させる。また、その極性官能基の導入部位には特に規定はない。なお、結合剤と硬化反応を起こすための官能基を有していてもよい。
該分散剤の含有量は微粒子に対し1.5〜22μmol/mであることが好ましい。これより含有量が少ないと光学膜に十分な分散性を得ることができない。逆に、含有量が多いと、微粒子の分散状態を劣化させる傾向にあり、また、塗膜中における分散剤体積比率が上昇するために、膜屈折率が低下して屈折率の調整範囲が狭くなることから光学膜積層設計が困難となる。なお、上記単位μmol/mは、微粒子表面積1m当りの分散剤添加量を意味する。
本発明の分散剤以外の結合剤を含む場合には結合基を多く有する多官能ポリマー、またはモノマーが好ましい。
上記分散剤に含まれる親水基の極性官能基の量は、1.5〜22μmol/mである。官能基がこれより少ない、あるいは多い場合には、微粒子の分散に対する効果が発現せず、分散性低下などにつながる。
また、極性官能基として以下に示すような官能基でも凝集状態にならないため、有用である。
−SOM、−OSOM、−COOM、P=O(OM)(ここで、式中Mは、水素原子あるいは、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属である。)、3級アミン、4級アンモニウム塩(R1(R2)(R3)NHX(ここで、式中R1,R2,R3は、水素原子あるいは炭化水素基であり、Xは塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素イオンあるいは無機・有機イオンである。))、−OH、−SH、−CN、エポキシ基等の極性官能基。
これら分散剤は、1種単独で用いられることが可能であるが、2種以上を併用することも可能である。塗膜における本発明の分散剤は、上記微粒子100重量部に対して、5〜50重量部、好ましくは、7.5から20重量部である。
微粒子は、成膜された後の光学膜の屈折率を調整するために添加される高屈折率材料の微粒子であり、Ti,Zr,Al,Ce,Sn,La,In,Y,Sb,Si等の酸化物、または、In−Sn等の合金酸化物が挙げられる。このうち、屈折率1.75以上の膜屈折率とするためにはTiOまたはZrOであることが好ましい。なお、ZrOはTiO微粒子表面にZrOを被着した構成の微粒子であってもよい。もちろん、光触媒を抑える目的でTiに添加されるAl,Zr等の元素が適当量含有したとしても、本発明の効果を妨げるものではない。
また、本発明に用いる微粒子の比表面積は、55〜85m/gが好ましく、75〜85m2/gであることがより好ましい。比表面積が上記範囲にあると、微粒子の分散処理により、塗布液中における微粒子の粒度で100nm以下に抑えることが可能となり、ヘイズの非常に小さな光学膜を得ることが可能である。
微粒子の含有量としては、光学膜用塗料において0.6〜55wt%であることが好ましい。
有機溶媒は表面張力の低いものが好ましく、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル等のエステル系溶媒等が用いられる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋である必要はなく、異性体、未反応物、分解物、酸化物、水分等の不純成分が20%以下であれば含まれていてもかまわない。また、低い表面エネルギーをもつ支持体や光学膜上に塗布するためには、より低い表面張力をもつ溶媒を選択することが望ましく、例えばメチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール等が挙げられる。
結合剤は、熱硬化性樹脂、紫外線(UV)硬化型樹脂、電子線(EB)硬化型樹脂等があげられる。熱硬化性樹脂、UV硬化型樹脂、EB硬化型樹脂の例としてはポリスチレン樹脂、スチレン共重合体、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式等)基を有するポリマーでもよい。また、炭素鎖中にフッ素、シラノール基の入った樹脂でも構わない。
上記樹脂を硬化反応させる方法は放射線または熱いずれでもよいが、紫外線照射により樹脂の硬化反応を行う場合には、重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエート等のパーオキシド系開始剤が挙げられる。これらの開始剤の使用量は、重合性単量体合計100重量部あたり0.2〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部とする。
結合剤の含有量としては、光学膜用塗料において3〜32wt%であることが好ましい。
上述した低屈折率光学膜(フッ素系膜)上に塗工する塗料として、22dyne/cmよりも大きな表面張力をもつ溶媒だけでははじかれるが、上記分散剤よって分散された微粒子を含む状態であると、微粒子表面上に吸着した分散剤の極性基と、フッ素膜上の極性基の相互作用によって、塗布できるようになる。よって、高屈折率光学膜用塗料は塗布により塗膜とされた後、放射線または熱によって硬化反応が促進され高屈折率タイプの光学膜となる。
上記低屈折率光学膜用塗料、高屈折率光学膜用塗料の製造に当たっては、混練工程、分散工程及びこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程によって行われる。本発明において使用する微粒子、樹脂、溶媒など全ての原料は何れの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。分散及び混練には、アジター、ペイントシェーカー等の従来公知の装置を用いればよい。
(反射スクリーン)
つぎに、本発明に係る反射スクリーンの実施の形態について説明する。
本発明に係る反射スクリーンの構成例を図1に示す。反射スクリーン10は、基板11上に、光学多層膜12と、光吸収層13と、光拡散層14とが設けられた構成である。
基板11は、透明フィルム、ガラス板、アクリル板、メタクリルスチレン板、ポリカーボネート板、レンズ等の所望の光学特性を満足するものであればよい。光学特性として、上記基板11を構成する材料の屈折率は1.3〜1.7、ヘイズは8%以下、透過率は80%以上が好ましい。また、基板11にアンチグレア機能をもたせてもよい。
透明フィルムはプラスチックフィルムが好ましく、このフィルムを形成する材料としては、例えばセルロース誘導体(例、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース及びニトロセルロース)、ポリメチルメタアクリレート、メチルメタクリレートと他のアルキル(メタ)アクリレート、スチレンなどといったビニルモノマーとの共重合体などの(メタ)アクリル系樹脂;ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)などのポリカーボネート系樹脂;(臭素化)ビスフェノールA 型のジ(メタ)アクリレートの単独重合体ないし共重合体、(臭素化)ビスフェノールA のモノ(メタ)アクリレートのウレタン変性モノマーの重合体および共重合体などといった熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂;ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよび不飽和ポリエステル;アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが好ましい。また、耐熱性を考慮したアラミド系樹脂の使用も可能である。この場合には加熱温度の上限が200℃以上となり、その温度範囲が幅広くなることが予想される。
プラスチックフィルムは、これらの樹脂を伸延あるいは溶剤に希釈後フィルム状に成膜して乾燥するなどの方法で得ることができる。厚さは剛性の面からは厚いほうがよいが、ヘイズの面からは薄いほうが好ましく、通常25〜500μm程度である。
また、上記プラスチックフィルムの表面がハードコートなどの被膜材料で被覆されたものであってもよく、無機物と有機物からなる光学多層膜の下層にこの被膜材料を存在させることによって、付着性、硬度、耐薬品性、耐久性、染色性などの諸物性を向上させることも可能である。
また、基板11上に光学機能性薄膜、あるいは透明支持体表面処理として、下塗り層を設けてもよい。下塗り層は、オルガノアルコキシメタル化合物やポリエステル、アクリル変性ポリエステル、ポリウレタンが挙げられる。また、コロナ放電、UV照射処理を行うのが好ましい。
光学多層膜12は、上述した高屈折率光学膜用塗料を基体上に塗布・硬化して得られる高屈折率の光学膜12Hと、低屈折率光学膜用塗料を塗布・硬化して得られるフッ素含有膜である低屈折率の光学膜12Lとが交互に積層された構成であり、上記で示した光学多層膜の構成であればよい。
光吸収層13は、光学多層膜12を透過した光を吸収させるためのもので、例えば、図1では基板11の光学多層膜12が設けられた面とは反対面に黒色の樹脂フィルムを貼り付けた態様を示している。
あるいは、光吸収層13は、黒色の塗料を用いて塗布によって得られた層でもよい。
黒色の塗料として、カーボンブラック微粒子、シリカ微粒子等表面にカーボンブラックを被着させた微粒子等が挙げられる。これらの微粒子には導電性があっても良い。
また、カーボンブラック微粒子の製法は、オイルファーネス法、チャンネル法、ランプ法、サーマル法等が知られている。
黒色を沈める目的の場合、微粒子の一次粒子径、分散性が塗膜としての黒色を決定する大きな要素となり、一次粒子径が小さく表面積が大きなものほど漆黒性は向上する。また、表面官能基の多いカーボンブラックは、アルキド樹脂のようにOH基やカルボキシル基など極性官能基を有するビヒクルと親和性が高く、極性の低い炭化水素系溶剤と組み合わせることにより、樹脂との濡れ性がよくなり、光沢や漆黒度が高くなる。また、上記樹脂がもつ官能基と反応性のあるイソシアネート基、カルボキシル基をもつ硬化剤を添加して、塗膜を硬化させると良い。
一般に表面官能基の量は、チャンネルカーボンの方がファーネスカーボンよりも多いが、ファーネス法でも酸化処理を施すことによって、官能基量を増やすことができる。カーボンブラックの一次粒子径は、好ましくは30nm以下であり、より好ましくは20nm以下である。粒子径が大きくなると、漆黒度が下がり、光吸収層としての性能が落ちる。
塗布方法は、スクリーン塗布、ブレード塗布、スプレー塗布等従来既知の方法で構わない。
また、膜厚は、10〜50μm程度が好ましく、より好ましくは15〜25μmである。膜厚が10μmよりも小さい場合には、とくにスプレー塗布の場合に漆黒度が低下してしまう。一方、膜厚が50μmよりも大きい場合には、塗膜が脆くなり、クラックが発生し易くなる。
光拡散層14は、片面の表面が凹凸形状となっており、その構成材料はプロジェクターで使用する波長域の光を透過する性質のものであれば特に制約はなく、拡散層として通常使用されるガラスやプラスチックなどでよい。例えば、光学多層膜12の上に透明エポキシ樹脂を塗布し、エンボス加工などにより表面に凹凸を設けてもよいし、すでにそのような形状となった拡散フィルムを貼り合わせてもよい。光学多層膜12で選択的に反射された光は光拡散層14を透過して射出される際に拡散し、視聴者はこの拡散した反射光を観察することで自然な画像を視認することができるようになる。光拡散層14における拡散角はその視認性を決める重要な要因であり、拡散板を構成する材料の屈折率や表面の凹凸形状などを調整することによってその拡散角を増大させる。
また、プロジェクターの光源がレーザである場合にはスクリーン上のぎらつきであるスペックルパターンの発生を防止するために光拡散層14の表面形状パターンをランダムにするとよい。
上記反射スクリーン10によって、プロジェクターからの特定波長の光を反射し、外光などのそれ以外の波長領域の入射光を透過・吸収する選択反射が可能となり、スクリーン10上の映像の黒レベルを下げて高コントラストを達成するものであり、部屋が明るい状態でもコントラストの高い映像を表示することが可能となる。例えば、グレーティング・ライト・バルブ(GLV)を用いた回折格子型プロジェクターのようなRGB光源からの光を投射した場合にスクリーン10上で広視野角で、かつコントラストが高く、外光の映り込みのない良好な映像が鑑賞できるようになる。
すなわち、スクリーン10に入射する光は、光拡散層14を透過し、光学多層膜12に到達し、当該光学多層膜12にて入射光に含まれる外光成分は透過されて光吸収層13で吸収され、映像に関わる特定波長領域の光のみ選択的に反射され、その反射光は光拡散層14の表面にて拡散され視野角の広い画像光として視聴者に供される。したがって、上記反射光である画像光への外光の影響を高いレベルで排除することができ、従来にない高コントラスト化が可能となる。
つぎに、本発明に係る反射スクリーン10の製造方法について以下に説明する。
(s1)基板11としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、当該基板11の主面に上記高屈折率光学膜用塗料を所定量塗布する。
(s2)ステップs1の塗膜を乾燥後、紫外線を照射して硬化させ、所定膜厚の光学膜12Hを形成する。(s3)ついで、光学膜12H上に上記低屈折率光学膜用塗料を所定量塗布する。
(s4)その塗膜を乾燥後、熱硬化させ、所定膜厚の光学膜12Lを形成する。これにより、光学膜12Hと光学膜12Lとの積層構成となる。
(s5)ついで、基板11の最外層にある光学膜12L上に所定量の本発明に係る高屈折率光学膜用塗料を塗布する。
(s6)ステップs5の塗膜を乾燥後、紫外線を照射して硬化させ、所定膜厚の光学膜12Hを形成する。以降、ステップs3〜s6までの処理を所定回数行い、基板11上に光学多層膜12を形成する。
(s7)光学多層膜12の最外層表面に低屈折率の透明接着剤(EPOXY TECHNOLOGY社製EPOTEK396)を塗布し、その上に板形状の光拡散層層14の凹凸の有る面とは反対面を接触面として搭載した後に当該接着剤を硬化させて光学多層膜12と光拡散層14とを貼り合わせる接着層とする。
(s8)基板11の裏面に黒色の光吸収剤を含有した樹脂を塗布し、光吸収層13を形成し、本発明に係る反射スクリーン10とする。
上記製造工程において、表面エネルギーの低い基板11や光学膜12L上に高屈折率光学膜用塗料を均一に塗布することができる。すなわち、高屈折率光学膜用塗料中の微粒子表面上に吸着した分散剤の極性基と、光学膜12L(フッ素膜)上の極性基の相互作用により、基板11や光学膜12L上に高屈折率光学膜用塗料が濡れて均一な塗布が実現され、所期の光学膜12Hを形成することが可能となり、ひいては目的の反射特性を有する光学多層膜を得ることができる。
なお、高屈折率、低屈折率それぞれの光学膜用塗料の塗布方法としては、このほかグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、ダイコーティング、ディッピングなど従来公知の塗布方式によって塗布されてもよい。
また、本発明に係る反射スクリーンの他の実施の形態における構成として、図2に示すように、基板11の両面それぞれに上記と同じ構成の光学多層膜12が形成され、そのうち一方の光学多層膜12の最外層表面に光拡散層14が形成され、他方の光学多層膜12の最外層表面に光吸収層13が形成された構成としてもよい。この反射スクリーン20でも、プロジェクターからの特定波長の光を反射し、外光などのそれ以外の波長領域の入射光を透過・吸収することにより反射スクリーン上の黒レベルを下げて高コントラストを達成することが可能である。
なお、基板11を凸レンズ、または凹レンズの形状として、その表面に光学多層膜12を形成すると、入射する光線束を選択的に反射しつつ、透過した光線束を集合または発散させて実像あるいは虚像を結ばせる光学レンズとすることができ、メガネ(矯正用、ファッション用)、顕微鏡、望遠鏡、拡大鏡、プロジェクション機器類(映画、オーバーヘッドプロジェクター、スライド映写機)、カメラ(ビデオカメラ、デジタルカメラ、写真用カメラ、内視鏡カメラ)、CDを主とした光メモリー用または読み取り用の対物レンズに利用することも可能である。この場合、その表面形状に制限はなく、球面状、非球面状のいずれの形状をとることもでき、従来の他のレンズと組合せて用いることもできる。
上記本発明を実際に実施した例を以下に説明する。この実施例は例示であり、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1における低屈折率光学膜用塗料、高屈折率光学膜用塗料の組成と製造方法及び積層テスト方法を以下に示す。
(1)低屈折率光学膜用塗料(塗料(II))
旭硝子社製塗料、商品名サイトップを使用した。この塗料には有機溶媒とともに結合剤として、末端カルボキシル基をもつパーフルオロブテニルビニルエーテルの重合体が含有されている。
(2)高屈折率光学膜用塗料(塗料(I))
・微粒子:TiO2微粒子
(石原産業社製、平均粒径約20nm、屈折率2.48) 100重量部
・分散剤:SO3Na基含有ウレタンアクリレート
(重量平均分子量:500、SONa基濃度:2×10−3 mol/g)
20重量部
・結合剤:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物
(日本化薬社製UV硬化性樹脂、商品名DPHA) 30重量部
・有機溶媒:メチルイソブチルケトン(MIBK) 4800重量部

上記微粒子と分散剤と有機溶媒とを混合し、ペイントシェーカーで分散処理を行い微粒子分散液を得た。この微粒子分散液に結合剤を添加し、攪拌機にて攪拌処理を行い、高屈折率光学膜用塗料とした。
(3)積層テスト方法
(s11)PETフィルム(厚み188μm、東レ社製、商品名U426)の主面にディッピング方式により低屈折率光学膜塗料を塗布する。
(s12)ステップs11の塗膜を室温で乾燥後、90℃で熱硬化させ、低屈折率の光学膜を形成する。
(s13)ついで、その低屈折率光学膜上に高屈折率光学膜用塗料をディッピング方式により塗布する。
(s14)ステップs13の塗膜を80℃で乾燥後、紫外線(UV)硬化(1000mJ/cm2)させ、所定膜厚の高屈折率の光学膜を形成する。
このとき、高屈折率光学膜の状態を観察し、低屈折率光学膜上への積層塗布の可否を評価した。また、上記ステップs12終了時に低屈折率光学膜の屈折率をフィルメトリックス(松下インターテクノ社製)で測定し、低屈折率光学膜の全体の表面エネルギーγs、極性項表面エネルギーγp及び表面粗さを測定した。なお、表面エネルギーの測定は水、ジヨードメタンの接触角測定により行った。さらに、ステップs14終了時に高屈折率光学膜の屈折率を低屈折率光学膜の場合と同様の方法で測定した。
(実施例2)
塗料(II)に含まれる樹脂として実施例1と同様組成であるサイトップの分子量が異なり、その結果、表面官能基数が異なるものを使用し、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(実施例3)
塗料(I)に含まれる分散剤として、極性基種がリン酸エステル基であるリン酸エステル基含有物(クローダ社製、商品名クロダホスN3A)を使用し、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(実施例4)
塗料(I)に含まれる分散剤として、極性基種がカルボン酸Naであるカルボン酸Na含有物(花王社製、商品名SS−40N)を使用し、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(実施例5)
塗料(I)に含まれる分散剤として、極性基種がヒドロキシル基であるドデシルフェノールを使用し、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(実施例6)
塗料(I)に含まれる分散剤として、極性基種がカルボキシル基であるカルボン酸含有物(花王社製、商品名ホモゲノール l−18)を使用し、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(実施例7)
塗料(I)に含まれる分散剤として、極性基種がスルホン酸であるスルホン酸含有物(ライオン社製、商品名ライポンLH−200)を使用し、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(実施例8)
塗料(I)に含まれる分散剤として、極性基種がリン酸Naであるリン酸Na基含有物(日光ケミカルズ社製、商品名DOP−8N)を使用し、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(実施例9)
塗料(I)に含まれる分散剤として、極性基種がテトラエトキシアンモニウム塩であるアンモニウム塩含有物(ライオン社製、商品名LT−270)を使用し、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(実施例10)
実施例1の塗料(I)における微粒子に対する分散剤の添加量を22μmol/mとし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(実施例11)
実施例1の塗料(I)における微粒子に対する分散剤の添加量を1.5μmol/mとし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(実施例12)
塗料(I)に含まれる微粒子として、TiO微粒子をコアとし、微粒子表面にZrO被覆したもの(石原産業社製、商品名TTO−51D)を使用し、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(実施例13)
実施例1の塗料(I)における微粒子の濃度を16wt%とし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(実施例14)
実施例1の塗料(I)における微粒子の濃度を55wt%とし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(実施例15)
実施例1の塗料(I)における微粒子の濃度を1wt%とし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(比較例1)
塗料(II)に含まれる樹脂として実施例1と同様組成でカルボキシル基のないサイトップを使用し、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(比較例2)
塗料(II)から得られた樹脂膜の表面をコロナ放電処理により荒らして使用し、それ以外の条件は比較例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(比較例3)
塗料(I)に含まれる分散剤として実施例1と同様組成でスルホン酸Na基のないウレタンアクリレートを使用し、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(比較例4)
実施例1の塗料(I)において微粒子を添加しない組成とし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(試験例1)
実施例1の塗料(I)における微粒子に対する分散剤の添加量を23μmol/mとし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(試験例2)
実施例1の塗料(I)における微粒子に対する分散剤の添加量を1.3μmol/mとし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(試験例3)
実施例1の塗料(I)における微粒子の濃度を0.5wt%とし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
(試験例4)
実施例1の塗料(I)における微粒子の濃度を56wt%とし、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、積層テストを行った。
実施例1〜15の結果を表1に示す。いずれの実施例においても、塗料(II)で形成された低屈折率光学膜の上に塗料(I)を問題なく均一に積層塗布でき、所望の高屈折率光学膜を設けることができた。
Figure 2005099675
比較例1〜4、試験例1〜4の結果を表2に示す。それぞれの結果は次の通りであった。
・比較例1〜4:塗料(II)で形成された低屈折率光学膜の上で塗料(I)がはじかれる現象が認められ、積層塗布に不適であった。また、比較例3では塗料(I)で形成された膜は微粒子の分散不良により透明膜とはならず屈折率が測定できなかった。
・試験例1〜4:塗料(II)で形成された低屈折率光学膜の上に塗料(I)を積層塗布できた。しかしながら、各試験例は次の点で不充分であった。
試験例1:高屈折率光学膜の屈折率が1.73と低く、スクリーン用途としては不充分であった。
試験例2:塗料(I)で形成された膜は、微粒子に対する分散剤添加量が低すぎたために溶媒に対して微粒子が濡れきれずに、分散不良により透明膜とはならず屈折率が測定できなかった。
試験例3:高屈折率光学膜の膜厚が検出限界(50nm)以下と薄すぎて、スクリーン用途としては使用できない厚さであった。
試験例4:塗料(I)で形成された膜は、微粒子濃度が高すぎたために溶媒に対して微粒子が濡れきれず、分散不良により透明膜とはならず屈折率が測定できなかった。
Figure 2005099675
つぎに、実施例1の条件に基づいて光学多層膜及び反射スクリーンを実際に作製した例を以下に説明する。
(実施例16)
以下に示す光学膜形成条件で、PETフィルム上に高屈折率光学膜(以下、光学膜(I))/低屈折率光学膜(以下、光学膜(II))/光学膜(I)の3層の光学多層膜を得た。なお、高屈折率、低屈折率それぞれの光学膜用塗料は実施例1に示す塗料を使用した。
(s21)PETフィルム(厚み188μm、東レ社製、商品名U426)の主面に高屈折率光学膜用塗料(塗料(I))を塗布する。
(s22)塗料(I)の塗膜を80℃で乾燥後、紫外線(UV)硬化(1000mJ/cm2)させ、膜厚600nmの高屈折率の光学膜(I)を形成する。
(s23)ついで、その光学膜(I)上に低屈折率光学膜用塗料(塗料(II))を塗布する。
(s24)塗料(II)の塗膜を室温で乾燥後、90℃で熱硬化させ、膜厚1000nmの低屈折率の光学膜(II)を形成する。
(s25)光学膜(II)上に塗料(I)を塗布する。
(s26)塗料(I)の塗膜を80℃で乾燥後、紫外線(UV)硬化(1000mJ/cm2)させ、膜厚1000nmの高屈折率の光学膜(I)を形成する。これにより高屈折率の光学膜(I)と低屈折率の光学膜(II)との3層光学多層膜を得た。
得られた光学多層膜の反射特性をフィルメトリックス(松下インターテクノ社製)で測定した。なお、反射特性として、波長480nmの青色波長、波長560nmの緑色波長、波長665nmの赤色波長の三原色波長域における反射率を測定した。
また、得られた光学多層膜について基板であるPETフィルムの裏面に粘着層を介して黒色PETフィルム(帝人社製)を貼合し、光学多層膜の最外層表面には粘着層を介して拡散フィルムを貼合して、反射スクリーンを作製し、この反射スクリーンのゲインを分光放射輝度計(ミノルタ社製、CS-1000)で測定した。なお、ゲインとは、白色板に光を照射した際の該白色板における輝度(cd/m2)を1とした場合の比の最大値である。
さらに、このスクリーンの輝度を上記輝度計で測定し、コントラストを求めた。すなわち、反射スクリーンに白色光をプロジェクタから照射した時の輝度を測定し、次に黒色光をプロジェクタから照射した時の輝度を測定し、この白色と黒色の光を照射させた時の輝度の比からコントラストを測定した。
(実施例17)
実施例16における光学膜の積層数を光学膜(I)/光学膜(II)/光学膜(I)/光学膜(II)/光学膜(I)の5層とし、それ以外の条件は実施例16の条件と同じとして、光学多層膜及び反射スクリーンを得た。
(実施例18)
実施例16における光学膜の積層数を光学膜(I)/光学膜(II)/光学膜(I)/光学膜(II)/光学膜(I)/光学膜(II)/光学膜(I)の7層とし、それ以外の条件は実施例16の条件と同じとして、光学多層膜及び反射スクリーンを得た。
(実施例19)
実施例16で得られた光学多層膜に対して、PETフィルムの裏面側にスプレー塗布にて黒色塗料を塗布し、乾燥、硬化工程として75℃で30分間保温し、光吸収層を形成した。
黒色塗料は、次の組成物に溶剤を加えたものを用いた。
・カーボンブラック微粒子:オリジン電機社製、商品名オリジプレート
(一次粒子径:15nm)
・樹脂:ヒドロキリル基を有するアルキド樹脂
また、硬化剤として、オリジン電機社製、商品名ポリハードMH(イソシアネート系)を用いた。
ついで、光学多層膜上に粘着層を介して拡散フィルムを貼り合せて反射スクリーンを得た。
(実施例20)
実施例17で得られた光学多層膜に対して、実施例19と同様の処理を施し反射スクリーンを得た。
(実施例21)
実施例18で得られた光学多層膜に対して、実施例19と同様の処理を施し反射スクリーンを得た。
実施例16〜21の結果として、光学多層膜の反射率、反射スクリーンのゲイン及びコントラストを表3に示す。3層構造の光学多層膜の反射率は55%であり、積層数が増えるにしたがって反射率の増加が認められ、7層構造の光学多層膜では88%の反射率が得られた。また、反射スクリーンにおいても、積層数に比例してゲインの増加が認められ、7層構造の反射スクリーンでは光吸収層が黒色PETフィルム(実施例18)の場合には1.6のゲインが得られ、黒色塗膜の場合(実施例21)には1.9のゲインが得られた。また、いずれの実施例でも高コントラストが得られた。
Figure 2005099675
本発明に係る反射スクリーンの実施の形態の構成を示す断面図である。 本発明に係る反射スクリーンの他の実施の形態の構成を示す断面図である。
符号の説明
10,20…反射スクリーン、11…基板、12…光学多層膜、12H,12L…光学膜、13…光吸収層、14…光拡散層


Claims (8)

  1. 屈折率が1.4以下、表面エネルギーが22dyne/cm以下、極性項の表面エネルギーが0.6dyne/cm以上であり、パーフルオロ重合体を含むフッ素系樹脂からなる低屈折率光学膜と、
    前記低屈折率光学膜上に塗布形成された、金属酸化物の微粒子とカルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基、リン酸塩基、アンモニウム塩基、ヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種からなる極性基を含む分散剤とを含有する高屈折率光学膜とからなることを特徴とする塗布型光学積層膜。
  2. 前記パーフルオロ重合体の主鎖末端または側鎖末端にカルボキシル基が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の塗布型光学積層膜。
  3. 前記分散剤が、微粒子表面積に対して1.5〜22μmol/mの割合で含まれていることを特徴とする請求項1に記載の塗布型光学積層膜。
  4. 前記金属酸化物の微粒子が、TiOまたはZrOの微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の塗布型光学積層膜。
  5. 前記金属酸化物の微粒子が、0.6〜55wt%含まれることを特徴とする請求項1に記載の塗布型光学積層膜。
  6. 透明支持体上に高屈折率光学膜と低屈折率光学膜とがこの順で交互に積層された2n+1層(nは1以上の整数である。)からなる光学多層膜であって、屈折率が1.4以下、表面エネルギーが22dyne/cm以下、極性項の表面エネルギーが0.6dyne/cm以上であり、パーフルオロ重合体を含むフッ素系樹脂からなる低屈折率光学膜と、前記低屈折率光学膜上に塗布形成された、金属酸化物の微粒子とカルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基、リン酸塩基、アンモニウム塩基、ヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種からなる極性基を含む分散剤とを含有する高屈折率光学膜とからなる塗布型光学積層膜の組み合わせを備えることを特徴とする光学多層膜。
  7. 前記高屈折率光学膜の屈折率が1.75以上であることを特徴とする請求項6に記載の光学多層膜。
  8. 基板と、光吸収層と、請求項6または請求項7に記載の光学多層膜と、光拡散層とが順次設けられてなることを特徴とする反射スクリーン。


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